(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】被検物質センサー
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1486 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61B5/1486
(21)【出願番号】P 2018559758
(86)(22)【出願日】2017-05-03
(86)【国際出願番号】 US2017030862
(87)【国際公開番号】W WO2017196610
(87)【国際公開日】2017-11-16
【審査請求日】2020-04-09
(32)【優先日】2017-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518396334
【氏名又は名称】パーキュセンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ラジブ
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ,カサリン
(72)【発明者】
【氏名】メッサー,エレン
(72)【発明者】
【氏名】ペンド,ショーン
【審査官】外山 未琴
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-501195(JP,A)
【文献】特表2008-509406(JP,A)
【文献】特表2003-503090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/06-5/22
G01N27/26-27/404
G01N27/414-27/416
G01N27/42-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な最上部表面を有する作用導体と;
前記作用導体の平坦な最上部表面の検知表面部分上に配置された酵素層と;
前記酵素層上に配置された第1の輸送材料の層であって、
グルコースに対して透過性であり、1つ以上の露出した横方向表面を有する、第1の輸送材料の層と:
前記第1の輸送材料の層の最上部表面上に付着された第2の輸送材料の層であって、前記第1の材料の層の最上部を密閉し、前記第2の輸送材料は、
酸素に対しては透過性で、
グルコースに対しては非透過性である、第2の輸送材料の層と;
を含む、多層作用電極。
【請求項2】
前記作用電極の平坦な最上部表面上に付着された絶縁体層をさらに含み、
該絶縁体層はその中に形成された窓を有し;
前記作用電極の前記検知表面部分は、該窓に露出しており、
前記酵素層が、前記絶縁体層の前記窓を充填する、請求項1記載の多層作用電極。
【請求項3】
前記第1の輸送材料の層が前記窓を覆う、請求項2記載の多層作用電極。
【請求項4】
前記酵素層が、前記検知表面部分と前記第1の輸送材料の層との間に配置される、請求項3記載の多層作用電極。
【請求項5】
前記第1の輸送材料の層が、
前記
グルコースが前記第2の輸送材料の層を、前記作用導体の前記平坦な最上部表面に平行な第1の方向
に通過し、
前記
グルコースが、前記第1の輸送材料の層の前記1つ以上の露出した横方向表面
を介して前記第1の輸送材料の層に入る、
ように構成されている、請求項1記載の多層作用電極。
【請求項6】
前記第2の輸送材料の層が、
前記
酸素が、前記第1の輸送材料の層を、前記第1の方向とは非平行の第2の方向
に通過し;
前記
酸素が、前記第2の輸送材料の最上部表面
を通って前記第2の輸送材料の層に入る、
ように構成されている、請求項5記載の多層作用電極。
【請求項7】
前記第2の輸送材料の層が、
酸素の流速を受容するように構成された1以上の横方向表面を有する、請求項1記載の多層作用電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は:2016年5月13に出願された、米国仮特許第62/336,482号;2016年6月10日に出願された、同第62/348,806号;2016年6月23日に出願された、同第62/353,559号;2016年8月2日に出願された、同第62/370,226号;2016年9月2日に出願された、同第62/383,233号;2016年9月29日に出願された、同第62/401,481号;2017年1月6日に出願された、同第62/443,070号;2017年1月27日に出願された、同第62/451,545号;2017年2月28日に出願された、同62/600,742号、および2017年3月23日に出願された、同第62/475,807号の利益を主張する。上に列挙された出願は、あらゆる目的のために、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
発明の分野
【0002】
本発明は概して、被検物質、例えばグルコースまたはラクテートであるがこれらには限定されない被検物質のインビボでの監視を実行する装置および方法を対象とする。具体的には、この装置および方法は、対象における被検物質の存在またはその量に関する情報を提供する電気化学的センサーに関するものである。
【背景技術】
【0003】
特定の被検物質をインビボで監視することは、短期および長期の満足できる生活状態にとって極めて重要であり得る。例えば、グルコースの監視は、糖尿病を伴う人々にとってインスリンまたはグルコースの必要性を判断するために特に重要であり得る。別の実施例では、術後患者におけるラクテートの監視により、敗血症の検出および治療に関してきわめて重要な情報を得ることができる。
【0004】
連続的、またはほぼ連続的な被検物質の監視を実行することが必要である結果、多様な装置および方法が開発されている。いくつかの方法では、所望の被検物質を検出するように設計された電気化学的センサー装置を血管中に配置する一方、他の方法では、皮下液または間質液中に装置を配置する。どちらの配置場所であっても、整合性のある妥当なデータを受けとるという困難な課題が生じる可能性がある。さらには、実際の使用の前に装置を水和、調整、および較正するためには、整合性なる配置場所を実現することがきわめて重要であり得る。市販のセンサー装置の水和および調節は、しばしば、何分の一時間から数時間に及ぶ時間のかかる工程となり得る。水和および調節の工程が成功裏に完了すると仮定して、使用者は、自身の身体中でセンサーを適切な位置に保持するために、自身の移動の自由度または移動の範囲について妥協しなければならない場合がある。
【0005】
グルコースセンサーが、インビボでの連続的な被検物質の監視の一例である。市販の移植可能なグルコースセンサーは概して、平面基板またはワイヤ電極上に作製した電極を採用している。いずれの構成であっても、電極表面を酵素で被覆してあり、これをさらにポリマー膜で被覆して、電極表面に到達するグルコースおよび酸素の量を制御するようになっている。いくつかのグルコースセンサーでは、ポリマー膜は親水性であり、膜層を通過してグルコースが容易に拡散できるようになっているが、親水性膜はしかしながら、膜を通過して拡散することのできる酸素の量を厳しく制限する。電極表面上での酸素の欠如は問題になる可能性があり、その理由は、グルコースセンサーが、酵素を使用することによって動作し、この酵素が触媒するグルコースと酸素との間の反応の結果、作用電極で酸化された過酸化水素を生じるからである。ある量の酸素が、作用電極に存在するだけであれば、電極により測定されるグルコースは、酵素と反応するグルコースの量に比例することになる。そうでなければ、作用電極に存在する酸素が不十分である場合の実例では、グルコース測定値は、グルコース濃度ではなく酸素濃度に比例する。
【0006】
さらに問題を悪化させるのは、人体内おいてグルコースに対し酸素が欠乏していることである。人体内の酸素に対するグルコースの比は、近似的に1対10から1対1000の範囲にある。典型的にはこれは、作用電極での酵素触媒反応が概して、インビボセンサーの正確度、感度、および長期の信頼性に影響する多くの重大な問題を生じ得る酸素欠乏の条件で作動していることを意味する。酸素欠乏の問題を相殺し電極で得られる酸素の相対濃度の増加させる種々のアプローチが実現されている。例えば、市販のグルコースセンサーシステムは、上に考察した親水性膜ではなく高度に特化したグルコース制限膜(GLM)に依拠している。複数の市販のアプローチでは、酸素を吸引すると同時にグルコースも吸引する、疎水性領域と親水性領域の両方を有する均質な膜であるGLMを有している。GLMの実装に向けた一つの欠点は、複雑なGLMを製造するためコストが増加することに起因して、センサーのコストが増加することである。さらには、GLM内での材料の変動性および親水性領域の非均一な分散の結果として、センサーの正確度、感度、および信頼性に影響するバッチ間変動性が生じることが多い。加えて、GLMの親水性および疎水性領域のせいで、グルコースまたは酸素のいずれかの拡散が、電極の表面に対して主に垂直に生じる。
【0007】
GLMの使用に伴う別の欠点は、挿入部位の傷または宿主反応に伴う代謝活性な細胞がGLMの一部分と干渉する、またはこれを遮断する場合には、センサーの有効性が悪影響を受ける可能性のあることである。例えば、もし、赤液球がGLMの非常に近くに溜まるとすると、センサー電極へのグルコースおよび酸素の流れが顕著に妨げられる。同様に、もし、白血球が、GLMの親水性領域にわたるグルコースの流れを妨げるとすると、センサー電極は、誤ったデータを出力するが、その理由は、そうでなければ作用電極に到達するはずのグルコースが白血球により消費されていて、作用電極へグルコースが拡散する代替経路が存在しないためである。
【0008】
別の欠点は、GLMの使用が、グルコースセンサーにとって水和および調節時間が長引くことの、少なくとも部分的な説明になり得ることである。センサーの水和および調節には、作用電極への流体の輸送が必要である。しかしながら、GLMは酸素の輸送に好都合であるため、電極の上にGLMの疎水性領域を配置して、電極への酸素の拡散を促進させる。疎水性であることにより、それらの同領域は、センサーを水和させてグルコースを電極へ輸送するのに必要な水を撥く。
【0009】
特許請求された発明は、特定の被検物質のインビボでの監視に関して上に考察した課題の多くに対処することを追求するものである。以下に考察する多くの実施例において、測定される被検物質はグルコースである。さらに他の実施例においては、被検物質はラクテートである。しかしながら、特定の実施形態および実施例が、グルコースまたはラクテートに関する場合がある一方で、本開示および請求項の範囲は、グルコースまたはラクテートのいずれかに限定されると解釈されないものとする。むしろ、本明細書に記載されたセンサーの電極に付着させる化学物質によって、センサーが測定する被検物質が決まると理解されるものとする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
被検物質の存在を測定する作用電極を、一実施形態として記載する。作用電極は、第1の電位で操作される反応性表面を有する作用導体を含む。作用電極はさらに、反応性表面への被検物質の流束を可能にする特性を有する第1の輸送材料を含む。加えて、作用電極は、反応性表面への反応物の流束を可能にする特性を有する第2の輸送材料を有し、この場合、被検物質の流束および反応物の流束は、非類似方向を向いている。
【0011】
別の実施形態では、電気化学的被検物質センサーを記載する。被検物質センサーは、対向電極と、A側およびB側を有する多層構造により形成された作用電極とを含む。この多層構造は、第1の絶縁層と第1の絶縁層に隣接する伝導層とを含む。加えて、ビア(via)が、多層構造をA側からB側へ貫通して縦断し側壁を画定している。第1の反応性化学物質が絶縁層に付着し、伝導層を含む側壁の少なくとも一部分をさらに被覆して、反応性領域を有する反応性ビアを画定している。
【0012】
別の実施形態では、作用電極を製造する方法を記載する。この方法は、導体材料をパターン形成して、作用導体を生成する操作を含む。方法はさらに、パターン形成された導体材料の第1の側に絶縁層を付着させて多層構造を画定する操作を含む。別の操作では、多層構造を貫通してビアを形成し、これにより側壁を画定する。さらに別の操作では、絶縁層およびビアの上に反応性化学物質を付着させる。反応性化学物質の付着は、側壁の少なくとも一部分を覆い、これにより反応性ビアを画定する。
【0013】
本発明の他の形状および利点は、本発明の実施形態の様々な特徴を実施例により例示する添付図面と併せてなされる以下の詳細な記載から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1Aは本発明の実施形態に準拠する、作用電極の基本的構造を示す作用電極の代表的な等角投影図の例示である。
図1Bは本発明の実施形態に準拠する、作用電極の基本的構造を示す作用電極の代表的な等角投影図の例示である。
【
図2-1】
図2A-1は本発明の実施形態に準拠する、グルコースを測定するように構成されたアパーチャ電極および突出電極の代表的な例示である。
【
図2-2】
図2B-1は本発明の実施形態に準拠する、グルコースを測定するように構成されたアパーチャ電極および突出電極の代表的な例示である。
図2A-2は本発明の実施形態に準拠して、絶縁物、作用導体、反応性化学物質、第1の輸送材料、および第2の輸送材料の間の、アパーチャ電極内部に見られる過酸化水素発生界面の代表的な例示である。
図2B-2は第1の輸送材料、第2の輸送材料、反応性化学物質、および作用電極の間の、突出電極内部に見られる過酸化水素発生界面の代表的な例示である。
図2A-3は本発明の実施形態に準拠する、過酸化水素を分解する拡散経路の代表的な例示である。
図2B-3は本発明の実施形態に準拠する、過酸化水素を分解する拡散経路の代表的な例示である。
【
図3】
図3Aは本発明の実施形態に準拠して、第1および第2の輸送材料が反応性ビアを用いて被検物質、反応物、および生成物の流束をいかにして可能にするかを例示するアパーチャ電極の代表的な断面である。
図3Bは本発明の実施形態に準拠して、被検物質の流束を妨害または遮断する第2の輸送材料の選択によって、被検物質および過酸化水素の流束が、作用電極と並行な方向にいかにして促進されるか、または可能になるかを例示する突出電極の代表的な断面の例示である。
【
図4】
図4Aは代謝活性な細胞がアパーチャ電極に非常に近接している場合に、第1の輸送材料によって、反応性ビアへの被検物質の流束がいかに可能になるかの代表的な断面の例示である。
図4Bは代謝活性な細胞の影響が突出電極の設計によりいかに減少するかの代表的な例示である。
【
図5-1】
図5Aは露出した導体の領域を、作用導体とともに例示するセンサー組み立て体基板の上面図である。
図5Bは
図5Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能なアパーチャ電極の代表的な断面A-Aである。
図5Cは
図5Aに示されたセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極の代表的な断面A-Aである。
【
図5-2】
図5Dは
図5Aに示されたセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極の代表的な断面A-Aである。
図5Eは
図5Aに示されたセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極の代表的な断面A-Aである。
【
図5-3】
図5Fは突出電極およびアパーチャ電極により生成された代表的なデータである。
図5Gは突出電極およびアパーチャ電極により生成された代表的なデータである。
【
図5-4】
