(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】溶接プログラム作成システム及び溶接プログラム作成方法
(51)【国際特許分類】
B23K 9/127 20060101AFI20221227BHJP
B25J 9/22 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B23K9/127 509B
B23K9/127 501A
B25J9/22 A
(21)【出願番号】P 2021155201
(22)【出願日】2021-09-24
【審査請求日】2022-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】中川 慎一郎
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-243773(JP,A)
【文献】特開2018-153906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/00-9/32
B23K 26/00-26/70
B25J 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影された複数の溶接線を含む溶接対象の画像に基づいて検出された複数の溶接線の候補を前記画像に重ね合わせて表示させる表示制御部と、
前記画像に表示された前記複数の溶接線の候補の中から
複数の溶接線を選択する入力、及び選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付ける入力受付部と、
指定された前記溶接の順番及び前記溶接の方向に基づいて、溶接プログラムを作成するプログラム作成部と、
を備える溶接プログラム作成システム。
【請求項2】
溶接ロボットを設置する位置に基づいて、当該溶接ロボットが溶接可能な範囲を決定する決定部を、さらに備え、
前記表示制御部は、前記複数の溶接線の候補のうち、前記決定部により決定された前記溶接可能な範囲にある溶接線の候補を前記画像に重ね合わせて表示させる、
請求項1記載の溶接プログラム作成システム。
【請求項3】
前記入力受付部は、前記溶接の方向を指定する入力として、溶接開始位置及び溶接終了位置を指定する入力を受け付ける、
請求項1又は2記載の溶接プログラム作成システム。
【請求項4】
前記入力受付部は、前記溶接の方向を指定する入力として、溶接線上をなぞる入力を受け付ける、
請求項1又は2記載の溶接プログラム作成システム。
【請求項5】
前記画像に基づいて、前記溶接対象に対応する座標データを算出し、当該座標データに基づいて、前記複数の溶接線の候補を検出する溶接線検出部を、
さらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の溶接プログラム作成システム。
【請求項6】
プロセッサにより実行される方法であって、
撮影された複数の溶接線を含む溶接対象の画像に基づいて検出された複数の溶接線の候補を前記画像に重ね合わせて表示させるステップと、
前記画像に表示された前記複数の溶接線の候補の中から
複数の溶接線を選択する入力、及び選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付けるステップと、
指定された前記溶接の順番及び前記溶接の方向に基づいて、溶接プログラムを作成するステップと、
を含む溶接プログラム作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接プログラム作成システム及び溶接プログラム作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、溶接ロボットを動作させるプログラムをオフラインで生成する技術が開示されている。この技術では、仮想空間内にロボット及びワークの3次元モデルを配置し、その配置したロボット及びワークの基準位置をそれぞれ自動で設定し、それらの基準位置に基づいて複数のワーク間をロボットが移動する順序を自動で決定し、その決定した順序でロボットが移動するようにプログラムを自動で生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の技術では、ロボットが移動する順序を決定する際に、複数のワークにより形成され得る全ての経路それぞれの距離を求め、求めた距離のうち最短距離となる経路に基づいて、移動する順序を決めている。しかしながら、最短距離となる経路が溶接作業の効率を高めるとは限らない。
【0005】
そこで、本発明は、溶接ロボットによる溶接作業の効率を高めることができる溶接プログラム作成システム及び溶接プログラム作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る溶接プログラム作成システムは、撮影された溶接対象の画像に基づいて検出された複数の溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させる表示制御部と、複数の溶接線の候補の中から溶接線を選択する入力、及び選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付ける入力受付部と、指定された溶接の順番及び溶接の方向に基づいて、溶接プログラムを作成するプログラム作成部と、を備える。
【0007】
