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特許72020972つの流路を備える石炭ノズルアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】2つの流路を備える石炭ノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F23D 1/00 20060101AFI20221228BHJP
   F23C 13/06 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
F23D1/00 C
F23C13/06
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018143045
(22)【出願日】2018-07-31
(65)【公開番号】P2019052838
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】17184062.2
(32)【優先日】2017-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・マイケル・ハウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・チャイルズ・ルイス
(72)【発明者】
【氏名】アルフレッド・ジョセフ・グオズ
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-270992(JP,A)
【文献】米国特許第4356975(US,A)
【文献】国際公開第2009/114331(WO,A2)
【文献】特開昭61-223411(JP,A)
【文献】特開平04-083535(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0277364(US,A1)
【文献】特開昭55-140009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00
F23C 9/08
F23C 13/06
F23N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気発生装置のための石炭ノズルアセンブリであって、当該石炭ノズルアセンブリが、細長いノズル本体(3)と、一端に2つのノズル先端部(15.1、15.2)を有する内側シェル(3.1)とを備えており、当該石炭ノズルアセンブリが、前記2つのノズル先端部(15.1、15.2)の上流側で前記内側シェル(3.1)内に位置する分割手段(21)であって、前記ノズル本体(3)からの石炭粒子及び一次空気の流れを前記2つのノズル先端部(15.1、15.2)を通して2つの部分流へと分割する分割手段(21)をさらに備えており、前記2つのノズル先端部(15.1、15.2)の流路の方向が、0°よりも大きくかつ90°以下である角度(α)を囲んでおり、前記2つの部分流が、前記2つのノズル先端部(15.1、15.2)を出て燃焼を起こす前に互いに交差してせん断作用を生じるように、前記2つのノズル先端部(15.1、15.2)によって方向が変えられる、石炭ノズルアセンブリ。
【請求項2】
前記ノズル先端部(5、15.1、15.2)が、前記細長い本体(3)又は前記内側シェル(3.1)の長手軸に直交する軸を中心にして枢動するように取り付けられている、請求項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項3】
前記ノズル本体(3)又は前記内側シェル(3.1)と、前記ノズル先端部(5、15.1、15.2)とが、部分的に重なり合っている、請求項1又は請求項2に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項4】
空気ハウジング(18)を備える、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項5】
前記ノズル本体(3)及び/又は前記内側シェル(3.1)並びに前記ノズル先端部(5、15.1、15.2)と、前記空気ハウジング(18)とが、二次空気を運ぶための少なくとも1つのチャネル(22)を境界付ける、請求項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項6】
前記ノズル本体(3)及び/又は前記内側シェル(3.1)が、矩形又は角錐台の縦断面を有する、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項7】
前記チャネル(14.1、14.2)の前記ノズル本体(3)から遠い方の端部における前記チャネル(14.1、14.2)の流路の方向が、15°よりも大きくかつ75°未満である角度(α)を囲む、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項8】
