(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】パワーコントロールユニット
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20221227BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221227BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20221227BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20221227BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20221227BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221227BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221227BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20221227BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221227BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02J7/00 P
H02J7/10 H
H02J7/02 C
B60L9/18 J
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L3/00 J
(21)【出願番号】P 2019048033
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】坂庭 雄一
(72)【発明者】
【氏名】永野 雅春
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-163510(JP,A)
【文献】特開2016-134969(JP,A)
【文献】特開2010-239850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 7/00
H02J 7/10
H02J 7/02
B60L 9/18
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/66
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バッテリ(HB)の充放電電流が流れる高電圧ライン(28)と、
前記高電圧バッテリ(HB)から前記高電圧ライン(28)に供給された高電圧の直流電力を、交流に変換して推進用モータ(M)に出力するインバータ回路(31)と、
前記高電圧ライン(28)の通過電流値を測定する電流センサ(22B)と、
前記推進用モータ(M)に対するトルク指令値と前記電流センサ(22B)が測定した前記通過電流値とに基づいて、前記インバータ回路(31)による前記推進用モータ(M)に対する交流電力の出力動作を制御するインバータコントローラ(33)と、
前記インバータコントローラ(33)から転送される前記通過電流値に基づいて、前記高電圧ライン(28)に接続した充電器(QC)による前記高電圧バッテリ(HB)の充電の停止後の、前記高電圧バッテリ(HB)の充電用電力の前記充電器(QC)から前記高電圧ライン(28)への供給状態を検出する検出部(27)と、
前記高電圧バッテリ(HB)の充電停止後に、前記高電圧ライン(28)に対する前記充電用電力の供給停止を前記検出部(27)が検出すると、前記充電用電力の供給停止の確認信号を前記充電器(QC)に出力する確認部(27)と、
を備えるパワーコントロールユニット(1)。
【請求項2】
前記インバータ回路(31)のDC入力間電圧に対応する物理量を前記高電圧ライン(28)上で取得する物理量取得部(22A)をさらに備え、前記インバータコントローラ(33)は、取得した前記物理量から前記DC入力間電圧を検出し、前記検出部(27)は、前記インバータコントローラ(33)から転送される前記高電圧バッテリ(HB)の充電中の前記DC入力間電圧に基づいて、前記充電用電力の前記充電器(QC)から通知された通知上の電圧値と前記高電圧ライン(28)上の実電圧値との一致又は不一致を検出する請求項1記載のパワーコントロールユニット(1)。
【請求項3】
高電圧バッテリ(HB)の充放電電流が流れる高電圧ライン(28)と、
前記高電圧バッテリ(HB)から前記高電圧ライン(28)に供給された高電圧の直流電力を、交流に変換して推進用モータ(M)に出力するインバータ回路(31)と、
前記高電圧ライン(28)の通過電流値を測定する電流センサ(22B)と、
前記推進用モータ(M)に対するトルク指令値と前記電流センサ(22B)が測定した前記通過電流値とに基づいて、前記インバータ回路(31)による前記推進用モータ(M)に対する交流電力の出力動作を制御するインバータコントローラ(33)と、
前記インバータコントローラ(33)から転送される前記通過電流値に基づいて、前記高電圧ライン(28)に接続した充電器(QC)による前記高電圧バッテリ(HB)の充電の停止後の、前記高電圧バッテリ(HB)の充電用電力の前記充電器(QC)から前記高電圧ライン(28)への供給状態を検出する検出部(27)と、
前記インバータ回路(31)のDC入力間電圧に対応する物理量を前記高電圧ライン(28)上で取得する物理量取得部(22A)
とを備え、
前記インバータコントローラ(33)は、取得した前記物理量から前記DC入力間電圧を検出し、前記検出部(27)は、前記インバータコントローラ(33)から転送される前記高電圧バッテリ(HB)の充電中の前記DC入力間電圧に基づいて、前記充電用電力の前記充電器(QC)から通知された通知上の電圧値と前記高電圧ライン(28)上の実電圧値との一致又は不一致を検出する
