(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】プラズマ装置及び電力ケーブルの取り付け方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/26 20060101AFI20221227BHJP
【FI】
H05H1/26
(21)【出願番号】P 2021563906
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 JP2020045071
(87)【国際公開番号】W WO2021117603
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-03-11
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2019/048852
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/030036
(32)【優先日】2020-08-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】池戸 俊之
(72)【発明者】
【氏名】神藤 高広
【審査官】藤本 加代子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/167803(WO,A1)
【文献】特開2017-130255(JP,A)
【文献】特開平8-124431(JP,A)
【文献】特開平8-057655(JP,A)
【文献】特開2000-107862(JP,A)
【文献】特開平11-170055(JP,A)
【文献】特開平9-216067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/26-1/44
B23K 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極に電力を供給しプラズマを発生させるプラズマヘッドと、
前記プラズマヘッドを移動させるヘッド移動装置と、
先端部を前記電極に接続され、基端部を電源ユニットに接続され、前記電源ユニットから前記電極へ電力を供給する電力ケーブルと、
前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第1規制部材と、
前記第1規制部材の位置に比べて前記電力ケーブルの先端側に設けられ、前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第2規制部材と、
を備えるプラズマ装置。
【請求項2】
前記第1規制部材は、
樹脂性の部材を前記電力ケーブルに接触させ、前記電力ケーブルの移動を規制し、
前記第2規制部材は、
金属製の部材を前記電力ケーブルに接触させ、前記電力ケーブルの移動を規制する、請求項1に記載のプラズマ装置。
【請求項3】
前記第2規制部材は、
金属製の金属バンドを有し、前記電力ケーブルを前記金属バンドで締め付けた状態で前記プラズマヘッドに固定される、請求項1又は請求項2に記載のプラズマ装置。
【請求項4】
前記プラズマヘッドは、
前記金属バンドに挿入される金属板を備え、
前記金属バンドは、
前記電力ケーブル及び前記金属板を挿入され、前記金属板に前記電力ケーブルを締め付けて固定する、請求項3に記載のプラズマ装置。
【請求項5】
前記第1規制部材は、
前記電力ケーブルを挿入可能な弾性部材と、
前記プラズマヘッドに取り付けられる規制本体部と、
前記弾性部材を挿入され、前記規制本体部に設けられた被螺合部に対して螺合され、螺合される位置に応じて前記弾性部材を前記電力ケーブルへ締め付ける力を変更する環状螺合部材と、
を備える、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項6】
前記第1規制部材は、
固定軸に前記電力ケーブルを沿わせた状態で前記電力ケーブルの移動を規制し、
前記第2規制部材は、
前記第1規制部材と同一の前記固定軸に前記電力ケーブルを沿わせた状態で前記電力ケーブルの移動を規制する、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項7】
前記電力ケーブルは、
導体と、
前記導体を被覆する導体被覆部材と、
前記導体と、前記電極を接続する接続部材と、
を有し、
前記導体は、
前記導体被覆部材の開口から露出されて折り曲げられ、折り曲げられた部分よりも先端側に前記接続部材が設けられ、折り曲げられた状態のまま前記接続部材により前記電極に取り付けられる、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項8】
前記導体のうち、前記導体被覆部材の開口から露出させた部分の長さは、
前記導体被覆部材の開口内における前記導体の位置と、前記接続部材に前記導体を取り付ける位置との2つの位置を結ぶ最短距離よりも長くなっており、
前記導体は、
前記最短距離よりも長い余剰の分だけ折り曲げられている、請求項7に記載のプラズマ装置。
【請求項9】
前記電極は、
長手方向に沿って延設される柱形状をなし、
前記接続部材と、前記導体被覆部材の開口とは、
前記電極の長手方向と平行な直線上に配置される、請求項7又は請求項8に記載のプラズマ装置。
【請求項10】
前記接続部材は、
前記導体の先端に圧着される圧着部と、
前記圧着部と前記電極を接続し、螺合部材により前記電極に固定される端子板と、
を有する、請求項7乃至請求項9の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項11】
前記プラズマヘッドの外周面に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられる保持部材と、
を有し、
前記第1規制部材及び前記第2規制部材の各々は、
前記電力ケーブル及び前記保持部材を挿入され、前記保持部材に前記電力ケーブルを締め付けて固定され、前記ブラケットを介して前記プラズマヘッドに取り付けられる、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項12】
前記プラズマヘッドは、
前記電極に接続されるヘッド側コネクタを有し、
前記電力ケーブルは、
前記ヘッド側コネクタに接続されるケーブル側コネクタを、前記先端部に有し、
前記ブラケットは、
一方向に長い板状の金属部材であり、
前記電力ケーブルは、
前記ケーブル側コネクタと前記保持部材の間において撓ませた状態のまま前記第1規制部材及び前記第2規制部材により前記保持部材に取り付けられる、請求項11に記載のプラズマ装置。
【請求項13】
前記保持部材は、
前記第1規制部材及び前記第2規制部材を締め付ける位置に合せて切り欠いた溝部を有し、
前記第1規制部材及び前記第2規制部材の各々は、
前記溝部に挿入された状態で、前記保持部材に前記電力ケーブルを締め付け、前記溝部によって前記基端部側への移動を規制される、請求項11又は請求項12に記載のプラズマ装置。
【請求項14】
前記保持部材は、
前記先端部側から前記基端部側へ向かうに従って前記電力ケーブルから離間する方向へ湾曲する湾曲部が、前記基端部側に形成される、請求項11乃至請求項13の何れか1項に記載のプラズマ装置。
【請求項15】
電極に電力を供給しプラズマを発生させるプラズマヘッドと、
先端部を前記電極に接続され、基端部を電源ユニットに接続され、前記電源ユニットから前記電極へ電力を供給する電力ケーブルと、
前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第1規制部材と、
前記第1規制部材の位置に比べて前記電力ケーブルの先端側に設けられ、前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第2規制部材と、
を備えるプラズマ装置における電力ケーブルの取り付け方法であって、
前記電力ケーブルは、
導体と、
前記導体を被覆する導体被覆部材と、
前記導体と、前記電極を接続する接続部材と、
を有し、
前記第2規制部材を取り付けて前記電力ケーブルの移動を規制する第1取付工程と、
前記導体被覆部材の開口から露出させた前記導体を、折り曲げた状態のまま前記接続部材により前記電極に取り付ける第2取付工程と、
