(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】触媒物品および排気ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
B01J 23/652 20060101AFI20221228BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20221228BHJP
B01J 37/04 20060101ALI20221228BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20221228BHJP
B01J 29/76 20060101ALI20221228BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20221228BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20221228BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20221228BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20221228BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20221228BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B01J23/652 A
B01J35/04 301L
B01J37/04 102
B01J37/02 301B
B01J35/04 301J
B01J29/76 A ZAB
B01D53/94 200
B01D53/94 222
B01D53/94 228
F01N3/08 B
F01N3/035 A
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
F01N3/24 C
(21)【出願番号】P 2019568053
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 EP2018065171
(87)【国際公開番号】W WO2018224651
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-07
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】パチェット,ジョセフ エー
(72)【発明者】
【氏名】ベアード,ケフィン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンネケス,エドガー フィクトール
(72)【発明者】
【氏名】ドルナー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ハルストロム,ケヴィン エー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレ,アンスガール
(72)【発明者】
【氏名】ヴォス,ケネス イー
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァイ,マルティン
【審査官】安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0136626(US,A1)
【文献】特開2007-313486(JP,A)
【文献】特開2001-123827(JP,A)
【文献】特開2001-246259(JP,A)
【文献】特表2009-538724(JP,A)
【文献】国際公開第2016/160953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
B01D 53/86-53/90,53/94-53/96
F01N 3/08,3/035,3/10,3/24,3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンを出た排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつ触媒物品である、第1の触媒であって、
その上に配設されている触媒組成物を有する基材であって、触媒組成物が、多孔質支持体に含浸させた白金族金属、および選択的接触還元触媒を含む基材を含
み、
触媒組成物が、白金を実質的に含まず、
窒素酸化物(NO
x)および炭化水素(HC)の低減に有効である、
第1の触媒、
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属を含み、かつ酸化バナジウム、酸化タングステン、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料うちの1種または複数をさらに含む、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
前記排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、ことを特徴とする排気ガス処理システム。
【請求項2】
触媒物品の選択的接触還元触媒が混合金属酸化物成分を含み、混合金属酸化物成分が、FeTiO
3、FeAl
2O
3、MgTiO
3、MgAlO
3、MnO
x/TiO
2、CuTiO
3、CeZrO
2、TiZrO
2、V
2O
5/TiO
2およびそれらの混合物から選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項3】
触媒物品の多孔質支持体に含浸させた白金族金属が、ジルコニアに含浸させたパラジウムであり、
触媒物品の選択的接触還元触媒が、混合金属酸化物ならびにCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライトのうちの1種または複数を含む
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項4】
触媒物品の選択的接触還元触媒が、Cuを含むゼオライ
トを含む
ことを特徴とする、請求項3に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項5】
触媒物品の触媒組成物が、第1の層および第2の層を含み、第1の層が選択的接触還元触媒を含み、第2の層が、多孔質支持体に含浸させた白金族金属を含
むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項6】
触媒物品の基材が、入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、
触媒物品の触媒組成物が、第1の層および第2の層を含み、第1の層が、多孔質支持体に含浸させた白金族金属を含み、第2の層が、選択的接触還元触媒を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項7】
第1の層が、ジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数に含浸させたパラジウムを含む、請求項6に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項8】
触媒物品の選択的接触還元触媒が、Cuを含むゼオライ
トを含む、請求項6または7に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項9】
触媒物品の触媒組成物が
、単層からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の
排気ガス処理システム。
【請求項10】
第1の触媒のコーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸
素からなり、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、請求項1
~9の何れか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項11】
請求項
1~10の何れか1項に記載の排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を製造する方法であって、
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合
物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程
、
(F) (D)で得られたスラリー処理済み基
材を焼成して、触
媒を得る工程
を含む方法。
【請求項12】
NOxの選択的接触還元、炭化水素の酸化、一酸化窒素の酸化およびアンモニアの酸化を同時に行う方法であって、
(1) NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1つまたは複数を含む、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2) 請求項
1から
10のいずれか一項に記載の排気ガスシステムに、(1)で供給される排気ガス流を通過させる工程
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、選択的接触還元触媒および酸化触媒の分野に関する。特に、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための触媒物品、排気ガス処理システム、ならびにNOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化のための触媒に関する。さらに、本発明は、前記物品、触媒およびシステムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素酸化物(NOx)の有害成分は、大気汚染をもたらす。NOxは、内燃エンジン(例えば、自動車およびトラックにおける)由来、燃焼設備(例えば、天然ガス、石油および石炭により発熱される発電所)由来、および硝酸生産プラント由来の排気ガス中に含まれている。排気ガス中のNOxを低下させるために様々な処理方法が使用されており、こうして、大気中の汚染物質を低下させる。処理のタイプの1つは、窒素酸化物の接触還元を含む。2種の方法:(1)一酸化炭素、水素または低級炭化水素が還元剤として使用される非選択的還元方法;および(2)アンモニアまたはアンモニア前駆体が還元剤として使用される選択的還元方法がある。選択的還元方法では、少量の還元剤を用い、窒素酸化物の除去を高度に実現することができる。
【0003】
選択的還元方法は、SCR(選択的接触還元)方法と呼ばれる。SCR方法は、大気中の酸素の存在下での、還元剤(例えば、アンモニアまたはアンモニア前駆体)による窒素酸化物の接触還元を使用するものであり、主に、窒素および蒸気が形成する。
【0004】
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O(標準SCR反応)
2NO2+4NH3→3N2+6H2O(遅いSCR反応)
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O(速いSCR反応)
【0005】
この方法は、エンジンの排気ガスに由来する窒素酸化物を除去するための最も実現可能性の高い技法の1つと考えられる。典型的な排気ガスでは、窒素酸化物は、主に、NO(>90%)からなり、これは、アンモニアの存在下で、SCR触媒によって窒素および水に変換される(標準SCR反応)。ウレアもまた、アンモニア前駆体として使用することができるが、NH3が、最も有効な還元剤の1つである。一般に、SCR方法で使用される触媒は、一般に、例えば、200℃未満から600℃以上までの幅広い範囲の温度にわたり、良好な触媒活性を有するべきである。煤フィルターの再生中およびSCR触媒の再生成中に、より高い温度に遭遇するのが一般である。煤フィルターに関すると、再生成とは、フィルター内に蓄積した煤を除去するために定期的に必要であることを指す。煤を効果的に燃焼するため、通常、20分間以上、500℃を超える温度が必要である。正常なエンジン操作中にはこのような温度は遭遇しない。
【0006】
通常、燃料として、または一部は燃焼した燃料としての炭化水素は、通常、排気物中に存在して、専用酸化触媒を通過して酸化されて、フィルター中で収集される煤を酸化するために必要な熱を発生する。フィルターに対するSCR触媒の位置に応じて、例えば、SCR触媒がエンジンなどの炭化水素源と熱発生のためのこれらの炭化水素を酸化させるために装備されたDOCとの間に位置する場合、SCR触媒は、高い炭化水素濃度に曝露され得る。SCRをエンジンに非常に近くに配置することには、冷時開始の間に加熱が一層迅速となるという利点を利用することが企図されている。用語「近接連結された」が使用されることが多く、以下に定義されている。SCR触媒の場合、再生成は、フィルターと同じ意味合いはない。この場合、排気ガスの微量成分が集まるか、またはSCR触媒と相互作用し、経時的に触媒の有効性が低下する。高い効率を維持するため、これらの汚染物質を定期的に除去することが必要である。例えば、硫黄酸化物がアンモニアと反応して、硫酸アンモニウムを形成し、これは、触媒表面の活性部位を閉塞して、活性喪失をもたらす恐れがある。同様に、約300℃未満の温度でSCR触媒を長期間操作すると、触媒表面にHCが蓄積する恐れがある。最終的に、これらの炭化水素はまた、活性部位を閉塞し、触媒活性の喪失をもたらす。
【0007】
フィルターの場合のように、上記の汚染物質および他の汚染物質を除去して、高い触媒効率を維持するために、定期的に一層高い温度が必要である。SCR触媒を再生成するための温度を達成するには、排気温度を高めるために、酸化触媒と組み合わせた炭化水素添加を必要とする。SCRに対する酸化機能の追加により、アンモニア(これは、SCR反応の一部として添加される)もまた、酸化され得る。その結果、SCR触媒活性が低下し、一部の場合、NOx排出を低下させるよりもNOx排出が潜在的に増加し得る。したがって、特にアンモニアを酸化する触媒が開発されてきた。
【0008】
DE102015015260(A1)は、酸化バナジウムを含む第1のSCR触媒、第1のSCR触媒の下流に位置する微粒子フィルター、微粒子フィルターの下流に位置する第2のSCR触媒すなわちCu-SCR、および第2の触媒の下流に位置するアンモニアスリップ触媒を備える内燃エンジン用の排気ガス処理システムを開示している。第1のSCR触媒は、下流の微粒子フィルターの受動的な再生成を確実にするためのDOCに匹敵する効果を有する。
【0009】
DE102015016986(A1)は、内燃エンジンに由来する排気ガスが流れることができる少なくとも1個の第1の触媒コンバータ、および該触媒コンバータのすぐ下流にある少なくとも1個の粒子フィルターを備える内燃エンジン用の排気ガス処理システムであって、第1の触媒コンバータが、選択的接触還元(SCR)触媒(V-SCR)である第1の部分、およびアンモニアスリップ触媒となる第1の部分の下流の第2の部分、および酸化触媒である第2の部分の下流にある第3の部分、ならびに第2および第3の部分に配設されているSCR触媒層を備える、排気ガス処理システムを開示している。
【0010】
WO2015/130216(A1)は、酸化触媒、酸化の下流に配置されている第1の投与デバイス、該投与デバイスの下流に配置されている第1の還元触媒デバイス、該第1の還元触媒の下流に配置されている微粒子フィルターを備える排気物処理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】DE102015015260(A1)
【文献】DE102015016986(A1)
【文献】WO2015/130216(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
CHAタイプのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料をベースとする近接連結した選択的接触還元(SCR)触媒は、エンジンから出る、およびSCR触媒により内部で発生する三酸化硫黄のために、上流に酸化触媒が存在しない場合でさえも、時間と共に硫酸化されることがあることが公知の問題である。ここで、用語「近接連結された」触媒は、本明細書では、エンジンから出る排気ガス流を受ける第1の触媒である触媒を規定するために使用される(この触媒は、間に他の触媒成分を何ら有さないエンジンに近接して(真隣に)設置されている)。したがって、近接連結されたSCR触媒は、硫酸化後のCARBなどの、超微量窒素酸化物(NOx)および一酸化二窒素(N2O)排出を満たすほど十分な脱NOxを実現することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明の目的は、費用効果が高く、かつ排気ガス温度の上昇などのエンジン測定を回避すると同時に、環境要件を満たすほど十分な脱NOxを維持するための、HC毒に対して耐性となり、かつ硫酸化を防止する、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムおよび触媒物品を提供することであった。
【発明を実施するための形態】
【0014】
I.触媒物品
驚くべきことに、本発明による触媒物品は、費用効果が高く、かつ排気ガス温度の上昇などのエンジン測定を回避すると同時に、環境要件を満たすほど十分な脱NOxを維持するための、HC毒に対して耐性となり、硫酸化を防止することが見いだされた。
【0015】
したがって、本発明は、アンモニアを酸化することなく、炭化水素(HC)を酸化させるよう、および同様にNH3-SCR反応に対する活性を実現するよう設計されている触媒組成物を含む触媒物品を対象としている。本触媒組成物は、少なくとも2種の異なる成分:SCR触媒などのNOx還元成分、および多孔質支持材料に含浸させた白金族金属などの酸化触媒成分を含む。この二重機能性触媒組成物は、選択的接触還元(SCR)触媒および煤フィルターの再生成過程の間に、炭化水素を使用するエンジン排気ガス処理システムにおいて最も有用である。燃料などの炭化水素は、SCR触媒表面の汚染物質を除去するようSCR触媒の温度を高めるため、エンジン管理プロトコルにより排出物中に供給されるか、または触媒物品に入る排気ガス流に注入されるかのどちらかとすることができる。この二重機能触媒によりSCR触媒に発生する熱はまた、蓄積した煤を下流フィルターから除去するのに有用となり得る。炭化水素の酸化機能はアンモニア酸化を伴わず、したがって、SCR触媒は、NOx還元を継続して実現することができると同時に、再生成のための熱を発生することができる。ある種の実施形態では、SCR触媒または煤フィルターを清浄するための熱を発生するために、通常、必要とされる上流の酸化触媒を除くという柔軟性により、エンジンとSCR触媒との間の熱質量が低下する。熱質量の低下は、SCR触媒を操作温度にまで加熱するために必要な時間を短縮する。加熱時間がより短いと、冷時運転サイクルの間に、一層迅速に、より少ない排出物量に到達する。
【0016】
SCR触媒がフィルターから下流に位置する用途では、SCR触媒に組み入れられた酸化活性は、SCR触媒の性能に影響を及ぼすことなく、再生成中にフィルターに由来するいかなる未反応炭化水素の還元も促進する。したがって、開示されている触媒組成物の二重活性は、HCの酸化を実現するだけではなく、例えば、適切な温度枠内で、NOx変換に必要なアンモニアおよび/またはアンモニア前駆体の酸化を引き起こすことによって、SCR触媒活性を妨害することもない。その結果、本発明の触媒物品を備えるエンジン排気ガス処理システムにおいて、炭化水素を使用する効率的な再生成サイクルが実現し、SCR触媒活性が回復する。
【0017】
本発明は、その上に配設された触媒組成物を有する基材を備える触媒物品であって、触媒組成物は、多孔質支持体表面に含浸させた白金族金属(PGM)、および選択的接触還元(SCR)触媒を含み、触媒組成物が、白金(Pt)を実質的に含まず、触媒物品が、窒素酸化物(NOx)および炭化水素(HC)の低減に有効な、触媒物品を提供する。
【0018】
好ましくは、PGMは、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)またはそれらの組合せである。より好ましくは、PGMは、パラジウムまたはロジウムである。例示的なPGM担持量は、PGM元素として算出すると、約5g/ft3~約25g/ft3である。PGMは、多孔質支持体に、好ましくは耐熱性金属酸化物材料に含浸されている。例えば、金属酸化物は、セリア、ジルコニア、イットリア、ランタナ、ネオジミア、プラセオジミアまたはそれらの組合せである。
【0019】
好ましくは、金属酸化物は、セリア-ジルコニア複合体である。より好ましくは、セリア-ジルコニア複合体のセリアおよびジルコニアは、セリア-酸化ジルコニア複合体の総質量に対して、約5~約75質量%(例えば、約25~約60質量%)の範囲の量で、それぞれ存在する。セリアは、通常、セリア-ジルコニア複合体中に、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して、約30~約45質量%の範囲の量で存在する。ジルコニアは、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して、約35~約55質量%の範囲の量で、通常、存在する。代替的に、耐熱性金属酸化物材料は、好ましくはアルミナである。
【0020】
SCR触媒は、混合金属酸化物成分または金属イオン交換モレキュラーシーブを含むことができる。好ましくは、混合金属酸化物成分は、FeTiO3、FeAl2O3、MgTiO3、MgAlO3、MnOx/TiO2、CuTiO3、CeZrO2、TiZrO2、V2O5/TiO2およびそれらの混合物から選択される。例えば、混合金属酸化物成分は、バナジアが、混合金属酸化物成分中に、混合金属酸化物の総質量に対して、約1%~約10質量%の範囲の量で存在するなどの、チタニアおよびバナジア(および任意にタングステン)とすることができる。SCR触媒が、金属イオン交換モレキュラーシーブである場合、金属は、Cu、Co、Ni、La、Mn、Fe、V、Ag、Ce、Nd、Mo、Hf、Y、Wおよびそれらの組合せから選択することができる。好ましくは、金属は、Cu、Feまたはそれらの組合せである。金属は、金属酸化物として算出すると、イオン交換モレキュラーシーブの質量に対して、約0.1%~約10質量%の量で通常、存在する。より好ましくは、金属はCuである。
【0021】
ある種のゼオライトは、モレキュラーシーブとして使用するのに特に有利である。例えば、ゼオライトは、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、DDR、EAB、EEI、ERI、IFY、IRN、KFI、LEV、LTA、LTN、MER、MWF、NPT、PAU、RHO、RTE、RTH、SAS、SAT、SAV、SFW、TSCおよびUFI、ならびにそれらの組合せから選択される構造タイプを有することができる。本発明の文脈では、「ゼオライト」は、以下の段落IIおよびIIIで定義される「ゼオライト材料」とすることができる。本発明の文脈では、用語「構造タイプ」、用語「フレームワーク構造タイプ」および用語「タイプのフレームワーク構造」は、互換的に使用される。
【0022】
本発明の文脈では、より好ましくは構造タイプCHAを有する、触媒組成物に含まれるゼオライトは、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0023】
基材は、通常、金属またはセラミックから作製され得る、ハニカム基材である。例示的なハニカム基材は、フロースルー基材またはウォールフローフィルターのどちらか一方である。
【0024】
本触媒組成物は、第1の層および第2の層などの多層を含むことができ、第1の層はSCR触媒を含み、第2の層は、多孔質支持体に含浸させたPGMを含む。層の順序は、第1の層が基材に直接、配設されており、第2の層が第1の層の上部に配設されていること、および第2の層が基材に直接、配設されており、第1の層が、第2の層の上部に配設されていることを含めて、様々となり得る。
【0025】
代替的に、本触媒組成物は、単層を含むことができる。好ましくは、触媒組成物は、単層からなる。例えば、本発明の触媒物品は、段落IIで定義されている排気ガス処理システムにおける、(i)による第1の触媒であってもよく、または段落IIIで定義されている排気ガス処理システムにおける、(ii)による第2の触媒であってもよい。
【0026】
さらなる代替として、第1の層および第2の層は、ゾーン構成において、基材に直接、配設されてもよい。この点で、触媒物品の基材は、入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有して、基材の内壁により画定される複数の通路を備えることが好ましい。好ましくは、本触媒組成物は、第1の層および第2の層を含み、第1の層は、多孔質支持体表面に含浸させたPGMを含み、第2の層はSCR触媒を含む。
【0027】
より好ましくは、第1の層は、基材の入口端部から出口端部まで、基材長さの5~95%にわたり延在しており、第2の層は、出口端部から入口端部まで、基材長さの5~95%にわたり延在している。より好ましくは、第1の層は、基材の入口端部から出口端部まで、基材長さの20~80%、より好ましくは30~70%、より好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたり延在しており、第2の層は、出口端部から入口端部まで、基材長さの20~80%、より好ましくは30~70%、より好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたり延在している。
【0028】
前記の代替によれば、第1の層は、ジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数に含浸させたパラジウムを好ましくは含む。
【0029】
好ましくは、第1の層は、パラジウム元素として算出すると、5~100g/f3の範囲、好ましくは0.71~2.82g/l(20~80g/ft3)の範囲、より好ましくは1.06~2.47g/l(30~70g/ft3)の範囲、より好ましくは1.24~1.94g/l(35~55g/ft3)の範囲、より好ましくは1.41~1.77g/l(40~50g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。
【0030】
第1の層の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数に含浸させたパラジウムからなることが好ましい。
【0031】
好ましくは、第2の層のSCR触媒は、Cuを含むゼオライト、より好ましくは構造タイプCHAを有するゼオライトを含む。
【0032】
好ましくは、第2の層は、金属酸化物結合材、好ましくは、以下の段落IIおよびIIIで定義されている金属酸化物結合材をさらに含む。
【0033】
第2の層の好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、Cuを含むゼオライト、好ましくは構造タイプCHAを有するゼオライト、ならびに以下の段落IIおよびIIIで定義されている金属酸化物結合材からなる。
【0034】
さらに、本発明は、ガスに本発明による触媒物品を接触させて、こうして、排気ガス流中の窒素酸化物(NOx)および炭化水素(HC)が低減される工程を含む、排気ガス流を処理する方法に関する。
【0035】
本発明は、排気ガス流を処理するための排出物処理システムであって、排気ガス流を生成するエンジン(例えば、ディーゼルエンジンまたは他のリーンバーンエンジン);排気ガス流と流体連通しており、かつ排気流中のNOxの還元およびHCの酸化を行い、処理済み排気ガス流を形成するようになされている、エンジンから下流に位置する、本発明による触媒物品であって、触媒物品を介在しないでエンジンから生成したエンジンの排気ガス流を好ましくは直接、受け取るように位置付けられている触媒物品;および該触媒物品の上流の排気ガス流に還元剤(例えば、アンモニアまたはアンモニア前駆体)を添加するようになされているインジェクタを備える、排出物処理システムにさらに関する。本システムは、排気ガス流に炭化水素を添加するようになされているインジェクタであって、触媒物品の上流に位置するインジェクタをさらに含むことができる。触媒物品の下流に位置するディーゼル酸化触媒、および/またはディーゼル酸化触媒の下流に位置する煤フィルターなどの他の触媒物品が含まれ得る。
【0036】
段落Iの文脈において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈が特に明白に示さない限り、複数の指示物を含む。
【0037】
本明細書で使用する場合、用語「触媒」または「触媒組成物」とは、反応を促進する物質を指す。本明細書で使用する場合、用語「上流」および「下流」とは、エンジンから排気管までのエンジンの排気ガス流の流れに応じた相対的な方向を指し、エンジンは上流の位置にあり、排気管、ならびにフィルターおよび触媒などの任意の汚染物質低減物品は、エンジンよりも下流にある。
【0038】
本明細書で使用する場合、用語「流」とは、固体または液体の粒子状物質を含有してもよい流通ガスの任意の組合せを広く指す。用語「ガス流」または「排気ガス流」は、燃焼エンジンの排気物などの、ガス状構成物の流れを意味し、これは、液状液滴、固体微粒子などの混入した非ガス成分を含有することがある。燃焼エンジンの排気ガス流は、通常、燃焼生成物(CO2およびH2O)、不完全燃焼の生成物(一酸化炭素(CO)および炭化水素(HC))、窒素酸化物(NOx)、燃焼性および/または炭化質粒子状物質(煤)、ならびに未反応酸素および窒素をさらに含むことがある。
【0039】
本明細書で使用する場合、用語「基材」は、モノリシック材料であって、その上に触媒組成物が置かれるモノリシック材料を好ましくは指す。本明細書で使用する場合、用語「支持体」は、任意の高表面積材料、通常、金属酸化物材料であって、その上に貴金属触媒が塗布される上記の材料を好ましくは指す。
【0040】
段落Iの文脈において使用される場合、用語「ウォッシュコート」は、処理されるガス流の通過を可能にするほど十分な多孔質である、ハニカムタイプの担体部材などの基材材料に塗布される触媒材料または他の材料の薄い接着性コーティング剤の分野における、その通常の意味を有する。ウォッシュコートは、液体ビヒクル中にある種の固体含量(例えば、30質量%~90質量%)の粒子を含有するスラリーを製造し、次に、基材上にコーティングして乾燥し、ウォッシュコート層を得ることによって形成される。
【0041】
本明細書で使用する場合、用語「触媒物品」とは、所望の反応を促進するために使用される要素を指す。例えば、触媒物品は、基材に触媒組成物を含有するウォッシュコートを含んでもよい。本明細書で使用する場合、「含浸させた」または「含浸」とは、支持材料の多孔質構造に触媒材料が浸透していることを指す。用語「低減」は、何らかの手段によって引き起こされる、量の低下を意味する。
【0042】
本発明は、その上に配設されている触媒組成物を有する基材を含む、窒素酸化物(NOx)および炭化水素(HC)の低減に有効な触媒物品であって、触媒組成物が、多孔質支持体に含浸させた白金族金属(PGM)および選択的接触還元(SCR)触媒を含み、白金(Pt)を実質的に含まない、触媒物品を対象としている。このような触媒物品は、選択的接触還元(SCR)触媒およびディーゼル微粒子フィルターの再生成方法が、排気温度を高めるために炭化水素を使用する、エンジン排気ガス処理システムに特に有益である。燃料などの炭化水素は、エンジンから排気ガス流に直接送り込まれるか(例えば、エンジン管理システムによって決定される)、または再生成サイクルの間に、触媒物品に入る排気ガス流に注入されて、SCR触媒または下流の煤フィルターから、高温で汚染物質の除去を促進するかのどちらかである。本発明の触媒物品を含むエンジン処理システムでは、多孔質支持体に含浸させたPGM成分は、NOx変換に対するSCR触媒の触媒活性に影響を及ぼすことなく、HCを酸化させることができる。したがって、触媒物品のHC酸化触媒成分は、有意なアンモニアおよび/またはアンモニア前駆体の酸化を引き起こさないであろう。その結果、効率的な再生成サイクルを実現することができ、この場合、炭化水素を使用する触媒からの汚染物質の除去は、SCR性能活性に悪影響を及ぼすことなく行うことができる。
【0043】
触媒組成物
本発明の触媒組成物は、多孔質支持体に含浸させた白金族金属(PGM)成分、および選択的接触還元(SCR)触媒を含む酸化触媒成分を含む。段落Iの文脈に使用される場合、「白金族金属成分」または「PGM成分」は、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)およびそれらの混合物などの、白金族金属またはその酸化物を指す。PGM成分は、白金(Pt)を含まない。好ましくは、白金族金属成分は、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)またはそれらの組合せである。より好ましくは、白金族金属成分は、約1:10~約10:1の質量比などの、パラジウム(Pd)とロジウム(Rh)との組合せを含む。代替的に、より好ましくは、白金族金属は、パラジウムまたはロジウムである。
【0044】
好ましくは、PGM成分は、多孔質支持材料、好ましくは耐熱性金属酸化物材料に含浸させる。PGM成分(例えば、Pd、Rhまたはそれらの組合せ)の濃度は、様々となり得るが、通常、含浸させた支持材料の質量に対して、約0.1質量%~約10質量%となろう。触媒組成物は、白金を実質的に含まない。本明細書で使用する場合、用語「白金を実質的に含まない」は、触媒組成物に意図的に添加された追加的な白金は存在しないこと、および好ましくは、触媒組成物中に存在する質量基準の任意の追加的な白金が0.01質量%未満であることを意味する。好ましくは、「Ptを実質的に含まない」は、「Ptを含まない」ことを含む。
【0045】
段落Iの文脈において使用される場合、「耐熱性金属酸化物材料」とは、ガソリンエンジンおよびディーゼルエンジンの排気物に関連する温度などの高温時に、化学的および物理的安定性を示す、金属含有酸化物材料を指す。例示的な耐熱性金属酸化物材料は、原子をドープした組合せを含めた、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、およびそれらの物理的混合物または化学的組合せを含む。
【0046】
好ましくは、耐熱性金属酸化物材料はアルミナである。
【0047】
好ましくは、「耐熱性金属酸化物材料」は、アルカリ、半金属および/または遷移金属、例えば、La、Mg、Ba、Sr、Zr、Ti、Si、Ce、Mn、Nd、Pr、Sm、Nb、W、Y、Nd、Mo、Feまたはそれらの組合せの金属酸化物により改変されている。
【0048】
好ましくは、「耐熱性金属酸化物材料」を改変するために使用されるアルカリ、半金属および/または遷移金属の酸化物の量は、「耐熱性金属酸化物材料」の量に対して、約0.5%~約50質量%の範囲とすることができる。耐熱性金属酸化物材料の例示的な組合せには、アルミナ-ジルコニア、セリア-ジルコニア、アルミナ-セリア-ジルコニア、ランタナ-アルミナ、ランタナ-ジルコニア、ランタナ-ジルコニア-アルミナ、バリア-アルミナ、バリア ランタナ-アルミナ、バリア ランタナ-ネオジミア アルミナおよびアルミナ-セリアが含まれる。
【0049】
本発明によれば、触媒物品において、多孔質支持体上に含浸させた白金族金属は、ジルコニアに含浸させたパラジウムであり、SCR触媒は、混合金属酸化物、ならびにCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライトのうちの1種または複数を含むことが好ましい。より好ましくは、SCR触媒は、Cuを含むゼオライト、より好ましくは構造タイプCHAを有するゼオライトを含む。
【0050】
触媒組成物が、第1の層および第2の層を有する場合、第1の層のSCR触媒は、混合金属酸化物、ならびにCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライトのうちの1種または複数、より好ましくは混合金属酸化物、より好ましくはV2O5/TiO2を含むことが好ましいことがある。より好ましくは、多孔質支持体に含浸させたPGMは、セリア-ジルコニアに含浸させたパラジウムまたはロジウムである。より好ましくは、第1の層のSCR触媒は、V2O5/TiO2を含む。代替的に、第1の層のSCR触媒は、より好ましくは、CuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライトを含む。
【0051】
好ましくは、「ガンマアルミナ」または「活性化アルミナ」としても知られている、アルミナ支持材料などの高い表面積耐熱性金属酸化物材料が使用され、60m2/gを超える、多くの場合、最大で約200m2/g以上のBET比表面積を通常、示す。好ましくは、BET比表面積は、60m2/gを超えて200m2/gまでの範囲にある。「BET比表面積」は、N2吸着によって表面積を決定するための、Brunauer、Emmett、Teller方法を言う通常の意味を有する。好ましくはBET比表面積は、参照実施例6に記載されている通りに決定した。好ましくは、BET比表面積は、約100~約150m2/g、より好ましくは100~150m2/gの範囲にある。有用な商業用アルミナは、高いバルク密度のガンマ-アルミナなど、および低または中バルク密度の大細孔ガンマ-アルミナなどの、高い表面積のアルミナを含む。
【0052】
好ましくは、多孔質支持体には、セリア、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、イットリア(Y2O3)、ネオジミア(Nd2O3)、ランタナ(La2O3)、プラセオジミア(Pr6O11)またはそれらの混合物が含まれる。金属酸化物の組合せは、多くの場合、混合金属酸化物の複合体と呼ばれる。例えば、「セリア-ジルコニア複合体」は、どちらの成分の量も指定しない、セリアおよびジルコニアを含む複合体を意味する。好適なセリア-ジルコニア複合体には、以下に限定されないが、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して、約5~約75質量%、好ましくは約10~約60質量%、より好ましくは約20~約50質量%、より好ましくは約30~約45質量%(例えば、少なくとも約5質量%、好ましくは少なくとも約10質量%、より好ましくは少なくとも約20質量%、より好ましくは少なくとも約30質量%、より好ましくは少なくとも約40質量%のセリア含量であり、約75質量%が上限である)の範囲のセリア含量を有する複合体が含まれる。
【0053】
好ましくは、好適なセリア-ジルコニア複合体のジルコニア含量は、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して約5~約75質量%、好ましくは約15~約70質量%、より好ましくは約25~約60質量%、より好ましくは約35~約55質量%(例えば、少なくとも約5質量%、好ましくは少なくとも約15質量%、より好ましくは少なくとも約25質量%のセリア、より好ましくは少なくとも約35質量%、より好ましくは少なくとも約45質量%のセリア含量であり、約75質量%が上限である)の範囲となる。
【0054】
好ましくは、SCR触媒は、混合金属酸化物成分または金属促進モレキュラーシーブを含む。混合金属酸化物成分を含むSCR触媒の場合、用語「混合金属酸化物成分」とは、本明細書で使用する場合、いくつかの酸化状態にある、1種を超える化学元素の陽イオンまたは単一元素の陽イオンを含有する酸化物を指す。より好ましくは、混合金属酸化物は、Fe/チタニア(例えばFeTiO3)、Fe/アルミナ(例えばFeAl2O3)、Mg/チタニア(例えばMgTiO3)、Mg/アルミナ(例えばMgAl2O3)、Mn/アルミナ、Mn/チタニア(例えばMnOx/TiO2)(例えばMnOx/Al2O3)、Cu/チタニア(例えばCuTiO3)、Ce/Zr(例えばCeZrO2)、Ti/Zr(例えばTiZrO2)、バナジア/チタニア(例えばV2O5/TiO2)およびそれらの混合物から選択される。より好ましくは、混合金属酸化物成分は、バナジア/チタニアを含む。
【0055】
より好ましくは、混合金属酸化物成分(例えば、バナジア/チタニア)に存在するバナジアの量は、混合金属酸化物成分の総質量に対して、約1~約10質量%、好ましくは約2%~約8質量%、より好ましくは約3~約6質量%(混合金属酸化物成分の総質量に対して、約10%、好ましくは約9%、より好ましくは約8%、より好ましくは約7%、より好ましくは約6%、より好ましくは約5%、より好ましくは約4%、より好ましくは約3%、より好ましくは約2%、より好ましくは約1質量%以下であり、0%が下限である)の範囲である。
【0056】
より好ましくは、混合金属酸化物成分は、活性化され得るか、または安定化され得る。例えば、バナジア/チタニア酸化物は、タングステン(例えばWO3)により活性化または安定化されて、V2O5/TiO2/WO3をもたらすことができる。より好ましくは、混合金属酸化物成分(例えば、V2O5/TiO2/WO3)に存在するタングステンの量は、混合金属酸化物成分の総質量に対して、約0.5~約10質量%(混合金属酸化物成分の総質量に対して、約10%、好ましくは約9%、より好ましくは約8%、より好ましくは約7%、より好ましくは約6%、より好ましくは約5%、より好ましくは約4%、より好ましくは約3%、より好ましくは約2%、より好ましくは約1質量%以下であり、0%が下限である)の範囲である。より好ましくは、バナジアは、タングステン(例えば、WO3)により活性化、または安定化される。タングステンは、バナジアの総質量に対して、約0.5~約10質量%(バナジアの総質量に対して、約10%、好ましくは約9%、より好ましくは約8%、より好ましくは約7%、より好ましくは約6%、より好ましくは約5%、より好ましくは約4%、より好ましくは約3%、より好ましくは約2%、より好ましくは約1質量%以下であり、0%が下限である)の範囲の濃度で分散され得る。SCR触媒としての混合金属酸化物の例は、Schafer-Sindelindgerらへの米国特許出願公開第2001/0049339号に開示されている。
【0057】
金属促進モレキュラーシーブを含むSCR触媒の場合、用語「モレキュラーシーブ」とは、ゼオライトなどのフレームワーク物質、および他のフレームワーク物質(例えば、同形置換された物質)を指す。モレキュラーシーブは、一般に四面体型部位を含有し、かつ実質的に均質な細孔分布を有する酸素イオンの広範囲の三次元ネットワークに基づく物質であり、平均細孔サイズは、20Å以下の大きさである。細孔サイズは、環サイズによって規定される。そのフレームワークタイプによってモレキュラーシーブを規定することによって、あらゆるゼオライト、またはSAPO、ALPOおよびMeAPO、Ge-シリケート、オールシリカ、ならびに同じタイプのフレームワークを有する類似物質などの同形フレームワーク物質を含むことが意図されていることが理解されよう。
【0058】
一般に、モレキュラーシーブ、例えばゼオライトは、隅を共有するTO4四面体からなる開口3次元フレームワーク構造を有するアルミノシリケートとして定義され、この場合、Tは、AlもしくはSi、または任意にPである。陰イオン性フレームワークの電荷の平衡をバランスする陽イオンは、フレームワーク酸素と緩く結合しており、残りの細孔体積は水分子で充填されている。非フレームワーク陽イオンは、一般に、交換可能であり、水分子は除去可能である。
【0059】
本明細書で使用する場合、用語「ゼオライト」とは、ケイ素原子およびアルミニウム原子を含む、モレキュラーシーブの具体例を指す。ゼオライトは、ゼオライト格子に含まれるゼオライトのタイプ、ならびに陽イオンのタイプおよび量に応じて、直径が約3~10オングストロームの範囲にある、かなり均質な細孔サイズを有する結晶性物質である。ゼオライトおよび他のモレキュラーシーブのシリカ対アルミナ(SAR)のモル比は、幅広い範囲にわたり様々となり得るが、一般に、2以上である。好ましくは、モレキュラーシーブは、約5~約250、約5~約200、約5~約100および約5~約50を含め、約2~約300の範囲のSARモル比を有する。より好ましくは、モレキュラーシーブは、約10~約200、約10~約100、約10~約75、約10~約60および約10~約50の範囲のSARモル比を有する。モレキュラーシーブは、約15~約100、約15~約75、約15~約60および約15~約50の範囲のSARモル比を有してもよい。モレキュラーシーブは、約20~約100、約20~約75、約20~約60および約20~約50の範囲のSARモル比を有してもよい。
【0060】
好ましくは、アルミノシリケートゼオライトフレームワークタイプを言う場合、材料をフレームワーク中で置換されているリンまたは他の金属を含まない、モレキュラーシーブに限定している。しかし、明確にするために、「アルミノシリケートゼオライト」は、本明細書で使用する場合、SAPO、ALPOおよびMeAPO物質などのアルミノホスフェート物質を除外し、より幅広い用語「ゼオライト」は、アルミノシリケートおよびアルミノホスフェートを含むことが意図されている。用語「アルミノホスフェート」とは、アルミニウムおよびリン酸塩原子を含めた、モレキュラーシーブの別の具体例を指す。アルミノホスフェートは、かなり均質な細孔サイズを有する結晶性物質である。
【0061】
好ましくは、モレキュラーシーブは、共通する酸素原子により連結されて、3次元ネットワークを形成するSiO4/AlO4四面体を独立して含む。好ましくは、モレキュラーシーブは、SiO4/AlO4/PO4四面体を含む。モレキュラーシーブは、(SiO4)/AlO4またはSiO4/AlO4/PO4四面体の強固なネットワークによって形成される空隙の幾何学に応じて、主に区別することができる。空隙の入口は、入口開口部を形成する原子に関して、6個、8個、10個または12個の環原子から形成される。好ましくは、モレキュラーシーブは、6、8、10および12を含めた、12以下の環サイズを含む。
【0062】
好ましくは、モレキュラーシーブは、構造が特定されるフレームワークのトポロジーに基づくことができる。通常、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOG、BPH、BRE、CAN、CAS、SCO、CFI、SGF、CGS、CHA、CHI、CLO、CON、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFR、IFY、IHW、IRN、ISV、ITE、ITH、ITW、IWR、IWW、JBW、KFI、LAU、LEV、LIO、LIT、LOS、LOV、LTA、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OSI、OSO、OWE、PAR、PAU、PHI、PON、RHO、RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBS、SBT、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFW、SGT、SOD、SOS、SSY、STF、STI、STT、TER、THO、TON、TSC、UEI、UFI、UOZ、USI、UTL、VET、VFI、VNI、VSV、WIE、WEN、YUG、ZONまたはそれらの組合せのフレームワークタイプなどの、ゼオライトの任意のフレームワークタイプを使用することができる。好ましくは、モレキュラーシーブは、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、DDR、EAB、EEI、ERI、IFY、IRN、KFI、LEV、LTA、LTN、MER、MWF、NPT、PAU、RHO、RTE、RTH、SAS、SAT、SAV、SFW、TSCおよびUFIから選択されるフレームワーク構造タイプを含む。より好ましくは、モレキュラーシーブは、フレームワーク構造タイプのCHAを含む。
【0063】
好ましくは、モレキュラーシーブは、8環の小細孔アルミノシリケートゼオライトを含む。本明細書で使用する場合、用語「小細孔」とは、約5オングストロームより小さい、例えば、約3.8オングストローム程度の細孔開口部を指す。言い回し、「8環」ゼオライトとは、8環の細孔開口部、および二重6環二次構築単位を有するゼオライトであって、4個の環による二重6環構築単位の連結から生じるかご様構造を有するゼオライトを指す。好ましくは、モレキュラーシーブは、8個の四面体原子の最大環サイズを有する小さな細孔モレキュラーシーブである。
【0064】
上記の通り、モレキュラーシーブは、アルミノシリケート、ボロシリケート、ガロシリケート、MeAPSOおよびMeAPO組成物のすべてを含むことができる。これらには、以下に限定されないが、SSZ-13、SSZ-62、天然チャバサイト、ゼオライトK~G、リンデD、リンデR、LZ-218、LZ-235、LZ-236、ZK-14、SAPO-34、SAPO-44、SAPO-47、ZYT-6、CuSAPO-34、CuSAPO-44、Ti-SAPO-34およびCuSAPO-47が含まれる。
【0065】
本明細書の上で参照されている通り、開示されているSCR触媒は、金属促進されているモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)を一般に含む。本明細書で使用する場合、「促進された」とは、モレキュラーシーブ中に本来、存在し得る不純物を含むこととは反対に、意図的に添加された1種または複数の成分を含むモレキュラーシーブを指す。したがって、促進剤は、意図的に添加された促進剤を有さない触媒と比べて、触媒の活性を増強させるために意図的に添加される成分である。窒素酸化物のSCRを促進するため、好適な金属がモレキュラーシーブに交換されてもよい。銅は、窒素酸化物の変換に関与し、したがって、交換用の特に有用な金属となり得る。したがって、Cu-CHAなどの銅促進モレキュラーシーブを含む触媒組成物が提供されることが好ましい。
【0066】
金属促進剤は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、IIIB、IVB、VB、VIB、VIIB、VIIIB、IBおよびIIB族の遷移金属、第IIIA族元素、第IVA族元素、ランタニド、アクチニドおよびそれらの組合せからなる群から一般に選択することができる。金属促進モレキュラーシーブを製造するために好ましく使用することができるさらなる金属促進剤は、以下に限定されないが、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ランタン(La)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)、銀(Ag)、セリウム(Ce)、ネオジウム(Nd)、プラセオジム(Pr)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、タングステン(W)およびそれらの組合せが含まれる。より好ましくは、金属促進剤は、CuおよびFeのうちの1種または複数である。このような金属の組合せ、例えば銅および鉄を使用して、Cu-Fe促進モレキュラーシーブの混合物、例えばCu-Fe-CHAを与えることができる。
【0067】
酸化物として算出される、金属促進モレキュラーシーブの金属促進剤の含有率は、好ましくは、焼成済みモレキュラーシーブ(促進剤を含む)の総質量に対して、約0.1質量%~約10質量%、好ましくは0.1質量%~約5質量%、より好ましくは約0.5質量%~約4質量%、またはより好ましくは約2質量%~約5質量%、またはより好ましくは約1質量%~約3質量%の範囲であり、揮発物不含基準で報告される。好ましくは、モレキュラーシーブの金属促進剤は、Cu、Feまたはそれらの組合せを含む。
【0068】
基材
本発明の触媒物品用の基材は、自動車用触媒を製造するために通常、使用される任意の材料から構築され得、通常、金属またはセラミック製ハニカム構造を、含む。基材は、通常、触媒物品のウォッシュコート組成物が塗布されて接着される複数の壁表面をもたらし、これにより触媒組成物のための担体として働く。
【0069】
例示的な金属製基材は、チタンおよびステンレス鋼などの耐熱性金属および金属合金、ならびに鉄が実質的に主要な成分であるかまたは主要な成分である他の合金を含む。このような合金は、ニッケル、クロムおよび/またはアルミニウムのうちの1種または複数を含有することができ、これらの金属の総量は、少なくとも15質量%の合金、好ましくは10~25質量%のクロム、3~8質量%のアルミニウム、ならびに最大で20質量%のニッケルを有利にも含むことができる。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、チタンなどの1種または複数の他の金属を少量または微量含有してもよい。金属基材の表面は、高温、例えば1000℃以上で酸化されて、基材の表面に酸化物の層を形成させて、合金の耐腐食性を改善し、金属表面へのウォッシュコート層の接着を促進することができる。
【0070】
