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特許7202067横方向関節運動を伴う可拡張椎体間インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】横方向関節運動を伴う可拡張椎体間インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/44 20060101AFI20221228BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61F2/44
A61B17/70
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017207035
(22)【出願日】2017-10-26
(65)【公開番号】P2018122079
(43)【公開日】2018-08-09
【審査請求日】2020-10-26
(31)【優先権主張番号】62/413,038
(32)【優先日】2016-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521418414
【氏名又は名称】ホウメディカ・オステオニクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Howmedica Osteonics Corp.
【住所又は居所原語表記】325 Corporate Drive Mahwah, NJ 07430, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】アミール・アリ・シャリフィ‐メール
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ブチャート
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・リドケ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エイ・アルハイド
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-533337(JP,A)
【文献】特表2010-522609(JP,A)
【文献】特開2014-180551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257894(US,A1)
【文献】特表2003-518978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/44
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置される脊椎インプラントであって、
前記第1の椎体に接触する第1の表面を有する本体と、
ヒンジ部分を中心として関節運動可能な第1の部分及び第2の部分と、
第1のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第1のピストンを含み、第1の位置にて前記本体に接続された第1の可拡張支持要素であって、前記第1の表面から離れる方に第1の拡張力を加えるように拡張する構成である、第1の可拡張支持要素と、
前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分及び前記第2の部分の一方に配置されて第2のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第2のピストンを含み、第2の位置にて前記本体に接続された第2の可拡張支持要素であって、前記第1の表面から離れる方に第2の拡張力を加えるように拡張する構成である、第2の可拡張支持要素と、
前記第1及び第2の可拡張支持要素を拡張するように構成される入力部と
を備え、
脊椎インプラントは、前記入力部を介して脊椎インプラントに単一の入力を印加することによって、前記第1の可拡張支持要素が拡張すると共に前記第1の拡張力が加えられ、かつ前記第2の可拡張支持要素が拡張すると共に前記第2の拡張力が加えられるように構成されており、前記第1の拡張力が前記第2の拡張力よりも大きくなっている、脊椎インプラント。
【請求項2】
前記第1及び第2の可拡張支持要素が、作動流体を前記入力部に供給することによって拡張するように構成されている、請求項に記載の脊椎インプラント。
【請求項3】
前記第1のピストンが前記第2のピストンよりも大きな横断面積を有する、請求項のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
【請求項4】
前記第1のピストンが前記ヒンジ部分に配置されている、請求項に記載の脊椎インプラント。
【請求項5】
第3のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第3のピストンをさらに備え、
前記第2のピストンが前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置され、
前記第3のピストンが前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に配置されている、請求項に記載の脊椎インプラント。
【請求項6】
前記第1のピストンが、前記第2のピストン及び前記第3のピストンの両方よりも大きな横断面積を有する、請求項に記載の脊椎インプラント。
【請求項7】
前記第1及び第2の可拡張支持要素が、作動流体を前記入力部に供給することによって拡張するように構成されており、
前記入力部が、前記ヒンジ部分とは反対側の前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
【請求項8】
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記第1の部分の前記入力部から前記ヒンジ部分を介して前記第2の部分に導くように構成されている、請求項に記載の脊椎インプラント。
【請求項9】
第1のセグメントと、第2のセグメントと、第3のセグメントとを備え、
前記第1のセグメントが前記第2のセグメントに関節運動可能に接続されており、
前記第3のセグメントが前記第2のセグメントに関節運動可能に接続されており、
前記第2のセグメントが前記第1のセグメントと前記第3のセグメントとの間に配置されており、
前記第1のピストンが前記第2のセグメントに配置されている、請求項に記載の脊椎インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2016年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/413,038号の出願日の利得を主張するものであり、その開示内容は、参照することによってここに含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
椎間インプラントは、一般的に、脊椎手術、例えば、インプラント(例えば、スペーサ又はケージ)を2つの椎骨間の椎間腔内に配置し、かつこれらの椎骨を一緒に融合させる椎体間融合処置に用いられている。通常、インプラントが椎間腔内に配置される前に、椎間板の少なくとも一部が取り除かれ、椎骨の融合を促進させるために、インプラントが骨グラフト材料によって補充されることがある。また、椎体間融合処置は、特に、椎骨が一緒に融合する間に追加的な安定性をもたらすために、椎弓根スクリュー固定のような他の形式の固定と併せて行われることもある。
【0003】
種々の椎体間融合処置は、脊椎に沿った位置(例えば、頚椎領域、胸椎領域、又は腰椎領域)によって区別することができ、用いられるインプラントの種類によっても区別することができ、さらに、椎間腔への外科的アプローチによっても区別することができる(多くの場合、外科的アプローチが異なると、用いられる1つ又は複数のインプラントの構造的特性が異なることになる)。脊椎への種々の外科的アプローチは、前方アプローチ、後方アプローチ、及び側方アプローチを含む。後方アプローチに沿って行われる椎体間融合技術の例として、後方腰椎椎体間融合(PLIF)及び経椎間孔的腰椎椎体間融合(TLIF)が挙げられる。PLIF技術は、典型的には、2つの椎間インプラントを後方から前方に向かう方向に沿って椎間腔内に配置する方法であり、1つのインプラントは、脊椎の左側に向かって配置され、もう1つのインプラントは、脊椎の右側に向かって配置されるようになっている。このようなPLIF技術に用いられるインプラントは、典型的には、中心軸に沿って延びる直線形状を有している。対照的に、TLIF技術は、典型的には、1つの椎間インプラントを患者の後方から椎間腔内に(多くの場合、椎間腔の正面部分に向かって)配置するようになっているが、PLIF技術よりもさらに横方向の位置から脊椎の一方側にアプローチするようになっている。このようなTLIF技術に用いられるインプラントは、多くの場合、全体的にインゲン豆状の形状を有するように湾曲している。一方、側方アプローチに沿って行われる椎体間融合技術は、多くの場合、それらの直線状の長手軸に沿って略対称的なインプラント(例えば、実質的に矩形又は楕円形状を有するインプラント)を用いるが、これらのインプラントは、典型的には、PLIF技術又はTLIF技術に用いられるものよりも大きくなっている。すなわち、側方アプローチに用いられる椎間インプラントは、多くの場合、椎間腔のかなりの部分を占めるようになっている。
【0004】
種々の形式の椎間インプラントには、可拡張インプラントが含まれる。かかるインプラントは、多くの場合、椎間腔内への挿入を容易にするために、当初、収縮形態を有しており、これによって、上下方向に低い輪郭を呈している。従って、移植の後、このような可拡張インプラントを上下方向に拡張させ、これによって、椎間腔の両側の椎骨にしっかりと係合し、これらの椎骨を安定化させることができる。可拡張椎間インプラントの例は、特許文献1(‘620特許)及び2016年4月7日に出願された「可拡張椎体間インプラント」と題する特許文献2(‘513出願)に開示されている。これらの文献の開示内容は、参照することによって、ここに完全に記載されているかのように含まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第8,992,620号明細書
【文献】米国仮特許出願第62/319,513号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような椎体間システム及び方法を最適化するために、本技術分野においては著しい努力が払われてきているが、さらに一層の改良が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、椎体間インプラントと、当該椎体間インプラントを備えるシステムとに関する。本発明はまた、このようなインプラント及びシステムを用いて脊椎椎体間融合処置を行うことに関連する方法に関する。
【0008】
本発明の一態様によれば、脊椎インプラントが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、第1の椎体に接触する第1の表面を有する本体と、それぞれの位置にて本体に接続された少なくとも2つの可拡張支持要素とを備える。脊椎インプラントは、可拡張支持要素を拡張するように構成される入力部を備え、これによって、可拡張支持要素のそれぞれが第1の表面から離れる方向に拡張力を加えるようになっているとよい。望ましくは、脊椎インプラントは、入力部に単一の入力を印加することによって可拡張支持要素が種々の拡張力を加えるように構成されているとよい。