、
パワーコントロールユニット(1)。
【請求項4】
前記通知上の電圧値と前記実電圧値との不一致を前記検出部(27)が検出すると、前記通知上の電圧値の異常の報知信号を前記充電器(QC)に出力する報知部(27)をさらに備える請求項
2又は3記載のパワーコントロールユニット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを推進源に用いる車両のパワーコントロールユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
モータを推進源に用いる電動車両では、高電圧バッテリの直流電力をインバータで交流に変換して推進用モータに供給している。充電容量が減った高電圧バッテリは、状況に応じて充電しておく必要がある。
【0003】
電動車両の高電圧バッテリを充電する方式の一つとして、急速充電方式が知られている。高電圧バッテリの急速充電は、商用電源(例えば、交流200V)を用いる普通充電よりも高い電圧(例えば、直流500V)で行われる。したがって、急速充電は普通充電よりも短い時間で高電圧バッテリを充電することができる。
【0004】
高電圧バッテリを急速充電する際には、電動車両のコントローラが急速充電器との間で通信を行いながら、急速充電器が供給する電力の電流値(充電電流値)、急速充電ポートと高電圧バッテリとをつなぐ電力経路上のQCリレーのオンオフ等を決定する。
【0005】
また、高電圧バッテリを急速充電する際には、これと並行して、電動車両の補機(車載の計器、ランプ等の電装品類)の電源となる低電圧バッテリの充電を行うことができる。低電圧バッテリの充電を並行して行う際には、急速充電器から供給される高電圧の直流電力の一部が、電動車両のDCDCコンバータによって、低電圧バッテリに対応する低電圧の直流電力に降圧される。
【0006】
このため、急速充電器からの高電圧の直流電力には、DCDCコンバータの半導体スイッチング素子のスイッチングにより発生したスイッチングノイズが重畳される。そこで、高電圧バッテリの急速充電中には、急速充電器からの高電圧の直流電力に重畳されたスイッチングノイズを平滑コンデンサで平滑化して、高電圧バッテリの充電に用いている。また、急速充電の終了後には、平滑コンデンサに蓄積された電荷が放電回路を使って放電される。
【0007】
以上に説明したインバータ、コントローラ、DCDCコンバータは、パワーコントロールユニットという1つのユニットとして電動車両に搭載されることがある。このパワーコントロールユニットには、平滑コンデンサの放電回路、普通充電用のプラグイン用充電器等がさらに設けられることもある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した急速充電方式では、急速充電の終了に伴って急速充電器からの電力供給が停止されたことを確認するために、電動車両の急速充電ポートと高電圧バッテリとをつなぐ電力経路の電流を、充電終了後にも電動車両で監視することが求められている。
【0010】
インバータ、コントローラ、DCDCコンバータ等を1つのユニットとしたパワーコントロールユニットでは、急速充電ポートと高電圧バッテリとをつなぐ電力経路がユニット内に存在する。このため、パワーコントロールユニットを採用した電動車両では、電力経路の電流値をユニットの中で監視することが求められる。
【0011】
しかも、電流値を監視する対象の電力経路は、電流値を測定するのが急速充電の終了後であるとはいえ、高電圧の直流電力が伝送される強電系の部品である。一方、電流値の監視を行うのは、電動車両の補機の一つである弱電系のコントローラである。その上、電力経路とコントローラとは、共にパワーコントロールユニットの中に存在する。
【0012】
したがって、電力経路の電流値を測定するセンサをコントローラに接続してユニット内に新たに設ける場合は、少なくとも、コントローラと同じく弱電系となるセンサと強電系の電力経路との間に十分な絶縁距離を確保する必要がある。そのためには、センサを実装する基板を大きくせざるを得ず、パワーコントロールユニットの大型化が避けられなくなる。これでは、車載部品に広く求められている軽量化、小型化の要求に応えるのが難しくなる可能性がある。
【0013】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、ユニットの大型化を回避しつつユニット内の電力経路の電流をユニットの中で測定できる構成を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によるパワーコントロールユニットは、
高電圧バッテリの充放電電流が流れる高電圧ラインと、
前記高電圧バッテリから前記高電圧ラインに供給された高電圧の直流電力を、交流に変換して推進用モータに出力するインバータ回路と、
前記高電圧ラインの通過電流値を測定する電流センサと、
前記推進用モータに対するトルク指令値と前記電流センサが測定した前記通過電流値とに基づいて、前記インバータ回路による前記推進用モータに対する交流電力の出力動作を制御するインバータコントローラと、
前記インバータコントローラから転送される前記通過電流値に基づいて、前記高電圧ラインに接続した充電器による前記高電圧バッテリの充電の停止後の、前記高電圧バッテリの充電用電力の前記充電器から前記高電圧ラインへの供給状態を検出する検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユニットの大型化を回避しつつユニット内の電力経路の電流をユニットの中で測定できる構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電動車両のパワーコントロールユニットを示すブロック図である。
【
図2】
