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特許7201678プレートフィン流体処理デバイス、システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】プレートフィン流体処理デバイス、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 11/00 20060101AFI20221227BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20221227BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20221227BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20221227BHJP
   F28F 27/00 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
F28F11/00 A
F28D9/00
F28F3/08 301A
F28F9/02 J
F28F27/00 511G
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020522954
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 US2018057577
(87)【国際公開番号】W WO2019089353
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-04-27
(31)【優先権主張番号】62/579,270
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/169,703
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/640,981
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518414306
【氏名又は名称】チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】マクニーリー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】バリー,スティーブン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ,カイル
(72)【発明者】
【氏名】カーター,エンマ
(72)【発明者】
【氏名】スカールプカ,ズィーク
(72)【発明者】
【氏名】バネベンホーベン,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ロブソン,ロバート
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-249475(JP,A)
【文献】特開2014-040945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00-3/14,9/02,11/00,27/00
F28D 9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートフィン流体処理デバイスであって、
a.複数の活性層であって、各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように前記仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含み、前記複数の活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含む、複数の活性層と、
b.前記最も外側の活性層に隣接して位置決めされ、前記プレートフィン流体処理デバイスの外部表面を画定するキャップシートを含む偶発層ボディであって、前記外部表面は大気に曝され、前記偶発層ボディは少なくとも1つの偶発層によって画定され、少なくとも1つの偶発層のそれぞれは一対の仕切りシートの間に又は仕切りシートと前記キャップシートとの間に位置決めされるフィンプレートを含み、そのため少なくとも1つの偶発層のそれぞれに対して流体空間が画定され、前記流体空間が大気に対してシールされ、少なくとも1つの偶発層のそれぞれの前記流体空間が単一の所定の圧力を含むと共に、前記偶発層ボディが大気圧力より上である前記単一の所定の圧力不活性ガスで加圧され、又は、大気圧力より下である前記単一の所定の圧力に減圧され、又は、前記単一の所定の圧力として真空とされる、偶発層ボディと、
