IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 長瀬産業株式会社の特許一覧

特許7201849データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法
<>
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図1
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図2
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図3
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図4
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図5
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図6
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図7
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図8
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図9
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図10
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図11
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図12
  • 特許-データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-26
(45)【発行日】2023-01-10
(54)【発明の名称】データ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20221227BHJP
【FI】
G06Q30/06 340
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022000956
(22)【出願日】2022-01-06
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2021131182
(32)【優先日】2021-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】折井 靖光
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 修一
(72)【発明者】
【氏名】森下 夏希
【審査官】岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0223157(US,A1)
【文献】特開2003-006464(JP,A)
【文献】特開平09-167178(JP,A)
【文献】特開2012-084007(JP,A)
【文献】特表2015-534156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買装置であって、
技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、
複数の語と、前記複数の語を包含したカテゴリと、カテゴリ間の関係とを示すデータである知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、
を記憶した記憶装置に対して通信可能に接続され、
1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に対して前記知識辞書記憶部に記憶された前記知識辞書を用いて前記技術文書データへのタグ付けを行い、及び、タグの関連性情報を取得して、前記タグ及び前記関連性情報をノード及びエッジによって示すデータ間の関係性を視覚的に表したグラフを作成するグラフ作成手段と、
前記グラフ作成手段が作成した前記グラフを、前記記憶装置に記憶させる手段と、
前記グラフ作成手段が作成した前記グラフを示すグラフシンボルを選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力手段と、
を備える、データ売買装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ売買装置において、
前記販売画面出力手段は、技術分野ごとの前記データベースを示すデータシンボルと、技術分野ごとの前記知識辞書記憶部を示す辞書シンボルとのうちの少なくとも一方をさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力する、データ売買装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のデータ売買装置において、
前記購買者の端末からいずれかのシンボルの購買操作に対する購買要求を受け付けたことに応じて、前記購買要求に対応するデータを、前記購買者の端末に出力する販売データ出力手段を備える、データ売買装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のデータ売買装置において
記販売画面出力手段は、技術分野ごとの知識を有する1以上の技術者を示す技術者シンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力する、データ売買装置。
【請求項5】
請求項4記載のデータ売買装置において、
前記購買者の端末から技術者シンボルの指名操作を受け付けたことに応じて、前記指名操作の前記技術者シンボルに対応する前記技術者に対して、前記購買者の要求を満たす前記知識辞書及び/又はグラフの作成を依頼するデータ作成依頼手段と、
前記データ作成依頼手段に応答して作成した前記知識辞書及び/又は前記グラフを、前記購買者の端末に出力する作成データ出力手段と、
を備える、データ売買装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載のデータ売買装置において、
前記販売画面出力手段は、前記技術文書データのリストと、前記技術文書データに用いる前記知識辞書と、グラフ作成方法に関するデータとを含む、一のグラフを作成するためのデータ一式を示すセットシンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力する、データ売買装置。
【請求項7】
請求項6に記載のデータ売買装置において、
前記購買者の端末から前記セットシンボルに対する購買要求を受け付けたことに応じて、前記セットシンボルにより示される前記データ一式に含まれる前記技術文書データのリストに示された前記技術文書データを選択して購入することが可能なデータ購入確認画面を、前記購買者の端末に出力する確認出力手段と、
前記購買者の端末から前記技術文書データの購入に係る情報を受け付けたことに応じて、前記セットシンボルにより示される前記データ一式に含まれる各データと、前記購入に係る情報に対応する前記技術文書データとを、前記購買者の端末に出力する販売データ出力手段と、
