(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】バスバーアッセンブリ及び半導体モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20221227BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L23/14 M
(21)【出願番号】P 2020171748
(22)【出願日】2020-10-12
(62)【分割の表示】P 2018159390の分割
【原出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175722
【氏名又は名称】サンコール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】龍見 翔太
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-182179(JP,A)
【文献】特開2013-219104(JP,A)
【文献】特開2006-073204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/62
H01L 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性平板状部材によって形成され、互いの間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填され前記複数のバスバーを電気的には絶縁状態で機械的に連結する連結部並びに前記複数のバスバーが前記連結部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の第1面及び板厚方向他方側の第2面にそれぞれ設けられた第1面側積層部及び第2面側積層部を一体的に含む絶縁性樹脂層とを備え、
前記第1面側積層部には、前記複数のバスバーの板厚方向一方側の第1面を露出させる開口が設けられ、
前記第2面側積層部には、前記複数のバスバーの板厚方向他方側の第2面を露出させる開口が設けられ、
前記バスバーの第2面のうち前記第2面側積層部の開口を介して露出する領域は前記第2面側積層部よりも外方へ延在する凸状領域とされていることを特徴とするバスバーアッセンブリ。
【請求項2】
隣接する前記バスバーの前記凸状領域の側面間の距離は、当該隣接する前記バスバー間の前記間隙の幅より大とされていることを特徴とする請求項1に記載のバスバーアッセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のバスバーアッセンブリと、
厚み方向一方側の下面及び厚み方向他方側の上面にそれぞれ位置する第1及び第2電極層と前記第1及び第2電極層の間に設けられた素子本体とを有し、前記第1電極層が前記バスバーアッセンブリの一のバスバーの第1面のうち前記第1面側積層部に設けられた開口を介して露出する部分に電気的に接続状態で固着された半導体素子と、
前記半導体素子の第2電極層を、前記バスバーアッセンブリの他のバスバーの第1面のうち前記第1面側積層部に設けられた開口を介して露出する部分に電気的に接続する電気接続部材と、
前記半導体素子及び前記電気接続
部材を囲繞するように、前記バスバーアッセンブリの第1面に設けられた封止樹脂層とを備えたことを特徴とする半導体モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバスバーが電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されてなるバスバーアッセンブリ及び前記バスバーアッセンブリを含む半導体モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
互いに対して電気的には絶縁状態で且つ機械的には連結されている複数のバスバーを備えたバスバーアッセンブリが提案され、種々の分野において利用されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
例えば、一の平板状バスバーと他の平板状バスバーとが互いに対して平行状態で上下に積層されてなる積層型のバスバーアッセンブリが提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0004】
この積層型のバスバーアッセンブリは、一の平板状バスバーの対向平面と他の平板状バスバーの対向平面とが絶縁性樹脂層を挟んで全面的に対向配置されている為、絶縁性に関する信頼性を十分には確保し難いという問題がある。
特に、上下方向に関し小型化を図る為に前記一の平板状バスバーと前記他の平板状バスバーとの間の絶縁性樹脂層の厚みを薄くすると、両バスバー間にリーク電流が流れる恐れがある。
【0005】
また、前述のような積層型バスバーアッセンブリは、製造効率を向上させ難いという問題もあった。
即ち、積層型バスバーアッセンブリを製造する際には、互いに別体とされた一の平板状バスバー及び他の平板状バスバーを、上下に所望距離だけ離間させた状態で係止させ、その係止状態のままで両者を絶縁性樹脂層によって電気的には絶縁状態で機械的に連結させる必要があり、製造効率を向上させ難かった。
【0006】
前記特許文献1には、積層型バスバーアッセンブリを製造する方法として、上下に分離可能な上側金型及び下側金型を用意する工程と、前記上側金型及び前記下側金型によって形成されるキャビティ内において第1及び第2平板状バスバーを上下に離間させつつ積層配置させて係止させる工程と、前記上側金型及び前記下側金型に形成された樹脂注入孔を介して前記キャビティ内に絶縁性樹脂を注入する工程とを備えた製造方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に記載の製造方法においては、前記第1及び第2平板状バスバーを前記キャビティ内に設置する際に、前記第1及び第2平板状バスバーの外周面と前記上側金型及び前記下側金型の内周面との間に樹脂層によって充填されるべき隙間を設け、且つ、前記第1及び第2平板状バスバーの対向平面間にも樹脂層によって充填されるべき隙間を設ける必要があり、このような状態で前記第1及び第2平板状バスバーを前記キャビティ内において位置固定したままで前記キャビティ内に絶縁性樹脂を注入する必要がある。