図5G-1は突出電極およびアパーチャ電極により生成された代表的なデータである。
【
図5-5】
図5Hは本発明の実施形態に準拠する、突出電極から得られたデータから生成された較正曲線である。
図5Iは本発明の実施形態に準拠する、突出電極から得られたデータから生成された較正曲線である。
【
図5-6】
図5Jは本発明の実施形態に準拠する、アパーチャ電極から得られたデータから生成された較正曲線である。
図5Kは二つの異なる条件でグルコース測定するために突出電極を使用して生成された較正曲線のデータである。
【
図6-1】
図6Aは露出した導体に沿った露出した作用導体を例示するセンサー組み立て体基板の上面図である。
図6Bは
図6Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能なアパーチャ電極の代表的な断面B-Bである。
図6Cは
図6Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極の代表的な断面B-Bである。
【
図6-2】
図6Dはアパーチャ電極の代替実施形態であり、
図6Eはアパーチャ電極の代替実施形態であり、
図6Fはアパーチャ電極の代替実施形態であり、
【
図6-3】
図6Gはアパーチャ電極の代替実施形態であり、
図6Hはアパーチャ電極の代替実施形態であり、一方で
【
図6-4】
図6Iは突出電極の代替実施形態であり、
図6Jは突出電極の代替実施形態であり、
図6Kは突出電極の代替実施形態であり、
図6Lは突出電極の代替実施形態である。
【
図6-5】
図6Mはセンサー組み立て体の形状をいかに使用して被検物質の流束を増強することができるかを例示する突出電極のさらなる実施形態である。
図6Nはセンサー組み立て体の形状をいかに使用して被検物質の流束を増強することができるかを例示する突出電極のさらなる実施形態である。
【
図7】
図7Aは多層構造内部の異なる位置に作用導体を配置させること例示するよう意図した代表的なアパーチャ電極の断面である。
図7Cは多層構造内部の異なる位置に作用導体を配置させること例示するよう意図した代表的なアパーチャ電極の断面である。
【
図8】
図8Aはアパーチャ電極組み立て体および突出電極組み立て体の代表的な断面の例示であり、この場合、さらなる内部層が含まれていて、センサー組み立て体性能の特定の態様をさらに増強している。
図8Bはアパーチャ電極組み立て体および突出電極組み立て体の代表的な断面の例示であり、この場合、さらなる内部層が含まれていて、センサー組み立て体性能の特定の態様をさらに強化している。
【
図9】
図9Aはアパーチャ作用電極と突出作用電極の両方の断面の代表的な例示であり、この場合、化学物質層が第1の輸送材料と第2の輸送材料とを分離している。
図9Bはアパーチャ作用電極と突出作用電極の両方の断面の代表的な例示であり、この場合、化学物質層が第1の輸送材料と第2の輸送材料とを分離している。
【
図10】
図10Aはアパーチャ電極組み立て体および突出電極組み立て体の代表的な断面の例示であり、この場合、化学物質が反応性化学物質を完全に包含している。
図10Bはアパーチャ電極組み立て体および突出電極組み立て体の代表的な断面の例示であり、この場合、化学物質が反応性化学物質を完全に包含している。
【
図11-1】
図11Aは完成すると作用電極の側に沿って非対称の横方向拡散を可能にする突出電極に向けた基板の代替実施形態の上面図である。
図11Bは
図11Aに例示された基板に基づく完成した突出電極の等角投影図断面C-Cである。
【
図11-2】
図11Qは多様な構成の突出電極を作製するのに好適なセンサー組み立て体基板の上面図の代表的な例示である。
図11Rはセンサー組み立て体の側面図である。
図11Sはセンサー組み立て体の側面図である。
図11Tはセンサー組み立て体の断面Q’’-Q’’の代表的な等角投影図である。
【
図11-3】
図11Uは本発明の実施形態に準拠する、代表的なセンサー組み立て体の代表的な断面Q’-Q’である一方、
図11Vは別の例示的なセンサー組み立て体の代表的な断面Q’-Q’である。
【
図11-4】
図11Wは突出電極構成の様々な実施形態を示す、断面Q’’-Q’’の代表的な例示である。
図11Xは突出電極構成の様々な実施形態を示す、断面Q’’-Q’’の代表的な例示である。
図11Yは突出電極構成の様々な実施形態を示す、断面Q’’-Q’’の代表的な例示である。
【
図11-5】
図11Z-1は第1の輸送材料を個別に付着させた4つの突出電極を有する実証的なセンサー組み立て体の等角投影図である一方、
図11Z-2は
図11Z-1に示されたセンサー組み立て体の、断面Z’-Z’であり、
図11Z-3は断面Z-Zである。
【
図12】
図12Aは露出した作用導体の領域と絶縁物の領域を例示するセンサー組み立て体基板の上面図である。
図12Bは異なる物理的構造を有しつつも突出電極の基本原理に基づき動作する作用電極のさらに別の実施形態を例示する、作用導体の代表的な断面
図D-Dであり、
図12Cは異なる物理的構造を有しつつも突出電極の基本原理に基づき動作する作用電極のさらに別の実施形態を例示する、作用導体の代表的な断面
図E-Eである。
【
図13】
図13はアパーチャ電極と突出電極の両方を製造する操作を例示する代表的なフローチャートである。
【
図14-1】
図14Aはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Bはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Cはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Dはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
【
図14-2】
図14Eはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Fはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Gはアパーチャ電極についての代表的な製造工程の断面の例示である。
【
図15】
図15Aは突出電極をいかにして基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
図15Bは突出電極をいかにして基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
図15Cは突出電極をいかにして基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
図15Dは突出電極をいかにして基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
図15Eは突出電極をいかにして基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
【
図16-1】
図16Aは三電極システムを有するセンサー組み立て体用の電極を形成するためのパターン形成された金属トレースを示す代表的な例示である。
図16Bはシンギュレーション(singulation)工程の後のセンサー組み立て体の代表的な例示である一方、
図16Cはシンギュレーション済みセンサー組み立て体の等角投影図であり、
図16Dはシンギュレーション済みセンサーの断面
図F-Fである。
【
図16-2】
図16Eは本発明の実施形態に準拠する、シンギュレーション前の単純化された平面センサー組み立て体の例示である。
図16Fはシンギュレーション後のセンサー組み立て体を示す例示であり、対向電極および参照電極が、センサー組み立て体の縁部で露出している。
【
図17】
図17Aはシンギュレーション後のセンサー組み立て体の代表的な例示である一方、
図17Bはシンギュレーション後のセンサー組み立て体の代表的な等角投影図の例示である。
【
図18】
図18はシンギュレーション、そして引きつづくU字形への形成の後のセンサー組み立て体の代表的な等角投影図の例示である。
【
図19】
図19は疑似参照電極を形成する代表的な操作を伴うフローチャートである。
【
図20-1】
図20Aは疑似参照電極の形成を示す代表的な断面である。
図20Bは疑似参照電極の形成を示す代表的な断面である。
図20Cは疑似参照電極の形成を示す代表的な断面である。
図20Dは疑似参照電極の形成を示す代表的な断面である。
図20Eは疑似参照電極の形成を示す代表的な断面である。
【
図20-2】
図20-1は本発明の実施形態に準拠する、疑似参照電極と併せて突出電極を使用して生成された代表的なデータである。
図20-2は本発明の実施形態に準拠する、疑似参照電極の設計を使用して生成された代表的なデータである。
【
図21】
図21Aは単一の被検物質アパーチャ電極を有する三電極システムの代表的な例示である。
図21Bは
図21Aに見られる三電極システムの代替実施形態である。
図21Cは
図21Aおよび21Bに示された三電極システムのさらに別の代替実施形態である。
図21Dはセンサー組み立て体断面の代表的な例示であり、この場合、化学物質が、第2の輸送充填剤の付着の前にセンサー組み立て体のA側にわたって付着している。
【
図22】
図22Aは三電極システムの代表的な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
図22Bは三電極システムの代表的な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
図22Cは三電極システムの代表的な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
図22Dは三電極システムの代表的な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
図22Eは三電極システムの代表的な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
【
図23】
図23Aは複数の作用電極を利用したセンサー組み立て体の上面図の代表的な例示である。
図23Bは複数の作用電極を利用したセンサー組み立て体の上面図の代表的な例示である。
図23Cは
図23Aに示された複数の作用電極構成の断面G-Gの代表的な例示である。
図23Dは
図23Aに示された複数の作用電極構成の断面G-Gの代表的な例示である。
【
図24-1】
図24Aは作用電極として突出電極を利用した複数作用電極のセンサー組み立て体の代表的な上面図である。
図24Bは
図24Aに見られる複数作用電極のセンサー組み立て体の代表的な底面図である。
図24Cは
図24Aおよび24Bに見られる複数作用電極のセンサー組み立て体の断面H-Hである。
【
図24-2】
図24Dは複数の作用導体を利用したアパーチャ電極の断面である。
図24Eは複数の作用導体を利用したアパーチャ電極の断面である。
図24Fは複数の作用導体を利用した突出電極の断面である。
【
図24-3】
図24Gは単一の作用導体を利用したアパーチャ電極の断面であり、この場合、電極は、A側とB側の両方に形成されている。
図24Hは単一の作用導体を利用した突出電極の断面であり、この場合、電極は、A側とB側の両方に形成されている。
【
図25】
図25Aは使用者の皮下組織内にセンサー組み立て体を配置するのを手助けまたは支援するシャープ(sharp)を組み込んだセンサー組み立て体の代表的な断面の例示である。
図25Bは使用者の皮下組織内にセンサー組み立て体を配置するのを手助けまたは支援するシャープ(sharp)を組み込んだセンサー組み立て体の代表的な断面の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
インビボでの被検物質監視用のセンサーにおける改善にもかかわらず、グルコースセンサーについてのGLMの文脈において概して上に考察したとおり、インビボ被検物質センサーの信頼性、正確度、感度、および耐久性に悪影響をおよぼす、電流設計に伴う基本的問題が存在する。加えて、市販の被検物質センサーを製造する設計のおよび工程の多くには、複雑で煩雑な製造技術に加えて貴金属の使用が必要である。以下に記載するのは、製造の煩雑さおよびコストを下げて連続的な被検物質監視を広範に受容し採用できるよう牽引しつつ、移植可能なインビボ被検物質センサーの信頼性、正確度、感度、および耐久性を向上させることが意図される、設計および製造技術である。
【0016】
本開示全体を通して提供される操作の理論は限定するものであると見なされるものではなく、むしろ本開示は、あらゆる操作の特定の理論により拘束されることなくなされている。加えて、以下の記載および添付図面全体を通して、電極の成分および要素、ならびに電極組み立て体が、層をなして示され記載されることになる。図面に表示した層の相対的な厚さは、実際の割合を表すとは解釈されないものとする。本文献全体を通して考察される層の相対的な厚さは、電極性能および/または機械的堅牢性を向上させるよう操作されることが意図される。
【0017】
センサー組み立て体の作用電極レベルでは、化学反応の生成物の完全な電気化学的消費を可能にする反応物の超過を実現する拡散経路が、以下に提示される設計の巧みに考えられた態様によって可能になる。化学反応の生成物の完全な電気化学的消費は今度は、センサー組み立て体の予想される寿命全体を通じて安定で実質的に線形のセンサー応答に要求される、質量輸送制限の条件を維持するが、これは、センサー組み立て体を移植された対象の生理学的条件の変化には無関係である。これらの改良された作用電極は、従来型の三電極構成での従来の参照電極および対向電極を用いて実装することができる。
【0018】
代わりに、改良された作用電極は、改良された疑似参照電極の設計と組み合わせることができ、この電極設計は、含まれる低インピーダンスで不活性の高表面積の電極が、センサー電解質と直接接し、かつその下にある参照電極とガルバニック/オーミックな接触をしているものである。改良された疑似参照電極の構造により、下にある参照電極の特性に基づいた安定な参照電位が得られ、下にある参照電極は、上に重なった高表面積の電極上で今回生じる対向電極反応を通じて消費されることはもはやなく、これによって、工場で較正されドリフトしないセンサーが可能になる。
【0019】
対向電極と参照電極を疑似参照電極に一体化することによって節約されるセンサー組み立て体上の面積を、改良された作用電極の実施形態を配置するのに使用して、複数被検物質用のセンサーを実現することができる。上に考察した可能性に加えて、改良された作用電極および疑似参照電極の設計には、工場での較正に必要な整合性のある再現性を可能にする効率的な製造工程を利用することができる。
【0020】
この新規の作用電極は、被検物質および反応物の輸送すなわち流束を、反応性表面を有する作用導体に向け非類似方向にすることができるように設計される。反応性表面自体は、複数の実施形態を画定することができる。例えば、反応性表面は、むき出しの露出した作用導体、もしくは表面処理を施された作用導体、もしくはさらに反応性化学物質を付着させた作用導体、またそれらの組み合わせを含むことができる。反応性表面が反応性化学物質を含む実施形態では、生成物が、被検物質、反応物、および反応性化学物質の化学反応により生成され、この生成物は、作用導体との電気化学反応により実質的に消費される、または完全に消費されることさえある。代替実施形態では、被検物質は、作用導体の反応性表面との電気化学反応により実質的に消費される、または完全に消費されることさえある。
【0021】