を備える、データ売買装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載のデータ売買装置において、
前記技術情報に関するデータの販売要求を、ユーザ端末から受け付ける販売対象受付手段と、
前記販売対象受付手段が受け付けた前記販売要求に係るデータが前記記憶装置に記憶されておらず、前記販売要求に係るデータを購入する場合に、前記販売要求に係るデータを前記記憶装置に記憶させるデータ登録処理手段と、
を備え、
前記販売画面出力手段は、前記データ登録処理手段によって記憶された前記販売要求に係るデータに対応したシンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力する、データ売買装置。
【請求項9】
技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買システムであって、
技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、
複数の語と、前記複数の語を包含したカテゴリと、カテゴリ間の関係とを示すデータである知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、
1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に対して前記知識辞書記憶部に記憶された前記知識辞書を用いて前記技術文書データへのタグ付けを行い、及び、タグの関連性情報を取得して、前記タグ及び前記関連性情報をノード及びエッジによって示すデータ間の関係性を視覚的に表したグラフを作成するグラフ作成手段と、
前記グラフ作成手段が作成した前記グラフを示すグラフシンボルを選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力手段と、
を備える、データ売買システム。
【請求項10】
技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買方法であって、
コンピュータは、
技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、
複数の語と、前記複数の語を包含したカテゴリと、カテゴリ間の関係とを示すデータである知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、
を備え、
前記コンピュータが、
1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に対して前記知識辞書記憶部に記憶された前記知識辞書を用いて前記技術文書データへのタグ付けを行い、及び、タグの関連性情報を取得して、前記タグ及び前記関連性情報をノード及びエッジによって示すデータ間の関係性を視覚的に表したグラフを作成するグラフ作成ステップと、
前記グラフ作成ステップが作成した前記グラフを示すグラフシンボルを選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力ステップと、
を含む、データ売買方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術情報に関するデータ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットを使用した電子商取引が、様々な分野で行われている。電子商取引では、買い手が必要とするものを売る(提供する)場が必要になる。また、売り手にとっても、売るための場があると便利である。
化合物、医薬、バイオといった化学系のものは、その種類が多種にわたり、またその構造的に類似した類似化合物等の多く存在する。そのため、買い手が必要とするものが提供する場にあるとは限らない。
そこで、顧客からの化合物の問合せに関して有用な情報を複数の売り手先に提示し、顧客と売り手先との間の商取引を仲介するシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-163553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在では、MI(マテリアルズインフォマティクス)という新たな試みがなされている。MIとは、最先端のデータ処理技術と材料科学を融合した材料開発技術であり、特に、材料や化学の分野において、膨大な実験データや論文等のデータを、コンピュータを用いて分析することをいう。
そして、分析結果から作成されるナレッジグラフは、例えば、革新的な新材料の発見等、未知の材料や用途を教示してくれる。そのため、ナレッジグラフを作成したり活用したりするための場が求められる。
【0005】
本発明は、ナレッジグラフに係るデータ等の売買を可能にする場を提供するデータ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買装置であって、技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に基づく前記技術文書データへのタグ付けに用いる知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、に対して通信可能に接続され、技術分野ごとの前記データベースを示すデータシンボルと、技術分野ごとの前記知識辞書記憶部を示す辞書シンボルとのうちの少なくとも一方を選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力手段を備える、データ売買装置に関する。
【0007】
また、データ売買装置において、前記技術文書データに対して前記知識辞書記憶部に記憶された前記知識辞書を用いて、データ間の関係性を視覚的に表したグラフを作成するグラフ作成手段を備え、前記販売画面出力手段は、前記グラフ作成手段が作成した前記グラフを示すグラフシンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力してもよい。
【0008】
また、データ売買装置において、前記購買者の端末からいずれかのシンボルの購買操作に対する購買要求を受け付けたことに応じて、前記購買要求に対応するデータを、前記購買者の端末に出力する販売データ出力手段を備えてもよい。
【0009】
また、データ売買装置において、前記知識辞書は、複数の語と、前記複数の語を包含したカテゴリと、カテゴリ間の関係とを示すデータであり、前記販売画面出力手段は、技術分野ごとの知識を有する1以上の技術者を示す技術者シンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力してもよい。
【0010】
また、データ売買装置において、前記購買者の端末から技術者シンボルの指名操作を受け付けたことに応じて、前記指名操作の前記技術者シンボルに対応する前記技術者に対して、前記購買者の要求を満たす前記知識辞書及び/又はグラフの作成を依頼するデータ作成依頼手段と、前記データ作成依頼手段に応答して作成した前記知識辞書及び/又は前記グラフを、前記購買者の端末に出力する作成データ出力手段と、を備えてもよい。
【0011】
また、データ売買装置において、前記販売画面出力手段は、前記技術文書データのリストと、前記技術文書データに用いる前記知識辞書と、グラフ作成方法に関するデータとを含む、一のグラフを作成するためのデータ一式を示すセットシンボルをさらに含んだ前記販売物表示画面を、前記購買者の端末に出力してもよい。