【0008】
従って、前記第1及び第2平板状バスバーの形状や寸法、及び、絶縁性樹脂層の厚み等のバスバーアッセンブリの仕様毎に、前記上側金型及び前記下側金型を用意する必要がある。
また、前記第1及び第2平板状バスバーの対向平面間の隙間内に絶縁性樹脂を行き渡らせるのが困難になるという問題もあった。
【0009】
一方、前記特許文献2には、積層型バスバーアッセンブリを製造する方法として、複数の平板状バスバーを用意する工程と、耐熱性及び絶縁性を有する塗料を用いた電着塗装によって、前記複数のバスバーのそれぞれの外周面に耐熱性及び絶縁性塗装膜を析出させる工程と、前記複数のバスバーのうちの一のバスバーの塗装膜を完全硬化させる工程と、前記複数のバスバーのうちの他のバスバーの塗装膜を半硬化させる工程と、一のバスバーと他のバスバーとを重ね合わせて加圧加熱処理を行うことで、他のバスバーの塗装膜を半硬化状態から完全硬化状態へ移行させ、この半硬化状態から完全硬化状態へ移行する塗装膜によって前記一のバスバーと前記他のバスバーとを積層状態で機械的に連結させる工程とを備えた製造方法が開示されている。
【0010】
前記特許文献2に記載の製造方法は、前記特許文献1に記載の製造方法における不都合を解消できる点においては有用であるが、複数のバスバーのそれぞれに対して個別に塗装膜を析出させる必要がある。
また、前記他のバスバーの塗装膜を半硬化させた状態で一のバスバー及び他のバスバーを固着させる必要がある為、手間が掛かるという問題があった。
【0011】
さらに、バスバーアッセンブリの表面にLED等の発光素子を装着して、光源ユニットとして用いる場合には、LED等の発光素子を保護する為に前記バスバーアッセンブリの表面には封止樹脂が設けられる。
【0012】
例えば、下記特許文献3には、メタルコア基板の上面に、LEDが載置されたサブマウント基板及び前記LEDへの電力供給用の配線が設けられた配線基板が固着された光源モジュールであって、前記サブマウント基板のLEDや配線を取り囲む開口部を有するリング状板材が前記メタルコア基板及び前記配線基板上に固着され、前記リング状板材の開口部内に封止樹脂が充填された光源モジュールが開示されている。
【0013】
前記リング状板材を備えることにより、前記LEDを保護する為の封止樹脂がせき止めて当該封止樹脂の流出を有効に防止することができる。
【0014】
しかしながら、前記メタルコア基板、前記サブマウント基板及び前記配線基板とは別に前記リング状板材を用意し、さらに、前記リング状板材を前記メタルコア基板及び前記配線基板に固着させる必要があり、製造コストの低減を図り難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特許第4432913号公報
【文献】特開2016-216766号公報
【文献】特開2006-269079号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、導電性平板状部材によって形成され、互いの間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填され前記複数のバスバーを電気的には絶縁状態で機械的に連結する連結部並びに前記複数のバスバーが前記連結部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の第1面及び板厚方向他方側の第2面にそれぞれ設けられた第1面側積層部及び第2面側積層部を一体的に含む絶縁性樹脂層とを備え、前記第1面側積層部には、前記複数のバスバーの板厚方向一方側の第1面を露出させる開口が設けられ、前記第2面側積層部には、前記複数のバスバーの板厚方向他方側の第2面を露出させる開口が設けられ、前記バスバーの第2面のうち前記第2面側積層部の開口を介して露出する領域は前記第2面側積層部よりも外方へ延在する凸状領域とされているバスバーアッセンブリを提供する。
【0017】
好ましくは、隣接する前記バスバーの前記凸状領域の側面間の距離は、当該隣接する前記バスバー間の前記間隙の幅より大とされる。
【0018】
また、本発明は、前記バスバーアッセンブリと、厚み方向一方側の下面及び厚み方向他方側の上面にそれぞれ位置する第1及び第2電極層と前記第1及び第2電極層の間に設けられた素子本体とを有し、前記第1電極層が前記バスバーアッセンブリの一のバスバーの第1面のうち前記第1面側積層部に設けられた開口を介して露出する部分に電気的に接続状態で固着された半導体素子と、前記半導体素子の第2電極層を、前記バスバーアッセンブリの他のバスバーの第1面のうち前記第1面側積層部に設けられた開口を介して露出する部分に電気的に接続する電気接続部材と、前記半導体素子及び前記電気接続部材を囲繞するように、前記バスバーアッセンブリの第1面に設けられた封止樹脂層とを備えた半導体モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るバスバーアッセンブリによれば、導電性平板状部材によって形成され、互いの間に間隙が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記間隙内に充填され前記複数のバスバーを電気的には絶縁状態で機械的に連結する連結部並びに前記複数のバスバーが前記連結部によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の第1面及び板厚方向他方側の第2面にそれぞれ設けられた第1面側積層部及び第2面側積層部を一体的に含む絶縁性樹脂層とを備えているので、前記複数のバスバー間の電気的絶縁性を確保しつつ、上下方向に関し小型化を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明に係るバスバーアッセンブリによれば、前記バスバーの第2面側の凸状領域を当該バスバーアッセンブリの設置面として設置個所に設置した設置状態において、当該バスバーアッセンブリの設置面と、前記第1面側積層部に設けられた開口を介して露出する半導体素子の装着面との平行度を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1に係るバスバーアッセンブリの斜視図である。
【
図2】
図2は、前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリの平面図である。
