(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】旋動式破砕機用原料供給装置
(51)【国際特許分類】
B02C 2/04 20060101AFI20221228BHJP
B01J 4/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B02C2/04 A
B01J4/00 105A
B01J4/00 105E
(21)【出願番号】P 2018205069
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮田 真吾
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特公昭58-013219(JP,B1)
【文献】特開2003-144947(JP,A)
【文献】特開2004-136254(JP,A)
【文献】実開昭57-021034(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0194483(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 1/00-25/00
B01J 4/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋動式破砕機の上方に縦向きに配置され、原料を投入される円筒状の旋回シュートを備え、前記旋回シュートはその軸心に対して水平面内で非対称に排出口が形成されており、前記旋回シュートをその軸心のまわりに回転させることにより、前記旋回シュートの排出口から前記旋動式破砕機の破砕室へ原料を供給する原料供給装置において、
前記旋回シュートの回転速度を、前記排出口の回転方向位置に対応して
、単位時間あたりの原料供給量が多くなる区間では回転速度を上げ、単位時間あたりの原料供給量が少なくなる区間では回転速度を下げるように周期的に変化させるようになっていることを特徴とする旋動式破砕機用原料供給装置。
【請求項2】
前記旋回シュートの外周部に取り付けられる検出体と、前記旋動式破砕機の上部に固定され、前記旋回シュートの排出口が所定の回転方向位置にあるときに前記検出体の接近を感知するセンサとを備え、前記センサによる検出体の接近の感知を契機として、前記旋回シュートの回転速度を周期的に変化させることを特徴とする請求項1に記載の旋動式破砕機用原料供給装置。
【請求項3】
前記旋回シュートの外周に沿って延びる状態で前記旋回シュートに取り付けられる円弧状のレールと、前記レールと接触した状態で回転する駆動ローラとで前記旋回シュートを回転駆動する駆動機構を複数備え、
前記複数の駆動機構は、それぞれの駆動ローラが前記旋回シュートの周方向の同一位置に配されるとともに、それぞれのレールが前記旋回シュートの周方向の互いに異なる領域に配され、前記旋回シュートを互いに異なる回転速度で回転駆動するものであることを特徴とする請求項1に記載の旋動式破砕機用原料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋動式破砕機の上方に配置された旋回シュートを回転させることにより、旋動式破砕機の破砕室へ原料を分散させて供給する原料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、骨材生産設備等で使用される旋動式破砕機(以下、単に「破砕機」とも称する。)の一例を示す。この破砕機10は、縦置きの筒状ケーシング11の内部に鉛直軸まわりに回転駆動される回転軸12を配し、その回転軸12の偏心した傾斜孔(図示省略)に主軸13の下半部を嵌め込んで、主軸13の上半部に略円錐台状のマントルコア14を装着し、マントルコア14の上面に固定されるマントルライナ15とケーシング11の内壁に固定されるコーンケーブ16との間に破砕室17を形成したもので、ケーシング11の上端部には原料を受け入れるホッパ18が取り付けられている。そして、その回転軸12を回転駆動して主軸13を旋動回転させることにより、破砕機10の上方からホッパ18を介して破砕室17に供給される被破砕物を、主軸13と一体に旋動回転するマントルライナ15とコーンケーブ16とで破砕するようになっている。
