(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】油料種子由来のミールを処理する方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 1/00 20060101AFI20221227BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/36 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/04 20060101ALI20221227BHJP
C12P 1/02 20060101ALI20221227BHJP
A23K 10/16 20160101ALI20221227BHJP
A23K 10/12 20160101ALI20221227BHJP
A23K 10/37 20160101ALI20221227BHJP
C12R 1/125 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
C12N1/00 S
C12N1/20 F
C12M1/00 H
C12M1/36
C12M1/04
C12P1/02 Z
A23K10/16
A23K10/12
A23K10/37
C12R1:125
(21)【出願番号】P 2020508092
(86)(22)【出願日】2018-04-20
(86)【国際出願番号】 IB2018052768
(87)【国際公開番号】W WO2018193421
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-14
(32)【優先日】2017-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(73)【特許権者】
【識別番号】519378425
【氏名又は名称】インベンションバイオ エスピー. ゼット オー.オー.
【氏名又は名称原語表記】INVENTIONBIO SP. Z O.O.
【住所又は居所原語表記】Ul. Wojska Polskiego 65, 85-825 Bydgoszcz, PL
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】フカシェヴィチ, マルチン
(72)【発明者】
【氏名】クラジンスキ, マレク
(72)【発明者】
【氏名】クラソウスカ, アンナ
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0175734(US,A1)
【文献】英国特許出願公告第00935075(GB,A)
【文献】西独国特許出願公開第03540179(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12M 1/00-3/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発酵の固相または液相で使用される微生物による、生物内変化を用いる油抽出後の油料種子から得られたミールの処理方法であって、
前記油料種子から得られたミール(II)、生成物の生合成を刺激する添加物(III)を水タンク(1D)からの水(IV)で20%から85%の含水量まで水和し、
納豆菌を含む微生物(I)を接種し、一方、前記油料種子から得られたミール(II)をミールタンク(1B)において前処理し、前記前処理はその滅菌を含み、次に、生物反応器(2)に投入し、そこで
37℃から50℃で6時間から48時間インキュベートし、発酵後、混合物を分離装置(3)に送り、そこで固体画分(V)を液体画分(VI)から分離し、一方、前記固体画分(V)を次いで酵素の変性温度を超えない温度で乾燥させ、その後、補助飼料混合物成分タンク(5)に分配するのに対して、前記液体画分を遠心分離機(6)に送り、そこで微生物細胞(VII)および直径サイズが0.1μmを超える固体混入物を遠心分離しかつ前記生物反応器(2)に戻し、
第1の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を吸収装置(7)に送り、そこでは、微生物が生産した生物界面活性剤の吸着を活性炭(VIII)上で行い、微生物が生産した生物界面活性剤の脱着を、圧力反応器(9)において、吸着された生物界面活性剤を含む活性炭の超臨界条件下で、それらの生物界面活性剤をC
O
2抽出にかけることによって行い、前記活性炭は乾燥機(8)において事前に乾燥されており、または、
第2の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を大気圧での反応器(10)において抽出するかまたは精製された液体画分(VIA)を遠心分離機(6)から送り、
第3の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を反応器(11)において沈殿させるか、または