各々のノズル先端部(5、15.1、15.2、15)が、出口面(13.1、13.2、23.1、23.2)を備え、少なくとも1つのせん断バー(29)が、前記出口面(13.1、13.2、23.1、23.2)の付近に配置されている、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項9】
空気及び石炭粒子の流れを導くための1つ以上のスプリッタプレート(25)を備える、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項10】
触媒(35)が前記ノズル先端部(5)の内壁に適用されている、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項11】
前記触媒(35)が、500℃~900℃の温度範囲において触媒活性を有するペロブスカイト型である、請求項10に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項12】
前記触媒(35)が、金属でドープされたランタンストロンチウムチタン酸塩である、請求項10又は請求項11に記載の石炭ノズルアセンブリ。
【請求項13】
炉と、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの石炭ノズルアセンブリとを備える蒸気発生システム。
【請求項14】
炉と、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の少なくとも1つの石炭ノズルアセンブリとを備える蒸気発生システムを、当該蒸気発生システムの負荷の関数として、さらには/あるいは燃焼燃料に応じて、試運転時に前記ノズル先端部(5、15.1、15.2)の角度(α)を最初に調節し、さらには/あるいは当該システムの動作の最中にノズル先端部(5、15.1、15.2)の角度(α)を調節することによって、動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一次空気に取り込まれた固体粒子の流れを燃焼器または炉へと導くための蒸気発生装置用のノズルアセンブリに関する。さらに、本発明は、炉と少なくとも1つの石炭ノズルアセンブリとを含む蒸気発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固体燃料燃焼システムは、空気の流れにて炉へと吹き込まれる典型的には石炭である粉末状の固体燃料を燃焼させる。この炉は、典型的には、発電などの種々の用途のための蒸気を生成するボイラである。
【0003】
微粉化された石炭粒子は、一次空気によって石炭粉砕装置から石炭ノズルアセンブリへとダクト装置を通って運ばれるときに、種々の経路において凝集する傾向がある。結果としての石炭粒子と一次空気との部分的な分離が、他の悪影響の中でもとりわけ、炉における燃焼効率を低下させ、煙道ガス中の汚染物質を増加させ、これは望ましくない。
【0004】
米国特許第8955776号明細書から、固体燃料炉用のノズルであって、一次空気および石炭粒子の流れを炉へと導くために、ノズルの出口領域に互いに平行に配置された何枚かの平坦な案内羽根を備える固定式のノズルが知られている。
【0005】
ノズルおよび案内羽根は、例えば鋳造によって一体的に形成されている。案内羽根は、互いにおおむね平行であり、結果として、ノズルを出て炉に進入する前に、部分的に凝集した石炭粒子と一次空気との最適な混合物を得ることができない。
【0006】
現在では、炉内での燃焼の直前に石炭粒子と一次空気とのより均一な混合物をもたらすことで、炉の効率を高め、煙道ガス中の例えばNOxなどの汚染物質を少なくする改良された石炭ノズルアセンブリが、必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
第1の実施形態において、石炭ノズルアセンブリは、ノズル先端部を一端に有している細長いノズル本体を備え、前記ノズル先端部は、2つのチャネルを備え、各々のチャネルは、湾曲した流路または曲がった流路を有しており、ノズル先端部は、チャネルを互いに隔てる分割手段をさらに備え、チャネルのノズル本体から遠い方の端部におけるチャネルの流路の方向は、0°よりも大きくかつ90°以下である角度を囲む。
【0008】
第2の実施形態において、石炭ノズルアセンブリは、細長いノズル本体と、2つのノズル先端部を一端に有している内側シェルとを備え、このノズルアセンブリは、前記2つのノズル先端部の上流において内側シェル内に位置し、前記ノズル本体からの流れを2つのノズル先端部へと分割する分割手段をさらに備え、この第2の実施形態の2つのノズル先端部の流路の方向は、0°よりも大きくかつ90°以下である角度を囲んでいる。
【0009】
