(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】アナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路
(51)【国際特許分類】
G08C 25/00 20060101AFI20221228BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20221228BHJP
G08C 19/02 20060101ALN20221228BHJP
【FI】
G08C25/00 F
G01R19/00 B
G08C25/00 E
G08C19/02 A
(21)【出願番号】P 2018214205
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】10 2017 126 754.9
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518050263
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Pilz GmbH & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイル,リヒャルト
(72)【発明者】
【氏名】ハレル,ベルント
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-122836(JP,A)
【文献】国際公開第2009/155993(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 25/00
G01R 19/00
G08C 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサ(1.1)のアナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路(2)であって、
センサ(1.1)が接続可能な、第1入力端子(16)および第2入力端子(17)と、
第1入力端子(16)に接続され、電流測定装置(10a,20a)を有する第1電流-測定信号変換器(2.1)とを含み、該電流測定装置は、入力回路(2)の動作中、アナログ入力信号から第1出力信号を決定するように構成されてなる、入力回路(2)において、
入力回路(2)は、
限流装置(18,19)であって、第1電流-測定信号変換器(2.1)内に形成され、動作中、第1電流-測定信号変換器(2.1)を流れる最大電流を制限するように構成された限流装置(18,19)と、
少なくとも1つの第2電流-測定信号変換器(2.2)であって、第2入力端子(17)に接続され、電流測定装置(10b,20b)を有し、入力回路(2)の動作中、アナログ入力信号から第2出力信号を決定するように構成され、第1電流-測定信号変換器(2.1)と第2電流-測定信号変換器(2.2)とは、電気的に直列に接続された、第2電流-測定信号変換器(2.2)と、
検査装置(30)であって、2つの電流-測定信号変換器(2.1,2.2)に接続され、出力信号間の偏差が、予め定めた、または予め定めることが可能である閾値を越える場合、電流-測定信号変換器(2.1,2.2)の欠損を検出するために、第1出力信号を第2出力信号と比較するように構成された検査装置と、
を備えることを特徴とする入力回路(2)。
【請求項2】
各電流測定装置(10a,20a,10b,20b)は、シャント抵抗器(10.1,10.2,20.1,20.2)と、それに並列に接続された増幅
器を、シャント抵抗器(10.1,10.2,20.1,20.2)を介して降下する電圧の測定と増幅のために備えていることを特徴とする、請求項1に記載の入力回路(2)。
【請求項3】
増幅器は、オペアンプ(11.1,11.2,21.1,21.2)を含むことを特徴とする請求項2に記載の入力回路(2)。
【請求項4】
限流装置(18,19)は、シリーズレギュレータを形成し、該シリーズレギュレータは、バイポーラトランジスタ(12,22)と、直列抵抗器(14,25)を備えたツェナーダイオード(13,23)とを備えることを特徴とする、請求項1
~3のいずれか1項に記載の入力回路(2)。
【請求項5】
バイポーラトランジスタ(12,22)は、エミッタフォロワとして接続されることを特徴とする、請求項
4に記載の入力回路(2)。
【請求項6】
バイポーラトランジスタ(12,22)は、エミッタとコレクタとを備え、それらの間には、抵抗(26)が、入力回路(2)における過電圧の場合に電力損失を受け入れるために設けられていることを特徴とする、請求項
4または
5に記載の入力回路(2)。
【請求項7】
入力回路(2)の第1入力端子(16)とバイポーラトランジスタ(12,22)のエミッタとの間に、限界電流を規定するための抵抗器(24)が設けられていることを特徴とする、請求項
6に記載の入力回路(2)。
【請求項8】
入力回路(2)は、限流装置(18,19)の機能を試験することが可能であるように構成される試験装置(15,27)を有することを特徴とする、請求項1~
7のいずれか1項に記載の入力回路(2)。
【請求項9】
試験装置(15,27)は、入力回路(2)の、第1入力端子(16)と第2入力端子(17)との間で降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする、請求項
8に記載の入力回路(2)。
【請求項10】
試験装置(15,27)は、限流装置(18,19)を介して降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする、請求項
8に記載の入力回路(2)。
【請求項11】
試験装置(15,27)は、限流装置(18,19)と第1電流-測定信号変換器(2.1)の電流測定装置(10a,20a)とを介して降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする、請求項
8に記載の入力回路(2)。
【請求項12】
自動作動装置において、ユーザ(7)が安全にスイッチをオフとするためのフェイルセーフスイッチング装置(100)であって、
