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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】位置決め用具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20221227BHJP
   E04G 21/18 20060101ALI20221227BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
E06B1/62 A
E04G21/18 A
E06B1/56 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019068799
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2019183631
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2018069177
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】518112723
【氏名又は名称】昇信化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】野村 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 秋水
(72)【発明者】
【氏名】岸本 喜規
(72)【発明者】
【氏名】野村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】川原 聡史
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-170448(JP,A)
【文献】実開昭53-86820(JP,U)
【文献】実開平3-46683(JP,U)
【文献】特開2018-53596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/14-21/22
E06B 1/00- 1/70
F16B 23/00-43/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の周りに配置された第1部材よりも所定の距離だけ前記開口から遠ざかった位置に、第2部材を設置するために用いられる位置決め用具であって、
前記第1部材に差し込まれる差込部と、
前記所定の距離に応じた幅を有する距離調整部と、
前記差込部及び前記距離調整部を接続する本体部と、を備え、
前記距離調整部が前記第2部材と当接する当接面を有することを特徴とする位置決め用具。
【請求項2】
前記差込部は、前記第1部材が備える凸部又は凹部の少なくとも一方に差し込まれることを特徴とする請求項1に記載の位置決め用具。
【請求項3】
前記差込部は、前記第1部材が備える凸部に係合する第1差込部または、前記第1部材が備える凹部に係合する第2差込部の少なくとも一方を備えることを特徴とする請求項2に記載の位置決め用具。
【請求項4】
前記差込部が前記本体部に対して着脱可能に接続された差込部材を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の位置決め用具。
【請求項5】
前記本体部が第1角部を有するL字形状に形成されており、
前記本体部の前記第1角部を挟む位置に、前記差込部が接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の位置決め用具。
【請求項6】
前記本体部が第1角部と、該第1角部と対角線上に位置する第2角部を有するロ字形状に形成されており、
前記本体部の前記第1角部を挟む位置に、それぞれ第1差込部が接続され、
前記本体部の前記第2角部を挟む位置に、それぞれ第2差込部が接続されていることを特徴とする請求項3に記載の位置決め用具。
【請求項7】
前記本体部が分離可能な複数の本体部材によって構成されている請求項1乃至6のいずれか一項に記載の位置決め用具。
【請求項8】
前記距離調整部は、前記本体部に対して着脱可能に接続された距離調整部材を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の位置決め用具。
【請求項9】
前記距離調整部材は、前記当接面との距離が異なる挟持部を複数備えており、
前記挟持部のいずれか一つが前記本体部の被挟持部を挟持することを特徴とする請求項8に記載の位置決め用具。
【請求項10】
前記挟持部に挿入可能な反り防止部材を更に備え、
前記反り防止部材は、前記挟持部の幅を広げることを特徴とする請求項9に記載の位置決め用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め用具に係り、特に、開口周りに配置された第1部材から所定の距離だけ離れた位置に第2部材を設置するために用いられる位置決め用具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の建設工事において、壁面に形成された開口の周りにサッシ等の部材(第1部材)を取り付けると共に、第1部材から所定の間隔を空けて第2部材(例えば、腰壁又はパネル材若しくはその下地材)を設置することがある。ここで、第2部材を設置する際には、第1部材と第2部材との間隔が正確な距離となるように第2部材を設置する必要がある。
【0003】