第4の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を脱水機(12)で濃縮する、のいずれかに前記精製された液体画分(VIA)を向かわせ、
分離された原料界面活性剤(IX)を含む得られた固体画分を原料界面活性剤タンク(13)に送り、水溶液IVDを前記水タンク
(1D)に送り、一方、ポリマーを含む、前記界面活性剤の分離後の液体画分(X)を凝縮器(14)において濃縮し、一方、分離された水(IV D)を前記水タンク(1D)に戻し、次に、エタノール(XI)の存在下ポリマー分離装置(15)における濃縮された液体画分から、ポリマーを原料ポリマーの形態(XII)で分離し、前記ポリマーを原料ポリマータンク(16)に送り、液体画分(XIII)をエタノール回収装置(17)に分配し、前記エタノール回収装置(17)から分離されたエタノール(XIV)を再度前記ポリマー分離装置(15)に送り、バイオ生成物を含む、エタノール(XV)から精製された残存する液体画分を、前記生物反応器(2)に送り、一方、原料界面活性剤(IX)および原料ポリマー(XII)をさらに、既知の方法を使用して精製および/または分別にかけ、そしてポリマー分別装置および/または界面活性剤分別装置(18)における精製サーファクチンタンク(S‐1、S‐2、S‐3)または精製ポリマータンク(P‐1、P‐2、P‐3)に送ることを含むことを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記油料種子ミールは菜種ミールである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
発酵過程は1分間に前記生物反応器の容積当たり0.01から10体積の空気の量の好気条件下で行われる必要がある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
発酵後に分離された固体画分は、滅菌、抽出、造粒、または他の添加物との混合の既知の方法を使用して改良された補助飼料混合物(MPU)のプロバイオティクスおよびプレバイオティクス成分である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記活性炭は粒状形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記界面活性剤の脱着は、水、エタノールまたは両方の混合物
である溶媒で洗浄することにより得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
酸沈殿を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記活性炭を乾燥させて、前記ミールの最大水分に等しい水分レベルを得る、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
乾燥させた前記活性炭は、エタノールまたはメタノー
ルの共溶媒を使用して、超臨界条件下でCO
2抽出にかけられるか、またはCO
2を導入することなくエタノール、またはメタノールのみを用いて抽出される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1の段階で前記ポリマーを含む、前記界面活性剤を分離した後の、液体画分は、濾過によ
り、濃縮される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーは50~90%の重量比で
、エタノール沈殿により得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記液体画分は、膜フィルターを使用して、濃縮される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマーは-15~+20℃の温度で、得られる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかの方法に従った油抽出後のミール用油料種子植物の処理システムであって、前記システムは微小要素タンク(1A)、ミールタンク(1B)、添加物タンク(1C)、水タンク(1D)を有し、それらは生物反応器(2)に接続され、前記生物反応器(2)は、順に、押出機(3)および導管(VII)を介して遠心分離機(6)に接続され、一方、前記押出機(3)は乾燥機(4)および補助飼料成分タンク(5)に接続され、一方、前記遠心分離機(6)は吸収装置(7)およびバルブを備えた導管を介して圧力抽出器(9)、または大気圧での抽出器(10)に接続されるのに対して、前記圧力抽出器(9)は乾燥機(8)を介してバルブを備えた導管により接続され、前記遠心分離機(6)はバルブを備えた導管を介して反応器(11)および脱水機(12)に接続され、前記導管のそれぞれは原料サーファクチンタンク(13)に接続され
