(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】スクリーン交換装置、これを含む生体組織微細化システム、これを使用する生体組織微細化方法及びこれに関する生体組織からターゲット物質を分離する方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/33 20060101AFI20221227BHJP
C12M 3/08 20060101ALI20221227BHJP
B01D 63/08 20060101ALI20221227BHJP
A01N 1/02 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20221227BHJP
C12M 1/26 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
C12M1/33
C12M3/08
B01D63/08
A01N1/02
C12M1/00 A
C12M1/26
(21)【出願番号】P 2021544086
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 KR2020004773
(87)【国際公開番号】W WO2020209609
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2019-0041337
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0131097
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521148647
【氏名又は名称】イ、 ジュンソク
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジュンソク
(72)【発明者】
【氏名】チョプチュ、 エライ
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-137557(JP,A)
【文献】国際公開第2019/050251(WO,A1)
【文献】特開2014-195726(JP,A)
【文献】特表平10-513094(JP,A)
【文献】特表2017-525382(JP,A)
【文献】特開2009-183149(JP,A)
【文献】特開2007-111653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/00
A01N 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートと、該プレートに設けた、生体組織を微細化する少なくとも1つの貫通孔を備え、互いに異なる貫通孔特性を有する複数のスクリーン
とを含
み、前記複数のスクリーンは互いに離隔して前記プレートに設けられているディスクと、
前記ディスクの第1側をカバーして生体組織が通過する第1開口を含
み、前記ディスクに対して相対的に回転する第1カバーと、
前記ディスクの第2側をカバーして前記生体組織が通過する第2開口を含
み、前記ディスクに対して相対的に回転する第2カバーと、
前記ディスクを収容するハウジングと、
前記複数のスクリーンのうち任意のスクリーンを選択し、選択されたスクリーンが前記第1開口及び前記第2開口と連通するように前記第1カバー又は前記第2カバーを
前記ディスクに対して相対的に回転させて操作するマニピュレーターと、
を含むスクリーン交換装置。
【請求項2】
前記マニピュレーターは、
前記第1カバーを前記ディスクに対して相対的に回転させるように構成された第1ハンドルと、
前記第2カバーを前記ディスクに対して相対的に回転させるように構成された第2ハンドルと、
を含む、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項3】
前記第1カバーが、前記ディスクに対する前記第1カバーの回転が固定されるロック位置と、前記ディスクに対する前記第1カバーの回転が許容される作動位置との間のいずれか1つの位置にあるよう、前記第1ハンドルは前記第1カバーに作動可能に結合され、
前記第2カバーが、前記ディスクに対する前記第2カバーの回転が固定されるロック位置と、前記ディスクに対する前記第2カバーの回転が許容される作動位置との間のいずれか1つの位置にあるよう、前記第2ハンドルは前記第2カバーに作動可能に結合される、請求項2に記載のスクリーン交換装置。
【請求項4】
前記第1ハンドル及び前記第2ハンドルは、
中心部と、
前記中心部から延長する放射方向延長部と、
前記放射方向延長部の延長方向に交差する方向に延長する円周方向延長部と、
をそれぞれ含む請求項2に記載のスクリーン交換装置。
【請求項5】
前記円周方向延長部は、前記ハウジングの内部表面に係合するように構成された係合要素を含む、請求項4に記載のスクリーン交換装置。
【請求項6】
前記貫通孔特性は、前記貫通孔の形状、前記貫通孔の大きさ、前記貫通孔の深度、スクリーンに形成された貫通孔の位置、前記貫通孔の一部セクションが前記スクリーンに対してなしている角度、及び前記貫通孔が複数である場合、複数の貫通孔の配列形態を含む群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項7】
前記複数のスクリーンは、前記貫通孔を規定する縁部からスクリーンに対して角をなして前記第1カバー又は前記第2カバーに向かって突出し、前記貫通孔を通過する生体組織を引き裂くように構成された突出部をそれぞれ含む、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項8】
前記第1カバーと前記ディスクとの間に設けられる第1スペーサと、
前記第2カバーと前記ディスクとの間に設けられる第2スペーサと、
をさらに含む、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項9】
前記第1カバーは生体組織が通過する第3開口をさらに含み、前記第2カバーは生体組織が通過する第4開口をさらに含む、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの貫通孔は縁部を有し、前記縁部は前記貫通孔を通過する生体組織と接触して生体組織を加圧することで生体組織を引き裂いて生体組織を低減する、請求項1に記載のスクリーン交換装置。
【請求項11】
生体組織微細化システムにおいて、
請求項1に係るスクリーン交換装置と、
前記第1開口と結合して生体組織を収容するように構成された第1容器と、前記第1容器に圧力を印加するように構成された第1プッシュロッドを含む第1シリンジと、
前記第2開口と結合して生体組織を収容するように構成された第2容器と、前記第2容器に圧力を印加するように構成された第2プッシュロッドを含む第2シリンジと、
を含み、
