(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ロータリーヘッド、部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/08 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
H05K13/08 Q
(21)【出願番号】P 2018234160
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-234700(JP,A)
【文献】特開2005-072046(JP,A)
【文献】国際公開第2017/022098(WO,A1)
【文献】特開2017-092174(JP,A)
【文献】特開平11-177288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装に使用されるロータリーヘッドであって、
支持部材と、
前記支持部材に対して回転可能に支持された回転体と、
前記回転体に対して円周状に配置された複数のノズルシャフトと、
前記ノズルシャフトの下端に取り付けられた吸着ノズルと、
画像認識装置と、を備え、
前記回転体は、中心に軸孔を有し、
前記画像認識装置は、
反射体と、
前記回転体に対して、前記反射体を前記軸孔の下端位置に保持する保持部と、
前記回転体の軸線方向に対して撮影の光軸方向が一致する撮影装置と、を備え、
前記反射体は、側面に反射層を有する錐体形状又は錐台形状であり、
前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の撮影光路は、前記電子部品から前記回転体の中心に進み、その後、前記反射体の側面で前記回転体の軸線に沿う方向に反射した後、前記軸孔を経由して、前記撮影装置に至る、ロータリーヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のロータリーヘッドであって、
前記回転体は、前記軸孔を有する回転軸を有し、
前記保持部は、前記回転軸の下端に取り付けられた円筒形状であり
前記保持部は、透光性の部材であり、内部に前記反射体を保持する、ロータリーヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のロータリーヘッドであって、
前記撮影装置の前記撮影の光軸と同軸の光源を備える、ロータリーヘッド。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のロータリーヘッドであって、
前記反射体は、側面に反射層を有する錐台形状であり、
前記反射体は、前記回転体の前記軸孔に対応して、基板撮影用の内部光路を有し、
前記撮影装置は、前記反射体の前記側面を用いた電子部品の撮影と、前記反射体の前記内部光路を用いた基板の撮影が可能である、ロータリーヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載のロータリーヘッドであって、
前記反射体の前記内部光路には、レンズが設けられている、ロータリーヘッド。
【請求項6】
請求項1~
請求項5のいずれか一項に記載のロータリーヘッドと、
前記ロータリーヘッドを制御する制御部と、を備える、部品搭載装置。
【請求項7】
請求項6に記載の部品搭載装置であって、
前記制御部は、複数の前記吸着ノズルまたは/および複数の前記吸着ノズルに保持された複数の前記電子部品を、前記撮影装置により一度に撮影する、部品搭載装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の部品搭載装置であって、
前記制御部は、
前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを前記撮影装置により撮影し、
前記ロータリーヘッドの回転に伴う前記吸着ノズルの撮影位置に応じて予め撮影または登録された前記吸着ノズル単体のマスター画像を記憶部から読み出す、又は外部から受信することにより取得し、
前記電子部品を保持した前記吸着ノズルの実画像と前記マスター画像とに基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断する、部品搭載装置。
【請求項9】
請求項6~請求項8のいずれか一項に記載の部品搭載装置であって、
前記撮影装置による前記電子部品の撮影方向が、前記ロータリーヘッドの回転に伴う撮影位置により異なる場合、
前記制御部は、前記吸着ノズルで前記電子部品を吸着保持してから基板に搭載するまでの間に、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを、前記撮影装置により、複数の撮影位置で撮影することにより、前記電子部品を複数方向から撮影した実画像を取得し、
複数方向からの実画像に基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断する、部品搭載装置。
【請求項10】
請求項6~請求項8のいずれか一項に記載の部品搭載装置であって、
前記制御部は、
前記吸着ノズルで前記電子部品を吸着保持してから基板に搭載するまでの間に、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを、前記撮影装置により、前記ロータリーヘッドの回転に伴う複数の撮影位置で撮影し、各撮影位置での認識結果に基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態の変化を検出する、部品搭載装置。
【請求項11】
電子部品の実装に使用されるロータリーヘッドであって、
支持部材と、
前記支持部材に対して回転可能に支持された回転体と、
前記回転体に対して円周状に配置された複数のノズルシャフトと、
前記ノズルシャフトの下端に取り付けられた吸着ノズルと、
画像認識装置と、を備え、
前記回転体は、中心に軸孔を有し、
前記画像認識装置は、
前記軸孔の下端に位置する反射体と、
前記回転体の軸線方向に対して撮影の光軸方向が一致する撮影装置と、を備え、
前記反射体は、側面に反射層を有する錐体形状又は錐台形状であり、
前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の撮影光路は、前記電子部品から前記回転体の中心に進み、その後、前記反射体の側面で前記回転体の軸線に沿う方向に反射した後、前記軸孔を経由して、前記撮影装置に至り、
前記反射体は、側面に反射層を有する錐台形状であり、
前記反射体は、前記回転体の前記軸孔に対応して、基板撮影用の内部光路を有し、
前記撮影装置は、前記反射体の前記側面を用いた電子部品の撮影と、前記反射体の前記内部光路を用いた基板の撮影が可能である、ロータリーヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載のロータリーヘッドであって、
前記反射体の前記内部光路には、レンズが設けられている、ロータリーヘッド。
【請求項13】
部品搭載装置であって、
電子部品の実装に使用されるロータリーヘッドと、
前記ロータリーヘッドを制御する制御部と、を備え、
前記ロータリーヘッドは、
支持部材と、
前記支持部材に対して回転可能に支持された回転体と、
