(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】ライン案内装置
(51)【国際特許分類】
H02G 11/00 20060101AFI20221227BHJP
F16G 13/16 20060101ALI20221227BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H02G11/00
F16G13/16
H02G3/04 075
(21)【出願番号】P 2020551530
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2019057552
(87)【国際公開番号】W WO2019185613
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】202018101747.0
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】バルテン ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】ハオルド フィリップ
【審査官】鈴木 圭一郎
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-039835(JP,B1)
【文献】特開2016-132060(JP,A)
【文献】特開2005-137184(JP,A)
【文献】特開昭63-217915(JP,A)
【文献】特開昭59-096813(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/00
F16G 13/16
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接続領域(3)が設けられた第1の走路(4)、可動接続領域(5)が設けられた第2の走路(6)、および2つの走路(4、6)を一体に連結する弧状の方向転換領域(7)を有するライン案内ユニット(2)と、該ライン案内ユニット(2)の前記方向転換領域(7)のための支持要素(10)が配置された摺動部(9)を有する支持ユニット(8)とを備え、前記支持要素(10)が、前記方向転換領域(7)の内側に当接し、前記ライン案内ユニット(2)が前記走路(4、6)の長手方向に変位するとき、前記弧状の方向転換領域(7)の中心点軸(17)を周って前記ライン案内ユニット(2)が移動することを可能にする、ライン案内装置(1)であって、前記支持ユニット(8)が、前記摺動部(9)に係合し該摺動部(9)を前記ライン案内ユニット(2)の変位方向に駆動する駆動装置と、該駆動装置に作動上接続され、前記ライン案内ユニット(2)自体によって形成されてはいない制御装置とを有し、該制御装置によって、該駆動装置が、前記可動接続領域(5)の移動状態に応じて制御可能にな
り、
前記支持ユニット(8)の前記摺動部(9)に係合する前記駆動装置によって駆動されるのは、前記ライン案内ユニット(2)の変位方向への前記支持ユニット(8)の移動のみであり、前記ライン案内ユニット(2)自体ではないライン案内装置(1)。
【請求項2】
前記支持要素(10)が、前記摺動部(9)に回転自在に取り付けられている、請求項1に記載のライン案内装置(1)。
【請求項3】
前記支持要素(10)が、方向転換ローラの形態であり、前記ライン案内ユニット(2)の前記方向転換領域(7)が、前記方向転換ローラを周って配置され、該方向転換ローラと共に回転可能である、請求項2に記載のライン案内装置(1)。
【請求項4】
前記制御および駆動装置が、前記ライン案内ユニット(2)に前記支持要素(10)が予応力を掛けるような構成になっている、請求項1から3のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項5】
前記摺動部(9)が案内装置によって案内される、請求項1から4のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項6】
前記摺動部(9)が、前記ライン案内ユニット(2)を直線誘導するためにハウジング(31)の案内手段と協働する案内手段を有し、前記ハウジング内に、前記ライン案内ユニット(2)および前記支持ユニット(8)が配置されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項7】
前記支持ユニット(8)がセンサ装置を有し、前記センサ装置を用いて、前記ライン案内ユニット(2)の前記可動接続領域(5)または該可動接続領域(5)に連結された移行手段(16)の位置を検出することができ、前記センサ装置が、前記制御装置と信号連接されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項8】
