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  • 特許-温度検出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】温度検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/024 20210101AFI20221227BHJP
   G01K 7/24 20060101ALI20221227BHJP
   H02K 11/25 20160101ALI20221227BHJP
【FI】
G01K1/024
G01K7/24 A
H02K11/25
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019014569
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020122708
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161148
【弁理士】
【氏名又は名称】福尾 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100163511
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 啓太
(72)【発明者】
【氏名】北条 善久
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-039088(JP,A)
【文献】特開平06-051004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H02K 11/00-11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と離間して設けられた回転部の回転体における測温対象の温度を検出する温度検出装置であって、
前記回転部に設けられたサーミスタおよび受電回路と、
前記固定部に設けられた送電回路および演算部とを備え、
前記サーミスタは、前記測温対象に取り付けられ、前記測温対象の温度に応じて抵抗が変化し、
前記受電回路は、高周波磁界を介して伝送された電力を前記サーミスタに供給し、
前記送電回路は、直流電源と、高周波電源と、送電コイルとを備え、前記直流電源から出力された電圧を前記高周波電源により高周波電圧に変換し、前記高周波電圧を前記送電コイルにより高周波磁界に変換し、前記高周波磁界を介して電力を前記受電回路に非接触
で伝送し、
前記演算部は、前記高周波電源に供給される有効電力を算出し、該算出した有効電力に基づき前記サーミスタの抵抗を算出し、該算出したサーミスタの抵抗により前記測温対象の温度を検出し、
前記回転部には、複数の測温対象それぞれに対応して、前記サーミスタと前記受電回路とが設けられ、
前記固定部には、前記複数の受電回路それぞれに対応して、前記送電回路が設けられ、
前記複数の受電回路はそれぞれ、コイルとコンデンサとからなり、共振周波数が異なる共振回路を備え、
前記受電回路と、該受電回路に対応する送電回路との間で、前記受電回路が備える共振回路の共振周波数に一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が非接触で伝送される、温度検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度検出装置において、
前記送電回路は、
前記直流電源から出力された電圧を検出する電圧検出器と、
前記直流電源から出力された電流を検出する電流検出器とをさらに備え、
前記演算部は、前記電流検出器による検出結果と、前記電圧検出器による検出結果とに基づき前記有効電力を算出する、温度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、回転体における測温対象の温度を検出する技術が開示されている。
【0003】
図3は、回転体における測温対象の温度を検出する従来の温度検出装置100の構成例を示す図である。図3に示す温度検出装置100は、固定部200と離間して設けられた回転部300のロータ301(回転体)の磁石302(測温対象)の温度を検出するものである。
【0004】
図3に示す温度検出装置100は、熱電対303と、A/Dコンバータ304と、CPU(Central Processing Unit)305と、無線送信回路306と、受電回路307と、無線受信回路201と、CPU202と、送電回路203と、電源204と、モニター205とを備える。A/Dコンバータ304、CPU305、無線送信回路306および受電回路307は、回転部300の回転基板308に設けられる。回転基板308は、ロータ301とともに回転する。無線受信回路201、CPU202、送電回路203、電源204およびモニター205は、固定部200に設けられる。
【0005】
熱電対303は、磁石302に取り付けられ、磁石302の温度を測定する。
【0006】
A/Dコンバータ304は、熱電対303による測温値(アナログ値)をデジタル値に変換し、CPU305に出力する。
【0007】
CPU305は、A/Dコンバータ304から出力された測温値を、温度データとして無線送信回路306に無線送信させる。無線送信回路306は、温度データを固定部200に無線送信するための通信IC(Integrated Circuit)である。
【0008】
受電回路307は、固定部200側から無線で(非接触で)伝送された電力を受電し、A/Dコンバータ304、CPU305および無線送信回路306に供給する。
【0009】
無線受信回路201は、無線送信回路306から送信されてきた温度データを受信する。
【0010】
CPU202は、無線受信回路201により受信された温度データをモニター205に出力して表示させる。
【0011】
送電回路203は、ワイヤレス電力伝送により、受電回路306に電力を送電する。
【0012】
電源205は、固定部200の各部に電力を供給する。
【0013】