図1のコントローラがプログラムにしたがって実行する急速充電器による高電圧バッテリの急速充電に関する制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電動車両のパワーコントロールユニットを示すブロック図である。
図1に示す本実施形態のパワーコントロールユニット1は、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等の電動車両に搭載される。
【0018】
本実施形態のパワーコントロールユニット1は、電動車両に搭載された高電圧バッテリHBの充放電に関する要素と、同じく電動車両に搭載された低電圧バッテリLBの充電に関する要素とを集約したものである。
【0019】
そして、パワーコントロールユニット1は、外部機器等の接続ポートとして、高電圧バッテリポートHBP、低電圧バッテリポートLBP、信号ポートSP、電源ポートPP、急速充電ポートQP及び商用電源ポートCPを有している。
【0020】
高電圧バッテリポートHBPには、メインリレー(M/R)3を介して高電圧バッテリHBが接続される。したがって、高電圧バッテリポートHBPと高電圧バッテリHBとは、メインリレー3のオンオフによって接続、遮断される。メインリレー3がオンされると、高電圧バッテリHBは高電圧バッテリポートHBPに、高電圧の電力(例えば、直流400V)を供給する。高電圧バッテリHBが供給する高電圧の電力は、電動車両の推進用モータMの駆動に用いられる。
【0021】
なお、高電圧バッテリHBは、端子電圧を測定する不図示のセンサを有している。センサが測定した高電圧バッテリHBの端子電圧は、後述する電動車両の車両統合コントローラ(VCM)5に入力される。
【0022】
低電圧バッテリポートLBPには、低電圧バッテリLBが接続される。低電圧バッテリLBは、電動車両の補機(車載の計器、ランプ等の電装品類)ACCに、動作用の低電圧の電力(例えば、直流12V)を供給する。
【0023】
電動車両の補機ACCは、上述した車両統合コントローラ5と、後述するパワーコントロールユニット1のコントローラ27とを含んでいる。このため、車両統合コントローラ5及びコントローラ27は、低電圧バッテリLBから供給される低電圧の直流電力で動作する。
【0024】
車両統合コントローラ5は、例えば、電動車両に複数搭載されたECU(Electronic Control Unit 又はEngine Control Unit )のうちの1つで構成することができる。このため、車両統合コントローラ5は、例えば、ECU同士の通信に用いる電動車両のLANを利用して、高電圧バッテリHBのセンサが接続された他のECUから、センサが測定した高電圧バッテリHBの端子電圧を取得することができる。
【0025】
そして、車両統合コントローラ5は、取得した高電圧バッテリHBの端子電圧により、高電圧バッテリHBの充電状態(例えば、SOC:State of Charge )を検出する。さらに、車両統合コントローラ5は、検出した高電圧バッテリHBの充電状態に応じて、急速充電時のメインリレー3のオンオフを制御することができる。
【0026】
また、車両統合コントローラ5は、不図示のセンサが検出した電動車両のアクセル操作量を取得する。車両統合コントローラ5は、例えば、アクセル操作量を検出する不図示のセンサが接続された他のECUから、電動車両のLANを介してアクセル操作量を取得することができる。そして、車両統合コントローラ5は、取得したアクセル操作量に応じて、推進用モータMに対するトルク指令値を決定することができる。
【0027】
信号ポートSPには、車両統合コントローラ5が接続されている。車両統合コントローラ5は、決定したトルク指令値を信号ポートSPに出力する。
【0028】
電源ポートPPには、車両統合コントローラ5の外部電源出力ポート(図示せず)接続されている。車両統合コントローラ5は、低電圧バッテリLBから供給された低電圧の電力(例えば、直流12V)から生成した電源電圧VCCを、電源ポートPPに出力する。
【0029】
急速充電ポートQPには、急速充電器QC(請求項中の充電器に相当)の充電ケーブル7のコネクタ9が接続される。充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、充電ケーブル7を介して急速充電器QCから急速充電ポートQPに、高電圧バッテリHBの急速充電用の直流電力(例えば、最大直流600V)が供給される。
【0030】
また、充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、急速充電器QCの通信線がパワーコントロールユニット1内のLANに接続される。このLANには、上述したように、コントローラ27が接続されている。したがって、充電ケーブル7を急速充電ポートQPに接続すると、急速充電器QCとコントローラ27とが通信可能に接続される。
【0031】
商用電源ポートCPには、普通充電用の充電ケーブル11のコネクタ13が接続される。充電ケーブル11は、コネクタ13の反対側にプラグ15を有している。充電ケーブル11のプラグ15は、商用電源の普通充電用コンセント(図示せず)に接続される。商用電源に接続された充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、商用電源の交流電力(例えば、単相交流200V)が、充電ケーブル11を介して商用電源ポートCPに供給される。
【0032】
また、充電ケーブル11は、コントロールボックス17を有している。コントロールボックス17には、充電ケーブル11の通信線が接続されている。充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、充電ケーブル11の通信線がパワーコントロールユニット1内のLANに接続される。したがって、充電ケーブル11を商用電源ポートCPに接続すると、コントローラ27がコントロールボックス17と通信可能に接続される。
