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特許7201810過負荷時の損傷からの保護としてエネルギーを吸収する方法およびアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】過負荷時の損傷からの保護としてエネルギーを吸収する方法およびアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20221227BHJP
   B60N 2/50 20060101ALI20221227BHJP
   F16F 9/53 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
B60N2/42
B60N2/50
F16F9/53
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021528894
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2019081816
(87)【国際公開番号】W WO2020109088
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】102018130002.6
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517428610
【氏名又は名称】ジェネラル ダイナミクス ヨーロピアン ランド システムズ-モワク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リスト,ハンス-ヨルグ
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-511284(JP,A)
【文献】特開2008-126817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/42
B60N 2/50
F16F 9/53
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載ユニット(100)で輸送される対象物(103)の負荷を軽減するために、エネルギー吸収体(2)を用いて過負荷事象の間にエネルギーを吸収する方法であって、
前記エネルギー吸収体(2)は、前記過負荷事象の間に、前記エネルギー吸収体(2)によるエネルギー吸収の結果として生じる負荷を減らすために、少なくとも前記エネルギー吸収体なしでは、前記対象物の損傷が起こり得る又は圧倒的に高い可能性で起こり得るような高いエネルギーが生じるような単一の前記過負荷事象の間、エネルギーを吸収するのに適しており、
センサ装置(61)は、前記積載ユニット(100)の現在の状態に関する測定値(62)を定期的に取得し、
制御装置(48)が、取得した前記測定値(62)から前記過負荷事象(65)を検出し、
以下のことを特徴とする、すなわち、
輸送予定の前記対象物(103)の重量の測定値が決定され、
前記重量の前記測定値に基づいて、転送予定の前記対象物(103)の負荷に対する閾値(68)が決定され、さらに
前記過負荷事象(65)の検出時に、輸送予定の前記対象物(103)の負荷が前記閾値(68)以下になるように、前記エネルギー吸収体(2)の減衰が制御される。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも前記過負荷事象(65)を検出した後に、前記エネルギー吸収体(2)の減衰が、定期的に取り込まれた前記測定値(62)によって適応される。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、
前記制御装置が、前記測定値(62)から、前記積載ユニット(100)にかかる負荷の特性パラメータを定期的に導出する。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方法であって、
前記積載ユニット(100)は、前記積載ユニット(100)に作用する負荷が過負荷事象閾値(67)を超えるとせん断するせん断装置(42)を備え、
前記制御装置(48)は、前記せん断装置(42)のせん断が検出されると、前記過負荷事象(65)を検出する。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記制御装置(48)は、特性値(65)が前記過負荷事象閾値(67)を超えたときに、前記過負荷事象(65)を検出する。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記過負荷事象閾値(67)は、前記閾値(68)に依存して特定される。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の方法であって、
輸送予定の前記対象物(103)の前記重量の前記測定値が、静止状態の前記積載ユニット(100)の前記負荷から決定される。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法であって、
輸送予定の前記対象物(103)の前記重量の前記測定値が、前記積載ユニット(100)の前記負荷の時間平均(38)から決定される。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の方法であって、
前記積載ユニット(100)の前記負荷が起動時に直ちに決定される。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の方法であって、
輸送予定の前記対象物(103)のタイプが決定され
輸送予定の前記対象物(103)の識別ユニット(109)が検出され、
輸送予定の前記対象物(103)の前記識別ユニット(109)のメモリ(110)が読み出される。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の方法であって、
前記エネルギー吸収体(2)の垂直方向の揚力の一部に対して快適性のための減衰(71)が実行される。
【請求項12】
請求項5又は6に記載の方法であって、
輸送予定の前記対象物(103)の前記過負荷事象閾値(67)および/または最大負荷(68)が可変であり、
予め設定された前記最大負荷(68)が識別ユニット(109)に記憶され、
前記最大負荷(68)が、輸送予定の人の性別および/または年齢に依存する。
【請求項13】
