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特許7201951耐火物部材を製造する方法および耐火物部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】耐火物部材を製造する方法および耐火物部材
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/89 20060101AFI20221228BHJP
   C04B 41/87 20060101ALI20221228BHJP
   B22D 11/10 20060101ALN20221228BHJP
   B22D 41/18 20060101ALN20221228BHJP
   B22D 41/50 20060101ALN20221228BHJP
【FI】
C04B41/89
C04B41/87 P
B22D11/10 330S
B22D41/18
B22D41/50 510
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022020397
(22)【出願日】2022-02-14
【審査請求日】2022-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001971
【氏名又は名称】品川リフラクトリーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】新妻 宏泰
(72)【発明者】
【氏名】大川 幸男
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-247767(JP,A)
【文献】特開平02-011255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 41/89
C04B 41/87
B22D 11/10
B22D 41/18
B22D 41/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法であって、
カーボンを含有する耐火物製の本体に、第一の薬剤を塗布する第一工程と、
前記第一の薬剤が塗布された前記本体に、第二の薬剤をさらに塗布する第二工程と、を有し、
前記第一の薬剤および前記第二の薬剤の一方が酸化防止剤であり、他方が酸性コロイダルシリカである方法。
【請求項2】
前記酸性コロイダルシリカのpHが2以上6以下である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一工程の後かつ前記第二工程の前に、前記第一の薬剤が塗布された前記本体を乾燥する乾燥工程を含む請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の薬剤が酸化防止剤であり、前記第二の薬剤が酸性コロイダルシリカである請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
前記酸性コロイダルシリカ中のシリカ粒子の平均粒子径が5nm以上30nm以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
カーボンを含有する耐火物製の本体と、前記本体を少なくとも部分的に被覆する酸化防止層と、を備え、
前記酸化防止層が、酸化防止剤を含む第一層と、酸性コロイダルシリカを含む第二層と、を含む耐火物部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法、および耐火物部材に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造分野では、溶融金属と接触する部材として耐火物製の部材が汎用されている。かかる部材は高温の環境で使用されるため空気中の酸素によって酸化されやすく、当該酸化は溶損や強度低下の原因になりうる。そこで、耐火物製の部材の表面に酸化防止剤が塗布されることが一般的である。鋼の連続鋳造では、一般的に、カーボン系原料を含有するカーボン質耐火物製の部材が使用される。従来、酸化防止剤として汎用される成分のカーボン質耐火物に対する濡れ性が低く、カーボン質耐火物製の部材に酸化防止処理を施しにくいことが課題であった。
【0003】
この課題に鑑み、特開2000-247767号公報(特許文献1)には、アルミナ粉末を主体とし、ベントナイトとコロイダルシリカとを含むスラリー状組成物からなる酸化防止用下地剤が開示されている。また、特開2020-83689号公報(特許文献2)には、ジルコニア・カーボン質耐火物を、ケイ素またはケイ素系化合物を含む耐性保護層で保護した保護構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-247767号公報
