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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 3/267 20170101AFI20221227BHJP
   B60Q 3/76 20170101ALI20221227BHJP
   B60Q 3/64 20170101ALI20221227BHJP
   B60Q 3/80 20170101ALI20221227BHJP
   B60Q 3/225 20170101ALI20221227BHJP
   B60Q 3/217 20170101ALI20221227BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20221227BHJP
【FI】
B60Q3/267
B60Q3/76
B60Q3/64
B60Q3/80
B60Q3/225
B60Q3/217
F21V9/08 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018240557
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020100322
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(74)【代理人】
【識別番号】100124958
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 建志
(72)【発明者】
【氏名】小島 鉄温
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109710(JP,A)
【文献】国際公開第2018/197710(WO,A1)
【文献】特開2017-065521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 3/267
B60Q 3/76
B60Q 3/64
B60Q 3/80
B60Q 3/225
B60Q 3/217
F21V 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
両用照明装置であって、
回折格子と、
該回折格子に光を供給する光供給部と、を備え、
前記回折格子を経た分光していない0次光が照射される非分光照明対象と、前記0次光とは進む向きが異なる回折光が照射される回折光照明対象と、が車両における別々の位置に設けられ、
前記回折格子に供給された光から該回折格子により分光した前記回折光を前記回折光照明対象に多様な色彩が付与されるように照射し、且つ、前記0次光を前記非分光照明対象に照射する、車両用照明装置。
【請求項2】
前記回折光照明対象が光沢面を有する、請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記光供給部は、長尺な導光体、及び、該導光体の端面に光を入射させる光源を有し、
本車両用照明装置は、前記車両の室内から見た時に前記光供給部が隠れる加飾部をさらに備え、
前記回折格子は、前記加飾部と一体化され、
前記導光体は、前記回折光が前記回折光照明対象に照射されるように、前記加飾部の背後において前記端面からの光を側面から出して前記回折格子に供給する、請求項1又は請求項2に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記光供給部は、発光させる色の成分を変更可能な光源を有し、
本車両用照明装置は、前記光源に発光させる色の成分を変化させる制御部をさらに備える、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両にある照明対象を照らす車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車には、インサイドハンドル部等といった内装の一部を照らす間接照明が設けられることがある。特許文献1には、LED(発光ダイオード)からの光をインサイドハンドルベゼルからインサイドハンドルにかけて照射するインサイドハンドル照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-180373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したLEDの発光色は1色であるため、LEDからの光に照らされたインサイドハンドル部にはLEDの発光色による1色が付与される。これによりインサイドハンドル部が見易くなるものの、照らされたインサイドハンドル部の意匠を向上させることも望まれる。
尚、同様の課題は、自動車の内装にあるスイッチベースを照らす車両用照明装置等、インサイドハンドル照明装置以外の車両用照明装置にも存在する。
【0005】
本発明は、車両にある照明対象の装飾性を向上させることが可能な車両用照明装置を開示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用照明装置は
回折格子と、
該回折格子に光を供給する光供給部と、を備え、
前記回折格子を経た分光していない0次光が照射される非分光照明対象と、前記0次光とは進む向きが異なる回折光が照射される回折光照明対象と、が車両における別々の位置に設けられ、