輸送対象物(103)を輸送するための積載ユニット(100)と、前記積載ユニット(100)で輸送される対象物(103)に作用する負荷を低減するために、少なくとも過負荷事象においてエネルギーを吸収するためのエネルギー吸収体(2)とを含むアセンブリ(1)であって、
前記エネルギー吸収体(2)が、前記エネルギー吸収体(2)によるエネルギー吸収によって、前記過負荷事象(65)において前記対象物に作用する結果的な負荷を低減するように、前記エネルギー吸収体(2)がない場合には、前記対象物(103)の損傷が起こり得る又は高い可能性で起こり得るような高いエネルギーを含む単一の前記過負荷事象(65)において、エネルギーを吸収するのに適し、かつエネルギーを吸収するように設定され、
制御装置(48)と、前記積載ユニット(100)の現在の状態についての測定値(62)を検出するための少なくとも1つのセンサ装置(61)と、少なくとも1つの前記エネルギー吸収体(2)が設けられており、
前記制御装置(48)は、検出された前記測定値(62)に基づいて、前記過負荷事象(65)を検出するように設定及び構成され、
以下のことを特徴とする、すなわち、
前記制御装置(48)は、輸送予定の前記対象物(103)の重量の前記測定値を決定し、前記重量の前記測定値から、輸送予定の前記対象物(103)の負荷の閾値(68)を決定するように設定および構成され、さらに、
前記制御装置(48)は、前記過負荷事象(65)の検出時に、輸送予定の前記対象物(103)の前記負荷が前記閾値(68)以下になるように、前記エネルギー吸収体(2)の減衰を制御するように設定及び構成される。
【請求項14】
請求項13に記載のアセンブリ(1)であって、
前記センサ装置(61)は、前記アセンブリ(1)に取り付けられており、
特に前記センサ装置(61)は、前記アセンブリ(1)の減衰部(4)に取り付けられており、
前記センサ装置(61)は、計量セル、負荷変換器および/または膨張測定部などの少なくとも1つのセンサを備え、
前記エネルギー吸収体(2)は、少なくとも1つの吸収体バルブ(13)を備え、
その減衰は、印加された磁場の強さによって制御され、
前記積載ユニット(100)は、前記積載ユニット(100)に作用する負荷が所定の量(67)以上になるとせん断するせん断装置(42)を備え、
前記積載ユニット(100)は、車両やボートなどの輸送手段における座席装置(21)として構成され、
前記座席装置(21)は、座席として構成された受け止め装置(101)と、座席フレームとして構成された支持装置(102)とを備え、
前記エネルギー吸収体(2)は、前記座席と前記座席フレームとの間に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載ユニットで輸送される対象物の負荷を軽減するために、エネルギー吸収体を用いて、過負荷事象の間、エネルギーを吸収する方法に関するものである。エネルギー吸収体は、少なくとも、エネルギー吸収体がなければ対象物が損傷する可能性または圧倒的な可能性があるような高度なエネルギーを誘発する単一の過負荷事象の間に、過負荷事象の間に対象物に生じる負荷を低減し、永久的な損傷を防止するような量のエネルギーを吸収するのに適している。このような単一の過負荷事象は、例えば、地雷が爆発したときに発生する。
【背景技術】
【0002】
装甲車の下での爆発などの過負荷事象中に、輸送される対象物、特に人や敏感な装置を保護するために、負荷を軽減するためのエネルギーを吸収する他の方法が知られている。一般的には、過負荷事象時にエネルギーを吸収して乗客を保護するために、変形したり開いたりすることでエネルギーを吸収する機械システムが使用される。また、油圧システムを使用することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/136105号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、その欠点は、過負荷時の衝撃の強さや進行度が不明な場合、減衰やエネルギー吸収の制御ができないことである。
【0005】
WO 2015/136105 A1は、過負荷事象において損傷からの保護として作用する、負荷のエネルギー吸収のための方法およびアセンブリを開示しており、エネルギー吸収体は、過負荷事象を検出した後、事象発生から所定の時間間隔の間、可能な限り高い減衰を設定するように、直ちに最大の減衰値に設定される。所定の時間間隔の間、複数の連続した測定値が検出され、所定の時間間隔の後、所定の時間間隔の間の測定値に依存して減衰が制御される。つまり、過負荷事象中は、複数の測定値が取得され、そこから予測が導かれ、それがさらなる制御に使用される。この方法における品質は、測定値の品質と制御装置の品質に直接依存する。高い品質を得るためには、高価なセンサと、それに応じて高価な制御装置が必要である。
【0006】
従って、本発明の目的は、過負荷事象中に、減衰のための方法およびアセンブリを提供することであり、その方法及びアセンブリは、過負荷事象の間に良好な減衰制御を可能とし、その方法及びアセンブリは、負荷を低減することで実現される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する方法と、請求項18の特徴を有するアセンブリによって解決される。本発明の好ましい具体的な実施形態は、従属項に示されている。さらなる利点および特徴は、一般的な説明および例示的な実施形態の説明から得ることができる。
【0008】
本発明による方法は、過負荷事象中にエネルギーを吸収するために使用され、特にエネルギー吸収体を用いて実施される。エネルギーを吸収することによって、積載ユニット上で輸送される対象物の負荷は、少なくとも過負荷事象中は低減される。エネルギー吸収体は、特に、エネルギー吸収体がないと対象物が損傷する可能性がある、可能性が高い、圧倒的に可能性が高い、またはほぼ確実である、または確実であるような、高いエネルギーが生じるような1つの過負荷事象の間にエネルギーを吸収するのに適しており、エネルギー吸収体によるエネルギーの吸収は、過負荷事象の結果として生じる(それぞれの積載ユニット)上の対象物の負荷を低減し、特に対象物が損傷するのを防止することができる。センサ装置は、積載ユニットの現在の状態に関する測定値を定期的に取得する。制御装置は、検出された測定値から過負荷事象を検出する。輸送中の、または輸送予定の対象物の重量の測定値が決定される。重量の測定値は、輸送予定の対象物の負荷の閾値を決定するのに役立つ。過負荷事象が検出されると、エネルギー吸収体の減衰が制御され、輸送予定の対象物の負荷が閾値以下になるように制御される。この目的のために、過負荷事象の検出時に、エネルギー吸収体の減衰は、好ましくは、定期的に捕捉された測定値を介して定期的に調整され、エネルギー吸収体の減衰は、特に定期的に捕捉された測定値を介して修正される。