間隔を調整する手段としては、第1部材と第2部材との間にスペーサを差し込むことが一般的である。スペーサの一例としては、特許文献1に記載のスペーサが挙げられる。特許文献1に記載のスペーサは、複数の金属板片を重ね合わせることで構成される。また、上記のスペーサは、重ね合わせる金属板片の枚数を調整することで厚み(換言すると、スペーサによって確保される隙間の幅)を自由に変更するものである。このような構成のスペーサを用いれば、第1部材と第2部材との間の間隔を容易に調整することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-336449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のスペーサは、第1部材と第2部材との間のスペース内において複数個設置される。つまり、特許文献1に記載のスペーサは、複数個を同時に使用することで、第1部材と第2部材との間の間隔を調整する。したがって、特許文献1に記載のスペーサを用いる場合には、建設工事の現場においてスペーサを複数個用意しなければならず、その分取り扱いが難しくなる。
【0006】
以上の問題に対処するために十分に長いスペーサを用いれば、特許文献1に記載のスペーサのように複数個用意する必要がなくなる。ただし、スペーサの長さ(サイズ)が大きくなるほど、作業者がスペーサを把持し難くなる。一方、第1部材と第2部材との間の間隔を正確に調整する上で、スペーサの配置位置については、第2部材を取り付ける間、適切に維持される必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1部材と第2部材との間の間隔を正確に調整することが可能であり、且つ、取り扱い易い位置決め用具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、本発明の位置決め用具によれば、開口の周りに配置された第1部材よりも所定の距離だけ前記開口から遠ざかった位置に、第2部材を設置するために用いられる位置決め用具であって、前記第1部材に差し込まれる差込部と、前記所定の距離に応じた幅を有する距離調整部と、前記差込部及び前記距離調整部を接続する本体部と、を備え、前記距離調整部が前記第2部材と当接する当接面を有すること、により解決される。
【0009】
上記のように構成された本発明の位置決め用具では、本体部に開口の周りに配置された第1部材に差し込まれる差込部と距離調整部が接続されている。これにより、位置決め用具が第1部材と係合している状態を維持することが可能となる。この結果、第2部材を設置する際に作業者が位置決め用具の本体部を把持しなくとも、位置決め用具と第1部材との係合状態を適切に維持することが可能となる。したがって、本発明の位置決め用具を用いると、第1部材と第2部材との間の間隔を正確に調整することが可能となるとともに、位置決め用具の取り扱い易さが向上する。
【0010】
また、上記の構成において、前記差込部は、前記第1部材が備える凸部又は凹部の少なくとも一方に差し込まれるとよい。
上記の構成では、差込部が、第1部材が備える凸部又は凹部の少なくとも一方に差し込まれるため、位置決め用具と第1部材との係合状態をより適切に(より確実に)維持することが可能となる。
【0011】
また、上記の構成において、前記差込部は、前記第1部材が備える凸部に係合する第1差込部または、前記第1部材が備える凹部に係合する第2差込部の少なくとも一方を備えるとよい。
上記の構成では、位置決め用具が、第1部材の凸部に係合する第1差込部または、第1部材の凹部に係合する第2差込部を備えているため、第1部材の形状が異なる場合であっても、位置決め用具と第1部材との係合状態をより適切に(より確実に)維持することが可能となる。
【0012】
また、上記の構成において、前記差込部が前記本体部に対して着脱可能に接続された差込部材を有するとよい。
上記の構成では、第1部材の形状などに応じて、異なる形状の差込部材を選択して取り付けることが可能であり、様々な形状やサイズの第1部材に対応することが可能となる。また、差込部材が破損や劣化した場合には、新しい差込部材に交換することが可能となる。
【0013】
また、上記の構成において、前記本体部が第1角部を有するL字形状に形成されており、前記本体部の前記第1角部を挟む位置に、前記差込部が接続されているとよい。
上記の構成では、第1部材が開口のコーナー部を挟んで配置されている場合に、開口部のコーナー部を挟んで配置された第1部材に位置決め用具の差込部を差し込むことで、位置決め用具を移動させることなく対応することが可能となる。
【0014】
また、上記の構成において、前記本体部が第1角部と、該第1角部と対角線上に位置する第2角部を有するロ字形状に形成されており、前記本体部の前記第1角部を挟む位置に、それぞれ第1差込部が接続され、前記本体部の前記第2角部を挟む位置に、それぞれ第2差込部が接続されているとよい。
上記の構成では、本体部がロ字形状であり、第1角部を挟む位置に、それぞれ第1差込部が接続され、第2角部を挟む位置に、それぞれ第2差込部が接続されているため、第1部材が開口のコーナー部を挟んで配置されている場合に、第1部材が備える凹部や凸部のいかなる組み合わせにも対応することが可能となる。
【0015】
また、上記の構成において、前記本体部が分離可能な複数の本体部材によって構成されているとよい。
上記の構成では、第1部材の形状や配置などに応じて、本体部の構成を変更することが可能であり、様々な形状や配置の第1部材に対応することが可能となる。また、本体部材が破損や劣化した場合には、新しい本体部材に交換することが可能となる。
【0016】
また、上記の構成において、前記距離調整部は、前記本体部に対して着脱可能に接続された距離調整部材を有するとよい。
上記の構成では、第2部材を設置する際に、第1部材からの距離が異なる場合にも、所定の距離に応じた形状の距離調整部材を用意することで、対応することが可能となる。また、距離調整部材が破損や劣化した場合には、新しい差込部材に交換することが可能となる。
【0017】
また、上記の構成において、前記距離調整部材は、前記当接面との距離が異なる挟持部を複数備えており、前記挟持部のいずれか一つが前記本体部の被挟持部を挟持するとよい。
