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特許7201956直流高速スイッチの総合性能を評価する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】直流高速スイッチの総合性能を評価する方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/327 20060101AFI20221228BHJP
   H01H 33/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G01R31/327
H01H33/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021566540
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2019097616
(87)【国際公開番号】W WO2021003774
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】201910620751.6
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517453966
【氏名又は名称】中国南方電网有限責任公司超高圧輸電公司検修試験中心
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲長▼虹
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲衛▼国
(72)【発明者】
【氏名】黄 忠康
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲暁▼▲鵬▼
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-138021(JP,A)
【文献】特開平10-185980(JP,A)
【文献】国際公開第2002/078032(WO,A1)
【文献】特開平5-19029(JP,A)
【文献】特開昭60-194376(JP,A)
【文献】特開2016-186066(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198667(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/327
G01R 31/00
H01H 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験遮断器のアブレーション耐性が要求に適うか否かを検出して判断するための内部アーク耐性検出試験と、
被試験遮断器の絶縁余裕が要求に適うか否かを検出して判断するための外部絶縁性能検出試験と、
被試験遮断器の開閉性能が要求に適うか否かを検出して判断するための直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験と、
被試験遮断器の機械信頼性が要求に適うか否かを検出して判断するための機械性能検出試験と、を含み、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれか一つの検出試験に合格しなければ、当該被試験遮断器の性能評価が不合格であると判断し、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれも合格すれば、被試験遮断器に総合性能評価を行って、性能の格付けを行い、
前記内部アーク耐性検出試験は、試験回路構築ステップと、試験操作ステップと、を含み、
前記試験回路は、短絡回路、整流回路、及びアークモニタリング回路を備え、
前記短絡回路は、短絡補助遮断器、交流電源、及び短絡変圧器を備え、前記交流電源、短絡補助遮断器、及び短絡変圧器の一次コイルは、順に直列接続されてループを形成し、
前記整流回路は、第1電流計、整流弁群、リアクトル、整流補助遮断器、及び電流制限抵抗を備え、前記整流弁群は前記短絡変圧器の二次コイルに接続され、第1電流計は、整流弁の、短絡変圧器の二次コイルに接続されるコイルに実装され、前記電流制限抵抗は、一方端が前記整流弁群の入力端に接続され、他方端が整流補助遮断器の一方端に接続され、前記リアクトルの一方端は前記整流弁群の出力端に接続され、
前記アークモニタリング回路は、第1電圧計、第2電圧計、第2電流計、及び特徴パラメータ総合モニタリング装置を備え、前記整流補助遮断器の他方端は、被試験遮断器に接続されるように構成され、前記特徴パラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで試験に必要なパラメータを取得するように構成され、前記第2電流計は、一方端が前記電流制限抵抗の他方端に接続され、他方端がそれぞれ被試験遮断器及びグランドに接続され、前記第1電圧計は、一方端が第2電流計の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、前記第2電圧計は、一方端が整流補助遮断器の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、