【0009】
本発明による方法には多くの利点がある。大きな利点の1つは、過負荷事象の検出時に、現在の測定値に応じて減衰が直接設定されるという事実である。特に、輸送予定の対象物の重量に応じてダンピングが設定されることが利点である。
【0010】
好ましくは、エネルギー吸収体の減衰は周期的に設定されるだけでなく、エネルギー吸収体の減衰は調整される。そして、制御装置は、調整装置とされ、または少なくとも調整装置で構成される。また、特性パラメータが周期的な間隔で決定され、決定されたパラメータに応じて減衰が周期的に調整されるシステムも、調整手段と理解され得る。また、アクティブな調整を行うことも可能である。
【0011】
本出願によれば、対象物の損傷とは、対象物が少なくとも一時的に不利益な、または望ましくないと考えられる方法で変更する、または変更された状態を意味すると考えられる。これは一時的な損害であり得る。また、恒久的または回復不可能な損傷も考えられる。
【0012】
対象物が人の場合、損傷とは無力化または健康への障害を意味すると考えられる。人の場合、永久的な損傷とは、健康上の少なくとも長期的な障害を意味すると考えられる。物品または装置の損傷は、一時的なものであるが、しかし、特に、長続きするものであり、また、砕けた部品のような永久的な欠陥であり得る。
【0013】
この方法により、輸送された対象物としての輸送された人が怪我をするリスクを大幅に軽減することができる。減衰を設定するには、輸送予定の人の体重を考慮する必要があるため、輸送予定の人とその体重それぞれに合わせて減衰が設定される。これにより、小柄な人が非常に高い負荷を受けることを確実に防ぐことができる。小柄で軽量な人の背骨は、例えば断面積が小さく、その強度のために、一般的に背骨の断面積が大きく、したがって強度も高い、大柄で重量のある人の背骨と同じように高い負荷に耐え得ることができない。
【0014】
本発明の方法およびアセンブリは、典型的には装甲車や例えばスピードボートなどに採用されており、これらは体力を有する傾向のある兵士や警察官によって乗務されている。したがって、重量に基づいて、輸送される人の身長についてある程度の結論を出すことができる。閾値の個々の適応は可能であり、好ましいものである。
【0015】
本発明による方法は、過負荷事象の場合の減衰の設定と制御の信頼性を達成することができ、その場合、複雑な予測装置を備えた複雑な制御装置を必要としない。これにより、本発明による方法または本発明によるアセンブリを使用するための負担、および発生するコストを削減することができる。
【0016】
本発明による方法は、特に激しい過負荷事象の場合に、実現可能な移動経路を最適に利用することができる。なぜなら、適切な減衰は、輸送予定の各人または輸送予定の各対象物に対して個別に設定できるからである。これにより、一人一人に対する最適な保護を実現することができる。輸送予定の人に対する個別の閾値を超えないように努める一方で、特に、減衰は非常に高い値に設定することができまる。
【0017】
センサ装置を輸送予定の人の座席に取り付けた場合、輸送された人の重量の力がセンサ装置に作用する。地雷爆発の場合は、輸送された人の背骨が圧縮される前に、ユーザが座っているクッションや座布団が先に圧縮される。そのため、座席アセンブリ内のセンサ装置への負荷が遅れる。これは、定期的に取得される測定値を用いて減衰を定期的に設定する際に、クッションと輸送された人の物理的特性を暗黙のうちに考慮していることを意味する。また、測定値から予測を行うことなく、常に最適な減衰を得ることができます。
【0018】
好ましい具体的な実施形態では、制御装置は、測定値から定期的に荷重の特性パラメータを求め、アッセンブリの積載ユニット上のそれぞれの負荷を求める。この目的のために、例えば、測定値は、適切な係数によって標準単位に変換されてもよく、また、さらなる処理に適した無次元の特性値が決定されてもよい。
【0019】
好ましくは、負荷装置は、せん断装置と共に設けられ、または少なくとも1つのせん断装置を備える。せん断装置は、負荷装置に作用する負荷が過負荷事象閾値を超えるとせん断する。制御装置は、せん断装置のせん断が検出されると、過負荷事象を検出する。せん断装置の利点は、過負荷事象が発生するまで、エネルギー吸収体によって提供される垂直方向の揚力が完全に保存されることである。これにより、過負荷事象の間、垂直方向の揚力全体が利用可能となり、大きな負荷であっても減衰させ、そのエネルギーを吸収することができる。前記実施形態は、せん断された、シャーピン等のせん断装置がその方法の開始点として使われるため、非常に簡単に実行することができる。一例として、センサ装置は、せん断センサがせん断されているせん断装置を検出した場合にのみ、測定値を定期的に記録する。これは、例えば、シャーピンが連続した導電性の接続を提供するシャーピの手段により実行される。すなわち、その接続が中断されると、測定値を定期的に記録するための開始信号が開始される。代わりに、容量性または誘導性のセンサが考えられる。シャーピンのようなせん断装置は、輸送予定の、最も軽量な人に合わせるのが好ましい。しかし、これは、過負荷事象が発生する前に、体重の重い人により、シャーピンが破壊される可能性を含む。このため、センサーデータの連続的または定期的な監視が有利である。制御ユニットは、特性パラメータが過負荷事象閾値を超えたときに、過負荷事象を検出することが好ましい。単純な構成では、測定値が対応する閾値を超えると過負荷事象が検出される。このような構成は、せん断装置を使用する場合と使用しない場合の両方で機能する。制御装置が、センサ装置からの測定値を常に記録すること、及び、得られた特性パラメータの値から(または測定値から直接)過負荷事象を検出することが可能である。座席アセンブリの測定値または検出された加速度がある値を超えた場合、または加えられた力があるレベルを超えた場合、過負荷事象が検出される。
【0020】
過負荷事象閾値は、(定義されたまたは個別に指定された)閾値に応じて指定することが特に好ましい。過負荷事象閾値は、例えば、閾値の50%または60%または75%に設定され得る。このような個別の過負荷事象閾値は、例えば、複数の人を輸送する人員輸送車において、各人に依存して過負荷事象閾値が設定され、それに応じて超過し、個別に検出されるという利点がある。したがって、各人の負荷要因が最適に考慮される。楽器やその他の装置を輸送する際には、当該楽器や関連する装置の繊細さに関連して、特定の個々の過負荷事象閾値を設定することができる。これは、特に、例えば、弾薬、爆発物、またはそれらの部品などの輸送対象物に適用される。
