(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ステータユニットおよび電動弁
(51)【国際特許分類】
H02K 37/14 20060101AFI20221228BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20221228BHJP
F16K 31/04 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H02K37/14 535B
H02K5/08 A
F16K31/04 Z
(21)【出願番号】P 2019113433
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000133652
【氏名又は名称】株式会社テージーケー
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】志水 亮介
(72)【発明者】
【氏名】三宮 崇
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-184682(JP,A)
【文献】特開2012-005161(JP,A)
【文献】特開平08-065994(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 37/14
H02K 5/08
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド樹脂に被覆されたステータを含むステータユニットであって、
前記ステータは、
ヨークユニットと、
前記ヨークユニットに組み付けられるボビンと、
前記ボビンに巻回されたコイルと、
を有し、
前記ヨークユニットは、
環状の第1のベースと、
前記第1のベースの内周端に立設された複数の第1の極歯と、
前記第1のベースの外周端に立設された複数の第1の壁と、
を有する第1のヨークと、
環状の第2のベースと、
前記第2のベースの内周端に立設された複数の第2の極歯と、
前記第2のベースの外周端に立設された複数の第2の壁と、
を有する第2のヨークと、
を有し、
前記ボビンは、前記第1のヨークと前記第2のヨークとの間に組み付けられ、
前記第1の極歯と前記第2の極歯とが交互に配設されることで前記ヨークユニットの内周面が構成され、
前記第1の壁と前記第2の壁とにより前記ヨークユニットの外周面が構成され、
前記外周面には、前記第1の壁と前記第2の壁とにより隙間が画定され、
前記隙間には、前記モールド樹脂が充填さ
れ、
前記隙間は、前記第1の壁と前記第2の壁との間に周方向に複数設けられ、
前記第1のベースの外周端において少なくともいずれかの隣接する前記第1の壁の間には、径方向外向きの突部が設けられ、
前記第1のベースは、前記突部の位置と前記第2の壁の位置とにおいて、前記第2のヨークに圧入されていることを特徴とするステータユニット。
【請求項2】
前記第1のベースの外周端における前記第1の壁と前記突部との間には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステータユニット。
【請求項3】
前記ボビンは、
前記第1のベースと軸線方向に対向する第1のフランジと、
前記第2のベースと軸線方向に対向する第2のフランジと、
前記第1のフランジと前記第2のフランジとの間に延在し、前記コイルが巻回される芯部と、
を有し、
前記第1のフランジの外周部の半径は、前記第1のベースの中心から前記第1のヨークの前記凹部までの距離より短いことを特徴とする
請求項2に記載のステータユニット。
【請求項4】
前記第1のフランジと前記第2のフランジの少なくとも一方は、周縁部に凹部を有することを特徴とする
請求項3に記載のステータユニット。
【請求項5】
前記第1のヨークと前記第2のヨークとは、共通の構造を有することを特徴とする
請求項1~4のいずれかに記載のステータユニット。
【請求項6】
前記ヨークユニットは、金属材料からなる曲げ加工部品であることを特徴とする
請求項1~5のいずれかに記載のステータユニット。
【請求項7】
弁部を有するボディと、モータユニットとを組み付けて構成される電動弁であって、
前記モータユニットは、モールド樹脂に被覆されたステータを含むステータユニットを有し、
前記ステータは、
ヨークユニットと、
前記ヨークユニットに組み付けられるボビンと、
前記ボビンに巻回されたコイルと、
を有し、
前記ヨークユニットは、
環状の第1のベースと、
前記第1のベースの内周端に立設された複数の第1の極歯と、
前記第1のベースの外周端に立設された複数の第1の壁と、
を有する第1のヨークと、
環状の第2のベースと、
前記第2のベースの内周端に立設された複数の第2の極歯と、
前記第2のベースの外周端に立設された複数の第2の壁と、
を有する第2のヨークと、
を有し、
前記ボビンは、前記第1のヨークと前記第2のヨークとの間に組み付けられ、
前記第1の極歯と前記第2の極歯とが交互に配設されることで前記ヨークユニットの内周面が構成され、
前記第1の壁と前記第2の壁とにより前記ヨークユニットの外周面が構成され、
前記外周面には、前記第1の壁と前記第2の壁とにより隙間が画定され、
前記隙間には、前記モールド樹脂が充填さ
れ、
前記隙間は、前記第1の壁と前記第2の壁との間に周方向に複数設けられ、
