(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】折畳み式作業台におけるロック装置
(51)【国際特許分類】
E04G 1/34 20060101AFI20221228BHJP
E06C 1/39 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
E04G1/34 A
E06C1/39 Z
(21)【出願番号】P 2018165757
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】門脇 真太郎
【審査官】清水 督史
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-201794(JP,A)
【文献】特開2016-044506(JP,A)
【文献】特開昭60-060341(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0275897(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/34
E06C 1/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(2)の両端部に位置して、脚体(3)を下向きに垂設させた開脚姿勢(P1)と天板の下側に格納させた閉脚姿勢(P2)の間で旋回自在に枢結して成る折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢(P1)で旋回不能にロックするロック装置であり、
ロック装置は、天板と脚体の相互において、一方に固設された係止ピン(6)と、他方に回動自在に軸着されたアーム(7)により構成され、
前記アーム(7)は、アームスプリング(10)により前記係止ピン(6)に向けて回動するように弾発付勢され、前記係止ピン(6)に当接するガイド縁部(11)を設けることにより、脚体を閉脚姿勢と開脚姿勢の間で旋回したとき、ガイド縁部(11)と係止ピン(6)の相対位置に関して、ガイド縁部(11)に沿って係止ピン(6)を閉脚位置(Q2)と開脚位置(Q1)の間で移動させるように構成し、開脚位置(Q1)に移動させられた係止ピン(6)を係脱自在に掴持するロック手段(8)を設けており、
前記ロック手段(8)は、前記アーム(7)に回動自在に軸支されると共に前記ガイド縁部(11)に向けて前進方向に弾発付勢されたロック部材(14)により構成され、開脚位置(Q1)に移動した係止ピン(6)を受入れて掴持することによりロックするように構成されて成ることを特徴とする折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項2】
前記ロック手段(8)は、前記アーム(7)に回動自在に軸支されたロック部材(14)と、該ロック部材の先端部において前記ガイド縁部(11)に対し後退した開姿勢(K1)と前進した閉姿勢(K2)の間で揺動自在とされる揺動部(15)により構成され、該揺動部を閉姿勢に向けて弾発付勢する開閉スプリング(16)を設けており、
前記揺動部(15)は、前記開脚位置(Q1)に向けて移動する係止ピン(6)により押動されたとき開姿勢(K1)とされることにより該係止ピンを受入れ、開閉スプリング(16)により閉姿勢(K2)とされることにより受入れた係止ピン(6)を掴持するように構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項3】
前記開脚位置(Q1)の係止ピン(6)を閉姿勢(K2)とされた揺動部(15)とガイド縁部(11)の間に掴持する構成に関して、ガイド縁部と揺動部の少なくとも一方に、係止ピン(6)を嵌入係止させる凹部を設けて成ることを特徴とする請求項2に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項4】
前記開脚位置(Q1)の係止ピン(6)を閉姿勢(K2)とされた揺動部(15)とガイド縁部(11)の間に掴持する構成に関して、ガイド縁部(11)に係止ピンを嵌入させる底側凹部(20)を設け、揺動部(15)に係止ピンを包囲する蓋側凹部(21)を設けて成ることを特徴とする請求項2に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【請求項5】