上記の構成では、距離調整部材が当接面との距離が異なる挟持部を複数備えているため、第2部材を設置する際に、第1部材からの距離が異なる場合にも、所定の距離に応じた挟持部で本体部の被挟持部を挟持することで対応することが可能となる。
【0018】
また、上記の構成において、前記挟持部に挿入可能な反り防止部材を更に備え、前記反り防止部材は、前記挟持部の幅を広げるとよい。
上記の構成では、挟持部に反り防止部材が挿入されることで、挟持部の幅が広げられるため、挟持部の幅が狭くなることを防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の位置決め用具によれば、取り扱い易く、開口周りに配置された第1部材から所定の距離だけ離れた位置に第2部材を設置する際に、第2部材を正確に位置決めすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る位置決め用具の外観図である。
図2A】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する本体部材の外観図である。
図2B】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する本体部材の外観図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するメス型差込部材の外観図である。
図3B】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するメス型差込部材の外観図である。
図3C】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するメス型差込部材の外観図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するオス型差込部材の外観図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するオス型差込部材の外観図である。
図4C】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成するオス型差込部材の側面図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の外観図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の外観図である。
図5C】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の外観図である。
図5D】本発明の一実施形態に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の側面図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る位置決め用具の外観図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る位置決め用具の正面図である。
図6C】本発明の一実施形態に係る位置決め用具の側面図である。
図6D】本発明の一実施形態に係る位置決め用具の平面図である。
図7】窓サッシ枠が備える凸部及び凹部の例を示す図である。
図8】開口の角部周りで位置決め用具が利用される様子を示す図である。
図9A】変形例に係る位置決め用具を示す外観図である。
図9B】変形例に係る位置決め用具を示す外観図である。
図9C】変形例に係る位置決め用具の差込部を示す図である。
図10】変形例に係る位置決め用具が利用される様子を示す図である。
図11】変形例に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の外観図である。
図12】変形例に係る位置決め用具を構成する反り防止部材の外観図である。
図13】変形例に係る距離調整部材に反り防止部材を組み合わせる様子を示す図である。
図14】変形例に係る位置決め用具の外観図である。
図15】変形例に係る本体部材及びメス型差込部材の正面図である。
図16】変形例に係る本体部材及びオス型差込部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態(以下、本実施形態)に係る位置決め用具について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る位置決め用具を示す外観図である。図2A及び2Bは、本実施形態に係る位置決め用具の本体部材を示す図であり、図3A乃至3Cは、本実施形態に係る位置決め用具のメス型差込部材を示す図であり、図4A乃至4Cは、本実施形態に係る位置決め用具のオス型差込部材を示す図であり、図5A乃至5Dは、本実施形態に係る位置決め用具の距離調整部材を示す図である。また、図6A乃至6Dは、本実施形態に係る位置決め用具を示す図である。図7は、窓サッシ枠が備える凸部及び凹部の例を示す図であり、図8は、開口のコーナー部周りで位置決め用具が利用される様子を示す図である。図9A及び図9Bは、変形例に係る位置決め用具を示す外観図であり、図9Cは、変形例に係る位置決め用具の差込部を示す図である。図10は、変形例に係る位置決め用具が利用される様子を示す図である。図11は、変形例に係る位置決め用具を構成する距離調整部材の外観図であり、図12は、変形例に係る位置決め用具を構成する反り防止部材の外観図である。図13は、変形例に係る距離調整部材に反り防止部材を組み合わせる様子を示す図である。図14は、変形例に係る位置決め用具の外観図である。
図15は、変形例に係る本体部材及びメス型差込部材の正面図であり、図16は、変形例に係る本体部材及びオス型差込部材の正面図である。
【0022】
<位置決め用具1>
先ず、本実施形態に係る位置決め用具(以下、単に位置決め用具1と呼ぶ)の用途について説明する。位置決め用具1は、住宅等の建物の建設工事において、建物を構成する壁に形成された開口の周りに配置された第1部材よりも所定の距離だけ開口から遠ざかった位置に第2部材を設置する際に用いられる。