前記試験操作ステップは、試験回路パラメータ配置サブステップと、短絡電流発生サブステップと、整流サブステップと、アーク試験及び状態モニタリングサブステップとを含み、
前記試験回路パラメータ配置サブステップでは、
試験電流要求値及び発電機定格電圧に基づいて短絡変圧器の変圧比を調整し、更に整流試験回路における乾式リアクトルを調節することにより、被試験遮断器側で直流振幅値I dc の短絡電流が発生可能にし、
前記短絡電流発生サブステップでは、
試験回路に短絡が発生する前に、被試験遮断器が閉極位置にあり、試験開始後、短絡補助遮断器を閉極させて回路を短絡させ、短絡変圧器によって短絡電流をコイルの巻き数比に応じて増幅させ、試験で要求される短絡電流を生成して整流回路の整流弁に入力し、第1電流計によって電流振幅値をリアルタイムで記録し、
前記整流サブステップでは、
交流短絡電流をコンバータバルブによって整流した後、整流補助遮断器の閉極によって直流電流として出力し、乾式リアクトルと電流制限抵抗器とによって調節した後、試験要求を満たす電流振幅値I dc を生成し、
前記アーク試験及び状態モニタリングサブステップでは、
アークモニタリング回路において、定格直流電流が被試験遮断器を流れた後、被試験遮断器を開極するように制御し、接触子の快速な相対開極運動につれて、アーク接触子の間で直流電弧が発生し、接触子が所定位置まで開極した後、直流電弧がアーク接触子の間でアブレーションし続け、試験要求時間t ac で維持した後、短絡補助遮断器によって交流短絡回路を遮断して電源側エネルギー供給を切断し、被試験遮断器T0のアーク接触子の電弧が徐々に減衰して最終的に消滅するようにし、これで1回の試験が終了し、試験要求値に応じてn回の試験を行い、試験間隔が、被試験遮断器の温度が環境温度まで回復するのに必要な時間を基準とし、試験過程において、被試験遮断器の動的抵抗、ガス組成変化、開閉極速度、及び消弧室赤外温度上昇量をそれぞれ記録し、nは、正整数である
ことを特徴とする直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【請求項2】
前記アークモニタリング回路は、特徴パラメータ総合モニタリング装置を更に備え、前記特徴パラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで、試験に必要なパラメータを取得するように構成されていることを特徴とする請求項に記載の直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【請求項3】
前記特徴パラメータ総合モニタリング装置が被試験遮断器をモニタリングすることは、
被試験遮断器T0の開極時の時間-接触子速度、時間-接触子ストロークの曲線を取得するための機械特性モニタリングと、
被試験遮断器のアーク耐えにおける熱放射による消弧室の表面温度上昇の変化状況を取得するための赤外モニタリングと、
被試験遮断器の内部アーク耐え過程におけるSF6ガス組成の発生、変化の過程を取得するためのガス組成モニタリングと、を含む
ことを特徴とする請求項に記載の直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【請求項4】
前記直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験は、試験回路構築ステップと、試験操作ステップと、を含み、
前記試験回路は、第1補助遮断器、第2補助遮断器、コンデンサバンク、抵抗器、電流計、第1電圧計、第2電圧計、及び直流高電圧発生器を備え、
前記直流高電圧発生器、第2補助遮断器、及びコンデンサバンクは直列接続されてループを形成し、
前記コンデンサバンク、抵抗器、及び第2電圧計は直列接続されてループを形成し、
前記第1補助遮断器は、一方端が前記抵抗器に接続、他方端が被試験遮断器の一方端に接続されるように構成され、
前記第1電圧計の一方端が第1補助遮断器と被試験遮断器との間の回線に接続され、他方端が第2電圧計とコンデンサバンクとの接続回路に接続され、
前記電流計は、一方端が被試験遮断器の他方端に接続されるように構成され、他方端が接地されて、第2電圧計とコンデンサバンクとの接続回路に接続され、
試験操作ステップは、試験回路パラメータ配置サブステップと、コンデンサバンクエネルギー蓄積サブステップと、コンデンサバンク放電サブステップと、直流電流オン・オフサブステップと、試験判断根拠サブステップと、を含み、
試験回路パラメータ配置サブステップは、
試験目標でオン・オフする直流電流I及び回復電圧Uに基づいて、抵抗器R=U/Iを得ることと、
コンデンサバンクを配置し、主に、コンデンサバンクの電気容量C及びコンデンサバンクの内部抵抗 C を特定することと、
第2補助遮断器と第1補助遮断器との合わせ操作は時間T1を隔て、第2補助遮断器と被試験遮断器との合わせ操作は時間T2を隔て、T1とT2は、被試験遮断器が開閉する電流が要求値Iより小さくならないように、試験回路がオンになってから電流がIまで減衰する時間tを超えないように要求されることと、