【0033】
上述した外部機器等が接続されたパワーコントロールユニット1は、ジャンクションボックス(J/B)19、プラグイン用充電器CHG、DCDCコンバータ21及び強電監視部22を内部に有している。また、パワーコントロールユニット1は、インバータユニット23、放電回路25及び上述したコントローラ27を内部に有している。
【0034】
ジャンクションボックス19は、不図示のQCリレーを有している。QCリレーは、急速充電ポートQPと高電圧バッテリポートHBPとの接続をオンオフする。QCリレーのオンオフにより、急速充電ポートQPから入力される急速充電用の直流電力の、高電圧バッテリポートHBPから高電圧バッテリHBへの出力が、許容、禁止される。
【0035】
プラグイン用充電器CHGは、コントローラ27から供給される電源電圧VCCによって動作する。プラグイン用充電器CHGは、商用電源ポートCPから入力される商用電源の交流電力を、高電圧バッテリHBの普通充電用の直流電力(例えば、最大直流400V)に変換する。そして、変換した直流電力を、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28(請求項中の高電圧ラインに相当)を経て、高電圧バッテリポートHBPから高電圧バッテリHBに出力する。
【0036】
プラグイン用充電器CHGには、例えば、商用電源の交流電力を直流に変換する整流回路(図示せず)と、整流した直流電力を昇圧するDCDCコンバータ(図示せず)とを用いることができる。整流回路は、例えば、ダイオードブリッジ回路で構成することができる。また、DCDCコンバータは、例えば、絶縁トランスとパワー半導体スイッチング素子とを有する絶縁型DCDCコンバータで構成することができる。
【0037】
なお、プラグイン用充電器CHGのパワー半導体スイッチング素子には、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor 、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を用いることができる。また、プラグイン用充電器CHGには、整流回路の前段(商用電源ポートCP側)にDCリンク用コンデンサ(図示せず)を設けることができる。
【0038】
DCDCコンバータ21は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28上の高電圧の直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力(例えば、直流12V)に変換する。
【0039】
即ち、DCDCコンバータ21は、高電圧バッテリポートHBPから入力される高電圧バッテリHBの直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換し、低電圧バッテリポートLBPから低電圧バッテリLBに出力する。また、DCDCコンバータ21は、プラグイン用充電器CHGが出力する高電圧バッテリHBの普通充電用の直流電力の一部を、低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換し、低電圧バッテリポートLBPから低電圧バッテリLBに出力する。
【0040】
DCDCコンバータ21には、例えば、非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータを用いることができる。非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータは、絶縁トランスの一次側にLLC回路を有しており、二次側に整流回路を有している。
【0041】
この非対称ハーフブリッジ型のLLCコンバータでは、一次側のLLC回路におけるパワー半導体スイッチング素子のオンオフ動作により、高電圧バッテリHB又はプラグイン用充電器CHGからの直流電力の一部が交流に変換される。そして、トランスにおいて一次側コイルと二次側コイルとの巻数比に応じて降圧された交流電力が、整流回路で低電圧バッテリLBの充電用の直流電力に変換される。
【0042】
なお、DCDCコンバータ21のパワー半導体スイッチング素子にも、プラグイン用充電器CHGと同じく、例えば、IGBTを用いることができる。
【0043】
強電監視部22は、インバータユニット23の接続箇所よりも高電圧バッテリポートHBP側の電力経路28に設けられている。強電監視部22は、電圧監視部22A(請求項中の物理量取得部に相当)と電流センサ22Bとを有している。
【0044】
電圧監視部22Aは、例えば、電力経路28の正極(P極)ライン28Pに接続した分圧抵抗の直列回路(図示せず)によって構成することができる。分圧抵抗の直列回路上の測定点(抵抗同士の接続点)の電位は、本実施形態では、後述するインバータユニット23のモータコントローラ33において検出する。
【0045】
電流センサ22Bは、例えば、電力経路28が内側を貫通するコアのギャップにホール素子を配置したホール素子方式の電流センサ(図示せず)によって構成することができる。電流センサ22B(のホール素子)は、電力経路28の通過電流に応じた信号レベルの検出信号を出力する。本実施形態では、電流センサ22Bを、インバータユニット23のモータコントローラ33のアナログ入力ポート(図示せず)に接続している。
【0046】
インバータユニット23は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28に接続されている。インバータユニット23は、車両統合コントローラ5から電源ポートPPを介して供給される電源電圧VCCによって動作する。
【0047】
インバータユニット23は、平滑コンデンサ29、パワーモジュール(PM)31(請求項中のインバータ回路に相当)、モータコントローラ(MC)33(請求項中のインバータコントローラに相当)及びドライブ回路(DR)35を有している。