前記第1のベースの外周端において少なくともいずれかの隣接する前記第1の壁の間には、径方向外向きの突部が設けられ、
前記第1のベースは、前記突部の位置と前記第2の壁の位置とにおいて、前記第2のヨークに圧入されていることを特徴とする電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に使用されるステータユニットおよび電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用空調装置は、一般に、圧縮機、凝縮器、膨張装置、蒸発器等を冷凍サイクルに配置して構成される。冷凍サイクルには、膨張装置としての膨張弁など、冷媒の流れを制御するために各種制御弁が設けられている。近年の電気自動車等の普及に伴い、駆動部としてモータを備える電動弁が広く採用されつつある。
【0003】
電動弁は、弁部を内蔵するボディと、モータユニットとを組み付けて構成される。モータユニットは、弁体を弁部の開閉方向に駆動するためのロータと、ロータを回転駆動させるステータとにより構成される。ステータは、極歯を有する2つのヨークと、2つのヨークの間に組み付けられるボビンとを含む。ボビンには、コイルが巻回される。このようなステータにおいて、コイルの腐食防止の観点から、コイルの外周面とヨークとにより構成される空間にモールド樹脂を充填させるものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のようにモールド成形を複数回行う場合には、ステータユニットの成形に工数がかかり手間であった。また、ヨークの側面に穴を設ける等してモールド成形を1度で行うことも考えられるが、この場合には、穴から遠い位置においてモールド樹脂が空間に適切に流れ込めず、コイルに対するモールド樹脂の被覆が不十分となる虞があった。このような問題は、冷凍サイクルに限らず種々の用途に用いられる電動弁について同様に生じ得る。
【0006】
本発明の目的の一つは、コイルが樹脂により十分に被覆されたステータユニットを簡素に実現させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様は、モールド樹脂に被覆されたステータを含むステータユニットである。ステータは、ヨークユニットと、ヨークユニットに組み付けられるボビンと、ボビンに巻回されたコイルと、を有する。ヨークユニットは、第1のヨークと、第2のヨークと、を有する。第1のヨークは、環状の第1のベースと、第1のベースの内周端に立設された複数の第1の極歯と、第1のベースの外周端に立設された複数の第1の壁と、を有する。第2のヨークは、環状の第2のベースと、第2のベースの内周端に立設された複数の第2の極歯と、第2のベースの外周端に立設された複数の第2の壁と、を有する。ボビンは、第1のヨークと第2のヨークとの間に組み付けられる。第1の極歯と第2の極歯とが交互に配設されることでヨークユニットの内周面が構成される。第1の壁と第2の壁とによりヨークユニットの外周面が構成される。この外周面には、第1の壁と第2の壁とにより隙間が画定される。隙間には、モールド樹脂が充填されている。
【0008】
この態様によると、ヨークユニットの外周面に複数の隙間が設けられ、その隙間をモールド樹脂が流れる。このため、ボビンとコイルとヨークとに囲まれた空間を、ボビンの全周にわたってモールド樹脂が流れ込みやすくなる。また、ヨークユニットをこの構造とすることで、1度のモールド成形でステータユニットの成形が完了する。したがって、コイルをその全周にわたりモールド樹脂で十分に被覆させたステータユニットを簡素に得ることができる。
【0009】
本発明の別の態様は、電動弁である。電動弁は、弁部を有するボディと、モータユニットとを組み付けて構成される。モータユニットは、モールド樹脂に被覆されたステータを含むステータユニットを有する。ステータは、ヨークユニットと、ヨークユニットに組み付けられるボビンと、ボビンに巻回されたコイルと、を有する。ヨークユニットは、第1のヨークと、第2のヨークと、を有する。第1のヨークは、環状の第1のベースと、第1のベースの内周端に立設された複数の第1の極歯と、第1のベースの外周端に立設された複数の第1の壁と、を有する。第2のヨークは、環状の第2のベースと、第2のベースの内周端に立設された複数の第2の極歯と、第2のベースの外周端に立設された複数の第2の壁と、を有する。ボビンは、第1のヨークと第2のヨークとの間に組み付けられる。第1の極歯と第2の極歯とが交互に配設されることでヨークユニットの内周面が構成される。第1の壁と第2の壁とによりヨークユニットの外周面が構成される。この外周面には、第1の壁と第2の壁とにより隙間が画定される。隙間には、モールド樹脂が充填されている。
【0010】
この態様によると、ヨークユニットの外周面に複数の隙間が設けられ、その隙間をモールド樹脂が流れる。このため、ボビンとコイルとヨークとに囲まれた空間を、ボビンの全周にわたってモールド樹脂が流れ込みやすくなる。また、ヨークユニットをこの構造とすることで、1度のモールド成形でステータユニットの成形が完了する。したがって、コイルをその全周にわたりモールド樹脂で十分に被覆させたステータユニットを備える電動弁を簡素に得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コイルが樹脂により十分に被覆されたステータユニットを簡素に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る電動弁ユニットの外観を表す図である。
