(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】封止装置
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20221228BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B65D51/22 110
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2018040822
(22)【出願日】2018-03-07
【審査請求日】2021-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 孝光
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-221690(JP,A)
【文献】特開2016-159922(JP,A)
【文献】特開2014-189331(JP,A)
【文献】特開2015-105132(JP,A)
【文献】特開2013-126890(JP,A)
【文献】実公平07-039814(JP,Y2)
【文献】欧州特許出願公開第00326641(EP,A2)
【文献】特開2009-1288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に取り付けられる本体と、
前記本体を覆うように配置される蓋部と、前記本体に支持される環状基部と、前記蓋部を前記環状基部に対して開閉自在に連結するヒンジとを有する冠体と
を備える封止装置であって、
前記本体に設けた第1筒状部と、前記冠体の環状基部に設けた第2筒状部との間に、嵌合によって前記本体と前記冠体の環状基部とを回動可能に連結する回動支持部を有し、
前記本体と前記蓋部との間に設けられたねじ機構によって、開封に際して前記本体から中栓を分離して前記蓋部に捕捉させ、
前記本体と前記冠体の環状基部との間に、前記本体に対する前記冠体の回動を時計方向及び反時計方向に関して阻止して仮止めする位置決め部が設けられ、
前記本体から前記中栓が分離される位置を越えた回転位置で、前記本体に対する前記冠体の回動を阻止する規制部をさらに備えることを特徴とする封止装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、前記本体の前記第1筒状部と前記冠体の環状基部との相対向する一対の周面の一方の周面に1つの第1凸状片を有し、前記一対の周面のうち他方の周面に前記第1凸状片を挟み込むようにして2つの第2凸状片を有し、
前記他方の周面に形成した少なくとも一方の前記第2凸状片の突出量は、前記第2凸状片が前記第1凸状片と係合する状態で、前記本体に対する前記環状基部への強制的な回動力によって前記第1凸状片又は前記第2凸状片が撓められて前記環状基部の回動を許容するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の封止装置。
【請求項3】
前記他方の周面に設けられている前記2つの第2凸状片のうち他方の第2凸状片は、前記一方の周面に設けられている前記第1凸状片の回動を阻止するような突出量に設定されてストッパーを構成することを特徴とする請求項2に記載の封止装置。
【請求項4】
前記回動支持部は、前記本体の第1筒状部に設けた第1環状凸部と、前記冠体の環状基部の第2筒状部に設けた第2環状凸部とを有し、
前記第1環状凸部と前記第2環状凸部とのいずれか一方に設けられた突起と、前記第1環状凸部と前記第2環状凸部とのうち他方に設けられて前記突起を通過させるスリットとを有し、前記本体と前記冠体の環状基部とを嵌合させる際に、前記位置決め部によって設定される回転位置で、前記第1環状凸部と前記第2環状凸部とが互いに乗り越える前に前記突起が前記スリットに嵌合するようにした案内部をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の封止装置。
【請求項5】
前記規制部は、前記本体の第1筒状部と前記冠体の環状基部との相対向する周面の所定位置にそれぞれ突設された第3凸状片であることを特徴とする請求項
1~4のいずれか一項に記載の封止装置。
【請求項6】
前記本体から前記中栓が分離される回転位置を越えた所定位置で、前記本体に対する前記冠体の閉方向への回動を阻止する逆転防止部をさらに備えることを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載の封止装置。