【0023】
より具体的な例を挙げて説明すると、上記の建設工事では、窓や扉などの開口の周りにサッシ枠(第1部材に相当)が取り付けられた後、当該サッシ枠よりも所定の距離だけ開口から離れた位置に、腰壁又はパネル材若しくはその下地材(第2部材に相当)を設置する。この際に設置対象物とサッシ枠との間隔を調整するために位置決め用具1が用いられる。換言すると、位置決め用具1は、設置対象物とサッシ枠との間の隙間を規定の長さ(以下、規定長さd)に調整するためのスペーサとして用いられる。
【0024】
なお、位置決め用具1の用途については上記の内容に限定されるものではない。開口の周りに配置された部材(第1部材)よりも所定の距離だけ開口から遠ざかった位置に他の部材(第2部材)を設置する場合であれば、位置決め用具1が利用可能である。
【0025】
次に、位置決め用具1の構成について説明する。位置決め用具1は、図1及び図6A乃至図6Dに図示した外形形状を有する部材であり、作業者が片手で把持可能なサイズとなっている。図1に示すように、位置決め用具1は、本体部(本体部材10)と、第1部材に差し込まれる差込部(メス型差込部材20及びオス型差込部材30)と、所定の距離に応じた幅を有し、第2部材と当接する当接面を有する距離調整部(距離調整部材40)と、を主な構成要素として備えている。
【0026】
図1に示すように、位置決め用具1において、差込部(メス型差込部材20及びオス型差込部材30)及び距離調整部(メス型差込部材20及びオス型差込部材30)が、本体部(本体部材10)によって接続されている。ここで、位置決め用具1は、以下に詳述するように、図2A及び2Bに示す本体部材10と、図3A乃至3C及び図4A乃至4Cに示す差込部材(メス型差込部材20及びオス型差込部材30)と、図5A乃至図5Dに示す距離調整部材40を組立てることで構成されている。
【0027】
(本体部)
本体部は、差込部及び距離調整部を接続し、作業者が作業をする際の把持部としての機能も有している。本体部は、図2A及び図2Bに示す本体部材10を、複数個(例えば、4つ又は2つ)組み合わせることで構成されている。本体部材10は、基部12によって構成されており、基部12は、本体部の外側の面を構成する表面12a、本体部の内側の面を構成する裏面12b、他の本体部材10が接続される側面12cを備えている。
【0028】
本実施形態において、本体部材10は、プラスチック等の樹脂材料によって構成された樹脂成形品である。ただし、本体部材10を構成する材質は、樹脂材料に限定されるものではなく、例えば、エラストマーなどの弾性材料や、金属材料によって構成されてもよい。また、樹脂材料、エラストマーなどの弾性材料、金属材料など複数の材料を組み合わせて構成してもよい。
【0029】
基部12には、表面12aから裏面12bへと貫通する開口14a(第1連結部)が形成されている。また、基部12の側面12cには、連結孔14b(第2連結部)が形成されている。複数の本体部材10を所定の形状(ロ字形状やL字形状)に組立てる際には、開口14aと連結孔14bが連通するように本体部材10同士を組み合わせて所定の形状となるように配置をして、不図示のネジを開口14a及び連結孔14bに挿入して固定を行う。
【0030】
基部12の一方の端部には、後述する差込部材(メス型差込部材20及びオス型差込部材30)を取り付けるための被取付部16が形成されている。図2A及び図2Bに示す例では、被取付部16として、基部12の表面12aから裏面12bに向かう方向に筒部が形成されている。
【0031】
また、本体部材10は、基部12の被取付部16とは反対側の端部に、後述する距離調整部材40が取り付けられる被挟持部18を有している。
【0032】
また、図2Aに示すように、本体部材10の裏面12bには、本体部材10の強度を補強するためにリブが形成されている。
【0033】
(差込部材)
差込部は、第1部材に差し込まれる機能を有しており、図3A乃至3Cに示すメス型差込部材20や、図4A乃至4Cに示すオス型差込部材30である差込部材によって構成されている。
【0034】
本実施形態において、メス型差込部材20及びオス型差込部材30は、プラスチック等の樹脂材料によって構成された樹脂成形品である。ただし、メス型差込部材20及びオス型差込部材30を構成する材質は、樹脂材料に限定されるものではなく、例えば、エラストマーなどの弾性材料や、金属材料によって構成されてもよい。また、樹脂材料、エラストマーなどの弾性材料、金属材料など複数の材料を組み合わせて構成してもよい。
【0035】
メス型差込部材20(第1差込部材)は、図1及び図3A乃至図3Cに示すように、本体部材10の幅と略同一の幅を有して延在する外形形状を有しており、本体部材10に取り付けられる取付部22と、第1部材が備える凸部に係合するメス型差込部24(第1差込部)を備えている。
【0036】
図3B及び図3Cに示すように、メス型差込部材20において、取付部22とメス型差込部24とが、互いに直行するような位置関係となるように形成されている。また、図3Bに示すように、取付部22には開口22aが形成されている。取付部22の開口22aは、本体部材10の被取付部16と位置合わせして、不図示のネジを挿入して固定する際に用いられる。
【0037】
図3B及び図3Cに示すように、メス型差込部24は、第1部材の凸部と係合可能な係合溝24aを備えている。ここで、図3A及び図3Bに示すように、係合溝24aは、メス型差込部材20の延在方向(つまり、長手方向)に延在して形成されている。係合溝24aは、第1部材が備える凸部の形状に合わせた形状に形成すればよいが、係合溝24aの深さは、第1部材が備える凸部の高さよりも深く設定されていると、位置決め用具1と第1部材の係合状態が安定するため、好適である。
【0038】