【0003】
上記のような破砕機では、通常、その上方に設置された旋動式破砕機用原料供給装置(以下、単に「原料供給装置」とも称する。)から被破砕物としての原料を供給されるようになっている。
図8は原料供給装置の使用状態の一例を示す。
【0004】
この
図8の原料供給装置51は、破砕機10のホッパ18の上端に固定された環状の取付ベース52と、取付ベース52の内周側(破砕機10の上方)に縦向きに配置される円筒状の旋回シュート53と、取付ベース52上で水平面内で回転自在に支持され、旋回シュート53の外周面を案内する複数の横ローラ54と、取付ベース52上で鉛直面内で回転自在に支持され、旋回シュート53の上部に設けられた鍔部53aの下面を支持する複数の縦ローラ55と、縦ローラ55の1つを回転駆動するモータ56と備えている。
【0005】
前記旋回シュート53は、その下端の周方向の一部から径方向内側の下方に向かって傾斜する傾斜板53bを有しており、軸心に対して水平面内で非対称に排出口53cが形成されている。そして、前記モータ56で縦ローラ55の1つを介して旋回シュート53をその軸心のまわりに回転させることにより、旋回シュート53の傾斜板53bが旋回し、上方のベルトコンベヤCから投入された原料の一部を傾斜板53bで排出口53cへ案内して、直接排出口53cへ向かって落下する原料とともに、排出口53cから破砕機10のホッパ18を介して破砕室17へ供給するようになっている。
【0006】
ところで、
図8に示すように、原料供給装置51に原料を投入するベルトコンベヤCは、通常、その排出端が破砕機10の回転軸心から外れるように設置される。これは、破砕機10のマントルライナ15やコーンケーブ16の交換の際に、そのマントルライナ15やコーンケーブ16をクレーン等で真上に持ち上げられるようにするためである。このため、旋回シュート53の回転方向位置によって原料が旋回シュート53を通過する時間に差が生じ、原料供給装置51から破砕機10の破砕室17への原料供給が周方向で不均一になるという問題があった。
【0007】
すなわち、
図9(a)に示すように、ベルトコンベヤCの排出端から旋回シュート53に投入される原料の流れ方向と旋回シュート53の傾斜板53b上の原料の流れ方向とが水平面内で同方向の場合、旋回シュート53の傾斜板53b上に落下した原料は、旋回シュート53の排出口53cへ直接落下した原料とほぼ同じ速度でスムーズに破砕機10へ供給される。これに対して、
図9(b)に示すように、旋回シュート53に投入される原料の流れ方向と傾斜板53b上の原料の流れ方向とが水平面内で逆方向の場合、傾斜板53b上に落下した原料は、落下方向が大きく変えられることにより、落下速度が
図9(a)の場合に比べて小さくなる。その結果、旋回シュート53の回転中に破砕機10に供給される原料は、
図9(a)の状態から
図9(b)の状態になるときは減少していき、
図9(b)の状態から
図9(a)の状態になるときは増加していくことになり、破砕機10の破砕室17への原料供給が周方向で不均一になる。
【0008】
そして、このように破砕機10の破砕室17への原料供給に周方向の偏りが生じると、マントルライナ15およびコーンケーブ16が偏摩耗するため、破砕室17出口の隙間が周方向で不均一となって原料破砕後に得られる製品の粒度が不均一になるし、マントルライナ15やコーンケーブ16の交換時期を早めてしまうことになる。
【0009】
これに対し、例えば特許文献1では、破砕機の運転中に原料供給装置の旋回シュートの回転方向と回転速度を定期的に変えることにより、破砕機の破砕室に対して原料が多く供給される位置を移動させて、破砕室への原料供給の周方向での均一化を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1で提案されている旋回シュートでは、回転方向の切換えは旋回シュートを駆動するモータに取り付けられた切換スイッチで行い、回転速度の変更はモータと旋回シュートの間の減速機に取り付けられたハンドルの操作によって行うようになっているので、頻繁に回転方向や回転速度を変えようとすると作業者の負荷が大きくなるし、破砕機の破砕室に対して原料を多く供給する位置を細かく制御することは難しく、結果として、破砕室への原料供給を周方向で十分に均一化することができなくなるおそれがある。