基材を構築するために使用されるセラミック製材料は、任意の好適な耐火性材料、例えば、コーディエライト、ムライト、コーディエライト-αアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ-シリカマグネシア、ジルコンシリケート、シリマナイト、マグネシウムシリケート、ジルコン、ペタライト、αアルミナ、アルミノシリケートなどを含むことができる。
【0071】
基材の入口面から出口面にわたる、複数の微細な並行したガス流通路を有するモノリシックなフロースルー基材などの任意の好適な基材を使用し、こうして、それらの通路は、流体が流れるよう開口している。入口から出口まで実質的にまっすぐな経路となる通路は、触媒材料がウォッシュコートとしてコーティングされている壁により画定されており、その結果、通路を流れるガスが触媒材料に接触する。モノリシック基材の流通通路は、台形、矩形、正方形、正弦形、六角形、楕円形、管形などの任意の好適な断面形状とすることができる薄壁チャネルである。このような構造は、断面1平方インチあたり(cpsi)、約60~約1200またはそれより多い、より一般には、約300~600cpsiとなるガス入口開口部(すなわち、「セル」)を含有することができる。フロースルー基材の壁の厚さは、様々となり得、典型的な範囲は、0.002~0.1インチの間である。代表的な市販のフロースルー基材は、400cpsi、および6ミルの壁の厚さ、または600cpsiおよび4ミルの壁の厚さを有するコーディエライト基材である。しかし、本発明は、特定の基材タイプ、材料または幾何学に制限されないことが理解されよう。
【0072】
代替的に、基材は、ウォールフロー基材であってもよく、各通路は、非多孔質プラグを有する基材本体の一方の端部で塞がれており、反対側の端部面では、通路が交互に塞がれている。これは、ガスが、ウォールフロー基材の多孔質壁を流れ、出口に到着することが必要である。このようなモノリシック基材は、約100~400cpsi、より一般には、約200~約300cpsiなどの最大で約700cpsi以上を含有することができる。セルの断面形状は、上記の通り、様々とすることができる。ウォールフロー基材は、通常、0.002~0.1インチの間の壁の厚さを有する。代表的な市販のウォールフロー基材は、多孔質コーディエライトから構築され、その一例は、200cpsiおよび10ミルの壁の厚さ、または8ミルの壁の厚さで300cpsi、ならびに45~65%の間の壁多孔度を有する。アルミノチタネート、炭化ケイ素および窒化ケイ素などの他のセラミック製物質は、またウォール-フローフィルター基材として使用される。しかし、本発明は、特定の基材タイプ、材料または幾何学に制限されないことが理解されよう。基材がウォールフロー基材である場合、触媒組成物は、壁の表面に配設されていることに加え、多孔質壁の細孔構造内部に浸透(すなわち、細孔の開口部を部分的にまたは完全に閉塞する)することができることに留意されたい。
【0073】
本明細書に記載されているウォッシュコート組成物でコーティングされているフロースルー基材の形態の例示的な基材2が、
図1および2に例示されている。
図1を参照すると、例示的な基材2は、円筒形状および円筒形の外側表面4、上流端部面6、および端部面6と同一の対応する下流端部面8を有する。基材2は、複数の微細な並行のガス流通路10をその中に形成して有する。
図2で分かる通り、ガス流通路10は壁12によって形成されており、上流端部面6から下部端部面8まで基材2に沿って延在し、通路10は、流体、例えばガス流が、そのガス流通路10を介して基材2に沿って縦方向に流れるよう、閉塞されていない。
図2で一層容易に示される通り、壁12は、ガス流通路10が、実質的に左右対称の多角形形状を有するような寸法および構成にされている。示されている通り、ウォッシュコート組成物は、所望の場合、複数で別個の層に適用することができる。この図では、ウォッシュコートは、基材部材の壁12に接着している個別のボトムウォッシュコート層14、およびボトムウォッシュコート層14の上にコーティングされている第2の個別の上部ウォッシュコート層16の両方からなる。本発明は、1つまたは複数(例えば、2つ、3つまたは4つ)のウォッシュコート層で実施することができ、例示した2つの層の実施形態に限定されない。代替的に、本発明の全触媒組成物は、例えば、上記、ならびに段落IIおよびIIIに詳しく定義されている、同じ触媒層中に均一に混合され得る。
【0074】
触媒物品は、好ましくは、多層を有する触媒組成物を含み、各層は、異なる組成を有する。底部層(例えば、
図2の層14)は、本発明のSCR触媒組成物を含むことができ、上部層(例えば、
図2の層16)は、本発明の酸化触媒成分(例えば、多孔質支持体に含浸させたPGM成分)を含むことができる。本触媒物品は、代替として、底部層(例えば、
図2の層14)が、本発明の酸化触媒成分(例えば、多孔質支持体に含浸させたPGM成分)を含むことができ、上部層(例えば、
図2の層16)が、本発明のSCR触媒組成物を含むことができる、触媒組成物を含むことができる。
【0075】
SCR触媒および酸化触媒成分の相対量は、様々となり得る。例えば、例示的な二重層コーティングにおける酸化触媒成分中のPGM成分の相対量は、それぞれ、底部層(基材に隣接している)中の触媒組成物の総質量に対して、約10~90質量%を占め、SCR触媒は、上部層中の触媒組成物の総質量に対して、約10~90質量%存在する。SCR触媒が、底部層に存在している場合、および残りの成分が上部層に存在する場合、同じ割合が適用され得る。
【0076】
図3は、本明細書に記載されているウォッシュコート組成物でコーティングされているウォールフローフィルター基材の形態の例示的な基材2を例示している。
図3で分かる通り、例示的な基材2は、複数の通路52を有する。通路は、フィルター基材の内壁53によって管状に取り囲まれている。基材は、入口端部54および出口端部56を有する。入口プラグ58を有する入口端部および出口プラグ60を有する出口端部において、通路が交互に塞がれて、入口54および出口56において、対向する市松パターンを形成している。ガス流62は、塞がれていないチャネル入口64に入り、出口プラグ60によって塞がれ、チャネル壁53(これは、多孔質である)を介して出口側66に分散する。ガスは、入口プラグ58のため、通過して壁の入口側へと戻ることはできない。本発明において使用される多孔質ウォールフローフィルターは、前記要素の壁がその上に有しているか、またはその中に、1種もしくは複数の触媒材料を含有する点で触媒が付けられている。触媒材料は、要素壁の入口側に単独で、出口側に単独で、入口側と出口側の両方に存在していてもよいか、または壁自体は、触媒材料のすべてまたは一部からなることができる。本発明は、要素の入口壁および/または出口壁上に1種または複数の触媒材料の層の使用を含む。基材が、軸方向の区分け構成で個別のウォッシュコートスラリーに含まれている少なくとも2つの層でコーティングされていることがやはり好ましいことがある。例えば、同じ基材が、ウォッシュコートスラリーの1つの層、およびウォッシュコートスラリーの別の層でコーティングされ得、各層は異なる。これは、
図4を参照することにより一層容易に理解することができ、
図4は、第1のウォッシュコート区域24および第2のウォッシュコート区域26が、基材22の長さに沿って並んで位置する実施形態を示している。具体的な実施形態の第1のウォッシュコート区域24は、基材22の長さの約5%~約95%の範囲にわたり、基材22の入口端部25から延在している。第2のウォッシュコート区域26は、基材22の全軸長さの約5%~約95%分、基材22の出口27から延在している。本発明に記載されている処理システム内の少なくとも2種の成分の触媒組成物は、同一基材にゾーンされ得る。好ましくは、酸化触媒成分およびSCR触媒は、同一基材上にゾーンされている。例えば、
図4に戻って参照すると、第1のウォッシュコート区域24は、酸化触媒成分を表し、基材22の長さの約5%~約95%の範囲にわたり、基材の入口端部25から延在している。したがって、SCR触媒を含む第2のウォッシュコート区域26は、区域24に並んで位置して、基材22の出口27から延在している。代替的に、第1のウォッシュコート区域24は、SCR触媒を表すことができ、第2のウォッシュコート区域26は、酸化触媒成分を含むことができる。酸化触媒成分およびSCR触媒は、上記および段落IIIで定義されている異なる基材にゾーンとされていてもよい。
【0077】
ウォッシュコート、または組成物の触媒金属成分または他の成分の量を記載する場合、触媒基材の単位体積あたりの成分の質量単位を使用するのが好都合である。したがって、単位、すなわち立方インチあたりのグラム数(「g/in3」)、および立方フィートあたりのグラム数(「g/ft3」)は、基材の空隙空間の体積を含めて、基材の体積あたりの成分の質量を意味し、1g/ft3は、0.035g/lに相当し、1g/in3は、61.0237441g/lに相当する。g/lなどの体積あたりの質量の他の単位も、時として使用される。単位体積にあたりのこれらの質量は、通常、触媒ウォッシュコート組成物により処理する前および処理した後に、触媒基材を秤量することにより算出され、この処理は、高温での触媒基材の乾燥および焼成を含むので、これらの質量は、ウォッシュコートスラリーの実質的にすべての水が除去されたときの、実質的に溶媒不含の触媒コーティングを表すことに留意されたい。
【0078】
好ましくは、触媒基材上の触媒物品(すなわち、酸化触媒成分およびSCR触媒)の合計担持量は、約0.5~約6g/in3、より好ましくは約1~約5g/in3、より好ましくは約1~約3g/in3である。支持材料を含まない活性金属の合計担持量(例えば、PGM成分のみ)は、各層について、好ましくは約0.1~約200g/ft3、より好ましくは約0.1~約100g/ft3、より好ましくは約1~約50g/ft3、より好ましくは約1~約30g/ft3、より好ましくは約5~約25g/ft3の範囲にある。
【0079】
代替的に、支持材料を含まない活性金属の合計担持量(例えば、PGM成分のみ)は、好ましくは5~100g/ft3の範囲、好ましくは20~80g/ft3の範囲、より好ましくは30~70g/ft3の範囲、より好ましくは35~55g/ft3の範囲、より好ましくは40~50g/ft3の範囲にある。
【0080】
触媒組成物を作製する方法
白金族金属を含侵させた多孔質支持材料の製造は、パラジウムおよび/またはルテニウム前駆体溶液などの活性金属溶液で、微粒子形態にある多孔質支持体を含侵させる工程を含むことができる。活性金属は、インシピエントウエットネス技法を使用して、同じ支持粒子または別々の支持粒子に含浸させることができる。好ましくは、多孔質支持体は、金属酸化物である。より好ましくは、多孔質支持体は、耐熱性金属酸化物材料である。
【0081】
キャピラリー含浸または乾式含浸とも呼ばれるインシピエントウエットネス含浸技法が、不均質な物質、すなわち触媒の合成に一般に使用される。好ましくは、金属前駆体は、水溶液または有機溶液に溶解し、次に、金属含有溶液を、添加された溶液の体積と同じ細孔体積を含有する触媒支持体に添加する。キャピラリー作用は、支持体の細孔内に溶液を引き込む。支持体の細孔体積を過剰にして添加した溶液により、溶液の輸送は、キャピラリー作用過程から、かなり遅い拡散過程に変わる。次に、触媒を乾燥して焼成し、溶液内の揮発成分を除去すると、触媒支持体の表面に金属を堆積させることができる。含浸材料の濃度プロファイルは、含浸および乾燥の間に細孔内での物質移動条件に依存する。
【0082】
支持粒子は、通常、溶液の実質的にすべてを吸収して湿潤固体を形成するのに十分な程度に乾燥される。塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム(例えば、Ru(NO)およびその塩)、塩化ヘキサアンミンルテニウムまたはそれらの組合せなどの活性金属(すなわち、PGM成分)の水溶性化合物または錯体の水溶液が、通常、利用される。活性金属としてパラジウムを有する水溶性化合物の水溶液は、硝酸パラジウム、テトラアミンパラジウム、酢酸パラジウム、またはそれらの組合せなどの金属前駆体を含む。活性金属溶液で支持粒子を処理した後、これらの粒子は、ある期間(例えば、1~3時間)、高温(例えば、100~150℃)で粒子を熱処理するなどによって乾燥し、次に、焼成して、活性金属を一層触媒的に活性な形態へと変換することができる。例示的な焼成過程は、10分間~3時間、約400~550℃の温度で空気中での加熱処理を含む。上記の過程を必要に応じて繰り返し、活性金属の含浸の所望のレベルに到達させることができる。例えば、金属促進モレキュラーシーブを含むSCR触媒の製造は、Rivas-CardonaらへのUS9,480,976;StiebelsらへのUS9,352,307;WanらへのUS9,321,009;AndersenらへのUS9,199,195;BullらへのUS9,138,732;MohananらへのUS9,011,807;TurkhanらへのUS8,715,618;BoorseらへのUS8,293,182;BoorseらへのUS8,119,088;FedeykoらへのUS8,101,146;およびMarshallらへのUS7,220,692に開示されている。例えば、混合金属酸化物を含むSCR触媒の製造は、BrennanらへのUS4,518,710;HegedusらへのUS5,137,855;KapteijnらへのUS5,476,828;HongらへのUS8,685,882;およびJurngらへのUS9,101,908に開示されている。
【0083】
基材のコーティング方法
前述の触媒組成物は、上記の通り、触媒粒子の形態で製造され得る。これらの触媒粒子は、水と混合されて、ハニカムタイプの基材などの触媒基材をコーティングするためのスラリーを形成することができる。触媒粒子に加え、スラリーは、アルミナ、シリカ、酢酸Zr、コロイド状ジルコニアまたは水酸化Zrの形態の結合材、会合性増粘剤および/または界面活性剤(陰イオン性、陽イオン性、非イオン性または両親媒性界面活性剤を含む)を任意に含有してもよい。他の例示的な結合材には、ベーマイト、ガンマ-アルミナまたはデルタ/ゼータアルミナ、およびシリカゾルが含まれる。存在する場合、結合材は、通常、全ウォッシュコート担持量の約1~5質量%の量で使用される。
【0084】
したがって、スラリーへの酸性または塩基性化学種の添加を行い、pHを調整することができる。例えば、スラリーのpHは、水酸化アンモニウムまたは水性硝酸を添加することにより調整することができる。スラリーの場合の典型的なpH範囲は、約3~6とすることができる。スラリーは、ミル粉砕して、粒子サイズを低下させることができ、粒子の混合を増強することができる。ミル粉砕は、ボールミル、連続式ミルまたは他の類似装置で行うことができ、スラリーの固体含有率は、例えば、約20~60質量%、より詳細には約20~40質量%とすることができる。好ましくは、ミル粉砕後のスラリーは、D90粒子サイズが、約10~約40ミクロン、好ましくは10~約30ミクロン、より好ましくは約10~約15ミクロンを特徴とする。D90は、専用粒子サイズ分析器を使用して決定する。この装置は、2010年にSympatecによって製造され、レーザー回折を利用して、小体積スラリーにおける粒子サイズを測定するものである(例えば、参照実施例1を参照されたい)。スラリーは、当分野で公知の任意のウォッシュコート技法を使用して触媒基材にコーティングされる。好ましくは、触媒基材は、スラリー中で1回または複数回、浸漬されるか、そうでない場合、スラリーを用いてコーティングされる。この後に、コーティングされている基材は、ある期間(例えば、10分間~3時間)、高温(例えば、100~150℃)で好ましくは乾燥されて、次に、例えば、400~600℃で、通常、約10分間~約3時間、加熱することにより焼成する。乾燥および焼成後、最終ウォッシュコートコーティング層は、実質的に溶媒不含と見なすことができる。
【0085】
焼成後、上記のウォッシュコート技法により得た触媒担持量は、基材のコーティングされている質量とコーティングされていない質量との差異を算出することにより決定することができる。当業者に明白な通り、触媒担持量は、スラリーレオロジーを改変することにより改変することができる。さらに、ウォッシュコートを生成するためのコーティング/乾燥/焼成の過程を必要に応じて繰り返し、所望の担持量レベルまたは厚さまでコーティングを構築することができ、このことは、1つ超のウォッシュコートが塗布され得ることを意味する。本触媒組成物は、上記の通り、単層としてまたは多層で塗布することができる。本触媒組成物は、単層(例えば、
図2の層14のみ)で塗布することができる。あるいは、本触媒組成物は、上で説明した通り、各層が異なる組成を有する多層で塗布することができる。
【0086】
排出物処理システム
本発明は、NOxおよびHCの低減に有効な本発明の触媒物品を組み込んだ排出物処理システムにさらに関する。本発明の触媒物品は、排気ガスの排出物、例えばディーゼルエンジンからの排気ガスの排出物を処理するための、1種または複数の追加の成分を含む統合型排出物処理システムにおいて、通常、使用される。
【0087】
本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、入口端部および出口端部を有する触媒物品であって、本発明によるものであり、かつ第1の層および第2の層をゾーン構成で有する、触媒物品
を備え、
触媒物品が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒物品であり、触媒物品の入口端部が、触媒物品の出口端部の上流に配置されている、
排気ガス処理システムにさらに関する。
【0088】
好ましくは、排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、触媒物品の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1つまたは複数をさらに備える。
【0089】
好ましくは、排気ガス処理システムは、触媒物品の下流に位置するアンモニア酸化触媒をさらに備え、アンモニア酸化触媒は、入口端部および出口端部を有しており、触媒物品の出口端部は、アンモニア酸化触媒の入口端部と流体連通しており、触媒物品の出口端部とアンモニア酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。より好ましくは、アンモニア酸化触媒は、段落IIIで本発明において定義されている通りである。
【0090】
好ましくは、排気ガス処理システムは、微粒子フィルターをさらに備え、微粒子フィルターは、入口端部および出口端部を有しており、触媒物品の下流に位置しており、好ましくは、触媒物品の出口端部は、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、触媒物品の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。より好ましくは、微粒子フィルターは、触媒付き微粒子フィルターである。代替的に、微粒子フィルターは、アンモニア酸化触媒の下流に位置することができる。
【0091】
好ましくは、本排気ガス処理システムは、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備え、前記インジェクタは、触媒物品の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流により好ましくは位置する。より好ましくは、流体は、ウレア水溶液である。
【0092】
例示的な排出物処理システムの1つが、
図5に例示されており、この図は、排出物処理システム32の概略図を図示している。示されている通り、排出物処理システムは、エンジン32の下流に直列して複数の触媒成分を含むことができ、本発明の触媒物品38は常に、任意の所与の並びの第1の触媒成分である。
図5は、5種の触媒成分が直列で例示されているが、触媒成分の合計数は、様々となり得、5種の成分は単なる一例に過ぎない。非限定的に、表1は、1つまたは複数の実施形態の様々な排気ガス処理システム構成を表している。各触媒成分は、排気導管を介して次の触媒成分につながっており、こうして、エンジンは、触媒成分Aの上流にあり、この成分Aは、触媒成分B(存在する場合)の上流に存在し、この成分Bは、触媒成分C(存在する場合)の上流に存在し、この成分Cは、触媒成分D(存在する場合)の上流に存在し、この成分Dは、触媒成分E(存在する場合)の上流に存在することに留意されたい。表中の触媒成分A~Eを言う場合、
図5に同じ表示で相互参照することができる。表1の構成は、単なる例示に過ぎず、他の構成が、本発明から逸脱することなく使用することができる。
【0093】
表1に明記されているSCR触媒は、エンジン排気物中に存在するNOxを低減するために慣用的に使用されるいずれかの触媒とすることができ、通常、混合金属酸化物の組成物(例えば、バナジア/チタニア)または金属イオン交換モレキュラーシーブ組成物(例えば、Cuおよび/またはFe促進モレキュラーシーブ)を含む。
【0094】
表1におけるSCRoF(または、フィルター上のSCR)を言う場合、慣用的にSCR触媒組成物を含む、微粒子または煤フィルター(例えば、ウォールフローフィルター)を指す。
【0095】
表1に明記されているDOC触媒は、未燃焼のガス状炭化水素および非揮発性炭化水素(すなわち、SOF)および一酸化炭素を燃焼させて二酸化炭素および水を形成させるために、慣用的に使用されるいずれかの触媒とすることができる。表1中のDOC触媒は、通常、酸素吸蔵成分(例えば、セリア)および/または耐熱性金属酸化物支持体(例えば、アルミナ)に支持された白金族金属を含む。
【0096】
表1中のAMOxを言う場合、アンモニア酸化触媒を指し、この触媒は、排気ガス処理システムから、スリップしたいかなるアンモニアも除去するために使用されるSCR触媒の下流に通常、位置している。前記AMOx触媒は、PGM成分を含んでもよい。好ましくは、AMOx触媒は、PGMによるボトムコート、およびSCR機能を有するトップコートを含む。
【0097】
表1に明記された煤フィルターは、煤を捕捉して燃焼するよう設計されている。多くの場合、煤フィルターは、捕捉した煤を燃焼するおよびまたは排気ガス流の排出物を酸化するための1種または複数の触媒を含むウォッシュコート層でコーティングされている。一般に、煤燃焼触媒は、煤の燃焼に公知の任意の触媒とすることができる。煤燃焼触媒は、例えば、1種または複数の貴金属族触媒(例えば、白金、パラジウムおよび/またはロジウム)を含む酸化触媒成分とすることができる。
【0098】
表1の様々な排気ガス排出物処理システムは、アンモニア前駆体の注入50のための還元剤のインジェクタ、および/または炭化水素51を排気ガス流に添加するためのインジェクタをさらに含むことができる。ある種の実施形態では、窒素系還元剤を排気流に導入するための還元剤のインジェクタ50は、
図5に示されている通り、触媒物品38のすぐ上流に位置する。このような還元剤の例には、アンモニア、ヒドラジン、またはウレア((NH
2)
2CO)、炭酸アンモニウム、アンモニウムカルバメート、炭酸水素アンモニウムもしくはギ酸アンモニウムなどの任意の好適なアンモニア前駆体が含まれる。ガス排気流中のアンモニアまたはアンモニア前駆体が存在すると、ガスが、触媒物品38の触媒組成物に曝露されると、NO
xのN
2および水への還元が促進される。還元剤のインジェクタ50は、前記図に示されている通り、SCR触媒物品の任意の上流点に位置することができ、すべての触媒物品の上流に必ずしも位置し得ない。還元剤のインジェクタ50の位置は、SCR触媒の位置に依存するであろう。好ましくは、HCインジェクタ51はまた、触媒物品38の上流に導入されてもよい。好ましくは、HCインジェクタ51は、存在する場合、インジェクタ50の上流または下流に位置する。触媒物品38は、導入された炭化水素をガス排気流へと酸化し、触媒物品および下流の成分から汚染物質を除去するのに十分な温度を発生させる。炭化水素は、触媒物品から汚染物質の放出を促進し、これにより、触媒物品の触媒活性を回復することができる。さらに、再生成サイクルの間に、アミン含有(例えば、ウレア)堆積物の脱硫酸化および/または除去を行うことができる。炭化水素は、エンジンからガスの排気流に直接、導入することができる。エンジンを制御するエンジン管理システムは、エンジンの排気ガス流に、定期的に燃料を直接添加することができる。任意の第2の水素インジェクタを、DOC触媒成分を有する排気ガスのエンジン処理システム構成に追加することができ、この場合、任意の第2の炭化水素インジェクタは、DOC触媒成分のすぐ上流に位置する。当業者によって認識されている通り、表1に列挙されている構成では、成分A、B、C、DまたはEの1つまたは複数が、ウォールフローフィルターなどの微粒子フィルター上、またはフロースルーハニカム基材上に配設され得る。エンジン排気システムは、エンジン付近の位置(近接位置、すなわちCC(close-coupled)にある)に装着された1種または複数の触媒組成物を含むことができ、追加的な触媒組成物が、ビヒクル本体の下の位置する(床下位置UF(underfloor)にある)。好ましくは、成分A(例えば、本発明の触媒物品)は、最近接位置に存在し、このことは、成分Aは、エンジンの排気ガス処理システムの第1の触媒であり、残りの成分がUFであることを意味する。
【0099】
【0100】
II.排気ガス処理システム
驚くべきことに、本発明による、以下に記載されている、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムは、費用効果が高く、かつ排気ガス温度の上昇などのエンジン測定を回避することによると同時に、環境要件を満たすほど十分な脱NOxを維持するための、HC毒に対して耐性となり、硫酸化を防止することを可能にすることがやはり見いだされた。
【0101】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出た排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第1の触媒、または
入口端部および出口端部を有しており、本発明による触媒物品である第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属を含み、かつ酸化バナジウム、酸化タングステン、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムにさらに関する。
【0102】
好ましくは、(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。
【0103】
好ましくは、第1の触媒は、炭化水素(HC)酸化成分および窒素酸化物(NOx)還元成分を含む。
【0104】
第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料に関すると、第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなることが好ましい。
【0105】
(i)による第1の触媒のコーティングは、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0106】
本発明の文脈では、用語「ゼオライト材料」とは、フレームワーク構造タイプABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、それらの2種以上の混合物、およびそれらの2種以上の混合タイプを好ましくは有するゼオライト材料を指す。
【0107】
第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、ゼオライト材料は、本発明の排気ガス処理システムにおける第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましいゼオライト材料は、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MOR、またはそれらの2種以上の混合物のフレームワーク構造、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAまたはそれらの2種以上の混合物のフレームワーク構造を有するゼオライト材料である。より好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する。タイプCHAのフレームワーク構造を有するゼオライト材料は、例えば、ゼオライトSSZ-13およびゼオライトSAPO-34を含み、SSZ-13が好ましい。
【0108】
本発明の文脈では、第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料、より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0109】
好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲にある。より好ましくは、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある。
【0110】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルでのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0111】
好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は鉄を含み、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にある。より好ましくは、ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびにHおよびPのうちの任意の1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルでのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0112】
好ましくは、第1の触媒のコーティングは、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材は、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、0.02~0.2g/g/in3の範囲、より好ましくは0.07~0.15g/g/in3の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む。
【0113】
本発明によれば、(i)による第1の触媒のコーティングが酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムは、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であることが好ましい。任意に、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を含む。
【0114】
好ましくは、酸化バナジウムは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。
【0115】
(i)による第1の触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製または金属製物質を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0116】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれらからなる第1の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0117】
金属製基材を含む、好ましくはこれらからなる第1の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0118】
(i)による第1の触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0119】
本発明によれば、第1の触媒の基材は、基材長さを有しており、第1の触媒のコーティングは、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されているのが好ましい。
【0120】
一般に、第1の触媒のコーティングに含まれているパラジウムの担持量に関して制限はないが、但し、パラジウム担持量は、排気ガス処理システムにおける第1の触媒において所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第1の触媒のコーティングは、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、より好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。
【0121】
パラジウム担持量の関すると、第1の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料の担持量に関して制限はないが、但し、ゼオライト材料の担持量は、排気ガス処理システムにおける第1の触媒において所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第1の触媒のコーティングは、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~183.07g/l(2.0~3.0g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~170.87g/l(2.1~2.8g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0122】
一般に、第1の触媒のコーティングに含まれている酸化バナジウムの担持量に関して制限はないが、但し、酸化バナジウムの担持量は、排気ガス処理システムにおける第1の触媒における所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第1の触媒のコーティングは、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/g/in3)の範囲、より好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含む。
【0123】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウムを含むのが好ましく、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材からなるのが好ましい。
【0124】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングは、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料をさらに含み、第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材からなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属を含み、かつ酸化バナジウム、酸化タングステン、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0125】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなるのが好ましく、前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。
【0126】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングは、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ酸化バナジウムをさらに含み、第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属を含み、かつ酸化バナジウムの、酸化タングステン、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0127】
本発明によれば、(i)による第1の触媒は、選択的接触還元(SCR)成分およびディーゼル酸化成分を有することが好ましい。
【0128】
好ましくは0~0.0035g/l、より好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第1の触媒のコーティングに含まれる。
【0129】
好ましくは、第1の触媒のコーティングは、白金を含まず、より好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない。
【0130】
第1の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料の好ましくは0~2質量%、より好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリアおよびアルミナからなり、より好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%は、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなる。
【0131】
好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料は、セリアおよびアルミナを含まず、より好ましくはセリア、アルミナおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない。
【0132】
第1の触媒に関すると、第1の触媒は、本発明による触媒物品であり、段落Iで定義されている通りであるのが代替として好ましい。より好ましくは、第1の触媒は、単層または第1の(上部または下部)層および第2の(上部または下部)層を含む。
【0133】
第1の触媒に関すると、第1の触媒は、段落IIIで定義されている(ii)による第2の触媒であるのが代替的に好ましい。
【0134】
本発明によれば、(ii)による第2の触媒は、窒素酸化物(NOx)還元成分およびアンモニア酸化成分を含むことが好ましい。
【0135】
(ii)による第2の触媒は、アンモニア酸化(AMOX)触媒であることが好ましい。
【0136】
好ましくは、(ii)による第2の触媒のコーティングは、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む。
【0137】
第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記ゼオライト材料は、本発明の排気ガス処理システムにおける第2の触媒の所期の使用において好適であることを条件とする。一般に、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、それらの2種以上の混合物、およびそれらの2種以上の混合タイプのフレームワーク構造を有することができる。好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する。フレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、例えば、ゼオライトSSZ-13およびゼオライトSAPO-34を含み、SSZ-13が好ましい。
【0138】
本発明の文脈では、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料、より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0139】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲となる。より好ましくは、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある。
【0140】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルでのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0141】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は鉄を含み、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にある。ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルでのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0142】
好ましくは、第2の触媒のコーティングは、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材は、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、第2の触媒のコーティングは、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、より好ましくは4.27~9.15g/l(0.07~0.15g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む。
【0143】
第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属は、白金、パラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数、好ましくは白金およびパラジウムのうちの1種または複数であることが好ましい。
【0144】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属は、白金とパラジウムとの混合物である。より好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれる白金:パラジウムの質量比は、白金元素およびパラジウム元素として算出すると、1:1~30:1の範囲、より好ましくは5:1~20:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある。
【0145】
代替的に、第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属は、白金である。
【0146】
本発明によれば、第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属を支持する酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナ、シリカおよびジルコニアのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0147】
第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属を支持する酸化物材料の好ましくは20~100質量%、より好ましくは40~100質量%、より好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%は、アルミナからなる。
【0148】
本発明によれば、(ii)による第2の触媒のコーティングが酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムは、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であることが好ましい。任意に、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を含む。
【0149】
好ましくは、酸化バナジウムは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含む。
【0150】
第2の触媒のコーティングは、酸化タングステンを含み、酸化タングステンは、好ましくは三酸化タングステンであり、酸化タングステンは、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含むのが好ましい。好ましくは、酸化タングステンは、チタンおよびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている。
【0151】
第2の触媒のコーティングは、酸化バナジウムおよび酸化タングステンを含み、酸化タングステンは、三酸化タングステンであり、酸化バナジウムは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有し、酸化タングステンは、チタンおよびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されているのが好ましい。
【0152】
第2の触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製または金属製物質を含み、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0153】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれからなる第2の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0154】
金属製基材を含む、好ましくはこれらからなる第2の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0155】
第2の触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0156】
好ましくは、第2の触媒の基材は、基材長さを有しており、第2の触媒のコーティングは、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている。
【0157】
一般に、第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属の担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の排気ガス処理システムにおける第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、白金族金属元素として算出すると、0.035~0.53g/l(1~15g/ft3)の範囲、より好ましくは0.11~0.35g/l(3~10g/ft3)の範囲、より好ましくは0.16~0.32g/l(4.5~9.0g/ft3)の範囲、より好ましくは0.26~0.30g/l(7.5~8.5g/ft3)の範囲の担持量の白金族金属。
【0158】
一般に、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料の担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の排気ガス処理システムにおける第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第2の触媒のコーティングは、30.51~335.63g/l(0.5~5.5g/g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~305.12g/l(1.5~5.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.09g/l(2.0~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0159】
本発明によれば、第2の触媒のコーティングに含まれる酸化バナジウムの担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の排気ガス処理システムにおける第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第2の触媒のコーティングは、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/g/in3)の範囲、より好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムおよび酸化タングステンのうちの1種または複数を含む。
【0160】
本発明によれば、第2の触媒のコーティングは、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなるのが好ましい。より好ましくは、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲となる)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0161】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなり、第2の触媒のコーティングは、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲である)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる。
【0162】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第1の触媒;
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒;
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0163】
第1の触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、銅を含むフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含み、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0164】
代替的に、第1の触媒のコーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムは、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化(IV)バナジウムのうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意で含み、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有すること、および
第2の触媒のコーティングは、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0165】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムは、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化(IV)バナジウムのうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意で含み、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0166】
第1の触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムは、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)の1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有し、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0167】
代替的に、第2の触媒のコーティングは、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。第2の触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0168】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなること、および第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0169】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0170】
第1の触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、フレームワーク構造タイプCHAを有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含み、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0171】