入力回路(2)であって、アナログセンサ(1.1)のアナログ入力信号をフェイルセーフ読み取りするように、そして、アナログ入力信号を少なくとも1つのアナログ出力信号に変換するように構成されてなる入力回路(2)と、
アナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)であって、入力回路(2)の少なくとも1つの出力信号を少なくとも1つのデジタル信号に変換するように構成されてなるアナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)と、
制御および評価ユニット(4)であって、少なくとも1つのアナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)のデジタル信号を受信して、処理する制御および評価ユニット(4)と、
少なくとも1つのアクチュエータ(6.1,6.2)であって、制御および評価ユニット(4)およびユーザ(7)に接続されて、デジタル信号に依存して制御可能であるアクチュエータ(6.1,6.2)とを含む、フェイルセーフスイッチング装置(100)において、
請求項1~
11のいずれか1項に記載の入力回路(2)が実行されることを特徴とするフェイルセーフスイッチング装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのセンサのアナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路に関し、該入力回路は、センサが接続可能な、第1入力端子および第2入力端子と、第1入力端子に接続され、電流測定装置を有する第1電流-測定信号変換器とを含み、該電流測定装置は、入力回路の動作中、アナログ入力信号から第1出力信号を決定するように構成されてなる。さらにまた、本発明は、自動作動装置において、ユーザが安全にスイッチをオフとするためのフェイルセーフスイッチング装置に関し、該フェイルセーフスイッチング装置は、入力回路であって、アナログセンサのアナログ入力信号をフェイルセーフ読み取りするように、そして、アナログ入力信号を少なくとも1つのアナログ出力信号に変換するように構成されてなる入力回路と、アナログ-デジタル変換器であって、入力回路の少なくとも1つの出力信号を少なくとも1つのデジタル信号に変換するように構成されてなるアナログ-デジタル変換器と、制御および評価ユニットであって、少なくとも1つのアナログ-デジタル変換器のデジタル信号を受信して、処理する制御および評価ユニットと、少なくとも1つのアクチュエータであって、制御および評価ユニットおよびユーザに接続されて、デジタル信号に依存して制御可能であるアクチュエータとを含む。
【背景技術】
【0002】
自動作動装置は、長年にわたり、ますます重要な役割を果たしてきており、広く普及してきている。この意味において、たとえば、工業用生産プロセスにおける自動作動装置、人または物を輸送するための自動作動装置、またはビルオートメーション化技術に利用される装置などが挙げられる。このような技術装置の場合、人または物の損傷防止のための安全性の観点が、ますます重要になる。なぜなら自動作動装置からは、種々の危険が生まれるおそれがあり、これらは特に、誤った操作によって、または、装置が動作しているときの間違いによって起こり得るものである。
【0003】
自動作動装置の安全対策には、たとえば、光電センサ、光バリア、保護フェンスなどによる防護領域装置や、装置(または装置の一部)を安全にオフとすることを可能にする、非常用スイッチの利用などがある。自動作動装置の中心的な構成要素は、通信リンク内のセンサやアクチュエータと、たとえばフィールドバスを介してつながるフェイルセーフスイッチング装置である。フェイルセーフスイッチング装置は、特に、プログラム可能なフェイルセーフコントローラとして構成され得る評価および制御ユニットを備えることが可能である。フェイルセーフスイッチング装置は、デジタル入力信号を受信するためのデジタル入力部に加えて、アナログ入力部であって、それを介して、フェイルセーフスイッチング装置に、センサのアナログ測定信号を供給することが可能であるアナログ入力部を含んでもよい。単に例示であるが、これに代えて、フェイルセーフスイッチング装置に、アナログ測定信号、特に、アナログ電流信号を供給することが可能である、アナログ圧力センサ、温度センサ、速度センサまたは流量センサであってもよい。フェイルセーフスイッチング装置のアナログ入力部に直接接続できるセンサの例としては、エネルギ供給と測定信号が共通のケーブルを介して行われる、いわゆる2線式センサがある。さらにまた、3線式センサと4線式センサも利用される。
【0004】
動作中にセンサによって検出される実際の測定値は、適切な方法でセンサによってレベルに標準化され、したがって、センサは、ある種の信号(たとえば、電流または電圧)と、数値(たとえば、規格EN61131-2:2007に従えば、電流信号の場合0mA~20mA、または電圧信号の場合0V~10V)からなり、フェイルセーフスイッチング装置の入力回路のためのアナログ入力信号を形成する標準化されたアナログ測定信号を出力する。
【0005】
アナログセンサ信号をフェイルセーフスイッチング装置に送信するには、入出力ケーブルと低抵抗入力部を備えた電流インタフェースを使用することが好ましい。これらは、特に、比較的長距離のケーブルであっても干渉に反応しないという特徴がある。電流が0mA(すなわち測定範囲の始まり)においては、電流は流れておらず、したがってセンサはそれを駆動可能とするための外部電源を必要とするので、0mA~20mAの信号のタイプは、適していない、または、条件付きで、前述の2線式センサに適しているだけであることがわかる。したがって、測定信号としてアナログ電流信号を供給するセンサの場合、4mA~20mAの間の利用可能な信号帯域がしばしば利用される。したがって、センサがゼロ信号の場合にも、4mAの電流が流れ、従って全信号帯域において(測定範囲の始まりにおいても)センサにエネルギを供給することができる。アナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路は、典型的には、0mAと25mAの間の範囲の電流を測定するように構成されている。4mA~20mAの本来の作業領域外にある入力信号を検出すると、それらはエラーとみなされる。たとえば、出力および入力ケーブルにおいて、ケーブルの破損が生じたときには、フェイルセーフスイッチング装置への信号伝送が遮断される。入力回路は、作業範囲外にある0mAの電流を失い、したがってこのエラーを検出がすることが可能である。