、さらに、前記圧力抽出器(9)、前記大気圧での抽出器(10)、前記反応器(11)は前記水タンク(1D)に接続された濃縮装置(14)を介してポリマー分離装置(15)に接続されるのに対して、前記ポリマー分離装置(15)は原料ポリマータンク(16)およびエタノール回収装置(17)に接続され、前記エタノール回収装置(17)は前記ポリマー分離装置(15)および前記生物反応器(2)に導管で接続され、一方、前記脱水機(12)は前記水タンク(1D)に接続される、前記システム。
【請求項15】
前記原料サーファクチンタンク(13)は分別装置(18)を介して精製サーファクチンタンク(S‐1、S‐2、S‐3)に接続され、かつ/または前記原料ポリマータンクは分別装置(18)を介して精製ポリマータンク(P‐1、P‐2、P‐3)に接続される、請求項
14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、油抽出後の油料種子由来のミールを処理する方法およびシステムである。
【背景技術】
【0002】
現在、最も容易に入手できる基質(バイオマス)の1つは菜種ミールである。飼料として使用される油料種子粉の24%が菜種に由来するが、大豆由来は59%、ひまわり由来は12%である。大豆ミールと比較して、菜種ミールの欠点は、細胞壁多糖類の含有割合が高く、そのほとんどが単胃動物の内因性酵素によって消化されないことである。一方、菜種ミールは特定のアミノ酸の含有量に関して大豆ミールよりも優れている。例えば、菜種ミールにはメチオニンとシステインが多く含まれている。油料種子には約40%の油が含まれている。抽出後、吸収困難なまたは消化されない炭水化物から分離された、前記ミールは38%~43%のタンパク質を含む可能性がある。それにもかかわらず、ミールにはしばしば、抗栄養化合物または毒性化合物が含まれる。例えば、菜種は、甲状腺の肥大、肝臓の損傷、さらには動物の死を引き起こす可能性のある有毒なグルコシノレートやその他の抗栄養成分の含有量がなければ、大幅に大豆に取って代わる重要なタンパク質源になりうる。長年にわたって、菜種栽培品種におけるグルコシノレートの含有量は徐々に減少してきており、現在では1桁小さくなっている。したがって、現在では、ブロイラーと産卵鶏用の飼料には、菜種ミールが最大20%含まれることがあるが、マイナスの副作用は引き起こされていない。しかしながら、新規品種の創出は長期的で非常にコストのかかるプロセスである。付加価値を得るためのバイオマスの生体内変化の現象はよく知られており、このような変化は従来の発酵食品または飲料で使用されている。納豆菌株は納豆発酵製品の製造に使用されている。枯草菌(納豆菌)によって分泌されるプロテアーゼは、納豆の生産に重要な役割を果たし、それらはpH=8.5およびpH=10.3~10.8で最適な活性を示す。大豆タンパク質を加水分解することで、それらは特徴的な納豆の風味を生じることに寄与する。納豆菌はサブチリシンを生産し、サブチリシンは、未発酵だけでなく、たとえば納豆などの発酵した大豆製品にも含まれるアレルゲンを分解する酵素である。納豆菌は長年にわたって貴重な人間の食品の生産に使用されてきたが、このプロセスは栄養価の高い動物飼料の生産には使用されていない。特に、納豆菌株は、動物飼料に使用できる様々な生成物の生体内変化のために単離または試験されていない。家庭用化学品および化粧品の製造に使用される、生物界面活性剤、リポペプチドの群に由来する物質の製造方法は、特許出願P.406135から知られている。この方法はpH7において27℃で従来の液体状態発酵法を使用して行われる発酵を特徴とし、この方法により、19.5~35.5wt%の量で、菜種ケーキと1:1.25の割合で混合した抽出後の菜種ミールからなる培地上で成長するバチルス微生物の存在下、48時間の培養の適当な通気を伴う、偽均一性の系が準備され、その後、得られた混合物に60~70wt%の量の水が補充され、夜間培養からのM9ミネラル培地上で成長する、バチルスの液体細菌培養物が接種された。発酵後の物質は、逆浸透により精製され、および/またはtert-ブチルメチルエーテル(TBME)を用いた有機溶媒抽出によりさらに精製される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、ミールおよびそのカスケードを生体内変化させ、連続精製して高付加価値の1つまたは複数の生成物の分離をもたらし、そして最終的に、元の抽出後のミール材料と比較して栄養価が向上した残存するバイオマスを得る方法を開発することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による方法の本質は、油料種子由来のミールを生成物の生合成を刺激する添加物と共に両方を、水タンクからの水を使用して、20%から85%の含水量まで水和し、かつそこに微生物を接種するという事実に基づく。油料種子から得られたミールを、その滅菌からなる、ミール成分調製タンクにおける前処理にかける。次に、生物反応器に投入し、そこで20℃から50℃の範囲の温度で6時間から48時間インキュベートし、発酵後の混合物を分離装置に送り、そこで固体画分を液体画分から分離する。前記固体画分を次いで酵素変性温度を超えない温度で乾燥させ、その後、バイオミールの形態の最終生成物として、補助飼料混合物(SFM)タンクに分配する。