本発明の両方の実施形態は、2段階のアプローチを利用する。第1の段階は、石炭粒子および一次空気の非一様な流れがノズル本体を出てノズル先端部に進入するときに生じる。この流れは、分割手段によって先端部の内部の2つの部分流に分割される。2つの部分流は、第2の段階であるノズル先端部を出るときの互いの交差およびせん断を生じるように、第1の実施形態による先端部の内部で方向が変えられ、あるいは2つのノズル先端部によって方向が変えられる。とりわけこの交差およびせん断を達成するために、ノズル先端部を出る部分流が通過する出口面は、90°よりも大きくかつ180°よりも小さい角度を囲む。このせん断は、2つの部分流の外部での混合を引き起こし、石炭流の分散を助けて、燃焼をきわめて効率的にし、排出物を少なくする。
【0010】
本発明による石炭ノズルアセンブリは、単に先端部の内部における混合に頼るよりもむしろ、燃焼が生じる直前に炉内で石炭粒子および一次空気を混合することにより、石炭および一次空気の良好に混合されたかなり均質な流れを生成する。
【0011】
炉内の局所的に異なる動作状態に応じた石炭粒子および一次空気のさらに改善された混合を可能にするために、ノズル先端部は、細長い本体の長手軸に対して直交する軸を中心にして枢動するように取り付けられている。ほとんどの場合、この軸は水平である。
【0012】
石炭粒子および一次空気のほぼ100%がノズル先端部に確実に進入するように、ノズル本体は、ノズル先端部に部分的に重なっている。
【0013】
特許請求されるノズル先端部の平面壁および湾曲壁は、ノズル先端部の矩形の断面を境界付ける。さらに、ノズル本体は、矩形または角錐台の縦断面を有することで、ノズル先端部に進入する前の一次空気および石炭粒子の速度を高めることができる。
【0014】
チャネルのノズル本体から遠い方の端部におけるチャネルの流路の方向が、15°よりも大きく、好ましくは30°よりも大きく、かつ/または75°よりも小さく、好ましくは60°よりも小さい角度αを囲むと好都合であることが、明らかになっている。
【0015】
チャネルの流路の方向の間の角度αをこの限界の範囲内に保つことで、ノズル先端部の前方に安定かつきれいな火炎がもたらす石炭および空気の2つの部分流の良好な交差およびせん断がもたらされる。
【0016】
引火点を先端部に近づけ、火炎の安定性を向上させるために、1つまたは2つのせん断バーを、出口面の付近において各々のノズル先端部に取り付けることができる。
【0017】
冷却の目的、および一次空気と石炭粒子との混合物をさらに改善するために、二次空気の周囲が、石炭ノズル先端部を取り囲むことができる。
【0018】
混合能力のさらなる改善のために、各々のノズル先端部は、空気および石炭粒子の流れを導くように2つの平面壁の間を延びるスプリッタプレートを備える。
【0019】
さらなる利点が、図面、その説明、および特許請求の範囲に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明によるノズル本体およびノズル先端部の第1の実施形態の側面図(分解図)である。
図2】ノズル先端部を取り囲む外側ハウジングの側面図である。
図3図1および図2によるノズル本体ならびに取り付けられたノズル先端部および外側ハウジングの側面図である。
図4】特許請求される石炭ノズルアセンブリの第2の実施形態の概略の断面図である。
図5図4による第2の実施形態を通る石炭および一次空気の流れを示している。
図6】第2の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1が、本発明によるノズル本体3およびノズル先端部5の分解側面図を示している。ノズル先端部5は、対称軸31を有する。この実施形態のノズル先端部5は、2つの平行な平面壁7から構成され、そのうちの1つだけを図1では見て取ることができる。
【0022】
この実施形態のノズル先端部5は、2つの湾曲した壁または曲がった壁9をさらに備える。これら2対の壁7、9が、ノズル先端部5の外側境界またはハウジングである。
【0023】
このハウジングの内側に、分割手段11が配置されている。分割手段11は、一方の(平面)壁7から他方の(平面)壁7まで延びている。分割手段11は、前縁12によってノズル本体3からの流れを2つの部分流へと分割するように形作られている。湾曲壁9と分割手段11との間に、2つのノズル型チャネル14.1、14.2が形成されている。この実施形態のチャネル14の断面は、矩形である(図1では見て取ることができない)。
【0024】
これにより、一次空気および同伴の石炭粒子の流路は、湾曲し、あるいは曲げられる。本発明との関連における用語「流路」は、一次空気および石炭の主たる方向または運搬方向を意味するように理解されなければならない。これに加えて、例えば一次空気の乱流に起因して、一次空気の流れの流路からの局所的および/または一時的なずれが生じ得る。これらのずれは、流路の方向に影響を与えない。
【0025】
上記定義の流路は、流路を視覚化するように図中に適切に図示することが不可能であるため、図面は矢印(参照番号なし)を含んでいる。
【0026】