前記第1規制部材を取り付けて前記電力ケーブルの移動を規制する第3取付工程と、
を含む、電力ケーブルの取り付け方法。
【請求項16】
電極に電力を供給しプラズマを発生させるプラズマヘッドと、
先端部を前記電極に接続され、基端部を電源ユニットに接続され、前記電源ユニットから前記電極へ電力を供給する電力ケーブルと、
前記プラズマヘッドの外周面に取り付けられるブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられる保持部材と、
前記保持部材に取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第1規制部材と、
前記第1規制部材の位置に比べて前記電力ケーブルの先端側に設けられ、前記保持部材に取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第2規制部材と、
を備えるプラズマ装置における電力ケーブルの取り付け方法であって、
前記プラズマヘッドは、
前記電極に接続されるヘッド側コネクタを有し、
前記電力ケーブルは、
前記ヘッド側コネクタに接続されるケーブル側コネクタを、前記先端部に有し、
前記保持部材を取り付け可能なプレート取付部と、前記ケーブル側コネクタを取り付け可能なコネクタ取付部を、所定の距離だけ離した位置に設けられた治具を用いて、前記コネクタ取付部に前記ケーブル側コネクタを取り付け、前記プレート取付部に前記保持部材を取り付ける治具取付工程と、
前記ケーブル側コネクタに接続された前記電力ケーブル及び前記保持部材の周りに、前記第1規制部材及び前記第2規制部材を巻き付け、前記保持部材に前記電力ケーブルを前記第1規制部材及び前記第2規制部材によって締め付けて固定する保持部材固定工程と、
前記保持部材及び前記ケーブル側コネクタを前記治具から取り外し、前記ケーブル側コネクタを前記ヘッド側コネクタに取り付け、前記保持部材を前記ブラケットに取り付けるヘッド取付工程と、
を含む、電力ケーブルの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プラズマヘッドでプラズマを発生させるプラズマ装置、及びそのプラズマ装置における電力ケーブルの取り付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマヘッドからワークに向けてプラズマガスを噴出してプラズマ処理するプラズマ装置が種々提案されている。例えば、下記特許文献1のプラズマ装置は、多関節ロボットの先端にプラズマヘッドを取り付け、多関節型ロボットによってプラズマヘッドの位置や角度を変更しワークに対するプラズマ処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプラズマ装置では、プラズマヘッドと、電源・ガス供給ユニットとを複数のケーブルで接続している。ケーブルには、多関節型ロボットの動作に応じて、引っ張りや曲げの力が付加される。付加される力の大きさによっては、プラズマヘッドからケーブルが抜ける、あるいはケーブルやケーブル内の線が断線する虞がある。
【0005】
本開示は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、プラズマヘッドに対してケーブルをより強固に固定できるプラズマ装置及び電力ケーブルの取り付け方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本明細書は、電極に電力を供給しプラズマを発生させるプラズマヘッドと、前記プラズマヘッドを移動させるヘッド移動装置と、先端部を前記電極に接続され、基端部を電源ユニットに接続され、前記電源ユニットから前記電極へ電力を供給する電力ケーブルと、前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第1規制部材と、前記第1規制部材の位置に比べて前記電力ケーブルの先端側に設けられ、前記プラズマヘッドに取り付けられ、前記プラズマヘッドに対する前記電力ケーブルの相対的な移動を規制する第2規制部材と、を備えるプラズマ装置を開示する。
また、本開示の内容は、プラズマ装置としての実施に限定されず、プラズマ装置における電力ケーブルの取り付け方法等としても実施可能である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッド移動装置がプラズマヘッドを移動させた場合に、電力ケーブルのプラズマヘッドに対する相対的な移動を、第1及び第2規制部材の2つの部材で規制する。第1及び第2規制部材は、電力ケーブルの異なる位置に取り付けられ、電力ケーブルの移動を規制する。これにより、電力ケーブルの移動を2箇所で規制することで、電力ケーブルの位置がプラズマヘッドの位置から相対的にずれることを抑制できる。電力ケーブルが、プラズマヘッドの移動に伴ってプラズマヘッドから抜ける、あるいはプラズマヘッドと位置がずれることで断線するなどの事態の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係わるプラズマ装置を示す図である。
【
図2】
図1の部分拡大図であり、プラズマヘッドの内部を透過的に示す図である。
【
図3】電力ケーブルに接続される電極の状態を示す図である。
【
図4】第1規制部材を一部切断した断面を示す部分断面図である。
【
図5】第2規制部材及び金属板を示し、電力ケーブルを透過的に示す図である。
【
図6】第2規制部材及び金属板を示す斜視図である。
【
図8】電極及び本体側プラズマ通路の位置においてX方向及びZ方向にプラズマヘッドを切断した断面の斜視図である。
【
図11】導体被覆部材の開口から露出した導体を模式的に示す模式図である。
【
図13】第2実施形態のプラズマヘッド及び電力ケーブルの分解斜視図である。
【
図14】第2実施形態のプラズマヘッド及び電力ケーブルの側面図である。
【
図16】金属プレート及び支持部材の拡大図である。
【
図17】治具に金属プレートを取り付けた状態を示す図である。
【
図18】治具に電力ケーブルを取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本開示を実施するための一形態を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係わるプラズマ装置10を示している。
図1に示すように、第1実施形態のプラズマ装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に着脱可能に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)である。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に保持された状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて位置や向きを変更され、3次元的に移動可能となっている。
【0011】
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源部15A及びプラズマヘッド11へ処理ガスを供給するガス供給部15Bを有している。電源部15Aは、電力ケーブル16を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源部15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極33(
図3参照)に印加する電圧を変更する。
【0012】
また、ガス供給部15Bは、複数(本実施形態では3本)のガスチューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されている。ガス供給部15Bは、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガス及びキャリアガスを処理ガスとしてプラズマヘッド11へ供給する。制御ボックス15は、ガス供給部15Bを制御し、ガス供給部15Bからプラズマヘッド11へ供給する処理ガスの量などを制御する。そして、プラズマ装置10は、制御ボックス15の制御に基づいてロボット13を動作させ、テーブル17の上に載置された被処理物Wに対してプラズマヘッド11からプラズマガスを照射する。