【0012】
また、データ売買装置において、前記購買者の端末から前記セットシンボルに対する購買要求を受け付けたことに応じて、前記セットシンボルにより示される前記データ一式に含まれる前記技術文書データのリストに示された前記技術文書データの購入が可能なデータ購入確認画面を、前記購買者の端末に出力する確認出力手段と、前記購買者の端末から前記技術文書データの購入に係る情報を受け付けたことに応じて、前記セットシンボルにより示される前記データ一式に含まれる各データと、前記購入に係る情報に対応する前記技術文書データとを、前記購買者の端末に出力する販売データ出力手段と、を備えてもよい。
【0013】
本発明は、技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買システムであって、技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に基づく前記技術文書データへのタグ付けに用いる知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、技術分野ごとの前記データベースを示すデータシンボルと、技術分野ごとの前記知識辞書記憶部を示す辞書シンボルとのうちの少なくとも一方を選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力手段と、を備える、データ売買システムに関する。
【0014】
本発明は、技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買方法であって、コンピュータは、技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベースと、1以上の技術分野に係る前記技術文書データを解析し、解析結果に基づく前記技術文書データへのタグ付けに用いる知識辞書を記憶した知識辞書記憶部と、を備え、前記コンピュータが、技術分野ごとの前記データベースを示すデータシンボルと、技術分野ごとの前記知識辞書記憶部を示す辞書シンボルとのうちの少なくとも一方を選択可能な態様で示した販売物表示画面を、購買者の端末に出力する販売画面出力ステップを含む、データ売買方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ナレッジグラフに係るデータ等の売買を可能にする場を提供するデータ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るデータ売買システムの全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態に係るデータ売買サーバの機能ブロックを示す図である。
図3】第1実施形態に係るデータ売買システムにおけるデータ売買処理を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態に係るユーザ端末に出力される画面例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るデータ売買システムにおけるデータ販売処理を示すフローチャートである。
図6】第1実施形態に係るユーザ端末に出力される画面例を示す図である。
図7】第1実施形態に係るデータ売買サーバの販売内容記憶部の例を示す図である。
図8】第1実施形態に係るデータ売買サーバで取引が可能な知識辞書を説明するための図である。
図9】第1実施形態に係るデータ売買サーバで取引が可能なナレッジグラフを説明するための図である。
図10】第1実施形態に係るデータ売買サーバにおけるグラフ作成処理を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態に係るデータ売買サーバの機能ブロックを示す図である。
図12】第2実施形態に係るデータ売買サーバの販売内容記憶部の例を示す図である。
図13】第2実施形態に係るユーザ端末に出力される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図を参照しながら説明する。なお、これは、あくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
(第1実施形態)
〔データ売買システム100の全体構成〕
図1は、第1実施形態に係るデータ売買システム100の全体構成を示す図である。
図2は、第1実施形態に係るデータ売買サーバ1の機能ブロックを示す図である。
【0018】
図1に示すデータ売買システム100は、ナレッジグラフの作成に用いられる技術情報に関する各データや、ナレッジグラフ自身の売買に関する処理を行うシステムである。ナレッジグラフは、対象とするデータに係る知識とその関連性を体系化することで、新たな知見を得ることができるものであり、事実相関を表現したグラフである。
以降において、データ売買システム100により行うことが可能なサービスを、データ売買サービスという。
このとき、NFT(Non-Fungible Token)や暗号資産のように、ブロックチェーン上でナレッジグラフを売買してもよい。
【0019】
データ売買システム100は、データ売買サーバ1(データ売買装置)と、データ記憶装置4と、ユーザ端末6(購買者の端末)と、技術者端末7とを備える。
データ売買サーバ1と、データ記憶装置4と、ユーザ端末6と、技術者端末7とは、各々通信ネットワークNを介して通信可能になっている。通信ネットワークNは、例えば、インターネット等の通信回線網等である。通信ネットワークNは、構内通信網(LAN)や、仮想プライベートネットワーク(VPN)や、広域通信網(WAN)等を含むものであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0020】
〔データ売買サーバ1〕
データ売買サーバ1は、ナレッジグラフの作成に用いられる技術分野の技術文書データ、知識辞書及びナレッジグラフ自身を管理する。また、データ売買サーバ1は、ユーザ端末6から技術文書データ、知識辞書やナレッジグラフの購入に係る要求を受け付けて、要求に対応して技術文書データ、知識辞書やナレッジグラフを販売したり、技術文書データ等のデータ、知識辞書やナレッジグラフを作成する知識を有する技術者を提供したりする。さらに、データ売買サーバ1は、ユーザ端末6から技術文書データ、知識辞書やナレッジグラフの販売に係る要求を受け付けて、要求に対応して技術文書データ、知識辞書やナレッジグラフを購入する。
データ売買サーバ1は、例えば、ウェブサーバである。データ売買サーバ1は、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、複数台のコンピュータで構成されていてもよい。複数台のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータは、通信ネットワークNを介して接続される。また、データ売買サーバ1は、例えばクラウド上に設けられる仮想サーバ(仮想マシン)として構成してもよい。
【0021】
図2に示すように、データ売買サーバ1は、制御部10と、記憶部30と、通信IF(インタフェース)部39とを備える。
制御部10は、データ売買サーバ1の全体を制御する中央処理装置(CPU)である。制御部10は、記憶部30に記憶されているオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、各種機能を実行する。