次に、前記液体画分を遠心分離機に送り、そこで微生物細胞および直径が0.1μmを超える固体混入物を遠心分離しかつ前記生物反応器に(接種材料として)戻す。精製された液体画分を、第1の選択肢に従い、吸収装置に送り、そこでは、微生物が生産した生物界面活性剤の吸着を、乾燥機において事前に乾燥された活性炭上で行い、一方、脱着を、圧力反応器において超臨界条件下で前記吸収装置をCO2抽出にかけることによって行う。第2の選択肢に従い、精製された液体画分を大気圧での反応器において抽出する。第3の選択肢に従い、精製された液体画分を前記遠心分離機から送り反応器において沈殿させるかまたは、第4の選択肢に従い、その液体画分を蒸発装置で濃縮し、そこから水溶液を前記水タンクに送り、分離された原料界面活性剤を含む得られた濃縮物を原料界面活性剤タンクに送る。次に、界面活性剤の分離後、ポリマーを含む、液体画分を濃縮し、分離された水を前記水タンクに戻し、その後、ポリマー分離装置において、エタノールの存在下濃縮された液体画分からポリマーを原料の形態で分離する。次に、原料ポリマーを原料ポリマータンクに送り、液体画分をエタノール回収部に投入する。分離されたエタノールを再度前記ポリマー分離装置に送り、バイオ生成物を含む、エタノールから精製された、残存する液体画分を前記生物反応器に送る。最終原料界面活性剤および原料ポリマー生成物をさらに、既知の方法を使用してポリマー分別装置および/または界面活性剤分別装置において精製および/または分別し、精製サーファクチンタンクまたは精製ポリマータンクに送る。
【0005】
好ましくは、菜種ミールは油料種子ミールである必要がある。
好ましくは、納豆菌は当該微生物である必要がある。
好ましくは、発酵過程は1分当たりに生物反応器の容積当たり0.01~10体積の空気の量の通気の好気的条件下で行われる必要がある。
好ましくは、発酵後に分離された固体画分は、滅菌、または抽出、または造粒、または他の添加物との混合の既知の方法を使用して改良された補助飼料混合物(SFM)のプロバイオティクスおよびプレバイオティクス成分である必要がある。
好ましくは、前記活性炭は粒状形態である必要がある。
好ましくは、前記界面活性剤の脱着は、水、エタノール、または両方の混合物などの溶媒で洗浄することにより行われる必要がある。
好ましくは、酸沈殿を使用する必要がある。
好ましくは、前記活性炭を乾燥させて、前記ミールの最大水分に等しい水分レベルを得る必要がある。
好ましくは、乾燥された前記活性炭は、エタノールまたはメタノールなどの共溶媒を使用して超臨界条件下でCO2抽出にかけられるか、またはCO2を導入することなくエタノール、またはメタノールのみを用いて抽出される必要がある。
好ましくは、第1の段階で前記ポリマーを含む界面活性剤を分離した後の、液体画分は、濾過により、好ましくは膜フィルターを使用して濃縮される必要がある。
好ましくは、前記ポリマーは、50%~90%の重量比で、好ましくは-15℃~+20℃の温度で、エタノール沈殿により得られる必要がある。
前記補助飼料混合物成分は酵素活性を有し、マイコトキシンを分解することができることが好ましい。
前記補助飼料混合物成分はミネラルキレート特性を有することが好ましい。
【0006】
前記システムで重要なことは、本発明に従って、本処理の入口に微小栄養素タンク、ミールタンク、添加物容器、水容器があり、これらが順に生物反応器に接続されていることであり、その生物反応器は、順に、押出機および細菌送出導管を介して遠心分離機に接続され、一方、前記押出機は乾燥機を介して補助飼料成分の容器に接続される。さらに、前記遠心分離機は吸収装置およびバルブを備えた導管を介して圧力抽出器に、または大気圧での抽出器に接続されるのに対して、前記圧力抽出器は前記乾燥機およびバルブを備えた前記導管を介して接続される。前記遠心分離機はバルブを備えた導管によって前記反応器および脱水機に接続される。前記圧力抽出器、前記大気圧での抽出器、前記反応器、前記脱水機は前記原料サーファクチンタンクに接続される。さらに、前記圧力抽出器、前記大気圧での抽出器および前記反応器は蒸発装置を介して前記ポリマー分離装置に接続され、その蒸発装置は、順に、前記水タンクに接続されるのに対して、ポリマーの前記分離装置は前記原料ポリマータンクおよびエタノールを回収する装置に接続され、それは導管を介して前記ポリマー分離装置および前記生物反応器に接続され、一方、前記脱水機は前記水タンクに接続される。
【0007】