さらに、流路およびノズル先端部5を出るときの流路の方向を視覚化するために、湾曲した長手軸および一直線の長手軸33.1、33.2が図中に示されている。特許請求される発明との関連において、用語「長手軸33.1、33.2」および「流路」は、同義語である。
【0027】
したがって、チャネル14.1、14.2の長手軸33.1、33.2も、湾曲しており、あるいは曲がっている。この実施形態において、チャネル14.1、14.2は、ノズル先端部5の対称軸31に関して対称に配置されている。
【0028】
一次空気および石炭粒子は、矢印によって示されるように、ノズル本体3ならびにチャネル14.1および14.2を通って流れる。空気および石炭粒子は、出口面13.1および13.2を介してチャネル14.1、14.2を出る。この実施形態の出口面13.1、13.2の断面は、矩形である(図1では見て取ることができない)。
【0029】
ノズル本体3から遠い(さらには、出口面13.1および13.2に近い)チャネル14.1、14.2の端部における長手軸33.1、33.2は、0°より大きくかつ90°以下である角度αを囲んでいる。この特定の実施形態において、角度αは、約60°である。これは、出口面13.1、13.2を介してチャネル14.1、14.2から出る一次空気の流れの方向が、角度αに等しい角度を囲むことを意味する。出口面を介してノズル先端部を出るときの一次空気の流れの方向は、出口面に対して垂直である。
【0030】
一次空気および石炭粒子に曝されるノズル先端部5の内面に、触媒35を適用することが可能である。
【0031】
湾曲したチャネルまたは曲がったチャネル14.1、14.2は、空気および石炭粒子の部分流を、ノズル先端部5を出た後かつ燃焼の直前に交差してせん断するように導く。これにより、燃焼前および燃焼中に、一次空気と石炭粒子とのより均一な混合物が得られる。したがって、火炎の効率が向上し、排出物が減少する。
【0032】
選択肢(図1には図示せず)として、スプリッタプレートを、出口面13.1、13.2の近くのチャネル14.1、14.2内に配置することができる。
【0033】
図2が、外側ハウジングまたは空気ハウジング18の側面図を示している。空気ハウジング18は、ノズル本体3およびノズル先端部5を取り囲み、かつノズル本体3およびノズル先端部5から離間している。燃焼空気または二次空気が、一方側のノズル本体3およびノズル先端部5と、他方側の空気ハウジング18との間に定められる領域に進入する。換言すると、二次空気の周囲が、石炭ノズル先端部5を取り囲む。
【0034】
図3が、特許請求されるノズル先端部の組み立てられた第1の実施形態を示している。分かり易くするために、すべての参照番号が描かれているわけではない。
【0035】
選択肢として、ノズル先端部5は、1対の枢支部材16、20によって空気ハウジング18に枢動可能に接続される。図1では、枢支ピン16を見て取ることができる。空気ハウジング18は、枢支ピン16のための軸受20を備える(図2を参照)。枢支部材16,20は、燃料および燃焼空気を炉の垂直軸に対して上方または下方に向けることができるように、ノズル先端部5を軸(大抵の場合、水平軸)を中心にして回転させ、あるいは傾けることを可能にする。ノズル先端部5の枢支接続は、空気の方向を約±30°の範囲内で変更することを可能にする。簡略化された実施形態においては、ノズル先端部5が、枢動可能には取り付けられていない。
【0036】
図1および図3から理解できるとおり、火炎の引火点がノズル先端部5に近づき、改善された火炎安定性をもたらすように、出口面13.1および13.2の近くにおいてせん断バー29が出口面13.1および13.2から出る空気および石炭粒子を旋回させ、方向付ける。せん断バー29は、任意である。
【0037】
図3において、一方側においては空気ハウジング18によって限定され、他方側においてはノズル本体3およびノズル先端部5によって限定されるチャネル22を見て取ることができる。このチャネル22を通って、二次空気の周囲が炉へと流入する。炉への進入に先立ち、二次空気は、ノズル先端部5を冷却するほか、石炭粒子と空気とを燃焼の前に混合する。二次空気を加速するために、チャネル22の高さを出口面13.1、13.2の付近で最小限に抑えることが、さらに有利である。
【0038】
図4および図5が、特許請求される発明の第2の実施形態を示している。同様の部分には、第1の実施形態(図1図3)と同じ参照番号が付されている。
【0039】
この実施形態において、ノズル本体3は、ノズルアセンブリ1の内側シェル3.1に取り付けられる。さらに、2つのノズル先端部15.1および15.2の各々が、枢支ピン16およびそれぞれの軸受20によって内側シェル3.1に枢動可能に取り付けられる。
【0040】
ノズル先端部15.1および15.2の入口の上流において、分割手段21が内側シェル3.1内に設置され、ノズル本体3を通る流れを2つの部分流へと分割し、内側シェル3.1と協働して2つのチャネル14.1、14.2を形成する。各々のチャネル14.1、14.2は、ノズル本体3を通る流れの約半分を、ノズル先端部15.1および15.2の各々へと供給する。
