(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】音発生装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
E03D9/00 A
(21)【出願番号】P 2020057868
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡郎
(72)【発明者】
【氏名】三好 恵太郎
(72)【発明者】
【氏名】中居 英俊
(72)【発明者】
【氏名】高城 里香
(72)【発明者】
【氏名】大崎 伸江
(72)【発明者】
【氏名】南雲 松代
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 幸子
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-116122(JP,A)
【文献】特開2000-014599(JP,A)
【文献】特開平05-230852(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0089550(US,A1)
【文献】特開2003-239356(JP,A)
【文献】特開昭58-140797(JP,A)
【文献】特開2018-150710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00
A47K 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音を出力可能な音発生装置において、
所定音量の音の出力中に、
前記所定音量を含む複数段階の音量の中から予め設定された前記所定音量よりも大きな特定音量の音を
、使用者の操作に基づき瞬時に出力可能としたことを特徴とする音発生装置。
【請求項2】
使用者を検知する検知部と、
使用者が操作する操作部と、
音を出力する出力部と、
前記出力部による音の出力を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記検知部による使用者の検知に基づき、前記出力部により所定音量の音を出力させ、
かつ前記所定音量の音の出力中に、前記操作部による使用者の操作に基づき、瞬時に前記出力部により前記所定音量よりも大きな特定音量の音を出力させることを特徴とする請求項1に記載の音発生装置。
【請求項3】
前記音には、複数のレベルの音量が用意され、
前記所定音量は、前記複数のレベルのうち最大レベルを除いた中から選択可能であり、
前記特定音量は、前記所定音量として選択されたレベルよりも大きい中から選択可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の音発生装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記所定音量の音を出力させた後、前記検知部が使用者を検知しなくなった時に、前記所定音量の音の出力を停止させることを特徴とする請求項2または3に記載の音発生装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過してから前記検知部が使用者を検知しなくなった時に、前記特定音量の音の出力を停止させ、
かつ前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過する前の使用者の停止操作に基づき、前記特定音量の音の出力を停止させることを特徴とする請求項2,3または4に記載の音発生装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過した時点で前記検知部が使用者を検知している場合に、前記特定音量の音の出力を停止させ、前記所定音量の音の出力に戻すことを特徴とする請求項2,3,4または5に記載の音発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音(擬音)を出力可能な音発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トイレ個室内で使用者が発する音を聞こえなくするために、流水音等の擬音を発生させる擬音発生装置が知られている。この種の擬音発生装置は、例えば特許文献1に開示されているように、使用者をセンサで検知することに基づいて、再生音と音再生パターンと音量の少なくとも何れかを予め設定した擬音をスピーカから出力することで、使用者が発する音をマスキングするものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の擬音発生装置では、スピーカから出力される擬音にいくつかのパターンがあっても、使用中に出力される擬音は、結局その都度予め設定された所定の音量のものに限られていた。
【0005】