前記アーム(7)のガイド縁部(11)とロック部材(14)の揺動部(15)は、相互の離間距離を前記凹部に向けて次第に狭めるガイド進入路(19)を形成し、開脚位置(Q1)に向けて移動する係止ピン(6)を前記ガイド進入路(19)に進入させたとき、係止ピン(6)により押動される揺動部(15)が開閉スプリング(16)に抗して開姿勢(K1)とされるように構成して成ることを特徴とする
請求項3に記載の折畳み式作業台におけるロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の両端部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢と天板の下側に格納させた閉脚姿勢の間で旋回自在に枢結して成る折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢で旋回不能にロックするためのロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折畳み式作業台は、脚体を閉脚姿勢として格納することにより、運搬や保管に便利とするように構成されている。
【0003】
ところが、脚体を開脚姿勢として作業台を作業のために使用するとき、脚体が閉脚姿勢に向けて不慮に旋回するおそれがあると、天板の傾きや転倒により、作業者の転落事故を招来する危険があるので、脚体を開脚姿勢の状態で旋回不能にロックするためのロック装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3030253号公報
【文献】特許第3574391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、折畳み式作業台におけるロック装置に関して、従来技術に存在しない新しいタイプのロック装置を提供するものであり、天板と脚体の相互において、一方に固設された係止ピンと、他方に回動自在に軸着されたアームを設け、脚体が開脚姿勢と閉脚姿勢の間で旋回したとき、アームを係止ピンに当接させながら脚体の旋回動作に追従させ、脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢まで旋回したとき、係止ピンがアームに対して自動的に係止され、これにより自動ロックを可能とする点に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明が手段として構成したところは、天板の両端部に位置して、脚体を下向きに垂設させた開脚姿勢と天板の下側に格納させた閉脚姿勢の間で旋回自在に枢結して成る折畳み式作業台において、前記脚体を開脚姿勢で旋回不能にロックするロック装置であり、ロック装置は、天板と脚体の相互において、一方に固設された係止ピンと、他方に回動自在に軸着されたアームにより構成され、前記アームは、アームスプリングにより前記係止ピンに向けて回動するように弾発付勢され、前記係止ピンに当接するガイド縁部を設けることにより、脚体を閉脚姿勢と開脚姿勢の間で旋回したとき、ガイド縁部と係止ピンの相対位置に関して、ガイド縁部に沿って係止ピンを閉脚位置と開脚位置の間で移動させるように構成し、開脚位置に移動させられた係止ピンを係脱自在に掴持するロック手段を設けており、前記ロック手段は、前記アームに回動自在に軸支されると共に前記ガイド縁部に向けて前進方向に弾発付勢されたロック部材により構成され、開脚位置に移動した係止ピンを受入れて掴持することによりロックするように構成されて成る点にある。
【0007】
好ましくは、前記ロック手段は、前記アームに回動自在に軸支されたロック部材と、該ロック部材の先端部において前記ガイド縁部に対し後退した開姿勢と前進した閉姿勢の間で揺動自在とされる揺動部により構成され、該揺動部を閉姿勢に向けて弾発付勢する開閉スプリングを設けており、前記揺動部は、前記開脚位置に向けて移動する係止ピンにより押動されたとき開姿勢とされることにより該係止ピンを受入れ、開閉スプリングにより閉姿勢とされることにより受入れた係止ピンを掴持するように構成されている。
【0008】
