(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】RF用途向けのヘテロ接合バイポーラトランジスタ用のメッシュ構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/331 20060101AFI20221227BHJP
H01L 29/737 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H01L29/72 H
(21)【出願番号】P 2020530490
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(86)【国際出願番号】 US2018059532
(87)【国際公開番号】W WO2019112741
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-10-15
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507364838
【氏名又は名称】クアルコム,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ラナディープ・ダッタ
【審査官】恩田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-230261(JP,A)
【文献】特表2003-522414(JP,A)
【文献】特表2007-520086(JP,A)
【文献】特開2006-049693(JP,A)
【文献】特開2010-080925(JP,A)
【文献】特開平01-189961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/331
H01L 29/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)であって、
コレクタメサと、
前記コレクタメサ上のベースメサと、
前記ベースメサ上のエミッタメサであって、複数の開口を有するエミッタメサと、
前記ベースメサに接続された前記複数の開口内の複数の卑金属と
、
前記エミッタメサの外部に配置され、前記ベースメサに接続された外側卑金属とを備え
、
前記複数の開口が前記複数の卑金属用の窓を構成し、
前記エミッタメサの外部に配置され、前記ベースメサに接続された外側卑金属をさらに備え、前記複数の卑金属と前記外側卑金属は電気的に結合され、
前記外側卑金属は、前記エミッタメサを囲むように配置され、
前記外側卑金属は、金属の別の層を通して前記複数の卑金属に接続されている、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項2】
前記エミッタメサに結合されたエミッタ金属をさらに備える請求項1に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項3】
前記コレクタメサに結合されたコレクタ金属をさらに備える請求項1に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項4】
前記複数の開口の各々は同じサイズを有する、請求項1に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項5】
前記複数の開口の各々は方形状である、請求項
4に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項6】
前記複数の開口は少なくとも4つである、請求項
4に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項7】
前記複数の開口はアレイ状に配置されている、請求項
4に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項8】
前記複数の開口は、2×2アレイ、3×3アレイ、または3×1アレイとして配置されている、請求項
7に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項9】
前記複数の開口の各々は六角形状である、請求項
4に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項10】
前記複数の卑金属の各々は六角形状である、請求項
9に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項11】
前記エミッタメサと前記複数の卑金属との間の間隔は、使用されるプロセス技術によって許容される最小サイズである、請求項1に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項12】
