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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】排気熱回収装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 5/02 20060101AFI20221227BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20221227BHJP
   F02M 26/14 20160101ALI20221227BHJP
   F02M 26/32 20160101ALI20221227BHJP
【FI】
F01N5/02 B
F01N13/08 B
F02M26/14
F02M26/32
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019220968
(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公開番号】P2021088981
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 史朗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】山中 真由美
(72)【発明者】
【氏名】久永 徹
(72)【発明者】
【氏名】井上 勝文
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-044666(JP,A)
【文献】特開2012-184680(JP,A)
【文献】特開2015-148160(JP,A)
【文献】特開2013-142361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 5/02
F01N 13/08
F02M 26/14
F02M 26/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガス再循環装置を備えた内燃機関からの排ガスが導かれる排気管に設置されるガス導入口とガス排出口を有する排気熱回収装置において、
前記排ガスが前記ガス導入口から前記ガス排出口に向かって流れる主排気流路を有する主排気流路部と、
前記主排気流路部に併設され前記主排気流路から分流した排ガスが冷却媒体と熱交換を行う熱交換流路を有する熱交換部と、
を備え、
前記熱交換部は、前記冷却媒体が流れる冷却媒体流路を有する熱交換器と、前記排ガスを前記熱交換流路から前記主排気流路部と前記排ガス再循環装置に分流する合流部より構成され、
前記主排気流路の排ガスの流れ方向における前記合流部の端部に前記排ガスが前記合流部から前記排ガス再循環装置に導入するEGR配管が設けられ、
前記主排気流路の排ガスの流れる方向における前記熱交換部の端部に前記冷却媒体流路を構成する冷却媒体入口管と冷却媒体出口管が設けられ、
前記主排気流路の排ガスの流れ方向から装置本体を見たときに、前記熱交換部は、前記主排気流路部を囲むように水平領域と垂直領域を有するコ字状となっており、
前記EGR配管の前記合流部の接続位置は、前記主排気流路部と縦配置になって、前記コ字状の水平領域にあり、
前記冷却媒体入口管と前記冷却媒体出口管の前記熱交換部との接続位置は、お互い縦配置になって、前記コ字状の垂直領域にあることを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の排気熱回収装置であって、
前記熱交換部に、前記排ガスが前記主排気流路から前記熱交換流路に流入する熱交換部ガス流入部と、前記排ガスが前記熱交換流路から前記熱交換器下流のガス流路に流出する熱交換部ガス流出部と、がそれぞれ設けられ、
前記熱交換部ガス流入部は、前記冷却媒体入口管側に配置され、前記熱交換部ガス流出部は、前記冷却媒体出口管側に配置されていることを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項3】
請求項1記載の排気熱回収装置であって、
前記合流部に前記排ガスを前記合流部から前記主排気流路に戻す連通口が設けられ、
前記主排気流路部に前記排ガスが前記熱交換部に分流される開口部が設けられ、
前記開口部より前記主排気流路部の下流側に設けられて前記主排気流路及び前記熱交換流路を開閉する切換えバルブがあって、