【
図3】
図3は、前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリの底面図である。
【
図4】
図4は、
図2におけるIV-IV線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す半導体モジュールの縦断面図であり、前記半導体素子が封止樹脂で封止された後の状態を示している。
【
図7】
図7は、前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリを製造する際に用いる導電性金属平板の平面図であり、スリット形成工程後の状態を示している。
【
図8】
図8(a)は、
図7におけるVIII部拡大図であり、
図8(b)は、
図8(a)におけるVIII(b)-VIII(b)線に沿った断面図である。
【
図9】
図9は、硬化工程後の状態の前記導電性金属平板の平面図である。
【
図11】
図11は、剥離工程後の状態の前記導電性金属平板の平面図である。
【
図13】
図13は、メッキ工程後の状態の前記導電性金属平板の平面図である。
【
図15】
図15は、前記実施の形態1の第1変形例に係るバスバーアッセンブリの平面図である。
【
図16】
図16は、前記実施の形態1の第2変形例に係るバスバーアッセンブリの斜視図である。
【
図17】
図17は、前記実施の形態1の第2変形例に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の斜視図である。
【
図18】
図18は、
図17に示す半導体モジュールの縦断面図であり、前記半導体素子が封止樹脂で封止された後の状態を示している。
【
図19】
図19は、本発明の実施の形態2に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の平面図である。
【
図21】
図21は、
図19におけるXXI-XXI線に沿った断面図であり、前記半導体素子が封止樹脂で封止されている状態を示している。
【
図22】
図22は、前記実施の形態2の第1変形例に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の縦断面図である。
【
図23】
図23は、前記実施の形態2の第2変形例に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の縦断面図である。
【
図24】
図24は、前記実施の形態2の第3変形例に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の縦断面図である。
【
図25】
図25は、前記実施の形態1の第3変形例に係るバスバーアッセンブリに半導体素子が装着されてなる半導体モジュールの一例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施の形態1
以下、本発明に係るバスバーアッセンブリの一実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1~
図3に、それぞれ、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1Aの斜視図、平面図及び底面図を示す。
また、
図4に、
図2におけるIV-IV線に沿った断面図を示す。
【0023】
図1~
図4に示すように、前記バスバーアッセンブリ1Aは、導電性平板状部材によって形成された複数のバスバーであって、互いの側面間に間隙19が存する状態で同一平面内に配置された複数のバスバーと、前記複数のバスバーに固着された絶縁性樹脂層30とを有している。
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1Aは、前記複数のバスバーとして、第1及び第2バスバー10a、10bの2つのバスバーを有している。
【0024】
図4に示すように、前記第1及び第2バスバー10a、10bは、厚み方向に沿った縦断面視において、厚み方向一方側の第1面11と、厚み方向他方側の第2面12と、互いに対して対向する対向側面13と、互いに対して反対方向を向く外側面14とを有している。
前記第1及び第2バスバー10a、10bは、Cu等の導電性金属によって形成される。
【0025】
図5に、前記バスバーアッセンブリ1AにLED等の半導体素子100が装着されてなる半導体モジュールの一例の斜視図を示す。
前記半導体モジュールにおいては、前記第1及び第2バスバー10a、10bは、一方が正極側電極として作用し、他方が負極側電極として作用する。
即ち、
図5に示すように、前記第1及び第2バスバー10a、10bの一方(例えば第1バスバー10a)の第1面11にLED等の半導体素子100が装着される。
【0026】
図6に、前記半導体モジュールの縦断面図を示す。
図6に示すように、前記半導体素子100は、厚み方向一方側の下面及び厚み方向他方側の上面にそれぞれ第1及び第2電極層101、102を有し、前記第1及び第2電極層101、102の間に素子本体105を有している。
【0027】
前記半導体素子100は、第1電極層101が前記一方のバスバー(例えば第1バスバー10a)の第1面11に電気的に接続状態で固着され、第2電極層102がワイヤボンディング等の電気接続部材110を介して他方のバスバー(例えば第2バスバー10b)の第1面11に電気的に接続される。
【0028】
詳しくは、前記半導体素子100は、前記第1電極層101が前記一方のバスバーの第1面11に設けられたメッキ層(図示せず)に電気的に接続されるようにダイボンディングされ、且つ、前記第2電極層102が前記他方のバスバーの第1面11に設けられたメッキ層(図示せず)にワイヤボンディング110を介して電気的に接続される。
【0029】
なお、
図6中の符号120は、前記バスバーアッセンブリ1Aに装着された前記半導体素子100及び前記電気接続部材110等の部品を保護する為に、前記バスバーアッセンブリ1Aの第1面に固着される封止樹脂層120である。
前記封止樹脂層120は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の透明樹脂が用いられる。
【0030】