前記駆動および制御装置が、メカトロニクスシステムを形成する、請求項1から7のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項9】
前記制御装置が、前記駆動装置に信号連接されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項10】
前記制御装置が、前記ライン案内ユニット(2)の前記可動接続領域(5)に連結された移行手段(16)用の制御ユニットに信号連接され、または、前記移行手段(16)用の前記制御ユニットに組み込まれている、請求項1から9のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項11】
前記制御および駆動装置が、前記ライン案内ユニット(2)の前記可動接続領域(5)または該可動接続領域(5)に連結することができる移行手段(16)と前記支持ユニット(8)の前記摺動部(9)との間の機械的作動連結機構(19)によって形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【請求項12】
前記機械的作動連結機構(19)が、ベルトまたはケーブル引張手段(20)を有し、前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の一方の端部が、前記可動接続領域(5)に接続され、または該可動接続領域(5)に連結することができる移行手段(16)に接続され得、前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の他方の端部が、前記第2の走路(6)が最小長さのときの前記ライン案内ユニット(2)の前記方向転換領域(7)の終端位置、前記支持ユニット(8)の外側に配置された第1の静止固定領域(21)に固定され得、前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)が、前記ライン案内ユニット(2)の前記可動接続領域(5)または該可動接続領域(5)に連結することができる移行手段(16)から、前記第2の走路(6)の延長上で、前記第2の走路(6)が最大長さのときの前記可動接続領域(5)または該可動接続領域(5)に連結することができる移行手段(16)の終端位置の外側に配置された第2の静止固定領域(22)まで延在し、該第2の静止固定領域において第1の方向転換ユニット(23)によって方向転換され、前記第1の静止固定領域(21)へ反転して案内され、前記第1の静止固定領域において第2の方向転換ユニット(24)によって方向転換され、前記支持ユニット(8)の前記摺動部(9)へ案内され、該摺動部で、該摺動部(9)に配置された第3の方向転換ユニット(25)を周って前記第1の静止固定領域(21)へ案内される、請求項11に記載のライン案内装置(1)。
【請求項13】
前記第1の方向転換ユニット(23)が、第1のローラ(26)および第2のローラ(27)を備え、前記第1のローラ(26)が、前記第2の走路(6)の延長上の前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の方向を、前記第1の走路(4)に向かう方向に前記第2のローラ(27)に関して転換し、該第2のローラ(27)が、前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の方向を、前記第1の走路(4)の外側において前記第1の静止固定領域(21)へ向かう方向に転換し、前記第2の方向転換ユニット(24)が、第3のローラ(28)および第4のローラ(29)を備え、前記第3のローラ(28)が、前記第2のローラ(27)から案内された前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の方向を、前記第2の走路(6)へ向かう方向に前記第4のローラ(29)に関して転換し、該第4のローラ(29)が、前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)を、前記摺動部(9)に配置された前記第3の方向転換ユニット(25)へ向かう方向に案内する、請求項12に記載のライン案内装置(1)。
【請求項14】
前記第3の方向転換ユニット(25)が、前記摺動部(9)に回転自在に取り付けられた方向転換ローラの形態である、請求項13に記載のライン案内装置(1)。
【請求項15】
前記ベルトまたはケーブル引張手段(20)の方向を転換するための、前記摺動部(9)に配置された前記方向転換ローラおよび前記第1から第4のローラ(26~29)が、前記2つの走路(4、6)の中心を通って延在する平面内に配置される、請求項14に記載のライン案内装置(1)。