前記開脚位置の係止ピンを閉姿勢とされた揺動部とガイド縁部の間に掴持する構成は、ガイド縁部と揺動部の少なくとも一方に、係止ピンを嵌入係止させる凹部を設けることにより構成しても良く、或いは、ガイド縁部に係止ピンを嵌入させる底側凹部を設け、揺動部に係止ピンを包囲する蓋側凹部を設けることにより構成しても良い。
【0009】
好ましい実施形態において、前記アームのガイド縁部とロック部材の揺動部は、相互の離間距離を前記凹部に向けて次第に狭めるガイド進入路を形成し、開脚位置に向けて移動する係止ピンを前記ガイド進入路に進入させたとき、係止ピンにより押動される揺動部が開閉スプリングに抗して開姿勢とされるように構成している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業台に新しいタイプのロック装置を提供することができる。天板2と脚体3の相互において、一方に固設された係止ピン6と、他方に回動自在に軸着されたアーム7を設け、脚体3を開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で旋回したとき、アーム7を係止ピン6に当接させながら脚体3の旋回動作に追従させ、アーム7と係止ピン6の相対位置が特定の位置関係とされたとき、係止ピン6を係脱自在にロックするロック手段8をアーム7に設けているので、脚体3を閉脚姿勢P2から開脚姿勢P1まで旋回したとき、係止ピン6がアーム7に対して自動的に係止され、脚体3を旋回不能とするための自動ロックが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の1実施形態に係るロック装置を備えた作業台の1例を示す斜視図である。
【
図2】作業台を示しており、(A)は脚体を開脚姿勢とした作業台の正面図、(B)は脚体を閉脚姿勢とした作業台の正面図である。
【
図3】第1実施形態に係るロック装置を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に関して、(A)はロック装置を分解状態で示す斜視図、(B)(C)はアームに軸支されたロック部材の動作を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態に係るロック装置に関して、係止ピンとアームとロック手段の関係を示す正面図である。
【
図6】脚体を開脚姿勢から閉脚姿勢とする作用に関して、(A)はロック状態を示す正面図、(B)はロック解除状態を示す正面図である。
【
図7】脚体を開脚姿勢から閉脚姿勢とする作用に関して、(A)はロック解除状態からアームを押上げた状態を示す正面図、(B)はアームを押上げた状態でロック部材を復帰させた状態を示す正面図である。
【
図8】脚体を開脚姿勢から閉脚姿勢とする作用に関して、(A)はロック解除状態でアームを復帰させた状態を示す正面図、(B)はその状態で脚体を閉脚姿勢に向けて旋回させた状態を示す正面図である。
【
図9】脚体を開脚姿勢から閉脚姿勢とする作用に関して、(A)は脚体を閉脚姿勢に向けて旋回中の状態を示す正面図、(B)は脚体を閉脚姿勢とした状態を示す正面図である。
【
図10】脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢とする作用に関して、(A)は脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢に向けて旋回した状態を示す正面図、(B)は脚体の旋回中に係止ピンがロック部材のガイド進入路に進入した状態を示す正面図である。
【
図11】脚体を閉脚姿勢から開脚姿勢とする作用に関して、(A)は脚体の旋回中に係止ピンがロック部材の揺動部を開姿勢とした状態を示す正面図、(B)はロック部材により自動ロックされた状態を示す正面図である。
【
図12】第2実施形態に係るロック装置を示しており、(A)は脚体を開脚姿勢としてロック装置によりロックした状態を示す正面図、(B)はロック解除状態で脚体を閉脚姿勢に向けて旋回中の状態を示す正面図、(C)は脚体を閉脚姿勢とした状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0013】
(作業台の1例)
本発明のロック装置を実施するための作業台は、建設現場等において高所作業のために使用される種々の形式のものを広く含む汎用の作業台であり、従って、その形状や大きさを特に限定するものではないが、その1例を
図1及び2に示している。
【0014】