前記ベースメサの面積の前記エミッタメサの面積に対する比は1.8未満である、請求項1に記載のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)。
【請求項13】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)を製造するための方法であって、
コレクタメサスタックと、ベースメサスタックと、エミッタメサスタックとを備えるウエハを準備するステップと、
前記エミッタメサスタックをパターニングして複数の開口を有するエミッタメサを形成するステップと、
前記ベースメサスタックに接続された前記複数の開口内に複数の卑金属を設けるステップと、
前記ベースメサスタックをパターニングしてベースメサを形成するステップと
、
前記エミッタメサの外部に配置され、前記ベースメサに接続された外側卑金属を設けるステップとを含み、
前記複数の開口が前記複数の卑金属用の窓を構成し、
前記複数の卑金属と前記外側卑金属が電気的に結合され、
前記外側卑金属は、前記エミッタメサを囲むように配置され、
前記外側卑金属は、金属の別の層を通して前記複数の卑金属に接続される、方法。
【請求項14】
前記複数の開口の各々は同じサイズを有
し、
前記複数の開口が2×2アレイ、3×3アレイまたは3×1アレイとして配置されるか、または、前記エミッタメサが4つ以上の開口を有する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記ベースメサの面積の前記エミッタメサの面積に対する比は1.8未満である、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2017年12月7日に出願された「MESH STRUCTURE FOR HETEROJUNCTION BIPOLAR TRANSISTORS FOR RF APPLICATIONS」という名称の出願第15/834100号の優先権を主張する。この出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により明白に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の態様は、概してヘテロ接合バイポーラトランジスタに関し、より詳細には、RF用途向けのヘテロ接合バイポーラトランジスタのエミッタメサ、ベースメサ、およびコレクタメサの製造方法および構成に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)の一種であり、エミッタ領域およびベース領域にそれぞれに異なる半導体材料を使用し、ヘテロ接合部を形成する。HBTは、数百GHzまでの非常に高い周波数の信号を処理することができるという点でBJTを改善する。HBTは、一般に現代の超高速回路、主として無線周波数(RF)システムにおいて使用され、セルラーフォンにおけるRF電力増幅器などの、高い電力効率を必要とする用途において使用される。
【0004】
従来のヘテロ接合バイポーラトランジスタレイアウトでは、エミッタがストライプ状に配置される。しかし、そのような構造を使用するHBTは、いくつかの課題に直面する。(必要な出力RF電力によって設定される)所与のエミッタメサ面積に対して、ベースメサは非常に広い面積を占有する。従来のHBTユニットセル上のベースメサ面積のエミッタメサ面積に対する一般的な比は約2.4である。HBTのベースコレクタ接合キャパシタンス(Cbc)は、特に高周波数における電力利得などのデバイス性能の非常に重要な限定要因である。広いベースメサ面積による大きいCbcは、デバイスの電力利得および効率を損なう。ストライプレイアウトを有するHBTはまた、所与の出力電力を供給するのに必要なエミッタメサ面積を受け入れるための大きいフットプリントを占有し、それによってダイサイズが大きくなり、製造コストが高くなる。
【0005】
したがって、面積を狭くしてデバイス性能を向上させる改良されたHBT構造および改良された製造方法を提供すると有益である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下は、そのような実装形態の基本的理解を与えるために、1つまたは複数の実装形態の簡略化された概要を提示する。本概要は、企図されるすべての実装形態の包括的な概説ではなく、すべての実装形態の主要または重要な要素を特定することも、いずれかまたはすべての実装形態の範囲を定めることも意図しない。本概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の前置きとして、1つまたは複数の実装形態に関する概念を簡略化された形で提示することである。
【0007】