代替的に、第1の触媒のコーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムは、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、チタニアは、タングステンおよびケイ素を任意に含有すること、および第2の触媒のコーティングは、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0172】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングは、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムは、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化(IV)バナジウムのうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意で含み、チタニアは、タングステンおよびケイ素を任意に含有する、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材上に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている、排気ガス処理システムにさらに関する。
【0173】
第1の触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムが、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料に支持されている白金、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。
【0174】
本発明によれば、第1の触媒の基材は、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなり、第2の触媒の基材は、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなるのが好ましい。
【0175】
好ましくは、第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材は、第1の基材であり、第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材は、第2の基材であり、第1の基材と第2の基材は、互いに異なる。
【0176】
第1の触媒および第2の触媒の基材のサイズ(長さおよび幅)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、各基材は、本発明の排気ガス処理システムにそれぞれ含まれる、第1の触媒および第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。
【0177】
好ましくは、第1の触媒の基材は、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、好ましくは5.08~20.32cm(2~8インチ)の範囲、より好ましくは10.16~19.05cm(4~7.5インチ)の範囲、より好ましくは12.7~17.78cm(5~7インチ)の範囲の基材長さを有する。
【0178】
好ましくは、第2の触媒の基材は、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、より好ましくは3.81~17.78cm(1.5~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~12.7cm(2~5インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する。より好ましくは、第1の触媒の基材は、12.7~17.78cm(5~7インチ)の範囲の基材長さを有しており、第2の触媒の基材は、5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する。
【0179】
好ましくは、第1の基材の長さは、第2の基材の長さより長く、第2の基材の長さに対する第1の基材の長さの比は、好ましくは、1.1:1~4:1の範囲、より好ましくは1.5:1~3.5:1の範囲、より好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲にある。
【0180】
好ましくは、第1の触媒の基材は、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。
【0181】
好ましくは、第2の触媒の基材は、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、より好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。より好ましくは、第1の触媒の基材は、22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有しており、第2の触媒の基材は、22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。
【0182】
本発明によれば、第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材、および第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材は、一緒になって、単一基材を形成し、前記単一基材が、入口端部および出口端部を備え、入口端部が、出口端部の上流に配置されており、第1の触媒のコーティングが、前記単一基材の入口端部から出口端部まで前記単一基材上に配設されており、第2の触媒のコーティングが、前記単一基材の出口端部から入口端部まで前記単一基材上に配設されており、第1の触媒のコーティングが、基材長さの25~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~75%を被覆するのが好ましいことがある。より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、基材長さの25~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆し、第2の触媒のコーティングは、基材長さの25~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆する。代替的に、より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、基材長さの50~75%、好ましくは69~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングは、基材長さの25~50%、好ましくは25~31%を被覆する。
【0183】
好ましくは、第1の触媒のコーティング、および第2の触媒のコーティングは重なる。代替として、第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングとの間に隙間が存在することが好ましい。
【0184】
本発明によれば、第1の触媒は、さらなるコーティングを好ましくは含まない。好ましくは、第1の触媒は、基材に配設されたコーティングからなる。
【0185】
本発明によれば、第2の触媒は、さらなるコーティングを含まないことが好ましい。好ましくは、第2の触媒は、基材に配設されているコーティングからなる。
【0186】
より好ましくは、第1の触媒は、基材に配設されているコーティングからなり、第2の触媒は、基材に配設されているコーティングからなる。
【0187】
本発明によれば、排気ガス処理システムは、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備え、前記インジェクタは、第1の触媒の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流に位置することが好ましい。より好ましくは、流体は、ウレア溶液、より好ましくはウレア水溶液である。
【0188】
本発明によれば、排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒、および(ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数をさらに備えるのが好ましい。
【0189】
好ましくは、排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒および微粒子フィルター、好ましくは触媒付き微粒子フィルターをさらに備え、ディーゼル酸化触媒は、入口端部および出口端部を有し、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、微粒子フィルターは、排気ガス処理システムの端部の下流の方向に、ディーゼル酸化触媒の下流に位置している。より好ましくは、(ii)による第2の触媒の出口端部は、ディーゼル酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(Ii)による第2の触媒の出口端部とディーゼル酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置しない。
【0190】
代替的に、排気ガス処理システムは、微粒子フィルターをさらに備え、微粒子フィルターは、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、好ましくは、(ii)による第2の触媒の出口端部は、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していないことが好ましい。より好ましくは、微粒子フィルターは、触媒付き微粒子フィルターである。
【0191】
本発明は、NOxの選択的接触還元、炭化水素の酸化、一酸化窒素の酸化、およびアンモニアの酸化を同時に行う方法であって、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1つまたは複数を含む、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程、
(2)本発明による排気ガスシステムに、(1)において供給された排気ガス流を通過させる工程
を含む方法に関する。
【0192】
本発明は、基材に配設されたコーティングを含む、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化のための触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料をさらに含み、酸化物材料の0~2重量%が、セリアおよびアルミナからなる触媒にさらに関する。
【0193】
好ましくは、触媒は、炭化水素(HC)酸化成分および窒素(NOx)還元成分を含む。
【0194】
コーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる。
【0195】
本発明によれば、コーティングは、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を好ましくは含む。
【0196】
本発明の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記ゼオライト材料は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。一般に、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、それらの2種以上の混合物、およびそれらの2種以上の混合タイプのフレームワーク構造を有することができる。好ましくは、コーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する。フレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、例えば、ゼオライトSSZ-13およびゼオライトSAPO-34を含み、SSZ-13が好ましい。
【0197】
本発明の文脈では、触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料、より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0198】
好ましくは、コーティングに含まれているゼオライト材料は銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲にある。より好ましくは、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、0~0.01質量%の範囲、好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある。
【0199】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびにHおよびPのうちの任意の1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0200】
好ましくは、コーティングに含まれるゼオライト材料は、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびにHおよびPのうちの任意の1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0201】
好ましくは、触媒のコーティングは、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材は、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物の混合物のうちの1種または複数をより好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、触媒のコーティングは、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、より好ましくは4.27~9.15g/l(0.07~0.15g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む。
【0202】
本発明によれば、コーティングは酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムは、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であることが好ましい。任意に、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1つまたは複数を含む。
【0203】
好ましくは、酸化バナジウムは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。
【0204】
本発明の触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製物質または金属製物質を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0205】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれらからなる触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0206】
金属製基材を含む、好ましくはこれらからなる触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。金属製物質が、鉄、クロム、アルミニウムおよび酸素のうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0207】
基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0208】
本発明によれば、触媒の基材は、基材長さを有しており、コーティングは、基材長さの20~100%、より好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されているのが好ましい。
【0209】
本発明の触媒のコーティングに含まれるパラジウムの担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、コーティングは、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、より好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。
【0210】
本発明の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料の担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。コーティングは、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~183.07g/l(2.0~3.0g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~170.87g/l(2.1~2.8g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0211】
本発明の触媒のコーティングに含まれる酸化バナジウムの担持量に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、前記担持量は、本発明の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。コーティングは、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/g/in3)の範囲、より好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含むことが好ましい。
【0212】
本発明によれば、コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材からなるのが好ましい。
【0213】
したがって、本発明は、基材に配設されたコーティングを含む、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化のための触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材をさらに含む、
触媒に好ましくは関し、
酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナからなり、コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニア、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材からなる、
【0214】
代替的に、コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有するのが好ましい。
【0215】
したがって、本発明は、基材に配設されたコーティングを含む、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化のための触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ酸化バナジウムをさらに含み、酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナからなり、コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されているパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、触媒に好ましくは関する。
【0216】
本発明によれば、触媒は、選択的接触還元(SCR)成分およびディーゼル酸化成分を含むことが好ましい。
【0217】
好ましくは、0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、コーティングに含まれ、より好ましくは、白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムの0~0.000035g/lが、コーティングに含まれる。
【0218】
好ましくは、コーティングは、白金を含まず、好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない。
【0219】
コーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料の好ましくは0~2質量%、より好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリア、アルミナおよびチタニアからなり、より好ましくは、コーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%は、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなる。
【0220】
好ましくは、コーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料は、セリア、アルミナおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない。
【0221】
触媒は、さらなるコーティングを含まないことが好ましい。好ましくは、本発明の触媒は、基材に支持されたコーティングからなる。
【0222】
本発明は、触媒、好ましくは本発明による触媒を製造する方法であって、
(a) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料であって、酸化物材料の0~2質量%がセリアおよびアルミナからなる酸化物材料、ならびに水を含む、第1の混合物を用意する工程、
(b) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(c) (a)で得られた第1の混合物、および(b)に得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(d) 基材に(c)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(e) (d)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(f) (d)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による触媒を得る工程
を含む方法にさらに関する。
【0223】
前記方法の(a)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、(a)により、パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料を含む第1の混合物が得られ、酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナ、ならびに水からなることを条件とする。好ましくは、(a)は、以下
(a.1)パラジウム前駆体、好ましくは硝酸パラジウム水溶液混合物の水性混合物と、ジルコニウムを含む酸化物材料とを混合する工程であって、酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナからなり、酸化物材料に支持されているパラジウムを得る工程
(a.2) (a.1)で得られた酸化物材料に支持されているパラジウムを焼成する工程
(a.3) (a.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む。
【0224】
より好ましくは、(a.1)によれば、パラジウム前駆体の水性混合物、好ましくは、硝酸パラジウム水溶液混合物は、酸化物材料に滴下添加される。
【0225】
好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。
【0226】
好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。より好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、3~5時間の範囲の期間、焼成される。
【0227】
パラジウムおよび酸化物材料に関すると、本発明による触媒のコーティングに関する個々の開示が言及される。
【0228】
前記方法の(b)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、(b)によれば、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されている酸化バナジウムであって、チタニアがタングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数、ならびに溶媒を含む第2の混合物が得られることを条件とする。好ましくは、(b)は、以下
(b.1)酢酸ジルコニウム源の混合物とタイプCHAのフレームワーク構造を有しており、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料とを混合する工程、またはシュウ酸バナジウム溶液を製造する工程、より好ましくは分散剤と一緒に酸化物材料を好ましくは添加する工程
(b.2)参照実施例1により決定すると、(b.1)で得られた混合物を、1~15マイクロメートルの範囲、好ましくは2~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは3.5~6マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90までミル粉砕する工程
を含む。
【0229】
ゼオライト材料および酸化バナジウムに関すると、本発明による触媒のコーティングに関する個々の開示が言及される。
【0230】
好ましくは、基材長さを有する(d)における基材へのスラリーの配設は、基材長さの20~100%、より好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%にスラリーを配設する工程を含む。
【0231】
好ましくは、(e)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、より好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥され、より好ましくは、スラリー処理済み基材は、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される。
【0232】
好ましくは、(e)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間の間、乾燥され、90~200℃の範囲、より好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を好ましくは有するガス雰囲気中、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される。
【0233】
好ましくは、(f)によれば、(d)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、300~600℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。
【0234】
好ましくは、(f)によれば、(d)で得られたスラリー処理済み基材、より好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、5~120分間の範囲、より好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。より好ましくは、(f)によれば、(d)で得られたスラリー処理済み基材、より好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、20~40分間の範囲の期間、焼成される。
【0235】
好ましくは、前記方法は、以下
(a) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料であって、酸化物材料の0~2質量%がセリアおよびアルミナからなる酸化物材料、ならびに水を含む、第1の混合物を用意する工程、
(b) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(c) (a)で得られた第1の混合物、および(b)に得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(d) 基材に(c)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(e) (d)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(f) (e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による触媒を得る工程
からなる。
【0236】
本発明は、触媒、好ましくは本発明による触媒、本発明による方法によって、好ましくは以下
(a) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料であって、酸化物材料の0~2質量%がセリアおよびアルミナからなる酸化物材料、ならびに水を含む、第1の混合物を用意する工程、
(b) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(c) (a)で得られた第1の混合物、および(b)に得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(d) 基材に(c)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(e) (d)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(f) (e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による触媒を得る工程
からなる方法により得ることができるまたは得られる、触媒にさらに関する。
【0237】
本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムにおいて、好ましくは本発明による排気ガス処理システムにおいて、第1の触媒として、本発明による触媒を使用する方法にさらに関する。
【0238】
本発明は、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化を同時に行うための、本発明による触媒を使用する方法にさらに関する。好ましくは、本触媒は、ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒およびアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数と、好ましくは本発明による触媒の下流のアンモニア酸化触媒と、より好ましくは本発明による触媒の下流のアンモニア酸化触媒およびアンモニア酸化触媒の下流のディーゼル酸化触媒とを組み合わせて使用される。
【0239】
本発明は、NOxおよび炭化水素が排気ガス流に含まれている、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化を同時に行うための方法であって、
(1)好ましくはディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2)本発明による触媒に、(1)において供給された排気ガス流を通過させる工程
を含む方法にさらに関する。
【0240】
本発明は、触媒、好ましくは本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を製造する方法であって、
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(E) (D)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(F) (D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
を含む方法にさらに関する。
【0241】
前記方法の(A)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、(A)により、パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物が得られることを条件とする。好ましくは、(A)は、以下
(A.1)パラジウム前駆体、好ましくは硝酸パラジウム水溶液混合物と、ジルコニウムを含む酸化物材料とを混合して、酸化物材料に支持されているパラジウムを得る工程;
(A.2) (A.1)で得られた酸化物材料に支持されているパラジウムを焼成する工程;
(A.3) (A.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む。
【0242】
好ましくは、(A.1)によれば、パラジウム前駆体の水性混合物、好ましくは、硝酸パラジウム水溶液混合物が、酸化物材料に滴下添加される。
【0243】
好ましくは、(A.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。
【0244】
好ましくは、(A.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。より好ましくは、(A.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、3~5時間の範囲の期間で焼成される。
【0245】
パラジウムおよび酸化物材料に関すると、本発明による排気ガス処理システムに含まれている第1の触媒のコーティングに関する個々の開示が言及される。
【0246】
前記方法の(B)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、(B)によれば、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されている酸化バナジウムであって、チタニアがタングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数、ならびに溶媒を含む第2の混合物が得られることを条件とする。好ましくは、(B)は、以下
(B.1)酢酸ジルコニウムとタイプCHAのフレームワーク構造を有しており、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料との混合物を混合する工程、または
シュウ酸バナジウムの溶液を製造する工程、より好ましくは分散剤と共に酸化物材料を好ましくは添加する工程、
(B.2) 参照実施例1により決定すると、(b.1)で得られた混合物を、1~15マイクロメートルの範囲、好ましくは2~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは3.5~6マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90までミル粉砕する工程
を含む。
【0247】
ゼオライト材料および酸化バナジウムに関すると、本発明による排気ガス処理システムに含まれている第1の触媒のコーティングに関する個々の開示が言及される。
【0248】
好ましくは、基材長さを有する、(D)における基材へのスラリーの配設は、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%でスラリーに配設する工程を含む。
【0249】
好ましくは、(E)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥され、より好ましくは、スラリー処理済み基材は、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される。
【0250】
好ましくは、(E)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間、乾燥され、90~200℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、好ましくは5~300分間、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される。
【0251】
好ましくは、(F)によれば、(D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。
【0252】
好ましくは、(F)によれば、(D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、5~120分間の範囲、好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。より好ましくは、(F)によれば、(D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、20~40分間の期間、焼成される。
【0253】
好ましくは、前記方法は、以下
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(E) (D)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(F) (E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
からなる。
【0254】
本発明は、触媒、好ましくは本発明による排気ガス処理システムに含まれ、本発明の方法による方法、好ましくは以下
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(E) (D)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(F) (E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
からなる方法による方法によって得ることができる、または得られる、第1の触媒にさらに関する。
【0255】
III.排気ガス処理システム
驚くべきことに、本発明による、以下に記載されているディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムは、費用効果が高く、かつ排気ガス温度の上昇などのエンジン測定を回避することによると同時に、環境要件を満たすほど十分な脱NOxを維持するための、HC毒に対して耐性となり、硫酸化を防止することを可能にすることがやはり見いだされた。
【0256】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングは、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、酸化バナジウムのうちの1種または複数、および銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、第2の触媒、または
入口端部および出口端部を有しており、本発明による触媒物品である第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配設されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部が、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムにさらに関する。
【0257】
好ましくは、(i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなる。より好ましくは、(i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、アルミニウムを含み、第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の、より好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる。代替的に、より好ましくは、(i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、ジルコニウムを含み、第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の、より好ましくは90~100質量%、より好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%のが、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる。
【0258】
第1の触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製物質または金属製物質を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0259】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれからなる第1の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、より好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニア、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなるのが好ましい。
【0260】
金属製基材を含む、好ましくはこれらからなる第1の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0261】
好ましくは、第1の触媒の基材は、モノリス、より好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである。
【0262】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングは、内壁上に、基材長さの20~100%にわたり、より好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されていることが好ましい。より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、内壁に基材長さの99.5~100%にわたり配設されている。
【0263】
一般に、(i)による第1の触媒のコーティングに含まれているパラジウムの担持量に関して制限はないが、但し、この担持量は、本発明の排気ガス処理システムにおける第1の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。好ましくは、第1の触媒のコーティングは、パラジウム元素として算出すると、0.18~3.53g/l(5~100g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~2.82g/l(20~80g/ft3)の範囲、より好ましくは1.06~2.47g/l(30~70g/ft3)の範囲、より好ましくは1.24~1.94g/l(35~55g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、1.41~1.77g/l(40~50g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。
【0264】
好ましくは、第1の触媒のコーティングの担持量は、12.20~305.11g/l(0.2~5g/g/in3)の範囲、より好ましくは30.51~183.07g/l(0.5~3g/in3)の範囲、より好ましくは42.72~122.05g/l(0.7~2g/in3)の範囲にある。より好ましくは、第1の触媒のコーティングの担持量は、54.92~91.54g/l(0.9~1.5g/in3)の範囲にある。
【0265】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングの99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなることが好ましい。代替的に、第1の触媒のコーティングの99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなることが好ましい。
【0266】
好ましくは、0~0.0035g/l、より好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第1の触媒のコーティングに含まれる。
【0267】
好ましくは、第1の触媒のコーティングは、白金を含まず、より好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まず、用語「含まない」は、本発明のこの文脈で使用する場合、コーティングを製造するために使用される物質のいずれか1つに存在する可能性ある不可避な不純物として、前記元素(単数または複数)しか含有しないコーティングに関する。
【0268】
好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれる0~2質量%、より好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%の酸化物材料が、セリアおよびチタニアからなる。より好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれる0~0.1質量%の酸化物材料が、セリア、チタニア、ランタナおよびバリアからなる。
【0269】
好ましくは、第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、セリアを含まず、より好ましくはセリアおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない。
【0270】
好ましくは、選択的接触還元(SCR)成分の0~0.061g/l、より好ましくは0~0.0061g/l、より好ましくは0~0.00061g/lが、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、選択的接触還元(SCR)成分の0g/lが、第1の触媒のコーティングに含まれる。
【0271】
本発明によれば、(ii)による第2の触媒のコーティングは、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0272】
本発明の文脈では、用語「ゼオライト材料」とは、フレームワーク構造タイプABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AET、AFG、AFI、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFV、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AVL、AWO、AWW、BCT、BEA、BEC、BIK、BOF、BOG、BOZ、BPH、BRE、BSV、CAN、CAS、CDO、CFI、CGF、CGS、CHA、-CHI、-CLO、CON、CSV、CZP、DAC、DDR、DFO、DFT、DOH、DON、EAB、EDI、EEI、EMT、EON、EPI、ERI、ESV、ETR、EUO、*-EWT、EZT、FAR、FAU、FER、FRA、GIS、GIU、GME、GON、GOO、HEU、IFO、IFR、-IFU、IFW、IFY、IHW、IMF、IRN、IRR、-IRY、ISV、ITE、ITG、ITH、*-ITN、ITR、ITT、-ITV、ITW、IWR、IWS、IWV、IWW、JBW、JNT、JOZ、JRY、JSN、JSR、JST、JSW、KFI、LAU、LEV、LIO、-LIT、LOS、LOV、LTA、LTF、LTJ、LTL、LTN、MAR、MAZ、MEI、MEL、MEP、MER、MFI、MFS、MON、MOR、MOZ、*MRE、MSE、MSO、MTF、MTN、MTT、MTW、MVY、MWF、MWW、NAB、NAT、NES、NON、NPO、NPT、NSI、OBW、OFF、OKO、OSI、OSO、OWE、-PAR、PAU、PCR、PHI、PON、POS、PSI、PUN、RHO、-RON、RRO、RSN、RTE、RTH、RUT、RWR、RWY、SAF、SAO、SAS、SAT、SAV、SBE、SBN、SBS、SBT、SEW、SFE、SFF、SFG、SFH、SFN、SFO、SFS、*SFV、SFW、SGT、SIV、SOD、SOF、SOS、SSF、*-SSO、SSY、STF、STI、*STO、STT、STW、-SVR、SVV、SZR、TER、THO、TOL、TON、TSC、TUN、UEI、UFI、UOS、UOV、UOZ、USI、UTL、UWY、VET、VFI、VNI、VSV、WEI、-WEN、YUG、ZON、それらの2種以上の混合物、およびそれらの2種以上の混合タイプを好ましくは有するゼオライト材料を指す。
【0273】
好ましくは、第2の触媒のコーティングは、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含み、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する。フレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、例えば、ゼオライトSSZ-13およびゼオライトSAPO-34を含み、SSZ-13が好ましい。
【0274】
本発明の文脈では、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料、より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0275】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲である。より好ましくは、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある。
【0276】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0277】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は鉄を含み、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にある。ゼオライト材料のフレームワーク構造のより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびにHおよびPのうちの任意の1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルとしてのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0278】
好ましくは、(ii)による第2の触媒のコーティングは、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材は、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、第2の触媒のコーティングは、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、好ましくは4.88~10.98g/l(0.08~0.18g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む。
【0279】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が、入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムからなり、第1の触媒コーティングが、パラジウム元素として算出すると、0.18~3.53g/l(5~100g/ft3)の範囲、好ましくは0.71~2.82g/l(20~80g/ft3)の範囲、より好ましくは1.06~2.47g/l(30~70g/ft3)の範囲、より好ましくは1.24~1.94g/l(35~55g/ft3)の範囲、より好ましくは1.41~1.77g/l(40~50g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が、入口端部および出口端部、ならびに基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有し、かつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含み、ゼオライト材料に含まれている銅の量は、CuOとして算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは、0.1~10.0質量の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲である、第2の触媒、または、