c.前記偶発層ボディの少なくとも1つの偶発層のそれぞれの前記流体空間と連通する圧力監視システムであって、前記単一の所定の圧力及び前記単一の所定の圧力の変化を検出するように構成されている圧力監視システムと、
d.事前設定圧力を超過する場合に、前記少なくとも1つの偶発層の1つの前記流体空間内の圧力を解放するように構成される圧力緩和デバイスと
を含む、プレートフィン流体処理デバイス。
【請求項2】
前記単一の所定の圧力は、大気圧力より上であるが、前記最も外側の活性層の流れの動作圧力より下である、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項3】
前記単一の所定の圧力は、約689.476kPa(100psi)である、請求項2に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項4】
前記不活性ガスは、窒素である、請求項3に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項5】
前記不活性ガスは、窒素及び乾燥空気からなる群から選択されるガスである、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項6】
前記偶発層ボディは、低点ドレンを含む、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項7】
前記偶発層ボディは、複数の偶発層を含み、各偶発層は、一対の仕切りシート間、又は、仕切りシートと前記キャップシートとの間に位置決めされるフィンプレートを含む、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項8】
記圧力緩和デバイスは、前記偶発層ボディの前記流体空間と流体連通する偶発層ヘッダと、前記偶発層ヘッダと流体連通する圧力作動弁と、を含む、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項9】
前記偶発層ボディの前記流体空間は、真空を包含する、請求項1に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項10】
プレートフィン流体処理デバイスの漏れを検出するための方法であって、前記プレートフィン流体処理デバイスは、複数の活性層を有し、各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように前記仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含み、前記複数の活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含み、
a.不活性ガスを、前記最も外側の活性層に隣接して位置決めされる偶発層ボディの流体空間に、大気圧力より上又は下である所定の圧力で貯蔵する、又は、前記流体空間を真空にするステップと、
b.前記偶発層ボディの中の圧力の増加又は減少を検出するステップと、
c.オペレータに、前記偶発層ボディの中の圧力の前記増加又は減少が起きたことを、信号伝達するステップと
d.流体が、緊急圧力緩和デバイスを通り、前記流体空間から前記最も外側の活性層へ流れるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記所定の圧力は、周囲圧力より上であるが、前記最も外側の活性層の流れの動作圧力より下である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の圧力は、約689.476kPa(100psi)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不活性ガスは、窒素である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記偶発層ボディ内が事前設定圧力に達すると、前記偶発層ボディを大気に又は廃棄システムに通気するステップを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記事前設定圧力は、前記プレートフィン流体処理デバイスの活性層の設計圧力である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ステップa.は、前記偶発層ボディ内の真空を維持するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性ガスは、窒素及び乾燥空気からなる群から選択されるガスである、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記圧力緩和デバイスが、事前設定圧力を超過する場合に、複数の前記偶発層の全ての前記流体空間内の圧力を解放するように構成される、請求項7に記載のプレートフィン流体処理デバイス。