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1Aは、前記封止樹脂層120を形成する樹脂を前記バスバーアッセンブリ1Aの第1面に塗布して硬化させる際に、当該樹脂が流れ出ることを有効に防止する堰き止め構造を有している。
この点については後述する。
【0031】
前記絶縁性樹脂層30は、耐熱性及び絶縁性を有する樹脂によって形成され、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等が好適に利用される。
【0032】
前記絶縁性樹脂層30は、前記第1及び第2バスバー10a、10bの対向側面13間の前記間隙19に充填されて前記第1及び第2バスバー10a、10bを電気的には絶縁状態で機械的に連結する連結部31と、前記第1及び第2バスバー10a、10bが前記連結部31によって連結されてなるバスバー連結体の板厚方向一方側の第1面に設けられた第1面側積層部40とを有している。
【0033】
斯かる構成の前記バスバーアッセンブリ1Aによれば、前記第1及び第2バスバー10a、10bが同一平面内に配置されているので、上下方向(厚み方向)に関し可及的に小型化を図ることができる。
【0034】
また、前記第1及び第2バスバー10a、10bは前記対向側面13において対向するように配置されているので、複数のバスバーが上下に積層されている積層型バスバーアッセンブリに比して、前記第1及び第2バスバー10a、10bが互いに対して対向する面積を可及的に小さくすることができ、これにより、前記第1及び第2バスバー10a、10b間にリーク電流が流れることを有効に防止乃至は低減することができる。
【0035】
図1、
図2及び
図4等に示すように、前記第1面側積層部40は、前記バスバー連結体の平面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面11をそれぞれ露出させる第1及び第2バスバー用中央開口41a、41bと、前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41bを囲む領域において前記バスバー連結体の第1面を覆う中央被覆領域43と、前記中央被覆領域43を囲む領域において前記バスバー連結体の第1面を露出させる周縁開口45と、前記周縁開口45を囲む領域において前記バスバー連結体の第1面を覆う周縁被覆領域47とを有している。
【0036】
図5及び
図6に示すように、前記第1バスバー用中央開口41aを介して露出された前記第1バスバー10aの第1面11の領域(以下、第1バスバー側中央露出領域という)及び前記第2バスバー用中央開口41bを介して露出された前記第2バスバー10bの第1面11の領域(以下、第2バスバー側中央露出領域という)の一方に、前記第1電極層101が電気的に接続された状態で前記半導体素子100が装着される。
【0037】
そして、前記半導体素子100の第2電極層102と前記第1及び第2バスバー側中央露出領域の他方とがワイヤボンディング110を介して電気的に接続される。
【0038】
前記周縁開口45は、前記中央被覆領域43及び前記周縁被覆領域47との共働下に第1面の側へ開く凹部(溝部)を形成しており、前記周縁開口45及び前記周縁被覆領域47の間の段差が前記封止樹脂120の堰き止め構造を形成している。
【0039】
即ち、第1及び第2バスバーを有し、前記第1及び第2バスバーの一方に半導体素子が装着されるバスバーアッセンブリにおいては、前記半導体素子を囲繞する封止樹脂層を形成する樹脂を塗布して硬化させる際に当該樹脂が流れ出ることを防止する堰き止め構造を備える必要がある。
【0040】
例えば、第1及び第2バスバーとは別体形成され且つ装着されるべき半導体素子を平面視において囲むような形状の枠体を備え、前記枠体が前記第1及び第2バスバーに固着されることで堰き止め構造を形成する従来のバスバーアッセンブリが存在する。
【0041】
しかしながら、この従来構成においては、前記第1及び第2バスバーとは別に前記枠体を用意しなければならず、さらに、前記枠体を前記第1及び第2バスバーに固着させる作業も必要となる。
【0042】
これに対し、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1Aにおいては、前記枠体を別途に備えることなく、前記封止樹脂層120の堰き止め構造を有効に備えることができる。
【0043】
本実施の形態においては、
図3及び
図4に示すように、前記絶縁性樹脂層30は、さらに、前記バスバー連結体の板厚方向他方側の第2面に設けられた第2面側積層部50を有している。
【0044】
前記第2面側積層部50は、底面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面12を露出させる中央開口51と、前記中央開口51を囲む領域において前記バスバー連結体の第2面を覆う周縁被覆領域53とを有している。
本実施の形態においては、前記中央開口51は、前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面をそれぞれ露出させる第1及び第2バスバー用中央開口51a、51bを有している。
【0045】
本実施の形態においては、
図1~
図4等に示すように、前記絶縁性樹脂層30は、さらに、前記バスバー連結体の外周面に設けられた外周面側積層部55を有している。
【0046】
次に、前記バスバーアッセンブリ1Aの製造方法について説明する。
前記バスバーアッセンブリの製造方法は、前記第1及び第2バスバー10a、10bと同一厚みのバスバーアッセンブリ形成領域210を有する導電性金属平板200を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域210に、厚み方向一方側の第1面211及び厚み方向他方側の第2面212の間を貫通するスリット215を形成するスリット形成工程とを有している。
なお、前述の通り、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ1Aは、前記複数のバスバーとして、前記第1及び第2バスバー10a、10bの2つのバスバーを有している。その為、前記バスバーアッセンブリ形成領域210に1つの前記スリット215が形成される。
例えば、3つのバスバーが並列配置されてなるバスバーアッセンブリを製造する際には、2つのスリットが形成される。
【0047】