【文献】特開2020-83689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明は、通常のコロイダルシリカのpHが9~10程度であり、アルミナの等電点であるpH9と近いことから、コロイダルシリカとアルミナとの混合物においてアルミナの沈降および凝集が問題になりやすいところ、ベントナイトを添加することによって保護コロイドを形成し、アルミナの沈降および凝集を防いだ発明である。しかし、コロイダルシリカとアルミナとを組み合わせて用いた場合にアルミナが沈降しやすいという課題を根本的に解決したものではなかった。また、塩基性のコロイダルシリカがケイ素、炭化ケイ素などと接触したときにガスが発生し、酸化防止剤皮膜に欠陥が生じる原因になる場合があった。
【0006】
また、特許文献2に係る発明は、ジルコニア・カーボン質耐火物に特化した発明であり、アルミナ・カーボン質耐火物などの他の金属酸化物原料を主体とする耐火物への適用は、十分に考慮されていなかった。
【0007】
そこで、従来技術に比べて汎用的に適用可能な、酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法、および耐火物部材の実現が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法は、酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法であって、カーボンを含有する耐火物製の本体に、第一の薬剤を塗布する第一工程と、前記第一の薬剤が塗布された前記本体に、第二の薬剤をさらに塗布する第二工程と、を有し、前記第一の薬剤および前記第二の薬剤の一方が酸化防止剤であり、他方が酸性コロイダルシリカであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る耐火物部材は、カーボンを含有する耐火物製の本体と、前記本体を少なくとも部分的に被覆する酸化防止層と、を備え、前記酸化防止層が、酸化防止剤を含む第一層と、酸性コロイダルシリカを含む第二層と、を含むことを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、様々な種類の耐火物によって構成される耐火物部材を、幅広く酸化防止処理できる。また、均一な酸化防止皮膜を形成しやすい。
【0011】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0012】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法は、一態様として、前記酸性コロイダルシリカのpHが2以上6以下であることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、酸性コロイダルシリカが酸化防止剤の成分と接触した際にガスが生じにくいため、酸化防止剤層に欠陥が生じにくく、均一な皮膜が得られやすい。
【0014】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法は、一態様として、前記第一工程の後かつ前記第二工程の前に、前記第一の薬剤が塗布された前記本体を乾燥する乾燥工程を含むことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、酸化防止剤層に塗膜切れなどの欠陥が生じにくくなり、本体を構成する耐火物の酸化を好適に防止しうる。
【0016】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法は、一態様として、前記第一の薬剤が酸化防止剤であり、前記第二の薬剤が酸性コロイダルシリカであることが好ましい
【0017】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法は、一態様として、前記酸性コロイダルシリカ中のシリカ粒子の平均粒子径が5nm以上30nm以下であることが好ましい
【0018】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法、および耐火物部材の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
〔耐火物部材の構成〕
本実施形態に係る方法によって製造される耐火物部材は、酸化防止処理された耐火物部材であり、カーボンを含有する耐火物製の本体と、本体を少なくとも部分的に被覆する酸化防止層と、を備える。耐火物部材は、たとえば、浸漬ノズル、ロングノズル、モノブロックストッパー、注入管などの、鋼の連続鋳造において用いられる部材でありうる。
【0021】
(本体の構成)
本体は、カーボンを含有する耐火物製であり、製造される耐火物部材の用途(浸漬ノズルなど)に応じた形状を有する。本体を構成する耐火物は、カーボン系原料と金属酸化物原料とを含む。
【0022】
カーボン系原料の種類は特に限定されないが、たとえば黒鉛、コークス、カーボンブラック、コールタールピッチなど、またはこれらの混合物でありうる。また、カーボン系原料の含有量も特に限定されないが、たとえば5重量%以上40重量%以下であることが好ましい。カーボン系原料の含有量が5重量%以上であると、耐熱スポーリング性が向上する点で好ましい。また、カーボン系原料の含有量が40重量%以下であると、耐溶損性が向上する点で好ましい。カーボン系原料の含有量は、10重量%以上であることがより好ましく、15重量%以上であることがさらに好ましい。また、カーボン系原料の含有量は、38重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることがさらに好ましい。なお、複数種類のカーボン系原料の混合物が用いられる場合は、その合計の含有量が上記の範囲にあることが好ましい。