図例の場合、作業台1は、天板2の両端部に位置して、相互に対向する一対の脚体3、3を設け、脚体3を天板2から下向きとして垂設させた開脚姿勢P1と、天板2の下側に格納させた閉脚姿P2の間で、姿勢変更自在とする枢結機構4を設けている。各脚体3は、一対の柱脚3a、3aを踏桟3bにより連結した梯子脚を構成しており、一対の柱脚3a、3aの上端部と、天板2の両端部の側部との間に、それぞれ枢結機構4が介設されており、該枢結機構4にロック装置5が設けられている。
【0015】
ロック装置5は、脚体3を開脚姿勢P1とした状態で旋回不能にロックするものであり、全ての枢結機構4に設けても良いが、各脚体3を構成する一対の柱脚3a、3aに設けられた一対の枢結機構4、4の一方にだけ設けても良い。
【0016】
図3ないし
図5に示すように、枢結機構4は、天板4の端部の側面に固設される天板側ブラケット4aと、脚体3の柱脚3aの上端部の側面に固設される脚体側ブラケット4bを相互に、枢軸4cにより回動自在に枢結した構成とされ、これにより、脚体3は、枢軸4cを中心軸として、開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で旋回自在となるように枢支されている。
【0017】
(ロック装置の第1実施形態)
ロック装置5の第1実施形態を
図3ないし
図11に示している。
【0018】
図3ないし
図5に示すように、ロック装置5は、天板2と脚体3の相互において、脚体3の側(図例の場合、脚体側ブラケット4b)に固設された係止ピン6と、天板2の側(図例の場合、天板側ブラケット4a)に回動自在に軸着されたアーム7と、該アーム7に設けられたロック手段8により構成されている。
【0019】
前記係止ピン6は、
図5に示すように、脚体3を開脚姿勢P1と閉脚姿勢P2の間で旋回したとき、開脚姿勢P1に対応する開脚位置Q1と閉脚姿勢P2に対応する閉脚位置Q2の間において、枢軸4cから半径R1で規定される円弧に沿って移動させられる。
【0020】
前記アーム7は、支軸9により天板側ブラケット4aに回動自在に軸着された上端部から、脚体側ブラケット4bに向けて延びると共に、アームスプリング10により前記係止ピン6に向けて回動するように弾発付勢され、前記係止ピン6に当接するガイド縁部11を形成しており、該ガイド縁部11の反対側の側縁部を折曲することによりリブ壁12を設けている。
【0021】
前記ガイド縁部11は、
図5に示すように、アーム7の支軸9を中心とする円弧に関して、該円弧内に前記閉脚位置Q2に位置する係止ピン6を含む半径R2を有するアーム縁部の領域に形成されている。図例の場合、半径R2で規定される円弧が閉脚位置Q2に位置する係止ピン6の中心を通過するものとされ、ガイド縁部11が該円弧の内側に位置している。そして、ガイド縁部11は、内側に向けて前記半径R1で規定された円弧に交わる位置まで弧を描いて延びるように形成されている。
【0022】
そこで、脚体3を閉脚姿勢P2から開脚姿勢P1に向けて旋回したとき、係止ピン6は、閉脚位置Q2から開脚位置Q1に向けて移動する。後述するように、係止ピン6は、アームスプリング10により弾発付勢されたアーム7のガイド縁部11に沿って当接状態で摺動し、開脚位置Q1に移動させられたとき、ロック手段8により掴持され、これにより脚体3を開脚姿勢P1の状態で旋回不能にロックする。
【0023】
前記ロック手段8は、
図4に示すように、アーム7の延長方向の中間部に支軸13を介して回動自在に軸支されたロック部材14により構成されている。該ロック部材14は、先端部に位置して前記ガイド縁部11に対して後退した開姿勢K1と前進した閉姿勢K2の間で揺動自在とされる揺動部15を設けており、該揺動部15を閉姿勢K2に向けて弾発付勢する開閉スプリング16を設けている。
【0024】
前記ロック部材14は、開閉スプリング16により揺動部15を閉姿勢K2とした状態で、前記アーム7のリブ壁12に当接することにより該閉姿勢K2を保持するストッパ部17を備えている。この状態から、作業者が開閉スプリング16に抗してロック部材14を回動させると、揺動部15が開姿勢K1とされるように構成されており、このため、ロック部材14を作業者の指先等で押動するための舌片18が設けられている。
【0025】
ロック部材14の揺動部15を閉姿勢K2とした状態で、
図4(B)及び