【0009】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、可拡張支持要素は、それぞれのシリンダ内に摺動可能に受け入れられるピストンを含んでもよい。このような可拡張支持要素は、入力部に供給される作動流体によって駆動するようになっていてもよい。脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、ピストンは、互いに異なる横断面積を有してもよい。いくつかのさらなる態様によれば、脊椎インプラントは、ヒンジ部分を中心として関節運動可能な2つの部分を含んでいてもよい。このような態様のいくつによれば、より大きな横断面積を有する第1のピストンが、ヒンジ部分に配置されていてもよい。いくつかのさらなる態様によれば、より小さな横断面積を有する第2のピストンが、2つの関節運動可能な部分の一方に配置されていてもよい。いくつかのさらなる態様は、2つの関節運動可能な部分の他方における第3のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第3のピストンを備えていてもよい。このような態様のいくつかにおいて、第1のピストンは、第2及び第3のピストンの両方よりも大きな横断面積を有してもよい。脊椎インプラントの他の態様によれば、可拡張支持要素が、入力部に供給される作動流体によって駆動されるようになっていてもよく、入力部が、ヒンジ部分の反対側における関節運動可能な部分の1つに配置されていてもよい。このような態様のいくつかによれば、脊椎インプラントは、作動流体を関節運動可能な部分の一方における入力部からヒンジ部分を介して関節運動可能な部分の他方に導くように構成されてもよい。脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、関節運動可能な部分は、少なくとも3つのセグメントを含んでいてもよく、これらのセグメントのうち第1のセグメントは第2のセグメントに関節運動可能に接続され、第3のセグメントは第2のセグメントに関節運動可能に接続されてもよく、第2のセグメントは第1及び第3のセグメント間に配置されてもよい。このような態様では、より大きな横断面積を有する第1のピストンが第2のセグメントに配置されてもよい。
【0010】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、第1のヒンジによって当該ヒンジを中心として関節運動するように一緒に接続された第1及び第2の部分を備える。望ましくは、第1のヒンジは、インプラントにおける第1及び第2の部分にそれぞれ旋回可能に接続された第1及び第2の剛性リンクを含んでいてもよい。
【0011】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、脊椎インプラントは、脊椎の長手軸に沿って拡張可能になっていてもよい。このような態様のいくつかにおいて、脊椎インプラントの拡張は、インプラントに作動流体を供給することによって行われてもよい。このような態様のさらにいくつかにおいて、シリンダ内に摺動可能に受け入れられるピストンは、インプラントにおける第1及び第2の部分のそれぞれに設けられてもよい。本発明のいくつかの態様では、脊椎インプラントは、作動流体を第1及び第2の剛性リンクの少なくとも1つを介してインプラントにおける第1の部分及び第2の部分間から導くように構成されてもよい。
【0012】
上記脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、脊椎インプラントは、第2のヒンジによって当該第2のヒンジを中心として関節運動可能となるように第2の部分に接続された第3の部分を含んでいてもよい。望ましくは、第2のヒンジが第3及び第4の剛性リンクを含んでいてもよく、これらの剛性リンクは、それぞれ、インプラントにおける第2及び第3の部分に旋回可能に接続されてもよい。脊椎インプラントの他の態様によれば、第1のヒンジは、第1及び第2の部分がそれらの長手軸を互いに一致させる配置とすべく関節運動することを可能とするように構成されてもよい。
【0013】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、第1及び第2の剛性リンクが、それぞれ、これらの剛性リンクをインプラントのそれぞれの長手方向側部に配置するようにインプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続されていてもよい。脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、第1及び第2の剛性リンクは、これらの剛性リンクがそれぞれのリンクの旋回可能に接続された端部間にてインプラントの一方の長手方向側部から他方の長手方向側部に交差するように、インプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続されていてもよい。このような態様のいくつかにおいて、リンクの1つが屈曲した輪郭を有してもよい。
【0014】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、ヒンジによって当該ヒンジを中心として関節運動可能となるように一緒に接続された第1及び第2の部分を備える。望ましくは、ヒンジは、インプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続された第1の剛性リンクを含む。好ましくは、第1の剛性リンクは、作動流体を脊椎インプラントにおける第1及び第2の部分間に通すように構成された通路を有する。
【0015】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、脊椎インプラントは、脊椎の長手軸に沿って拡張可能になっていてもよい。このような態様のいくつかにおいて、脊椎インプラントの拡張は、インプラントに作動流体を供給することによって行われてもよい。このような態様のさらなるいくつかにおいて、シリンダ内に摺動可能に受け入れられたピストンは、インプラントにおける第1及び第2の部分のそれぞれに設けられてもよい。
【0016】
上記脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、ヒンジは、インプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続された第2の剛性リンクを含んでもよい。このような態様のいくつかにおいて、第2の剛性リンクが、脊椎インプラントにおける第1及び第2の部分間に作動流体を通すように構成された通路を有してもよい。いくつかのさらなる態様によれば、第1及び第2の剛性リンクは、それぞれ、これらの剛性リンクがインプラントのそれぞれの長手方向側部に配置されるように、インプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続されていてもよい。さらに他の態様によれば、第1及び第2の剛性リンクは、これらの剛性リンクがそれらの旋回可能に接続された端部間にてインプラントの一方の長手方向側部から他方の長手方向側部に交差するように、インプラントにおける第1及び第2の部分に旋回可能に接続されてもよい。このような態様のいくつかにおいて、リンクの1つが屈曲した輪郭を有してもよい。
【0017】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、第1の表面を有する本体と、この本体のシリンダ内に摺動可能に受け入れられるピストンとを備える。ピストンは、第2の表面を第1の表面から離れる方に拡張させるようにシリンダの長手軸に沿って摺動可能になっているとよい。望ましくは、脊椎インプラントは、ピストンが拡張軸に沿って摺動するときに、ピストンを回転させるように構成される。このような脊椎インプラントのいくつかの態様によれば、ピストンの回転は、カムによって制御されるようになっていてもよい。例を挙げると、カムは、シリンダに連結された従動子に係合可能となるようにピストンの外表面に設けられてもよい。本発明の他の態様によれば、ピストンが拡張軸に沿って摺動するとき、ラチェット要素が第1の方向へのピストンの回転を拘束するようになっていてもよい。ピストンが第1の方向とは反対の第2の方向に回転することを可能にすべく、ラチェット要素は、必要に応じて、機能しないように構成されてもよい。このような脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、ピストンは、第2の椎体に接触するように配置された第2の表面を有する係合プレートに連結されてもよい。望ましくは、係合プレートは、回転可能な接続及び/又は旋回可能な接続によって、ピストンに連結されてもよい。
【0018】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、第1の表面を有する本体と、この本体に接続された少なくとも1つの可拡張支持要素とを備える。可拡張支持要素は、収縮形態から少なくとも1つの拡張形態に拡張し、第2の表面を第1の表面から離れる方に平行移動させるように構成されるとよい。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントは、好ましくは、複数の連続的な係止形態に前進可能な係止システムを備える。複数の連続的な係止形態のそれぞれは、可拡張支持要素の連続的な段階の拡張に対応している。望ましくは、係止システムは、当該係止システムが係止形態の1つに位置決めされたとき、収縮形態に向かう可拡張支持要素の移動を阻止するようになっている。さらに、係止システムにおける複数の連続的な係止形態のそれぞれへの位置決めは、好ましくは、カムの作用によって行われる。
【0019】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、カムが、本体に連結された従動子に係合可能となるように可拡張支持要素の外表面上に設けられていてもよい。本発明のこのようないくつかの態様によれば、従動子とカムとの係合は、可拡張支持要素の回転を引き起こすようになっていてもよい。
【0020】
脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、ラチェット要素が、係止システムが先行する係止形態に戻ることを阻止するようになっていてもよい。このようないくつかの態様では、収縮形態への可拡張支持要素の移動を可能にすべく、ラチェット要素は、必要に応じて、機能しないように構成されてもよい。
【0021】
上記脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、係止システムは、可拡張支持要素が少なくとも1つの拡張形態に拡張したときに、複数の個別の位置にて下側段の階層配列体に係合可能な上側段の階層配列体を備えていてもよい。脊椎インプラントのさらに他の態様によれば、可拡張支持要素は、本体に連結されたシリンダ内に摺動可能に受け入れられるピストンを含んでいてもよい。
【0022】
本発明の他の態様によれば、脊椎インプラントシステムが提供される。本発明の当該態様に係る脊椎インプラントシステムは、好ましくは、脊椎インプラントと、当該インプラントに連結可能な工具とを備える。脊椎インプラントは、ヒンジによって当該ヒンジを中心として関節運動可能となるように一緒に接続された第1及び第2の部分を備えるとよく、工具は、脊椎インプラントにおける第1及び第2の部分をヒンジを中心として互いに離れる方に拡げるように構成された拡張具を備えるとよい。ヒンジは、脊椎インプラントの遠位端部に配置されるとよく、工具に接続するための工具インターフェイスが、脊椎インプラントの近位端部に配置されるとよい。
【0023】
上記脊椎インプラントのいくつかのさらなる態様によれば、拡張具は、第1及び第2の部分を互いに離れる方に拡げるように、第1及び第2の部分間に画定された空間内に挿入可能になっていてもよい。このような態様のいくつかによれば、脊椎インプラントの遠位端部から近位端部に向かう拡張具の移動が,インプラントにおける第1及び第2の部分の互いに離れる方への拡張をもたらすようになっていてもよい。いくつかのさらなる態様によれば、拡張具は、少なくとも1つの隆起面を備えていてもよく、当該隆起面は、インプラントにおける第1及び第2の部分の互いに離れる方への拡張をもたらすように、遠位端部から近位端部に向かう拡張具の移動中、インプラントにおける第1及び第2の部分の少なくとも1つに係合可能になっていてもよい。