【0012】
そこで、本発明は、旋動式破砕機の破砕室への原料供給を周方向で確実に均一化することができる原料供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、旋動式破砕機の上方に縦向きに配置され、原料を投入される円筒状の旋回シュートを備え、前記旋回シュートはその軸心に対して水平面内で非対称に排出口が形成されており、前記旋回シュートをその軸心のまわりに回転させることにより、前記旋回シュートの排出口から前記旋動式破砕機の破砕室へ原料を供給する原料供給装置において、前記旋回シュートの回転速度を、前記排出口の回転方向位置に対応して周期的に変化させるようになっている構成を採用した。
【0014】
上記の構成によれば、旋回シュートが1回転する(排出口が1周する)間に、単位時間あたりの原料供給量が多くなる区間では回転速度を上げ、単位時間あたりの原料供給量が少なくなる区間では回転速度を下げるようにして、旋動式破砕機の破砕室への原料供給を周方向で均一化することができる。
【0015】
具体的には、前記旋回シュートの外周部に取り付けられる検出体と、前記旋動式破砕機の上部に固定され、前記旋回シュートの排出口が所定の回転方向位置にあるときに前記検出体の接近を感知するセンサとを備え、前記センサによる検出体の接近の感知を契機として、前記旋回シュートの回転速度を周期的に変化させる構成を採用することができる。
【0016】
あるいは、前記旋回シュートの外周に沿って延びる状態で前記旋回シュートに取り付けられる円弧状のレールと、前記レールと接触した状態で回転する駆動ローラとで前記旋回シュートを回転駆動する駆動機構を複数備え、前記複数の駆動機構は、それぞれの駆動ローラが前記旋回シュートの周方向の同一位置に配されるとともに、それぞれのレールが前記旋回シュートの周方向の互いに異なる領域に配され、前記旋回シュートを互いに異なる回転速度で回転駆動するものである構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の旋動式破砕機用原料供給装置は、上述したように、旋回シュートの回転速度を排出口の回転方向位置に対応して周期的に変化させることにより、破砕機の破砕室への原料供給を周方向で確実に均一化できるようにしたものであるから、破砕機の破砕室を形成するマントルライナおよびコーンケーブの偏摩耗を防止することができる。その結果、破砕機の製品粒度の均一化、およびマントルライナやコーンケーブの交換時期の延長を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態の原料供給装置の使用状態の縦断正面図
【
図3】a、bは、それぞれ
図1の原料供給装置の動作を説明する縦断正面図
【
図4】
図1の原料供給装置のセンサ配置の変形例を示す要部の縦断正面図
【
図7】一般的な旋動式破砕機の一例を示す縦断正面図
【
図9】a、bは、それぞれ
図8の原料供給装置の動作を説明する縦断正面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、
図1乃至
図6に基づき、本発明の実施形態を説明する。
図1乃至
図3は第1実施形態を示す。この第1実施形態の旋動式破砕機用原料供給装置1の基本的な構成は、
図1に示すように、前述の
図8に示した従来のものと同じである。
【0020】
すなわち、この原料供給装置1は、破砕機10のホッパ18の上端に固定された環状の取付ベース2と、取付ベース2の内周側(破砕機10の上方)に縦向きに配置される円筒状の旋回シュート3と、取付ベース2上で水平面内で回転自在に支持され、旋回シュート3の外周面を案内する複数の横ローラ4と、取付ベース2上で鉛直面内で回転自在に支持され、旋回シュート3の上部に設けられた鍔部3aの下面を支持する複数の縦ローラ5と、縦ローラ5の1つを回転駆動するモータ6と備えている。