【0022】
具体的には、本実施形態では、プログラムをコンピュータに実行させることによって、データ売買サーバ1を実現する態様を例にあげて説明する。プログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、ROM(Read Only Memory)、EEOPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的(non-transitory)情報記録媒体に記録することができる。この情報記録媒体は、コンピュータとは独立して配布及び販売することができる。
【0023】
一般には、コンピュータは、非一時的情報記録媒体に記録されたプログラムを、記憶部30に含まれる一時的(temporary)記憶装置であるRAM(Random Access Memory)に読み出してから、制御部10としてのCPUが読み出されたプログラムに含まれる指令を実行する。
なお、プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、通信ネットワークN等の一時的伝送媒体を介して、プログラム配布サーバ等(図示せず)からコンピュータ等へ配布及び販売することができる。
【0024】
また、プログラムを、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述することも可能である。この場合には、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述されるプログラムから、電子回路の配線図やタイミングチャート等、各種の設計図が生成され、当該設計図に基づいて、上記のデータ売買サーバ1を構成する電子回路を作成することができる。例えば、電子回路の動作レベル記述用のプログラミング言語によって記述されるプログラムから、FPGA(Field Programmable Gate Array)技術によって再プログラム可能なハードウェア上に、上記データ売買サーバ1を、構成することができるほか、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)技術によって、特定用途専用の電子回路を構成することも可能である。
【0025】
データ売買サーバ1は、制御部10が以下に示す各構成部を制御することにより、本実施形態に説明する各処理を実行するように構成される。
制御部10は、メニュー画面出力部11と、売買選択受付部12と、データ販売処理部13と、技術者仲介部17と、データ購入処理部21と、グラフ作成部25(グラフ作成手段)と、販売画面更新処理部26とを備える。
【0026】
メニュー画面出力部11は、データ売買に係るメニュー画面であって、ユーザが選択可能なメニュー画面を、ユーザ端末6に出力する。
売買選択受付部12は、データ等を購入するか、又は、販売するかに関する選択に対する情報(売買選択情報)を、ユーザ端末6から受け付ける。以降において、データ等とは、技術文書データ、知識辞書やナレッジグラフといったデータの他、技術者の依頼に関するものを含む。
データ販売処理部13は、ユーザ端末6からデータ等の購入に係る選択を受け付けた場合に行う処理である。
データ販売処理部13は、販売画面出力部14(販売画面出力手段)と、購買要求受付部15と、データ出力部16(販売データ出力手段、作成データ出力手段)とを備える。
【0027】
販売画面出力部14は、販売可能な各種のデータ等を含む販売画面(販売物表示画面)を、ユーザ端末6に出力する。販売画面には、技術文書データのデータベースを示すDBアイコン(データシンボル)と、知識辞書を示す辞書アイコン(辞書シンボル)と、技術者を示す技術者アイコン(技術者シンボル)と、ナレッジグラフを示すグラフアイコン(グラフシンボル)とを含む。
購買要求受付部15は、ユーザ端末6において、販売画面出力部14が出力する販売画面に表示された各アイコンのうち、ユーザが、1以上のアイコンに対して購買操作(指名操作)をすることで、ユーザ端末6から購買要求を受け付ける。
データ出力部16は、購買要求に対応するデータを、購買操作をしたユーザ端末6に出力する。
【0028】
技術者仲介部17は、購買操作を行った購買対象(シンボル)が技術者アイコンである場合に、技術者アイコンにより選定した技術者と、ユーザとの間を仲介する。
技術者仲介部17は、データ作成依頼部18(データ作成依頼手段)と、作成データ受領部19とを備える。
データ作成依頼部18は、技術者アイコンに対応した技術者に対して、データの作成を依頼する。なお、技術者と、ユーザとのやりとりを、技術者仲介部17を介して行われるようにしてもよい。
作成データ受領部19は、技術者が作成したデータを、技術者端末7から受け付ける。技術者が作成したデータには、例えば、技術文書データ等のデータや、知識辞書や、ナレッジグラフが含まれる。
【0029】
データ購入処理部21は、ユーザ端末6や、技術者端末7からデータの販売に係る選択を受け付けた場合に行う処理である。
データ購入処理部21は、販売対象受付部22と、データ登録処理部23とを備える。
販売対象受付部22は、販売を希望するデータをユーザ端末6や技術者端末7から受け付ける。販売を希望するデータには、技術文書データ等のデータや、知識辞書、ナレッジグラフを含む。
データ登録処理部23は、データを購入する場合に、受信したデータを、データ記憶装置4に記憶させる。また、データ登録処理部23は、データ記憶装置4にデータが記憶されたことに応じて、データインデックス記憶部32を更新する。
【0030】
グラフ作成部25は、データ記憶装置4に記憶された各種のデータを用いて、ナレッジグラフを作成する処理を行う。
販売画面更新処理部26は、データ登録処理部23によりデータ記憶装置4に記憶されたデータに係るアイコンや、グラフ作成部25により作成されたナレッジグラフに係るアイコンを、販売画面に追加する処理を行う。
【0031】
記憶部30は、制御部10が各種の処理を実行するために必要なプログラム、データ等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶領域である。
記憶部30は、プログラム記憶部31と、データインデックス記憶部32と、技術者情報記憶部33と、ユーザ情報記憶部34と、販売内容記憶部35とを備える。
プログラム記憶部31は、各種のプログラムを記憶する記憶領域である。プログラム記憶部31は、データ売買プログラム31aと、ナレッジグラフ作成プログラム31bとを記憶している。データ売買プログラム31aは、上述した制御部10のデータ売買に関する各機能を実行するためのプログラムである。ナレッジグラフ作成プログラム31bは、上述した制御部10のグラフ作成部25の機能を実行するためのプログラムである。
なお、上記の各プログラムは、一例である。したがって、データ売買プログラム31aと、ナレッジグラフ作成プログラム31bとは、上述した制御部10の各機能を1つのプログラムによって実行してもよいし、さらに複数のプログラムによって実行してもよい。
【0032】
データインデックス記憶部32は、データ記憶装置4に記憶された各種のデータのインデックスを記憶する記憶領域である。
技術者情報記憶部33は、データ売買サービスに登録された技術者に関する情報を記憶する記憶領域である。技術者情報記憶部33は、例えば、技術者名や技術分野、経歴等を記憶している。また、技術者情報記憶部33は、当該技術者の作業可能なスケジュール情報を有していてもよい。
