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特許7201791人体部分の撮像方法、コンピュータ、コンピュータ読み取り可能記憶媒体、コンピュータプログラム、および医療システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】人体部分の撮像方法、コンピュータ、コンピュータ読み取り可能記憶媒体、コンピュータプログラム、および医療システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
A61B6/03 360Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021505749
(86)(22)【出願日】2018-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2018070621
(87)【国際公開番号】W WO2020025104
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507282831
【氏名又は名称】ブレインラボ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BrainLAB AG
【住所又は居所原語表記】Olof-Palme-Strasse 9 81829 Munchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルクティ,バリント
(72)【発明者】
【氏名】リッツスティーグ,レベッカ
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114361(JP,A)
【文献】特開2018-099505(JP,A)
【文献】特開2018-075132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用撮像装置(4)によって、解剖学的人体部分(5)を撮像するために使用可能なコンセンサス面を決定するコンピュータが実行する方法であって、
a)患者のボディの解剖学的人体部分(5)を記述する患者の画像データを取得する工程(S11)と、
b)長尺医療用デバイス(A、B)の長手軸の方向および前記解剖学的人体部分(5)に対する前記長尺医療用デバイス(A、B)の位置を記述する計画軌道データを取得する工程(S12)と、
c)前記患者の画像データおよび前記計画軌道データに基づくジオメトリ計算によって予測される、前記医療用撮像装置(4)の初期撮像面データを決定する工程(S13)であって、前記初期撮像面データは前記長尺医療用デバイス(A、B)の前記長手軸の方向と、前記長尺医療用デバイス(A,B)および前記解剖学的人体部分(5)を同時に撮像するために使用可能な前記医療用撮像装置(4)の撮像面との間の相対的方向を記述する、ところの工程と、
d)前記医療用撮像装置(4)の前記撮像面と、前記長尺医療用デバイス(A,B)の前記長手軸または前記解剖学的人体部分(5)の方向との間の複数の可能な相対的方向を記述する撮像装置制約データを取得する工程(S14)と、
e)前記長尺医療用デバイス(A,B)の前記長手軸の方向と前記医療用撮像装置(4)の前記撮像面との間の相対的方向が満たすべき予め定められた条件を記述する方向条件データを取得する工程(S16)と、
f)前記撮像装置制約データ、前記初期撮像面データ、および前記方向条件データに基づいてコンセンサス面データを決定する工程(S17)であって、前記コンセンサス面データは、前記医療用撮像装置(4)の前記撮像面と前記長尺医療用デバイス(A,B)の前記長手軸の方向との間の相対的方向を定義し、定義された方向は前記医療用撮像装置(4)によって前記解剖学的人体部分(5)および前記長尺医療用デバイス(A,B)を撮像するために適用され、前記撮像面が前記予め定められた条件に従って方向付けられたとき、前記医療用撮像装置(4)の前記撮像面は前記コンセンサス面と平行となる、ところの工程と、
g)回避領域位置データを取得する工程(S15)であって、回避領域の位置が前記解剖学的人体部分(5)内の解剖学的領域であることを記述する、ところの工程を備え、
前記コンセンサス面データは前記回避領域位置データにさらに基づいて決定される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記回避領域位置データは、前記患者の画像データに基づいて決定される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記回避領域位置データは前記患者の画像データをマッピングした地図データに基づいて決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記回避領域は、前記撮像放射線と少なくとも実質的に交差しない解剖学的領域である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記長尺医療用デバイス(A,B)は、前記解剖学的人体部分内の電気的刺激または電気的検知のための少なくともひとつの電極、前記解剖学的人体部分内への薬品投与用のカテーテル、またはこのような電極およびカテーテルの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記解剖学的人体部分は脳の少なくとも一部を有する、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記画像デバイス制約データは、前記医療用撮像装置(4)の構造データから取得される少なくともひとつの自由度の動きの範囲を記述する、ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記コンセンサス面データに基づいて制御データが決定され、前記制御データは前記医療用撮像装置(4)を制御するための情報を有し、
前記医療用撮像装置(4)は、その撮像面が、前記コンセンサス面データによって記述される前記長尺医療用デバイス(A,B)の前記長手軸の前記方向に対する方向を保持するように、前記制御データに基づいて制御される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータ(2)であって、
前記コンピュータ(2)に読み取られたとき、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法の工程を、前記コンピュータ(2)に実行させるプログラムを格納したメモリと、
前記プログラムを実行するプロセッサと
を備えるコンピュータ。
【請求項10】
コンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、
コンピュータ(2)によって読み取られたとき、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法の工程を前記コンピュータ(2)に実行させるプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【請求項11】
コンピュータプログラムであって、
コンピュータ(2)によって読み取られたとき、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法の工程を前記コンピュータ(2)に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項12】
医療システム(1)であって、
a)少なくともひとつの、請求項9に記載のコンピュータ(2)と、
b)少なくとも前記患者データおよび前記撮像装置制約データを格納した少なくともひとつの電子データ記憶装置(3)と、
c)前記解剖学的人体部分および前記長尺医療用デバイス(A,B)を撮像するための前記医療用撮像装置(4)と
を備え、
前記少なくともひとつのコンピュータ(2)は、
前記少なくともひとつのデータ記憶装置から、少なくとも前記患者データおよび前記撮像装置制約データを取得するために、前記少なくともひとつの電子データ記憶装置(3)と、