前記回折格子に供給された光から該回折格子により分光した前記回折光を前記回折光照明対象に多様な色彩が付与されるように照射し、且つ、前記0次光を前記非分光照明対象に照射する、態様を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両にある照明対象の装飾性を向上させる車両用照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動車の内装の例を側面部の図示が省略された状態で模式的に示す図。
図2】インサイドハンドル部の例を模式的に示す図。
図3】インサイドハンドル部を図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面の例を模式的に示す図。
図4】光の経路の例を模式的に示す図。
図5】透過型回折格子により光の成分が分かれる例を模式的に示す図。
図6図6A~Cは透過型回折格子の別の例を模式的に示す図。
図7】インサイドハンドル部を図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面の別の例を模式的に示す図。
図8】光の経路の別の例を模式的に示す図。
図9】スイッチ部の垂直端面の例を模式的に示す図。
図10】インサイドハンドル部を図2のA1-A1に相当する位置で切断したときの垂直端面の別の例を模式的に示す図。
図11】反射型回折格子により光の成分が分かれる例を模式的に示す図。
図12】発光色の成分を変化させる制御部を有する車両用照明装置の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
【0010】
(1)本発明に含まれる技術の概要:
まず、図1~12に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。むろん、本技術の各要素は、符号で示される具体例に限定されない。
また、本願において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。
【0011】
[態様1]
本技術の一態様に係る車両用照明装置1は、車両(例えば自動車100)にある回折光照明対象210を照らす車両用照明装置1であって、回折格子30、及び、該回折格子30に供給する光供給部50を備える。本車両用照明装置1は、前記回折格子30に供給された光L0から該回折格子30により分光した回折光L1を前記回折光照明対象210に照射する。
【0012】
上記態様1では、光供給部50から回折格子30に供給された光L0が回折格子30により分光して回折光照明対象210に照射されるので、分光する前の光L0では表現されない多様な色彩が回折光照明対象210に付与される。例えば、光供給部50から回折格子30に供給された光L0の色が赤と緑と青を混色した白である場合、回折光照明対象210に虹色のような新規の意匠が付与される。従って、本態様は、車両にある照明対象の装飾性を向上させる車両用照明装置を提供することができる。
【0013】
ここで、照明対象には、インサイドハンドル、スイッチベース、ドアポケット、等が含まれる。
回折格子は、透過型回折格子でもよいし、反射型回折格子でもよい。本車両用照明装置は、透過型回折格子を有して光を透過させる光透過部を備えていてもよいし、反射型回折格子を有して光を反射させる光反射部を備えていてもよい。
光供給部は、光源と導光体の組合せでもよいし、光源自体でもよい。
尚、上述した付言は、以下の態様においても適用される。
【0014】
[態様2]
図3,10等に例示するように、本車両用照明装置1は、前記回折光L1を前記回折光照明対象210に照射し、且つ、前記回折格子30を経た分光していない光L2を前記回折光照明対象210とは異なる非分光照明対象220(例えば通過光照明対象又は反射光照明対象)に照射してもよい。この態様は、非分光照明対象220に対する照明に加えて分光した回折光L1の回折光照明対象210に対する多様な色彩の照明が共通の光供給部50で実現されるので、照明対象の装飾性を効率的に向上させる車両用照明装置を提供することができる。
【0015】
[態様3]
図3,10等に例示するように、前記回折光照明対象210は、光沢面211を有していてもよい。この態様は、分光した回折光L1が回折光照明対象210の光沢面211で反射するので、回折光L1に含まれる多様な色彩がはっきりと分かる。従って、本態様は、照明対象の装飾性をさらに向上させる車両用照明装置を提供することができる。
ここで、光沢面は、JIS(日本工業規格)Z8741:1997(鏡面光沢度-測定方法)に規定された鏡面光沢度測定方法の方法3による60度鏡面光沢度が30以上(好ましくは35以上)である面であるとする。この付言は、以下の態様においても適用される。
【0016】
[態様4]
図2,4等に例示するように、前記光供給部50は、長尺な導光体70、及び、該導光体70の端面71に光L0を入射させる光源60を有していてもよい。図2,3,10等に例示するように、本車両用照明装置1は、前記車両(100)の室内SP0から見た時に前記光供給部50が隠れる加飾部40をさらに備えていてもよい。前記回折格子30は、前記加飾部40と一体化されていてもよい。前記導光体70は、前記回折光L1が前記回折光照明対象210に照射されるように、前記加飾部40の背後において前記端面71からの光L0を側面73から出して前記回折格子30に供給してもよい。本態様は、車両(100)の室内SP0から見て導光体70が加飾部40に隠れているので、間接照明として好適な車両用照明装置を提供することができる。