【請求項16】
前記第1および第2の固定領域(21、22)が、前記ライン案内ユニット(2)および前記支持ユニット(8)を収容するハウジング(31)の端部領域に配置される、請求項12から15のいずれか一項に記載のライン案内装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定接続領域が設けられた第1の走路、可動接続領域が設けられた第2の走路、および2つの走路を一体に連結する弧状の方向転換領域を有するライン案内ユニットと、ライン案内ユニットの方向転換領域のための支持要素が配置された摺動部を有する支持ユニットとを備え、支持要素が、方向転換領域の内側に当接し、ライン案内ユニットが走路の長手方向に変位するとき、弧状の方向転換領域の中心点軸を周ってライン案内ユニットが移動することを可能にする、ライン案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
その種のライン案内装置は、特許文献1によって知られている。その明細書に記載されているライン案内ユニットは、管状構成であり、方向転換領域において内側に向く面に、方向転換領域がその周りを案内される歯車と協働する歯付きベルトを有する。ライン案内ユニットが変位すると、方向転換領域の内側に配設された歯車が回転し、ライン案内ユニットの両方向の変位において、方向転換領域と共に動く。このように、歯車は、ライン案内ユニットが変位するとき、ライン案内ユニットの方向転換領域を支持する。
【0003】
その既知のライン案内装置の場合、歯車の歯の間の間隙内への、歯付きベルトの歯の確実な係合は、走路が、歯車と当接し歯付きベルトによってその歯車と協働する方向転換領域から始まる、走路の長手方向範囲において、安定して直線的に案内され得るときにのみ生じ得る。特に、可動接続領域を方向転換領域に向かう方向に変位させるとき、圧縮力が第2の走路に働き、その圧縮力が、とりわけ、方向転換領域に隣接する第2の走路の領域に上向きの力を生じる。第2の走路が正確に直線的に案内されなければ、上向きの力が、第2の走路と方向転換領域との間のライン案内ユニットの移行領域を歯車から容易に持ち上げて外すことになり得、その結果、歯車とその移行領域および方向転換領域との係合が外れて、それ以上、歯車が方向転換領域と連動しなくなる。
【0004】
さらに、特許文献1によって知られるライン案内装置は、エネルギーおよび/または情報伝達ラインを受け入れ案内するためのライン案内ユニットのみに適しており、それらラインの走路は、所定の距離に亘って自ら直線状に延在する。そのライン案内装置は、特に、相互に両方向に枢動可能な部材を備える可撓性のライン案内ユニット、ならびにより長い変位走行移動、および/またはより高い走行速度には適さない。
【0005】
本明細書の冒頭部分で言及した種類のライン案内装置が、特許文献2によってやはり知られている。その明細書は、管状ライン案内ユニット用の支持ユニットを有するライン案内装置を開示し、支持ユニットは、ライン案内ユニットの方向転換領域用の方向転換ローラが配置された摺動部を有する。方向転換ローラを有する摺動部は、可動接続領域を有するライン案内ユニットが方向転換領域から離れるように変位すると、戻し力に対抗して撓み位置へ移動可能であり、可動接続領域を有するライン案内ユニットが方向転換領域の方へ変位すると、戻し力によって戻り位置に移動可能である。可動接続領域を有するライン案内ユニットが方向転換領域から離れるように変位するときに支持ユニットに働く力は、摺動部に働く戻し力に対抗してライン案内ユニットを引っ張る力によって発生する。可動接続領域を有するライン案内ユニットが方向転換領域に向かう方向に変位するとき、支持ユニットの移動は、やはりライン案内ユニットによって引き起こされ、支持ユニットが、戻し力によって、ライン案内ユニットの方向転換領域に向かって付勢される。
【0006】
両方向に変位させるときにライン案内ユニットを強く圧縮し、引っ張ることによって、ライン案内ユニットには、支持ユニットによって比較的強い応力が加わり、したがって、この種の支持ユニットは、たとえば相応する力を担持するジョイント連結部を有するエネルギー案内チェーンなど、圧縮および引張応力に対して実質的に安定的なライン案内ユニットのみに適している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】欧州特許出願公開第1783874号明細書