【0021】
好ましい具体的な実施形態では、輸送予定の対象物の重量の測定は、静止状態の積載ユニット上の負荷(静止状態の負荷値)から決定される。そのような決定は、特に、車両または輸送手段が動かない間に行われる。例えば、車両を始動させる前や、走行させる前などである。
【0022】
好ましい具体的な実施形態では、輸送予定の対象物の重量の測定は、積載ユニット上の荷重(平均荷重値)を時間平均することから決定される。例えば、輸送手段を始動させる前に、特定の時間帯に負荷が計測され、そこから時間平均が得られてもよい。または、起動中または起動後、あるいは動作中に、積荷ユニット上の負荷の時間平均を決定することも可能である。負荷の時間平均は、例えば、1秒、5秒、10秒、またはより短い、またはより長い期間について、個々の過負荷事象閾値を決定するために求められ、採用されてもよい。
【0023】
積載ユニット上の負荷は、特に起動時に直ちに決定される。起動とは、特に、輸送手段の起動、またはアセンブリの起動を意味すると理解される。
【0024】
すべての構成において、輸送予定の対象物のタイプを決定することが好ましい。輸送予定の対象物が人の場合、特に性別が決定されてもよい。代わりに、年齢や年齢層、またはその他の特徴が決定されてもよい。好ましくは、輸送予定の対象物の識別ユニットが取得されてもよい。好ましくは、有線または無線を介して、輸送予定の対象物の識別ユニットのメモリが読み出される。例えば、識別ユニットのメモリからのデータは、RFID(radio-frequency identification)、Bluetooth、WLAN、またはその他の有線または無線のプロセスを介して読み取られてもよい。メモリには、輸送予定の対象物や人の性別、大きさ、重さ、特に個別の閾値などの詳細が含まれていてもよい。
【0025】
すべての構成において、閾値を決定するための個別の要素、または直接的に閾値が組み込まれていることが好ましい。これにより、適切な制御が可能となる。閾値は、例えば、80%や120%などのように、ユーザが入力することで、個別に係数を増減させることができる。閾値を直接入力することも同様に考えられる。
【0026】
すべての構成において、快適な減衰を可能にすることが好ましい。特に、快適な減衰のために、特に、エネルギー吸収体の垂直方向の揚力の比率を予め設定するか、または選択可能に設定することが好ましい。例えば、160mmまたは180mmmの垂直方向の総揚力に対して、30mm、40mm、50mm、60mmまたは70mmの比率を快適機能のために提供することができる。例えば、垂直方向の総揚力の少なくとも10%の比率を快適機能のために提供することができる。好ましくは、少なくとも15%または20%の比率が快適機能のために提供される。特に好ましいのは、垂直方向の総揚力の10%から50%の間、好ましくは20%から35%の間の比率である。
【0027】
このため、例えば装甲車に乗って、開けた場所を走っているときに、より弱い(そしてより重い)打撃や衝撃を和らげることができ、同時に十分な垂直方向の揚力が提供されるので、地雷爆発のような不測の過負荷事象が発生しても、利用可能な垂直方向の揚力は輸送された人を確実に保護するのに十分なものとなる。特に、快適機能のためのエネルギー吸収体の垂直方向の揚力の比率は調整可能です。
【0028】
実際の垂直方向の揚力が快適範囲の限界に近づくにつれて、快適範囲の減衰を増加させることも可能であり、かつ好ましい。
【0029】
せん断装置を採用する場合、シャーピンのようなせん断ユニットが快適リフトの限界の前にせん断されないことが可能であり、好ましい。これらの場合、せん断又は切断は、過負荷事象を検出するためのトリガーとして使用することができる。
【0030】
好ましい構成では、過負荷事象閾値および/または輸送予定の対象物の最大負荷が可変である。過負荷事象閾値および/または最大荷重は、比例的に、パーセント単位で、またはステップ単位で増加または減少するように提供されてもよい。これにより、より優れた個別適応を実現することができる。
【0031】
好ましくは、予め設定された最大負荷が識別ユニットに格納される。
【0032】
特に好ましくは、最大負荷は、輸送予定の人の性別や年齢に依存する。また、最大負荷は、輸送予定の対象物の適合状態または他の特定された、または、調整可能なパラメータに依存することも可能である。
【0033】
好ましい具体的な実施形態では、エネルギー吸収体は、印加された磁場の強さによって減衰が制御される吸収体バルブを備えている。特に、エネルギー吸収体には、印加された磁場の強さによって影響を受ける磁気粘性流体が使用されている。
【0034】
すべての構成において、複数のエネルギー吸収体を設けることが可能であり、好ましい。したがって、「エネルギー吸収体」という用語は、少なくとも1つのエネルギー吸収体を意味すると理解される。エネルギー吸収体は、2つ以上のエネルギー吸収体ユニットから構成されていてもよい。エネルギー吸収体ユニットの各々は、同一の構造であることが好ましい。少なくとも1つのエネルギー吸収体ユニットは、上述したエネルギー吸収体と同様に構成されてもよい。2つ以上のエネルギー吸収体ユニットは、互いに隣接して配置されてもよいし、互いに離れて配置されてもよい。例えば、積載ユニットの横方向の端部上またはその近傍に、1つのエネルギー吸収体ユニットまたは1つのエネルギー吸収体がそれぞれ配置されてもよい。2又はそれ以上、好ましくは、すべてのエネルギー吸収体(ユニット)が協働で制御されてもよい。作動は、特に(少なくとも実質的に)同時に、または、特に、少なくとも時間的に重複して起こる。
【0035】
輸送対象物を輸送するための積載ユニットを備えた本発明によるアセンブリは、積載ユニットで輸送される対象物に作用する負荷を低減するために、少なくとも過負荷事象の間に、エネルギーを吸収するためのエネルギー吸収体または少なくとも1つのエネルギー吸収体を備える。エネルギー吸収体は、エネルギー吸収体がないと対象物が損傷する可能性があるほど高いエネルギーが生じるような単一の過負荷事象の間に、エネルギー吸収体のエネルギー吸収により、過負荷事象に起因した対象物の負荷(負荷値)を軽減する。制御装置と、積載ユニットの現在の状態を検出する少なくとも1つのセンサ装置と、少なくとも1つのエネルギー吸収体と、が備えられており、測定値に基づいて、制御装置により、エネルギー吸収体は制御される。制御装置は、検出された測定値に基づいて、過負荷事象を検出するように設定および構成される。制御装置は、輸送予定の対象物の重量の測定値を決定し、重量の測定値から、輸送予定の対象物にかかる負荷の閾値を決定するように設定および構成される。制御装置は、過負荷事象の検出時に、輸送予定の対象物の負荷(特に負荷値)が閾値以下になるように、エネルギー吸収体の減衰を制御するように設定および構成される。特に、制御装置は、少なくとも過負荷事象の検出時に、定期的に検出された測定値を用いて、エネルギー吸収体の減衰の適用を定期的に調整するように設定および構成される。