好ましくは、原料界面活性剤の容器および原料ポリマー容器は分別装置に接続される必要があり、その分別装置は、順に、精製サーファクチン容器または精製ポリマーのタンクに接続される。本発明による解決策の利点は、ポリマー、バイオ界面活性剤などの高品質の新規な生成物を取得する能力である。生産コストの低減、価格の低下、市場での独自性に起因して、そして環境に優しい方法を採用した生産により、競争力のある補助飼料混合物成分として、バイオマスが使用される。市販されている既存の製品と比較して、これらは、さまざまな種類の溶媒によって得られる液体抽出由来の残留物などの有害な物質を微量でも含むことがない。炭素吸着剤上の精製の結果、これらの生成物は非常に高い純度を特徴としており、それにより多くの食品または医薬品および化粧品でのそれらの使用が促進される。本処理で使用される専用の吸着剤は、エネルギー消費の削減に役立つ。さらに、処理したミールでは、酪酸や乳酸などの短鎖の短い有機酸が生産されかつ飼料に導入されて、過剰なpHが下げられることで、前記飼料に残留するフルクタンおよび界面活性剤のプレバイオティクス機能が向上することになる。代謝物を分泌する微生物は、より良い吸収可能なミネラルであるキレート型の量を著しく増加させる。大きな利点は、ミールに分泌される代謝産物、例えば、サルモネラや腸内細菌科の中毒から動物を保護する、生物界面活性剤またはバクテリオシンの抗菌活性である。微生物を添加した家畜用飼料を家禽の飼料に使用した場合、従来の飼料を使用した場合よりも速い体重増加が観察され、飼料摂取量が減少し、これらの家禽の健康状態が向上し、これらの家畜用飼料からのガスの放出が減少した。鶏の発育の初期段階では、鶏に対照飼料を与えた場合と比較して、体重の増加は最大8%までアップした。本発明によるシステムは、図面に示すように、生成物の生合成を刺激する添加物を導入して、サーファクチンとポリマーを得ることにより、その選択肢の補充の可能性を備えた補助飼料混合物の成分としてのバイオミールなどの多くのバイオプロダクトの単離を可能にし、これらの図面には、省エネ、環境に優しい、無駄のない方法を使用したレバンを含むシステムが示される。前記システムの柔軟性は、サーファクチン分泌のさまざまな過程を任意に使用できるという事実から明らかである。
以下に、本発明の実施形態を列挙する。
1.
発酵の固相または液相で使用される微生物による、生物内変化を用いる油抽出後の油料種子から得られたミールの処理方法であって、
前記油料種子から得られたミール(II)、生成物の生合成を刺激する添加物(III)を水タンク(1D)からの水(IV)で20%から85%の含水量まで水和し、納豆菌を含む微生物(I)を接種し、一方、前記油料種子から得られたミール(II)をミールタンク(1B)において前処理し、前記前処理はその滅菌を含み、次に、生物反応器(2)に投入し、そこで37℃から50℃で6時間から48時間インキュベートし、発酵後、混合物を分離装置(3)に送り、そこで固体画分(V)を液体画分(VI)から分離し、一方、前記固体画分(V)を次いで酵素の変性温度を超えない温度で乾燥させ、その後、補助飼料混合物成分タンク(5)に分配するのに対して、前記液体画分を遠心分離機(6)に送り、そこで微生物細胞(VII)および直径サイズが0.1μmを超える固体混入物を遠心分離しかつ前記生物反応器(2)に戻し、
第1の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を吸収装置(7)に送り、そこでは、微生物が生産した生物界面活性剤の吸着を活性炭(VIII)上で行い、微生物が生産した生物界面活性剤の脱着を、圧力反応器(9)において、吸着された生物界面活性剤を含む活性炭の超臨界条件下で、それらの生物界面活性剤をCO
2
抽出にかけることによって行い、前記活性炭は乾燥機(8)において事前に乾燥されており、または、
第2の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を大気圧での反応器(10)において抽出するかまたは精製された液体画分(VIA)を遠心分離機(6)から送り、
第3の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を反応器(11)において沈殿させるか、または
第4の選択肢に従い、精製された液体画分(VIA)を脱水機(12)で濃縮する、のいずれかに前記精製された液体画分(VIA)を向かわせ、
分離された原料界面活性剤(IX)を含む得られた固体画分を原料界面活性剤タンク(13)に送り、水溶液IVDを前記水タンク(1D)に送り、一方、ポリマーを含む、前記界面活性剤の分離後の液体画分(X)を凝縮器(14)において濃縮し、一方、分離された水(IV D)を前記水タンク(1D)に戻し、次に、エタノール(XI)の存在下ポリマー分離装置(15)における濃縮された液体画分から、ポリマーを原料ポリマーの形態(XII)で分離し、前記ポリマーを原料ポリマータンク(16)に送り、液体画分(XIII)をエタノール回収装置(17)に分配し、前記エタノール回収装置(17)から分離されたエタノール(XIV)を再度前記ポリマー分離装置(15)に送り、バイオ生成物を含む、エタノール(XV)から精製された残存する液体画分を、前記生物反応器(2)に送り、一方、原料界面活性剤(IX)および原料ポリマー(XII)をさらに、既知の方法を使用して精製および/または分別にかけ、そしてポリマー分別装置および/または界面活性剤分別装置(18)における精製サーファクチンタンク(S‐1、S‐2、S‐3)または精製ポリマータンク(P‐1、P‐2、P‐3)に送ることを含むことを特徴とする、前記方法。
2.
