(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】顔料分散体及びそれを含む着色組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 17/00 20060101AFI20221228BHJP
C09B 67/46 20060101ALI20221228BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20221228BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221228BHJP
G02F 1/1339 20060101ALI20221228BHJP
C08F 293/00 20060101ALI20221228BHJP
C09B 5/62 20060101ALI20221228BHJP
C09B 5/48 20060101ALI20221228BHJP
C09B 47/04 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
C09D17/00
C09B67/46 B
C09B57/00 Z
C09B67/20 F
G02F1/1339 500
C08F293/00
C09B57/00 J
C09B5/62
C09B5/48
C09B47/04
(21)【出願番号】P 2018111791
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2017116827
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000180058
【氏名又は名称】山陽色素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】田中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】片山 和也
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-196737(JP,A)
【文献】特開2007-327013(JP,A)
【文献】国際公開第2016/102803(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09C 1/00ー3/12
C09D 11/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、分散剤及び溶剤を含む顔料分散体(但し、4級アンモニウム塩を含むものを除く)であって、
溶剤が、有機溶剤であり、
分散剤が、下記式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位から選択される少なくとも1種を有する第1ブロックを一方の端部に有する直鎖状の構造を有し且つ塩基性基を有さないブロック重合体
(但し、(a)モノマー単位として、2-(2-オキソイミダゾリジン-1-イル)エチルメタクリレートをBブロックにのみ含むA-Bブロック共重合体、(b)30℃未満のガラス転移温度(Tg)を有し、アルキル基が2から4個の炭素原子を含む(メタ)アクリルアミドから選択される親水性モノマーを含む、部分的に又は完全に親水性の弾性ブロックを含むブロックコポリマー、(c)30℃未満のTgを有し、少なくとも1種の親水性モノマーを含む、部分的に又は完全に親水性の弾性ブロック、及び、30℃を超えるTgを有し、モノマーとしてCH
2
=CH-CONHCH(OH)COOHのアクリルアミドグリコール酸、及びまたそれらの塩を含む、水溶性の熱可塑性ブロックからなるブロックコポリマーを除く)であ
り、
水分の含量が、顔料分散体全体に対して2.0重量%以下である、顔料分散体。
【化1】
(式(1)中、R
1a、R
1bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。R
1a、R
1bの各炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子は、-C(=O)-NR
5aR
5b、-O-C(=O)-NR
6aR
6b、-NR
7-C(=O)-NR
8aR
8b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH
2-は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR
9-、-NR
10-C(=O)-、-NR
11-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
12-又は-NR
13-C(=O)-NR
14-に置き換わっていても良い。R
5a~R
14は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、且つ、R
5aとR
5b、R
6aとR
6b及びR
8aとR
8bはそれぞれ少なくとも一方が水素原子ではなく、R
7とR
8a又はR
8b、R
13とR
14は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。R
1aとR
1bは、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基同士が、-O-で連結されて環構造を形成していてもよい。
R
2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【化2】
(式(2)中、R
3は、N-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR
15aR
15b、-O-C(=O)-NR
16aR
16b、-NR
17-C(=O)-NR
18aR
18b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH
2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR
19-、-NR
20-C(=O)-、-NR
21-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
22-又は-NR
23-C(=O)-NR
24-に置き換わっていても良い。R
15a~R
24は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R
17とR
18a又はR
18b、R
23とR
24は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR
25aR
25b、-O-C(=O)-NR
26aR
26b、-NR
27-C(=O)-NR
28aR
28b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R
25a~R
28bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R
27とR
28a又はR
28bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R
4は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【化3】
(式(2-2)中、R
29、R
45は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR
31aR
31b、-O-C(=O)-NR
32aR
32b、-NR
33-C(=O)-NR
34aR
34b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH
2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR
35-、-NR
36-C(=O)-、-NR
37-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR
38-又は-NR
39-C(=O)-NR
40-に置き換わっていても良い。R
31a~R
40は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R
33とR
34a又はR
34b、R
39とR
40は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR
41aR
41b、-O-C(=O)-NR
42aR
42b、-NR
43-C(=O)-NR
44aR
44b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R
41a~R
44bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R
43とR
44a又はR
44bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R
30は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【請求項2】
前記式(1)で示される構成単位は、前記式(1)中、R
1a及びR
1bのうちの一方が水素原子であり、
前記式(2)で示される構成単位は、前記式(2)中、R
3が、N-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2-2)で示される構成単位は、前記式(2-2)中、R
45が水素原子で、R
29がN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるか、R
29、R
45の少なくとも一方がN-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基である、請求項1記載の顔料分散体。
【請求項3】
前記式(1)で示される構成単位は、前記式(1)中、R
1a及びR
1bが、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2)で示される構成単位は、前記式(2)中、R
3が、N-H結合を有さないアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2-2)で示される構成単位は、前記式(2-2)中、R
29及びR
45が、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基である、請求項1記載の顔料分散体。
【請求項4】
前記ブロック重合体が、重合性二重結合を有するモノマーに由来する構成単位を有する第2ブロックを含む請求項1~3の何れかに記載の顔料分散体。
【請求項5】
前記重合性二重結合を有するモノマーが、ノニオン性水溶性化合物、アニオン性水溶性化合物及びノニオン性非水溶性化合物から選択される少なくとも1種である請求項4記載の顔料分散体。
【請求項6】
更に、塩基性基を有さない酸性顔料誘導体を含む請求項1~5の何れかに記載の顔料分散体。
【請求項7】
液晶表示装置のカラムスペーサー用途である請求項1~6の何れかに記載の顔料分散体。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の顔料分散体及び
塗膜形成成分を含む着色組成物であって、
塗膜形成成分が、エポキシ基を含有
し、
水分の含量が、着色組成物全体に対して2.0重量%以下である、着色組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散体及び該顔料分散体を含む着色組成物に関するものであり、特に、例えば液晶表示装置のフラットパネルに設けられるカラムスペーサーに使用される顔料分散体及びこれを含む着色組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、対向する透明電極が設けられた2枚のガラス基板の間に液晶物質が充填された液晶セル構造を有する。そして、2枚のガラス基板の間には、その基板間ギャップを均一に保持し、良好な画像を提供するため、カラムスペーサーが挿入されている。従来より、このようなカラムスペーサーとしては、ビーズ状ガラス等のビーズスペーサーが使用されていた。しかし、ビーズスペーサーを用いる方式では、ギャップにランダムにビーズを分散させるだけであるため光漏れの問題が生じることがある、ギャップ距離のばらつきが大きくなる場合がある、弾性などの力学的特性の制御が困難である、等の問題があることが指摘されている。また、近年の液晶表示装置に対する高画質化の市場の要請から、より精密なギャップ制御が求められている。
【0003】
この改善策として、ビーズスペーサーに替えて、例えば、黒色感光性樹脂組成物を用いるブラックカラムスペーサーが提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。ブラックカラムスペーサーによれば、所望の位置にギャップ距離のばらつきが小さくなるようにカラムスペーサーを形成することが可能で、塗膜形成成分等の特性を制御することが比較的容易である。そのため、ブラックカラムスペーサーを用いる場合、ビーズスペーサーの場合より精密なギャップ制御が可能になると考えられる。
【0004】
また、カラムスペーサーには、圧縮変位などの力学的特性が求められるほか、液晶物質に接するため、液晶物質に含まれる溶剤に対する耐性即ち耐溶剤性が求められる。この耐溶剤性に関しては、例えばエポキシ基含有樹脂を用いることで、ある程度の改善が期待される。
【0005】
ところで、カラムスペーサー用途ではないが、カラーフィルター用の顔料分散体に用いられる顔料分散剤として、主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有する特定のグラフトポリマーが開示されている(特許文献3)。この顔料分散剤によれば、コントラストに優れた硬化膜を形成することができるとされている。また、同じくカラムスペーサー用途の顔料分散体ではないが、有機顔料とアミド基を含有する特定の高分子分散剤等を混合し、テトラアルキルアンモニウム塩を更に添加して分散処理して得られる顔料分散体の製造方法が開示されている(特許文献4)。この製造方法によれば、コントラストに優れた硬化膜を形成することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-191234号公報
【文献】特開2007-71994号公報
【文献】特開2013-125086号公報
【文献】特開2013-95831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者の検討によると、各種の分散剤を用いて顔料分散体を調製し、これに塗膜形成成分としてエポキシ基含有成分を用いた着色組成物では、塗膜形成時の現像工程において不具合が生ずる場合があることを見出した。この原因を鋭意検討したところ、ある種の分散剤に含まれるアミン等の塩基性基が、エポキシ基と反応して塗膜形成成分の物性等が変化し、現像時間が極端に長くなり、現像できない場合や、塗膜が剥離する場合等があることが判明した。また、この不具合は、着色組成物を保存して使用した後に、顕著であることも判明した。本発明者がさらに検討を行ったところ、塩基性基を含まない酸価型の分散剤を用いると、粘度が高く即ち分散安定性が悪く、実使用できない場合があることも判明した。また、顔料分散体に特許文献4に記載のテトラアルキルアンモニウム塩のような4級アンモニウム塩が含まれる場合、それを含む着色組成物を用いて形成された塗膜は耐溶剤性が悪化することも判明した。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、分散安定性が良好で、かつ、塗膜形成成分にエポキシ基含有成分が含まれる場合でも、保存安定性の良好な着色組成物を提供可能な顔料分散体を提供すること、及び、当該顔料分散体を含む着色組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者の検討の結果、側鎖にアミド結合を含む所定のブロック重合体を分散剤として用いることで、前述の課題が解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の要旨は下記の通りである。