無線受信回路201、CPU202、送電回路203および電源204は、固定部200と離間した回転部300から温度データを取得するテレメータ206を構成する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】「Manner社テレメータテクニカルシート」,No.TM-002-06,13.08.23
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図3に示す温度検出装置100においては、A/Dコンバータ304、CPU305、および通信ICである無線送信回路306などの部品が回転基板308に搭載される。そのため、これらの部品の寿命あるいは使用温度環境などにより、回転体における測温対象の温度を検出できなくなるおそれがある。
【0016】
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、回転体における測温対象の温度をより確実に検出することができる温度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、本発明に係る温度検出装置は、固定部と離間して設けられた回転部の回転体における測温対象の温度を検出する温度検出装置であって、前記回転部に設けられたサーミスタおよび受電回路と、前記固定部に設けられた送電回路および演算部とを備え、前記サーミスタは、前記測温対象に取り付けられ、前記測温対象の温度に応じて抵抗が変化し、前記受電回路は、高周波磁界を介して伝送された電力を前記サーミスタに供給し、前記送電回路は、直流電源と、高周波電源と、送電コイルとを備え、前記直流電源から出力された電圧を前記高周波電源により高周波電圧に変換し、前記高周波電圧を前記送電コイルにより高周波磁界に変換し、前記高周波磁界を介して電力を前記受電回路に非接触で伝送し、前記演算部は、前記高周波電源に供給される有効電力を算出し、該算出した有効電力に基づき前記サーミスタの抵抗を算出し、該算出したサーミスタの抵抗により前記測温対象の温度を検出し、前記回転部には、複数の測温対象それぞれに対応して、前記サーミスタと前記受電回路とが設けられ、前記固定部には、前記複数の受電回路それぞれに対応して、前記送電回路が設けられ、前記複数の受電回路はそれぞれ、コイルとコンデンサとからなり、共振周波数が異なる共振回路を備え、前記受電回路と、該受電回路に対応する送電回路との間で、前記受電回路が備える共振回路の共振周波数に一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が非接触で伝送される。
【0018】
本発明に係る温度検出装置において、前記送電回路は、前記直流電源から出力された電圧を検出する電圧検出器と、前記直流電源から出力された電流を検出する電流検出器とをさらに備え、前記演算部は、前記電流検出器による検出結果と、前記電圧検出器による検出結果とに基づき前記有効電力を算出する。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る温度検出装置によれば、回転体における測温対象の温度をより確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る温度検出装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る温度検出装置の他の構成例を示す図である。
図3】従来の温度検出装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る温度検出装置10の構成例を示す図である。本実施形態に係る温度検出装置10は、固定部20と離間して設けられた回転部30のロータ31(回転体)の磁石32(測温対象)の温度を検出するものである。なお、本実施形態においては、測温対象が磁石32である例を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。測温対象は、故障の防止などのために温度を検出する必要がある回転体の任意の部位であってよい。
【0024】
図1に示す温度検出装置10は、サーミスタ33と、受電回路34と、直流電源21と、電圧検出器22と、電流検出器23と、高周波電源24と、送電コイルとしてのコイル25と、演算部26とを備える。サーミスタ33および受電回路34は、回転部30に設けられる。直流電源21、電圧検出器22、電流検出器23、高周波電源24、コイル25および演算部26は、固定部20に設けられる。
【0025】
サーミスタ33は、ロータ31の磁石32に取り付けられ、磁石32の温度に応じて抵抗値が変化する。
【0026】
受電回路34は、固定部20側から無線で(非接触で)伝送された電力を受電し、サーミスタ33に供給する。受電回路34は、コイルまたはコイルとコンデンサとで構成され、高周波磁界を介して伝送された電力をサーミスタ33に供給する。具体的には、受電回路34は、後述するコイル25からの高周波磁界の磁気エネルギーを電気エネルギーに変換し、サーミスタ33に交流電圧を印加する。
【0027】
直流電源21は、直流電力を高周波電源24に供給する。
【0028】
電圧検出器22は、直流電源21から出力された電圧を検出し、検出結果を演算部26に出力する。
【0029】
電流検出器23は、直流電源21から出力された電流を検出し、検出結果を演算部26に出力する。
【0030】
高周波電源24は、直流電源21から出力された直流電圧を高周波電圧に変換し、コイル25に出力する。
【0031】
コイル25は、固定部20の固定基板27に設けられ、受電回路34と離間して対向する。コイル25は、高周波電源24から出力された高周波電圧を高周波磁界に変換して出力する。コイル25から出力された高周波磁界は、受電回路34において電気エネルギーに変換されることで、コイル25から受電回路34に電力が伝送される。すなわち、コイル25は、高周波電源24からの高周波電圧を高周波磁界に変換し、その高周波磁界を介して電力を受電回路34に非接触で伝送する。コイル25から受電回路34には、例えば、数W程度の電力が伝送される。
【0032】
