(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20221227BHJP
B62K 25/04 20060101ALI20221227BHJP
B60G 21/05 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K25/04
B60G21/05
(21)【出願番号】P 2019541423
(86)(22)【出願日】2018-03-02
(86)【国際出願番号】 IB2018051348
(87)【国際公開番号】W WO2018158743
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】102017000024189
(32)【優先日】2017-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-030745(JP,A)
【文献】特開2014-237362(JP,A)
【文献】特開2007-245887(JP,A)
【文献】特開平03-074215(JP,A)
【文献】国際公開第2014/046280(WO,A1)
【文献】特開2006-347406(JP,A)
【文献】特開2016-175440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/10
B62K 25/04
B60G 21/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法であって、
前記モータビークルは、
前方フレーム(16)と、
ロール回転運動学機構(20)により相互且つ前記前方フレーム(16)に運動学的に接続される少なくとも1対のフロントホイール(10’,10’’)と、
2つの前記フロントホイール(10’,10’’)のロール回転を止めるように構成されているロールブロックシステム(100)とを備えており、
前記ロールブロックシステム(100)は、前記ロール回転運動学機構(20)に直接的又は間接的に作用しており、
前記方法は、
前記モータビークルを駆動すると生じ、前記ロール回転運動学機構(20)の交互のジャンピングを生じる共振を検知するステップaとを備え、
前記ステップaは、前記ロール回転運動学機構(20)の共振があることに関連する能動的な共振信号と、前記ロール回転運動学機構(20)の共振がないことに関連する受動的な共振信号とを選択的に生じており、
前記方法は、
前記能動的な共振信号があるとき、前記ロールブロックシステム(100)を作動するステップbと、
前記受動的な共振信号があるとき、前記ロールブロックシステム(100)をニュートラルに保つステップb’とを備えることを特徴としており、
前記ロールブロックシステム(100)を作動する前記
ステップbは、前記共振を減衰するように構成されており、前記共振を無効にするまで、前記ロール回転運動学機構(20)と前記フロントホイール(10’,10’’)の交互のジャンピングの漸進的減衰をもたらして、
前記ステップaは、前記フロントホイール(10’,10’’)及び/又は前記ロール回転運動学機構(20)に配置されている少なくとも1つのセンサ(81),(82)により実施されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ステップbは、前記ロールブロックシステム(100)を断続的に作動するステップであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップbが、前記ステップaにおいて検知される前記能動的な共振信号が持続する時間の全体に渡って引き伸ばされるため、
前記ステップaと前記ステップbは、前記ロール回転運動学機構(20)の前記共振の完全な減衰を得るように、前記能動的な共振信号が持続する限り、1つのループで繰り返されることを特徴とする、請求項1又は2の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ステップaは、前記フロントホイール(10’,10’’)及び/又は前記ロール回転運動学機構(20)の前記共振を測定するステップcを備えることを特徴とする、請求項1~3の少なくともいずれかに記載のモータビークル。
【請求項5】
前記ステップcは、
前記フロントホイール(10’,10’’)に取り付けられているセンサ(81)により、前記フロントホイール(10’,10’’)における前記共振を測定するサブステップc1と、
前記ロール回転運動学機構(20)に取り付けられているセンサ(82)により、前記ロール回転運動学機構(20)における前記共振を測定するサブステップc2の少なくとも1つを備えており、
前記センサ(81),(82)は、対応する応答信号(81a,82a)を生じるように構成されており、
前記ステップcは、前記センサ(81),(82)により生じる前記応答信号(81a,82a)を処理するサブステップdを備えており、
前記サブステップdにより、前記ロール回転運動学機構(20)の共振があることに関連する前記能動的な共振信号と、前記ロール回転運動学機構(20)の共振がないことに関連する前記受動的な共振信号との間を区別するため、所定のフィルタリングロジックを当てはめることを特徴とする、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記フロントホイール(10’,10’’)及び/又は前記ロール回転運動学機構(20)に取り付けられている前記センサ(81),(82)は、
加速度計、
ロール回転を確認するため、前記ロール回転運動学機構(20)と前記前方フレーム(16)との間に配置され、線形変位センサ及び/又は角度変位センサに取り付けられている角度ポテンショメータ、
及びその組み合わせから選択される、少なくとも1つのセンサを備えることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フロントホイール(10’,10’’)に取り付けられている前記センサ(81)は、それぞれの前記フロントホイール(10’,10’’)に対して少なくとも1つの加速度計を備えることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
振動測定の前記サブステップc1,c2は、少なくとも20Hzよりも大きい、好ましくは50,100Hz、より好ましくは100Hzよりも大きい信号取得の周波数で行われることを特徴とする、請求項5~7の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ステップcは、サスペンション(90)に取り付けられているセンサ(83)により、前記サスペンションにおける前記共振を測定するサブステップc3を備えており、