【0017】
[態様5]
前記光供給部50は、発光させる色の成分を変更可能な光源60を有していてもよい。図12に例示するように、本車両用照明装置1は、前記光源60に発光させる色の成分を変化させる制御部80をさらに備えていてもよい。光供給部50から回折格子30に供給される光L0の成分が変化すると、回折光照明対象210に付与される色彩の模様が変化する。従って、本態様は、照明対象の装飾性をさらに向上させる車両用照明装置を提供することができる。
【0018】
(2)車両用照明装置の具体例:
図1は、自動車100の内装111を側面部の図示が省略された状態で模式的に例示している。図1中、FRONT、REAR、UP、DOWNは、それぞれ、前、後、上、下を示す。左右の位置関係は、自動車100から前を見る方向を基準とする。また、符号D1は自動車100の前後方向を示し、符号D2は自動車100の上下方向を示している。尚、各部の位置関係の説明は、例示に過ぎない。従って、左右方向を上下方向又は前後方向に変更すること、上下方向を左右方向や前後方向に変更すること、前後方向を左右方向や上下方向に変更すること、回転方向を逆方向に変更すること、等も、本技術に含まれる。
【0019】
図1に示す自動車100は、道路上で使用されるように設計及び装備された路上走行自動車とされ、例えば、鋼板製といった金属製の車体パネルが車室SP1及び荷室SP2を囲んで車体を形成している。尚、車室SP1と荷室SP2を室内SP0と総称する。本技術を適用可能な自動車は、ステーションワゴン等のように車室SP1と荷室SP2が繋がった自動車に限定されず、セダン等のように車室SP1と荷室SP2が分離している自動車も含まれる。
【0020】
自動車100の車体パネルには、室内SP0側において種々の内装材、例えば、内装材112~116が配置されている。車室SP1から側方にあるドアパネル(車体パネルの例)には、車室SP1に面しているドアトリム112が設置されている。同じく車室SP1から側方にあるピラー(車体パネルの例)には、車室SP1側に面しているピラートリム113が設置されている。ピラートリムは、ピラーガーニッシュとも呼ばれる。車室SP1及び荷室SP2から上方にあるルーフパネル(車体パネルの例)には、車室SP1及び荷室SP2に面しているルーフトリム114が設置されている。荷室SP2から側方にあるデッキサイドパネル(車体パネルの例)には、荷室SP2に面しているデッキサイドトリム115が設置されている。車室SP1から前方にあるインストルメントパネル(車体パネルの例)には、車室SP1に面しているインストルメントパネル内装材116が設置されている。
【0021】
ドアトリム112には、ドアを開ける操作のためのインサイドハンドル部121、乗員が肘を掛けることが可能なアームレスト122、小物を収納可能なドアポケット124、等が設けられている。アームレスト122の上面には、ドアの窓を開閉させるためのスイッチ等を有するスイッチベース123が配置されている。ドアポケット124には、小物を出し入れするための開口部125が設けられている。本具体例の車両用照明装置1は、インサイドハンドル部121を照らすインサイドハンドル部照明装置1A、スイッチベース123を照らすスイッチベース照明装置1B、及び、ドアポケット124を照らすドアポケット照明装置1Cを含む。また、図1に示す照明装置1は、ルーフトリム114の端末部を照らすルーフトリム端末照明装置1Dも含む。これらの照明装置1A~1Dは、室内SP0の間接照明として機能する。
以下、インサイドハンドル部照明装置を例にとって、本具体例の照明装置1を詳説する。
【0022】
図2は、具体例に係るインサイドハンドル部2を模式的に示している。図2の下部には、インサイドハンドル部2を照らす車両用照明装置1の光透過部20を下から見た拡大図を模式的に示している。図3は、インサイドハンドル部2を図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面を模式的に例示している。図4は、光源60から回折光照明対象210に至る光の経路を模式的に例示している。図5は、光透過部20に設けられた透過型回折格子30により光の成分が分かれる様子を模式的に例示している。これらの図中、符号D3は自動車100の車幅方向D3を示し、符号D4は導光体70の本体部70aの長手方向を示している。導光体70の本体部70aは、長尺な導光体70に沿った光L0を出射部74の方へ反射させるための凹部76が複数設けられた部分である。
【0023】
インサイドハンドル部2には、車室SP1に向かって開口した凹部3aを有するインサイドハンドルベゼル3、非操作時に凹部3aの中に配置されている傾動可能なインサイドハンドル4、光源60と導光体70を有する光供給部50、及び、光透過部20と加飾部40を含む加飾部材10が設けられている。光透過部20は、透過型回折格子30を有している。加飾部40は、車室SP1から見た時に光供給部50を隠している。
【0024】
インサイドハンドルベゼル3は、図示しない取付機構によりドアトリム112に取り付けられている。例えば、ドアトリム112に引っ掛けるための爪をインサイドハンドルベゼル3に設ける場合、前記爪が前記取付機構である。インサイドハンドルベゼル3の凹部3aは、分光していない通過光L2が照射される通過光照明対象220を有している。通過光照明対象220は、非分光照明対象の例である。インサイドハンドルベゼル3には、熱可塑性樹脂といった合成樹脂の射出成形品等を用いることができる。