前記コンセンサス面データに基づいて、前記医療用撮像装置(4)の前記動作を制御するために、前記医療用撮像装置(4)へ制御信号を発行するための前記医療用撮像装置(4)とに動作的に接続されている、ことを特徴とする医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、医療用撮像装置によって、解剖学的人体を撮像するために使用可能なコンセンサス面を決定するためのコンピュータ実行方法、対応するコンピュータプログラム、そのプログラムを格納する非一過性プログラム記憶媒体、そのプログラムを実行するためのコンピュータ、および電子データ記憶装置および上記コンピュータを含む医療システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、脳深部刺激法(DBS)において、新世代の電極がインプラントされており、それは、回転対称ではなくさまざまな方向特性を有している。術後イメージにおけるその電極の方向の自動検出は結像面に対する電極軸線の好ましい角度によって補助される。しかし、ひとつ以上の電極がインプラントされている場合、その最適な結像面の計算は直観的に分かるものではない。
【0003】
計画アプリケーション内のアルゴリズムは、いわゆるコンセンサス面を計算するか、または、所与のひとつ以上の軌跡に対して、電極のインプランテーション角度またはある走査規則とのコンフリクト(例えば、目に対する放射線被爆)のため、最適な走査面は後に可能ではないという事実に対してユーザに警告する。
【0004】
これまで、方向検出のためにCTまたは回転蛍光透視法のいずれかの使用が知られている。両者において、結果は結像面に対する電極の角度に大きく依存するということが明らかとなった。CTの場合、結果は電極軸線と結像面の法線ベクトルとの間の大きな鋭角角度(例えば、40°以上、50°以上、または60°以上)のために不規則になり、一方、回転蛍光透視法においては、電極軸線と結合面の法線ベクトルとの間の鋭角角度が、例えば40°または30°以下である場合、ロバスト性が小さくなる。したがって、計画ステージにおいて予め、手術中または術後走査用の走査推奨を有することが所望される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手術を完了した後の方向検出および術後走査(患者に放射線をもたらす)に焦点を当てた解決策がこれまでとられてきた。電極角度に基づく走査パラメータの最適化はこれまでなかった。
【0006】
本願発明は、電極などの長尺医療用デバイスの改良された画像を与えるための医学的撮像法の改良された計画を与えることを目的とする。
【0007】
本願発明は、例えば、それはBrainlabAG社のAIRO(商標)のような医療撮像装置と関連して、撮像法を計画するのに使用可能である。
【0008】
本願発明の態様、例および例示的工程およびそれらの実施形態が以下に開示されている。本願発明の異なる例示的特徴は、技術的に適切でかつ実行可能であれば本願発明に従って組み合わせ可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<本願発明の簡単な例示的説明>
以下において、本願発明の特定の特徴の短い説明が与えられ、それは、本願発明を、ここで説明する特徴または特徴の組み合わせに限定するものと理解してはならない。
【0010】
開示される方法は、電極またはカテーテルなどの長尺医療用デバイスを撮像するためのコンセンサス面を決定することを包含する。コンセンサス面は、その長手軸の方向などの長尺医療用デバイスの特徴的な幾何学的量に対する最適な方向を有する撮像面である。その撮像面がコンセンサス面と平行または一致するように、医療用撮像装置(例えば、x線断層撮影スキャナまたはCアームのx線装置)などの解析装置を配置する際、長尺医療用デバイスの最適画像が生成される。コンセンサス面は、撮像法を計画するのに使用される患者画像データ、解剖学的人体部分の位置に対する長尺医療用デバイスの計画した位置を定義する計画軌跡データ、医療用撮像装置の動作を管理するマシン制約を記述する撮像装置制約データ、例えばインプラントなどの臓器を危険にさらすか、または、撮像にアーチファクトを生成する構造物を含み、撮像放射線によって影響されず、x線断層撮影スキャンの際にコンセンサス面と交差しない、患者の人体の解剖学的領域の位置を決定する回避領域位置データ、および、コンセンサス面の方向と長尺医療デバイスの特徴的な幾何学量(例えば、長手軸)の方向との間の角度に対して境界条件を定義するための方向条件データ、を解析することにより決定される。
【0011】
CTスキャナは、いわゆる“スカウトスキャン”モードで撮像を実行するのに使用されてよく、それは、標準X線を使って捕捉した画像、例えば、Cアームまたは蛍光透視法装置からの単一画像と類似の画像を獲得するためのX線の撮像モードである。それは、CTスキャナまたは他のx線断層撮影装置を使って取得されるが、これは、投影像でありx線断層撮影画像ではない。この場合、画像およびそれぞれの撮像面は、x線断層撮像再構成画像ではなく、x線画像(投影)と類似であると考えるべきである。
【0012】
ここで使用される文脈において、標準X線は、x線断層撮像ではない投影であるx線画像である。
【0013】
<本願発明の一般的説明>
このセクションでは、本願発明の一般的特徴の説明が、本願発明の可能な実施形態を参照することにより例示的に与えられる。
【0014】
概して、本願発明は、第1の態様において、医療撮像装置によって、解剖学的人体部分(および、例えば解剖学的人体部分と一緒に同時に例えば長尺医療デバイス)を撮像するために使用可能なコンセンサス面を決定するコンピュータ実装医療方法を与えることにより、上述した目的を達成する。当該方法は、少なくともひとつのコンピュータの少なくともひとつのプロセッサ上で、少なくともひとつのプロセッサによって実行されるように構成された、例えば以下の例示的な工程を実行することを有する。
【0015】
例示的(例えば、第1の)工程において、患者人体の解剖学的人体部分を記述する患者画像データが取得される。患者の画像データは、例えば解剖学的人体部分の計画画像を記述する。計画画像は、磁気共鳴映像法またはコンピュータx線断層撮像、超音波断層撮像、または例えば二次元のx線または蛍光透視法(例えば回転蛍光透視法)などの医療用撮像モダリティを、解剖学的人体部分に適用することによって生成される。解剖学的人体部分は患者の人体の任意の部分であってよく、軟組織または骨組織(骨組織の用語は軟骨を包含する)の少なくともひとつを有してよい。例において、解剖学的人体部分は、脳、頭、胸部、または心臓、肺等の内臓器官、または胃または結腸などの腸内器官の少なくともひとつである。患者画像データの生成は第1の態様に従う方法の一部であってよく、または、第1の態様に従う方法が実行される前に実行されてもよい(すなわち、患者の画像データは第1の態様に従う方法への唯一の入力として機能してよい)。
【0016】
例示的(例えば、第2の)工程において、長尺医療用デバイスの長手軸の方向および解剖学的人体部分に対する長尺医療用デバイスの位置を記述する計画軌跡データが取得される。例えば、長尺医療用デバイスの方向および位置の両方は、解剖学的人体部分に対して、例えば長尺医療用デバイスの位置に対して定義される。長尺医療用デバイスの位置および方向は、長尺医療用デバイス(ひとつの例において、例えば方向性または非方向性脳深部刺激などの脳深部刺激用の電極)を解剖学的人体部分に挿入するための計画軌跡の少なくとも一部を定義する。計画軌跡データの生成は、第1の態様に従う方法の一部であってよく、または、第1の態様に従う方法の前に実行されてもよい(すなわち、計画軌跡データは、第1の態様に従う方法への唯一の入力として機能してよい)。長尺医療用デバイスは、例えば、解剖学的人体部分内の電気刺激または電気検知の少なくともひとつのための例えば電極、解剖学的人体部分内に薬を投与するための例えばカテーテル、または、電極とカテーテルの組み合わせである。
【0017】
例示的(例えば第3の)工程において、医療撮像装置の初期撮像面データが計画軌跡データに基づいて決定される。初期撮像面データは、長尺医療用デバイスの長手軸の方向と、医療装置および解剖学的人体部分を同時に撮像するために使用可能である医療用撮像装置の撮像面(初期撮像面とも言う)との間の相対的方向を記述する。撮像面の方向は、撮像面上の法線ベクトルによって定義される。
【0018】
断層撮影スキャンに対して、撮像面は撮像される解剖学的人体部分の断面を含む面である。
【0019】