【0024】
上記脊椎インプラントの他のさらなる態様によれば、脊椎インプラントは、脊椎の長手軸に沿って拡張可能であってもよい。脊椎の長手軸に沿った脊椎インプラントの拡張が、工具によって制御されるようになっていてもよい。例えば、作動流体が、工具を通して脊椎インプラントの近位端部におけるポートに供給されてもよい。本発明のいくつかの態様によれば、脊椎インプラントは、作動流体によって拡張可能な第1のピストンを備えていてもよく、当該ピストンはヒンジに配置されてもよい。本発明のこのような態様のいくつかにおいて、脊椎インプラントは、作動流体によって拡張可能な第2のピストンを備えていてもよく、第2のピストンは、脊椎インプラントにおける第1及び第2の部分の一方に配置されてもよい。いくつかのさらなる態様では、脊椎インプラントは、作動流体によって拡張可能な第3のピストンを備えていてもよく、第2のピストンは、インプラントにおける第1及び第2の部分の一方に配置され、第3のピストンは、他方の部分に配置されるようになっていてもよい。本発明のいくつかの態様によれば、ヒンジにおける第1のピストンは、インプラントにおける第1及び第2の部分の一方における第2のピストンよりも大きな横断面積を有していてもよい。いくつかの他の態様によれば、作動流体のためのポートは、脊椎インプラントにおける第1の部分に配置されていてもよい。このような態様のいくつかによれば、脊椎インプラントは、作動流体を第1の部分のポートからヒンジを通って第2の部分に導くように構成されてもよい。
【0025】
本発明の他の態様によれば、脊椎椎体間融合処置を行う方法が提供される。本発明の当該態様に係る方法は、好ましくは、インプラントの近位端部に接続された工具を用いて、インプラントを脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に挿入するステップを含む。また、この方法は、望ましくは、インプラントの近位端部に接続された状態の工具を用いて、インプラントにおける第1及び第2の関節運動可能な部分をインプラントの遠位端部のヒンジを中心として拡げるステップを含む。
【0026】
上記方法のいくつかのさらなる態様によれば、工具を用いてインプラントにおける第1及び第2の関節運動可能な部分を互いに離れる方に拡げるステップは、拡張要素をインプラントにおける第1及び第2の関節運動可能な部分間に画定された空間内に挿入することを含んでもよい。このような態様のいくつかにおいて、インプラントにおける第1及び第2の関節運動可能な部分を互いに離れる方に拡げるステップは、拡張器を長手方向にてインプラントの近位端部から遠位端部に前進させることを含んでもよい。
【0027】
さらなる他の態様によれば、この方法は、インプラントを脊椎の長手軸に沿って拡張させるステップをさらに含んでもよい。このような態様のいくつかにおいて、拡張ステップは、工具によって作動されてもよい。いくつかのさらなる態様では、拡張ステップは、作動流体を工具を介して供給することを含んでもよい。いくつかのさらなる態様では、作動流体は、ヒンジを通ってインプラントにおける第1及び第2の関節運動可能な部分間に流れるようになっていてもよい。いくつかの他の態様では、この方法は、作動流体を用いて、第1及び第2の関節運動可能な部分のそれぞれに配置された第1及び第2のピストンを拡張させるステップをさらに含んでもよい。いくつかの他の態様では、拡張ステップは、作動流体に圧力を印加することをさらに含んでもよい。このような態様のいくつかでは、作動流体への圧力の印加によって、第1及び第2のピストンが、それぞれ、第1及び第2の椎体間に第1及び第2の拡張力を加えるようになっていてもよく、第1及び第2の拡張力が互いに異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態に係る脊椎インプラントの斜視図である。
図2A】送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの斜視図である。
図2B】脊椎インプラントと送達工具との接続部に焦点を当てた図2Aの拡大図である。
図3A】閉形態にあり、かつ送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの斜視図である。
図3B】横方向に拡張した形態にあり、かつ送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの斜視図である。
図4A】閉形態で椎間腔内に位置決めされ、かつ送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの上面図である。
図4B】横方向に拡張した形態で椎間腔内に位置決めされ、かつ送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの上面図である。
図5A】縦方向に収縮した形態で椎間腔内に位置決めされている図1の脊椎インプラントの側面図である。
図5B】縦方向に拡張した形態で椎間腔内に位置決めされている図1の脊椎インプラントの側面図である。
図6図2Bの線6-6に沿って切断され、かつ送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの側断面図である。
図7図2Bの線7-7に沿って切断された図1の脊椎インプラントの斜視断面図である。
図8】送達工具に接続された図1の脊椎インプラントの斜視図である。
図9図1の脊椎インプラントの分解斜視図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る脊椎インプラントの分解斜視図である。
図11A】第1のアーム12の長手軸に沿って切断した図10の脊椎インプラントの側断面図である。
図11B】第1のアーム12の長手軸に沿って切断した図10の脊椎インプラントの平断面図である。
図12A】第2のアーム14の通路66に沿って切断した図10の脊椎インプラントの平断面図である。
図12B】横方向に拡張した形態にあり、かつ送達工具に接続された図10の脊椎インプラントの上側斜視図である。
図12C】横方向に拡張した形態にあり、かつ送達工具に接続された図10の脊椎インプラントの底側斜視図である。
図12D】送達工具の旋回可能なアーム23が第2のアーム14のピン25に係合している横方向に拡張した状態にある図10の脊椎インプラントの拡大斜視図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る脊椎インプラントの部分分解斜視図である。
図14】椎間腔内に位置決めされており、かつ図13の脊椎インプラントの斜視図である。
図15】椎間腔内に挿入する途中にある図13の脊椎インプラントの上面図である。
図16】線16-16に沿って切断した図13の脊椎インプラントの斜視断面図である。
図17】本発明の他の実施形態に係る脊椎インプラントの斜視図である。
図18】椎間腔内に挿入する途中にある図17の脊椎インプラントの上側斜視図である。
図19】椎間腔内に位置決めされている図17の脊椎インプラントの上側斜視図である。
図20】インプラントの底部プレート243に沿って切断した図19の脊椎インプラントの底断面図である。
図21A】縦方向に収縮した形態にある図17の脊椎インプラントの斜視図である。
図21B】縦方向に拡張した形態にある図17の脊椎インプラントの斜視図である。
図22A図17の脊椎インプラントの上面図である。
図22B】線22-22に沿って切断した図22Aの脊椎インプラントの側断面図である。
図23図17の脊椎インプラントの分解図である。
図24】頂部プレート245を省略し、かつ線24-24に沿って切断した図22Aの脊椎インプラントの部分斜視側断面図である。
図25A】ピストン、カムリング、及びラチェットリングを省略した図17の脊椎インプラントにおける1つのセグメント212の部分上斜視図である。
図25B図17の脊椎インプラントにおけるピストンの斜視図である。
図25C図17の脊椎インプラントにおけるカムリングの斜視図である。
図25D図17の脊椎インプラントにおけるラチェットリングの斜視図である。
図26】頂部プレート245を省略した図17の脊椎インプラントの部分分解斜視図である。
図27A】頂部プレート245を省略し、かつ縦方向に収縮した形態にある図17の脊椎インプラントの部分斜視図である。
図27B】頂部プレート245を省略し、かつ縦方向に拡張した形態にある図17の脊椎インプラントの部分斜視図である。
図28A】縦方向に収縮した形態にある図17の脊椎インプラントの部分斜視図である。
図28B】縦方向に拡張した形態にある図17の脊椎インプラントの部分斜視図である。
図29A】ピストン、ラチェットリング、及び制御ケーブルを示した図17の脊椎インプラントのサブアセンブリの斜視図である。
図29B】頂部プレート245を省略した図17の脊椎インプラントの部分上面図である。
図29C図17の脊椎インプラントの部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の開示において特定の方向を参照する場合、ここで用いられる「近位側(proximal)」という用語は、オペレータ/外科医に近い方を意味し、「遠位側(distal)」という用語は、オペレータ/外科医から遠くに離れる方を意味すると理解されたい。「前方(anterior)」という用語は、体の正面部(前部)又は顔に向かう方を意味し、「後方(posterior)」という用語は、体の背面部(後部)に向かう方を意味している。脊椎の長手軸に関して、「上方(suoerior)」という用語は、頭に向かう方向を指し、「下方(inferior)」という用語は、骨盤及び脚に向かう方向を指している。最後に、以下に用いられる「横方向の(lateral)」又は「横方向に(laterally)」という用語は、脊椎の長手軸と直交する横断面内における方向又は移動を指している。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るインプラント10を示している。インプラント10は、互いに対して関節運動可能な2つのセグメントを備えている。2つのセグメントは、第1のアーム12及び第2のアーム14の形態にある。具体的には、第1及び第2のアーム12,14は、ヒンジ部分16によって一緒になるように接続されている。インプラント10は、図2A図3A及び図4Aに示されるように、閉形態で椎間腔内に挿入可能になっている。インプラント10は、図3B及び図4Bに示されるように、アーム12,14をヒンジ部分16を中心として互いに離れる方に関節運動させることによって、椎間腔内にて横方向に拡張可能になっている。
【0031】
椎間腔内へのインプラント10の挿入は、送達工具18によって行うことができる。送達工具18は、インプラント10のアンカーを介してインプラント10の近位端部20にしっかりと取り付けることができる。アンカーは、送達工具18の遠位端部22の対応するネジ山部分を受け入れるネジ孔21の形態にあるとよい。ネジ孔21は、第1のアーム12に配置されるとよい。また、送達工具18は、インプラント10を横方向に拡張させる役割も担っているとよい。例えば、図2A図2Bに示されているように、送達工具18の遠位端部22は、傾斜した遠位面28を有するタブ26を含んだ拡張具24を備えているとよい。拡張具24は、トラック30によって、送達工具18に対して長手方向移動を行うように案内されるとよく、拡張具24のその長手方向移動は、拡張具24の近位端部近くの制御アーム32によって制御されるとよい。制御アーム32は、送達工具18に対する拡張具24の対応する長手方向移動をもたらすために、外科医に直接把持され、遠位側に押し出されるか又は近位側に引っ張られるようになっているとよい。制御アーム32は、拡張具24の長手方向移動をもたらすために前進又は後退可能な他の構成要素(例えば、近位側に延びる制御ケーブル)に係合されてもよい。図3Aに示されるように、拡張具24の傾斜した遠位面28は、拡張具24が遠位側に前進した時にインプラントの係合面34に接触するように構成されており、これによって、傾斜した遠位面28の遠位側移動が係合面34を押し込み、インプラント10の遠位端部36に配置されているヒンジ部分16を中心として、第2のアーム14を第1のアーム12に対して関節運動させることになる。図1及び図3Bに示されるように、係合面34は、例えば、拡張具24の傾斜した遠位面28の角度と一致する角度に傾斜しているとよい。