【0048】
平滑コンデンサ29は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28を流れる高電圧の直流電力の電流を平滑化する。
【0049】
即ち、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28を流れる高電圧の直流電力には、スイッチングノイズが重畳される。このスイッチングノイズは、プラグイン用充電器CHG又はDCDCコンバータ21のパワー半導体スイッチング素子がオンオフ動作することで発生する。平滑コンデンサ29は、パワー半導体スイッチング素子のスイッチングノイズが重畳された高電圧の直流電力の電流を平滑化する。そして、平滑コンデンサ29は、平滑化した高電圧の直流電力を、DCDCコンバータ21に供給される一部を除いて、UVWの各相に分けてパワーモジュール31に出力する。
【0050】
パワーモジュール31は、UVW各相の上アーム及び下アームにパワー半導体スイッチング素子(図示せず)をそれぞれ有する三相交流のインバータ回路である。パワーモジュール31では、各パワー半導体スイッチング素子のオンオフ動作により、平滑コンデンサ29で平滑化された高電圧バッテリHBの直流電力が三相交流電力に変換される。パワー半導体スイッチング素子には、例えば、IGBTを用いることができる。変換された三相交流電力は、推進用モータMのUVWの各相のコイルにそれぞれ供給される。
【0051】
推進用モータMは、インバータユニット23のパワーモジュール31からUVWの各相のコイルに供給される交流電力によって回転する。推進用モータMが回転することで、電動車両が走行する。
【0052】
パワーモジュール31の基板(図示せず)の接点には、電圧監視部22Aの測定点から引き回した配線が接続されている。この配線を接続した接点は、パワーモジュール31の基板の不図示の導電パターンを介して、モータコントローラ33のアナログ入力ポート(図示せず)に、電気的に接続される。
【0053】
モータコントローラ33は、パワーコントロールユニット1内のLANを介して、信号ポートSP及びコントローラ27に接続されている。モータコントローラ33には、信号ポートSPに接続された車両統合コントローラ5からのトルク指令値が入力される。
【0054】
また、モータコントローラ33の2つのアナログ入力ポートには、パワーモジュール31を介して電圧監視部22Aの測定点と、電流センサ22Bとが接続される。モータコントローラ33は、電圧監視部22Aの測定点の電位及び電流センサ22Bの検出信号をデジタル値に変換し、電力経路28の電圧及び通過電流を検出する。
【0055】
モータコントローラ33は、検出した電力経路28の電圧(インバータのDC入力間電圧)に基づいて、車両統合コントローラ5から入力されたトルク指令値に応じたトルクを推進用モータMに発生させるためのパルス信号のデューティー比を決定する。そして、決定したデューティー比のパルス信号をドライブ回路35に出力する。
【0056】
但し、モータコントローラ33が検出した電力経路28の通過電流がパワーモジュール31等の耐圧に対して過電流状態である場合は、パルス信号のデューティー比をトルク指令値に応じたデューティー比よりも下げる。パルス信号のデューティー比の下げ幅は、例えば、電力経路28の通過電流の過電流状態が解消する程度とすることができる。
【0057】
なお、モータコントローラ33は、検出した電力経路28の電圧及び通過電流を、パワーコントロールユニット1内のLANを介してコントローラ27に転送する。
【0058】
ドライブ回路35は、モータコントローラ33から入力されたパルス信号に基づいて制御信号(例えば、IGBTのゲート駆動信号)を生成する。そして、生成した制御信号を、パワーモジュール31の各パワー半導体スイッチング素子の制御端子(例えば、IGBTのゲート)に出力する。この制御信号によりドライブ回路35は、パワーモジュール31の各パワー半導体スイッチング素子をオンオフ動作させる。
【0059】
ドライブ回路35から制御端子に入力される制御信号により、パワーモジュール31の各パワー半導体スイッチング素子は、車両統合コントローラ5からのトルク指令値に応じたトルクを推進用モータMに出力させるパターンでオンオフ動作する。
【0060】
なお、インバータユニット23は、直流電力を三相以上の多相交流電力に変換するものであってもよい(その場合のインバータの構成の説明は省略する)。
【0061】
放電回路25は、平滑コンデンサ29の残留電荷を放電させる回路で、例えば、放電抵抗41と不図示の放電スイッチとの直列回路を含む構成とすることができる。この直列回路は、ジャンクションボックス19と高電圧バッテリポートHBPとを結ぶ電力経路28上の、インバータユニット23とジャンクションボックス19との間に設けられる。
【0062】
放電抵抗41と放電スイッチとの直列回路は、電力経路28の正極(P極)ライン28Pと負極(N極)ライン28Nとの間に跨がって接続されている。不図示の放電スイッチは、通常はオフ(開放)されている。平滑コンデンサ29の残留電荷を放電回路25で放電させるときには、不図示の放電スイッチが、コントローラ27の制御によってオン(閉成)される。
【0063】
コントローラ27は、低電圧バッテリLBから低電圧バッテリポートLBPを経て供給される低電圧の直流電力で動作する。コントローラ27は、信号ポートSP及びインバータユニット23のモータコントローラ33の他、DCDCコンバータ21及びプラグイン用充電器CHGにも、パワーコントロールユニット1内のLANを介して接続されている。
【0064】