考察することになる作用電極の第1のタイプは、アパーチャ、または環、またはビア(via)電極と称される。用語「アパーチャ」を選択したが、その理由は、これが「開口」を概して意味すると定義されているからである。したがって、アパーチャは、規則的または不規則な円形、楕円形、矩形、多角形の形状を取ることができる。作用電極の第2のタイプは、アパーチャ電極と非常に類似した原理で作動しており、突出電極と称される。図面において明らかとなるとおり、二とおりの作用電極設計の間ではっきりと区別される特徴は、アパーチャ電極が、電極組み立て体の全体を縦断する貫通孔、すなわちビアを含んでいることである。側壁は、ビアに固有のものであり、鉛直であっても、傾斜していても、渦巻状であっても、波打った縁を有していても(scalloped)よい、または概して不均一であってもよい。反対に、貫通孔ではなく突出電極については、実施形態の多くで、作用電極の選択部分が、組み立て体の面から持ち上がっている。ビアと同様に、この持ち上がりは、多様な規則的または不規則な形状または多角形とすることができ、持ち上がり構造の側壁は、鉛直であっても、傾斜していても、波打った縁を有していてもよい、または概して不均一であってもよい。2とおりの作用電極設計の異なる物理的外観にもかかわらず、これらの設計は、操作および構築技術の原理が共通であり、こうした原理により、これらの設計が入手可能なセンサーとは異なるものとなっている。
【0022】
図1Aおよび1Bは、本発明の実施形態に準拠する、作用電極の基本的構造を示す作用電極の等角図の例示である。
図1Aは、代表的なアパーチャ電極100aである一方、
図1Bは代表的な突出電極100bである。作用電極の両方のタイプとも、代謝性の被検物質、例えばグルコースまたはラクテートであってこれらには限定されないものを測定するために、対象の皮下組織内に配置することが意図されている。アパーチャ電極100aおよび突出電極100bの両方とも、作用導体102を多層構造103の一部として含む。アパーチャ電極100aとともに、ビア104は、全多層構造103をA側106からB側108に縦断する。ビア104aとともに、作用導体102の断面は露出している。作用導体102の露出した断面の上またはその近傍に随意の反応性化学物質を付着させること(図示せず)により、反応性化学物質と反応する被検物質の量に比例する電流の生成とそれ以降の測定が可能になる。
【0023】
分かりやすくするために
図1Aには示さないが、アパーチャ電極100aの多くの実施形態では、多層構造103は、A側からビア104の一部分を充填する第1の輸送材料と、B側108からビア104の残り部分を充填する第2の輸送材料とを含む。一実施形態では第1の輸送材料は、測定されている被検物質の実質的に全方向性の、および/または選択的な輸送を可能にするその能力に基づいて構成される、または選択される。同様に、第2の輸送材料は、被検物質と反応性化学物質の間の反応に相補的な反応物の輸送、供給、または貯蔵を可能にするその能力に基づいて構成される、または選択される。例えば、被検物質がグルコースであり反応性化学物質がグルコースオキシダーゼを含む実施形態では、相補的な反応物は酸素である可能性がある。第1および第2の輸送材料の組み合わせにより、ビア104に向かう被検物質および相補的な反応物の両方の流束を表示する流束ライン112が可能になる。
【0024】
グルコースセンサーへの応用では、第1の輸送材料の選択により、実質的にグルコースの全方向性輸送が可能になり、いくつかの実施形態では第1の輸送材料は、親水性である一群の材料、例えばヒドロゲルであるがこれには限定されないものから選択される。具体的には、島細胞の中またはその周囲のグルコース輸送を模倣する、または再現する三次元ヒドロゲル。選択された三次元ヒドロゲルは、島細胞の中、またはその周囲のグルコース輸送を模倣するまたは再現するので、電極への門戸となるヒドロゲルにより、電極構造の中に実質的に再現されることになる対象内のグルコース条件が可能になる。このことは、GLMを利用するセンサーとは完全に異なっている。グルコース制限膜という材料自体の名に記載されているとおり、対象内のグルコース条件は、電極構造の中に再現されないよう意図的にしてあり、これは、GLMが酸素の移動に有利に働きグルコースの移動を意図的に制限するのが理由である。
【0025】
ヒドロゲルを用いることのさらなる利点は、電極の工場での較正が実現されるよう拡散経路を調整、操作、または設計できることである。工場での較正は、インビトロでのデータが較正または補正係数を使用せずに全操作範囲にわたってインビボでのデータと実質的に相関する場合の電極として理解することができる。本質的には、補正係数または較正係数を使用せずに、工場での較正により、インビボ測定がインビトロ測定と実質的に同一となる結果になる。電極構造への門戸となる三次元ヒドロゲルは島細胞を模倣しているので、電極構造の中のグルコース濃度は、電極がインビボまたはインビトロで配置されるかどうかにかかわらず、電極外側のグルコース濃度を近似すると期待される。加えて、三次元ヒドロゲルは親水性であるので、GLMでなく三次元ヒドロゲルを実装する電極設計により、更に高速な安定化および水和が実証されるはずである。
【0026】
反応性化学物質へのグルコースの供給を可能にする第1の輸送材料とともに、第2の輸送材料が、反応性化学物質の存在下でグルコースに相補的な反応物を供給するその能力に基づいて選択される。使用されている反応性化学物質がグルコースオキシダーゼであるなら、第2の輸送材料を、酸素を輸送し供給するその能力に基づいて選択することができる。その結果、多くの実施形態では、第2の輸送材料が、一群の材料、例えばシリコーンであってこれに限定されないものから選択される。
【0027】
いくつかの突出電極100bの実施形態とともに、多層構造103は、作用導体102のA側106と接触する反応性化学物質の層を含む。突出電極100bは、多層構造103のA側106の表面114から持ち上がった突き出し層、すなわち突出110からその名称が付いている。多くの実施形態では突出110は、第1および第2の輸送材料の両方の層を含む。突出電極100bの多くの実施形態では、第2の輸送材料の選択は、アパーチャ電極に関して記載された優先性に加えて、測定されている被検物質の流れを妨げる、または遮断するその能力に基づいている。したがって、アパーチャ電極100aと突出電極100bの両方について、第2の輸送材料は、疎水性である一群の材料、例えばここまでに考察したシリコーンであるがこれには限定されないものから選択される。以下により詳細に考察するとおり、アパーチャ電極および突出電極の両方について、第1および第2の輸送材料の間の相互作用により、被検物質および反応物の効率的な移動または輸送が可能になる。加えて、第1および第2の輸送材料とともに、反応性化学物質に関係する作用導体の位置および向きにより、反応性化学物質と被検物質との間の反応による生成物の完全な消費が可能になる。
【0028】
上に考察した三次元ヒドロゲル、シリコーンおよびグルコースオキシダーゼを使用してグルコースを測定する実施例は、限定するものであると解釈されないものとする。むしろ、この実施例は、多様な被検物質の測定にまで外挿し発展させることのできる操作原理を有する一つの特定の実施形態と見なされるものとする。さらには、用語「第1の輸送材料」および「第2の輸送材料」は、「A側」および「B側」とともに、添付された図の中で要素を特定する手助けとなる標識として意図されている。これらの用語は、配置、優先性、位置等のいかなる概念を指すと意図されているものでもない。
【0029】
図2A-1および2B-1は、本発明の実施形態に準拠する、グルコースを測定するように構成されたアパーチャ電極100aおよび突出電極100bの代表的な例示である。単純化と可視化の目的のため、
図2A-1および2B-1は、各電極の中の各層を識別する標識とともに共通の番号付けを含む。アパーチャ電極100aおよび突出電極100bは、多くの実施形態では親水性材料、例えば三次元ヒドロゲルであるがこれに限定されないものである第1の輸送材料200を含む。同様に、アパーチャ電極100aと突出電極100bの両方とも、作用導体102、および少なくとも一層の絶縁体204を有する。同様に、アパーチャ電極100aと突出電極100bの両方とも、反応性化学物質202および第2の輸送材料206を含む。アパーチャ電極および突出電極がグルコースを測定するように構成されているこれらの実施形態では、反応性化学物質202はグルコースオキシダーゼである。しかしながら、他の実施形態では、反応性化学物質202は、測定されることが意図される被検物質に基づいて選択される。例えば、作用電極100aおよび100bが、ラクテートを測定するように構成されているとするならば、反応性化学物質はラクテートオキシダーゼを含むことができるが、これには限定されない。いくつかの実施形態、特に、電極が酸素の存在下での測定に使用されるものでは、層または要素、例えば反応性化学物質202であってこれに限定されないものは、随意に省略してもよく、電極は正電圧でなく負電圧で作動させることができることに留意されたい。
【0030】
図2A-2は、本発明の実施形態に準拠して、絶縁物204、作用導体102、反応性化学物質202、第1の輸送材料200、および第2の輸送材料206の間の、アパーチャ電極100a内部に見られる過酸化水素発生界面の代表的な例示である。同様に、
図2B-2は、第1の輸送材料200、第2の輸送材料206、反応性化学物質202、および作用電極102の間の、突出電極100b内部に見られる過酸化水素発生界面の代表的な例示である。
図2A-2および2B-2の両方において、過酸化水素は、グルコースオキシダーゼ(GOx)の存在下、グルコースと酸素との間の化学反応の生成物である:
【0031】
【0032】
各実施形態では、グルコースの濃度勾配の結果として、第1の輸送材料200を通過して反応性化学物質ビアへ向かうグルコース流束が生じる。同様に、反応が生じるのに必要な酸素は、第2の輸送材料206を通過する酸素流束を介して供給される。アパーチャ電極100aとともに、第2の輸送材料202を通過する酸素流束、および第1の輸送材料200を通過するグルコース流束は、電極の互いに反対の側から、または非類似方向から到達することに留意されたい。同様に、突出電極100bとともに、第2の輸送材料206を通過する流束は、第1の輸送材料200を通通過するグルコースの流束とは類似していない方向から反応性化学物質に到達する酸素を有する。
【0033】
図2A-3および2B-3は、本発明の実施形態に準拠する、過酸化水素の分解のための支配的な拡散経路の同様な例示である。グルコースオキシダーゼの存在下でのグルコースと酸素の反応により、過酸化水素とグルコン酸が生成される。作用導体102に印加される電位により、過酸化水素が作用導体102に引き寄せられる。絶縁物204および作用電極102の間の交線上の点212では、過酸化水素は、帯電した作用導体の存在下で以下の式にしたがって分解する:
【0034】
【数2】
アパーチャ電極100aについては、検知用縁部210は、作用導体102の断面積により画定され、作用導体102の厚さにわたる方向214への過酸化水素の拡散を可能にする反応表面を与える。突出電極100bについては、検知用縁部210は、絶縁物204によってもはや覆われていない作用導体の一部分102である。アパーチャ電極100aと同様に、突出電極100bとともに、過酸化水素は最初に点212で分解され、中心216に向かう方向214に拡散することができる(
図2B-2を見られたい)。
【0035】
検知用縁部210に沿った過酸化水素の拡散により、アパーチャ電極および突出電極の設計の少なくとも二つの顕著な特徴が可能になる。第1の顕著な特徴は、過酸化水素の濃度勾配が生じることであり、この勾配は点212で最高であって、検知用縁部210に沿った方向214に過酸化水素が移動しつつ消費されると減少するものである。濃度勾配が生じることにより可能になる第2の顕著な特徴は、過酸化水素が作用導体の検知用縁部210にわたって力学的に拡散するさいに、ほぼ完全にまたは実質的に完全に酸化され得るまたは消費され得ることである。
【0036】
これは、過酸化水素が酵素の積層全体に生成されるが、電極表面の最も遠い縁部の過酸化物のみが消費されるという従来のインビボグルコースセンサーにおいて使用される平面電極とは全く異なる。同様の状況が、水平の手すりの上に落下するさいの雪解けである可能性があり、この場合には水平の手すりが、電極表面の縁部に類似し、雪解けが、電極表面上で消費されている過酸化水素に類似している。雪が手すり上にいったん落下すると、その手すりは、雪が融解/消費されるまで、さらなる雪との接触から遮断される。同様に、平面電極を用いると、過酸化水素が完全に消費されるまで、作用導体上の反応部位を遮断することができる。アパーチャ電極および突出電極の設計を用いて、反応物および生成物の流束を制御して、静的な反応部位ではなく作用導体にわたる生成物の動的な流れを可能にする濃度勾配を誘起するまたは生成させるようにする。
【0037】
先に考察した実施形態は、具体的にはグルコース-酸素-GOx反応を対象とするものであった。本発明の他の実施形態は、異なる反応物、試薬、および被検物質を利用する。これらの特定の反応物および試薬は、制限するものであるとは解釈されないものとし、他の反応物、および試薬が、濃度勾配と、被検物質/試薬の反応の副産物の完全な触媒化を可能にする以降の流束とを確立する反応経路を有することの恩恵を享受できると当業者によって解釈されるものとする。さらには、
図2A-1~2A-3および2B-1~2B-3において考察した実施形態は、作用電極が正電位で操作されると想定している。他の実施形態、具体的には、過酸化水素の生成ではなく酸素の消費を測定するものは、負電位で作用電極を操作することによって実現することもできる。
【0038】
図3Aは、本発明の実施形態に準拠して、第1および第2の輸送材料200および206が反応性ビア104を用いて被検物質、反応物、および生成物の流束をいかに可能にするかを例示するアパーチャ電極100aの代表的な断面である。第1の輸送材料200における被検物質の流束を、実線の矢印212で例示する。矢印212は例示目的のため直線として描いてあるが、第1の輸送材料における被検物質の流束の性質は線形ではない可能性があり、そうは見なさないものとする。むしろ、先に考察したように、好ましい実施形態では、第1の輸送材料は、好ましくは、被検物質の実質的に全方向性の流束を可能にするその能力に基づいて選択される。第2の輸送材料206を通過する相補的な反応物の流束は、破線の矢印216で示してある。同様に、点線の矢印214は、被検物質と、反応物と、反応性化学物質202との間の反応の生成物の流束を例示する。したがって、グルコースが被検物質である実施形態では、点線の矢印214は過酸化水素の流束を例示し、矢印212はグルコースの流束を例示し、矢印216は酸素の流束を例示する。
【0039】
多くの実施形態では、第1の輸送材料200および第2の輸送材料206の、被検物質または反応物のいずれかの流束を可能にする、または増強する能力によって、材料選択が少なくとも部分的に決まる。例えば、作用電極がグルコース-酸素-GOx反応によって生成された電流を測定するように構成されている実施形態では、第1および第2の輸送材料の選択は、グルコースおよび酸素の流束をそれぞれ可能にする輸送材料の能力に依存する。被検物質、例えばグルコースおよびラクテートを、酸素とともに、同様の材料を通して差別化して、そして巧みに設計して流入させることにより、GLMまたは他の制限膜を概して省略することができる。
【0040】
したがって、グルコースが測定されているいくつかの実施形態では、第1の輸送材料200は、例えば、グルコースをヒドロゲル内の任意の方向に自由に移動させることのできる三次元ヒドロゲルであって、これには限定されない材料から選択される。グルコースが第1の輸送材料200内の任意の方向に移動し、グルコースが作用導体102で消費されている状態で、グルコースの濃度勾配がヒドロゲル内に確立されることになる。濃度勾配に関連する拡散原理を適用する結果として、反応性ビア104に向かう、そしてその内に入る被検物質グルコースの流束が得られる。