入口端部および出口端部を有する、本発明による触媒物品である第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0280】
本発明によれば、(ii)による第2の触媒のコーティングは、酸化バナジウムを含むことが好ましい。任意に、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を含む。
【0281】
好ましくは、酸化バナジウムは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する。
【0282】
好ましくは、酸化バナジウムは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。より好ましくは、酸化バナジウムは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、アンチモンを含有し、酸化バナジウムは、チタニアに支持されている。
【0283】
さらに、第2の触媒のコーティングは、白金族金属をさらに含み、白金族金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数、より好ましくはパラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数である。より好ましくは、白金族金属はパラジウムであるのが好ましい。
【0284】
好ましくは、白金族金属は、酸化物材料に支持されており、第2の触媒のコーティングに含まれている酸化物材料は、ジルコニア、シリカ、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む。より好ましくは、白金族金属は、ジルコニアに支持されている。より好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニアからなる。
【0285】
本発明によれば、ゼオライト材料が、第2の触媒のコーティングに含まれている場合、第2の触媒のコーティングは、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~183.07g/l(2.1~3g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含むのが好ましい。より好ましくは、第2の触媒のコーティングは、128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0286】
本発明によれば、酸化バナジウムが、第2の触媒のコーティングに含まれている場合、酸化バナジウムは、122~335g/l(2.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは240~300g/l(3.9~4.9g/in3)の範囲、より好ましくは262.4~280.7g/l(4.3~4.6g/in3)の範囲の担持量で存在することが好ましい。
【0287】
さらに、第2の触媒のコーティングが白金族金属を含む場合、白金族金属は、白金族金属元素として算出すると、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、より好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲の担持量で含まれることが好ましい。より好ましくは、白金族金属は、0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量で第2の触媒のコーティングに含まれる。
【0288】
本発明の第1の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料を含む。この場合、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなるのが好ましい。
【0289】
本発明の第2の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、およびジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウム、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む。この場合、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および酸化物材料に支持されているパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材からなるのが好ましい。
【0290】
本発明の第3の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含み、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。この場合、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有することが好ましい。
【0291】
本発明の第4の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウム(チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する)、およびジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含む。この場合、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウム(チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する)、および酸化物材料に支持されているパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0292】
第1および第3の好ましい態様によれば、0~0.0035g/l、より好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/l、より好ましくは0~0.0000035g/lの白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数が、第2の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.0000035g/lの白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムが、第2の触媒のコーティングに含まれているのが好ましい。より好ましくは、第2の触媒のコーティングは、白金、パラジウムおよびロジウムを含まず、より好ましくは白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない。
【0293】
本発明によれば、0~0.0035g/l、より好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/l、より好ましくは0~0.0000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムうちの1種または複数が、第2の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.0000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第2の触媒のコーティングに含まれているのが好ましい。
【0294】
好ましくは、第2の触媒のコーティングは、白金を含まず、より好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムを含まない。
【0295】
さらに、第2の触媒のコーティングが、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む場合、第2の触媒のコーティングに含まれている、0~2質量%、より好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%の、パラジウム支持酸化物材料は、セリアおよびアルミナからなり、より好ましくは第2の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%は、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなるのが好ましい。
【0296】
好ましくは、第2の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料は、セリアおよびアルミナを含まず、より好ましくはセリア、アルミナおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない。
【0297】
本発明の第2の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングが、ジルコニアに支持されているパラジウム、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む場合、前記ゼオライト材料、およびジルコニアに支持されているパラジウム、および好ましくは、前記結合材は、単一コーティングに含まれ、単一コーティングは、第2の触媒の基材の内壁の少なくとも一部に配設されているのが好ましい。
【0298】
本発明の第5の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料を含み、白金族金属は、ジルコニア、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されている、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数、より好ましくはパラジウム、ならびに好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材であり、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料および好ましくは本明細書に定義されている金属酸化物結合材が含まれているトップコート、ならびに酸化物材料に支持されている白金族金属が含まれているボトムコートからなり、ボトムコートは、第2の触媒の基材の内壁表面の少なくとも一部に配設されており、トップコートがボトムコートの上に配設されている。
【0299】
本発明の第5の好ましい態様の代替によれば、第2の触媒のコーティングは、酸化物材料に支持されている、酸化バナジウム、好ましくは酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数を含み、白金族金属は、ジルコニア、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されている、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウム、好ましくはパラジウムであり、第2の触媒のコーティングは酸化物材料に支持されている酸化バナジウムが含まれている、トップコート、および酸化物材料に支持されている白金族金属が含まれるボトムコートからなり、ボトムコートは、第2の触媒の基材の内壁表面の少なくとも一部に配設されており、トップコートは、ボトムコートの上に配設されている。
【0300】
第2の触媒のボトムコートに関すると、ボトムコートに含まれている白金族金属は、パラジウムであることが好ましい。
【0301】
好ましくは、第2の触媒のボトムコートに含まれている酸化物材料は、アルミナおよびジルコニアを含む、好ましくはこれらからなる。
【0302】
第2の触媒のボトムコートに含まれる酸化物材料の、好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%が、アルミナからなる。
【0303】
好ましくは、第2の触媒のボトムコートは、パラジウム元素として算出すると、0.035~1.41g/l(1~40g/ft3)の範囲、より好ましくは0.18~1.06g/l(5~30g/ft3)の範囲、より好ましくは0.35~0.88g/l(10~25g/ft3)の範囲、より好ましくは0.42~0.64g/l(12~18g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む。
【0304】
第2の触媒のボトムコートの好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99.5~100質量%が、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0305】
第2の触媒のトップコートに関すると、前記トップコートは、61.02~274.61g/l(1~4.5g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.10(2~4g/in3)の範囲、より好ましくは152.56~213.58g/l(2.5~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含むことが好ましい。
【0306】
第2の触媒の代替的なトップコートに関すると、前記トップコートは、91.54~335g/l(1.5~5.5g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含むことが好ましい。
【0307】
第2の触媒のボトムコートの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムからなり、前記酸化物材料の99.5~100質量%は、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなり、第2の触媒のトップコートの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材からなるのが好ましい。
【0308】
第2の触媒のボトムコートの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムからなり、前記酸化物材料の99.5~100質量%は、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなり、第2の触媒のトップコートの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、酸化物材料に支持されている酸化バナジウム、好ましくは酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数からなるのが代替として好ましい。
【0309】
第5の好ましい態様によれば、0~0.0035g/l、より好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムうちの1種または複数が、第2の触媒のボトムコートに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第2の触媒のボトムコートに含まれているのが好ましい。
【0310】
好ましくは、第2の触媒のボトムコートは、白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない。
【0311】
第5の好ましい態様によれば、0~6.10g/l、より好ましくは0~0.61g/l、より好ましくは0~0.061g/l、より好ましくは0~0.0061g/lの1種または複数のゼオライト材料および酸化バナジウムが、ボトムコートに含まれ、より好ましくは、0~0.0061g/lのゼオライト材料および酸化バナジウムは、第2の触媒のボトムコートに含まれているのが好ましい。
【0312】
本発明の第6の好ましい態様によれば、第2の触媒は、本発明による触媒物品であり、上の段落Iに定義されている通りであることが好ましい。より好ましくは、第1の触媒は、単層または第1の(上部または下部)層および第2の(上部または下部)層を含む。
【0313】
本発明の第7の好ましい態様によれば、第2の触媒は、段落IIで定義されている(i)による第1の触媒であることが好ましい。
【0314】
本発明の排気ガス処理システムに使用される第2の触媒に関すると、前記第2の触媒は、選択的接触還元(SCR)触媒であることが好ましい。代替的に、前記第2の触媒は、アンモニア酸化(AMOX)触媒であってもよい。
【0315】
本発明によれば、第2の触媒は、基材に配設されているコーティングからなることが好ましい。
【0316】
第2の触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製物質または金属製物質を含み、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0317】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれらからなる第2の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第2の触媒の所期の使用に好適である。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。より好ましくは、セラミック製基材は、コーディエライトを含む、より好ましくはこれからなる。
【0318】
金属製基材を含む、好ましくはこれからなる第2の触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる第2の触媒の所期の使用に好適である。金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0319】
第2の触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0320】
代替的に、第2の触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくは押出成形ハニカムモノリスであることが好ましいことがある。より好ましくは、押出成形ハニカムモノリスは、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタン、ならびに1種または複数の遷移金属、好ましくはCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含むことができる、より好ましくはこれからなり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンの1種または複数を任意に含む。押出成形ハニカムモノリスは、酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうちの1種または複数をさらに含有することができる。より好ましくは、第2の触媒の基材は、酸化ケイ素、ならびに酸化バナジウムおよび酸化チタンのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる押出成形ハニカムモノリスとすることができる。押出成形ハニカムモノリスは、フロースルー押出成形ハニカムモノリスであることがさらに好ましいことがある。
【0321】
さらなる代替として、第2の触媒の基材は、好ましくは波形モノリスとすることができ、波形モノリスは、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタン、ならびに1種または複数の遷移金属、好ましくはCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれからなり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含む。波形モノリスは、酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうちの1種または複数をさらに含有することができる。より好ましくは、第2の触媒の基材は、酸化ケイ素、ならびに酸化バナジウムおよび酸化チタンのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる波形モノリスとすることができる。
【0322】
本発明によれば、第1の触媒の基材は、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなり、第2の触媒の基材は、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなるのが好ましい。代替的に、第1の触媒の基材は、コーディエライトを含み、より好ましくはこれからなり、第2の触媒の基材は、コーディエライトを含み、より好ましくはこれからなるのが好ましい。
【0323】
第1の触媒および第2の触媒の基材のサイズ、すなわち長さおよび幅に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、各基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる、第1の触媒および第2の触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。
【0324】
好ましくは、第1の触媒の基材は、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、より好ましくは3.81~20.32cm(1.5~8インチ)の範囲、より好ましくは5.08~17.78cm(2~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~15.24cm(2~6インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する。
【0325】
好ましくは、第2の触媒の基材は、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、より好ましくは3.81~20.32cm(1.5~8インチ)の範囲、より好ましくは5.08~17.78cm(2~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~15.24cm(2~6インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する。
【0326】
より好ましくは、第1の触媒の基材は、5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有しており、第2の触媒の基材は、5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する。
【0327】
好ましくは、第1の触媒の基材は、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、より好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。
【0328】
好ましくは、第2の触媒の基材は、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、より好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。
【0329】
より好ましくは、第1の触媒の基材は、22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有しており、第2の触媒の基材は、22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する。
【0330】
本発明によれば、第2の触媒のコーティングは、第2の触媒の基材の内壁上に、基材長さの20~100%にわたり、より好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり配設されていることが好ましい。より好ましくは、第2の触媒のコーティングは、第2の触媒の基材の内壁に基材長さの99~100%にわたり配設されている。
【0331】
したがって、第1の触媒のコーティングは、基材長さの99~100%にわたり第1の触媒の基材の内壁に配設されており、第2の触媒のコーティングは、基材長さの99~100%にわたり第2の触媒の基材の内壁に配設されているのが好ましい。
【0332】
本発明によれば、第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材は、第1の基材であり、第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材は、第2の基材であり、第1の基材と第2の基材は、互いに異なるのが好ましい。
【0333】
代替的に、第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材、および第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材は、一緒になって、単一基材を形成し、前記単一基材が、入口端部および出口端部を備え、入口端部が、出口端部の上流に配置されており、第1の触媒のコーティングが、前記単一基材の入口端部から出口端部まで前記単一基材上に配設されており、第2の触媒のコーティングが、前記単一基材の出口端部から入口端部まで前記単一基材上に配設されており、第1の触媒のコーティングが、基材長さの5~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~95%を被覆するのが好ましい。より好ましくは、第1の触媒のコーティングは、基材長さの20~75%、より好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆し、第2の触媒のコーティングは、基材長さの25~80%、より好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆する。代替的に、第1の触媒のコーティングは、基材長さの5~60%、より好ましくは5~40%、より好ましくは8~30%、より好ましくは10~25%を被覆し、第2の触媒のコーティングは、基材長さの40~90%、好ましくは50~85%、より好ましくは75~85%を被覆する。
【0334】
好ましくは、第1の触媒のコーティング、および第2の触媒のコーティングは重なる。代替として、第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングとの間に隙間が存在することが好ましい。
【0335】
第5の好ましい態様によれば、第2の触媒のコーティングは、ボトムコートおよびトップコートからなり、第2の触媒のコーティングのボトムコートは、第2の触媒の基材の内壁に、基材長さの20~100%にわたり、より好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されており、第2の触媒のコーティングのトップコートは、ボトムコートの基材長さの20~100%にわたり、より好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されているのが好ましい。
【0336】
本発明によれば、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、より好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなるのが好ましい。
【0337】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、アルミニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングは、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0338】
第1の触媒のコーティングの好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる。
【0339】
代替的に、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなるのが好ましい。
【0340】
したがって、本発明はまた、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングは、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0341】
第1の触媒のコーティングの好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ジルコニアおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは本発明に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる。
【0342】
代替的に、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、より好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、より好ましくはこれらからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有するのが好ましい。
【0343】
したがって、本発明はまた、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、アルミニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0344】
第1の触媒のコーティングの好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、より好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。
【0345】
代替的に、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、より好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムから好ましくはなり、第2の触媒のコーティングは、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、より好ましくはこれらからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有するのが好ましい。
【0346】
したがって、本発明はまた、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、より好ましくはこれからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0347】
第1の触媒のコーティングの好ましくは99.5~100質量%、より好ましくは99.9~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する。
【0348】
本発明によれば、排気ガス処理システムは、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備え、前記インジェクタは、第1の触媒の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流に位置するのが好ましい。好ましくは、流体は、ウレア水溶液である。
【0349】
本発明によれば、代替的に、本発明の排気ガス処理システムに含まれる(ii)による第2の触媒は、入口端部および出口端部を有し、かつ基材を備え、基材は、入口端部および出口端部、ならびに基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁により画定されている複数の通路を備え、第2の触媒の基材は押出成形基材であると考えられる。
【0350】
したがって、前記代替によれば、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングは、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつ基材を含む第2の触媒であって、基材が、入口端部および出口端部、ならびに基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有し、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒の基材が押出成形基材である、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0351】
この点で、押出成形基材は、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタン、ならびに1種または複数の遷移金属、好ましくはCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれからなり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンの1種または複数を任意に含むと考えられる。押出成形基材は、酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうちの1種または複数をさらに含有することができる。より好ましくは、第2の触媒の基材は、酸化ケイ素、ならびに酸化バナジウムおよび酸化チタンのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる押出成形基材である。第2の触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることがさらに好ましい。本発明の排気ガス処理システムに使用される上述の第2の触媒に関すると、前記第2の触媒は、選択的接触還元(SCR)触媒であることが好ましい。より好ましくは、第2の触媒は、コーティングを含まない。
【0352】
本発明によれば、さらなる代替として、本発明の排気ガス処理システムに含まれる(ii)による第2の触媒は、入口端部および出口端部を有し、かつ基材を含み、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒の基材は波形基材であると考えられる。
【0353】
したがって、前記代替によれば、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングは、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつ基材を含む第2の触媒であって、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒の基材が波形基材である、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配設されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0354】
この点で、波形基材は、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化チタン、ならびに1種または複数の遷移金属、好ましくはCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれからなり、酸化バナジウムは、タングステン、鉄およびアンチモンの1種または複数を任意に含むと考えられる。波形基材は、酸化ケイ素および酸化アルミニウムのうちの1種または複数をさらに含有することができる。より好ましくは、第2の触媒の基材は、酸化ケイ素、ならびに酸化バナジウムおよび酸化チタンのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる波形基材である。第2の触媒の基材は、モノリス、好ましく波形モノリスであることがさらに好ましい。本発明の排気ガス処理システムに使用される上述の第2の触媒に関すると、前記第2の触媒は、選択的接触還元(SCR)触媒であることが好ましい。より好ましくは、第2の触媒は、コーティングを含まない。
【0355】
本発明によれば、排気ガス処理システムは、ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、(ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数をさらに備えるのが好ましい。
【0356】
好ましくは、本発明の排気ガス処理システムは、(ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒をさらに備え、アンモニア酸化触媒は、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の出口端部は、アンモニア酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とアンモニア酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。より好ましくは、アンモニア酸化触媒は、基材上に配設されているコーティングを含み、コーティングは、酸化物材料に支持されている白金族金属、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む。
【0357】
より好ましくは、前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する。
【0358】
本発明の文脈では、アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料、より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有することが好ましい。
【0359】
前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料は銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲であるのがさらに好ましい。より好ましくは、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量は、ゼオライト材料の総質量に対して、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある。
【0360】
ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびにHおよびPのうちの任意の1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルとしてのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある。
【0361】
前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料は鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量は、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、モルとしてのSiO2:Al2O3として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にあるのが好ましいことがある。
【0362】
好ましくは、前記アンモニア酸化触媒のコーティングは、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材は、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含む。より好ましくは、前記アンモニア酸化触媒のコーティングは、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、好ましくは4.88~10.98g/l(0.08~0.18g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む。
【0363】
アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる白金族金属に関すると、白金族金属は、白金、パラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数、より好ましくは白金およびパラジウムのうちの1種または複数、より好ましくは白金であることが好ましい。
【0364】
前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナ、シリカおよびジルコニアのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0365】
前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%は、アルミナからなる。
【0366】
前記アンモニア酸化触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製物質または金属製物質を含み、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0367】
セラミック製基材を含む、好ましくはこれからなる前記アンモニア酸化触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる前記アンモニア酸化触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。セラミック製物質は、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0368】
金属製物質を含む、好ましくはこれからなる前記アンモニア酸化触媒の基材に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、基材は、本発明の排気ガス処理システムに含まれる前記アンモニア酸化触媒の所期の使用に好適であることを条件とする。金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0369】
前記アンモニア酸化触媒の基材は、モノリス、より好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0370】
好ましくは、前記アンモニア酸化触媒の基材は、基材長さを有しており、前記アンモニア酸化触媒のコーティングは、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている。
【0371】
好ましくは、前記アンモニア酸化触媒のコーティングは、白金族金属元素として算出すると、0.035~0.53g/l(1~15g/ft3)の範囲、より好ましくは0.11~0.35g/l(3~10g/ft3)の範囲、より好ましくは0.16~0.32g/l(4.5~9.0g/ft3)の範囲、より好ましくは0.26~0.30g/l(7.5~8.5g/ft3)の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0372】
好ましくは、アンモニア酸化触媒のコーティングは、30.51~335.63g/l(0.5~5.5g/g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~305.12g/l(1.5~5.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.09g/l(2.0~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む。
【0373】
アンモニア酸化触媒のコーティングは、アルミナを含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくはこれらからなり、前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは75~85質量%が、アルミナ、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および本発明において定義されている金属酸化物結合材からなるのが好ましい。アンモニア酸化触媒のコーティングのより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%は、アルミナを含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくは上記の白金からなり、前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは75~85質量%は、アルミナ、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および本発明に定義されている金属酸化物結合材からなる。
【0374】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および本発明において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、第2の触媒
を備え、
(iii)基材に配設されているコーティングを含むアンモニア酸化触媒であって、コーティングは、アルミナを含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくはこれらからなり、アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは75~85質量%が、アルミナ、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および本発明において定義されている金属酸化物結合材からなる、アンモニア酸化触媒;
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されている;
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置しておらず、
(iii)によるアンモニア酸化触媒は、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、アンモニア酸化触媒は、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の出口端部は、アンモニア酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とアンモニア酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0375】
アンモニア酸化触媒は、基材に配設されているコーティングからなることが好ましい。
【0376】
代替的に、本発明の排気ガス処理システムは、好ましくは(ii)による第2の触媒の下流に位置するディーゼル酸化触媒をさらに備え、ディーゼル酸化触媒は、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の出口端部は、ディーゼル酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とディーゼル酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。より好ましくは、ディーゼル酸化触媒は、基材上に配設されているコーティングを含み、コーティングは、酸化物材料に支持されている白金族金属を含む。
【0377】
前記ディーゼル酸化触媒のコーティングに含まれる白金族金属に関すると、白金族金属は、白金、パラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数、好ましくは白金およびパラジウムのうちの1種または複数、より好ましくは白金であることが好ましい。
【0378】
前記ディーゼル酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料は、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナ、チタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0379】
前記ディーゼル酸化触媒の基材に関すると、前記基材は、セラミック製物質または金属製物質を含む、好ましくはこれらからなることが好ましい。より好ましくは、前記基材は、コーディエライト、または酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる。
【0380】
前記ディーゼル酸化触媒の基材は、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスであることが好ましい。
【0381】
好ましくは、前記ディーゼル酸化触媒の基材は、基材長さを有しており、前記ディーゼル酸化触媒のコーティングは、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている。
【0382】
好ましくは、前記ディーゼル酸化触媒のコーティングは、白金族金属元素として算出すると、0.035~1.77g/l(1~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.07~1.41g/l(2~40g/ft3)の範囲、より好ましくは0.18~1.24g/l(5~35g/ft3)の範囲、より好ましくは0.35~1.06g/l(10~30g/ft3)の範囲の担持量で白金族金属を含む。
【0383】
したがって、本発明は、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を含む第2の触媒であって、コーティングが、基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有し、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する、第2の触媒
(iii)基材に配設されているコーティングを含むディーゼル酸化触媒であって、コーティングが、アルミナ、チタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくはこれからなる、ディーゼル酸化触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配置されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部は、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒は、排気ガス処理システムに位置しておらず、
(iii)によるディーゼル酸化触媒が、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、ディーゼル酸化触媒が、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の出口端部が、ディーゼル酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とディーゼル酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システムに好ましくは関する。
【0384】
代替的に、本発明によれば、排気ガス処理システムは、微粒子フィルターを好ましくはさらに備え、微粒子フィルターは、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、好ましくは、(ii)による第2の触媒の出口端部は、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒は、排気ガス処理システムに位置していない。より好ましくは、微粒子フィルターは、触媒付き微粒子フィルターである。
【0385】
本発明は、NOxの選択的接触還元、炭化水素の酸化、一酸化窒素の酸化、およびアンモニアの酸化を同時に行う方法であって、
(1)NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1つまたは複数を含む、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2)本発明による排気ガスシステムに、(1)において供給された排気ガス流を通過させる工程