一態様では、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)は、コレクタメサと、コレクタメサ上のベースメサと、ベースメサ上のエミッタメサとを備える。エミッタメサは、複数の開口を有する。HBTはさらに、ベースメサに接続された複数の開口内に複数の卑金属を備える。
【0008】
別の態様では、方法は、コレクタメサスタック、ベースメサスタック、およびエミッタメサスタックを含むウエハを準備するステップと、エミッタメサスタックをパターニングして、複数の開口を有するエミッタメサを画定するステップと、ベースメサスタックに接続された複数の開口内に複数の卑金属を設けるステップと、ベースメサスタックをパターニングしてベースメサを画定するステップとを含む。
【0009】
上記の目的および関係する目的の達成のために、1つまたは複数の実装形態は、以下で十分に説明され、特に特許請求の範囲で指摘される特徴を備える。以下の説明および添付の図面は、1つまたは複数の実装形態のいくつかの例示的な態様を詳細に示している。しかしながら、これらの態様は、様々な実装形態の原理が採用されることがある様々な方法のうちの小数の方法のみを示しており、記載される実装形態は、そのようなすべての態様およびそれらの均等物を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ストライプレイアウトを有する例示的なHBTのトップダウン図である。
【
図2】線A-A’に沿った
図1の例示的な断面図である。
【
図3】線A-A’に沿った
図1の別の例示的な断面図である。
【
図4】本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTの例示的な実装形態を示す図である。
【
図5】本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTのさらに別の例示的な実装形態を示す図である。
【
図6】本開示のいくつかの態様による、線B-B’に沿った
図5の例示的な断面図である。
【
図7】本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTのさらに別の例示的な実装形態を示す図である。
【
図8a】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8b】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8c】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8d】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8e】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8f】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図8g】本開示のいくつかの態様による、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTを製造するための例示的な方法示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に記載された詳細な説明は、添付の図面に関連して、様々な態様について説明することを目的としたものであり、本明細書で説明する概念が実現されることがある態様のみを表すことを目的としたものではない。詳細な説明は、様々な概念の理解を可能にするための具体的な詳細を含む。しかしながら、これらの概念がこれらの具体的な詳細なしに実践されてもよいことが当業者には明らかであろう。いくつかの事例では、そのような概念を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造および構成要素はブロック図の形態で示される。
【0012】
HBTのベースコレクタ接合キャパシタンス(Cbc)は、特に高周波数における電力利得の非常に重要な限定要因である。従来のHBTは、エミッタメサをストライプ状に配置することが多く、それによってCbcが高くなる。
図1は、ストライプレイアウトを有する例示的なHBTのトップダウン図である。HBT100は、コレクタメサ102と、コレクタメサ102上のベースメサ104とを備える。HBT100はさらに、ベースとの接続部を構成する卑金属114のストライプをベースメサ104上に備える。複数のストライプ106で構成されたエミッタメサがベースメサ104上に位置する。より多くの卑金属またはより大きいエミッタメサを受け入れるために、より多くの卑金属114がエミッタメサストライプ106と交互配置されてもよい。さらに、HBT100はまた、エミッタとの電気的接続部を構成する複数のエミッタ金属116を複数のエミッタメサストライプ106上に備える。コレクタとの電気的接続部を構成する1つまたは複数のコレクタ金属112がコレクタメサ102上に配置される。