【0041】
グルコースオキシダーゼを含む電極のこの特定の実施形態では、第2の輸送材料の選択は、第1の輸送層によって可能になるグルコースの供給を補うようになされる。従って、シリコーンは、酸素を輸送、供給するその能力により、グルコース-酸素-GOx反応に付随する酸素欠乏を克服できることから、第2の輸送材料として好ましい選択であり得る。酸素が作用導体で化学反応によって消費されると、酸素の濃度勾配が発生し、この場合、酸素の濃度は作用導体102の近くで低く、B側108に近づくにつれて高くなる。再び、濃度勾配に関連した拡散原理を適用する結果、反応性ビア104に向かう、そしてその中への酸素の流束が得られる。
【0042】
図3Bは、本発明の実施形態に準拠して、被検物質の流束を妨害または遮断する第2の輸送材料206の選択によって、被検物質および過酸化水素の流束が、作用電極と並行な方向にいかにして促進されるか、または可能になるかを例示する突出電極100bの代表的な断面の例示である。ここまで、アパーチャ電極に関して、第2の輸送材料を選択するうえでの唯一の考慮点は、相補的な反応物を輸送または供給する能力であった。突出電極を用いると、第2の輸送材料にさらに要求されるのは、被被検物質質の流束を遮断または制限する能力である。
図3Bに示すように、第2の輸送材料206の層が第1の輸送材料200の上に付着する。第2の輸送材料は流束の被検物質を遮断するので、被検物質は、矢印212で示すように第1の輸送層の周囲に沿って入るように制限され、被検物質-反応物-反応性化学物質の反応に基づく消費によりさらに、方向212への被検物質の横方向拡散を誘起する。
【0043】
図2B-1~
図2B-3において先に考察したように、被検物質-反応物-反応性化学物質の反応の生成物は、アパーチャ形状300の中心に向かって横方向に拡散する際に消費される。多くの実施形態では、第2の輸送材料が反応性化学物質202に付着する結果、第2の輸送材料206の面積が、アパーチャ形状300を実質的に覆う、または完全に覆うことになる。アパーチャ形状を覆うことによって、第2の輸送材料206は、作用電極102に対して垂直な流束を被検物質が誘起できないよう効果的に阻止しつつ、依然として反応物を供給する。むしろ、被検物質の流束は、作用導体に対して垂直に電極に入るのではなく、第2の輸送材料206の周囲に誘起されて、被検物質を作用電極102に実質的に平行に移動させる。
【0044】
図4Aは、本発明の好ましい実施形態に準拠して、代謝活性な細胞250がアパーチャ電極100aに非常に近接している場合に、第1の輸送材料200によって、反応性ビア104への被検物質の流束がいかに可能になるかの代表的な断面の例示である。センサー組み立て体が皮下組織内に挿入される実施形態では、挿入部位によって周囲組織内に限局的な外傷が生じ得る。挿入部位において生じ得る限局的な外傷の一例は、血管の偶発的な破裂または裂傷であり、その結果、センサー組み立て体またはその周囲に血球が放出される。代謝活性な血球はグルコースを消費し、したがって、グルコースを測定するように構成された作用電極の実施形態の性能に影響を及ぼす。
【0045】
アパーチャ電極と、第1の輸送材料200によって可能になる作用電極に向かう被検物質の流束が発生することとにより、作用電極の性能に及ぼす代謝活性な細胞の影響は低減する。
図4Aに例示する実施形態では、代謝活性な細胞250は、アパーチャ電極100aに非常に近接しており、被検物質252を、これが第1の輸送材料200に到達する前に消費する。実際、代謝活性な細胞250は、反応性ビア104の上に影を落とし、被検物質が第1の輸送材料200に到達する前にこれを消費する。しかしながら、作用電極102によって確立される流束と、第1の輸送材料200の材料特性との理由から、被検物質は、代謝活性な細胞250の落とす影を越えて第1の輸送材料200に入ることができる。被検物質がグルコースである実施形態では、第1の輸送材料200は、グルコースをあらゆる方向に自由に動かすことのできる三次元ヒドロゲルと称する材料から選択される。第1の輸送材料200にヒドロゲルを使用することにより、グルコースが作用電極で消費される際にグルコースの流束を最大にすることが可能になる。
【0046】
第1の輸送材料200に三次元ヒドロゲルを使用することは、グルコース制限膜(GLM)を使用するのとは基本的に異なる。GLMは、酸素の流束を誘起する疎水性領域、およびグルコースの流束を誘起する親水性領域のパターンを含む。正反対の目的と特徴を有するこれらの材料は、一緒にパターン形成され、作用電極の上に配置される。理想的な状況では、GLMにより、作用電極への酸素とグルコースの理想的な比率の流束が可能になる。しかしながら、もっと悪い場合のシナリオでは、GLMの使用する結果、作用電極へのグルコース流束を可能とするよう意図された領域または面積全体を、代謝活性な細胞が閉塞することになり得る。若干それほどには問題とならないシナリオでは、作用電極の上の代謝活性な細胞により閉塞されるのは、作用電極へのグルコース流束を誘起するよう意図されたGLMの一部のみである。両シナリオにおいて、GLMの性質は、閉塞領域を越えたグルコースが作用電極に到達するのを防ぐ。
図4Aに見られるように、第1の輸送材料200および第2の輸送材料206を使用することによって、アパーチャ電極の異なる側にグルコースおよび酸素の両方の流束が分岐する。センサーの異なる側へ被検物質の流束が分離されることと電極の向きとにより、過酸化物の横方向反応表面を含む検知用縁部がさらに可能となり、これは他のセンサー設計では見られないものである。
【0047】
図4Bは、本発明の実施形態に準拠する、突出電極の設計が代謝活性な細胞の影響をいかにして最小化するかの代表的な例示である。
図3Bに関して先に考察したように、第2の輸送材料206は、作用電極102に平行な被検物質の横方向拡散を誘起するよう意図的に配置される。したがって、代謝活性な細胞250が、突出電極100bへの被検物質252の直接的な流束を妨げるならば、反応性化学物質202に実際に入るどんな被検物質も、同じ横方向拡散経路を辿らなければならない。しかしながら、突出電極に入る被検物質の量が減少すると、代謝活性な細胞が存在することにより、突出電極の応答時間が増加する可能性がある。同様に、多数の代謝活性な細胞の存在下で突出電極の全体的な正確度が悪影響を受ける可能性がある。
【0048】
図5Aは、本発明の実施形態に準拠する、作用導体102とともに露出した導体550および552の領域を例示するセンサー組み立て体基板500の上面図である。
図5Aに示す上面図は、センサー組み立て体基板のものであり、完成したアパーチャセンサー組み立て体または突出センサー組み立て体ではないことに留意されたい。
図5Aにおいて、完成した組み立て体ではなくセンサー基板を示す意図は、基板形状の共通性を示して、異なる設計の柔軟性と堅牢性を実証することである。センサー組み立て体基板上の三電極構成の例示では、典型的には、露出した導体550を対向電極として使用する可能性がある一方、露出した導体552を参照電極として使用する可能性がある。しかしながら、露出した導体550および552が単一の導体である実施形態では、擬似参照電極として作用する組み合わされた導体550および552を有する二電極システムとして、センサー組み立て体を操作することが可能である。
図5Aに示される三電極システムに戻ると、作用導体102は、
図5Bおよび5Cにおける断面A-Aに関連してさらに記載されるアパーチャ形状502を含む。
【0049】
図5Bは、本発明の実施形態に準拠する、
図5Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能なアパーチャ電極500aの代表的な断面A-Aである。アパーチャ電極500aはアパーチャ形状502を含むが、反応性化学物質202の付着により、反応性ビア504を画定している。所望の厚さの反応性化学物質がアパーチャ形状502の側壁を被覆しているので、反応性ビア504の有する開口はアパーチャ形状502よりも小さい。例示の実施形態では、反応性ビア504は、第1の輸送材料200および第2の輸送材料206の両方により充填されている。第1および第2の輸送材料200および206の選択は、反応性化学物質の選択によって影響され得る。
【0050】
図5C~
図5Eは、本発明の実施形態に準拠する、
図5Aに示すセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極500bの代表的な断面A-Aである。突出電極をアパーチャ電極から差別化する物理的特徴は、アパーチャ電極の多層基板の全層を縦断する貫通ビアを突出電極が含まないことである。これは、
図5Cにおいて明白であり、この場合、アパーチャ形状502は、作用電極102を露出させる、絶縁物501における開口である。絶縁物501と、アパーチャ形状502によって露出した作用電極102とは、反応性化学物質202を用いて覆われる。反応性化学物質202の層は、第2の輸送材料206の選択的な配置によって少なくとも部分的に覆われる表面114をさらに画定している。好ましい実施形態では、第2の輸送材料の配置は、実質的にアパーチャ形状502の直上に存在している。加えて、表面114上の第2の輸送材料206の面積は、アパーチャ形状502と実質的に同じになるように選択される。例えば、
図5Aに示されるようにアパーチャ形状502が円形である実施形態では、第2の輸送材料の配置も円形であり、アパーチャ形状と実質的に整列している。第2の輸送材料がアパーチャ形状502の上に実質的に整列しているのは意図的であり、それは、アパーチャ形状502の縁部からアパーチャ形状の中心に向かう被検物質の横方向拡散が生じ易くなるからである。
【0051】
図5Dおよび5Eは、本発明の実施形態に準拠し、第1の輸送材料の層を利用して、作用電極上での被検物質と反応性化学物質との間の反応による副産物の反応物の横方向拡散をさらに増強させる突出電極500bの他の実施形態である。絶縁物501は
図5Cと同様に、作用電極102の一部を露出させるアパーチャ形状502によって画定される開口を含む。しかしながら、作用導体102に付着した反応性化学物質202の層は、表面114までは達していない。むしろ、反応性化学物質202の層を、作用電極102の上に意図的に付着させる結果、表面114と反応性化学物質の最上部との間に段差が生じている。
図5Dでは、第1の輸送材料200の層が反応性化学物質202の上に付着する結果、輸送材料200の少なくとも一部が表面114より上まで延在している。
図5Eにおいて、第1の輸送材料200の層が、反応性化学物質202とアパーチャ形状502に隣接する表面114の小領域との上に付着する結果、第1の輸送表面510が得られる。
【0052】
図5Dおよび5Eの両方において、第2の輸送材料206の層が第1の輸送材料200の上に付着し、表面114を越えて突出形状をさらに画定する。
図5Dにおいて、第2の輸送材料206の付着は、実質的に
図5Cに記載されたとおりに行う。この結果、表面114からさらに遠ざかるように延在する突出形状と、突出部の縁部に沿って第1の輸送材料200に入る被検物質の通路508との両方が生じる。
図5Eでは、第1の輸送材料によって画定される表面510は、第1の輸送材料200内部の被検物質の流束を増加させることができるように、さらに大きな表面積を与える。
図5Cに関して先に考察したように、
図5Dの通路508および
図5Eの表面510への被検物質の流束を制限または限定するために、第2の輸送材料の付着は、アパーチャ形状502と実質的に同じ面積で行われる。これらの実施形態のそれぞれにおいて、突出の縁部へ向かう被検物質を制限することにより、アパーチャ形状502の周囲からアパーチャ形状502の中心に向かう被検物質の横方向拡散が増強される。
【0053】
図5F、5G、および5G-1は、本発明の実施形態に準拠する、突出電極およびアパーチャ電極によって生成された代表的なデータである。
図5Fは、
図5C~5Eに記載のものと同様の突出電極を緩衝溶液中に配置し、グルコースを周期的な間隔で100mg/dLで導入した場合に、電流の時間経過をナノアンペアで例示したものである。
図5Gは、本発明の実施形態に準拠する、アパーチャ電極を使用して生成された代表的なデータである。
図5Gは、
図5Bに記載のものと同様の代表的なアパーチャ電極を緩衝溶液中に配置し、グルコースを周期的な間隔で100mg/dLで導入した場合に、電流の時間経過をナノアンペアで例示するものである。
【0054】
図5G-1は、反応性化学物質としてラクテートオキシダーゼ(LOX)を用いた突出電極を緩衝溶液中に配置し、乳酸を周期的な間隔で0.1mmol/Lずつ導入した場合に、この電極によって生成されたデータである。このデータは、0~6mmol/Lの生物学的に関連する範囲で線形性を実証している。加えて、
図5G-1に例示の結果は、
図5Fにおけるデータを生成した突出電極グルコースセンサーを構築するのに使用したのと同じ突出電極製造技術を実行しつつ、GOXをLOXに置き換えることによって得られた。反応性化学物質を単に切り替えることによって第2の被検物質をこのように検出できることは、GLMを用いて製造されるセンサーと比較して、突出電極およびアパーチャ電極の両方が有するさらに高い柔軟性を実証するものである。GLMを有するセンサーが異なる被検出物質を感知できるようにするためには、異なる被検物質に特化した制限膜が必要となる。したがって、GLMに依存するセンサー設計を変更してラクテートを測定するためには、ラクテート制限膜を開発する必要がある可能性がある。突出電極のデータで実証したように、ラクテート制限膜を設計、開発する必要性はなく、その理由は、第1の輸送材料により充分なラクテート流束が可能になり、第2の輸送材料により充分な酸素流束が可能になることにより、生物学的に関連する範囲にわたり線形性を示すラクテートセンサーが可能になるからである。
【0055】
図5Hおよび5Iは、本発明の実施形態に準拠する、突出電極から得られたデータから生成された較正曲線である。
図5Hに、酸素の様々な濃度を有する緩衝溶液中に突出電極を配置し、指示されたグルコース濃度を緩衝液中で実現した場合に生成される電流をナノアンペアで示す。
図5Hにおいて、緩衝溶液中の第1の酸素濃度はほぼ周囲濃度であり、第2の酸素濃度は約5%であった。
図5Hに例示するデータは、酸素濃度の変化に関係なく、妥当な線形性および安定性を実証している。
【0056】
図5Iに、人体内の間質液に見られるものにさらに典型的な酸素の様々な濃度を有する緩衝溶液中に突出電極を配置した場合に生成される電流をナノアンペアで示す。
図5Iに例示するデータは、緩衝流体内の酸素濃度が約5パーセントと1パーセントの両方で生成した。概して言えば、5パーセントの酸素は標準的な動作濃度に近いが、1%の酸素は人体の間質液中での制限された酸素環境であると概して見なされる可能性がある。
図5Iに示すように、較正曲線は5パーセントと1パーセントの間の酸素濃度で線形性と安定性を維持している。
【0057】
図5Jは、本発明の実施形態に準拠する、アパーチャ電極から得られたデータから生成された較正曲線である。
図5Jに、酸素濃度がほぼ周囲濃度に等しい緩衝溶液中にアパーチャ電極を配置した場合に生成される電流をナノアンペアで示す。再び、点線は、広範囲のグルコース濃度にわたってデータの妥当な線形性および安定性を実証している。
【0058】