電流計、第1電圧計、第2電圧計の電圧レベル及び測定範囲は試験要求値より高くなるように構成されることと、を含み、
コンデンサバンクエネルギー蓄積サブステップは、
第2補助遮断器を閉極させ、直流高電圧発生器によりコンデンサバンクを充電しエネルギーを蓄積し、U+I C 以上に達した後、第2補助遮断器を開極させることを含み、
コンデンサバンク放電サブステップは、
T1の操作間隔時間による遅延を経過して、第1補助遮断器を閉極させ、試験回路はオンになり、回路電流が減衰し、試験電流Iまで減衰する前に、被試験遮断器をT2の操作間隔時間による遅延を経過してから開極させることを含み、
直流電流オン・オフサブステップは、
被試験遮断器の開極過程において、スイッチの開放口に動的抵抗と等価である直流電弧が発生し、開極過程の進行に伴い、動、静アーク接触子の間の距離は徐々に大きくなり、直流電弧の抵抗は徐々に大きくなり、スイッチの両端の電圧も徐々に高くなり、回路電流は徐々に小さくなり、電流がある程度まで小さくなると、電弧の燃焼は維持しにくく、電弧は消滅し、この時T3のアーク時間を記録し、T3のアーク時間と被試験遮断器開極平均速度vとの積は、開極運動が停止し、直流電弧を消滅できず、開閉の失敗を引き起こさないように、被試験遮断器の接触子の設計開極距離Lより小さいように要求されることを含み、
試験判断根拠サブステップは、
被試験遮断器は、初期状態では閉極位置であり、回路補助スイッチによって回路がオンとされ、続いて通流時間T2において被試験遮断器を開極させ、アーク時間T3の後、被試験遮断器によって試験電流Iを正常にオン・オフさせ、オン・オフの後アーク接触子は回復電圧Uに耐えることができ、再点弧が発生しないことと、
被試験遮断器で所定の正負極性の直流無負荷充電電流オン・オフの回数mを完了させると、試験に合格であると判定し、mは正整数であることと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【請求項5】
前記時間tは以下の式で算出される
【数1】
ただし、Lnはネイピア数の対数である
ことを特徴とする請求項に記載の直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価方法に関し、具体的には直流高速スイッチの総合性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流高速スイッチ(High speed switch、HSS)は、主に多端フレキシブル直流送電システムに用いられている。直流高速スイッチを配置する目的は、直流システムの第3ステーションのオンライン投入・退出及び直流回線故障の高速な隔離を図り、全直流システムの信頼性及び利用可能性を向上させることにある。
【0003】
直流高速スイッチは、一般的に開放柱式遮断器の形態を採用し、操作機構は、油圧又はばねを採用可能である。多端システムに合わせて制御を協調させ、送電側、受電側のオンライン投入及び退出を図るために、機器の肝心な性能パラメータの協調は、非常に高く要求され、主に以下の特徴を有する。
【0004】
(1)1.05p.u.以上のシステム定格搬送容量の固有長期間オーバーロード能力(最高環境温度において)を具備すべきである。
(2)強い直流アーク耐性能力を具備する。
(3)直流回線の無負荷充電電流を転送する能力を具備する。
(4)高い開極速度、確実な機械動作特性を具備し、不動作、誤動作が発生しない。
【0005】
直流高速スイッチの運転状況は、主に定常オン、オフ過渡過程、定常オフ及びオン過渡過程との4種を含む。HSSの4種の運転状況では、以下の能力を具備することが要求されている。
【0006】
1、HSS開極状態において、開放口の両側のコンバータステーションがアンロックされ、両側の直流電圧が何れも定格直流電圧に達して安定し、この時、HSSが確実に閉極可能である。
2、HSS閉極状態において、開放口の一側のコンバータステーションがロックされ、最初の時にロック側直流電圧が一定に保持され、HSSが確実に開極可能であるが、極線PT抵抗放電等により、ロック側の対地電圧が徐々に低下していく。そのため、高速スイッチのブレードがオフされる前に、HSSは、徐々に高くなる端間電圧に耐えられるものでなければならない。
3、直流回線に故障が発生した場合、HSS電源側のコンバータステーションが快速に位相シフトし、HSSロード側のコンバータステーションが快速にロックされ、HSS開極動作前に、100ms程度の時間で瞬時大電流に耐える必要があり、振幅が数十kAまで達する。HSSは、電流が0に減衰した後で、開極する。
4、短時間の内部アーク耐性能力を具備する。例えば、烏東徳フレキシブル直流プロジェクトでは、3125A、400ms、5回の内部アークに対する耐えが要求され、雲南省―貴州省接続プロジェクトでは、3786A、400ms、5回の内部アークに対する耐えが要求され、且つ5回のアークの後でも絶縁外皮に破損が発生しないことが要求される。
5、HSSは、確実な高速閉極、開極の機械性能を具備する必要がある。例えば、烏東徳プロジェクトでは、閉極時間<100ms、開極時間<30msが要求される。