前記第1プッシュロッドが前記第1容器に圧力を加えれば、前記第1容器の生体組織が前記第1開口、前記選択されたスクリーン及び前記第2開口を順に通過して前記第2容器に移動する第1形態と、前記第2プッシュロッドが前記第2容器に圧力を加えれば、前記第2容器の生体組織が前記第2開口、前記選択されたスクリーン及び前記第1開口を順に通過して前記第1容器に移動する第2形態の間の形態を取ることのできる生体組織微細化システム。
【請求項12】
生体組織微細化方法でって、
少なくとも生体組織を含む第1シリンジ及び第2シリンジを請求項1に係るスクリーン交換装置の前記第1開口及び前記第2開口にそれぞれ結合させるステップと、
前記マニピュレーターを用いて前記複数のスクリーンのうち第1スクリーンを選択するステップと、
前記第1シリンジを加圧して前記第1開口、前記第1スクリーン、及び前記第2開口を介して前記第2シリンジに生体組織を移動させ、前記第2シリンジを加圧して前記第2開口、前記第1スクリーン、及び前記第1開口を介して前記第1シリンジに生体組織を移動させて生体組織を一次的に微細化するステップと、
前記マニピュレーターを用いて前記複数のスクリーンのうち第2スクリーンを選択するステップと、
前記第1シリンジを加圧して前記第1開口、前記第2スクリーン、及び前記第2開口を介して前記第2シリンジに生体組織を移動させ、前記第2シリンジを加圧して前記第2開口、前記第2スクリーン、及び前記第1開口を介して前記第1シリンジに生体組織を移動させて生体組織を二次的に微細化するステップと、
を含む生体組織微細化方法。
【請求項13】
生体組織を二次的に微細化するステップの後、前記複数のスクリーンのうち第1スクリーンの貫通孔特性及び第2スクリーンの貫通孔特性が異なる貫通孔特性を有する残っている複数のスクリーンを順次選択して生体組織を微細化するステップをさらに含む、請求項12に記載の生体組織微細化方法。
【請求項14】
生体組織からターゲット物質を分離する方法において、
非ターゲット物質を除去し、ターゲット物質を含む複数の種類の物質を取得するために生体組織を第1遠心加速度で遠心分離する第1遠心分離ステップと、
請求項1に係るスクリーン交換装置を用いて、互いに異なる貫通孔特性を有する複数のスクリーンを順次選択して残っている生体組織を微細化するステップと、
残っている生体組織をはじめとする取得された複数の種類の物質に対して、第1遠心加速度と異なる第2遠心加速度で遠心分離する第2遠心分離ステップと、
ターゲット物質が含まれている物質層を分離する第1分離ステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記残っている生体組織を微細化するステップは、複数回だけ繰り返し実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記生体組織を微細化するステップの後、微細化された生体組織に混合された空気を除去するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記生体組織を微細化するステップの後、微細化された生体組織を圧搾して生体組織とターゲット物質が含まれている物質を分離するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
分離された前記物質層に設定溶液を混合した後、
請求項1に係るスクリーン交換装置を用いて、設定貫通孔特性を有するスクリーンを用いて混合溶液に含まれている物質を微細化するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
分離された前記物質層と設定溶液の混合液に混合された空気を除去するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1遠心加速度よりも大きく、前記第2遠心加速度と同一であるか大きい第3遠心加速度で前記混合溶液に対して遠心分離を行う第3遠心分離ステップと、
ターゲット物質が含まれている物質層を分離する第2分離ステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、実施形態はスクリーン交換装置、これを含む生体組織微細化システム、これを使用する生体組織微細化方法及びこれに関する生体組織からターゲット物質を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織は、再生治療及び美容目的に使用できる様々な組織、細胞、物質が含まれており、これを分離するための様々な方法が利用されている。特に、脂肪組織は、一般に酵素を用いて組織を分解し遠心分離する方法が幅広く使用されているが、適切な医療用酵素がなく、使用される酵素に毒性があることから、酵素を用いて分解された脂肪組織から取得した物質の安全性に対する論議がある。ここで、酵素を使用することなく脂肪組織から再生治療及び美容目的に用いられる物質を取得するための様々な試みがあった。例えば、米国特許第5480553号明細書には、中空フィルタメンブレンモジュールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態に係る目的は、生体組織を保持する容器との分解及び結合を最小化するスクリーン交換装置、これを含む生体組織微細化システム、及びこれを使用する生体組織微細化方法を提供することにある。
【0005】
一実施形態に係る目的は、生体組織から様々な大きさ及び比重を有する様々なターゲット物質を効率よく分離する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る生体組織微細化スクリーン交換装置は、生体組織を微細化する少なくとも1つの貫通孔を備え、互いに異なる貫通孔特性を有する複数のスクリーンを含むディスクと、前記ディスクの第1側をカバーして生体組織が通過する第1開口を含む第1カバーと、前記ディスクの第2側をカバーして前記生体組織が通過する第2開口を含む第2カバーと、前記ディスクを収容するハウジングと、前記複数のスクリーンのうち任意のスクリーンを選択し、選択されたスクリーンが前記第1開口及び前記第2開口と連通するように前記第1カバー又は前記第2カバーを操作するマニピュレーターとを含む。
【0007】
前記マニピュレーターは、前記第1カバーを前記ディスクに対して相対的に回転させるように構成された第1ハンドルと、前記第2カバーを前記ディスクに対して相対的に回転させるように構成された第2ハンドルとを含む。
【0008】
前記第1カバーが、前記ディスクに対する前記第1カバーの回転が固定されるロック位置と、前記ディスクに対する前記第1カバーの回転が許容される作動位置との間のいずれか1つの位置にあるよう、前記第1ハンドルは前記第1カバーに作動可能に結合され、前記第2カバーが、前記ディスクに対する前記第2カバーの回転が固定されるロック位置と、前記ディスクに対する前記第2カバーの回転が許容される作動位置との間のいずれか1つの位置にあるよう、前記第2ハンドルは前記第2カバーに作動可能に結合される。
【0009】
前記第1ハンドル及び前記第2ハンドルは、中心部と、前記中心部から延長する放射方向延長部と、前記放射方向延長部の延長方向に交差する方向に延長する円周方向延長部とをそれぞれ含む。
【0010】