【0013】
図2は、線A-A’に沿った
図1の例示的な断面図である。断面200は、コレクタメサ102と、コレクタメサ102上のベースメサ104と、ベースメサ104上のエミッタメサ106とを備える。卑金属114の1つまたは複数のストライプ、エミッタ金属116の1つまたは複数のストライプ、およびコレクタ金属112の1つまたは複数のストライプがそれぞれ、ベースメサ104、エミッタメサ106、およびコレクタメサ102上に(たとえば、堆積プロセスによって)配置される。
【0014】
コレクタメサ、ベースメサ、およびエミッタメサの各々が断面200における単一の層として示されているが、各層が複数の副層を含むことができることを理解されたい。
図3は、NPN HBTの例示的な断面を示す。NPN HBT300は、コレクタメサ302と、ベースメサ304、エミッタメサ306とを備える。コレクタメサは、この例では2つの副層、すなわち、半絶縁GaAs基板302AとN+GaAsサブコレクタ302Bとを備える。同様に、ベースメサ304はまた、この例では複数の副層、すなわち、第1のInGaPエッチ停止層304A、N-GaAsコレクタ304B、P+GaAsベース304C、および第2のInGaPエッチ停止層304Dを備える。N+GaAsサブコレクタ302B、第1のInGaPエッチ停止層304A、およびN-GaAsコレクタ304Bは、HBT300のコレクタを形成する。NPN HBT300はさらに、それぞれベースメサ304、エミッタメサ306、およびコレクタメサ302上に(たとえば、堆積プロセスによって)配置された卑金属314の1つまたは複数のストライプ、エミッタ金属316の1つまたは複数のストライプ、およびコレクタ金属312の1つまたは複数のストライプを備える。
【0015】
図1に示すレイアウトおよび構造では、(必要な電流出力RF電力によって設定される)所与のエミッタメサ面積についてのベースコレクタ接合面積が大きくなる。それによってCbcが大きくなり、HBTの電力利得および効率が損なわれる。本開示のいくつかの態様によれば、ベースコレクタ接合面積を縮小しCbcを低減させるために、エミッタメサが、関連するエミッタ金属とともにメッシュ構造として配置されてもよい。メッシュの開口は、矩形状もしくは六角形状またはその他の適切な形状にすることができる。HBTベース用の金属ピックアップが、メッシュの開口の内部に配置される。この構造は、ベース抵抗をさらに低下させるようにエミッタメッシュを囲む任意の卑金属ドーナツをさらに含んでもよい。任意の卑金属は、さらなる最適化空間を構成し、ベース抵抗(Rb)とCbcの兼ね合いを図る。任意の卑金属ドーナツは、エミッタメッシュ開口内部の卑金属ドーナツと相互接続される。この構造は、ベースメサ面積/エミッタメサ面積比を1.8よりも低くする。さらに、この構造は、
図1に示す構造に対して25%の性能向上を実現する。
【0016】
図4は、本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTの例示的な実装形態を示す図である。HBT400は、コレクタメサ402と、コレクタメサ402上のベースメサ404と、ベースメサ404上のエミッタメサ406とを備える。エミッタメサ406は、メッシュ状構造として配置される。エミッタメサ406は、複数の開口410を有する。複数の開口410は、ベースメサ404上に配置されベースメサ404に接続された複数の卑金属414用の窓を構成する。複数の卑金属414は、金属の別の層(または複数の層)(図示せず)を通して接続され、互いに電気的に結合される。
【0017】
複数の開口410は、(
図4に示されているような)方形、矩形、六角形などの任意の形状であってもよい。複数の開口410の各開口についてのサイズおよび/または形状は異なってもよい。設計を容易にし、ならびに/またはパッキング密度を高くするために、複数の開口410は、同じサイズおよび/または同じ形状を有してもよい。複数の開口410の各々は、開口の内部に卑金属414を受け入れるのに十分な大きさを有し、複数の卑金属414の各卑金属414自体のサイズと、複数の卑金属414の各卑金属414とエミッタメサ406との間の必要な間隔とを含む。したがって、複数の開口410の最小サイズは、使用されるプロセス技術によって制限される。同様に、複数の開口410のうちの1つと複数の開口410のうちの隣接する開口410との間の間隔も、設計上の選択であり、最小間隔は、使用されるプロセス技術によって制限される。しかし、この間隔は、プロセス技術によって許容される最小値以上である任意のサイズであってもよい。
【0018】