6、HSSは、直流電流又は故障電流をオン・オフする性能を有する必要がない。しかし、直流回線の残留電流をオン・オフする能力を有する必要がある。それは、一般的に、20A程度である。
【0007】
したがって、HSSを応用する前に、その全体の肝心な性能に対して試験審査評価を行う必要がある。しかし、従来では、関連する試験審査方法はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の不足を克服し、HSSを応用する前に、HSSに対して全面的で総合的な試験審査を行うことで、その性能が規定の要求に適うか否かを評価する直流高速スイッチの総合性能評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を果たすべく、本発明の解決手段は、以下のようになる。
【0010】
被試験遮断器のアブレーション耐性が要求に適うか否かを検出して判断するための内部アーク耐性検出試験と、
被試験遮断器の絶縁余裕が要求に適うか否かを検出して判断するための外部絶縁性能検出試験と、
被試験遮断器の開閉性能が要求に適うか否かを検出して判断するための直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験と、
被試験遮断器の機械信頼性が要求に適うか否かを検出して判断するための機械性能検出試験と、を含み、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれか一つの検出試験に合格しなければ、当該被試験遮断器の性能評価が不合格であると判断し、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれも合格すれば、被試験遮断器に総合性能評価を行って、性能の格付けを行う
直流高速スイッチの総合性能を評価する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、従来技術よりも、以下の有利な作用効果を有する。
【0012】
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験の四つの検出試験により、HSSに対して全面的で総合的な性能検出判断を行って、使用の性能要求を満たすか否かを判断し、使用の安全性を保証することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施例に係る直流高速スイッチの総合性能評価方法のフローチャートである。
図2】直流高速スイッチの内部アーク耐受試験回路の電気回路原理図である。
図3】遮断器の消弧室の接触子アブレーション状態の評価システム模式図である。
図4】消弧室の赤外モニタリングの模式図である。
図5】温度上昇評価フローの模式図である。
図6】直流高速スイッチの直流無負荷充電電流オン・オフ試験回路の電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面及び具体的な実施形態を組み合わせて本発明の内容について更に詳細に説明する。
【0015】
実施例:
【0016】
図1に示すように、本実施例に係る直流高速スイッチの総合性能評価方法は主に、
被試験遮断器のアブレーション耐性が要求に適うか否かを検出して判断するための内部アーク耐性検出試験と、
被試験遮断器の絶縁余裕が要求に適うか否かを検出して判断するための外部絶縁性能検出試験と、
被試験遮断器の開閉性能が要求に適うか否かを検出して判断するための直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験と、
被試験遮断器の機械信頼性が要求に適うか否かを検出して判断するための機械性能検出試験と、を含み、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれか一つの検出試験に合格しなければ、当該被試験遮断器の性能評価が不合格であると判断し、
内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験のいずれも合格すれば、被試験遮断器に総合性能評価を行って、性能の格付けを行う。
【0017】
上記内部アーク耐性検出試験、外部絶縁性能検出試験、直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験、機械性能検出試験の四つの検出試験により、HSSに対して全面的で総合的な性能検出判断を行って、使用の性能要求を満たすか否かを判断し、使用の安全性を保証することができる。
【0018】
具体的には、上記内部アーク耐性検出試験は主に試験回路構築ステップ及び試験操作ステップという2つのステップを含む。
【0019】
ただし、図2に示すように、当該試験回路は、主に、3つの回路、即ち、短絡回路100、整流回路200、アークモニタリング回路300によって構成されている。
【0020】
当該短絡回路100は、補助遮断器AB2、交流発電機G及び短絡変圧器Tを備え、当該交流発電機G、短絡補助遮断器AB2、及び短絡変圧器Tの一次コイルは、順に直列接続されてループを形成する。
【0021】