前記サブステップc3は、前記サブステップc1,c2の少なくとも1つと組み合わせて、作動されることを特徴とする、請求項5~8の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記サスペンションに取り付けられている前記センサ(83)は位置センサを備えることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記サブステップdは、前記サブステップc1,c2の少なくとも一方において生じる前記
応答信号(81a,82a)と、前記サブステップc3において、前記サスペンションの振動の前記センサ(83)により生じる信号を得ることにより行われ、
前記所定のフィルタリングロジックは、前記サスペンション(90)の圧縮につながる前記サスペンションの振動現象を前記ロール回転運動学機構の共振に関係しないように分類することを特徴とする、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
2つの前記フロントホイール(10’,10’’)の前記ロールブロックシステム(100)は、前記ロール回転運動学機構(20)を直接又は間接的に止めた状態で作動して、前記ロール回転運動学機構(20)の連続且つ非離散的な停止動作及び/又は減衰動作を与えるように構成されている装置を備えることを特徴とする、請求項1~11の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記ロールブロックシステム(100)を断続的に作動する前記ステップbは、停止周波数の調整に基づく介入の所定の計画に応じて行われることを特徴とする、請求項1~12の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記所定の介入の計画は、停止させる周波数と強度の調整に基づくことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップbにおける、前記ロールブロックシステム(100)の作動は、モータビークルを駆動させるとき、ロール回転を完全に停止しないように、周波数及び可能であれば強度で調整され、
前記ロールブロックシステム(100)の断続的な作動は、前記ビークルの駆動ダイナミクスを
変わらないように保つため、ロール回転の速度低下だけを効果として有することを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップaと前記ステップbは、前記モータビークルの電子制御ユニット(80)に搭載されるプログラムにより、自動的に作動するように行われることを特徴とする、請求項1~15の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記ロール回転運動学機構(20)は、多関節四角形のシステムから構成されていることを特徴とする、請求項1~16の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記フロントホイール(10’,10’’)の前記ロールブロックシステム(100)は、前記ロール回転運動学機構(20)に直接作用することを特徴とする、請求項1~17の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記ロールブロックシステム(100)は、多関節四角形のシステムの構造を止める解除可能な手段を備えることを特徴とする、請求項17と18に記載の方法。
【請求項20】
前記フロントホイール(10’,10’’)の前記ロールブロックシステム(100)は、前記ロール回転運動学機構(20)に間接的に作用することを特徴とする、請求項1~17の少なくともいずれかに記載の方法。
【請求項21】
それぞれの前記フロントホイール(10’,10’’)は、それぞれの車軸ジャーナル(50)により前記ロール回転運動学機構(20)に接続されており、
前記車軸ジャーナルは、ホイールの回転ピン(51)に機械的に接続されることで、回転軸(R-R)周りに回転自在に前記回転ピン(51)を支持しており、
前記モータビークルは、サスペンション手段(90)を備えており、
前記サスペンション手段(90)は、前記ロール回転運動学機構(20)に対する少なくとも1つのばねの動きをそれぞれの前記車軸ジャーナル(50)に対して保証しており、
前記ロールブロックシステム(100)は、第2の運動学機構(110)を備えており、
前記第2の運動学機構は、
それぞれの前記車軸ジャーナル(50)において、2つの前記フロントホイール(10’,10’’)をヒンジ手段により直接接続し、
前記第2の運動学機構(110)が、駆動ダイナミクスに対して、2つの前記ホイール(10’,10’’)の相互且つ前記前方フレーム(16)に対する動きに受動的且つ明確に従う自由構造と、
前記第2の運動学機構(110)が、接地面に対して、少なくとも1つのホイールの平面により形成される角度を妨げる停止構造との少なくとも2つの異なる構造をとるように構成されていることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比するシステムであって、
前記モータビークルは、
前方フレーム(16)と、
ロール回転運動学機構(20)により相互且つ前記前方フレーム(16)に運動学的に接続される少なくとも1対のフロントホイール(10’,10’’)と、
2つの前記フロントホイール(10’,10’’)のロール回転を止めるように構成されているロールブロックシステム(100)とを備えており、
前記ロールブロックシステム(100)は、前記ロール回転運動学機構(20)に直接的又は間接的に作用しており、
前記システムは、
前記モータビークルを駆動すると生じ、前記ロール回転運動学機構(20)の交互のジャンピングを生じる共振を検知するステップaのように構成されているプログラム手段を備え、
前記ステップaは、前記ロール回転運動学機構(20)の共振があることに関連する能動的な共振信号と、前記ロール回転運動学機構(20)の共振がないことに関連する受動的な共振信号とを選択的に生じており、
前記システムは、
前記能動的な共振信号があるとき、前記ロールブロックシステム(100)を作動するステップbと、
前記受動的な共振信号があるとき、前記ロールブロックシステム(100)をニュートラルに保つステップb’のように構成されているプログラム手段を備えており、
前記ロールブロックシステム(100)を作動する前記ステップbは、前記共振を減衰するように構成されており、前記共振を無効にするまで、前記ロール回転運動学機構(20)と前記フロントホイール(10’,10’’)の交互のジャンピングの漸進的減衰をもたらして、
前記ステップaは、前記フロントホイール(10’,10’’)及び/又は前記ロール回転運動学機構(20)に配置されている少なくとも1つのセンサ(81),(82)により実施されることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法に関する。
【0002】
特に、本発明に記載の方法は、2つのステアリング用及びロール回転用ホイールを前方に、且つ後方に固定されている車軸に設けられている後方側駆動輪を備えるモータビークルにおいて実施され得る。
【背景技術】
【0003】