【
図6】ステータの構成部品を表す分解斜視図である。
【
図9】金型ハウジング内にステータをセットした状態を表す図である。
【
図12】第2実施形態に係るステータの構造を表す斜視図である。
【
図13】ステータの構成部品を表す分解斜視図である。
【
図16】第3実施形態に係るヨークユニットの構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては便宜上、図示の状態を基準に各構造の位置関係を表現することがある。また、以下の実施形態およびその変形例について、ほぼ同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、実施形態に係る電動弁ユニットUの外観を表す図である。電動弁ユニットUは、電動弁1と配管ボディ200を含む。電動弁1は、図示しない自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用される。この冷凍サイクルには、循環する冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器、凝縮された冷媒を絞り膨張させて霧状に送出する膨張弁、霧状の冷媒を蒸発させてその蒸発潜熱により車室内の空気を冷却する蒸発器等が設けられている。電動弁1は、その冷凍サイクルの膨張弁として機能する。
【0015】
電動弁1は、取付部材220を介して配管ボディ200に着脱可能に組み付けられている。電動弁1は、後述する弁本体にモータユニット4を組みつけて構成される。モータユニット4の側面からは、4つの端子58が延出している。配管ボディ200には、第1通路202および第2通路204が設けられている。第1通路202および第2通路204については後述する。配管ボディ200の側部上方には、ねじ穴206が設けられている。また、モータユニット4の下方には、取付部材220が一体に設けられている。取付部材220の端部には、ねじ挿通孔222が開口している。ねじ穴206の開口端とねじ挿通孔222とを同軸に配設し、雄ねじ部材240を挿通することで、電動弁1と配管ボディ200が組み付けられる。
【0016】
図2は、電動弁ユニットUを表す断面図である。
電動弁1は、弁本体2にモータユニット4に組み付けて構成される。弁本体2は、弁部を収容したボディ5を有する。ボディ5は、「バルブボディ」として機能する。ボディ5は、第1ボディ6と第2ボディ8とを同軸状に組み付けて構成される。
【0017】
第1ボディ6は、外径が下方に向けて段階的に縮径する段付円筒状をなす。第1ボディ6の下部には、円穴状の凹状嵌合部10が設けられている。第2ボディ8は有底円筒状をなし、その上部が凹状嵌合部10に圧入されている。第2ボディ8の底部を軸線方向に貫通するように弁孔12が設けられ、その弁孔12の上端開口部に弁座14が形成されている。第2ボディ8の側部に入口ポート16が設けられ、下部に出口ポート18が設けられている。第1ボディ6および第2ボディ8の内方に弁室20が形成されている。入口ポート16と出口ポート18とは、弁室20を介して連通している。
【0018】
配管ボディ200の側部には、第1導入ポート208、第1導出ポート210、第2導入ポート212および第2導出ポート214が設けられている。第1導入ポート208には凝縮器側から延びる配管が接続され、第1導出ポート210には蒸発器の入口に繋がる配管が接続される。第2導入ポート212には蒸発器の出口に繋がる配管が接続され、第2導出ポート214には圧縮機側へ延びる配管が接続される。第1導入ポート208は入口ポート16と連通し、第1導出ポート210は出口ポート18と連通する。第1導入ポート208と第1導出ポート210は、配管ボディ200内に形成される第1通路202によって連通している。また、配管ボディ200には、第2導入ポート212と第2導出ポート214とをつなぐ第2通路204が形成されている。第1通路202と第2通路204とは、隔壁216により上下に離隔されている。
【0019】
第1ボディ6と配管ボディ200との間、第2ボディ8と配管ボディ200との間にはそれぞれ、環状のシール部材242、244が介装されている。この構成により、第1ボディ6と配管ボディ200との間のクリアランスおよび第2ボディ8と配管ボディ200との間のクリアランスを介した流体の漏れが防止される。
【0020】
図3は、電動弁1を表す断面図である。
第1ボディ6の上部中央には、ガイド部材22が立設されている。ガイド部材22は非磁性金属からなる管材を段付円筒状に切削加工して得られ、その軸線方向中央部の外周面に雄ねじ部24が形成されている。ガイド部材22の下端部は大径となっており、その大径部26が第1ボディ6の上部中央に圧入され、同軸状に固定されている。
【0021】
ボディ5の内方には、モータユニット4のロータ42から延びる作動ロッド28が挿通されている。作動ロッド28は、弁室20を貫通する。作動ロッド28は、非磁性金属からなる棒材を切削加工して得られ、その下部にニードル状の弁体30が一体に設けられている。弁体30が弁室20側から弁座14に着脱することにより、弁部32を開閉する。
ガイド部材22は、その内周面により作動ロッド28を軸線方向に支持する一方、その外周面により、ロータ42の回転軸66を回転摺動可能に支持する。
【0022】