前記切換えバルブは、前記主排気流路を開閉するバタフライバルブ部と前記連通口を開閉するシャッタバルブ部とを有して、前記バタフライバルブ部に設けられる駆動軸で回動できるように前記主排気流路部に固定され、
前記排ガスを前記熱交換流路と前記主排気流路とに振り分けることを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項4】
請求項1記載の排気熱回収装置であって、
前記主排気流路の排ガスの流れ方向における前記合流部の前記排ガスの上流側の端部に前記排ガスが前記合流部から前記排ガス再循環装置に導入するEGR配管が設けられ、
前記主排気路の排ガスの流れ方向にける前記熱交換部の上流側の端部に前記冷却媒体入口管と冷却媒体出口管が設けられいることを特徴とする排気熱回収装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の排気熱回収装置であって、
前記EGR配管は、前記熱交換部より前記排ガスの下流側に配置されていることを特徴とする排気熱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の内燃機関に用いられる排気熱回収装置に関し、特に、排ガス再循環装置(EGR)を備えた内燃機関に用いて好適な排気熱回収装置に係る。
【背景技術】
【0002】
この種の排気熱回収装置として、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された排気熱回収装置は、内燃機関の排ガスを導入する主排気流路と、この主排気流路から分岐して該主排気流路に合流する迂回流路と、この迂回流路に介装され、該迂回流路内の排ガスを導入して冷却媒体と熱交換を行う熱交換器と、この熱交換器の下流側で主排気流路及び迂回流路を開閉する弁部材と、を備え、この弁部材と熱交換器との間の迂回流路を、再循環流路を介して排ガス再循環装置(EGR)に連通接続するように構成されている。また、弁装置は、アクチュエータにより駆動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-44666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の排気熱回収装置では、主排気流路と迂回流路の排ガスの流れを単一の弁部材で行うが、迂回流路の排ガスの流れを制御する部材が迂回流路に入り込む形状になっているため、迂回流路側にスペースが必要不可欠となり、その分装置全体が大型になる。
【0005】
また、主排気流路と熱交換器を含む迂回流路が並行に配置されているため、車両の前後方向の寸法が大きくなり、装置全体が大型になって車両の搭載性が課題になる。
【0006】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、車両の搭載性に優れた小型の排気熱回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、排ガスが流れる上流側の排気管と下流側の排気管にそれぞれ接続される排気熱回収装置において、前記排ガスと熱交換を行う冷却媒体が循環する冷却媒体流路と、前記排ガスの熱交換流路と、を有する熱交換部と、前記排ガスを上流側の排気管から前記熱交換部に流れずに前記下流側の排気管から流れる主排気流路を形成する主排気流路部と、前記排ガスを前記熱交換流路から吸気側の排ガス再循環装置側に流す再循環流路を形成するEGR配管と、前記熱交換流路と前記主排気流路とに前記排ガスを振り分ける切換えバルブと、を備え、前記熱交換部に前記冷却媒体流路接続用の冷却媒体入口管と冷却媒体出口管がそれぞれ設けられ、前記冷却媒体入口管と前記冷却媒体出口管及び前記EGR配管は、前記上流側の排気管側にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、熱交換部の冷却媒体入口管と冷却媒体出口管及びEGR配管を上流側の排気管側にそれぞれ配置したことにより、装置の全長を短くすることができて小型化を図ることができ、かつ、車両の搭載性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の排気熱回収装置を示す斜視図である。
図2】上記排気熱回収装置の平面図である。
図3】上記排気熱回収装置の排熱回収モード時の断面図であり、(a)は図2中A-A線に沿う断面図、(b)は図2中B-B線に沿う断面図である。
図4】上記排気熱回収装置の排ガス再循環モード時の断面図であり、(a)は図2中A-A線に沿う断面図、(b)は図2中B-B線に沿う断面図である。