非断層x線撮影(例えば、回転蛍光透視法、Cアーム、または回転血管造影法)に対して、撮像面は、放射線ソースの主軸と平行な法線を有する面であり、例えば、撮像面上への投影が実行されたとき、それは解剖学的人体部分の画像を含む。
【0020】
撮像装置としてコンピュータx線断層撮像の場合、解剖学的人体部分および/または長尺医療用デバイスが撮像放射線を使って撮像されるとき、医療用撮像装置の撮像面は、医療用撮像装置によって放出されるべき撮像放射線のビーム(例えば、x線のようなイオン化撮像放射線、または、磁気共鳴断層撮像を実行するためのラジオ波のような非イオン化撮像放射線)の少なくともいくらか、ある例では実質的にすべてが照射される面である。すなわち、撮像面の方向は、撮像放射線のビームが(ビーム方向に対して垂直に)当たるところの面に垂直な少なくともひとつの座標軸上にある。撮像装置としてCアームの場合、撮像面の方向は、ビーム方向に対して平行(CTの場合のように垂直ではなく)であり、ビームは撮像面と直角に交差する。医療撮像装置は、磁気共鳴スキャナまたはコンピュータx線断層撮像スキャナ(例えば、マルチスライススキャンを生成するように構成されたコンピュータx線断層撮像スキャナまたはコーンビームスキャンを生成するように構成されたコンピュータx線断層撮像スキャナ)であってよく、または、x線写真用のCアームのような二次元撮像を実行するための医療用撮像装置であってもよい。
【0021】
例示的(例えば第4の)工程において、医療用撮像装置の撮像面と、長尺医療用デバイスまたは解剖学的人体部分の長手軸の方向との間の複数の可能な相対的方向を記述する撮像装置制約データが取得される。例えば、撮像装置制約データは、ガントリー傾斜(例えばガントリーの最大傾斜)またはカウチ傾斜(例えばカウチの最大傾斜)、または患者の傾斜(例えば患者の最大傾斜)、または撮像装置に対する患者または解剖学的人体部分の位置のようなマシン制約を記述する。ひとつの例において、撮像装置制約データは、例えば患者の人体に対する医療用撮像装置の少なくともひとつの自由度、または複数の自由度を記述し、少なくともひとつの自由度または複数の自由度は例えば医療用撮像装置の構造データから入手される。ひとつの例において、撮像装置制約データは、例えば患者人体に対する医療用撮像装置の少なくともひとつの自由度または複数の自由度の動きの範囲を記述し、少なくともひとつの自由度または複数の自由度は例えば医療用撮像装置の構造データから入手される。
【0022】
例示的(例えば第5の)工程において、長尺医療用デバイスの長手軸の方向と医療用撮像装置の撮像面との間の相対的方向によって満たされるべき予め定められた条件を記述する方向条件データが取得される。相対的方向は、例えば長尺医療用デバイスの軸線と撮像装置制約データ(例えば、撮像面制約またはマシン制約)との間の角度によって定義される。ひとつの例において、予め定められた条件は、医療用撮像装置の撮像面の法線ベクトルと、医療用撮像装置の長手軸の方向との間の角度に対する境界条件を有し、その角度値は、例えば、少なくとも実質的に約40°、または例えば少なくとも実質的に約50°、または例えば少なくとも実質的に約60°、または例えば少なくとも実質的に約30°である。上記した角度は、例えば長尺医療用デバイスの幾何学形状に依存し、かつ、例えば撮像パラメータに依存する。
【0023】
例示的(例えば第5の)工程において、コンセンサス面データは、回避領域位置データ、撮像装置制約データ、初期撮像面データ、および方向条件データに基づいて決定される。コンセンサス面データは、医療用撮像装置の撮像面と長尺医療用デバイスの長手軸の方向との間の相対的方向を記述し、その方向は、医療用撮像装置によって、解剖学的人体部分および長尺医療用デバイス(同時に、例えば、医療用撮像装置が解剖学的人体部分内にインサートされるか、インプラントされうるため)を撮像するために適用されるべきものである。コンセンサス面データを決定することは、例えば、長尺医療用デバイスに対する(例えば、長尺医療用デバイスの位置に対する)医療用撮像装置の最適撮像位置、医療用撮像装置の機械的制約内の角度、および回避領域の位置などの他の制約(例えば、解剖学的制約)の決定を包含する。コンセンサス面は、例えば、撮像されるべき対象物(例えば、長尺医療用デバイス)のジオメトリを記述する特徴的幾何学的量(例えば、長尺医療用デバイスの長手軸の方向)に対する方向条件データによって定義される角度境界内に撮像面が向けられたとき、撮像面が平行となるか、撮像面が同一となる面である。対象物がコンセンサス面内で撮像されれば、対象物の最適画像が得られ、例えば、対象物の画像外観での角度影響は最小化されうる。最適な場合において、角度は0°であり、すなわち、コンセンサス面の法線ベクトルは長尺医療用デバイスの長手軸(特に、長手軸の方向)に平行である。撮像装置がCTスキャナである場合、例えば、撮像装置がCアームである場合、長尺医療用デバイスに対するCアームのすべての回転位置に対する特定の例において、コンセンサス面の法線ベクトルが長尺医療用デバイスの長手軸(特に、長手軸の方向)に直角であれば、最適なケースが与えられる。
【0024】
コンセンサス面データを決定するために、方向条件データは、長尺医療用デバイスの特徴的幾何学量(長手軸の方向など)に対するコンセンサス面の方向に対する角度境界条件を定義する情報を与える。境界条件はその後、長尺医療用デバイスの各々の特徴的幾何学量に対する初期撮像面の方向に同時に適用される。すなわち、計算された撮像面(初期撮像面など)は、コンセンサス面として決定される(すなわち、そうなる)ために、長尺医療用デバイスに関する方向条件データによって記述される境界条件を満たす必要がある。
【0025】
コンセンサス面データは、第1の態様に従う方法に従って、解剖学的人体部分の位置に対する異なる位置に配置される複数(例えば2つ等)の長尺医療用デバイスに対して同時に決定される。この場合、方向条件データは、各長尺医療用デバイスの特徴的幾何学量(長軸の方向など)に対するコンセンサス面の方向に対する角度境界条件に関連する長尺医療用デバイスの各々に対する情報を提供する。境界条件はその後、長尺医療用デバイスの各々の特徴的幾何学量に対するコンセンサス面の方向に同時に適用される。すなわち、計算された撮像面(初期撮像面など)は、コンセンサス面として決定される(すなわち、そうなる)ために、複数の長尺医療用デバイスの各々に関して方向条件データによって記述される境界条件を同時に満たす必要がある。
【0026】
例えば、解剖学的領域である回避領域の位置を記述する回避領域位置データが取得される。例えば、回避領域は解剖学的人体部分の内部または外部にある。例えば、回避領域はインプラントまたはアーチファクトプローン領域(例えば、回避領域内に金属インプラントが存在することによる)の位置、眼球または脳のある機能領域などの危険器官(OARとして省略されるリスク臓器)の位置の少なくともひとつを有する。ひとつの例において、回避領域位置データは、医療関連インプラントと解剖学的人体部分との間の相対位置を記述するインプラント位置データを有する。インプラント位置データは計画画像を閾値にすることにより、予め決定される(例えば、既知である)か、自動的にセグメント化されてよい。例えば、回避領域は、撮像放射線と少なくとも実質的に交差しないか、するべきでない解剖学的人体部分内の解剖学的領域である。回避領域は、例えば、回避領域内に存在する組織への放射線ダメージまたは画像アーチファクトの少なくともひとつを回避するために、撮像放射線によって回避されるべき解剖学的領域である。したがって、回避領域は、回避領域を定義する位置が撮像面を定義する位置と少なくとも実質的にオーバーラップしないという意味で、撮像放射線と交差するべきでない。例えば、撮像面内に含まれる位置のセット(例えば、すべての位置)および回避領域を定義する位置のセット(例えば、すべての位置)は互いのサブセットであってはならない。
【0027】
例えば、回避領域位置データは、患者の画像データまたは地図(アトラス)データの少なくもひとつに基づいて決定される。例えば、地図データは、患者の人体、例えば、少なくとも解剖学的人体部分のモデル(例えば、画像ベースモデルなどの合成モデル)を記述する第1の態様に従う方法によって取得される。例のモデルは、標準患者モデル、一般化患者モデル、平均患者モデル、または平均人間解剖モデルの少なくともひとつであってよい。例えば、回避領域位置データは、計画画像内で回避領域を手動で定義することによって、または、計画画像内の回避領域を自動的に決定することによって決定されてよい。回避領域の自動的決定は、計画画像内の回避領域をセグメント化するか、患者画像データを地図データに一致させるか、地図データからの周知の回避領域を患者の画像データ(特に、計画データによって)上にマッピングするかの少なくともひとつにより実行されてよい。マッピングは、計画画像内の対応する解剖学的構造の位置上に地図内の回避領域の位置のマッピングを定義するように、地図データの位置情報と患者画像データの位置情報との間の変換を定義するよう確立されてよい。例えば、マッピングは、患者の画像データおよび地図データ上で、融合アルゴリズムを実行することにより達成される。