図7に、前記スリット形成工程が完了した後の前記導電性金属平板200の平面図を示す。
また、
図8(a)に
図7におけるVIII部拡大図を、
図8(b)に
図8(a)におけるVIII(b)-VIII(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0048】
前記スリット215は、前記バスバーアッセンブリ1Aにおける前記第1及び第2バスバー10a、10bの対向側面13間の前記間隙19を形成するものであり、前記間隙19と同一幅とされる。
なお、前記間隙40の幅は、前記バスバーアッセンブリ1Aの仕様に応じて定まる。
【0049】
図8(a)及び(b)に示すように、本実施の形態においては、前記導電性金属平板200は、前記スリット形成工程後の状態において、前記スリット215を介して対向する一対のバスバー形成部位220a、220bが、前記導電性金属平板200のうち前記スリット215より当該スリット215の長手方向一方側に位置する連結部位225及び前記スリット215より当該スリット215の長手方向他方側に位置する連結部位226を介して、互いに対して繋がった状態に維持されるように構成されている。
斯かる構成を備えることにより、前記スリット215を精度良く形成することができる。
【0050】
本実施の形態においては、
図7に示すように、前記導電性金属平板200は、当該導電性金属平板200が位置するX-Y平面内のX方向に沿って直列配列された複数の前記バスバーアッセンブリ形成領域210と、X方向に隣接するバスバーアッセンブリ形成領域210の間を連結する連結領域230とを含むバスバー列205を有しており、前記複数のバスバーアッセンブリ形成領域210に対して加工処理を同時に行えるようになっている。
【0051】
前記連結領域230は前記連結部位225、226としても作用する。
図7に示す形態においては、前記バスバー列205はX方向に沿って直列配置された5つの前記バスバーアッセンブリ形成領域210を有している。
【0052】
本実施においては、前記導電性金属平板200は、前記バスバー列205の長手方向一方側及び他方側にそれぞれ連結された一対の把持片207を有しており、前記一対の把持片207には位置合わせ孔208が設けられている。
なお、複数の前記バスバー列205をY方向に並列配置させ、Y方向に並列配置された複数のバスバー列205を前記一対の把持片207、207によって一体的に保持することも可能である。
かかる変形構成によれば、より多くのバスバーアッセンブリ1Aを同時に製造することができる。
【0053】
前記製造方法は、前記スリット形成工程後に、前記スリット215が前記絶縁性樹脂層30で充填され且つ前記バスバーアッセンブリ形成領域210の第1面上に前記絶縁性樹脂層30が設けられるように、絶縁性樹脂を含む塗料を塗装する塗装工程と、前記塗装工程で塗装された塗料を硬化させて前記絶縁性樹脂層30を形成する硬化工程とを備えている。
【0054】
図9に、前記硬化工程が完了した時点での前記導電性金属平板200の平面図を示す。
また、
図10(a)に
図9におけるX部拡大図を、
図10(b)に
図10(a)におけるX(b)-X(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0055】
前記塗装工程は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、エポキシ等の耐熱性及び絶縁性を有する絶縁性樹脂を含む電着塗料を用いた電着塗装によって行われる。
これに代えて、前記塗装工程を、前記絶縁性樹脂の粉体を用いた静電粉体塗装によって行うことができる。
若しくは、前記スリット215内への樹脂の充填性を十分に担保できる場合には、前記塗装工程を、スプレー塗装によって行うことも可能である。
【0056】
図10(b)に示すように、本実施の形態においては、前記塗装工程は、前記連結部31及び前記第1面側積層部40に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の第2面212上に前記第2面側積層部50を形成し、前記バスバーアッセンブリ形成領域210の外側面に前記外周面側積層部55を形成するように構成されている。
【0057】
前記硬化工程は、前記塗装工程で塗装された塗料を適宜な温度で加熱処理することによって行われる。
【0058】
前記製造方法は、前記硬化工程後に、不要な領域の前記絶縁性樹脂層30を剥離する剥離工程を有している。
前記剥離工程は、前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41b、並びに、前記周縁開口45を設けるように構成される。
【0059】
図11に、前記剥離工程が完了した時点での前記導電性金属平板200の平面図を示す。
また、
図12(a)に
図11におけるXII部拡大図を、
図12(b)に
図12(a)におけるXII(b)-XII(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0060】
前記剥離工程は、前記絶縁性樹脂層30の不要部分を剥離できる限り種々の方法によって行うことができ、例えば、レーザー加工、ショットブラスト又は切削加工等によって好適に行われる。
【0061】
図12(b)に示すように、本実施の形態においては、前記剥離工程は、前記第1面側積層部40の前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41b、前記周縁開口45並びに前記第2面側積層部50の前記第1及び第2バスバー用中央開口51a、51bを形成する処理を含んでいる。
【0062】
前記製造方法は、さらに、前記剥離工程後に、前記一対のバスバー形成部位220a、220bの露出領域にメッキ層60を形成するメッキ工程を有している。
【0063】
図13に、前記メッキ工程が完了した後の前記導電性金属平板200の平面図を示す。
また、
図14(a)に
図13におけるXIV部拡大図を、
図14(b)に
図14(a)におけるXIV(b)-XIV(b)線に沿った断面図を、それぞれ示す。
【0064】
前記製造方法は、さらに、前記メッキ工程後に、前記絶縁性樹脂層30が充填された状態の前記スリット215を挟んで対向する前記一対のバスバー形成部位220a、220bを、前記導電性金属平板200から切断して、前記バスバーアッセンブリ1Aを取り出す切断工程を有している。