【0006】
規格EN61131-2:2007に従えば、入力回路の入力抵抗は300Ω以下でなければならない。この入力抵抗に24Vの電圧がかかると、この抵抗において1.92Wの電力が変換される。30Vの電圧の場合、入力抵抗で変換された電力はそれに対して3Wである。アナログ回路においてしばしば利用される抵抗のタイプは、いわゆるMini-MELF抵抗で、これは表面実装デバイス設計で実施される。典型的には、このタイプのMini-MELF抵抗は、長さがおよそ3.6mmで、直径がおよそ1.4mmである。これは典型的な電力損失0.25Wを有している。30Vの入力電圧の場合、上述の規格に対応して、入力回路の入力抵抗を300Ωに規定するためには、12種類のMini-MELF抵抗を利用せねばならない。電流測定に使用することができる、適切な大きさの単一の抵抗(シャント抵抗器)も可能である。比較的大きな場所が必要であるので、入力回路に電流を流れる電流を測定するために電圧降下を測定することが可能である抵抗は、通常、30Vの過電圧用に構成されてはいない。
【0007】
たとえば、本発明の出願人は、“PSSu”という記載では、115Ωの入力抵抗(シャント抵抗器)を有し、40mAの最大連続電流用に構成されてなる、入力回路を有する入力モジュールを意味している。最大入力電流は、4.6Vの入力電圧においてすでに達成されている。より高い入力電圧が印加された場合、シャント抵抗器は、破壊される可能性があり、したがって、入力モジュールは、もはや機能しなくなり、交換が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、少なくとも1つのセンサのアナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路、および、特に過電圧の発生によって生じる損傷に対する入力回路の保護が改善された、冒頭で挙げたタイプのフェイルセーフスイッチング装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題に対する解決手段は、請求項1の特徴部分の特徴を有する上述のタイプの入力回路を提供する。フェイルセーフスイッチング装置に関して、この課題は、請求項11の特徴部分の特徴を有するフェイルセーフスイッチング装置によって達成される。従属請求項は、本発明の好適な実施形態に関する。
【0010】
さらに詳しくは、本発明は、少なくとも1つのセンサ(1.1)のアナログ入力信号のフェイルセーフ読み取りのための入力回路(2)であって、
センサ(1.1)が接続可能な、第1入力端子(16)および第2入力端子(17)と、
第1入力端子(16)に接続され、電流測定装置(10a,20a)を有する第1電流-測定信号変換器(2.1)とを含み、該電流測定装置は、入力回路(2)の動作中、アナログ入力信号から第1出力信号を決定するように構成されてなる、入力回路(2)において、
入力回路(2)は、
限流装置(18,19)であって、第1電流-測定信号変換器(2.1)内に形成され、動作中、第1電流-測定信号変換器(2.1)を流れる最大電流を制限するように構成された限流装置(18,19)と、
少なくとも1つの第2電流-測定信号変換器(2.2)であって、第2入力端子(17)に接続され、電流測定装置(10b,20b)を有し、入力回路(2)の動作中、アナログ入力信号から第2出力信号を決定するように構成され、第1電流-測定信号変換器(2.1)と第2電流-測定信号変換器(2.2)とは、電気的に直列に接続された、第2電流-測定信号変換器(2.2)と、
検査装置(30)であって、2つの電流-測定信号変換器(2.1,2.2)に接続され、出力信号間の偏差が、予め定めた、または予め定めることが可能である閾値を越える場合、電流-測定信号変換器(2.1,2.2)の欠損を検出するために、第1出力信号を第2出力信号と比較するように構成された検査装置と、
を備えることを特徴とする入力回路(2)である。
【0011】
本発明において、各電流測定装置(10a,20a,10b,20b)は、シャント抵抗器(10.1,10.2,20.1,20.2)と、それに並列に接続された増幅器、特にオペアンプ(11.1,11.2,21.1,21.2)を、シャント抵抗器(10.1,10.2,20.1,20.2)を介して降下する電圧の測定と増幅のために備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明において、限流装置(18,19)は、シリーズレギュレータを形成し、該シリーズレギュレータは、バイポーラトランジスタ(12,22)と、直列抵抗器(14,25)を備えたツェナーダイオード(13,23)とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明において、バイポーラトランジスタ(12,22)は、エミッタフォロワとして接続されることを特徴とする。
【0014】
本発明において、バイポーラトランジスタ(12,22)は、エミッタとコレクタとを備え、それらの間には、抵抗(26)が、入力回路(2)における過電圧の場合に電力損失を受け入れるために設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明において、入力回路(2)の第1入力端子(16)とバイポーラトランジスタ(12,22)のエミッタとの間に、限界電流を規定するための抵抗器(24)が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明において、入力回路(2)は、限流装置(18,19)の機能を試験することが可能であるように構成される試験装置(15,27)を有することを特徴とする。
【0017】
本発明において、試験装置(15,27)は、入力回路(2)の、第1入力端子(16)と第2入力端子(17)との間で降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする。
【0018】