当該整流回路200は、第1電流計A1、整流弁群V、乾式リアクトルL、整流補助遮断器AB1、及び電流制限抵抗Rを備える。当該整流弁群Vは、当該短絡変圧器Tの二次コイルに接続され、第1電流計A1は、整流弁Vの、短絡変圧器Tの二次コイルに接続されるコイルに実装され、当該電流制限抵抗Rは、一方端が前記整流弁群Vの入力端に接続され、他方端が整流補助遮断器AB1の一方端に接続され、前記リアクトルLの一方端は、前記整流弁群Vの出力端に接続されている。
【0022】
当該アークモニタリング回路300は、第1電圧計V1、第2電圧計V2、第2電流計A2、及び特徴パラメータ総合モニタリング装置30を備える。当該整流補助遮断器AB1の他方端は、被試験遮断器T0に接続されるように構成され、当該特徴パラメータ総合モニタリング装置30は、被試験遮断器T0をモニタリングすることで、試験に必要なパラメータを取得するように構成されている。当該第2電流計A2は、一方端が前記電流制限抵抗Rの他方端に接続され、他方端がそれぞれ被試験遮断器T0及びグランドに接続され、当該第1電圧計V1は、一方端が第2電流計A2の、被試験遮断器T0に接続される回線に接続され、他方端が接地され、当該第2電圧計V2は、一方端が整流補助遮断器AB1の、被試験遮断器T0に接続される回線に接続され、他方端が接地される。
【0023】
短絡回路、整流回路、アークモニタリング回路の協同作用の下で直流高速スイッチの内部アーク耐性試験のシーンを等価的に模擬できる。等価模擬回路により、遮断器のSF6定格気圧において、システム運転状態に誤動作、誤トリッピングが発生したときに遮断器によって耐えられるシステム負荷直流電流のアブレーションの性能を検証可能である。
【0024】
ただし、当該試験回路では、被試験遮断器(即ち、被試験遮断器T0)が閉極位置から開極を開始し、被試験遮断器のアーク接触子の間で直流電流電弧Idc(具体的な振幅は、具体プロジェクトの最も厳しい故障状況に応じた算出値を基準とし、一般的に3000-5000A範囲である)を流れる。
【0025】
持続時間がtac(具体的な時間は、具体プロジェクトのフレキシブル直流弁保護ロック時間定数を基準とし、一般的に300-500ms範囲である)である。
【0026】
合計n回のアーク耐え試験が行われ、具体的な回数は、プロジェクトの機器に対する電気寿命要求に応じて定められる。
【0027】
初期状態時に、被試験遮断器T0が閉極状態であり、補助遮断器AB1、AB2が開極状態である。
【0028】
パラメータ偏差要求は、下記のようになる。直流振幅値Idcとプロジェクト要求との偏差が±10%であり、持続時間が0.5sを超えてはならず、Idc 2tの偏差が0~10%である。
【0029】
具体的に、当該整流弁群Vは、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブVによって構成され、6パルス又は12パルスに設置されてもよい。
【0030】
当該特徴パラメータ総合モニタリング装置が被試験遮断器をモニタリングすることは、
被試験遮断器T0の開極時の時間-接触子速度、時間-接触子ストロークの曲線を取得するための機械特性モニタリングと、
被試験遮断器のアーク耐えにおける熱放射による消弧室の表面温度上昇の変化状況を取得するための赤外モニタリングと、
被試験遮断器の内部アーク耐え過程におけるSF6ガス組成の発生、変化の過程を取得するためのガス組成モニタリングと、を含む。
【0031】
具体的に、当該試験操作ステップは、以下のサブステップを含む。
【0032】
1)試験回路のパラメータの配置
試験電流要求値及び発電機定格電圧に基づいて短絡変圧器の変圧比を調整し、更に整流試験回路における乾式リアクトルを調節することにより、被試験遮断器側で直流振幅値Idcの短絡電流が発生可能にする。
2)短絡電流の生成
試験回路に短絡が発生する前に、被試験遮断器が閉極位置にある。試験開始後、補助遮断器AB2を閉極させて回路を短絡させ、短絡変圧器Tによって短絡電流をコイルの巻き数比に応じて増幅させ、試験で要求される短絡電流を生成して整流回路の整流弁に入力し、電流計A1によって電流振幅値をリアルタイムで記録する。
3)整流
整流回路において、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブVは、6パルス又は12パルスに設置可能である。交流短絡電流をコンバータバルブによって整流した後、補助遮断器AB1の閉極によって直流電流として出力し、乾式リアクトルLと電流制限抵抗器Rとによって調節した後、試験要求を満たす電流振幅値Idcを生成する。
4)アーク試験及び状態モニタリング
アークモニタリング回路において、定格直流電流が被試験遮断器T0を流れた後、被試験遮断器T0が開極するように制御し、接触子の快速な相対開極運動につれて、アーク接触子の間で直流電弧が発生し、接触子が所定位置まで開極した後、直流電弧がアーク接触子の間でアブレーションし続け、試験要求時間tacで維持した後、補助遮断器AB2によって交流短絡回路を遮断して電源側エネルギー供給を切断し、被試験遮断器T0のアーク接触子の電弧が徐々に減衰して最終的に消滅することになり、これで1回の試験が終了する。試験要求値に応じてn回の試験を行い、試験間隔は、人身傷害を回避するように、被試験遮断器の温度が環境温度まで回復するのに必要な時間を基準とするべきである。