【0013】
また、制御ボックス15は、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力に基づいて各種の情報を受け付ける。
【0014】
図2は、
図1の部分拡大図であり、プラズマヘッド11の内部を透過的に示している。尚、
図2は、図面が繁雑となるのを避けるため、ガスチューブ19の図示を省略している。
図2に示すように、プラズマヘッド11は、一方向に長い略直方体形状をなしている。プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に設けられた取付板13Aに対して着脱可能に設けられている。これにより、プラズマヘッド11は、種類の異なるプラズマヘッド11に交換可能となっている。プラズマヘッド11は、プラズマ生成部21を備えている。プラズマ生成部21は、制御ボックス15のガス供給部15B(
図1参照)から供給された処理ガスをプラズマ化して、プラズマガスを生成する。本実施形態のプラズマヘッド11は、プラズマ生成部21において生成したプラズマガスを、
図1に示す被処理物Wへ噴出する。プラズマヘッド11には、
図2に示す矢印の方向に上流側から下流側へと処理ガスが供給される。
【0015】
尚、
図2に示すプラズマヘッド11の構成は、一例である。例えば、プラズマヘッド11は、加熱したヒートガスをプラズマガスとともに被処理物Wへ噴出する構成でも良い。また、プラズマヘッド11は、ヒートガスを供給するための配管やヒートガスを加熱するヒータなどを備えても良い。このヒートガスは、例えば、加熱した空気であり、プラズマガスを保護するシールドガスとして機能するものである。
【0016】
図3は、電力ケーブル16に接続された電極33を模式的に示している。
図2及び
図3に示すように、電力ケーブル16は、一対の電力線16Aと、一対の電力線16Aを被覆するケーブル被覆部材16Bとを有している。一対の電力線16Aの各々は、導体16Cと、導体被覆部材16Fとを備えている。一対の導体被覆部材16Fの各々には、導体16Cが挿入されている。一対の導体16Cの各々は、基端部を制御ボックス15の電源部15Aに接続され、先端部に端子16Dが接続されている。各導体16Cの端子16Dには、電極33がそれぞれ電気的に接続されている。電極33は、導体16Cを介して電源部15Aから電力を供給される。尚、
図3は、電極33を模式的に図示している。また、
図3は、プラズマヘッド11の筐体やプラズマ生成部21の図示を省略している。
【0017】
一対の電力線16Aは、ケーブル被覆部材16Bにまとめて挿入されている。電力線16Aの導体被覆部材16Fは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料により形成されている。一対の電力線16Aは、例えば、絶縁性を有するテープにより被覆されており、ケーブル被覆部材16B内での位置ずれを抑制されている。従って、一対の電力線16Aは、ケーブル被覆部材16Bの移動(引っ張り、曲げ、捻り)に合わせて、ケーブル被覆部材16Bとともに移動する。尚、一対の電力線16Aは、ケーブル被覆部材16B内で相対的に移動可能な構成でも良い。また、一対の電力線16Aは、別々のケーブル被覆部材16Bで被覆される構成でも良い。
【0018】
ケーブル被覆部材16Bは、絶縁性を有する樹脂材料、例えば、剛性の高いゴムである。ケーブル被覆部材16Bは、例えば、制御ボックス15内からプラズマヘッド11内まで一対の電力線16Aを被覆している。ケーブル被覆部材16Bは、第1規制部材41と、第2規制部材43とによってプラズマヘッド11に取り付けられて、プラズマヘッド11に対する相対的な移動を規制されている。第1規制部材41及び第2規制部材43の詳細については、後述する。
【0019】
ケーブル被覆部材16Bは、プラズマヘッド11内の先端部において、先端に向かうに従って複数の段階(図示例では2段階)に外径を小さくし、先細り形状となる段差部16Eを有している。一対の電力線16Aは、この段差部16Eの先端の開口から外に排出され、二股に分岐している。プラズマ生成部21の上面には、電力線16Aを挿入する電力線挿入部21Aと、ガスチューブ19を挿入するガスチューブ挿入部21Bとが設けられている(
図2参照)。段差部16Eから排出された一対の電力線16Aは、一対の電力線挿入部21Aにそれぞれ挿入され、プラズマ生成部21内の電極33に接続されている。
【0020】
プラズマ生成部21は、例えば、耐熱性の高いセラミックにより成形されており、プラズマガスを発生させる反応室73(
図8参照)が内部に形成されている。一対の電極33の各々は、例えば、その先端部を反応室73に突出させた状態で固定されている。以下の説明では、一対の電極33を、単に電極33と称する場合がある。
【0021】
また、ガスチューブ19の各々は、プラズマヘッド11に挿入され、プラズマ生成部21のガスチューブ挿入部21Bの各々に挿入される。各ガスチューブ19の先端部は、反応室73と連通している。3本のガスチューブ19は、例えば、反応ガスを供給する1本のガスチューブ19と、キャリアガスを供給する2本のガスチューブ19である。
【0022】
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できる。ガス供給部15Bは、例えば、ガスチューブ19を介して、酸素と窒素(N2)との混合気体(例えば、乾燥空気(Air))を、反応室73の電極33の間に流入させる。以下、この混合気体を、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。キャリアガスとしては、窒素を採用できる。ガス供給部15Bは、2本のガスチューブ19を介して、一対の電極33の各々を取り巻くようにキャリアガスを流入させる。
【0023】
一対の電極33には、制御ボックス15の電源部15Aから交流の電圧が印加される。電圧を印加することによって、反応室73(
図8参照)内において一対の電極33の間に、擬似アークA(
図8参照)が発生する。この擬似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、一対の電極33は、擬似アークAの放電を発生させ、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。
【0024】
また、プラズマ生成部21の先端部には、ノズル35(
図2参照)が取り付けられている。ノズル35は、例えば、耐熱性の高いセラミックにより成形されている。ノズル35は、ボルト等により、プラズマ生成部21の下面に取り付けられ、着脱可能となっている。ノズル35内には、複数のノズル側プラズマ通路89(
図8参照)が形成されている。複数のノズル側プラズマ通路89の上流側は、反応室73に接続されており、複数のノズル側プラズマ通路89の下流側は、ノズル35の下端面の開口89A(
図8参照)に接続されている。
【0025】
上記した構成のプラズマヘッド11では、プラズマ生成部21の反応室73において放電を生じさせ、プラズマガスを発生させることで、そのプラズマガスをノズル35の先端から噴出し、被処理物Wに対してプラズマ処理を施す。プラズマガスの効能により被処理物Wの濡れ性などを高めることができる。
【0026】
次に、電力ケーブル16の移動を規制する第1規制部材41及び第2規制部材43について説明する。
図4は、第1規制部材41を一部切断した断面を示す部分断面図である。
図4に示すように、第1規制部材41は、規制本体部45、ロックナット47、及び螺合部材49等を備えている。第1規制部材41は、例えば、所謂、ケーブルグランドであり、樹脂により形成されている。尚、第1規制部材41を、金属により形成しても良い。また、第1規制部材41は、一部が金属や樹脂で形成される構成でも良い。例えば、規制本体部45や螺合部材49を金属により形成しても良い。以下の説明では、
図4に示す状態を基準として説明し、
図4における紙面上側を上方、紙面下側を下方として説明する。
【0027】
図4に示すように、規制本体部45は、上下方向に延びる略円筒形状をなし、上下方向の中央部にフランジ部45Aが形成されている。フランジ部45Aは、例えば、規制本体部45から外側に突出し、上下方向に所定の厚みをもった板状をなしている。フランジ部45Aは、規制本体部45と一体的に形成され規制本体部45に対して固定されている。フランジ部45Aの外周形状は、例えば、正六角形に形成されている。