【0010】
本発明の第一は、顔料、分散剤及び溶剤を含む顔料分散体(但し、4級アンモニウム塩を含むものを除く)であって、
分散剤が、下記式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位から選択される少なくとも1種を有する第1ブロックを一方の端部に有する直鎖状の構造を有し且つ塩基性基を有さないブロック重合体である、顔料分散体に関する。
【0011】
【0012】
(式(1)中、R1a、R1bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。R1a、R1bの各炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子は、-C(=O)-NR5aR5b、-O-C(=O)-NR6aR6b、-NR7-C(=O)-NR8aR8b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR10-C(=O)-、-NR11-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR12-又は-NR13-C(=O)-NR14-に置き換わっていても良い。R5a~R14は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、且つ、R5aとR5b、R6aとR6b及びR8aとR8bはそれぞれ少なくとも一方が水素原子ではなく、R7とR8a又はR8b、R13とR14は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。R1aとR1bは、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基同士が、-O-で連結されて環構造を形成していてもよい。
R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0013】
【0014】
(式(2)中、R3は、N-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR15aR15b、-O-C(=O)-NR16aR16b、-NR17-C(=O)-NR18aR18b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR19-、-NR20-C(=O)-、-NR21-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-又は-NR23-C(=O)-NR24-に置き換わっていても良い。R15a~R24は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R17とR18a又はR18b、R23とR24は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR25aR25b、-O-C(=O)-NR26aR26b、-NR27-C(=O)-NR28aR28b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R25a~R28bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R27とR28a又はR28bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R4は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0015】
【0016】
(式(2-2)中、R29、R45は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR31aR31b、-O-C(=O)-NR32aR32b、-NR33-C(=O)-NR34aR34b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR35-、-NR36-C(=O)-、-NR37-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR38-又は-NR39-C(=O)-NR40-に置き換わっていても良い。R31a~R40は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R33とR34a又はR34b、R39とR40は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR41aR41b、-O-C(=O)-NR42aR42b、-NR43-C(=O)-NR44aR44b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R41a~R44bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R43とR44a又はR44bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R30は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0017】
本発明の実施形態では、前記式(1)で示される構成単位は、前記式(1)中、R1a及びR1bのうちの一方が水素原子であり、
前記式(2)で示される構成単位は、前記式(2)中、R3が、N-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2-2)で示される構成単位は、前記式(2-2)中、R45が水素原子で、R29がN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるか、R29、R45の少なくとも一方がN-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0018】
本発明の実施形態では、前記式(1)で示される構成単位は、前記式(1)中、R1a及びR1bが、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2)で示される構成単位は、前記式(2)中、R3が、N-H結合を有さないアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、
前記式(2-2)で示される構成単位は、前記式(2-2)中、R29及びR45が、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であってもよい。
【0019】
本発明の実施形態では、前記ブロック重合体が、重合性二重結合を有するモノマーに由来する構成単位を有する第2ブロックを含むことができる。また、前記重合性二重結合を有するモノマーが、ノニオン性水溶性化合物、アニオン性水溶性化合物及びノニオン性非水溶性化合物から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0020】
本発明の実施形態では、更に、塩基性基を有さない酸性顔料誘導体を含んでもよい。
【0021】
本発明の実施形態では、顔料分散体は液晶表示装置のカラムスペーサー用途とすることができる。
【0022】
本発明の第二は、前述の顔料分散体及びエポキシ基を含有する塗膜形成成分を含む着色組成物に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る顔料分散体は、分散安定性が良好で、当該顔料分散体を用いることで、塗膜形成成分にエポキシ基含有樹脂が含まれる場合でも、保存安定性に優れる着色組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<顔料分散体>
本発明に係る顔料分散体は、顔料、分散剤及び溶剤を含む。但し、4級アンモニウム塩を含むものは除かれる。そして、分散剤は、所定の第1ブロックを一方の端部に有するブロック共重合体である。このブロック共重合体(以下、便宜上、「ブロック共重合体A」と称する。)は、直鎖状の構造を有し、且つ、塩基性基を有さない。そして、第1ブロックは、下記式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位から選択される少なくとも1種を有する。
【0025】
【0026】
(式(1)中、R1a、R1bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。R1a、R1bの各炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子は、-C(=O)-NR5aR5b、-O-C(=O)-NR6aR6b、-NR7-C(=O)-NR8aR8b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-は、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR10-C(=O)-、-NR11-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR12-又は-NR13-C(=O)-NR14-に置き換わっていても良い。R5a~R14は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、且つ、R5aとR5b、R6aとR6b及びR8aとR8bはそれぞれ少なくとも一方が水素原子ではなく、R7とR8a又はR8b、R13とR14は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。R1aとR1bは、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基同士が、-O-で連結されて環構造を形成していてもよい。
R2は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0027】
【0028】
(式(2)中、R3は、N-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表す。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR15aR15b、-O-C(=O)-NR16aR16b、-NR17-C(=O)-NR18aR18b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR19-、-NR20-C(=O)-、-NR21-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-又は-NR23-C(=O)-NR24-に置き換わっていても良い。R15a~R24は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R17とR18a又はR18b、R23とR24は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR25aR25b、-O-C(=O)-NR26aR26b、-NR27-C(=O)-NR28aR28b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R25a~R28bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R27とR28a又はR28bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R4は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0029】
【0030】
(式(2-2)中、R29、R45は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基を表し、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。
脂肪族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR31aR31b、-O-C(=O)-NR32aR32b、-NR33-C(=O)-NR34aR34b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていても良く、脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR35-、-NR36-C(=O)-、-NR37-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR38-又は-NR39-C(=O)-NR40-に置き換わっていても良い。R31a~R40は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R33とR34a又はR34b、R39とR40は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。また、脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。
芳香族炭化水素基は、炭化水素基に含まれる炭素原子に直結する水素原子が、-C(=O)-NR41aR41b、-O-C(=O)-NR42aR42b、-NR43-C(=O)-NR44aR44b、環状アミド基、-OH又は-COOHに置き換わっていてもよい。R41a~R44bは互いに独立して水素原子、又は、炭素数1~4の1価の炭化水素基を表し、R43とR44a又はR44bは、炭素数1~4の2価の炭化水素基により窒素原子同士が連結されて環構造を形成していても良い。
R30は水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基を表す。)
【0031】
このような特定の構造を有するブロック重合体Aを分散剤として用いることで、ブロック重合体Aの一方の端部に位置する第1ブロックはアミド基に基づく顔料との親和性を有するとともに、第1ブロックから直線状に伸びる残部は溶剤との親和性、立体反発の効果により顔料を安定して溶剤中に分散させることができ、分散安定性が良好であると考えられる。しかも、ブロック重合体Aにはアミン等の塩基性基が含まれないため、塗膜形成成分として、例えばエポキシ樹脂を用いても、これと反応することがない。これは、アミン等の塩基性基とは異なり、アミド結合の窒素原子は、C=Oの酸素原子の強い電子吸引性による電子不足のためアミド塩基性を示すことができないことから、エポキシ樹脂との反応性が低いが、顔料との親和性は良好であることによると考えらえる。さらに、顔料分散体には4級アンモニウム塩が含まれないため、塗膜を形成した場合の耐溶剤性に優れる。
【0032】
式(1)で示される構成単位には、主鎖となる炭素原子と直結するアミド結合が側鎖に含まれる。そのため、R1a、R1b及びR2にはアミド基は含まれなくてもよいし、含まれていてもよい。R1a、R1bは、溶剤との親和性、顔料との親和性(アミド基周辺の立体障害)の観点から、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。即ち、(i)R1a、R1bは、一方が水素原子であり、もう一方が前記所定の炭化水素基である場合と、(ii)両方が前記所定の炭化水素基である場合がある。(ii)の場合は、(i)の場合に比べて、顔料分散体中に何らかの原因で水分が混入した場合でも、顔料分散体の粘度の上昇を効果的に抑制できる傾向にある。この水分混入に対する粘度抑制効果は、式(2)、式(2-2)で示される構成単位の場合も同様である。また、R2は、モノマーの重合反応性の観点から、水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基である。
【0033】
炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよいし、分岐鎖を有してもよい。また、炭素数が2~12の場合、炭素間結合に二重結合が少なくとも1つ含まれていても良い。これにより、UV硬化性が向上し、レジスト膜の硬度が向上する、また、耐溶剤性が向上する傾向にある。二重結合の数、その部位は特に限定はない。その数については、UV硬化性と分散剤合成の観点からは、1~3が好適な場合がある。その部位については、UV硬化性の観点からは、末端部が好適な場合がある。
【0034】
炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。置換基の有無は、顔料との親和性、溶剤との親和性等を考慮して、決定することができる。このような置換基としては、-C(=O)-NR5aR5b、-O-C(=O)-NR6aR6b、-NR7-C(=O)-NR8aR8b、環状アミド基、-OH又は-COOHが挙げられる。環状アミド基としては、例えば、α-ラクタム基、β-ラクタム基、γ-ラクタム基、δ-ラクタム基、ε-カプロラクタム基が挙げられる。R5a~R8bは互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基が好適である。これにより、分散液の経時における粘度安定性が良化する傾向にある。炭素数1~4の1価の炭化水素基としては特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基、環状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。また、R7と、R8a又はR8bとは、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。即ち、R7と、R8a又はR8bとのそれぞれが結合する窒素原子同士が、炭素数1~4の2価の炭化水素基を介して連結されることで、環構造を形成していても良い。このように環構造を有する場合、アミド基周辺の立体障害が小さくなり、顔料との親和性が向上する傾向にある。この環構造を構成する炭素数1~4の2価の炭化水素基としては、例えば、直鎖状の飽和炭化水素基等が挙げられる。また、直鎖状の飽和炭化水素基の末端同士で連結されているのが好ましい。
【0035】
尚、これらの置換基を有する炭素数2~12の1価の脂肪族炭化水素基のうち、後述する-CH2-が置き換えられた場合のものと重複するものは除かれる。
【0036】
炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2~12の場合、それを構成する-CH2-が、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-NR9-、-NR10-C(=O)-、-NR11-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR12-又は-NR13-C(=O)-NR14-に置き換えられていても良い。-CH2-に替えて、このような結合を有する場合、顔料との親和性が向上する傾向にある。このような置き換えの有無、種類、置き換え数は、溶剤との親和性等を考慮して、決定することができる。R9~R14は互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基が好適である。これにより、分散液の経時における粘度安定性が良化する傾向にある。炭素数1~4の1価の炭化水素基としては特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基、環状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。また、R13とR14は、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。即ち、R13とR14のそれぞれが結合する窒素原子同士が、炭素数1~4の2価の炭化水素基を介して連結されることで、環構造を形成していても良い。このように環構造を有する場合、アミド基周辺の立体障害が小さくなり、顔料との親和性が向上する傾向にある。この炭素数1~4の2価の炭化水素基としては、例えば、直鎖状の飽和炭化水素基等が挙げられる。
【0037】
R1aとR1bは、炭素数1~4の脂肪族炭化水素基同士が、-O-で連結されて環構造を形成していてもよい。このような脂肪族炭化水素基としては、直鎖状の飽和炭化水素基等が挙げられる。また、脂肪族炭化水素基は、その末端で酸素原子を連結基として連結しているのが好ましい。
【0038】
式(1)中、R1a、R1bが炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基の場合の具体例を示すと、下記の通りである。もっとも、これらの具体例に限定されるものではない。
【0039】
置換基のない脂肪族炭化水素:メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基(その異性体を含む)、へキシル基(その異性体を含む)、ヘプチル基(その異性体を含む)、オクチル基(その異性体を含む)、ノニル基(その異性体を含む)、デシル基(その異性体を含む)、ウンデシル基(その異性体を含む)、ドデシル基(その異性体を含む)等、
置換基として-OHを有する脂肪族炭化水素基:-CH2CH2OH、-CH2CH(OH)-CH3、-CH(CH3)-CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH2CH2CH2OH、等、
置換基として-COOHを有する脂肪族炭化水素基:-CH2CH2CH2CH2CH2COOH、-CH2CH(COOH)-CH3等、
置換基として-C(=O)-NR5aR5bを有する脂肪族炭化水素基:-CH2CH2-C(=O)-NH-CH2CH3、-CH2CH2-C(=O)-N(CH2CH3)-CH2CH3等、
置換基として環状アミド基を有する脂肪族炭化水素基:下記式(3)、下式(4)で示される基、下式(4)の窒素原子に結合する水素原子が、炭素数1~7の脂肪族炭化水素又は炭素数6~7の芳香族炭化水素に置換された基等。
【0040】
【0041】
【0042】
脂肪族炭化水素基を構成する-CH2-のうちの少なくとも1つが所定の結合に置き換わったものとしては、以下のとおりである。もっとも、これらの具体例に限定されるものではない。
【0043】
-O-を含む例:-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2CH3、-CH2-O-CH2CH2CH3、-CH2-O-CH2CH2CH2CH3、-CH2-O-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2-O-CH3、-CH2CH2-O-CH2CH3、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH3、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH3、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH3、-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH2-O-CH2CH3等、
-C(=O)-を含む例:-C(CH3)2-CH2-C(=O)-CH3等、
-C(=O)-O-を含む例:-CH2-CH2-C(=O)-O-CH3等、
-O-C(=O)-を含む例:-(CH2)6-O-C(=O)-CH=CH2、-(CH2)9-O-C(=O)-CH=CH2、下記の一群の式(5)で示される基等、
-C(=O)-NR9-を含む例:下記式(6)で示される基、下式(6)の各窒素原子に結合する水素原子が、独立して、式(6)中の総炭素数が12以下になるように脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素に置換された基等、
-NR10-C(=O)-を含む例:-CH2-NH-C(=O)-CH=CH2、-CH2CH2-NH-C(=O)-CH=CH2、下記式(7)で示される基、下式(7)の各窒素原子に結合する水素原子が、炭素数1~7の脂肪族炭化水素又は炭素数6~7の芳香族炭化水素に置換された基等、
-NR11-C(=O)-O-を含む例:下記の一群の式(8)で示される基等、
-O-C(=O)-NR12-を含む例:下記の一群の式(9)で示される基等、
-NR13-C(=O)-NR14-を含む例:下記の一群の式(10)で示される基等。
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
炭素数1~4の脂肪族炭化水素基同士が、-O-で連結されて環構造を形成しているR1aとR1bの例としては、以下のとおりである。もっとも、これらの具体例に限定されるものではない。式(10-2)は、式(1)中の-NR1aR1bにおいて、2つの-CH2-CH2-の一方の末端が酸素原子で連結され、もう一方の末端がそれぞれ窒素原子に結合して環構造を形成した基を示したものである。
【0051】
【0052】
炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基は、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフタレン基、インダン基、インデン基、アズレン基等が挙げられる。また、前記芳香族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。置換基の有無は、顔料との親和性、溶剤との親和性等を考慮して、決定することができる。このような置換基としては、-C(=O)-NR6aR6b、-O-C(=O)-NR6aR6b、-NR7-C(=O)-NR8aR8b、環状アミド基、-OH又は-COOHが挙げられる。環状アミド基としては、例えば、α-ラクタム基、β-ラクタム基、γ-ラクタム基、δ-ラクタム基、ε-カプロラクタム基が挙げられる。R5a~R8bは互いに独立して水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基が好適である。これにより、分散液の経時における粘度安定性が良化する傾向にある。炭素数1~4の1価の炭化水素基としては特に限定はなく、例えば、直鎖状、分岐状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基、環状の飽和/不飽和脂肪族炭化水素基等が挙げられる。また、R7とR8a又はR8bは、それぞれ、炭素数1~4の2価の炭化水素基で連結されて環構造を形成していても良い。即ち、R7とR8a又はR8bのそれぞれが結合する窒素原子同士が、炭素数1~4の2価の炭化水素基を介して連結されることで、環構造を形成していても良い。このように環構造を有する場合、アミド基周辺の立体障害が小さくなり、顔料との親和性が向上するとなる傾向にある。この環状構造を構成する炭素数1~4の2価の炭化水素基としては、例えば、直鎖状の飽和炭化水素基等が挙げられる。
尚、この芳香族炭化水素基の置換基等について、前述の脂肪族炭化水素の置換基等と同じ符号R5a~R8bを用いて説明したが、これらは独立して決定することができる。
【0053】
式(1)中、R1a、R1bが置換基を有する所定の芳香族炭化水素基の場合の具体例を示すと、下記の通りである。
置換基として-OHを有する芳香族炭化水素基:下記式(11)で示される基等、
置換基として-COOHを有する芳香族炭化水素基:下記式(12)で示される基等、
置換基として-C(=O)-NR5aR5bを有する芳香族炭化水素基:下記式(13)で示される基、下式(13)の窒素原子に結合する水素原子が、メチル基に置換された基等、
置換基として-O-C(=O)-NR6aR6bを有する芳香族炭化水素基:下記式(14)で示される基等、
置換基として-NR7-C(=O)-NR8aR8bを有する芳香族炭化水素基:下記式(15)で示される基等、
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
前述のように、R2は、水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基である。これらは、溶剤との親和性、モノマーの重合反応性等を考慮して選択可能である。炭素数1~4の1価の炭化水素基は、直鎖状でもよいし、分岐鎖を有してもよい。このような炭化水素基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
【0060】
式(2)で示される構成単位は、N-H結合を有してもよいアミド基を有する。そのため、R3は、N-H結合を有してもよいアミド基を有するように構成している。そして、溶剤との親和性、顔料との親和性(アミド基周辺の立体障害)の観点から、R3は、さらに、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるのが好適である。つまり、R3としては、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基の場合は、(i)その脂肪族炭化水素基に直結する水素原子がN-H結合を有してもよいアミド基で置換されたもの、(ii)その脂肪族炭化水素基の-CH2-基が、N-H結合を有してもよいアミド基で置き換わったもの、(iii)その脂肪族炭化水素基において、前記(i)の置換と(ii)の置き換えの両方が行われたもの、を例示できる。また、炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基の場合は、その芳香族炭化水素基に直結する水素原子がN-H結合を有してもよいアミド基で置換されたものを例示できる。R4は、R2と同様の観点から、水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基である。
【0061】
R3における炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基及び炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基は、N-H結合を有してもよいアミド基を1つ以上含むように構成する以外は、R1a又はR1bと同様である。式(1)におけるR5a~R8bが、それぞれ式(2)におけるR15a~R18bに対応し、同じく、それぞれ式(2)におけるR25a~R28bに対応する。また、式(1)におけるR9~R14がそれぞれ式(2)におけるR19~R24に対応する。したがって、式(2)におけるR15a~R28bについては、R3がN-H結合を有してもよいアミド基を1つ以上含むように構成されることを前提として、式(1)の対応部分の説明を参照するものとする。
【0062】
また、R4は式(1)におけるR2に対応しており、R4については、式(1)のR2の説明を参照するものとする。
【0063】
式(2-2)で示される構成単位には、主鎖となる炭素原子と直結するアミド結合が側鎖に含まれる。そのため、R29、R30及びR45にはアミド基は含まれなくてもよいし、含まれていてもよい。R29、R45は、溶剤との親和性、顔料との親和性(アミド基周辺の立体障害)の観点から、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であり、且つ、少なくとも一方が水素原子ではない。即ち、(i)R29、R45は、一方が水素原子であり、もう一方が前記所定の炭化水素基である場合と、(ii)両方が前記所定の炭化水素基である場合がある。尚、前述のように、(ii)の場合、顔料分散体への水分混入に対する粘度抑制効果が得られる傾向にある。また、R30は、モノマーの重合反応性の観点から、水素原子又は炭素数1~4の1価の炭化水素基である。
【0064】
R29、R45における炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基及び炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基は、R1a又はR1bと同様である。式(1)におけるR5a~R8bが、それぞれ式(2-2)におけるR31a~R34bに対応し、同じく、それぞれ式(2-2)におけるR41a~R44bに対応する。また、式(1)におけるR9~R14がそれぞれ式(2-2)におけるR35~R40に対応する。したがって、式(2-2)におけるR31a~R44bについては、式(1)の対応部分の説明を参照するものとする。