前記円周方向延長部は、前記ハウジングの内部表面に係合するように構成された係合要素を含む。
【0011】
前記貫通孔特性は、前記貫通孔の形状、前記貫通孔の大きさ、前記貫通孔の深度、スクリーンに形成された貫通孔の位置、前記貫通孔の一部セクションが前記スクリーンに対してなしている角度、及び前記貫通孔が複数である場合、複数の貫通孔の配列形態を含む群から選択された少なくとも1つ以上を含む。
【0012】
前記複数のスクリーンは、前記貫通孔を規定する縁部からスクリーンに対して角をなして前記第1カバー又は前記第2カバーに向かって突出し、前記貫通孔を通過する生体組織を引き裂くように構成された突出部をそれぞれ含む。
【0013】
前記生体組織微細装置は、前記第1カバーと前記ディスクとの間に設けられる第1スペーサと、前記第2カバーと前記ディスクとの間に設けられる第2スペーサをさらに含む。
【0014】
前記第1カバーは生体組織が通過する第3開口をさらに含み、前記第2カバーは生体組織が通過する第4開口をさらに含む。
【0015】
前記少なくとも1つの貫通孔は縁部を有し、前記縁部は前記貫通孔を通過する生体組織と接触して生体組織を加圧することで生体組織を引き裂いて生体組織を低減させることができる。
【0016】
一実施形態に係る生体組織微細化システムは、第1項に係るスクリーン交換装置と、前記第1開口と結合して生体組織を収容するように構成された第1容器と、前記第1容器に圧力を印加するように構成された第1プッシュロッドを含む第1シリンジと、前記第2開口と結合して生体組織を収容するように構成された第2容器と、前記第2容器に圧力を印加するように構成された第2プッシュロッドを含む第2シリンジとを含み、前記第1プッシュロッドが前記第1容器に圧力を加えれば、前記第1容器の生体組織が前記第1開口、前記選択されたスクリーン及び前記第2開口を順に通過して前記第2容器に移動する第1形態と、前記第2プッシュロッドが前記第2容器に圧力を加えれば、前記第2容器の生体組織が前記第2開口、前記選択されたスクリーン及び前記第1開口を順に通過して前記第1容器に移動する第2形態の間の形態を取ることができる。
【0017】
一実施形態に係る生体組織微細化方法は、少なくとも生体組織を含む第1シリンジ及び第2シリンジを請求項1に係るスクリーン交換装置の前記第1開口及び前記第2開口にそれぞれ結合させるステップと、前記マニピュレーターを用いて前記複数のスクリーンのうち第1スクリーンを選択するステップと、前記第1シリンジを加圧して前記第1開口、前記第1スクリーン、及び前記第2開口を介して前記第2シリンジに生体組織を移動させ、前記第2シリンジを加圧して前記第2開口、前記第1スクリーン、及び前記第1開口を介して前記第1シリンジに生体組織を移動させて生体組織を一次的に微細化するステップと、前記マニピュレーターを用いて前記複数のスクリーンのうち第2スクリーンを選択するステップと、前記第1シリンジを加圧して前記第1開口、前記第2スクリーン、及び前記第2開口を介して前記第2シリンジに生体組織を移動させ、前記第2シリンジを加圧して前記第2開口、前記第2スクリーン、及び前記第1開口を介して前記第1シリンジに生体組織を移動させて生体組織を二次的に微細化するステップとを含む。
【0018】
生体組織を二次的に微細化するステップの後、前記複数のスクリーンのうち第1スクリーンの貫通孔特性及び第2スクリーンの貫通孔特性が異なる貫通孔特性を有する残っている複数のスクリーンを順次選択して生体組織を微細化するステップをさらに含むことができる。
【0019】
一実施形態に係る生体組織からターゲット物質を分離する方法は、非ターゲット物質を除去し、ターゲット物質を含む複数の種類の物質を取得するために生体組織を第1遠心加速度で遠心分離する第1遠心分離ステップと、互いに異なる貫通孔特性を有する複数のスクリーンを順次選択して残っている生体組織を微細化するステップと、残っている生体組織をはじめとする取得された複数の種類の物質に対して、第1遠心加速度と異なる第2遠心加速度で遠心分離する第2遠心分離ステップと、ターゲット物質が含まれている物質層を分離する第1分離ステップとを含む。
【0020】
前記残っている生体組織を微細化するステップは、複数回だけ繰り返し実行されることができる。
【0021】
前記方法は、前記生体組織を微細化するステップの後、微細化された生体組織に混合された空気を除去するステップをさらに含むことができる。
【0022】
前記方法は、前記生体組織を微細化するステップの後、微細化された生体組織を圧搾して生体組織とターゲット物質が含まれている物質を分離するステップをさらに含むことができる。
【0023】
前記方法は、分離された前記物質層に設定溶液を混合した後、設定貫通孔特性を有するスクリーンを用いて混合溶液に含まれている物質を微細化するステップをさらに含むことができる。
【0024】
前記方法は、前記第1遠心加速度及び前記第2遠心加速度と異なる第3遠心加速度で前記混合溶液に対して遠心分離を行う第3遠心分離ステップと、ターゲット物質が含まれている物質層を分離する第2分離ステップとをさらに含むことができる。
【0025】
前記方法は、分離された前記物質層と設定溶液の混合液に混合された空気を除去するステップをさらに含むことができる。
【0026】
前記方法は、前記第1遠心加速度よりも大きく、前記第2遠心加速度と同一であるか大きい第3遠心加速度で前記混合溶液に対して遠心分離を行う第3遠心分離ステップと、ターゲット物質が含まれている物質層を分離する第2分離ステップとをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
一実施形態に係るスクリーン交換装置、これを含む生体組織微細化システム、及びこれを使用する生体組織微細化方法は、生体組織を保持する容器との分解及び結合を最小化することができる。
【0028】
一実施形態に係る方法は、生体組織から様々な大きさを有する様々なターゲット物質を効率よく分離することができる。
【0029】
一実施形態に係るスクリーン交換装置、これを含む生体組織微細化システム、これを使用する生体組織微細化方法及びこれに関する生体組織からターゲット物質を分離する方法の効果は、上記したものなどに限定されず、言及されない他の効果は、下記の記載により当業者にとって明確に理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態に係るスクリーン交換装置を一方向から見た斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るスクリーン交換装置を異なる方向から見た斜視図である。
【
図3】一実施形態に係るスクリーン交換装置の分解斜視図である。
【
図4】一実施形態に係るスクリーン交換装置一部の構成要素の分解斜視図である。
【
図5】一実施形態に係るスクリーン交換装置一部構成の切断斜視図である。
【
図6】一実施形態に係るスクリーン交換装置を含む生体組織微細化システムの平面図である。
【
図7】
図6に示すスクリーン交換装置をB-B線に沿って見た断面斜視図である。
【
図8】
図6に示すスクリーン交換装置をB-B線に沿って見た断面正面図である。
【