【0023】
酸化物原料の種類は特に限定されないが、ジルコニア、マグネシア、アルミナ、カルシア、シリカといった単一の酸化物、スピネル、ムライト、カルシウムジルコネートといった複数元素と酸素の化合物、またはこれらの混合物でありうる。また、酸化物原料の含有量も特に限定されないが、たとえば60重量%以上90重量%以下であることが好ましい。
【0024】
また、本体を構成する耐火物は、当分野において通常用いられる添加物を含んでいてもよい。かかる添加物としては、金属シリコン、炭化ケイ素(SiC)、金属アルミニウムなどが例示される。添加物の含有量は、合計で、0.5重量%以上15重量%以下であることが好ましい。
【0025】
(酸化防止剤層の構成)
酸化防止剤層は、酸化防止剤を含む第一層と、酸性コロイダルシリカを含む第二層とを含む。ここで、第一層および第二層の上下は限定されない。すなわち、本体上に第一層が形成され、当該第一層の上に第二層が形成されている構成、および、本体上に第二層が形成され、当該第二層の上に第一層が形成されている構成、のいずれであってもよい。
【0026】
第一層は、酸化防止剤を含む層である。酸化防止剤は、当分野において通常使用される範囲で特に限定されないが、たとえば、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、シリカ、ガラスフリットなどの単体または混合物でありうる。なお、施工時には、水などの分散媒に上記に例示した酸化防止剤が分散した態様の薬剤が使用されうる。また、第一層の膜厚は特に限定されないが、たとえば100μm以上500μm以下でありうる。
【0027】
第二層は、酸性コロイダルシリカを含む層である。第二層の膜厚は特に限定されないが、たとえば10μm以上300μm以下でありうる。
【0028】
酸性コロイダルシリカのpHが2以上であると、酸性コロイダルシリカを塗布する際に使用する道具に殊更の耐酸性が要求されず、作業を行いやすい点で好ましい。また、酸性コロイダルシリカのpHが6以下であると、酸化防止剤の成分と接触した際にガスが生じにくいため、酸化防止剤層に欠陥が生じにくく、均一な皮膜が得られやすい。
【0029】
酸性コロイダルシリカ中のシリカ粒子の平均粒子径が30nm以下であると、塗膜切れが起きにくい点で好ましい。また、当該シリカ粒子の平均粒子径が5nm以上であると、塗布作業中の凝集などが発生しにくい点で好ましい。なお、シリカ粒子の平均粒子径は、動的光散乱法などの公知の方法によって決定されうる。
【0030】
酸性コロイダルシリカの固形分濃度が10重量%以上であると、塗膜厚を確保しやすい点で好ましい。また、酸性コロイダルシリカの固形分濃度が50重量%以下であると、施工性が比較的よい点で好ましい。なお、酸性コロイダルシリカの固形分濃度は、酸性コロイダルシリカを秤量したのちに乾燥させ、乾燥後の試料を秤量し、乾燥前後の重量を比較することによって決定されうる。
【0031】
〔耐火物部材の製造方法〕
本実施形態に係る耐火物部材の製造方法は、本体を形成する本体形成工程と、本体に第一の薬剤を塗布する第一工程と、第一工程後の本体を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程後の本体にさらに第二の薬剤を塗布する第二工程と、を含む。
【0032】
本体形成工程は、耐火物製の部材を形成する公知の方法によって実施されうる。すなわち、上述のカーボン系原料および金属酸化物原料、ならびに任意に添加される添加剤(添加されなくてもよい。)を粉体混合したのちに、本体の形状に予備成形する。その後、予備成形体を焼成して、本体を得る。
【0033】
第一工程は、本体に第一の薬剤を塗布する工程である。ここで、第一の薬剤は、酸化防止剤または酸性コロイダルシリカである。なお、ここで選択されなかった他方の薬剤は、第二の薬剤として第二工程において施工される。
【0034】
第一の薬剤を塗布する方法は、第一の薬剤の態様に応じて適宜選択される。たとえば第一の薬剤が酸化防止剤であり、当該酸化防止剤が、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、シリカ、およびガラスフリットの混合物が水に分散した分散液である場合は、当該分散液を、刷毛塗装、スプレー塗装、ディッピングなどの方法で本体に塗布すればよい。
【0035】
乾燥工程は、第一工程後の本体を乾燥する工程であり、第一の薬剤に含まれる水を除去することを目的として実施される。乾燥工程を実施することで、第二工程において第二の薬剤を塗布したときに、第一の工程において塗布した薬剤の液だれが生じにくく、均一な酸化防止剤層が得られやすくなる。これによって、酸化防止剤層に塗膜切れなどの欠陥が生じにくくなり、本体を構成する耐火物の酸化を好適に防止しうる。乾燥工程は、所定の設定温度で運転される電気炉中に試料を配置する方法などで実施されうる。
【0036】