図5Kは、二つの異なる条件でグルコースを測定するために突出電極を使用して生成された較正曲線のデータである。黒い実線は、既知量のグルコースを緩衝溶液に添加したインビトロ条件から生成された較正曲線である。個別の黒い点は、インビボ試験のために静置したヘパリン化全ウシ血液のバイアルにグルコースを導入した偽ビボ(faux vivo)試験から得られた測定結果である。データの両組は室温で取得した。インビトロだけでなく、インビボ試験の態様を近似する困難な偽ビボ環境で、実質的に類似したグルコースの濃度の測定値が得られたことから、このデータは、ヒドロゲルおよびシリコーンを用いたセンサーの能力により、全範囲で較正の要らないグルコース検知が可能になることを実証するものである。
【0059】
図6Aは、本発明の実施形態に準拠する、露出した導体606および608に沿って露出した作用導体102を例示するセンサー組み立て体基板600の上面図である。また、
図6Aに見られるのは、作用導体102を伴う外周602および内周604によって画定される反応性領域610である。先に考察したように、反応性領域610は概して、任意の多角形から円形まで任意の多様な形状を取ることができるアパーチャと見なすものとする。なお、周囲602および604は同じ形状で示されているが、他の実施形態ではこれらの周囲は、実質的に同心である限り、異なる形状であってもよい。
【0060】
図6Bは、本発明の実施形態に準拠する、
図6Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能なアパーチャ電極600aの代表的な断面B-Bである。アパーチャ電極600aは、多層の絶縁物204と共にA側106およびB側108を含む。絶縁物204の最もA側の表面と同一平面上にあるのは、
図6Aのように上から見たときに反応性領域610が見えるようになっている反応性化学物質202である。反応性化学物質202は、ビア604内にさらに延在して、側壁612を少なくとも部分的に裏打ちする、または被覆する。側壁612を反応性化学物質202で裏打ちまたは被覆し、作用電極102との電気的な導通を形成して、作用ビアをさらに画定する。
【0061】
図5Bでは、反応性化学物質202を絶縁物204の全体に付着させた。
図6Bに例示するように、反応性化学物質202は、作用導体102のA側の絶縁物204を部分的にしか覆っていない。これにより、アパーチャ電極を製造するのに必要な反応性化学物質202の全体量が削減される。
【0062】
図6Cは、本発明の実施形態に準拠する、
図6Aに見られるセンサー組み立て体基板の最上部に構築可能な突出電極600bの代表的な断面B-Bである。絶縁物204のさらなる層が、作用導体102のA側106に付着している。一実施形態では、反応性化学物質202は、アパーチャ形状604にわたり絶縁物204の単一の層と同一高さになるように付着している。絶縁物204の第2の層がA側106に付着している。絶縁物204の第2の層は、第1の輸送材料200を用いて引き続き充填されるアパーチャ形状602を含む。第2の輸送材料206の層は、第1の輸送層200の上に配置され、第2の輸送材料206の層は、アパーチャ604と実質的に同じサイズを有する。
【0063】
本発明の実施形態に準拠して、
図6D~6Hはアパーチャ電極の代替実施形態である一方、
図6I~6Lは突出電極の代替実施形態である。
図6D~
図6Lに見られる実施形態のそれぞれは、第1の輸送材料200を通過して反応性化学物質202に向かう被検物質の流束を例示する矢印212を含む。これらの実施形態は、第2の輸送材料206を通過して反応性化学物質202に向かう反応物の流束を示す矢印216をさらに含む。矢印214は、作用導体102に向かいそれを横切る、被検物質-反応物-反応性化学物質202の反応の生成物の流束を例示する。矢印212、216、および214は、流束の巨視的概念を説明することを意図しており、説明的とみなすものとする。概して、アパーチャ電極の様々な実施形態の間の違いは、反応性ビア内またはその回りの反応性化学物質202の配置に関連づけられる。
図6Fにおいて、反応性化学物質202は物理的に作用導体102と接触していないことに留意されたい。同様に、突出電極の様々な実施形態の違いは、第1の輸送材料200と反応性化学物質202の比率および配置に関連づけられる。
【0064】
図6Mおよび6Nは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体の形状をいかに使用して被検物質の流束を増強することができるかを例示する突出電極のさらなる実施形態である。
図6Mおよび
図6Nはそれぞれ、作用導体102が反応性化学物質202に露出している場合を除き絶縁物204に囲まれている作用導体102を含む。第1の輸送材料200は、何らかの絶縁物204と共に反応性化学物質202の上に付着させる。第2の輸送材料206の層は、第1の輸送材料200の層の上に付着させる。第2の輸送材料206は、反応物に相補的な反応物の流束を許容するまたは可能にするその能力および被検物質の輸送または流束を防止する能力に基づいて選択されることを思い出されたい。第1の輸送材料200と反応性化学物質202の両方の上に第2の輸送材料206を意図的に配置することにより、作用電極に対して垂直な方向を被検物質の流束が向く可能性を効果的に低減しつつ、被検物質に相補的な反応物の比例的に大きな流束を可能にすることができる。反応性化学物質202および作用電極102に対する法線方向が第2の輸送材料206によって実質的に遮断された状態で、被検物質は、矢印212によって指示される方向へ向かって、突出の周囲の第1の輸送材料200内に入るように効果的に促される。
図6Mを
図6Nと比較すると、
図6Nの第1の輸送材料200の表面積が増加していることに留意されたい。これらの実施形態では、第1の輸送材料の表面積を増加させることにより、より多くの被検物質がセンサーに入るようにできるので、被検物質の流束を向上させることができる。
【0065】
構成のいかんにかかわらず、矢印212および216の方向が類似していないことが、被検物質および反応物の流束が非類似方向に向っていることを示しているのに留意されたい。突出電極のいくつかの実施形態では、アパーチャ電極の場合よりもそうなる可能性があるが、被被検物質物と反応物との間で流束の方向が類似しないのは、被検物質と反応物がそれぞれの輸送材料に最初に入る時点でさらに顕著である可能性がある。加えて、作用導体102にわたる被検物質-反応物-反応性化学物質流束の間の反応の生成物の流れに留意されたい。アパーチャ電極の実施形態では、矢印214によって例示される生成物の流束は、作用導体102の面620にわたっている。同様に、突出電極の実施形態では、矢印214によって例示される生成物の流束は、作用導体102の面620にわたっている。被検物質-反応物-反応性化学物質の間の反応の生成物の独立した流束と併せて反応性化学物質に向かう被検物質および反応物の流束の方向が類似していない結果、電極内の様々な濃度勾配が生じる。様々な反応の各成分の固有の濃度勾配は、調整可能で長い拡散長と結びついており、センサー出力に及ぼす限局的な機械的および濃度の摂動の影響を低減することによって、工場での較正に必要な安定性に寄与し得る。
【0066】
図7A~
図7Cは、本発明の実施形態に準拠する、多層構造内部の異なる位置に作用導体102を配置させることを例示するよう意図した代表的なアパーチャ電極の断面である。作用導体102は、
図7AのB側108に向かって偏しているが、
図7Bでは、作用導体102は、多層構造内の実質的な中心にある。
図7Cでは、作用導体102はA側106に向かって偏している。多層構造内に作用導体102を様々な配置にする動機には、センサー組み立て体の全厚さ、第1の輸送材料200および第2の輸送材料206の付着量、ならびに反応性化学物質202、第1の輸送材料200、および第2の輸送材料206それぞれの流れの特徴が挙げられる。
【0067】
いくつかの実施形態では、アパーチャ内の最小の反応性領域を保証するために、特定の全厚さを有するセンサー組み立て体を有することが望ましい場合がある。アパーチャ内の反応性領域は、作用電極によってどれだけの電流を発生させることができるかに直接関連づけられる。よって、センサー組み立て体が厚くなるにつれて、反応物にとってアパーチャ内の表面積が大きくなり、発生する電流が大きくなる。多層構造内の作用導体102の位置取りはまた、アパーチャを充填するのに必要な第1および第2の輸送材料200および206の量に影響を及ぼし得る。第1の輸送材料200が比較的安価であり、第2の輸送材料206がより高価である実施形態では、第2の輸送材料206の使用を減らすことが有利であり得る。
【0068】
反応性化学物質202の流束の特徴はまた、多層構造内の作用導体102の配置に影響を及ぼし得る。スクリーン印刷を用いて反応性化学物質202を付着させる実施形態において、反応性化学物質202材料の粘度は、ビアの側壁に沿って所望の厚さを得るには重要となり得る。非常に高粘度の材料は、反応性層が非常に厚くなったり、ビア210の側壁が完全に覆われなかったりという結果になる場合がある。したがって、反応性化学物質202用のさらに高粘度の材料では、
図5Cに示す実施形態を使用することが望ましい場合がある。同様に、さらに低粘度の反応性化学物質は、ビアの側壁の不完全なまたは部分的な被覆または反応性層の不十分な厚さといった結果につながる場合がある。いずれの実例でも、低粘度材料は、側壁上に被覆を残すのではなく、完全にビアを通過して単に流れることになり得る。反応性化学物質202の厚さは、適切な作用電極の操作を保証するための核心であり得る。三次元ヒドロゲルの使用と組み合わせたアパーチャ幾何学形状によって、作用導体102へ反応物を充分に輸送することができると同時に、反応性化学物質202の厚さによって、作用導体102上に、測定可能な電気信号を連続的に生成するのに充分な生成物が確実に存在するようになる。
【0069】
図8Aおよび8Bは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体性能の特定の態様をさらに増強するためにさらなる内部層を有するセンサー組み立て体の代表的な断面の例示である。
図8Aは、作用導体102の上の複数の化学物質層を示すアパーチャセンサー組み立て体断面の代表的な例示である。具体的には、
図8Aでは、化学物質層802が反応性化学物質202の上に付着する。いくつかの実施形態では、化学物質層802は干渉拒絶層である。作用電極がグルコースを測定するように設計されている多くの実施形態においては、化学物質層802または干渉拒絶層は、アセトアミノフェン、アスコルベート(ascorbate)およびウレート(urate)など干渉性化学種の拒絶を支援するように選択することができる。グルコース以外の被検物質を測定するように設計された実施形態では、化学物質層802は、他の好ましい干渉性化学種の拒絶を支援するように選択することができる。
【0070】
図9Aおよび9Bは、本発明の実施形態に準拠して、化学物質層902が、第1の輸送材料200と第2の輸送材料206とを分離する、アパーチャ作用電極と突出作用電極との両方の断面の代表的な例示である。いくつかの実施形態では、化学物質層902は、第1の輸送材料200と第2の輸送材料206との間の接着を促進する接着層である。様々な実施形態において、第1の輸送材料200および第2の輸送材料206が不適合である場合がある。不適合性の種類の例には、第1の輸送材料と第2の輸送材料との間の界面における混合、または望ましくない副産物を生成する第1の輸送材料と第2の輸送材料との間の化学反応が挙げられるがこれらに限定されない。別のタイプの不適合性は、第1または第2の輸送材料のいずれかまたは両方を完全に硬化させることができないことである。第1および第2の輸送材料の間に不適合性が存在する実施形態では、第1および第2の輸送材料の間に化学物質層902を含めることが有益であり得る。
【0071】
図10Aおよび
図10Bは、本発明の実施形態に準拠する、アパーチャ電極組み立て体1000aおよび突出電極組み立て体1000bの代表的な断面の例示であり、この場合、化学物質層1002が反応性化学物質202を完全に包含している。
図10Aは、化学層1002が反応性化学物質202を完全に囲繞している点で
図8Aと異なる。同様に、
図10Bと
図8Bとを比較すると、化学物質層1002は反応性化学物質202を完全に覆っている。したがって、多くの実施形態では、化学物質層1002は、作用電極によって測定されている被検物質と干渉する望ましくない化学種を拒絶するように画定された干渉拒絶層である。あるいは、第1の輸送材料自体の内部に干渉拒絶層を一体化することができる。例えば、電気的に活性な干渉性化合物を拒絶するまたはこれと複合体形成するように設計された帯電したポリマー性および非ポリマー性の分子を、酵素閉じ込めに使用される三次元ヒドロゲルおよび/または酵素と溶液との間の3Dヒドロゲルのいずれかの中に含めることができる。この技術による干渉拒絶は、電極設計によって支持された高透過性の第1および第2の輸送材料の拡散経路が長いことによってさらに増強される。
【0072】
代替実施形態では、化学物質層1002は、所望の種が反応性化学物質から離れる方向へ拡散するのを防止しつつ、望ましくない化学種が反応性化学物質に向かって拡散するのを制限する。例えば、いくつかの実施形態では、化学物質層1002は、過酸化水素が反応性化学物質202から遠ざかる方向に拡散するのをさらに制限しつつ、アセトアミノフェンが反応性化学物質202中に拡散するのを制限することができる。別の例では、化学物質層1002は、間質液中で自然に発生する過酸化水素が作用導体102に到達しないよう拒絶することにより、グルコース-酸素-GOX反応によって生成された過酸化水素のみが作用導体で確実に消費されるようにする。
【0073】
図11Aは、本発明の実施形態に準拠して、完成時には、第1の輸送材料の側面に沿った非対称の横方向拡散を可能にする突出電極用の基板1100の代替実施形態の上面図である。
図11Aと
図5Aとを比較すると、1つの違いは、
図11Aにおけるアパーチャ形状502がないことである。しかしながら、このアパーチャのないことによって、基板1100上に突出電極の形成が排除されるものではない。むしろ、
図11Aに見られるように、作用導体102は、絶縁物204によって取り囲まれつつ完全に露出している。
図11Bに関して記載することになるとおり、第1および第2の輸送材料とともに反応性化学物質を付着させた後に、作用導体102の全長の両側に沿った被検物質の横方向拡散が可能になる。
【0074】
図11Bは、本発明の実施形態に準拠する、
図11Aに例示された基板に基づく完成した突出電極の等角投影図断面C-Cである。
図11Bに例示された断面を
図5Eの断面と比較すると、実質的に同一の断面が得られる。しかしながら。2つの実施形態を概念的に区別する一つの方法は、
図5Eが個別の突出の断面であり、
図11Bがセンサー組み立て体全体の長さにわたって延びていてもよいリブ(rib)の断面であることである。よって、突出が、突出の全周囲をめぐって横方向拡散を可能にする個別の突出である場合、リブは、縁部1110aおよび1110bの両方に沿った横方向拡散を可能にする。この実施形態は、センサー組み立て体の体積全体にわたる第1の輸送材料200の分布が、生物活性な細胞要素、例えば赤血球および白血球によって被検物質の流束が遮断または妨害される可能性をいかにして回避するかを、さらに例示している。第1の輸送材料として三次元ヒドロゲルを使用することにより、生物活性な細胞の影響に対する耐性をすでに向上できているのと同時に、
図11Bにおけるもののような実施形態は、センサーのほぼ全長となり得る縁部1110aおよび1110bにわたる被検物質の流束を可能にすることにより、耐性をさらに増強する。
【0075】
図11Qは、本発明の実施形態に準拠する、多様な構成の突出電極を作製するのに好適なセンサー組み立て体基板1120の上面図の例示である。センサー組み立て体基板1120は、絶縁物204で覆われた作用導体102を含む。さらに、アパーチャ形状1112が絶縁物204内部に作られており、下にある作用導体102を露出させている。