【0065】
また、R30は式(1)におけるR2に対応しており、R30については、式(1)のR2の説明を参照するものとする。
【0066】
式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位から選択される少なくとも1種を有する第1ブロックは、例えば、各構成単位を形成し得るモノマーを単独重合又は共重合させることで得ることができる。また、第1ブロックにより奏される効果に影響がない範囲で、各構成単位を形成し得るモノマーと共重合可能な他のモノマーと共重合させてもよい。即ち、第1ブロックは、式(1)で表される構成単位の単独重合体、式(2)で表される構成単位の単独重合体、式(2-2)で表される構成単位の単独重合体、式(1)及び(2)、又は、式(1)及び(2-2)、又は、式(2)及び式(2-2)、又は、式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位のランダム又はブロック共重合体並びにこれらの重合体と他のモノマーとの共重合体である場合がある。このうち、第1ブロックとしては、式(1)で表される構成単位の単独重合体、式(2)で表される構成単位の単独重合体、式(1)及び(2)で表される構成単位のランダム又はブロック共重合体が好ましく、式(1)で表される構成単位の単独重合体、式(2)で表される構成単位の単独重合体がより好ましい。
【0067】
式(1)、(2)、(2-2)で表される構成単位から選択される少なくとも1種を有する第1ブロックの実施形態は、大別すると、(A)第1ブロックの側鎖中に、N-H結合を有するアミド基を含有するものと、(B)N-H結合を有さないアミド基を含有するものとがある。顔料分散体を調製する際に使用する溶剤は一般的には有機溶剤であるが、何らかの原因で水分が混入した場合でも、顔料分散体の粘度の上昇が抑制される。また、塗膜形成成分と混合して着色組成物を調製した場合でも、その保存安定性が良好である。
【0068】
N-H結合を有するアミド基を含有する第1ブロックとしては、例えば以下のような構成単位を少なくとも1種を有するもので構成される。これらと重合可能な他の構成単位を第1ブロックの機能に影響がない範囲で含んでもよいが、アミン等の塩基性基を含まないものに限られることは勿論のことである。
(i)式(1)で示される構成単位のうち、式(1)中のR1a及びR1bのうちの一方が水素原子であり、他の一方が、N-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの、
(ii)式(2)で示される構成単位のうち、式(2)中のR3が、N-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの、
(iii)式(2-2)で示される構成単位のうち、式(2-2)中のR45が水素原子で、R29がN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有してもよいアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの、
(iv)式(2-2)で示される構成単位のうち、式(2-2)中のR29、R45の少なくとも一方がN-H結合を有するアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有するアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であもの。
【0069】
N-H結合を有さないアミド基を含有する第1ブロックとしては、例えば以下のような構成単位を少なくとも1種を有するもの構成される。これらと重合可能な他の構成単位を第1ブロックの機能に影響がない範囲で含んでもよいが、アミン等の塩基性基を含まないものに限られることは勿論のことである。
(i)式(1)で示される構成単位のうち、式(1)中のR1a及びR1bが、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの、
(ii)式(2)で示される構成単位のうち、式(2)中のR3が、N-H結合を有さないアミド基を含む炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含む炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの、
(iii)式(2-2)で示される構成単位のうち、式(2-2)中のR29、R45が、N-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数1~12の1価の脂肪族炭化水素基又はN-H結合を有さないアミド基を含んでもよい炭素数6~12の1価の芳香族炭化水素基であるもの。
【0070】
式(1)、(2)及び(2-2)で表される構成単位を形成し得るモノマーとしては、例えば、N-H結合を有してもよいアミド結合を有し塩基性基を有さない重合性二重結合を有するモノマーが挙げられる。このようなモノマーとしては、アクリルアミド系モノマー、メタクリルアミド系モノマー、アミド結合を有するアクリル酸エステル系モノマー、アミド結合を有するメタクリル酸エステル系モノマー、N-ビニルカルボン酸アミド等が挙げられる。尚、以下では、特にことわらない限り、「アクリル」及び/又は「メタクリ」を意味する場合に「(メタ)アクリル」と記載する。
【0071】
(メタ)アクリルアミド系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アルキルアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アルキルアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N-カルボキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-カルボキシアルキル(メタ)アクリルアミド、4-アクリロイルモルホリン等が挙げられる。より具体的な例を挙げると、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチルアクリル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(n-ブチルアクリル)(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(t-ブチル)(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ(2-メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジフェニル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド等である。
【0072】
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーとしては、例えば、2-(メタクリロイルオキシアセトアミドエチレン)-N,N’-エチレン尿素(MEU)、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と2-イソシアナトエチルメタクリレート(MOI)の付加反応物(HEMA-MOI)(後述の式(16)参照。)、N-エチルカルバミン酸メチルアクリレート、等が挙げられる。
【0073】
N-ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、一般式が、CHR30=CH-NR45-CO-R29で示されるものが挙げられる。具体的には、例えば、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-アルキルアセトアミド等が挙げられる。N-ビニル-N-アルキルアセトアミドとしては、例えば、N-ビニル-N-メチルアセトアミド等が挙げられる。
【0074】
式(1)、(2)、(2-2)で表される構成単位を形成し得るモノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、後述する塩基性基を有さないノニオン性非水溶性化合物が挙げられ、その中でも、ビニル系モノマーが好ましく、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。これらの共重合可能な化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0075】
ブロック共重合体Aにおける式(1)及び/又は(2)及び/又は(2-2)で表される構成単位(第1ブロック)の含有量は特に限定されないが、分散安定性の観点から、ブロック共重合体Aの全量に対して、好ましくは10~50重量%、より好ましくは25~40重量%である。また、式(1)、(2)及び式(2-2)で表される構成単位のうち2種以上を含む場合の重量比は特に限定はない。例えば、式(1)及び(2)で示される構成単位の両方を含む場合は、その両者の重量比(式(1)/式(2))は、顔料との親和性に応じて決定することができるが、分散安定性の観点からは、100/0~50/50が好ましい。
【0076】
本発明の実施形態では、分散剤を構成するブロック共重合体Aは、第2ブロックを有してもよい。第2ブロックは、その一方の端部が第1ブロックの一方の端部と結合し、直鎖状の構造を有する。第2ブロックの構成する構成単位としては、溶剤との親和性、分散安定性、立体反発力等を考慮して選択することができる。このような構成単位としては、ノニオン性水溶性化合物由来の構成単位、アニオン性水溶性化合物由来の構成単位及びノニオン性非水溶性化合物由来の単位から選択される少なくとも1種であるのが好ましい。第2ブロックは、構成単位が2種以上含む場合は、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよいが、分散安定性の観点から、ブロック重合体であることが好ましい。
【0077】
ノニオン性水溶性単位は、ノニオン性水溶性化合物に由来する2価の構造単位である。ノニオン性水溶性化合物としては、ノニオン性及び水溶性であり、かつ重合可能な有機化合物であれば特に限定されないが、水酸基を有し、重合可能なノニオン性水溶性有機化合物が好ましい。ノニオン性水溶性有機化合物は重合性基を有していてもよく、重合性基は好ましくは重合性二重結合を有する基、より好ましくはアルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
【0078】
水酸基を有し、重合可能なノニオン性水溶性有機化合物としては、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0079】
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等の、アルキレン鎖の炭素数が2~4であるポリアルキレングリコールが挙げられる。
【0080】
ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキレン鎖の炭素数が2~4であるポリアルキレングリコールとアクリル酸又はメタクリル酸との単官能又は多官能のエステルが挙げられ、より具体的には、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
【0081】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、アルキル部分が炭素数1~4の鎖状アルキルであるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0082】
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0083】
ブロック共重合体Aにおけるノニオン性水溶性単位の含有量は、溶剤との親和性、分散安定性等の観点から、ブロック共重合体Aの全量に対して、好ましくは0~40重量%、より好ましくは0~30重量%である。
【0084】
アニオン性水溶性単位は、アニオン性水溶性化合物に由来する2価の構成単位である。アニオン性水溶性化合物としては、アニオン性及び水溶性であり、かつ重合性基を有する有機化合物であれば特に限定されないが、カルボン酸基、スルホン酸基及びリン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基(以下単に「酸基」と称することがある)、並びに重合性基を1分子内に有するアニオン性水溶性有機酸化合物が好ましい。なお、重合性基は好ましくは重合性二重結合を有する基、より好ましくはアルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
【0085】
酸基及び重合性基を有するアニオン性水溶性有機酸化合物の具体例としては、例えば、カルボン酸化合物、スルホン酸化合物、リン酸化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0086】
カルボン酸化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸、桂皮酸、2-メチルマレイン酸、イタコン酸、2-メチルイタコン酸、ソルビン酸、α,β-メチルグルタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0087】
スルホン酸化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルスルホン酸、(メタ)アリルオキシベンゼンスルホン酸、2-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、2-メタクリロイルオキシエタンスルホン酸、及びこれらの塩等が挙げられる。
【0088】
リン酸化合物としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルリン酸、2-メタクリロイルオキシエチルフェニルリン酸、10-メタクリロイルオキシデカメチレンリン酸、4-ビニルベンジルリン酸、ペンタアクリロイルジペンタエリスリトールリン酸、及びこれらの塩や、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジエチル(ビニルフェニル)ホスフェート、4-ビニルベンゼンホスフィン酸ジエチルエステル、ジフェニル-2-メタクリロイルオキシエチルホスフェート等のリン酸エステル等が挙げられる。
【0089】
なお、リン酸基は重合性基〔=P(O)(OH)〕ともなり得るので、リン酸や、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類も、アニオン性水溶性有機酸化合物として使用できる場合がある。
【0090】
ブロック共重合体Aにおけるアニオン性水溶性単位の含有量は、現像液に対する溶解性、分散安定性等の観点から、ブロック共重合体Aの全量に対して、好ましくは0~30重量%、より好ましくは0~20重量%である。
【0091】
ノニオン性非水溶性単位は、ノニオン性非水溶性化合物に由来する2価の構成単位である。ノニオン性非水溶性単位は、例えば、第2ブロックの親水性の程度を調整するために用いられる。また、ノニオン性非水溶性単位の親水性がより高い場合は、第2ブロックの親水性を高める働きがある。ノニオン性非水溶性化合物としては、ノニオン性及び非水溶性であり、かつ重合性基を有する有機化合物であれば特に限定されないが、鎖状炭化水素基、環状炭化水素基、芳香族炭化水素基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の疎水性基(以下単に「疎水性基」と称することがある)、並びに重合性基を1分子中に有するノニオン性非水溶性有機化合物が好ましい。なお、重合性基は、好ましくは重合性二重結合を有する基、より好ましくはアルケニル基、さらに好ましくはビニル基である。