弁室20の内部では、作動ロッド28の下部にEリング34が嵌着されている。Eリング34の上方にはばね受け36が設けられる。ガイド部材22の下方にもばね受け38が設けられ、2つのばね受け36、38の間には弁体30を弁部32の閉弁方向へ付勢するスプリング40が弁体30と同軸状に挿入されている。本実施形態においては、弁体30が作動ロッド28の下部に一体に設けられているから、スプリング40は作動ロッド28をも閉弁方向へ付勢する。
【0023】
次に、モータユニット4の構造を説明する。
モータユニット4は、ロータ42とステータ44とを含むステッピングモータとして構成されている。モータユニット4は、有底円筒状のキャン46を有し、そのキャン46の内方にロータ42、外方にステータ44を配置して構成される。キャン46は、弁体30およびその駆動機構が配置される空間を覆うとともにロータ42を内包し、冷媒の圧力が作用する内方の圧力空間(内部空間)と作用しない外方の非圧力空間(外部空間)とを画定する。
【0024】
ステータ44は、コイル48が巻回されたボビン50を、複数の極歯を有するヨーク52に組み付けて構成される。ステータ44の構造について詳細は後述する。ステータ44は、モータユニット4のケース54と一体に設けられている。すなわち、ケース54は、耐食性を有する樹脂材の射出成形により得られる。ステータ44は、その射出成形(「インサート成形」又は「モールド成形」ともいう。)によるモールド樹脂によって被覆されている。ケース54は、そのモールド樹脂からなる。ケース54には端子カバー部57が設けられており、外部電源からの電力をコイル48へ供給するための端子58を保護する。以下、ステータ44とケース54とのモールド成形品を「ステータユニット56」ともいう。
【0025】
第1ボディ6とケース54との間には、環状のシール部材60が介装されている。この構成により、第1ボディ6とケース54との間のクリアランスを介した外気(水分等)の進入が防止される。
【0026】
ロータ42は、円筒状のロータコア62と、ロータコア62の外周に沿って設けられたマグネット64を備える。ロータコア62は回転軸66に組みつけられている。マグネット64は、周方向に複数極に磁化されている。
【0027】
回転軸66は、金属材料からなる切削加工品である。回転軸66は、その開口端を下にしてガイド部材22に外挿されている。回転軸66の内周面には雌ねじ部68が形成され、ガイド部材22の雄ねじ部24と噛合している。これらのねじ部によるねじ送り機構によって、ロータ42の回転運動が軸線方向への並進運動に変換される。
【0028】
作動ロッド28の上部は縮径され、その縮径部が回転軸66の底部を貫通している。縮径部の先端には、環状のストッパ70が固定されている。一方、縮径部の基端と回転軸66の底部との間には、作動ロッド28を下方(閉弁方向)に付勢するバックスプリング76が介装されている。このような構成により、弁部32の開弁時にはストッパ70が回転軸66の底部に係止される態様で作動ロッド28がロータ42と一体変位する。一方、弁部32の閉弁時には、弁体30が弁座14から受ける反力により、バックスプリング76が押し縮められる。この時のバックスプリング76の弾性反力により弁体30を弁座14に押し付けることができ、弁体30の着座性能(閉弁性能)を高められる。
【0029】
図4は、ステータユニット56を表す断面図である。
図3に関連して説明したとおり、ステータ44は、コイル48、ボビン50およびヨーク52を含む。
図4に示すとおり、ステータユニット56は同軸状に組み付けられる2つのステータ44(上側ステータ44m、下側ステータ44n)を含む。上側ステータ44mと下側ステータ44nは同一の形状を有しており、両者の当接面に対して対称となるように配設されている。モールド樹脂が上側ステータ44m、下側ステータ44nを被覆する態様でケース54が成形されている。上側ステータ44mのコイル48は、電気的に第1相のコイルとして構成されている。一方、下側ステータ44nのコイル48は、電気的に第2相のコイルとして構成されている。いずれか一方のコイルが励磁される一相励磁、双方のコイルが励磁される二相励磁を順次切り替えながら、ステッピングモータの回転制御が行われる。
ボビン50は、嵌合突出部94、肉厚部93、肉薄部95を含む。ボビン50の形状について詳細は後述する。
【0030】
図5は、ステータ44の構造を示す斜視図である。
図6は、ステータ44の構成部品を表す分解斜視図である。
図5に示すように、ステータ44は2つのヨーク(第1ヨーク52a、第2ヨーク52b)を含み、それらの間にボビン50を収容する。本実施形態において、第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとは同一の形状を有する。以下、第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとを特に区別しない場合には「ヨーク52」という。また、ヨーク52の各部を示す際に、第1ヨーク52aの部分を示す場合には識別子a、第2ヨーク52bの部分を示す場合には識別子bをそれぞれ付し、特に区別しない場合には識別子を付さないとする。
【0031】
ボビン50には、コイル48が巻回されており、コイル48の巻線の端部がボビン50の側部から延出する2つの端子58に接続されている。第1ヨーク52aと第2ヨーク52bは、後述する極歯86a、86bを周方向に交互に組み合わせるようにして組み付けられる。両極歯86a、86bの総数は、マグネット64(