オス型差込部材30(第2差込部材)は、図1及び図4A乃至図4Cに示すように、本体部材10やメス型差込部材20の幅と略同一の幅を有して延在する外形形状を有しており、本体部材10に取り付けられる取付部32と、第1部材が備える凹部に係合するオス型差込部34(第2差込部)を備えている。
【0039】
図4B及び図4Cに示すように、オス型差込部材30において、取付部32とオス型差込部34とが、互いに直行するような位置関係となるように形成されている。また、図4Bに示すように、取付部32には開口32aが形成されている。取付部32の開口32aは、本体部材10の被取付部16と位置合わせして、不図示のネジを挿入して固定する際に用いられる。
【0040】
図4B及び図4Cに示すように、オス型差込部34は、第1部材の凹部と係合可能な係合突出部34aを備えている。ここで、図4A及び図4Bに示すように、係合突出部34aは、オス型差込部材30の延在方向(つまり、長手方向)に延在して形成されている。係合突出部34aは、第1部材が備える凹部の形状に合わせた形状に形成すればよいが、係合突出部34aの高さは、第1部材が備える凹部の深さよりも低く設定されていると、位置決め用具1と第1部材の係合状態が安定するため、好適である。
【0041】
(距離調整部)
距離調整部は、第1部材と第2部材との間の所定の距離に応じた幅を有しており、図5A乃至図5Dに示す距離調整部材40によって構成されている。距離調整部材40は、ボロック状の本体42を備え、本体42は、第2部材と当接する当接面42aを有している。
【0042】
本実施形態において、距離調整部材40は、プラスチック等の樹脂材料によって構成された樹脂成形品である。ただし、距離調整部材40を構成する材質は、樹脂材料に限定されるものではなく、例えば、エラストマーなどの弾性材料や、金属材料によって構成されてもよい。また、樹脂材料、エラストマーなどの弾性材料、金属材料など複数の材料を組み合わせて構成してもよい。
【0043】
距離調整部材40は、第1部材と第2部材とを所定の距離(規定長さ)遠ざけて配置するスペーサとして機能する。具体的に説明すると、距離調整部材40は、規定長さに応じた幅を有する。そして、腰壁等の設置対象物(第2部材)を設置する際には、距離調整部材40の当接面42aが上記の設置対象物と当接する。
【0044】
距離調整部材40の構成について詳細に説明すると、距離調整部材40は、図5A乃至5Dに示すように、ブロック状の本体42を有し、スリット状に窪むことで形成された溝である挟持部を備えている。より具体的に説明すると、距離調整部材40は、当接面42aとの距離が異なる挟持部を複数備えており、当接面42aから遠い位置から順番に第1挟持部44、第2挟持部46a、第3挟持部46bの3つの挟持部を備えている。
【0045】
挟持部のいずれか一つが本体部材10の被挟持部18を挟持することで、距離調整部材40が、本体部材10に対して着脱可能に接続される。ここで、第1挟持部44、第2挟持部46a、第3挟持部46bの各々の溝幅は、いずれも本体部材10における被挟持部18の厚みと略同一又は若干小さくなっている。
【0046】
図5Dに示すように、第1挟持部44と当接面42aとの間の距離をL1、第2挟持部46aと当接面42aとの間の距離をL2、第3挟持部46bと当接面42aとの間の距離をL3とすると、L1>L2>L3となっている。したがって、第1部材と第2部材とを所定の距離だけ遠ざけて配置する際に、3つの挟持部のうち一つを選択して、本体部材10の被挟持部18を挟持することで、1つの距離調整部材40によって、3種類の異なる所定の距離だけ、第1部材と第2部材とを遠ざけて配置することが可能である。
【0047】
(ロ字形状の本体部を有する位置決め用具1)
図6A乃至図6Dを参照して、位置決め用具1の具体的構成例を示す。図6A乃至図6Dに示す位置決め用具1では、4つの本体部材10をロ字形状の筒体に組立てることで本体部が形成されている。図6A及び図6Bに示すように、本体部は、第1角部19aと、第1角部19aと対角線上に位置する第2角部19bを有している。本体部において、第1角部19aを挟む位置に、それぞれメス型差込部材20が取り付けられており、第2角部19bを挟む位置に、それぞれオス型差込部材30が取り付けられている。
【0048】
また、図6A及び図6Bに示すように、本体部は、第1角部19a及び第2角部19bに隣接する位置に第3角部19c及び第4角部19dを有しており、第3角部19cと対角線上に第4角部19dが位置している。本体部において、第3角部19cを挟む位置には、メス型差込部材20とオス型差込部材30が1つずつ取り付けられていることとなり、第4角部19dを挟む位置にも、メス型差込部材20とオス型差込部材30が1つずつ取り付けられていることとなる。
【0049】
さらに、図6A及び図6Bに示すように、本体部には、2つの距離調整部材40が接続されている。具体的には、1つの距離調整部材40が第1挟持部44で本体部材10の被挟持部18を挟持して本体部に接続され、もう1つの距離調整部材40が第3挟持部46bで本体部材10の被挟持部18を挟持して本体部に接続されている。
【0050】
図6C及び図6Dに示すように、第2角部19bを挟む位置に設けられたオス型差込部材30を、開口のコーナー部を挟んで配置された第1部材に差し込むことで、第2部材を第1部材に対して所定の距離だけ遠ざかった位置に配置することが可能となる。
【0051】
<位置決め用具1を用いた設置対象物の設置方法>
次に、以上のように構成された位置決め用具1を用いて腰壁等の設置対象物を設置する方法について、図7及び図8を参照して説明する。なお、以下では、位置決め用具1の利用ケースとして、窓枠用開口Wの下方位置に腰壁設置用の下地材Hを設置するケース、及び、窓枠用開口Wの側方位置にパネルPを設置するケースを具体例に挙げて説明することとする。
【0052】
図7及び図8に示すように、下地材HやパネルPを設置するに際して、窓枠用開口Wの周囲には窓サッシ枠Gが予め取り付けられている。なお、窓枠用開口Wは、正面視で矩形状に形成されており、これに対応させて、窓サッシ枠Gが窓枠用開口Wの周りに矩形状に配置されている。