ロール回転するモータビークルにおいて、「ジャンピング」という用語は、2つのフロントホイールのロール回転を確実にするロール回転機構の共振により生じる、ロール回転するフロントホイールの交互の振動を示す。
【0004】
一般的に、このロール回転機構の共振は、路面形状、例えば穴、またブレーキにより生じ、及び/又は与えられ、且つ接地面に対するホイールの角度、及びロール回転とステアリングにより影響される。
【0005】
この状況において、ロール回転する車両は、ロール回転に適切な減衰を有していないとき、ショックアブソーバが作動しない間、ロール回転する2つのフロントホイールの交互のジャンピングを発達させ得る。したがって、ショックアブソーバは、その現象を減衰する助けにならない。
【0006】
この現象は、適切に対抗されない、又は制御されない場合に始まると、特に大きな速度で起こるとき、極めて危険になり得る。このとき、制御されないジャンピングが、モータビークルの制御の損失を、極端な場合、フレームの破壊を引き起こし、潜在的に非常に重大な影響をドライバの安全にもたらす。
【0007】
モータビークルは、ロール回転周りに大きな慣性モーメントを有してロール回転するフロントホイールを備えるとき、ジャンピングする傾向がほとんどない。これは、例えば、ホイールの間の荷重を伝えるロール回転運動学機構(ロッカーアーム)が、ロール回転する多関節四角形から構成されている、ロール回転するモータビークルに関する場合である。このロール回転する多関節四角形は車両自体の部分に係る。これにより、共振を妨げるホイールの動きの遅れが導入される。
【0008】
したがって、ジャンピング現象が始まることを対比する、考えられる第1の方法は、ロール回転周りの慣性モーメントを増加させることから構成されており、ジャンピングの共振を生じる虞を減らす。
【0009】
第2の有効な方法は、接地面に対して水平なブレーキ力により共振を生じる場合、跳躍/ロール回転におけるホイールの軌跡が、できる限り垂直で、水平方向の力から分離されていることを確実にする。これは、前方部にあるブレーキにより、ブレーキをかけられている車両が接地面に対して平行に近づくような値で、ロール回転する四角形のヒンジ部を傾けることにより得られる。
【0010】
別の方法は、モータビークルの構造についてヨー回転の剛性を変えることにより、車両の通常の作動状態からジャンピングの共振を取り除くことである。このような方法で、そのような現象が起こる虞が減少する。この技術的な解決方法において、補強バーが用いられ、ジャンピング現象を減らすため、所定の領域で静的な補強を形成するようにフレームの一部に接続する。
【0011】
特に、車両の参照システムにおいて、ヨー回転は、接地面に対する垂直軸周りの回転として定められている。したがって、ヨー回転の剛性を大きくすることにより、(両方のホイールに与えられる異なる荷重にも等しい)単一のホイールに与えられる長手方向の力のモーメントにより生じる(所定の値の範囲内で、伸縮する、又は力がなくなるとき、解除されるような)変形を減少させる。ジャンピングは、ホイールが、その支持部の変形において、サスペンションの向きに動く最小の差異を得るため、ヨー回転の変形に関連し、ロッカーアームが減衰を有していないため、反対側のホイールにおいて等しい力を生じる。したがって、剛性を大きくすることは、一度起きるジャンピングを解除しない一方、ヨー回転の変形に関する周波数を大きくすることによる変形を防ぐ。
【0012】
また、液圧ダンパに対する介入に関する方法も考えられる一方、複雑すぎて実施できず、一般的にあまり効果的でない。実際に、ジャンピングはロール回転機構の振動を原因とする。ショックアブソーバは、このロール回転機構に大きな影響を与えられない。実際に、ジャンピングが生じるとき、ホイールは、ロール回転する四角形の上流側のサスペンション全体と共に動く。したがって、ショックアブソーバの特性を変えることは現象に悪影響を与えない。また、この場合、ジャンピングは四角形の振動である。この四角形は、厳密に動くホイールとサスペンションアセンブリから構成されている反対側の部分において「見える」。このショックアブソーバは、振動の間、長さが変わらず、力に関して応答を変えない。したがって、ショックアブソーバのばねと液圧の特性に対するいかなる変更も無用である。
【0013】
一般的に、従来では、ロール回転するモータビークルにおいて導入される、すべてのアンチジャンピングの方法は、ロール回転運動学機構の共振と、結果として生じるジャンピング現象を防ぐことを目的としている。
【0014】
(一方、遠隔で)ジャンピングの共振が始まる場合、ジャンピングが危険なホイールの交互のジャンピングに変わることを防ぐことはできない。この場合、モータビークルの(難しい)制御はドライバの能力に委ねられる。
【0015】
ロール回転するモータビークルの分野において、ロール回転するモータビークルのジャンピングに対抗するための方法を特定し、実施する必要がある。この方法は、ロール回転の共振が生じた後、ロール回転運動学機構の振動を減衰するように、モータビークル制御システムにより自動的に、又はドライバの意思決定により導入され、ジャンピングが危険なホイールの交互のジャンピングに変わることを防ぎ得る。
【発明の概要】
【0016】
したがって、本発明の目的は、3輪又は4輪のロール回転するモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法を提供することにより、上述の先行技術の欠点を取り除く、又は少なくとも減らすことである。この方法により、ロール回転運動学機構の振動が始まり、フロントホイールの交互のジャンピングを結果として生じるとき、モータビークルの制御の損失を生じるような強度を負う前に、そのようなジャンピング現象を減衰することができる。
【0017】
本発明の別の目的は、作動可能な信頼性があり、容易に実施できる、3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の技術的特徴が以下の請求項の内容において明確に示され得る。また、本発明の利点は、単に代表的で非限定的な1つ以上の実施形態を示す添付図面を参照して説明される詳細な記述において明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明に記載のジャンピングを対比する方法が実施され得る、ロール回転するモータビークルの例の正面図を示す。そのようなモータビークルは、ロール回転運動学機構に直接影響するロールブロックシステムを備える。
【
図2】
図2は、本発明に記載のジャンピングを対比する方法が実施され得る、ロール回転するモータビークルの例において、前方部の斜視図を示す。そのようなモータビークルは、ロール回転する2つのフロントホイールの車軸ジャーナルに作用することにより、ロール回転運動学機構に間接的に影響する共通事項を有するロールブロックシステムを備える。
【
図3】
図3は、本発明に記載のジャンピングを対比する方法が実施され得る、ロール回転するモータビークルの他の例において、前方部の斜視図を示す。そのようなモータビークルは、ロール回転する2つのフロントホイールの車軸ジャーナルに作用することにより、ロール回転運動学機構に間接的に影響する共通事項を有する他のロールブロックシステムを備える。