【0032】
インプラント10が所望の形態まで横方向に拡張された後、図5Bに示されるように、インプラント10は、上下方向に縦に拡張可能になっているとよい。具体的には、インプラント10は、インプラント10の上端部39における1つ又は複数の上側椎体係合面37がインプラント10の底端部43における1つ又は複数の下側椎体係合面41から離れる方に移動するように、拡張可能になっている。このような縦方向の拡張によって、インプラント10を上方向にて椎体Vsにしっかりと係合させ、かつ下方向にて椎体Viにしっかりと係合させることができ、さらなる拡張によって、上側椎体Vs及び下側椎体Viを互いに離れる方にいくらか移動させ、これによって、椎間腔の少なくともいくらかの伸延がもたらされることになる。
【0033】
インプラントの縦方向拡張は、種々の手段、例えば、ベローズ、回転カムリフト機構、回転スクリューリフト機構、又は米国特許第8,992,620号(‘620特許)に開示されるような他のこのような装置を用いて行われるとよい。また、縦方向拡張は、種々例示される実施形態と関連して以下に検討するように、‘620特許及び米国仮特許出願第62/319,513号(‘513出願)に開示されるような流体圧によって駆動されてもよい。例えば、インプラント10は、1つ又は複数のピストンを備えるとよく、これらのピストンは、関連するシリンダ内に受け入れられ、流体圧によって脊椎の長手軸に沿って外方に平行移動するように駆動され、これによって、インプラントの縦方向拡張が生じるようになっているとよい。ピストンは、それらの上端部にプレート部分45を有しているとよい。プレート部分45は、上側椎体Vsに接触して当該上側椎体Vsに拡張力を加える上側椎体係合面37を備えるとよい。代替的に、ピストンの上端部は、上側椎体係合面37として単純に画定され、上側椎体Vsに直接係合するように構成されていてもよい。図示はしないが、本明細書に開示される実施形態の椎体係合面は、滑らかな面であってもよいし、係合した椎骨とよりしっかりと相互作用する生地特徴部(例えば、突起、隆起等)を備えていてもよいし、又は係合した椎骨内に突き刺さる(移植後に固定されるか又は展開可能な)スパイク又は同様の特徴部を備えていてもよい。
【0034】
図1図9の実施形態に示されるように、インプラント10は、第1のアーム12に第1のピストン38を備え、第2のアーム14に第2のピストン40を備え、ヒンジ部分16に中央ピストン42を備えているとよい。これらのピストンは、インプラント内に形成された個別の流体圧通路を介して個々に制御されてもよいし、又は図1図9の実施形態に示されるように、共通の流体圧通路によって制御されてもよい。具体的には、第1のアーム12内に形成された通路44は、第1のピストン38を配置したシリンダ46に連通しているとよい。これによって、通路44内の作動流体が第1のピストン38の外方拡張を生じさせることになる。Oリング47aの形態にあるとよいシール部材が第1のピストン38とその関連するシリンダ46との間に設けられるとよく、これによって、これらの構成要素は、作動流体がそれらの界面から漏出することを防ぎながら、互いに対して摺動することができる。通路44は、送達工具18から加圧された作動流体が供給される開口に連通しているとよい。例えば、通路44は、孔21に連通しているとよく、これによって、作動流体は、送達工具18内の導管48によって通路44に供給されることになる。作動流体の供給は、必ずしも、インプラント10を送達工具18に係留するために用いられる同一の孔21を通って行われる必要はなく、代替的実施形態では、例えば、送達工具18の導管48に連通する別の開口が、インプラントの外表面に設けられてもよい。
【0035】
通路44は、中央ピストン42が配置されているシリンダ50に連通していてもよく、これによって、作動流体は、中央ピストン42の外方拡張も生じさせることになる。通路44とシリンダ50との間の連通は、直接的な連通又は介入経路、例えば、図6に示されている傾斜通路52を介する連通のいずれであってもよい。通路52は、第1のアーム12の外側からシリンダ50の遠位端部に傾斜孔を穿孔することによって形成されるとよく、これによって、当該孔は通路44と交差することになる。もしこのようにして形成されたならば、この後、通路52の外端部54が閉塞されるとよく、これによって、作動流体は、この経路を介してインプラント10から漏出しないことになる。Oリング47bの形態にあるとよいシール部材が、中央ピストン42とその関連するシリンダ50との間に設けられるとよく、これによって、これらの構成要素は、作動流体がそれらの界面から漏出することを防ぎながら、互いに対して摺動可能になる。
【0036】
ヒンジ部分16における第1のアーム12及び第2のアーム14間の関節運動可能な接続は、第1のアーム12及び第2のアーム14間の作動流体の連通を可能にするように構成されるとよい。例えば、図9に示されるように、第2のアーム14は、インプラント10の遠位端部36に円形プレート56を備えている。この円形プレートは、そこから直交して突出するポスト58を備える。第1のアーム12は、円形プレート56の形状に対応するシリンダ部分60を有すると共に、図7に示されるように、ポスト58を受け入れる開口62をその底面に有している。第1のアーム12における開口62内への第2のアーム14におけるポスト58の相互接続によって、第1及び第2のアーム12,14は、具体的には、ポスト58の軸を中心とする旋回を可能にすることによって、互いに対して関節運動を行うことができる。第1及び第2のアーム12,14を一緒に回転可能に固定するために、ポスト58が開口62を通して受け入れられた後、これらの構成部品間の旋回を可能にしながら、ポスト58が開口62から引き出されないように阻止すべく、ブッシュ64がポスト58の周りに固定(圧入)されるとよい。
【0037】
ヒンジ部分16を通って第1のアーム12と第2のアーム14との間に作動流体の流れを供給するために、ポスト58は、シリンダ50の内部と連通するように中空になっているとよい。加えて、開口62とポスト58との界面における作動流体の漏出を防ぎながら、ポスト58を中心とする旋回を可能にするために、Oリング47cの形態にあるとよいシール部材が、例えば、第1のアーム12の底面とブッシュ64との間にてシール部材をポスト58の周りに配置することによって、開口62とポスト58との界面に設けられるとよい。
【0038】
第2のアーム14の中空ポスト58は、第2のアーム14の通路66に連通し、通路66は、第2のピストン40が配置されているシリンダ68にも連通しているとよく、これによって、作動流体は、第2のピストン40の外方拡張も生じさせることになる。通路66は、インプラント10の近位端部20から第2のアーム14に沿って孔を穿孔することによって形成されるとよい。もしこのようにして形成されたならば、この後、通路66の外端部67が閉塞されるとよく、これによって、作動流体は、この経路を介してインプラント10から漏出しないことになる。上記の界面における作動流体の漏出を生じさせることなく、ピストン40がシリンダ68に対して摺動することを可能にすべく、Oリング47dの形態にあるとよいシール部材が、第1のピストン38とその関連するシリンダ46とに対して図6に示されるものと同様の方法によって、第2のピストン40とその関連するシリンダ68との間に設けられるとよい。
【0039】
インプラント10は、一旦ピストンが拡張したならば、これらのピストンがシリンダ内に後退することを少なくとも防ぐために、これらのピストンのそれぞれの位置を係止するように構成された係止システムを備えているとよい。例えば、ピストンは、ラチェット要素を備えるとよい。ラチェット要素は、拡張方向におけるピストンの移動を可能にするが、反対方向におけるピストンの後退を自動的に妨げるようになっている。このようなラチェット要素は、必要に応じて、ピストンの後退を可能にするために、選択的に係止解除できるようになっているとよい。このようなラチェット要素の一実施形態が、図1図9に示されるインプラントの実施形態に示されている。以下、ラチェット要素のこの実施形態について説明する。
【0040】
図9に示されるように、第1及び第2のピストン38,40は、それぞれ、インプラント10の孔69,71内に受け入れられるそれぞれの垂直ポスト70,72を有する。これらの孔69,71は、望ましくは、関連するピストン38、40の回転方位を拘束することを促し、望ましくは、ピストン38,40の直線経路に沿った拡張を案内するのを促すようになっている。ポスト70,72は、それらの長さに沿ったラチェット歯74を備える。図1に示されるように、対応する爪76,77が、歯74に係合するように本体の外側に沿って設けられており、これによって、ピストン38,40の外方への平行移動を可能にする一方、ピストン38,40のそれぞれのシリンダ内への後退が拘束されることになる。これらの爪76,77は、インプラント10の外表面の対応する凹部78,79内に配置されている。爪76,77は、インプラント10の外表面に取り付けられたそれぞれの保持プレート80,81によって、凹部78,79内に保持されている。制御ケーブル82,83が、それぞれ、接続孔84,85において爪76,77に接続されており、制御ケーブル82,83は、それぞれ、溝86,87内を通ってインプラント10の外表面の周りに延びている。制御ケーブル82,83は、送達工具19まで延びており、送達工具18を介して、外科医によって制御可能になっている。(図示されない)線形圧縮バネが、各凹部78,79内において制御ケーブル82,83の周りに取り付けられており、爪76,77を凹部78,79に沿って付勢し、ラチェット歯74に係合させるようになっている。従って、ケーブル82,83が引っ張られると、それぞれの爪76,77は、垂直ポスト70,72から離れる方に向かってそれぞれの凹部78,79に沿って摺動し、これによって、爪をラチェット歯74から離脱させ、ピストン38,40をそれぞれのシリンダ内に後退させることが可能になる。中央ピストン42は、同様に、インプラント10の外表面の凹部89内に受け入れられた対応する爪88によって制御可能であり、インプラントの外表面に取り付けられた保持プレート90によってそこに保持されている。爪88は、(図示されない)バネによってピストン42の外表面のラチェット歯74に係合するように付勢されており、爪88は、爪76を制御する同一の制御ケーブル82によってピストン42のラチェット歯74から離脱可能になっている。制御ケーブル82は、接続孔91を介して爪76に接続されている。爪77を制御する制御ケーブル83は、インプラント10の外側の周りの全体に延びており、爪76,88の孔92に固定されることなく、当該孔92を貫通している。中央ピストン42は、ピストン42の回転方位を拘束するのを促し、かつ線状経路に沿ったピストン42の拡張を案内するのを促すために、インプラント10の孔94内に受け入れられた垂直ポスト93も備えるとよい。
【0041】