【0092】
疎水性基及び重合性基を1分子中に有するノニオン性非水溶性有機化合物としては、例えば、鎖状アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、スチレン系化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0093】
鎖状アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の、アルキル部分の炭素数が1~17であるアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0094】
シクロアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等の、シクロアルキル部分の炭素数が3~10であるシクロアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
アリール(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0095】
スチレン化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン、メトキシスチレン、クロロメチルスチレン、クロロスチレン、4-tert-ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルトルエン等の、炭素数1~4の鎖状アルキル基、炭素数1~4の鎖状アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1個を置換基として有するスチレン化合物が挙げられる。
【0096】
ブロック共重合体Aにおけるノニオン性非水溶性単位の含有量は、溶剤との親和性、分散安定性等の観点から、ブロック共重合体Aの全量に対して、好ましくは30~80重量%、より好ましくは50~70重量%である。
【0097】
ブロック共重合体Aは、第1ブロックが10~50重量%で、第2ブロックが50~90重量%で、両者の合計が100重量%であるのが好ましい。第2ブロックは、ノニオン性水溶性化合物に由来する単位(A)、アニオン性水溶性化合物に由来する単位(B)、ノニオン性非水溶性化合物単位(C)の重量比(A/B/C)が、第2ブロック全体に対して、0~70/0~70/30~100であり、A、B、Cの合計が100重量%であるのが好ましい。
【0098】
ブロック共重合体Aは、例えば、リビング(制御)ラジカル重合等の公知の重合方法を利用して合成できる。リビングラジカル重合法には、大別すると、ATRP(原子移動ラジカル重合)法、RAFT(可逆的付加開裂型連鎖移動重合)法、NMP(ニトロキシド媒介ラジカル重合)法、TERP(有機テルル媒介ラジカル重合)法、RTCP(可逆移動触媒重合)法等があり、これらを適宜選択して合成すればよい。
【0099】
ATRP法は、有機ハロゲン化物を重合開始剤とし、周期律表第8族、第9族、第10族及び第11族元素から選ばれる金属と配位子とからなる遷移金属錯体を触媒として重合する方法である。有機ハロゲン化物としては、例えば、2-臭化プロピオン酸エチル、2-臭化プロピオン酸ブチル、2-臭化プロピオノニトリル、2-臭化イソブチロニトリル等の1官能性化合物、2,5-ジブロモアジピン酸ジエチル、2,6-ジブロモピメリン酸ジメチル、2,6-ジブロモピメリン酸ジエチル等の2官能性化合物、トリス(ブロモメチル)ベンゼン等の多官能性化合物等を使用できる。遷移金属錯体としては、1価及び0価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄、2価のニッケル等の錯体を使用できる。例えば、重合開始剤として有機臭化物又は臭化スルホニル化合物を用いる場合、臭化銅、好ましくは臭化第一銅に含まれる銅を中心金属と、ペンタメチルジエチレントリアミン等の配位子とからなる遷移金属錯体を触媒として用いることが好ましい。
【0100】
RAFT重合法は、チオカルボニルチオ化合物を連鎖移動剤として用いる方法である。チオカルボニルチオ化合物としては、ジチオエステル構造又はトリチオカーボネート構造のチオカルボニルチオ基を有する化合物であれば、特に限定なく使用できる。
【0101】
NMP法は、ニトロキサイド化合物又はニトロキサイド化合物由来のアルコキシアミン化合物を重合制御のための調整剤として用いる方法である。ニトロキサイド化合物としては、2,2,6,6-置換-1-ピペリジニルオキシラジカルや2,2,5,5-置換-1-ピロリジニルオキシラジカル等が挙げられ、置換基としては炭素数1~4のアルキル基が挙げられる。ニトロキサイド化合物としては、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキサイド、2,2,6,6-テトラエチル-1-ピペリジニルオキサイド、2,2,6,6-テトラメチル-4-オキソ-1-ピペリジニルオキサイド、2,2,5,5-テトラメチル-1-ピロリジニルオキサイド等が挙げられ、ニトロキサイド化合物由来のアルコキシアミン化合物としては、N-(tert-ブチル)-N-(1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル)-O-(2-カルボキシルプロプ-2-イル)ヒドロキシアミン等が挙げられる。ニトロキサイド化合物はラジカル発生剤と併用される。両者の併用割合は特に限定されないが、ニトロキサイド化合物1モルに対し、ラジカル発生剤0.1~10モルとすればよい。ラジカル発生剤としては、一般的な有機過酸化物やアゾ化合物が使用される。
【0102】
TERP法は、有機テルル化合物の存在下で、テルル原子と炭素との結合の熱解離と、それに続いて退化的連鎖移動と、を経ることにより重合を行なう方法である。有機テルル化合物の具体例としては、(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(1-メチルテラニルエチル)ベンゼン、1-クロロ-4-(1-メチルテラニルエチル)ベンゼン、1-トリフルオロメチル-4-(1-メチルテラニルエチル)ベンゼン、3,5-ビス-トリフルオロメチル-1-(1-メチルテラニルエチル)ベンゼン、1,2,3,4,5-ペンタフルオロ-6-(1-メチルテラニルエチル)ベンゼン、2-メチルテラニルプロピオニトリル、(2-メチルテラニルプロピル)ベンゼン、メチル2-メチルテラニル-2-メチル-プロピオネート、エチル2-メチルテラニル-2-メチル-プロピオネート、2-メチルテラニル-2-メチル-プロピオニトリルが挙げられる。
【0103】
リビングラジカル重合は、例えば、-100~250℃、好ましくは0~200℃、より好ましくは室温~200℃、さらに好ましくは50~150℃の温度下、無溶媒中(塊状重合)又は溶媒中で実施できる。
【0104】
溶媒としては重合反応に不活性な溶剤を特に限定なく使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒等が挙げられる。
【0105】
リビングラジカル重合法により、ブロック共重合体Aを製造するには、各構成単位の基になる原料化合物の所定量を逐次添加する方法、予め合成した一方の重合体ブロックを高分子重合開始剤として他方の重合体ブロックを重合する方法、別々に重合した重合体ブロックを反応により結合する方法等が挙げられる。原料化合物の逐次添加による場合は、先に仕込んだ原料化合物の転化率が80~95%の時点で、次の原料化合物を仕込むことが望ましい。転化率は、例えば、ガスクロマトグラフ法、核磁気共鳴スペクトル法、重量法等により求められる。
【0106】
予め合成した一方の重合体ブロックを高分子開始剤として他方の重合体ブロックを重合する方法としては、例えば、一方の重合体ブロックの重合時の所望の時点で、リビング状態で一旦温度を下げ、重合を止めて、一方の重合体ブロックの原料化合物を減圧留去した後、他方の重合体ブロックの原料化合物を添加する方法が挙げられる。3つ目以降の重合体ブロックを重合させる場合にも、これと同様に操作すればよい。
【0107】
リビングラジカル重合法は、例えば、Macromolecules、1995年、28巻、1721~1723頁; J.Am.Chem.Soc.、1995年、117巻、5614~5615頁;Chem.Rev.、2001年、101巻、3661~3688頁;Macromolecules、2000年、33巻、4403~4410頁;Macromolecules、2006年、39巻、8274~8282頁;Aust.J.Chem.、2005年、58巻、379~410頁;Polymer、2007年、48巻、1~53頁;HANDBOOK OF RADICAL POLYMERIZATION;K.Matyjaszewski and T.P. Davis Ed.,Wiley,2002,661頁;国際公開第2004/014962号公報;特開2009-256457号公報;特開2007-92014号公報;等の先行技術文献に一層詳細に記載されている。
【0108】
ブロック重合体Aの分子量は、分散安定性の観点から、ピークトップ分子量が、好ましくは4000~40000、より好ましくは5000~20000の範囲である。ブロック共重合体Aの分子量は、各構成単位の種類及び含有量、重合反応の停止のタイミング等を適宜選択することにより調整できる。また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は、分散安定性の観点から、1.05~1.7が好ましく、1.05~1.5がより好ましい。
【0109】
ブロック共重合体Aの酸価及びアミン価は、ブロック共重合体Aに含まれる官能基とその含有量により決定される。酸価(固形分換算したときの酸価)は、例えば、DIN EN ISO 2114に準拠する方法により求めることができ、アミン価(固形分換算したときのアミン価)は、例えば、例えば、DIN 16945に準拠する方法により求めることができる。ブロック共重合体Aの酸価は、特に限定はないが、85mgKOH/g以下が好ましく、30mgKOH/g以下がより好ましい。ブロック共重合体Aのアミン価は、1mgKOH/g以下が好ましい。
【0110】
顔料分散体中の分散剤の含有量(固形分又は有効成分)は、分散安定性、OD値や色純度等の光学特性の観点から、顔料100重量部に対して5~60重量部が好ましく、5~50重量部がより好ましい。ただし、分散剤の最適な添加量は、使用する顔料の種類との組み合わせなどにより、適宜、調整するとよい。尚、後述する顔料誘導体を用いる場合は、この顔料の含有量は、顔料誘導体を含めた合計量を意味する。
【0111】
分散剤は、ブロック重合体Aの他、塩基性基を含まないものであれば、溶剤などの添加剤を含んでもよい。
【0112】
顔料は、例えばカラムスペーサー用途として一般に使用される各種の有機顔料、無機顔料を使用することができる。例示すると以下のとおりである。
【0113】
黒色顔料:アニリンブラック、ペリレンブラック、アンスラキノンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、リグニンブラック、ラクタムブラック、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)など。
【0114】
アニリンブラックとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、特許第6018363号公報に記載の顔料、特許第5712633号公報に記載の顔料などが挙げられる。ペリレンブラックとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック31、32、特許第4980727号公報に記載の顔料、BASF社製のLumogen Black FK4280、Lumogen Black FK4281、Paliogen Black S0084、Paliogen Black L0086などが挙げられる。アンスラキノンブラックとしては、例えば、C.I.ピグメントブラック20などが挙げられる。ラクタムブラックとしては、例えば、BASF社製のブラック582、Irgaphor(登録商標) Black S0100CFなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、三菱ケミカル社製のMA7、MA8、MA100、MA600、MCF-88、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#52、#85、#95、#240、#850、#900、#950、#960、#970、#980、#1000、#2300、#2350、#2600、#2650、
キャボット社製のMonarch(登録商標)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330R、REGAL400R、REGAL550R、REGAL660R、
コロンビヤンカーボン社製のRaven(登録商標)11、Raven14、Raven15、Raven16、Raven22、Raven30、Raven35、Raven40、Raven410、Raven420、Raven450、Raven500、Raven780、Raven850、Raven890H、Raven1000、Raven1020、Raven1040、Raven1060U、Raven1080U、Raven1170、Raven1190U、Raven1250、Raven1500、Raven2000、Raven2500U、Raven3500、Raven5000U、Raven5250、Raven5750、Raven7000、
オリオンエンジニアドカーボンズ社製のPrintex(登録商標)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack(登録商標)550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black(登録商標) FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black FW255、Color Black S160、Color Black S170、特開平09-071733号公報に記載の顔料、特開2002-249678号公報に記載の顔料、特開2007-308582号公報に記載の顔料、特開2009-120640号公報に記載の顔料、国際公開第2013/129554号公報に記載の顔料などが挙げられる。
【0115】
赤色有機顔料:C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、21、22、23、31、32、38、41、48、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49、52、52:1、52:2、53:1、54、57:1、58、60:1、63、64:1、68、81:1、83、88、89、95、112、114、119、122、123、129、136、144、146、147、149、150、164、166、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、181、183、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、211、213、214、216、220、221、224、226、237、238、239、242、245、247、248、251、253、254、255、256、257、258、260、262、263、264、266、268、269、270、271、272、279。
【0116】
青色有機顔料:C.I.ピグメントブルー1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、16、17:1、24、24:1、25、26、56、60、61、62、63、75、79、80等。
【0117】
緑色有機顔料:C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、36等。
【0118】