本発明において、試験装置(15,27)は、限流装置(18,19)を介して降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする。
【0019】
本発明において、試験装置(15,27)は、限流装置(18,19)と第1電流-測定信号変換器(2.1)の電流測定装置(10a,20a)とを介して降下する電圧を測定するように構成されることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、自動作動装置において、ユーザ(7)が安全にスイッチをオフとするためのフェイルセーフスイッチング装置(100)であって、
入力回路(2)であって、アナログセンサ(1.1)のアナログ入力信号をフェイルセーフ読み取りするように、そして、アナログ入力信号を少なくとも1つのアナログ出力信号に変換するように構成されてなる入力回路(2)と、
アナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)であって、入力回路(2)の少なくとも1つの出力信号を少なくとも1つのデジタル信号に変換するように構成されてなるアナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)と、
制御および評価ユニット(4)であって、少なくとも1つのアナログ-デジタル変換器(3.1,3.2)のデジタル信号を受信して、処理する制御および評価ユニット(4)と、
少なくとも1つのアクチュエータ(6.1,6.2)であって、制御および評価ユニット(4)およびユーザ(7)に接続されて、デジタル信号に依存して制御可能であるアクチュエータ(6.1,6.2)とを含む、フェイルセーフスイッチング装置(100)において、
上述の入力回路(2)が実行されることを特徴とするフェイルセーフスイッチング装置(100)である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従った入力回路は、
限流装置であって、第1電流-測定信号変換器内に形成され、動作中、第1電流-測定信号変換器を流れる最大電流を制限するように構成された限流装置と、
少なくとも1つの第2電流-測定信号変換器であって、第2入力端子に接続され、電流測定装置を有し、入力回路の動作中、アナログ入力信号から第2出力信号を決定するように構成され、第1電流-測定信号変換器と第2電流-測定信号変換器とは、電気的に直列に接続された、第2電流-測定信号変換器と、
検査装置であって、2つの電流-測定信号変換器に接続され、出力信号間の偏差が、予め定めた、または予め定めることが可能である閾値を越える場合、電流-測定信号変換器の欠損を検出するために、第1出力信号を第2出力信号と比較するように構成された検査装置と、
を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明は、頑丈で、フェイルセーフなアナログ入力回路を提供し、該入力回路は、センサのアナログ電流信号を受信して処理することが可能である。第1電流-測定信号変換器に統合された限流装置があるので、入力回路を流れる電流を、特に、過電圧の場合に、効果的に制限することが可能であり、従って、たとえば、入力回路の電流-測定信号変換器の構成要素の損傷を効果的に防止することが可能である。2つの電流-測定信号変換器に接続された検査装置の助けを借りて、第1電流-測定信号変換器の第1出力信号を、第2電流-測定信号変換器によって付与される第2出力信号と比較することが可能である。したがって、好適な方法で、特に、フェイルセーフの観点からみて好適な方法で、2つの電流-測定信号変換器によって出力される出力信号間の偏差が、予め定めた、または予め定めることが可能である閾値を越える場合、電流-測定信号変換器の起こり得る欠損を検出することが可能となる。検査装置は、2つの電流-測定信号変換器に接続された別個の(特にアナログ)の構成群、または構成要素、特に、コンパレータであることが可能である。あるいは、検査装置は、ここでは入力回路を備えるフェイルセーフ装置の評価および制御ユニットの一部であってもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、各電流測定装置は、シャント抵抗器と、それに並列に接続された増幅器、特にオペアンプを、シャント抵抗器を介して降下する電圧の測定と増幅のために備えている。オペアンプは、たとえば、計測アンプとして実施することが可能である。従って、電流測定装置は、電流-電圧変換器を形成し、該電流-電圧変換器の場合、シャント抵抗器を介して降下する電圧を測定することによって、電流強さが間接的に決定される。このような電流測定装置は、高い測定精度と堅牢な構成とを特徴とする。両電流-測定信号変換器が、1つの電流測定装置を備えることによって、フェイルセーフの観点から見て特に好適な冗長性がもたらされる。
【0024】
特に好ましい実施形態では、限流装置は、シリーズレギュレータを形成し、該シリーズレギュレータは、バイポーラトランジスタと、直列抵抗器を備えたツェナーダイオードとを備える。逆方向に接続されたツェナーダイオードによって、効果的な電圧制限を達成することが可能であり、従って、場合によっては、損傷に、特にシャント抵抗器の損傷につながるおそれのある、入力回路内の過電圧を有効に防止することが可能である。バイポーラトランジスタは、特に、NPNトランジスタ、またはPNPトランジスタとして実施することが可能である。好ましいことに、バイポーラトランジスタは、エミッタフォロワとして接続することが可能である。。
【0025】
好ましく実施形態において、バイポーラトランジスタは、エミッタとコレクタとを備え、それらの間には、抵抗が、入力回路における過電圧の場合に電力損失を受け入れるために設けられている。ツェナーダイオードの降伏電圧によって定義される過電圧の場合には、入力電流の一部は、エミッタとコレクタとの間の抵抗を通って流れる。これにより、電力損失の一部をこの抵抗によって受け入れることが可能であり、従って、過電圧の場合のバイポーラトランジスタの損傷の危険が低減される。本実施形態は、バイポーラトランジスタが、NPNトランジスタ、またはPNPトランジスタとして実施されるときに有利である。
【0026】
好ましい実施形態において、入力回路の第1入力端子とバイポーラトランジスタのエミッタとの間に、限界電流を規定するための抵抗器が設けられている。