【0065】
本実施の形態においては、前述の通り、前記スリット215を挟んで対向する前記一対のバスバー形成部位220a、220bは、前記導電性金属平板200のうち前記スリット215より当該スリット215の長手方向一方側に位置する連結部位225及び前記スリット215より当該スリット215の長手方向他方側に位置する連結部位226を介して、互いに対して繋がっている。
【0066】
この場合、前記切断工程は、
図14に示すように、前記スリット215の長手方向一方側において当該スリット125を幅方向に跨ぐように設定された切断線251に沿って前記導電性金属平板200を厚み方向に切断する処理、及び、前記スリット215の長手方向他方側において当該スリット215を幅方向に跨ぐように設定された切断線252に沿って前記導電性金属平板200を厚み方向に切断する処理を含むものとされる。
【0067】
斯かる構成を備えた製造方法によれば、本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ1Aを効率良く製造することができる。
【0068】
即ち、前記製造方法においては、前記第1及び第2バスバー10a、10bを形成する一対のバスバー形成部位220a、220bの相対位置が固定された状態のままで、前記一対のバスバー形成部位220a、220bの間の前記スリット215が前記連結部31によって充填され且つ前記一対のバスバー形成部位220a、220bの第1面上に前記第1面側積層部40が設けられ、その後に、前記第1面側積層部40の不要部分が除去される。
【0069】
そして、この状態において、前記連結部31によって機械的に連結された状態で前記一対のバスバー形成部位220a、220bが前記第1導電性金属平板200から切断されて、前記バスバーアッセンブリ1Aが製造される。
【0070】
従って、前記第1及び第2バスバー10a、10b間の電気的絶縁性を確実に確保しつつ、前記第1及び第2バスバー10a、10bが所望相対位置に正確に位置されたバスバーアッセンブリ1Aであって、封止樹脂120の堰き止め構造を備えたバスバーアッセンブリ1Aを効率良く安価に製造することができる。
【0071】
なお、前記製造方法は、前記塗装工程によって前記バスバー形成領域210の第1面の全域に絶縁性樹脂を塗装し、前記硬化工程によって前記絶縁性樹脂を硬化させて前記バスバー形成領域210の第1面の全域に前記絶縁性樹脂層30を形成した後に、前記剥離工程によって前記絶縁性樹脂層30の不要部分を剥離するように構成されている。
【0072】
これに代えて、前記塗装工程を、前記スリット215の間への前記塗料の充填に加えて、前記バスバー形成領域210の第1面のうち必要な領域のみへの前記塗料の塗布を行うように変形することも可能である。
【0073】
斯かる変形製造方法は、例えば、前記バスバー形成領域210の第1面のうち前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41b並びに前記第1面側周縁開口45に相当する領域にはマスキングを行った状態で、前記バスバー形成領域210の第1面に前記塗料を塗布することによって行うことができる。
この変形製造方法においては、前記剥離工程は削除される。
【0074】
また、本実施の形態においては、前記第1面側積層部40は、前記バスバー連結体の平面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面をそれぞれ個別に露出させる前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41bを有しているが、前記第1及び第2バスバー用中央開口41a、41bに代えて、前記バスバー連結体の平面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面を一体的に露出させる共通中央開口41を備えることも可能である。
【0075】
図15に、前記共通中央開口41を備えた変形例に係るバスバーアッセンブリ1Bの平面図を示す。
なお、前記第2面側積層部50についても、前記第1及び第2バスバー用中央開口51a、51bに代えて、前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面を一体的に露出させる共通中央開口(図示せず)を備えるように変形することができる。
【0076】
また、前記第1面側積層部40における前記中央被覆領域43を削除するように変形することも可能である。
図16に、前記中央被覆領域43を削除した、本実施の形態の第2変形例に係るバスバーアッセンブリ1Cの斜視図を示す。
また、
図17に、前記バスバーアッセンブリ1CにLED等の半導体素子100が装着されてなる半導体モジュールの一例の斜視図を示す。
さらに、
図18に前記半導体モジュールの縦断面図を示す。
なお、図中、本実施の形態におけると同一部材には同一符号を付している。
【0077】
前記第2変形例1Cは、本実施の形態1Aに比して、前記第1面側積層部40に代えて第1面側積層部40Cを有している。
前記第1面側積層部40Cは、前記バスバー連結体における平面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面11を一体的に露出させる共通中央開口41と、平面視において前記共通中央開口41を囲むように前記バスバー連結体の第1面を覆う周縁被覆領域47とを有している。
前記第2変形例においても、本実施の形態におけると同様の効果を得ることができる。
【0078】
実施の形態2
以下、本発明に係るバスバーアッセンブリの他の実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
なお、本実施の形態の図中、前記実施の形態1におけると同一部材には同一符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0079】
図19及び
図20に、それぞれ、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ2Aに前記半導体素子100及び前記ワイヤボンディング110が装着された半導体モジュールの平面図及び底面図を示す。
また、
図21に、