直流電源21、電圧検出器22、電流検出器23、高周波電源24およびコイル25は、回転部30(受電回路34)に電力を非接触で伝送するための送電回路28を構成する。すなわち、送電回路28は、直流電源11から出力された電圧を高周波電源24により高周波電圧に変換し、その高周波電圧をコイル25により高周波磁界に変換し、その高周波磁界を介して電力を受電回路34に非接触で伝送する。
【0033】
演算部26は、電圧検出器22による検出結果と、電流検出器23による検出結果とに基づき高周波電源24に供給される有効電力を算出する。そして、演算部26は、算出した有効電力に基づきサーミスタ33の抵抗を算出し、算出したサーミスタ33の抵抗により磁石32の温度を検出する。具体的には、演算部26は、磁石32の温度が基準温度である場合の有効電力からの、算出した有効電力の変化量に基づき、磁石32の温度が基準温度である場合のサーミスタ33の抵抗からの、サーミスタ33の抵抗の変化量を算出することで、サーミスタ33の抵抗を算出する。そして、演算部26は、算出したサーミスタ33の抵抗に対応する温度を磁石32の温度として検出する。
【0034】
このように本実施形態においては、回転体の測温対象にサーミスタ33を取り付け、固定部20からワイヤレス電力伝送により電力をサーミスタ33に供給する。そして、高周波電源24に供給される有効電力からサーミスタ33の抵抗を算出し、算出したサーミスタ33の抵抗から測温対象の温度を検出する。そのため、回転部30にA/Dコンバータ、CPUおよび通信ICなどの部品を設ける必要がないので、これらの部品の寿命あるいは使用温度環境などに関わりなく、回転体における測温対象の温度をより確実に検出することができる。
【0035】
なお、図1においては、電圧検出器22および電流検出器23が、直流電源21と高周波電源24との間に設けられている、すなわち、直流電源21からの直流電圧および直流電流が検出される例を用いて説明したが、これに限られるものではない。電圧検出器22は、高周波電源24からコイル25に出力される交流電圧vを検出してもよい。また、電流検出器23は、高周波電源24からコイル25に出力される交流電流iを検出してもよい。この場合、演算部26は、電圧検出器22により検出された交流電圧vと、電流検出器23により検出された交流電流iと、力率θとの積(v×i×cosθ)により有効電力を算出する。
【0036】
また、図1においては、測温対象が1つである例を用いて説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、測温対象が複数であってもよい。測温対象が複数である場合の温度検出装置10の構成例を図2に示す。なお、図2においては、測温対象である磁石32が3つ(磁石32a,32b,32c)である場合を示している。
【0037】
図2に示すように、回転部30においては、磁石32a,32b,32cそれぞれに対応して、サーミスタ33および受電回路34が設けられる。すなわち、磁石32aに対応して、サーミスタ33aおよび受電回路34aが設けられる。また、磁石32bに対応して、サーミスタ33bおよび受電回路34bが設けられる。また、磁石32cに対応して、サーミスタ33cおよび受電回路34cが設けられる。
【0038】
受電回路34a,34b,34cはそれぞれ、コイルとコンデンサとからなり、共振周波数が異なる共振回路を備える。以下では、受電回路34aが備える共振回路の共振周波数をfaとする。また、受電回路34bが備える共振回路の共振周波数をfbとする。また、受電回路34cが備える共振回路の共振周波数をfcとする。
【0039】
固定部20においては、複数の受電回路34それぞれに対応して、送電回路28および演算部26が設けられる。すなわち、受電回路34aに対応して、送電回路28aおよび演算部26aが設けられる。また、受電回路34bに対応して、送電回路28bおよび演算部26bが設けられる。また、受電回路34cに対応して、送電回路28cおよび演算部26cが設けられる。
【0040】
受電回路34と、その受電回路34に対応する送電回路28との間では、磁界共鳴型ワイヤレス電力伝送により電力が伝送される。具体的には、受電回路34と、対応する送電回路28との間では、受電回路34が備える共振回路の共振周波数に一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が非接触で伝送される。すなわち、受電回路34aと送電回路28aとの間では、共振周波数faに一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が伝送される。また、受電回路34bと送電回路28bとの間では、共振周波数fbに一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が伝送される。また、受電回路34cと送電回路28cとの間では、共振周波数fcに一致する周波数の高周波磁界を介して、電力が伝送される。
【0041】
演算部26は、対応する送電回路28が備える電圧検出器22および電流検出器23の検出結果から有効電力を算出し、対応する測温対象の温度を検出する。すなわち、演算部26aは、磁石32aの温度を検出する。また、演算部26bは、磁石32bの温度を検出する。また、演算部26cは、磁石32cの温度を検出する。
【0042】
このように、複数の測温対象それぞれに対応して、受電回路34と送電回路28とを設け、対応する受電回路34と送電回路28との間でそれぞれ異なる周波数の高周波磁界を介して電力を伝送することで、複数の測温対象それぞれの温度を検出することができる。
【0043】
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨および範囲内で、多くの変更および置換が可能であることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 温度検出装置
20 固定部
21 直流電源
22 電圧検出器
23 電流検出器
24 高周波電源
25 コイル(送電コイル)
26,26a,26b,26c 演算部
27 固定基板
28,28a,28b,28c 送電回路
30 回転部
31 ロータ(回転体)
32,32a,32b,32c 磁石(測温対象)
33,33a,33b,33c サーミスタ
34,34a,34b,34c 受電回路
35 回転基板
図1
図2
図3