【0033】
ユーザ情報記憶部34は、データ売買サービスに利用登録したユーザに関する情報を記憶する記憶領域である。ユーザ情報記憶部34は、例えば、ユーザ名や所属、分類等を記憶している。所属とは、例えば、企業名や大学名、研究機関名等をいい、分類は、メーカ、研究機関等をいう。
販売内容記憶部35は、データ売買サービスを利用して、ユーザに販売可能な内容及び販売するデータ等を使用して行うことが可能なサービス内容に係る情報を含む。
通信IF部39は、データ記憶装置4、ユーザ端末6及び技術者端末7との間での通信を行うためのインタフェースである。
【0034】
〔データ記憶装置4〕
図1に示すデータ記憶装置4は、各種の技術文書データが登録されたデータベースや、知識辞書を記憶する知識辞書記憶部、ナレッジグラフ等を記憶する。
データ記憶装置4は、複数の記憶装置(ノードという。)により、例えば、セキュリティや信頼性担保等の観点から改ざん防止機能を備えた台帳管理システム(例えばブロックチェーン)を構成する分散型ネットワークであってもよい。その場合、データ記憶装置4は、「ブロック」と呼ばれるデータの単位を一定時間ごとに生成し、鎖のように連結していくことによりデータを保管する。データ記憶装置4は、P2P(Peer to Peer)ネットワークを使用し、各記憶装置が台頭に直接通信を行う。鎖状に保存することによって、ブロック内のデータを一度記憶した場合、該データを遡及的に変更することができないようになっており、改ざん防止と安全性や信頼性が担保できる。複数の記憶装置は、例えば、複数のコンピュータやサーバ等であってよい。
【0035】
〔ユーザ端末6〕
ユーザ端末6は、研究機関やメーカ等の企業が使用する端末である。図1では、ユーザ端末6は、研究機関A,Bや、メーカC、データ保有企業D等に設けられている。ユーザ端末6は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)である。
ユーザ端末6は、制御部と、記憶部と、通信IF部、表示部、入力部(いずれも図示せず)等を備える。
【0036】
〔技術者端末7〕
技術者端末7は、技術者が使用する端末である。図1では、技術者端末7は、各技術者X,Yがそれぞれ使用する。技術者端末7は、例えば、PCである。
技術者端末7は、制御部と、記憶部と、通信IF部、表示部、入力部(いずれも図示せず)等を備える。
【0037】
なお、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備えた情報処理装置をいい、データ売買サーバ1、ユーザ端末6及び技術者端末7は、いずれも制御部、記憶部等を備えた情報処理装置であり、コンピュータの概念に含まれる。
【0038】
〔処理の説明〕
次に、データ売買システム100における処理を説明する。
図3は、第1実施形態に係るデータ売買システム100におけるデータ売買処理を示すフローチャートである。
図4は、第1実施形態に係るユーザ端末6に出力される画面例を示す図である。
【0039】
ユーザ端末6は、データ売買サーバ1に対して接続し、例えば、ログイン認証が行われることで、図3のステップS(以下、「ステップS」を単に「S」という。)11において、データ売買サーバ1の制御部10(メニュー画面出力部11)は、ユーザ端末6にメニュー画面を送信する。
S12において、ユーザ端末6の制御部は、メニュー画面を出力する。
【0040】
図4に、ユーザ端末6に出力されるメニュー画面60の例を示す。メニュー画面60は、選択領域61及び62を有する。選択領域61は、データ等の購入を希望するユーザが選択する領域であり、選択領域62は、データ等の販売を希望するユーザが選択する領域である。図4では、どのようなデータ等の購入及び販売が可能であるかを、簡単に例示している。
ユーザが、メニュー画面60の選択領域61又は選択領域62に対する選択操作をすることで、図3のS13において、ユーザ端末6の制御部は、売買選択情報を、データ売買サーバ1に送信する。売買選択情報は、ユーザによる選択操作に応じた、データ購入又はデータ販売のいずれかの要求を示す情報である。
【0041】
S14において、データ売買サーバ1の制御部10(売買選択受付部12)は、売買選択情報を受信すると、売買選択情報がデータの購入要求であるか否かを判断する。データの購入要求である場合(S14:YES)には、制御部10は、処理をS15に移す。他方、データの購入要求ではない場合(S14:NO)には、制御部10は、処理をS16に移す。
S15において、制御部10(データ販売処理部13)は、後述の図5で説明するデータ販売処理を行う。その後、制御部10は、処理をS17に移す。
【0042】
他方、S16において、制御部10(データ購入処理部21)は、データ購入処理を行う。具体的には、制御部10(販売対象受付部22)は、ユーザが販売を希望するデータを、ユーザ端末6から受信する。販売を希望するデータには、技術文書データ等のデータや、知識辞書、ナレッジグラフを含む。
そして、制御部10は、受信したデータを購入する場合には、制御部10(データ登録処理部23)は、受信したデータを、データ記憶装置4に記憶させ、データインデックス記憶部32を更新する。ここで、制御部10は、受信したデータを、図示しないデータ売買サーバ1に接続されたPC等の端末に表示させ、データ売買サーバ1の管理者に当該データを購入するか否かを入力させてもよい。また、制御部10は、データインデックス記憶部32を参照し、同じデータが存在するか否かを確認の上、存在しない場合に購入すると判断してもよい。
【0043】
S17において、制御部10(データ出力部16)は、処理結果をユーザ端末6に送信する。処理結果とは、ユーザにデータを販売する場合には、要求に対応したデータをいう。また、ユーザのデータを購入する場合には、購入可否情報を含み、購入可の場合には、例えば、支払額を含めた購入結果を含む。その後、制御部10は、本処理を終了する。
S18において、ユーザ端末6の制御部は、処理結果を受信して表示部等に出力させる。その後、ユーザ端末6の制御部は、処理をS12に移し、ユーザによるログオフ等の処理が行われるまで、当該処理を繰り返す。
【0044】
次に、データ売買システム100におけるデータ販売処理について説明する。
図5は、第1実施形態に係るデータ売買システム100におけるデータ販売処理を示すフローチャートである。
図6は、第1実施形態に係るユーザ端末6に出力される画面例を示す図である。
図7は、第1実施形態に係るデータ売買サーバ1の販売内容記憶部35の例を示す図である。
図8は、第1実施形態に係るデータ売買サーバ1で取引が可能な知識辞書80を説明するための図である。
図9は、第1実施形態に係るデータ売買サーバ1で取引が可能なナレッジグラフ90を説明するための図である。
【0045】
図5のS21において、制御部10(販売画面出力部14)は、販売画面をユーザ端末6に送信する。
S22において、ユーザ端末6の制御部は、販売画面を表示する。
図6に、ユーザ端末6に出力される販売画面70の例を示す。販売画面70は、データベース領域71と、技術者支援領域72と、知識辞書領域73と、ナレッジグラフ領域74とを含む。
ユーザは、販売画面70を参照して、ユーザが購入したいデータ等を決定する。
【0046】
ここで、図7を用いて、ユーザが購入可能なものについて説明する。