そのため、使用者が発する音が突発的に大きくなることが想定されても、直ぐに対応することができなかった。また、擬音の音量を調整できたとしても、例えば複数回の操作を強いられる等、通常はタイムラグがあるため、使い勝手が良くなかった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、音を大きくしたい時に即座に対応することが可能であり、使い勝手が良い音発生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明の一態様は、
トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音を出力可能な音発生装置において、
所定音量の音の出力中に、前記所定音量を含む複数段階の音量の中から予め設定された前記所定音量よりも大きな特定音量の音を、使用者の操作に基づき瞬時に出力可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る音発生装置によれば、音を大きくしたい時に即座に対応することが可能であり、使い勝手を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る音発生装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る音発生装置の制御系の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る音発生装置の動作の概要を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態の変形例に係る音発生装置の外観を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の別の変形例に係る音発生装置の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき、本発明を代表する実施形態を説明する。
図1~
図3は、本発明の一実施形態を示している。
本実施形態に係る音発生装置10は、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音を出力可能な装置である。ここで使用者が発する音とは、例えば排便・排尿時の排泄音や衣服が擦れる作業音等が該当する。また、音発生装置10が出力する音は、主に合成された擬音であり、以下、擬音を例に説明する。
【0011】
<音発生装置10の概要>
図1に示すように、音発生装置10は、平たい矩形箱状のケース11を備え、ケース11の内部に関連部品が納められている。ケース11は、例えば、トイレ個室の壁等に設置するベース板(図示せず)に、ケース本体12を被せるように取り付けてなる。ケース11の内部には、構成部品として、使用者を検知するセンサ20、使用者が操作する各操作スイッチ31,32、擬音を出力するスピーカ40、スピーカ40による擬音の出力を制御する制御基板50、それに電源である電池等が収納されている。
【0012】
<ケース本体12>
ケース本体12の正面壁は、操作パネルをなしている。この操作パネル上には、センサ20と、各操作スイッチ31,32とが、例えば、
図1に示したレイアウトで配置されている。また、操作パネルにおいて、スピーカ40が内側に位置する箇所には、通音用のスリット41が開設されている。
【0013】
<センサ20>
センサ20は、トイレ個室に使用者が入ったことを検知できるものであれば足り、例えば、人体の接近による赤外線の変化を感知する赤外線センサ等が適している。ここでセンサ20は、本発明の「検知部」の一例に相当する。
【0014】
<各操作スイッチ31,32>
各操作スイッチ31,32は、例えば、停止スイッチ31と、増音スイッチ32との2つが備えられている。停止スイッチ31は、使用者の操作により、擬音の出力を意図的に停止させるものである。増音スイッチ32は、使用者の操作により、出力中の所定音量の擬音よりも大きな特定音量の擬音を瞬時に出力させるものである。ここで増音スイッチ32は、本発明の「操作部」の一例に相当する。なお、停止スイッチ31および増音スイッチ32を総称する場合は、各操作スイッチ31,32と表記する。
【0015】
各操作スイッチ31,32に対する使用者の「操作」は、例えば、機械的な押しボタン操作、接触によるタッチ操作のほか、非接触による操作を含めても良い。各操作スイッチ31,32を縁取るボタン(区画)や、その傍らには、必要に応じて説明用のピクトグラムや文字等を付記すると良い。なお、
図5に示すブロック図では、停止スイッチ31を「STOPボタン」、増音スイッチ32を「MAXボタン」と記している。
【0016】
<スピーカ40>
スピーカ40は、一般的な小型のものを用いれば良い。スピーカ40は、その前面側のコーン紙がケース本体12の正面壁の内側に沿うように配置され、当該箇所に、前述したスリット41が開設されている。
【0017】