それぞれに異なる用途にはそれぞれに異なるサイズのHBTが必要である。たとえば、HBTが電力増幅器として使用される場合、HBTのサイズとしては、特定の出力電力要件を満たすサイズが選択される。メッシュ状エミッタメサ構造は、HBTのサイズならびにコレクタ、ベース、およびエミッタの配置を選択する際の融通性を実現する。開口310の数は、一定でなくてもよく、任意の整数とすることができる。たとえば、2×2アレイとして配置された4つの開口が存在してもよい。4つよりも多い開口、または1つの開口を含む4つよりも少ない開口が存在することができる。複数の開口310の配置は融通性に富んだものであり、方形アレイに限定されない。他のアレイが可能であり、例を挙げれば、2×2アレイ、3×3アレイ、または3×1アレイなどが可能である。HBTのエミッタメサを(たとえば、複数の開口を有する)メッシュ構造として配置することによって、パッキング密度が改善される。ベースメサ面積/エミッタメサ面積比は、1.8よりも低くされてもよい。
【0019】
HBT400はさらに、エミッタメサ406上に1つまたは複数のエミッタ金属(図示せず)を備える。エミッタ金属は、エミッタメサ406を完全に覆ってもまたは部分的に覆ってもよい。HBT400はまた、HBT400のコレクタとの接続部を構成する1つまたは複数のコレクタ金属412をコレクタメサ402上に備える。
【0020】
ベース抵抗をさらに低下させるために、エミッタメサを囲む任意の卑金属が設けられてもよい。
図5は、エミッタメサがメッシュ構造として構成され、エミッタメサを任意の卑金属が囲む、HBTの例示的な実装形態を示す。HBT400と同様に、HBT500は、コレクタメサ502と、コレクタメサ502上のベースメサ504と、ベースメサ504上のエミッタメサ506とを備える。エミッタメサ506は、メッシュ状構造として配置される。エミッタメサ506は、複数の開口510を有する。複数の開口510は、ベースメサ504上に配置されベースメサ404に接続された複数の卑金属514用の窓を構成する。複数の卑金属514は、金属の別の層(または複数の層)(図示せず)を通して接続され、互いに電気的に結合される。エミッタ金属(図示せず)は、エミッタメサ506上に位置する。エミッタ金属は、エミッタメサ506を完全に覆ってもまたは部分的に覆ってもよい。HBT500はまた、HBT500のコレクタとの接続部を構成する1つまたは複数のコレクタ金属512をコレクタメサ502上に備える。
【0021】
さらに、HBT500は、エミッタメサ506を囲む任意の卑金属524をさらに備える。任意の卑金属524は、(
図5に示すように)ドーナツ状であってもよく、または金属の1つまたは複数のストライプであってもよい(図示せず)。任意の卑金属524は、エミッタメサメッシュの外部に位置する外側卑金属である。任意の卑金属524は、金属の別の層(または複数の層)(図示せず)を通して複数の卑金属514に接続され、それによって、任意の卑金属524および複数の卑金属514が電気的に結合される。任意の卑金属524は、ベース抵抗(Rb)を低下させるが、Cbcを増大させることがある。これによって、さらなる最適化空間がもたらされ、RbとCbcの兼ね合いが図られる。
【0022】
図6は、本開示のいくつかの態様による、線B-B’に沿った
図5の例示的な断面を示す。断面600は、コレクタメサ502と、コレクタメサ502上のベースメサ504と、ベースメサ504上のエミッタメサ506とを備える。断面600はまた、任意の卑金属524を含む。
【0023】
コレクタメサ、ベースメサ、およびエミッタメサの各々が断面600における単一の層として示されているが、
図3の断面300と同様に、各層が複数の副層を含むことができることを理解されたい。たとえば、NPN HBTでは、コレクタメサ502は、真性GaAs基板または軽ドープGaAs基板とN+GaAsサブコレクタとを備えてもよい。コレクタ金属は、N+GaAsサブコレクタに接続され、HBTのコレクタに電気的に結合されてもよい。エミッタメサは、真性InGaAs副層と、それに続く軽Nドープ(たとえば、5E17)InGaP層および高N+ドープ(たとえば、1E19)InGaAs層とを備えてもよい。
【0024】
図7は、本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として構成されたHBTの別の例示的な実装形態を示す図である。HBT700は、HBT300と同様であるが、異なるエミッタメサメッシュ構造を有する。HBT700は、コレクタメサ702と、コレクタメサ702上のベースメサ704と、ベースメサ704上のエミッタメサ706とを備える。エミッタメサ706は、メッシュ状構造として配置される。エミッタメサ706は、複数の開口710を有する。複数の開口710は、ベースメサ704上に配置されベースメサ404に接続された複数の卑金属714用の窓を構成する。複数の卑金属714は、金属の別の層(または複数の層)(図示せず)を通して接続され、互いに電気的に結合される。エミッタ金属(図示せず)は、エミッタメサ706上に位置する。エミッタ金属は、エミッタメサ706を完全に覆ってもまたは部分的に覆ってもよい。HBT700はまた、HBT700のコレクタとの接続部を構成する1つまたは複数のコレクタ金属712をコレクタメサ702上に備える。