【請求項19】
プレートフィン流体処理デバイスであって、
a.複数の活性層であって、各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように前記仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含み、前記複数の活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含む、複数の活性層と、
b.前記最も外側の活性層に隣接して位置決めされ、前記プレートフィン流体処理デバイスの外部表面を画定するキャップシートを含む偶発層ボディであって、前記外部表面は大気に曝され、前記偶発層ボディは少なくとも1つの偶発層によって画定され、偶発層のそれぞれは一対の仕切りシートの間に又は仕切りシートと前記キャップシートとの間に位置決めされるフィンプレートを含み、そのため少なくとも1つの偶発層のそれぞれに対して流体空間が画定され、前記流体空間が大気に対してシールされ、少なくとも1つの偶発層のそれぞれの前記流体空間が単一の所定の圧力を含むと共に、前記流体空間が、大気圧力より上である前記単一の所定の圧力に加圧され、又は、大気圧力より下である前記単一の所定の圧力に減圧され、又は、前記単一の所定の圧力として真空とされる、偶発層ボディと、
c.前記偶発層ボディの少なくとも1つの偶発層のそれぞれの前記流体空間と連通する圧力監視システムであって、前記単一の所定の圧力及び前記単一の所定の圧力の変化を検出するように構成されている圧力監視システムと、
d.前記偶発層ボディ内で事前設定圧力を超過する場合に、前記偶発層ボディ内の圧力を解放するように構成される圧力緩和デバイスと、
を含む、プレートフィン流体処理デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
[0001]本出願は、2017年10月31日に提出された米国仮出願第62/579,270号、2018年3月9日に提出された米国仮出願第62/640,981号、及び、2018年10月24日に提出された米国特許出願第16/169,703号の利益を主張し、それらの個々の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本主題は、概して流体処理デバイスに関し、特に、漏れ検出システムを有するプレートフィン流体処理デバイス及びシステム、並びに、システムの動作の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]小型のプレートフィン流体処理デバイスは、熱交換器の体積に対する伝熱面の高い比率を有するという点で、それらの高い「面積密度」を特徴とする。結果として、処理流体が加熱又は冷却される熱交換器として、或いは、処理の流れがデバイス内に位置決めされた触媒に衝突する反応器として、使用するのが一般的である。2つの機能は、幾つかの流体処理の用途で組み合わされることがある。
【0004】
[0004]プレートフィン熱交換器では、プレートの積重ねは、プレートの積重ねが種々の流体流れを分離するように、フィンシート、フィンプレート、又は、別の方式で隣接するプレート間のフィン、で組み立てられる。フィンプレートは、構造体の強度に加重し、また、流体のための追加の流れ経路を提供するために穿孔やセレーションが設けられることがある。
【0005】
[0005]先行技術のプレートフィン流体処理デバイスのコアの簡略化された例は、図1に20で概括的に表示される。プレートフィンデバイスは、基本的にウィスコンシン州ラクロスのChart Energy&Chemicals,Inc.のろう付けアルミニウム熱交換器(BAHX)及び反応器の技術を使用する。より具体的には、図1に例証されたように、デバイスは、22a~22cで例証された波形フィンを積み重ねることによって構築され、仕切りシート又はプレート24a及び24bによって分離され、縁部に沿ってサイド又はエンドバー26a~26fでシールされる。キャップシート28a及び28bは、構造体の外部表面を形成する。すべての構成要素は、典型的にアルミニウムから構築され、組立体は、一体型の剛性ブロック、ボディ又はコアを形成するために、真空炉でろう付けされる。
【0006】