【請求項7】
前記逆転防止部は、前記本体に対する前記冠体の開方向への回動を許容し、前記本体に対する前記冠体の閉方向への回動を阻止するものであることを特徴とする請求項
6に記載の封止装置。
【請求項8】
前記逆転防止部は、ラチェット機構によって構成されていることを特徴とする請求項
7に記載の封止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止装置に関するもので、詳しくは、分離可能な中栓を有する本体と、本体を覆うように配設される冠体とを有する封止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレッシング等の容器には、容器本体の口部に対して中栓を有する本体の外周部を係止し、その本体を覆うように冠体を設置したものがあり、さらに、冠体を本体に対して回動自在に設置するとともに、冠体と本体に設けた中栓とをねじ機構によって連結し、冠体を本体に対して回動させることによって中栓を外周部からせん断分離させるようにしたものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
この容器では、冠体を本体に対して一方向に回動させることによってねじ機構を介して本体側の中栓を冠体に引き込むことで、中栓を外周部からせん断分離させて本体において中栓の位置に開口を形成させるとともに、中栓を冠体に保持させている。
【0004】
上記した容器では、冠体を本体に装着した状態で、運搬時等に意図しない力が作用し冠体が本体に対して回動された場合には、中栓がせん断されてしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、意図しないタイミングで中栓がせん断されないようにした封止装置を提供することにある。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る封止装置は、容器本体の口部に取り付けられる本体と、本体を覆うように配置される蓋部と、本体に支持される環状基部と、蓋部を環状基部に対して開閉自在に連結するヒンジとを有する冠体とを備える封止装置であって、本体に設けた第1筒状部と、冠体の環状基部に設けた第2筒状部との間に、嵌合によって本体と冠体の環状基部とを回動可能に連結する回動支持部を有し、本体と蓋部との間に設けられたねじ機構によって、開封に際して本体から中栓を分離して蓋部に捕捉させ、本体と冠体の環状基部との間に、本体に対する冠体の回動を時計方向及び反時計方向に関して阻止して仮止めする位置決め部が設けられ、本体から中栓が分離される位置を越えた回転位置で、本体に対する冠体の回動を阻止する規制部をさらに備える。
【0008】
上記封止装置によれば、冠体は、回動支持部を介して本体に回動可能に保持されるだけでなく、位置決め部によって開栓前の初期位置に保持される。したがって、本体に対して冠体が回動されにくくなり、中栓が意図しないタイミングで不用意にせん断される現象を抑制できる。
【0009】
本発明の具体的な態様又は側面では、上記封止装置において、位置決め部は、本体の第1筒状部と冠体の環状基部との相対向する一対の周面の一方の周面に1つの第1凸状片を有し、一対の周面のうち他方の周面に第1凸状片を挟み込むようにして2つの第2凸状片を有し、他方の周面に形成した少なくとも一方の第2凸状片の突出量は、第2凸状片が第1凸状片と係合する状態で、本体に対する環状基部への強制的な回動力によって第1凸状片又は第2凸状片が撓められて環状基部の回動を許容するように設定されている。この場合、特に所定以上の強い外力がかかる前は、一方の周面に設けられた第1凸状片が他方の周面に設けられた2つの第2凸状片間に挟まれてそこに維持されるので、このような所定以上の強い外力がかからない通常時において冠体が中栓に対して回動されることを防止でき、本体から中栓が不用意にせん断される虞を低減できる。
【0010】