コントローラ27は、急速充電ポートQPに急速充電器QCの充電ケーブル7が接続されて急速充電器QCとの通信が確立すると、ジャンクションボックス19のQCリレーをオンさせる。これにより、急速充電ポートQPと高電圧バッテリポートHBPとが電力経路28を介して接続されて、高電圧バッテリHBの急速充電が可能な状態となる。
【0065】
また、コントローラ27は、商用電源に接続された普通充電用の充電ケーブル11が商用電源ポートCPに接続されて、充電ケーブル11のコントロールボックス17から接続確認の信号を受信すると、ジャンクションボックス19のQCリレーをオフさせる。これにより、急速充電ポートQPが電力経路28から切り離されると共に、プラグイン用充電器CHGと高電圧バッテリポートHBPとが電力経路28を介して接続されて、高電圧バッテリHBの普通充電が可能な状態となる。
【0066】
なお、高電圧バッテリHBの急速充電及び普通充電のどちらが可能な状態においても、高電圧バッテリHBの充電と並行して、DCDCコンバータ21により変換された低電圧の直流電力による低電圧バッテリLBの充電が可能となる。
【0067】
また、インバータユニット23により三相交流電力に変換された高電圧バッテリHBの高電圧の直流電力で推進用モータMが動作される電動車両の走行時には、コントローラ27は、ジャンクションボックス19のQCリレーをオフさせる。そして、コントローラ27は、インバータユニット23の駆動等を開始させる。
【0068】
さらに、コントローラ27は、高電圧バッテリHBの端子電圧に応じて、普通充電時の充電電流の目標値を決定し、プラグイン用充電器CHGに通知することができる。高電圧バッテリHBの端子電圧は、例えば、高電圧バッテリHBに設けた電圧センサの測定値を、車両統合コントローラ5から取得することができる。あるいは、高電圧バッテリHBの急速充電及び推進用モータMの回転が行われていないときにモータコントローラ33が電圧監視部22Aの出力から検出した電力経路28の電圧を、高電圧バッテリHBの端子電圧として取得してもよい。
【0069】
また、コントローラ27は、取得した高電圧バッテリHBの端子電圧により、インバータユニット23の平滑コンデンサ29の端子間電圧(インバータのDC入力間電圧)を監視する。そして、監視したDC入力間電圧の高さに応じて、プラグイン用充電器CHGの動作を制御する。さらに、コントローラ27は、放電回路25の不図示の放電スイッチのオンオフによる平滑コンデンサ29の蓄積電荷の放電動作を制御する。
【0070】
さらに、コントローラ27は、急速充電用又は普通充電用の充電ケーブル7,11の急速充電ポートQP又は商用電源ポートCPに対する接続を検出すると、その旨を、信号ポートSPに接続された車両統合コントローラ5に通知することができる。
【0071】
なお、パワーコントロールユニット1内のLANは、例えば、CAN(Controller Area Network )等の通信プロトコルを用いる車載ネットワークによって構成することができる。
【0072】
以上のように構成された本実施形態のパワーコントロールユニット1では、車両統合コントローラ5によりメインリレー3がオンされると、高電圧バッテリHBの高電圧の直流電力がメインリレー3を介して高電圧バッテリポートHBPに入力される。高電圧バッテリポートHBPに入力された高電圧の直流電力の一部はDCDCコンバータ21に供給され、残りは全てインバータユニット23に供給される。
【0073】
DCDCコンバータ21に供給された高電圧の直流電力は、低電圧の直流電力に変換され、低電圧バッテリLBの充電用電力として低電圧バッテリポートLBPに出力される。インバータユニット23に供給された高電圧の直流電力は、インバータユニット23により三相交流電力に変換され、推進用モータMのUVWの各相のコイルにそれぞれ供給される。三相交流電力が供給された推進用モータMは、車両統合コントローラ5がアクセルの操作量に応じて決定したトルク指令値に応じた速度で回転される。
【0074】
また、パワーコントロールユニット1では、電動車両の駐車中に、急速充電用の充電ケーブル7の急速充電ポートQPに対する接続をコントローラ27が検出すると、ジャンクションボックス19のQCリレーがコントローラ27によってオンされる。また、コントローラ27から通知された車両統合コントローラ5によりメインリレー3がオンされる。
【0075】
QCリレーがONされると、急速充電器QCからの高電圧の直流電力が急速充電ポートQPに入力される。急速充電ポートQPに入力された高電圧の直流電力の一部はDCDCコンバータ21に供給され、残りは全て高電圧バッテリポートHBPに供給される。
【0076】
DCDCコンバータ21に供給された高電圧の直流電力は、低電圧の直流電力に変換され、低電圧バッテリLBの充電用電力として低電圧バッテリポートLBPに出力される。高電圧バッテリポートHBPに供給された高電圧の直流電力は、高電圧バッテリHBの急速充電用の電力として、メインリレー3を介して高電圧バッテリHBに出力される。
【0077】
さらに、パワーコントロールユニット1では、電動車両の駐車中に、商用電源に接続された普通充電用の充電ケーブル11の商用電源ポートCPに対する接続をコントローラ27が検出すると、商用電源の交流電力が商用電源ポートCPに入力される。商用電源ポートCPに入力された商用電源の交流電力は、プラグイン用充電器CHGで高電圧の直流電力に変換される。変換された高電圧の直流電力は高電圧バッテリポートHBPに供給される。高電圧バッテリポートHBPに供給された高電圧の直流電力は、高電圧バッテリHBの普通充電用の電力として、メインリレー3を介して高電圧バッテリHBに出力される。
【0078】
ところで、急速充電器QCによる高電圧バッテリHBの急速充電や、プラグイン用充電器CHGによる高電圧バッテリHBの普通充電は、電動車両が駐車中のときに行われる。そして、電動車両の駐車中にコントローラ27がモータコントローラ33から取得する電力経路28の電圧及び通過電流は、高電圧バッテリHBの端子電圧及び充放電電流と見倣すことができる。即ち、電動車両の駐車中は推進用モータMが停止していて、推進用モータMが高電圧バッテリHBの電力を消費することはない。また、駐車中の電動車両は動かないことから、推進用モータMの回生電流が電力経路28を流れることもない。