【0028】
規制本体部45は、フランジ部45Aの上方側に第1被螺合部45Bが形成され、フランジ部45Aの下方側に第2被螺合部45Cが形成されている。第1被螺合部45B及び第2被螺合部45Cは、規制本体部45の外周面において上下方向に所定のピッチで形成されている。
【0029】
プラズマヘッド11の上面には、第1規制部材41を取り付けるための固定板51が設けられている。固定板51には、電力ケーブル16を挿入する位置に合せて挿入孔51Aが形成されている(
図5参照)。挿入孔51Aは、断面が略円形をなし、上下方向に沿って固定板51を貫通している。挿入孔51Aの内径は、電力ケーブル16の外径よりも大きく、規制本体部45の外径に合わせた大きさで形成されている。
【0030】
第1規制部材41は、規制本体部45の下端部を挿入孔51Aに挿入し、第2被螺合部45Cを固定板51から下方へ突出した状態で、固定板51に取り付けられる。第1規制部材41は、フランジ部45Aを固定板51の上面に接触させた状態となる。第1規制部材41は、下端からロックナット47を第2被螺合部45Cに螺合され、フランジ部45Aとロックナット47とで固定板51を挟み込み、固定板51に対して固定される。尚、ロックナット47と固定板51との間にワッシャー等の調整部材を配置しても良い。
【0031】
また、第1規制部材41は、螺合部材49の内側に弾性部材53を有する。弾性部材53は、例えば、環状のゴムである。また、螺合部材49と弾性部材53との間には、爪部材54が設けられている。爪部材54は、例えば、上下方向に長い筒状をなし、複数のスリットを形成された所謂コレット形状をなしている。爪部材54は、螺合部材49を第1被螺合部45Bに螺合させるに従って、例えば、螺合部材49を第1被螺合部45Bの上端から下方へと締め付けていくに従って、弾性部材53を電力ケーブル16へ締め付ける力を強くする。第1規制部材41は、ゴムである弾性部材53をケーブル被覆部材16Bの外周面に接触させ、摩擦力により電力ケーブル16の移動を規制する。このように、第1規制部材41は、ロックナット47によってプラズマヘッド11に固定され、螺合部材49によって電力ケーブル16の移動を規制する。
【0032】
本実施形態のプラズマ装置10では、例えば、ロボット13の動作(プラズマヘッド11の移動、プラズマヘッド11の向きの変更等)に応じて、電力ケーブル16に様々な力が作用する。
図3に示すように、電力ケーブル16には、例えば、電力ケーブル16をプラズマヘッド11から引き抜く引っ張り方向55の力、電力ケーブル16を曲げる方向56の力、電力ケーブル16を捻る方向57の力などが加わる。その結果、電力ケーブル16の位置ずれが発生する虞がある。特に、導体16Cは、樹脂材料のケーブル被覆部材16Bに比べて柔軟性が低いため、引張り力等により断線する可能性が高い。これに対し、本実施形態の第1規制部材41は、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の相対的な移動(方向55,56,57への移動)を規制し、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の位置ずれの発生を抑制する。これにより、ケーブル被覆部材16Bや導体16C等の位置ずれや断線の発生を抑制することができる。
【0033】
従って、本実施形態の第1規制部材41は、電力ケーブル16を挿入可能な弾性部材53と、プラズマヘッド11に取り付けられる規制本体部45と、を備える。第1規制部材41の螺合部材49は、弾性部材53を挿入され、規制本体部45に設けられた第1被螺合部45Bに対して螺合され、螺合される上下方向の位置に応じて弾性部材53を電力ケーブル16へ締め付ける力を変更する。
【0034】
これによれば、第1規制部材41は、樹脂性の弾性部材53を電力ケーブル16に接触させ、弾性部材53の締め付けによって電力ケーブル16の移動を規制する。これにより、電力ケーブル16の移動を規制する場合に、電力ケーブル16が損傷や断線する事態の発生を抑制できる。
【0035】
また、本実施形態のプラズマ装置10では、第2規制部材43によっても電力ケーブル16の移動を規制している。
図5は、第2規制部材43及び第2規制部材43を固定する金属板61を示し、電力ケーブル16を透過的に示している。また、
図5は、プラズマヘッド11の図示を一部省略し、第1規制部材41を取り除いた状態を示している。また、
図6は、第2規制部材43及び金属板61の斜視図を示している。
【0036】
図5及び
図6に示すように、第2規制部材43は、金属バンド63と、ボルト65を有している。また、プラズマヘッド11内には、金属板61が取り付けられている。金属板61は、略T字形状をなし、基部61Aと、突出部61Bとを有している。基部61Aは、略長方形の薄い板状をなし、長手方向の両端部に貫通孔61Cがそれぞれ形成されている。金属板61は、貫通孔61Cに挿入されたボルト(図示略)をプラズマヘッド11の本体部分に螺合されることで、プラズマヘッド11に対して固定されている。
【0037】
突出部61Bは、基部61Aと一体的に形成され、長手方向における基部61Aの中央部から上方へと突出した板状をなしている。突出部61Bは、一定の幅で上方へ延び、先端に一対の係合部61Dが形成されている。一対の係合部61Dは、突出部61Bの先端において、突出部61Bの長手方向と直交する方向へ(先端から両側へ)突出している。
【0038】
第2規制部材43は、第1規制部材41から引き出された電力ケーブル16の先端と金属板61とを固定している。第2規制部材43の金属バンド63は、第1規制部材41の下方において、電力ケーブル16(ケーブル被覆部材16B)と、突出部61Bとの両方に巻き付けられている。金属バンド63は、
図4~
図6における上下方向において一定の幅を有している。金属バンド63は、ボルト65を締め付けられるに従って、その内径を小さくする。ボルト65によって金属バンド63を締め付ける構造は、特に限定されない。例えば、金属バンド63の両端に設けた一対の被螺合部間の距離を、ボルト65の締め付けに応じて近づけ、金属バンド63の内径を徐々に小さくしても良い。
【0039】
尚、
図5及び
図6に示す第2規制部材43の構成は、一例である。例えば、
図7に示すように、第2規制部材43の金属バンド63として、円弧形状のバンドを採用しても良い。また、金属板61として、長方形状の板を採用しても良い。そして、第2規制部材43の両端をボルト65で金属板61に固定し、円弧形状の金属バンド63によって電力ケーブル16を金属板61に固定しても良い。
【0040】
図6に示すように、金属バンド63は、金属板61の係合部61Dの下方において突出部61Bに巻き付けられている。これにより、金属バンド63は、電力ケーブル16及び突出部61Bに巻き付けられた状態で係合部61Dに係合し、金属板61から抜けるのを抑制されている。本実施形態の第2規制部材43は、第1規制部材41と同様に、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の相対的な移動(方向55,56,57への移動)を規制し、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の位置ずれの発生を抑制する。これにより、ケーブル被覆部材16Bや導体16C等の位置ずれや断線の発生を抑制することができる。
【0041】
従って、本実施形態の第1規制部材41は、樹脂性の部材(弾性部材53)を電力ケーブル16に接触させ、電力ケーブル16の移動を規制する。また、第2規制部材43は、金属製の部材(金属バンド63)を電力ケーブル16に接触させ、電力ケーブル16の移動を規制する。ここで、第1規制部材41は、第2規制部材43の位置に比べて電力ケーブル16の基端側(制御ボックス15側)に取り付けられている。このため、電力ケーブル16は、プラズマヘッド11の移動に伴って左右や前後に曲げられたり捻られたりすると、第1規制部材41を起点として変形する(