【0021】
前記旋回シュート3は、その下端の周方向の一部から径方向内側の下方に向かって傾斜する傾斜板3bを有しており、軸心に対して水平面内で非対称に排出口3cが形成されている。そして、前記モータ6で縦ローラ5の1つを介して旋回シュート3をその軸心のまわりに回転させることにより、旋回シュート3の傾斜板3bが旋回し、上方のベルトコンベヤCから投入された原料の一部を傾斜板3bで排出口3cへ案内して、直接排出口3cへ向かって落下する原料とともに、排出口3cから破砕機10のホッパ18を介して破砕室17へ供給するようになっている。また、ベルトコンベヤCはその排出端が破砕機10の回転軸心から外れるように設置されている。
【0022】
この原料供給装置1の従来のものとの構造上の違いは、
図1および
図2に示すように、取付ベース2の上面に互いに高さの異なる2本の取付柱7a、7bが立設され、各取付柱7a、7bの上端部に非接触式の近接センサ8a、8bが取り付けられるとともに、旋回シュート3の鍔部3aの外周縁部に互いに高さの異なる2つの金属片が検出体9a、9bとして取り付けられている点にある。また、図示は省略するが、取付ベース2には、各近接センサ8a、8bからの信号に基づいて、インバータを介してモータ6の出力制御を行う制御盤が設けられている。なお、近接センサ8a、8bは、種々の方式のものを使用できるが、この実施形態では誘導型のものを使用している。
【0023】
前記2本の取付柱7a、7bは、高い方の取付柱7aがベルトコンベヤCの排出端の下方に設けられ、これと旋回シュート3の軸心を挟んで対向する位置に低い方の取付柱7bが設けられている。また、2つの検出体9a、9bも、旋回シュート3の軸心を挟んで互いに対向する位置に設けられている。そして、一方の検出体9aの高さはベルトコンベヤC側の取付柱7aへの近接センサ8a取付位置に対応し、他方の検出体9bの高さはベルトコンベヤCと反対側の取付柱7bへの近接センサ8b取付位置に対応している。
【0024】
これにより、
図1、
図2および
図3(b)の状態、すなわち旋回シュート3の左半分(ベルトコンベヤC側)に排出口3c全体が位置するときには、ベルトコンベヤC側の近接センサ8aが高い方の検出体9aの接近を感知すると同時に、ベルトコンベヤCと反対側の近接センサ8bが低い方の検出体9bの接近を感知する一方、
図3(a)の状態、すなわち旋回シュート3の右半分(ベルトコンベヤCと反対側)に排出口3c全体が位置するときには、ベルトコンベヤC側の近接センサ8aは低い方の検出体9bの接近を感知できず、ベルトコンベヤCと反対側の近接センサ8bのみが高い方の検出体9aの接近を感知するようになっている。
【0025】
そして、各近接センサ8a、8bの少なくとも一方が検出体9a、9bの接近を感知したとき(ONとなったとき)に、そのON信号を前記制御盤へ送信し、制御盤がそのON信号に基づいてモータ6を制御することにより、旋回シュート3の回転速度を周期的に変化させることができるようになっている。
【0026】
次に、この原料供給装置1の旋回シュート3回転中の具体的な動作について説明する。まず、
図3(a)の状態では、ベルトコンベヤCの排出端から旋回シュート3に投入される原料の流れ方向と旋回シュート3の傾斜板3b上の原料の流れ方向とが水平面内で同方向となるので、単位時間あたりの原料供給量が最も多くなり、
図3(b)の状態では、旋回シュート3に投入される原料の流れ方向と傾斜板3b上の原料の流れ方向とが水平面内で逆方向となるので、単位時間あたりの原料供給量が最も少なくなる。
【0027】
ここで、前述のように、旋回シュート3回転中に
図3(a)の状態になったときは一方(ベルトコンベヤCと反対側)の近接センサ8bのみが検出体9aの接近を感知し(ONとなり)、