図7に示す販売内容記憶部35は、販売画面70からユーザが購入可能なものの組み合わせと、購入することで可能なサービス内容とを対応付けて記憶している。つまり、販売内容記憶部35は、データ売買サーバ1がユーザに販売可能なものの組み合わせと、販売することで実現可能なサービス内容を含む。
【0047】
例えば、データ売買サーバ1がデータベースのデータを販売した場合には、ユーザは、例えば、ユーザが既に有する知識辞書を用いて、購入したデータについてのナレッジグラフを作成できる。
また、例えば、データ売買サーバ1が知識辞書を販売した場合には、ユーザは、例えば、ユーザが既に有するデータを用いて、購入した知識辞書を使ってナレッジグラフを作成できる。
例えば、データ売買サーバ1がナレッジグラフを販売した場合には、ユーザは、購入したナレッジグラフを使用して、新素材の発見等をすることができる。また、ユーザは、購入したナレッジグラフのノード間のつながりを変える等、ユーザがナレッジグラフに対して様々な変更をすることができる。それにより、ユーザは、新素材の発見等をすることができる。
【0048】
また、例えば、データ売買サーバ1が技術者を提供した場合には、ユーザは、技術者にナレッジグラフの作成を依頼することで、技術者に、例えば、オリジナルの知識辞書とオリジナルのナレッジグラフとを作成させることができる。
例えば、データ売買サーバ1が技術者を提供し、知識辞書を販売した場合には、ユーザは、ユーザが購入した知識辞書を用いて技術者にナレッジグラフの作成を依頼することで、技術者に、例えば、知識辞書のカスタマイズとオリジナルのナレッジグラフとを作成させることができる。
【0049】
図6のデータベース領域71は、ユーザに販売可能なデータベースを示すDBアイコン71aとその名称とにより、各データベースを識別する。
各データベースは、技術分野ごとに識別可能にされている。この例では、化合物、医薬品、バイオ等を技術分野としているが、実際には、さらに細かく、ポリマー、エポキシ、酵素等を技術分野としてもよい。
データベースに含む技術文書データは、技術論文や技術資料、公共データベースのデータ等であり、技術資料には、例えば、特許文献、百科事典、実験データ、SDS(Safety Data Sheet)、商品カタログ、COA(Certificate of Analysis)等を含む。
【0050】
技術者支援領域72は、ユーザに対してナレッジグラフの作成を支援可能な技術者を示す技術者アイコン72aとその名称とにより、各技術者を識別する。
ここで、技術者とは、各技術分野の知識を有する専門家をいう。技術者は、技術者端末7を用いてデータ売買サーバ1に接続できる環境を有する者であればよく、例えば、企業を定年退職した者や、営業分野開発経験者等であってもよい。このような者は、専門知識を有し、また、時間に余裕のある場合が多いため、データ売買サービスの技術者として適任である。なお、図6では、技術者を指定して選択するようになっているが、技術分野ごとにグルーピングをしておき、技術分野のグループを選択可能にしてもよい。そのようにすれば、技術分野のグループに含まれる技術者のスケジュール等を加味して、技術者を選定できる。
【0051】
知識辞書領域73は、ユーザに販売可能な知識辞書を示す辞書アイコン73aとその名称とにより、各知識辞書を識別する。
知識辞書は、1以上の技術分野に係る技術文書データを解析し、解析結果に基づく技術文書データへのタグ付けに用いるものである。知識辞書は、専門用語(語)をカテゴリによりまとめたものであり、各カテゴリに対する関連付けをも含む。
知識辞書は、専門用語辞書と、カテゴリ及びその関連性を示すモデルとにより生成されるものである。
【0052】
図8に、知識辞書80の例を示す。知識辞書80は、専門用語部81と、カテゴリ部82と、関連付け部83とを有する。
専門用語部81は、技術分野の専門用語であり、カテゴリ部82の各カテゴリ82aから82dに対応する専門用語を含む。
関連付け部83は、カテゴリ部82の関連付けをするものである。
この知識辞書80は、カテゴリ部82の各カテゴリを設定し、さらに、各カテゴリに含める専門用語を設定し、カテゴリの関連付けをしている。そのため、専門的な知識を有する技術者でないと、各設定を適切に行うことができない。また、技術者ごとに、専門用語部81と、カテゴリ部82と、関連付け部83との各内容が異なるものが作成される。そのため、知識辞書80は、各技術者のオリジナリティが発揮されるものである。
【0053】
ナレッジグラフ領域74は、ユーザに販売可能なナレッジグラフを示すグラフアイコン74aとその名称とにより、各ナレッジグラフを識別する。
ナレッジグラフは、カテゴリをノードにし、ノード間の結びつきをエッジにした、データ間の関係性を視覚的に表したグラフである。
図9に、ナレッジグラフ90の例を示す。図9に例示するナレッジグラフ90は、部分グラフ91aから91cを含む。部分グラフ91aから91cは、ある技術分野における各技術文書データから作成されたものであり、ナレッジグラフ90は、3つの技術文書データから作成された部分グラフ91aから91cが有機的に結合したものである。ナレッジグラフ90は、ノード92と、エッジ93とから構成される。ノード92には、カテゴリに含まれる複数の専門用語を含み、ノード92の大きさは、含まれる専門用語の数に比例するようになっている。含まれる専門用語の数が多ければ、ノード92の大きさが大きい。なお、ノード92には、ノード92を説明する語94が対応付けられている。語94は、例えば、技術文書データの中の語である。
【0054】
図6では、販売画面70として、データベース領域71からナレッジグラフ領域74までを1つの画面に表示しているが、これに限定されない。データベース領域71や、知識辞書領域73等、領域ごとに別の画面を用意してもよい。また、ユーザがアイコンを選択した場合に、例えば、データの一部や、技術者の経歴等の詳細を出力するためのコンテキストメニューを出力してもよい。
【0055】
図6の販売画面70からユーザが購入を希望するデータ等のアイコンを選択することで、図5のS23において、ユーザ端末6の制御部は、購入要求をデータ売買サーバ1に送信する。
S24において、データ売買サーバ1の制御部10(購買要求受付部15)は、購入要求を受け付けると、購入要求に技術者の要求が含まれているか否かを判断する。技術者が要求されている場合(S24:YES)には、制御部10は、処理をS25に移す。他方、技術者が要求されていない場合(S24:NO)には、制御部10は、処理をS27に移す。
【0056】
S25において、制御部10(データ作成依頼部18)は、要求に含まれる技術者の技術者端末7に、依頼があった旨の連絡を行う技術者連絡処理を行う。
S26において、技術者端末7の制御部は、技術者が行う技術者の知識を用いた作成作業を支援する処理を行う。その際、制御部10(技術者仲介部17)は、技術者端末7を使用する技術者と、ユーザ端末6を使用するユーザとの間を仲介して両者のやりとりを行ってもよい。そして、制御部10(作成データ受領部19)は、技術者が作成したデータを、技術者端末7から受け付ける。
【0057】
このような処理によって、データ売買サーバ1は、ユーザが購入を希望するデータ等の販売をすることができる。特に、ナレッジグラフは、質問に対する回答を得られるものであり、例えば、「ある物性Xを満たす材料はどんなものがありますか?」という質問に対して、考えられうる「材料」を提示することができる。
【0058】