前記回転体に対して円周状に配置された複数のノズルシャフトと、
前記ノズルシャフトの下端に取り付けられた吸着ノズルと、
画像認識装置と、を備え、
前記回転体は、中心に軸孔を有し、
前記画像認識装置は、
前記軸孔の下端に位置する反射体と、
前記回転体の軸線方向に対して撮影の光軸方向が一致する撮影装置と、を備え、
前記反射体は、側面に反射層を有する錐体形状又は錐台形状であり、
前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の撮影光路は、前記電子部品から前記回転体の中心に進み、その後、前記反射体の側面で前記回転体の軸線に沿う方向に反射した後、前記軸孔を経由して、前記撮影装置に至り、
前記撮影装置による前記電子部品の撮影方向が、前記ロータリーヘッドの回転に伴う撮影位置により異なる場合、
前記制御部は、前記吸着ノズルで前記電子部品を吸着保持してから基板に搭載するまでの間に、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを、前記撮影装置により、複数の撮影位置で撮影することにより、前記電子部品を複数方向から撮影した実画像を取得し、
複数方向からの実画像に基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断する、部品搭載装置。
【請求項14】
請求項13に記載の部品搭載装置であって、
前記制御部は、複数の前記吸着ノズルまたは/および複数の前記吸着ノズルに保持された複数の前記電子部品を、前記撮影装置により一度に撮影する、部品搭載装置。
【請求項15】
請求項13又は請求項14に記載の部品搭載装置であって、
前記制御部は、
前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを前記撮影装置により撮影し、
前記ロータリーヘッドの回転に伴う前記吸着ノズルの撮影位置に応じて予め撮影または登録された前記吸着ノズル単体のマスター画像を記憶部から読み出す、又は外部から受信することにより取得し、
前記電子部品を保持した前記吸着ノズルの実画像と前記マスター画像とに基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断する、部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に搭載する部品搭載装置に使用されるロータリーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
部品搭載装置に使用される実装ヘッド一つに、ロータリーヘッドがある。ロータリーヘッドは、回転体に対して、ノズルシャフトを円周上に複数配置している。ノズルシャフトは先端に吸着ノズルを取り付けており、電子部品を吸着保持する。ロータリーヘッドは、ノズルシャフトを直線状に配置するインラインヘッドに比べて、ノズルシャフトを狭ピッチで配置することが出来、ノズルシャフトの搭載効率に優れるというメリットがある。また、ロータリーヘッドは、吸着ノズルにより保持した電子部品の有無や吸着姿勢を判断するため、画像認識用のカメラを有するものがある。
【0003】
下記特許文献1は、回転体の外側に、画像認識用のカメラを配置して、電子部品を吸着保持した吸着ノズルを撮影している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図25に示すように、画像認識用のカメラ410を、回転体400の外側に配置している場合、電子部品を吸着保持した吸着ノズル420を撮影できる位置が、カメラ正面の1か所(図の例では45°の位置)に制限されるという問題がある。
【0006】
本発明は、電子部品を吸着した吸着ノズルを、周方向の複数位置で、撮影可能とする、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
電子部品の実装に使用されるロータリーヘッドは、支持部材と、前記支持部材に対して回転可能に支持された回転体と、前記回転体に対して円周状に配置された複数のノズルシャフトと、前記ノズルシャフトの下端に取り付けられた吸着ノズルと、画像認識装置と、を備え、前記回転体は、中心に軸孔を有し、前記画像認識装置は、前記軸孔の下端に位置する反射体と、前記回転体の軸線方向に対して撮影の光軸方向が一致する撮影装置と、を備え、前記反射体は、側面に反射層を有する錐体形状又は錐台形状であり、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の撮影光路は、前記電子部品から前記回転体の中心に進み、その後、前記反射体の側面で前記回転体の軸線に沿う方向に反射した後、前記軸孔を経由して、前記撮影装置に至る。この構成では、回転体の中心に向かう光路を、電子部品の撮影光路としており、錐体形状の反射体で光を回転体の軸線に沿う方向に反射させて撮影を行う。そのため、周方向の複数の位置で、電子部品の側面方向の撮影が可能となる。
【0008】
前記ロータリーヘッドの一実施態様として、前記撮影装置の前記撮影の光軸と同軸の光源を備えてもよい。この構成は、光源及びロータリーヘッドの小型化に有効である。
【0009】
前記ロータリーヘッドの一実施態様として、前記反射体は、側面に反射層を有する錐台形状であり、前記反射体は、前記回転体の前記軸孔に対応して、基板撮影用の内部光路を有し、前記撮影装置は、前記反射体の前記側面を用いた電子部品の撮影と、前記反射体の前記内部光路を用いた基板の撮影が可能である。1つの撮影装置で、電子部品だけでなく、基板の撮影も行うことが出来る。電子部品用と基板用に2つの撮影装置を持つ必要がなくなるので、部品点数を削減できる。
【0010】
前記ロータリーヘッドの一実施態様として、前記反射体の前記内部光路には、レンズが設けられている。レンズにより、焦点調整が可能となり、鮮明な基板画像が得られる。つまり、電子部品と基板を1つの撮影装置で撮影する場合、電子部品に焦点が合うように撮影装置の光学系を設計すると、光路長の違いにより、基板には、焦点が合わない場合がある。内部光路に設けたレンズにより、基板に対する焦点のずれを修正することで、1つの撮影装置で、電子部品だけでなく、基板もピントの合った画像が得られる。
【0011】
部品搭載装置は、上記のロータリーヘッドと、前記ロータリーヘッドを制御する制御部と、を備える。
【0012】
前記部品搭載装置の一実施態様として、前記制御部は、複数の前記吸着ノズルまたは/および複数の前記吸着ノズルに保持された複数の前記電子部品を、前記撮影装置により一度に撮影してもよい。この構成では、撮影を吸着ノズル単位で行う場合に比べて、撮影回数を少なくすることが出来る。特に、ロータリーヘッドに多数の吸着ノズルを搭載している場合、撮影回数が多く撮影時間が長くなるので、有効である。
【0013】
前記部品搭載装置の一実施態様として、前記制御部は、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを前記撮影装置により撮影し、前記ロータリーヘッドの回転に伴う前記吸着ノズルの撮影位置に応じて予め撮影または登録された前記吸着ノズル単体のマスター画像を記憶部から読み出す、又は外部から受信することにより取得し、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルの実画像と前記マスター画像とに基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断してもよい。実画像とマスター画像を比較することで、電子部品の認識が容易となる。そのため、電子部品の吸着状態を正確に判断できる。