【0053】
図7及び図8では、第1部材である窓サッシ枠Gとして、凸部Gaや凹部Gbを備えている例を示して説明を行う。なお、図8には、作業者から見たときの上下方向及び左右方向を矢印にて図示している。図8では、窓枠用開口Wの左下に位置するコーナー部の周りで作業を行う例を示す。ここで、図7及び図8に示すように、窓サッシ枠Gの左側には、左右方向に突出し、上下方向に延在する凸部Gaが形成されており、窓サッシ枠Gの下側には、上下方向に窪み、左右方向に延在する凹部Gbが形成されている。
【0054】
まず、図8に示すように、窓サッシ枠Gから下地材HやパネルPを所定の距離だけ遠ざかった位置に配置する際に、その距離に応じて、距離調整部材40に設けられた挟持部のいずれか一つで本体部材10の被挟持部18を挟持し、距離調整部材40をロ字形状に組立てられた本体部材10の適切な位置に取り付けておく。
【0055】
下地材HやパネルPの設置作業を行う作業者は、位置決め用具1を把持しながら、位置決め用具1を窓サッシ枠Gに近付ける。より詳しく説明すると、作業者は、窓サッシ枠Gのうち、窓枠用開口Wの左下に位置するコーナー部に本体部の角部が近付くように位置決め用具1を動かす。
【0056】
その後、作業者は、窓サッシ枠Gの上下方向に延在する凸部Gaに対して、メス型差込部材20のメス型差込部24に設けられた上下方向に延在する係合溝24aを挿入するとともに、窓サッシ枠Gの左右方向に延在する凹部Gbに対して、オス型差込部材30のオス型差込部34に設けられた係合突出部34aを挿入する。この結果、本体部と窓サッシ枠Gとの係合状態(当接状態)が維持されるようになり、その後の作業(具体的には、下地材HやパネルPの設置作業)において、作業者は、位置決め用具1を把持し続ける必要がなくなるので、その分、下地材HやパネルPを容易に設置することが可能となる。
【0057】
図8に示すように、窓サッシ枠Gの左下に位置するコーナー部に本体部材10を取り付けることによって、窓サッシ枠Gのコーナー部周りにおいて、窓サッシ枠G(第1部材)と下地材HやパネルP(第2部材)との間の間隔を、所定の間隔に調整する作業を正確に行うことが可能となる。この結果、窓サッシ枠G(第1部材)のコーナー部から規定長さだけ離れた位置に下地材HやパネルP(第2部材)を適切に位置決めすることが可能となる。
【0058】
以上、位置決め用具1の利用方法について一例を挙げて説明した。具体的には、窓枠用開口Wの下方のコーナー部周りにおいて、腰壁設置用の下地材HやパネルPを設置するケースを例に挙げて説明した。ただし、位置決め用具1を利用するケースについては、上記のケースに限定されず、他のケースも考えられる。例えば、窓枠用開口Wの上方位置や左下以外のコーナー部周りに下地材HやパネルPを設置する際に位置決め用具1を用いるケースや、コーナー部回りにおいて窓サッシ枠Gに形成された凸部Gaや凹部Gbの組み合わせが異なることも考えらえる。そのようなケースであっても、位置決め用具1によれば、4つの本体部材10をロ字形状に組立てた本体部を回転させて、窓サッシ枠Gの形状に対応する差込部(メス型差込部材20やオス型差込部材30)が適切な位置に配置されるようにすることで対応可能である。
【0059】
<位置決め用具1の作用>
以上説明した位置決め用具1によれば、本体部に開口の周りに配置された第1部材(例えば、窓サッシ枠G)に差し込まれる差込部(メス型差込部材20やオス型差込部材30)と距離調整部材40が接続されている。これにより、位置決め用具1が第1部材と係合している状態を維持することが可能となる。この結果、第2部材(例えば、下地材HやパネルP)を設置する際に作業者が位置決め用具1の本体部を把持しなくとも、位置決め用具1と第1部材との係合状態を適切に維持することが可能となる。したがって、本発明の位置決め用具1を用いると、第1部材と第2部材との間の間隔を正確に調整することが可能となるとともに、位置決め用具の取り扱い易さが向上する。
【0060】
位置決め用具1によれば、差込部が、第1部材(例えば、窓サッシ枠G)が備える凸部Ga又は凹部Gbの少なくとも一方に差し込まれるため、位置決め用具1と第1部材との係合状態をより適切に(より確実に)維持することが可能となる。
【0061】
位置決め用具1によれば、第1部材(例えば、窓サッシ枠G)の凸部Gaに係合する第1差込部(メス型差込部材20のメス型差込部24)または、第1部材の凹部Gbに係合する第2差込部(オス型差込部材30のオス型差込部34)を備えているため、第1部材の形状が異なる場合であっても、位置決め用具1と第1部材との係合状態をより適切に(より確実に)維持することが可能となる。
【0062】
位置決め用具1によれば、第1部材(例えば、窓サッシ枠G)の形状などに応じて、異なる形状の差込部材を選択して取り付けることが可能であり、様々な形状やサイズの第1部材に対応することが可能となる。また、差込部材が破損や劣化した場合には、新しい差込部材に交換することが可能となる。
【0063】
位置決め用具1によれば、本体部がL字形状であり、第1部材(例えば、窓サッシ枠G)が開口のコーナー部を挟んで配置されている場合に、開口部のコーナー部を挟んで配置された第1部材に位置決め用具の差込部を差し込むことで、位置決め用具を移動させることなく対応することが可能となる。
【0064】
位置決め用具1によれば、本体部がロ字形状であり、第1角部19aを挟む位置に、それぞれ第1差込部(メス型差込部材20のメス型差込部24)が接続され、第2角部19bを挟む位置に、それぞれ第2差込部(オス型差込部材30のオス型差込部34)が接続されているため、第1部材が開口のコーナー部を挟んで配置されている場合に、第1部材が備える凹部や凸部のいかなる組み合わせにも対応することが可能となる。
【0065】
位置決め用具1によれば、第1部材の形状や配置などに応じて、本体部の構成を変更することが可能であり、様々な形状や配置の第1部材に対応することが可能となる。また、本体部材が破損や劣化した場合には、新しい本体部材に交換することが可能となる。