スピーカ40から出力される「擬音」は、使用者が発する音(例えば排泄音や作業音等)をカムフラージュして聞き取りにくくするものであれば何でも良く、具体的には例えば流水音等が該当する。もちろん、スピーカ40からは、擬音以外の他の音声も出力するように構成しても良い。ここでスピーカ40は、本発明の「出力部」の一例に相当する。
【0018】
<制御基板50>
図2は、制御基板50を主とする制御系の機能ブロック図である。制御基板50は、スピーカ40による擬音の出力を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等から構成されたマイクロコンピュータ(マイコン)からなる。CPUは、各種演算および制御を行うものであり、ROMには、各種演算および制御の処理に関するプログラムやデータ等が記憶されている。また、RAMは、擬音の出力データ等の記憶領域を含むCPUの作業領域を備えている。ここで制御基板50は、本発明の「制御部」の一例に相当する。
【0019】
図5に示すように、制御基板50には、前述したセンサ20、各操作スイッチ31,32が接続され、また、前述したスピーカ40がアンプ42を介して接続され、さらに、ROMとは別に外付けの音データ格納メモリ51が接続されている。音データ格納メモリ51には、例えば、単一音源での出力あるいは複数音源を組み合せて出力可能な複数のレベルの音量の音源が記憶されている。ここで音源は、その音量が異なるだけでなく、音質ないし周波数等が異なる複数種類の音源を用意しても良い。
【0020】
アンプ42は、D/A変換回路(digital to analog converter)を備えており、CPUの指示により音データ格納メモリ51から読み出された擬音に関する擬音信号(デジタル信号)をアナログ信号に変換して、スピーカ40から擬音を出力させるものであり、擬音の増幅ないし再生が可能である。
【0021】
制御基板50は、代表的な機能として、センサ20から検知信号を受信すると、アンプ42に出力信号を送信して、スピーカ40から所定音量の擬音を出力させる。ここでスピーカ40から出力される擬音は、例えば所定時間の経過後に停止するように設定されているが、所定時間の経過前に、停止スイッチ31から停止信号を受信すると、強制的にスピーカ40からの擬音の出力が停止されるように設定されている。
【0022】
また、制御基板50は、増音スイッチ32から操作信号を受信すると、瞬時にアンプ42を介して、スピーカ40から前記所定音量よりも大きな特定音量の擬音を出力させる。ここで「瞬時に」とは、まさに操作信号を受信した瞬間から例えば5msecの範囲で、あるいは遅くとも1sec以内で等と、具体的には適宜定めると良い
【0023】
所定音量の擬音は、「音量A」として予め標準的な音量に設定されている。また、特定音量の擬音は、「音量B」として予め前記音量Aよりも大きな音量に設定されている。これらの音量Aおよび音量Bは、後述するが、装置施工時に複数レベル(例えば10段階等)から適宜調整できるように構成されている。
【0024】
<音発生装置10の動作>
次に、本実施形態に係る音発生装置10の動作を説明する。
音発生装置10をトイレ個室に設置して使用するに際し、事前に擬音の音量を設定する。ここで擬音の音量には、所定音量に相当する音量Aと、特定音量に相当する音量Bとがあり、それぞれ例えば「0」~「9」の10段階で任意に設定する。ただし、音量Bの設定条件として、音量Aよりも大きな音量(段階)の範囲で設定可能となっている。
【0025】
音量Aおよび音量Bのボリュームが、例えば「0」~「9」の10段階ある場合、ここで「0」は無音であり、「9」は最大音量であり、「0」から「9」の順に音量が大きくなる。音量Aの設定可能なレベルは、「0」~「8」までであり、音量Bの設定可能なレベルは、「音量Aの設定値+1」~「9」までであり、前述したように、必ず音量Aより音量Bが大きな値に設定される(音量A<音量B)。
【0026】
具体的には例えば、音量Aの設定値を「5」とした場合、音量Bの設定値は、「6」~「9」の中で任意に設定される。このような音量の設定は、例えば、制御基板50の適所に設けられた専用スイッチ(図示せず)で行うようにすると良い。なお、擬音の音量のみならず、擬音の音質ないし周波数等が異なる複数種類の音源を選択できるように構成しても良い。
【0027】
<基本動作>
次に、
図3に示すフローチャートに沿って、音発生装置10における擬音の出力制御の流れを説明する。始めに、ステップS101で、音発生装置10が待機状態にあるとき、ステップS102で、制御基板50は、センサ20からの検知信号を受信したか否かを繰り返し判定する。
【0028】
制御基板50が、センサ20からの検知信号を受信しなければ(ステップS102でN)、そのままステップS101の待機状態が維持される。一方、検知信号を受信すれば(ステップS102でY)、ステップS103に進んで、制御基板50は、アンプ42に音量Aの擬音出力に関する擬音信号を出力し、アンプ42を介してスピーカ40から音量Aの擬音を出力させる。これにより、トイレ個室内で使用者が発する音を聞こえなくすることができる。
【0029】