[0006]図1は、プレートフィン熱交換器のコアが例証された3つよりも遥かに多くの層を典型的に特徴とする点で簡略化された例証を提供する。
【0007】
[0007]矢印32a及び32bによって例証されたように、流体は、フィン22a及び22cを通って第1の方向に流れることがあり、他方、流体は、矢印34によって例証されたように、矢印32a及び32bの方向を横切る第2の方向にフィン22bを通って流れることがある。図1のフィン22bは、フィン22b’の一部を通る流れがフィン22a及び22cを通る流れに対する対向流になり得るように、フィン22a及び22cに平行に走るフィン36を含むために、図2の22b’で概括的に表示されたやり方で、代替的に構成されることがある。勿論、他の流れ方向は、当技術分野で知られている。
【0008】
[0008]熱交換器コアの第2の例は、図3に40で概括的に表示され、対応する構成要素は、図1と同じ番号を使用する。図2(38a及び38b)及び図3(42a~42e)に例証されたように、ノズルを有するヘッダ(図2の44a及び44b、図3の46a~46e)は、フィンシートの開いた端部の上に配置され、流体配管は、流体の流れを層に方向付けするために及び層からの流体の流れを受容するために、ノズルに連結される。
【0009】
[0009]先行技術では、熱交換器の積重ねの上部及び底部の活性層の流体の流れの方向に平行に走る不活性層を含むことが知られている。例えば、不活性である追加のフィンプレートと、追加の仕切りシートとは、図1のキャップシート28aと最も外側の活性フィンプレート22aとの間に設けられる(不活性フィンプレートは、キャップシート28aと追加の仕切りシートとの間に挟まれる)。同様に、不活性である追加のフィンプレートと、追加の仕切りシートとは、図1のキャップシート28bとフィンプレート22cとの間に設けられる(不活性フィンプレートは、キャップシート28bと追加の仕切りシートとの間に挟まれる)。これらの不活性層の個々には、エンドバーと圧力試験用の少なくとも1つのヘッダ及びノズルとが設けられる。ノズルの開口は、輸送中及び貯蔵中に湿気や破片を不活性なエリアの外に保持するために、圧力試験後に仮のプラグで典型的にシールされる。プラグは、圧力の蓄積を防止するために、動作のために取り外される。
【0010】
[0010]不活性層は、輸送及び設置中に起こり得るような外力及び衝撃から熱交換器の活性層を保護する。不活性層は、ヘッダ及び他の固定具を取り付けるためのコア用の増加された表面積を提供することもある。
【0011】
[0011]熱交換器の寿命の最後に近いと、流体の漏れは、特に、キャップシート又は最も外側の活性層において、発生することがある。そういった流体の漏れをそれらの形成前に予測すること、並びに、熱交換器の修理又は交換が成し遂げられ得るように、そういった漏れをオペレータに通知するために、運転中に漏れを検出することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012]本主題には幾つかの態様が存在し、それらは以下に説明及び特許請求されるデバイス及びシステムにおいて、別々に又は一緒に具現化されることがある。これらの態様は、単独で又は本明細書で説明される主題の他の態様と組み合わせて採用されることがあり、これらの態様の説明をまとめて行うことは、これらの態様の単独での使用、或いは、そういった態様の単独での、又は、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載されたような異なった組合せでの請求、を除外することを意図していない。
【0013】
[0013]1つの態様では、プレートフィン流体処理デバイスは、幾つかの活性層を含み、各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含む。複数の活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含む。偶発層ボディは、最も外側の活性層に隣接して位置決めされ、また、仕切りシートとキャップシートとの間に位置決めされるフィンプレートを含む。偶発層ボディは、大気に対してシールされて大気圧力より上又は下である所定の圧力で不活性ガスを包含する流体空間を有する。圧力監視システムは、偶発層ボディの流体空間と連通する。緊急圧力緩和デバイスは、事前設定圧力を超過する場合に流体空間内の圧力を解放するように構成される。
【0014】