【文献】独国実用新案第202011004786号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、高度に可撓性のライン案内ユニットの場合、特に、様々な方向に相互に枢動可能な部材を有し、直線的に案内されない走路を有する場合でも、支持ユニットによって、走路の安定した直線方向に移動可能であるライン案内装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、その目的は、支持ユニットが、摺動部に係合し摺動部をライン案内ユニットの変位方向に駆動する駆動装置と、駆動装置に作動上接続され、ライン案内ユニット自体によって形成されてはいない制御装置とを有し、制御装置によって、駆動装置が、可動接続領域の移動状態に応じて制御可能になることで達成される。
【0010】
摺動部に係合し摺動部をライン案内ユニットの変位方向に駆動し、ライン案内ユニットの可動接続領域の移動状態に応じて制御可能である駆動装置によって、ライン案内ユニットは、高速でかつ/または長い変位走行距離に亘って変位するときでも、2つの走路を、それら走路に働く外向きの力に対して、真直ぐな向きに安定状態で保持することができるように、ライン案内ユニットの方向転換領域において支持され得る。特に、本発明によるライン案内装置は、たとえば、両方向に枢動可能である部材を備えるなど、高度な可撓性を有するライン案内ユニットに適している。
【0011】
駆動および制御装置は、ライン案内ユニットの可動接続領域が速度vで移動すると、支持要素を有する摺動部を、速度v/2で変位させる。ライン案内ユニットの可動接続領域を方向転換領域へ向かう方向に変位させ、可動接続領域がライン案内ユニットの第2の走路と共に移動するとき、摺動部に係合する駆動装置は、それ以上の駆動要素を介在させずに、摺動部および支持要素に引張力を掛ける。駆動装置を設けることによって、摺動部および支持要素は、また、方向転換領域に圧縮応力を生じさせずに、または極めて低い圧縮応力しか生じさせずに、ライン案内ユニットの方向転換領域と共に移動することができる。
【0012】
ライン案内ユニットの可動接続領域を、方向転換領域から離れる方向に変位させる場合、支持ユニットは、支持ユニットに対抗して働く、ライン案内ユニットの方向転換領域によって連行することができ、その場合に、走路の安定的直線配向が維持されるように、制御装置によって制御することができる。
【0013】
本発明によれば、支持ユニットの摺動部に係合する駆動装置によって駆動されるのは、ライン案内ユニットの変位方向での支持ユニットの移動のみであり、ライン案内ユニット自体ではない。ライン案内ユニットの弧状の方向転換領域の少なくとも内向きの面が、ライン案内ユニットの変位に際して、両方向の走行距離全体に亘って、支持ユニットに当接することができる。
【0014】
支持要素は、摺動部に回転自在に取り付けることができる。
【0015】
好ましくは、支持要素は、方向転換ローラの形態であり、ライン案内ユニットの方向転換領域が、その方向転換ローラを周って配置され、方向転換ローラと共に回転可能である。
【0016】
制御装置および駆動装置は、支持要素がライン案内ユニットに予応力を掛けるような特性であり得、その結果、ライン案内ユニットの速い変位速度において、かつ長い変位走行距離に亘って、走路は、支持要素のあらゆる位置において真直ぐに配向されたままになる。
【0017】
支持ユニットの摺動部は、適切な手段によって積極的に案内することができる。
【0018】
具体的には、摺動部は、案内レールで案内することができる。
【0019】
摺動部は、ライン案内ユニットを直線誘導するためにハウジングの案内手段と協働する案内手段を有し得、そのハウジング内に、ライン案内ユニットおよび支持ユニットが配置される。
【0020】
支持ユニットは、センサ装置を有し得、そのセンサ装置を用いて、ライン案内ユニットの可動接続領域または可動接続領域に連結された移行手段の位置を検出することができ、そのセンサ装置は、制御装置と信号連接されている。
【0021】
一般に、駆動装置および制御装置は、メカトロニクスシステムを形成し得る。
【0022】
制御装置は、駆動装置に信号連接することができる。
【0023】
制御装置は、ライン案内ユニットの可動接続領域に連結された移行手段用の制御ユニットに信号連接することができ、または移行手段用の制御ユニットに組み込まれている。
【0024】
さらに別の構成では、制御装置および駆動装置は、ライン案内ユニットの可動接続領域または可動接続領域に連結することができる移行手段と支持ユニットの摺動部との間の機械的作動連結機構によって形成することができる。機械的作動連結機構は、この場合、制御機能およびさらに駆動機能を共に有し、それによって、支持要素を、可動接続領域の移動状態に応じた制御関係で駆動することができる。機械的作動連結機構は、ライン案内ユニットの可動接続領域が速度vで移動するとき、摺動部を支持要素と共に速度v/2で変位させるような構成になっている。
【0025】