【0066】
位置決め用具1によれば、第2部材を設置する際に、第1部材からの距離が異なる場合にも、所定の距離に応じた形状の距離調整部材40を用意することで、対応することが可能となる。また、距離調整部材40が破損や劣化した場合には、新しい差込部材に交換することが可能となる。
【0067】
位置決め用具1によれば、距離調整部材40が当接面42aとの距離が異なる挟持部(第1挟持部44、第2挟持部46a、第3挟持部46b)を複数備えているため、第2部材を設置する際に、第1部材からの距離が異なる場合にも、所定の距離に応じた挟持部で本体部の被挟持部を挟持することで対応することが可能となる。
【0068】
<変形例>
以上までに、本発明の一実施形態に係る位置決め用具1の構成について説明してきたが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0069】
特に、位置決め用具1の構造、材質、形状及び寸法等については、上記の実施形態の中で説明した内容に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて任意に設計することが可能である。
【0070】
例えば、図1図6A乃至図6Dに示す位置決め用具1では、4つの本体部材10をロ字形状の筒体に組立てることで本体部が形成されていたが、本体部の形状はロ字形状に限定されるものではなく、2つの本体部材10をL字形状に組立てることや、1つの本体部材10のみを本体部とすることも可能である。
【0071】
また、図2A及び図2Bに示す本体部材10を筒状に組立てた場合、図6A及び図6Bに示すように4辺の長さが等しいロ字形状となるように本体部材10が形成されていたが、本体部材10の形状は、これに限定されるものではない。例えば、4つの本体部材10を組立てた場合に、隣接する辺の長さが異なるロ字形状(換言すると、正面視において長方形)となるように本体部材10を形成してもよい。
【0072】
上記の実施形態では、本体部が本体部材10を組立てることで形成されていたが、本体部の全体又は一部を一体成形することも可能である。具体的には、ロ字形状又はL字形状に本体部を成形したり、L字形状の本体部を2つ組み合わせてロ字形状にしたりすることも可能である。
【0073】
また、図5A乃至5Dに示す距離調整部材40では、当接面42aとの距離が異なる挟持部を3つ備えている例を示したが、挟持部の数はこれに限定されるものではなく、挟持部の数を4つ以上とすることや、挟持部の数を1つ又は2つとすることも可能である。
【0074】
上記の実施形態では、図6A乃至図6Dに示すように、ロ字形状に組立てられた本体部材10(本体部)の外側に向かって(換言すると、本体部材10の裏面12bから表面12aに向かう方向に向かって)、差込部(メス型差込部24やオス型差込部34)が突出するように差込部材(メス型差込部材20やオス型差込部材30)が接続された例を示したが、本体部に対する差込部の突出方向はこれに限定されるものではない。例えば、ロ字形状に組立てられた本体部材10(本体部)と平行な方向に向かって(換言すると、本体部材10の表面12aや裏面12bと平行な方向に向かって)、差込部(メス型差込部24やオス型差込部34)が突出するように差込部材(メス型差込部材20やオス型差込部材30)を本体部材10(本体部)の外側に接続することも可能である。
【0075】
以下、本実施形態の変形例に係る位置決め用具1Xを図9A乃至9C及び図10を用いて説明する。位置決め用具1Xは、図9A及び9Bに示すように、一体成形されたL字形状の本体部材10Xと、本体部材10Xに取り付けられたオスメス兼用差し込み部材20Xと、本体部材10Xに対して着脱可能に接続された距離調整部材40Xと、既設の構造部材に当接することで位置決め用具1Xを支持する支持部材50X、を主な構成要素として備えている。
【0076】
図9Bに示すように、本体部材10Xは厚みを持って形成され、被挟持部として機能する凹部18Xが形成されている。図9Bに示すように、この凹部18Xに距離調整部材40Xが取り付けられている。
【0077】
図9A及び図9Cに示すように、オスメス兼用差し込み部材20Xは、本体部材10Xに取り付けられる取付部22Xと、第1部材が備える凸部及び凹部に係合可能なオスメス兼用差込部24Xを備えている。
【0078】
オスメス兼用差込部24Xは、図9A及び図9Cに示すように、可撓性を有する樹脂素材や、弾性を有するエラストマー素材を組み合わせるなどして形成されており、取付部22Xから延出する2つの壁部24Xa,24Xbによって溝部24Xcが形成されている。また、壁部24Xaには、湾曲した板状のゴムで形成された弾性部材24Xdが取り付けられている。
【0079】
ここで、オスメス兼用差込部24Xにおいて、壁部24Xaと壁部24Xbは、可撓性を有しており、互いに近づく方向に撓ませることが可能であり、さらに、弾性部材24Xdも壁部24Xaに近づく方向に変形可能である。したがって、オスメス兼用差込部24Xの壁部24Xa,24Xb及び弾性部材24Xdをまとめて(又は壁部24Xa,24Xb及び弾性部材24Xdから選択される2つをまとめて)、第1部材が備える凹部に挿入することが可能であり、壁部24Xa,24Xb及び弾性部材24Xdは、オス型の差込部として機能する。図10では、窓サッシ枠Gが備える凹部Gbに、オスメス兼用差込部24Xの壁部24Xa,24Xb及び弾性部材24Xdが挿入されている状態を示している。
【0080】
また、オスメス兼用差込部24Xの溝部24Xcには、第1部材が備える凸部を挿入することが可能であり、メス型の差込部として機能する。図10では、オスメス兼用差込部24Xの溝部24Xcに窓サッシ枠Gが備える凸部Gaが挿入されている状態を示している。以上のように、オスメス兼用差込部24Xは、第1部材が備える凸部及び凹部の両方に係合可能であり、係合対象となる第1部材の形状によらず対応可能であるという利点を有している。