しかしながら、他の代替的な係止システムも適用することができる。例えば、‘620特許及び‘513出願に開示されるような階段式の多段支持面を有し、かつ回転可能に構成された相互係合型係止要素が用いられてもよい。すなわち、図10図11に示されるように、ピストン38,40,42が、それぞれ、関連する下側ロック支持体51a~51cに離脱可能に係合するように構成された上側ロック支持体53a~53cに接続されるとよい。上側ロック支持体53a~53cは、それぞれ、ピストン38,40,42の内側に一体に形成され、かつ反転した螺旋階段に類似しており、下側ロック支持体51a~51cは、それぞれ、シリンダ46,48,50内に回転可能に配置され、かつ直立した螺旋階段に類似している。下側ロック支持体51a~51cは、上側ロック支持体53c~53cに相互係合するように回転方向に付勢され、これによって、各ピストン38,40,42は、種々の高さのいずれかにおいて上側及び下側ロック支持体が係合されたとき、それぞれのシリンダ46,48,50内への後退を阻止されることになる。具体的には、‘620特許及び‘513出願において検討されているように、下側ロック支持体51a~51cの階段式多段上側支持面は、種々の拡張レベルのいずれかにおいて、上側ロック支持体53a~53cの階段式多段下側支持面に係合するように構成されており、これによって、上側ロック支持体53a~53c(及びそれらの関連するピストン38,40,42)は、下方に平行移動しないないように防がれることになる。
【0042】
下側ロック支持体51a~51cのそれぞれは、必要に応じて、下側ロック支持体を対応する上側ロック支持体との係合から離脱させるように回転させることによって、ロック解除し、ピストン38,40,42を後退させることが可能になっている。具体的には、各回転可能な下側ロック支持体51a~53cは、対応する平行移動可能なラック歯車33a~33cに係合可能なピニオンを形成するように、歯車歯35を備えるとよい。各ラック歯車33a~33cは、対応する線形バネ31a~31cによって付勢される。線形バネ31a~31cは、下側ロック支持体51a~51cのそれぞれを関連する上側ロック支持体53に対して係合させる回転付勢力をもたらすことになる。従って、下側ロック支持体51a~51cのいずれか1つのロック解除は、関連するラック歯車33a~33cを押し出し、下側ロック支持体を上側ロック支持体との係合から離脱するように回転させることによって行われるとよい、なお、ラック歯車33a~33cの押出しによって、関連するバネ31a~31cは、さらに圧縮されることになる。第1のアーム12では、下側ロック支持体51aは、ラック歯車33aに係合されており、下側ロック支持体51cは、ラック歯車33cに係合されている。これらのラック歯車33a,33cは、いずれも、それらの近位端部に係合プレート29を備えるとよく、これによって、関連する下側ロック支持体51a,51cは、係合プレート29、従って、ラック歯車を遠位方向に押し出すことによって、ロック解除することができる。ラック歯車33a,33cは、第1のアーム12内に形成された流体圧通路44内に配置されているとよく、これによって、係合プレート29は、図11Aに示されているように、孔21を介してアクセス可能になる。従って、送達工具18は、孔21内において遠位側に移動して対応するラック歯車33a,33cを押し出すように構成された(図示されない)適切な構造の構成要素を備えているとよい。第2のアーム14内の下側ロック支持体51bは、ラック歯車33bに係合するように構成されており、これによって、下側ロック支持体51bは、ラック歯車33bを近位方向に移動させることによって、ロック解除することができる。このラック歯車33bは、第2のアーム14内に形成された流体圧通路66(又は他の通路)内に配置されるとよく、ラック歯車33bは、第2のアーム14の外部から係合され、ラック歯車33bの移動をロック解除させるようになっているとよい。例えば、通路66内に配置されてラック歯車33bに接続されたピストン27は、第2のアーム14の内面15に沿って長孔を通って横方向に突出するピン25を備えているとよい。このピン25は、第1のアーム12に接続又は関連付けられた工具に係合されるように構成されるとよい。例えば、拡張具24又は第1のアーム12の内側に沿って遠位側に移動可能な同様の構成要素が、ピン25に係合する旋回可能なアーム23を備えているとよい。アーム23は、ピン25を第2のアーム14に沿って近位側に摺動させることを可能とすべく旋回するように構成されるとよく、これによって、図12A図12Dに示されるように、ラック歯車33bを近位側に押し出し、下側ロック支持体51bを係合解除させることができる。ラック歯車33bのこの近位移動によって、ラック歯車33bと通路66の端部67の閉塞キャップ63との間に配置されたバネ31がさらに圧縮されることになる。図10図12に示される実施形態では、上側及び下側ロック支持体は、それぞれのピストン内に位置している。しかしながら、‘620特許に開示されるように、ロック支持体がそれぞれのピストンの外側に配置され、当該ピストンの周りを少なくとも部分的に取り囲むように構成された代替的実施形態が用いられてもよい。
【0043】
前述したように、ピストン38,40,42は、インプラント内に形成された個別の流体圧通路を介して個々に制御されてもよいし、又は図1図9の実施形態のように、単一の流体圧通路によって制御されてもよい。ピストン38,40,42の全てが単一の流体圧通路、従って、単一の流体圧入力部によって制御される1つの利点は、インプラント10の構造の簡素化及び簡単な使い勝手を達成できることである。さらに、単一の流体圧通路によって、ピストン38,40,42が係合された椎体に対して所定の比率であり、かつ互いに異なる力を加えるように、インプラント10を構成することができる。すなわち、単一の流体圧通路内の圧力が均一なので、任意のピストンに加えられる力は、当該ピストンの横断面積に正比例することになる。なぜならば、面積と圧力との積が力になるからである。従って、ピストン38,40,42のそれぞれの横断面積を選択することによって、これらのピストンによって加えられる力の比率を予め決定することができる。例えば、以下の表は、第1及び第2のピストン38,40(ここでは、第1及び第2のピストンは、同一面積を有している)の直径に対する中央ピストン42の直径に基づくいくつかの例示的な力の比率を示している。なお、以下の表に示されている力の比率は、中央ピストン42によって加えられる力に対する第1及び第2のピストン38,40に加えられる力(すなわち、これらのピストンのそれぞれによって加えられる力の合計)の比率であることに留意されたい。
【0044】
【表1】
【0045】
望ましくは、インプラント10に沿った種々の位置に種々の力を加えることによって、インプラントは、それらの種々の位置において種々の大きさの拡張をもたらすことができる。有利には、このような種々の拡張は、湾曲矯正に用いられるとよい。例えば、脊椎の背面部においていくらかの拡張を与えることによって神経根を除圧することができ、脊椎の正面部において大きな拡張を与えることによって湾曲を矯正することができる。
【0046】
本発明による第1のセグメント112及び第2のセグメント114を有するインプラント110の他の実施形態が、図13図16に示されている。この実施形態では、インプラント110の2つのセグメント112,114は、前述の実施形態にて既に検討した図に示されるような長寸かつ狭幅の第1及び第2のアームの形態にあるというよりは、むしろ短寸かつ幅広になっているとよく(かつ正方形に近いとよい)。さらに、セグメント112,114は、旋回軸において一緒になるように直接接続可能であるというよりも、むしろ互いにいくらか離間し、1つ又は複数のリンケージ116によって一緒になるように接続されるとよい。リンケージは、望ましくは、セグメント112,114の互いに向き合った端部において、セグメント112,114のそれぞれに接続された剛性リンクであるとよい。すなわち、各リンケージ116は、各端部に円筒状開口162を有するとよく、当該円筒状開口162は、セグメント112,114に接続された(例えば、底部プレート143に接続された)それぞれのポスト158を受け入れるように寸法決めされており、これによって、リンケージ116は、ポスト158を中心として旋回可能になっている。さらに、ポスト158が開口162内に受け入れられた後、ブッシュ164がポスト158に固定(例えば、圧入)されるとよく、これによって、ポスト158は、これらの構成要素間の旋回を可能にしながら、開口163から引き出されないように阻止されることになる。図13に示されるように、1つのリンケージ116aは、第2のセグメント114における左側の近位コーナを第1のセグメント112の遠位端部(かつ第1のセグメント112の左右方向の中心又は第1のセグメント112の右側)に接続する直線状リンク116aであるとよい。他のリンケージ116bは、第2のセグメント114における右側の近位コーナを第1のセグメント112の左側(かつ遠位端部の近位側)に接続するとよい。この第2のリンケージ116bは、第1のリンケージ116aとの干渉を避けるように、屈曲した輪郭(例えば、90°の屈曲した輪郭)を有するとよい。他の代替的実施形態では、(図17図22の実施形態に示されるような)線形リンケージ、(図示されない)交差リンケージ、又は他の適切なリンケージ構成が用いられてもよい。
【0047】
インプラント110の各セグメント112,114は、上側椎体係合面137を有する頂部プレート145と、下側椎体係合面41を有する底部プレート143とを備えるとよい。前述したのと同様の対応するシリンダ146内に受け入れられた流体圧によって駆動されるピストン138が、頂部及び底部プレート145,143を互いに離れる方に駆動するように、これらのプレート145,143間に配置されるとよい。セグメント112,114は、ユーザーによって意図的にロック解除される場合を除いて、頂部及び底部プレート145,143が互いに向かって後退することを自動的に阻止するように構成された適切な係止システムを備えるとよい。例えば、各セグメント112,114は、前述したような係止要素又は620特許又は‘513出願に開示されるような係止要素のいずれかの形態にある係止要素を有するとよい。代替的に、係止要素は、図23図29に関連して以下に説明するような形態であってもよい。
【0048】
インプラント110の第1及び第2のセグメント112,114を接続するリンケージ116a,116bのいずれか又は両方は、作動流体を当該リンケージ116a,116bを通って送るように構成されるとよく、これによって、単一の流体圧通路が、両方のセグメント112,114の拡張機構(例えば、ピストン/シリンダ)に共通するようになっているとよい。すなわち、前述したように、ピストン138が配置されるシリンダ146は、底部プレート143に形成されるとよい一連の通路によって相互接続されるとよい。第1のセグメント112に形成されたこれらの通路は、第1のセグメント112の一方又は両方のポスト158に連通するとよい。例えば、図16に示されるように、第1のセグメント112のポスト158は、当該ポストに流体通路144を画定するように中空に形成されるとよい。リンケージ116a,116bも同様に、当該リンケージに流体通路165を画定するように中空に形成されるとよい。最後に、第2のセグメント114のポスト158もまた、当該ポストに流体通路166を画定するように中空に形成されるとよく、当該通路166は、第2のセグメント112のシリンダに直接的又は非直接的に連通するとよい。ポスト158の流体通路144,146とリンケージ116a,116bの流体通路165との間に作動流体を流すために、長孔152がポスト158のそれぞれに設けられるとよい。さらに、Oリング147の形態にあるとよいシール部材が、長孔152の上下に位置するポスト158の対応する溝149に配置されるとよく、これによって、リンケージを旋回可能としながら、リンケージ116内に画定された流体通路網を密封することができる。
【0049】