【0076】
図11Rおよび
図11Sは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体1120aおよび1120bの側面図である。センサー組み立て体1120aの側面図は、第2の輸送材料206の付着の違いを示すよう意図されている。
図11Rでは、第2の輸送材料206をアパーチャ形状1112の上に付着させた。
図11Sでは、第2の輸送材料206を全表面に付着させた。
【0077】
図11Tは、本発明の実施形態に準拠するセンサー組み立て体1120bの断面Q”-Q”の等角投影図である。この断面は、
図11Rおよび
図11Sに見られる、区画1114、区画1116、および区画1118の間の描写を例示する。断面はさらに、区画1118が単に、第2の輸送材料206によって画定される層についての別のコールアウト(callout)であることを示している。
【0078】
図11Tは、第2の輸送材料206の異なる付着がセンサー組み立て体1120aおよび1120bの両方の内部での被検物質輸送にどのように影響するかを視覚化する手助けとなるはずである。センサー組み立て体1120bについては、被検物質は、概して矢印212によって示される方向への被検物質の流束を可能にする第1の輸送材料200によって、反応性化学物質202に輸送される。先に考察したとおり、第2の輸送材料206は、露出した縁部に沿って入る場合を除き、被検物質が第1の輸送材料200に入るのを防止すると同時に、作用導体202に実質的に垂直な方向に反応性化学物質202へ反応物を供給し、これは矢印216により示されるとおりである。しかしながら、区画1116の両縁部に沿って、第1の輸送材料200は露出しており、被検物質は第1の輸送材料200を通って横方向に拡散することができる。被検物質が第1の輸送材料200を通過して横方向に拡散すると、反応性化学物質202と反応して副産物を生成し、これがアパーチャ形状1112の縁部から作用導体102の中心に向かって横方向に拡散し続ける。
【0079】
本発明の実施形態に準拠して、
図11Uは、センサー組み立て体1120aの代表的な断面Q’-Q’であり、
図11Vは、センサー組み立て体1120bの代表的な断面Q’-Q’である。断面Q’-Q’により、センサー組み立て体内部の複数の作用電極を見ることができる。
図11Uと
図11Vとの間で第2の輸送材料206の付着を比較により、アパーチャ形状1112の上への個別の付着と、センサー組み立て体全表面を覆う全面の被覆との間の違いがさらに例示される。
図11Uはさらに、異なるセンサー組み立て体1120aおよび1120bについて異なる被検物質の流束を視覚化することができる。センサー組み立て体1120aを用いると、付着した第2の輸送材料206の間の間隙により、作用導体102に垂直な方向で被検物質が第1の輸送材料200に入ることが可能になり、これは
図11Uの流線112を見られたい。これにより、被検物質は、付着した第2の輸送材料206の周りで均一に第1の輸送材料に入ることが可能になる。
【0080】
図11W~
図11Yは、本発明の実施形態に準拠する、突出電極の様々な実施形態の代表的な例示である。
図11Wでは、反応性化学物質202がアパーチャ形状1112を充填し、アパーチャ形状1112の縁部の上に延在する一方、第1の輸送材料200は電極組み立て体の縁部まで延在する。加えて、第2の輸送材料206は、アパーチャ形状1112の実質的な上に付着する。
図11Xでは、反応性化学物質202はアパーチャ形状1112を充填し、アパーチャ形状1112の縁部の上に延在する。
図11Wに示される実施形態と同様に、第1の輸送材料2200は、電極組み立て体の縁部まで延在する。しかしながら、
図11Wに示す実施形態とは異なり、第2の輸送材料206は、アパーチャ形状1112の真上には限定されない。むしろ、第2の輸送材料206は、第1の輸送材料200のように電極組み立て体の縁部まで延在する。この実施形態は、所望の長さの拡散経路を実現するために、第1の輸送材料と第2の輸送材料との間の相互作用をいかにして調整することができるかを例示する。
図11Yに例示される実施形態では、反応性化学物質202はアパーチャ形状1112内部に制限される結果、第1の輸送材料200は、アパーチャ形状1112の残りを充填し、電極組み立て体の縁部まで延在している。
図11Xにおける実施形態と同様に、
図11Yにおける第2の輸送材料206は、電極組み立て体の縁部まで延在する。上に考察した特定の実施形態は代表的なものであり、本開示の範囲を制限すると解釈されないものとする。横方向拡散を利用する突出電極は、アパーチャ形状、反応性化学物質、第1の輸送材料、および第2の輸送材料の多くの異なる入れ替えを使用して形成してもよい。
【0081】
本発明の実施形態にしたがって、
図11Z-1は、第1の輸送材料200を個別に付着させた4つの突出電極を有する実証的なセンサー組み立て体の等角投影図である一方、
図11Z-2は、
図11Z-1に示されたセンサー組み立て体の断面Z’-Z’であり、
図11Z-3は、断面Z-Zである。
図11Z-1に示す等角投影図は、露出した第1の輸送材料の側面に沿って入る矢印212を使用して、被検物質の流束を例示する。作用導体102に対して実質的に垂直である矢印216を用いて、反応物の流束を例示する。第1の輸送材料200および反応性化学物質202の
図11Z-1~11Z-3において使用される層の形状および相対的な厚さは、限定することを意図しているのではなく、むしろ実証するものであるとみなされるものとする。
図11Z-1~11Z-3の意図は、独立した作用電極の間で第1の輸送材料が一つにつながっていない実施形態を提示することである。
図11Z-2では、第1の輸送材料200が個別に分離しているのが明らかであり、この場合、第2の輸送材料206は、第1の輸送材料200を第1の輸送材料200’から分離している。
図11Z-3には、拡散経路の長さの調整を可能にするだけでなく拡散経路の幅または厚さの調整も可能にする様々な材料間の相互作用をさらに例示する。
【0082】
図12Aは、本発明の実施形態に準拠する、露出した作用導体102の領域と絶縁物204の領域を示すセンサー組み立て体基板の上面図である。この実施形態は、
図5Eに記載された突出電極、または
図11Aおよび11Bに記載されたリブ電極に似ているが、
図12Bおよび
図12Cの両方を考察することによって、作用電極102の設計形状の差別化が記載されることになる。
【0083】
図12Bおよび12Cはそれぞれ、異なる物理的構造を有しつつ突出電極の基本原理に基づき動作する作用電極のさらに別の実施形態を例示する、作用導体の代表的な断面
図D-DおよびE-Eである。
図12Bに例示するとおり、作用電極の一部が露出され、開口は反応性化学物質202で部分的に充填されている。しかしながら、
図12Cを見ると明白になるのは、
図5Eに示す個別の突出と
図11Bに示す連続したリブの両方とは、構造がわずかに異なることである。
図12Cは、露出した作用導体102にわたって反応性化学物質102が縞状または帯状に付着しているのを示す作用導体の断面E-Eである。ここでは、本発明の実施形態にしたがって、反応性化学物質102の間隙および反応性化学物質102の層自体が、第1の輸送材料200の層内部に密閉されてセンサー組み立て体基板になるまで、作用導体102の部分は本質的にむき出しのままになる。
図12Cに見られるように、第2の輸送材料206の層は、露出した作用導体上での反応物および副産物の横方向拡散を誘起するために、反応性化学物質の縞または帯の上に付着させる。
【0084】
図13は、本発明の実施形態によるアパーチャ電極と突出電極の両方を製造する操作を例示する代表的なフローチャートである。このフローチャートは、開始操作1300で始まる。操作1302では導体材料をパターン形成する一方、操作1304ではパターン形成された導体材料に絶縁物を付着させる。フローチャートの左側を引き続き下っていく結果、導体と絶縁物とを貫通するビアが操作1306で形成されるとアパーチャ電極が形成される。随意の操作1308では、例えば白金黒であってなどであってこれには限定されない導電性エンハンサーを導体側壁に付着させる。操作1308が省略されているのであれば、操作1310で、反応性化学物質がビアに付着して反応性ビアが形成される。先に考察したとおり、反応性化学物質は、測定される被検物質に基づいて選択される。したがって、グルコースを測定する場合、反応性化学物質はグルコースオキシダーゼであってもよく、一方でラクテートを測定する場合、反応性化学物質はラクテートオキシダーゼであってもよい。一つの特定の実施形態では、測定されている被検物質が酸素である実施形態では、操作1310でさえ随意であると見なしてもよい。
【0085】
一実施形態では、反応性化学物質の付着は、スクリーン印刷工程を用いて行う。最初に、所望の量の反応性化学物質をビアのA側に付着させ、ビアのB側から真空引きして、反応性化学物質をビア内に引き込み、ビア内部に反応化学物質の完全で均一に厚い層を残す。上記のビア内部に反応性化学物質を付着させる特定の技術は、限定するものではなく代表的なものと見なされるものとする。他の実施形態では、リソグラフィー、スピンコーティングなどが挙げられるがこれらに限定されない、ビア内部に反応性化学物質を付着させる様々な技術を利用する。アパーチャ電極の形成を続けると、操作1312では第2の輸送材料をアパーチャのB側に付着させる一方、操作1314では第1の輸送材料をアパーチャのA側に付着させる。アパーチャ電極の形成を記載するフローチャートの左側は、操作1316で完了する。
【0086】
突出電極を形成する操作が続くということは、パターン形成された導体材料に絶縁物を付着させる操作1304の完了にまで戻ることを意味する。多くの実施形態では、絶縁物は、パターン形成された導体材料のA側に付着し、絶縁体は、開口、またはアパーチャ、または、パターン形成された導体の一部を露出した状態にする形状を含む。いくつかの実施形態では、これらの開口は円形であるが、他の実施形態では、開口は矩形であってもよく、センサー組み立て体のほぼ全長にわたって延在していてもよい。A側絶縁物の内の開口またはアパーチャの大きさの形状にかかわらず、同じ随意の操作1308で、露出した導体に導電性エンハンサーが付着する。先に考察したように、操作1308を実行する実施形態では、導電性エンハンサーは、例えば白金黒であってこれには限定されない材料であってもよい。操作1320に進むと、露出した導体材料に反応性化学物質が付着し、それによって反応性アパーチャが形成される。いくつかの実施形態では、反応性化学物質は、絶縁物によって形成される開口またはアパーチャ内部に含有される。他の実施形態では、反応性化学物質は、導体の上の開口の体積を超過する。操作1322で、第2の輸送材料を、反応性アパーチャの上に付着させ、よってA側絶縁物の表面を越えて延在する突出が形成される。多くの実施形態では、第2の輸送材料の付着により、導体を露出させる、絶縁物中の開口またはアパーチャが覆われる。アパーチャを覆う意図は、アパーチャ開口の中心に向かう、反応物および反応副産物の横方向拡散を生成または誘起することである。
【0087】
アパーチャ電極がグルコース測定するように構成されている実施形態では、第2の輸送充填剤は、突出より下のビアまたは反応性アパーチャの内部で生じる電気化学反応に酸素を供給し蓄えるシリコーンの能力に起因して、シリコーンを用いた一群から選択される可能性が高い。グルコースセンサーを引き続き考慮すると、第1の輸送材料は、グルコースの全方向性輸送を可能にした、ヒドロゲルを用いた一群から選択される可能性が高い。
【0088】
上述の特定の操作は、制限するものとは解釈されないものとする。むしろ、
図13および関連する考察は、突出電極の代表的なアパーチャを作製するのに使用してもよいと考えられる操作のそれぞれ個別の実施例と解釈されるものとする。他の実施形態は、本文献に記載の実施形態であっても、アパーチャまたは突出の内部およびその周りの層および材料の構成によっては、必要となる操作がさらにある可能性、またはもっと少ない可能性さえある。
【0089】
図14A-14Gは、本発明の実施形態に準拠する、アパーチャ電極の代表的な製造工程の断面の例示である。
図14Aに、A側106とB側108に付着した絶縁物204とを有する作用導体102の断面を示す。
図14Bは、B側108に絶縁物1402のさらなる層を追加することを含む。加えて、絶縁物1404の層が作用導体102のA側に付着している一方、絶縁物1406のパターン形成された層が絶縁物1404の上に付着している。絶縁物1406内のパターンは、平面の反応性領域1408を含む。
図14Cにおいて、ビア1410は、絶縁物1404、作用導体102、および絶縁物204を貫通して形成される。ビア1410の形成により、側壁1412も形成される。いくつかの実施形態では、ビア1410を、レーザー穿孔または物理的な穿孔ビットを使用して形成する。他の実施形態で、ビア1410が必ずしも円形ではない場合、例えばリソグラフィーおよび化学エッチングであってこれらに限定されない他の技術を用いてビア1410を形成する。
【0090】
図14Dで、絶縁物1402を貫通することによってビアが完成である。いくつかの実施形態では、レーザー穿孔または物理的な穿孔ビットを使用してビアを完成させる。あるいは、例えば化学エッチングであってこれに限定されない他のプロセスを用いて、絶縁物1402を除去することができる。
図14Eでは、反応性化学物質202を、平面の反応性領域1408および側壁1412に付着させる。多くの実施形態では、反応性化学物質202は、スクリーン印刷工程を用いて付着させる。真空工程をスクリーン印刷工程と共に使用して、反応性化学物質をビア内に引き込むことができる。側壁1412に沿って均一な厚さの反応性化学物質202を形成するために、真空の適用は慎重に制御しなければならない。反応性化学物質202の付着が成功するのは、反応性化学物質202が電極導体102との電気的な導通を形成する結果として反応性ビア1416が形成される場合である。しかしながら、様々な実施形態に見られるように、作用電極が機能可能になるには、電気的な導通は必要ではない。多くの実施形態では、反応性化学物質の付着に先立って、機械的特性および電気的特性のいずれかまたは両方を向上させる表面の準備を、側壁1412内に露出した作用導体102に行う。様々な付着技術を用いて、電気めっき、スクリーン印刷などを含むがこれに限定されない表面の準備を行うことができる。表面の準備に使用することができる材料の非限定的な例には、白金、炭素、銅、および亜鉛が挙げられる。
【0091】
図14Fは、第2の輸送材料206を付着させた後のアパーチャ電極の代表的な例示である。電極がグルコースを測定することが意図される実施形態では、第2の輸送材料206を、シリコーン材料の一群から選択する。シリコーンの使用は、グルコースを測定するセンサーの能力を補うものであり、これは、電気化学反応の結果として生成される酸素をシリコーンが供給し吸収することができるからである。
図14Gに完成したアパーチャ電極を示すが、この場合には第1の輸送材料200が反応性化学物質202、絶縁物1406の上に付着し、ビアの残りを充填している。第1の輸送材料200の選択は、作用電極によって測定されることが意図される被検物質によって大きく影響される。グルコースが測定されようとしている実施形態では、第1の輸送材料200を、ヒドロゲル材料の一群から選択する。具体的には、グルコースの全方向拡散を可能にするヒドロゲルである。グルコース以外の分析物を測定することが意図される実施形態では、測定される被検物質の全方向拡散を可能にする第1の輸送材料200を見つけなければならないことがある。