[0014]別の態様では、プレートフィン流体処理デバイスの漏れを検出するための方法であって、プレートフィン流体処理デバイスは、幾つかの活性層を有し、各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含み、幾つかの活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含み、方法が、不活性ガスを、最も外側の活性層に隣接して位置決めされる偶発層ボディ内の大気圧力より上又は下である所定の圧力で、貯蔵するステップと、偶発層ボディの中の圧力の増加又は減少を検出するステップと、オペレータに、偶発層ボディの中の圧力の増加又は減少が起きたことを、信号伝達するステップと、を含む。
【0015】
[0015]更に別の態様では、プレートフィン流体処理デバイスは、幾つかの活性層を含む。各活性層は、活性流体空間が仕切りシート間に画定されるように仕切りシート間に挟まれるフィンプレートを含む。幾つかの活性層は、入口及び出口を有する最も外側の活性層を含む。偶発層ボディは、最も外側の活性層に隣接して位置決めされる。偶発層ボディは、仕切りシートとキャップシートとの間に位置決めされるフィンプレートを含み、また、大気に対してシールされる流体空間と、最も外側の活性層の設計圧力に略等しいか又はそれより高い設計圧力と、を有する。第1の圧力緩和デバイスは、偶発層ボディの流体空間と流体連通する。圧力監視システムは、偶発層ボディの流体空間と連通し、流体空間内の圧力を絶えず測定するように構成される。信号伝達デバイスは、圧力監視システムに連結され、流体空間内の圧力が所定のレベルを超えると、活動化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】[0016]プレートフィン流体処理デバイスの先行技術のコア又はボディの斜視図である。
図2】[0017]先行技術のプレートフィン流体処理デバイスのフィンプレート、サイドバー、ヘッダ及びノズルの上部立面図である。
図3】[0018]先行技術のプレートフィン流体処理デバイスの斜視図である。
図4】[0019]本開示のプレートフィン流体処理デバイスの第1の実施形態の部分斜視図である。
図5】[0020]図4のプレートフィン流体処理デバイスを含む本開示のプレートフィン流体処理システムの第1の実施形態の概略図である。
図6】[0021]本開示のプレートフィン流体処理システムの第2の実施形態の概略図である。
図7】[0022]図6のプレートフィン流体処理システムの様々な実施形態の漏れ抑制経路及び圧力緩和経路の例を例証する線図である。
図8】[0023]本開示のプレートフィン流体処理デバイスの第2の実施形態の斜視図である。
図9】[0024]図8のプレートフィン流体処理デバイスの圧力緩和回路の拡大斜視図である。
図10】[0025]本開示のプレートフィン流体処理デバイスの第3の実施形態の圧力緩和回路の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0026]本開示の流体処理デバイスの実施形態での使用に適した構造の例は、共通に所有されている、両方ともWattonらの米国特許第6,510,894号及び第6,736,201号、Jiaらの米国特許第7,998,345号、並びにHesselgreavesの米国特許第5,193,611号、に提示されており、その個々の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0018】
[0027]下の実施形態は、熱交換器に関して説明されるが、本開示の流体処理デバイスは、反応器又は他の流体処理用途に組み込まれることもあることを理解されたい。
【0019】
[0028]その上、波形フィンプレートが例証されているが、フィンは、単に例として、ヘリンボーン又はシェブロン形状のフィンを含む、当技術分野で知られている他の形状を採ることがある。
【0020】
[0029]多くの状況において、プレートフィン熱交換器の外側の不活性層が、活性層の内部仕切りシートを介した望ましくない流体連通を有する前に、不活性層の外側キャップシートを介した望ましくない流体連通を有する可能性が高いことが、本発明者らによって発見された。
【0021】
[0030]図4に例証された本開示のプレートフィン流体処理デバイスの実施形態では、45で概括的に表示されたプレートフィン熱交換器の不活性層43は、偶発層ボディを作り上げ、また、大気に対してシールされて約689.476kPa(100psi)(単なる一例として)などの所定の圧力まで不活性ガスで加圧される流体空間を画定する。所定の圧力は、好ましくは、周囲より高いが、最も外側の活性層46の流れの動作圧力より低い圧力になるように選択される。単なる一例として、窒素は、偶発層ボディ又は不活性層43の流体空間を加圧するために使用されることがあるが、乾燥空気(ほぼ乾燥した空気を含む)を含むがそれに限定されない代替の不活性ガスが選択されることがある。