図3参照)の磁極数に等しい。ボビン50は、それらの極歯86a、86bを内挿させるように第1ヨーク52aと第2ヨーク52bの間に組みつけられている。
【0032】
図6に示すように、ボビン50は、筒状の芯部82、円環状の上側フランジ78および円環状の下側フランジ80を含む。芯部82には、コイル48が巻回されている。芯部82の上端部には上側フランジ78の内周部が接続され、下端部には下側フランジ80の内周部が接続されている。上側フランジ78は、後述するヨーク52(第1ヨーク52a)のベース84aと対向している。上側フランジ78の上面には、ボビン50と第1ヨーク52aとを組み付けるための突部90が4つ設けられている。下側フランジ80は、第2ヨーク52bのベース84bと軸線方向に対向している。下側フランジ80の下面には、ボビン50と第2ヨーク52bとを組み付けるための突部92が4つ(うち2つは不図示)設けられている。
【0033】
下側フランジ80の外周部には径方向外向きに延出する嵌合突出部94が設けられる。嵌合突出部94は、ボビンの軸線方向に対して厚みの大きい肉厚部93と、厚みの小さい肉薄部95が下側フランジ80の周方向に対して交互に2つずつ設けられている。肉厚部93には、端子58を挿入するための穴部96が2つ設けられている。
【0034】
図7は、ヨーク52の構造を表す図である。(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は平面図、(E)は底面図をそれぞれ示す。
ヨーク52は、金属材料からなるブランク材を曲げ加工して得られる。
図7(A)~(E)に示すとおり、ヨーク52は、略円環状のベース84を有する。ベース84には、ボビン50(
図6参照)とヨーク52とを組み付けるための4つの嵌合孔98が設けられている。ベース84の内周部には周方向に等間隔に配列された複数の極歯86が形成されている。各極歯86は、ヨーク52の内端部を軸線方向に櫛歯状に切り起こすようにして曲げ加工されて立設している。ベース84の外周部のうち一部は径方向と垂直の方向に切りかかれている切欠き部85となっている。ベース84の外周部のうち切欠き部85以外の部分には、周方向に等間隔に配列された複数の壁88が形成されている。壁88は、軸線方向に延出し略矩形状をなしている。壁88は、ヨーク52の外端部を段形状に切り出し、軸線方向に起こすようにして曲げ加工されて立設している。
【0035】
図7(D)、(E)に示すとおり、ベース84の外周部における2つの壁88の間の部分には、径方向外向きに延在する突部100が形成されている。突部100は、ベース84の外周部において周方向に等間隔に複数配列されている。突部100と壁88との間には、ベース84の外周端から径方向内向きの凹部102が形成されている。ベース84の中心から凹部102までの距離は、上側フランジ78と下側フランジ80(
図6参照)の外周部の半径より大きく設定されている。
【0036】
図8は、ステータ44の構造を表す図である。(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図、(D)は背面図をそれぞれ示す。
図6に関連して説明したとおり、ボビン50には突部90、92が設けられている。また、
図7に関連して説明したとおり、ヨーク52には嵌合孔98が設けられている。
図8(A)~(D)に示すとおり、突部90、92が嵌合孔98a、98bに挿入されることで、ボビン50、第1ヨーク52aおよび第2ヨーク52bが組み付けられる。
【0037】
図8(A)~(D)に示すとおり、第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとをボビン50に組み付けると、極歯86a、86bがボビン50の内方に位置する。また、壁88a、88bがボビン50の外方に位置する。極歯86a、86bは周方向に交互に組み合わせるようにして組み付けられる。また、壁88a、88bも、周方向に交互に組み合わせるようにして組み付けられる。壁88aは突部100b(
図6参照)と当接し、壁88bは突部100aと当接する。そして、互いの壁88a、88bの間に隙間S1が設けられる。以下、第1ヨーク52aに第2ヨーク52bを組み付けたものを「ヨークユニット53」という。すなわち、壁88a、88bによってヨークユニット53の外周面が構成されている。また、ボビン50はヨークユニット53の内方に位置する。隙間S1は、ヨークユニット53の外周面において周方向に等間隔に複数設けられる。また、隙間S1は、軸線方向に延在し、凹部102a、102bと連続する。切欠き部85a、85bと壁88a、88bとによってヨークユニット53には開口部104が形成される。開口部104には、嵌合突出部94が挿通される。
【0038】
図4に戻り、上側ステータ44mと下側ステータ44nの組み付けについて説明する。
図4に関連して説明したとおり、ステータ44は、上側ステータ44mと下側ステータ44nとを有する。上側ステータ44mと下側ステータ44nは、両者の嵌合突出部94が嵌合することで同軸状に組み付けられる。すなわち、上側ステータ44mの肉薄部95の下端面が下側ステータ44nの肉厚部93の上端面と当接し、上側ステータ44mの肉厚部93(
図6参照)の下端面と下側ステータ44nの肉薄部95(