【0025】
インサイドハンドル4は、ユーザーがドアを開ける時に凹部3aから車室SP1の方へ引き出すことができるように長尺な形状を有している。インサイドハンドル4は、表面に光沢面211を有している。インサイドハンドル4は、分光した回折光L1が照射される回折光照明対象210を有している。すなわち、照明対象210は光沢面211を有する。インサイドハンドル4には、例えば、熱可塑性樹脂といった合成樹脂の射出成形物に正反射性材料のめっきを設けた部品を用いることができる。ここで、正反射性は物を反射させて見ることができる性質であるものとし、正反射性材料は正反射性を有する材料であるものとする。正反射性材料には、金属等、表面が60度鏡面光沢度30以上(好ましくは35以上)となる材料を用いることができる。
【0026】
インサイドハンドルベゼル3やインサイドハンドル4に使用可能な熱可塑性樹脂には、ポリプロピレン(PP)といったポリオレフィン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、これらの何れかの樹脂に無機繊維といった添加剤が添加された改質樹脂、等を用いることができる。
【0027】
光源60は、加飾部材10における加飾部40の背後において基板とともに加飾部材10に取り付けられ、通電回路65により通電されると複数の色の成分を有する光L0を放出する。光源60からの光L0は、導光体70の端面71に入射される。光源60には、LED(発光ダイオード)、白熱電球、ハロゲン電球、蛍光ランプ、放電ランプ、等を用いることができる。図4には基板に実装された表面実装型LEDが光源60として示されているが、LEDに砲弾型LEDを用いることも可能である。例えば、発光色が赤と緑と青を混色した白である白色LEDが光源60に使用される場合、光源60からの光L0は透過型回折格子30により虹色のような赤から紫まで連続して分光した回折光L1となる。また、青色を発光してその一部を蛍光体で黄色に変える白色LEDが光源60に使用される場合、青成分と黄成分が多い回折光L1が得られる。光源60の発光制御は、自動車の車幅灯(ポジションランプ)のスイッチといった所定のスイッチのオン操作により発光させて同じスイッチ又は異なるスイッチのオフ操作により消灯させる制御等とすることができる。
【0028】
長尺な導光体70は、加飾部材10における加飾部40の背後において加飾部材10に取り付けられ、複数の凹部76を有する本体部70a、及び、光源60からの光L0を本体部70aに誘導する誘導部70bを含んでいる。本体部70aは、横断面略円形、すなわち、略円柱状に形成され、略直線状に配置されている。誘導部70bは、横断面略円形に形成され、インサイドハンドル部2の構造に合わせて曲線状に配置されている。長尺な導光体70は、誘導部70bの端面71と本体部70aの端面72を有し、光源60からの光L0を入射面としての端面71に入射させる。導光体70の側面73は、インサイドハンドルベゼル3の凹部3aの奥(通過光照明対象220)に向いた出射部74、及び、この出射部74とは反対側の反射部75を含んでいる。この反射部75に対して出射部74の方へ凹んだ凹部76が複数、間隔を空けて配置されている。図4に示す各凹部76は、本体部70aの長手方向D4に対して直交する向きの溝であり、本体部70aに沿った光L0を出射部74の方へ反射させる。少なくとも端面71と出射部74は、反射及び拡散が抑制されるような正透過性を有する。ここで、正透過とは、巨視的にみて屈折の法則に従う光の透過を意味する。むろん、正透過性を有することには、正透過成分を主としながら反射成分と拡散成分の少なくとも一方があることが含まれる。
【0029】
導光体70は、透過型回折格子30による回折光L1がインサイドハンドル4(回折光照明対象210)に照射されるように、端面71からの光L0を出射部74から出して光透過部20に供給する。導光体70の本体部70aが横断面略円形であるので、本体部が横断面略矩形である場合と比べて、出射部74から出る光L0の指向性が高い。
以上により、光源60と導光体70を有する光供給部50は、光透過部20に透過させる光L0を供給する。
【0030】
導光体70には、透明材料を射出成形といった公知の方法により成形した透明の成形品等を用いることができる。前記透明材料には、アクリル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ABS樹脂、シリコーン(SI)樹脂、ポリオレフィン樹脂、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。
【0031】
透過型回折格子30を有する光透過部20は、図5に例示するように光供給部50からの光L0を分光していない通過光L2と分光した回折光L1とに分ける。図5に示す光透過部20は、導光体70からの光L0が入射する平坦な入射面21、及び、回折格子30を有する出射面22を含んでいる。入射面21は、反射及び拡散が抑制されるような正透過性を有する。回折格子30は、出射面22において複数の平行な構造を等間隔に有している。前記構造の間隔は、例えば、1~2μm程度とすることができる。図5に示す回折格子30は、平行な構造として複数の直線状の突条31を有している。各突条31は、断面三角形状である。各突条31の向きは、図2に示すように、前後方向D1であり、導光体70の本体部70aの長手方向D4である。