【0022】
[0031]熱応力又は蓄積された熱疲労損傷が、外側キャップシート47でのクラックの形成を引き起こす場合(図4)に、少なくとも最も外側の不活性層43の不活性ガスは、クラックを通って脱出し、不活性層の圧力は、低下する。
【0023】
[0032]図5に例証されたように、偶発層ボディ又は不活性層43には、不活性層の流体空間内の圧力の任意の低下又は上昇を検出する圧力監視デバイス又はシステム48が設けられる。そういった圧力監視システムは、圧力変換器、又は、当技術分野で知られている任意の他の圧力検出/監視デバイス若しくはシステムを含む場合がある。圧力変換器は、圧力が所定の範囲から外れると活動化される、点滅灯又は警告ベル若しくはホーンなどの任意の信号伝達システム又はデバイスに連結される場合がある。代替的に、圧力変換器は、信号伝達又は他の機能を提供するためにプラント制御ロジックに連結される場合がある。
【0024】
[0033]クラックしたキャップシートに起因する不活性層43の圧力低下は、圧力監視システム48によって検出され、図5の49で表示されたように、信号は、システムオペレータに提供される。
【0025】
[0034]同様に、不活性層43を最も外側の活性層46から分離するクラックが仕切りシートに形成される場合に、不活性層の流体空間の圧力は、最も外側の活性層の圧力に適合するために、結果として生じる漏れ経路(図5の矢印50で表される)に起因して上昇する。この不全は、不活性層圧力監視システム48によっても検出される。
【0026】
[0035]偶発層ボディ又は不活性層43には、過度の加圧を防止するために、事前設定圧力を超過する場合に不活性層の流体空間を大気に又は廃棄システムに通気するために、図5の51で及び図4の51で概括的に表示される緊急圧力緩和デバイスが設けられる。廃棄システムの例は、それらに限定されないが、フレア、焼却炉、熱酸化装置又は発電機回収システムを含む。単なる一例として、図4を参照すると、緊急圧力緩和デバイス51は、不活性層43のヘッダ55のノズルに連結される配管53の遠位端に位置決めされる圧力作動弁52又は同様の構成要素を含むことがある。結果として、配管53及びヘッダ55は、不活性層43の内部流体空間に開いている。単なる一例として、圧力作動弁52は、逆止弁、圧力調整器、或いは、当技術分野で知られている他の圧力作動弁又はデバイスを含む場合がある。圧力作動弁は、1つ又は複数の不活性層43の圧力が、最も外側の活性層の、設計圧力又は設計圧力より僅かに上の圧力などの設定値を超えると、圧力を緩和するために自動的に開く。
【0027】
[0036]図5に例証されたように、偶発層ボディ又は不活性層43は、漏れが最も外側の活性層と不活性層との間に生じて緊急圧力緩和デバイス51が漏れに対応することができないケースでは、液体又は他の流体の不活性層又は偶発層を排出するために開かれることのある弁を含む低点ドレン57も有する。低点ドレン弁は、手動、自動、又は、遠隔で開かれることがある。低点ドレンは、偶発層の流体空間を圧力で満たすために、入口で使用される場合もある。
【0028】
[0037]本開示のプレートフィン流体処理デバイスの代替的な実施形態では、図4のプレートフィン熱交換器の偶発層ボディの不活性層43は、流体空間が大気圧より低い圧力になるように、大気に対して少なくとも部分的な真空でシールされる流体空間を画定する。熱応力又は蓄積された熱疲労損傷が、外側キャップシート47でのクラックの形成を引き起こす場合(図4)に、大気からの空気は、偶発層ボディの流体空間に、その中の圧力が上昇するように、進入する。そういった圧力の上昇は、不活性層圧力監視システム(図5の48)によって検出される。
【0029】
[0038]同様に、不活性層43を最も外側の活性層46から分離するクラックが仕切りシートに形成される場合(図4)に、不活性層の流体空間の圧力は、最も外側の活性層の圧力に適合するために、結果として生じる漏れ経路(図5の矢印50で表される)に起因して上昇する。この不全は、不活性層圧力監視システム48によっても検出される。
【0030】
[0039]本開示のプレートフィン流体処理デバイスの代替的な実施形態における最も外側の活性層52及び隣り合う若しくは隣接する偶発層54を例証する概略図は、図6に提示される。単一の偶発層54が例証されるが、偶発層が、複数の層を含むことがあり、各層が、一対の仕切りシート(又は、仕切りシートとキャップシートと)の間に挟まれたフィンプレートを含むことを理解されたい。偶発層のフィンは、隣接する最も外側の活性層の最も弱いフィンと少なくとも強度(設計圧力)が等しい。
【0031】