【0041】
ノズル先端部15.1および15.2の流路および長手軸33.1および33.2の方向は、90°と0°との間の角度α(図示されている角度は、約40°である)を囲んでいる。これは、ノズルアセンブリ1の外部での2つの部分流の交差およびせん断を促進し、上述の肯定的な結果をもたらす。
【0042】
両方のノズル先端部15.1および15.2を別個独立に傾けることができるため、ノズル先端部15.1および15.2の流路および/または長手軸33.1および33.2の間の角度αを、最適な燃焼が達成されるように調節することが可能である。さらに、火炎の引火点を調節することが可能である。
【0043】
第1の実施形態と同様に、外側ハウジング18および内側シェル3.1ならびにノズル先端部15.1、15.2は、ノズル先端部15.1および15.2を冷却するための二次空気の周囲が流れるチャネル22を限定する。
【0044】
外側ハウジング18および内側シェル3.1を、おおむね約+/-30°の角度だけ傾けることができるように、枢支ピン37、39によって枢動可能に取り付けることが可能である。
【0045】
混合能力をさらに改善するために、各々のノズル先端部15.1、15.2、および15は、空気および石炭粒子の流れを導くために出口面13.1、13.1、23.1、および23.3の付近に配置されたスプリッタプレート25を備えてもよい。
【0046】
図5が、ノズルアセンブリ1を通る一次空気の流れを示し、ノズル先端部15.1、15.2を出た後の2つの部分流の交差およびせん断をさらに示している。
【0047】
図6が、第2の実施形態の斜視図を示している。この斜視図から、外側ハウジング18とノズル本体3.1との間に、ノズル先端部15.1および15.2を冷却するためのチャネル22が存在することを、見て取ることができる。
【0048】
さらに、空気ハウジング18と内側シェル3.1との間に、複数のリブ24が配置されていることを、見て取ることができる。それらは、空気ハウジング18の内面および細長いノズル本体3.1の外面に溶接され、ノズル先端部1の構造骨格を形成する。さらに、リブ24は、二次空気のための案内手段として機能することができる。
【0049】
図6に示されるように、出口面23.1および23.2は、180°の角度を囲むことができる(これは、流路が平行であることを意味する)。場合によっては、これが、ノズル15.1および15.2を出る一次空気および石炭粒子の流れのための最適な方向であるかもしれない。
【0050】
特許請求される超低NOxバーナノズルのNOx排出をさらに低減するために、触媒35が、一次空気および石炭粒子に曝されるノズル先端部の表面に適用される。噴射された燃料中の揮発性物質の触媒燃焼が、揮発性物質または固体燃料の部分燃焼に由来するNOx種の還元にとって好ましい温度で達成される。さらに、ノズル先端部の内部における触媒燃焼は、下流の火炎の質を向上させ、したがって炉内のNOx排出物を低減する。
【0051】
噴射された燃料中の揮発性物質の触媒燃焼が、揮発性物質または固体燃料の部分燃焼に由来するNOx種の還元にとって好ましい温度で達成される。また、ノズル先端部の出口面の付近における触媒燃焼も、火炎の質を改善し、したがって炉内のNOx排出物を低減する。
【0052】
本発明の一実施形態において、触媒は、これに限られるわけではないが500℃~900℃の好ましい温度範囲で触媒活性を有するペロブスカイト型である。本発明の一実施形態において、触媒は、ランタン、ストロンチウム、および/またはチタン酸塩であり、金属でドープされる。このような金属は、これらに限られるわけではないが、Fe、Mn、およびCoである。
【0053】
さらに、特許請求される発明は、炉と、上記請求のうちの1つによる少なくとも1つの石炭ノズルアセンブリとを備える蒸気発生システムを、最適な燃焼が達成されるように試運転時にノズル先端部5、15.1、15.2の角度αを最初に調節することによって動作させるための方法に関する。
【0054】
さらに、システムの動作の最中にノズル先端部5、15.1、15.2の角度αを、蒸気発生システムの負荷の関数として調節し、さらには/あるいは化学組成および/または粒子サイズなどの燃焼燃料の特性に応じて調節する方法に関する。
【符号の説明】
【0055】
1 ノズルアセンブリ、ノズル先端部
3 ノズル本体
3.1 内側シェル
5 石炭ノズル先端部
7 平面壁
9 湾曲壁
11 分割手段
12 前縁
13.1、13.2 出口面
14 チャネル
15.1、15.2 ノズル先端部
16 枢支ピン、枢支部材
17 平坦な平行壁
18 空気ハウジング、外側ハウジング
20 軸受
21 分割手段
22 チャネル
23.1、23.2 出口面
24 リブ
25 スプリッタプレート
29 せん断バー
31 対称軸
33.1、33.2 長手軸
35 触媒
37 枢支ピン
39 枢支ピン
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6