【0036】
本発明によるアセンブリには多くの利点もある。本発明によるアセンブリは、過負荷事象の場合に、減衰を制御することを容易かつ確実にすることができ、そこでは、特に輸送された人や、輸送予定の物品などの輸送された対象物は、確実かつ最適に保護される。
【0037】
本発明によるアセンブリは、好ましくは、アセンブリに取り付けられたセンサ装置を備える。センサ装置は、ワイヤ接続、ワイヤレス、またはワイヤ接続とワイヤレスの組み合わせで、接続されてもよい。冗長な結合も考えられる。
【0038】
センサ装置は、アセンブリの減衰する部分に取り付けられるのが好ましい。例えば、センサ装置は、例えば地雷爆風保護シートのシートアセンブリに固定されることが好ましい。センサ装置は、特に、そこに座っている人の体重や力を、直接または間接的に測定する。
【0039】
好ましくは、センサ装置は、力を検出するための、計量セルおよび/または少なくとも1つの膨張測定部および/または不可変換器および/または他のセンサタイプおよびセンサなど、力を検出する少なくとも1つのセンサを構成する。これらのタイプのセンサは、単純または複雑な変換、統合、および/または微分によって、輸送予定の人または輸送予定の物品にかかる重量の力または負荷の値を決定したり、測定値から求めたりすることを可能にする。
【0040】
好ましい特定の実施形態では、エネルギー吸収体は、少なくとも1つの吸収体バルブを備え、その減衰は、印加される磁場の強さによって制御される。
【0041】
好ましい具体的な実施形態において、負荷ユニットは、負荷ユニットに作用する負荷が規定値を超えたときにせん断可能なせん断装置を備えている。
【0042】
すべての構成において、アセンブリが、車両や例えばボートなどの輸送手段上の座席アセンブリとして構成された積載ユニットを含むことが好ましい。座席アセンブリは、座席として形成された受け止め装置と、座席フレームとして形成された輸送装置とから構成されている。エネルギー吸収体は、座席と座席フレームの間に(少なくとも機能的に)配置されている。
【0043】
他のまたは異なる方法は、積載ユニット上の輸送される対象物の負荷を軽減するために、過負荷事象の間に、エネルギー吸収体を用いてエネルギーを吸収するために提供される。エネルギー吸収体は、少なくともエネルギー吸収体がないと対象物が損傷する可能性が圧倒的に高いほどの高いエネルギーが生じる単一の過負荷事象の間に、エネルギーを吸収するのに適している。過負荷事象の間、エネルギー吸収体によるエネルギー吸収は、対象物に結果として生じる負荷(結果として生じる負荷値)を減少させる。特にセンサ装置は、積載ユニットの現在の状態に関する測定値を定期的に決定する。制御装置は、検出された測定値から過負荷事象を検出する。輸送予定の対象物の負荷(負荷値)の測定値が(定期的に)決定される。過負荷事象が検出されると、輸送予定の対象物の負荷(荷重値)が閾値以下に保たれるように、エネルギー吸収体の減衰が制御される。出願人は,この方法について別途保護を主張する権利を有する。
【0044】
他のまたは異なるアセンブリは、対象物を輸送するための積載ユニットと、積載ユニットで輸送予定の対象物の負荷を低減するために、少なくとも過負荷事象の間にエネルギーを吸収するためのエネルギー吸収体とを含む。エネルギー吸収体は、エネルギー吸収体がないと、積載ユニット上で輸送される対象物の損傷が起こり得る、または圧倒的に起こり得るほど高いエネルギーを含む単一の過負荷事象において、エネルギーを吸収するのに適しており、またそのように設定され、エネルギー吸収体によるエネルギー吸収によって、過負荷事象において対象物に作用する結果的な負荷(結果的な負荷値)を低減する。制御装置および少なくとも1つのセンサ装置が、積載ユニットおよび少なくともエネルギー吸収体の現在の状態に関する測定値を検出するために設けられており、エネルギー吸収体は、測定値を用いて制御装置によって制御され得る。制御装置は、検出された測定値から過負荷事象を検出するように設定および構成される。制御装置は、輸送予定の対象物の負荷の測定値を決定するように設定および構成される。制御装置は、過負荷事象の検出時に、輸送予定の対象物の負荷(負荷値)が閾値を超えないように、エネルギー吸収体の減衰を制御するように設定及び構成される。また、出願人は、このアセンブリに対する別の保護を主張する権利を有する。
【0045】
ここで述べたこの方法と、ここで述べたこの装置は、多くの利点を提供する。この方法は実行することが簡単で、かなりの保護を提供する。この方法およびこの装置の特定の実施形態では、上述した構成の個々の、いくつかの、またはすべての特徴が、追加的に実現され得る。
【0046】
本発明のさらなる利点および特徴は、添付の図を参照して後述する例示的な実施形態の説明から理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明によるアセンブリの概略的な透視図である。
図2図1に記載のアセンブリの正面図である。
図3】減衰状態にある図1のアセンブリの側断面図である。
図4】爆発から乗客を保護するための本発明のアセンブリを備えた車両の単純な断面図である。
図5】爆発から乗客を保護するための本発明によるアセンブリを備えた車両の単純化された縦断面図である。
図6】地雷爆発時に作用する荷重の時間曲線であり、減衰のない場合の曲線、快適機能がない場合の曲線、および快適機能がある場合の曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、本発明によるアセンブリ1の概略的な透視図である。このアセンブリは、吸収体シリンダ5を備え、その一端には付属装置3が設けられ、その他端には保持装置4が設けられている。保持装置4及び付属装置3はそれぞれ、横方向に突出した2つのアームを有しており、過負荷事象65の後に、アセンブリ1を、図1に示されている静止状態40に移行させるために、その両方に予圧付与装置またはリセット装置23の予圧付与バネ43が配置されている。他の構成では、アセンブリ1は、横方向に突出した1つのアームのみを示すか、または全く示さなくてもよい。
【0049】