前記油料種子ミールは菜種ミールである、前記1に記載の方法。
3.
発酵過程は1分間に前記生物反応器の容積当たり0.01から10体積の空気の量の好気条件下で行われる必要がある、前記1に記載の方法。
4.
発酵後に分離された固体画分は、滅菌、抽出、造粒、または他の添加物との混合の既知の方法を使用して改良された補助飼料混合物(MPU)のプロバイオティクスおよびプレバイオティクス成分である、前記1に記載の方法。
5.
前記活性炭は粒状形態である、前記1に記載の方法。
6.
前記界面活性剤の脱着は、水、エタノールまたは両方の混合物である溶媒で洗浄することにより得られる、前記1に記載の方法。
7.
酸沈殿を使用する、前記1に記載の方法。
8.
前記活性炭を乾燥させて、前記ミールの最大水分に等しい水分レベルを得る、前記1に記載の方法。
9.
乾燥させた前記活性炭は、エタノールまたはメタノールの共溶媒を使用して、超臨界条件下でCO
2
抽出にかけられるか、またはCO
2
を導入することなくエタノール、またはメタノールのみを用いて抽出される、前記1に記載の方法。
10.
第1の段階で前記ポリマーを含む、前記界面活性剤を分離した後の、液体画分は、濾過により、濃縮される、前記1に記載の方法。
11.
前記ポリマーは50~90%の重量比で、エタノール沈殿により得られる、前記1に記載の方法。
12.
前記液体画分は、膜フィルターを使用して、濃縮される、前記10に記載の方法。
13.
前記ポリマーは-15~+20℃の温度で、得られる、前記11に記載の方法。
14.
請求項1~13のいずれかの方法に従った油抽出後のミール用油料種子植物の処理システムであって、前記システムは微小要素タンク(1A)、ミールタンク(1B)、添加物タンク(1C)、水タンク(1D)を有し、それらは生物反応器(2)に接続され、前記生物反応器(2)は、順に、押出機(3)および導管(VII)を介して遠心分離機(6)に接続され、一方、前記押出機(3)は乾燥機(4)および補助飼料成分タンク(5)に接続され、一方、前記遠心分離機(6)は吸収装置(7)およびバルブを備えた導管を介して圧力抽出器(9)、または大気圧での抽出器(10)に接続されるのに対して、前記圧力抽出器(9)は乾燥機(8)を介してバルブを備えた導管により接続され、前記遠心分離機(6)はバルブを備えた導管を介して反応器(11)および脱水機(12)に接続され、前記導管のそれぞれは原料サーファクチンタンク(13)に接続され、さらに、前記圧力抽出器(9)、前記大気圧での抽出器(10)、前記反応器(11)は前記水タンク(1D)に接続された濃縮装置(14)を介してポリマー分離装置(15)に接続されるのに対して、前記ポリマー分離装置(15)は原料ポリマータンク(16)およびエタノール回収装置(17)に接続され、前記エタノール回収装置(17)は前記ポリマー分離装置(15)および前記生物反応器(2)に導管で接続され、一方、前記脱水機(12)は前記水タンク(1D)に接続される、前記システム。
15.