図5に示すように、揺動部15とガイド縁部11の縁部の相互により、ほぼV形の進入路19が形成されている。
図5に示すように、脚体3を開脚姿勢P1とした状態で、前記進入路19は、係止ピン6の移動軌跡となる半径R1の円弧と、アーム7の支軸9を中心とする半径R3(R3<R2)により規定される円弧との交点に位置するロック開始位置Q3に臨むように配置されている。
【0026】
そこで、後述するように、脚体3を閉脚姿勢P2から開脚姿勢P1に向けて旋回することにより係止ピン6を閉脚位置Q2から開脚位置Q1に向けて移動したとき、係止ピン6は、ガイド縁部11を摺動しながら進入路19に進入し、V形の進入路19を押し広げながら揺動部15を押動する。
【0027】
係止ピン6に押動された揺動部15は、開閉スプリング16に抗して開姿勢K1とされ、該揺動部15とガイド縁部11の間に係止ピン6を受入れ、受入れ後は、瞬時に開閉スプリング16により閉姿勢K2とされ、係止ピン6を掴持する。
【0028】
前記係止ピン6の掴持を確実に行わせるためには、ガイド縁部11と揺動部15の少なくとも一方に、係止ピン6を嵌入係止させる凹部を設けることが好ましく、図示実施形態の場合、ガイド縁部11に底側凹部20を設けると共に、揺動部15に蓋側凹部21を設けている。従って、このように構成した場合、ガイド縁部11に沿って進入路19に進入する係止ピン6は、揺動部15を開姿勢K1に向けて押動しながら、底側凹部20に嵌入される。嵌入後は、直ちに揺動部15が閉姿勢K2とされ、蓋側凹部21により係止ピン6を包囲し、脱出不能にロックする。
【0029】
ロック部材14は、
図4(B)及び
図5に示すように、揺動部15を閉姿勢K2としたとき、前記底側凹部20と蓋側凹部21を対向させることにより全体として係止ピン6の周囲を抱持する円形孔を形成し、この状態で、ロック部材14の背縁部(凹部21の反対側に位置する縁部)により、後述するように脚体3を閉脚方向に旋回するときに、係止ピン6を当接させるための当接縁部22が形成されている。
【0030】
(作用)
以下、第1実施形態に係るロック装置の作用を説明する。図中、黒塗りの矢印は、アームスプリング10の弾発付勢力によるアーム7の正転方向と、開閉スプリング16の弾発付勢力によるロック部材14の正転方向を示しており、白抜きの矢印は、アーム7及びロック部材14がそれぞれのスプリングに抗して逆転させられたときの方向を示している。
【0031】
(開脚姿勢から閉脚するときの作用)
図6ないし
図9は、脚体3が開脚姿勢P1とされロック装置5により旋回不能にロックされた状態から、ロックを解除して、閉脚姿勢P2とするまでの作用を示している。
【0032】
図6(A)は、開脚姿勢P1とされた脚体3の係止ピン6がロック手段8によりロックされた状態を示している。ロックを解除するためには、
図6(B)に示すように、作業者の手指等で舌片18を押動することにより、ロック部材14を開閉スプリング16に抗して回動させ、揺動部15を開姿勢K1とする。揺動部15を開姿勢K1としたまま手指等による押動を続けると、
図7(A)に示すように、アーム7が持ち上げ方向に回動され、開姿勢K1とされたロック部材14の揺動部15を係止ピン6の上方位置まで移動する。そこで、作業者の指先等を解放すると、
図7(B)に示すように、ロック部材14が揺動部15を閉姿勢K2とするように回動すると共に、
図8(A)に示すように、アーム7がアームスプリング10により係止ピン6に向けて回動され、ロック部材14の当接縁部22を係止ピン6に当接した状態で停止する。
【0033】
従って、
図8(A)に示す状態でロック装置5のロックは解除されているので、以後は、係止ピン6と共に脚体3を閉脚姿勢P2に向けて旋回すれば良い。
【0034】
図8(B)及び
図9(A)に示すように、脚体3を閉脚姿勢P2に向けて旋回し、係止ピン6を閉脚位置Q2に向けて移動させているとき、アーム7は、アームスプリング10により、係止ピン6に追従して回動する。
図8(B)の状態では、ロック部材14の当接縁部22を係止ピン6に当接した状態でアーム7が係止ピン6の移動に追従しているが、その後、係止ピン6が更に移動すると、ガイド縁部11を係止ピン6に当接させることにより、アーム7の追従が行われる。従って、脚体3を閉脚姿勢P2に向けて旋回している間、アーム7を含むロック装置5の構成部品がガタツキを生じるようなことはなく、スムースな旋回動作を行うことができる。この際、比較的強いバネ力を有するアームスプリング10を使用しておけば、アーム7が係止ピン6を閉脚位置Q2に向けて移動させる駆動力を発生することができるので、作業者が脚体3を閉脚姿勢P2に向けて旋回する際に必要な腕力を軽減することが可能となる。