図9】一実施形態に係るスクリーンを示す図である。
【
図10】一実施形態に係るスクリーン交換装置の一部構造の一例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係るスクリーン交換装置の一部構造の更なる例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
下記で説明する実施形態は様々な変更が加えられ得る。特許出願の範囲はこのような実施形態によって制限も限定もされない。各図面に提示した同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0032】
本明細書で用いる用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0033】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0034】
また、図面を参照して説明する際に、図面符号に拘わらず同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0035】
また、実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであって、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は順序などが限定されることはない。いずれかの構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されたと記載される場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結又は接続され得るが、各構成要素の間に更なる構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」され得ると理解されなければならないのであろう。
【0036】
いずれかの1つの実施形態に含まれている構成要素と、共通的な機能を含む構成要素は、他の実施形態において同じ名称を用いて説明することにする。反対となる記載がない以上、いずれか1つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用されてもよく、重複する範囲で具体的な説明は省略することにする。
【0037】
図1~
図5を参照すると、一実施形態に係るスクリーン交換装置10は、生体組織を微細化するように構成された複数個の貫通孔をそれぞれ含む複数個のスクリーン122a,122b,122c,122d,122eのうち第1スクリーン122aを選択し、選択された第1スクリーン122aで生体組織を微細化した後、複数個のスクリーン122a,122b,122c,122d,122eのうち第2スクリーン122bを選択し、選択された第1スクリーン122bで生体組織を微細化するように構成されてもよい。ここで、複数のスクリーン122a,122b,122c,122d,122eの選択及び順序はユーザにより決定されるものであるため、上記のように説明したスクリーンの選択及び順序に拘束されない。なお、生体組織は脂肪組織を例に挙げられるが、必ずしもこれに限定されることはない。
【0038】
スクリーン交換装置10は、ハウジング110、ディスク120、第1密封部130、第2密封部140、第1カバー150、第2カバー160、マニピュレーター170,180及び支持部190を含む。
【0039】
ハウジング110は、ディスク120、第1密封部130、第2密封部140、第1カバー150及び第2カバー160を収容するように構成されている。ハウジング110は、第1密封部130及び第2密封部140と共にディスク120を外部に対して密封するよう構成されてもよい。ハウジング110は、実質的に円筒状を有してもよい。ハウジング110は、開放された第1側及び第1側の向い側の開放された第2側を有する。
【0040】
ハウジング110は、第1マウント111、第2マウント112、第3マウント113、第1スロット114、及び第2スロット115を含む。
【0041】
第1マウント111にはディスク120が装着されている。好ましい実施形態において、ディスク120は第1マウント111に固定されてもよい。この実施形態において、ディスク120は、ハウジング110と共に回転するよう構成されてもよい。第1マウント111は、ハウジング110の中間部の内部表面に形成されてもよい。
【0042】
第2マウント112には、第1密封部130及び第1カバー150が装着されることができる。第2マウント112は、ハウジング110の中間部を基準にして第1側の内部表面に形成されている。
【0043】
第3マウント113には、第2密封部140及び第2カバー160が装着されることができる。第3マウント113は、ハウジング110の中間部を基準にして第1側の向い側である第2側の内部表面に形成されている。
【0044】
第1スロット114には、第1ハンドル170の第1円周方向延長部173が装着されることができる。好ましい実施形態において、第1ハンドル170の第1円周方向延長部173は、第1スロット114に解放可能に係合されてもよい。また、第1スロット114は、第1円周方向延長部173の円周方向への移動を許容することができる。第1スロット114は、第2マウント112に隣接するようハウジング110の第1側の内部表面に形成されてもよい。
【0045】
第2スロット115には、第2ハンドル180の第2円周方向延長部183が装着されることができる。好ましい実施形態において、第2ハンドル180の第2円周方向延長部183は、第2スロット115に解放可能に係合されてもよい。また、第2スロット115は、第2円周方向延長部183の移動を許容する。第2スロット115は、第3マウント113に隣接するようハウジング110の第2側の内部表面に形成されてもよい。
【0046】
ハウジング110の長手方向にあるX軸方向に沿って、ハウジング110の内部表面に第1スロット114、第2マウント112、第1マウント111、第3マウント113、及び第2スロット115が順次形成される。
【0047】
ディスク120は、プレート121及び複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eを含んでいる。プレート121は、第1マウント111に固定される。プレート121は、第1中心開口1211を含む。プレート121は、実質的に円形の断面を有してもよい。複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eは、第1中心開口1211を中心に、プレート121の円周方向に互いに離隔してプレート121に設けられてもよい。
【0048】
プレート121(例えば、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eに対応する一部区間)は、第1カバー150及び第2カバー160から余裕距離をもって離隔されてもよい。このようなプレート121と第1カバー150との間の余裕距離、及びプレート121と第2カバー160との間の余裕距離により、プレート121と第1カバー150との間及びプレート121と第2カバー160との間それぞれに生体組織の一部が流動する余裕空間が規定されることができる。