図5】上記排気熱回収装置の排熱非回収モード時の断面図であり、(a)は図2中A-A線に沿う断面図、(b)は図2中B-B線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態の排気熱回収装置を示す斜視図、図2は排気熱回収装置の平面図、図3は排気熱回収装置の排熱回収モード時の断面図であり、図3(a)は図2中A-A線に沿う断面図、図3(b)は図2中B-B線に沿う断面図、図4は排気熱回収装置の排ガス再循環モード時の断面図であり、図4(a)は図2中A-A線に沿う断面図、図4(b)は図2中B-B線に沿う断面図、図5は排気熱回収装置の排熱非回収モード時の断面図であり、図5(a)は図2中A-A線に沿う断面図、図5(b)は図2中B-B線に沿う断面図である。
【0012】
図1に示すように、排気熱回収装置10は、排ガス再循環装置(EGR)を備えたエンジン(内燃機関)55から排出される排ガスGが流れる上流側の排気管18と下流側の排気管19にそれぞれ接続される装置本体11を有し、排ガスGの熱を回収すると共に、排ガスGをエンジン55へ再循環させるための装置であり、図3に示す排ガスGの熱回収を行う排熱回収モードと、図4に示す排ガスGをエンジン55へ再循環させる排ガス再循環モードと、図5に示す熱回収を行わない排熱非回収モードと、を有する。
【0013】
図1図5に示すように、排気熱回収装置10の装置本体11は、排ガスGをガス導入口21からガス排出口22に流す排ガス主排気流路23を形成する主排気流路部20と、排ガスGが主排気流路部20から分岐して冷却水(冷却媒体)Wと熱交換を行う冷却媒体の冷却媒体流路32と排ガスGの熱交換流路33を形成する熱交換器31を有する熱交換部30と、この熱交換部30の熱交換流路33の下流側と主排気流路23を結ぶ熱交換部30下流側のガス流路41を形成する合流部40と、この合流部40に流れる排ガスGを吸気側のエンジン55に流す再循環流路51を形成するEGR配管50と、主排気流路23と熱交換流路33とに排ガスGを振り分ける切換えバルブ60と、を備えている。
【0014】
切換えバルブ60と図示しない排ガス再循環装置側に設けられたバルブより排ガスGの流れモードが以下のように切換する。
【0015】
排熱非回収モード時に、主排気流路23と熱交換流路33が開放されて、熱交換部30下流側のガス流路41と再循環流路51が閉じられる。排熱回収モード時に、主排気流路23と再循環流路51が閉じられて、熱交換流路3と熱交換部30下流側のガス流路41が開放される。排ガス再循環モード時に、主排気流路23と熱交換部30下流側のガス流路41が閉じられて、熱交換流路33と再循環流路51が開放される。
【0016】
図1図2に示すように、装置本体11は、一側面の下段側に位置して主排気流路23を成す第1筐体12と、この第1筐体12上(一側面の上段側)に位置して合流部40を成す第2筐体13と、これら第1筐体12及び第2筐体13に併設され、他側面側に位置して熱交換部30を成す第3筐体14と、第2筐体13と第3筐体14の各上面開口側を覆って各筐体13,14をブロック状に組み付ける上蓋部15(尚、第2筐体13と上蓋部15は一体部品でも良い)と、第1筐体12と第3筐体14の各下面開口側を覆って各筐体12,14をブロック状に組み付ける下蓋部16(尚、下蓋部16は2分割でも良い)と、で構成されている。尚、第3筐体14の側面には、後述するアクチュエータ65をボルト66とナット67を介して締結固定するアクチュエータ取付用筐体17が取り付けられている。
【0017】
図1に示すように、主排気流路23のガス導入口21とガス排出口22は円筒状に形成されていると共に、ガス導入口21とガス排出口22以外の主排気流路23は四角筒状或いは円筒状に形成されている。そして、ガス導入口21には上流側の排気管18が接続され、ガス排出口22には下流側の排気管19が接続される。
【0018】
図3(b)、図4(b)、図5(b)に示すように、熱交換部30の冷却水(冷却媒体)Wが循環する冷却媒体流路32と排ガスGの熱交換流路33とで熱交換器31になっている。
【0019】