【0028】
例えば、コンセンサス面データは、回避領域位置データ、撮像装置制約データ、初期撮像面データ、および方向条件データによって定義される条件に基づいて(例えば、考慮および/または適用して)初期撮像面データ(例えば、初期撮像面)を最適化することによって決定される。適用可能な最適化アルゴリズムは、凸緩和法、ニュートン法、または、勾配降下法などの制約最適化アルゴリズムを含み、それらは、確率的アプローチが原理的に可能であるが、決定論的アプローチを適用することによって解かれる。
【0029】
他の例において、第1の態様に従う方法は、少なくともひとつのグラフィック(図的)描画として、または少なくともひとつの人間が判読可能な数値またはテキスト値(ストリングまたは文字)として、医療用撮像装置の撮像面と長尺医療用デバイスの長手軸の方向との間の相対的方向をユーザに示すことにより、コンセンサス面データのコンテンツを記述する情報を例えばディスプレイ装置上に表示し、出力する工程を有する。
【0030】
他の例において、第1の態様に従う方法は、コンセンサス面データに基づいて制御データを決定する工程を有し、当該制御データは、医療用撮像装置を制御するための情報を含み、例えば医療用撮像装置は、その撮像面(すなわち、医療用撮像装置の撮像面)がコンセンサス面データによって記述される長尺医療用デバイスの長手軸の方向に対して方向を保持するように、制御データに基づいて(すなわち、制御データを提供しおよび/または実行することにより)制御される。
【0031】
第2の態様において、本願発明は、少なくともひとつのコンピュータ(例えば、ひとつのコンピュータ)の少なくともひとつのプロセッサ(例えば、ひとつのプロセッサ)で実行されるとき、または、少なくともひとつのコンピュータ(例えば、ひとつのコンピュータ)の少なくともひとつのメモリ(例えば、ひとつのメモリ)内にロードされるとき、少なくともひとつのコンピュータに、第1の態様に従う上述した方法を実行させるコンピュータプログラムを対象とする。ディスク上に格納されたコンピュータプログラムは、データファイルであり、当該ファイルが読み出され送信されたとき、それは例えば信号形式(例えば、物理的、電子的、技術的に生成された)のデータストリームとなる。信号は、ここで説明される信号波として実行される。信号、例えば信号波は、例えばLAN、WLAN、WAN、モバイルネットワーク、インターネットなどのコンピュータネットワークを介して送信されるように構成されている。信号、例えば信号波は、光学または音声データ送信によって送信されるように構成されている。したがって代替的または付加的に、第2の態様に従う本願発明は、上述したプログラムを表すデータストリームに関してもよい。
【0032】
第3の態様において、本願発明は、代替的又は付加的に、第2の態様に従うプログラムを表し、かつ、第1の態様に従う方法のいくつかまたはすべての工程を実行するように適応された符号化手段を有する情報を運ぶ信号波、例えばデジタル信号波(例えば、物理的、電子的、技術的に生成された)に関連してよい。
【0033】
第4の態様において、本願発明は、第2の態様に従うプログラムが格納される非一過性コンピュータ読み取り可能プログラム記憶媒体を対象とする。
【0034】
第5の態様において、本願発明は、少なくともひとつのプロセッサ(例えば、ひとつのプロセッサ)および少なくともひとつのメモリ(例えば、ひとつのメモリ)を有する少なくともひとつのコンピュータを対象とし、第2の態様に従うプログラムは該プロセッサ上で実行されるか、該メモリにロードされ、または、少なくともひとつのコンピュータは第4の態様に従うコンピュータ読み取り可能プログラム記憶媒体を有する。
【0035】
第6の態様において、本願発明は医療用システムを対象とし、当該医療用システムは、
a)第4の態様に従う少なくともひとつのコンピュータと、
b)少なくともひとつの患者データおよび撮像装置制約データを格納する少なくともひとつの電子データ記憶装置と、
c)解剖学的人体部分および長尺医療用デバイスを撮像するための医療用撮像装置と
を有し、
少なくともひとつのコンピュータは、
少なくともひとつのデータ記憶装置から、少なくとも患者データおよび撮像装置制約データを取得するための少なくともひとつの電子データ記憶装置、および
コンセンサス面データに基づいて医療用撮像装置の動作を制御するための制御信号を医療用撮像装置に発行するための医療用撮像装置に動作的に接続されている。
【0036】
第7の態様において、本願発明はまた、第5の態様に従うコンピュータの使用、第6の態様に従うシステム、または、医療用撮像装置によって解剖学的人体部分を撮像するためのコンセンサス面を決定するためのそれらの任意の実施形態を対象とする。使用は、例えば、第1の態様に従う方法、または第2の態様に従うプログラムの少なくともひとつを実行する工程を少なくとも有する。
【0037】
例えば、本願発明は、実行されるべきプロの医療経験者を要求しかつ要求されたプロの経験者による治療が実行された場合でも実質的な健康リスクを必然的に伴う人体との実質的な物理的干渉を表す侵襲工程とは無関係であり、有せず、または包含しない。
【0038】
例えば、本願発明は、長尺医療用デバイスまたはインプラントを患者の人体内部に挿入する工程を有しない。より具体的には、本願発明は、任意の手術または治療作業とは無関係であり、有せず、または包含しない。その代わり本願発明は、適用可能な場合、医療処置を計画すること、すなわち、解剖学的人体部分内の長尺医療用デバイスを撮像するために適用可能なコンセンサス面を決定することにより、解剖学的人体部分を具体的に撮像するための撮像手順を対象とする。また、第1の態様に従う方法は、解剖学的人体部分にそれをインサートした後に長尺医療用デバイスの任意の撮像を必要としないばかりか、暗示もしない。この理由のため、本願発明を実行することにより手術または治療作業、特に、手術または治療工程が必要ではなく暗示されない。
【0039】
<定義>
このセクションでは、本開示で使用される特定の用語の定義が与えられ、それは本開示の一部を形成する。
【0040】
本願発明に従う方法は、例えばコンピュータによって実行される方法である。例えば、本願発明に従う方法のすべての工程またはいくつかの工程(すなわち、全工程数より少ない)は、コンピュータ(例えば少なくともひとつのコンピュータ)によって実行されうる。コンピュータ実行方法の実施形態は、データ処理方法を実行するためのコンピュータの使用である。コンピュータ実行方法の実施形態は、コンピュータが方法のひとつ以上、またはすべての工程を実行するように動作するように、コンピュータの動作に関する方法である。
【0041】