【0027】
好ましいさらなる構成においては、入力回路は、限流装置の機能を試験することが可能であるように構成される試験装置を有してもよい。したがって、限流装置に欠損があればそれを検出可能であり、したがって、入力回路の、この欠損から生じる機能上の制限を検出することが可能である。
【0028】
試験装置は全く異なる方法で構成することが可能である。
【0029】
第1変形例においては、試験装置は、入力回路の、第1入力端子と第2入力端子との間で降下する電圧を測定するように構成することが可能である。
【0030】
第2変形例においては、試験装置は、限流装置を介して降下する電圧を測定するように構成することが可能である。
【0031】
さらなる変形例においては、試験装置は、限流装置と第1電流-測定信号変換器の電流測定装置とを介して降下する電圧を測定するように構成することが可能である。
【0032】
試験装置は、好ましくは、オペアンプとして実施される増幅器、特に、計測アンプを備えることが可能であり、該増幅器は、対応する電圧降下を測定し、出力信号として、増幅された電圧信号を出力することが可能である。この出力信号は、たとえば、アナログ-デジタル変換器によってデジタル化されて、特に、入力回路を含むフェイルセーフスイッチング装置の評価および制御ユニットに供給されることが可能である。評価および制御ユニットは、出力信号を評価し、特に、所定の値と比較し、限流装置の起こり得るエラーを検出する。試験装置はまた、アナログ比較器を備えることが可能であり、これにより、そのような比較を実施することが可能である。
【0033】
本発明に従ったフェイルセーフスイッチング装置は、請求項1~10のいずれか1項に記載の入力回路が実行されることを特徴とする。上記で詳細に説明した入力回路の特別な構成によって、有利な方法において、入力回路を、損傷から、特に過電圧による損傷から保護することが改善される。
【0034】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】センサ手段に、および自動作動装置におけるユーザの制御のための2つのアクチュエータに接続されたフェイルセーフスイッチング装置の信号の推移の詳細を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例に従って実施される、
図1のフェイルセーフスイッチング装置用の入力回路である。
【
図3】本発明の第2実施形態に従って実施される、
図1のフェイルセーフスイッチング装置用の入力回路である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1を参照し、まず以下において、自動作動装置のためのフェイルセーフスイッチング装置100の基本的な構造の詳細はについて詳細に説明する。フェイルセーフスイッチング装置100は、センサ1.1に接続され、入力回路2を備え、該入力回路2は、センサ1.1からのアナログ入力信号を受信し、さらに処理可能な測定信号に変換するように構成される。入力回路2は、この目的のために、第1電流-測定信号変換器2.1と第2電流-測定信号変換器2.2とを備える。これら2つの電流-測定信号変換器2.1,2.2を備える入力回路22の詳細を
図2および
図3を参照して以下により詳細に説明する。フェイルセーフスイッチング装置100においては、冗長性の理由から、2チャンネルの、部分的に交差する信号経路が実装されており、個々の信号経路は、対応する矢印によって
図1に示されている。
【0037】
第1電流-測定信号変換器2.1は、第1A/D変換器(アナログ-デジタル変換器)3.1に接続され、該第1A/D変換器3.1は、第1電流-測定信号変換器2.1によって付与される第1アナログ出力信号をデジタル信号に変換する。第2電流-測定信号変換器2.2は、第2A/D変換器(アナログ-デジタル変換器)3.2に接続され、該第2A/D変換器3.2は、第2電流-測定信号変換器2.2によって付与される第2アナログ出力信号をデジタル信号に変換する。これら2つのA/D変換器3.1,3.2は、評価および制御ユニット4に接続され、該評価および制御ユニット4は、2つのA/D変換器3.1,3.2によって生成されたデジタル信号を処理して評価するように構成される。
【0038】
評価および制御ユニット4は、ここでは2チャンネルの冗長なものであって、これは、
図1においては、2つのマイクロコントローラ4.1,4.2によって簡略的に示されている。評価および制御ユニット4は、たとえば、本発明の出願人によって、PSS(登録商標)という標章で販売されている、プログラム可能なフェイルセーフ制御装置のCPUであってもよい。また、その代わりとして、評価及び制御ユニット4は、本発明の出願人によって、種々の変形例において、PNOZ(登録商標)という標章で、提供されているような、フェイルセーフスイッチング装置の一部であってもよく、または、フェイルセーフスイッチング装置1のモジュール構造のためのヘッドモジュールであってもよい。これらのマイクロコントローラ4.1,4.2は、特に、交互に機能不全を監視し、および/またはデータを相互に交換することが可能である。
【0039】
さらにまた、フェイルセーフスイッチング装置1は、2つの冗長出力段5.1,5.2を有する出力部5を有し、2つのマイクロコントローラ4.1,4.2のそれぞれが、評価および制御ユニット4によって処理されて評価されたデジタル信号に依存して、両出力段5.1,5.2を制御可能とするために、これらの出力段5.1,5.2のそれぞれに接続されている。これによって、安全の観点に基づいた、特に、フェイルセーフの観点に基づいた、好適な冗長性が得られる。
【0040】
フェイルセーフスイッチング装置1の出力段5.1,5.2は、それぞれアクチュエータ6.1,6.2に接続されている。出力部5の第1出力段5.1は、第1アクチュエータ6.1(第1アクチュエータ)に接続されている。それに対して、出力部5の第2出力段5.2は、第2アクチュエータ6.2(第2アクチュエータ)に接続されている。これら2つのアクチュエータ6.1,6.2は電気的に直列に接続され、自動作動装置においてユーザ7に接続される。両アクチュエータ6.1,6.2は、ユーザ7に接続されているので、必要に応じてフェイルセーフをオフにすることが可能である。