【0049】
複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eは、生体組織を微細化するように構成された少なくとも1つの貫通孔を含む。複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eは互いに異なる貫通孔特性を有してもよい。ここで、貫通孔特性は、貫通孔の形状、貫通孔の大きさ、貫通孔の深度、スクリーンに形成された貫通孔の位置、貫通孔の一部セクションがプレート121となしている角度、貫通孔の個数が複数である場合に複数の貫通孔の配列形態などを含むことができる。従って、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eが互いに異なる貫通孔特性を有することは、例えば、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eそれぞれの貫通孔の大きさがそれぞれ異なることを意味する。ここで、貫通孔の大きさは、貫通孔を横切る貫通孔の最大長さを意味し、貫通孔が円形を有する場合を例にすれば、貫通孔の大きさは貫通孔の直径を意味する。一方、貫通孔の形状は、円形、多角形、その他の複数の縁(edge)から構成された図形であってもよい。
【0050】
第1密封部130は、ディスク120と第1カバー150との間の密封を行ってもよい。第1密封部130は、ディスク120と第1カバー150との間に設けられ、ハウジング110の円周方向に沿ってハウジング110の内部表面に設けられる。第1密封部130は環の形状を有してもよい。
【0051】
第2密封部140は、ディスク120と第2カバー160との間の密封を行う。第2密封部140は、ディスク120と第2カバー160との間に設けられ、ハウジング110の円周方向に沿ってハウジング110の内部表面に設けられる。第2密封部140は環の形状を有してもよい。
【0052】
第1カバー150は、ディスク120の第1側をカバーするように構成されている。
【0053】
一実施形態において、第1カバー150は、第1ベース151、第1開口を有する第1接続部152、及び第1締結部154を含む。第1ベース151は、実質的に円形の断面を有する。第1接続部152の第1開口は、生体組織が通過することを許容するよう構成される。第1開口は第1ベース151を貫通する。第1接続部152は、生体組織を入れた容器又は中空の容器と接続するように構成される。第1接続部152は、第1ベース151から突出するように構成される。第1接続部152は、第1ベース151の周辺部に形成される。第1締結部154には、第1ハンドル170が結合されている。第1締結部154は、支持部190の第1ロッカー191が通過する第1締結孔1541及び第1ハンドル170のX軸方向の移動をガイドするように構成された第1ガイド1542を含む。第1締結部154は、第1ベース151の中心部に形成されてもよい。
【0054】
一実施形態において、第1カバー150は、第3開口を有する第3接続部153をさらに含んでもよい。第3接続部153の第3開口は、生体組織が通過することを許容するように構成される。第3接続部153は、生体組織を入れた容器又は空の容器と接続するように構成される。第3接続部153は、第1ベース151から突出するよう構成される。また、第3接続部153は、第1接続部152から離隔するように第1ベース151に形成される。また、第3接続部153は、第1ベース151の周辺部に形成される。第3接続部153の第3開口は、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eのうち最も幅が大きい貫通孔を有するスクリーンと連通するように構成されてもよい。この実施形態において、ユーザは、塊り形態の生体組織が入れられた容器を第3接続部153に接続させ、生体組織を第3開口に通過させて最も幅の大きい貫通孔を有するスクリーンに生体組織を粗く(roughly)微細化した後、再びその容器を第1接続部152に接続させ、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eのうち所望する貫通孔特性を有するスクリーンを選択し、選択されたスクリーンを用いて生体組織を微細化することができる。
【0055】
第2カバー160は、ディスク120の第1側の向い側の第2側をカバーするように構成されている。一実施形態において、第2カバー160は、第2ベース161、第2開口を有する第2接続部162及び第2締結部164を含む。第2締結部164は、第2締結孔と第2ガイド(図示せず)を含む。一実施形態において、第2カバー160は、第4開口を有する第4接続部163をさらに含んでもよい。第2カバー160の第2ベース161、第2接続部162、第4接続部163及び第2締結部164の構造、機能、及び効果については、本明細書において別に説明しない限り先に説明した第1カバー150の第1ベース151、第1接続部152、第3接続部153、及び第1締結部154の構造、機能、及び効果と実質的に同一なものとして理解され得る。
【0056】
マニピュレーター170,180は、複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eのうち、任意の少なくとも1つのスクリーンを選択し、選択されたスクリーンが第1接続部152の第1開口及び第2接続部162の第2開口又は第3接続部153の第3開口、及び第4接続部163の第4開口と連通するように、第1カバー150及び第2カバー160を操作することができる。
【0057】
マニピュレーター170,180は、第1ハンドル170及び第2ハンドル180を含んでもよい。但し、マニピュレーター170,180が第1ハンドル170及び第2ハンドル180を含むものとして説明するが、第1ハンドル170及び第2ハンドル180のいずれか1つのみを含んでもよく、本明細書に記載されていないその他の可能な機構的方式、電子的方式などでマニピュレーター170,180の機能を行ってもよい。
【0058】
第1ハンドル170は、第1カバー150がディスク120に対して相対的に回転するよう第1カバー150を操作することができる。第1ハンドル170は、第1中心部171、第1放射方向延長部172、及び第1円周方向延長部173を含む。第1中心部171は、第1締結部154に結合されてもよい。第1中心部171は、第1締結部154の第1ガイド1542に沿って移動する。第1中心部171は、支持部190の第1ロッカー191が通過する第2中心開口1711を含む。第2中心開口1711は、第1締結部154の第1締結孔1541と整列される。第1放射方向延長部172は、第1中心部171から第1カバー150の放射状の方向に延長されてもよい。第1円周方向延長部173は、第1放射方向延長部172の延長方向に交差する方向に延長されてもよい。第1円周方向延長部173は、第1中心部171を中心とする弧の形状を有し得る。