アセンブリ1は、エネルギーを吸収し、付属装置3と保持装置4との間の相対的な動きを減衰させるために設けられている。このような目的のために、保持装置4はエネルギー吸収体2のピストン装置6と接続され、一方、付属装置3は吸収体シリンダ5としっかりと接続されている。上端には、外部から閉鎖され、内部に隠された吸収体チャンバ9の第2のチャンバを画定するエンドキャップ39が見られる。アセンブリ1は、特に、受け止め装置101と輸送装置102との間の積載装置100に挿入される(図3または4参照)。
【0050】
図2は、アセンブリ1の正面図である。対称軸30が吸収体シリンダ5を中心に延びており、図3のセクションは当該対称軸を通っている。図2は、座席アセンブリ21と、人105が座ることができる着座面21aとを模式的に示している。物品104、動物または他の対象物103が輸送されてもよく、輸送中に、例えば地雷の爆発から保護されてもよい。
【0051】
また、座席アセンブリ21を快速艇に取り付けて、波による衝撃を和らげることも可能である。快速艇の場合、非常に強い波が例えば1分に1回発生することがあり、そのような波は、他の波よりもかなり高い負荷を生じさせる。その場合、過負荷事象を減衰させるためにエネルギー吸収体を設けることが非常に有効である。この場合の過負荷事象は、対応する高い波である。
【0052】
図3は、静止状態40における図2に示す断面を模式的に示したものである。座席アセンブリ21は、積載装置100としても、模式的に示されている。積載装置100は、受け止め装置101または着座面21aを有し、そこには、例えば、人員輸送車や、快速艇などに乗った兵士といった、人105などの対象物103を載せることができる。
【0053】
吸収体シリンダ5の内部には、ピストン装置6のピストンロッド8と連結された吸収体ピストン7の部分が認められる。吸収体ピストン7は、吸収体シリンダ5の内部に位置する吸収体チャンバ9を、第1チャンバ10と第2チャンバ11とに分割する。第2チャンバ11は、エンドキャップ39によって外部から区画され、この場合、気密性が確保される。第1チャンバ10は、ガイドブッシュ45によりその端部が支持され、シール46で密封されている。
【0054】
静止状態では、第1チャンバ10は、少なくとも部分的に、特に完全に、(少なくとも1つの)吸収体液12で満たされている。過負荷事象65が発生すると、ピストンロッド8が吸収体シリンダ5に引っ込められるので、第1チャンバ10内の吸収体液12は、吸収体ピストン7内の吸収体流路14を有する吸収体バルブ13を通過して、第2チャンバ11内に入る。静止状態では、第2チャンバ11はすでに吸収体液12である程度まで満たされ得る。または、静止状態では、第2チャンバ11には吸収体液12がほとんど充填されていないか、全く充填されておらず、空気または他の圧縮可能な気体または媒体のみが充填されている場合もある。また、第2チャンバ11が非圧縮性の媒体で満たされていることも考えられ、この媒体は、過負荷事象65において、不可視の過負荷弁を介して不可逆的に外部に排出される。
【0055】
ピストンロッド8は、吸収体シリンダの直径に比べて(非常に)大きな直径を有していることが明確にわかり、そのため、第1チャンバ10のための比較的小さな環状の隙間だけがピストンロッドの周りに残っている。したがって、吸収体ピストン7が伸長したときには、比較的小さな体積の吸収体液12のみが第1チャンバ10から変位する。そのため、爆発による過負荷事象65の間においても、吸収体流路14内の吸収体液12の流速は低いままであり、そのため、吸収体ピストン7の長さは、電界発生装置16としての電気コイル16の磁界を利用して、吸収体液の流れに所望の影響を与えるのに十分な長さとなっている。
【0056】
使用される吸収体液12は、特に磁気粘性流体であり、電気コイル16の磁界の影響を受けることがある。コイルは、対称軸30に対して横向きのコイルを示している。また、コイル16によって変調される基本的な磁場を発生させる永久磁石16aを設けてもよい。そうすると、永久磁石16aは、最小の減衰を常に設定し、減衰は、能動的に制御されるコイル16の磁界によって増減され得る。
【0057】
流動する流体それぞれの吸収体液12が第1チャンバ10から第2チャンバ11に通過するとき、吸収体液12は、外側から内側に向かって放射状に斜めに延びる放射状流路開口部44によって、内側に向かって流される。つまり、流路または吸収体流路14は、第1チャンバ10よりも半径方向内側に配置されていることになる。これにより、必要な磁場を発生させるために、またハッチングで示す吸収体流路14のために、吸収体ピストン7の内部を有効に利用することができる。
【0058】
ピストンロッド8は、ここでは、安定性を確保するために必要とされるよりもかなり大きな厚さで示されている。したがって、ピストンロッド8に中空空間22を設けてもよく、ここでは不可視孔として示している。不可視孔22は、ピストンと反対側の端部26からピストンロッド8の中に延びている。中空空間22は、吸収体ピストン7の直前まで延びることができるので、中空空間22の長さは、吸収体ピストン7までのピストンロッド8の長さの4分の3以上に渡って延びる。なお、中空空間22は適宜利用され得る。この中空空間22の内部には、制御装置48と蓄電装置47とが配置されている。制御装置48は、電気コイル16を制御するために、電気コイル16に接続されている。さらに、制御装置48は、座席アセンブリ21として構成された積載装置100にかかる荷重を吸収して処理するために、センサ装置61に接続されている。
【0059】
蓄電装置47は、輸送手段に搭載されている電力が失われた場合でも、または少なくとも電力が失われた後の設定された時間の間、アセンブリ1がエネルギー吸収体2を制御するために十分な量のエネルギーを提供することを保証する。蓄電装置は、コンデンサまたは充電式バッテリーとすることができる。また、中空部を設けず、そして/または、蓄電装置を設けないことも可能である。
【0060】
吸収体ピストン7は、第1チャンバ10と第2チャンバ11を分離するだけでなく、制御装置48によって制御可能な流量弁13を形成している。
【0061】
センサ装置61は、着座面21aの中又は上に収容されてもよい。センサ装置61の上方には、クッション21bが配置されていてもよい。着座面21a上のセンサ装置61は、有利に、輸送される人105または輸送された物品104それぞれの荷重の荷重値を得る。対象物103の荷重それぞれの荷重値は、便利にも直接測定される。クッション21bの緩衝の影響は考慮されており、別途決定する必要はない。
【0062】