【0025】
複数の開口410が方形状であるエミッタメサ406とは異なり、複数の開口710は六角形状である。この六角形は、方形よりも高いパッキング密度を実現し、同じ出力電力の下でのHBT用の面積を狭くする。六角形の開口に加えて、ベースとの接続部を最大にし、ベース抵抗を低減させるために複数の卑金属714が六角形であってもよい。
【0026】
図5および
図6におけるHBTと同様に、HBT700は、エミッタメサ706を囲む任意の卑金属(図示せず)を備えてもよい。任意の卑金属は、(
図5に示すように)ドーナツ状であってもよく、または金属の1つまたは複数のストライプを含んでもよい。任意の卑金属は、金属の別の層(または複数の層)(図示せず)を通して複数の卑金属714に接続され、それによって、任意の卑金属および複数の卑金属714が電気的に結合される。
【0027】
図8a~
図8gは、HBTを作製する例示的なプロセスフローを示す。
図8aは、必要なepiスタックを有する開始ウエハを示す。ウエハは、コレクタメサスタック852と、ベースメサスタック854と、エミッタメサスタック856とを備える。コレクタメサスタック852、ベースメサスタック854、およびエミッタメサスタック856はそれぞれ、HBTのコレクタメサ、ベースメサ、およびエミッタメサ用の開始スタックであるように画定される。コレクタメサスタック852、ベースメサスタック854、およびエミッタメサスタック856の各々は複数の副層を備えてもよい。たとえば、コレクタメサスタック852は、(たとえば、真性GaAsを含む)半絶縁基板の層802Aと(たとえば、N+GaAsを含む)サブコレクタの層802Bとを含む。ベースメサスタック854は、(たとえば、InGaPを含む)第1のエッチ停止層804Aと、(たとえば、N-GaAsを含む)コレクタ層804Bと、(たとえば、P+GaAsを含む)ベース層804Cと、(たとえば、InGaPを含む)第2のエッチ停止層804Dとを含む。
図8bは、HBTのエミッタ金属を配置した後のウエハの一部を示す。エミッタメサスタック856上の1つまたは複数のエミッタ金属816は、パターニングされ画定される(リソグラフィックパターニングおよびエッチングなど)。
図8cは、エミッタメサスタック856をエッチングすることによってエミッタメサをパターニングした後のウエハの一部を示す。エミッタメサスタック856は、エミッタメサ806として所望のパターンを形成するようにパターニングされエッチングされる。エミッタメサ806は、
図4、
図5、および
図7に示す形状を含む様々な形状に形成されてもよい。
図8dでは、卑金属814は、ベースメサスタック854上にパターニングされ画定される。第2のエッチ停止層804Dは、卑金属814がコレクタ層804Cに接触するようにパターニングされエッチングされる。
図8eは、ベースメサを形成した後の構造を示す。ベースメサスタック854は、パターニングおよびエッチング層804A~804Dを含むベースメサ804を形成するようにパターニングされエッチングされる。
図8fでは、1つまたは複数のコレクタ金属812が、コレクタメサスタック852上にパターニングされ画定される。最後に、
図8gに示すように、インプラント分離リング822がHBTを囲んでもよい。インプラント分離リングは、コレクタメサ802を画定し、HBTの境界を画定する。
【0028】
図9は、本開示のいくつかの態様による、エミッタメサがメッシュ構造として配置されたHBTを製造するための例示的な方法を示す。以下の方法900および
図9に記載されたプロセスフロー図は、例示的な例にすぎず、様々な態様の動作が提示された順序で実行されなければならないことを要求または暗示するものではない。
【0029】
HBT製造方法900は、必要なepiスタックを有するウエハから開始する。902において、コレクタメサスタック(たとえば、コレクタメサスタック852)、ベースメサスタック(たとえば、ベースメサスタック854)、およびエミッタメサスタック(たとえば、エミッタメサスタック856)を含む必要なepiスタックを有するウエハを準備する。各メサスタックは複数の副層を備えてもよい。たとえば、NPN HBTの場合、コレクタメサスタックは、真性GaAs半絶縁基板(たとえば、半絶縁基板802A)の層とN+GaAsサブコレクタ(たとえば、サブコレクタ802B)の層とを含んでもよい。ベースメサスタックは、第1のInGaPエッチ停止層(たとえば、エッチ停止層804A)と、N-GaAsコレクタ層(たとえば、コレクタ層804B)と、P+GaAsベース層(たとえば、ベース層804C)と、第2のInGaPエッチ停止層(たとえば、エッチ停止層804D)とを含んでもよい。