【0079】
そこで、コントローラ27は、電動車両の駐車中にモータコントローラ33から転送される電力経路28の電圧及び通過電流を、高電圧バッテリHBの端子電圧及び充放電電流として取得する。そして、コントローラ27は、取得した高電圧バッテリHBの端子電圧及び充放電電流を、急速充電や普通充電の充電条件の決定、充電中における高電圧バッテリHBの状態の把握等に利用することができる。
【0080】
次に、コントローラ27が、高電圧バッテリHBの端子電圧及び充放電電流として取得する、電動車両の駐車中にモータコントローラ33から転送される電力経路28の電圧及び通過電流を用いて、急速充電器QCによる急速充電動作を制御する場合を説明する。
【0081】
図2は、コントローラ27がプログラムにしたがって実行する、急速充電器QCによる高電圧バッテリHBの急速充電に関する制御の手順の一例を示すフローチャートである。コントローラ27は、
図2のフローチャートに示す手順を、周期的に繰り返し実行する。
【0082】
まず、コントローラ27は、電動車両の駐車中に、急速充電用の充電ケーブル7が急速充電ポートQPに接続されたか否かを確認する(ステップS1)。電動車両が駐車中であることは、例えば、電動車両のイグニッションスイッチのオフ、シフトポジション、パーキングブレーキの状態等で特定することができる。
【0083】
充電ケーブル7が急速充電ポートQPに接続されていない場合は(ステップS1でNO)、一連の処理を終了する。また、充電ケーブル7が急速充電ポートQPに接続された場合は(ステップS1でYES)、コントローラ27は、モータコントローラ33から転送される電力経路28の電圧を高電圧バッテリHBの端子電圧として取得する(ステップS3)。そして、コントローラ27は、取得した端子電圧に基づいて、高電圧バッテリHBの急速充電の充電条件を決定し急速充電器QCに通知する(ステップS5)。
【0084】
次に、コントローラ27は、急速充電器QCからの急速充電用電力の供給開始の通知を待ち受ける(ステップS7)。そして、供給開始の通知を受け取ったら(ステップS7でYES)、コントローラ27は、ジャンクションボックス19のQCリレーをオンさせる(ステップS9)。これにより、急速充電器QCからの急速充電用電力が急速充電ポートQPから電力経路28に入力され、高電圧バッテリポートHBPから高電圧バッテリHBに供給されて、高電圧バッテリHBの急速充電が開始される。
【0085】
続いて、コントローラ27は、モータコントローラ33から高電圧バッテリHBの端子電圧を取得する(ステップS10)。そして、急速充電器QCからの急速充電用電力の供給開始の通知中にある充電電圧(通知中の電圧値)が、モータコントローラ33から取得した高電圧バッテリHBの端子電圧(実電圧値)と一致するか否かを確認する(ステップS11)。
【0086】
一致しない場合は(ステップS11でNO)、コントローラ27は、供給開始の通知中にある充電電圧が高電圧バッテリHBの端子電圧と一致しない異常状態であることを、急速充電器QCに通知する(ステップS13)。そして、後述するステップS15に処理を移行する。また、一致した場合は(ステップS11でYES)、ステップS15に処理を移行する。
【0087】
ステップS15では、コントローラ27は、モータコントローラ33から高電圧バッテリHBの端子電圧を取得する。そして、コントローラ27は、取得した端子電圧が高電圧バッテリHBの急速充電を終了する値に達したか否かを確認する(ステップS17)。急速充電の終了値に達していない場合は(ステップS17でNO)、ステップS15にリターンする。また、急速充電の終了値に達した場合は(ステップS17でYES)、コントローラ27は、急速充電器QCに充電停止を通知する(ステップS19)。
【0088】
続いて、コントローラ27は、急速充電用電力の充電ケーブル7からの供給を停止した急速充電器QCからの、充電停止の通知を待ち受ける(ステップS21)。そして、充電停止の通知を受け取ったら(ステップS21でYES)、コントローラ27は、ジャンクションボックス19のQCリレーをオフさせ(ステップS23)、平滑コンデンサ29の蓄積電荷を放電回路25において放電させる(ステップS25)。
【0089】
さらに、放電回路25における放電の終了後に、コントローラ27は、モータコントローラ33から電力経路28の通過電流を取得する(ステップS27)。そして、コントローラ27は、取得した通過電流から、急速充電器QCからの急速充電用電力の供給が停止したか否かを確認する(ステップS29)。
【0090】
急速充電用電力の供給が停止していない場合は(ステップS29でNO)、コントローラ27は、急速充電器QCに供給停止のエラーを通知し(ステップS31)、ステップS19にリターンする。また、急速充電用電力の供給が停止した場合は(ステップS29でYES)、コントローラ27は、急速充電器QCに供給停止の確認信号を出力し(ステップS33)、一連の処理を終了する。
【0091】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、
図2のフローチャートにおけるステップS10、ステップS11、ステップS27及びステップS29が、請求項中の検出部に対応する処理となっている。また、本実施形態では、
図2中のステップS13が、請求項中の報知部に対応する処理となっている。さらに、本実施形態では、
図2中のステップS33が、請求項中の確認部に対応する処理となっている。
【0092】
このように、本実施形態では、高電圧バッテリHBの直流電力を交流に変換するパワーモジュール31の制御内容をモータコントローラ33が決定するのに利用する電力経路28の通過電流を、高電圧バッテリHBの急速充電の充電停止後に利用するようにした。