【
図4】
図4は、本発明に記載のジャンピングを対比する方法が実施され得る、ロール回転するモータビークルの他の例において、前方部の斜視図を示す。そのようなモータビークルは、ロール回転する2つのフロントホイールの車軸ジャーナルに作用することにより、ロール回転運動学機構に間接的に影響する共通事項を有する他のロールブロックシステムを備える。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法に関する。
【0020】
本発明の目的に対して、モータビークルという用語は、広い意味で考慮されるべきであることが重要であり、少なくとも3つのホイール、すなわち2つのフロントホイールと少なくとも1つのリヤホイールを有するいずれかのモータビークルを含む。したがって、モータビークルの定義は、2つのホイールを前方部に、また2つのホイールを後部に備える、いわゆるクアッドも含む。
【0021】
特に、本発明に記載の方法は、2つのステアリング用及びロール回転用フロントホイールと、後方に固定されている車軸に設けられている後方側駆動輪とを備えるモータビークルにおいて実施され得る。
【0022】
一般的に、添付図面に示すように、本発明に記載の方法は、ロール回転するモータビークルにおいて実施され得る。
このモータビークルは、
前方フレーム16と、
且つロール回転運動学機構20により相互且つ前方フレーム16に運動学的に接続される少なくとも1対のフロントホイール10’,10’’と、
2つのフロントホイール10’,10’’のロール回転を止めるように構成されているロールブロックシステム100とを備える。
【0023】
このロールブロックシステム100は、ロール回転運動学機構20に直接的又は間接的に作用する。
【0024】
ロール回転運動学機構20は、フロントホイールが同期してロール回転することを確実にするように機能するならば、いずれかの構成を有してもよい。
【0025】
特に、そのようなロール回転運動学機構は、多関節四角形のシステムとして構成されているシステムであってもよい。代替として、例えば、ロール回転運動学機構は、懸架されている長手方向のアームシステムであってもよい。
【0026】
特に、添付図面に示すロール回転するモータビークルは、すべて、多関節四角形のシステムから構成されているロール回転運動学機構を備える。
【0027】
より詳細には、
図1~4に示すように、そのような多関節四角形のシステムは、中央ヒンジ部28で前方フレーム16に可動するように取り付けられている1対のクロスメンバ24を備える。クロスメンバ24は、両横端部40,44において、横ヒンジ部52で回転する直立部48により互いに接続されている。クロスメンバ24と直立部48は上記多関節四角形20を形成する。サスペンションとホイール軸受の車軸ジャーナルはロール回転運動学機構の多関節四角形20の直立部48に機械的に取り付けられている。
【0028】
図1に示す、ロール回転するモータビークルは、欧州登録特許1561612号に特に記載されている。ロール回転するモータビークルは、多関節四角形構造と2つの独立フロントサスペンション200を有するロール回転運動学機構20を備える。ロールブロックシステム100は機械的クランプ101を備える。この機械的クランプ101は、多関節四角形20のクロスメンバ24に固定されているブレーキディスク102の扇形部に作用しており、多関節四角形の動きを止め、ロール回転が許容されることを防ぐように、ディスク扇形部102に係合して作動され得る。また、ロールブロックシステム100は2つの液圧クランプ103を備える。この2つの液圧クランプ103は、2つのホイールの非対称サスペンションによりロール回転を防ぐように、電気モータにより同時に作動され、ショックアブソーバ200と平行に位置するロッド104に作用する。この場合、ロールブロックシステム100はロール回転運動学機構20に直接作用する。
【0029】
図2~4に示す、ロール回転するモータビークルは、特に、伊国特許102015000088087号、伊国特許102015000088090号、伊国特許102015000088097号にそれぞれ記載されている。
【0030】
より詳細には、これら3つのモータビークルは、それぞれ、多関節四角形構造を有するロール回転運動学機構20を備える。
図1に示すモータビークルと異なり、
図2~4に示すモータビークルのロールブロックシステム100は、ロール回転運動学機構20に直接作用しない一方、モータビークルのロール回転する構造に加えられ、目的に対して特に意図されている要素に間接的に作用する。より詳細には、そのような追加要素は、2つのロール回転するホイールの車軸ジャーナル50の間の直接相互接続要素から構成されており、モータビークルのフレームから機械的に取り外される。ホイールの「車軸ジャーナル」は、ホイール自体の回転ピンを支持することを意図され、サスペンション、ステアリング装置、及び特定の場合、ロール回転運動学機構に運動学的に相互接続されるモータビークルの機械的な部分である。車軸ジャーナルは、軸受を通してホイールを支持するホイールピン51と運動学的に一体になり得る。この場合、車軸ジャーナルは、ホイールピン51と一体になる、又は一体になるようにホイールピン51に機械的に拘束されている。代替として、車軸ジャーナルは、軸受を通してホイールを支持するホイールピンと運動学的に一体になり得る。
【0031】
サスペンションにより誘発される効果から運動学的に解除されるようなロールブロックシステムは、追加要素に作用するだけで、2つのロール回転するホイールの非対称ばねの動きにより生じるロール回転を含む、すべてのロール回転を止めることができる。
【0032】
より詳細には、
図2に示す、(先行文献として本明細書に援用されている)伊国特許102015000088087号に記載されているロール回転するモータビークルにおいて、ロールブロックシステム100は伸縮ロッド110から構成されている。この伸縮ロッド110は、2つの端部において、球面間接に相当するヒンジ手段111により2つのフロントホイールの車軸ジャーナルを互いに直接接続する。ロール回転を止めることは、(
図2に示す)バンドブレーキ又はドラムブレーキ120のような専用の作動装置により、少なくとも1つの端部においてロール回転面における伸縮ロッド110の回転角度を妨げることで達成される。ロックされているロッド110は2つのホイールのロール回転を妨げる。ロールブロックシステム100は、伸縮ロッド110の2つの端部のそれぞれにおいて、2つの作動装置を備えてもよい。「ロール回転面」は、長手方向又はモータビークルの進行方向に直角であり、モータビークルの中心線平面に入射する平面を示す。
【0033】