[0040]その上、図6は、熱交換器の一端における隣接する最も外側の活性層及び偶発層を例証するが、熱交換器の他端が、図6に関して下で説明されるやり方で動作する隣接する最も外側の活性層及び偶発層も含むことを理解されたい。
【0032】
[0041]流体空間は、最も外側の活性層及び各偶発層に対して存在する。用語「流体空間」は、偶発層に関して下で使用されるとき、熱交換器の一方側のすべての偶発層の流体空間を包含することを理解されたい。
【0033】
[0042]図6に例証されたように、圧力監視デバイス56は、偶発層54の流体空間と連通する。単なる一例として、圧力監視デバイスは、圧力変換器である場合がある。圧力変換器は、点滅ライト又は警告ベル若しくはホーンなどの任意の信号伝達システム又はデバイスに連結される場合がある。代替的に、圧力変換器は、プラント制御ロジックに連結される場合がある。
【0034】
[0043]第1の圧力緩和デバイス58は、偶発層54と最も外側の活性層52との間に、下で説明されるやり方で、連結される。加えて、第2の圧力緩和デバイス62は、最も外側の活性層52の流体空間に連結される。単なる一例として、第2の圧力緩和デバイス62は、活性層52のヘッダのノズルに連結される配管に位置決めされる圧力作動弁又は同様のデバイスを含むことがある。
【0035】
[0044]図6の64で表示された漏れが熱交換器の最も外側の活性層52と偶発層54との間に生じるケースでは、偶発層の流体空間は、加圧されることになる。圧力が所定のレベルを超えるとき、圧力監視デバイスは、偶発層への漏れが起きたというオペレータへの警告を提供する。これは、熱交換器の寿命のかなりの部分が消費されたという信号として役立つことがある。
【0036】
[0045]第1の圧力緩和デバイス58は、偶発層の圧力が、最も外側の活性層の圧力などの所定のレベルを超えるか又は所定の設定点に達するときはいつでも、偶発層54から最も外側の活性層52(又は下で説明されるような他の関連する行先)への流体の流れを可能にするために活動化する。単なる一例として、圧力緩和デバイス58は、逆止弁、圧力調整器、或いは、当技術分野で知られている他の圧力作動弁又はデバイスを含む場合がある。
【0037】
[0046]第2の圧力緩和デバイス62は、逆止弁、圧力調整器、或いは、当技術分野で知られている他の圧力作動弁又はデバイスの形態を採ることがある。第2の圧力緩和デバイスは、最も外側の活性層52の圧力が、最も外側の活性層の、設計圧力又は設計圧力より僅かに上の圧力などの設定値を超えると、圧力を緩和するために自動的に開く。
【0038】
[0047]偶発層54は、漏れが最も外側の活性層と偶発層との間に生じて第1の圧力緩和デバイス58が漏れに対応することができないケースでは、液体又は他の流体の偶発層を排出するために開かれることのある弁を含む低点ドレン66も有する。低点ドレン弁は、手動、自動、又は、遠隔で開かれることがある。
【0039】
[0048]図7に転じると、偶発層は、54で概括的に表示されており、個々が1つ又は複数のノズル76a及び76bをそれぞれ有する一対のヘッダ74a及び74bを装備した偶発層コア又はボディ72(上で説明されたように、複数の層を含むことがある)を含む。ヘッダ74a及び74bは、個々が偶発層ボディの入口又は出口と流体連通している。ヘッダ74a及び74bとノズル76a及び76bとは、圧力試験のために水で偶発層ボディ72を充填及び排出するのに必要とされ、また、偶発層が熱交換器のための標準動作状態中に使用されないために、ノズルの開口は、そういった試験後にシールされることがあり、或いは、代わりに圧力監視デバイス、第1の圧力緩和デバイス、又は、低点ドレンに連結されることがある。
【0040】
[0049]偶発層54と同様に、最も外側の活性層は、図7に52で概括的に表示されており、個々が1つ又は複数のノズル86a及び86bをそれぞれ有する一対のヘッダ84a及び84bを装備した最も外側の活性層コア又はボディ82(最も外側の活性層を含む)を含む。ヘッダ84a及び84bは、個々が活性層の入口又は出口と流体連通している。ヘッダ84a及び84bとノズル86a及び86bとは、熱交換器の最も外側の活性層、及び、最も外側の活性層の間に位置決めされた熱交換器の他の活性層、に流体を提供し、また、そこから流体を除去する。
【0041】
[0050]図7に例証されたように、偶発層54を最も外側の活性層52に、第1の圧力緩和デバイス(図6の58)を介して連結するための多くの選択肢が存在する。
【0042】