音量Aの擬音の出力中であっても、使用者が発する音が突発的に大きくなることが想定される場合、ステップS104で、使用者は増音スイッチ32を操作(MAX選択)すれば即座に対応することができる。すなわち、使用者が増音スイッチ32を操作すると(ステップS104でY)、制御基板50は、アンプ42に音量Bの擬音出力に関する擬音信号を出力し、瞬時にアンプ42を介してスピーカ40から音量Bの擬音を出力させる(ステップS105)。
【0030】
ステップS104での増音スイッチ32の操作は1回だけで足り、かかる操作に基づく操作信号を制御基板50が受信すると、ステップS105で、直ぐさまアンプ42に擬音信号が送信されて、スピーカ40から音量Bの擬音が瞬時に出力されるようにプログラムされている。これにより、使用者は突発的に大きくなる音を安心してかき消すことができる。
【0031】
音量Bの擬音の出力中には、ステップS106で、制御基板50は、所定時間として例えば30秒が経過したか否かを監視する。ここで音量Bの擬音の出力開始から30秒が経過すると(ステップS106でY)、ステップS107に移行して、再び制御基板50は、センサ20からの検知信号を受信したか否かを判定する。そして、センサ20からの検知信号を受信すれば(ステップS107でY)、すなわち使用者が未だトイレ個室にいれば、前述したステップS103まで戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0032】
一方、センサ20からの検知信号を受信しなければ(ステップS107でN)、すなわち、音量Bの擬音が出力されてから30秒が経過し、その時点でトイレ個室に使用者がいなければ、最後のステップS108に移行して、音量Bの擬音が出力が停止される。その後、ステップS101の待機状態に戻る。
【0033】
また、前記ステップS106で、音量Bの擬音の出力開始から30秒が経過していなくても(ステップS106でN)、ステップS109で、使用者が停止スイッチ31を操作(STOP選択)すると(ステップS106でY)、その時点でも音量Bの擬音の出力が停止される。その後、ステップS101の待機状態に戻って処理を終了する。なお、使用者が停止スイッチ31を操作しなければ(ステップS109でN)、音量Bの擬音はそのまま30秒が経過するまで出力される。
【0034】
さらに、前記ステップS104で、音量Aの擬音の出力中に、使用者が増音スイッチ32を操作しなければ(ステップS104でN)、次のステップS110で、使用者が停止スイッチ31を操作(STOP選択)したか否かが判定される。ここで、使用者が停止スイッチ31を操作すれば(ステップS110でY)、その時点で最後のステップS108に移行し、音量Aの擬音が出力が停止される。その後、ステップS101の待機状態に戻る。
【0035】
一方、使用者が停止スイッチ31を操作しなければ(ステップS110でN)、ステップS111に移行して、再び制御基板50は、センサ20からの検知信号を受信したか否かを判定する。そして、センサ20からの検知信号を受信しなければ(ステップS111でN)、最後のステップS108に移行して、音量Aの擬音が出力が停止される。その後、ステップS101の待機状態に戻る。また、センサ20からの検知信号を受信すれば(ステップS111でY)、前述したステップS103まで戻り、それ以降の処理が繰り返される。
【0036】
<音発生装置10の変形例>
図4は、本実施形態の変形例に係る音発生装置10Aを示している。
音発生装置10Aでは、ケース本体12の正面壁において、各操作スイッチ31,32を縁取るボタン(区画)はなく、これらのスイッチ31,32は、センサ20が設けられた領域内に組み込まれている。例えば、センサ20の領域の左端に、赤外線センサや近接センサ等からなる停止スイッチ31を配置し、センサ20の領域のうち右端に、赤外線センサや近接センサ等からなる増音スイッチ32を配置すると良い。
【0037】
このような音発生装置10Aによれば、センサ20の領域の左側に手をかざせば、擬音の出力は停止され、センサ20の領域の右端に手をかざせば、特定音量の擬音を瞬時に出力させることができる。このように、特定音量の擬音を瞬時に出力させる操作は、単に特定のボタンを押したり触れたりするだけでなく、様々に方法が考えられる。本変形例では、ケース本体12の正面壁において、各スイッチ31,32を区画していた領域が削減されて、ケース11全体の小型化も可能となる。
【0038】
図5は、また別の変形例に係る音発生装置10Bを示している。
音発生装置10Bでは、各スイッチ31,32のうち、停止スイッチ31を縁取るボタン状の区画とスイッチング機能は、そのままセンサ20の領域とは別に残して、増音スイッチ32だけをセンサ20の領域内に組み込んでいる。
【0039】
このような音発生装置10Bによれば、センサ20の領域の右端に手をかざせば、特定音量の擬音を瞬時に出力させることができ、また、停止スイッチ31の操作によって、擬音の出力を停止させることができる。