望ましくは、インプラント110のリンケージ116は、図13に示されるように、第1及び第2のセグメント112,114が一直線に並んだ共線配列体になるように構成されるとよい。これによって、インプラント110は、有利には、挿入中横方向において面積を小さくすることができ、この後、インプラントは、椎間腔内において関節運動し、図12に示されているように、脊椎の正面部分の近くに位置する最終形態を取るとよい。図1図9に関連して説明したインプラント10の実施形態は、ヒンジ部分16を先にし、第1及び第2のアーム12,14が後に続くように挿入された状態で図示されているが、この実施形態の第1及び第2のアーム12,14は、図15に示されるような共線配列体で挿入可能であることを留意されたい。具体的には、インプラント10のアーム12,14は、当初からヒンジ部分16の両側に配置されているので、互いに拡がっていることになる。
【0050】
図17図29に示されている本発明によるインプラント210の他の実施形態は、図13図16に示されているインプラント110と同様であるが、図17図29のインプラント210は、3つの関節運動セグメント212,214,215を有している。図13図16の実施形態に用いられている参照番号と同様の図17図29における参照番号は、同様の要素を指しており、従って、このような同様の要素について、図17図29のインプラント210に関連して別途説明しないことにする。
【0051】
インプラント210の3つのセグメント212,214,215は、図17図29の実施形態に示されるものが全て線形リンケージ216であることを除けば、インプラント110におけるのと同様、旋回可能なリンケージ216によって相互接続されるとよい。従って、3つ(又は4つ以上)の相互接続された関節運動セグメント212,214,215を有するインプラント210は、図18に示されているように挿入され、その後、図19に示されるような配列体に関節運動することが可能である。すなわち、セグメント212,214,215は、当初の挿入中、(図18に示されているように)実質的に線形配列されており、この後、椎間腔内において関節運動し、(図19に示されている)より三角形状のピストン配置をもたらし、この時、インプラント210の全体は、脊椎の正面部分の近くに配置されるようになっている。各セグメント212.214,215の底部プレート243は、図19に示される三角形状の配列体へのセグメントの関節運動を容易にすべく、図20に示されるように、互いに隣接するセグメントのそれぞれにおける底部プレート243の一部を受け入れるように構成されたノッチ206を有するように形作られている。次いで、インプラント210は、図21Aに示される収縮形態から図21Bに示される拡張形態に向かって脊椎の縦方向に(流体圧的に)拡張されるとよい。図22Bに示されるように、リンケージ216のいずれか又は全てが、図13図16の実施形態のリンケージ116と同様に構成されるとよく、これによって、リンケージ216は、作動流体をそれぞれの底部プレート243に形成された一連の通路207を介して、セグメント212,214,215の全てに連通させることができる。
【0052】
図13図16及び図17図29の実施形態では、1つ又は複数のピストン238は、個別の圧力通路を介して独立して制御されてもよい。この場合、互いに異なるリンケージ116,216は、いくつかのピストンを迂回する互いに異なる圧力通路回路に通じるようになっているとよい。一例として、図17図29に示されるような3つのセグメントを有する実施形態では、内側リンケージ216aに連通する圧力通路は、中央セグメント215のピストン238を迂回する一方、他のセグメント212,214のピストン238に連通するとよく、外側リンケージ216bに連通する圧力通路は、中央セグメント215のピストン238に対してのみ機能する一方、他のセグメントのピストン238を迂回するようになっているとよい。他の実施形態において、互いに異なる圧力通路に通じるピストンのどのような他の組合せが考慮されてもよい。
【0053】
図17図29の実施形態は、ピストン238の位置を係止するように構成された前述したものとは異なる係止システムを備える。すなわち、図23図29に示されるように、インプラント210の各セグメント212,214,215の係止システムは、底部プレート243に連結された下側ロック支持体251を備えるとよく、当該下側ロック支持体は、拡張する頂部プレート245に連結された関連する上側ロック支持体253に移動しながら係合可能になっているとよい。図10図11の実施形態の上側ロック支持体53a~3cと同様、図17図29の実施形態の上側ロック支持体253は、それぞれのピストン238の内側に一体に形成されており、かつ反転した螺旋階段に類似している。また、下側ロック支持体251は、それぞれのシリンダ246内に配置されており、直立した螺旋階段に類似している。しかしながら、図10図11の実施形態と違って、図17図29の実施形態の下側ロック支持体251は、それぞれのシリンダ246内に一体に形成されている。従って、上側及び下側ロック支持体は、拡張中にピストン238の回転を介して互いに移動しながら係合可能になっている。具体的には、各ピストン238の外表面は、カムリング259のカム従動ピン257に係合するように形作られたカム輪郭255を備えるとよく、カムリング259は、ピストン238を包囲しており、シリンダ246に固定されている。図25A図26及び27A~図27Bに示されるように、シリンダ246の上端部は、カムリング259を受け入れるように形作られた凹部261を備えるとよく、カムリング259の突起273は、カムリング259の回転配向を係止するために、シリンダ246の対応する起伏275内に受け入れられるように形作られるとよい。カム従動ピン257とカム輪郭255との係合によって、ピストン238の拡張中に上側ロック支持体254の段の1つが下側ロック支持体251の対応する段の上方に垂直方向に移動すると、カムリング259がピストン238を(図27図28に示されるように反時計方向に)回転させ、これによって、上側ロック支持体253の段が下側ロック支持体251の次の上方段に係合するように移動する。この動作は、ピストン238の上方拡張中、上側及び下側ロック支持体の連続する各段に対して継続される。従って、ピストン238の垂直方向変位が、連続する各段に係止されることになる。なぜならば、ピストン238の後退は、上側及び下側ロック支持体の互いに真っ直ぐに並んだ段を係合させ、これによって、ピストン238のさらなる下方移動を阻止するからである。
【0054】
ピストン238は、例えば、ラチェット機構によって、単一の方向に回転することのみが可能となるように、拡張中に制御されるとよい。これによって、拡張力がピストン238から開放された時、ピストンは、その回転を元に戻すことができず、上側及び下側ロック支持体の単一段の高さから後退することができない。ラチェット機構は、ラチェットリング295を備えているとよい。ラチェットリング295は、ピストン238を包囲しており、ピストン238に対して回転可能に固定されている。具体的には、ラチェットリング295は、ピストン238の関連するキー長孔297内に受入れ可能な1つ又は複数のキー296を備えており、これによって、ラチェットリング295は、シリンダ246に対してその垂直位置を維持することができ、その一方、ピストンが上方に拡張すると、ピストン238と共に回転する。この回転中、ラチェットリング295の周囲に沿ったラチェット爪298が、シリンダ246に沿って形成されたラチェット歯299に係合することになる。図27図28に示されている実施形態では、ラチェットリング295は、ピストン238の時計方向の回転を妨げながら、ピストン238の反時計方向の回転を可能にする。図24図25A図26及び図29Cに示されるように、ラチェットリング295は、ピストン238の長手軸を中心とするラチェットリングの位置を拘束すると共に当該軸を中心とするラチェットリングの回転を可能にするために、シリンダ246の上端部の円弧溝205内に受け入れられ、ラチェットリング295の垂直位置は、カムリング259とシリンダ246の上端部との間に拘束されるようになっている。
【0055】
もしピストン238の後退がユーザによって望まれたならば、ラチェットリング295は、ピストンの逆回転が可能になるようにロック解除されるとよい。具体的には、図29A図29Cに示されているように、制御ケーブル282がラチェット爪298の溝286内に嵌入され、制御ケーブル282の遠位端部が、対応する凹部208内に受け入れられた拡大ボール209によって、ラチェットリング295に固定されるとよい。制御ケーブル282を近位側に引っ張ることによって、ラチェット爪298は、図29Bに示されるように、シリンダ246のラチェット歯299との係合から外れる方に撓み、これによって、ピストン238の逆回転が可能になる。好ましくは、インプラント210の各セグメント212,214,215のラチェットリング295は、ユーザーによる操作のためにインプラント210から近位側に延びるそれぞれの独自の制御ケーブル282を備えている。これによって、必要に応じて、ピストン238を個々に後退させることができる。代替的に、ラチェットリング295の全てが、例えば、ラチェットリング295のそれぞれを単一制御ケーブルに接続させることによって、又は各セグメント212,214,215のラチェットリング295に相互接続する一連の制御ケーブルを利用することによって、同時にロック解除するように相互接続されてもよい。
【0056】
上側椎体係合面237を画定する外方に延びる頂部プレート245を介してピストン238の回転を椎体に伝えることを避けるために、頂部プレート245は、これらの2つの構成要素間の回転を可能にする接続部によって、それぞれのピストン238に接続されているとよい。例えば、頂部プレート245は、ボールジョイント204を介して、関連するピストン238に接続されているとよい。有利には、このようなボールジョイント接続によって、頂部プレート245に係合された椎体(例えば、上方向における椎体Vs)と下側椎体係合面241を画定する底部プレート243との間に画定された任意の角度に基づき、頂部プレート245を、必要に応じて、ピストン238に対して傾斜させることも可能になる。
【0057】
本明細書に示されていないが、図23図29に示されている係止システムの実施形態は、本願に開示されている他の実施形態の他の係止システムのいずれかに代わって用いられてもよい。さらに、旋回可能な接続部(例えば、図17図29の実施形態に関連して前述したボールジョイント204の接続部)は、本願の他の実施形態のいずれかにおいて、頂部プレートとそれらの関連するピストンとの間に組み入れられてもよい。
【0058】
図1図9の実施形態に関連して前述したような共通の圧力通路によって相互接続された互いに異なる大きさのピストンを有し、互いに異なる拡張力を加える手法は、(図13図16に示されている)2つの可拡張セグメントを有する実施形態においても可能であるが、(図17図29に示されている)3つ以上のセグメントを有する実施形態ではさらに望ましい。例えば、図17図29のインプラント210において、インプラント210が図19に示されるように配置された時に、脊椎の正面部分に異なる(例えば、より大きな)拡張を加えることによって湾曲矯正を行うために、中央セグメント215は、有利には、(互いに同じ大きさを有する)他の2つのセグメント212,214とは異なる大きさのピストンを有するとよい。
【0059】
開示された上記の実施形態のいずれも、椎間腔に対するどのような形式のアプローチ(例えば、PLIFアプローチ、TLIFアプローチ、及び側方アプローチ)に用いられてもよいが、特定のインプラント形態に対して、特定のアプローチがより好ましい場合がある。例えば、図1図11の実施形態は、PLIFアプローチに最も適しており、図13図29の実施形態は、TLIFアプローチに最も適している。
【0060】
互いに対して移動する表面間の密封を維持するために、種々のシール部材(例えば、Oリング)を開示してきたが、(図示されない)代替的実施形態では、個別のシール部材が設けられる必要がなく、代わって、可動構成要素の一方又は両方が自己封止するように構成されてもよいことに留意された。