【0041】
図2を参照して、以下において、フェイルセーフスイッチング装置100の入力回路2の第1実施例を詳細に説明する。上述のように、入力回路2は、2つの電流-測定信号変換器2.1,2.2を備え、これらは、電気的に直列に接続され、センサ1.1からのアナログ入力信号を受信することが可能である。この目的のために、入力回路2は、第1入力端子16(+)と第2入力端子17(-)とによって形成される差動入力部を備える。センサ1.1は、特に、いわゆる2線式センサとして形成することができ、この場合、電源とアナログ測定信号は、共通線を介して案内される。アナログ測定信号は、ここでは電流信号である入力信号として、2つの入力端子16,17を介して、入力回路2に付与される。センサ1.1は、特に、圧力センサ、温度センサ、速度センサ、フローセンサとすることが可能である。
【0042】
好ましくは、アナログセンサ1.1は、4mA~20mAの使用可能な信号範囲にある、アナログ電流信号を伝送可能なように構成することが可能である。2つの入力端子16,17によって形成された差動入力部は、特に、標準化された4mA~20mAの入力インタフェースとして実施することが可能である。センサ1.1が、ゼロ信号の場合、まだ4mAの電流が流れ、したがってセンサ1.1に、全信号範囲において、したがって測定範囲の始まりにおいてもエネルギを供給することが可能である。入力回路2は、0mA~25mAの範囲の電流を測定するように構成することが好ましい。4mA~20mAの実際の動作範囲外にある入力信号が検出された場合、これらはエラーとして評価される。
【0043】
第1電流-測定信号変換器2.1は、電流測定装置10aを備え、該電流測定装置10aは、本実施例においては、電流の間接測定のために利用されるシャント抵抗器10.1によって、およびオペアンプ11.1によって、特に、計測アンプによって形成され、これらは互いに並列に接続される。第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aは、第1入力部110aと、第2入力部111aと、第1(アナログ)出力信号の出力のために設けられた出力部112aとを備え、第1入力部110aは、限流装置18を介して、入力回路2の第1入力端子16と結合されている。
【0044】
第2電流-測定信号変換器2.2は、電流測定装置10bを備え、ここに示す実施例においては、電流の間接的測定に利用されるシャント抵抗器10.2によって、およびオペアンプ11.2によって形成され、これらも互いに並列に接続される。第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置10bは、第1入力部110bと、第2入力部111bと、第2(アナログ)出力信号の出力のために設けられる出力部112bとを含み、第2入力部111bは、入力回路2の第2入力端子17と結合される。
【0045】
2つの、電流-測定信号変換器2.1,2.2は、電気的に直列に接続されるので、第1電流測定装置10aの第2入力部111aは、第2電流測定装置10bの第1入力部110bと結合される。シャント抵抗器10.1,10.2は、低抵抗で実施され、たとえば、50Ωの抵抗値を有する。
【0046】
2つの電流測定装置10a,10bは、機能的な観点から2つの電流-電圧変換器を形成する。電流が、2つのシャント抵抗器10.1,10.2を介して流れると、この電流は、電流測定装置10a,10bの入力部110a,111a間で、または入力部110b,111b間において電圧降下をもたらす。この場合、この電圧降下は、オームの法則に従い、電流強さに比例する。オペアンプ11.1,11.2は、測定された電圧信号を増幅する目的に役立ち、したがって、この増幅された信号は、出力信号として出力されることが可能である。電流-測定信号変換器2.1,2.2は電気的に直列接続されているので、通常動作中に電流測定装置10a,10bを流れる電流は同一である。同じ寸法のシャント抵抗器10.1,10.2の場合、シャント抵抗器10.1における第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aによって測定される電圧降下は、したがって、第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置10bのシャント抵抗器10.2における電圧降下に対応する。
【0047】
さらにまた、入力回路2は、第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aと、第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置10bとの機能を検査するための検査装置30を備え、該検査装置30は、上述したように、増幅された電圧信号である、両電流測定装置10a,10bの出力信号を比較し、起こり得る偏差を測定することが可能であるように構成される。出力信号の偏差が、電流測定装置10a,10bの欠損を示唆する予め定めた、または予め定めることが可能な閾値を超えた場合には、検査装置30は、フェイルセーフスイッチング装置100の評価および制御ユニット4に、適切なエラー信号を付与する。また代わりに、検査装置30は、評価および制御ユニット4内に実装されてもよい。
【0048】
入力回路2の第1電流-測定信号変換器2.1はさらにまた、上述の限流装置18を備え、該限流装置18は、第1入力端子16と第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aとの間に形成され、第1電流-測定信号変換器2.1を流れ、電気的に直列接続であるので、よって第2電流-測定信号変換器2.2にも流れることになる最大電流を制限するように構成される。
【0049】