を含む方法にさらに関する。
【0386】
本発明は、触媒、好ましくは本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を製造する方法であって、
(a) パラジウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料、ならびに水を含むスラリーを用意する工程、
(b) 基材に(a)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(c) (b)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(d) (b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
を含む方法にさらに関する。
【0387】
前記方法の(a)に関すると、特定の制限は存在しないが、但し、(a)により、パラジウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料、ならびに水を含むスラリーが得られることを条件とする。好ましくは、(a)は、以下
(a.1) パラジウム前駆体の水溶液、好ましくは硝酸パラジウム水溶液と、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料とを混合して、酸化物材料に支持されているパラジウムを得る工程
(a.2) (a.1)で得られた酸化物材料に支持されているパラジウムを焼成する工程;
(a.3) (a.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む。
【0388】
より好ましくは、(a)は、(a.3)で得られた混合物を、参照実施例1により決定すると、1~20マイクロメートルの範囲、好ましくは5~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~11マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90まで(a.4)ミル粉砕する工程をさらに含む。
【0389】
好ましくは、(a.1)によれば、パラジウム前駆体の水溶液、好ましくは、硝酸パラジウム水溶液が、酸化物材料に滴下添加される。
【0390】
好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。
【0391】
好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。より好ましくは、(a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムは、570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、3~5時間の範囲の期間、焼成される。
【0392】
(a)により使用される酸化物材料およびパラジウムに関して、第1の触媒のコーティングに関して上記の個々の開示を言及する。特に、パラジウムは、ジルコニウムを含む、または代替としてアルミニウムを含むスラリー中に存在することが好ましい。
【0393】
さらに、基材長さを有する、(b)における基材へのスラリーの配設は、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%でスラリーを配設する工程を含むことが好ましい。
【0394】
(c)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、より好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で好ましくは乾燥され、より好ましくは、スラリー処理済み基材は、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される。
【0395】
さらに、(c)によれば、スラリー処理済み基材は、90~200℃の範囲、より好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間の間、好ましくは乾燥され、90~200℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、5~300分間の範囲、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される。
【0396】
さらに、(d)によれば、(b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成されるのが好ましい。
【0397】
好ましくは、(d)によれば、(b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材は、5~120分間の範囲、好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される。
【0398】
好ましくは、前記方法は、以下
(a) パラジウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料、ならびに水を含むスラリーを用意する工程、
(b) 基材に(a)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(c) (b)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(d) (c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、本発明による排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
からなる。
【0399】
IV.実施形態
本発明は、以下の第1の組の実施形態、ならびに表示されている従属および前方参照から得られる実施形態の組合せによって例示される。第1の組の実施形態は、以下の第2の組の実施形態および第3の組の実施形態のうちのいずれか1つと組み合わされてもよい。さらに、例えば、「実施形態1~4のいずれか1つの触媒物品(または排気ガス処理システム)」などの用語の文脈において、ある範囲の実施形態が言及されている各場合において、この範囲における実施形態はそれぞれ、当業者に対して明示的に開示されていることが意図されており、すなわち、この用語の言い回しは、「実施形態1、2、3および4のいずれか1つの触媒物品(または排気ガス処理システム)」と同義であると当業者により理解されるべきであることに留意されたい。
【0400】
1. その上に配設されている触媒組成物を有する基材であって、触媒組成物が、多孔質支持体に含浸させた白金族金属(PGM)、および選択的接触還元(SCR)触媒を含む基材を含む触媒物品であって、
触媒組成物が、白金(Pt)を実質的に含まず、
窒素酸化物(NOx)および炭化水素(HC)の低減に有効な、
触媒物品。
【0401】
2. PGMが、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)またはそれらの組合せ、好ましくはパラジウムまたはロジウムである、実施形態1の触媒物品。
【0402】
3. PGMが、PGM元素として算出すると、約0.1~100g/ft3、好ましくは1~50g/ft3、より好ましくは1~30g/ft3、より好ましくは5g/ft3~約25g/ft3の担持量を有する、実施形態1または2の触媒物品。
【0403】
4. 多孔質支持体が、耐熱性金属酸化物材料を含む、実施形態1~3のいずれか1つの触媒物品。
【0404】
5. 耐熱性金属酸化物材料が、セリア、ジルコニア、イットリア、ランタナ、ネオジミア、プラセオジミアまたはそれらの組合せを含む、実施形態4の触媒物品。
【0405】
6. 耐熱性金属酸化物材料が、セリア-ジルコニア複合体を含む、実施形態4または5の触媒物品。
【0406】
7. セリア-ジルコニア複合体のセリアおよびジルコニアが、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して、約5~約75質量%の範囲の量でそれぞれ存在する、実施形態6の触媒物品。
【0407】
8. セリア-ジルコニア複合体のセリアおよびジルコニアが、セリア-ジルコニア複合体の総質量に対して、約25~約60質量%の範囲の量でそれぞれ存在する、実施形態6の触媒物品。
【0408】
9. 耐熱性金属酸化物材料がアルミナである、実施形態4の触媒物品。
【0409】
10. SCR触媒が、混合金属酸化物成分を含む、実施形態1~9のいずれか1つの触媒物品。
【0410】
11. 混合金属酸化物成分が、FeTiO3、FeAl2O3、MgTiO3、MgAlO3、MnOx/TiO2、CuTiO3、CeZrO2、TiZrO2、V2O5/TiO2およびそれらの混合物から選択される、実施形態10の触媒物品。
【0411】
12. 混合金属酸化物成分が、チタニアおよびバナジアを含む、実施形態10または11の触媒物品。
【0412】
13. バナジアが、金属酸化物混合物の総質量に対して、約1~約10質量%の範囲の量で混合金属酸化物成分中に存在する、実施形態11または12の触媒物品。
【0413】
14. 混合金属酸化物成分が、タングステン(W)をさらに含む、実施形態10~13のいずれか1つの触媒物品。
【0414】
15. SCR触媒が金属イオン交換モレキュラーシーブを含む、実施形態1~14のいずれか1つの触媒物品。
【0415】
16、 金属が、Cu、Co、Ni、La、Mn、Fe、V、Ag、Ce、Nd、Mo、Hf、Y、Wおよびそれらの組合せから選択される、実施形態15の触媒物品。
【0416】
17. 金属が、Cu、Feまたはそれらの組合せである、実施形態16の触媒物品。
【0417】
18. 金属が、金属酸化物として算出すると、イオン交換モレキュラーシーブの質量に対して、約0.1%~約10質量%の量で存在する、実施形態15~17のいずれか1つの触媒物品。
【0418】
19. モレキュラーシーブがゼオライトである、実施形態15~18のいずれか1つの触媒物品。
【0419】
20. ゼオライトが、AEI、AFT、AFV、AFX、AVL、CHA、DDR、EAB、EEI、ERI、IFY、IRN、KFI、LEV、LTA、LTN、MER、MWF、NPT、PAU、RHO、RTE、RTH、SAS、SAT、SAV、SFW、TSCおよびUFIおよびそれらの組合せから選択されるフレームワーク構造タイプを有する、実施形態19の触媒物品。
【0420】
21. フレームワーク構造タイプがCHAである、実施形態20の触媒物品。
【0421】
22. より好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有する、触媒組成物中に含まれるゼオライトが、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態19~21のいずれか1つの触媒物品。
【0422】
23. 多孔質支持体に含浸させた白金族金属が、ジルコニアに含浸させたパラジウムであり、SCR触媒が、混合金属酸化物、ならびにCuおよびFeのうちの1種または複数を含むゼオライトのうちの1種または複数を含む、実施形態1~22のいずれか1つの触媒物品。
【0423】
24. SCR触媒が、Cuを含むゼオライト、好ましくはフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライトを含む、実施形態23の触媒物品。
【0424】
25. 基材がハニカム基材である、実施形態1~24のいずれか1つの触媒物品。
【0425】
26. ハニカム基材が金属またはセラミックである、実施形態25の触媒物品。
【0426】
27. ハニカム基材が、フロースルー基材またはウォールフローフィルターである、実施形態25または26の触媒物品。
【0427】
28. 触媒組成物が、第1の層および第2の層を含み、第1の層がSCR触媒を含み、第2の層が、多孔質支持体に含浸させたPGMを含む、実施形態1~27のいずれか1つの触媒物品。
【0428】
29. 第1の層が基材に直接、配設されており、第2の層が第1の層の上部に配設されている、実施形態28の触媒物品、
【0429】
30. 第2の層が基材に直接、配設されており、第1の層が第2の層の上部に配設されている、実施形態28の触媒物品。
【0430】
31. 第1の層および第2の層が、ゾーン構成で、基材上に直接、配設されている、実施形態28の触媒物品。
【0431】
32. 第1の層のSCR触媒が、金属酸化物混合物、ならびにCuおよびFeのうちの1種または複数、好ましくは金属酸化物混合物、より好ましくはV2O5/TiO2を含む、実施形態28~31のいずれか1つの触媒物品。
【0432】
33. 多孔質支持体に含浸させたPGMが、セリア-ジルコニアに含浸させたパラジウムまたはロジウムである、実施形態28~32のいずれか1つの触媒物品。
【0433】
34. 基材が、入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、触媒組成物が、第1の層および第2の層を含み、第1の層が、多孔質支持体に含浸させたPGMを含み、第2の層が、SCR触媒を含む、実施形態1~27のいずれか1つの触媒物品。
【0434】
35. 第1の層が、基材の入口端部から出口端部まで、基材長さの5~95%にわたり延在しており、第2の層が、出口端部から入口端部まで、基材長さの5~95%にわたり延在している、実施形態34の触媒物品。
【0435】
36. 第1の層が、基材の入口端部から出口端部まで、基材長さの20~80%、好ましくは30~70%、より好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたり延在しており、第2の層が、出口端部から入口端部まで、基材長さの20~80%、好ましくは30~70%、より好ましくは40~60%、より好ましくは45~55%にわたり延在している、実施形態34または35の触媒物品。
【0436】
37. 第1の層が、ジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数に含浸させたパラジウムを含む、実施形態34~36のいずれか1つの触媒物品。
【0437】
38. 第1の層が、パラジウム元素として算出すると、5~100g/ft3の範囲、好ましくは0.71~2.82g/l(20~80g/ft3)の範囲、より好ましくは1.06~2.47g/l(30~70g/ft3)の範囲、より好ましくは1.24~1.94g/l(35~55g/ft3)の範囲、より好ましくは1.41~1.77g/l(40~50g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、実施形態34~37のいずれか1つの触媒物品。
【0438】
39. 第1の層の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数に含浸させたパラジウムからなる、実施形態34~38のいずれか1つの触媒物品。
【0439】
40. SCR触媒が、Cuを含むゼオライト、好ましくは構造タイプCHAを有するゼオライトを含む、実施形態34~39のいずれか1つの触媒物品。
【0440】
41. 第2の層が、金属酸化物結合材、好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材をさらに含む、実施形態34~40のいずれか1つの触媒物品。
【0441】
42. 第2の層の98~100質量%、好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、Cuを含むゼオライト、好ましくは構造タイプCHAを有するゼオライト、および実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材からなる、実施形態34~41のいずれか1つの触媒物品。
【0442】
43. 触媒組成物が、単層を含む、好ましくはこれからなる、実施形態1~27のいずれか1つの触媒物品。
【0443】
44. 実施形態1’~87’のいずれか1つによる排気ガス処理システムの、(i)による第1の触媒である、実施形態1~43のいずれか1つの触媒物品。
【0444】
45. 実施形態1°~113°のいずれか1つによる排気ガス処理システムの、(ii)による第2の触媒である、実施形態1~43のいずれか1つの触媒物品。
【0445】
46. ガス流に実施形態1~45のいずれか1つによる触媒物品を接触させて、こうして、排気ガス流中の窒素酸化物(NOx)および炭化水素(HC)が低減される工程を含む、排気ガス流を処理する方法。
【0446】
47. 排気ガス流の処理のための排出物処理システムであって、
排気ガス流を生成するエンジン;
排気ガス流と流体連通している、エンジンの下流に位置し、排気流内のNOxおよびHCを低減するようになされて、処理済み排気ガス流を形成する、実施形態1~45のいずれか1つの触媒物品;および
触媒物品の上流の排気ガス流に還元剤を添加するようになされているインジェクタ
を備える、排出物処理システム。
【0447】
48. 触媒物品を介在しないでエンジンから生成したエンジン排気ガス流を触媒物品が直接、受け取るように位置付けられている、実施形態47の排出物処理システム。
【0448】
49. 排気ガス流に炭化水素を添加するようになされているインジェクタであって、触媒物品の上流に位置するインジェクタをさらに備える、実施形態47または48の排出物処理システム。
【0449】
50. 触媒物品より下流に位置するディーゼル酸化触媒をさらに備える、実施形態47~49のいずれか1つの排出物処理システム。
【0450】
51. 触媒物品より下流に位置する煤フィルターをさらに備える、実施形態47~49のいずれか1つの排出物処理システム。
【0451】
52. エンジンがディーゼルエンジンである、実施形態47~51のいずれか1つの排出物処理システム。
【0452】
53. 還元剤が、アンモニアまたはアンモニア前駆体を含む、実施形態47~52のいずれか1つの排出物処理システム。
【0453】
54. ディーゼルエンジンを出た排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
入口端部および出口端部を有する、実施形態31から42のいずれか1つの触媒物品
を備え、
触媒物品が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒物品であり、触媒物品の入口端部が、触媒物品の出口端部の上流に配置されている、
排気ガス処理システム。
【0454】
55. ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、触媒物品の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1つまたは複数をさらに備える、実施形態54の排気ガス処理システム。
【0455】
56. 触媒物品の下流に位置するアンモニア酸化触媒をさらに備え、アンモニア酸化触媒が、入口端部および出口端部を有しており、触媒物品の出口端部が、アンモニア酸化触媒の入口端部と流体連通しており、触媒物品の出口端部とアンモニア酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、実施形態54または55の排気ガス処理システム。
【0456】
57. アンモニア酸化触媒が、実施形態93°~111°のいずれか1つに定義されている通りである、実施形態56の排気ガス処理システム。
【0457】
58. 微粒子フィルターをさらに備える実施形態54~57のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、微粒子フィルターが、入口端部および出口端部を有しており、触媒物品の下流に位置しており、好ましくは、触媒物品の出口端部が、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、触媒物品の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システム。
【0458】
59. 微粒子フィルターが触媒付き微粒子フィルターである、実施形態58の排気ガス処理システム。
【0459】
60. ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備える、実施形態54~59のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、前記インジェクタが、触媒物品の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流に好ましくは位置する、排気ガス処理システム。
【0460】
61. 流体が、ウレア水溶液である、実施形態60の排気ガス処理システム。
【0461】
本発明は、以下の第2の組の実施形態、ならびに表示されている従属および前方参照から得られる実施形態の組合せによってさらに例示される。第2の組の実施形態は、上記の第1の組の実施形態および以下の第3の組の実施形態のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0462】
1’. ディーゼルエンジンを出た排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第1の触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、かつ酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第1の触媒、または
入口端部および出口端部を有しており、かつ実施形態1~43のいずれか1つの触媒物品である第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、基材に配設されているコーティングを含む第2の触媒であって、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属を含み、かつ酸化バナジウム、酸化タングステン、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含む、第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配設されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配列されている、
排気ガス処理システム。
【0463】
2’. (i)による第1の触媒の出口端部が、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、実施形態1’の排気ガス処理システム。
【0464】
3’. 第1の触媒が、炭化水素(HC)酸化成分および窒素酸化物(NOx)還元成分を含む、実施形態1’または2’の排気ガス処理システム。
【0465】
4’. 第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる、実施形態1’~3’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0466】
5’. (i)による第1の触媒のコーティングが、銅および鉄のちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、実施形態1’~4’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0467】
6’. 第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、実施形態1’~5’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0468】
7’. 好ましくはフレームワークタイプCHAを有する、第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態1’~6’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0469】
8’. 第1の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料が銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲であり、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、より好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある、実施形態5’~7’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0470】
9’. ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態7’または8’の排気ガス処理システム。
【0471】
10’. 第1の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態1’~6’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0472】
11’. 第1の触媒のコーティングが、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材が、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
第1の触媒のコーティングが、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、より好ましくは4.27~9.15g/l(0.07~0.15g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材をより好ましくは含む、実施形態1’~10’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0473】
12’. (i)による第1の触媒のコーティングが、酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムが、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1’~11’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0474】
13’. 酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態12’の排気ガス処理システム。
【0475】
14’. 第1の触媒の基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態1’~13’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0476】
15’. 第1の触媒の基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなり、または
第1の触媒の基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1’~14’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0477】
16’. 第1の触媒の基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態1’~15’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0478】
17’. 第1の触媒の基材が、基材長さを有しており、第1の触媒のコーティングが、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている、実施形態1’~16’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0479】
18’. 第1の触媒のコーティングが、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、実施形態1’~17’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0480】
19’. 第1の触媒のコーティングが、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/in3)の範囲、好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~183.07g/l(2.0~3.0g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~170.87g/l(2.1~2.8g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態1’~18’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0481】
20’. 第1の触媒のコーティングが、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/in3)の範囲、好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含む、実施形態1’~19’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0482】
21’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されたパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、
前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態11’に定義されている金属酸化物結合材からなる、実施形態1’~20’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0483】
22’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されたパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1’~20’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0484】
23’. 第1の触媒が、選択的接触還元(SCR)成分およびディーゼル酸化成分を有する、実施形態1’~22’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0485】
24’. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第1の触媒のコーティングに含まれる、実施形態1’~23’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0486】
25’. 第1の触媒のコーティングが、白金を含まず、好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない、実施形態1’~23’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0487】
26’. 第1の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料の0~2質量%、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリアおよびアルミナからなり、より好ましくは第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%が、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなるか、または
第1の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料が、セリアおよびアルミナを含まず、好ましくはセリア、アルミナおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない、実施形態1’~25’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0488】
27’. 第1の触媒が、実施形態1~30および43のいずれか1つによる触媒物品である、実施形態1’の排気ガス処理システム。
【0489】
28’. (ii)による第2の触媒が、窒素酸化物(NOx)還元成分およびアンモニア酸化成分を含む、実施形態1’~27’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0490】
29’. (ii)による第2の触媒が、アンモニア酸化(AMOX)触媒である、実施形態1’~28’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0491】
30’. (ii)による第2の触媒のコーティングが、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、実施形態1’~29’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0492】
31’. 第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、実施形態1’~30’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0493】
32’. 好ましくはフレームワークタイプCHAを有する、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態1’~31’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0494】
33’. 第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料が銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲であり、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、より好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある、実施形態30’~32’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0495】
34’. ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態30’~33’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0496】
35’. 第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態30’~32’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0497】
36’. 第2の触媒のコーティングが、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材が、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
第2の触媒のコーティングが、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、より好ましくは4.27~9.15g/l(0.07~0.15g/in3)の範囲の担持量でコーティングに金属酸化物結合材をより好ましくは含む、実施形態1’~35’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0498】
37’. 第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属が、白金、パラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数、好ましくは白金およびパラジウムのうちの1種または複数である、実施形態1’~36’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0499】
38’. 第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属が、白金とパラジウムとの混合物であり、
第2の触媒のコーティングに含まれる白金:パラジウムの質量比が、白金元素およびパラジウム元素として算出すると、好ましくは1:1~30:1の範囲、より好ましくは5:1~20:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある、実施形態37’の排気ガス処理システム。
【0500】
39’. 第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属が白金である、実施形態37’の排気ガス処理システム。
【0501】
40’. 第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属を支持する酸化物材料が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナ、シリカおよびジルコニアのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む、これらから好ましくはなる、実施形態1’~39’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0502】
41’. 第2の触媒のコーティングに含まれる白金族金属を支持する酸化物材料の20~100質量%、好ましくは40~100質量%、より好ましくは60~100質量%、より好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%が、アルミナからなる、実施形態1’~40’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0503】
42’. 第2の触媒のコーティングが、酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムが、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1’~41’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0504】
43’. 酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態42’の排気ガス処理システム。
【0505】
44’. 第2の触媒のコーティングが、酸化タングステンを含み、酸化タングステンが、好ましくは三酸化タングステンであり、酸化タングステンは、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含む、実施形態1’~43’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0506】
45’. 酸化タングステンが、チタンおよびジルコニウムのうちの1つまたは複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている、実施形態44’の排気ガス処理システム。
【0507】
46’. 第2の触媒のコーティングが、酸化バナジウムおよび酸化タングステンを含み、酸化タングステンが、三酸化タングステンであり、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有し、酸化タングステンが、チタンおよびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタニアおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されている、実施形態1’から45’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0508】
47’. 第2の触媒の基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態1’~46’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0509】
48’. 第2の触媒の基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1’~47’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0510】
49’. 第2の触媒の基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1’~47’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0511】
50’. 第2の触媒の基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態1’~49’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0512】
51’. 第2の触媒の基材が、基材長さを有しており、第2の触媒のコーティングが、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている、実施形態1’~50’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0513】
52’. 第2の触媒のコーティングが、白金族金属元素として算出すると、0.035~0.53g/l(1~15g/ft3)の範囲、好ましくは0.11~0.35g/l(3~10g/ft3)の範囲、より好ましくは0.16~0.32g/l(4.5~9.0g/ft3)の範囲、より好ましくは0.26~0.30g/l(7.5~8.5g/ft3)の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態1’~51’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0514】
53’. 第2の触媒のコーティングが、30.51~335.63g/l(0.5~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~305.12g/l(1.5~5.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.09g/l(2.0~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態1’~52’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0515】
54’. 第2の触媒のコーティングが、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/in3)の範囲、好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムおよび酸化タングステンのうちの1種または複数を含む、実施形態1’~53’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0516】
55’. 第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料の表面に白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実際形態1’~38’および47’~53’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0517】
56’. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料の表面に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実際形態1’~55’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0518】
57’. 第1の触媒のコーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および実施形態11’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなり、
第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持された白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含み、好ましくはこれらからなる、実際形態1’~55’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0519】
58’. 第1の触媒のコーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムが、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、
第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持された白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含み、好ましくはこれらからなる、実施形態1’~55’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0520】
59’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアからなる酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されているパラジウム、ならびに好ましくは実施形態11’において定義されている金属酸化物結合材を含み、
第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲にある)、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実施形態57’の排気ガスシステム。
【0521】
60’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアからなる酸化物材料およびチタニアに支持されている酸化バナジウムに支持されているパラジウムを含み、酸化バナジウムが、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、
第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金とパラジウムとの混合物(パラジウムに対する白金の質量比は、Pt:Pdとして算出すると、好ましくは5:1~15:1の範囲、より好ましくは8:1~12:1の範囲、より好ましくは9:1~11:1の範囲となる)、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実施形態58’の排気ガスシステム。
【0522】
61’. 第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実際形態1’~54’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0523】
62’. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実際形態1’~54’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0524】
63’. 第1の触媒のコーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および実施形態11’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなり、
第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実際形態1’~54’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0525】
64’. 第1の触媒のコーティングが、ジルコニウムを含む、好ましくはジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、酸化バナジウムが、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、
第2の触媒のコーティングが、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1’~54’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0526】
65’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウム、タイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料、および好ましくは実施形態11’において定義されている金属酸化物結合材を含み、
第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実施形態63’の排気ガスシステム。
【0527】
66’. 第1の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアからなる酸化物材料に支持されているパラジウムおよびチタニアに支持されている酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムが、より好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有し、
第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、ジルコニアとアルミナとの混合物を含む酸化物材料およびタイプCHAのフレームワーク構造を有しておりかつ銅を含むゼオライト材料に支持されている白金、および好ましくは実施形態36’において定義されている金属酸化物結合材を含む、実施形態64’の排気ガスシステム。
【0528】
67’. 第1の触媒の基材が、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなり、第2の触媒の基材が、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなる、実施形態1’~66’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0529】
68’. 第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材が、第1の基材であり、第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材が、第2の基材であり、第1の基材と第2の基材が互いに異なる、実施形態1’~67’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0530】
69’. 第1の触媒の基材が、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、好ましくは5.08~20.32cm(2~8インチ)の範囲、より好ましくは10.16~19.05cm(4~7.5インチ)の範囲、より好ましくは12.7~17.78cm(5~7インチ)の範囲の基材長さを有する、実施形態1’~68’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0531】
70’. 第2の触媒の基材が、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、好ましくは3.81~17.78cm(1.5~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~12.7cm(2~5インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する、実施形態1’~69’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0532】