機械的作動連結機構は、ベルトまたはケーブル引張手段を有し得、ベルトまたはケーブル引張手段の一方の端部が、可動接続領域に接続され、または可動接続領域に連結することができる移行手段に接続され得、ベルトまたはケーブル引張手段の他方の端部が、第2の走路が最小長さのときのライン案内ユニットの方向転換領域の終端位置、支持ユニットの外側に配置された第1の静止固定領域に固定され得、ベルトまたはケーブル引張手段は、ライン案内ユニットの可動接続領域または可動接続領域に連結することができる移行手段から、第2の走路の延長上で、第2の走路が最大長さのときの可動接続領域または可動接続領域に連結することができる移行手段の終端位置の外側に配置された第2の静止固定領域まで延在し、第2の静止固定領域において第1の方向転換ユニットによって方向転換され、第1の静止固定領域へ反転して案内され、第1の静止固定領域において第2の方向転換ユニットによって方向転換され、支持ユニットの摺動部へ案内され、摺動部で、摺動部に配置された第3の方向転換ユニットを周って第1の静止固定領域へ案内される。
【0026】
第1の方向転換ユニットは、第1のローラおよび第2のローラを備え得、第1のローラは、第2の走路の延長上のベルトまたはケーブル引張手段の方向を、第1の走路に向かう方向に第2のローラに関して転換し、第2のローラは、ベルトまたはケーブル引張手段の方向を、第1の走路の外側において第1の静止固定領域へ向かう方向に転換する。第2の方向転換ユニットは、第3のローラおよび第4のローラを備え、第3のローラは、第2のローラから案内されたベルトまたはケーブル引張手段の方向を、第2の走路へ向かう方向に第4のローラに関して転換し、第4のローラは、ベルトまたはケーブル引張手段を、摺動部に配置された第3の方向転換ユニットへ向かう方向に案内する。
【0027】
第3の方向転換ユニットは、摺動部に回転自在に取り付けられた方向転換ローラの形態であり得る。
【0028】
ベルトまたはケーブル引張手段の方向を転換するための、摺動部に配置された方向転換ローラおよび第1から第4のローラは、2つの走路の中心を通って延在する平面内に配置することができる。したがって、ベルトまたはケーブル引張手段の全体が、2つの走路の中心を通って延在する平面内に配置される。
【0029】
第1および第2の静止固定領域は、ライン案内ユニットおよび支持ユニットを収容するハウジングの端部領域に配置することができる。
【0030】
本発明の実施形態が、図面を参照して、より詳細に以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図1に示されたライン案内装置のハウジング内の配置図である。
【
図3】
図1に示されたライン案内装置の矢印A方向の、ライン案内ユニットの最大伸長位置での図である。
【
図4】
図1に示されたライン案内装置の矢印A方向の、ライン案内ユニットの第1の引込位置での図である。
【
図5】
図1に示されたライン案内装置の矢印A方向の、ライン案内ユニットの第2の引込位置での図である。
【
図6】
図1に示されたライン案内装置の矢印B方向の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から詳細に分かるように、ライン案内装置1は、固定接続領域3が設けられた第1の走路4、可動接続領域5が設けられた第2の走路6、および2つの走路4と6とを一体に連結する弧状の方向転換領域7を備えるライン案内ユニット2と、支持要素10が配置された摺動部9を有する支持ユニット8とを具備する。
【0033】
ライン案内ユニット2は、フレーム12が等間隔に固定されたそれぞれの引張ケーブル11を両側に有するエネルギー案内チェーンの形態である。引張ケーブル11は可撓性であり、したがって、エネルギー案内チェーンが、方向転換領域7において曲がることができる。エネルギー案内チェーンのリンク部材として働くフレーム12は、エネルギーラインおよび/または情報伝達ラインを受け、それらを入れて案内するのに適している。
【0034】
ライン案内ユニット2の上記構造は、
図7に示されたフレーム12の断面図からより明確に分かる。フレーム12は、矩形のフレーム本体13を有し、そのフレーム本体を通して、エネルギーラインおよび/または情報伝達ラインを案内することができる。フレーム本体13の内部は、分割ウェブ14によって、別々に配置すべきで種類の異なり得る諸ラインを受け入れるように働く諸部分に分割される。フレーム本体13の側方に形成されているのは、係合要素15であり、その係合要素の構造上の目的は後述する。
【0035】
ライン案内ユニット2の可動接続領域5は、移行手段16に連結され、その移行手段によって、ライン案内ユニット2の可動接続領域5から出てきたラインが、移行手段に連結された機械ユニット(図示せず)に送り込まれる。当該ラインは、固定接続領域3内を通ってライン案内ユニット2に入る。