さらにまた、図示省略したが、センサ20の領域から、増音スイッチ32を縁取るボタン状の区画は別にして、停止スイッチ31だけをセンサ20の領域内に組み込むように構成しても良い。
【0040】
<本発明の構成と作用効果>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。前述した実施形態から導かれる本発明について、以下に説明する。
【0041】
[1]先ず、本発明は、
トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音を出力可能な音発生装置10において、
所定音量の音の出力中に、使用者の操作に基づき、瞬時に前記所定音量よりも大きな特定音量の音を出力可能とした。
【0042】
本音発生装置10によれば、通常の使用時において所定音量の音の出力中であっても、使用者が発する音が突発的に大きくなることが想定された時には、使用者の操作に基づき、瞬時に大きな特定音量の音を出力させることができる。このように、突発的な事態にも直ぐさま対応することができ、使い勝手が良い。
【0043】
[2]また、本発明は、
使用者を検知する検知部20と、
使用者が操作する操作部32と、
音を出力する出力部40と、
前記出力部40による音の出力を制御する制御部50と、を備え、
前記制御部50は、
前記検知部20による使用者の検知に基づき、前記出力部40により所定音量の音を出力させ、
かつ前記所定音量の音の出力中に、前記操作部32による使用者の操作に基づき、瞬時に前記出力部40により前記所定音量よりも大きな特定音量の音を出力させる。
【0044】
このように、簡易な構成によって、本音発生装置10を容易に実現することができる。特に、最初は使用者が何ら操作を行うことなく、検知部20で検知されるだけで、通常使用時における所定音量の音が出力される。そして、特定音量の音を出力させる時だけ、操作部32によって操作すれば良い。
【0045】
[3]また、本発明では、
前記音には、複数のレベルの音量が用意され、
前記所定音量は、前記複数のレベルのうち最大レベルを除いた中から選択可能であり、
前記特定音量は、前記所定音量として選択されたレベルよりも大きい中から選択可能である。
【0046】
これにより、所定音量と特定音量とを、それぞれ限られたデータの中から容易に選択することが可能となる。すなわち、特定音量の音と、所定音量の音とは、同一の音源のデータを利用して、予め異なる音量レベルに選択するだけで足りる。
【0047】
[4]また、本発明では、
前記制御部50は、
前記所定音量の音を出力させた後、前記検知部20が使用者を検知しなくなった時に、前記所定音量の音の出力を停止させる。
【0048】
これにより、通常使用時における所定音量の音の出力は、トイレ個室内から使用者がいなくなれば自然に停止する。そのため、所定音量の音の出力を停止させるための使用者の余計な手間を省くことができる。
【0049】
[5]さらに、本発明では、
前記制御部50は、
前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過してから前記検知部20が使用者を検知しなくなった時に、前記特定音量の音の出力を停止させ、
かつ前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過する前の使用者の停止操作に基づき、前記特定音量の音の出力を停止させる。
【0050】
これにより、特別に操作して出力させた特定音量の音に関しては、一定時間が経過して、しかもトイレ個室内から使用者がいなくなったことを条件として、使用者が何ら操作を行う必要はなく自然に停止する。さらに、一定時間が経過する前であっても、使用者が停止操作すれば、意図的に特定音量の音の出力を停止させることもでき、使い勝手が良い。
【0051】
[6]さらに、本発明では、
前記制御部50は、
前記特定音量の音を出力させた後、一定時間が経過した時点で前記検知部20が使用者を検知している場合に、前記特定音量の音の出力を停止させ、前記所定音量の音の出力に戻す。
【0052】
これにより、特別に操作して特定音量の音を出力させたとしても、一定時間が経過した時点で未だトイレ個室内に使用者がいれば、特定音量の音から元の所定音量の音の出力に自動的に戻すことができる。
【0053】
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、ケース11、センサ20、各操作スイッチ31,32等の具体的な形状は図示したものに限定されることはない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、トイレ個室内で使用者が発する音を聞き取りにくくする音(擬音)を出力可能な擬音発生装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10,10A,10B…音発生装置
11…ケース
12…ケース本体
20…センサ
31…停止スイッチ
32…増音スイッチ
40…スピーカ
50…制御基板
51…音データ格納メモリ