前記原料サーファクチンタンク(13)は分別装置(18)を介して精製サーファクチンタンク(S‐1、S‐2、S‐3)に接続され、かつ/または前記原料ポリマータンクは分別装置(18)を介して精製ポリマータンク(P‐1、P‐2、P‐3)に接続される、前記14に記載のシステム。
本発明の主題は実施例で説明され、図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、バイオミール、原料サーファクチンおよび原料ポリマーの形態で最終生成物を得るための油抽出後の油料種子ミールを使用するシステムを示す。
【
図2】
図2は、バイオミール、精製サーファクチンおよび精製ポリマーの形態でレディーメードの生成物を得るためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
実施例1
油を抽出した後の油料種子由来のミールを処理する方法は、抽出後のミールIIをミールタンク1Bにおいて滅菌し、その後、生成物合成を刺激する添加物IIIを含む以下の組成の培地:ショ糖~50g/L、グルタミン酸ナトリウム塩~15g/L、MgS04 5g/L、CuS04 5mg/L、Fe2(S04)3 3mg/L、MnS04 15mg/L、KH2P04 3g/L、NH4N03 5g/L、酵母エキス 1g/L中の24時間の枯草菌I培養物と50/50の重量比で混合するという原則に基づく。得られた混合物を、水和とそれに続く、生物反応器2中、37℃で、1分間で生物反応器1容量当たり空気0.1体積の量を確実に通気する条件下で、水タンク1Dからの水および/またはエタノール回収装置17からの液体バイオ生成物画分を添加することにより基質の水分レベルを一定に維持する、SSF型発酵とにかける。
【0010】
発酵の終わりに、好ましくはプレス押出により、分離装置3において固体画分Vを液体画分VIから分離する。前記固体画分Vをバイオミール乾燥機4中で酵素変性の数値を超えない温度で乾燥させ、前記補助飼料の最終成分として、補助飼料成分タンク5に送る。したがって、得られた固体画分Vはプロバイオティクスおよびプレバイオティクス飼料添加物であり、それは特定の動物群用にそれを最適化する目的で、滅菌、抽出、造粒、他の添加物との混合などの既知の方法を使用して変更できる。得られた補助飼料混合物成分は、微生物の存在により酵素の特性およびマイコトキシンを分解する能力を有する。それはミネラルキレート特性も有し、それらの微生物によって分泌される代謝物に起因してそれらの生物学的利用能が向上する。
【0011】
次に、前記液体画分VIを遠心分離して、微生物VII細胞および0.1μmを超える直径サイズを有する他の固体混入物を除去し、それらを生物反応器2に送る。生物界面活性剤を含む精製されたVIA液体画分を、その液体画分が通過する活性炭で満たされたカラムである、吸収装置7に送る。活性炭の好ましい形態はメソポア、すなわち幅2~50nmの細孔の最も発達した表面を特徴とする粒状である。吸着剤表面の化学的性質はアルカリ性であってはならず、細孔表面は弱く酸化される必要がある。
【0012】
本処理の次のステップは脱着である。吸着プロセス後の活性炭を溶液から分離し、80℃を超えない温度で乾燥機8において乾燥させ、圧力抽出器9に入れ、そこで超臨界流体で抽出を行う。超臨界状態の二酸化炭素を抽出剤として使用する。抽出を50℃で1時間サイクルにて行い、約80mg/gの吸着サーファクチンを伴う15gの活性炭当たり100cm3の液体二酸化炭素を使用する。原料サーファクチンIXを、最終生成物として原料界面活性剤タンク13に送る。ポリマーを含む他のバイオ生成物を含む、原料サーファクチンXの除去後の液体画分をさらに、前記液体画分から前記ポリマーを分離するために分別する。第1の段階では、原料サーファクチンXの除去後の、液体画分を、蒸発装置14に送り、そこで、好ましくはクロスフロー濾過膜で、4倍に濃縮する。このプロセスにより、ポリマーの沈殿に必要なエタノールの量が減り、水溶液IVDを構成する液体画分を水タンク1Dに排出する。重量比が50%から90%の範囲のエタノールXIを使用して、好ましくは-15℃~+20℃の温度で、ポリマー分離装置15において前記ポリマーを沈殿させる。
【0013】
原料ポリマーの沈殿物を、24時間の沈降させた液体画分から分離し、ポリマーの分離後のその固体画分XIIを、原料ポリマータンク16に送る。ポリマー分離後の液体画分XIIIは、エタノールおよび他のバイオ生成物と一緒にエタノール回収装置17を通って流れ、そこで、エタノールXIVを分離しポリマー分離装置15に戻し、一方、エタノールの蒸発後のバイオ生成物の液体画分XVを生物反応器2に供給する。原料界面活性剤および原料ポリマーをさらに、既知の方法を使用して精製および分別する。このため、原料界面活性剤タンク13からのまたは原料ポリマータンク16からの生成物を、好ましくはクロマトグラフィー法により、分別装置18で分別し、精製サーファクチンをS-1、S-2、S-3タンクに送り、一方、精製ポリマーをP-1、P-2、P-3タンクに送る。