この態様によれば、撮影された溶接対象の画像から検出された溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させ、その溶接線の候補の中から選択された溶接線それぞれに対する溶接順及び溶接方向の指定を受け付け、その指定された順番及び方向に基づいて溶接プログラムを作成することができる。したがって、溶接対象の画像に重ね合わせて表示された複数の溶接線候補に対して、順次、溶接順及び溶接方向を指定することで、溶接プログラムを容易かつ手際よく作成することが可能となる。
【0008】
上記態様において、溶接ロボットを設置する位置に基づいて、当該溶接ロボットが溶接可能な範囲を決定する決定部を、さらに備え、表示制御部は、複数の溶接線の候補のうち、決定部により決定された溶接可能な範囲にある溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させてもよい。
【0009】
この態様によれば、溶接ロボットが溶接可能な範囲にある溶接線の候補を対象にして指定された順番及び方向に基づいて溶接プログラムを作成することができるため、溶接作業を無駄なく行うことが可能となる。
【0010】
上記態様において、入力受付部は、溶接の方向を指定する入力として、溶接開始位置及び溶接終了位置を指定する入力を受け付けてもよい。
【0011】
この態様によれば、溶接開始位置と溶接終了位置とを指定して溶接プログラムを作成することができるため、溶接プログラムの精度を向上させることができる。
【0012】
上記態様において、入力受付部は、溶接の方向を指定する入力として、溶接線上をなぞる入力を受け付けてもよい。
【0013】
この態様によれば、画面上に表示されている溶接線をなぞることで溶接の方向を指定することができるため、入力の簡素化と確実性を向上させることができる。
【0014】
上記態様において、画像に基づいて、溶接対象に対応する座標データを算出し、当該座標データに基づいて、複数の溶接線の候補を検出する溶接線検出部を、さらに備えてもよい。
【0015】
この態様によれば、溶接対象の画像から算出した座標データにより表される溶接対象の平面に基づいて、溶接線の候補を検出することができるため、溶接線の検出精度を向上させることが可能となる。
【0016】
本発明の他の態様に係る溶接プログラム作成方法は、プロセッサにより実行される方法であって、撮影された溶接対象の画像に基づいて検出された複数の溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させるステップと、複数の溶接線の候補の中から溶接線を選択する入力、及び選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付けるステップと、指定された溶接の順番及び溶接の方向に基づいて、溶接プログラムを作成するステップと、を含む。
【0017】
この態様によれば、撮影された溶接対象の画像から検出された溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させ、その溶接線の候補の中から選択された溶接線それぞれに対する溶接順及び溶接方向の指定を受け付け、その指定された順番及び方向に基づいて溶接プログラムを作成することができる。したがって、溶接対象の画像に重ね合わせて表示された複数の溶接線候補に対して、順次、溶接順及び溶接方向を指定することで、溶接プログラムを容易かつ手際よく作成することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、溶接ロボットによる溶接作業の効率を高めることができる溶接プログラム作成システム及び溶接プログラム作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る溶接プログラム作成システムを含む溶接ロボットシステムの構成を例示する図である。
【
図2】溶接プログラム作成システムの機能的な構成を例示する図である。
【
図4】
図3の溶接対象に溶接線が重ね合わせて表示されていることを例示する図である。
【
図5】撮影端末の表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、図面は模式的なものであるため、各構成要素の寸法や比率は実際のものとは相違する。
【0021】
図1は、実施形態に係る溶接プログラム作成システムを含む溶接ロボットシステムの構成を例示する図である。溶接ロボットシステム100は、例えば、撮影端末1と、ロボット制御装置2と、マニピュレータ3とを備える。撮影端末1とロボット制御装置2とは、例えばネットワークNを介して接続され、ロボット制御装置2とマニピュレータ3とは、例えば通信ケーブルCを介して接続される。ネットワークNは、有線(通信ケーブルを含む)であっても無線であってもよい。なお、溶接ロボットシステム100に、ティーチングペンダントを含めてもよい。ティーチングペンダントは、作業者がマニピュレータ3の動作を教示する操作装置である。
【0022】
マニピュレータ3は、ロボット制御装置2において設定される施工条件に従ってアーク溶接を行う溶接ロボットである。マニピュレータ3は、例えば、工場の床面等に固定されるベース部材上に設けられる多関節アーム31と、多関節アーム31の先端に連結される溶接トーチ32とを有する。
【0023】
ロボット制御装置2は、マニピュレータ3の動作を制御する制御ユニットであり、例えば、制御部21、記憶部22、通信部23及び溶接電源部24を含む。
【0024】
制御部21は、例えば、記憶部22に記憶されている溶接プログラムをプロセッサが実行することで、マニピュレータ3及び溶接電源部24を制御する。
【0025】
通信部23は、ネットワークNを介して接続される撮影端末1との通信を制御することや、通信ケーブルCを介して接続されるマニピュレータ3との通信を制御する。
【0026】