【0092】
上に考察した特定の操作および層は、単数の例であることを意図しており、限定するものと解釈されないものとする。アパーチャ電極の構成によっては、さらなる操作およびステップが必要となる場合、またはもっと少なくてもよい場合がある。さらには、上記のようなアパーチャ電極についても、様々な技術、操作、および材料を利用してアパーチャ電極が形成される可能性がある。
【0093】
図15A~15Eは、本発明の実施形態に準拠して、いかにして突出電極を基板上に形成できるかを示す代表的な断面の例示である。
図15Aには、作用導体102が、作用導体102のB側108上に絶縁体204を有するのが示されている。
図15Bにおいては、パターン1504を有する絶縁物1502が、作用導体102のA側106上に配置されている。パターン1504は、アパーチャ形状1504と称することもできる。
図15Cでは、アパーチャ形状1504は、反応性化学物質202により部分的に充填されている。反応性化学物質202による部分的な充填の結果、反応性化学物質202が作用導体102と電気的に導通するようになる。
【0094】
図15Dでは、第1の輸送材料200を、反応性化学物質202の上に配置する。例示されているように、第1の輸送材料200はまた、アパーチャ形状1504の近傍、距離1508までの絶縁物1502を部分的に覆う。絶縁物1502のA側106表面上の第1の輸送材料200の厚さ1506は非常に重要であり、これは、厚さ1506によって、被検物質を第1の輸送材料200まで到達させる経路が与えられるからである。
図15Eに、アパーチャ形状1504と実質的に整列させつつ、第1の輸送材料200の最上部に配置した第2の輸送材料206を示す。他の実施形態では、第2の輸送材料206は、第1の輸送材料200を完全に覆っている。これらの実施形態では、厚さ1506が露出したままの状態にあるので、第2の輸送材料は、第1の輸送材料を完全には包んでいないことに留意されたい。この結果が、本発明の実施形態に準拠する、完成した突出電極の代表的な例示である。上に考察した特定の操作および層は、例示的なものであり、制限するものと解釈されないものとする。突出電極の構成によっては、さらなる操作およびステップが必要となる場合、またはこれより少なくてもよい場合がある。さらには、厳密に上記のような突出電極についても、突出電極を形成するのに、様々な技術、操作、および材料を利用することができる。
【0095】
図16Aは、本発明の実施形態による、三電極システムを有するセンサー組み立て体1604用の電極を生成するためのパターン形成された金属トレース1602a、1602bおよび1602cを示す代表的な例示である。
図16Aでは、点線で示されたパターン形成された金属トレース1602bおよび1602cは、センサー組み立て体1604の最終的な縁部1606を越えて延在している。製造工程中には、パターン形成された金属トレース1602a、1602b、および1602cの上に、さらなる層がパターン形成、印刷、堆積、または積層される。別の製造工程は、シンギュレーション、すなわち加工基板材料から個々のセンサー組み立て体を取り出すことである。本文献については、「シンギュレーション」という用語は、形成された複数のセンサー組み立て体をその上に含有する加工基板から、センサー組み立て体を個別化する工程として定義される。シンギュレーションは、例えばレーザー切断、せん断、パンチング、配線、切断であってこれらに限定されない多様な技術を用いて実現することができる。多くの実施形態では、シンギュレーション工程の後に個々のセンサー組み立て体にさらなるステップを実行する。
【0096】
図16Bは、シンギュレーション工程後のセンサー組み立て体1604の代表的な例示である一方、
図16Cは、シンギュレーション済みセンサー組み立て体の等角投影図であり、
図6Dは、シンギュレーション済みセンサー1604の断面
図F-Fであり、すべて本発明の実施形態に準拠したものである。シンギュレーションの最中に、センサー組み立て体は最終的な縁部1606に沿って加工基板から分離され、これにより、センサー組み立て体1604の最終的な縁部1606まで延在してそこに含まれる金属を含む縁部1608が露出する。いくつかの実施形態では、シンギュレーションの前に、金属パターン1602a、1602b、および1602cを、絶縁物を含む構造内に積層して、異なる金属パターンを絶縁する。シンギュレーションの工程により、シンギュレーション済みセンサー組み立て体の最終的な縁部1606を越えて延在する任意の金属パターン1602の断面が露出する。好ましい実施形態では、センサー組み立て体1600の縁部1608に沿って意図的に露出された金属パターンを参照電極および/または対向電極として使用する。したがって、本発明は、シンギュレーションに先立って参照電極または対向電極を形成するのではなく、参照電極または対電極として機能可能な露出した金属縁部を形成するシンギュレーションの工程に依拠する。他の実施形態では、シンギュレーションによって露出した金属縁部は、測定されている被検物質に基づいてセンサーの特徴を向上させるために特定の化学物質を用いて処理する。
【0097】
図16Eは、本発明の実施形態に準拠する、シンギュレーション前の単純化された平面センサー組み立て体1600’の例示である。センサー組み立て体1600’は、最終的に対向電極(CE)になる対向導体1602cと、作用電極(WE)1602aと、絶縁物の層間に閉じ込められる参照電極(RE)に最終的になる参照導体1602bとを有する。
図16Eに示すように、シンギュレーションの前に、対向導体1602cおよび基準導体1604bを、絶縁物内に完全に封じ込める、または埋め込む。作用導体を覆う絶縁物は、作用電極が所望の被検物質を測定できるようにする化学物質に作用導体の一部分を露出させるようにパターン形成する。
【0098】
図16Fは、本発明の実施形態に準拠して、シンギュレーション後のセンサー組み立て体1600’を示す例示であり、対向電極1602cおよび参照電極1602bが、センサー組み立て体1600’の縁部で露出している。例示の実施形態では、参照電極1602bおよび対向電極1602cは、同じ厚さYを有する。他の実施形態では、対向電極1602cおよび参照電極1602bは、異なる厚さを有していてもよい。
【0099】
典型的には、平面電極が層状に形成される結果、各電極の作用面(測定されている溶液に露出する電極の面)は互いに平行となる。本発明では、参照電極および対向電極の両方の作用面は、作用電極の作用面に対して垂直であることに留意されたい。さらに、導体の最上部に数ミクロンのメッキを使用する電極設計は、
図16Aおよび16Bに示すような縁部電極を形成するのに充分な表面積を有さない場合があることに留意されたい。加えて、メッキ用材料を付着させるのに使用する技術によっては、メッキ用材料の厚さが加工基板にわたって一貫せず、メッキされた導体を有する電極を用いる縁部電極形成の実現可能性をさらに悪化させることもある。
【0100】
本発明の実施形態に準拠して、
図17Aは、シンギュレーション後のセンサー組み立て体1700の代表的な例示である一方、
図17Bは、シンギュレーション後のセンサー組み立て体1700の代表的な等角投影図の例示である。
図17Aおよび17Bでは、センサー組み立て体1700は、作用電極1702および対向/参照電極1704を有する二電極設計である。
図17Aに見られるように、シンギュレーションの後、センサー組み立て体1700は、センサー組み立て体の最終的な縁部1706に沿って露出した参照電極/対向電極を有して完成である。縁部電極は、センサー組み立て体に対して縁部は一つに限定されないことに留意されたい。金属トレースのレイアウトによっては、センサーの複数の縁部を結合して、センサー組み立て体の最終的な縁部に沿って一つの連続した電極を形成することができる。
【0101】
図18は、シンギュレーション、そして引きつづくU字形への形成の後のセンサー組み立て体の代表的な等角投影図の例示である。
図18に示すセンサー組み立て体1800は、U字形に折り畳まれることを意図した別の二電極設計である。
図18では、センサー組み立て体1800は、最終的な縁部1802に沿ってシンギュレーション済みである結果、単一の連続した縁部電極1804が得られる。
図18に示す実施形態は、二電極設計を利用しているものの、折り畳まれたセンサーの他の実施形態には三電極設計が挙げられ、この場合には一つの縁部電極を参照電極として使用し、第2の縁部電極を対向電極として使用する。折り畳みを含むセンサー組み立て体の設計では、導電体の選択は、センサーが折り畳まれた後の柔軟性および導電性を確実にするよう戦略的になり得る。折り畳まれたセンサー組み立て体の材料を選択する場合にさらに考慮することは、疲労寿命である。いくつかの実施形態では、センサー組み立て体を永久に折り畳んで、導電性を破壊したり損ねたりすることなしには、折り返しを平坦なまたは実質的に広げられた形態にできないようにしてもよい。折り畳みに可撓性を保たせるように意図される他の実施形態では、材料選択は、故障するまでに折り畳みを何回屈曲させるよう意図されているかによって決まることがある。上記の実施形態では、金属トレースは、クラス300のステンレス鋼の群から選択する。多くの実施形態では、ステンレス鋼は、0.2ミルから20ミルの間の厚さとなるように選択する。ステンレス鋼の厚さに応じて、異なる処理技術を採用して加工基板からのセンサーのシンギュレーションを行う。
【0102】
図19は、本発明の実施形態に準拠する、疑似参照電極を形成する代表的な操作を伴うフローチャートである。このフローチャートは、開始操作1900から始まる。操作1902では、導体材料をパターン形成して擬似参照電極を形成する一方、操作1904では、パターン形成された導体材料のA側に絶縁物を付着させる。パターン形成された導体のA側に付着した絶縁物は、導体の選択された開口、アパーチャ、または形状を露出した状態のまま残すパターンを含む。操作1906では、露出した導体の上に銀を電気メッキする一方、操作1908では、導体に電気メッキされた銀のA側を塩化する。操作1910では銀―塩化物の上に白金を電気メッキし、操作1912でフローチャートは終了である。これらの操作および操作を示した順序は、制限するものであるとは見なされないものとする。むしろ、
図19は、擬似参照電極を作製する一組の操作を実証していると解釈されるものとする。他の実施形態は、異なるまたは様々な他の組み合わせで実行されるさらなる、またはもっと少ない操作を含むことができる。
【0103】
図20A~
図20Eは、本発明の実施形態に準拠する、疑似参照電極2002の形成を示す代表的な断面である。
図20Aは、擬似参照導体2002および絶縁物204を含む。絶縁物204を、B側108に付着させ、これによって擬似参照電極2002のA側106を露出した状態で残す。
図20Bは、擬似参照電極2002のA側上の絶縁物2004の付着の代表的な例示である。絶縁物2004は、擬似参照電極2002の一部分を露出した状態に残すアパーチャ形状2006をさらに含む。
図20Cに、アパーチャ形状2006内で露出した擬似参照電極2002上への銀の付着を例示する。多くの実施形態では、擬似参照電極に銀を付着させるために電気メッキを使用する。さらに他の実施形態では、例えばスパッタリング、蒸着であってこれに限定されない他の技術、または他のメッキ技術を用いて銀を付着させる。
【0104】
図20Dは、アパーチャ形状2006内の銀の上への塩化物の銀の付着を例示する。銀と塩化銀との間に形成される安定な平衡を有する酸化還元基準を形成するために、塩化物の銀を銀に付着させる。
図20Eに、アパーチャ形状2006内の塩化物の銀の上への別の材料の付着を例示する。好ましい実施形態では、このさらなる材料は、電気メッキ技術を用いて付着させた白金である。塩化物の銀の上への白金の使用は、塩化物-銀を保護し補充することを意図している。他の実施形態では、このさらなる材料は、例えば銀であってこれに限定されない異なる材料の可能性もある。さらには、他の実施形態では、この材料は、例えば原子プレーヤ(player)堆積または化学蒸着であってこれらに限定されない、電気メッキ以外の技術を使用して付着させることができる。例示のとおり、銀、塩化物の銀、および白金の各層は、アパーチャ形状2006の深さの約3分の1を充填している。しかしながら、いくつかの実施形態では、アパーチャ形状2006内部の様々な層は、異なる厚さを有し、いくつかの実施形態では、銀、塩化物の銀、および白金の全厚さは、アパーチャ形状2006の深さを超過する。
【0105】
図20-1は、本発明の実施形態に準拠する、擬似参照電極と併せて突出電極を使用して生成されたデータである。データは、約600mg/dLの比較的高いグルコース濃度にほぼ五日間、露出させた代表的な突出電極によって生成されたセンサー信号をナノアンペアで例示するデータである。突出電極と擬似参照電極の組み合わせにより生成された信号の、およそ2日目から5日目に近い試験の終わりまでの安定性に留意されたい。
【0106】
図20-2は、本発明の実施形態に準拠する、疑似参照電極の設計を使用して生成されたデータである。データは、8日の期間にわたり標準的な銀/銀―塩化物参照電極に対する半電池電位を例示している。データは、銀/銀―塩化物に対する上記の疑似参照電極の電位が安定であることとほとんどゼロであることを両方とも実証している。したがって、データは、疑似参照電極の銀/銀―塩化物特性が支配的であること、および疑似参照電極の設計が安定な参照電極として作用することを例示している。
【0107】
図21Aは、本発明の実施形態に準拠する、単一の被検物質アパーチャ電極を有する三電極システムを利用するセンサー組み立て体の断面の例示である。この実施形態では、第1の輸送材料200は、センサー組み立て体の全A側を覆っている。これにより、第1の輸送材料200は、縁部2104aから反対側の縁部2104bまで覆うことができる。
【0108】
図21Bは、本発明の実施形態に準拠した、
図21Aに見られる三電極システムの代替実施形態である。この実施形態では、第1の輸送材料202はもはや、センサー組み立て体の全A側を覆ってはいない。例示のように、第1の輸送材料200は、2106aにより画定される距離だけ縁部2104aから後退している。同様に、第1の輸送材料202は、2106bにより画定される距離だけ縁部2104bから後退している。いくつかの実施形態では、距離2106aおよび2106bは実質的に等しい一方、他の実施形態では、距離2106aおよび2016bの一方が他方よりも大きいかまたは小さい。この構成を利用する実施形態では、センサー組み立て体を製造するのに必要な第1の輸送材料200の量を節約または削減しようと試みている場合がある。
【0109】
図21Cは、本発明の実施形態に準拠する、
図21Aおよび
図21Bに示される三電極システムのさらに別の代替実施形態である。この実施形態では、
図21Bを用いて記載したように、輸送材料の付着が縁部から離れる方向に偏しているが、さらに、参照導体2100、作用導体102、および対向電極2102と接触する第1の輸送材料200の分離も含んでいる。この実施形態は本質的に、参照電極または対向電極の上に輸送材料の個々の溜まりを形成する。例示のように、対向導体2100は輸送材料2110によって覆われ、参照導体2102は輸送材料2112によって覆われている。多くの実施形態では、輸送材料2110および2112は、第1の輸送材料202と同一である。他の実施形態では、輸送材料2110および輸送材料2112は、電気化学的特性、コスト、生体適合性、流束の特徴などの特定の基準に基づいて個別に選択する。
【0110】
図21Dは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体断面の代表的な例示であり、この場合、化学物質2114が、第1の輸送材料200の塗布前にセンサー組み立て体のA側106にわたって付着している。いくつかの実施形態では、化学物質2114は、