次に、データからナレッジグラフを自動作成するものを説明する。
図10は、第1実施形態に係るデータ売買サーバ1におけるグラフ作成処理を示すフローチャートである。
グラフ作成処理は、適宜のタイミングで実行することができる。
図10のS31において、データ売買サーバ1の制御部10は、データの指定を受け付ける。
S32において、制御部10は、知識辞書の指定を受け付ける。
ここで、S31及びS32の処理は、制御部10がデータインデックス記憶部32を参照して、データの指定及び知識辞書の指定をしてもよいし、データ売買サーバ1の管理者等が指定してもよい。
【0059】
S33において、制御部10(グラフ作成部25)は、受け付けたデータと知識辞書とを用いて、知識辞書に含まれる語の関係性を示すナレッジグラフを自動的に作成する。
より具体的には、制御部10は、受け付けたデータのテキストを、形態素解析によって品詞等に分類する。次に、制御部10は、品詞のうち特に名詞に対して、知識辞書を用いて専門用語を抽出する。そして、制御部10は、知識辞書を用いて、専門用語同士の関連性の情報を抽出する。その後、制御部10は、抽出した専門用語同士の関連性の情報からナレッジグラフを作成する。
S34において、制御部10(販売画面更新処理部26)は、販売画面のグラフ領域に、作成したナレッジグラフを示すアイコンを追加する。また、制御部10(データ登録処理部23)は、作成したナレッジグラフを、データ記憶装置4に記憶させ、データインデックス記憶部32を更新する。その後、制御部10は、本処理を終了する。
【0060】
このように、第1実施形態のデータ売買システム100によれば、以下のような効果がある。
(1)技術分野ごとの技術文書データのデータベースや、技術文書データを解析した解析結果に基づく技術文書データへのタグ付けに用いる知識辞書を、アイコンで示した販売画面をユーザ端末6に出力する。
よって、ユーザは、販売画面を参照して、例えば、自身が要求する技術分野のデータベースのデータや知識辞書について、どのようなものが販売されているかを知ることができる。
(2)技術文書データに対して知識辞書を用いて、データ間の関係性を視覚的に表したナレッジグラフを作成し、さらに、作成したナレッジグラフをアイコンで示した販売画面をユーザ端末6に出力する。
よって、ユーザは、販売画面を参照して、例えば、自身が要求する技術分野におけるどのようなナレッジグラフが販売されているかを知ることができる。
【0061】
(3)ユーザ端末6からいずれかのアイコンに係る購買要求を受け付けたことに応じて、購買要求に対応するデータを、ユーザ端末6に送信する。
よって、ユーザは、販売画面からデータや知識辞書を購入することができ、購入したデータや知識辞書を用いて、ナレッジグラフを作成できる。また、ユーザは、販売画面からナレッジグラフを購入することができ、自身でナレッジグラフを作成せずとも、既に作成されたナレッジグラフを購入できて便利である。
【0062】
(4)知識辞書は、複数の専門用語と、複数の専門用語を包含したカテゴリと、カテゴリ間の関係とを示すデータであり、技術分野ごとの当該知識辞書を作成可能な1以上の技術者を示すアイコンをさらに含んだ販売画面を、ユーザ端末6に出力する。
よって、ユーザは、販売画面を参照して、知識辞書を作成可能な技術者を知ることができる。
【0063】
(5)ユーザ端末6から技術者を指名することができ、技術者に対して、ユーザの要求を満たす知識辞書の作成を依頼し、依頼に応答して作成した知識辞書を、ユーザ端末6に送信する。
よって、ユーザは、販売画面から技術者を選定でき、選定した技術者に知識辞書の作成を依頼できる。その結果、オリジナルの知識辞書を作成できる。
(6)ユーザ端末6からデータの販売要求を受け付けて、データの売買が成立した場合に、データに対応したアイコンを販売画面に出力する。
よって、ユーザへのデータの販売の他、ユーザからのデータの購入もできる。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ナレッジグラフを作成するのに必要になる、各種のデータ類のセット販売及び購入を行うものを説明する。なお、以降の説明において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0065】
〔データ売買サーバ201〕
図11は、第2実施形態に係るデータ売買サーバ201の機能ブロックを示す図である。
図12は、第2実施形態に係るデータ売買サーバ201の販売内容記憶部235の例を示す図である。
図示しないが、データ売買システム200は、データ売買サーバ201と、データ記憶装置4と、ユーザ端末6と、技術者端末7とを備える。
【0066】
データ売買サーバ201は、制御部210と、記憶部230と、通信IF部39とを備えている。
制御部210は、メニュー画面出力部11と、売買選択受付部12と、データ販売処理部213と、技術者仲介部17と、データ購入処理部21と、グラフ作成部25と、販売画面更新処理部26とを備える。
データ販売処理部213は、販売画面出力部214(販売画面出力手段、確認出力手段)と、購買要求受付部215と、データ出力部216(販売データ出力手段、作成データ出力手段)とを備える。
【0067】
販売画面出力部214は、販売可能な各種のデータ等を含む販売画面を、ユーザ端末6に出力する。販売画面には、技術文書データのデータベースを示すDBアイコンと、知識辞書を示す辞書アイコンと、技術者を示す技術者アイコンと、ナレッジグラフを示すグラフアイコンとを含む。また、販売画面には、セットアイコン(セットシンボル)を含んでもよい。セットアイコンは、一のグラフを作成するためのデータ一式に対応し、データ一式には、例えば、技術文書データのリストと、技術文書データに用いる知識辞書と、グラフ作成方法に関するデータであるレシピとを含む。
また、販売画面出力部214は、ユーザ端末6からセットアイコンに対する購買要求を受け付けた場合に、セットアイコンにより示されるデータ一式に含まれる技術文書データのリストに示された技術文書データを購入可能なデータ購入確認画面を、ユーザ端末6に出力する。
【0068】
購買要求受付部215は、ユーザ端末6において、販売画面出力部214が出力する販売画面に表示された各アイコンのうち、ユーザが、1以上のアイコンに対して購買操作(指名操作)をすることで、ユーザ端末6から購買要求を受け付ける。また、購買要求受付部215は、ユーザ端末6にデータ購入確認画面を出力後に、ユーザ端末6から技術文書データの購入に係る情報を受け付ける。
データ出力部216は、購買要求に対応するデータを、購買操作をしたユーザ端末6に出力する。また、データ出力部216は、セットアイコンにより示されるデータ一式に含まれる各データと、購入に係る情報に対応する技術文書データとを、ユーザ端末6に出力する。
【0069】
記憶部230は、プログラム記憶部231と、データインデックス記憶部32と、技術者情報記憶部33と、ユーザ情報記憶部34と、販売内容記憶部235とを備える。
プログラム記憶部231は、データ売買プログラム231aと、ナレッジグラフ作成プログラム31bとを記憶している。データ売買プログラム231aは、上述した制御部210のデータ売買に関する各機能を実行するためのプログラムである。
【0070】
販売内容記憶部235は、データ売買サービスを利用して、ユーザに販売可能な内容及び販売するデータ等を使用して行うことが可能なサービス内容に係る情報を含む。