コンピュータは例えば電子的および/または光学的にデータを処理するために、例えば、少なくともひとつのプロセッサおよび少なくともひとつのメモリを有する。プロセッサは、例えば少なくとも部分的にnおよび/またはpドープされた半導体、例えば、II族、III族、IV族、V族、VI族半導体材料の少なくともひとつの半導体、ドープされたシリコンおよび/またはガリウムヒ素である半導体材料および組成物から作られている。説明した計算または決定工程は例えばコンピュータによって実行される。決定工程または計算工程は、技術的方法のフレームワーク内、例えば、プログラムのフレームワーク内でデータを決定する工程である。コンピュータは、例えば、任意の種類の処理デバイスであり、例えば、電子データ処理装置である。コンピュータは、例えば、デスクトップPC、ノートブック、ネットブックなどの一般的に考えられる装置であってよいが、携帯電話または組み込みプロセッサのような任意のプログラム可能装置であってもよい。コンピュータは例えば、“サブコンピュータ”のシステムネットワークを有してよく、各サブコンピュータはそれ自体でコンピュータを表す。用語“コンピュータ”は、クラウドコンピュータ、例えばクラウドサーバを含む。用語“クラウドコンピュータ”は、少なくともひとつのクラウドコンピュータのシステム、および例えばサーバファームなどの複数の動作的に相互接続したクラウドコンピュータを含む。このようなクラウドコンピュータは好適に、ワールドワイドウエブ(WWW)などのワイドエリアネットワークに接続され、かつ、ワールドワイドウエブにすべてが接続されているコンピュータのいわゆるクラウド内に配置されている。このようなインフラストラクチャーは、“クラウドコンピューティング”用に使用され、それは、特定のサービスを配信するコンピュータの物理的位置および/またはコンフィグレーションをエンドユーザが知ることを要求しないストレージサービス、データアクセス、ソフトウエア、および計算を記述する。例えば、“クラウド”の用語はこれに関して、インターネット(ワールドワイドウエブ)に対するメタファーとして使用される。例えば、クラウドは、コンピューティング・インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス(IaaS)を提供する。クラウドコンピュータは、本願発明の方法を実行するのに使用されるデータ処理アプリケーションおよび/またはオペレーティングシステム用の仮想ホストとして機能する。クラウドコンピュータは例えばアマゾンウエブサービス(商標)によって提供されるようなエラスティックコンピューティングクラウド(EC2)である。コンピュータは例えば、データを受信または出力し、および/またはアナログ-デジタル変換を実行するためのインターフェースを有する。データは例えば、物理的特性を表すデータおよび/または、技術的信号から生成されたデータである。技術的信号は例えば、(技術的)検出装置(例えば、マーカーデバイスを検出するための装置など)および/または(技術的)解析装置(例えば、医療撮像法を実行するための装置など)の手段によって生成され、技術的信号は例えば電子的または光学的信号である。技術的信号は例えば、コンピュータによって受信されるか出力されるデータを表す。コンピュータは好適には、コンピュータによって出力された情報をユーザに表示できるようにするディスプレイ装置に動作的に接続されている。ディスプレイ装置のひとつの例は、ナビゲート用のゴーグルとして使用可能な仮想現実デバイスまたは拡張現実デバイス(仮想現実眼鏡または拡張現実眼鏡とも呼ばれる)である。この拡張現実眼鏡の具体的な例は、グーグルグラス(グーグルの商標)である。拡張現実デバイスまたは仮想現実デバイスは、ユーザ相互作用によってコンピュータ内に情報を入力すること、および、コンピュータによって出力された情報を表示することの両方に使用可能である。ディスプレイ装置の他の例は、画像情報コンテンツをディスプレイ装置に表示するのに使用される信号を生成するために、コンピュータからディスプレイ制御データを受信するためのコンピュータに動作的に接続された、例えば液晶ディスプレイを有する標準的なコンピュータモニターである。このようなコンピュータモニターの具体的実施形態は、デジタルライトボックスである。このデジタルライトボックスの例は、Brainlab AG社のBuzz(商標)である。モニターはまた、スマートフォンまたはパーソナルデジタルアシスタント、またはデジタルメディアプレーヤーなどの携帯またはハンドヘルドのデバイスのモニターであってもよい。
【0042】
本願発明のフレームワーク内で、コンピュータプログラム要素は、ハードウエアおよび/またはソフトウエア(ファームウエア、レジデントソフトウエア、マイクロコード等を含む)によって実施される。本願発明のフレームワーク内で、コンピュータプログラム要素は、コンピュータ使用可能な、例えばコンピュータ読み取り可能インストラクション、インストラクション実行システム上でまたはそれに関連して使用するためのデータ記憶媒体内で実施される“コード”または“コンピュータプログラム”を有するコンピュータ使用可能、例えばコンピュータ読み取り可能記憶媒体によって実施されるコンピュータプログラムプロダクトの形式を取りうる。このシステムはコンピュータであり、コンピュータは、本願発明に従うプログラムおよび/またはコンピュータプログラム要素を実行するための手段を有するデータ処理装置であり、データ処理装置はコンピュータプログラム要素を実行するデジタルプロセッサ(中央演算装置またはCPU)、および任意でコンピュータプログラム要素を実行することにより使用および/または実行されるデータを格納するための揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリまたはRAM)を有する。本願発明のフレームワーク内で、コンピュータ使用可能、例えばコンピュータ読み取り可能データ記憶媒体は、インストラクション実行システム、装置またはデバイス上でまたはそれと関連して使用するためのプログラムを含み、格納し、通信し、伝播し、または輸送することができる任意のデータ記憶媒体であってよい。コンピュータ使用可能、例えばコンピュータ読み取り可能データ記憶媒体は、これに限定されないが、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線もしくは半導体のシステム、装置、またはデバイス、または、例えばインターネットなどの伝播媒体であってよい。プログラムは紙または他の適当な媒体を光学的にスキャンすることにより電子的に取得され、その後、コンパイルされ、トランスレートされ、さもなければ適当な方法で処理されるので、コンピュータ使用可能またはコンピュータ読み取り可能データ記憶媒体は、プログラムが印刷される紙または他の適当な媒体であってよい。データ記憶媒体は、好適には不揮発性データ記憶媒体である。コンピュータプログラムプロダクトおよび任意のソフトウエアおよび/またはここで説明するハードウエアは、例示的実施形態において本願発明の機能を実行するためのさまざまな手段を形成する。コンピュータおよび/またはデータ処理装置は例えば、ガイダンス情報を出力するための手段を含むガイダンス情報デバイスを有してよい。ガイダンス情報は、仮想指示手段(例えば、モニターおよび/またはランプ)によって仮想的におよび/または音声指示手段(例えば、ラウドスピーカーおよび/またはデジタルスピーチ出力デバイス)によって音響的におよび/または触覚指示手段(例えば、振動エレメントまたは楽器内に組み込まれた振動エレメント)によって触覚的にユーザに出力される。本明細書の目的のために、コンピュータは、技術的、例えばタンジブルコンポーネント、機械的および/または電子的コンポーネントを有する技術的コンピュータである。本明細書で述べられる任意のデバイスは、技術的かつタンジブルなデバイスである。
【0043】
“データを取得する”の表現は例えば、データがコンピュータ実行される方法またはプログラムによって決定されるところのシナリオを包含する(コンピュータ実装方法のフレームワーク内)。データを決定することは例えば、物理的量を測定し、測定した値をデータ、例えばデジタルデータに変換し、および/または本願発明に従う方法のフレームワーク内でコンピュータによってデータを計算する(および出力する)ことを包含する。ここで説明する“決定する”工程は、例えば、ここで説明する決定を実行するためのコマンドを発行することからなるか、それを含む。例えば、該工程は、コンピュータ、例えば遠隔コンピュータ、クラウド内の遠隔サーバーに決定を実行させるためのコマンドを発行することからなるか、それを含む。代替的または付加的に、ここで説明する“決定”の工程は例えば、ここで説明する決定から生じるデータを受信すること、遠隔コンピュータ、例えば決定を実行させられた遠隔コンピュータから生成データを受信することからなるか、それを含む。“データを取得すること”の意味もまた、コンピュータ実行方法またはプログラムによってデータが受信されるか、コンピュータ実行方法またはプログラムによってさらに処理するための他のプログラム、先行の方法工程またはデータ記憶媒体から(例えばそれへの入力によって)データが検索されるシナリオを包含する。取得されるべきデータの生成は本願発明に従う方法の一部である必要はない。したがって“データを取得すること”の表現は、データを受信することを待つことおよび/またはデータを受信することも意味する。受信したデータは例えばインターフェースを介して入力されてもよい。