溶接電源部24は、例えば、溶接ワイヤの先端とワークとの間にアークを発生させるために、予め定められた溶接の施工条件に従って、溶接電流及び溶接電圧等をマニピュレータ3に供給する。溶接の施工条件には、例えば、溶接条件、溶接開始位置、溶接終了位置、アーク放電の時間、溶接距離、溶接トーチの姿勢及び溶接トーチの移動速度等のデータ項目が含まれる。溶接電源部24は、ロボット制御装置2と別個に備えることとしてもよい。
【0027】
撮影端末1は、例えば、デジタルカメラであるが、デジタルカメラ付きの可搬型端末であってもよい。可搬型端末には、例えば、タブレット端末、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、ノートPC(パーソナルコンピュータ)等の持ち運び可能な端末が含まれる。撮影端末1は、例えば、制御部11、撮影部12、通信部13、表示部14を含む。
【0028】
制御部11は、メモリに格納された所定のプログラムをプロセッサが実行することにより、撮影端末1の各部を制御する。
【0029】
撮影部12は、例えば、レンズ及び撮像素子(イメージセンサ)を含み、レンズで受光した被写体の光を電気信号(デジタル画像データ)に変換する。
【0030】
通信部13は、ネットワークNを介して接続されるロボット制御装置2との通信を制御する。
【0031】
表示部14は、例えば、タッチパネルを有するディスプレイであり、撮影部12による被写体の映像を表示するとともに、作業者による操作指示等の入力を受け付ける。表示部14は、例えばタッチパネルを有するディスプレイ装置として、撮影端末1とは別個に備えることとしてもよい。
【0032】
図2は、本発明に係る溶接プログラム作成システムの機能的な構成を例示する図である。溶接プログラム作成システムは、機能的な構成として、例えば、撮影部211と、溶接線検出部212と、表示制御部213と、入力受付部214と、プログラム作成部215とを有する。これらの機能のうち、撮影部211は、撮影端末1が有する機能である。他方、溶接線検出部212、表示制御部213、入力受付部214及びプログラム作成部215は、撮影端末1及びロボット制御装置2のどちらかが全てを備えてもよいし、撮影端末1及びロボット制御装置2に各機能を分散して備えてもよい。また、撮影端末1及びロボット制御装置2以外の他の装置が、上記機能の一部又は全部を備えてもよい。
【0033】
撮影部211は、上記撮影端末1の撮影部12と同じである。本実施形態に係る撮影部211は、例えば、アーク溶接の対象となる複数の鉄板部材(ワーク)を含む構造物を溶接対象として撮影する。
図3に、溶接対象の一例を示す。同図には、複数のワークをつなぎ合わせて組み合わせることで形成される構造物が、溶接対象として表示されている。撮影部211は、異なる複数の位置から溶接対象を撮影することとしてもよい。
【0034】
図2に示す溶接線検出部212は、撮影部211により撮影された溶接対象の画像に基づいて溶接線の候補を検出する。溶接線の候補を検出する方法として、例えば、以下の方法を用いることができる。
【0035】
最初に、溶接線検出部212は、溶接対象の画像に基づいて、溶接対象に対応する座標データを算出し、それらの座標データを点群データとしてユーザ座標系に描画する。
【0036】
上記の溶接対象に対応する座標データは、例えば、距離計測センサにより取得することができる。距離計測センサとして、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサ、ミリ波センサ、超音波センサ等を用いることができる。また、溶接対象に対応する座標データを、溶接対象を異なる複数の位置から撮影した複数の画像に基づいて算定することで取得してもよい。この場合、公知のステレオ法による三次元計測手法を用いることができる。
【0037】
上記のユーザ座標系は、例えば、溶接対象により形成される空間内にマーカを置くことで設定することができる。具体的に、撮影部211による映像に含まれるマーカの位置を原点とし、その原点で互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸による三次元の直交座標系を、ユーザ座標系として設定する。
【0038】
上記のマーカは、空間内に置かれていることを撮影部211に認識させることができる識別子であればよいが、好ましくは、ARマーカを用いるのがよい。ARマーカを用いることで、空間内に置かれたARマーカを認識したときに、そのARマーカを原点とするユーザ座標系を、実際の映像に重ね合わせて表示させることが簡易に実現できるようになる。
【0039】
続いて、溶接線検出部212は、ユーザ座標系に描画された点群データに基づいて、溶接対象に含まれる溶接線の候補を検出する。具体的に、溶接線検出部212は、点群データに基づいて、溶接対象に対応する複数の平面を認識し、それら複数の平面に含まれる二つの平面の交線を溶接線の候補として検出する。例えば、
図4に示すワークWaに対応する座標データにより示される平面と、ワークWbに対応する座標データにより示される平面とを認識し、これら二つの平面の交線Liを溶接線の候補の一つとして検出する。溶接線の候補を検出する際に、二つの平面の交線の端から端までを溶接線の候補として検出することが好ましい。
【0040】
図2に示す表示制御部213は、溶接線検出部212により検出された複数の溶接線の候補を、撮影部211による映像に重ね合わせて表示させる。
図4には、撮影部211による映像に重ね合わせて、複数の溶接線の候補が表示されている。
【0041】