71’. 第1の基材の長さが、第2の基材の長さより長く、第2の基材の長さに対する第1の基材の長さの比が、好ましくは1.1:1~4:1の範囲、好ましくは1.5:1~3.5:1の範囲、より好ましくは1.9:1~2.1:1の範囲にある、実施形態69’または70’の排気ガス処理システム。
【0533】
72’. 第1の触媒の基材が、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する、実施形態1’~71’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0534】
73’. 第2の触媒の基材が、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する、実施形態1’~72’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0535】
74’. 第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材、および第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材が、一緒になって、単一基材を形成し、前記単一基材が、入口端部および出口端部を備え、入口端部が、出口端部の上流に配置されており、第1の触媒のコーティングが、前記単一基材の入口端部から出口端部まで前記単一基材に配設されており、第2の触媒のコーティングが、前記単一基材の出口端部から入口端部まで前記単一基材に配設されており、第1の触媒のコーティングが、基材長さの25~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~75%を被覆する、実施形態1’~67’および69’~73’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0536】
75’. 第1の触媒のコーティングが、基材長さの25~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~70%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆する、実施形態74’の排気ガス処理システム。
【0537】
76’. 第1の触媒のコーティングが、基材長さの50~75%、好ましくは69~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~50%、好ましくは25~31%を被覆する、実施形態74’の排気ガス処理システム。
【0538】
77’. 第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングが重なる、実施形態74’~76’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0539】
78’. 第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングとの間に隙間がある、実施形態74’~76’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0540】
79’. 第1の触媒が、さらなるコーティングを含まない、実施形態1’~78’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0541】
80’. 第2の触媒が、さらなるコーティングを含まない、実施形態1’~79’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0542】
81’. ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備える、実施形態1’~80’のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、前記インジェクタが、第1の触媒の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流に位置する、排気ガス処理システム。
【0543】
82’. 流体が、ウレア水溶液である、実施形態81’の排気ガス処理システム。
【0544】
83’. ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒、および(ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数をさらに備える、実施形態1’~82’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0545】
84’. 微粒子フィルターをさらに備える実施形態1’~83’のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、微粒子フィルターが、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、好ましくは、(ii)による第2の触媒の出口端部が、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システム。
【0546】
85’. 微粒子フィルターが触媒付き微粒子フィルターである、実施形態84’の排気ガス処理システム。
【0547】
86’. ディーゼル酸化触媒および微粒子フィルター、好ましくは触媒付き微粒子フィルターを備える実施形態83’の排気ガス処理システムであって、ディーゼル酸化触媒が、入口端部および出口端部を有し、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、微粒子フィルターが、排気ガス処理システムの下流端部の方向に、ディーゼル酸化触媒の下流に位置している、排気ガス処理システム。
【0548】
87’. (ii)による第2の触媒の出口端部が、ディーゼル酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とディーゼル酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置しない、実施形態86’の排気ガス処理システム。
【0549】
88’. NOxの選択的接触還元、炭化水素の酸化、一酸化窒素の酸化およびアンモニアの酸化を同時に行う方法であって、
(1) NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1つまたは複数を含む、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2) 実施形態1’~87’のいずれか1つの排気ガスシステムに、(1)で供給される排気ガス流を通過させる工程
を含む方法。
【0550】
89’. 基材に配設されたコーティングを含む、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化のための触媒であって、コーティングが、ジルコニウムを含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数をさらに含み、
酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナからなる、触媒。
【0551】
90’. 炭化水素(HC)酸化成分および窒素(NOx)還元成分を含む、実施形態89’の触媒。
【0552】
91’. コーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる、実施形態89’または90’の触媒。
【0553】
92’. コーティングが、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、実施形態89’~91’のいずれか1つの触媒。
【0554】
93’. コーティングに含まれるゼオライト材料が、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有しており、タイプCHAのフレームワーク構造を有するゼオライト材料が、より好ましくはゼオライトSSZ-13である、実施形態92’の触媒。
【0555】
94’. 好ましくはフレームワークタイプCHAを有する、触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態92’または93’の触媒。
【0556】
95’. コーティングに含まれているゼオライト材料が銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲であり、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、より好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある、実施形態92’~94’のいずれか1つの触媒。
【0557】
96’. ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態93’~95’のいずれか1つの触媒。
【0558】
97’. コーティングに含まれるゼオライト材料が、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態92’~94’のいずれか1つの触媒。
【0559】
98’. コーティングが、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材が、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
コーティングが、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、より好ましくは4.27~9.15g/l(0.07~0.15g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む、実施形態89’~97’のいずれか1つの触媒。
【0560】
99’. コーティングが、酸化バナジウムを含み、酸化バナジウムが、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態89’~98’のいずれか1つの触媒。
【0561】
100’. 酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態99’の触媒。
【0562】
101’. 基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態89’~100’のいずれか1つの触媒。
【0563】
102’. 基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態89’~101’のいずれか1つの触媒。
【0564】
103’. 基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、鉄、クロム、アルミニウムおよび酸素のうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態89’~102’のいずれか1つの触媒。
【0565】
104’. 基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態89’~103’のいずれか1つの触媒。
【0566】
105’. 基材が、基材長さを有しており、コーティングが、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている、実施形態89’~104’のいずれか1つの触媒。
【0567】
106’. コーティングが、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、実施形態89’~105’のいずれか1つの触媒。
【0568】
107’. コーティングが、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/in3)の範囲、好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~183.07g/l(2.0~3.0g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~170.87g/l(2.1~2.8g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態89’~106’のいずれか1つの触媒。
【0569】
108’. コーティングが、122.04~366.14g/l(2.0~6.0g/in3)の範囲、好ましくは183.07~335.63g/l(3.0~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは244.1~305.12g/l(4.0~5.0g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含む、実施形態89’~107’のいずれか1つの触媒。
【0570】
109’. コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されたパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、
前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態98’に定義されている金属酸化物結合材からなる、実施形態89’~98’および101’~107’のいずれか1つの触媒。
【0571】
110’. コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されたパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニア、およびチタニアに支持されている酸化バナジウムからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態89’~91’、99’~106’および108’のいずれか1つの触媒。
【0572】
111’. 選択的接触還元(SCR)成分およびディーゼル酸化成分を含む、実施形態89’~110’のいずれか1つの触媒。
【0573】
112’. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、コーティングに含まれ、より好ましくは、白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムの0~0.000035g/lが、コーティングに含まれる、実施形態89’~111’のいずれか1つの触媒。
【0574】
113’. コーティングが、白金を含まず、好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない、実施形態89’~112’のいずれか1つの触媒。
【0575】
114’. コーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料の0~2質量%、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリア、アルミナおよびチタニアからなり、コーティングに含まれる酸化物材料のより好ましくは0~0.1質量%が、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなる、実施形態89’~113’のいずれか1つの触媒。
【0576】
115’. コーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料が、セリア、アルミナおよびチタニアを含まず、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない、実施形態89’~114’のいずれか1つの触媒。
【0577】
116’. さらなるコーティングを含まない、実施形態89’~115’のいずれか1つの触媒。
【0578】
117’. 触媒、好ましくは実施形態89’~116’のいずれか1つによる触媒を製造する方法であって、
(a) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料であって、酸化物材料の0~2質量%がセリアおよびアルミナからなる酸化物材料、ならびに水を含む、第1の混合物を用意する工程、
(b) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程
(c) (a)で得られた第1の混合物、および(b)に得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(d) 基材に(c)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(e) (d)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(f) (d)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、実施形態89’~116’のいずれか1つによる触媒を得る工程
を含む方法。
【0579】
118’. (a)が、
(a.1)パラジウム前駆体、好ましくは硝酸パラジウム水溶液混合物の水性混合物と、ジルコニウムを含む酸化物材料とを混合する工程であって、酸化物材料の0~2質量%が、セリアおよびアルミナからなり、酸化物材料に支持されたパラジウムを得る工程
(a.2) (a.1)で得られた酸化物材料に支持されたパラジウムを焼成する工程
(a.3) (a.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む、実施形態117’の方法。
【0580】
119’. (a.1)によれば、パラジウム前駆体の水性混合物、好ましくは、硝酸パラジウム水溶液混合物が、酸化物材料に滴下添加される、実施形態118’の方法。
【0581】
120’. (a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態118’または119’の方法。
【0582】
121’. (a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態118’~120’のいずれか1つの方法。
【0583】
122’. (b)が、
(b.1) 酢酸ジルコニウムとタイプCHAのフレームワーク構造を有しており、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料との混合物を混合する工程、またはシュウ酸バナジウム溶液を用意する工程、より好ましくは分散剤と一緒に酸化物材料を好ましくは添加する工程
(b.2) 参照実施例1により決定すると、(b.1)で得られた混合物を、1~15マイクロメートルの範囲、好ましくは2~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは3.5~6マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90までミル粉砕する工程
を含む、実施形態117’~121’のいずれか1つの方法。
【0584】
123’. (d)における基材長さを有する基材へのスラリーの配設が、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%でスラリーを配設する工程を含む、実施形態117’~122’のいずれか1つの方法。
【0585】
124’. (e)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥され、より好ましくは、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される、実施形態117’~123’のいずれか1つの方法。
【0586】
125’.(e)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間、乾燥され、90~200℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、5~300分間の範囲、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される、実施形態117’~124’のいずれか1つの方法。
【0587】
126’. (f)によれば、(d)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態117’~125’のいずれか1つの方法。
【0588】
127’. (f)によれば、(d)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、5~120分間の範囲、好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態117’~126’のいずれか1つの方法。
【0589】
128’. 以下
(a) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料であって、酸化物材料の0~2質量%がセリアおよびアルミナからなる酸化物材料、ならびに水を含む、第1の混合物を用意する工程、
(b) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(c) (a)で得られた第1の混合物、および(b)に得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(d) 基材に(c)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(e) (d)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(f) (e)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、実施形態89’~116’のいずれか1つによる触媒を得る工程
からなる、実施形態117’~127’のいずれか1つの方法。
【0590】
129’. 触媒、好ましくは実施形態89’~116’のいずれか1つによる触媒、実施形態117’~128’のいずれか1つによる、好ましくは実施形態128’による方法によって得ることができるまたは得られる、触媒。
【0591】
130’. ディーゼルエンジンを出る排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムにおける、好ましくは実施形態1’~87’のいずれか1つによる排気ガス処理システムにおける、第1の触媒として、実施形態89’~116’、または129’のいずれか1つによる触媒を使用する方法。
【0592】
131’. NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化を同時に行うための、実施形態89’~116’、または129’のいずれか1つによる触媒を使用する方法。
【0593】
132’. 触媒が、ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒およびアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数、好ましくは実施形態89’~116’または129’のいずれか1つによる触媒の下流のアンモニア酸化触媒と、より好ましくは実施形態89’~116’または129’のいずれか1つによる触媒の下流のアンモニア酸化触媒、およびアンモニア酸化触媒の下流のディーゼル酸化触媒と組み合わせて使用される、実施形態131’の使用する方法。
【0594】
133’. NOxおよび炭化水素が排気ガス流に含まれている、NOxの選択的接触還元および炭化水素の酸化を同時に行うための方法であって、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2) 実施形態89’~116’、または129’のいずれか1つによる触媒に、(1)で供給された排気ガス流を通過させる工程
を含む方法。
【0595】
134’. 触媒、好ましくは実施形態1’~86’のいずれか1つの排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を製造する方法であって、
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(E) (D)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(F) (D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、実施形態1’~87’のいずれか1つの排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
を含む方法。
【0596】
135’. (A)が、
(A.1)パラジウム前駆体、好ましくは硝酸パラジウム水溶液混合物の水性混合物と、ジルコニウムを含む酸化物材料とを混合する工程であって、酸化物材料に支持されたパラジウムを得る工程
(A.2) (A.1)で得られた酸化物材料に支持されたパラジウムを焼成する工程
(A.3) (A.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む、実施形態134’の方法。
【0597】
136’. (A.1)によれば、パラジウム前駆体の水性混合物、好ましくは、硝酸パラジウム水溶液混合物が、酸化物材料に滴下添加される、実施形態135’の方法。
【0598】
137’. (A.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態135’または136’の方法。
【0599】
138’. (A.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態135’~137’のいずれか1つの方法。
【0600】
139’. (B)が、
(B.1) 酢酸ジルコニウムとタイプCHAのフレームワーク構造を有しており、かつ銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料との混合物を混合する工程、またはシュウ酸バナジウム溶液を用意する工程、より好ましくは分散剤と一緒に酸化物材料を好ましくは添加する工程
(B.2) 参照実施例1により決定すると、(B.1)で得られた混合物を、1~15マイクロメートルの範囲、好ましくは2~10マイクロメートルの範囲、より好ましくは3.5~6マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90までミル粉砕する工程
を含む、実施形態134’~138’のいずれか1つの方法。
【0601】
140’. (D)における基材長さを有する基材へのスラリーの配設が、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%でスラリーを配設する工程を含む、実施形態134’~139’のいずれか1つの方法。
【0602】
141’. (E)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥され、より好ましくは、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される、実施形態134’~140’のいずれか1つの方法。
【0603】
142’. (E)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間、乾燥され、90~200℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される、実施形態134’~141’のいずれか1つの方法。
【0604】
143’. (F)によれば、(D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態134’~142’のいずれか1つの方法。
【0605】
144’. (F)によれば、(D)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、5~120分間の範囲、好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態134’~143’のいずれか1つの方法。
【0606】
145’. 以下
(A) パラジウム、ジルコニウムを含む酸化物材料、および水を含む第1の混合物を用意する工程、
(B) 溶媒、ならびに酸化バナジウム、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料のうちの1種または複数を含む第2の混合物であって、酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに好ましくは支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、第2の混合物を用意する工程、
(C) (A)で得られた第1の混合物、および(B)で得られた第2の混合物を混合して、スラリーを得る工程、
(D) 基材に(C)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(E) (D)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(F) (E)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、実施形態1’~87’のいずれか1つによる排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
からなる、実施形態134’~144’のいずれか1つの方法。
【0607】
146’. 触媒、好ましくは、実施形態1’~87’のいずれか1つによる、実施形態134’~145’のいずれか1つによる、好ましくは実施形態145’による方法によって得ることができるまたは得られる排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒。
【0608】
本発明は、以下の第3の組の実施形態、ならびに表示されている従属および前方参照から得られる実施形態の組合せによってさらに例示される。第3の組の実施形態は、上記の第1の組の実施形態および上記の第2の組の実施形態のいずれか1つと組み合わされてもよい。
【0609】
1°. ディーゼルエンジンを出た排気ガス流を処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムが、前記排気ガス流を前記排気ガス処理システムに導入するための上流端部を有しており、前記排気ガス処理システムが、
(i)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材からなる、ディーゼル酸化(DOC)触媒である第1の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、
コーティングが、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウム、ケイ素、アルミニウムおよびチタンのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されているパラジウムからなる、第1の触媒
(ii)入口端部および出口端部を有しており、かつコーティングおよび基材を備える第2の触媒であって、コーティングが基材の内壁に配設されており、基材が入口端部、および出口端部、および基材の入口端部から出口端部にわたる基材長さを有しており、基材の内壁によって画定されている複数の通路を備え、第2の触媒のコーティングが、酸化バナジウムのうちの1種または複数、および銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、第2の触媒;または
入口端部および出口端部を有しており、実施形態1~43のいずれか1つの触媒物品である第2の触媒
を備え、
(i)による第1の触媒が、排気ガス処理システムの上流端部の下流の排気ガス処理システムの第1の触媒であり、第1の触媒の入口端部が、第1の触媒の出口端部の上流に配設されており、
排気ガス処理システムにおいて、(ii)による第2の触媒が、(i)による第1の触媒の下流に位置しており、第2の触媒の入口端部が、第2の触媒の出口端部の上流に配置されており、
(i)による第1の触媒の出口端部が、(ii)による第2の触媒の入口端部と流体連通しており、(i)による第1の触媒の出口端部と(ii)による第2の触媒の入口端部との間に、第1の触媒を出る排気ガス流を処理する触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、
排気ガス処理システム。
【0610】
2°. (i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料が、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1°の排気ガス処理システム。
【0611】
3°. (i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料が、アルミニウムを含む、実施形態2°の排気ガス処理システム。
【0612】
4°. (i)による第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料が、ジルコニウムを含む、実施形態2°の排気ガス処理システム。
【0613】
5°. 第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる、実施形態3°の排気ガス処理システム。
【0614】
6°. 第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる、実施形態4°の排気ガス処理システム。
【0615】
7°. 第1の触媒の基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態1°~6°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0616】
8°. 第1の触媒の基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1°~7°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0617】
9°. 第1の触媒の基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1°~7°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0618】
10°. 第1の触媒の基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態1°~9°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0619】
11°. 第1の触媒のコーティングが、内壁上に、基材長さの20~100%にわたり、好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されている、実施形態1°~10°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0620】
12°. 第1の触媒のコーティングが、パラジウム元素として算出すると、0.18~3.53g/l(5~100g/ft3)の範囲、好ましくは0.71~2.82g/l(20~80g/ft3)の範囲、より好ましくは1.06~2.47g/l(30~70g/ft3)の範囲、より好ましくは1.24~1.94g/l(35~55g/ft3)の範囲、より好ましくは1.41~1.77g/l(40~50g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、実施形態1°~11°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0621】
13°. 第1の触媒のコーティングの担持量が、12.20~305.11g/l(0.2~5g/in3)の範囲、好ましくは30.51~183.07g/l(0.5~3g/in3)の範囲、より好ましくは42.72~122.05g/l(0.7~2g/in3)の範囲、より好ましくは54.92~91.54g/l(0.9~1.5g/in3)の範囲にある、実施形態1°~12°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0622】
14°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる、実施形態1°~13°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0623】
15°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含み、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる、実施形態1°~13°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0624】
16°. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第1の触媒のコーティングに含まれる、実施形態1°~15°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0625】
17°. 第1の触媒のコーティングが、白金を含まず、好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない、実施形態1°~16°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0626】
18°. 第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~2質量%、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリアおよびチタニアからなり、より好ましくは第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%が、セリア、チタニア、ランタナおよびバリアからなる、実施形態1°~17°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0627】
19°. 第1の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料が、セリアを含まない、好ましくはセリアおよびチタニアを含まない、より好ましくはセリア、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない、実施形態1°~18°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0628】
20°. 選択的接触還元(SCR)成分の0~0.061g/l、好ましくは0~0.0061g/l、より好ましくは0~0.00061g/lが、第1の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、選択的接触還元(SCR)成分の0g/lが、第1の触媒のコーティングに含まれる、実施形態1°~19°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0629】
21°. (ii)による第2の触媒のコーティングが、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、実施形態1°~20°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0630】
22°. 第2の触媒のコーティングが、銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含み、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、実施形態21°の排気ガス処理システム。
【0631】
23°. 第2の触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料が銅を含み、CuOとして算出すると、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲であり、Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、より好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある、実施形態21°または22°の排気ガス処理システム。
【0632】
24°. ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態22°または23°の排気ガス処理システム。
【0633】
25°. 第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~45:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態21°または22°の排気ガス処理システム。
【0634】
26°. 好ましくはフレームワークタイプCHAを有する、第2の触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態1°~25°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0635】
27°. (ii)による第2の触媒のコーティングが、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材が、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
コーティングが、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、好ましくは4.88~10.98g/l(0.08~0.18g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む、実施形態1°~26°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0636】
28°. (ii)による第2の触媒のコーティングが、酸化バナジウムを含み、
酸化バナジウムが、好ましくは、酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数であり、酸化バナジウムが、タングステン、鉄およびアンチモンのうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1°~27°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0637】
29°. 酸化バナジウムが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタニアに支持されており、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態28°の排気ガス処理システム。
【0638】
30°. 第2の触媒のコーティングが、白金族金属をさらに含み、白金族金属が、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数、好ましくはパラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数である、実施形態1°~29°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0639】
31°. 白金族金属がパラジウムである、実施形態30°の排気ガス処理システム。
【0640】
32°. 白金族金属が、酸化物材料に支持されており、第2の触媒のコーティングに含まれている酸化物材料は、ジルコニア、シリカ、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む、実施形態30°または31°の排気ガス処理システム。
【0641】
33°. 白金族金属がジルコニアに支持されている、実施形態32°の排気ガス処理システム。
【0642】
34°. 第2の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の90~100質量%、好ましくは95~100質量%、より好ましくは99~100質量%がジルコニアからなる、実施形態33°の排気ガス処理システム。
【0643】
35°. 第2の触媒のコーティングが、61.02~274.61g/l(1.0~4.5g/g/in3)の範囲、好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~183.07g/l(2.1~3g/in3)の範囲、より好ましくは128.15~158.66g/l(2.1~2.6g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態21°~34°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0644】
36°. 第2の触媒のコーティングが、122~335g/l(2.0~5.5g/g/in3)の範囲、好ましくは240~300g/l(3.9~4.9g/in3)の範囲、より好ましくは260~280g/l(4.3~4.6g/in3)の範囲の担持量で酸化バナジウムを含む、実施形態28°~35°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0645】
37°. 第2の触媒のコーティングが、白金族金属元素として算出すると、0.035~2.82g/l(1~80g/ft3)の範囲、好ましくは0.53~2.12g/l(15~60g/ft3)の範囲、より好ましくは0.71~1.77g/l(20~50g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.59g/l(25~45g/ft3)の範囲、より好ましくは0.88~1.24g/l(25~35g/ft3)の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態30°~36°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0646】
38°. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態21°~35°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0647】
39°. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されたパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態21°~37°’のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0648】
40°. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態28°~36°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0649】
41°. 第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウム(チタニアは、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する)、および酸化物材料に支持されたパラジウム(前記酸化物材料の99~100質量%は、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる)を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態28°~37°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0650】
42°. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/l、より好ましくは0~0.0000035g/lの白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数が、第2の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.0000035g/lの白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムが、第2の触媒のコーティングに含まれる、実施形態21°~38°、40°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0651】
43°. 第2の触媒のコーティングが、白金、パラジウムおよびロジウムを含まず、好ましくは白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない、実施形態21°~38、40°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0652】
44°. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/l、より好ましくは0~0.0000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第2の触媒のコーティングに含まれ、より好ましくは、0~0.0000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第2の触媒のコーティングに含まれている、実施形態21°~41°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0653】
45°. 第2の触媒のコーティングが、白金を含まず、好ましくは白金およびロジウムを含まず、より好ましくは白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムを含まない、実施形態21°~41°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0654】
46°. 第2の触媒のコーティングに含まれるパラジウムを支持する酸化物材料の0~2質量%、好ましくは0~1質量%、より好ましくは0~0.1質量%が、セリアおよびアルミナからなり、より好ましくは第2の触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の0~0.1質量%が、セリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアからなる、実施形態31°~45°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0655】
47°. 第2の触媒のコーティングに含まれる、パラジウムを支持する酸化物材料が、セリアおよびアルミナを含まない、好ましくはセリア、アルミナおよびチタニアを含まない、より好ましくはセリア、アルミナ、チタニア、ランタナおよびバリアを含まない、実施形態31°~45°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0656】
48°. タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、およびジルコニアに支持されているパラジウムが含まれる第2の触媒のコーティングが、単一コーティングであり、単一コーティングが、第2の触媒の基材の内壁の少なくとも一部に配設されている、実施形態1°~47°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0657】
49°. タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、ならびにジルコニア、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されている、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムの1種または複数、好ましくはパラジウムである白金族金属である、第2の触媒のコーティングが、
タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料が含まれているトップコート、および