図3(b)の状態になったときは両方の近接センサ8a、8bがそれぞれ検出体9a、9bの接近を感知する(ONとなる)。したがって、一方の近接センサ8bのみがONとなった時点で、単位時間あたりの原料供給量が増加から減少に転じ、両方の近接センサ8a、8bがONとなった時点で、単位時間あたりの原料供給量が減少から増加に転じることになる。
【0028】
そこで、この原料供給装置1では、一方の近接センサ8bのみがONとなったときから旋回シュート3の回転速度を上げていき、両方の近接センサ8a、8bがONになると旋回シュート3の回転速度を下げていくようにモータ6を制御している。
【0029】
これにより、旋回シュート3が1回転する(排出口3cが1周する)間に、単位時間あたりの原料供給量が多くなる区間では旋回シュート3の回転速度が高くなり、単位時間あたりの原料供給量が少なくなる区間では旋回シュート3の回転速度が低くなるように調整できるので、破砕機10の破砕室17への原料供給を周方向で均一化することができる。
【0030】
この原料供給装置1は、上述したように、旋回シュート3の回転速度を排出口3cの回転方向位置に対応して周期的に変化させることにより、破砕機10の破砕室17への原料供給を周方向で確実に均一化できるようにしたので、破砕機10の破砕室17を形成するマントルライナ15およびコーンケーブ16の偏摩耗を防止することができる。
【0031】
また、従来のものとの構造上の違いは、近接センサ8a、8bや検出体9a、9b等、比較的小さな部品が設置されているだけなので、既設の原料供給装置からの改造も容易に行うことができる。
【0032】
図4は第1実施形態のセンサ配置の変形例を示す。この変形例は、2本の取付柱7a、7bの高さを同じにして、各取付柱7a、7bの上端から旋回シュート3の軸心に向かって延びる腕の先端部の下面にそれぞれ近接センサ8a、8bを取り付け、旋回シュート3の上端の外周部に、互いに長さが異なる検出体9a、9bを旋回シュート3の径方向に延びる姿勢で取り付けている。そのベルトコンベヤC側の近接センサ8aは、ベルトコンベヤCと反対側の近接センサ8bよりも旋回シュート3に近い位置に配置されており、一方の検出体9aの長さはベルトコンベヤC側の近接センサ8aの位置に対応し、他方の検出体9bの長さはベルトコンベヤCと反対側の近接センサ8bの位置に対応している。
【0033】
すなわち、この変形例でも、旋回シュート3が1回転する(排出口3cが1周する)間に、両方の近接センサ8a、8bが同時に検出体9a、9bの接近を感知する状態(
図4の状態)と、ベルトコンベヤC側の近接センサ8aのみが長い方の検出体9bの接近を感知する状態が生じるようになっている。したがって、
図1乃至
図3の例と同様に、各近接センサ8a、8bが検出体9a、9bの接近を感知したときに発信する信号に基づいて、旋回シュート3の回転速度を周期的に変化させる制御を行うことができる。
【0034】
上述した第1実施形態では、取付ベース2上に2つの非接触式の近接センサ8a、8bを設置し、旋回シュート3に2つの検出体9a、9bを取り付けたが、近接センサおよび検出体の配置は、いずれも必ずしも実施形態のように旋回シュートの軸心を挟んで対向するようにしなくてもよい。また、近接センサおよび検出体の数はそれぞれ1つ以上であればよいが、近接センサと検出体が1つずつの場合は、旋回シュートの増速開始タイミングと減速開始タイミングのいずれかをセンサONからのタイマーで行うことが必要になる。また、近接センサが1つで検出体が複数の場合には、一度検出体の接近の感知ができないと旋回シュートの速度変更点がずれてしまうおそれがある。すなわち、複数の近接センサと複数の検出体を用いた制御を行う方が、細かな速度調整が可能となり、より均一な原料供給動作が安定して得られるので好ましい。なお、旋回シュートの回転速度の平均値や速度変更点は、原料の大きさや種類によって個々に調整することができる。
【0035】
また、検出体の旋回シュートへの取付位置は、旋回シュートの外周部で他の部位と干渉しない位置であればよく、近接センサの設置場所は、実施形態のような破砕機上端部の取付ベース上に限らず、検出体の接近を感知できるように固定できる位置であればよい。
【0036】