【0032】
図5に示すように、凹部3aの奥の方へ向かう光L0は、透過型回折格子30を通ると、0次光として凹部3aの奥に向かう通過光L2と、凹部3aの奥とは異なるインサイドハンドル4に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。多様な色彩がはっきりと現れるようにするため、回折光L1は、+1次光、又は、-1次光が好ましい。回折光L1の向きは、回折格子30の突条31の間隔や高さを変えることにより調整することができる。従って、回折光L1がインサイドハンドル4に照射されるように回折格子30の突条31の間隔や高さを調整すればよい。
【0033】
上述した光透過部20は、車室SP1から見た時に光供給部50が隠れる加飾部40と一体化されている。すなわち、透過型回折格子30は、加飾部40と一体化されている。光透過部20と加飾部40を含む加飾部材10は、透明材料で形成された透明層11、及び、加飾部40において車室SP1に面する表面に形成された加飾層12を有している。透明層11は、光透過部20において露出している。加飾層12は、光の透過を遮断する材料を塗装することにより形成されている。加飾部材10は、ドアトリム112とインサイドハンドルベゼル3に取り付けられている。
【0034】
透過型回折格子30を含む透明層11には、透明材料を射出成形といった公知の方法により成形した透明の成形物、透過型回折格子を有する透明フィルムを透明材料の成形物に貼り付けた透明部品、透過型回折格子を有する透明フィルムを成形型に入れて透明材料を射出成形といった公知の方法により成形した透明のインサート成形物、等を用いることができる。突条31の間隔が1~2μm程度である場合、透明材料の射出成形により、透過型回折格子30を含む透明層11を形成することができる。前記透明材料には、PMMA樹脂、PC樹脂、ABS樹脂、SI樹脂、ポリオレフィン樹脂、といった透明性を有する樹脂材料等を用いることができる。また、光透過部20を加飾部40とは別に単体の部材で形成することも可能である。
加飾層12には、着色剤といった透過光を遮断する添加物が添加された合成樹脂等を用いることができる。
【0035】
尚、回折格子30には、図10,11に例示するような反射型回折格子を使用することも可能である。ただ、回折格子30に反射型回折格子を用いる場合、反射膜を形成したり、反射用の別部材を追加したりする必要である。このため、回折格子を搭載するスペースが大きくなり、コストアップになるうえ、光路が複雑になることにより虹色等の多様な色彩が不明瞭になる可能性がある。回折格子30に透過型回折格子を用いることにより、透明材料の射出成形により透明層11の形成と同時に透過型回折格子30を形成することができ、透過型回折格子を有する透明フィルムを用いる場合もインサート成形により透過型回折格子30を一体化した透明層11を形成することができる。そのため、回折格子30に透過型回折格子を用いる場合、反射型回折格子を用いる場合と比べて回折格子を設定する工程が少なくて済み、透過用の別部品を追加しなくても済む。従って、回折格子を搭載するスペースが少なくて済み、コストダウンになるうえ、簡素な光路で回折光を照明対象に照射することができることにより虹色等の多様な色彩が明瞭に表現される。
【0036】
(3)具体例に係る車両用照明装置の作用、及び、効果:
次に、車両用照明装置の作用、及び、効果を説明する。
図4に示す通電回路65により通電された光源60は、光L0を導光体70の端面71に向けて放出する。光源60からの光L0は、端面71から導光体70に入射し、誘導部70bに誘導され、本体部70aの長手方向D4に沿って進み、凹部76で出射部74の方へ反射する。凹部76で反射した光L0は、図3,5に示すように出射部74から出てインサイドハンドルベゼル3の凹部3aの奥(通過光照明対象220)の方へ進み、入射面21から光透過部20に入射する。光透過部20に入射した光L0は、透過型回折格子30により、凹部3aの奥に向かう通過光L2と、インサイドハンドル4(回折光照明対象210)に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。通過光L2は凹部3aの奥を照らすので、インサイドハンドルベゼル3の凹部3aにおいて間接照明が実現される。分光した回折光L1はインサイドハンドル4を照らすので、光源60が放出する光L0では表現されない多様な色彩がインサイドハンドル4に付与される。インサイドハンドル4の表面は光沢面211であるので、分光した回折光L1がインサイドハンドル4の表面で反射し、回折光L1に含まれる多様な色彩がはっきりと分かる。
【0037】
例えば、光源60の発光色が赤と緑と青を混色した白である場合、回折光L1は虹色のように赤から紫まで連続して分光するので、インサイドハンドル4に虹色のような多様な色彩が付与される。同時に、共通の光源60を用いることによりインサイドハンドルベゼル3の凹部3aも照らされる。
以上説明したように、本具体例は、通過光照明対象220における間接照明と回折光照明対象210における多様な色彩の間接照明とを共通の光源60からの光L0により実現することができるので、車両にある照明対象の装飾性を効率的に向上させることができる。
【0038】