【0035】
図9(B)に示すように、脚体3を閉脚姿勢P2としたとき、係止ピン6は、枢軸4cの下方の閉脚位置Q2に位置し、この状態で、矢印Fで示すように、アーム7による横向きの押圧力を受けている。従って、脚体3の閉脚姿勢P2が保持され、脚体3が自重で開脚方向に回動することはない。
【0036】
(閉脚姿勢から開脚するときの作用)
図10及び
図11は、脚体3が閉脚姿勢P2とされた状態から、開脚姿勢P1に向けて旋回したとき、開脚姿勢P1に至るや否やロック装置5により自動ロックされる作用を示している。
【0037】
図10(A)は、脚体3を鎖線で示す閉脚姿勢P2から下向きに旋回させた状態を示している。図示のように、脚体3と共に係止ピン6が枢軸4cの廻りに移動し、係止ピン6は、アーム7のガイド縁部11を押圧しながら摺動するので、これによりアーム7がアームスプリング10に抗して回動させられる。
【0038】
図10(B)に示すように、枢軸4cを支点とする脚体3の旋回と共に移動する係止ピン6は、アーム7のガイド縁部11に沿って摺動しつつ上記のロック開始位置Q3に向けて移動し、進入路19に進入する。脚体3を開脚姿勢P1に向けて旋回し続けると、
図11(A)に示すように、係止ピン6は、ガイド縁部11を押圧することによりアーム7をアームスプリング10に抗して回動させながら、同時に、ロック部材14の揺動部15を開姿勢K1に向けて押動し、開状態とされた底側凹部20に嵌入される。
【0039】
上述のように、係止ピン6が底側凹部20に嵌入されるや否や、瞬時に揺動部15が閉姿勢K2とされ、蓋側凹部21により係止ピン6を包囲することにより、脱出不能にロックする。これにより、
図11(B)に示すように、脚体3は、開脚姿勢P1の状態で旋回不能にロックされる。
【0040】
(ロック装置の第2実施形態)
図12は、ロック装置5の第2実施形態を示している。
【0041】
上述した第1実施形態においては、係止ピン6を脚体3(脚体側ブラケット4b)に設け、アーム7を天板2(天板側ブラケット4a)に軸着した構成としたロック装置5を示したが、第2実施形態は、係止ピン6とアーム7を相互に反対側に入れ替えて配置することによりロック装置5を構成している。従って、配置形態だけが相違し、具体的構成部材は第1実施形態と同様であり、同一部材を同一符号で示している。
【0042】
脚体3を開脚姿勢P1としたとき、
図12(A)に示すように、天板2(図示省略した天板側ブラケット)に固設された係止ピン6に対して、脚体3(図示省略した脚体側ブラケット)に回動自在に軸着したアーム7が上から下に向けて弾発付勢され、ロック部材14により構成されたロック手段8により係止ピン6を掴持している。従って、脚体3は、旋回不能にロックされている。
【0043】
第1実施形態の場合と同様にロック部材14を回動させることによりロックを解除すると、脚体3は、
図12(B)に示すように、閉脚姿勢P2に向けて旋回することができ、旋回中、アーム7は、ガイド縁部11を係止ピン6に当接した状態で、脚体3と共に転回させられ、
図12(C)に示すように、脚体3を閉脚姿勢P2とすることができる。
【0044】
脚体3を閉脚姿勢P2から開脚姿勢P1に向けて旋回するときは、前記とは反対に、
図12(C)、
図12(B)、
図12(A)の順で、脚体3を旋回することにより、アーム7のガイド縁部11を係止ピン6に弾接した状態で摺動させながら転回させ、進入路19に進入する係止ピン6を第1実施形態の場合と同様の方法で自動ロックする。
【符号の説明】
【0045】
1 作業台
2 天板
3 脚体
3a 柱脚
3b 踏桟
4 枢結機構
4a 天板側ブラケット
4b 脚体側ブラケット
4c 枢軸
5 ロック装置
6 係止ピン
7 アーム
8 ロック手段
9 支軸
10 アームスプリング
11 ガイド縁部
12 リブ壁
13 支軸
14 ロック部材
15 揺動部
16 開閉スプリング
17 ストッパ部
18 舌片
19 進入路
20 底側凹部
21 蓋側凹部
22 当接縁部