限流装置18は、シリーズレギュレータの機能を有し、本実施例では、ツェナーダイオード13とバイポーラトランジスタ12とを備えている。その場合、直列抵抗器14は、降伏が生じた場合にツェナーダイオード13を流れる電流を制限するために、入力回路2の第1入力端子16とツェナーダイオード13との間に接続されている。直列抵抗器14の抵抗は、たとえば、4.7kΩとすることが可能である。バイポーラトランジスタ12は、本実施形態においては、ベースと、エミッタと、エミッタフォロワとして(したがってコレクタ回路に)接続された、コレクタとを有するNPNトランジスタであり、したがって、バイポーラトランジスタ12のコレクタは、正の電圧が印加される、入力回路2の第1入力端子16と結合される。バイポーラトランジスタ12のベースは、直列ズ抵抗器14とツェナーダイオード13との間に接続される。ツェナーダイオード13は、ツェナーダイオード13の降伏電圧によって規定される、たとえば5.6Vとすることが可能である、入力回路2の限界電圧を規定する。
【0050】
電圧がツェナーダイオード13の降伏電圧未満である通常動作では、小型のベース-エミッタ電流が流れ、比較的高いエミッタ-コレクタ電流を制御する。バイポーラトランジスタ12は、このように、したがって、閉じた回路のように作用する。バイポーラトランジスタ12は、ツェナーダイオード13によって規定された制限電圧(降伏電圧)に到達した場合、第1電流-測定信号変換器2.1を流れる電流を制限することが可能である。第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aのシャント抵抗器10.1における電圧は制限され、よって両電流測定装置10a,10bのシャント抵抗器10.1,10.2を流れる電流も制限される。降伏が生じた場合には、ツェナーダイオード13の直列抵抗器14の大きさによって制限された電流がツェナーダイオード13を流れ、続いて第2電流-測定信号変換器2.2を流れる。降伏が生じた場合には、第1電流-測定信号変換器2.1のシャント抵抗器10.1を流れる電流が制限され、そして直列抵抗器14によって制限された電流が、第2電流-測定信号変換器2.2のツェナーダイオード13を流れるので、第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置10aのシャント抵抗器10.1の損傷、および第1電流-測定信号変換器2.1に電気的に直列に接続された第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置10bのシャント抵抗器10.2の損傷を、好適な方法で防止することが可能である。
【0051】
さらにまた、入力回路は、限流装置18の適切な機能を試験する目的を果たす試験装置15を備える。図示された実施例において、試験装置15は、オペアンプ15.1、特に、計測アンプを備え、該計測アンプは、第1電流-測定信号変換器2.1の限流装置18と電流測定装置10aを介する電流に基づいて降下する電圧を測定し、増幅するように構成される。この測定された電圧降下は、まずはアナログ信号であり、該アナログ信号は、デジタル信号に適切に変換されて評価および制御ユニット4によって受信され、評価されて、予め定められた電圧閾値と比較することが可能である。電圧閾値を越えた場合には、評価および制御ユニット4が、適切なエラー信号を出す。別の実施例においては、試験装置15は、該試験装置15が、第1入力端子16と第2入力端子17との間で低下する電圧を測定することが可能であるように構成することが可能である。電圧閾値を越えた場合には、評価および制御ユニット4が、適切なエラー信号を出す。基本的に、上述の両変形例において、試験装置15が、測定された電圧降下を電圧閾値と比較可能なアナログコンパレータを備える場合、測定された電圧降下を直接試験装置15において行うことも可能である。
【0052】
図3を参照して、入力回路2の第2実施例について詳細に説明する。入力回路2は、両電流-測定信号変換器2.1,2.2を備え、これらの電流-測定信号変換器2.1,2.2は、電気的に直列に接続され、動作中、ここではふたたびアナログ電流信号である、アナログ入力信号をセンサ1.1から受信することが可能である。この目的のために、入力回路は、第1入力端子16と第2入力端子17とによって形成される差動入力部を有する。センサ1.1は、すでに説明したように、電源供給と、アナログ測定信号とが共通線を介して案内される、いわゆる2線式センサとして実施することが可能である。アナログ電流信号であるアナログ測定信号は、両入力端子16,17を介して入力信号として入力回路に付与される。センサ1.1は、特に、上述のように実施可能であって、利用可能な信号範囲が、4mA~20mAにあるアナログ電流信号を伝送可能なように構成される。
【0053】
第1電流-測定信号変換器2.1は、電流測定装置20aを備え、該電流測定装置20aは、本実施例においても、シャント抵抗器20.1によって、およびオペアンプ21.1によって、特に計測アンプによって形成され、これらは互いに並列に接続されている。第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aは、第1入力部210aと、第2入力部211aと、第1出力信号の出力のために設けられた出力部212aとを備え、第1入力部210aは、限流装置19を介して、入力回路2の第1入力端子16と結合されている。
【0054】
第2電流-測定信号変換器2.2は、電流測定装置20bを備え、該電流測定装置20bは、本実施例においても、シャント抵抗器20.2によって、およびオペアンプ21.2によって形成され、これらは互いに並列に接続されている。第1電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置20bは、第1入力部210bと、第2入力部211bと、第2出力信号の出力のために設けられた出力部212bとを備え、第2入力部211bは、入力回路2の第2入力端子17と結合されている。
【0055】
2つの、電流-測定信号変換器2.1,2.2は、電気的に直列に接続されるので、第1電流測定装置20aの第2入力部211aは、第2電流測定装置20bの第1入力部210bと結合される。シャント抵抗器20.1,20.2は、たとえば、50Ωの抵抗値を有することが可能である。
【0056】