図3の方向55,56,57参照)。換言すれば、電力ケーブル16は、第1規制部材41と接触しながら曲げられたり捻られたりする。これに対し、第1規制部材41は、ゴム等の樹脂性の弾性部材53を電力ケーブル16に接触させ電力ケーブル16の移動を規制する。これにより、電力ケーブル16の移動を規制する場合に、電力ケーブル16が損傷や断線する事態の発生を抑制できる。
【0042】
また、第2規制部材43は、金属製の金属バンド63を電力ケーブル16に接触させて、電力ケーブル16の移動を規制する。金属性の部材は、樹脂性の部材に比べて剛性が高く、より強固に電力ケーブル16を固定できる。一方、金属製の部材は、樹脂性の部材に比べて電力ケーブル16を損傷させてしまう可能性が高くなる。これに対し、第2規制部材43を、第1規制部材41の位置に比べて電力ケーブル16の先端側(
図3における下方側)に設ける。これにより、例えば、基端側の第1規制部材41によって電力ケーブル16の曲げ方向56や捻り方向57の移動を規制しつつ、先端側の第2規制部材43によって電力ケーブル16の抜け方向55の移動を強固に規制できる。
【0043】
また、第2規制部材43は、金属製の金属バンド63を有し、電力ケーブル16を金属バンド63で締め付けた状態でプラズマヘッド11に固定される。これによれば、第2規制部材43として金属バンド63を用いることで、電力ケーブル16をプラズマヘッド11に対してより強固に固定できる。特に、金属バンド63によって電力ケーブル16の抜け方向55への移動をより強固に規制できる。
【0044】
また、プラズマヘッド11は、金属バンド63に挿入される金属板61(突出部61B)を備える。金属バンド63は、電力ケーブル16及び金属板61を挿入され、金属板61に電力ケーブル16を締め付けて固定する。これによれば、金属バンド63は、プラズマヘッド11の金属板61とともに、電力ケーブル16を締め付けて(所謂共締めで締め付けて)、電力ケーブル16をプラズマヘッド11に対して固定する。これにより、電力ケーブル16を板状の金属板61に締め付け、プラズマヘッド11に対して強固に固定できる。
【0045】
また、
図3に示すように、第1規制部材41は、固定軸59に電力ケーブル16を沿わせた状態で電力ケーブル16の位置を固定する。この固定軸59は、例えば、電力ケーブル16をプラズマヘッド11へ挿入する挿入方向に沿った方向である。また、第2規制部材43も、固定軸59に電力ケーブル16を沿わせた状態で電力ケーブル16の位置を固定する。即ち、第2規制部材43は、第1規制部材41と同一軸で電力ケーブル16を固定する。例えば、第1規制部材41に挿入された電力ケーブル16の中心と、第2規制部材43に挿入された電力ケーブル16の中心は、固定軸59上となっている。
【0046】
これによれば、固定する軸を同一軸にすることで、上記した曲げ、捻り、抜けなどの移動を規制する能力を、互いに良好に補完することができる。電力ケーブル16や導体16Cを損傷させずに強固に固定できる。また、固定軸59を同一軸にすることで、第1規制部材41や第2規制部材43を配置するスペースを小さくでき、プラズマヘッド11の小型化を図ることができる。
【0047】
(プラズマ生成部21の詳細な構成について)
次に、導体被覆部材16Fから露出させた導体16Cに折り返し部分を設けた場合の構造について、
図8~
図11を参照しつつ、説明する。尚、
図8~
図11は、上記したプラズマ装置10の導体16Cに折り返し部分(余剰、ゆとりの部分)を設けた場合の構造の一例を示しており、上記実施例と一部形状等が異なる部分が存在する。
図8に示すように、プラズマ生成部21は、ヘッド本体71、一対の電極33等を有している。一対の電極33の各々は、例えば、円柱形状をなしており、その先端部をヘッド本体71の反応室73に突出させた状態で、電極固定部材75によって固定されている。以下の説明では、
図8に示すように、一対の電極33が並ぶ方向をX方向、円柱形状の電極33の軸方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向と称して説明する。
【0048】
電極33の一部や電極固定部材75は、セラミックス等の絶縁体で製造された電極カバー77によって周囲を囲まれている。電極カバー77の内周面と電極33の外周面との間の隙間は、ガス通路79として機能する。電極カバー77の下流側の開口は、反応室73に接続されている。また、ヘッド本体71の内部には、反応ガス流路81と、一対のキャリアガス流路83とが形成されている。反応ガス流路81は、ガスチューブ19(
図1参照)を介してガス供給部15Bから供給される反応ガスを反応室73へ流入させる。また、一対のキャリアガス流路83は、一対のガスチューブ19の各々に接続され、ガス供給部15Bからキャリアガスが供給される。キャリアガス流路83は、ガス通路79を介してキャリアガスを反応室73へ流入させる。尚、プラズマヘッド11が備える電極33の数は、2個に限らず、他の複数個でも良い。
【0049】
また、ヘッド本体71における反応室73の下流側の部分には、複数の本体側プラズマ通路85が形成されている。複数の本体側プラズマ通路85の上流端は反応室73に接続され、下流端はヘッド本体71の下端面に開口している。また、ノズル35には、Z方向に貫通する複数のノズル側プラズマ通路89が形成されている。複数のノズル側プラズマ通路89の各々は、上端において複数の本体側プラズマ通路85の各々に接続されている。反応室73で発生したプラズマガスは、キャリアガスとともに、本体側プラズマ通路85及びノズル側プラズマ通路89を経由し、ノズル側プラズマ通路89の下端の開口89Aから噴出される。
【0050】
図9及び
図10に示すように、電力ケーブル16の電力線16Aは、導体16Cと、導体16Cを被覆する導体被覆部材16Fと、端子16Dを有している。導体16Cは、例えば、銅製の金属線である。導体被覆部材16Fは、例えば、円筒形状をなす、絶縁性の樹脂材料で形成されたチューブである。尚、本開示の導体の材料は、銅に限らず、金等の他の導電性材料でも良い。
【0051】
端子16Dは、導電性の金属部材であり、所謂、丸端子である。端子16Dは、圧着部91と、端子板93とを有している。圧着部91は、例えば、円筒形状をなし、導体16Cの先端に圧着されている。端子板93は、薄い板状をなし、貫通孔(図示略)に挿入された螺合部材95(ボルトなど)を電極固定部材75に螺合することで、電極33に対して固定されている。これにより、導体16Cを電極33に対して電気的且つ物理的に強固に固定できる。尚、導体16Cを電極33に接続する接続部材としては、丸端子に限らず、例えば、U字形状の端子など、他の接続部材を採用できる。また、端子16Dの取り付け位置は、導体16Cの先端に限らず、導体16Cの露出した部分の途中の位置でも良い。また、
図8に示すように、本実施例の電力ケーブル16には、一対の導体16Cの他に、アース線90が挿入されている。アース線90の先端は、プラズマヘッド11の壁面に設けられた金属板にボルト90Aによって固定されている。また、アース線90の基端は、制御ボックス15において接地されている。制御ボックス15は、アース線90に流れる誘導電流等を検出することで、電力異常等を検出できる。
【0052】
また、
図9及び
図10に示すように、導体16Cは、導体被覆部材16Fの先端の開口97から所定の長さだけ伸びており露出した状態となっている。導体16Cは、その露出された先端に圧着部91が取り付けられている。また、導体16Cは、露出した部分の途中で折り曲げられ曲げ部99が形成されている。従って、圧着部91は、導体16Cの曲げ部99よりも先端に設けられている。そして、導体16Cは、折り曲げられた状態のまま端子16Dにより電極33に固定されている。
【0053】
ここで、上記したように、本実施例の電力ケーブル16は、第1規制部材41及び第2規制部材43によってプラズマヘッド11に取り付けられ、移動を規制されている。第1規制部材41及び第2規制部材43によって移動を規制しても、電力ケーブル16の導体16Cが、ロボット13の動作速度や加速度等によっては、僅かに(例えば、数百μmレベルで)引っ張られる可能性がある。仮に、導体16Cの先端部分に余裕をもたせず、導体被覆部材16Fの開口97から端子16Dまで導体16Cを最短距離で結び張り詰めた状態で固定すると、数百μmの僅かなずれ(引張り動作)であっても、導体16Cが、損傷や断線する虞がある。
【0054】