[0051]図8及び図9に例証された1つの実施形態では、プレートフィン熱交換器92は、複数の偶発層を特徴とする偶発層ボディ72と、隣接する最も外側の活性層82と、を特徴とする。圧力緩和回路は、94で概括的に表示されており、第1の圧力緩和デバイス58と、偶発層ヘッダ74aのノズル76aのポート及び最も外側の活性層82のヘッダ84aのポートに連結されている流体連結線路60a及び60bと、を特徴とする。これは、図7の矢印94として示されてもいる。図9を参照すると、偶発層ボディ72の偶発層のバー98と最も外側の活性層ボディ82のバー100とは、偶発層のフィンが偶発層ヘッダ74a(及び図示しない別のヘッダの可能性もある)に対してだけ開き、最も外側の活性層のフィンがヘッダ84a(及び、図示しない別のヘッダ)に対してだけ開くように、構成される。取り分け、圧力緩和回路94によって許容される場合を除いて、偶発層ボディ72の偶発層は、ヘッダ84aと流体連通しない。
【0043】
[0052]上で説明されたように、漏れが最も外側の活性層ボディ82と偶発層ボディ72との間に生じると、偶発層ボディ内の圧力は、上昇する。ヘッダ84aと偶発層ボディ72との間の圧力差に基づいて圧力緩和デバイス58によって検出される際に、この圧力が最も外側の活性層ボディ内の圧力を超えると、圧力緩和デバイスは、偶発層ボディからの流体がヘッダ84aに流れるように(図9の矢印102及び図7の矢印94によって表示されたように)開く。
【0044】
[0053]図8を参照すると、同様の配置は、矢印104で概括的に表示されたように、偶発層ボディ及び最も外側の活性層に対して、熱交換器92の反対端に存在する。
【0045】
[0054]図10に例証された別の実施形態では、110で概括的に表示された偶発層は、キャッププレート114と仕切りシート116との間に挟まれ、バー112によって片側で境界決めされたフィンプレート(図10では見えない)を特徴とする。120で概括的に表示された隣接する最も外側の活性層は、仕切りシート116と仕切りシート122との間に挟まれ、バー124によって片側で境界決めされたフィンプレート(図10では見えない)を特徴とする。
【0046】
[0055]126で概括的に表示された圧力緩和回路は、第1の圧力緩和デバイス58と、サイドバー112及び124に形成されたポートに連結されている流体連結線路128a及び128bと、を特徴とする。これは、図7の矢印126として示されてもいる。
【0047】
[0056]上で説明されたように、漏れが最も外側の活性層120と偶発層110との間に生じると、偶発層内の圧力は、上昇する。2つの層の流体空間の間の圧力差に基づいて圧力緩和デバイス58によって検出される際に、この圧力が最も外側の活性層内の圧力を超えると、圧力緩和デバイスは、偶発層からの流体が最も外側の活性層に流れるように(図10の矢印132及び図7の矢印126によって表示されたように)開く。
【0048】
[0057]図7の残りの矢印によって例証されたように、代替的な実施形態では、第1の圧力緩和デバイス(図6の58)は、ノズル、ヘッダ、又は偶発層メインボディを介して偶発層ボディに連結される場合があり、また、ノズル、ヘッダ、最も外側の活性層メインボディ、最も外側の活性層と同じ流れを包含する他の層、又は、最も外側の活性層に関連付けされた上流若しくは下流の配管、を介して最も外側の活性層に連結される場合がある。
【0049】
[0058]単なる一例として、上で説明された熱交換器は、206.843kPa(30psi)から8963.184kPa(1300psi)の範囲の流体流れ圧力に順応するように設計される場合がある。別の例として、熱交換器は、1378.95から2068.43kPa(200から300psi)の間の流体流れ圧力に順応する場合がある。幾つかの実施形態では、第1の圧力解放デバイスは、偶発層流体空間が熱交換器設計圧力よりも高い圧力であるときはいつでも活動化するように構成されることがある。
【0050】
[0059]結果として、本開示のプレートフィン流体処理デバイスの実施形態は、不活性層のキャップシート(又は外側シート)がクラックするときを検出するデバイス及び方法を提供し、それは、熱交換器の動作寿命の相当な部分が消費されたことの指標である。更には、指標は、不活性層及び活性層を分離する仕切りシートが損なわれる場合に提供される。
【0051】
[0060]本主題は、特定の構造、方法及び例を参照して本明細書で説明されるが、これは単に例証の目的のためであり、本主題が、この主題を依然として採用しながら、特定の構成及び外観において異なり得るデバイス及びシステムの広範囲に適用可能であることは理解されよう。
【0052】
[0061]本発明の好適な実施形態が示されて説明されてきたが、添付の特許請求の範囲によってその範囲が画定される本発明の趣旨から逸脱することなく変更及び修正が本明細書において行われ得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10