【0014】
前記部品搭載装置の一実施態様として、前記撮影装置による前記電子部品の撮影方向が、前記ロータリーヘッドの回転に伴う撮影位置により異なる場合、前記制御部は、前記吸着ノズルで前記電子部品を吸着保持してから基板に搭載するまでの間に、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを、前記撮影装置により、複数の撮影位置で撮影することにより、前記電子部品を複数方向から撮影した実画像を取得し、複数方向からの実画像に基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態を判断してもよい。この構成では、1方向からの画像に基づいて、電子部品の吸着状態を判断する場合に比べて、吸着状態を正確に判断することが出来る。
【0015】
前記部品搭載装置の一実施態様として、前記制御部は、前記吸着ノズルで前記電子部品を吸着保持してから基板に搭載するまでの間に、前記電子部品を保持した前記吸着ノズルを、前記撮影装置により、前記ロータリーヘッドの回転に伴う複数の撮影位置で撮影し、各撮影位置での認識結果に基づいて、前記吸着ノズルに保持された前記電子部品の吸着状態の変化を検出してもよい。この構成では、吸着ノズルに対する電子部品の吸着状態の変化を検出することで、異常を早期に検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、回転体に保持された電子部品を、周方向の複数位置で、撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図10】部品搭載装置の電気的構成を示すブロック図
【
図11】ロータリーヘッドを斜め下方から見た斜視図
【
図16】実施形態3において、回転体及び吸着ノズルの平面図
【
図19】実施形態4において、回転体と各撮影位置での実画像を示す図
【
図21】実施形態5において、回転体と各撮影位置での実画像を示す図
【
図23】実施形態6において、画像認識装置の概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
1.部品搭載装置の全体構成
図1は部品搭載装置1の平面図である。部品搭載装置1は基板に電子部品を搭載する装置である。部品搭載装置1は、基台10と、プリント基板B1(基板の一例)を搬送するための搬送コンベア20と、ロータリーヘッド50と、ロータリーヘッド50を平面方向(XY軸方向)に移動させる駆動装置30と、部品供給部40と、を備えている。
【0019】
基台10は、概ね長方形状である。基台10は、バックアップ装置(図略)を有している。バックアップ装置は、搬送コンベア20の下方に位置する。バックアップ装置は、プリント基板B1上に電子部品Eを実装する際にそのプリント基板B1をバックアップする。以下の説明では、プリント基板B1の搬送方向(
図1の左右方向)をX軸方向とし、基台10の短辺方向(
図1の上下方向)をY軸方向とし、上下方向をZ軸方向とする。
【0020】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板B1をX軸方向に沿って搬送する。搬送コンベア20は、一対のコンベアベルト22を備えている。プリント基板B1は、一対のコンベアベルト22により、搬送方向の一方側(
図1で示す右側)から基台10上の作業位置(
図1の二点鎖線で囲まれる位置)に搬入される。そして、プリント基板B1は、作業位置で停止して基台10に固定され、電子部品Eの搭載作業がされた後、コンベアベルト22により、他方側(
図1で示す左側)に搬出される。
【0021】
部品供給部40は、搬送コンベア20の両側(
図1の上下両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。部品供給部40には、複数のフィーダ42がX軸方向に並んで取り付けられている。各フィーダ42は、電子部品Eを一つずつ供給する。
【0022】
駆動装置30は、一対のYビーム32と、X軸サーボ機構と、Y軸サーボ機構と、を含む。一対のYビーム32は、基台10のX軸方向の両側に位置している。一対のYビーム32は、Y軸方向に長い形状である。
【0023】
Y軸サーボ機構は、一対のY軸ガイドレール33Yと、Xビーム36と、Y軸ボールねじ34Yと、Y軸サーボモータ35Yとを有している。一対のY軸ガイドレール33Yは、Y軸方向に延びており、一対のYビーム32に取り付けられている。
【0024】
Xビーム36は、X軸方向に長い形状である。Xビーム36は、一対のY軸ガイドレール33Yにより、Y軸方向にスライド可能に支持されている。また、Xビーム36には、Y軸ボールねじ34Yと螺合するボールナット(図略)が固定されている。
【0025】
Y軸サーボモータ35Yが駆動すると、Y軸ボールねじ34Yに沿ってボールナットが進退し、その結果、Xビーム36及び後述するロータリーヘッド50がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0026】
X軸サーボ機構は、Xビーム36に対して取り付けられたX軸ガイドレール(不図示)と、X軸ボールねじ34Xと、ベースパネル47と、X軸サーボモータ35Xとを有している。
【0027】
ベースパネル47は、
図2に示すように、上下方向に長い縦長な形状であり、その表面側には、支持部材51を介して、ロータリーヘッド50が取り付けられている。ベースパネル47は、Xビーム36に対して、X軸ガイドレールにより、X軸方向にスライド可能に支持されている。また、ベースパネル47には、X軸ボールねじ34Xと螺合するボールナット(図略)が取り付けられている。
【0028】
X軸サーボモータ35Xが駆動すると、X軸ボールねじ34Xに沿って、ベースパネル47が進退し、その結果、ロータリーヘッド50が、Xビーム36上をX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0029】
上記の通り、ロータリーヘッド50は、X軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって、基台10上の可動領域内で、X軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
【0030】
また、基台10上には、固定カメラ46が、設置されている。固定カメラ46は、X軸方向に隣り合う、2つの部品供給部40間において、撮影面を上に向けて配置されている。固定カメラ46は、主として、ロータリーヘッド50の吸着ノズル120に保持された電子部品Eの底面画像を撮影する。電子部品Eの底面画像から、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置ずれなどを検出することが出来る。
【0031】
(ロータリーヘッドの構成)