図2に示す入力受付部214は、映像に含まれる全ての溶接線の候補の中から作業者により選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付ける。溶接線を選択する入力、並びに溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力は、例えば、撮影端末1の表示部14のタッチパネルを用いて入力することができる。
【0042】
図5を参照して具体的に説明する。同図は、撮影端末1の表示部14に表示される画面の一例を示す図である。表示画面の右側には、溶接対象を撮影した画像14aが表示されている。その画像14a上に表示されている溶接線La、Lb、Lc、Ldは、例えば
図4に例示されている複数の溶接線の候補の中から、作業者により実際に溶接を行なう溶接線として選択された溶接線である。溶接線を選択する入力は、例えば音声や文字メッセージ等のガイドに従って、画像14a上に表示された複数の溶接線の候補の中から特定の溶接線の候補をタッチ(タップ)することで受け付けられる。
【0043】
また、画像14a上で、例えば音声や文字メッセージ等のガイドに従って、作業者が複数の溶接線La、Lb、Lc、Ldを順番にタッチすると、そのタッチした順番が、溶接の順番を指定する入力として受け付けられる。さらに、
図5の画像14a上で、例えば音声や文字メッセージ等のガイドに従って、作業者が各溶接線La、Lb、Lc、Ldに沿って溶接線上をなぞる(スライドする)と、そのなぞった方向が、溶接の方向を指定する入力として受け付けられる。なぞる替わりに、例えば、溶接開始位置及び溶接終了位置をそれぞれ長押し等してもよい。この場合、溶接開始位置から溶接終了位置に向かう方向が溶接の方向を指定する入力として受け付けられる。
【0044】
図2に示すプログラム作成部215は、各溶接線に対して指定された溶接の順番及び溶接の方向に基づいて、アーク溶接を行なうための溶接プログラムを作成する。プログラム作成部215は、作成した溶接プログラムを、ロボット制御装置2の記憶部22に記憶させる。これにより、マニピュレータ3がアーク溶接を行なう際に、ロボット制御装置2の制御部21が溶接プログラムを読み込み、その溶接プログラムで指定された溶接手順に従って溶接を行なうように、マニピュレータ3を制御することが可能となる。
【0045】
前述したように、実施形態に係る溶接プログラム作成システムによれば、撮影された溶接対象の画像から検出された溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させ、その溶接線の候補の中から選択された溶接線それぞれに対する溶接順及び溶接方向の指定を受け付け、その指定された順番及び方向に基づいて溶接プログラムを作成することができる。したがって、溶接対象の画像に重ね合わせて表示された複数の溶接線候補に対して、順次、溶接順及び溶接方向を指定することで、溶接プログラムを容易かつ手際よく作成することが可能となる。
【0046】
それゆえ、実施形態に係る溶接プログラム作成システムによれば、マニピュレータ3による溶接作業の効率を高めることが可能となる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。
【0048】
例えば、前述した実施形態に係る溶接プログラム作成システムでは、映像に含まれる全ての溶接線の候補の中から溶接線を選択しているが、選択の対象となる溶接線の候補を一部の候補に限定することとしてもよい。
【0049】
一部の候補に限定する際に、マニピュレータ3を設置する位置を基準にして限定することができる。この場合、溶接プログラム作成システムは、マニピュレータ3を設置する位置に基づいて、そのマニピュレータ3が溶接可能な範囲を決定する決定部を、さらに備えることが好ましい。これに加え、表示制御部213が、映像に含まれる全ての溶接線の候補のうち、決定部により決定された溶接可能な範囲内に存在する溶接線の候補を、選択の対象となる溶接線の候補として溶接対象の画像に重ね合わせて表示させることが好ましい。
【0050】
マニピュレータ3を設置する位置は、例えば音声や文字メッセージ等のガイドに従って、作業者が溶接対象の画像上をタッチ等することで指定できる。マニピュレータ3が溶接可能な範囲は、例えば、指定された位置にマニピュレータ3を設置した場合に、そのマニピュレータ3の溶接トーチ32が届く範囲に基づいて決定することができる。
【0051】
この変形例に係る溶接プログラム作成システムによれば、マニピュレータ3を設置する位置ごとに、そのマニピュレータ3が溶接可能な範囲にある溶接線を対象にして溶接プログラムを作成することが可能となる。したがって、マニピュレータ3による溶接作業の効率をさらに高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1…撮影端末、2…ロボット制御装置、3…マニピュレータ、11…制御部、12…撮影部、13…通信部、14…表示部、14a…画像、21…制御部、22…記憶部、23…通信部、24…溶接電源部、31…多関節アーム、32…溶接トーチ、100…溶接ロボットシステム、211…撮影部、212…溶接線検出部、213…表示制御部、214…入力受付部、215…プログラム作成部、C…通信ケーブル、M…マーカ、N…ネットワーク
【要約】
【課題】溶接ロボットによる溶接作業の効率を高めることができる溶接プログラム作成システムを提供する。
【解決手段】撮影された溶接対象の画像に基づいて検出された複数の溶接線の候補を画像に重ね合わせて表示させる表示制御部213と、複数の溶接線の候補の中から溶接線を選択する入力、及び選択された溶接線それぞれに対する溶接の順番及び溶接の方向を指定する入力を受け付ける入力受付部214と、指定された溶接の順番及び溶接の方向に基づいて、溶接プログラムを作成するプログラム作成部215と、を備える。
【選択図】
図2