本発明の別の側面では、他方の周面に設けられている2つの第2凸状片のうち他方の第2凸状片は、一方の周面に設けられている第1凸状片の回動を阻止するような突出量に設定されてストッパーを構成する。ここで、回動を阻止するとは、開封を意図する場合のような所定以上の強い外力が働いても回動を阻止することを意味する。この場合、本体に対して冠体を開方向と反対の閉方向へ回動させることが防止される。つまり、冠体は本体に対して開方向のみに回動可能になり、開栓操作を誤ることが回避される。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、回動支持部は、本体の第1筒状部に設けた第1環状凸部と、冠体の環状基部の第2筒状部に設けた第2環状凸部とを有し、第1環状凸部と第2環状凸部とのいずれか一方に設けられた突起と、第1環状凸部と第2環状凸部とのうち他方に設けられて突起を通過させるスリットとを有し、本体と冠体の環状基部とを嵌合させる際に、位置決め部によって設定される回転位置で、第1環状凸部と第2環状凸部とが互いに乗り越える前に突起がスリットに嵌合するようにした案内部をさらに備える。この場合、本体と冠体の環状基部とを嵌合させる際に、冠体の環状凸部を回動させると、突起が環状凸部のスリットに嵌合する。このようにして本体に対して冠体が周方向の所定の位置に案内されるので、中栓のねじに対し冠体のねじを適切な位置関係に螺合させることができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、規制部は、本体の第1筒状部と冠体の環状基部との相対向する周面の所定位置にそれぞれ突設された第3凸状片である。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、本体から中栓が分離される回転位置を越えた所定位置で、本体に対する冠体の閉方向への回動を阻止する逆転防止部をさらに備える。この場合、開封後の冠体は、本体に対して閉方向に逆回動されることなく開封後の所定位置に留まるので、開封の確認が確実となる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、逆転防止部は、本体に対する冠体の開方向への回動を許容し、本体に対する冠体の閉方向への回動を阻止するものである。
【0016】
本発明のさらに別の側面では、逆転防止部は、ラチェット機構によって構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る封止装置の一実施形態を示した概念的な断面図であり、未開封状態を示している。
【
図2】本体の中栓がせん断された状態を示した概念的な断面図である。
【
図3】中栓を設けた本体を示したもので、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。
【
図4】冠体を示したもので、(a)は縦断面図、(b)は底面図を示している。
【
図5】本体と冠体との嵌合部を示した部分拡大分解斜視図である。
【
図6】(a)は、案内部のスリットに凸状部が嵌合した位置決め状態を示し、(b)は、凸状部が嵌合する位置決め前の状態を示す。
【
図7】冠体の環状凸部が本体の環状凸部を乗り越えて、回動支持部が機能している状態を示す図である。
【
図8】本体と冠体の係合状態を示した部分断面図であり、(a)は未開封状態又は中栓のせん断前の位置決め部を示し、(b)は開封後又は中栓のせん断後の位置決め部を示している。
【
図9】位置決め部や逆転防止部の変形例を説明する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1等を参照して、本発明に係る封止装置の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、容器の軸芯Xを鉛直にして立てた状態で、上下等の位置関係を説明する。
【0019】
本実施形態の封止装置100は、
図1及び
図2に示したように、容器本体1の口部1aに係止される本体10と、本体10を覆うようにして本体10に係合される冠体20とを備えている。
【0020】
図3(a)及び3(b)に示すように、本体10は、容器本体1の口部1aに嵌着される環状の外周部11と、開封時に外周部11から分離される中栓12とを備えている。本体10は、型成形によってポリエチレン等の樹脂で形成される一体成形品である。以下、開封とは、中栓12が外周部11から分離されることを意味し、開封後の冠体20又は蓋部22の開け閉めについては開栓又は閉栓と呼ぶことにする。
【0021】
本体10の外周部11は、容器本体1の口部1aの端部に嵌着される嵌着部13を有している。嵌着部13は、容器本体1の口部1aの外周面に装着される大径の円筒壁13aと、容器本体1の口部1aの内周面に装着される小径の円筒壁13bと、それらの円筒壁13a,13bの上端をそれぞれ連接するフランジ状の環状壁13cとによって構成されている。そして円筒壁13aの内周面には周方向に膨出部13dが形成されている。
【0022】
また、外周部11は、円筒壁13bのほぼ上方に延びる大径の外筒壁14と、上方に向かって窄まる小径の内筒壁15を備えている。