図2に示すロールブロックシステムとは別である一方、伊国特許102015000088087号に記載されているロールブロックシステムは、2つのフロントホイールの車軸ジャーナル50が、多関節四角形システムを形成するように、単一のロッドではなく、2つの伸縮ロッドにより互いに接続されていることをもたらす。この多関節四角形システムは、ロール回転運動学機構を形成する1つの要素に加えられる。ロール回転を止めることは、機械的クランプにより、追加される多関節四角形のような構造(及び車軸ジャーナルに対する2つのロッドのそれぞれの間接的な回転)を止めることで達成される。この機械的クランプは、2つの伸縮ロッドの内の1つに取り付けられており、他の伸縮ロッドに固定されているブレーキディスクの扇形部に作用する。機械的クランプは、2つの伸縮ロッドの相対的な動きを止めるように、ディスク扇形部に係合して作動され得る。
【0034】
図3に示す、(先行文献として本明細書に援用されている)伊国特許102015000088090号に記載されているロール回転するモータビークルにおいて、ロールブロックシステム100は伸縮ロッド110から構成されている。この伸縮ロッド110は、2つの端部において、球面間接に相当するヒンジ手段111により、それぞれのステアリング軸S-Sにおける2つのフロントホイールの車軸ジャーナル50を互いに直接接続する。この場合、ロール回転を止めることは、ロッド110自体の2つのテレスコープ式結合部112,113に作用するブレーキキャリパ122により、伸縮ロッド110の長さを妨げることで達成される。
【0035】
図4に示す、(先行文献として本明細書に援用されている)伊国特許102015000088097号に記載されているロール回転するモータビークルにおいて、ロールブロックシステム100はロッド110から構成されている。このロッド110は、2つの端部において、球面間接に相当するヒンジ手段により、それぞれのステアリング軸における2つのフロントホイールの車軸ジャーナル50を互いに直接接続する。この場合、ロッド110は、ロール回転を止めることに対する単なる専用の追加要素ではなく、ステアリングシステムの水平ステアリングバーから構成されている。このステアリングバーは、2つのフロントホイールのロール回転平面に実質的に垂直な回転軸Z-Z周りにステアリングコラム300に対して揺動するように、その2つの端部の間の中間点においてステアリングコラム300に可動するように取り付けられている。ロール回転を止めることは、
図4に示すバンドブレーキ、ドラムブレーキ、又はディスクブレーキ120のような専用の作動装置によりステアリングバー110の回転を止めることで達成される。
【0036】
図2,4に示す解決方法において、サスペンション90は、ロール回転運動学機構20に外部から取り付けられている。一方、
図3に示す解決方法において、サスペンション90は、ロール回転運動学機構20を形成する多関節四角形の直立部48に統合されている。
【0037】
上記ロールブロックシステムは単なる例である。一般的に、上記ロール回転運動学機構20に直接又は間接的に影響する2つのフロントホイール10’,10’’のロールブロックシステム100は、ロール回転を止めることに対して機能するならば、いずれの構成を有してもよい。
【0038】
本発明の一般的な実施形態によれば、3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるジャンピングを対比する方法は、以下のステップを備える。
モータビークルを駆動すると生じ、ロール回転運動学機構20の交互のジャンピングを生じる共振を検知するステップa。上記検知のステップaは、ロール回転運動学機構20の共振があることに関連する能動的な共振信号と、ロール回転運動学機構20の共振がないことに関連する受動的な共振信号とを選択的に生じる。
(モータビークルが動く間、)上記能動的な共振信号があるとき、ロールブロックシステム100を作動するステップb。
受動的な共振信号があるとき、上記ロールブロックシステム100をニュートラルに保つステップb’。
【0039】
ロールブロックシステム100を作動するステップは、共振を減衰するように構成されており、上記振動を無効にするまで、ロール回転運動学機構20とフロントホイール10’,10’’の交互のジャンピングの漸進的減衰をもたらす。
【0040】
有利なことに、共振の検知は、ロール回転運動学機構20の共振が所定の動作とその周波数を有するため、予め定められた周波数の間隔で行われ得る。
【0041】
有利なことに、この減衰は、上記検知のステップaに続く能動的な共振信号を生じるステップに対してもたらされる。上記能動的な共振信号があるとき、上記作動ステップbは作動される。
【0042】
能動的な共振信号により、共振現象がロール回転運動学機構又はフロントホイールにあることを検知する信号が示される。
【0043】
したがって、ロールブロックデバイスを作動するステップは、そのような能動的な共振信号があるとき、フィードバックされて行われる。信号がどのようにフィルタリングされるかについての詳細は後述される。
【0044】
好ましくは、上記作動ステップbは、検知ステップaにおいて検知される上記能動的な共振信号が持続する時間の全体に渡って引き伸ばされる。したがって、検知ステップaと作動ステップbは、ロール回転運動学機構20の共振の完全な減衰を得るように、能動的な共振信号が持続する限り、繰り返される。共振が減衰されるとき、検知ステップは、後述する測定ステップを与える。
【0045】
有利なことに、作動ステップは、そのような共振の検知が持続する限り、断続的に行われ、好ましくは引き伸ばされる。
【0046】
作動させるとき、上記ブロックシステムによりロール回転を断続的に止めることにより、そのような振動により生じるフロントホイール10’,10’’の交互のジャンピングの結果として生じる漸進的減衰で、共振により生じるロール回転運動学機構20の振動を止める。
【0047】
ロールブロックシステムの断続的な作動により、モータビークルの駆動に過負荷をかけることはなく、したがって、駆動の感覚を悪化させることはない。
【0048】
特に、ブロックシステム100の断続的な作動だけで、モータビークル自体の駆動の動作をできるだけわずかに妨げるようにロール回転を遅くする。
【0049】
本発明により、先行技術において検討されたものと異なり、ロール回転運動学機構の振動が始まり、フロントホイールの交互のジャンピングを結果として生じた後、介入することができる。したがって、モータビークルの制御の損失を生じるような強度を負う前に、そのようなジャンピング現象を減衰することができる。
【0050】
好ましくは、
図4に概略的に示すように、検知のステップaが、ロール回転運動学機構20及び/又はフロントホイール10’,10’’に配置されている少なくとも1つのセンサ81,82により得られる。
【0051】
好ましくは、上記ステップaは、モータビークルが動く間、回転運動学機構20の上記共振が始まることと経時的に発達することを測定するため、フロントホイール10’,10’’、及び/又はロール回転運動学機構20、並びに可能であればサスペンション90の振動現象を測定するステップcを備える。
【0052】
作動できるように、測定動作のサンプリング周波数は、いずれかの共振を生じる初期ステップにおいてロールブロックシステムの介入を統計的に確実にするような値でなければならない。