【0081】
また、図10に示すように、支持部材50Xは、オスメス兼用差込部24Xが、第1部材の凸部や凹部に係合して、第1部材に位置決め用具1Xが取り付けられた際に、既設の構造部材と当接することで位置決め用具1Xを支持することが可能である。支持部材50Xによれば、第1部材に取り付けられた位置決め用具1Xの取り付け状態が安定なものとなる。
【0082】
次に、変形例に係る位置決め用具1Yが備える距離調整部材40Y及び反り防止部材60Yについて、図11乃至図14を参照して説明をする。
【0083】
図11に示す距離調整部材40Yは、設置対象物と当接する当接面42Yaが内側(第1挟持部44Yに向かう方向)に傾斜している。また、距離調整部材40Yは、スリット状に窪むことで形成された溝である第1挟持部44Y、第2挟持部46Ya、第3挟持部46Ybの3つの挟持部を備えているが、各挟持部は縁部Eを備えている。距離調整部材40Yはその表面に、各挟持部に対応して、当接面42Xaまでの所定の間隔と方向を示す距離表示部48Y、使用時の方向を指示する方向指示部49Yが設けられている。
【0084】
また、距離調整部材40Yは、樹脂製で中空構造を有しているため、各挟持部が狭くなるような方向に反りが発生してしまう。そのような反りの発生を防止するために、変形例に係る位置決め用具1Xは、図12に示す反り防止部材60Yを備えている。
【0085】
反り防止部材60Yは、挟持部に挿入することで、挟持部が狭くなるような方向に反ることを防止するために用いられる。図12に示すように、反り防止部材60Yは、挟持部に挿入される挿入部61Yと、挿入部61Yの先端側の先端部62Yと、先端部62Yとは反対の基端部63Yと、を備えている。反り防止部材60Yは、反り防止部材60Yを挟持部に挿入する際に、作業者が把持する側部64Yを備えている。反り防止部材60Yは、挿入部61Yの厚みが、基端部63Yから先端部62Yに向かうにつれて、徐々に薄くなるように形成されている。
【0086】
図13に示すように、反り防止部材60Yは、第1挟持部44Y、第2挟持部46Ya、第3挟持部46Ybに挿入可能に構成されている。反り防止部材60Yは、側部64Yが挟持部の縁部Eに外側から当接した状態で徐々に挟持部に挿入される。このようにして、反り防止部材60Yが挟持部に適宜挿入されることで、各挟持部の幅が広げられるため、挟持部の幅が狭くなること(換言すると、反りが発生すること)を防止することができる。
【0087】
変形例に係る位置決め用具1Yを使用する時には、図14に示すように、本体部材10Yの外側に位置する挟持部に、それぞれ反り防止部材60Yが挿入される。また、距離調整部材40Yの当接面42Yaが内側に傾斜していることで、作業後に位置決め用具1Yを引き抜くことが容易なものとなっている。なお、反り防止部材60Yは、必要に応じて各挟持部に対して、取り外したり取り付けたりすればよい。
【0088】
次に、変形例に係る本体部材10Z、メス型差込部材20Z及びオス型差込部材30Zについて、図15及び図16を参照して説明をする。図15に示すように、変形例に係るメス型差込部材20Zは、取付部22Zに、形状表示部26Zが設けられている。具体的には、メス型差込部24Zの形状が凹部(係合溝24Za)であることが表示されている。また、図16に示すように、変形例に係るオス型差込部材30Zは、取付部32Zに、形状表示部36Zが設けられている。具体的には、オス型差込部34Zの形状が凸部(係合突出部34Za)であることが表示されている。
【0089】
また、図15及び図16に示すように、変形例に係る本体部材10Zは、その表面に、方向表示部Dが設けられている。本体部材10Z同士を組み合わせる際に、各本体部材10Zの方向表示部Dが同一の方向となるように組み合わせることで、正しく本体部材10Zを組立てることができる。なお、方向表示部Dは、位置決め用具の使用時に作業者の手前になる方向を指し示すことになる。
【0090】
上記の距離表示部48Y、方向指示部49Y、形状表示部26Z、36Z及び方向表示部Dは、各部材に凹凸を設けて形成したり、印字したり、シールを貼付するなどして形成することが可能である。
【符号の説明】
【0091】
1,1Y 位置決め用具
10,10Y,10Z 本体部材(本体部)
12 基部
12a 表面
12b 裏面
12c 側面
14a 開口(第1連結部)
14b 連結孔(第2連結部)
16 被取付部
18 被挟持部
19a 第1角部
19b 第2角部
19c 第3角部
19d 第4角部
20,20Z メス型差込部材(差込部、第1差込部材)
22,22Z 取付部
22a 開口
24,24Z メス型差込部(第1差込部)
24a,24Za 係合溝
30,30Z オス型差込部材(差込部、第2差込部材)
32,32Z 取付部
32a 開口
34,34Z オス型差込部(第2差込部)
34a,34Za 係合突出部
40,40Y 距離調整部材(距離調整部)
42,42Y 本体
42a,42Ya 当接面
44,44Y 第1挟持部(挟持部)
46a,46Ya 第2挟持部(挟持部)
46b,46Yb 第3挟持部(挟持部)
48Y 距離表示部
49Y 方向指示部
G 窓サッシ枠(第1部材)
Ga 凸部
Gb 凹部
H 下地材(第2部材)
P パネル(第2部材)
W 窓枠用開口(開口)
1X 位置決め用具
10X 本体部材(本体部)
18X 凹部(被挟持部)
20X オスメス兼用差し込み部材(差込部)
22X 取付部
24X オスメス兼用差込部(第1差込部、第2差込部)
24Xa 壁部
24Xb 壁部
24Xc 溝部
24Xd 弾性部材
40X 距離調整部材(距離調整部)
50X 支持部材
60Y 反り防止部材
61Y 挿入部
62Y 先端部
63Y 基端部
64Y 側部
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16