図12に示す販売内容記憶部235には、種類が「6」のものに、セットアイコンに対応する組み合わせを示す。例えば、データ売買サーバ201が、セットに含まれるデータ一式を販売した場合には、ユーザは、購入した技術文書データのリストに含まれる技術文書データと、知識辞書とを用いて、レシピに従ってナレッジグラフを作成できる。つまり、技術文書データのリストに含まれる技術文書データをユーザが既に有している場合や、他の方法により技術文書データのリストに含まれる技術文書データを入手した場合には、ユーザは、ユーザにより既に取得済の技術文書データと、購入した知識辞書とを用いて、レシピに従ってナレッジグラフを作成できる。また、データ売買サーバ201が、技術文書データを含んで、セットに含まれるデータ一式を販売した場合には、ユーザは、購入した技術文書データと、知識辞書とを用いて、レシピに従ってナレッジグラフを作成できる。
【0071】
次に、データ売買システム200における処理を説明する。
図13は、第2実施形態に係るユーザ端末6に出力される画面例を示す図である。
データ売買システム200におけるデータ売買処理及びデータ販売処理は、第1実施形態のデータ売買処理(図3)及びデータ販売処理(図5)と同様である。
データ販売処理(図5)において、第1実施形態と異なる部分について説明する。
【0072】
図5のS21に対応する処理として、制御部210(販売画面出力部214)は、販売画面をユーザ端末6に送信すると、S22に対応する処理として、ユーザ端末6の制御部は、販売画面を表示する。
図6に示す販売画面70は、例えば、縦方向又は横方向にスライドが可能になっており、ユーザがスライドさせることで、例えば、図13(A)に示す販売画面275をユーザ端末6に出力させることができてもよい。
図13(A)に示す販売画面275は、ナレッジグラフを作成するためのデータ一式を含んだセット販売のための画面である。販売画面275は、ユーザに販売可能なデータ一式を示すアイコン275aと、その名称及び説明とにより、各セットを識別する。
【0073】
ユーザが購入を希望するセットのアイコン275aを選択することで、制御部210(販売画面出力部214)は、データ購入確認画面をユーザ端末6に送信し、ユーザ端末6の制御部は、例えば、図13(B)に示すデータ購入確認画面277を、表示部に表示する。
図13(B)に示すデータ購入確認画面277は、ナレッジグラフを作成するのに必要な技術文書データのリストに含まれる技術文書データの購入を可能にする画面である。技術文書データは、著作権フリーのデータを含む。また、技術文書データは、著作権が設定されているためにユーザが購入しなければナレッジグラフを作成できないデータを含む。
【0074】
ユーザは、データ購入確認画面277を参照し、既に自身が有する技術文書に対応する左横のチェックボックス277aからチェックを解除し、購入のためのボタン277bを選択する。そうすることで、図5のS23に対応する処理において、ユーザ端末6の制御部は、購入要求をデータ売買サーバ201に送信する。
以降の処理は、第1実施形態(図5)と同様であるため、説明を省略する。
【0075】
このように、第2実施形態のデータ売買システム200によれば、以下のような効果がある。
(1)データ売買サーバ201は、技術文書データのリストと、技術文書データに用いる知識辞書と、グラフ作成方法に関するデータとを含む、一のグラフを作成するためのデータ一式をアイコンで示した販売画面を、ユーザ端末6に出力する。
よって、ユーザは、販売画面を参照して、例えば、自身が要求するナレッジグラフを作成するためのセットとして、どのようなものが販売されているかを知り、購入することができる。
【0076】
(2)データ売買サーバ201は、セットアイコンに対する購買要求を受け付けたことに応じて、データ一式に含まれる技術文書データのリストに示された技術文書データの購入が可能なデータ購入確認画面を、ユーザ端末6に出力する。また、ユーザ端末6から技術文書データの購入に係る情報を受け付けたことに応じて、データ一式に含まれる各データと、購入に係る情報に対応する技術文書データとを、ユーザ端末6に出力する。
よって、ユーザは、ナレッジグラフを作成するために必要な技術文書データを含むデータ一式を購入することができる。その際、ユーザが技術文書データを有していない場合には、技術文書が著作物であれば購入して使用ができ、ユーザは、ナレッジグラフの作成に必要なデータ一式を得ることができて便利である。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0078】
(変形形態)
【0079】
(1)第1実施形態では、ユーザ端末6からデータの販売要求を受け付けてデータを購入するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、技術者端末7からデータの販売要求を受け付けてデータを購入してもよい。その場合、技術者端末7から受け付けるデータには、例えば、技術者が作成した知識辞書や、ナレッジグラフのノード間のつながりを変更した変更後のナレッジグラフ等がある。
【0080】
(2)第2実施形態では、セットに対応したデータ一式のうち、技術文書データのリストにある技術文書を、データ売買サーバを用いて購入するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、技術文書データのリストにある技術文書をデータ売買サーバに有さない場合には、技術文書データの売買をしているサイトへのリンク情報等を出力させてもよい。
【0081】
(3)各実施形態では、データ売買サーバに接続されたデータ記憶装置4に、各種のデータを記憶するものを例に説明したが、これに限定されない。例えば、データ売買サーバの記憶部に、各種のデータを記憶していてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,201 データ売買サーバ
4 データ記憶装置
6 ユーザ端末
7 技術者端末
10,210 制御部
13,213 データ販売処理部
14,214 販売画面出力部
16,216 データ出力部
17 技術者仲介部
18 データ作成依頼部
21 データ購入処理部
25 グラフ作成部
26 販売画面更新処理部
30,230 記憶部
31a,231a データ売買プログラム
31b ナレッジグラフ作成プログラム
32 データインデックス記憶部
33 技術者情報記憶部
34 ユーザ情報記憶部
35,235 販売内容記憶部
60 メニュー画面
70,275 販売画面
80 知識辞書
90 ナレッジグラフ
100,200 データ売買システム
277 データ購入確認画面
【要約】
【課題】ナレッジグラフの作成に必要な売買に係る場を提供するデータ売買装置、データ売買システム及びデータ売買方法を提供する。
【解決手段】技術情報に関するデータの売買を行うデータ売買サーバ1は、技術論文及び技術資料を含む技術文書データを記憶したデータベース、及び、1以上の技術分野に係る技術文書データを解析し、解析結果に基づく技術文書データへのタグ付けに用いる知識辞書を記憶した知識辞書記憶部を備えるデータ記憶装置4に対して通信可能に接続され、技術分野ごとのデータベースを示すDBアイコンと、技術分野ごとの知識辞書記憶部を示す辞書アイコンとのうちの少なくとも一方を選択可能な態様で示した販売画面を、ユーザ端末6に出力する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13