【0061】
本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、これらの実施形態は、本発明の原
理及び用途の単なる例示にすぎないことを理解されたい。従って、例示的実施形態に対し
て多数の修正がなされてもよいこと、及び添付の請求項によって規定される本発明の精神
及び範囲から逸脱することなく、他の構成が考案されてもよいことを理解されたい。
[実施形態例1]
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置される脊椎インプラントであって、
前記第1の椎体に接触する第1の表面を有する本体と、
第1の位置にて前記本体に接続された第1の可拡張支持要素であって、前記第1の表面から離れる方に第1の拡張力を加えるように拡張する構成である、第1の可拡張支持要素と、
第2の位置にて前記本体に接続された第2の可拡張支持要素であって、前記第1の表面から離れる方に第2の拡張力を加えるように拡張する構成である、第2の可拡張支持要素と、
前記第1及び第2の可拡張支持要素を拡張するように構成される入力部と
を備え、
脊椎インプラントは、前記入力部を介して脊椎インプラントに単一の入力を印加することによって、前記第1の可拡張支持要素が拡張すると共に前記第1の拡張力が加えられ、かつ前記第2の可拡張支持要素が拡張すると共に前記第2の拡張力が加えられるように構成されており、前記第1の拡張力が前記第2の拡張力よりも大きくなっている、脊椎インプラント。
[実施形態例2]
前記第1の可拡張支持要素が、第1のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第1のピストンを含んでおり、
前記第2の可拡張支持要素が、第2のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第2のピストンを含んでいる、実施形態例1に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例3]
前記第1及び第2の可拡張支持要素が、作動流体を前記入力部に供給することによって拡張するように構成されている、実施形態例2に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例4]
前記第1のピストンが前記第2のピストンよりも大きな横断面積を有する、実施形態例2~3のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例5]
ヒンジ部分を中心として関節運動可能な第1の部分及び第2の部分を備えている実施形態例4に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例6]
前記第1のピストンが前記ヒンジ部分に配置されている、実施形態例5に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例7]
前記第2のピストンが、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分の一方に配置されている、実施形態例6に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例8]
第3のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第3のピストンをさらに備え、
前記第2のピストンが前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置され、
前記第3のピストンが前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に配置されている、実施形態例7に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例9]
前記第1のピストンが、前記第2のピストン及び前記第3のピストンの両方よりも大きな横断面積を有する、実施形態例8に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例10]
前記第1及び第2の可拡張支持要素が、作動流体を前記入力部に供給することによって拡張するように構成されており、
前記入力部が、前記ヒンジ部分とは反対側の前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置されている、実施形態例5~9のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例11]
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記第1の部分の前記入力部から前記ヒンジ部分を介して前記第2の部分に導くように構成されている、実施形態例10に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例12]
第1のセグメントと、第2のセグメントと、第3のセグメントとを備え、
前記第1のセグメントが前記第2のセグメントに関節運動可能に接続されており、
前記第3のセグメントが前記第2のセグメントに関節運動可能に接続されており、
前記第2のセグメントが前記第1のセグメントと前記第3のセグメントとの間に配置されており、
前記第1のピストンが前記第2のセグメントに配置されている、実施形態例4に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例13]
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置される脊椎インプラントであって、前記第1の椎体に接触する第1の表面及び前記第2の椎体に接触する第2の表面を有する脊椎インプラントにおいて、
第1の部分と、
第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を一緒にするように接続する第1のヒンジであって、前記第1及び第2の部分が前記第1のヒンジを中心として関節運動可能になっており、前記第1のヒンジが第1の剛性リンク及び第2の剛性リンクを備えており、前記第1及び第2の剛性リンクが、それぞれ、前記脊椎インプラントの前記第1及び第2の部分に旋回可能に接続されている、第1のヒンジと
を備えている脊椎インプラント。
[実施形態例14]
前記脊椎インプラントが前記脊椎の長手軸に沿って拡張可能に構成されている、実施形態例13に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例15]
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記脊椎インプラントに供給することによって拡張するように構成されている、実施形態例14に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例16]
前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分が、第1のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第1のピストンを含んでおり、
前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分が、第2のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第2のピストンを含んでいる、実施形態例15に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例17]
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記第1及び第2の剛性リンクの少なくとも1つを介して前記第1の部分及び前記第2の部分間から導くように構成されている、実施形態例15~16のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例18]
第3の部分と、
前記第2の部分及び前記第3の部分を一緒にするように接続する第2のヒンジであって、前記第2及び第3の部分が前記第2のヒンジを中心として関節運動可能になっており、前記第2のヒンジが第3の剛性リンク及び第4の剛性リンクを含んでおり、前記第3及び第4の剛性リンクが、それぞれ、前記脊椎インプラントの前記第2及び第3の部分に旋回可能に接続される、第2のヒンジと
をさらに備えている実施形態例13~17のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例19]
前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分が第1の長手軸を有しており、
前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分が第2の長手軸を有しており、
前記第1のヒンジは、前記第1及び第2の部分が前記第1及び第2の長手軸を互いに一致させる配置とすべく関節運動することを可能とするように構成されている、実施形態例13~18のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例20]
前記脊椎インプラントが、前記第1の部分から前記第2の部分に延びる長手方向経路を画定しており、
前記脊椎インプラントが、前記長手方向経路の一方側に第1の側を有し、かつ前記長手方向経路の反対側に第2の側を有しており、
前記第1の剛性リンクが、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有しており、
前記第2の剛性リンクが、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有している、実施形態例13~19のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例21]
前記脊椎インプラントが、前記第1の部分から前記第2の部分に延びる長手軸を画定しており、
前記脊椎インプラントが、前記長手軸の一方側に第1の側を有し、かつ前記長手軸の反対側に第2の側を有しており、
前記第1の剛性リンクが、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有しており、
前記第2の剛性リンクが、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有している、実施形態例13~19のいずれか1つに記載の脊椎インプラント。
[実施形態例22]
前記第2のリンクが屈曲した輪郭を有している、実施形態例21に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例23]
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置される脊椎インプラントであって、前記第1の椎体に接触する第1の表面及び前記第2の椎体に接触する第2の表面を有する脊椎インプラントにおいて、
第1の部分と、
第2の部分と、
前記第1の部分及び前記第2の部分を一緒にするように接続する第1のヒンジであって、前記第1及び第2の部分が前記第1のヒンジを中心として関節運動可能になっており、前記第1のヒンジが前記脊椎インプラントの前記第1及び第2の部分に旋回可能に接続された第1の剛性リンクを含んでおり、前記第1の剛性リンクが前記脊椎インプラントの前記第1及び第2の部分間に作動流体を通すように構成される通路を有する、第1のヒンジと
を備えている脊椎インプラント。
[実施形態例24]