紫色有機顔料:C.I.ピグメントバイオレット1、2、3、3:1、3:3、5:1、13、17、19、23、25、27、29、31、32、36、37、38、42、50等。
【0119】
黄色有機顔料:C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、9、10、12、13、14、15、16、17、24、49、55、60、61、61:1、62、63、65、73、74、75、77、81、83、87、93、94、95、97、98、99、100、101、104、105、106、108、109、110、111、113、114、116、117、120、123、124、126、127、128、129、130、133、138、139、150、151、152、153、154、155、165、167、168、169、170、172、173、174、175、176、179、180、181、182、183、185、191、191-1、193、194、199、205、206、209、209:1、212、213、214、215、219等。
【0120】
橙色有機顔料:C.I.ピグメントオレンジ1、2、3、4、5、13、15、16、17、19、24、31、34、36、38、40、43、46、48、49、51、60、61、62、64、65、66、67、68、69、71、72、73、74、81等。
【0121】
褐色有機顔料:C.I.ピグメントブラウン5、23、25、32、41、42等。
【0122】
顔料は、前述した顔料を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。例えば、カラムスペーサー用途では、黒色有機顔料と、それ以外の有色有機顔料とを組み合わせて使用することができる。
【0123】
本発明の実施形態では、顔料の含有量は、分散安定性、OD値等の光学特性の観点からは、8~25重量%が好ましく、10~20重量%がより好ましい。尚、後述する顔料誘導体を用いる場合は、顔料の含有量は、顔料誘導体を含めた合計量を意味する。
【0124】
顔料の粒径は、用途等に応じて適宜決定することができ、概ね一次粒子の平均粒子径即ち平均一次粒子径が20~200nmであるものを好ましく用いることができる。また、例えば、カラムスペーサーやブラックマトリクスの用途では、塗膜形成時に、より高いOD値を得る観点から、平均一次粒子径は20~80nmであるのがより好ましい。尚、平均一次粒子径は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)による撮像中の複数(例えば50個)の一次粒子の最大幅の算術平均として算出することができる。
【0125】
本発明の実施形態では、顔料の種類によっては、平均粒子径を調整する観点、等から、予めミリング処理を行ってもよい。ミリング処理は有機顔料の種類等に応じて定法に従って行うことができる。このようなミリング処理としては、例えば、ソルベントソルトミリング法等が挙げられる。
【0126】
本発明の実施形態では、前述の分散剤に加えて、顔料を顔料分散体中により安定して分散させるために分散助剤として顔料誘導体を用いてもよい。顔料誘導体を用いた場合、分散剤と親和性のある部分、或いは、例えば極性基を導入した顔料誘導体が各有機顔料の表面に吸着し、これが分散剤の吸着点となり得る。その場合、顔料誘導体を介して顔料表面に分散剤を存在させることができるため、顔料を微細な粒子としてより安定して顔料分散体中に分散させることができる。また、その再凝集をより効果的に防止することもできる。但し、前述のように、顔料や導入した官能基の特性によっては、液晶セルの特性に影響する可能性がある。そのため、顔料誘導体を使用する場合は、この点及び分散性を考慮して種類や使用量を決定するのが望ましい。
【0127】
顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や芳香族基を置換基として導入した化合物である。このうち、分散剤のアミド基との吸着性の観点から、酸性基を導入した化合物が好ましい。但し、塩基性基を含まない必要がある。即ち、塩基性基を有さない酸性顔料誘導体が好ましい。母体骨格となる有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。また、母体骨格としては、一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。
【0128】
顔料誘導体としては、特開平11-49974号公報、特開平11-189732号公報、特開平10-245501号公報、特開2006-265528号公報、特開平8-295810号公報、特開平11-199796号公報、特開2005-234478号公報、特開2003-240938号公報、特開2001-356210号公報、特開2007-186681号公報、特開2003-167112号公報、特開2013-199470号公報等に記載されているものを使用できる。具体的には、例えば、後述の実施例に記載の顔料誘導体I~VIIIが挙げられる。
【0129】
顔料誘導体を用いる場合は、顔料分散体中の顔料誘導体の含有量(固形分)は、分散安定性の観点から、顔料100重量部に対して2~15重量部が好ましく、5~10重量部がより好ましい。ただし、顔料誘導体の最適な添加量は、使用する顔料及び分散剤の種類との組み合わせ、液晶セルの特性への影響などにより、適宜、調整するとよい。尚、「顔料100重量部」には、顔料誘導体を含まない量を意味する。
【0130】
本発明の実施形態では、顔料分散体及び着色組成物における顔料等の分散性をより向上させる観点から、前述の分散剤に加えて、分散助剤として分散樹脂を用いてもよい。このような分散樹脂は、特に、後述する着色組成物において使用する塗膜形成成分が重合性成分、とりわけ、光重合性成分の場合に用いるのが好適である。このような分散樹脂としては、後述するアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。分散樹脂は、着色組成物に用いるアルカリ可溶性樹脂と同種の樹脂種でもよいし、異種の樹脂種であってもよい。分散樹脂の含量は、顔料100重量部に対し、好ましくは10~50重量部である。尚、顔料誘導体を用いる場合は、顔料の含有量は、顔料誘導体を含めた合計量を意味する。
【0131】
溶剤としては、後述する塗膜形成成分の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族系、ケトン系、エステル系、グリコールエーテル系、アルコール系、脂肪族系等の各種の有機溶剤が挙げられる。このうち、塗膜形成性の観点からは、芳香族系、ケトン系、エステル系、グリコールエーテル系から選択される有機溶剤が好ましい。有機溶剤は、1種のみでもよいし、2種以上組み合わせたものでもよい。
【0132】
芳香族系の有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
【0133】
ケトン系の有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン、イソホロン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0134】
エステル系の有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸メチル、酢酸-3-メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート、乳酸ブチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸プロピル、1,3-ブチレングリコールジアセテート等が挙げられる。
【0135】
グリコールエーテル系の有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-t-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等の水溶性のグリコールエーテル類、
エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等の非水溶性のグリコールエーテル類等が挙げられる。
【0136】
アルコール系の有機溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノール等の炭素数1~4のアルキルアルコール類、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、トリメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0137】
脂肪族系の有機溶剤としては、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
【0138】
溶剤の含有量は、後述する着色組成物の調製に用いる場合には、取り扱い性の観点から、顔料等を含む固形分濃度が50~85重量%となるように添加することができる。
【0139】
本発明の顔料分散体の実施形態には、前述した成分以外に他の添加剤を含んでもよい。
【0140】
顔料分散体に水分が混入した場合、水分は、顔料分散体全体に対して2.0重量%以下であるのが望ましい。
【0141】
顔料分散体は、例えば、前述の各成分をビーズミル、サンドミル、ディスパー等の公知の分散機に添加し、分散することで得ることができる。各成分の添加の仕方は特に限定はなく、各成分を同時に混合したものを分散処理してもよい。また、顔料を複数種使用する場合、各顔料及び溶剤と、分散剤及び/又は他の任意成分とを混合したものを分散して顔料毎に顔料分散体を調製し、それら顔料分散体を混合した後、再度分散してもよい。その他の方法でもよい。
【0142】
以上のようにして得られる顔料分散体中に分散されている粒子の平均粒子径(以下では、「分散平均粒子径」と称する場合がある。)は、特に限定はないが、概ね30~300nmであるものを好ましく用いることができる。また、例えば、カラムスペーサーやブラックマトリクスの用途では、塗膜の表面平滑性の観点から、分散平均粒子径は30~150nmであるのがより好ましい。尚、分散平均粒子径は、例えば、粒径測定機により測定することができる。また、粒径測定機としては、大塚電子株式会社製、FPAR-1000等が挙げられる。
【0143】
<着色組成物>
本発明に係る着色組成物は、顔料分散体及びエポキシ基を含有する塗膜形成成分を含む。この顔料分散体の実施形態としては、前述のものを使用する。このような顔料分散体を用いることで、エポキシ基を含有する塗膜形成成分、顔料、分散剤等が、安定して着色組成物中で分散し、かつ、従来の塩基性基を含む従来の分散剤に比べて、塗膜形成成分の物性変化を大幅に抑制することができる。
【0144】
エポキシ基を含有する塗膜形成成分としては、エポキシ基を含有し、圧縮変位などの力学的特性及び耐溶剤性が良好で、液晶セルの特性への影響が抑制され、塗膜の形成が可能な成分であれば、特に限定はない。重合性の成分としては、現像(ネガ現像)により、パターニングを施すことが容易であることから、光重合性成分を含むのが好ましい。したがって、塗膜形成成分としては、例えば、エポキシ基を含有する樹脂と光重合性成分とを含むのが挙げられる。この場合、エポキシ基を含有する樹脂(A)と光重合性成分(B)の比(A/B)は、用途等に応じて適宜決定することができる。
【0145】
エポキシ基を含有する樹脂としては、例えば、末端にエポキシ基を持つエポキシ樹脂が挙げられる。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂は、1種又は2種以上組み合わせたものでもよい。このようなエポキシ樹脂は、分子量が100~10000程度のオリゴマーである。そのため、一般には、用途に応じて各種の硬化剤と組み合わせて硬化させることで、硬化樹脂を得ることができる。
【0146】
エポキシ樹脂の硬化に用いる硬化剤としては、重付加型、触媒型(付加重合型)の何れでもよい。重付加型は、活性水素を有するものであれば、塩基性型、酸性型、中性型の何れでもよい。塩基性型としては、例えば、第1アミン、第2アミン、ポリアミン(ポリアミド)等が挙げられる。第1アミン及び第2アミンとしては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン等が挙げられる。酸性型としては、例えば、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸無水物、フェノール類等が挙げられる。中性型としては、例えば、ポリメルカプタン類等が挙げられる。触媒型としては、アニオン重合型、カチオン重合型等が挙げられる。アニオン重合型としては、例えば、第3アミン、イミダゾール等が挙げられる。カチオン重合型としては、例えば、ルイス酸錯体等が挙げられる。ただし、保存安定性の観点から、加熱硬化型、もしくはUV硬化型のものが好ましい。
【0147】
エポキシ樹脂の硬化樹脂の特性を改質等するため必要に応じて添加剤を添加することもできる。このような改質剤としては、例えば、希釈剤、レベリング剤等が挙げられる。
【0148】
光重合性成分は、少なくとも1種の光重合性化合物を含有する。光重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いることができる。光重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
【0149】
モノマー及びその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物、及び単官能若しくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらの付加重合性化合物の具体例としては、特開2009-179789号公報に記載のものを用いることができる。
【0150】
これらの付加重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、最終的な着色組成物の性能設計にあわせて任意に設定できる。
例えば、次のような観点から選択される。感度の点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上が好ましい。また、硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能数・異なる重合性基(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。
【0151】
また、着色組成物中の他の成分(例えば、エポキシ基含有樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合開始剤、着色剤(顔料)など)との相溶性、分散性に対しても、付加重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させ得ることがある。
【0152】
また、基材等との密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。付加重合性化合物は、着色組成物中の不揮発性成分に対して、好ましくは5~70重量%、より好ましくは10~60重量%含まれる。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。その他、付加重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択できる。
【0153】
光重合性成分は、光重合開始剤を含むことができる。光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ケタール系、ベンゾフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾイル系、キサントン系、活性ハロゲン化合物(トリアジン系、オキサジアゾール系、クマリン系)、アクリジン系、ビイミダゾール系、オキシムエステル系等である。これらの光重合開始剤の具体例としては、例えば、特開2009-179789号公報に記載のものが挙げられる。
【0154】