【0033】
試験過程において、動的抵抗、ガス組成変化、開閉極速度、及び消弧室の赤外温度上昇などの肝心なパラメータをそれぞれ記録し、これらのパラメータに基づいて、被試験遮断器の直流アーク耐性能力性能が要求に適うか否かを分析する。
【0034】
具体的に、当該動的抵抗は、肝心な特徴パラメータを4つ含み、具体的に以下のように定義する。
【0035】
1)アーク接触子有効接触状態:遮断器の開閉極過程において、アーク接触子の接触抵抗が、ある閾値(当該値は、動的接触抵抗の測定値を参照して与えられてもよい)以下であるときに、アーク接触子が有効接触状態であると考えられ、接触抵抗が当該値より大きいであるときに、アーク接触子が無効接触で、分離状態(絶対分離ではなく、データ分析を便利にするためのものである)であると考えられる。動的抵抗のテストの時に試験電流が2000A以上に達するため、アーク接触子の金属が絶対的に分離する際、暫くのアーク放電現象が発生するので、テスト手段によって接触抵抗が無限大である時を接触子の絶対分離時刻とすることは、不精確である。したがって、本発明は、ただ試験データの傾向分析を便利にするため、ある閾値をアーク接触子の接触境界値として定義する。
2)有効接触変位L(mm):遮断器の開閉極過程において、主接触子が分離した直後、アーク接触子の接触抵抗が閾値(2000μΩ)以下であるときに対応する接触変位は、有効接触変位と称される。
3)累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm):有効接触変位に対応するサンプリング時刻における接触抵抗の累積値である。試験機器のサンプリングレートが20kであり、即ち、0.05msごとに、対応する接触抵抗値が得られる。有効接触変位の曲線範囲内の接触抵抗に対して積分を行うと、累積接触抵抗μΩ*mmは取得可能である。
4)平均接触抵抗Rave(μΩ/mm):累積接触抵抗を有効接触変位で除算すると、平均接触抵抗μΩ/mmを取得可能であり、接触子のアブレーション後の接触抵抗及び有効接触変位の変化状況を比較的に良好に体現させることが可能となる。
【0036】
アーク試験の前後及び毎回の試験間隔の何れにも、遮断器アーク接触子の動的抵抗を測定し、アーク接触子のアブレーション状態特徴パラメータを記録し、アーク接触子の電弧アブレーションに耐える度合いを評価すると、以下の表の記録を完成させる。
【表1】
【0037】
アーク接触子の有効接触変位Lが0~5mmの区間であるときに、平均接触抵抗は、有効接触変位の増加に従って快速に降下する傾向を呈し、接触変位が5mmより大きくなった後、平均接触抵抗の変化は、徐々に安定になっていく。
【0038】
アーク耐え試験の前後は、アーク接触子のサイズ長さ、重量変化を記録すべきである。
【0039】
試験見本機を分解し、動、静アーク接触子のポートサイズ及び部品重量を測定する。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
ただし、遮断器の消弧室の接触子アブレーション状態評価方法は、具体的に図3に示すように、以下のステップを含む。
【0043】
第1ステップでは、ユーザは、動的抵抗テスト技術によって遮断器消弧室特徴パラメータを取り出して評価システムへ入力する。入力データは、下記の1)~3)を含む。
【0044】
1)評価対象遮断器の台帳情報:遮断器スケジューリング番号、相、電圧レベル、遮断器型番、メーカ、運営投入時間。
2)当該型番の遮断器の初期特徴パラメータ:アーク接触子の有効接触変位L(mm)、アーク接触子の累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm)、アーク接触子の平均接触抵抗Rave(μΩ/mm)。
3)評価対象遮断器の現在状態における特徴パラメータ:アーク接触子の有効接触変位L(mm)、アーク接触子の累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm)、アーク接触子の平均接触抵抗Rave(μΩ/mm)。
【0045】
第2ステップでは、データベース(累積エネルギーアブレーショ指紋データベース、接触子特徴パラメータ関連データベース、接触子アブレーション状態専門家データベース)に基づいて、第1ステップで入力された評価対象遮断器の初期状態、現在状態の特徴パラメータに対して総合評価を行い、アーク接触子の現在アブレーション状態に対応する累積開閉エネルギー、特徴量関連曲線の定量的な差分をそれぞれ取得する。
【0046】
第3ステップでは、第2ステップで総合分析された結果に基づいて、特徴パラメータの算出を完成し、遮断器の現在アーク接触子の有効接触変位と初期有効接触変位との比の区間を判別する。
【0047】
第4ステップでは、現在の遮断器消弧室状態を評価する。現在アーク接触子の有効接触変位と初期有効接触変位との比が80~100%範囲内である場合に、正常アブレーション状態となり、比が60~80%範囲内である場合に、軽度アブレーション状態となり、比が40~60%範囲内である場合に、中度アブレーション状態となり、比が20~40%範囲内である場合に、重度アブレーション状態となり、比が<20%範囲内である場合に、異常状態となる。