これは、センサ装置61が座席アセンブリ21の張出部59と輸送手段の張出部58との間に配置されている場合にも、低減されるが依然として有利な程度で適用される。この場合にも、輸送された人105の負荷の有用な測定値が得られる。
【0063】
センサ装置61は、また、輸送された対象物103または輸送された人105の重量を決定し、特にその測定値を得るためにも採用される。人105が座席アセンブリ21に座ると、センサ装置61には静荷重がかかる。この測定値により、人105の重量の測定値を導き出すことができる。これにより、輸送された人105や輸送された対象物103の荷重に対して、個別に閾値を設定することが可能となる。
【0064】
単純なケースでは、輸送予定の人の体重に比例して、積載装置100の最大荷重または閾値値を設定することができる。一般的には、同じような身体的状態では、体重の重い人の方が、より安定した骨を持つと言われている。軍隊の訓練を受けた人には、同じような、あるいは同等の身体的状態が想定される。そのため、体重の重い人は、骨の構造が安定しており、より重い負荷にもダメージを受けずに耐えることができると考えられる。吸収体の揚力を適切に保つためには、地雷爆発のような過負荷事象65が発生した場合、体重の重い人を体重の軽い人よりも高い負荷にさらすことが有利であると考えられる。これは、輸送された人の体重を個別に測定することで可能になる。これには別のセンサは必要ない。センサ装置61が使用でき、それは、特に、計量セルや膨張測定部等で構成される。また、輸送された人105の重量の測定値を決定するために、多種のセンサ装置61またはセンサ装置61が有する多種のセンサを使用してもよい。
【0065】
例えば75kgの体重の典型的な人に対し、荷重の特定の閾値を事前に設定することができる。また、体重のより重い人又はより軽い人の偏差の割合を設定することもできる。
【0066】
輸送予定の人又は輸送予定の物品の重量の測定値を得ることは、好ましくは、当該人105が座席アセンブリ21の着座面に座ったときに行われるのが好ましい。アセンブリ1を起動または開始する際に重量の測定値を取得することも可能である。あるいは、アセンブリ1の起動時または起動後にそれぞれ時間平均を求め、それに基づいて計算を行うことも可能である。時間平均は、特に輸送手段が移動する前の静的な平均の場合には、精度を高める。しかし、移動中の輸送手段でも、輸送予定の人の体重に対する時間平均を導き出すこともでき、十分に正確な結果を得ることができる。
【0067】
図3は、さらに、輸送予定の人103または代替物品104に設けられた識別ユニット109を破線で示したものである。識別ユニット109は好ましくはメモリ110を含み、人103のタイプ111とその人の個別の閾値の特徴に関する詳細を含む。メモリ110は、例えば、個々の閾値を10%増加させた仕様を含むことができる。そして、輸送された人105の重量に係る閾値を決定することが可能であり、かつ好ましいことであり、それは、個人の10%の適応が考慮された上で、増加される。したがって、閾値を下げることも可能である。代わりに、輸送予定の人105の重量とは無関係に設定される固定の閾値をメモリ110に記録することも可能である。
【0068】
代わりに、識別ユニット109のメモリ110が、性別、年齢、または身体的状態など、タイプ111に関するさらなるデータを含むことも可能である。このようなデータも、個々の閾値を決定するために取り込まれ、考慮されてもよい。
【0069】
識別ユニット109のメモリ110の内容のアセンブリ1への送信は、有線および/または無線であってもよい。送信には様々な方法が用いられてもよい。送信には、例えば、RFIDが用いられてもよい。輸送予定の人がアセンブリ1の専用のスイッチに触れたり、作動させたりすることで送信するようにすることも可能である。
【0070】
図4および図5は、爆発時に乗客を保護するために、本発明に係るアセンブリ1を備えた人員輸送車などの輸送手段50の概略的な、横断面および長手方向の断面を示す。輸送手段50は、アセンブリ1として、それに取り付けられた地雷爆発保護シート60を備えた本体51を有する。輸送手段50は、部分的または完全にチェーンを備えていてもよいが、現在はタイヤ52を備えた車輪を用いて駆動することができる。爆発などの過負荷事象65では、車両50は空中に跳ね上げられ、そこに座っている人を永久的な損傷から保護するために、座席アセンブリ21として識別されるアセンブリ1の積載装置100の動きが減衰する。
【0071】
図5は、車両本体51と複数の車輪52、またはチェーンドライブも備えた、人員輸送車などの輸送手段50の概略縦断面を示している。車輪52の代わりに、または車輪52に加えて、任意のチェーン駆動が、チェーン52aによって、破線で模式的に示されている。内部には、複数の人105-107を輸送できる複数の座席アセンブリ21が配置されている。
【0072】
人員輸送車50の後方部分には、爆発する地雷90が単純化して示されている。これにより、人員輸送車50の後方部分が持ち上げられる。枢軸53は、例えば、最前部の車輪52に設けられている。前方の枢軸53からの距離55、56、57によって、加速度が異なり、その結果、人105、106、107に作用する力も異なる。枢軸53からの距離55がかなり短いため、人105にかかる負荷(荷重値)は、枢軸53から数倍の距離57の人107にかかる負荷よりもかなり小さい。距離57に比べて、距離56が短いため、距離56での人106の負荷は、距離57に比べて小さくなっている。
【0073】
この場合、輸送された人106は、他の人105、107よりも小さく、軽い。これにより、人106に作用する力は軽減される。しかし、同時に、小柄な人106は、負荷に対する安定性が低い傾向にあることを考慮しなければならず、そのため人106にかかる最大の負荷は、より大きく重い人107のそれよりも一般的に小さくなる。同時に、同一の動作加速度が与えられた場合、荷重は重量の減少とともに減少する。
【0074】
人105-107の体重をそれぞれ計測することで、各座席アセンブリ21に対応したアセンブリ1の減衰力を個別に一致させることができる。
【0075】
これにより、各人105-107に対して、許容される個々の負荷の閾値68を超えないことが確実に提供される。また、過負荷事象65においても、常に、負荷又は負荷値が負荷限界値68を超えることがないように、制御装置48を介してエネルギー吸収体2の減衰力が設定される。
【0076】