図6参照)の上端面とが当接する。このような構造によって、上側ステータ44mと下側ステータ44nの嵌合突出部94同士が嵌合し、上側ステータ44mと下側ステータ44nとが組み付けられる。
【0039】
図4に関連して説明したとおり、ステータ44はモールド樹脂によって被覆される。この被覆は特に、コイル48の腐食を防止することを目的として行われる。そのため、第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとの間において、周方向に満遍なくモールド樹脂がいきわたる必要がある。以下、ステータ44に対するケース54の被覆方法(モールド工程)の詳細について説明する。
【0040】
図9は、ケース54(
図4参照)をモールド工程によって製造するための金型ハウジング300を表す断面図である。
図9は、金型ハウジング300内にステータ44をセットした状態を表す。
図3に関連して説明したとおり、ケース54はステータ44に対してモールド樹脂を射出成形(モールド成形)することによって製造される。製造工程において、モールド成形によるこの工程を「モールド工程」という。モールド成形時には、金型ハウジング300が使用される。金型ハウジング300は、第1金型310、第2金型320、第3金型330から構成される。第1金型310、第2金型320、第3金型330によってモールド成形時のチャンバが形成される。第1金型310を用いてチャンバ内にステータ44を位置決めし、チャンバにモールド樹脂を導入すると、ステータユニット56(
図4参照)が得られる。
【0041】
第1金型310は、ケース54(
図4参照)の下半部の成形に用いられる。第1金型310は、その内方に円柱部312を有する。円柱部312の外周面における下半部には、ステータ44を位置決めするための段部314が設けられている。第2金型320は、端子カバー部57(
図3参照)の内周面の成形に用いられる。第3金型330は、ケース54の上半部の成形に用いられる。第3金型330には、上面とチャンバ側の面とを貫通する孔部332が設けられている。モールド樹脂は、孔部332を通ってチャンバ内に導入される。
【0042】
金型ハウジング300に対するステータ44の組み付け方について説明する。
まず、円柱部312の外周面とステータ44の内周面とを当接させる形で、円柱部312にステータ44を嵌合させる。また、ステータ44を段部314に載置する。第1金型310に第2金型320を載置させた後、第3金型330を第1金型310と第2金型320とを覆うようにして両者に載置させる。
【0043】
金型ハウジング300に対してステータ44が位置決めされた後、孔部332から金型ハウジング300によって構成されたチャンバにモールド樹脂を流し込む。これにより、ステータ44にモールド樹脂が被覆され、ケース54(
図4)が形成される。
モールド樹脂は、孔部332から導入されて、チャンバ内を上から下へ流れていく。そのため、モールド樹脂はステータ44m、44nに対して上面から下面へ流れることとなる。
【0044】
図8に関連して説明したとおり、ステータ44には開口部104だけでなく複数の隙間S1が存在する。モールド成形の際、モールド樹脂は開口部104だけでなくこれら隙間S1をも通って第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとの間に流入する。よって、コイル48の全周にわたってモールド樹脂を被覆することができる。言い換えれば、ヨーク52をこのような構造にすることで、モールド樹脂が壁88aと壁88bとの間の隙間S1に充填される。これにより、モールド樹脂がヨークユニット53の内外に連続する態様で、ステータユニット56(
図4参照)が構成される。
【0045】
また、
図8に関連して説明したとおり、ヨーク52には凹部102が形成されている。ヨークユニット53の外周面においては、隙間S1と凹部102a、102bとが連続している。
図9に関連して説明したとおり、モールド樹脂はステータ44の上部から下部へと導入される。凹部102が設けられることで、モールド樹脂がヨーク52の外方から凹部102を伝ってヨーク52の内方へと流れやすくなる。したがって、モールド成形時においてモールド樹脂がヨークユニット53の内方へ流れ込みやすくなる。
【0046】
図7(D)、(E)に関連して説明したとおり、ベース84の中心から凹部102までの距離は、上側フランジ78と下側フランジ80(
図6参照)の半径より大きく設定されている。この構造とすることで、
図8(A)~(D)に示すとおり、凹部102a、102bおよび隙間S1から導入されたモールド樹脂の流れがボビン50に阻害されずにすむ。これにより、コイル48の全周にわたってモールド樹脂をいきわたらせることができる。
【0047】
図10は、ステータ44を表す断面図である。(A)は、
図8(A)におけるA-A矢視断面図、(B)は
図10(A)におけるB部拡大図である。
図10に示すとおり、壁88bと突部100aとが当接している。突部100aの外接円の径は、壁88bの内径よりも大きい。第1ヨーク52aのベース84aを突部100aと壁88bの位置において第2ヨーク52bへ圧入させることで、突部100aが壁88bを径方向外向きに押す力が働き、両者が固定される。
図9に関連して説明したとおり、モールド成形時には、モールド樹脂はステータ44の上部から下部へと導入される。モールド成形の際、第1ヨーク52aと第2ヨーク52bとが固定されていないと、モールド樹脂の流れによって両ヨーク52がずれてしまう虞がある。