酸化物材料に支持されている白金族金属が含まれるボトムコートであって、該ボトムコートが第2の触媒の基材の内壁の表面の少なくとも一部に配設されており、トップコートがボトムコートに配設されている、ボトムコートからなる;または
酸化物材料に支持されている、酸化バナジウム、好ましくは酸化バナジウム(V)および酸化バナジウム(IV)のうちの1つまたは複数、ならびにジルコニア、アルミナおよびチタニアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む酸化物材料に支持されている、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムのうちの1種または複数、好ましくはパラジウムである白金族金属である、第2の触媒のコーティングが、
酸化物材料に支持されている酸化バナジウムが含まれる、トップコート、および
酸化物材料に支持されている白金族金属が含まれるボトムコートであって、該ボトムコートが第2の触媒の基材の内壁の表面の少なくとも一部に配設されており、トップコートがボトムコートに配設されている、ボトムコートからなる、実施形態23°~45°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0658】
50°. 第2の触媒のボトムコートに含まれる白金族金属がパラジウムである、実施形態49°の排気ガス処理システム。
【0659】
51°. 第2の触媒のボトムコートに含まれる酸化物材料が、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態49°または50°の排気ガス処理システム。
【0660】
52°. 第2の触媒のボトムコートに含まれる酸化物材料の60~100質量%、好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%が、アルミナからなる、実施形態49°~51°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0661】
53°. 第2の触媒のボトムコートが、パラジウム元素として算出すると、0.035~1.41g/l(1~40g/ft3)の範囲、好ましくは0.18~1.06g/l(5~30g/ft3)の範囲、より好ましくは0.35~0.88g/l(10~25g/ft3)の範囲、より好ましくは0.42~0.64g/l(12~18g/ft3)の範囲の担持量でパラジウムを含む、実施形態50°~52°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0662】
54°. 第2の触媒のボトムコートの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99.5~100質量%が、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態49°~53°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0663】
55°. 第2の触媒のトップコートが、61.02~274.61g/l(1~4.5g/g/in3)の範囲、好ましくは91.54~244.10g/l(1.5~4g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.10(2~4g/in3)の範囲、より好ましくは152.56~213.58g/l(2.5~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態49°~53°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0664】
56°. 第2の触媒のボトムコートの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、酸化物材料に支持されているパラジウムを含む、好ましくは上記のパラジウムからなり、前記酸化物材料の99.5~100質量%が、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含む、より好ましくはこれらからなり、
第2の触媒のトップコートの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態49°~55°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0665】
57°. 0~0.0035g/l、好ましくは0~0.00035g/l、より好ましくは0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムのうちの1種または複数が、第2の触媒のボトムコートに含まれ、より好ましくは、0~0.000035g/lの白金、イリジウム、オスミウムおよびロジウムが、第2の触媒のボトムコートに含まれている、実施形態49°~56°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0666】
58°. 第2の触媒のボトムコートが、白金およびロジウムを含まず、好ましくは白金、ロジウム、イリジウムおよびオスミウムを含まない、実施形態49°~56°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0667】
59°. 0~6.10g/l、好ましくは0~0.61g/l、より好ましくは0~0.061g/l、より好ましくは0~0.0061g/lのゼオライト材料および酸化バナジウムのうちの1種または複数が、ボトムコートに含まれ、より好ましくは、0~0.0061g/lのゼオライト材料および酸化バナジウムが、第2の触媒のボトムコートに含まれている、実施形態49°~58°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0668】
60°. 第2の触媒が選択的接触還元(SCR)触媒である、実施形態1°~59°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0669】
61°. 第2の触媒がアンモニア酸化(AMOX)触媒である、実施形態1°~59°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0670】
62°. 第2の触媒が、基材に配設されているコーティングからなる、実施形態1°~61°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0671】
63°. 第2の触媒が、実施形態1~30および43のいずれか1つによる触媒物品である、実施形態1°~20°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0672】
64°. 第2の触媒の基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態1°~64°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0673】
65°. 第2の触媒の基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなるか、または
第2の触媒の基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態1°~64°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0674】
66°. 第2の触媒の基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態1°~65°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0675】
67°. 第1の触媒の基材が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む、好ましくはこれらからなり、第2の触媒の基材が、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなる、実施形態1°~66°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0676】
68°. 第1の触媒の基材が、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなり、第2の触媒の基材が、コーディエライトを含む、好ましくはこれからなる、実施形態1°~67°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0677】
69°. 第1の触媒の基材が、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、好ましくは3.81~20.32cm(1.5~8インチ)の範囲、より好ましくは5.08~17.78cm(2~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~15.24cm(2~6インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する、実施形態1°~68°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0678】
70°. 第2の触媒の基材が、2.54~25.4cm(1~10インチ)の範囲、好ましくは3.81~20.32cm(1.5~8インチ)の範囲、より好ましくは5.08~17.78cm(2~7インチ)の範囲、より好ましくは5.08~15.24cm(2~6インチ)の範囲、より好ましくは5.08~10.16cm(2~4インチ)の範囲の基材長さを有する、実施形態1°~69°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0679】
71°. 第1の触媒の基材が、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する、実施形態1°~70°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0680】
72°. 第2の触媒の基材が、10.16~43.18cm(4~17インチ)の範囲、好ましくは17.78~38.10cm(7~15インチ)の範囲、より好ましくは20.32~35.56cm(8~14インチ)の範囲、より好ましくは22.86~33.02cm(9~13インチ)の範囲、より好ましくは22.86~27.94cm(9~11インチ)の範囲の基材幅を有する、実施形態1°~71°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0681】
73°. 第2の触媒のコーティングが、第2の触媒の基材の内壁上に、基材長さの20~100%にわたり、好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されている、実施形態1°~48°および60°~72°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0682】
74°. 第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材が、第1の基材であり、第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材が、第2の基材であり、第1の基材と第2の基材が互いに異なる、実施形態1°~48°および60°~73°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0683】
75°. 第1の触媒の基材であって、第1の触媒のコーティングが配設されている基材、および第2の触媒の基材であって、第2の触媒のコーティングが配設されている基材が、一緒になって、単一基材を形成し、前記単一基材が、入口端部および出口端部を備え、入口端部が、出口端部の上流に配置されており、第1の触媒のコーティングが、前記単一基材の入口端部から出口端部まで前記単一基材に配設されており、第2の触媒のコーティングが、前記単一基材の出口端部から入口端部まで前記単一基材に配設されており、第1の触媒のコーティングが、基材長さの5~75%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~95%を被覆する、実施形態1°~48°および60°~73°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0684】
76°. 第1の触媒のコーティングが、基材長さの20~75%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの25~80%、好ましくは35~65%、より好ましくは45~55%を被覆する、実施形態75°の排気ガス処理システム。
【0685】
77°. 第1の触媒のコーティングが、基材長さの5~60%、好ましくは5~40%、より好ましくは8~30%、より好ましくは10~25%を被覆し、第2の触媒のコーティングが、基材長さの40~90%、好ましくは50~85%、より好ましくは75~85%を被覆する、実施形態75°の排気ガス処理システム。
【0686】
78°. 第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングが重なる、実施形態75°~77°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0687】
79°. 第1の触媒のコーティングと第2の触媒のコーティングとの間に隙間がある、実施形態75°~77°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0688】
80°. 第2の触媒のコーティングのボトムコートが、内壁に、第2の触媒の基材の基材長さの20~100%にわたり、好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されており、第2の触媒のコーティングのトップコートが、ボトムコートの基材長さの20~100%にわたり、好ましくは50~100%にわたり、より好ましくは75~100%にわたり、より好ましくは95~100%にわたり、より好ましくは99~100%にわたり配設されている、実施形態49°~77°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0689】
81°. 第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0690】
82°. 第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングが、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0691】
83°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0692】
84°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態27°に定義されている金属酸化物結合材を含む、好ましくはこれらからなる、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0693】
85°. 第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0694】
86°. 第1の触媒のコーティングの99~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングが、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれらからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0695】
87°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0696】
88°. 第1の触媒のコーティングの99.5~100質量%、好ましくは99.9~100質量%が、ジルコニウムおよび酸素、好ましくはジルコニアからなる酸化化合物に支持されているパラジウムからなり、第2の触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタン、ケイ素およびジルコニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、好ましくはチタンおよびケイ素のうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアおよびシリカのうちの1種または複数を含む酸化物材料に、より好ましくはチタニアに支持されている酸化バナジウムを含む、好ましくはこれからなり、チタニアが、タングステンおよびケイ素のうちの1種または複数を任意に含有する、実施形態1°~80°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0697】
89°. ディーゼルエンジンを出る排気ガス流に流体を注入するためのインジェクタをさらに備える、実施形態1°~88°のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、前記インジェクタが、第1の触媒の上流および排気ガス処理システムの上流端部の下流に位置する、排気ガス処理システム。
【0698】
90°. 流体が、ウレア水溶液である、実施形態89°の排気ガス処理システム。
【0699】
91°. ディーゼル酸化触媒、選択的接触還元触媒、(ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒のうちの1種または複数をさらに備える、実施形態1°~90°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0700】
92°. (ii)による第2の触媒の下流に位置するアンモニア酸化触媒をさらに備える実施形態91°の排気ガス処理システムであって、アンモニア酸化触媒が、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の出口端部が、アンモニア酸化触媒の入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部とアンモニア酸化触媒の入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガスを処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システム。
【0701】
93°. アンモニア酸化触媒が、基材上に配設されているコーティングを含み、コーティングが、酸化物材料に支持されている白金族金属、ならびに銅および鉄のうちの1種または複数を含むゼオライト材料を含む、実施形態92°の排気ガス処理システム。
【0702】
94°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、タイプAEI、GME、CHA、MFI、BEA、FAU、MORのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、好ましくはタイプAEI、CHA、BEAのフレームワーク構造またはそれらの2種以上の混合物、より好ましくはタイプCHAまたはAEIのフレームワーク構造、より好ましくはタイプCHAのフレームワーク構造を有する、実施形態93°の排気ガス処理システム。
【0703】
95°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれているゼオライト材料が銅を含み、ゼオライト材料に含まれる銅の量が、CuOとして算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは2.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~6質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲、より好ましくは2.5~3.5質量%の範囲にあり、
Fe2O3として算出されるゼオライト材料に含まれる鉄の量が、ゼオライト材料の総質量に対して、より好ましくは0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲にある、実施形態93°または94°の排気ガス処理システム。
【0704】
96°. ゼオライト材料のフレームワーク構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比が、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態95°の排気ガス処理システム。
【0705】
97°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、鉄を含み、ゼオライト材料に含まれる鉄の量が、Fe2O3として算出すると、ゼオライト材料の総質量に対して、好ましくは0.1~10.0質量%の範囲、より好ましくは1.0~7.0質量%の範囲、より好ましくは2.5~5.5質量%の範囲にあり、ゼオライト材料のフレームワーク構造の好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、ならびに任意にHおよびPのうちの1種または複数からなり、フレームワーク構造中、SiO2:Al2O3のモル比として算出される、SiとAlとのモル比は、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは4:1~40:1の範囲、より好ましくは10:1~40:1の範囲、より好ましくは20:1~35:1の範囲にある、実施形態93°または94°の排気ガス処理システム。
【0706】
98°. より好ましくはフレームワークタイプCHAを有する、アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれるゼオライト材料が、走査型電子顕微鏡により決定すると、少なくとも0.5マイクロメートル、好ましくは0.5~1.5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~1.0マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.6~0.8マイクロメートルの範囲の平均結晶サイズを有する、実施形態93°~97°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0707】
99°. アンモニア酸化触媒のコーティングが、金属酸化物結合材をさらに含み、金属酸化物結合材が、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、ならびにZr、Al、TiおよびSiのうちの2種以上を含む酸化物混合物のうちの1種または複数を好ましくは含み、より好ましくは、アルミナおよびジルコニアのうちの1種または複数を含み、より好ましくはジルコニアを含み、
コーティングが、1.22~12.20g/l(0.02~0.2g/in3)の範囲、好ましくは4.88~10.98g/l(0.08~0.18g/in3)の範囲の担持量で金属酸化物結合材を含む、実施形態93°~98°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0708】
100°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる白金族金属が、白金、パラジウムおよびロジウムのうちの1種または複数、好ましくは白金およびパラジウムのうちの1種または複数、より好ましくは白金である、実施形態93°~99°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0709】
101°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料が、アルミナ、ジルコニア、シリカ、チタニアおよびセリアのうちの1種または複数、好ましくはアルミナ、シリカおよびジルコニアのうちの1種または複数、より好ましくはジルコニアおよびアルミナのうちの1種または複数を含む、これらから好ましくはなる、実施形態93°~100°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0710】
102°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の60~100質量%、好ましくは70~90質量%、より好ましくは75~85質量%が、アルミナからなる、実施形態93°~101°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0711】
103°. 前記アンモニア酸化触媒の基材が、セラミック製物質または金属製物質を含む、実施形態93°~102°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0712】
104°. 前記アンモニア酸化触媒の基材が、セラミック製物質を含む、好ましくはこれからなり、セラミック製物質が、アルミナ、シリカ、シリケート、アルミノシリケート、好ましくはコーディエライトまたはムライト、アルミノチタネート、炭化ケイ素、ジルコニア、マグネシア、好ましくはスピネルおよびチタニアのうちの1種または複数、より好ましくは炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1種または複数、より好ましくはコーディエライトを好ましくは含む、より好ましくはこれらからなるか、または
前記アンモニア酸化触媒の基材が、金属製物質を含む、好ましくはこれからなり、金属製物質が、酸素、ならびに鉄、クロムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を好ましくは含む、より好ましくはこれらからなる、実施形態93°~103°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0713】
105°. 前記アンモニア酸化触媒の基材が、モノリス、好ましくはハニカムモノリス、より好ましくはフロースルーハニカムモノリスである、実施形態93°~104°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0714】
106°. 前記アンモニア酸化触媒の基材が、基材長さを有しており、前記アンモニア酸化触媒のコーティングが、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%に配設されている、実施形態93°~105°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0715】
107°. 前記アンモニア酸化触媒のコーティングが、白金族金属元素として算出すると、0.035~0.53g/l(1~15g/ft3)の範囲、好ましくは0.11~0.35g/l(3~10g/ft3)の範囲、より好ましくは0.16~0.32g/l(4.5~9.0g/ft3)の範囲、より好ましくは0.26~0.30g/l(7.5~8.5g/ft3)の範囲の担持量で白金族金属を含む、実施形態93°~106°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0716】
108°. アンモニア酸化触媒のコーティングが、30.51~335.63g/l(0.5~5.5g/in3)の範囲、より好ましくは91.54~305.12g/l(1.5~5.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~244.09g/l(2.0~4.0g/in3)の範囲、より好ましくは122.05~213.58g/l(2.0~3.5g/in3)の範囲の担持量でゼオライト材料を含む、実施形態93°~107°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0717】
109°. アンモニア酸化触媒のコーティングが、アルミナを含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくはこれからなり、前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の好ましくは75~85質量%が、アルミナ、タイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態99°において定義されている金属酸化物結合材からなる、実施形態93°~108°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0718】
110°. アンモニア酸化触媒のコーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、アルミナを含む酸化物材料に支持されている白金を含む、好ましくは上記の白金からなり、前記アンモニア酸化触媒のコーティングに含まれる酸化物材料の75~85質量%が、アルミナ、およびタイプCHAのフレームワーク構造を有する銅含有ゼオライト材料、および好ましくは実施形態99°に定義されている金属酸化物結合材からなる、実施形態93°~109°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0719】
111°. アンモニア酸化触媒が、基材に配設されているコーティングからなる、実施形態93°~110°のいずれか1つの排気ガス処理システム。
【0720】
112°. 微粒子フィルターをさらに備える実施形態1°~90°のいずれか1つの排気ガス処理システムであって、微粒子フィルターが、入口端部および出口端部を有しており、(ii)による第2の触媒の下流に位置しており、好ましくは、(ii)による第2の触媒の出口端部が、微粒子フィルターの入口端部と流体連通しており、(ii)による第2の触媒の出口端部と微粒子フィルターの入口端部との間に、第2の触媒を出る排気ガス流を処理するための触媒が、排気ガス処理システムに位置していない、排気ガス処理システム。
【0721】
113°. 微粒子フィルターが触媒付き微粒子フィルターである、実施形態112°の排気ガス処理システム。
【0722】
114°. NOxの選択的接触還元、炭化水素の酸化、一酸化窒素の酸化およびアンモニアの酸化を同時に行う方法であって、
(1) NOx、アンモニア、一酸化窒素および炭化水素のうちの1つまたは複数を含む、ディーゼルエンジンからの排気ガス流を供給する工程
(2) 実施形態1°~113°のいずれか1つの排気ガスシステムに、(1)で供給される排気ガス流を通過させる工程
を含む方法。
【0723】
115°. 触媒、好ましくは実施形態1°~113°のいずれか1つによる排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を製造する方法であって、
(a) パラジウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料、ならびに水を含むスラリーを用意する工程、
(b) 基材に(a)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(c) (b)で得たスラリー処理済み基材を任意に乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(d) (b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、触媒、好ましくは実施形態1°~113°のいずれか1つによる排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
を含む方法。
【0724】
116°. (a)が、
(a.1) パラジウム前駆体の水溶液、好ましくは硝酸パラジウム水溶液と、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料とを混合して、酸化物材料に支持されたパラジウムを得る工程
(a.2) (a.1)で得られた酸化物材料に支持されたパラジウムを焼成する工程
(a.3) (a.2)で得られた酸化物材料に支持されている焼成済みパラジウムと、配設用アジュバント、好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンのうちの1種または複数、より好ましくは酒石酸およびモノエタノールアミンとを混合する工程
を含む、実施形態115°の方法。
【0725】
117°. (a)が、
(a.4) (a.3)で得られた混合物を、参照実施例1により決定すると、1~20マイクロメートルの範囲、好ましくは5~15マイクロメートルの範囲、より好ましくは9~11マイクロメートルの範囲の粒子サイズDv90までミル粉砕する工程
をさらに含む、実施形態116°の方法。
【0726】
118°. (a.1)によれば、パラジウム前駆体の水溶液、好ましくは硝酸パラジウム水溶液が、酸化物材料に滴下添加される、実施形態116°または117°の方法。
【0727】
119°. (a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、490~690℃の範囲、好ましくは540~640℃の範囲、より好ましくは570~610℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態116°~118°のいずれか1つの方法。
【0728】
120°. (a.2)によれば、酸化物材料に支持されているパラジウムが、2~6時間の範囲、好ましくは3~5時間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態116°~119°のいずれか1つの方法。
【0729】
121°. (b)における基材長さを有する基材へのスラリーの配設が、基材長さの20~100%、好ましくは50~100%、より好ましくは75~100%、より好ましくは95~100%、より好ましくは99~100%でスラリーを配設する工程を含む、実施形態115°~120°のいずれか1つの方法。
【0730】
122°. (c)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは110~180℃の範囲、より好ましくは120~160℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で乾燥され、より好ましくは、5~300分間の範囲、より好ましくは10~120分間の範囲、より好ましくは20~60分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で乾燥される、実施形態115°~121°のいずれか1つの方法。
【0731】
123°.(c)によれば、スラリー処理済み基材が、90~200℃の範囲、好ましくは100~150℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは5~60分間の範囲、より好ましくは7~20分間の範囲の期間、乾燥され、90~200℃の範囲、好ましくは140~180℃の範囲、より好ましくは150~170℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中、好ましくは5~300分間の範囲、より好ましくは10~80分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、さらに乾燥される、実施形態115°~121°のいずれか1つの方法。
【0732】
124°. (d)によれば、(b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲、より好ましくは425~475℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で焼成される、実施形態115°~123°のいずれか1つの方法。
【0733】
125°. (d)によれば、(b)で得られたスラリー処理済み基材、好ましくは(c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材が、5~120分間の範囲、好ましくは10~90分間の範囲、より好ましくは15~50分間の範囲、より好ましくは20~40分間の範囲の期間、ガス雰囲気中で焼成される、実施形態115°~124°のいずれか1つの方法。
【0734】
126°. 以下
(a) パラジウム、ジルコニウムおよびアルミニウムのうちの1種または複数を含む酸化物材料、ならびに水を含むスラリーを用意する工程、
(b) 基材に(a)で得られたスラリーを配設し、スラリー処理済み基材を得る工程、
(c) (b)で得たスラリー処理済み基材を乾燥して、その上に配設されたコーティングを有する基材を得る工程、
(d) (c)で得られたスラリー処理済み乾燥基材を焼成して、触媒、好ましくは実施形態1°~113°のいずれか1つによる排気ガス処理システムに含まれる第1の触媒を得る工程
からなる、実施形態115°~125°のいずれか1つの方法。
【0735】
本発明は、以下の参照実施例、比較例および実施例によってさらに例示される。
【実施例】
【0736】
[参照実施例1]Dv90値の決定
粒子サイズ分布は、Sympatec HELOS装置を使用し、静的光散乱方法によって決定し、この場合、試料の光学的濃度は、5~10%の範囲にあった。
【0737】
[参照実施例2]CuCHAゼオライトの製造
本明細書の実施例で使用した、Cuを含むフレームワーク構造タイプCHAを有するゼオライト材料は、US8293199(B2)の教示に準拠して製造した。US8293199(B2)の発明の実施例2、カラム15、26~52行目を特に参照する。
【0738】
[実施例1]SCR触媒物品1の製造
2層:底部ウォッシュコート層および上部ウォッシュコート層を有するSCR触媒物品を製造した。層化SCR触媒物品は、ジルコニア-セリア支持体(質量基準で50%ジルコニア;40%セリア;5%ランタナ;5%プラセオジミア)表面に10.8g/ft3の全PGM担持量でパラジウム、およびチタニアをベースとするSCR触媒を含んだ。基材は、5.3in3(0.09l)の体積、1平方インチあたり300個のセルとなるセル密度、および約5ミル(0.005インチ)の壁の厚さを有した。層は、以下の通り製造した:
【0739】
底部ウォッシュコート層
ジルコニア-セリア支持体を、インシピエントウエットネス技法を使用し、希釈したPd前駆体溶液に含浸させて、Pd含浸ジルコニア-セリアを得た。次に、この材料をイオン(DI)水に加え、固体含有率が約15~約30質量%の範囲のスラリー懸濁液を形成させた。このスラリーを穏やかにミル粉砕して、大きな凝塊物がほとんどない程度に小さくし、最終粒子サイズを約8~約12マイクロメートルの範囲のDv90にした。次に、このスラリーを300/5ハニカム基材にコーティングした。乾燥後、この触媒を空気中、550℃で1時間、焼成した。得られたウォッシュコート担持量は、0.5g/in3の含有量であり、パラジウム担持量は、10.8g/ft3であった。
【0740】
上部ウォッシュコート層
上部をコーティングしたSCR触媒は、WO3およびSiO2を含有する市販のTiO2支持体から製造した。有機分散剤の存在下で穏やかに混合することにより、粉末を脱イオン水に分散させた。シュウ酸バナジウムを、最終乾燥TiO2支持体に5質量%のV2O5を達成するために必要な量でスラリーに添加した。このスラリーに、最終乾燥TiO2支持体にシリカが5%となるのに必要な量で、コロイド状シリカを添加した。最終スラリー(Dv90)の粒子サイズは、4~7.5の間のpHで、1~7マイクロメートルであった。当分野において公知の堆積方法を使用して、このスラリーを上記の基材に塗布し、底部ウォッシュコート層の上にコーティングした。基材をコーティングした後、上部ウォッシュコートを乾燥し、次に、空気中、500℃の温度で1時間、焼成し、最終の2層化SCR触媒物品にした。上部ウォッシュコートの得られたウォッシュコートの担持量は、3g/in3の含有量であった。
【0741】
[実施例2]SCR触媒物品2の製造
SCR触媒物品は、底部層が22.3g/ft3のパラジウム担持量を有する以外、実施例1の手順に従って製造した。
【0742】
[実施例3]SCR触媒物品3の製造
実施例1の手順に準拠して、2層を有するSCR触媒物品を製造した:底部層は、2.5質量%のV2O5バナジアを含むチタニアをベースとする市販のSCR触媒を含有し、上部層は、8.7g/ft3の担持量でパラジウムを含浸させたジルコニア-セリアを含有した。
【0743】
[実施例4]SCR触媒物品4の製造
SCR触媒物品は、底部層が14.3g/ft3のロジウム担持量を有する以外、実施例1の手順に従って製造した。
【0744】
[実施例5]SCR触媒物品5の製造
SCR触媒物品は、底部層が21.2g/ft3のロジウム担持量を有する以外、実施例1の手順に従って製造した。
【0745】
[実施例6]SCR触媒物品6の製造
SCR触媒物品は、上部層が8.7g/ft3のロジウム担持量を有する以外、実施例3の手順に従って製造した。
【0746】
[実施例7]SCR触媒物品7の製造
SCR触媒物品は、底部層が13.9g/ft3のパラジウム担持量を有する以外、実施例1の手順に従って製造した。
【0747】
[実施例8]SCR触媒物品8の製造
SCR触媒物品は、底部層が11.6g/ft3のロジウム担持量を有する以外、実施例5の手順に従って製造した。
【0748】
[実施例9]SCR触媒物品9の製造
SCR触媒物品は、上部層が8.9g/ft3のパラジウム担持量を有する以外、実施例3の手順に従って製造した。
【0749】
[実施例10]SCR活性の評価
試験試料は新しいものか、エージング済みのどちらか一方であり、ここでは、新しい試料は、そのまま、さらなる処理を行うことなく試験し、エージング済み試料には、試料を550℃の入口温度で100時間、ディーゼルエンジンの排気物に曝露されたエージング過程を施し、車両での触媒寿命を模擬した。新しい触媒コアまたはエージング済み触媒コアの窒素酸化物の選択的接触還元(SCR)効率は、500ppmのNO、500ppmのNH3、10%のO2(体積基準)、5%のH2O(体積基準)、残りはN2からなるフィードガス混合物を、触媒物品2(エージング済み)、触媒物品3(エージング済み)、触媒物品7(新しい)、触媒物品8(新しい)、触媒物品9(新しい)、対照A(3g/in3の担持量で、実施例1でのトップコート層の手順に準拠して製造した、PGMを含有しない5%バナジアを含むチタニアをベースとするSCR触媒-新しい)、対照B(3g/in3の担持量で、実施例1でのトップコート層の手順に準拠して製造した、PGMを含有しない5%バナジアを含むチタニアをベースとするSCR触媒-エージング済み)、対照C(実施例3でのボトムコート層の手順に準拠して製造した、PGMを含有しない2.5%バナジアを含むチタニアをベースとするSCR触媒-新しい)、および対照D(実施例3でのボトムコート層の手順に準拠して製造した、PGMを含有しない2.5%バナジアを含むチタニアをベースとするSCR触媒-エージング済み)のコアを個々に含有する定常状態の反応器に加えることにより測定した。
【0750】
触媒試験に関すると、ウォッシュコートしたコア(寸法:3インチ長×1インチ幅×1インチ高さ)をセラミック製の絶縁マットで包み込み、電気炉によって加熱したInconel反応管内部に入れた。O2(空気由来)、N2およびH2Oのガスを予熱炉中で予備加熱した後、反応器に入れた。予熱炉と反応器との間に、反応性ガスNOおよびNH3を導入した。反応物を、150℃~600℃の温度範囲にわたり、80000h-1の空間速度で運んだ。空間速度は、全反応混合物を含むガス流量を触媒コアの幾何学量で除算したものとして定義する。
【0751】
結果が、
図6および7に示されている。
図6では、本発明の触媒物品2、7および8は、全温度範囲にわたり、対照AおよびBと類似したNOx変換活性を示し、一部の本発明の実施例は、高温でわずかに劣る性能となることを示した。同様の結果が
図7に示されており、触媒物品3は、幅広い温度範囲にわたり、2種の対照触媒と類似したNOx変換活性を示している。触媒物品9は、この温度範囲では、NOx変換活性はより低いことを示す。明らかに、触媒をエージングすると、アンモニア酸化活性の改善をもたらし、したがって、新しい触媒組成物(例えば、触媒物品9)と比較して、SCR触媒活性の優れた促進をもたらす。総合的に、この試験により、Pd/ジルコニア-セリアまたはRh/ジルコニア-セリアのどちらか一方を含むSCR触媒および酸化触媒の両方を含む触媒物品は、許容可能なSCR触媒活性をもたらすことが確認され、このことは、酸化触媒組成物が存在しても、所望のアンモニアSCR反応を有意に妨害しないことを示している。
【0752】
[実施例11]N2O形成およびHC/CO酸化の評価
試験試料をエージングさせて、試料を550℃の入口温度で100時間、エンジン中に置くエージング過程を施し、車両の触媒寿命を模擬した。エージングした触媒コアのNO2形成、CO変換およびHC変換の性能の平均値は、200ppmのNO、500ppmのCO、10%のO2(体積基準)、5%のH2O(体積基準)、500ppmのC3H6、100ppmのトルエンおよびデカンからなるフィードガス混合物を触媒物品1、触媒物品2または対照Bのコアを含有する定常状態の反応器に加えることにより測定した。試験温度範囲は、約25℃/分の勾配で、100℃~500℃とした。測定は、コア試料が100℃から始まる温度勾配に曝露させた第2の時間で行った。触媒試験に関すると、ウォッシュコートしたコア(寸法:3インチ長×1インチ幅×1インチ高さ)を100℃~約500℃の温度範囲にわたり、30,000h-1の空間速度に曝露させた。空間速度は、全反応混合物を含むガス流量を触媒コアの幾何学量で除算したものとして定義する。
【0753】
結果が
図8~10に示されている。
図8は、本発明の触媒物品1および2は、対照Bと比べて、有意な量のNO
2を生成しないことを示している。このデータは、金属酸化物(ジルコニア-セリアなど)表面に含浸させた白金族金属(パラジウムなど)を、バナジアをドープしたチタニアをベースとするSCR触媒に添加しても、N
2O形成に有意に影響を及ぼさないことを実証している。
【0754】
図9は、本発明の触媒物品1および2は、350℃を超える温度でCOを完全に酸化する一方、対照Bは、約250~約500℃の試験温度範囲の間、不完全なCO酸化(すなわち、CO濃度が実際に向上する)を生じることを示している。このデータは、金属酸化物(ジルコニア-セリアなど)表面に含浸させた白金族金属(パラジウムなど)を、バナジアをドープしたチタニアをベースとするSCR触媒に添加すると、SCR触媒のCO変換を促進することを実証している。
【0755】
図10は、触媒物品1および2は、約450℃以上の温度で、HCを完全に酸化することを示している。より低い温度では、触媒物品1および2は、対照Bと比べて、HC酸化の効率が優れていることを示した。このデータは、金属酸化物(ジルコニア-セリアなど)表面に含浸させた白金族金属(パラジウムなど)を、バナジアをドープしたチタニアをベースとするSCR触媒に添加すると、HC酸化に有益であることを実証している。
【0756】
[参照実施例3]本発明の排気ガスシステムの第2の触媒であるAMOX触媒の製造
一定の撹拌下、16質量%の固体含有率となる、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体として白金を含む白金前駆体の混合物、および19質量%の固体含有率を有する、硝酸陰イオンに対する陽イオン錯体としてのパラジウムを含むパラジウム前駆体の混合物(白金とパラジウムの質量比は10:1)を、15.26g/l(0.25g/in3)のアルミナ(約20質量%のZrO2でドープしたAl2O3(約80質量%)、約202.5m2/gのBET比表面積、125マイクロメートルのDv90、および約0.425ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア-アルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、約75質量%であった。インシピエントウエットネス含浸後に得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去して、金属酸化物支持材料表面の白金およびパラジウムを固定し、0.28g/l(8g/ft3)の含有量の乾燥白金/パラジウムを得た。
【0757】
これとは別に、30質量%の固体含有率を有する7.93g/l(0.13g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウムに相当する固体を含む混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥する以外、本明細書の参照実施例2により製造した、167.7g/l(2.75g/in3)のウォッシュコート担持量に相当するCu-CHAゼオライトスラリーを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。
【0758】
続いて、Pt/Pdを含浸させた事前焼成済みジルコニア-アルミナをスラリーにした。最初に、事前焼成後に残留したPtおよびPdの量の5/1の比となる酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1/10の比となるモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPt/Pd含浸ジルコニア-アルミナを加えて溶液に混合し、こうして、Pt/Pd含有スラリーを形成させた。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。このPt/Pd含有スラリーに、直接交換Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、配設する準備の整った最終スラリーを生成した。
【0759】
次に、最終スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全体の長さの上に配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0760】
[参照実施例4]本発明にはよらないSCR触媒の製造
30質量%の固体含有率を有する6.10g/l(0.1g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥することを除いて、本明細書の参照実施例2に準拠して製造した、122.05g/l(2.0g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。次に、最終スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:15.24cm(6インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、128.15g/l(2.1g/in3)であった。
【0761】
[参照実施例5]AMOX触媒の製造
一定の撹拌下、16.5質量%の固体含有率を有する、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体としての白金を含む白金前駆体の水性混合物を、15.26g/l(0.25g/in3)のアルミナ(約20質量%のZrO2でドープしたAl2O3(約80質量%)、約202.5m2/gのBET表面積、125マイクロメートルのDv90、および0.425ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア-アルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、約75質量%であった。
【0762】
インシピエントウエットネス含浸後に得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成し、いかなる水分も除去して、金属酸化物支持材料表面に白金を固定し、0.28g/l(8g/ft3)の乾燥白金含量を得た。
【0763】
これとは別に、30%の固体含有率を有する7.93g/l(0.13g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約10質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、本明細書の参照実施例2に準拠して製造した、158.66g/l(2.6g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。
【0764】