【0014】
実施例2
栄養価の高い、界面活性剤およびポリマーを含む菜種ミールを得るために、実施例1に示したプロセスを使用したが、相違点は、界面活性剤の吸着後、前記乾燥機8において乾燥させた前記活性炭に、エタノールまたはメタノールなどの共溶媒を使用して超臨界条件でCO2抽出を行うか、またはCO2を用いることなくエタノールまたはメタノールのみを使用して抽出することである。
【0015】
実施例3
栄養価の高い、界面活性剤およびポリマーを含む菜種ミールを得るために、実施例1に示したプロセスを使用したが、相違点は、前記10において、溶媒脱着を大気圧で、好ましくは無水エタノールを使用して行うことである。
【0016】
実施例4
栄養価が高い、界面活性剤およびポリマーを含む菜種ミールを得るために、実施例1に示したプロセスを使用したが、相違点は、沈殿方法を使用して界面活性剤を沈殿させ、生物界面活性剤のVIAの液体画分を遠心分離機6から反応器11に直接送ることである。pH4を得るためにHClを添加して沈殿を行った。
【0017】
実施例5
栄養価が高い、界面活性剤およびポリマーを含む菜種ミールを得るために、実施例1に示したプロセスを使用したが、相違点は、生物界面活性剤のVIAの液体画分を脱水装置12に送り、そこで、界面活性剤の放出を50℃で行い、次いで原料界面活性剤タンク13に送り、水溶液IVDを水タンク1Dに送ったことである。
【0018】
実施例6
油抽出後の油料種子から取得したミールを処理するシステムは、その入口に、微小栄養素タンク1A、ミールタンク1B、添加物タンク1C、水タンク1Dを有し、それらは導管で生物反応器2に接続され、前記生物反応器2は、順に、押出機3および導管VIIを介して遠心分離機6に接続される。他方、前記押出機3は乾燥機4および補助飼料成分タンク5に接続され、一方、前記遠心分離機6は吸収装置7およびバルブを備えた導管を介して圧力抽出器9に接続されるか、または大気圧での抽出器10に接続される。それに対して、前記圧力抽出器9は乾燥機8を介してバルブを備えた導管に接続され、遠心分離機6はバルブを備えた導管を介して反応器11および脱水機12に接続される。それらの導管のそれぞれは、順に、原料界面活性剤タンク13に接続される。さらに、前記圧力抽出器9、前記大気圧での抽出器10、および前記反応器11は、前記水タンク1Dに接続された濃縮装置14を介してポリマー分離装置15に接続され、一方、前記ポリマー分離装置15は原料ポリマータンク16におよびエタノール回収装置17に接続され、前記エタノール回収装置17は前記ポリマー分離装置15および前記生物反応器2に接続され、一方、前記脱水機12は前記水タンク1Dに接続される。
【0019】
実施例7
油抽出後の油料種子から取得したミールを処理するシステムは実施例6のように構築されるが、原料界面活性剤タンク13が分別装置18を介して精製サーファクチンタンク(S‐1、S‐2、S‐3)に接続され、原料ポリマータンク16が分別装置18を介して精製ポリマータンク(P‐1、P‐2、P‐3)に接続されていることは除かれる。
【符号の説明】
【0020】
1A- 微小要素タンク
1B- ミールタンク
1C- 添加物タンク1C
1D- 水タンク
2- 生物反応器
3- 液体画分分離用分離装置
4- バイオミール乾燥機
5- 補助飼料成分タンク
6- 遠心分離機
7- 吸収装置
8- 乾燥機
9- 圧力抽出器
10- 大気圧抽出器
11- 反応器
12- 脱水機
13- 原料界面活性剤タンク
14- 蒸発装置
15- ポリマー分離装置
16- 原料ポリマータンク
17- エタノール回収装置
18- ポリマー分別装置
S-1
S-2- 精製サーファクチンタンク
S-3
P-1
P-2- 精製ポリマータンク
P-3
I- 微生物
II- ミール
III- 生成物合成を刺激する添加物
IV- 水
IVD- 液体ポリマー画分の高密度化プロセス後の水
V- 生物界面活性剤の固体画分
VI- 生物界面活性剤の液体画分
VIA 微生物が除かれた生物界面活性剤の液体画分
VII- 微生物の細胞
VIII-活性炭
IX- 原料界面活性剤
X- 界面活性剤の除去後の液体画分
XI- エタノール
XII- ポリマー分離後の固体画分
XIII-ポリマー分離後の液体画分
XIV 回収エタノール
XV エタノール蒸発後のバイオ生成物の液体画分。