【0036】
支持ユニット8は、摺動部9に回転自在に取り付けられた支持要素10を有し、その支持要素は、スピンドル17に取り付けられた2つの方向転換プーリディスク18が合わさっている。支持要素10は、ライン案内ユニット2の方向転換領域7の内側に当接し、ライン案内ユニット2が走路4および6の長手方向に変位するとき、ライン案内ユニット2が弧状の方向転換領域7の中心点軸を周って移動することを可能にし、その中心点軸は、弧状の方向転換領域7のスピンドル17に対応する。
【0037】
摺動部9の両側にスピンドル17によって回転自在に取り付けられた方向転換ディスク18は、外周に陥凹を有し、その陥凹内に、ライン案内ユニット2のフレーム12の係合要素15が、ライン案内ユニットの方向転換領域7において係合する。その場合、係合要素15によって案内される引張ケーブル11には、方向転換ディスク18は接触しない。
【0038】
ライン案内装置1の支持ユニット8は、可動接続領域5に連結されている、ライン案内ユニット2の移行手段16と支持要素10が配置された摺動部9との間の機械的作動連結機構19の形態である駆動および制御装置を有する。機械的作動連結機構19は、一方の端部が可動接続領域5に接続され、他方の端部が、第2の走路6が最小長さのときのライン案内ユニット2の方向転換領域7の終端位置、支持ユニット8の外側に配置された第1の静止固定領域21に固定され得るケーブル引張手段20を有する。ケーブル引張手段20は、ライン案内ユニット2の可動接続領域5から、第2の走路6の延長として、第2の走路6の最大長さのときの可動接続領域5の終端位置の外側に配置された第2の静止固定領域22まで延在する。ケーブル引張手段の方向が、第2の静止固定領域において第1の方向転換ユニット23によって転換され、ケーブル引張手段は、第1の静止固定領域21へ反転して案内される。ケーブル引張手段20の方向が、第1の静止固定領域において第2の方向転換ユニット24によって転換され、ケーブル引張手段は、支持ユニット8の摺動部9へ案内され、そこで、摺動部9に配置された第3の方向転換ユニット25を周って第1の静止固定領域21へ案内される。
【0039】
第1の方向転換ユニット23は、第1のローラ26および第2のローラ27を有し、第1のローラ26は、第1の走路4に向かう方向に第2のローラ27に関して方向転換させられる。第2のローラにおいて、ケーブル引張手段20は、第1の静止固定領域21に向かう方向に方向転換され、第1の走路4の外側を案内される。
【0040】
第2の方向転換ユニット24は、第3のローラ28および第4のローラ29を有し、第3のローラ28は、第2のローラ27から案内されたケーブル引張手段20の方向を、第2の走路6に向かう方向に第4のローラ29に関して転換する。第4のローラ29は、ケーブル引張手段20を、摺動部9に配置された第3の方向転換ユニット25へ向かう方向に案内する。第3の方向転換ユニット25は、摺動部9に回転自在に取り付けられた方向転換ローラの形態である。
【0041】
このように、機械的作動連結機構19は、制御機能とさらに駆動機能との両方を有し、本明細書に説明され図面に例示された実施形態では、支持ユニット8の制御および駆動装置を形成し、それによって、支持要素10を、可動接続領域5の移動状態に応じた制御下で駆動することができる。
【0042】
摺動部に配置され、方向転換ローラの形態である第3の方向転換ユニット25、ならびに、第1および第2の固定領域21、22それぞれにおいてケーブル引張手段20がそれらによって方向転換される第1から第4のローラ26~29は、
図6および7から分かるように、2つの走路4および6の中心を通る平面内に配設される。すなわち、ケーブル引張手段20全体が、2つの走路4および6の中心を通って延在する重心面内に配置され、その結果、支持ユニット8は、上記重心面内で力を相殺しながらライン案内ユニット2と協働する。
【0043】
図2から分かるように、第1および第2の固定領域21および22は、ライン案内ユニット2の摺動部9がその中で案内されるハウジング31の端板30に配置される。
【符号の説明】
【0044】
1 ライン案内装置
2 ライン案内ユニット
3 固定接続領域
4 第1の走路
5 可動接続領域
6 第2の走路
7 方向転換領域
8 支持ユニット
9 摺動部
10 支持要素
11 引張ケーブル
12 フレーム
13 フレーム本体
14 分割ウェブ
15 係合要素
16 移行手段
17 スピンドル
18 方向転換ディスク
19 作動連結機構
20 ケーブル引張手段
21 第1の固定領域
22 第2の固定領域
23 第1の方向転換ユニット
24 第2の方向転換ユニット
25 第3の方向転換ユニット
26 第1のローラ
27 第2のローラ
28 第3のローラ
29 第4のローラ
30 板
31 ハウジング