【0053】
好ましくは、上記測定ステップcは、モータビークルが動く間、連続して行われる。このように、考えられる共振を検知することが、そのような現象が始まる瞬間のできるだけ近くで一時的に起こることをより容易に確実にすることができる。したがって、ホイールの交互のジャンピングが小さく、ドライバにより制御され得るままで、ロール回転運動学機構20の(上記共振により生じる)振動が、限られた振幅を有するとき、この振動を抑制することができる。また、この振動の減衰は、より効果的で早くなる。
【0054】
特に、「連続的な」測定は、共振の周波数の少なくとも2倍の信号取得(検知)のサンプリング周波数で行われる測定を示す。この共振は、一般的に約10Hzの周波数を有する。
【0055】
本発明に記載の方法の好ましい実施形態によれば、上記測定のステップcは以下のサブステップの内の少なくとも1つを備える。
フロントホイール10’,10’’に取り付けられているセンサ81により、フロントホイール10’,10’’における振動を測定するサブステップc1。
ロール回転運動学機構20に取り付けられているセンサ82により、ロール回転運動学機構20における振動を測定するサブステップc2。
【0056】
特に、測定ステップcはサブステップc1,c2の両方を備えてもよい。
【0057】
上記センサ81,82は、対応する応答信号81a,82aを生じるように構成されている。
【0058】
また、上記ステップcは、上記センサ81及び/又はセンサ82により生じる信号を処理するサブステップdを備える。このサブステップdにより、ロール回転運動学機構の共振に関連する振動現象と、ロール回転運動学機構の共振に関連しない振動現象との間を区別するため、所定のフィルタリングロジックを当てはめる。
【0059】
特に、上記応答信号81a,82aを処理する上記ステップdにより、ロール回転運動学機構20の共振があることに関連する上記能動的な共振信号と、ロール回転運動学機構20の共振がないことに関連する受動的な共振信号との間を区別するため、所定のフィルタリングロジックを当てはめる。
【0060】
好ましくは、振動測定のサブステップc1,c2は、少なくとも20Hzよりも大きい、好ましくは50,100Hz、より好ましくは100Hzよりも大きい信号取得のサンプリング周波数で行われる。
【0061】
システムが、ロール回転運動学機構の共振に関連する振動現象と、ロール回転運動学機構の共振に関連しない振動現象との間を区別する能力を有することは、ジャンピングを対比することに重要でない一方、システム全体の効率に対して全面的により好ましい。この能力がなければ、例えばモータビークルが、起伏のある路面の拡がる範囲で動くことにより、前方部の共振が通常の作動により生じるとき、システムは介入してしまう。
【0062】
有利なことに、フロントホイール10’,10’’及び/又はロール回転運動学機構20に取り付けられているセンサ81,82は、
加速度計、
ロール回転を確認するため、ロール回転運動学機構20とフレーム16との間に配置され、線形変位センサ及び/又は角度変位センサに取り付けられている角度ポテンショメータ、
及びその組み合わせから選択される、少なくとも1つのセンサを備える。
【0063】
好ましくは、フロントホイール10’,10’’に取り付けられているセンサ81は、それぞれのフロントホイール10’,10’’に対して少なくとも1つの加速度計を備える。
【0064】
特に、加速度計と角度ポテンショメータが、それぞれのフロントホイール10’,10’’に取り付けられている実施形態を提供することができる。角度ポテンショメータは、ロール回転を確認するため、ロール回転運動学機構20とフレーム16との間に配置され、線形変位センサ及び/又は角度変位センサに取り付けられている。
【0065】
本発明に記載の方法の全面的に好ましい実施形態によれば、測定のステップcは、サスペンション90に取り付けられているセンサ83により、2つのフロントホイールのサスペンション90における振動を測定するサブステップc3を備える。サブステップc3は、サブステップc1,c2の少なくとも1つと組み合わせて実施される。
【0066】
好ましくは、サスペンション90に取り付けられているセンサ83は位置センサを備える。
【0067】
既に記載されているように、一般的に、ロール回転運動学機構の共振に関連する振動現象(及び危険なジャンピング現象を潜在的に生じ得ること)は、サスペンションの圧縮を全く伴わない。
【0068】
好ましくは、フロントホイール10’,10’’及び/又はロール回転運動学機構20に取り付けられているセンサ81,82により生じる信号を処理するサブステップc1,c2において、ロール回転運動学機構20の共振に付随するサスペンション90の動きに基づくフィルタリングロジックが導入され得る。
【0069】
より詳細には、フィルタリングロジックのように、ロール回転運動学機構の共振に関連しないサスペンションの圧縮と連動する振動現象を分類するロジックが導入され得る。
【0070】
好ましくは、上記処理サブステップdは、サブステップc1,c2の少なくとも一方において生じる信号と、サブステップc3において、サスペンションの振動の検知センサ83により生じる信号を得ること、及び上記フィルタリングロジックを実施することにより行われる。上記所定のフィルタリングロジックは、サスペンションの圧縮につながるサスペンションの振動現象をロール回転運動学機構の共振に関連しないように分類する。
【0071】
したがって、サブステップc3は、起こるとき、サスペンションが作動しないため、それ自体、共振を検知することはできない。
【0072】
一方、サブステップc3は、ホイール及び/又はロール回転運動学機構における検知ステップの信号に関連して、共振現象の有無を区別する役割を有する。
【0073】
好ましくは、2つのフロントホイール10’,10’’のロールブロックシステム100は、ロール回転運動学機構20を止めることにより、直接又は間接的に作動して、ロール回転運動学機構20の連続且つ非離散的な停止動作を与えるように構成されている装置を備える。
【0074】
特に、連続且つ非離散的な停止動作を与え得る装置は、一般的に、摩擦、特にディスクブレーキ、ドラムブレーキ、又はテープブレーキにより作動する停止装置である。
【0075】
一方、離散的な停止動作を与え得る装置は、カップリング形状、特にラチェット又はギヤシステムに基づくすべての停止装置である。そのような装置は、効果的に機能するように、互いに止められる2つの部分が、相対的な動きに実質的に依存せず、基本的に静止していることを必要とするため、共振現象を対比することにあまり効果的でない。ホイールが共振するとき、これは起こらない。このとき、関連する重量と減衰に対して、10Hzよりも大きな桁の周波数がある。また、ロールブロックシステムの構成要素は、相対的な速い動きに依存する。実際に、これは、ラチェット又はギヤロックシステムの介入を防ぐ、又は少なくとも難しくする。
【0076】
好ましくは、ロールブロックシステム100を断続的に作動するステップbは、停止周波数の調整に基づく介入の所定の計画に応じて行われる。