【0059】
第1円周方向延長部173は、ハウジング110の内部表面に沿って移動し、ハウジング110の内部表面に解放可能に係合するように構成されてもよい。第1円周方向延長部173は、第1移動要素1731及び第1係合要素1732を含む。第1移動要素1731は、ハウジング110の第1スロット114に沿って円周方向に移動するように構成されてもよい。第1係合要素1732は、ハウジング110の第2マウント112の第1リセス1121に係合するように構成されてもよい。
【0060】
第1中心部171が第1ガイド1542に沿って移動して第1カバー150がロック位置にあるとき、第1係合要素1732は、ハウジング110の第2マウント112の第1リセス1121に係合することができる。ここで、ユーザが第1ハンドル170を操作して第1ハンドル170が結合された第1カバー150を回転させれば、第1係合要素1732が第2マウント112の第1リセス1121に係合しているため、ハウジング110及びハウジング110に固定されたディスク120に対する第1カバー150の回転が固定される。
【0061】
一方、第1中心部171が第1ガイド1542に沿って移動して第1カバー150が作動位置にあるとき、第1係合要素1732は、ハウジング110の第2マウント112の第1リセス1121から解除されることができる。ここで、ユーザが第1ハンドル170を操作して第1ハンドル170が結合されている第1カバー150をX軸に対して回転させれば、第1係合要素1732が第2マウント112の第1リセス1121から解除されるため、ハウジング110及びハウジング110に固定されているディスク120に対する第1カバー150の回転が許容される。ユーザは、第1ハンドル170を操作して第1カバー150をX軸に対して回転させながら、第1接続部152の第1開口及び第2接続部153を複数のスクリーン122a、122b、122c、122d、122eのうち所望するスクリーンに整列させることができる。
【0062】
第2ハンドル180は、第2カバー160がディスク120に対して相対的に回転するように第2カバー160を操作することができる。第2ハンドル180は、第2中心部181、第2放射方向延長部182、及び第2円周方向延長部183を含む。第2円周方向延長部183は、ハウジング110の第2スロット115の内部表面に沿って移動する第2移動要素1831、及びハウジング110の第3マウント113の第2リセス1131に係合するように構成されている第2係合要素1832を含む。第2ハンドル180の第2中心部181、第2放射方向延長部182、及び第2円周方向延長部183の構造、機能、及び効果は本明細書において別に説明しない限り先に説明した第1ハンドル170の第1中心部171、第1放射方向延長部172、及び第1円周方向延長部173の構造、機能、及び効果と実質的に同一であるものと理解される。
【0063】
一実施形態において、第1ハンドル170及び第2ハンドル180は、互いに連動して作動してもよい。ここで、第1ハンドル170及び第2ハンドル180が互いに連動することは、第1ハンドル170及び第2ハンドル180が互いに直接的又は互いに間接的に接続され、第1ハンドル170及び第2ハンドル180のいずれか1つのハンドルを操作すれば、他の1つのハンドルが共に作動することを意味する。例えば、第1ハンドル170及び第2ハンドル180は、支持部190の第1ロッカー191を介して接続され、ユーザが第1ハンドル170をX軸に対して回転させると、ハウジング110及びディスク120は、固定されている状態で第2ハンドル180が前記第1ハンドル170と共に回転する。
【0064】
一実施形態において、第1ハンドル170及び第2ハンドル180は互いに独立的に作動してもよい。ここで、第1ハンドル170及び第2ハンドル180が互いに独立的であることは、第1ハンドル170及び第2ハンドル180が互いに接続されていないため、第1ハンドル170の作動及び第2ハンドル180の操作が互いに依存しない特性を有する。例えば、第1ハンドル170及び第2ハンドル180は、支持部190の第1ロッカー191によって互いに拘束しないように構成されてもよい。この例で、ユーザは、第1ハンドル170をX軸に対して第1角度だけ回転させるとき、第2ハンドル180をX軸に対して第1角度と異なる第2角度だけ回転させることができる。ここで、第1ハンドル170及び第2ハンドル180のX軸に対する回転方向は、互いに同じ方向又は反対方向であってもよい。
【0065】
支持部190は、第1ハンドル170、第1カバー150、第2カバー160及び第2ハンドル180を支持するように構成される。支持部190は、第1ロッカー191及び第2ロッカー192を含む。第1ロッカー191は、第2中心開口1711、第1締結孔1541、第1中心開口1211、第2締結孔1641及び第3重心開口1811を通過して第2ロッカー192と結合することができる。そのため、第1ハンドル170、第1カバー150、第2カバー160及び第2ハンドル180は、偏心なしに(固定されている)ハウジング110及びディスク120に対してX軸を中心に回転する。
【0066】
図6~
図8を参照すると、一実施形態に係る生体組織微細化システム1は、スクリーン交換装置10、第1シリンジC1、及び第2シリンジC2を含む。
【0067】
第1シリンジC1は、生体組織(BT)を収容するように構成された第1容器C11、第1容器C11の先端部に形成されて第1カバー150の第1接続部152又は第3接続部153に結合するように構成された第1結合部C12、及び第1容器C11の内部に圧力を印加し、生体組織(BT)をディスク120に向かって加圧するように構成された第1プッシュロッドC13を含む。
【0068】
第2シリンジC2は、生体組織(BT)を収容するように構成された第2容器C21、第2容器C21の先端部に形成されて第2カバー160の第2接続部162又は第4接続部163(
図2及び
図3参照)に結合するように構成された第2結合部C22、及び第2容器C21の内部に圧力を印加し、生体組織(BT)をディスク120に向かって加圧するように構成された第2プッシュロッドC23を含む。
【0069】
一作動の例において、ユーザは、微細化しようとする生体組織(BT)を第1容器C11に入れ、第1結合部C12を第1接続部152に結合する。その後、ユーザは、内容物がない第2容器C21の第2結合部C22を第2接続部162に結合する。その後、ユーザは、第1カバー150が作動位置にあるよう第1ハンドル170を軸方向に操作する。その後、ユーザは、第1ハンドル170を軸方向に対して回転させて第1カバー150を回転させ、所望する貫通孔特性を有するスクリーンが、第1接続部152の第1開口及び第2接続部162の第2開口と連通するように、複数のスクリーンのうち所望するスクリーンを選択する。
【0070】
その後、ユーザは、第2カバー160が作動位置にあるよう、第2ハンドル180を軸方向に操作する。その後、ユーザは、第2ハンドル180を軸方向に対して回転させて第2カバー160を回転させ、所望する貫通孔特性を有するスクリーンが第2接続部162の第2開口及び第1接続部152の第1開口と連通するように上記で選択されたスクリーンのようなスクリーンを選択する。