また、図1図5に示すように、熱交換部30には、冷却媒体流路32の上流端側に接続される冷却媒体入口管34と、冷却媒体流路32の下流端側に接続される冷却媒体出口管35がそれぞれ設けられている。熱交換器31は、例えばアルミ材などの複数枚金属板より積層配置で構成され、筐体12の排ガスGの流れ方向に対して熱交換部30の中に縦置き配置している。そして、冷却媒体入口管34から流入した冷却水(冷却媒体)Wが、図3(b)に示すように、熱交換部30の中に排ガスGの流れ方向(熱交換器31の下側から上側に指す矢印)と同じ流れ方向で熱交換器31の下側から上側に流れながら排ガスGと熱交換を行い、冷却媒体出口管35より流出する。これら冷却媒体入口管34と冷却媒体出口管35及びEGR配管50は、装置本体11の前面側である上流側の排気管18側にそれぞれ配置されている。さらに、EGR配管50は、熱交換部30より排ガスGの下流側に配置されている。つまり、装置本体11の前面側から見た時に、冷却媒体入口管34と冷却媒体出口管35が筐体12の入口部分の右側に縦並びに配置してあると共に、EGR配管50が筐体12のガス導入口12の上側に配置してある。詳述すると、主排気流路23の排ガスGの流れ方向から装置本体11を見たときに、熱交換部30は、主排気流路部20を囲むように水平領域と垂直領域を有するコ字状となっており、EGR配管50の合流部40の接続位置は、主排気流路部20と縦配置になって、コ字状の水平領域にあり、冷却媒体入口管34と冷却媒体出口管35の熱交換部30との接続位置は、お互い縦配置になって、コ字状の垂直領域にある。
【0020】
さらに、図3(b)に示すように、熱交換部30には、排ガスGが主排気流路23から熱交換流路33に流入する熱交換部ガス流入部37と、排ガスGが熱交換流路33から合流部40に流出する熱交換部ガス流出部38とがそれぞれ設けられている。この熱交換部ガス流入部37は、冷却媒体入口管34側(下側)に配置され、熱交換部ガス流出部38は、冷却媒体出口管35側(上側)に配置されている。図3(a),(b)に示すように、熱交換部30の一部は主排気流路23の下側まで延びていて、熱交換部30の熱交換部ガス流入部37の入口部36と主排気流路23の下側に形成された開口部24とは連通している。さらに、熱交換部30の上部は熱交換部ガス流出部38を介して合流部40と連通している。
【0021】
図1図3図5に示すように、主排気流路部20を成す第2筐体13の前面には、再循環流路51を形成するEGR配管50が設けられている。このEGR配管50の先端には、エンジン55から延びる排気管53を接続するための取付フランジ52が取り付けられている。
【0022】
さらに、図3(a)、図4(a)、図5(a)に示すように、主排気流路23と合流部40のガス流路41の下流側の合流位置には、連通口25,45がそれぞれ設けられている。これら各連通口25,45と主排気流路23を切換えバルブ60により開閉することで、排ガスGが主排気流路23と熱交換流路33とに振り分けられるようになっている。
【0023】
図3(a)、図4(a)、図5(a)に示すように、切換えバルブ60は、主排気流路23を開閉するバタフライバルブ部61と、主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45を開閉するシャッタバルブ部62と、を有している。このバタフライバルブ部61とシャッタバルブ部62とは、折り曲げ形成等により所定の間隔を有して平行に設けられている。また、バタフライバルブ部61はシャッタバルブ部62より大形に形成されている。このバタフライバルブ部61より小形のシャッタバルブ部62が主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45を閉じると、大形のバタフライバルブ部61が主排気流路23を開くようになっている。そして、バタフライバルブ部61の中央に固定された駆動軸63がアクチュエータ65により回動することにより、切換えバルブ60が揺動するようになっている。この切換えバルブ60の揺動により、図3(a)に示すように、バタフライバルブ部61で主排気流路23が閉状態の場合に、シャッタバルブ部62が主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45を開状態にし、また、図4(a)及び図5(a)に示すように、バタフライバルブ部61で主排気流路23が開状態の場合に、シャッタバルブ部62が主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45を閉状態に切換えるようになっている。
【0024】