そこで、本実施例の導体16Cは、導体被覆部材16Fから露出した部分において曲げ部99を設けて撓ませ、仮に、ロボット13の動作によって基端側に導体16Cが引っ張られたとしても、曲げ部99を伸ばすことで引張りによるずれを吸収し、導体16Cの先端に付与される引張り力を低減する。その結果、導体16Cの損傷等の発生を抑制する。従って、曲げ部99の曲げ量(余剰の長さ)は、例えば、第1規制部材41及び第2規制部材43で移動を規制した状態でロボット13の動作によって引っ張られる導体16Cのずれる最大長以上の長さを設定することが好ましい。
【0055】
図11に示すように、導体16Cは、基端側の開口97から引き出される基端位置101から圧着部91に圧着される先端位置103まで伸びている。導体16Cの全体のうち、導体被覆部材16F(開口97)から露出させた部分の長さは、開口97内における導体16Cの位置、即ち基端位置101と、圧着部91に導体16Cを取り付ける先端位置103との2つの位置を結ぶ最短距離Lよりも長くなっている。導体16Cは、例えば、S字形状に湾曲しており、最短距離Lよりも長い余剰分だけ曲げられ曲げ部99が形成されている。これにより、仮に、
図11における上方へ導体16Cが引っ張られたとしても、曲げ部99を伸ばすことで、引張りによるずれを吸収できる。
【0056】
(電力ケーブル16の取り付け方法)
次に、電力ケーブル16の取り付け手順の一例について説明する。詳述すると、まず、作業員は、第1規制部材41に挿入した電力ケーブル16の先端部をプラズマヘッド11の挿入孔51A(
図4参照)に挿入する。次に、電力ケーブル16の挿入した先端部を、第2規制部材43によってプラズマヘッド11に取り付ける。ボルト65(
図4参照)を螺合して第2規制部材43の締め付けによって電力ケーブル16の移動を規制する(本開示の第1取付工程の一例)。
【0057】
次に、導体被覆部材16Fから露出させた導体16Cを折り曲げて、端子16Dを電極33に固定する(本開示の第2取付工程の一例)。例えば、導体被覆部材16Fから露出する導体16Cの長さが、第2規制部材43で電力ケーブル16を予め設定された位置に固定した場合に、上記した最短距離L以上の長さ(ずれる最大長以上)となるように調整されている。これにより、作業員が端子16Dを固定すると、余った部分が折り曲げられ、曲げ部99が形成される。そして、作業員は、電力ケーブル16の基端側に設けられた第1規制部材41をプラズマヘッド11の挿入孔51A等に取り付ける(本開示の第3取付工程の一例)。電力ケーブル16は、プラズマヘッド11に対して固定された状態となる。このようにして、導体16Cの露出部分の長さを予め調整し取り付け作業を行なうことで、曲げ部99を形成した状態で導体16Cを固定できる。
【0058】
また、本実施例の電極33は、Z方向(本開示の長手方向の一例)に沿って延設される円柱形状をなしている。
図11に示すように、端子16Dと、導体被覆部材16Fの開口97とは、Z方向と平行な直線上に配置されている。換言すれば、導体16Cは、開口97からZ方向の下方へと伸び、下方の先端部分において端子16Dで固定されている。これにより、開口97、導体16C、端子16D、電極固定部材75、電極33等をZ方向と平行な一直線上に配置することができ、配置するスペースを削減することができる。その結果、曲げ部99を設けて断線等の抑制を図りつつ、プラズマヘッド11の小型化を図ることができる。
【0059】
因みに、電源部15Aは、電源ユニットの一例である。ロボット13は、ヘッド移動装置の一例である。端子16Dは、接続部材の一例である。螺合部材49は、環状螺合部材の一例である。第1被螺合部45Bは、被螺合部の一例である。
【0060】
以上、上記した第1実施形態では、以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、プラズマヘッド11へ電力を供給する電力ケーブル16が、第1規制部材41及び第2規制部材43によって移動を規制されている。第2規制部材43は、第1規制部材41の位置に比べて電力ケーブル16の先端側に設けられ、プラズマヘッド11に取り付けられ、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の相対的な移動を規制する。
【0061】
これによれば、ロボット13がプラズマヘッド11を移動させた場合に、電力ケーブル16のプラズマヘッド11に対する相対的な移動を、第1規制部材41及び第2規制部材43の2つの部材で規制する。第1規制部材41及び第2規制部材43は、電力ケーブル16の異なる位置に取り付けられ、電力ケーブル16の移動を規制する。これにより、電力ケーブル16の移動を2箇所で規制することで、電力ケーブル16の位置がプラズマヘッド11の位置から相対的にずれることを抑制できる。電力ケーブル16が、プラズマヘッド11の移動に伴ってプラズマヘッド11から抜ける、あるいはプラズマヘッド11と位置がずれることで断線するなどの事態の発生を抑制できる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、第2規制部材43をプラズマヘッド11の内部に設けた。これに対し、第2実施形態では、
図13及び
図14に示すように、第1規制部材111及び第2規制部材112を、プラズマヘッド11Aの外部に設けた構成となっている。尚、以下の説明では、上記した第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0063】
詳述すると、
図13及び
図14に示すように、第2実施形態のプラズマ装置10は、プラズマヘッド11A、電力ケーブル16、ブラケット113、金属プレート114を備えている。プラズマヘッド11Aの上面には、電力ケーブル16を取り付ける部分に第1コネクタ116が設けられている。また、電力ケーブル16の先端には、第1コネクタ116に取り付けられる第2コネクタ117が取り付けられている。尚、
図13及び
図14は、ガスチューブ19(
図1参照)の図示を省略している。
【0064】
第1及び第2コネクタ116,117は、例えば、絶縁性を有する樹脂で形成され、電力ケーブル16の一対の電力線16Aを別々の通路を通じて接続可能となっている。
図15は、第2コネクタ117の内部構造を透過的に示している。
図15に示すように、第2コネクタ117は、本体部117A、一対のクランプ部材117Bを有している。本体部117Aは、一対の電力線16Aの各々を通す通路を有し二股に分岐している。本体部117Aの二股に分岐した部分は、第1コネクタ116に設けられた一対の挿入孔116A(
図13参照)にそれぞれ挿入される。また、本体部117Aに挿入された電力線16Aの導体16Cの先端部には、ピン117Cが設けられている。一対の導体16Cの各々に設けられたピン117Cは、第1コネクタ116に設けられたピン挿入部118(
図14参照)に電気的に接続される。ピン挿入部118は、電極33(
図8参照)に電気的に接続されている。
【0065】
一対のクランプ部材117Bは、電力線16Aの外形に合せた溝が2つ形成され、各溝に電力線16Aを嵌め込んだ状態で側方から挟み込んでいる。これにより、2つの電力線16Aを、絶縁を図りながら挟持して固定することができる。クランプ部材117B及び本体部117Aの各々には、ボルト(図示略)を上方から挿入可能な挿入孔117Dが形成されている。第2コネクタ117は、一対のクランプ部材117Bで電力線16Aを挟持し、本体部117Aの上方に取り付けたクランプ部材117Bの挿入孔117Dにボルトを挿入される。このボルトを第1コネクタ116の雌ネジ(図示略)に螺合することで、第2コネクタ117を第1コネクタ116に固定、即ち、電力ケーブル16をプラズマヘッド11Aに固定することができる。
【0066】
また、
図13及び
図14に示すように、ブラケット113は、一方向に長い板状の金属部材であり、例えば、鉄により形成されている。ブラケット113は、例えば、
図2に示すロボット13の先端に設けられた取付板13A、又は取付板13Aに取り付けられる部材である。ブラケット113は、一方向として、例えば、第1コネクタ116に第2コネクタ117を挿入する挿入方向に沿って長い略長方形の板状をなしている。ブラケット113の下流側(