光重合開始剤の着色組成物中における含有量としては、黒色塗膜形成組成物の全固形分に対して、0.1~10.0質量%が好ましく、より好ましくは0.5~5.0質量%である。光重合開始剤の含有量がこの範囲内であると、重合反応を良好に進行させて強度の良好な膜形成が可能である。
【0155】
本発明に係る着色組成物の実施形態では、光重合性成分を含む場合は、前述の顔料分散体及び光重合性成分以外に、アルカリ可溶性樹脂を含有してもよい。
【0156】
着色組成物においてアルカリ可溶性樹脂を含有すると、例えばフォトリソグラフィ工程によるカラムスペーサーの製造において、パターン形成に着色組成物を適用した際において、パターン形成性をより向上させることができる。
【0157】
このようなアルカリ可溶性樹脂としては、例えば、特開2009-179789号公報に記載のものを用いることができる。簡単に述べると、アルカリ可溶性樹脂は、例えば、線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基(例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基など)を有するものである。このうち、更に好ましくは、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものである。
【0158】
アルカリ可溶性樹脂の好適なものとしては、特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸とを合わせた総称であり、以下も同様に(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
【0159】
(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。ここで、アルキル基及びアリール基の水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
【0160】
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0161】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、CH2=CXY、CH2=C(X)(COOZ)(ここで、Xは水素原子又は炭素数1~5のアルキル基を表し、Yは炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表し、Zは炭素数1~8のアルキル基又は炭素数6~12のアラルキル基を表す。)等を挙げることができる。
【0162】
これら共重合可能な他の単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0163】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、現像性の観点からは、5000~50000が好ましい。
【0164】
アルカリ可溶性樹脂は、種々のものが市販されており、その具体例は以下の通りであるが、これらに限定されるわけではない。
昭和高分子株式会社製:リポキシSPC-2000、
三菱レイヨン株式会社製:ダイヤナ-ルNRシリーズ、
Diamond hamrock Co.Ltd.,製:Photomer6173(COOH含有Polyurethane acrylic oligomer)、
大阪有機化学工業株式会社製:ビスコートR-264、KSレジスト106、SOP-005、
ダイセル化学工業株式会社製:サイクロマーPシリーズ、プラクセルCF200シリーズ、
ダイセルユーシービー株式会社製:Ebecryl 3800、
【0165】
アルカリ可溶性樹脂の着色組成物中における含有量としては、着色組成物の全固形分中で、1~20重量%が好ましく、より好ましくは、2~15重量%であり、特に好ましくは、3~12重量%である。顔料分散体に分散樹脂として含まれる場合は、合計量である。
【0166】
本発明に係る着色組成物の実施形態では、光重合性成分を含む場合は、必要に応じて溶剤を添加してもよい。溶剤を添加することで、好適に調製することができる。
【0167】
このような溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えば、トルエン、キシレン;等が挙げられる。
溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0168】
溶剤の着色組成物中における含有量としては、顔料分散体中の溶媒の種類、含有量を考慮して、着色組成物中の全固形分(不揮発成分)含量が15~50重量%となるように含まれるのが好ましい。
【0169】
塗膜形成成分として重合体を用いる場合も、光重合性成分を用いる場合と同様に、溶剤を添加してもよい。このような溶剤としては、前述の顔料分散体で用いることが可能なもの、光重合性成分とともに用いることが可能なものを用いることができる。
【0170】
この場合も、溶剤の着色組成物中における含有量としては、顔料分散体中の溶媒の種類、含有量を考慮して、着色組成物中の全固形分(不揮発成分)含量が15~50重量%となるように含まれるのが好ましい。
【0171】
本発明に係る着色組成物の実施形態では、必要に応じ、分散助剤、増感剤(増感色素)、連鎖移動剤、フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、充填剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、表面調整剤(レベリング剤)等の各種の添加剤を添加しても良い。顔料分散体に含まれる場合は、添加量を調整すればよい。
【0172】
着色組成物に水分が混入した場合、水分は、着色組成物全体に対して2.0重量%以下であるのが望ましい。
【0173】
着色組成物は、顔料分散体に塗膜形成成分、必要に応じて添加される任意成分を添加し、ディスパー等により撹拌することで得られる。
【0174】
本発明に係る着色組成物は、塗膜形成成分に含まれるエポキシ基との反応が抑制され、保存安定性が塩基性基を有する従来の分散剤を含むものに比べて保存安定性が良好である。また、4級アンモニウム塩を含まないため、耐溶剤性にも優れる塗膜を形成可能である。このような着色組成物は、例えば、液晶表示装置に用いられるフラットパネルのカラムスペーサー用途として特に好適である。このほか、画像表示装置のカラーフィルターのブラックマトリクスとしても好適である。
【実施例】
【0175】
以下の実施例により、本発明をより具体的に説明する。
【0176】
(製造例1)分散剤Iの製造
メチルメタクリレート(MMA)212.3重量部、N-(tert-ブチル)-N-(1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル)-O-(2-カルボキシルプロプ-2-イル)ヒドロキシアミン(アルケマ社製、製品名BlocBuilder MA)15重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)90重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)45重量部を2L容ステンレス鋼製セパラブルフラスコに仕込み、窒素バブリング及び撹拌をしながら、オイルバスにて系を125℃まで昇温し、昇温が終わってから4時間反応させた。
【0177】
次に、ブチルメタクリレート(BMA)206.0重量部、PMA80重量部、PM40重量部をフラスコに投入し、引き続き窒素バブリング及び撹拌をしながら125℃で4時間反応させた。
【0178】
次に、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)211.7重量部、PMA80重量部、PM40重量部をフラスコに投入し、引き続き窒素バブリング及び撹拌をしながら125℃で4時間反応させた。
【0179】
次いで系内温度を210℃まで昇温し、2.0kPaまで系内を減圧し、溶媒を留去してブロック共重合体Iを得た。反応混合物の固形分は40重量%であった。得られたブロック共重合体IをGPC測定したところ、ピークトップ分子量9800、Mw/Mnは1.20であった。酸価は0mgKOH/gであった。
【0180】
このようにして得られたブロック共重合体Iは、MMAに由来する構成単位を有するブロックI-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックI-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックI-2の他方の末端に連結したNIPAMに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bの一方が水素原子で、もう一方が-CH(CH3)2、R2が水素原子である。)を有するブロックI-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体Iは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体Iは塩基性基を有さない。ブロック共重合体Iの各ブロックの重量比(ブロックI-1/ブロックI-2/ブロックI-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体Iを分散剤Iとして用いた。
【0181】
(製造例2)分散剤IIの製造
MMA195.9重量部、N-(tert-ブチル)-N-(1-ジエチルホスホノ-2,2-ジメチルプロピル)-O-(2-カルボキシルプロプ-2-イル)ヒドロキシアミン15重量部、PMA80重量部、PM40重量部を2L容ステンレス鋼製セパラブルフラスコに仕込み、窒素バブリング及び撹拌をしながら、オイルバスにて系を125℃まで昇温し、昇温が終わってから4時間反応させた。
【0182】
次に、BMA190.9重量部、PMA70重量部、PM35重量部をフラスコに投入し、引き続き窒素バブリング及び撹拌をしながら125℃で4時間反応させた。
【0183】
次に、メタクリル酸(MAA)31.5重量部、PMA20重量部、PM10重量部をフラスコに投入し、引き続き窒素バブリング及び撹拌をしながら125℃で4時間反応させた。
【0184】
次に、NIPAM211.7重量部、PMA80重量部、PM40重量部をフラスコに投入し、引き続き窒素バブリング及び撹拌をしながら125℃で4時間反応させた。
【0185】
次いで系内温度を210℃まで昇温し、2.0kPaまで系内を減圧し、溶媒を留去してブロック共重合体IIを得た。反応混合物の固形分は36重量%であった。得られたブロック共重合体IIをGPC測定したところ、ピークトップ分子量10200、Mw/Mnは1.25であった。酸価は8.3mgKOH/gであった。
【0186】
このようにして得られたブロック共重合体IIは、MMAに由来する構成単位を有するブロックII-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックII-2とがそれぞれの一方の末端で連結し、ブロックII-2の他方の末端にMAAに由来する構成単位を有するブロックII-3が一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックII-3の他方の末端に連結したNIPAMに由来する構成単位を有するブロックII-4を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体IIは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体IIは塩基性基を有さない。ブロック共重合体IIの各ブロックの重量比(ブロックII-1/ブロックII-2/ブロックII-3/ブロックII-4)は、31.1/30.3/5.0/33.6である。ブロック共重合体IIを分散剤IIとして用いた。
【0187】
(製造例3)分散剤IIIの製造
NIPAMに替えて、N-イソブトキシメチルアクリルアミド(IBMA)(MCCユニテック社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体IIIを得た。反応混合物の固形分は38重量%であった。得られたブロック共重合体IIIをGPC測定したところ、ピークトップ分子量8200、Mw/Mnは1.18であった。酸価は0mgKOH/gであった。ブロック共重合体IIIは、MMAに由来する構成単位を有するブロックIII-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックIII-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックIII-2の他方の末端に連結したIBMAに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bの一方が水素原子で、もう一方が-CH2-O-CH2-CH(CH3)2、R2が水素原子である。)を有するブロックIII-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体IIIは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体IIIは塩基性基を有さない。ブロック共重合体IIIの各ブロックの重量比(ブロックIII-1/ブロックIII-2/ブロックIII-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体IIIを分散剤IIIとして用いた。
【0188】
(製造例4)分散剤IVの製造
NIPAMに替えて、ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)(KJケミカルズ社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体IVを得た。反応混合物の固形分は40重量%であった。得られたブロック共重合体IVをGPC測定したところ、ピークトップ分子量9500、Mw/Mnは1.25であった。酸価は0mgKOH/gであった。ブロック共重合体IVは、MMAに由来する構成単位を有するブロックIV-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックIV-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックIV-2の他方の末端に連結したHEAAに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bの一方が水素原子で、もう一方が-CH2-CH2OH、R2が水素原子である。)を有するブロックIV-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体IVは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体Iは塩基性基を有さない。ブロック共重合体IVの各ブロックの重量比(ブロックIV-1/ブロックIV-2/ブロックIV-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体IVを分散剤IVとして用いた。
【0197】
分散剤I~IVの構成等を表1に示す。
【0198】
【0199】
(製造例7)顔料誘導体Iの製造
濃硫酸(98%)200重量部中にC.I.ピグメントレッド255 15重量部とパラホルムアルデヒド1.6重量部および4-アミノフタルイミド8.4重量部とを添加し、85℃で5時間反応させた。次に、この溶液を1Lの氷水に添加し、濾過および水洗を行うことにより、4-アミノフタルイミドメチル基1個を導入した(4-アミノフタルイミドメチル)-C.I.ピグメントレッド255 19.5重量部を得た。
【0200】
次に、(4-アミノフタルイミドメチル)-C.I.ピグメントレッド255 10重量部を水100部に分散させ、アミノ基1個と反応する量の塩化シアヌル3.6重量部を加えて30℃で1時間反応させた。次に、3.4重量部のオルタニル酸を加え、80℃で2時間反応させ、残りの1個のClを加水分解して、下記式(17)に示す顔料誘導体I 15.2重量部を得た。顔料誘導体Iの元素分析及び質量分析を行ったところ、n=0.6であった。