ロータリーヘッド50は、電子部品Eを、プリント基板B1上に搭載する装置である。ロータリーヘッド50は、回転体60と、支持部材51と、を有している。支持部材51は、回転体60を回転可能な状態で支持する部材であり、
図3、
図4に示すように、アッパベース52と、センターベース53と、ロアベース54と、を備えている。
【0032】
回転体60は、Z軸方向(上下方向)に沿った軸状の回転軸61と、ヘッド本体64と、外筒部68と、18本のノズルシャフト100と、を含む。回転体60は、
図1に示すように、概ね円形である。
【0033】
回転軸61は、回転体60の中心(円の中心)Oに位置しており、
図4に示すように、アッパベース52に対して、軸受け52Aを介して、回転可能に支持されている。回転軸61は、軸孔62を有している。軸孔62は、回転体60の軸線Lsに沿って上下方向に形成されており、回転軸61を上下に貫通する。軸線Lsは、回転体60の中心Oを通る上下方向の直線である。
【0034】
回転軸61の上部には、回転ジョイント90が取り付けられている。回転ジョイント90は、上下に貫通する筒型であり、アッパベース52に対してフランジ95を介して固定されている。回転ジョイント90の内周下部には、回転軸61の上部が相対回転可能に嵌め合わされている。回転ジョイント90は、回転軸61の回転に拘わらず、非回転である。
【0035】
回転ジョイント90は、回転する回転軸61の軸孔62に対して、負圧を供給するための継手であり、その周面に、負圧の導入孔91を有している。回転ジョイント90の上端部には、封止板93が設けられている。封止板93は、回転ジョイント90の内周に隙間なく装着可能な円盤状であり、負圧の漏れを防止している。
【0036】
回転ジョイント90の封止板93と、後述する回転軸61の封止板63は、アクリル板など光を透過する透過性を有する材料である。その理由は、回転ジョイント90と回転軸61の軸孔62が負圧の供給経路である以外に、電子部品Eの撮影光路Lgになっているからである。
【0037】
ヘッド本体64は、
図5、
図6に示すように、回転軸61より大径な略円柱状である。ヘッド本体64は、回転軸61の下部に固定されていて、回転軸61と共に一体回転する。
ヘッド本体64は、支持部材51のロアベース54の内周側に位置しており、ロアベース54に対して相対回転可能な状態で支持されている。尚、
図5は、支持部材51を省略し、ヘッド本体64を示した図となっている。
【0038】
ヘッド本体64には、周方向に等間隔で、貫通孔65が18個形成されている。各貫通孔65には、筒状のシャフトホルダ57を介して、ノズルシャフト100が取り付けられている。
【0039】
ノズルシャフト100は、Z軸方向に沿った軸状である。ノズルシャフト100の先端(下端)には、吸着ノズル120が取り付けられている。
【0040】
ノズルシャフト100の上部外周面には、コイルばね130が取り付けられている。コイルばね130は、ノズルシャフト100を上向きに付勢する。
【0041】
また、ロータリーヘッド50は、各ノズルシャフト100を、ヘッド本体64に対してZ軸方向(上下方向)に昇降させるための2つのZ軸駆動装置80を備えている。
【0042】
Z軸駆動装置80は、
図6に示すように、支持部材51のアッパベース52に取り付けられており、Z軸リニアモータ35Zと、Z軸可動部84とを有している。Z軸可動部84は、Z軸リニアモータ35Zの駆動により、Z軸方向(上下方向)に移動する。
【0043】
Z軸可動部84の下端側部には、カムフォロア86が取り付けられている。Z軸リニアモータ35Zの駆動により、Z軸可動部84が
図6に示す初期位置から下降すると、カムフォロア86がノズルシャフト100の上端部に当接し、ノズルシャフト100の全体がコイルばね130の弾性力に抗って下降する。
【0044】
Z軸駆動装置80は、
図5、
図6に示すように、ノズルシャフト100の上方において、ヘッド本体64の回転軸61を挟んでロータリーヘッド50の左右両側(X軸方向両側)に対称配置されており、18本のノズルシャフト100のうち、
図6の左右両側(X軸方向両側)の昇降操作位置にあるノズルシャフト100をZ軸方向に昇降させる。
【0045】
図7に示すように、回転軸61の下部周壁には、円周状に配置された各ノズルシャフト100に対応して、出口孔61Aが円周状に配置されている。また、ヘッド本体64は、円周状に配置された各ノズルシャフト100に対応して、負圧通路64Aと、エアバルブ140を有している。
【0046】
回転軸61の各出口孔61Aと各負圧通路64Aはそれぞれ連通しており、回転軸61の軸孔62より供給される負圧は、出口孔61A、負圧通路64A、エアバルブ140を通じて、各ノズルシャフト100に供給される。
【0047】
つまり、この例では、回転ジョイント90の導入孔91より、回転軸61の軸孔62に供給された負圧を、18分岐させて、ヘッド本体64に配置された18本の各ノズルシャフト100に対して供給することが出来る。
【0048】
そして、ノズルシャフト100に対する負圧の供給により、吸着ノズル120の先端に吸引力が生じて、電子部品Eを保持することが出来る。
【0049】
尚、
図7に示すように、回転軸61の軸孔62には、負圧の漏れを抑制するため、封止板63が設けられている。封止板63は、軸孔62に隙間なく装着可能な円盤状であり、出口孔61Aの下方位置に配置されている。封止板63は、アクリル板など光を透過する透過性を有する材料である。
【0050】
エアバルブ140は、スプール式であり、弁体145を上下方向に移動させることで、ノズルシャフト100に供給する圧力を、負圧と正圧とに切り替えることが出来る。
【0051】
エアバルブ140に対する正圧の供給経路54Aは、ヘッド本体64を支持するロアベース54に設けられている。正圧の供給経路54Aは2か所だけであり、いずれかの正圧の供給経路54Aとバルブの供給経路が一致した時のみ、エアバルブ140からノズルシャフト100に対して正圧の供給が可能である。
【0052】
この例では、ノズルシャフト100が昇降操作位置にある時に、正圧の供給経路54Aとバルブの供給経路が一致し、エアバルブ140からノズルシャフト100に対して正圧の供給が可能である。吸着ノズル120は、正圧の供給により、先端部に保持した電子部品Eを解放する。
【0053】
図6に示すように、回転軸61の上部寄りの位置には、N軸被駆動ギヤ61Nと、R軸被駆動ギヤ68Rが上下に配置されている。N軸被駆動ギヤ61Nは回転軸61と結合し、R軸被駆動ギヤ68Rは、外筒部68と結合している。
【0054】
N軸駆動装置45は、ヘッド本体64を回転駆動する装置である。N軸駆動装置45は、N軸サーボモータ35Nを有している(
図2参照)。N軸サーボモータ35Nを駆動すると、モータ35Nの動力が、N軸被駆動ギヤ61Nを介して、回転軸61に伝わる。そのため、回転軸61と共にヘッド本体64が回転し、ヘッド本体64に支持された18本のノズルシャフト100がヘッド本体64と一体的に回転する構造になっている。
【0055】
外筒部68は、
図6、
図8に示すように、回転軸61の外側に位置しており、回転軸61の外周面を囲っている。外筒部68は、上下方向の両端を、ベアリングを介して、回転軸61とヘッド本体64に対してそれぞれ軸受けしており、回転軸61やヘッド本体64に対して相対的に回転可能となっている。