以上実施形態の排気熱回収装置10によれば、図3(a),(b)に示すように、排熱回収モードでは、切換えバルブ60のバタフライバルブ部61で主排気流路23が全閉され、切換えバルブ60のシャッタバルブ部62で主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45が全開されている。この状態で、エンジン55から排出されて上流側の排気管18より流れて来た排ガスGは、主排気流路23の下側の開口部24から熱交換部ガス流入部37に流れ、熱交換部ガス流入部37から熱交換器31と熱交換部ガス流出部38を通り、熱交換部ガス流出部38から合流部40のガス流路41を経由して、合流部40のガス流路41と主排気流路23の各連通口45,25から主排気流路23を通って下流側の排気管19へ流れる。そして、エンジン55から排出された排ガスGが熱交換器31の熱交換流路33を通る際に、熱交換器31の冷却媒体流路32を通る冷却水Wとの熱交換が行われて排熱が回収される。
【0025】
また、図4(a),(b)に示すように、排ガス再循環モードでは、切換えバルブ60のバタフライバルブ部61で主排気流路23が全開され、切換えバルブ60のシャッタバルブ部62で主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45が全閉されている。この状態で、エンジン55から排出されて上流側の排気管18より流れて来た排ガスGは、バタフライバルブ部61で全開されている主排気流路23を通って下流側の排気管19へ流れる。この際、EGR配管50とエンジン55を接続する排気管53に設けられた図示しないバルブを開状態にすると、排気管53側の負圧により、一部の排ガスG1が主排気流路23の下側の開口部24から熱交換部ガス流入部37に流れ、熱交換部ガス流入部37から熱交換器31と熱交換部ガス流出部38を通り、熱交換部ガス流出部38から合流部40のガス流路41を経由して、EGR配管50の再循環流路51に流れる。これにより、熱交換器31で冷却水Wとの熱交換が行われて排熱が回収されると共に、エンジン55に排ガスG1が再循環されて燃費の改善が図られる。
【0026】
さらに、図5(a),(b)に示すように、排熱非回収モードでは、切換えバルブ60のバタフライバルブ部61で主排気流路23が全開され、切換えバルブ60のシャッタバルブ部62で主排気流路23と合流部40のガス流路41の各連通口25,45が全閉されている。この状態で、エンジン55から排出されて上流側の排気管18より流れて来た排ガスGは、バタフライバルブ部61で全開されている主排気流路23を通って下流側の排気管19へ流れる。この際、排ガスGは熱交換器31の熱交換流路33を通らないため、排熱は回収されない。さらに、排気管53に設けられたバルブは閉状態であるため、排ガスGは、EGR配管50の再循環流路51からエンジン55へ再循環しない。
【0027】
また、排気熱回収装置10によれば、図1に示すように、熱交換部30の冷却媒体入口管34と冷却媒体出口管35及びEGR配管50を上流側の排気管18側にそれぞれ配置し、また、切換えバルブ60を駆動させるアクチュエータ65を装置本体11の熱交換部30を成す第3筐体14の側面に取り付けたことにより、装置の全長及び横幅を短くすることができて小型化を図ることができ、かつ、車両の搭載性を向上させることができる。
【0028】
また、熱交換部30の熱交換流路33の開口面積が広く取れるため、通気抵抗を低くできる。さらに、切換えバルブ60がバタフライバルブ部61とシャッタバルブ部62を有しているため、スペースを有効に活用することができ、主排気流路23のみで対応が可能である。
【0029】
さらに、熱交換部30とアクチュエータ65を隣接して配置することで、排ガスエネルギーが高く高温のエキゾーストマニホールド直下の位置でも搭載が可能になる。また、排ガス温度が高い部分を効率的に冷却することができ、熱交換器31の耐沸騰性を向上させることができる。
【0030】
尚、前記実施形態によれば、冷却媒体として冷却水を用いたが、冷却媒体は冷却水以外でも良い。
【符号の説明】
【0031】
10 排気熱回収装置
11 装置本体
18 上流側の排気管
19 下流側の排気管
20 主排気流路部
21 ガス導入口
22 ガス排出口
23 主排気流路
24 開口部
25 連通口
30 熱交換部
32 冷却媒体流路
33 熱交換流路
34 冷却媒体入口管
35 冷却媒体出口管
37 熱交換部ガス流入部
38 熱交換部ガス流出部
40 合流部
41 熱交換部下流のガス流路
45 連通口
50 EGR配管
51 再循環流路
55 排ガス再循環装置(EGR)を備えたエンジン(内燃機関)
60 切換えバルブ
61 バタフライバルブ部
62 シャッタバルブ部
63 駆動軸
G,G1 排ガス
W 冷却水(冷却媒体)
図1
図2
図3
図4
図5