前記脊椎インプラントが前記脊椎の長手軸に沿って拡張可能に構成されている、実施形態例23に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例25]
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記脊椎インプラントに供給することによって拡張するように構成されている、実施形態例24に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例26]
前記脊椎インプラントの前記第1の部分が、第1のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第1のピストンを含んでおり、
前記脊椎インプラントの前記第2の部分が、第2のシリンダ内に摺動可能に受け入れられる第2のピストンを含んでいる、実施形態例24~25のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例27]
前記第1のヒンジが、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分を旋回可能に接続する第2の剛性リンクを含んでいる、実施形態例23~26にいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例28]
前記第2の剛性リンクが、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分間に作動流体を通すように構成される通路を有している、実施形態例27に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例29]
前記脊椎インプラントが、前記第1の部分から前記第2の部分に延びる長手方向経路を画定しており、
前記脊椎インプラントが、前記長手方向経路の一方側に第1の側を有し、かつ前記長手方向経路の反対側に第2の側を有しており、
前記第1の剛性リンクが、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有しており、
前記第2の剛性リンクが、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有している、実施形態例28に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例30]
前記脊椎インプラントが、前記第1の部分から前記第2の部分に延びる長手軸を画定しており、
前記脊椎インプラントが、前記長手軸の一方側に第1の側を有し、かつ前記長手軸の反対側に第2の側を有しており、
前記第1の剛性リンクが、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有しており、
前記第2の剛性リンクが、前記第2の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に旋回可能に接続された第1の端部と、前記第1の側にて前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に旋回可能に接続された第2の端部とを有している、実施形態例28に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例31]
前記第2のリンクが屈曲した輪郭を有している、実施形態例30に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例32]
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置される脊椎インプラントであって、
前記第1の椎体に接触する第1の表面を有する本体と、
前記本体に接続されており、かつ第2の表面を前記第1の表面から離れる方に平行移動させるように収縮形態から少なくとも1つの拡張形態に拡張する構成である少なくとも1つの可拡張支持要素であって、前記第2の表面が第2の椎体に接触するように配置されている、少なくとも1つの可拡張支持要素と、
複数の連続的な係止形態となるように前進可能に構成された係止システムであって、前記複数の連続的な係止形態が、それぞれ、前記可拡張支持要素の連続的な段階の拡張に対応しており、前記係止システムが、前記係止システムを前記複数の係止形態の1つに位置決めしたときに、前記収縮形態に向かう前記可拡張支持要素の移動を阻止するように構成されており、前記係止システムがカムの作用によって前記複数の連続的な係止形態のそれぞれに位置決め可能に構成される、係止システムと
を備えている脊椎インプラント。
[実施形態例33]
前記カムが、前記少なくとも1つの可拡張支持要素の外表面上に画定されており、かつ前記本体に連結された従動子に係合可能になっている、実施形態例32に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例34]
前記従動子と前記カムとの係合が、前記少なくとも1つの可拡張支持要素の回転を引き起こすようになっている、実施形態例33に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例35]
前記係止システムが、前記可拡張支持要素を前記少なくとも1つの拡張形態に拡張したときに複数の個別の位置にて下側段の階層配列体に係合可能な上側段の階層配列体を含んでいる、実施形態例32~34のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例36]
ラチェット要素が、前記係止システムが先行する係止形態に戻ることを阻止するように構成されている、実施形態例32~35のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例37]
前記ラチェット要素は、前記収縮形態への前記可拡張支持要素の移動を可能にすべく、機能しなくなるように構成されている、実施形態例36に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例38]
前記少なくとも1つの可拡張支持要素が、前記本体に連結されたシリンダ内に摺動可能に受け入れられるピストンを含んでいる、実施形態例32~37のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例39]
脊椎における第1の椎体及び第2の椎体間の椎間腔内に配置されるようになっており、遠位端部及び近位端部を有し、かつ前記第1の椎体に接触する第1の表面及び前記第2の椎体に接触する第2の表面を有する脊椎インプラントであって、第1の部分と、第2の部分と、前記第1の部分及び前記第2の部分を一緒にするように接続するヒンジであって、前記第1及び第2の部分が前記第1のヒンジを中心として関節運動可能になっており、前記ヒンジが前記脊椎インプラントの前記遠位端部に位置する、ヒンジとを含む脊椎インプラントと、
前記脊椎インプラントの前記近位端部における工具インターフェイスに接続可能な工具であって、前記脊椎インプラントの前記第1及び第2の部分を前記ヒンジを中心として互いに離れる方に拡げるように構成される拡張具を有する工具と
を備えている脊椎インプラントシステム。
[実施形態例40]
前記拡張具が、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分を互いに離れる方に拡げるように、前記第1の部分及び第2の部分間にて画定された空間内に挿入可能に構成されている、実施形態例39に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例41]
前記脊椎インプラントの前記遠位端部から前記脊椎インプラントの前記近位端部に向かう前記拡張具の移動が,前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分の互いに離れる方への拡張をもたらすようになっている、実施形態例40に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例42]
前記拡張具が少なくとも1つの隆起面を備えており、
前記少なくとも1つの隆起面が、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分の互いに離れる方への拡張をもたらすように、前記脊椎インプラントの前記遠位端部から前記脊椎インプラントの前記近位端部に向かう前記拡張具の移動中に、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分の少なくとも1つに係合可能に構成されている、実施形態例41に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例43]
前記脊椎インプラントが前記脊椎の長手軸に沿って拡張可能に構成されている、実施形態例39~42のいずれか一項に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例44]
前記工具が、前記脊椎の長手軸に沿った前記脊椎インプラントの拡張を制御するように構成されている、実施形態例43に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例45]
前記脊椎インプラントが、作動流体を前記工具を通して前記脊椎インプラントの前記近位端部におけるポートに供給することによって拡張できるように構成されている、実施形態例44に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例46]
前記脊椎インプラントが、前記作動流体によって拡張可能な第1のピストンをさらに含んでおり、
前記第1のピストンが前記ヒンジに配置されている、実施形態例45に記載の脊椎インプラントシステム。
[実施形態例47]
前記脊椎インプラントが、前記作動流体によって拡張可能な第2のピストンをさらに含んでおり、
前記第2のピストンが、前記脊椎インプラントにおける前記第1及び第2の部分の一方に配置されている、実施形態例46に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例48]
前記脊椎インプラントが、前記作動流体によって拡張可能な第3のピストンをさらに備えており、
前記第2のピストンが、前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置されており、
前記第3のピストンが、前記脊椎インプラントにおける前記第2の部分に配置されている、実施形態例47に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例49]
前記第1のピストンが、前記第2のピストンよりも大きな横断面積を有している、実施形態例47~48のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例50]
前記作動流体のための前記ポートが、前記脊椎インプラントにおける前記第1の部分に配置されている、実施形態例45~49のいずれか一項に記載の脊椎インプラント。
[実施形態例51]
前記脊椎インプラントが、前記作動流体を前記第1の部分の前記ポートから前記ヒンジを通って前記第2の部分に導くように構成されている、実施形態例50に記載の脊椎インプラント。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
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図15
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図18
図19
図20
図21A
図21B
図22A
図22B
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26
図27A
図27B
図28A
図28B
図29A
図29B
図29C