図13の下方側)の端部には、薄い板状の第1取付板113Aが固定されている。第1取付板113Aは、複数のボルト119によってプラズマヘッド11Aの背面115に固定されている。背面115は、本開示の外周面の一例である。尚、ブラケット113を取り付ける外周面は、背面115に限らず側面や前面でも良い。
【0067】
また、ブラケット113の上流側の端部には、薄い板状の第2取付板113Bが固定されている。第2取付板113Bには、支持部材121が取り付けられている。
図14及び
図16に示すように、支持部材121は、板状の部材の両端を同一方向(
図14における下方)へ折り曲げた形状をなしており、基端を折り曲げた基端部121Aを、ボルト123によって第2取付板113Bに固定されている。また、支持部材121の折り曲げた先端部121Bには、金属プレート114が一対のボルト124によって固定されている。尚、ブラケット113、支持部材121及び金属プレート114の固定方法は、ボルト119,123,124に限らず、ネジやナットを用いた方法でも良く、溶接による固定方法でも良い。
【0068】
金属プレート114は、略T字形状をなし、基部114Aと、突出部114Bとを有している。基部114Aは、略長方形の薄い板状をなし、長手方向の両端部にボルト124を挿入する貫通孔114Cがそれぞれ形成されている。突出部114Bは、基部114Aと一体的に形成され、長手方向における基部114Aの中央部から上方へと突出した板状をなしている。突出部114Bには、2つの第1規制部材111と、1つの第2規制部材112が取り付けられている。第1規制部材111は、例えば、インシュロック(登録商標)などの樹脂性の結束バンドである。2つの第1規制部材111は、突出部114Bの延設方向、換言すれば、金属プレート114に固定された電力ケーブル16の延びる方向において所定の隙間を間に設けて配置されている。
【0069】
第2規制部材112は、第1規制部材111の位置に比べて電力ケーブル16の先端側(下流側)に設けられている。第2規制部材112は、例えば、第1実施形態の第2規制部材43と同様に、金属バンド126と、ボルト127(
図18参照)を有している。金属バンド126は、ボルト127の締め付けに応じて、電力ケーブル16を金属プレート114に締め付ける。尚、第1規制部材111は、1つや3つ以上の複数個でも良い。また、第2規制部材112は、複数個でも良い。
【0070】
突出部114Bには、第1及び第2規制部材111,112を締め付ける位置に合せて切り欠いた溝部114Dが形成されている。溝部114Dは、突出部114Bの側縁部を幅方向の内側へ凹まして形成されている。第1及び第2規制部材111,112の各々は、電力ケーブル16及び突出部114Bを挿入され、金属プレート114に電力ケーブル16を締め付けて固定されている。また、第1及び第2規制部材111,112の各々は、溝部114Dに挿入された状態で、金属プレート114に電力ケーブル16を締め付け、溝部114Dによって電力ケーブル16の延設方向(
図16の上下方向)への移動を規制されている。これにより、第1及び第2規制部材111,112の各々は、金属プレート114、支持部材121、ブラケット113を介してプラズマヘッド11Aに対して強固に取り付けられる。電力ケーブル16の移動を3箇所で規制することで、電力ケーブル16の位置がプラズマヘッド11Aに対して相対的にずれることを抑制できる。電力ケーブル16が、プラズマヘッド11Aの移動に伴ってプラズマヘッド11Aから抜ける、あるいはプラズマヘッド11Aと位置がずれることで断線するなどの事態の発生を抑制できる。
【0071】
また、
図14に示すように、電力ケーブル16は、第2コネクタ117(ピン117C)と金属プレート114の間において撓ませた状態のまま第1及び第2規制部材111,112により金属プレート114に取り付けられている。詳述すると、電力ケーブル16は、支持部材121の分だけ第2取付板113B(ブラケット113)から離れた位置で金属プレート114に固定されている。電力ケーブル16における金属プレート114に取り付けられた部分は、電力ケーブル16におけるプラズマヘッド11Aに取り付けられた部分(第2コネクタ117)よりも
図14における左側にずれた位置となっている。そして、側方から見た場合に、電力ケーブル16は、金属プレート114に固定された位置から略S字形状に湾曲して撓んだ状態でプラズマヘッド11Aに固定されている。
【0072】
ここで、第1及び第2規制部材111,112によって移動を規制しても、電力ケーブル16の導体16Cが、ロボット13の動作速度や加速度等によっては、僅かに引っ張られる可能性がある。第2実施形態の導体16Cは、
図15に示すように、第2コネクタ117に固定されたピン117Cに先端部を取り付けられている。仮に、電力ケーブル16に余裕をもたせず、金属プレート114から第2コネクタ117まで電力ケーブル16を最短距離で結んで張り詰めた状態で固定すると、数百μmの僅かなずれであっても、導体16Cがピン117Cから断線する虞がある。そこで、第2実施形態の電力ケーブル16は、金属プレート114と第2コネクタ117の間で電力ケーブル16を折り曲げて撓ませ、仮に、基端側(
図1の制御ボックス15側)に電力ケーブル16が引っ張られたとしても、電力ケーブル16の撓ませておいた部分を伸ばすことで引張りによるずれを吸収し、導体16Cの先端に付与される引張り力を低減する。その結果、導体16Cの損傷等の発生を抑制する。従って、電力ケーブル16の曲げ量(余剰の長さ)は、例えば、第1及び第2規制部材111,112で移動を規制した状態でロボット13の動作によって引っ張られる導体16Cのずれる最大長以上の長さを設定することが好ましい。
【0073】
また、
図14及び
図16に示すように、金属プレート114の上流側の端部には、湾曲部114Eが形成されている。湾曲部114Eは、下流側から上流側へ向かうに従って(
図14における下方から上方へ向かうに従って)電力ケーブル16から離間する方向(
図14の右方向)へ湾曲した形状をなしている。ここで、湾曲部114Eを、例えば、
図14における上下方向に沿った直線上に形成した場合、金属プレート114の上流側の縁部(エッジ)は、電力ケーブル16に近接した位置となる。ロボット13の移動に合わせて電力ケーブル16が移動すると、この縁部と電力ケーブル16が擦れることで、電力ケーブル16を損傷させてしまう可能性がある。そこで、縁部(エッジ)が電力ケーブル16からより遠く離れた位置となるように、金属プレート114には、上流側端部を離間する方向へ折り曲げて湾曲部114Eが形成されている。これにより、湾曲部114Eの縁部と電力ケーブル16との接触を避け、電力ケーブル16の損傷の発生を抑制することができる。
【0074】
(電力ケーブル16の取り付け方法)
次に、電力ケーブル16の取り付け手順の一例について説明する。電力ケーブル16の取り付けには、
図17に示す治具129を用いる。
図17は、治具129に金属プレート114を取り付けた状態を示している。
【0075】
図17に示すように、治具129は、一方向に長い金属の板で形成されており、ブラケット113を模擬した形状となっている。治具129は、例えば、軽量化を図る穴129Aが形成され、ブラケット113よりも取り扱いが容易となっている。治具129の一端(
図17における左側端部)には、金属プレート114を取り付け可能なプレート取付部131が設けられている。プレート取付部131は、基部114Aの貫通孔114C(
図16参照)の位置に合せてボルト124を締め付け可能な雌ネジ(図示略)が形成されている。また、治具129におけるプレート取付部131とは反対側の端部には、第2コネクタ117を取り付け可能なコネクタ取付部132が設けられている。コネクタ取付部132には、例えば、第1コネクタ116を模擬した模擬コネクタ133が取り付けられ、第2コネクタ117を装着可能となっている。
【0076】
プレート取付部131とコネクタ取付部132とは、治具129の長手方向において所定の距離だけ離れた位置に設けられている。この所定の距離は、例えば、
図17に示す距離L1が、