【0030】
904において、エミッタメサスタック上に1つまたは複数のエミッタ金属(たとえば、エミッタ金属516または816)を配置する。
【0031】
906において、エッチングなどの適切なプロセスによってエミッタメサをパターニングし形成する。エミッタメサは、複数の開口(たとえば、複数の開口410、510、または710)を備える。複数の開口410は、(
図4に示されているような)方形、矩形、(
図7に示されているような)六角形などの任意の形状であってもよい。複数の開口の各開口についてのサイズおよび/または形状は異なってもよく、または同じであってもよい。複数の開口の各開口は、卑金属(たとえば、卑金属414、514、または714)を受け入れるのに十分な大きさを有し、卑金属自体のサイズと卑金属とエミッタメサとの間の必要な間隔とを含む。したがって、複数の開口の最小サイズは、使用されるプロセス技術によって制限される。同様に、1つの開口と隣接する開口との間の間隔も、設計上の選択であり、最小値は、使用されるプロセス技術によって制限される。
【0032】
908において、複数の開口に複数の卑金属(たとえば、複数の卑金属414、514、または714)を設ける。複数の卑金属は、ベースメサスタック上に位置し、HBTのベースとの接続部を構成する。複数の卑金属は、複数の開口と同じ形状を有してもよい。複数の卑金属は、金属の別の層(または複数の層)を通して接続され、互いに電気的に結合される。
【0033】
910において、ベースメサスタック上に任意の卑金属(外側卑金属)(たとえば、卑金属524)を配置し、複数の開口内の卑金属に接続してもよい。任意の卑金属は、エミッタメサを囲み、ベース抵抗が低い場合がある。任意の卑金属は、金属の別の層(または複数の層)を通して複数の卑金属に電気的に結合される。
【0034】
912において、エッチングなどのプロセスによってベースメサ(たとえば、ベースメサ404、504、704、または804)をパターニングし形成する。
【0035】
914において、コレクタメサスタック上に1つまたは複数のコレクタ金属(たとえば、コレクタ金属412、512、712、または812)を配置する。
【0036】
さらに、コレクタメサスタック内に分離リングを配置することによって、コレクタメサをさらに画定してもよい。分離リングは、HBTの境界も形成する。
【0037】
本開示のこれまで説明は、任意の当業者が本開示を実施できるようにするか、または使用できるようにするために提供される。本開示の様々な変更が当業者に容易に明らかになり、本明細書で定義される一般原理は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用されてもよい。したがって、本開示は本明細書で説明する例に限定されるものではなく、本明細書で開示する原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【符号の説明】
【0038】
100 HBT
102 コレクタメサ
104 ベースメサ
106 ストライプ、エミッタメサ
112 コレクタ金属
114 卑金属
116 エミッタ金属
200 断面
300 NPN HBT
302 コレクタメサ
302A 半絶縁GaAs基板
302B N+GaAsサブコレクタ
304 ベースメサ
304A 第1のInGaPエッチ停止層
304B N-GaAsコレクタ
304C P+GaAsベース
304D 第2のInGaPエッチ停止層
306 エミッタメサ
312 コレクタ金属
314 卑金属
316 エミッタ金属
400 HBT
402 コレクタメサ
404 ベースメサ
406 エミッタメサ
410 開口
412 コレクタ金属
414 卑金属
500 HBT
502 コレクタメサ
504 ベースメサ
506 エミッタメサ
510 開口
512 コレクタ金属
514 卑金属
516 エミッタ金属
524 任意の卑金属
600 断面
700 HBT
702 コレクタメサ
704 ベースメサ
706 エミッタメサ
710 開口
712 コレクタ金属
714 卑金属
802 コレクタメサ
802A 半絶縁基板の層
802B サブコレクタの層
804 ベースメサ
804A 第1のエッチ停止層
804B コレクタ層
804C ベース層
804D 第2のエッチ停止層
806 エミッタメサ
812 コレクタ金属
814 卑金属
816 エミッタ金属
822 インプラント分離リング
852 コレクタメサスタック
854 ベースメサスタック
856 エミッタメサスタック
900 方法