【0077】
有利なことに、所定の介入の計画は、停止させる周波数と強度の調整に基づき得る。
【0078】
上述のように、作動できるように、ステップbにおける、ロールブロックシステム100の作動は、モータビークルを駆動させるとき、ロール回転を完全に停止しないように、周波数及び可能であれば強度で調整される。実際に、ロールブロックシステム100の断続的な作動は、モータビークル自体の駆動ダイナミクスを実質的に変わらないように保つため、ロール回転の速度低下だけの効果を有する。
【0079】
有利なことに、ロールブロックシステム100の種類に応じて、異なる作動方法が停止周波数及び可能であれば停止強度の調整に導入され得る。
【0080】
例えば、(
図4に示すモータビークルの例に示すように)ブロックシステムがディスク扇形部とクランプから構成され、クランプが(例えば金属ケーブルにより)機械的に作動される場合、クランプは、連続的な停止により、車両のロール回転ができるままであるように、例えばPWM(パルス幅変調)制御により連続的な時間で制御され得る。実際に、引き伸ばされるロール回転の停止により、ドライバにより与えられる軌跡の制御を損失する。この制御方法も、例えばテープ又はドラムブレーキから構成され、金属ケーブルにより機械的に作動される他のブロックシステムに導入され得る。
【0081】
ブロックシステムが液圧作動するとき、減衰は、完全なシステムブロックになることなく、油路を偏らせることにより導入され得る。
【0082】
好ましくは、
図4に概略的に示すように、本発明に記載のジャンピングを対比する方法は、モータビークルの電子制御ユニット80により完全に自動的な方法で実施される。
【0083】
特に、ロールブロックシステム100の検知のステップaと作動のステップbの両方は、モータビークルを制御するための上記電子制御ユニット80に搭載されるプログラムにより自動的に行われる。
【0084】
特に、フロントホイール及び/又はロール回転運動学機構の振動現象を測定するステップcは、以下の関連するサブステップにより自動的に実施される。
フロントホイール10’,10’’に取り付けられているセンサ81により、フロントホイール10’,10’’における振動を測定するサブステップc1。
ロール回転運動学機構20に取り付けられているセンサ82により、ロール回転運動学機構20における振動を測定するサブステップc2。
上記センサ81,82により生じる信号81a,82aを処理するサブステップd。このサブステップdにより、ロール回転運動学機構の共振に関連する振動現象と、ロール回転運動学機構の共振に関連しない振動現象との間を区別するため、所定のフィルタリングロジックを当てはめる。
サスペンションに取り付けられているセンサにより、2つのフロントホイールのサスペンションの振動を連続的に測定するステップc3。
または、サブステップc1~c3の組み合わせ。
【0085】
詳細には、サスペンションにセンサを与えるサブステップc3は、2つのサブステップc1,c2のいずれかに統合される必要がある。
【0086】
本発明に記載の方法の代替且つ好ましくない実施形態によれば、唯一の検知ステップaと、特に、フロントホイール及び/又はロール回転運動学機構の振動現象を(関連するサブステップc1~c3により)測定するステップcは、モータビークルの電子制御ユニット80により自動的に行われる。一方、ブロックシステム100の断続的な作動のステップbは、能動的な共振信号を生じることへの反応としてドライバの介入を与えられる。このドライバは電子制御ユニット80により共振の発生に気付く。この場合、第1の構成において、能動的な共振信号は、特殊な音及び/又は光信号装置(例えばダッシュボードにおける警告灯)を作動する。また、ドライバは、ロールブロックシステム100を作動するための手動命令、例えばボタンにより、断続的な作動を行うことを制御し得る。好ましくは、断続的なバージョンにおけるロールブロックシステムの作動は、いずれのときでも、モータビークルの電子制御ユニット80により自動的に管理される。この電子制御ユニット80は、ロールブロックの周波数及び/又は強度を定める。
【0087】
本発明に記載の方法の代替且つ好ましくない別の実施形態によれば、共振を検知するステップaはドライバにより行われる。このドライバは、ドライバの感度に従って、ロールブロックシステム100の断続的な作動のステップbを行うかどうか、及びいつ行うかを決める。
【0088】
この場合、システムは能動的な共振信号を生じない。一方、同じドライバが、駆動中、ドライバの感度に基づいて共振を認識し、共振を減衰するため、ブロックシステムをボタンにより作動させる。
【0089】
(例えば、ロール回転運動学機構の危険な共振を生じることを知らせる、ダッシュボードにおける音及び/又は光警告の作動に従う、又はドライバ自身の評価に対する)ドライバによる手動作動と比べて、完全に自動的な駆動は、より速く、より安全な作動を確実にする。実際に、本発明に記載の方法は、車両走行中、大きな速度であっても、ロールブロックシステムの作動が所定の時間とモードで起こることをもたらす。したがって、時間と作動モードの自動的な制御は、効果的な介入の効率とドライバの安全を確実にするため、全面的により好ましい。
【0090】
有利なことに、アンチジャンピングのためのロールブロックシステムの自動的な作動は、潜在的な危険を管理していることを示すように、ABS又はASRシステムに似ている光及び/又は音警告によりドライバに伝えられ得る。
【0091】
上述のことから、本発明に記載のジャンピングを対比する方法は、共振が始まることを防がず、共振がホイールの危険な交互のジャンピングに変わる前に生じるとすぐに共振を減衰するように、モータビークルのロール回転を確実にする機構における減衰の導入に基づく。介入の方法は、一般的に、ロールバックシステムを備えるロール回転するいずれかのモータビークルにおいて当てはめられてもよく、したがってロール回転運動学機構又はロールバックシステムに応じない。
【0092】
特に、上述のように、本発明に記載の方法は、ロール回転運動学機構20が多関節四角形システムから構成されている、3輪又は4輪のロール回転するモータビークルに当てはめられ得る。
【0093】
2つのフロントホイール10’,10’’のロールブロックシステム100は、(
図1に示すモータビークルと同様に)ロール回転運動学機構20に直接影響し得る。この場合、ロールブロックシステム100は、多関節四角形のシステムの構造を止めるための解除可能な手段を備えており、
図1の例において、ディスクブレーキ101,102から構成されている。
【0094】
本発明の目的に対して、
図1のモータビークルにおいて、ショックアブソーバに平行に影響するロールブロックは、ブレーキディスクに作用する機械的な部分だけで十分であるため、ジャンピングに悪影響を与えず、使用されなくてもよい。
【0095】
より詳細には、