(4)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
本技術を適用可能な車両用照明装置は、インサイドハンドル部照明装置に限定されず、図1で示した照明装置1B~1Dでもよいし、図1で示した内装材113,115,116の一部を照らす照明装置、等でもよい。
【0039】
導光体70の出射部74は、突条や溝といった線状構造が形成されてもよいし、ドット状の凸部や凹部が形成されてもよい。出射部74に形成する線状構造やドット構造を調整すると、回折光照明対象210に付与する色彩の模様を変えることができる。
【0040】
透過型回折格子30を有する光透過部20の構造は、図2,3,5で示した構造に限定されず、例えば、図6A~6Cに例示される構造等でもよい。回折格子30に含まれる複数の突条31は、断面三角形状に限定されず、図6Aに示すような断面半円形状等でもよい。また、回折格子30に含まれる各構造は、突条31に限定されず、図6Bに示すような溝32でもよい。回折格子30に含まれる複数の溝32は、図6Bに示すように断面三角形状でもよいし、断面半円形状等でもよい。さらに、回折格子30に含まれる複数の構造の位置は、出射面22に限定されず、図6Cに示すように入射面21でもよい。入射面21に設けられる各構造は、図6Cに示すように突条31でもよいし、溝でもよい。むろん、入射面21に設けられる突条31や溝の形状も、断面三角形状に限定されず、断面半円形状等でもよい。
【0041】
突条31や溝32の向きは、導光体70の本体部70aの長手方向D4に限定されず、長手方向D4からずれた向きでもよい。突条31や溝32の向きを調整することにより、回折光照明対象210に付与する色彩の模様を変えることができる。また、突条31や溝32は、直線状の構造に限定されず、曲線状や折れ線状の構造等でもよい。突条31や溝32における曲線形状や折れ線形状を調整することにより、回折光照明対象210に付与する色彩の模様を変えることができる。
【0042】
透過型回折格子は、導光体とは別部材の加飾部材に配置されることに限定されず、導光体に配置されてもよい。図7は、インサイドハンドル部2を図2のA1-A1の位置で切断したときの垂直端面の別の例を模式的に示している。図8は、光源60から回折光照明対象210に至る光の経路の別の例を模式的に示している。
【0043】
図7,8に示す導光体70は、誘導部70bの端面71、横断面略矩形の本体部70aの端面72、及び、透過型回折格子30を有する側面73を有し、加飾部材10における加飾部40の背後において加飾部材10に取り付けられている。導光体70の側面73は、インサイドハンドルベゼル3の凹部3aの奥(通過光照明対象220)に向いた平坦面である出射部74、及び、この出射部74とは反対側の反射部75を含んでいる。回折格子30は、出射部74に設けられている。反射部75には、出射部74の方へ凹んだ凹部76が複数、間隔を空けて配置されている。各凹部76は、本体部70aの長手方向D4に対して直交する向きの溝であり、回折格子30による回折光L1がインサイドハンドル4(回折光照明対象210)に照射されるように、本体部70aに沿った光L0を出射部74の方へ反射させる。
以上より、導光体70は回折格子30を有する光透過部20の例であり、光源60は光透過部20に透過させる光L0を供給する光供給部50の例である。
【0044】
光源60からの光L0は、端面71から導光体70に入射し、誘導部70bに誘導され、本体部70aの長手方向D4に沿って進み、凹部76で出射部74の方へ反射する。凹部76で反射した光L0は、透過型回折格子30により、凹部3aの奥(通過光照明対象220)に向かう通過光L2と、インサイドハンドル4(回折光照明対象210)に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。通過光L2は凹部3aの奥を照らすので、インサイドハンドルベゼル3の凹部3aにおいて間接照明が実現される。分光した回折光L1はインサイドハンドル4を照らすので、光源60が放出する光L0では表現されない多様な色彩がインサイドハンドル4に付与される。
図7,8に示す車両用照明装置1も、通過光照明対象220における間接照明と回折光照明対象210における多様な色彩の間接照明とを共通の光源60からの光L0により実現することができるので、車両にある照明対象の装飾性を効率的に向上させることができる。
【0045】
図9は、図1で示したスイッチベース照明装置1Bが設けられたスイッチ部5の垂直端面を模式的に例示している。スイッチ部5には、ドアトリム112の一部であるオーナメント6、アームレスト122の上面に配置されたスイッチベース123、光源60と導光体70を有する光供給部50、及び、光透過部20と加飾部40を含む加飾部材10が設けられている。スイッチベース123の上面は、光沢面211を有している。光透過部20は、透過型回折格子30を有している。加飾部40は、車室SP1から見た時に光供給部50を隠している。尚、光供給部50と光透過部20は、図4で示した構成要素を有している。そこで、図4も参照して説明する。
【0046】