【0048】
遮断器に内部アーク試験を行う過程では、消弧室のSF6ガスの複数種の特徴組成の生成、増加等の変化傾向を記録する。当該データは、当該型番の遮断器の運転時に重要な点検修理依拠とすることが可能で、遮断器のノズルのアブレーションの度合いを評価する重要指標でもある。
【0049】
その一方、被試験遮断器の開閉極速度モニタリングは、遮断器の操作機構のクランクアームに取り付けられる通常の速度センサを採用してもよい。被試験遮断器T0の開閉極動作時に、開閉極速度v-時間t-動作ストロークlのデータを特徴パラメータ総合モニタリング装置にリアルタイムで伝送して総合処理する。
【0050】
被試験遮断器T0で内部アーク耐性試験を行うとき、アーク接触子が電弧tarcのアブレーションに耐え続けるため、電弧の温度上昇が絶縁ガスを介して消弧室の絶縁外皮に熱放射され、消弧室の表面の数Kの温度上昇変化を引き起こす。したがって、試験過程において、赤外放射温度測定技術に基づいて赤外モニタリング装置を採用し、遮断器の消弧室の絶縁外皮の温度上昇変化をリアルタイムでモニタリングし、データを特徴パラメータ総合モニタリング装置に伝送して総合分析評価を行う。タイプ試験において、温度上昇テストデータは、運転後の重要な状態評価依拠となる。
【0051】
遮断器は、2つの消弧室を有し、各消弧室の温度測定点はそれぞれ、上下層、左中右位置で合計6点を取り、詳細は図4に示される。
【0052】
温度測定が完了した後、温度上昇(K)データは、以下のように記録されている。
【表4】
【0053】
温度上昇評価フローは、図5に示すように、以下の1~5を含む。
【0054】
1、遮断器にアーク耐え試験を行う過程では、消弧室の絶縁外皮温度を赤外モニタリングし、上下層、左中右で点を配置する原則に従って温度上昇テストを行い、各点の温度上昇をT2として記録し、消弧室の分散点の温度上昇について分散根処理を行って平均値T1を得る。
2、局所過熱により消弧室の温度上昇が平均値T1 maxを超えることがあるか否かを判定し、超えない場合に、正常と評価し、超える場合に、次の評価へ進む。
3、正常アーク耐性におけるキャリア導体の温度上昇に基づいて、実測された外皮の温度上昇に対して逆推算を行い、キャリア導体の温度上昇算出値を得る。
4、消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第1限界値T2 max1を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が異常であると評価し、そうでなければ、次の評価へ進む。
5、消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第2限界値T2 max2を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が注意値に達し、他の補助評価手段を採用すべきであると評価し、そうでなければ、温度上昇評価は終了する。
【0055】
試験要求値に応じて、n回の内部アーク耐えを経る。試験を行う過程では、被試験遮断器T0は、明らかな外部効果が発生しない場合、即ち、試験品が爆発しなく、且つそのハウジングに穴やクラックが発生しない場合、内部アーク耐性要求を満たすことを意味する。
【0056】
一方、機械信頼性の検証は以下のように行うことが可能である。
【0057】
直流システムにおけるHSSスイッチの位置の特殊性のため、極めて高い機械的信頼性を具備することが要求され、運転過程において不動作、誤動作、引っかかりなどの機械的欠陥の発生は許されず、標準に従って通常の機械的性能M2レベル10000回の機械的開閉操作を終了した後、さらに機械的限界状況試験を追加すべきである。以下では、ばね操作機構遮断器と油圧(油圧皿ばねを含み)機構のそれぞれに対して限界速度における機械信頼性検証が提出され、下表の試験状況における操作を完了した後、遮断器に不動作、誤動作、引っかかりなどの故障が発生せず、且つ油圧機構に油漏れ、頻繁に加圧、圧力建立できない状況が発生しない場合、試験に合格する。
【0058】
1、ばね操作機構遮断器
【0059】
提供される機器の分閉極速度範囲において、限界最速分閉極速度及び最遅分閉極速度における機器の機械操作性能(各々500回以上行う)を検証する。試験過程において異常動作が発生してはいけなく、試験終了の後試験品に異常損傷がないことを確認すべきである。
【表5】

【0060】
2、油圧(油圧皿ばねを含む)機構遮断器
【0061】
限界分閉極速度での機械操作において、定格の油圧で、油圧機構の絞り弁を調節することで、開極、閉極速度をその上下限に達させ、組み合わせてから限界速度機械操作を行い、機械動作の信頼性を検証する。試験の前後において、分閉極速度の変化する範囲を記録して比較する必要がある。
【表6】

【0062】
一方、当該直流無負荷充電電流オン・オフ検出試験は、主に試験回路を構築するステップと、試験回路に試験操作を行うステップという2つのステップを含む。