発生する荷重の測定値は、定期的な間隔で取得され、エネルギー吸収体2の電流強度は、許容される最大の負荷68を超えないように、個々の負荷の閾値68を考慮して、取得された測定値に応じて設定される。各測定の後、直ちに電流強度を調整して、対応する減衰を適応させることが好ましい。また、正確な測定信号を得るために、まず複数の測定値を取得し、その後、電流強度を定期的に調整することも可能である。例えば、0.1ミリ秒または0.5ミリ秒に1回の割合で測定を行い、1ミリ秒、2ミリ秒、5ミリ秒、または10ミリ秒に1回の割合で電流強度を設定してもよい。
【0077】
図6は、図5の地雷90の爆発のような過負荷事象65が発生したときの、負荷の時間曲線の3つの考え得る進行を、時間進行に沿って示している。
【0078】
一番上のグラフは、過負荷事象65を含む負荷の時間曲線を示している。減衰がない場合はこのような経過を辿る。アセンブリそれぞれの始めには、測定値62は、時間31から時間間隔37でセンサ装置61によって記録され、輸送された人105の重量の測定値を決定するための平均化に使用されてもよい。測定値から得られた平均値38は、輸送予定の人105の負荷の閾値68を設定するために用いられる。
【0079】
中央のグラフは、過負荷の減衰を伴う時間曲線を示している。測定値62が過負荷事象閾値67を超えると、制御装置48は、過負荷事象を検出する。適切な応答を実行することができる。あるいは、シャーピン42がせん断されると、過負荷事象が検出される。いずれにしても、過負荷事象が検出された時点で(遅くとも)、たとえアセンブリ1に快適機能が全く組み込まれていなくても、エネルギー吸収体2が作動する。これは、過負荷事象閾値67以下の衝撃が、減衰されずに座席アセンブリ21に伝達されることを意味する。これは、中央のグラフでは、衝撃64又は66に適用され、これらは減衰することなく伝達される。
【0080】
図6の中央のグラフは、体重の異なる人に対応した2つの異なる負荷変化73および83を示しており、負荷変化83に対応する人は負荷変化73に対応する人よりも個人の体重が大きいことを示している。それぞれの人の体重が異なることで、負荷閾値67と87も異なる。より軽量の人の場合は、過負荷事象閾値67と最大負荷68が設定されるが、より重い人の場合は、かなり高い過負荷事象閾値87とかなり高い負荷限界値88が設定される。
【0081】
図6の中央のグラフでは、個々の過負荷事象閾値67または87以下の衝撃は減衰せずに伝達され、一方、超過した過負荷事象閾値67または87よりも上の場合には、適切な電流変化70(実線)、80(破線)のそれぞれが設定され、実際のそれぞれの負荷の値が、対応する負荷限界値68、88以下に保持されるようになっている。表示されるような制御の変動が生じる可能性があるが、現在は説明のために、制御の変動を説明するために示している。調整速度制御と、分解能制御と、に応じて、完全に滑らかで連続した曲線を示すことができる。
【0082】
いずれにしても、輸送された人105(106...107)のそれぞれにより発生する負荷は、測定値62により示される実際の負荷によって、定期的に決定される。そして、負荷それぞれの測定値62のレベルに応じて、エネルギー吸収体2による適切な減衰が行われるように、適切な電流強度が設定される。最終的には、負荷変化73または83が生じ得る。異なるまたは同一の電流強度変化70、80が生じ得る。典型的には、異なる人に対して異なる電流強度70、80が生じる。
【0083】
図6の下側のグラフは、図6の中央のグラフの人105の負荷変化73を示しており、ここでは快適性のための減衰71が追加的に作動している。
【0084】
過負荷事象65は、今度は、過負荷事象閾値67を超えることで、時刻33においてのみ発生する。そして、エネルギー吸収体2による減衰は、過負荷モードで行われ、係る電流強度70は、実際の負荷変化73が負荷限界値68を超えないように設定される。
【0085】
図6の3番目の最下段のグラフでは、例えば、エネルギー吸収体2の垂直上昇量の善良の20%の割合が快適機能のために提供されてもよく、それによって、単一の衝撃64および66を効果的に減衰させることができる。過負荷限界値67以下の単一の衝撃64および66の強さが明らかに低減されるだけでなく、輸送予定の人にとってより好ましい振動周波数が生成されて、その人の身体に低減された負荷を課すことができる。これにより、元々時刻35において発生した衝撃66が、時刻36では明らかに低減された振幅76でしか知覚されなくなる。したがって、快適性のための減衰においては、過負荷事象閾値67以下の負荷変化の範囲は、0とは明らかに異なる電流変化をも示す。
【0086】
すべての構成において、快適性のための減衰71の規定範囲の端に近づくほど、快適性のための減衰をより強くに設定することが可能である。
【0087】
本発明のすべの構成は、エネルギー吸収体の垂直方向の揚力の限界(例えば、残りの揚力が<5%または<10%)に近づくほど、またはその手前で手短に、さらに強い減衰を設定してもよい。これは、個々の負荷限界値を少し(例えば<10%)超えたとしても、特に底をつくのを防ぐために、可能であると考えられる。底をつくことで、生成された負荷がより激しく増加する可能性があり、そのため、個々の負荷制限を適度に超えることで、ダメージの少ない効果が得られたり、恒久的にダメージのある効果が完全に防止されたりする可能性がある。このような増加は、個々に実現することができる。
【0088】
すべての構成において、動作中の負荷の変化と測定値を少なくとも部分的に保存することが好ましい。これにより、後から評価したり、評価したデータを元に制御を改善したりすることができる。
【0089】
また、例えば輸送予定の人の骨の構造をパラメータとして、データとしての識別ユニット109のメモリ110に格納し、個々の負荷限界値68を決定する際にそれを考慮することも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1アセンブリ
2 エネルギー吸収体
付属装置
4 保持装置
5 吸収体シリンダ
6 ピストン装置
7 吸収体ピストン
8 ピストンロッド
9 吸収体チャンバ
10 第1チャンバ
11 第2チャンバ
13 吸収体バルブ
14 吸収体流路
16 電気コイル
16a 永久磁石
21 座席アセンブリ
21a 着座面
21b クッション
22 中空空間
23 リセット装置
26 端部
30 対称軸
31-36 時間
37 時間間隔
38 平均値
39 エンドキャップ
40 静止状態
42 シャーピン
43 サスペンション装置
44 流路開口部
45 ガイドブッシュ
46 シール
47 蓄電装置
48 制御装置
50 輸送手段
51 本体
52 タイヤ
52a チェーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6