光源60から端面71に入射した光L0は、誘導部70bに誘導され、本体部70aの長手方向D4に沿って進み、凹部76で出射部74の方へ反射する。凹部76で反射した光L0は、透過型回折格子30により、オーナメント6の上部(通過光照明対象220)に向かう通過光L2と、スイッチベース123(回折光照明対象210)に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。通過光L2はオーナメント6の上部を照らすので、オーナメント6の上部において間接照明が実現される。分光した回折光L1はスイッチベース123を照らすので、光源60が放出する光L0では表現されない多様な色彩がスイッチベース123に付与される。スイッチベース123の表面は光沢面211であるので、分光した回折光L1がスイッチベース123の表面で反射し、回折光L1に含まれる多様な色彩がはっきりと分かる。
図9に示す車両用照明装置1も、通過光照明対象220における間接照明と回折光照明対象210における多様な色彩の間接照明とを共通の光源60からの光L0により実現することができるので、車両にある照明対象の装飾性を効率的に向上させることができる。
【0047】
図10は、反射型回折格子30を用いた車両用照明装置1が配置されたインサイドハンドル部2を図2のA1-A1に相当する位置で切断したときの垂直端面を模式的に例示している。図11は、光反射部25に設けられた反射型回折格子30により光の成分が分かれる様子を模式的に例示している。尚、光供給部50は、図4で示した構成要素を有している。そこで、図4も参照して説明する。
【0048】
図10に示す加飾部材10は、光反射部25と加飾部40を含んでいる。光反射部25は、反射型回折格子30を含む反射面26を有している。反射型回折格子30を有する光反射部25は、図11に例示するように光供給部50からの光L0を分光していない反射光L2と分光した回折光L1とに分ける。回折格子30は、反射面26において複数の平行な構造を等間隔に有している。前記構造の間隔は、例えば、1~2μm程度とすることができる。図11に示す回折格子30は、平行な構造として複数の直線状の溝32を有している。各溝32は、断面三角形状である。各溝32の向きは、前後方向D1であり、導光体70の本体部70aの長手方向D4である。
【0049】
図11に示すように、導光体70から反射型回折格子30に向かう光L0は、反射型回折格子30により反射し、0次光としてインサイドハンドルベゼル3の凹部3aの奥(反射光照明対象220)に向かう反射光L2と、凹部3aの奥とは異なるインサイドハンドル4(回折光照明対象210)に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。反射光照明対象220は、非分光照明対象の例である。多様な色彩がはっきりと現れるようにするため、回折光L1は、+1次光、又は、-1次光が好ましい。回折光L1の向きは、回折格子30の溝32の間隔や深さを変えることにより調整することができる。従って、回折光L1がインサイドハンドル4に照射されるように回折格子30の溝32の間隔や深さを調整すればよい。
【0050】
上述した光反射部25は、車室SP1から見た時に光供給部50が隠れる加飾部40と一体化されている。すなわち、反射型回折格子30は、加飾部40と一体化されている。光反射部25と加飾部40を含む加飾部材10は、基材層13、反射型回折格子30、及び、加飾部40において車室SP1に面する表面に形成された加飾層12を有している。基材層13には、樹脂材料を射出成形といった公知の方法により成形した成形物等を用いることができる。前記樹脂材料は、図3で示した透明層11を形成するための透明材料でもよいし、透明でない材料でもよい。反射型回折格子30を有する反射面26は、例えば、基材層13において1~2μm程度の間隔で並べられた複数の溝を有する表面に正反射性材料のめっきをすることにより形成することができる。前記正反射性材料には、金属等を用いることができる。
【0051】
図4に示す光源60からの光L0は、端面71から導光体70に入射し、誘導部70bに誘導され、本体部70aの長手方向D4に沿って進み、凹部76で出射部74の方へ反射する。凹部76で反射した光L0は、図10,11に示すように出射部74から出て反射型回折格子30に向かい、反射型回折格子30を有する反射面26で反射する。この時、反射型回折格子30により、凹部3aの奥(通過光照明対象220)に向かう反射光L2と、インサイドハンドル4(回折光照明対象210)に向かう分光した回折光L1と、に分かれる。反射光L2は凹部3aの奥を照らすので、インサイドハンドルベゼル3の凹部3aにおいて間接照明が実現される。分光した回折光L1はインサイドハンドル4を照らすので、光源60が放出する光L0では表現されない多様な色彩がインサイドハンドル4に付与される。インサイドハンドル4の表面は光沢面211であるので、分光した回折光L1がインサイドハンドル4の表面で反射し、回折光L1に含まれる多様な色彩が分かる。
図10に示す車両用照明装置1も、反射光照明対象220における間接照明と回折光照明対象210における多様な色彩の間接照明とを共通の光源60からの光L0により実現することができるので、車両にある照明対象の装飾性を効率的に向上させることができる。
【0052】
尚、反射型回折格子30を有する光反射部25の構造は、図10,11で示した構造に限定されない。反射型回折格子30に含まれる複数の溝32は、断面三角形状に限定されず、断面半円形状等でもよい。また、反射型回折格子30に含まれる各構造は、溝32に限定されず、突条でもよい。
【0053】