【0071】
その後、ユーザは、第1プッシュロッドC13を用いて生体組織(BT)をディスク120に向かって加圧する。この過程で、生体組織(BT)は、ディスク120の選択されたスクリーンを通過しながら微細化され、第2容器C21に移動しながら第2プッシュロッドC23が後退される。再び、ユーザは、第2プッシュロッドC23を用いて生体組織(BT)をディスク120に向かって加圧する。この過程で、生体組織(BT)は、選択されたスクリーンを通過しながら微細化され、第1容器C11に移動しながら第1プッシュロッドC13が後退される。ユーザは、上記で説明した第1プッシュロッドC13の加圧及び第2プッシュロッドC23の加圧を繰り返し行うことができ、そのため、生体組織(BT)はスクリーンを繰り返し通過して微細化されることができる。
【0072】
選択的に、上記で説明した生体組織(BT)の微細化過程において、ユーザは、第1ハンドル170及び第2ハンドル180を回転させ、また他の貫通孔特性を有する更なるスクリーンを選択し、上記のような過程を繰り返して生体組織(BT)を微細化することができる。
【0073】
選択的に、上記で説明した生体組織(BT)を第1容器C11に入れて第1結合部C12を第1接続部152に結合する前に、ユーザは、第1結合部C12を第3接続部153に結合してもよい。ここで、第3接続部153の第3開口は、最も幅が大きい少なくとも1つの貫通孔を有するスクリーンと整列されてもよい。その後、ユーザは、第2容器C21の第2結合部C22を第4接続部163(
図2及び
図3参照)に結合してもよい。ここで、第4接続部163は、前で選択されたスクリーンと整列されてもよい。その後、ユーザは、前記と同じ方式で第1プッシュロッドC13及び第2プッシュロッドC23を用いて生体組織(BT)を粗いに微細化することができる。その後、ユーザは、第1容器C11と第2容器C21とを分離し、再び第1結合部C12及び第2結合部C22をそれぞれ第1接続部152及び第2接続部162に結合し、上記で説明した微細化過程を繰り返すことができる。
【0074】
図9は、一実施形態に係るスクリーンを示す図である。
【0075】
図9を参照すると、一実施形態に係るスクリーン220は、プレート221及び貫通孔222を含む。貫通孔222は、プレート221の複数の縁部によって規定されてもよい。このような縁部は、貫通孔222を通過する生体組織と接触して生体組織を加圧することで、体組織を掻いたり引き裂いて生体組織の大きさを低減することができる。例えば、スクリーン220は、貫通孔222の第1側に形成されている第1線形部223a、貫通孔222の第1側に形成されて貫通孔222の中心に向かって第1方向T1へ突出する第1突出部224a、貫通孔222の第2側に形成されている第2線形部223b、及び貫通孔222の第2側に形成され貫通孔222の中心に向かって第2方向T2へ突出する第2突出部224bを含み、貫通孔を通過する組織と接触する縁部の区間を増加させることができる。第1突出部224a及び第2突出部224bは、スクリーン220に対して角ばれるように配向されてもよく、スクリーン220を通過する生体組織を引き裂くように構成されている。第1方向T1へ突出する第1突出部224aの第1延長線L1、及び第2方向T2へ突出する第2突出部224bの第2延長線L2は互いにずれた位置にあってもよい。言い換えれば、第1延長線L1及び第2延長線L2は互いに平行せず、かつ、互いに一致しなくてもよい。第1突出部224a及び第2突出部224bは、第1カバー150及び第2カバー160のいずれか1つのカバーに向かうよう、第1突出部224aの方向T1及び第2突出部224bの方向T2が設定されることができる。
【0076】
図10は、一実施形態に係るスクリーン交換装置の一部構造の一例を示した断面図である。
【0077】
図10を参照すると、一実施形態に係るスクリーン交換装置30は、ディスク120と第1カバーの150との間に設けられる第1スペーサ355、及びディスク120と第2カバー160との間に設けられる第2スペーサ365を含む。第1スペーサ355は、ディスク120と第1カバー150との間の第1空間S1を確保するよう構成され、第2スペーサ365は、ディスク120と第2カバー160との間の第2空間S2を確保するよう構成されてもよい。
【0078】
第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、第1空間S1及び第2空間S2を確保するために適切な任意の物質から形成されてもよい。一例として、第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、金属物質を含んでもよい。この場合、第1空間S1及び第2空間S2の大きさが、スクリーン交換装置30の作動中に実質的に同一に保持される。更なる例として、第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、弾性物質などを含んでもよい。この場合、第1空間S1及び第2空間S2の大きさがスクリーン交換装置30の作動中に可変する。
【0079】
第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、生体組織の微細化及びカバー150,160の回転を妨害しないように任意の適切な形状を有することができる。例えば、第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、環状であってもよい。
【0080】
第1スペーサ355及び第2スペーサ365は、プレート121の第1中心開口1211の周辺に円周方向に沿って配列される複数のスクリーン122の外側に配置されてもよい。
【0081】
図11は、一実施形態に係るスクリーン交換装置の一部構造の更なる例を示した断面図である。
【0082】
図11を参照すると、一実施形態に係るスクリーン交換装置40は、ディスク120と第1カバーの150との間に設けられる第1スペーサ455、及びディスク120と第2カバー160との間に設けられる第2スペーサ465を含む。上記の
図10の実施形態とは異なる点は、
図11に示す実施形態の第1スペーサ455及び第2スペーサ465が、プレート121の第1中心開口1211の周辺に円周方向に沿って配列される複数のスクリーン122の内側に配置されることである。
【0083】
以下、生体組織を微細化して組織、細胞、及びターゲット物質を分離して非ターゲット物質を除去する方法について説明する。ここで、非ターゲット物質は、不要な物質と解釈される。以下の実施形態は、脂肪組織から間質血管細胞群(Stromal vascular fraction;SVF)を分離することに関し、生体組織を分離する方法については、以下の実施形態に必ず制限されないことを予め明らかにしておく。
【0084】
(実施形態1)
[過程1]
まず、取得した脂肪に対して低速(RCF50g~300g)で遠心分離する。
【0085】
[過程2]
遠心分離後、血液要素及び水液などの物質層を除去する。
【0086】
[過程3]