【0056】
R軸駆動装置70は、各ノズルシャフト100をその軸線Lr周りに回転駆動する装置である。R軸駆動装置70は、
図2、
図3、
図8に示すように、R軸サーボモータ35Rと、R軸サーボモータ35Rの出力軸に設けられ、R軸被駆動ギヤ68Rと噛み合わされたR軸駆動ギヤ72Rと、共通ギヤ55を有している。
【0057】
共通ギヤ55は、
図8に示すように、外筒部68の下部に設けられている。共通ギヤ55は、
図9に示すように、各シャフトホルダ57のギヤ57Rと噛み合わされている。R軸サーボモータ35Rを駆動すると、モータ35Rの動力が、R軸駆動ギヤ72R及びR軸被駆動ギヤ68Rを介して、外筒部68、共通ギヤ55に伝わり、外筒部68と共通ギヤ55が回転する。
【0058】
共通ギヤ55が回転すると、ギヤ57Rとの噛み合いにより、各シャフトホルダ57が回転する。そして、各シャフトホルダ57と各ノズルシャフト100は、ボールスプライン結合していることから、共通ギヤ55の回転に伴って、18本のノズルシャフト100がその軸線Lr周りにおいて同方向及び同角度に一斉に回転する。
【0059】
このような構成とすることで、X軸サーボモータ35X、Y軸サーボモータ35Y、N軸サーボモータ35N、R軸サーボモータ35R、Z軸リニアモータ35Zを所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ42を通じて供給される電子部品Eをロータリーヘッド50により取り出して、プリント基板B1上に搭載する実装処理を実行することが出来る。
【0060】
すなわち、フィーダ42から電子部品Eを取り出す場合、ロータリーヘッド50をフィーダ上方に移動させる。ロータリーヘッド50がフィーダ上方に移動したら、Z軸リニアモータ35Zを駆動して、昇降操作位置にある1本目のノズルシャフト100を
図6に示す上昇端位置S1から下降させる。
【0061】
ノズルシャフト100の先端に設けられた吸着ノズル120がフィーダ42による供給される電子部品Eの上面の高さに下降するタイミングに合わせて、負圧を供給することで、フィーダ42から電子部品Eを取り出すことができる。
【0062】
このような動作を、18本のノズルシャフト100についてそれぞれ行うことで、1つのロータリーヘッド50で、フィーダ42から18個の電子部品Eを取り出すことが出来る。
【0063】
次に、取り出した電子部品Eをプリント基板B1に搭載する場合、ロータリーヘッド50をフィーダ上方からプリント基板B1上に移動させる。
【0064】
ロータリーヘッド50がプリント基板上方に移動したら、Z軸リニアモータ35Zを駆動して、昇降操作位置に位置する1本目のノズルシャフト100を、
図6に示す上昇端位置S1から下降させる。
【0065】
吸着ノズル120に保持された電子部品Eが、プリント基板B1の高さに下降するタイミングに合わせて、負圧を正圧に切り換えることで、電子部品Eをプリント基板B1に搭載できる。このような動作を、18本のノズルシャフト100についてそれぞれ行うことで、フィーダ42から取り出した18個の電子部品を、プリント基板B1上に搭載することが出来る。
【0066】
上記では、2つのZ軸駆動装置80のうち一方だけを利用し、プリント基板B1に対して電子部品Eを1つずつ搭載する例を説明した。この他にも、2つのZ軸駆動装置80の双方を利用して、2本のノズルシャフト100を同時に昇降させて、プリント基板B1に対して2つの電子部品Eを同時に搭載するようにしてもよい。また、2つのZ軸駆動装置80を交互に使用することも可能である。
【0067】
2.電気的構成
次に部品搭載装置1の電気的構成を説明する。部品搭載装置1は、コントローラ200によってその全体が制御統括されている。コントローラ200は、
図10に示すように、CPU等により構成される制御部211を備えている。制御部211には、モータドライバ212と、記憶部213と、画像処理部214A、214Bと、入出力部215と、フィーダ通信部216、外部通信部217、表示部218と、操作部219と、がそれぞれ接続されている。
【0068】
モータドライバ212は、電子部品の搭載プログラムに従って、X軸サーボモータ35X、Y軸サーボモータ35Y、N軸サーボモータ35N、R軸サーボモータ35R、Z軸リニアモータ35Zを制御する。また、モータドライバ212は、搬送プログラムに従って、搬送コンベア20を駆動させる。
【0069】
記憶部213は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部213には、電子部品Eの搭載プログラムやプリント基板の搬送プログラム、及び電子部品Eの画像認識に使用されるマスター画像G2や、その他各種データが記憶されている。
【0070】
画像処理部214Aには、撮影装置であるサイドビューカメラ151から出力される画像が取り込まれるようになっており、取り込まれた画像の補正や解析が行われる。また、画像処理部214Bには、固定カメラ46から出力される画像が取り込まれるようになっており、取り込まれた画像の補正や解析が行われる。
【0071】
入出力部215には、各種センサやスイッチが接続されている。フィーダ通信部216は、部品供給部40に取り付けられた各フィーダ42と接続されており、各フィーダ42を統括して制御する。
【0072】
表示部218は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、部品搭載装置1の状態等を表示画面上に表示する。操作部219はキーボード等であり、部品搭載装置1に対して各種設定や条件などを入力操作できる。
【0073】
3.画像認識装置
ロータリーヘッド50は、
図4、
図6に示すように、画像認識装置150を有している。画像認識装置150は、サイドビューカメラ151と、反射体161と、ハーフミラー171と、光源181と、を備える。
【0074】
サイドビューカメラ151は、回転ジョイント90の上方に位置し、撮影面を回転軸61の軸孔62に向けている。サイドビューカメラ151のカメラ光軸Lcは、回転体60の軸線Lsと一致している。サイドビューカメラ151は、ブラケット(図略)を介して、アッパベース52に固定されている。サイドビューカメラ151は、イメージセンサなどの撮像部を内部に有する。サイドビューカメラ151は、撮影装置の一例である。またカメラ光軸Lcは、撮影の光軸に相当する。
【0075】
反射体161は、
図8に示すように、回転軸61の下端に位置している。反射体161は、円錐形状である。反射体161の側面(周側面の全周)162は、金属皮膜からなる反射層である。
【0076】
反射体161は、回転軸61に対して円筒状の保持具165で固定されており、回転軸61と一体的に回転する。保持具165は、アクリルなど透光性の部材である。
【0077】
ハーフミラー171は、軸線Ls上において、回転ジョイント90とサイドビューカメラ151との間に、配置されている。光源181は、ハーフミラー171の右側方に配置されている。光源181は、LED又はレーザ光源である。
【0078】