図10Aおよび10Bに関して上に考察した輸送調整剤である。輸送調整剤としての化学物質2114の付着を使用する一例は、アセトアミノフェンを透過させないように、負に帯電した化学物質2114を使用することである。アセトアミノフェンは負電荷を有するので、負に帯電した化学物質2114の実装により、化学物質2114を通過するアセトアミノフェンの輸送が減少する可能性がある。多くの実施形態では、化学物質2114は、分離した個別の層として付着させるのではなく、第1の輸送材料200と混合させることができる。
【0111】
図22A~
図22Eは、本発明の実施形態に準拠する、三電極システムの様々な構成であり、この場合、作用電極は突出電極である。
図22Aは、三電極システムのセンサー組み立て体の断面を含んでおり、この場合、作用導体102は突出電極の一部である。反応性化学物質は、作用導体102のA側106上に配置する。対向導体2202、参照電極2204、および反応性化学物質を覆っているのが、第1の輸送材料200である。第1の輸送材料200内部に配置されるのが、第2の輸送材料206である。
図23は、本発明の実施形態に準拠する、
図22Aにおけるセンサー組み立て体の代替実施形態であり、この場合、第2の輸送材料206は第1の輸送材料200の層の間に挟まれている。
【0112】
図22Cは、
図22Aに示す実施形態と同様のセンサー組み立て体の実施形態であるが、違いは、第1の輸送材料200が縁部2208aおよび2208bに付着していないことである。むしろ、
図22Cでは、第1の輸送材料200は、縁部2208aから距離2210aだけ偏している。同様に、第1の輸送材料は、縁部2208bから距離2210bだけさらに偏している。この実施形態によれば、第1の輸送材料200が非常に高価である場合に、ある程度のコスト削減が可能になる。
図22Cで、縁部2208aおよび2208bを第1の輸送材料200との接触から分離する場合、
図22Dにおける実施形態では、作用電極102は対向電極2202から距離2212aだけさらに分離される。作用電極102は、参照電極2204から距離2212bだけさらに分離される。参照導体2202、作用導体102、および対向導体2204を有することの一つの利点は、各導体について異なる輸送材料を使用することができることである。
【0113】
図22Eは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体断面の代表的な例示であり、この場合、化学物質2214が、第1の輸送材料200の付着の前にセンサー組み立て体のA側106にわたって付着している。いくつかの実施形態において先に考察したように、化学物質2214は、アセトアミノフェンを透過させないようにする輸送調整剤である。他の実施形態では、異なる化学物質2214を輸送調整剤として使用する。その実施形態では、異なる化学物質2214を選択するが、それは、作用電極、参照電極、および対向電極の反応速度を輸送調整剤に調節させるのが有益であるからである。
【0114】
図23Aおよび23Bは、本発明の実施形態に準拠する、複数の作用電極を利用したセンサー組み立て体の上面図を代表的な例示である。
図23Aは、本発明の好ましい実施形態に準拠する、複数の作用電極2302a、2302b、および2302cを有するセンサー組み立て体の例示である。複数の作用電極を有する実施形態により、単一のセンサーを用いて複数の被検物質を測定することが可能になる。異なる被検物質を測定するためには、作用電極それぞれに異なる反応性化学物質を付着させる必要があり得る。例えば、作用電極2302aがグルコースを測定する一実施形態では、作用電極2302aに付着させる反応性化学物質はグルコースオキシダーゼである。同様に、作用電極2302cがラクテートを測定するならば、ラクテートオキシダーゼの反応性化学物質を作用電極2302cに付着させる。
【0115】
図23Bは、本発明の実施形態に準拠する、複数の作用電極を有するセンサー組み立て体の例示であり、この場合、各作用電極は、複数のアパーチャ電極を含む。この実施形態によれば、赤血球および白血球のような生物活性な細胞からの影響に対するさらなる耐性が得られる。加えて、電極内に複数のビアを含めることによって、被検物質の反応にとっての全表面積が増加する。これにより、皮下組織内の非常に少量の被検物質の非常に正確な測定が可能になる。他の実施形態では、各電極のビアのうちのいくつかを、時限式の反応物でマスクするが、この反応物は、皮下組織に露出した後のある期間にわたって溶解することにより、ビアを時限式の反応性ビアにするものである。時限式の反応性ビアを使用し、時限式の反応物が溶解するまたは消費されると、予めマスクされていたビアが皮下組織に露出し、被検物質の測定が始まる。時限式の反応性ビアを使用することにより、センサー組み立て体を長期間使用することができるようになる。いくつかの実施形態では、時限式の反応物は、特定のビアにわたる付着して平坦な層になる。他の実施形態では、異なる時間間隔でビアを露出させるために、厚さを減少または増加させた時限式の反応物を付着させる。上の考察は概して、皮下組織内に配置することを意図したセンサー組み立て体に関連付けたものであったが、アパーチャ電極または突出電極を利用するセンサー組み立て体の他の実施形態は、例えば筋肉および臓器であるがこれらに限定されない他のタイプの組織とともに血管系内への短期および長期の移植に向いた設計および構成にすることができる。
【0116】
図23Cおよび
図23Dは、本発明の実施形態に準拠する、様々な作用電極上への様々な化学物質の付着を示すセンサー組み立て体断面G-Gの代表的な例示である。
図23Cおよび
図23Dにおける断面は、第1の作用電極2302aの付随する第1の反応性化学物質2304を含む。加えて、第2の反応性化学物質2306は、第2作用電極2302cを付随させている。この実施形態では、第3の作用電極2302bは反応性化学物質を含んでいない。そのような実施形態では、第3の作用電極2302bを、補助的な参照電極、対向電極、またはブランクの作用電極として使用して、測定信号に干渉する可能性のある一般的な電気活性な化学種を監視することができる。あるいは、第3の作用電極2302bを負電位で動作させる場合、これを使用して酸素を測定することができる。
【0117】
しかしながら、さらに他の実施形態では、第3の作用電極2302bは、第1の反応性化学物質または第2の反応性化学物質を含み得る。複数の作用電極が同一の被検物質を測定する実施形態では、重複した電極を、センサー組み立て体に予想される全寿命にわたって同時に動作させることができる。他の実施形態では、センサー組み立て体全体としての寿命を延ばすために、重複電極を時限式の反応ビアとして操作して、ある期間、被検物質測定を遅延させることができる。例えば、一実施形態では、センサー組み立て体は、第1の電極および第2の電極を含んでおり、両方とも、皮下組織への挿入時に第1の被検物質を測定するように構成される。しかしながら、第2の電極は時限式の反応性ビアであり、皮下組織内に配置された後、約72時間にわたって、電極が被検物質を測定しないようにする試薬を含んでいる。この試薬が消費されると、第2の電極は、第1の電極の出力を補い始め、センサー組み立て体が被検物質を測定できる時間を延長する。時限式の反応性ビアの他の実施形態では、電極の上に配置された金属被覆すなわち箔を利用しており、この箔は、特定の時刻に電流をこれに流すことによって消去/除去されるものである。
【0118】
図24Aは、本発明の実施形態に準拠する、作用電極として突出電極を利用した複数作用電極のセンサー組み立て体の代表的な上面図である。
図23Aに示す実施形態と同様に、センサー組み立て体は、複数の作用電極2402a、2402b、および2402cを用いて、最高で三とおりの異なる被検物質を測定することができる。
図24Bは、本発明の実施形態に準拠する、
図24Aの複数作用電極のセンサーを補う擬似参照電極2404を示す代表的な底面図である。
【0119】
図24Cは、本発明の実施形態に準拠する、
図24Aおよび
図24Bに見られる複数作用電極のセンサー組み立て体の断面H-Hである。作用電極2402aは、反応性化学物質2406により覆われた作用導体2410aを含む。同様に、作用電極2402bは、反応性化学物質2408で覆われた作用導体2410bを含む。第3の作用電極2402cは、作用導体2410cを含むが、反応性化学物質は含まない。いくつかの実施形態では、適切な電流が印加されていると仮定すれば、反応性化学物質がないことにより、作用電極が酸素センサーとして動作することができる。疑似参照導体2412および輸送材料2414が加わる結果、非常に空間効率のよい三とおりの被検物質用のセンサーが得られる。代替実施形態では、組み立て体の背面の擬似参照導体を、より従来型の基準電極および対向電極に置き換えることが可能である。
【0120】
図24D~
図24Fは、本発明の実施形態に準拠する、複数の作用導体を利用したアパーチャ電極および突出電極の断面である。
図24Dは、第1の作用導体102および第2の作用導体2402を有するアパーチャ電極2420を例示する。電極2420は、被検物質、相補的な反応物、および反応性化学物質202の間の化学反応に基づいて単一の被検物質を測定するように構成されている。先に考察した実施形態の場合と同様に、反応性化学物質への被検物質の流束は、第1の輸送材料によって可能になる。同様に、相補的な反応物の流束は、第2の輸送材料によって可能になる。第1および第2の作用導体102および2402の両方を使用することの一つの利点は、センサー組み立て体内部の電気トレースの脆弱さを相殺できる簡単な冗長性である。あるいは、別の実施形態では、異なる作用導体を独立して調整して、様々な濃度の被検物質を感知することができる。例えば、両方の作用導体を同電位で操作するのではなく、第1の作用導体を第2の作用導体とは異なる電位で操作することができる。
【0121】
図24Eおよび
図24Fは、本発明の実施形態に準拠する、複数の作用導体102および2402を利用したアパーチャ電極および突出電極の断面であり、この場合、電極はA側106およびB側108の両方に形成されている。各例示において、第1の作用導体102は、反応性化学物質202aと接触している一方、第2の作用導体2402は、反応性化学物質202bと接触している。電極が単一の被検物質を測定する実施形態では、反応性化学物質202aおよび202bは同一である。上記のように、この構成によって、冗長性と、各導体を調整して好ましい濃度を測定する能力との両方が可能になる。しかしながら、電極どうしは反対側にあるので、これらの実施形態では、血餅または白血球の堆積といった挿入物からの生物学的応答に対してさらに大きな耐性が得られる。あるいは、反応性化学物質202bが反応性化学物質202aと異なる場合、結果は複数の被検物質用のセンサーとなる。電極がA側106およびB側108に形成される実施形態では、電極は異なる設計であってもよい。例えば、
図24EにおけるB側108上のアパーチャ電極ではなく、他の実施形態では、B側108上に突出電極が形成される。同様に、
図24Fの異なる実施形態は、B側108にアパーチャ電極を実装する。さらに他の実施形態では、アパーチャ電極および突出電極は、同じA側で交替させることができる。
【0122】
図24Gおよび
図24Hは、本発明の実施形態に準拠する、単一の作用導体102を利用したアパーチャ電極および突出電極の断面であり、この場合、電極は、A側106およびB側の両方に形成されている。単一の作用導体102しか存在していないので、各作用電極は同一の被検物質を測定する結果、アパーチャおよび突出の両方の構成をとる反応性化学物質202を使用することになる。しかしながら、センサーの両側に形成された電極では、これらの実施形態により、生物活性な細胞からの生物学的ファウリング(fouling)に対するさらなる耐性が得られる。
図24Gの実施形態は、B側108に形成されたアパーチャ電極を示している一方、他の実施形態では、B側108に突出電極が形成されている。同様に、
図24Hに示されているものとは異なる間隔を使用して、アパーチャ電極をB側108に形成することができる。考察され図示された特定の実施形態は、制限するものであると解釈されないものとする。むしろ、アパーチャ電極および突出電極の異なる実施形態の様々な組み合わせは、センサー設計基準に基づく単一の作用導体または複数の作用導体を使用して組み合わせることができる。
【0123】
図25Aおよび
図25Bは、本発明の実施形態に準拠する、センサー組み立て体の代表的な断面の例示であり、これらのセンサー組み立て体には、材料2500のさらなる層が組み込まれて、使用者の皮下組織内部にセンサー組み立て体を配置するのを手助けまたは支援する。好ましい実施形態では、層2500は、センサー組み立て体の様々な電極に使用される導体と同様の300クラスのステンレス鋼から選択されるが、これに限定されない。しかしながら、他の実施形態では、例えば耐腐食性、磁気特性、靱性、延性などであってこれらに限定されない特性に基づいて、異なるクラスのステンレス鋼を利用することができる。
【0124】
図25Aにおいて、層2500は多層構造を越えて延在し、皮膚及び皮下組織の両方を貫通するのを支援するために鋭利にされて、両刃の点802aとなっている。
図25Bにおいては、層2500は、鋭利にされて、片刃の点2502bとなっている。片刃または両刃の点2502a/2502bのいずれかを形成するのに充分な材料が提供されるように、層2500は0.0005インチと0.020インチの間の厚さとなるように選択される。好ましい実施形態では、層2500は、0.001インチと0.004インチとの間の厚さを有するように選択される。センサー組み立て体の全厚さを減少させるために、層2500の厚さを最適化することができ、この最適化は、センサー組み立て体の好ましい全体的な剛性と、センサーを好ましい深さに挿入することのできる縁部を保持する層2500の能力とに基づいてなされ、同時に、周辺組織への限局的な外傷の可能性を低減することができる。センサー組み立て体の挿入をさらに支援するために、センサー組み立て体の他の層は、面2504aおよび2504bで示すように、層2500上に形成された鋭利な部分に相補的な角度に随意に形成することができる。いくつかの実施形態では、面2504aおよび2504bの一方のみが、片刃または両刃の点2502a/2502bに対して相補的な角度に合わせられる。
【0125】
上の記載は、本発明の特定の実施形態を参照しているが、本発明の趣旨から逸脱することなく多くの変更を行うことができることは理解されよう。意図されているのは、アパーチャ電極、突出電極、シンギュレーション済み参照電極、および擬似参照電極の様々な実施形態を組み合わせて、異なるタイプの作用電極を用いた単一の被検物質から、類似のまたは異種のタイプの作用電極を用いた複数の被検物質まで、非常に多様で堅牢なセンサー組み立て体を形成できることである。従来の三電極システムおよび疑似参照電極を備えた複数の被検物質センサーを示す提供された特定の実施例は、可能な複数の組合せの例示的な実施形態であることが意図されている。加えて、本開示で、アパーチャおよび突出の設計を、GLMを使用するものと比較してきたが、アパーチャ電極または突出電極の一部としてGLMまたは他の制限膜を使用することも可能であろう。さらには、本開示を通じて提供される操作の特定の理論は、制限するものであるとは見なされないものとする。むしろ、本開示は、いかなる操作の特定の理論にも拘束されることなく行われている。したがって、開示された実施形態および関連する操作の理論は、すべての態様において例示するものであって制限するものではないとみなされるよう意図される。