図1に示すモータビークルにおいて、ロールブロックシステムは、ステッピング電気モータを備える。このステッピング電気モータは、金属ケーブルにより、ディスク扇形部102において、ロール回転する多関節四角形を止める機械的クランプ101を作動する。また、ステッピング電気モータは液圧回路のポンプを作動する。この液圧回路は、ショックアブソーバ200と平行に配置されているロッド103を止める2つのクランプを作動する。機械的な不可逆性は、バッテリ電圧を用いることなく、長い停止の間、停止させ続けることを確実にするために必要であり、電気モータのトルクを増加させる小さな機械的なギヤ比により与えられる。また、車両の電動パーキングクランプは、低いバッテリ残量で駐車されるときでも、車両がブレーキをかけられたままにできることを確実にするための機械的な不可逆性を備える。
【0096】
本発明に記載のジャンピングを対比する方法の実施に関して上述のように、
図1に示すモータビークルの所定の場合、四角形を摩擦で止めるディスクブレーキシステム101,102において作動することは十分である。一方、本発明の目的に対して、液圧回路に作用して、ショックアブソーバにおける平行な停止の作動を抑制することが必要である。そのような抑制は、問題を生じない一方、(明らかにされたように)ショックアブソーバがホイールの交互のジャンピングの現象において介入しないため、無用である。
【0097】
特に、本発明に記載の方法の実施に対して、
図1に示すモータビークルは、ディスクに接するパッドを調整することによりステッピングモータを直接作動する制御ユニットを備え得る。これは、所定の間隔で作動することにより、及び/又はブレーキライニングの間のディスクを完全に締めないことにより行われ得る。実際に、この目的は、(ショックアブソーバで得られる速度に応じる)粘性のある種類でない場合、すべての種類のブレーキに関して、少なくとも米国式、すなわち摩擦式又は位置依存式である減衰を導入することである。
【0098】
本発明の代替且つ好ましい実施形態によれば、(
図2~4に示すモータビークルのように)2つのフロントホイール10’,10’’のロールブロックシステム100は、ロール回転運動学機構20に間接的に影響し得る。
【0099】
この場合、好ましくは、
図2~4に示すモータビークルにおいて形成されているように、且つ上述のように、ロールブロックシステム100は第2の運動学機構110を備える。この第2の運動学機構110は、それぞれの車軸ジャーナル50において、2つのフロントホイール10’,10’’をヒンジ手段により互いに直接接続し、少なくとも2つの異なる構造をとるように構成されている。
そのような第2の運動学機構110が、駆動ダイナミクスに対して、2つのホイール10’,10’’の相互且つ前方フレーム16に対する動きに受動的且つ明確に従う自由構造。
そのような第2の運動学機構110が、接地面に対して、少なくとも1つのホイールの平面により形成される角度を妨げる停止構造。特に、そのような平面は、ホイール自体の回転軸R-Rに実質的に垂直である。
【0100】
この第2の運動学機構110は、2つのフロントホイール10’,10’’の車軸ジャーナル50に接続されている1つ以上の伸縮ロッドと、伸縮ロッドの長さ又はフロントホイールの車軸ジャーナルに対する上記伸縮ロッドの回転角度を固定するための解除可能な手段を備えてもよい。
【0101】
本発明の目的に対して、ロールブロックシステムが、ロッドの回転を止めるため、ロッドの両端においてアクチュエータを備える場合、これらのアクチュエータのいずれかだけが作動され得る。ロール回転を止める目的に対して、重複は不要な要素である。
【0102】
それぞれのホイールの車軸ジャーナル50は、回転軸R-R周りに回転可能にホイールの回転ピン51を支持するように、ホイールの回転ピン51に機械的に接続されている。モータビークルは、上記ロール回転運動学機構20に対する少なくとも1つのスプリングサスペンションの動きをそれぞれの車軸ジャーナル50に対して保証するためのサスペンション手段90を備える。
【0103】
特に、
図3に示すモータビークルにおいて形成されているように、サスペンション90は、ロール回転運動学機構20を形成する多関節四角形の直立部48に統合され得る。
【0104】
本発明に記載のジャンピングを対比する方法を実施する目的に対して、ホイールの車軸ジャーナルにおいて作動することによりロール回転運動学機構に間接的に影響するロールブロックシステムは、ジャンピングの発生源のより近くで介入できるため、好ましい。したがって、ジャンピングの対比は、潜在的により早く、効果的になる。
【0105】
また、本発明は、3輪又は4輪のモータビークルにおいて共振により生じるジャンピングを対比するためのシステムに関する。
【0106】
上記モータビークルは、
前方フレーム16、
ロール回転運動学機構20により相互且つ前方フレーム16に運動学的に接続される少なくとも1対のフロントホイール10’,10’’、
2つのフロントホイール10’,10’’のロール回転を止めるように構成されているロールブロックシステム100を備える。上記ロールブロックシステム100は、上記ロール回転運動学機構20に直接的又は間接的に作用する。
【0107】
上記システムは、以下のように構成されているプログラム手段を備える。
モータビークルを駆動すると生じ、ロール回転運動学機構20の交互のジャンピングを生じる共振を検知するステップa。上記検知のステップaは、ロール回転運動学機構20の共振があることに関連する能動的な共振信号と、ロール回転運動学機構20の共振がないことに関連する受動的な共振信号とを選択的に生じる。
上記能動的な共振信号があるとき、上記ロールブロックシステム100を作動するステップb。
上記受動的な共振信号があるとき、上記ロールブロックシステム(100)をニュートラルに保つステップb’。
【0108】
上記ロールブロックシステム100を作動するステップbは、共振を減衰するように構成されており、上記振動を無効にするまで、ロール回転運動学機構20とフロントホイール10’,10’’の交互のジャンピングの漸進的減衰をもたらす。
【0109】
上述のように、本発明により、複数の利点が得られる。
【0110】
本発明に記載の方法により、先行技術において検討されたものと異なり、ロール回転運動学機構の振動が始まり、フロントホイールの交互のジャンピングを結果として生じた後、介入することができる。したがって、モータビークルの制御の損失を生じるような強度を負う前に、そのようなジャンピング現象を減衰することができる。
【0111】
また、本発明に記載のロール回転する3輪又は4輪のモータビークルにおける共振により生じるダンピングを対比する方法は、本発明のステップにおいて、ロール回転するモータビークルが一般的に備えるロールブロック装置に基づくため、作動させるとき、信頼性があり、容易に実施できる。
【0112】
考えられた本発明は、意図された目的を達成する。
【0113】
当然、実際の実施形態において、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、上記以外の形状及び構造をとり得る。
【0114】
また、すべての詳細は、技術的に同等の要素と寸法に置き換えられ得る。使用される形状と材料は必要に応じ得る。