光源181は、サイドビューカメラ151のカメラ光軸Lcと同軸の同軸照明であり、光源181の光軸Lpは、ハーフミラー171により約90°反射して、サイドビューカメラ151のカメラ光軸Lcと一致する。ハーフミラー171及び光源181は、ブラケット(図略)を介して、アッパベース52に固定されている。
【0079】
光源181を点灯すると、
図12に示すように、照明光は、回転ジョイント90、回転軸61の軸孔62を通って、反射体161に向かう。照明光は、反射体161の側面162で反射して、放射状に拡散する。これにより、円周状に位置する吸着ノズル120に保持された各電子部品Eを、中心から照らすことが出来る。
【0080】
そして、電子部品Eの側面で反射した反射光の一部が、回転体60の中心Oに向かって水平に進み、その後、回転軸61の下端に位置する反射体161の側面162で、上方に90°反射する。そして、反射光は、回転軸61の軸孔62、回転ジョイント90の内部を、軸線Lsに沿って平行に進み、回転ジョイント90の上方に位置するサイドビューカメラ151に至る。
【0081】
これにより、サイドビューカメラ151により、
図13Aに示すように、吸着ノズル120及び吸着ノズル120に保持された電子部品Eの実画像G1を撮影することが出来る。実画像G1は、吸着ノズル120及び電子部品Eの側面画像(側面を撮影した画像)である。実画像G1から吸着ノズル120による電子部品Eの吸着状態、つまり、電子部品Eの有無や、電子部品Eの吸着姿勢の良否を判断することが出来る。
【0082】
尚、吸着姿勢の良否は、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置のずれ量や、傾きの大きさ、部品の厚み寸法を許容値と比較することにより、判断することが出来る。
【0083】
本構成では、
図14に示すように、電子部品Wの反射光を、円錐形状をした反射体161を用いて軸孔62へと導いているため、得られる実画像G1は、吸着ノズル120の軸方向に直交する方向(
図13BのV方向)の歪を生じる。そのため、第1画像処理部214Aにて、歪を抑える補正を行うとよい。
【0084】
また、本構成では、円周状に配置された複数の吸着ノズル120及びそれに保持された電子部品Eを、一度に撮影することが可能である。つまり、制御部211は、ロータリーヘッド50を制御して、複数の吸着ノズル120に、複数の電子部品Eを吸着保持する。その後、制御部211は、光源181を点灯すると共に、サイドビューカメラ151に指令を与えて撮影を行うことで、複数の吸着ノズル120及びそれに保持された電子部品Eを、一度に撮影することが出来る。
図13A、13Bの画像は、吸着ノズル120を90°ピッチの4本配列にした場合のものであり、4本の吸着ノズル120及びそれに保持された電子部品Eを一括して一度に撮影している。第1画像処理部214Aにて、上記した歪補正と共に、画像から必要な領域を切り出すことで、吸着ノズル120とそれに保持された電子部品Eの画像が得られる。
【0085】
3.効果
本構成では、
図12、
図14に示すように、吸着ノズル120に保持された電子部品Eの撮影光路Lgは、電子部品Eから回転体60の中心Oに向かって水平に進み、その後、反射体161の側面162で回転体60の軸線Lsに沿う方向に反射した後、軸孔62を経由して、サイドビューカメラ151に至る。そのため、周方向の任意位置で、電子部品Eの撮影が可能であり、撮影位置の制約がなくなる。従って、プリント基板B1に対して電子部品Eを搭載する搭載時に、ローターヘッド動作の自由度が高くなる。
【0086】
また、本構成では、回転軸61の軸孔62が、撮影光路と負圧の供給経路を兼用しているので、これらを別々に設ける場合に比べて、回転軸61を含む回転体60の全体を小型化出来るというメリットがある。
【0087】
<実施形態2>
実施形態2は、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態の判断方法について、一実施形態を開示する。実施形態2では、吸着ノズル120に吸着保持された電子部品の認識にマスター画像G2を使用する。
【0088】
マスター画像G2は、吸着ノズル単体をサイドビューカメラ151で撮影した画像である。マスター画像G2は、部品搭載装置1の稼働に先立って予め撮影し、記憶部213に予め記憶しておくとよい。マスター画像G2は、部品搭載装置1のメンテナンス時や生産開始前に撮影して、記憶部213に登録しておいてもよい。
【0089】
制御部211は、例えば、電子部品Eを吸着ノズル120で吸着保持して、その電子部品Eをプリント基板B1に搭載するまでの間に、電子部品Eを吸着保持した吸着ノズル120をサイドビューカメラ151により撮影を行う。
【0090】
その後、電子部品Eを吸着保持した吸着ノズル120の実画像G1と、吸着ノズル120のマスター画像G2とから、2つの画像G1、G2の差画像G3を作成する。
【0091】
差画像G3の作成により、
図15に示すように、実画像G1から2つの画像G1、G2に共通する部位(吸着ノズル120)を取り除いた画像、つまり、電子部品Eの単体の画像が取得できる。
【0092】
制御部211は、差画像G3から吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態を判断する。つまり、差画像G3に電子部品Eが含まれているか否かにより、吸着ノズル120に電子部品Eが吸着されているか、否かを判断する。また、差画像G3から電子部品Eの位置や傾きを検出して、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着姿勢の良否を判断する。
【0093】
先に説明したように差画像G3の作成により、電子部品単体の画像が得られるので、電子部品Eの形状が認識し易く、電子部品Eの吸着状態が判断しやすい。
【0094】
特に、反射画像は、透過画像に比べてコントラストが低い場合があり、実画像G1からでは、吸着ノズル120との境界が分かり難く、電子部品Eの形状認識がし難い場合があることから、有効である。
【0095】
<実施形態3>
実施形態3は、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態の判断方法について、一実施形態を開示する。この実施形態では、回転体60に対して、吸着ノズル120を、45°ピッチで8本配列にした場合を示す。
【0096】
吸着ノズル120の昇降操作位置は制限されているから、例えば、
図16に示すように、回転体60に搭載された8本の吸着ノズル120を全て使用して、電子部品Eの搭載作業を行う場合、回転体60を45°ピッチで回転させる必要がある。
【0097】
図16の回転体60は、270°の位置で電子部品Eを吸着した後、
図16の矢印方向に180°回転し、90°の位置Peでプリント基板B1に搭載する。
【0098】
この場合、吸着ノズル120は、270°の位置Pa、315°の位置Pb、0°の位置Pc、45°の位置Pd、90°の位置Peでそれぞれ停止する。そのため、各位置Pa~Peにて、サイドビューカメラ151により、電子部品Eを保持した吸着ノズル120の静止撮影することができる。
【0099】
吸着ノズル120の先端部121の形状には、円径や、長方形のものがある。
図17は、先端部121の断面形状が、長方形の吸着ノズル120である。
【0100】