図19におけるXXI-XXI線に沿った断面図であって、前記封止樹脂120が設けられた状態の断面図を示す。
【0080】
前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリ1Aは、第1面上の所定領域においては絶縁性樹脂層30が存在しないように構成されており、前記絶縁性樹脂層30の有無によって生じる段差を、封止樹脂120の堰き止め用凹部(溝部)として利用している。
【0081】
これに対し、本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ2Aは、前記バスバー連結体の周縁部の第1面を板厚方向基準位置に位置させつつ、前記周縁部の径方向内方に隣接する部位の第1面を板厚方向基準位置よりも軸線方向他方側に位置させるように構成することで、封止樹脂120の堰き止め用凹部(溝部)を形成している。
【0082】
詳しくは、
図19~
図21に示すように、前記バスバーアッセンブリ2Aは、互いの間に間隙19が存する状態で同一平面内に配置された第1及び第2バスバー10a、10bと、前記第1及び第2バスバー10a、10bに固着された絶縁性樹脂層35とを備えている。
【0083】
前記絶縁性樹脂層35は、前記連結部31と第1面側積層部70とを有している。
前記第1面側積層部70は、平面視中央において前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面11を露出させる中央開口41と、前記中央開口41を囲む領域において前記バスバー連結体の第1面を覆う周縁被覆領域47とを有している。
【0084】
図19及び
図21に示すように、本実施の形態においては、前記中央開口41は、第1バスバー用中央開口41a及び第2バスバー用中央開口41bを有している。
これに代えて、前記中央開口41が前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面を一体的に露出させる共通中央開口を有するように変形することも可能である。
【0085】
なお、前記バスバーアッセンブリ2Aにおいては、前記実施の形態1におけると同様に、前記絶縁性樹脂層35は前記第2面側積層部50を有している。
本実施の形態においては、前記第2面側積層部50は前記第1及び第2バスバー用中央開口51a、51bを有しているが、これに代えて、前記第2面側積層部50が前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面を一体的に露出させる共通中央開口を有するように変形することも可能である。
【0086】
図21に示すように、本実施の形態においては、前記バスバー連結体は、前記第1面側積層部70の中央開口41を介して前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面が露出された露出領域82を含む中央部80と、平面視において前記中央部80を囲む囲繞部85であって、前記第1面側積層部70によって覆われた囲繞部85と、平面視において前記囲繞部85を囲む周縁部90であって、前記第1面側積層部70によって覆われた周縁部90とを有しており、前記囲繞部85が上方(第1面側)に開く凹部とされている。
【0087】
斯かる構成を備えた本実施の形態に係るバスバーアッセンブリ2Aによれば、前記囲繞部85及び前記周縁部90の間の段差によって、封止樹脂120の堰き止め構造が形成される。
【0088】
なお、本実施の形態においては、前記中央部80は、
図19及び
図21に示すように、前記露出領域82に加えて、平面視において前記露出領域82を囲み、前記第1面側積層部70によって覆われた中央被覆領域84を有している。
これに代えて、
図22に示す変形例2Bのように、前記中央部80の全域を前記露出領域82とすることも可能である。
【0089】
本実施の形態に係る前記バスバーアッセンブリ2Aは、前記第1及び第2バスバー10a、10bを形成するバスバーアッセンブリ形成領域を有する導電性金属平板を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域に、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面の間を貫通し且つ前記間隙19と同一幅を有するスリットを形成するスリット形成工程と、前記スリット形成工程の前又は後に、前記第1面側中央開口41を介して露出される露出領域82を含む中央部80、平面視において前記中央部80を囲む囲繞部85、及び、平面視において前記囲繞部85を囲む周縁部90が画されるように、前記バスバーアッセンブリ形成領域のうち前記囲繞部85に対応した部位に第1面側に開く凹部を形成する凹部形成工程と、前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面上の全域に絶縁性樹脂を含む塗料を塗装する塗装工程と、前記塗装工程で塗装された塗料を硬化させる硬化工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面上の絶縁性樹脂層35に前記第1面側中央開口41を形成する剥離工程と、前記バスバーアッセンブリを前記導電性金属平板から切断する切断工程とを含む製造方法によって効率的に製造することができる。
【0090】
前記凹部形成工程は、例えば、プレス加工、エッチング加工又は切削加工によって好適に行われる。
【0091】
なお、前記製造方法においては、前記塗装工程は、前記スリット内への塗料の充填に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面の全域に塗料を塗布するように構成されているが、これに代えて、前記塗装工程が、前記スリット内への塗料の充填に加えて、前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面のうち前記第1面側中央開口41以外の領域にのみ塗料を塗布するように、変形することも可能である。この場合、前記剥離工程は削除される。
【0092】
また、前記製造方法は、前記スリット形成工程及び前記凹部形成工程の後に、前記塗装工程を備えているが、これは、前記絶縁性樹脂層35の意に反した剥離を有効に防止する為である。
【0093】