なお、近接センサは、接触式のもの(例えば、レバー式、押しボタン式等のリミットスイッチ)を用いることもできるが、その摩耗によるデメリットを考慮すると、実施形態のように非接触式のものを用いることが望ましい。
【0037】
また、旋回シュートの回転速度を周期的に変える手段としては、実施形態のように旋回シュートを回転駆動するモータをインバータを介して制御する方法のほか、モータと旋回シュートの間に設けられる機械式あるいは流体式の変速装置を電気的に制御する方法や、油圧モータを利用する方法を採用することができる。
【0038】
図5および
図6は第2実施形態を示す。この実施形態は、第1実施形態をベースとし、旋回シュート3の回転速度を周期的に変化させるための手段を変更したものである。具体的には、第1実施形態の取付ベース2上の取付柱7a、7b、近接センサ8a、8bおよび検出体9a、9bをなくし、旋回シュート3の鍔部3aの下面に旋回シュート3の外周に沿って延びる2つの円弧状のレール21a、21bを取り付けるとともに、第1実施形態の縦ローラ5の代わりに、各レール21a、21bの下面をそれぞれ支持する縦ローラ5a、5bを設けている。そして、一方のレール21aを支持する縦ローラ5aのうちの一つと、他方のレール21bを支持する縦ローラ5bのうちの一つを、それぞれモータ6に連結して、旋回シュート3の周方向の同一位置でレール21a、21bと接触した状態で回転する駆動ローラとしている。これにより、旋回シュート3は、一方のレール21aと駆動ローラ5aからなる第1の駆動機構と、他方のレール21bと駆動ローラ5bからなる第2の駆動機構によって回転駆動されるようになっている。
【0039】
ここで、2つのレール21a、21bは、円弧の半径が異なり、それぞれ半円よりも僅かに周方向に長く延びるように形成されている。そして、それぞれの円弧半径の中心が旋回シュート3と同心となり、円弧半径の小さい方のレール21aが旋回シュート3の傾斜板3b側に、円弧半径の大きい方のレール21bが旋回シュート3の排出口3c側に位置し、両レール21a、21bの周方向両端部が旋回シュート3の径方向で隣接する状態で配置されている。これにより、旋回シュート3は、その左半分(ベルトコンベヤC側)に排出口3c全体が位置するとき(
図5、
図6の状態)の前後1/4周の間、すなわち単位時間あたりの原料供給量が少なくなる区間では第2の駆動機構によって回転駆動され、それ以外の半周の間、すなわち単位時間あたりの原料供給量が多くなる区間は第1の駆動機構によって回転駆動されることになる。
【0040】
そして、一方(円弧半径の小さい方)のレール21aは他方(円弧半径の大きい方)のレール21bよりも薄く形成され、一方のレール21aを支持する縦ローラ5aは他方のレール21bを支持する縦ローラ5bよりも大径に形成されているので、モータ6の回転速度を一定とすれば、旋回シュート3の回転速度は、第1の駆動機構に回転駆動されるときの方が第2の駆動機構に回転駆動されるときよりも高くなる。
【0041】
すなわち、この第2実施形態でも、単位時間あたりの原料供給量が多くなる区間では旋回シュート3の回転速度が高くなり、時間あたりの原料供給量が少なくなる区間では旋回シュート3の回転速度が低くなるので、第1実施形態と同様、破砕機10の破砕室17への原料供給を周方向で均一化することができ、マントルライナ15やコーンケーブ16の偏摩耗を防止できる。
【0042】
なお、上述した第2実施形態では、円弧状のレールとそのレールの下面を支持する駆動ローラとで旋回シュートを回転駆動する駆動機構を2つ設けたが、駆動機構の数は3つ以上としてもよい。また、その複数の駆動機構は、第2実施形態のものに限らず、レールが旋回シュートの周方向の互いに異なる領域に配され、旋回シュートを互いに異なる回転速度で回転駆動するようになっていればよい。
【符号の説明】
【0043】
1 原料供給装置
2 取付ベース
3 旋回シュート
3c 排出口
4 横ローラ
5、5a、5b 縦ローラ
6 モータ
7a、7b 取付柱
8a、8b 近接センサ
9a、9b 検出体(金属片)
10 破砕機
15 マントルライナ
16 コーンケーブ
17 破砕室
21a、21b レール