図16に示すように、回転体60の回転時、吸着ノズル120の向きが同一に保たれるように、R軸の回転(各ノズルシャフトの軸線Lr周りの回転)を制御する場合がある。つまり、吸着ノズル120が周方向のどの位置にあっても、ノズル外形線123が常に同方向(
図16では水平)を向き、角度が変化しないように、R軸の回転(各ノズルシャフトの軸線Lr周りの回転)を制御する場合がある。
【0101】
このような場合、以下の課題がある。先端部121の形状が長方形の場合、回転体60の中心Oから見た時に、撮影位置Pa~Peが異なると、先端部121の見え方が相違する。
【0102】
例えば、撮影位置Paや撮影位置Peでは、
図17のA方向から先端部121を見ることになり、撮影位置Pcでは、
図17のB方向から先端部121を見ることになるためである。
【0103】
そのため、吸着ノズル120のマスター画像G2は、ロータリーヘッド50の回転に伴う撮影位置Pa~Peごとに撮影して、記憶部213に記憶しておくとよい。
【0104】
図18は、マスター画像の一例であり、G2(0°)は、0°の撮影位置Pcのマスター画像である。また、G2(45°)は、45°の撮影位置Pdのマスター画像、G3(90°)は、90°の撮影位置Peのマスター画像である。
【0105】
以下、270°の位置Paで吸着した電子部品を、45°の撮影位置Pdで撮影する場合を例にとって、電子部品Eの吸着状態の判断方法を説明する。
【0106】
制御部211は、電子部品Eを保持した吸着ノズル120を、サイドビューカメラ151により、45°の撮影位置Pdで撮影すると、記憶部213から、マスター画像G2(45°)を読み出す。
【0107】
次に、制御部211は、45°の撮影位置Pdで撮影した実画像G1と、記憶部213から読み出したマスター画像G2(45°)と、から2つの画像の差画像G3を作成する。差画像G3の作成は、制御部211の指示に基づき、第1画像処理部214Aにて行うとよい。
【0108】
そして、制御部211は、得られた差画像G3から、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態を判断する。
【0109】
各撮影位置Pa~Peに応じてマスター画像G2を予め用意しておくことで、差画像G3を作成した時に、吸着ノズル120の形状部分を正確に取り除くことが出来るので、電子部品Eの形状が認識し易くなり、認識精度が向上する。
【0110】
<実施形態4>
実施形態4は、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態の判断方法について、一実施形態を開示する。この実施形態では、回転体60に対して、吸着ノズル120を、45°ピッチで8本配列にした場合を示す。
【0111】
図19に示すように、回転体60の回転時、吸着ノズル120の向きが同一に保たれるように、R軸の回転(各ノズルシャフトの軸線Lr周りの回転)を制御する場合、サイドビューカメラ151による電子部品Eの撮影方向が、撮影位置により異なる。例えば、撮影位置Paでは、電子部品Eを、
図20のA方向から撮影することになるし、撮影位置Pcでは、電子部品Eを、
図20のB方向から撮影することになる。
【0112】
制御部211は、吸着ノズル120が電子部品Eを吸着してから、その電子部品Eをプリント基板B1に搭載するまでの間に、サイドビューカメラ151を用いて、電子部品Eを吸着保持した同一の吸着ノズル120を、周方向の複数の撮影位置Pで撮影する。これにより、電子部品Eを複数方向から撮影した実画像G1が取得できる。
【0113】
そして、複数の撮影位置Pでの認識結果に基づいて、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態を判断する。
【0114】
例えば、
図19に示すように、270°の位置Paで、電子部品Eを吸着した後、矢印の方向に、回転体60を180°回転し、吸着した電子部品Eを、90°の位置Peで、プリント基板B1上に搭載する。
【0115】
この場合、制御部211は、270°の位置Paと、そこから90°回転した0°の位置Pcの2つの撮影位置で、サイドビューカメラ151を用いて、電子部品Eを吸着した吸着ノズル120の撮影を行う。
【0116】
これにより、電子部品Eを
図20のA方向から撮影した実画像G1aと、電子部品Eを
図20のB方向から撮影した実画像G1cが得られる。
【0117】
そして、制御部211は、A方向とB方向の両実画像G1a、G1cとも、電子部品Eの吸着状態に異常がない場合に限り、正常と判断する。また、いずれかの画像G1a、G1cから吸着状態に異常が検出された場合、電子部品Eの吸着状態は、異常であると判断する。
【0118】
この方法では、複数方向から見た認識結果に基づいて、吸着状態を判断するので、一方向からだけの認識結果だけで判断する場合に比べて、電子部品Eの吸着状態の判断精度が大幅に向上する。
【0119】
特に、
図20に示すように、吸着ノズル120に保持された電子部品Eが傾いている場合、A方向からの認識結果だけでは、電子部品Eが傾いているのか、判断することが難しい。しかし、A方向に加えてB方向の認識結果も考慮するため、電子部品Eの傾きの有無を精度よく判断することが出来る。
【0120】
<実施形態5>
実施形態5は、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着状態の判断方法について、一実施形態を開示する。この実施形態では、回転体60に対して、吸着ノズル120を、45°ピッチで8本配列にした場合を示す。
【0121】
吸着ノズル120による電子部品Eの吸着位置は、フィーダ42による電子部品Eの供給精度や静電気、振動など様々な要因で、位置ずれが起きる場合がある。電子部品Eの吸着位置にずれがあると、回転体60の回転中や移動中に、電子部品Eの吸着状態が変化する場合がある。例えば、回転体60の回転に伴う慣性力で、吸着位置のずれが大きくなり、その結果、電子部品Eが傾く場合や、下落する場合がある。
【0122】
制御部211は、吸着ノズル120が電子部品Eを吸着してから、その電子部品Eをプリント基板B1に搭載するまでの間に、サイドビューカメラ151を用いて、電子部品Eを吸着した同一の吸着ノズル120を、ロータリーヘッド50の回転に伴う、周方向の複数箇所で撮影する。
【0123】
例えば、
図21に示すように、回転体60は、270°の位置Paで、電子部品Eを吸着した後、矢印の方向に180°回転し、吸着した電子部品Eを、90°の位置Peで、プリント基板B1上に搭載する。
【0124】
この場合、270°の位置Paと、315°の位置Pb、0°の位置Pc、45°の位置Pd、0°の位置Peで、電子部品Eを吸着した吸着ノズル120を撮影する。撮影位置Paでは、吸着直後の電子部品Eを撮影することが出来る。また、撮影位置Pb~撮影位置Pdでは、回転途中の電子部品Eを撮影することが出来る。また、撮影位置Peでは、搭載直前の電子部品Eを撮影することが出来る、
【0125】
図22は、電子部品の搭載処理のフローチャートである。制御部211は、吸着ノズル120を用いて電子部品を吸着する吸着処理(S10)を実行すると、その後、各撮影位置Pa~Peにて、電子部品Eの吸着状態に異常があるか、否かを判断する(S20~S60)。
【0126】