【0023】
第1筒状部である外筒壁14の内周面には、位置決め部30を構成する2つの第2凸状片30a,30bが形成されている。これらの第2凸状片30a,30bは、鉛直方向に延設された凸条であり、それらの周方向の間隔又は離間量は、後述する冠体20の外周面に形成された第1凸状片35(
図4(b)参照)の周方向の幅(厚み)よりも僅かに広く配置されている(
図8(a)参照)。また、上方から視て時計回転側に配置された一方の第2凸状片30aの径方向の突出量は、冠体20の第1凸状片35と十分に重なり合う大きさになっている(
図8(a)参照)。結果的に、冠体20を本体10に対して一方向(上方から視て時計方向)に回動させた際に、第1凸状片35の回動が時計回転側又は一方の第2凸状片30aによって確実に阻止される。つまり、第2凸状片30aは、本体10に対する冠体20の時計回転を防止するストッパーとして機能する。一方、上方から視て反時計回転側に配置された他方の第2凸状片30bの径方向の突出量は、冠体20の第1凸状片35とわずかに重なり合う大きさになっている。結果的に、冠体20を本体10に対して他方向(上方から視て反時計方向)に所定以上の力で強制的に回動させた際に、この強制的な回動力によって第1凸状片35が反時計回転側又は他方の第2凸状片30bを撓めて冠体20の回動が許容される。なお、位置決め部30としては、第2凸状片30bだけでなく第1凸状片35が撓んで冠体20の回動が許容されるものとでき、第1凸状片35のみが撓んで冠体20の回動が許容されるものであってもよい。
【0024】
なお、上記した第1凸状片35、及び第2凸状片30a,30bは、開封前から開封中において本体10に対する冠体20の回転を制御するための第1係合機構を構成し、軸芯Xを挟んで対向する箇所に2組設けられている。
【0025】
また、外筒壁14の内周面において、上記第2凸状片30bの上方から視て反時計回転側には、本体10に対して冠体20の上方から視て反時計回転方向への回動を阻止するための規制部31を構成する第3凸状片31aが形成されている。この第3凸状片31aは鉛直方向に延設された凸条であり、径方向の突出量は、冠体20の第1凸状片35と十分に重なり合う高さにして、冠体20を本体10に対して同方向(上方から視て反時計方向)に回動させた際に、第1凸状片35の回動が第3凸状片31aによって確実に阻止されるようにしている。第3凸状片31aにより開封後に冠体20が開方向に過度に回転することが防止される。ここで、第1凸状片35は、第3凸状片31aとともに規制部31を構成し、第3凸状片としても機能している。
【0026】
また、外筒壁14の内周面における第3凸状片31aの第2凸状片30b側であって、第2凸状片30bの上方から視て反時計回転側には、ラチェット機構を構成する舌片32aが形成されている。この舌片32aはラチェット機構の爪を成すものであり、第3凸状片31aに向けて外筒壁14から離間するように突設されている。舌片32aは、周方向に比較して径方向に対して大きく傾斜している。本体10側に設けた舌片32aと冠体20側に設けた第1凸状片35とは、冠体20のための逆転防止部32を構成している。冠体20を本体10に対して一旦上記他方向(上方から視て反時計方向)に回動させた後、上記一方向(上方から視て時計方向)に戻す際に、第1凸状片35の回動が舌片32aによって確実に阻止されるようにしている。舌片32aにより開封後に冠体20が閉方向に逆回動することが防止される。
【0027】
なお、上記した規制部31及び逆転防止部32は、開封後において本体10に対する冠体20の回転を制御するための第2係合機構を構成し、軸芯Xを挟んで対向する箇所に2組設けられている。
【0028】
第1筒状部である外筒壁14の外周面には、環状凸部16が形成されている。この環状凸部16は、冠体20の後述する環状凸部24(
図4(a)参照)に係合する。また、外筒壁14の端部外周面上の2箇所には、後述する冠体20のスリット33bと協働して案内部33を構成する凸状部33aが形成されている。凸状部33aは、環状凸部16の上部において外筒壁14の端部外周面から半径方向外方に突出するように形成されている(
図3(b)等参照)。
【0029】
本体10の中栓12は、内筒壁15と同芯で円筒壁15の内径側に形成された有底円筒壁12aを備えている。そして、この有底円筒壁12aは、その外周面から半径方向外方に張出すフランジ状の連結部17を介して内筒壁15に連結されている。この連結部17の下面には、環状ノッチ17aが形成されている。
【0030】