“データを取得すること”の表現はまた、データソース、例えばデータ記憶媒体(ROM、RAM、データベース、ハードドライブ等)から、または、インターフェースを介して(例えば、他のコンピュータまたはネットワークから)データを受信するか検索するためのコンピュータ実装方法またはプログラムを実行することを意味する。開示する方法または装置によって取得されるデータはそれぞれ、データベースとコンピュータとの間で、例えばデータベースからコンピュータへデータを転送するためにコンピュータと動作的に接続されたデータ記憶デバイス内に配置されたデータベースから取得されてよい。コンピュータは、データを決定する工程に対して、入力として使用するためのデータを取得する。決定されたデータは、後の使用のために格納されるべき同じか他のデータベースに再び出力されてよい。開示する方法を実行するのに使用されるデータベースは、ネットワーク記憶デバイスまたはネットワークサーバー(例えば、クラウドデータベースデバイスまたはクラウドサーバ)、またはローカルデータ記憶デバイス(開示する方法を実行する少なくともひとつのコンピュータに動作的に接続された大容量記憶デバイスなど)に配置されてよい。データは、取得工程の前に付加的工程を実行することにより“使用可能”となる。付加的工程に従い、取得されるためにデータが生成される。データは例えば検出されまたは捕捉される(例えば解析デバイスによって)。代替的または付加的に、データは、例えばインターフェースを介して付加的工程にしたがって入力される。生成されたデータは、例えばコンピュータ内に入力されてよい。付加的工程(取得工程に先行する)に従い、データもまたデータ記憶媒体(例えば、ROM、RAM、CDおよび/またはハードドライブなど)内にデータを格納する付加的工程を実行することにより与えられ、その結果、それらは、本願発明に従う方法またはプログラムのフレームワーク内で使用可能となる。したがって“データを取得する”工程は、取得されるべきデータを得ることおよび/または与えることをデバイスに命令することにも関連する。特に、取得する工程は、実行されるべきプロの医療経験を要求しかつ要求されるプロの治療および経験により実行されるとき実質的な健康リスクを伴う、人体との実質的に物理的な干渉を表す侵襲的工程を含まない。特に、データを取得する工程、例えばデータを決定する工程は手術工程を含まず、特に、手術または治療によって人間または動物の体を処置する工程とは無関係である。本願発明の方法によって使用される異なるデータを区別するために、データは、“XYデータ”等と記述され(参照され)、それが記述する情報に関して定義され、その後好適には“XY情報”等として参照される。
【0044】
撮像ジオメトリの情報は好適には、解析画像(x線画像)が計算可能となる情報を有し、解析されるべき解析対象物が既知ならば、x線放射線または磁気共鳴放射線および/または核磁気共鳴を生成するためのラジオ波などの撮像放射線によって解析されるべき解析対象物(解剖学的人体部分)と撮像ジオメトリ解析装置との間の既知の相対的位置が与えられ、ここで“既知”とは解析対象物の空間的ジオメトリ(サイズおよび形状)が既知であることを意味する。これは例えば、解析対象物(解剖学的人体部分)と解析放射線(x線放射線)との間の相互作用に関する3次元の“空間的に解析された”情報が既知であることを意味し、ここで“相互作用”とは例えば、解析放射線が解析対象物によってブロックされるか、または部分的または完全に通過するのを許されることを意味する。撮像ジオメトリの位置、特に方向は、例えばx線デバイスの位置、例えばx線ソースおよびx線検出器の位置、および/または解析対象物を通過しかつx線検出器によって検出されるx線ビームのマルチプリシティ(マニホールド)の位置によって定義される。撮像ジオメトリは例えばマルチプリシティ(マニホールド)の位置(すなわち、位置および特に方向)および形状(例えば、勾配の特定の角度を示す円錐形状)を記述する。該位置は例えば、マルチプリシティの中心を通過するx線ビームの位置によって、または、x線ビームのマルチプリシティ(マニホールド)を表す幾何学的対象物(円錐台など)の位置により表すことができる。上述した相互作用に関する情報は好適には、例えば3次元CTからの3次元で知らされ、解析対象物に対するポイントおよび/または領域、例えば解析対象物のすべてのポイントおよび/または領域に対して、空間的解析法で相互作用を記述する。撮像ジオメトリの知識により、放射線のソース(例えば、x線ソース)の位置は、画像面(例えば、x線検出器の面)に対して計算が可能となる。3次元の解析対象物と、撮像ジオメトリにより定義された2次元解析画像との間の関係に関して、以下の公知文献が参照される。
1."An Efficient and Accurate Camera Calibration Technique for 3D Machine Vision", Roger Y. Tsai, Proceedings of the IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition. Miami Beach, Florida, 1986, 364-374頁
2."A Versatile Camera Calibration Technique for High-Accuracy 3D Machine Vision Metrology Using Off-the-Shelf TV Cameras and Lenses", Roger Y. Tsai, IEEE Journal of Robotics and Automation, Volume RA-3, No. 4, August 1987, 323-344頁
3."Fluoroscopic X-ray Image Processing and Registration for Computer-Aided Orthopedic Surgery", Ziv Yaniv
4.欧州特許出願第08 156 293.6号
5.米国特許出願第61/054,187号
【0045】
好適には、解剖学的人体部分の一般的な3次元形状を記述する(例えば、定義し、より具体的には表し、および/または同義である)地図データが取得される。したがって、地図データは解剖学的人体部分の地図を表す。地図は典型的に対象物の複数の一般的モデルからなり、対象物の一般的モデルは複雑な構造を一緒に形成する。例えば、地図は、複数の人体から集められた解剖学的情報、例えばそれらの人体の画像を含む医療画像データから生成された患者の人体(例えば、人体の部分)の統計的モデルを構成する。本質的に、それゆえ地図データは複数の人体に対するこの医療画像データの統計的解析の結果を表す。この結果は、画像として出力される。したがって、地図データは医療用画像データを含むか、それと比較可能である。この比較は例えば、地図データと医療用画像データとの間の画像融合を実行する画像融合アルゴリズムを適用することによって実行可能である。比較の結果は、地図データと医療用画像データとの間の類似性の測定であってよい。地図データは、地図データによって定義される解剖学的構造に対応する医療画像データ内の解剖学的構造の位置を決定するために、地図データを医療画像データと比較するように、医療画像データ内に含まれる画像情報(例えば、位置画像情報)と合致される(例えば、エラスティックまたはリジッド画像融合アルゴリズムを適用して)画像情報(例えば、位置画像情報)を有する。
【0046】
地図データを生成するための入力として機能する人体構造は、性別、年齢、人種、身体測定(例えば、伸長および/または体重)および病理学的状態の少なくともひとつのような共通の特徴を共有する。解剖学的情報は例えば、人体の構造を記述し、かつ、人体に関する医療用画像情報から抽出される。例えば大腿骨の地図は、一緒に完全な構造を作成する対象物として、頭、首、ボディ、大転子、小転子、下肢を有してよい。例えば脳の地図は、一緒に複雑な構造を作成する対象物として、終脳、小脳、間脳、脳橋、中脳および延髄を有してよい。この地図のひとつの応用は、医療画像のセグメンテーションにあり、そこで地図は医療画像データとマッチングされ、かつ、マッチングされた地図の対象物へ画像データのポイント(ピクセルまたはボクセル)を割り当てるために、画像データはマッチングされた地図と比較される。
【0047】