2つの電流測定装置20a、20bは、機能的な観点から2つの電流-電圧変換器を形成する。電流が、2つのシャント抵抗器20.1、20.2を介して流れると、この電流は、電流測定装置20a,20bの入力部210a,211a間で、または入力部210b,211b間において電圧降下をもたらす。この場合、この電圧降下は、オームの法則に従い、電流強さに比例する。オペアンプ21.1,21.2は、測定された電圧信号を増幅する目的に役立ち、したがって、この増幅された信号は、出力信号として出力されることが可能である。電流-測定信号変換器2.1,2.2は電気的に直列接続されているので、通常動作中に電流測定装置20a、20bを流れる電流は同一である。同じ寸法のシャント抵抗器20.1,20.2の場合、シャント抵抗器20.1における第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aによって測定される電圧降下は、したがって、第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置20bのシャント抵抗器20.2における電圧降下に対応する。
【0057】
さらにまた、入力回路2は、第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aと、第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置20bとの機能を検査するための検査装置30を備え、該検査装置30は、上述したように、増幅された電圧信号である、両電流測定装置20a,20bの出力信号を比較し、起こり得る偏差を測定することが可能であるように構成される。出力信号の偏差が、電流測定装置20a,20bの欠損を示唆する予め定めた、または予め定めることが可能な閾値を超えた場合には、検査装置30は、評価および制御ユニット4に、適切なエラー信号を付与する。また代わりに、検査装置30は、評価および制御ユニット4内に実装されてもよい。
【0058】
入力回路2の第1電流-測定信号変換器2.1はさらにまた、上述の限流装置19を備え、該限流装置19は、第1入力端子16と第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aとの間に形成され、第1電流-測定信号変換器2.1を流れ、電気的に直列接続であるので、よって第2電流-測定信号変換器2.2にも流れることになる最大電流を制限するように構成される。
【0059】
限流装置19は、本実施例においては、ツェナーダイオード23を備え、該ツェナーダイオード23は、電圧降伏の場合にツェナーダイオード23を流れる電流を制限するために前もって接続されており、さらに、限流装置19は、バイポーラトランジスタ22を備えており、該バイポーラトランジスタ22は、ここではPNPトランジスタとして実施されており、ベースと、エミッタと、コレクタとを備え、エミッタフォロワとしてコレクタ回路内に接続されている。ツェナーダイオード23の抵抗は、たとえば、10kΩとすることが可能である。バイポーラトランジスタ22のベースは、ツェナーダイオード23と抵抗25との間に接続される。ツェナーダイオード23は、限流装置19のここに示した実施形態の場合、バイポーラトランジスタ22の作業点の調整を可能にし、ツェナーダイオード23の降伏電圧によって与えられる、たとえば2.7Vとすることが可能である、入力回路2の限界電圧を規定する。バイポーラトランジスタ22のエミッタにはさらに、たとえば56Ωの大きさにすることが可能であり、限界電流を規定することが可能である抵抗24が接続される。バイポーラトランジスタ22のエミッタとコレクタとの間には(そしてエミッタ-コレクタ距離に並列に)、たとえば1kΩの大きさにすることが可能である抵抗26が接続される。この抵抗26は、ツェナーダイオード23の破壊につながる過電圧の場合に、電気的損失を受け入れることが可能である。
【0060】
電圧が、ツェナーダイオード23の降伏電圧未満である通常動作では、バイポーラトランジスタ22は、第1実施例におけるように、閉じた回路のように動作し、したがって、かなり高いエミッタ-コレクタ電流が流れる。バイポーラトランジスタ22は、ツェナーダイオード23によって規定された降伏電圧に達した場合に、第1測定信号変換器2.1を流れる電流を制限することが可能である。ツェナーダイオード23において電圧降伏となると、バイポーラトランジスタ22は、シリーズレギュレータのように動作し、したがって電流は一定に維持される。抵抗24の大きさとツェナーダイオード23の降伏電圧の大きさとによって制限される電流は、降伏が生じた場合には、第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aのシャント抵抗器20.1を流れ、次いで第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置20bのシャント抵抗器20.2を流れる。さらにまた、入力電流が増加すると(または過電圧が増加する場合も)、ツェナーダイオード23と抵抗25とを、わずかに増加する電流が流れる。
【0061】
ツェナーダイオード23に降伏が生じた場合には、制限された電流だけが、第1電流-測定信号変換器2.1の電流測定装置20aのシャント抵抗器20.1と、第2電流-測定信号変換器2.2の電流測定装置20bのシャント抵抗器20.2とを流れるので、過電圧によって生じ得るシャント抵抗器20.1,20.2の損傷が、有利なことに効果的に防止される。
【0062】
さらにまた、入力回路は、限流装置19の適切な機能を試験する目的を果たす試験装置27を備える。図示された実施例において、試験装置27は、オペアンプ27.1、特に、計測アンプを備え、該計測アンプは、限流装置19を介する電流に基づいて降下する電圧を測定し、増幅するように構成される。この測定された電圧降下は、まずはアナログ信号であり、該アナログ信号は、デジタル信号に適切に変換されて評価および制御ユニット4によって受信され、評価されて、予め定められた電圧閾値と比較することが可能である。電圧閾値を越えた場合には、評価および制御ユニット4が、適切なエラー信号を出す。別の実施形態においては、試験装置27は、該試験装置27が、第1入力端子16と第2入力端子17との間で低下する電圧を測定することが可能であるように構成することが可能である。電圧閾値を越えた場合には、評価および制御ユニット4が、適切なエラー信号を出す。基本的に、上述の両変形例において、試験装置27が、測定された電圧降下を電圧閾値と比較可能なアナログコンパレータを備える場合、測定された電圧降下を直接試験装置27において行うことも可能である。