中栓12の有底円筒壁12aの外周面には、後述する冠体20の筒状壁体22aに設けたねじ34bと協働してねじ機構34を構成する雄ねじ34aが形成されている。
【0031】
図4(a)及び4(b)に示すように、冠体20は、
図3(a)等に示す本体10に連結される環状基部21と、本体10を覆うように配置され、中栓12に対向するように配置された筒状壁体22aを備えた蓋部22と、環状基部21に対して蓋部22を開閉自在に連結するヒンジ23とによって構成されている。冠体20は、型成形による樹脂製の一体成形品である。
【0032】
環状基部21は、大径の筒状壁21aと小径の筒状壁21bとを有している。筒状壁21aと筒状壁21bとは同芯に形成され、第2筒状部である筒状壁21aの内周面には、本体10の外筒壁14に設けた環状凸部16(
図3(a)参照)に係合される環状凸部24が形成されている。冠体20において筒状壁(第2筒状部)21aに設けた環状凸部24と、本体10において外筒壁(第1筒状部)14に設けた環状凸部16とは、嵌合によって冠体20の環状基部21と本体10の外周部11とを回動可能に連結する回動支持部50を構成する(
図1参照)。冠体20側の環状凸部24には、本体10の外筒壁14に形成された凸状部33aと協働して案内部33を構成するスリット33bが形成されている。また、筒状壁21bの外周面には、鉛直方向に延び径方向に適度な幅を有する凸条である第1凸状片35が形成されている。この第1凸状片35は、既述のように、上記位置決め部30、規制部31、及び逆転防止部32の一部として機能する。
【0033】
蓋部22には、中央部に筒状壁体22aが立設され、その筒状壁体22aの内周面には、本体10の雄ねじ34aと協働してねじ機構34を構成する雌ねじ34bが形成されている。両ねじ34a,34bは、押込みによる乗越えを、引抜きによる乗越えよりも容易にするために、押込み方向又はねじ込み方向の反対側に偏って傾いたねじ山断面を有する。
【0034】
このように構成された封止装置では、
図1に示すように、本体10の外筒壁14に冠体20の筒状壁21aを被せるように筒状壁21aを押し込む。これにより、冠体20の筒状壁21aの環状凸部24を本体10の外周部11の環状凸部16に係合させるとともに、冠体20の筒状壁体22aの雌ねじ34bを本体10の有底円筒壁12aの雄ねじ34aに強制的に螺合させる。なお、本体10の嵌着部13は、本体10に冠体20を嵌合させる前又は後で容器本体1の口部1aに嵌着させる。
【0035】
この組付け作業において、本体10に冠体20を被せ、本体10に対して冠体20を相対的に回動させ、冠体20の環状凸部24の一箇所に設けたスリット33bと、本体10の環状凸部16の一箇所から上側に突起する凸状部33aとが上から視て合致した状態とする。これにより、スリット33bに凸状部33aが入り込んで環状凸部16と環状凸部24とが密着した状態となる(
図6(a)参照)。つまり、案内部33によって本体10に対して冠体20が回転位置に関して位置決めされる。なお、スリット33bと凸状部33aとを上から視て合致させる前の状態では、本体10の凸状部33a上に冠体20の環状凸部24が乗った状態となっている(
図6(b)参照)。つまり、スリット33bと凸状部33aとが合致する前の状態から合致した状態に切り替わることで、本体10に対して冠体20が凸状部33aの高さ分だけ下がる。次に、
図6(a)に示すように案内部33による位置決めが達成された状態で、冠体20を本体10に押下する。すると、冠体20は本体10に沈み込み、さらに冠体20の環状凸部24が本体10の環状凸部16を乗り越えて下降して互いに係合する(
図7参照)。つまり、本体10の環状凸部16と冠体20の環状凸部24とが回動支持部50として機能し、本体10に対して冠体20が回動可能となるが本体10から冠体20が抜けることが防止される。一方、冠体20を本体10側に沈み込ませるのと並行して、冠体20の雌ねじ34aは、本体10の雄ねじ34bを強制的に乗り越えるように降下して、両ねじ34a,34bが所定の位置で互いに螺合する。
【0036】
このようにして組み付けられた状態では、
図8(a)に示すように、冠体20の第1凸状片35が位置決め部30によってそこに仮止め(位置決め)される。したがって、運搬時等に誤って冠体20が本体10に対して回動される可能性を著しく低減でき、冠体20が本体10に対して準安定的に保持される。
【0037】
そして、開封時は、本体10に対して冠体20を一方向、例えば、上方から視て反時計回りに規制部31が機能するまで回動させる。すると、本体10の中栓12がねじ機構34によって冠体20の蓋部22内に締め込まれ、中栓12は、