例えば、地図データは、解剖学的人体部分の情報を含む。この情報は例えば、患者特有、患者非特有、特異適応、または非特異適応の少なくともひとつである。したがって地図データは例えば患者特有、患者非特有、特異適応、または非特異適応地図の少なくともひとつを記述する。例えば、地図データは所与の基準(例えば、他の解剖学的人体部分)に関する解剖学的人体部分の動きの自由度を示す移動情報を含む。例えば、地図は、複数の(すなわち、少なくとも2つの)撮像モダリティ用の地図情報を定義し、かつ、異なる撮像モダリティ内の地図情報間のマッピング(例えば、すべてのモダリティ間のマッピング)を含むマルチモーダル地図であり、その結果、地図は、第1撮像モダリティ内の画像描写からの医療画像情報を、第1撮像モダリティと異なる第2撮像モダリティ内の画像描写へ変換するために、または、異なる撮像モダリティの画像を互いに比較する(例えば、マッチングまたはレジスタ)するために使用される。
【0048】
x線装置、CT装置、またはMRT装置などの解析装置は、人体のひとつ以上の解析画像(例えば、x線画像またはMRT画像)を生成するのに使用されてよい。例えば、解析装置は、医療用撮像法を実行するように構成されている。解析装置は例えば、医療撮像方法を使用し、かつ、電磁波および/または放射線、超音波および/または粒子ビームなどの波および/または放射線および/またはエネルギービームを使って、患者の人体を解析するための装置である。解析装置は例えば、人体を解析することによって、患者の人体(および例えば患者の人体の内部構造および/または解剖学的部分)の画像(例えば、2次元または3次元画像)を生成する装置である。解析装置は例えば、医学的診断、例えば放射線医学で使用される。
【0049】
医学の分野において、撮像方法(撮像モダリティおよび/または医療撮像モダリティとも呼ぶ)は、人体の解剖学的構造(軟組織、骨、臓器等)の画像データ(例えば、2次元または3次元画像データ)を生成するために使用される。用語“医療撮像方法”は、例えばコンピュータ断層撮影法(CT)および円錐ビームコンピュータ断層撮影法(CBCT、体積CBCTなど)、x線断層撮像法、磁気共鳴断層撮影法(MRTまたはMRI)、従来のx線、音波解析および/または超音波試験、および陽電子放出断層撮影法などの撮像方法(例えばいわゆる医療撮像モダリティおよび/または放射線医学撮像方法)を意味する(有利に装置ベースで)と理解されるべきである。例えば、医療撮像方法は、分析装置によって実行される。医療撮像法によって適用される医療撮像モダリティの例は、x線(x線写真とも呼ばれる、https://en.wikipedia.org/wiki/Radiographyを参照)、医療超音波検査または超音波、内視鏡検査、弾性率計測法、触覚撮像技術、サーモグラフィー、医療写真、および陽電子放出断層撮影法(PET)および単一光子放出コンピュータ断層撮影法(SPECT)のような核医学機能撮像技術(ウィキペディア参照)である。
【0050】
生成された画像データはまた、“医療撮像データ”とも呼ばれる。解析装置は例えば、装置ベースの撮像方法で画像データを生成するために使用される。撮像方法は例えば、画像データによって記述される画像を生成するために、解剖学的人体を解析するべく、医療診断のために使用される。撮像方法は例えば、人体内の病理学的変化を検出するのにも使用される。しかし、構造(組織)の病理学的変化などの解剖学的構造の変化のいくつかは、検出不可能であり、撮像法によって生成される画像内で見ることができないかもしれない。腫瘍は解剖学的構造内の変化の例を表す。腫瘍が成長すれば、それは拡大した解剖学的構造を表すと言われる。この拡大した解剖学的構造は検出不可能であり、例えば、拡大した解剖学的構造の一部のみが検出可能であってよい。造影剤を腫瘍に染みこませるのに使用された場合、プライマリ/ハイグレードな脳腫瘍はしばしばMRIで見ることができる。MRIスキャンは撮像方法の例を表す。この脳腫瘍のMRIスキャンの場合、MRI画像内の信号強化(腫瘍に浸透した造影剤のため)が固体腫瘍質量を表すのに考慮される。したがって、腫瘍は検出可能であり、かつ、撮像方法によって生成された画像内で識別可能である。腫瘍を“強化する”と呼ばれるこの腫瘍に加え、約10%の脳腫瘍がスキャンで識別不可能であり、撮像方法によって生成された画像においてユーザに見ることができないと考えられる。
【0051】
マッピングは、エレメント(例えば、ピクセルまたはボクセル)、例えばエレメント(例えば、ピクセルまたはボクセル)に対する第1座標系内の第1データセットのエレメントの位置、例えば、第2座標系(第1座標系のベーシスと異なるベーシスを有する)内の第2データセットのエレメントの位置の変換(例えば、線形変換)を記述する。ひとつの実施形態において、マッピングは、エラスティックまたはリジッド融合アルゴリズムによってそれぞれのエレメントの色値(例えばグレー値)を比較(例えばマッチング)することによって決定される。マッピングは例えば、変換マトリクス(アフィン変換を定義するマトリクスなど)によって実施される。
【0052】
画像融合は、エラスティックまたはリジッド画像融合であってよい。リジッド画像融合の場合、2次元画像のピクセル間の相対位置および/または3次元画像のボクセル間の相対位置が固定され、一方、エラスティック画像融合の場合、相対位置は変化可能である。
【0053】
この応用において、用語“画像モーフィング”は、用語“エラスティック画像融合”の代替として使用されるが、同じ意味を有する。
【0054】
エラスティック融合変換(例えば、エラスティック画像融合変換)は例えば、ひとつのデータセット(例えば、第1画像などの第1データセット)から他のデータセット(例えば第2画像などの第2データセット)へシームレスな遷移を可能にするように設計される。変換は例えば、対応する構造(例えば、対応する画像エレメント)が第1および第2画像の他のものと同じ位置に配置されるような方法で、第1および第2データセット(画像)のひとつが変形されるように設計される。第1および第2画像のひとつから変換された変形(変換)済み画像は、第1および第2画像の他のものとできるだけ類似している。好適には、最適な類似の度合いを生じさせる変換を見つけるために(数値)最適化アルゴリズムが適用される。類似の度合いは、好適には類似性の測定(以下で“類似性測定”と呼ぶ)によって計測される。最適化アルゴリズムのパラメータは、例えば変形場のベクトルである。このベクトルは、類似性の最適度合いを生じさせるような方法で、最適化アルゴリズムによって決定される。したがって、類似性の最適度合いは、最適化アルゴリズムの条件、例えば制約を表す。ベクトルのベースは変換されるべき第1および第2画像のひとつのボクセル位置にあり、かつ、ベクトルの先端は変換済み画像の対応するボクセル位置にある。これら複数のベクトルが好適に、例えば20以上、100以上、1000以上または10000以上与えられる。例えば病理学的変異を避けるために(例えば、すべてのボクセルが変換によって同じ位置にシフトされること)、好適に変換(変形)の他の制約が存在する。これらの制約は例えば変換がレギュラーであることの制約を含み、それは例えば変形場(例えばベクトル場)のマトリクスから計算されたヤコビ行列式がゼロより大きいことを意味し、また変換(変形)済み画像は自己干渉しないという制約、および、変換(変形)済み画像は誤りおよび/または破裂を有しないことの制約を含む。制約は例えば、レギュラーグリッドが画像と同時に対応する方法で変換されれば、グリッドはいずれの位置にも折り込むことが許されないという制約を含む。最適化問題は例えば、勾配降下アルゴリズムなどの一次最適化アルゴリズムである最適化アルゴリズムによって反復して解法される。最適化アルゴリズムの他の例は、滑降シンプレックスアルゴリズムなどの誘導を使用しない最適化アルゴリズム、または、ニュートン法似のアルゴリズムなどのより高次の誘導を使用するアルゴリズムを含む。最適化アルゴリズムは好適には局所的最適化を実行する。複数の局所的最適値が存在すれば、シミュレーションされたアニーリングなどのグローバルアルゴリズムまたは一般的アルゴリズムが使用可能である。線形最適化問題の場合、シンプレックス法が例えば使用されてよい。
【0055】
最適化アルゴリズムの工程において、ボクセルは例えば、類似性の度合いが増加するような方向である大きさだけシフトされる。この大きさは、好適には、予め定められた限界より小さく、例えば画像の直径の10分の1、100分の1、または1000分の1以下であり、隣接ボクセル間の距離とほぼ等しいかまたはそれ以下である。大きな変形は、例えば多数の工程(繰り返し)により実行されてよい。
【0056】