図10(A)~(B)に示すように、突部100と壁88の位置において、一方のヨーク52のベース84を他方のヨーク52へ圧入させて固定することで、モールド成形時においても両ヨーク52がずれずにすむ。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、ヨークユニット53はその外周面に沿って隙間S1を複数有する。モールド成形時においてモールド樹脂は隙間S1からヨークユニット53の内方へと導入される。したがって、コイル48の全周にわたってモールド樹脂を被覆させることができる。
【0049】
図11は、変形例におけるボビン150の平面図である。
図6に関連して説明したとおり、ボビン50は上側フランジ78と下側フランジ80を有する。
図11に示すボビン150においては、上側フランジ152の外周縁に3つの凹部154が設けられている。このような構成とすることで、モールド成形時においてモールド樹脂が凹部154に導入されるため、コイル48の全周にわたって被覆されやすくなる。なお、上側フランジ152の中心から凹部154までの距離よりコイル48の半径の方が大きいとしてもよい。すなわち、ボビン150の平面視において、凹部154からコイル48が覗ける態様としてもよい。このような構成とすることで、コイル48の巻数を確保しつつコイル48の全周にわたってモールド樹脂を被覆させることができる。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態は、ヨークユニット400の形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図12は、ヨークユニット400にボビン50を組み付ける場合のステータ44の構造を表す斜視図である。
図13は、ステータ44の構成部品を表す分解斜視図である。
図12に示すとおり、ボビン50にはヨークユニット400が組み付けられる。ボビン50の外方には、後述する壁404a、404bが周方向に交互に組み合わせるようにして組み付けられる。
図13に示すとおり、第2実施形態においても、ヨークユニット400を構成する第1ヨーク402aと第2ヨーク402bは同一の形状を有する。
【0051】
図14は、ヨーク402の構造を表す図である。(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は背面図、(D)は平面図、(E)は底面図をそれぞれ示す。
ヨーク402は、ベース84の外周部のうち切欠き部85以外の部分において複数の壁404を有する。壁404は、ベース84の外周部において周方向に等間隔に配列されている。壁404の側部には、テーパ部406が設けられている。
【0052】
図15は、ステータ44の構造を表す図である。(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は正面図、(D)は背面図をそれぞれ示す。
図15(A)~(D)に示すとおり、第1ヨーク402aと第2ヨーク402bとをボビン50に組み付けると、壁404a、404bがボビン50の外方に位置する。壁404a、404bは周方向に交互に組み合わせるようにして組み付けられる。壁404aはテーパ部406bに当接する態様で壁404b間に圧入される。この構造により、第1ヨーク402aと第2ヨーク402bとが組み付けられ、ヨークユニット400が形成される。
【0053】
ヨークユニット400の外周面には、壁404a、404b、ベース84に囲まれる隙間S2が複数設けられている。この隙間S2は、ヨークユニット400の外周面において周方向に等間隔に複数設けられる。このような構造により、モールド成形時において、モールド樹脂が隙間S2からヨークユニット400の内方へと導入される。したがって、ヨークユニット400を使用するステータ44においても、コイル48の全周にわたってモールド樹脂を被覆させることができる。
【0054】
[第3実施形態]
第3実施形態は、ヨークユニット500の形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図16(A)は、ヨークユニット500にボビン50を組み付ける場合のステータ44の構造を示す斜視図である。
図16(B)はヨーク502の構造を表す斜視図である。
図16(B)に示すとおり、ヨーク502は、ベース84の外周部のうち切欠き部85以外の部分において複数の壁504を有する。壁504は、極歯86の約半分の高さを有し、ベース84の外周部において周方向に複数立設されている。ベース84には、ボビン50にヨーク502を組み付けるための嵌合孔508が設けられている。
【0055】
図6に関連して説明したとおり、ボビン50には突部90、92が設けられている。本実施形態においては突部90、92を嵌合孔508に圧入させることでヨーク502a、502bをボビン50に固定する。これにより、モールド成形を行っても、ヨーク502a、502bがボビン50からずれずにすむ。
【0056】