その後、上記で説明したスクリーン交換装置を用いて脂肪組織を掻いて引き裂くことで脂肪組織の大きさを減少させ、脂肪組織をなしている組織、細胞、及び物質の結合を分離する。
【0087】
[過程4]
その後、脂肪組織と脂肪組織から分離された組織、細胞、物質を再度分離するために、この組織、細胞、物質を高速(RCF500g~2000g)で遠心分離する。
【0088】
[過程5]
遠心分離後、脂肪組織層よりも回転中心から遠方に集まっている間質血管細胞群(SVF)が含まれた物質層を分離する。
【0089】
[過程6]
過程3を行った後、脂肪組織及び物質と混合された空気を除去する過程を加える。
【0090】
[過程7]
過程3で、スクリーン交換装置の複数のスクリーンのうち、300μm~4000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択し、脂肪組織を掻いたり引き裂くことができる。
【0091】
[過程8]
過程7で、3000μm~4000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第1ステップ、その後2000μm~3000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第2ステップ、その後、1000μm~2000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第3ステップ、その後500μm~1000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第4ステップが順次実行される。
【0092】
[ステップ9]
過程8で、第4ステップの後、300μm~500μmの貫通孔を有するスクリーンを選択し、脂肪組織を微細化する第5ステップが加えられる。
【0093】
[ステップ10]
過程8及び過程9の各ステップごとに5回~50回の脂肪組織をスクリーンの貫通孔を通過するように往復して移動させ、生体組織を微細化する。
【0094】
[ステップ11]
過程5を行った後、50μm~200μmの貫通孔を有するスクリーン~フィルタを介して分離した物質をフィルタリングする。
【0095】
[ステップ12]
過程5を行った後、食塩水又は蒸留水を分離した物質層と混合した後、500μm~1000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して混合した物質層を微細化する。
【0096】
[ステップ13]
過程12で、スクリーン交換装置の選択されたスクリーンを用いて混合した物質層をスクリーンの貫通孔を通過するよう5回~50回往復して移動させ、生体組織を微細化する。
【0097】
[ステップ14]
過程12の後、混合した物質層及びそれから分離された物質を分離するために高速(RCF500g~3000g)で遠心分離する。
【0098】
[ステップ15]
過程14の後、回転中心から最も遠い個所に集まっている間質血管細胞群(SVF)が含まれた物質層を分離する。
【0099】
(実施形態2)
[過程1]
まず、取得した脂肪組織に対して低速(RCF50g~300g)で遠心分離する。
【0100】
[過程2]
遠心分離後、血液要素及び水液などの物質層を除去する。
【0101】
[過程3]
その後、上記で説明したスクリーン交換装置を用いて脂肪組織を掻いたり引き裂くことで脂肪組織の大きさを減少させ、脂肪組織をなしている組織、細胞、及び物質の結合を分離する。
【0102】
[過程4]
その後、微細化された脂肪組織を圧搾して脂肪組織から分離された組織、細胞、及び物質を取得する。
【0103】
[過程5]
その後、脂肪組織から分離された組織、細胞、及び物質を再度分離するために、この物質に対して高速(RCF500g~2000g)で遠心分離する。
【0104】
[過程6]
遠心分離後、回転中心から最も遠方に集まっている間質血管細胞群(SVF)が含まれた物質層を分離する。
【0105】
[過程7]
過程3を行った後、脂肪組織及び物質と混合された空気を除去する過程を加える。
【0106】
[過程8]
過程3で、スクリーン交換装置の複数のスクリーンのうち、300μm~4000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を掻いたり引き裂く。
【0107】
[過程9]
過程8で、3000μm~4000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第1ステップ、その後2000μm~3000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第2ステップ、その後1000μm~2000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第3ステップ、その後500μm~1000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第4ステップが順次実行される。
【0108】
[ステップ10]
過程9で、第4ステップの後300μm~500μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して脂肪組織を微細化する第5ステップが加えられる。
【0109】
[ステップ11]
過程9及び過程10の各ステップごとに5回~50回脂肪組織をスクリーンの貫通孔を通過するよう往復して移動させ、生体組織を微細化する。
【0110】
[ステップ12]
過程6を行った後、50μm~200μmの貫通孔を有するフィルタないしスクリーンに分離された物質をフィルタリングする。
【0111】
[ステップ13]
過程6を行った後、食塩水又は蒸留水を分離した物質層と混合した後、500μm~1000μmの貫通孔を有するスクリーンを選択して混合した物質層を微細化する。
【0112】
[ステップ14]
過程13で、5回~50回混合された物質層をスクリーンの貫通孔を通過するよう往復して移動させ、混合された物質に含まれている組織、細胞及び物質を微細化する。
【0113】
[ステップ15]
過程13の後、混合された物質層及びそれから分離された物質を分離するために高速(RCF500g~3000g)で遠心分離する。
【0114】
[ステップ16]
過程15の後、回転中心から最も遠方に集まっている間質血管細胞群(SVF)が含まれた物質層を分離する。
【0115】
このような方法は、生体組織から由来する幹細胞の損傷を最小化し、生体組織の大きさが徐々に減少するよう生体組織を掻いたり引き裂くことで、生体組織から由来するターゲット物質を十分に確保することができる。ここで、生体組織は、脂肪組織を含み得る。
【0116】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順に実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0117】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。