乾燥工程における乾燥温度は、水を除去する目的に鑑みて適宜設定されるが、たとえば水の沸点より高い110℃以上であることが好ましい。また、乾燥温度の上限は特に限定されないが、たとえば300℃以下でありうる。なお、ここでいう乾燥温度とは、乾燥工程を実施している最中に試料の表面が到達する温度である。
【0037】
乾燥工程における乾燥時間は、本体の寸法や乾燥工程に使用する電気炉の規模などを考慮して適宜設定されるが、たとえば1時間以上12時間以下でありうる。
【0038】
第二工程は、乾燥工程後の本体にさらに第二の薬剤を塗布する工程である。前述の通り、第二の薬剤は、酸化防止剤および酸性コロイダルシリカのうち第一の薬剤として選択されなかったものである。
【0039】
第二の薬剤を塗布する方法は、第二の薬剤の態様に応じて適宜選択される。たとえば第二の薬剤が酸性コロイダルシリカである場合は、酸性コロイダルシリカを、刷毛塗装、スプレー塗装、ディッピングなどの方法で本体に塗布すればよい。
【0040】
〔耐火物部材の使用方法〕
本実施形態に係る耐火物部材の使用方法は、従来の耐火物部材と同様である。すなわち、予熱が施されたのちに実使用に供される。予熱温度は、たとえば700℃以上1200℃以下であり、予熱時間は、たとえば1時間以上6時間以下である。実使用時には、耐火物部材の用途(浸漬ノズルなど)に応じた態様で、鋼の連続鋳造において用いられる。このとき耐火物部材は、約1560℃の溶鋼と接することになる。
【0041】
上記の予熱および実使用の温度帯において酸化防止剤(第一層)が溶融し、本体の表面に皮膜が形成される。この皮膜が大気を遮断するため、本体の酸化が進行しにくい。また、あわせて酸性コロイダルシリカ(第二層)が溶融したシリカ皮膜が形成されるため、酸化防止剤の皮膜が部分的に途切れる箇所が生じた場合であっても、シリカ皮膜によって補完できる。そのため、耐火物部材の表面を網羅的に保護しやすい。
【0042】
〔その他の実施形態〕
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【実施例
【0043】
以下では、実施例を示して本発明をさらに説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定しない。
【0044】
〔試料〕(本体)
試験用の本体の形状を、一辺30mmの立方体とした。本体を構成する耐火物を、アルミナ・黒鉛質、ジルコニア・黒鉛質、スピネル・黒鉛質、およびマグネシア・黒鉛質からなる群から選択した。
【0045】
(酸化防止剤)
酸化防止剤として、ケイ素、炭化ケイ素、アルミナ、シリカ、およびガラスフリットの混合物が水に分散した分散液を用いた。
【0046】
(コロイダルシリカ)
酸性コロイダルシリカとして、pH3、平均粒子径10nm、固形分濃度20重量%のものを用いた。また、塩基性コロイダルシリカとして、pH9、平均粒子径20nm、固形分濃度30重量%のものを用いた。
【0047】
(作成方法)
上記の実施形態に従う方法で、実施例および比較例の各例の試料を作成した。各例の本体を構成する耐火物の種類、第一工程および第二工程のそれぞれで塗布した薬剤の種類、ならびに乾燥工程の実施の有無は、後掲の表1に示す通りとした。実施例および比較例の各例について、二つの試料を作成した。なお、乾燥工程を実施した例では、乾燥条件を、乾燥温度110℃、乾燥時間3時間とした。
【0048】
〔評価〕
実施例および比較例の各例について、実使用前の予熱を模した温度条件で加熱処理を施した。加熱条件を、それぞれ700℃、3時間および1400℃、3時間として、二通りの試験を行った。加熱処理後の試料を自然放冷し、室温まで冷却したのちに、各試料の表面を目視で観察した。観察結果に従って、下記のA~Eの五水準で試料を評価した。
A:試料の全体にわたって酸化防止膜が健全である。
B:角部や稜部などに酸化防止膜が切れている箇所があるが、平面部では酸化防止膜が健全である。
C:角部や稜部などに酸化防止膜が切れている箇所があり、その一部が平面部にまで到達している。塗膜切れ部分の面積が平面部の面積の3%未満である。
D:平面部に酸化防止膜が切れている箇所があり、その面積が平面部の面積の3%以上10%未満である。
E:平面部に酸化防止膜が切れている箇所があり、その面積が平面部の面積の10%以上である。
【0049】
〔結果〕
実施例および比較例の各例の試料作成条件および評価結果を表1に示す。
【0050】
表1:実施例および比較例
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、たとえば、鋼の連続鋳造において用いられる浸漬ノズル、ロングノズル、モノブロックストッパー、注入管などの部材およびその製造方法として利用できる。
【要約】
【課題】従来技術に比べて汎用的に適用可能な、酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法、および耐火物部材を実現する。
【解決手段】酸化防止処理された耐火物部材を製造する方法であって、カーボンを含有する耐火物製の本体に、第一の薬剤を塗布する第一工程と、第一の薬剤が塗布された本体に、第二の薬剤をさらに塗布する第二工程と、を有し、第一の薬剤および第二の薬剤の一方が酸化防止剤であり、他方が酸性コロイダルシリカである。
【選択図】なし