即ち、理論上においては、前記塗装工程及び前記硬化工程の後に、前記スリット形成工程及び前記凹部形成工程を行うことも可能であるが、この場合には、前記スリット形成工程及び前記凹部形成工程の際に、意に反した絶縁性樹脂層の剥離が生じる恐れがある。
この点を考慮すると、前記スリット形成工程及び前記凹部形成工程の後に、前記塗装工程を行うのが好ましい。
【0094】
また、本実施の形態においては、前記囲繞部位85が凹部とされているが、これに代えて、前記中央部80が凹部とされるように変形することも可能である。
図23に、斯かる変形例2Cの縦断面図を示す。
【0095】
図23に示すように、前記変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cにおいては、前記バスバー連結体は、平面視中央において前記第1面側積層部70の第1面側中央開口41を介して前記第1及び第2バスバー10a、10bの第1面が露出された露出領域82を含む中央部80と、平面視において前記中央部80を囲む周縁部90であって、前記第1面側積層部70によって覆われた周縁部90とを有し、前記中央部80が上方に開く凹部とされている。
【0096】
前記変形例2Cにおいては、前記中央部80及び前記周縁部90の間の段差によって、封止樹脂120の堰き止め構造が形成されている。
【0097】
なお、前記変形例2Cにおいては、前記中央部80の全域が前記露出領域82とされているが、これに代えて、
図24に示す変形例2Dのように、前記中央部80が、前記露出領域82と、平面視において前記露出領域82を囲み、前記第1面側積層部70によって覆われた中央被覆領域84とを有するように構成することも可能である。
【0098】
前記変形例に係るバスバーアッセンブリ2Cは、前記第1及び第2バスバー10a、10bを形成するバスバーアッセンブリ形成領域を有する導電性金属平板を用意する工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域に、厚み方向一方側の第1面及び厚み方向他方側の第2面の間を貫通し且つ前記間隙19と同一幅を有するスリットを形成するスリット形成工程と、前記スリット形成工程の前又は後に、前記第1面側中央開口41を介して露出される露出領域82を含む中央部80、及び、平面視において前記中央部80を囲む周縁部90が画されるように、前記バスバーアッセンブリ形成領域のうち前記中央部80に対応した部位に第1面側に開く凹部を形成する凹部形成工程と、前記スリット内及び前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面上の全域に絶縁性樹脂を含む塗料を塗装する塗装工程と、前記塗装工程で塗装された塗料を硬化させる硬化工程と、前記バスバーアッセンブリ形成領域の第1面上の絶縁性樹脂層に前記第1面側中央開口41を形成する剥離工程と、前記バスバーアッセンブリ2Cを前記導電性金属平板から切断する切断工程とを含む製造方法によって効率的に製造することができる。
【0099】
なお、前記各実施の形態及び変形例においては、前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面12は面一とされているが、これに代えて、前記第1及び第2バスバー10a、10bの第2面12に、前記第2面側積層部50の中央開口51から外方へ延在する凸部領域15を設けることができる。
【0100】
図25に、前記実施の形態1に係るバスバーアッセンブリ1Aに前記凸状領域15を加えた変形例に係るバスバーアッセンブリ1Dを備えた半導体モジュールの縦断面図を示す。
【0101】
前記凸状領域15は、第2面12が前記第2面側積層部50の外表面と面一、又は、前記第2面側積層部50の外表面よりも外方に位置するように構成される。
【0102】
斯かる変形例1Dによれば、前記ワイヤボンディング110等を超音波溶着で取り付ける際に、超音波溶着治具を前記第1及び第2バスバー10a、10bの凸状領域15に確実に密着させることができ、超音波溶着を効率良く行うことができる。
【0103】
また、前記凸状領域15を備える場合には、前記凸状領域15の外表面が前記バスバーアッセンブリ1Dの第2面側の最下面となる。従って、前記バスバーアッセンブリ1Dの第2面側を設置面として所定箇所に設置させる場合に、前記バスバーアッセンブリ1Dの設置面(前記凸状領域15の外表面)と前記バスバーアッセンブリ1Dにおける半導体素子100の装着面(第1及び第2バスバー10a、10bの一方の第1面11)との間の平行度を良好に維持することができる。
【0104】
即ち、前記第2面側積層部50の外表面が第2面側の最下面とされているバスバーアッセンブリにおいては、設置面が絶縁性樹脂層30(第2面側積層部50)となるため、設置面と半導体素子100の装着面(第1及び第2バスバー10a、10bの一方の第1面11)との平行度にバラツキが生じ易い。
【0105】
これに対し、前記変形例1Dにおいては、前記第1及び第2バスバー10a、10bの凸状領域15が設置面を形成することになる為、設置面と半導体素子100の装着面との間の平行度を良好に維持することができる。
【0106】
特に、前記半導体素子100がLEDの場合、前記バスバーアッセンブリ1Dに前記半導体素子100が装着された半導体モジュールの状態で光軸調整を行うことになるが、前記バスバーアッセンブリ1Dの設置面と半導体素子100の装着面との間の平行度が良好に維持されていると、前記光軸調整を効率良く行うことができる。
【0107】
前記凸状領域15を設ける場合には、前記第1及び第2バスバー10a、10bの凸状領域15間の対向側面間の距離Dが、前記間隙19の幅よりも大きくなるように構成することが好ましい。
斯かる構成を備えることにより、超音波溶着の効率化という効果を得つつ、前記凸状領域15間でリーク電流が生じることを有効に防止することができる。
【0108】
また、前記各実施の形態及び変形例においては、第1及び第2バスバー10a、10bの2つのバスバーが並列配置された場合を例に説明したが、本発明は斯かる構成に限定されるものでは無く、3つ以上のバスバーが並列配置された場合も含む。
【符号の説明】
【0109】
1A~2D バスバーアッセンブリ
10a、10b 第1及び第2バスバー
11 第1面
12 第2面
13 対向側面
15 凸状領域
19 間隙
30 絶縁性樹脂層
31 連結部
40、40C 第1面側積層部
50 第2面側積層部