図16(A)に示すとおり、本実施形態においては、壁504a、504bがヨークユニット500の軸線方向(壁504a、504bの立設方向)に互いに当接している。この構造により、ヨークユニット500における磁気回路の形成を維持できる。また、複数の壁504a間に形成される隙間と複数の壁504b間に形成される隙間とが、軸線方向に連通し、隙間S3が形成される。この隙間S3は、ヨークユニット500の外周面において周方向に等間隔に複数設けられる。この構造により、モールド成形時においてモールド樹脂がヨークユニット500の外方から隙間S3をとおり内方へと導入される。したがって、ヨークユニット500を使用するステータ44においても、コイル48の全周にわたってモールド樹脂を被覆させることができる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0058】
上記実施形態では、第1のヨークと第2のヨークを同一の形状とした。変形例においては、両ヨークを異なる形状としてもよいし、部分的に共通の構造を有する形状としてもよい。この場合においても、隣接する壁の間または第1の壁と第2の突部との間に隙間を設け、ヨークユニットの外周に複数の隙間を設けるとすればよい。このような構成とすることで、モールド成形時においてモールド樹脂が両ヨーク間に入りこみやすくなる。よって、コイルの全周にわたってモールド樹脂を被覆させることができる。
【0059】
上記実施形態では、ベースの中心から凹部102までの距離を上側フランジと下側フランジの半径より大きく設定した。変形例においては、ベースの中心から凹部102までの距離を上側フランジの径より大きいとしてもよいし、上側フランジと下側フランジの両方と同程度の大きさとしてもよい。また、ベースの径を上側フランジ又は下側フランジの径と同程度の大きさとしてもよい。この場合においても、モールド成形時においてモールド樹脂を隙間S1又は隙間S2からヨークユニット内方へ導入することができる。
【0060】
上記実施形態では、隣接する壁間に設けられる突部がベースの外周部において周方向に等間隔に複数配列されている態様を説明した。この態様における突部の数については説明していないが、全ての壁間に突部を設ける態様だけでなく、隣接する壁間の一部には突部が設けられない態様としてもよい。すなわち、少なくともいずれかの隣接する壁の間に突部が設けられればよい。
【0061】
上記第1実施形態では、第1の壁と第2の壁とを周方向に交互に組み合わせるようにしてボビンに組み付ける態様を説明した。変形例においては、隣接する第1の壁の間に複数の第2の壁を配設する等、第1の壁と第2の壁とを交互に組み合わせない態様としてもよい。
【0062】
上記実施形態においては説明していないが、ボビン150の凹部154の位置は、ボビン150とヨークとを組みつけた際にヨークの凹部102と軸線方向に重なる位置とするのが好ましい。このような構成とすることで、モールド樹脂がヨークとボビン150とにより構成される空間へ流れやすくなる。変形例においては、ボビンの凹部とヨークの凹部を軸線方向に重ならない位置としてもよい。また、ボビンの凹部を上側フランジだけでなく下側フランジに設けてもよい。
【0063】
上記実施形態では、上記電動弁を膨張弁として構成したが、膨張機能を有しない開閉弁として構成してもよい。
【0064】
上記実施形態の電動弁は、冷媒として代替フロン(HFC-134a)など使用する冷凍サイクルに好適に適用されるが、二酸化炭素のように作動圧力が高い冷媒を用いる冷凍サイクルに適用することも可能である。その場合には、冷凍サイクルにコンデンサに代わってガスクーラなどの外部熱交換器が配置される。
【0065】
上記実施形態では、上記電動弁を自動車用空調装置の冷凍サイクルに適用する例を示したが、車両用に限らず電動膨張弁を搭載する空調装置に適用可能である。また、冷媒以外の流体の流れを制御する電動弁として構成することもできる。
【0066】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 電動弁、2 弁本体、4 モータユニット、5 ボディ、6 第1ボディ、8 第2ボディ、10 凹状嵌合部、12 弁孔、14 弁座、16 入口ポート、18 出口ポート、20 弁室、22 ガイド部材、24 雄ねじ部、26 大径部、28 作動ロッド、30 弁体、32 弁部、34 Eリング、36 ばね受け、38 ばね受け、40 スプリング、42 ロータ、44 ステータ、46 キャン、48 コイル、50 ボビン、52 ヨーク、54 ケース、56 ステータユニット、57 端子カバー部、58 端子、60 シール部材、62 ロータコア、64 マグネット、66 回転軸、68 雌ねじ部、70 ストッパ、76 バックスプリング、78 上側フランジ、80 下側フランジ、82 芯部、84 ベース、86 極歯、88 壁、90 突部、92 突部、93 肉厚部、94 嵌合突出部、95 肉薄部、96 穴部、98 嵌合孔、100 突部、102 凹部、104 開口部、150 ボビン、152 上側フランジ、154 凹部、200 配管ボディ、202 第1通路、204 第2通路、206 ねじ穴、208 第1導入ポート、210 第1導出ポート、212 第2導入ポート、214 第2導出ポート、216 隔壁、220 取付部材、222 ねじ挿通孔、240 雄ねじ部材、242 シール部材、300 金型ハウジング、310 第1金型、312 円柱部、314 段部、320 第2金型、330 第3金型、332 孔部、400 ヨークユニット、402 ヨーク、404 壁、406 テーパ部、500 ヨークユニット、502 ヨーク、504 壁、508 嵌合孔、U 電動弁ユニット、S1 隙間、S2 隙間、S3 隙間。