図2に示すように、環状ノッチ17aで外周部11からせん断され、結果的に冠体20の筒状壁体22aに保持される。
【0038】
この開封動作に伴って、冠体20の第1凸状片35は、反時計回転側の他方の第2凸状片30bを乗り越えるとともに舌片32aを撓めて乗り越え、
図8(b)に示すように、本体10の第3凸状片31aに突き当たり、そこで回動が停止される。この位置に達した第1凸状片35は、第3凸状片31aと舌片32aとの間で双方向の回動が阻止される。そして、
図2に示すように、冠体20の蓋部22をヒンジ23を支点として環状基部21に対して回動させて開栓すると、中栓12も蓋部22と共に開栓する。
【0039】
冠体20の蓋部22を再び環状基部21に被せると、本体10のリップ15aが冠体20の天井壁22bの内面に当接して本体10の上部開口を密閉する。
【0040】
本実施形態の封止装置100では、冠体20は、回動支持部50を介して本体10に回動可能に保持されるだけでなく、位置決め部30によって開栓前の初期位置に保持される。したがって、本体10に対して冠体20が回動されにくくなり、中栓12が意図しないタイミングで不用意にせん断される現象を抑制できる。
【0041】
以上、本実施形態に係る封止装置について説明したが、本発明に係る封止装置は上記のものには限られない。例えば、上記実施形態では、凸状片30a,30b,31a及び舌片32aを本体10の外筒壁14の内周面に形成し、それらに係合する凸状片35を冠体20の筒状壁21bの外周面に形成しているが、凸状片30a,30b,31a及び舌片32aを冠体20の筒状壁21bの外周面に形成し、それらに係合する凸状片35を本体10の外筒壁14の内周面に形成してもよい。
【0042】
また、
図9に示すように、時計回転側にあって径方向の突出量が大きな第2凸状片30aから周方向に第1凸状片35の幅程度離間させて、ラチェット機構を構成する舌片132aを設けることができる。この場合、
図8(a)に示す反時計回転側にあって径方向の突出量が小さな第2凸状片30bを省略し、舌片32aの形状や配置を変更したものとなっている。舌片132aは、
図8(a)等に示す他方の第2凸状片30bによって達成される所定以上の力で回転を許容するストッパー機能を有する。
【0043】
また、第1凸状片35は、位置決め部30,規制部31,逆転防止部32の要素として共用しているが、それぞれの部分30,31,32に専用の凸状片を形成することもできる。
【0044】
また、上記実施形態では、位置決め部30,規制部31,逆転防止部32を対向する2カ所に設置しているが、それらの数は、1カ所でもよく、3カ所以上でもよい。
【0045】
ねじ機構34のねじ34a,34bは、冠体20の開栓方向の回動に対して中栓12が蓋部22に引き込まれるように逆ねじであることが好ましいが、中栓12が押し出されるような順ねじであってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、冠体20を上方から視て反時計方向に回動させることによって開栓させるようにしているが、冠体20を時計方向に回動させることによって開栓させるようにすることもできる。この場合には、位置決め部30,規制部31,逆転防止部32を上記実施形態の配列と反対の配列で配置すればよい。
【0047】
本体10側の設けた外筒壁14の環状凸部16の上方に凸状部33aを形成する代わりに、冠体20側に設けた筒状壁21a又は環状基部21の環状凸部24の下方に凸状部を形成することができ、この場合、環状凸部16に凸状部との位置決めを可能にするスリットを形成する。
【符号の説明】
【0048】
1…容器本体、 1a…口部、 10…本体、 11…外周部、 12…中栓、 12a…有底円筒壁 13…嵌着部、 13a…円筒壁、 13b…円筒壁、 13c…環状壁、 13d…膨出部、 14…外筒壁(第1筒状部)、 15…内筒壁、 16…環状凸部、 17…連結部、 17a…環状ノッチ、 20…冠体、 21…環状基部 21a…筒状壁(第2筒状部)、 21b…筒状壁、 22…蓋部、 22a…筒状壁体、 24…環状凸部、23…ヒンジ、 24…環状凸部、 30…位置決め部、 30a…第2凸状片、 30b…第2凸状片、 31…規制部、 31a…第3凸状片、 32…逆転防止部、 32a…舌片、 33…案内部、 33a…凸状部、 33b…スリット、 34…ねじ機構、 34a…雄ねじ、 34b…雌ねじ、 35…第1凸状片、 50…回動支持部