決定されたエラスティック融合変換は例えば、第1および第2データベース(第1および第2画像)間の類似性の度合い(または上述した類似性測定値)を決定するために使用されてよい。この目的にため、エラスティック融合変換と恒等変換との間の誘導が決定される。誘導の度合いは例えば、エラスティック融合変換および恒等変換の行列式の差を決定することによって計算されうる。誘導が大きいほど、類似性が低い。したがって、誘導の度合いは類似性の測定値を決定するのに使用されうる。
【0057】
類似性の測定は例えば、第1および第2データベース間の決定された相関に基づいて決定されてよい。
【0058】
以下で、本願発明は、本願発明の背景説明を与え、かつ、特定の実施形態を表す添付図面を参照して説明される。しかし本願発明の態様は、図面の文脈において開示される特定の特徴に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、第1の態様に従う方法の基本的フローチャートを示す。
図2図2は、第1の態様に従う方法の実施形態を示すフローチャートである。
図3図3は、2つの長尺医療用デバイスに対して同時にコンセンサス面を決定するための幾何学的関係を示す略示図である。
図4A図4Aは、医療用撮像装置のひとつのタイプに対するコンセンサス面の位置を示す。
図4B図4Bは、医療用撮像装置の異なるタイプに対するコンセンサス面の位置を示す。
図5図5は、2つの撮像装置のコンセンサス面と長手軸との間の相対的方向の限界を示す。
図6図6は、第6の態様に従うシステムの略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1は、第1の態様に従う方法の基本工程を示す。工程S11は、患者画像データの取得を包含し、工程S12は計画軌道データの取得を包含し、工程S13は撮像面データの決定を包含し、工程S14は撮像装置制約データの取得を包含し、工程S15は回避領域位置データの取得を包含し、工程S16は方向条件データの取得を包含し、工程S17はコンセンサス面データの決定を包含する。
【0061】
図2は、第1の態様に従う方法の実施形態を説明する。工程S21において、インプランテーション軌道は動作前に計画され、かつ、計画軌道データとして格納される。工程22において、方向インプラントを受け取る軌道が選択される。この軌道に対して、工程S23においてシステムは予め定義した以下の基準を満たすコンセンサス面が存在するか否かを決定する。その基準は例えば、
すべての方向インプラントに対して撮像面が受け取り可能な角度であること、
撮像面が技術的に実行可能であること、
撮像面は不快または不可能な患者の位置を要求しないこと、
撮像面は目およびキアスマなどの危険器官を不必要な量の放射線に被爆させないこと、
などを含む。
【0062】
結果は、ひとつ以上のコンセンサス面が存在するというものであってよい。工程23の結果が、予め定義された基準を満たすコンセンサス面が存在しないというものであれば、ユーザは工程S21の計画ステージに戻って、工程S24において自動的に提案されるより撮像しやすい軌道を選択する。工程S23の結果が予め定義した基準を満たすコンセンサス面が存在するというものであれば、決定されたコンセンサス面は予め定義した基準に従って工程S25で評価され、工程26において選択および承認のためにユーザに示される。選択されたコンセンサス面はその後、工程S27で放射線科医師に渡されるか、または、工程S28において実行されるべきCTスキャナへ制御データとして直接転送される。
【0063】
この手順は、方向インプラントを後に受け取る所与の患者が方向性視覚化を通じたプログラミングに関して後にサポート可能であるか否かの不確定性を排除する。また、この手順は、患者に対する不必要な放射線被曝を潜在的に最小化することを保持する。
【0064】
図3は、2つの電極AおよびBの各々に関連するコンセンサス面aおよびb、並びに、両電極AおよびBに同時に適用されるコンセンサス面を構成する共通コンセンサス面cを示す。コンセンサス面aおよびbは電極AおよびBの長手軸に垂直な面にあるが、コンセンサス面cは、方向条件データによって課せられる境界内にある電極AおよびBの長手軸に対してある角度(または、それぞれの角度)で伸びる。
【0065】
図4Aは、CTスキャナ4によって実施される医療用撮像装置によって生成される断層撮影の画像スライス(点線で示す)が、患者の頭5によって実施される解剖学的人体部分内の電極またはカテーテルによって実施される長尺インプラントに対してコンセンサス面にあるように、カウチを動かすことによる患者の再配置を示す。画像スライスは、インプラントの長手軸線に対して垂直方向に伸びるコンセンサス面内にある(すなわち、コンセンサス面と一致または平行)。CTスキャナ4の撮像面がインプラントを撮像するためのコンセンサス面内にあるように、左側図から右側図へ、患者のカウチはコンセンサス面データに基づいて決定された上述した制御データに基づいて駆動される。
【0066】
図4Bは、Cアームによって生成されるx線写真の撮像面が、患者の頭5によって実施される解剖学的人体部分内の電極またはカテーテルによって実施される長尺インプラントに対してコンセンサス面内にあるように、Cアームを移動することによりCアームx線装置4によって実施される医療用撮像装置の再配置を示す。したがって生成される画像は、インプラントの長手軸に平行な方向に伸びるコンセンサス面内にある(例えば、インプラントの長手軸はコンセンサス面内にある)。左側図から右側図に、Cアーム4の撮像面が回転連続して取られる画像の少なくともひとつの画像に対するコンセンサス面内に少なくとも実質的にあるか、または、少なくとも実質的に平行であるように、Cアームが上述した制御データに基づいて駆動される。
【0067】
図5は、方向条件データによって記述される角度境界条件に対する制限を示す。α、α、β、βは、それぞれ撮像面法線と長尺医療用デバイスの軸線との間の正確な角度を示す。回転蛍光透視画像(例えば、Cアームx線装置を使って生成される)に対して、長尺医療用デバイスの長手軸の方向と、図5を通じて点線矢印で示される撮像面の法線との間の正確な(最小)角度αおよびαは、撮像面がコンセンサス面であると決定されれば少なくとも約30°であるべきである。コンピュータx線断層撮影に対して、正確な(最大)角度βおよびβは、約60°と等しいかまたはそれ以下であるべきである。上述した角度は、例えば長尺医療用デバイスのジオメトリおよび撮像パラメータに依存する。
【0068】
図6は、第6の態様に従う医療システム1の略示図である。システムは符号1により全体として参照され、コンピュータ2、少なくとも患者データを格納するための電子データ記憶デバイス3(ハードディスクなど)、および医療用撮像装置4を有する。医療システム1のコンポーネントは、本開示の第6の態様に関して上述した機能および特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【文献】欧州特許出願第08 156 293.6号公報
【文献】米国特許出願第61/054,187号明細書
【非特許文献】
【0070】
【文献】"An Efficient and Accurate Camera Calibration Technique for 3D Machine Vision", Roger Y. Tsai, Proceedings of the IEEE Conference on Computer Vision and Pattern Recognition. Miami Beach, Florida, 1986, 364-374頁
【文献】"A Versatile Camera Calibration Technique for High-Accuracy 3D Machine Vision Metrology Using Off-the-Shelf TV Cameras and Lenses", Roger Y. Tsai, IEEE Journal of Robotics and Automation, Volume RA-3, No. 4, August 1987, 323-344頁
【文献】"Fluoroscopic X-ray Image Processing and Registration for Computer-Aided Orthopedic Surgery", Ziv Yaniv
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6