続いて、Ptを含浸させた事前焼成済みジルコニア-アルミナをスラリーにした。最初に、事前焼成後に残留したPtの量の5/1の比の酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1/10の比でモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPt含浸ジルコニア-アルミナを加えて溶液に混合し、こうして、Pt含有スラリーを形成させた。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。
【0765】
このPt含有スラリーに、直接交換Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、配設する準備の整った最終スラリーを生成した。
【0766】
次に、最終スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0767】
[参照実施例6]BET比表面積の測定
アルミナのBET比表面積は、液体窒素を使用する、DIN66131またはDIN-ISO9277に準拠して決定した。
【0768】
[比較例1]本発明にはよらない排気ガス処理システムの製造
本発明によらない排気ガス処理システムは、参照実施例4の触媒と参照実施例5の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例5の触媒を、参照実施例4の触媒の下流に置いた。
【0769】
[実施例12]SCR成分およびディーゼル酸化成分を有する、本発明による第1の触媒の製造
19質量%の固体含有率を有するPd(NO3)2の水性混合物を、一定の撹拌下、96%の固体含有率を有する30.51g/l(0.5g/in3)のジルコニア酸化物(0.420ml/gの細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア酸化物の細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、65質量%であった。得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去して、金属酸化物支持材料表面のパラジウムを固定し、1.06g/l(30g/ft3)の乾燥パラジウム含量を得た。
【0770】
これとは別に、30質量%の固体含有率を有する7.32g/l(0.12 g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物に相当する固体を含む混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥することを除いて、本明細書の参照実施例2に準拠して製造した、144.02g/l(2.36 g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。
【0771】
続いて、事前焼成済みPd含浸酸化ジルコニア酸化物をスラリーにした。最初に、Pdの量の5:1の質量比の酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1:10の比でモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPd含浸ジルコニア酸化物を加えて溶液に混合し、Pd/Zr含有スラリーを生成した。
【0772】
次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。このPd含有スラリーに、Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、最終スラリーを生成した。
【0773】
次に、最終スラリーをハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:15.24cm(6インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0774】
[実施例13]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システムは、実施例12の触媒と参照実施例3の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、
図11aに図示されている通り、参照実施例3の触媒を実施例12の触媒の下流に置いた。
【0775】
[実施例14]実施例13および比較例1の排気ガス処理システムの使用-HCスリップ/SCR(出口)温度
HCスリップは、様々な荷重点1~7(空間速度:370℃から開始して270℃に終了する、SCR入口温度の低下時での50kおよび75kh
-1。以下の表2を参照されたい)で、実施例13の排気ガス処理システムおよび比較例1の排気ガス処理システムに対してAMOX触媒(HCスリップAMOX(出口))の出口で測定した。結果が
図2に表示されている。
【0776】
【0777】
図12から分かり得る通り、実施例13の排気ガス処理システムのHCスリップは、荷重点1において約50ppm、荷重点2において約20ppm、荷重点3において約210ppm、および荷重点4において100ppm未満である。比較例1の排気ガス処理システムに関するHCスリップは、荷重点1および4において約200ppm、荷重点2において100ppm未満、荷重点3では写真(pic)があり、この場合、HCスリップは450ppmを超える。これは、比較例1の排気ガス処理システムのSCR触媒は、炭化水素の官能基化(functionality)を示さないこと、および前記比較例のAMOXは、高いSCR(入口)温度でしか補うことができないことを示している。このことはさらに、本発明の排気ガス処理システムは、特に、2つの特定のSCR触媒およびAMOX触媒の特定の組み合わせのために、比較例1のシステムに比べて、炭化水素の変換の改善を実現することを示している。
【0778】
実施例13の排気ガス処理システムの場合のSCR(出口)温度は、400~440℃の間である一方、比較例1の排気ガス処理システムのSCR(出口)温度は、SCR(入口)温度にほぼ等しい。これは、本発明の排気ガス処理システムにより、好都合な発熱の発生を可能にし、このことにより、硫黄毒作用の低減を可能にすることを例示している。
【0779】
この実施例は、本発明の排気ガス処理システムが、HC毒作用および硫黄毒作用に対する耐性の改善を示すことを実証するものである。
【0780】
[実施例15]実施例13および比較例1の排気ガス処理システムの使用-低温でのNOx変換
NOx変換は、排気ガス処理システムの入口において、低温で、すなわち225℃で測定した。
【0781】
【0782】
図13から分かり得る通り、実施例13の排気ガス処理システムにより、225℃では、比較例1の排気ガス処理システムで得られたNOx変換にほぼ等しい(2%未満の差異)90%を超えるNOx変換率を得ることが可能になる。これは、SCR触媒にパラジウムを使用すると、低温で、特に225℃でNOx変換を妨害しないことを示すものである。
【0783】
[実施例16]脱NOx性能に及ぼすHC注入の影響
HC注入後の脱NOx性能を測定するため、低下したNOxの相対量を、実施例13のシステムおよび比較例1のシステムについて、203℃で測定した。
【0784】
【0785】
結果が
図14に示されており、ここでは、実施例13の排気ガス処理システムは、脱NOxを8%未満の低下しか示さなかった一方、比較例1のシステムは、約15%の低下を示す。したがって、この実施例は、本発明の排気ガス処理システムは、HC毒作用および/または触媒のコーキングを防止することができることを実証している。
【0786】
[参照実施例7]本発明の排気ガス処理システムの第1の触媒であるDOCの製造
19%の固体含有率を有する硝酸パラジウムの水性混合物を、一定の撹拌下、96%の固体含有率を有する30.51g/l(0.5g/in3)のジルコニア酸化物(0.420ml/gの細孔体積を有する)の表面に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア酸化物の細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、65質量%であった。インシピエントウエットネス含浸後に得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去し、金属酸化物支持材料表面のパラジウムを固定し、1.41g/l(40g/ft3)の乾燥パラジウム含量を得た。続いて、事前焼成済みPd含浸ジルコニア酸化物をスラリーにした。最初に、Pdの量の5:1の質量比の酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1:10の比のモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPd含浸ジルコニア酸化物を加えて溶液に混合し、Pd/Zr含有スラリーを生成した。次に、スラリーを、得られたDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、67.13g/l(1.1g/in3)であった。
【0787】
[参照実施例8]本発明の排気ガス処理システムの第2の触媒であるSCR触媒の製造
30質量%の固体含有率を有する6.10g/l(0.1g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、参照実施例2に準拠して製造した、122.05g/l(2.0 g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が8マイクロメートルになるまでミル粉砕した。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥して水分の90%を除去し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、128.15g/l(2.1g/in3)であった。
【0788】
[参照実施例9]本発明の排気ガス処理システムの第2の触媒であるSCR触媒の製造
20質量%の固体含有率を有するPd(NO3)2の水性混合物を、一定の撹拌下、96%の固体含有率を有する30.51g/l(0.5g/in3)のジルコニア酸化物(0.420ml/gの細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア酸化物の細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、65質量%であった。得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去して、金属酸化物支持材料表面のパラジウムを固定し、1.06g/l(30g/ft3)の乾燥パラジウム含量を得た。これとは別に、30質量%の固体含有率を有する7.32g/l(0.12g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物に相当する固体を含む混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥することを除いて、参照実施例2に準拠して製造した、144.02g/l(2.36g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。続いて、事前焼成済みPd含浸酸化ジルコニア酸化物をスラリーにした。最初に、Pdの量の5:1の質量比の酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量を1:10の比でモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPd含浸ジルコニア酸化物を加えて溶液に混合し、Pd/Zr含有スラリーを生成した。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。このPd含有スラリーに、Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、最終スラリーを生成した。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0789】
[参照実施例10]本発明の排気ガス処理システムの第2の触媒である層化SCR触媒の製造
ボトムコート
一定の撹拌下、20質量%の固体含有率を有する、硝酸陰イオンに対する陽イオン錯体としてのパラジウムを含むパラジウム前駆体の水性混合物を、152.56g/l(2.5g/in3)アルミナ(約20質量%のZrO2でドープしたAl2O3(約80質量%)、、約202.5m2/gのBET比表面積、125マイクロメートルのDv90、および0.425ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア-アルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、約75質量%であった。次に、Pd含浸アルミナを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまでミル粉砕した。次に、このスラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設し、合計で基材に対して、0.53g/l(15g/ft3)のPd含有量に相当する乾燥白金含量をもたらすボトムコートが得られた。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のボトムコートのウォッシュコート担持量は30.5g/l(0.5g/in3)であった。
【0790】
トップコート
30質量%の固体含有率を有する8.54g/l(0.14g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウムに相当する固体を含む水性混合物を水に加え、約10質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、参照実施例2により製造した、174.53g/l(2.86g/in3)のウォッシュコート担持量に相当するCu-CHAゼオライトスラリーを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。次に、このスラリーをボトムコートの全長にわたり配設して、上部コートを得た。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のトップコートのウォッシュコート担持量は183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0791】
[参照実施例11]AMOX触媒の製造
一定の撹拌下、16質量%の固体含有率を有する、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体として白金を含む白金前駆体の混合物、および19質量%の固体含有率を有する、硝酸陰イオンに対する陽イオン錯体としてのパラジウムを含むパラジウム前駆体の混合物(白金とパラジウムの質量比は10:1)を、2.5g/in3のアルミナ(約20質量%のZrO2でドープした、Al2O3(約80質量%)、約202.5m2/gのBET比表面積、125マイクロメートルのDv90、および0.425ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア-アルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、約75質量%であった。インシピエントウエットネス含浸後に得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去して、金属酸化物支持材料表面の白金およびパラジウムを固定し、0.28g/l(8g/ft3)の含有量の乾燥白金/パラジウムを得た。これとは別に、30質量%の固体含有率を有する7.93g/l(0.13g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウムに相当する固体を含む混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥する以外、参照実施例2により製造した、167.7g/l(2.75g/in3)のウォッシュコート担持量に相当するCu-CHAゼオライトスラリーを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。続いて、Pt/Pdを含浸させた事前焼成済みジルコニア-アルミナをスラリーにした。最初に、事前焼成後に残留したPtおよびPdの量の5/1の比となる酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1/10の比となるモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPt/Pd含浸ジルコニア-アルミナを加えて溶液に混合し、こうして、Pt/Pd含有スラリーを形成させた。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。このPt/Pd含有スラリーに、直接交換Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、配設する準備の整った最終スラリーを生成した。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0792】
[参照実施例12]層化AMOX触媒の製造
ボトムコート
一定の撹拌下、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体として白金を含む白金前駆体の水性混合物を20%に希釈し、次に、30.51g/l(0.5g/in3)のアルミナ(1.5質量%のシリカをドープした、Al2O3、約300m2/gのBET比表面積、35マイクロメートルのDv50、および0.5ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、シリカをドープしたアルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。このインシピエントウエットネス含浸混合物に、ボトムコートの所期の全乾燥ウォッシュコート担持量の9質量%の量の酢酸および追加の水を加えた。インシピエントウエットネス含浸後の最終固体含有率は、約70質量%であった。次に、ボトムコートの所期の乾燥ウォッシュコート担持量の0.2%に基づいてn-オクタノールと共に混合物に水を加えた。この工程後の固体含有率は、45質量%であった。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が8マイクロメートルになるまでミル粉砕した。次に、このスラリーを非コーティングハニカムモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方cmあたり300/(2.54)2個のセルおよび0.13mm(5ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設し、合計で基材に対して、5g/ft3のPt含有量に相当する乾燥白金含量をもたらすボトムコートを形成させた。次に、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のボトムコートのウォッシュコート担持量は30.5g/l(0.5g/in3)であった。
【0793】
上部コート
30質量%の固体を有する0.13g/in3の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約10質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、本明細書の参照実施例2に準拠して製造した、175.14g/l(2.87g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、得られたDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。次に、このスラリーをボトムコートの全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のトップコートのウォッシュコート担持量は、183g/l(3.0g/in3)であった。
【0794】
[参照実施例13]SCR触媒の製造
30質量%の固体含有率を有する6.10g/l(0.1g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約3質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、ゼオライトを噴霧乾燥することを除いて、参照実施例2に準拠して製造した、122.05g/l(2.0g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。次に、前記スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:15.24cm(6インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、128.15g/l(2.1g/in3)であった。
【0795】
[参照実施例14]本発明の排気物処理システムの第3の触媒であるAMOX触媒の製造
一定の撹拌下、15質量%の固体含有率を有する、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体として白金を含む白金前駆体の水性混合物を、15.26g/l(0.25g/in3)のアルミナ(約20質量%のZrO2でドープしたAl2O3(約80質量%)、。約202.5m2/gのBET比表面積、125マイクロメートルのDv90、および0.425ml/gの全細孔体積を有する)に滴下添加し、これにより、インシピエントウエットネス含浸を行った。添加した液体量は、ジルコニア-アルミナの細孔体積を充填するよう好適に算出した。インシピエントウエットネス後の最終固体含有率は、約75質量%であった。インシピエントウエットネス含浸後に得られた混合物は、590℃で4時間、事前焼成して、いかなる水分も除去し、金属酸化物支持材料表面に白金を固定し、0.28g/l(8g/ft3)の乾燥白金含量を得た。これとは別に、30質量%の固体含有率を有する7.93g/l(0.13g/in3)(ZrO2として算出)の酢酸ジルコニウム混合物を水に加え、約10質量%の固体含有率を有する混合物を生成した。ここに、本明細書の参照実施例2に準拠して製造した、158.66g/l(2.6g/in3)のCu-CHAゼオライトを加えた。次に、得られたスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定して得られるDv90が5マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。続いて、Ptを含浸させた事前焼成済みジルコニア-アルミナをスラリーにした。最初に、事前焼成後に残留したPtの量の5/1の比の酒石酸を水に加え、同様に、酒石酸の量の1/10の比のモノエタノールアミンを加えた。次に、この溶液にPt含浸ジルコニア-アルミナを加えて溶液に混合し、こうして、Pt含有スラリーを形成させた。次に、このスラリーを、本明細書の参照実施例1に記載されている通りに決定したDv90が10マイクロメートルになるまで、ミル粉砕した。このPt含有スラリーに、直接交換Cu-CHAゼオライトスラリーを加えて混合し、配設する準備の整った最終スラリーを生成した。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:7.62cm(3インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.1ミリメートル(4ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり配設した。この後、この基材を120℃で10分間、および160℃で30分間、乾燥し、次に、450℃で30分間、焼成した。焼成後のウォッシュコート担持量は、約183.07g/l(3.0g/in3)であった。
【0796】
[参照実施例15]SCR触媒の製造
850gのシュウ酸バナジウム溶液(3%バナジウム)を蒸留水と混合し、32kgのチタニア(TiO2)をゆっくりと加え、5分間、混合した。さらに、得られた混合物に水酸化アンモニウム溶液(水中の42%NH3)を加えて、pHを4.5~5.5の間に調整し、次に、撹拌下でさらに5分間、混合した。10分間、撹拌を継続しながら、得られた混合物に1.6kgのコロイド状Si分散液(40質量%)を加え、最終スラリーを得た。次に、最終スラリーを非コーティング基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:15.24cm(6インチ)の、1平方センチメートルあたり400/(2.54)2個のセルおよび0.14ミリメートル(5.5ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり270g/l(4.42g/in3)の担持量で配設し、140℃で30分間、乾燥して、次に、450℃で30分間、焼成した。
【0797】
[参照実施例16]DOCの製造
槽中で、9kgのアルミナ(1.5質量%のシリカをドープしたAl2O3、約300m2/gのET比表面積、35マイクロメートルのDv50および0.5ml/gの全細孔体積を有する)を、希釈した硝酸水溶液(HNO3)溶液(50%濃度)と混合して、第1の混合物を形成させた。別の槽中で、酢酸(50%濃度)、水および3.6kgのZr(OH)4を混合して、第2の混合物を形成した。さらに、900gの酢酸ジルコニウム溶液(30%)と一緒に、第2の混合物を第1の混合物に加える。次に、得られたZr/Al含有スラリーをミル粉砕し、約10マイクロメートルのDv90を達成した。これとは別に、スラリーを、アンミン安定化ヒドロオキソPt(IV)錯体として、白金を含む白金前駆体の水溶液に湿式含浸させたTiO2 18kgを用いて製造し、0.71g/l(20g/ft3)の白金担持量を達成して、酢酸(50%濃度)および水を加え、最終のTiO2含有スラリーを得た。次に、Zr/Al含有スラリー、オクタノールおよびTiO2含有スラリーを互いに加えて混合し、pH約4.5を有する最終スラリーを得た。次に、最終スラリーを非コーティングハニカムコーディエライトモノリス基材(直径:26.67cm(10.5インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の、1平方センチメートルあたり300/(2.54)2個のセルおよび0.13ミリメートル(5ミル)の壁の厚さを有する円筒形状基材)の全長にわたり約61g/l(1g/in3)の担持量で配設し、約120℃で30分間、乾燥して、次に、450℃で30分間、焼成した。
【0798】
[比較例2]本発明によらない排気ガス処理システムの製造
本発明によらない排気ガス処理システム(以下で「システム4」と称する)は、参照実施例7の触媒と参照実施例11の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例11の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置いた。
【0799】
[比較例3]本発明によらない排気ガス処理システムの製造
本発明によらない排気ガス処理システム(以下で「システム5」と称する)は、参照実施例7の触媒と参照実施例12の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例12の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置いた。
【0800】
[比較例4]本発明によらない排気ガス処理システムの製造
本発明によらない排気ガス処理は、参照実施例13のSCR触媒と参照実施例14のAMOX触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例14の触媒は、参照実施例13の触媒の下流に置いた。
【0801】
[比較例5]本発明によらない排気ガス処理システムの製造
本発明によらない排気ガス処理システムは、参照実施例15の触媒(以下で「V-SCR」と称する)と参照実施例16の触媒(以下で、「Pt-DOC」と称する)を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例16の触媒は、参照実施例15の触媒の下流に置いた。
【0802】
[実施例17]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システム(以下で「システム1」と称する)は、参照実施例7の触媒と参照実施例8の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例8の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置いた。
【0803】
[実施例18]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システム(以下の「システム2」と称する)は、参照実施例7の触媒と参照実施例9の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例9の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置いた。
【0804】
[実施例19]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システム(以下で「システム3」と称する)は、参照実施例7の触媒と参照実施例10の触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例10の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置いた。
【0805】
[実施例20]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システムは、参照実施例7のDOC触媒、参照実施例8のSCR触媒と参照実施例14のAMOX触媒を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例8の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置き、参照実施例14の触媒は、参照実施例8の触媒の下流に置いた。
【0806】
[実施例21]本発明による排気ガス処理システムの製造
本発明による排気ガス処理システムは、参照実施例7の触媒(以下で「Pd-DOC」と称する)、参照実施例15の触媒(以下で「V-SCR」と称する)および参照実施例16の触媒(以下で「Pt-DOC」と称する)を組み合わせることにより製造し、ここでは、参照実施例15の触媒は、参照実施例7の触媒の下流に置き、参照実施例16の触媒は、参照実施例15の触媒の下流に置いた。
【0807】
[実施例22]実施例17~19、ならびに比較例2および3の排気ガス処理システムの使用-耐HC毒作用
実施例17~19、ならびに比較例2および3の排気ガス処理システムについて、脱NOxおよび生成したN2Oを、230℃で、前記排気ガス処理システムの上流でのHC注入前および後に測定した(空間速度:86k.h-1)。結果が以下の表5に表示されている。
【0808】
【0809】
表5から分かり得る通り、HC注入後、排気ガス処理システム1~4の場合に測定された脱NOxは、わずか1%未満しか低下しなかった一方、本発明によらない排気ガス処理システム5の場合に測定された脱NOxは、4.5%低下した。これは、排気ガス処理システム1~4は、炭化水素変換率の改善を実現し、こうして、特に低温でのHC毒作用が防止されたことを示す。
【0810】
さらに、排気ガス処理システム1~3を使用すると生成するN2Oの量は、1ppm未満である。これと対照的に、どちらも本発明によらない、システム4の場合、約5ppmのN2Oが生成し、システム5の場合、約35ppmのN2Oが生成した。これは、DOCの下流に位置するパラジウム含有触媒を含むシステムに比べて、DOCの下流に位置する白金含有触媒を備えるシステムはアンモニアを酸化する能力が一層高いことを示す。さらに、HC注入は、N2O生成に効果がないように思われる。
【0811】
したがって、この実施例は、特定のDOC、およびDOCの下流に位置する特定のSCR触媒を備える本発明の排気ガス処理システムは、炭化水素変換率の改善を実現し、このことは、N2Oの形成を防止しながら、HC毒作用を防止することを意味する。
【0812】
[実施例23]実施例17、18および19の排気ガス処理システムでの燃料燃焼
HCスリップを、様々な荷重点1~12(空間速度:370℃から開始して240℃に終了する、DOC入口温度の低下時での200kから45k h-1。以下の表2を参照されたい)で、実施例17~19(システム1~3)および比較例2および3(システム4および5)の排気ガス処理システムの出口で測定した。DOC出口温度SCR出口温度もまた、様々な荷重点1~12(空間速度:370℃から開始して240℃に終了する、DOC入口温度の低下時での200kから45k h-1。以下の表6を参照されたい)で、システム1~5について測定した。結果が、それぞれ、
図1~5に表示されている。
【0813】
【0814】
図15から分かり得る通り、荷重点1~9および11におけるDOC出口温度は、約430℃であった。2つの荷重点10および12において、このシステムは十分なHC酸化を実現しなかった。このことは、本発明のシステム1において使用したDOCは、本発明のシステムのSCR触媒の上流で発熱を生じたことを示す。さらに、HCスリップは、荷重点7では、約10ppmであり、荷重点4、5および8では、約5ppm以下であり、荷重点1~3、6および9~12ではゼロであった。これは、実施例17のシステムは、大きな炭化水素変換率(燃料燃焼)を実現したことを示している。
【0815】
図16から分かり得る通り、荷重点1~9および11におけるDOC出口温度は、約400~425℃であった。2つの荷重点10および12において、このシステムは十分なHC酸化を実現しなかった。このことは、本発明のシステム2において使用したDOCは、本発明のシステムのSCR触媒の上流で発熱を生じたことを示す。さらに、HCスリップは、荷重点7では約55ppmであり、荷重点4では約30ppmであり、荷重点5では約10ppmであり、荷重点1、2、6、8および9では約5ppm以下であり、荷重点3および10~12ではゼロであった。これは、実施例18のシステムは、良好な炭化水素変換率(燃料燃焼)を実現することを示すものである。
【0816】
図17から分かり得る通り、荷重点1~9および11におけるDOC出口温度は、約400~425℃であった。2つの荷重点10および12において、このシステムは十分なHC酸化を実現しなかった。このことは、本発明のシステム3において使用したDOCは、本発明のシステムのSCR触媒の上流で発熱を生じたことを示す。さらに、HCスリップは、荷重点7では約70ppmであり、荷重点4では約20ppmであり、荷重点1では約10ppmであり、荷重点2、5および8では約5ppm以下であり、荷重点3、6および9~12ではゼロであった。これは、実施例19のシステムは、良好な炭化水素変換(燃料燃焼)を実現することを示すものである。
【0817】
図18から分かり得る通り、荷重点1~9および11におけるDOC出口温度は、約400~425℃であった。2つの荷重点10および12において、このシステムは十分なHC酸化を実現しなかった。さらに、HCスリップは、荷重点7では約115ppmであり、荷重点4および8では約20ppmであり、荷重点1および5では約10ppmであり、荷重点2では5ppm未満であり、荷重点3、6および9~12ではゼロであった。これは、同等のシステム4は、特に荷重点4および7において、実施例17~19の本発明のシステムと比べて、低い炭化水素転化率(燃料燃焼がより低い)を実現することを示すものである。
【0818】
図19から分かり得る通り、荷重点1~9および11におけるDOC出口温度は、約400~425℃であった。2つの荷重点10および12において、このシステムは十分なHC酸化を実現しなかった。さらに、HCスリップは、荷重点7では約120ppmであり、荷重点4では約75ppmであり、荷重点1では約40ppmであり、荷重点5および8では約10ppmであり、荷重点2では5ppm未満であり、荷重点3、6および9~12ではゼロであった。これは、同等のシステム5は、特に荷重点4および7において、実施例17~19の本発明のシステムと比べて、より低い炭化水素変換率(より低い燃料燃焼)を実現したことを示すもものである。
【0819】
この実施例は、本発明の排気ガス処理システムは、比較例2および3のシステムと比べて、本発明のシステムに含まれるSCR触媒の上流でより大きな発熱を生じ、炭化水素転化率が改善したことを実証するものである。
【0820】
さらに、この実施例はまた、本発明による排気ガス処理システムは、炭化水素変換率(燃料燃焼)の改善を示すと同時に、SCR触媒の上流で発熱を生じて、アンモニアが酸化するのを防止することを実証するものである。
【0821】
[実施例24]実施例20および比較例4のシステムでの脱NOx性能
実施例20および比較例4のシステムの場合のNOx還元は、3種の異なる温度、すなわち、204、217および274℃で決定した(アンモニア対NOx比(ANR)=1.1)。結果が
図20に表示されている。
【0822】
【0823】
204~274℃では、脱NOxは、実施例20の排気ガス処理システムと比較例4の排気ガス処理システムとの間で同等である。実際に、実施例20のシステムの場合の脱NOxは、204℃で約71%、217℃で約76%、274℃で88%であり、比較例3のシステムの場合の脱NOxは、204℃で約69%、217℃で約78%、および274℃で88%であり、最良性能は274℃においてであった。
【0824】
この実施例は、本発明の排気ガス処理システムは、特に低温、すなわち300℃未満で、上流のSCRおよびAMOXのNOx変換を妨害しなかったことを実証している。
【0825】
[実施例25]実施例20および比較例4の排気ガス処理システムの使用-HCスリップ/SCR(出口)温度
HCスリップは、様々な荷重点1~7(空間速度:370℃から開始して270℃に終了する、SCR入口温度の低下時での50kおよび75kh
-1。以下の表8を参照されたい)で、実施例20の排気ガス処理システムおよび比較例4の排気ガス処理システムの場合のAMOX触媒(HCスリップAMOX(出口))の出口で測定した。結果が
図21に表示されている。
【0826】
【0827】
実施例20の排気ガス処理システムのHCスリップは、荷重点2では約5ppmであり、荷重点1および4では約20ppmであり、荷重点6では約25ppmであり、荷重点3では約45ppmであり、HCスリップは、荷重点5では約80ppmであった。比較例4の排気ガス処理システムのHCスリップは、荷重点2では約90ppmであり、荷重点1および4では約200ppmであった。さらに、荷重点3でピークがあり、HCスリップは、450ppmを超えた。これは、比較例4の排気ガス処理システムのSCR触媒は、HCの官能基化を示さないこと、および前記比較例のAMOXは、高いSCR(入口)温度でしか補うことができないことを示している。このことは、本発明の排気ガス処理システムは、一層低いSCR(入口)温度、すなわち300℃未満(荷重点5および6を参照されたい)でさえも、優れた炭化水素変換率を実現することをさらに示している。
【0828】
実施例20の排気ガス処理システムの場合のSCR(出口)温度は、300℃未満のSCR(入口)温度でさえも、400~440℃の間となる一方、比較例4の排気ガス処理システムのSCR(出口)温度は、SCR(入口)温度にほぼ等しかった。これは、本発明の排気ガス処理システムは、硫黄毒作用による不活性化を克服する好都合な発熱の生成を可能にすることを示している。
【0829】
この実施例は、本発明の排気ガス処理システムが、HC毒作用および硫黄毒作用に対する耐性の改善を示したことを実証するものである。
【0830】
[実施例26]脱NOx性能に及ぼすHC注入の影響
HC注入後の脱NOx性能を測定するため、低下したNOxの相対量を、実施例20の排気ガス処理システムおよび比較例4の排気ガス処理システムについて、203℃で測定した。
【0831】
【0832】
結果が
図8に示されており、ここでは、実施例20の排気ガス処理システムは、脱NOxの約3%低下を示した一方、比較例4のシステムは、約15%の低下を示した。したがって、この実施例は、本発明の排気ガス処理システムは、HC注入後にNOx変換率はほとんど変化しないので、低温で炭化水素(HC)毒作用に耐性であることを実証している。したがって、本発明の排気ガス処理システムは、SCR触媒のHC毒作用を防止した。
【0833】
[実施例27]実施例21および比較例5の排気ガス処理システムの使用-SCR後温度/燃料燃焼
実施例21および比較例5の排気ガス処理システムについて、V-SCR後の温度を、時間の関数として、様々な条件で、すなわち第1の触媒に入る前(触媒前温度)および燃料注入後の様々な温度で測定した。結果が、
図23、24および25に示されている。
【0834】
【0835】
図23および24から分かる通り、330℃の触媒前温度で、および燃料注入1の後に、安定した発熱が観察された。すなわち、比較例5のシステムの場合、SCR後の温度は、約400℃である。V-SCRは、燃料をかなり良好に酸化した。さらに、Pt-DOC後の温度は約450℃であった。燃料注入は、約80分時に停止した。清浄期(約85~100分間)中に、SCRの温度は、触媒前温度と同じであった。燃料注入中に、触媒表面に吸着した可能性のあるディーゼル燃料が、蒸発して酸化された。
【0836】
さらに、293℃というより低い触媒前温度において、および燃料注入2の後に、比較例5のシステムのSCR後温度は、最大値で350℃となり、低下して、ほぼ触媒前温度に到達した。実験中に、燃料燃焼は、V-SCR上で始まったが、この反応は失活したことが観察された。燃料注入2の終わり(約165分時)に、V-SCR上での燃料燃焼は観察されなかった。次に、Pt-DOCは、燃料酸化を引き継ぎ、450℃という目標燃料燃焼温度を達成した。しかし、約170分時の清浄期の開始時には、制御されない発熱(ピークは650℃超)が観察された。いかなる理論にも拘泥されることを望むものではないが、このことは、燃料注入の間にV-SCR触媒に吸着された燃料によるものであると推定され、後者は、清浄期中に、高いエンジン出口温度で、蒸発して酸化される。前記発熱は、システムの触媒の破壊が原因となり得る。
【0837】
図25から分かる通り、335℃の触媒前温度で、および燃料注入1の後に、実施例21のシステムの場合のPd-DOC後温度は、約410℃であり、V-SCRの出口において安定した発熱が観察される。すなわち、実施例21のシステムの場合のSCR後温度は約442℃となる。V-SCRは、燃料をほぼ完全に酸化する。いかなる理論によっても拘泥されることを望むものではないが、これは、V-SCRの上流にPd-DOCを使用することが可能であり、これにより、V-SCRが燃料燃焼触媒として完璧に働くことが可能な枠で、V-SCRの入口における温度を上昇させることが可能であることを推定するものである。さらに、Pt-DOC後の温度は、約451℃である。燃料注入は、約80分時に停止する。清浄期(約85~100分間)中に、V-SCR後の温度は、触媒前温度と同じである。
【0838】
さらに、295℃というより低い触媒前温度で、および燃料注入2の後に、実施例21のシステムの場合のPd-DOC後温度は、約389℃であり、V-SCRの出口端部において安定な発熱が観察された。すなわち、実施例21のシステムの場合のV-SCR後温度は約435℃である。SCRは、燃料をほぼ完全に酸化した。いかなる理論にも拘泥されることを望むものではないが、これは、V-SCRの上流にPd-DOCを使用することが可能であり、これにより、V-SCRが燃料燃焼触媒として完璧に働くことが可能な枠で、V-SCRの入口における温度が上昇することを推定するものである。Pt-DOC後温度は、約450℃であった。燃料注入は、約175分時に停止し、比較例5で得られた結果とは反対に、清浄期の間に、制御されない発熱は観察されなかった。Pd-DOCは、Pd-DOC後に発生した好都合な温度のために、V-SCR表面への燃料吸着を防止すると推測された。
【0839】
この実施例は、本発明の排気ガス処理システム、すなわちDOCの下流の特定のDOCおよび特定のSCRを含む排気ガス処理システムの使用により、システムの入口端部において、低温で、すなわち300℃より低い温度において、システムを損傷するのを防止すると同時に、最適燃料燃焼を得たことを実証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0840】
本発明の理解をもたらすため、添付の図面を参照し、これらの図面は必ずしも、縮尺通りではなく、参照番号は、本発明の構成要素を指す。
【
図1】本発明による、触媒物品(すなわち、選択的還元触媒(SCR))のウォッシュコート組成物を含むことができるハニカムタイプの基材の斜視図である。
【
図2】モノリシックなフロースルー基材を表す、
図1の基材の端部面に平行な面に沿って切り取った、
図1に対して拡大した部分断面図であり、これは、
図1に示されている複数のガス流通路の拡大図を示す。
【
図3】
図1に対して拡大した区域の断面図であり、ここでは、
図1におけるハニカムタイプの基材は、ウォールフローフィルター基材モノリスであることを表す。
【
図4】本発明のゾーン化した触媒物品の断面図である。
【
図5】本発明の触媒物品を利用した、排出物処理システムの実施形態の模式図である。
【
図6】実施例で説明したある特定の独創的な本発明の実施形態のNOx変換活性を示す線グラフである。
【
図7】実施例で説明したある特定の独創的な本発明の実施形態のNO
x変換活性を示す線グラフである。
【
図8】実施例で説明したある特定の独創的な本発明の実施形態のNO
2形成を示すグラフである。
【
図9】実施例で説明したある特定の独創的な本発明の実施形態のCO変換率を示すグラフである。
【
図10】実施例で説明したある特定の独創的な本発明の実施形態のHC酸化を示すグラフである。
【
図11a】本発明による排気ガス処理システム、およびさらなる触媒ユニットと連結したエンジンの模式図である。特に、
図11aは、本発明による排気ガス処理システム、およびさらなる触媒ユニットと連結したエンジンの模式図である。本発明による排気ガス処理システム1は、
図11aに図示されており、前記システムは、ディーゼルエンジンの下流、および排気ガス処理システム1の入口端部の下流に位置している、上で記載した第1の触媒2を備える。任意に、流体インジェクタ4は、第1の触媒2の上流、および排気ガス処理システムの入口端部の下流に位置してもよい。さらに、システム1は、第1の触媒2の下流に位置する、上で記載した第2の触媒3を備える。第1の触媒2は、基材上に配設されているコーティングを含み、どちらも、
図11aに表されていない。第2の触媒3は、基材上に配設されているコーティングを含み、どちらもやはり、
図11aに表されていない。触媒2および触媒3の基材は、個別の基材であり、こうして、第1の触媒2および第2の触媒3は、パイプまたは管5によって分離されている。さらに、触媒ユニット6は、排気ガス処理システム1の下流に配設されていてもよく、前記ユニット6は、ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒およびアンモニア酸化のうちの1種または複数であってもよい。
【
図11b】本発明による排気ガス処理システム、およびさらなる触媒ユニットと連結したエンジンの模式図である。特に、
図11bは、本発明による排気ガス処理システム、およびさらなる触媒ユニットと連結したエンジンの模式図である。本発明による排気ガス処理システム11は、
図11bに図示されており、前記システムは、ディーゼルエンジンの下流、および排気ガス処理システム1の入口端部の下流に位置している、上で記載した第1の触媒12を備える。任意に、流体インジェクタ4は、第1の触媒12の上流、および排気ガス処理システムの入口端部の下流に位置してもよい。さらに、システム11は、第1の触媒12の下流に位置する、上で記載した第2の触媒13を備える。第1の触媒12は、基材上に配設されているコーティングを含み、どちらも、
図11aに表されていない。第2の触媒13は、基材上に配設されているコーティングを含み、どちらもやはり、
図11aに表されていない。触媒12および触媒13の基材は、単一基材を形成する。例えば、第1の触媒12のコーティングは、基材の入口端部から出口端部までの基材長さの48~52%を被覆することができ、第2の触媒13のコーティングは、基材の出口端部から入口端部までの基材長さの48~52%を被覆することができ、これらのコーティングは重ならない。代替的に、触媒12および13のコーティングは、重なってもよい。さらなる代替として、第1の触媒12と第2の触媒13のコーティングの間に隙間を作ってもよい。これらの代替は、
図11bに図示されていない。さらなる触媒ユニット6が、排気ガス処理システム1の下流に配設されていてもよく、前記ユニット6は、ディーゼル酸化触媒、窒素酸化物還元触媒およびアンモニア酸化のうちの1種または複数とすることができる。
【
図12】様々な荷重点1~7における、実施例13の排気ガス処理システムおよび比較例1の排気ガス処理システムの場合の、AMOX触媒(HCスリップAMO(出口))の出口において、およびSCR(出口)の温度で測定したHCスリップを示す図である。
【
図13】低温、すなわち225℃で、実施例13および比較例1の排気ガス処理システムを使用することにより得られた、測定したNOx変換率を示す図である。
【
図14】HC注入後の、実施例13の排気ガス処理システムおよび比較例1の排気ガス処理システムの場合の、203℃で測定した低下したNOxの相対量を示す図である。
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図15】様々な荷重点1~12における、本発明の排気ガス処理システム(システム1)の場合に測定したDOC出口温度およびHCスリップを示す図である。
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図16】様々な荷重点1~12における、本発明の排気ガス処理システム(システム2)の場合に測定したDOC出口温度およびHCスリップを示す図である。
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図17】様々な荷重点1~12における、本発明の排気ガス処理システム(システム3)の場合に測定したDOC出口温度およびHCスリップを示す図である。
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図18】様々な荷重点1~12における、本発明によらない排気ガス処理システム(システム4)の場合に測定したDOC出口温度およびHCスリップを示す図である。
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図19】様々な荷重点1~12における、本発明によらない排気ガス処理システム(システム5)の場合に測定したDOC出口温度およびHCスリップを示す図である。
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図20】様々な温度、すなわち204、217および274℃における、実施例20および比較例4の排気ガス処理システムの場合の脱NOxを示す図である。
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図21】様々な荷重点1~7における、実施例20の排気ガス処理システムおよび比較例4の排気ガス処理システムの場合の、AMOX触媒(HCスリップAMOX(出口))の出口において、およびSCR(出口)の温度で測定したHCスリップを示す図である。
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図22】HC注入後の、実施例20の排気ガス処理システムおよび比較例4の排気ガス処理システムの場合の、203℃で測定した低下したNOxの相対量を示す図である。
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図23】触媒前の様々な温度における、比較例5の排気ガス処理システムの場合のSCR後およびPt-DOC後の温度を示す図である。
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図25】触媒前の様々な温度における、実施例21の排気ガス処理システムの場合のSCR後およびPt-DOC後の温度を示す図である。
【0841】
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DE102015015260(A1)
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