【0201】
【0202】
(製造例8)顔料誘導体IIの製造
製造例7と同様の方法を用い、C.I.ピグメントレッド255に代えてPigment Red 177を使用して、4-アミノフタルイミドメチル基1個を導入したPigment Red 177誘導体を調製した。
【0203】
次に、上記の4-アミノフタルイミドメチル基1個を導入したPigment Red 177誘導体10重量部を水100重量部に分散させ、アミノ基1個と反応する量の塩化シアヌル3.0重量部を加えて10℃で1時間反応させた。次に、オルタニル酸2.8重量部を加えて90℃で1時間反応させ、残りの1個のClを加水分解して、下記式(18)で示される顔料誘導体II 14.3重量部を得た。顔料誘導体IIの元素分析及び質量分析を行ったところ、n=1であった。
【0204】
【0205】
(製造例9)顔料誘導体IIIの製造
製造例7と同様の方法を用い、C.I.ピグメントレッド255に代えてジメチルキナクリドンを使用して、4-アミノフタルイミドメチル基1個を導入したジメチルキナクリドン誘導体を調製した。
【0206】
次に、(4-アミノフタルイミドメチル)-ジメチルキナクリドン10重量部を水100重量部に分散させ、アミノ基1個と反応する量の塩化シアヌル3.6重量部を加えて30℃で1時間反応させた。次に、3.4重量部のオルタニル酸を加え、80℃で2時間反応させ、残りの1個のClを加水分解して、下式(19)に示す顔料誘導体III 15.2重量部を得た。顔料誘導体IIIの元素分析及び質量分析を行ったところ、生成した顔料誘導体III中の成分のうち、式(19)におけるn=1の誘導体とn=2の誘導体比率は1:1であった。また、n=3以上の誘導体は殆ど生成していなかった。
【0207】
【0208】
(製造例10)顔料誘導体IVの製造
ジメチルキナクリドンに替えてC.I.ピグメントオレンジ43を用いた以外は、製造例9と同様にして、下記式(20)で示される顔料誘導体IVを得た。
【0209】
【0210】
(製造例11)顔料誘導体Vの製造
C.I.Pigment Yellow 138(BASF社製、Paliotol Gelb K0961HD)20重量部と、98%硫酸、300重量部とを500mlセパラブルフラスコに入れ、120℃で5時間反応させてフタルイミドキノフタロン化合物のスルホン化物を得た。反応混合物を、撹拌しながら水3000部中に注ぎ、フタルイミドキノフタロン化合物のスルホン化物を析出させて、30分攪拌した後、濾過、水洗を3回繰り返した。得られたウェットケーキを1%希硫酸300重量部で洗浄後、濾過し水洗した。熱風乾燥機中で乾燥させ、54重量部の下記式(21)で示される顔料誘導体Vを得た。
得られた顔料誘導体Vを、ヒューレットパッカード社製液体クロマトグラフィ-質量分析機「LC/MS」(Electro Spray Ionization)により、質量分析を行った結果、m/z 733〔M-H〕-を検出した。顔料誘導体Vの元素分析
及び質量分析を行ったところ、p=0.8であった。
【0211】
【0212】
(製造例12)顔料誘導体VIの製造
水100重量部に塩化シアヌル18.4重量部と塩化シアヌルの1個の塩素原子と反応する量のオルタニル酸(2-アミノベンゼンスルホン酸)17.3重量部とを加え、10℃で1時間反応させた。得られた反応物に、この反応物の2個の塩素原子と反応する量の3-アミノ-4-メトキシベンズアミド16.6重量部を加え、85℃で1時間反応させた。得られた反応物を濾取し、得られた残渣を水洗した後、100℃の恒温槽に一晩静置して乾燥させて、下記式(22)で示す顔料誘導体VI 32.5重量部を得た。
AXIMA CFR plus型マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間型質量分析計((株)島津製作所製)にて、α-シアノ-4-ヒドロキシけい皮酸(CHCA)をマトリックスとして、正イオンモードで、顔料誘導体VIの分子イオンピークを測定した。その結果、m/z=582にピークが認められた。
【0213】
【0214】
(製造例13)顔料誘導体VIIの製造
水100重量部に塩化シアヌル18.4重量部と塩化シアヌルの1個の塩素原子と反応する量のオルタニル酸(2-アミノベンゼンスルホン酸)17.3重量部とを加え、10℃で1時間反応させた。得られた反応物に、この反応物の2個の塩素原子と反応する量の5-アミノ-2-ベンズイミダゾリノン29.8重量部を加え、85℃で1時間反応させた。得られた反応物を濾取し、得られた残渣を水洗した後、100℃の恒温槽に一晩静置して乾燥させて、下記式(23)で示される顔料誘導体VII 44.7重量部を得た。製造例12と同様に顔料誘導体VIIの分子イオンピークを測定した。その結果、m/z=546にピークが認められた。
【0215】
【0216】
(製造例14)顔料誘導体VIIIの製造
オイルバス中に500ml4つ口フラスコをセットし、PM200g、テトラクロロ無水フタル酸41.95g(150mmol)、O-ホスホリルエタノールアミン20.70g(150mmol)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]-オクタン33.65g(300mmol)を入れ、冷却管を上部に設置し、マグネティックスターラーで攪拌しながら6時間加熱還流した。室温まで放冷後、内容物をヌッチェにてろ過し、残渣をPMで洗浄した。この残渣を1.5Lメタノール中で30分間再分散させた後、35%塩酸300gを添加して30分間攪拌した。内容物をヌッチェにてろ過し、残渣を少量のメタノールで洗浄した後、乾燥させて、下記式(24)で示される顔料誘導体VIII 42gを得た。
MALDI-TOF-MS質量分析計AXIMA CFR plus(島津製作所製)にて得られた、マトリックスにα-cyano-4-hydroxycinnamic acid(CHCA)および2,5-Dihydroxybenzoic acid(DHBA)を用いたネガティブモードのスペクトルに、目的物(m/z 407)のピークがあることを確認した。
【0217】
【0218】
(実施例1)
100mLの容器に、PMAを34.9重量部、顔料(BASF製、Cromophtal Orange K 2960、C.I.ピグメントオレンジ64)を6.74重量部、誘導体Iを0.75重量部、分散剤Iを4.69重量部(固形分1.9重量部)、直径0.3mmジルコニアビーズを141.3重量部加え、ペイントシェーカーにて50分撹拌した後、PMAを15.3重量部加えて希釈し、ジルコニアビーズを除去して橙色顔料分散体を得た。
【0219】
(実施例3~13、15~19、21、23~27、比較例1~11)
顔料、顔料誘導体、分散剤の種類、添加量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして顔料分散体を得た。
【0220】
【0221】
表2中に示す各顔料、分散剤VII、VIIIはそれぞれ以下のとおりである。
POr64 :BASF製「Cromophtal Orange K 2960」
PV23 :クラリアント製「Hostaperm Violet RL-COF VP2717」
PV29 :DIC製「PERRINDO Violet 29」
PB60 :BASF製「Paliogen Blue L 6480」
PR179 :DIC製「PERRINDO Maroon 179 229-6438」
PBk7 :三菱ケミカル株式会社製「MCF88」
ラクタムブラック :BASF製「Irgaphor Black S0100CF」 PB15:3 :DIC製「Fastogen Blue 5380」
PB15:6 :DIC製「Fastogen Blue EP-207」
分散剤VII :ビックケミー製「DISPERBYK LPN21116」(4級アンモニウム及び3級アミンを有する分散剤、酸価:0mgKOH/g、アミン価:75mgKOH/g)
分散剤VIII :ビックケミー製「DISPERBYK-111」(アミド基を含まない酸価型のリン酸エステル系分散剤、酸価:129mgKOH/g、アミン価:0mgKOH/g)
【0222】
(評価)
<分散安定性>
実施例、比較例の顔料分散体を調製後直ちに、東機産業社製E型粘度計「RE-80L」を用いて、粘度を測定した。また、顔料分散体を25℃で1週間保存した後、同様に粘度を測定した。評価結果を表3に示す。合否の基準は、経時粘度が初期粘度に対し200%以内(2倍以内)を合格とする。
【0223】
<現像性>
各実施例、比較例で得られた顔料分散体に、塗膜形成成分としてエポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、jER(登録商標)827)とアクリル系樹脂(綜研化学株式会社製、フォレット(登録商標) ZAH-310)の混合物(エポキシ樹脂/アクリル樹脂=3/1(重量基準))を、顔料/(樹脂+分散剤)=1/2となるように加え、不揮発分が25重量%となるようにPMAを加え、評価試料を得た。尚、顔料の重量には顔料誘導体が含まれる。
この評価試料を調製した後直ちに、厚さ1mm、100mm角の無アルカリガラス基板上にスピンコーター(ミカサ株式会社製、スピンコーターMS-150A)を用い、500rpmで製膜し、常温で3分乾燥後、ホットプレート上で90℃、2分30秒乾燥し、ガラス基板上に塗膜が形成された塗板を得た。この塗板を、JSR製の現像液「CD-150CR」の100倍希釈液を用いて広角ノズル、液温25℃で現像処理し、現像性(初期現像時間及び現像の様子)を確認した。また、調製した評価試料を25℃で1週間保存した後、上記と同様にして塗板を形成し、現像性(経時現像時間及び現像の様子)を確認した。評価結果を表3に示す。表3中、現像時間変化率は、経時現像時間を初期現像時間で除し百分率で示したものである。
【0224】
また、表3中の「溶解」、「剥離」の基準は下記の通りであり、「溶解」は実用上使用可能、「剥離」は実用上使用不可と判断する。
溶解:現像液シャワー時に塗膜が溶解して流れるのが目視で明らかなもの。
剥離:現像液シャワー時に塗膜が剥離するのが目視で明らかなもの。
【0225】
【0226】
(製造例15)分散剤IXの製造
NIPAMに替えて、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMAA)(KJケミカルズ社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体IXを得た。反応混合物の固形分は40重量%であった。得られたブロック共重合体IXをGPC測定したところ、ピークトップ分子量8800、Mw/Mnは1.19であった。酸価は0mgKOH/gであった。ブロック共重合体IXは、MMAに由来する構成単位を有するブロックIX-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックIX-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックIX-2の他方の末端に連結したDMAAに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bの両方が-CH3、R2が水素原子である。)を有するブロックIX-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体IXは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体IXは塩基性基を有さない。ブロック共重合体IXの各ブロックの重量比(ブロックIX-1/ブロックIX-2/ブロックIX-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体IXを分散剤IXとして用いた。
【0227】
(製造例16)分散剤Xの製造
NIPAMに替えて、4-アクリロイルモルホリン(ACMO)(KJケミカルズ社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体Xを得た。反応混合物の固形分は40重量%であった。得られたブロック共重合体XをGPC測定したところ、ピークトップ分子量8500、Mw/Mnは1.22であった。酸価は0mgKOH/gであった。ブロック共重合体Xは、MMAに由来する構成単位を有するブロックX-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックX-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックX-2の他方の末端に連結したACMOに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bは、-CH2-CH2-同士が、-O-で連結されて環構造を形成しており、R2が水素原子である。)を有するブロックX-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体Xは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体Xは塩基性基を有さない。ブロック共重合体Xの各ブロックの重量比(ブロックX-1/ブロックX-2/ブロックX-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体Xを分散剤Xとして用いた。
【0228】
(製造例17)分散剤XIの製造
NIPAMに替えて、N,N-ジエチルアクリルアミド(DEAA)(KJケミカルズ社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてブロック共重合体XIを得た。反応混合物の固形分は40重量%であった。得られたブロック共重合体XIをGPC測定したところ、ピークトップ分子量9500、Mw/Mnは1.19であった。酸価は0mgKOH/gであった。ブロック共重合体XIは、MMAに由来する構成単位を有するブロックXI-1と、BMAに由来する構成単位を有するブロックXI-2とがそれぞれの一方の末端で連結した直鎖状の第2ブロックを有し、ブロックXI-2の他方の末端に連結したDEAAに由来する構成単位(式(1)におけるR1a、R1bの両方が-CH2CH3、R2が水素原子である。)を有するブロックXI-3を有する第1ブロックを有する。即ち、ブロック共重合体XIは、その一方の端部に第1ブロックを有する直鎖状のブロック重合体である。モノマーの構成上、ブロック重合体Xは塩基性基を有さない。ブロック共重合体XIの各ブロックの重量比(ブロックXI-1/ブロックXI-2/ブロックXI-3)は、33.7/32.7/33.6である。ブロック共重合体XIを分散剤XIとして用いた。
【0229】
【0230】
(実施例28~33)
顔料、顔料誘導体及び分散剤の種類及び添加量を表5に示すようにし、顔料分散体全体中の水分濃度が1.0重量%となるようにした以外は、実施例1と同様にして顔料分散体を得た。表5中に示す顔料は、PB60(EH1900)がBASF製「Paliogen Blue EH1900」であること除き、表2中のものと同じものを意味する。得られた顔料分散体を用い、実施例1と同様にして、分散安定性、現像性を評価した。評価結果を表6に示す。
【0231】
【0232】
【0233】
表3、6に示すように、実施例の顔料分散体及びそれを用いた評価試料では、分散安定性及び現像性が良好であるのに対して、比較例の顔料分散体及びそれを用いた評価試料では、ゲル化するため現像不可であるか、分散安定性は実施例と同程度であるものの、現像性は実施例の顔料分散体を用いた試料より劣ることが分かる。このように、所定の分散剤を用いることで、顔料分散体は分散安定性が良好であり、当該顔料分散体を用いることで、塗膜形成成分として例えばエポキシ基を含有するエポキシ樹脂を用いても、良好な保存安定性が得られることが分かる。また、4級アンモニウム塩を含まないことで、塗膜とした場合の良好な耐溶剤性が期待できる。さらに、表6に示すように、N-H結合を含まないアミド基を含有するブロック共重合体を分散剤として含む場合では、顔料分散体中に水分が含まれる場合でも、良好な保存安定性が得られることが分かる。