図14に示す距離L2に比べて長くなる距離である。距離L1は、治具129に取り付けられた金属プレート114(基部114A)の下流端と、模擬コネクタ133の上端との間の距離である。また、距離L2は、ブラケット113に固定した金属プレート114の下端と第2コネクタ117の上端との間の距離である。プレート取付部131とコネクタ取付部132は、例えば、プレート取付部131の平面に沿った同一平面状に配置されている。プレート取付部131の金属プレート114に電力ケーブル16を取り付け、その電力ケーブル16の第2コネクタ117を模擬コネクタ133に取り付けた場合、電力ケーブル16は、例えば、金属プレート114と第2コネクタ117の間において一直線上となる。換言すれば、電力ケーブル16は、例えば、金属プレート114と第2コネクタ117との間において治具129によって規定された距離L1の長さとなる。距離L1は、距離L2よりも長くなっている。そして、治具129から取り外した電力ケーブル16をブラケット113に取り付けた場合に、
図14に示すように、電力ケーブル16が撓むように、距離L1が規定されている。換言すれば、作業員は、予め治具129に金属プレート114や電力ケーブル16を取り付けることで、実際にプラズマヘッド11A(ブラケット113)に取り付けた場合に、電力ケーブル16を一律の量だけ撓ませることができる。
【0077】
取り付け作業では、まず、作業員は、治具129と、第2コネクタ117が取り付けられた電力ケーブル16を容易する。作業員は、コネクタ取付部132の模擬コネクタ133に第2コネクタ117を取り付ける。また、プレート取付部131に金属プレート114をボルト124により取り付ける(本開示の治具取付工程の一例)。
【0078】
図18は、治具129に電力ケーブル16を取り付けた状態を示している。尚、
図18は、電磁シールド用のカバー135が電力ケーブル16に取り付けられている。
図18に示すように、作業員は、金属プレート114をプレート取付部131に取り付け、第2コネクタ117を模擬コネクタ133に取り付けた後、電力ケーブル16を真っ直ぐ伸ばした状態で金属プレート114上に配設する。次に、電力ケーブル16及び金属プレート114の周りに、第1及び第2規制部材111,112を巻き付け、金属プレート114に電力ケーブル16を第1及び第2規制部材111,112によって締め付けて固定する(本開示の保持部材固定工程の一例)。そして、金属プレート114及び第2コネクタ117を治具129から取り外し、第2コネクタ117をプラズマヘッド11Aの第1コネクタ116に取り付け、プラズマヘッド11Aに取り付けられたブラケット113に金属プレート114を取り付ける(本開示のヘッド取付工程の一例)。これにより、上記したように、治具129で規定された距離L1の位置に金属プレート114が電力ケーブル16に予め固定され、
図14に示すように、ブラケット113に電力ケーブル16を取り付けた際に、第2コネクタ117と金属プレート114の間において電力ケーブル16を撓ませた状態のまま電力ケーブル16を治具129に取り付けることができる。
【0079】
尚、上記した取り付け手順の内容や順番は、一例である。例えば、金属プレート114をブラケット113に取り付けてから、ブラケット113をプラズマヘッド11Aに取り付けても良い。また、金属プレート114をブラケット113に取り付けた後に、第2コネクタ117を第1コネクタ116に取り付けても良い。
【0080】
因みに、上記第2実施形態において、金属プレート114は、保持部材の一例である。背面115は、外周面の一例である。第1コネクタ116は、ヘッド側コネクタの一例である。第2コネクタ117は、ケーブル側コネクタの一例である。
【0081】
以上、上記した第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。また、第2実施形態では、以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、プラズマヘッド11Aの背面115に取り付けたブラケット113に金属プレート114を固定する。電力ケーブル16は、上流側の2つの第1規制部材111と、下流側の第2規制部材112とによって、金属プレート114に固定される。第1及び第2規制部材111,112は、プラズマヘッド11に対する電力ケーブル16の相対的な移動を規制する。
【0082】
これにより、電力ケーブル16の移動を3箇所で規制することで、電力ケーブル16の位置がプラズマヘッド11の位置から相対的にずれることを抑制できる。電力ケーブル16が、プラズマヘッド11の移動に伴ってプラズマヘッド11から抜ける、あるいはプラズマヘッド11と位置がずれることで断線するなどの事態の発生を抑制できる。
【0083】
尚、本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。
具体的には、例えば、第1規制部材41,111及び第2規制部材43,112で移動を規制するケーブルは、電力ケーブル16に限らず、ガスチューブ19等のプラズマヘッド11と制御ボックス15を接続する他のケーブルでも良い。即ち、プラズマ装置10に用いられる様々なケーブルに対して第1規制部材41,111と第2規制部材43,112の構成を適用しても良い。
また、プラズマヘッド11を移動させるヘッド移動装置は、多関節型ロボットに限らず、XYロボット等の他のヘッド移動装置でも良い。
また、第1実施形態における第1規制部材41及び第2規制部材43の構成は、一例である。例えば、
図12に示すように、第1規制部材41として、インシュロック(登録商標)などの樹脂性の結束バンドを用いても良い。
図12に示すように、例えば、プラズマヘッド11の背面に固定した金属板67と、電力ケーブル16とを第1規制部材41(結束バンド)によって固定しても良い。
また、第1規制部材41及び第2規制部材43の両方が、樹脂性の部材を電力ケーブル16に接触させ、電力ケーブル16の移動を規制する構成でも良い。例えば、第1規制部材41及び第2規制部材43の両方が、所謂、ケーブルグランドでも良い。また、第1規制部材41及び第2規制部材43の両方が、金属製の部材を電力ケーブル16に接触させ、電力ケーブル16の移動を規制する構成でも良い。例えば、第1規制部材41及び第2規制部材43の両方が、金属バンドでも良い。また、第1規制部材41が、金属製の部材を電力ケーブル16に接触させ、第2規制部材43が、樹脂性の部材を電力ケーブル16に接触させる構成でも良い。
また、第1規制部材41が電力ケーブル16を固定する固定軸59と、第2規制部材43が電力ケーブル16を固定する固定軸59とは、異なる位置、方向、傾き等軸でも良い。
また、電源部15A及びガス供給部15Bは、制御ボックス15とは別の装置でも良い。また、プラズマ装置10は、電源部15Aを備えず、外部の電源ユニットから電力をもらう構成でも良い。
【0084】
また、第2実施形態において、金属プレート114は、溝部114Dを備えず、直線形状の縁部を備えても良い。
また、本開示の保持部材として金属プレート114を採用したが、これに限らない。保持部材は、金属以外の木、樹脂等で形成した部材でも良い。
また、金属プレート114は、湾曲部114Eを備えず、真っ直ぐな板状に形成された構成でも良い。
また、金属プレート114と第2コネクタ117との間において、
図14に示すように、電力ケーブル16を曲げて撓ませなくとも良い。例えば、電力ケーブル16は、金属プレート114と第2コネクタ117との間において、直線上に配設されても良い。
また、第1及び第2規制部材111,112の両方が、インシュロック(登録商標)などの樹脂性の部材でも良い。また、第1及び第2規制部材111,112の両方が、金属製の部材でも良い。
【符号の説明】
【0085】
10 プラズマ装置、11,11A プラズマヘッド、15A 電源部(電源ユニット)、16 電力ケーブル、16C 導体、16D 端子(接続部材)、16F 導体被覆部材、33 電極、41,111 第1規制部材、43,112 第2規制部材、45 規制本体部、45B 第1被螺合部(被螺合部)、49 螺合部材(環状螺合部材)、53 弾性部材、59 固定軸、61 金属板、63 金属バンド、91 圧着部、93 端子板、95 螺合部材、99 曲げ部、101 基端位置、103 先端位置、L 最短距離、113 ブラケット、114 金属プレート(保持部材)、115 背面(外周面)、116 第1コネクタ(ヘッド側コネクタ)、117 第2コネクタ(ケーブル側コネクタ)、114D 溝部、114E 湾曲部、129 治具。