【0093】
即ち、モータコントローラ33は、高電圧バッテリHBの直流電力を交流に変換して推進用モータMに供給し、推進用モータMを回転させるときに、電流センサ22Bが測定する電力経路28の通過電流を利用する。つまり、電動車両の走行時に利用する。反対に、高電圧バッテリHBを急速充電する電動車両の駐車中には、推進用モータMを回転させないので、モータコントローラ33は、電流センサ22Bが測定する電力経路28の通過電流を利用しない。
【0094】
このため、コントローラ27が、高電圧バッテリHBの急速充電の充電停止後に、電流センサ22Bが測定した電力経路28の通過電流を利用して急速充電器QCからの充電用電力の供給停止を確認しても、モータコントローラ33の動作には影響しない。よって、急速充電器QCからの充電用電力の供給停止をコントローラ27に確認させるために、電力経路28の通過電流を測定する新たな電流センサを設けなくても、既存の電流センサ22Bをモータコントローラ33と共用することができる。
【0095】
仮に、新たな電流センサで電力経路28の通過電流を測定する場合は、パワーコントロールユニット1内に電力経路28が存在するので、新たな電流センサもパワーコントロールユニット1内に配置する必要がある。しかも、電力経路28は高電圧バッテリHBの直流電力の伝送に使われる強電系の部品である。一方、電流センサの測定値を利用するのは弱電系のコントローラ27であり、電力経路28と同じパワーコントロールユニット1内に配置される。
【0096】
このため、弱電系のコントローラ27に新たな電流センサを接続して電力経路28の通過電流を測定する場合は、コントローラ27と同じく弱電系となる電流センサと、強電系の電力経路28との間に、十分な絶縁距離を確保する必要がある。そうすると、新たな電流センサの実装基板が大型化し、ひいては、パワーコントロールユニット1が大型化してしまう。
【0097】
一方、本実施形態のパワーコントローラ1では、既存の強電監視部22の電流センサ22Bを、従来から利用しているモータコントローラ33が利用しない電動車両の駐車中にコントローラ27が利用する。このため、パワーコントロールユニット1を現状の大きさのままとして大型化を回避し、かつ、パワーコントロールユニット1内の電力経路28の通過電流をパワーコントロールユニット1内の電流センサ22Bで測定する構成を実現することができる。
【0098】
なお、本実施形態では、電動車両を走行させるためにモータコントローラ33がドライブ回路35に出力するパルス信号のデューティー比を決定するのに必要な電力経路28の電圧の検出に、パワーコントロールユニット1内の電圧監視部22Aを用いた。そして、モータコントローラ33が利用しない電動車両の駐車中に、電圧監視部22Aの出力からモータコントローラ33が検出した電力経路28の電圧を、高電圧バッテリHBの充電の条件を決定するためにコントローラ27が利用する構成とした。しかし、電圧監視部22Aの配置及び電動車両の駐車中にコントローラ27が利用する構成は、省略してもよい。
【0099】
また、急速充電の停止後に急速充電器QCからの充電用電力の供給が停止したことをコントローラ27が確認したら、確認信号を急速充電器QCに出力する構成は、省略してもよい。
【0100】
さらに、電動車両の駐車中に、電圧監視部22Aの出力からモータコントローラ33が検出した電力経路28の電圧(高電圧バッテリHBの実電圧値)と、急速充電器QCから通知された充電電圧(通知上の電圧値)との一致を確認する構成も、省略してもよい。あるいは、確認する構成は残し、一致しない場合に、急速充電器QCから通知された充電電圧が異常であることを報知信号によって急速充電器QCに通知する構成のみ省略してもよい。
【0101】
また、本実施形態では、電動車両の駐車中にモータコントローラ33が検出した電力経路28の電圧及び通過電流を、高電圧バッテリHBの急速充電のためにコントローラ27が利用する場合について説明した。しかし、高電圧バッテリHBの普通充電のためにコントローラ27が利用する構成としてもよい。
【0102】
さらに、本実施形態では、パワーコントロールユニット1がジャンクションボックス19、DCDCコンバータ21、強電監視部22、インバータユニット23、放電回路25、コントローラ27、電力経路28及びプラグイン用充電器CHGを有するものとした。しかし、これらが全て設けられたパワーコントロールユニット1でなくても、本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、モータを推進源に用いる車両のパワーコントロールユニットにおいて利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 パワーコントロールユニット
3 メインリレー(M/R)
5 車両統合コントローラ
7 急速充電器の充電ケーブル
9 コネクタ
11 普通充電用の充電ケーブル
13 コネクタ
15 プラグ
17 コントロールボックス
19 ジャンクションボックス(J/B)
21 DCDCコンバータ
22 強電監視部
22A 電圧監視部
22B 電流センサ
23 インバータユニット
25 放電回路
27 コントローラ(検出部、確認部、報知部)
28 電力経路(高電圧ライン)
28N 電力経路の負極(N極)ライン
28P 電力経路の正極(P極)ライン
29 平滑コンデンサ
31 パワーモジュール(インバータ回路)
33 モータコントローラ(インバータコントローラ)
35 ドライブ回路
41 放電抵抗
ACC 補機
CHG プラグイン用充電器
CP 商用電源ポート
HB 高電圧バッテリ
HBP 高電圧バッテリポート
LB 低電圧バッテリ
LBP 低電圧バッテリポート
M 推進用モータ
PP 電源ポート
QC 急速充電器(充電器)
QP 急速充電ポート
SP 信号ポート
VCC 電源電圧