【0063】
図6に示すように、当該試験回路は、第1補助遮断器AB1、第2補助遮断器AB2、コンデンサバンクC、抵抗器R、電流計A、第1電圧計V1、第2電圧計V2、及び直流高電圧発生器DCを含む。
【0064】
ただし、当該直流高電圧発生器CC、第2補助遮断器AB2、及びコンデンサバンクCは直列接続されてループを形成する。当該コンデンサバンクC、抵抗器R、及び第2電圧計V2は直列接続されてループを形成する。当該第1補助遮断器AB1は、一方端が前記抵抗器Rに接続され、他方端が被試験遮断器T0の一方端に接続されるように構成されている。当該第1電圧計V1は、一方端が第1補助遮断器AB1と被試験遮断器T0との間の回線に接続され、他方端が第2電圧計V2とコンデンサバンクCとの接続回線に接続される。当該電流計Aは、一方端が被試験遮断器T0の他方端と接続されるように構成され、他方端が接地されて、第2電圧計V2とコンデンサバンクCとの接続回線に接続される。
【0065】
初期状態において、第1補助遮断器AB1、第2補助遮断器AB2は開極状態であり、被試験遮断器T0は閉極状態であり、直流高電圧発生器DCによってコンデンサバンクCに直流高電圧を所定値まで出力することができる。
【0066】
具体的には、本直流高速スイッチ直流無負荷充電電流オン・オフ試験回路で試験を行う場合、如下のステップを含む。
【0067】
1)試験回路パラメータの配置
【0068】
試験目標でオン・オフする直流電流I及び回復電圧Uに基づいて、抵抗器R=U/Iを得る。
【0069】
コンデンサバンクを配置し、主に、コンデンサバンクの電気容量C及びコンデンサバンクの内部抵抗 C を特定する。コンデンサバンクを充電した後、予め充電されたコンデンサバンクと抵抗負荷で直流電流回路を構成するので、コンデンサのパラメータは以下の式で得ることができる。
【0070】
I=(U+I C )ωC
【0071】
補助遮断器AB2と補助遮断器AB1との合わせ操作で間隔される時間T1と、補助遮断器AB1と被試験遮断器T0との合わせ操作で間隔される時間T2とは、試験回路がオンになってから電流がIまで減衰する時間tを超えないことが要求され、そうでなければ被試験遮断器が開閉する電流は要求値Iよりも小さくなることになる。具体的な回路全体の時間常数の決定は、具体的に以下の式で得られる。
【0072】
【数1】
ただし、Lnはネイピア数の対数である。
【0073】
電流計A、電圧計V1,V2の電圧レベル及び測定範囲は、試験要求値よりも高いべきである。
【0074】
2)コンデンサバンクのエネルギー蓄積
【0075】
補助遮断器AB2を閉極させ、直流高電圧発生器DCによりコンデンサバンクを充電しエネルギーを蓄積する。U+I C 以上に達した後、補助遮断器AB2を開極させる。
【0076】
3)コンデンサバンクの放電
【0077】
T1の操作間隔時間による遅延を経過して、補助遮断器AB1を閉極させ、試験回路はオンになる。RC電気回路の影響を受けて、回路電流にある程度の減衰幅があり、試験電流Iまで減衰する前に、被試験遮断器T0をT2の操作間隔時間による遅延を経過してから開極させる。
【0078】
4)直流電流のオン・オフ
【0079】
遮断器T0の開極過程において、スイッチの開放口に直流電弧は発生する。直流電弧は、一つの動的抵抗に等価的に見なすことが可能である。開極過程の進行に伴い、動、静アーク接触子の間の距離は徐々に大きくなり、直流電弧の抵抗は徐々に大きくなり、スイッチの両端の電圧も徐々に高くなり、回路電流は徐々に小さくなる。電流がある程度まで小さくなると、電弧の燃焼は維持しにくく、電弧は消滅する。この時、T3のアーク時間を記録する。T3のアーク時間と遮断器開極平均速度vとの積は接触子の設計開極距離Lよりも小さいことは要求され、そうでなければ、開極運動が停止し、直流電弧を消滅できず、開閉の失敗を引き起こすことになる。
【0080】
5)試験判断根拠
【0081】
被試験遮断器は、初期状態では閉極位置であり、回路補助スイッチによって回路がオンとされている。続いて通流時間T2において被試験遮断器を開極させる。アーク時間T3の後、被試験遮断器によって試験電流Iを正常にオン・オフさせ、オン・オフの後でアーク接触子は回復電圧Uに耐えることができ、再点弧が発生しない。
【0082】
正負極性毎に10回試験を行う。
【0083】
被試験遮断器(すなわち被試験遮断器)で所定の正負極性の直流無負荷充電電流オン・オフの回数mを完了させると、試験に合格であると判定することができる。
【0084】
一方、外部絶縁性能検出試験は、遮断器の外部絶縁乾燥アーク距離、沿面距離の設計、及び湿気、汚れ又は塩水噴霧等の気候条件での外部絶縁の絶縁特性により検出判断を行うことができる。
【0085】
上記実施例はただ本発明の技術的思想及び特徴を説明するためのものであり、その目的は当業者に本発明の内容を理解させ実施させることであり、それにより本発明の保護範囲を制限することができない。本発明の内容の本質に基づいて行われた等価な変化又は修飾は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。


図1
図2
図3
図4
図5
図6