図12は、光源60に発光させる色の成分を変化させる制御部80を有する車両用照明装置1を模式的に例示している。図12に示す光源60は、発光させる色の成分を変更することが可能なLEDである。発光色の変更可能な成分には、R(赤)とG(緑)とB(青)が含まれている。制御部80は、光源60の発光色について、R成分の強さ(Intensity)を変化させ、G成分の強さを変化させ、B成分の強さを変化させるように、通電回路65が光源60に供給する電流を制御する。
【0054】
制御部80には、照明系統を制御するECU(Electronic Control Unit;電子制御装置)を利用することができる。ECUは、CPU(Central Processing Unit)80a、半導体メモリー80b,80c、タイマー(Timer)80d、I/O(入出力)回路80e、等を有する。各部80a~80eは、互いに情報を入出力可能に接続されている。車両用照明装置1の制御プログラム80pがROM(Read Only Memory)80bに記録される場合、ROM80bは車両用照明装置の制御プログラム80pを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体となる。CPU80aは、RAM(Random Access Memory)80cをワークエリアとして使用しながらROM80bに記録されているプログラム80pを実行することにより、コンピューターを制御部80として機能させ、車両用照明装置1の動作を制御する。
【0055】
プログラム80pには、時間tの経過に応じた発光色の各成分の強さ(Intensity)を表す情報が含まれている。尚、図12に示すグラフにおいて、横軸は時間tであり、縦軸は発光色の成分の強さであり、比較的細い実線はR成分の変化を示し、比較的太い実線はG成分の変化を示し、破線はB成分の変化を示している。
【0056】
タイミングt1では、発光色がR成分のみであり、R成分を主とする回折光L1により、インサイドハンドル4に対して主に赤色の色彩が付与される。タイミングt1~t2の間、R成分が減ってG成分が増える。タイミングt2になると、発光色がG成分のみとなり、G成分を主とする回折光L1により、インサイドハンドル4に対して主に緑色の色彩が付与される。タイミングt2~t3の間、G成分がさらに増えてB成分が増える。タイミングt3になると、発光色は最大の強さのG成分、及び、G成分よりは少ないB成分を含んでいる。G~B成分を含む回折光L1により、インサイドハンドル4に対して緑色が強いものの緑色から青色の色彩が付与される。タイミングt3~t4の間、B成分がさらに増えG成分が減ってR成分が増える。タイミングt4になると、発光色は最大の強さのB成分、及び、B成分よりは少ないG成分及びR成分を含んでいる。B成分、G成分、及び、R成分を含む回折光L1により、インサイドハンドル4に対して青色が強いものの虹色のような多様な色彩が付与される。タイミングt4~t5の間、R成分がさらに増えG成分がさらに減ってB成分が減る。タイミングt5になると、発光色は最大の強さのR成分、及び、R成分よりは少ないB成分を含んでいる。R成分とB成分を含む回折光L1により、インサイドハンドル4に対して赤色が強いものの青色を含む色彩が付与される。タイミングt5~t6の間、B成分がさらに減ってR成分が減る。タイミングt6になると、タイミングt1と同じ状態となる。
【0057】
制御部80は、タイミングt1~t6における発光色の成分の変化を繰り返すように通電回路65を制御することにより、光源60の発光色を変化させる。光源60から回折格子30に供給される光L0の成分が変化すると、回折光照明対象210に付与される色彩の模様が変化する。従って、図12に示す車両用照明装置1は、照明対象の装飾性をさらに向上させることができる。
むろん、発光色の成分の変化は、図12で示した例に限定されず、ランダムな変化でもよい。
【0058】
尚、光源に発光させる色の成分を変化させる制御部が車両用照明装置に無い場合や、回折光照明対象に光沢面が無い場合や、回折格子を経た分光していない光を非分光照明対象に照射しない場合も、照明対象の装飾性を向上させる基本的な効果が得られる。
【0059】
(5)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、車両にある照明対象の装飾性を向上させることが可能な車両用照明装置等の技術を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…照明装置、
2…インサイドハンドル部、3…インサイドハンドルベゼル、3a…凹部、
4…インサイドハンドル、
5…スイッチ部、6…オーナメント、
10…加飾部材、11…透明層、12…加飾層、13…基材層、
20…光透過部、21…入射面、22…出射面、25…光反射部、26…反射面、
30…回折格子、31…突条、32…溝、
40…加飾部、
50…光供給部、
60…光源、65…通電回路、
70…導光体、70a…本体部、70b…誘導部、
71,72…端面、73…側面、74…出射部、75…反射部、76…凹部、
80…制御部、
100…自動車、111…内装、112…ドアトリム、
121…インサイドハンドル部、122…アームレスト、123…スイッチベース、
124…ドアポケット、125…開口部、
210…照明対象、211…光沢面、220…照明対象、
L0…光、L1…回折光、L2…光、
SP0…室内、SP1…車室、SP2…荷室。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12