つまり、電子部品Eを吸着した吸着ノズル120が撮影位置Paにある時に1回目の撮影及び異常判断を行う(S20)。その後、電子部品Eを吸着した吸着ノズル120が撮影位置Pbまで移動して停止した時に2回目の撮影及び異常判断を行い(S30)、吸着ノズル120が撮影位置Pcまで移動して停止した時に3回目の撮影及び異常判断を行い(S40)、吸着ノズル120が撮影位置Pdまで移動して停止した時に4回目の撮影及び異常判断を行う(S50)。そして、電子部品Eを吸着した吸着ノズル120が撮影位置Pdまで移動して停止した時に5回目の撮影及び異常判断を行う(S60)。
【0127】
制御部211は、全撮影位置Pa~Peで、電子部品Eの吸着状態に異常がない場合、電子部品Eの吸着状態に変化はなく正常であると判断し、その電子部品Eを、プリント基板B1に対して搭載する搭載処理を実行する(S70)。
【0128】
一方、制御部211は、撮影位置Pa~Peのいずれかで、吸着ノズル120による電子部品Eの吸着状態に異常がある場合、その電子部品Eを廃棄するなどのエラー処理を行う(S80)。エラー処理は、ロータリーヘッド50を緊急停止する処理や、異常を報知する処理でもよい。
【0129】
図21の例では、撮影位置Paの画像G1aは、吸着ノズル120が電子部品Eを保持しており、位置のずれもほとんどない。そのため、吸着直後、電子部品Eの吸着状態は正常であったと判断できる(S20:YES)。
【0130】
撮影位置Pbの画像G1bでは、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着位置にずれが発生している。そのため、画像G1a、G1bから、制御部211は、電子部品Eの吸着状態に変化があった事が検出できる。
【0131】
制御部211は、電子部品Eの吸着位置にずれが有る場合、ずれ量の大きさが許容範囲内であるか否かに基づいて、吸着状態の良否を判断する。
図21の例では、ずれ量の大きさは許容範囲内であり、正常と判断される(S30:YES)。
【0132】
撮影位置Pcでは、吸着ノズル120に保持された電子部品Eに、傾きが生じている。そのため、画像G1b、G1cから、制御部211は、電子部品Eの吸着状態に、更に変化があった事が検出できる。
【0133】
制御部211は、吸着ノズル120に電子部品Eが傾いて保持されている場合、傾きの大きさが許容範囲内であるか否かに基づいて、吸着状態の良否を判断する。
図21の例では、電子部品Eは大きく傾いており、許容範囲外であることから、異常と判断される(S40:NO)。
【0134】
吸着異常と判断されると、その後、その電子部品Eは、撮影位置Pcから撮影位置Pdには送られず、エラー処理が実行される(S80)。具体的には、その電子部品Eを廃棄する処理が実行される。エラー処理は、廃棄処理の他、異常を報知する処理やロータリーヘッド50を緊急停止する処理でもあってもよい。
【0135】
尚、
図22は、吸着ノズル1本当たりの電子部品の搭載フローを示しており、複数本の吸着ノズル120を使用して電子部品Eの搭載処理を行う場合、
図22に示す電子部品の搭載フローを、搭載処理に使用される各吸着ノズル120のそれぞれについて行うとよい。
【0136】
この方法では、電子部品Eを吸着してから搭載するまでの間において、電子部品Eの吸着状態の変化を検出することができる。また、吸着異常を認識した時に、エラー処理を行うことで、吸着異常を生じた電子部品Eがプリント基板上に落下するリスクを低減することが可能となる。
【0137】
<実施形態6>
実施形態1の画像認識装置150では、反射体161は円錐形状であった。
図23に示すように、実施形態6の画像認識装置350では、反射体361は円錐台形状である。つまり、反射体361は、円錐の上部を水平に切り取った台状である。反射体361の反射体361の側面362は、反射体161と同様に、金属皮膜からなる反射層である。
【0138】
反射体361は、回転体60の中央下部に位置しており、実施形態1と同様に、電子部品Eからの撮影光を回転軸61の軸方向にあたる上方に反射する。
【0139】
また、反射体361は、中心部に貫通孔365を有している。貫通孔365は、回転体60の軸孔62に対応してその下方に位置している。貫通孔365は、反射体361を上下に貫通する。サイドビューカメラ351は、軸孔62、貫通孔365を通じて、プリント基板B1の上面を視野に収めることが出来る。そのため、サイドビューカメラ351により、吸着ノズル120に保持した電子部品Eだけでなく、プリント基板B1上に設けた位置マークMを画像認識することが出来る。貫通孔365は、反射体361に形成された内部通路の一例である。
【0140】
また、貫通孔365の内部には、レンズ367、368が埋め込まれている。具体的には、貫通孔365の上部と下部に埋め込まれている。レンズ367、368により、焦点調整が可能となり、鮮明な基板画像が得られる。つまり、電子部品Eとプリント基板B1を1つのサイドビューカメラ351で撮影する場合、電子部品Eに焦点が合うようにサイドビューカメラ351の光学系を設計すると、光路長の違いにより、プリント基板B1には、焦点が合わない場合がある。貫通孔365に設けたレンズ367、368により、プリント基板B1に対する焦点のずれを修正することで、電子部品Eだけでなく、プリント基板B1もピントの合った画像が得られる。レンズ367、368の個数は2つに限らず、焦点の調整ができれば、1つでもよい。また、2以上でもよい。
【0141】
尚、反射体361の内部通路は、反射体361の内部を光が通過できる経路であれば、空洞の経路に限らず、例えば、貫通孔365に無色透明なガラス棒を挿入した経路や、無色透明な樹脂を充填した経路でもよい。
【0142】
また、実施形態1の画像認識装置150は、光源181を、サイドビューカメラ151のカメラ軸Lcと同軸の同軸照明とした。実施形態6の画像認識装置350では、光源381を、回転体60の外側に配置して、吸着ノズル120に保持された電子部品Eを回転体60の外側から照らす。
【0143】
光源381を回転体60の外側に配置することで、サイドビューカメラ351により、吸着ノズル120に保持された電子部品Eの透過画像を撮影することが出来る。
【0144】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0145】
(1)実施形態1では、電子部品を撮影する撮影装置として、サイドビューカメラ151を例示した。撮影装置は、フォトセンサ等の受光素子やイメージセンサ等の撮像素子を有する装置であれば、カメラ以外でもよい。
【0146】
(2)実施形態1では、サイドビューカメラ151のカメラ光軸Lcを、回転体60の軸線Lsと一致させた。カメラ光軸Lcは、回転体60の軸線Lsと必ずしも一致する必要はない。カメラ光軸Lcは、回転体60の軸線Lsに沿って進む光が入光できるように、カメラ光軸Lcの方向が、回転体60の軸線Lsの方向と一致していればよい。つまり、カメラ光軸Lcの方向が、回転体60の軸線Lsに沿った上下方向であればよい。
【0147】
(3)実施形態1では、
図4に示すように、回転軸61の軸線Lsとカメラ光軸Lcが一致するように、サイドビューカメラ151を回転軸61の軸上に配置した。サイドビューカメラ151は、回転軸Lsとカメラ光軸Lcが一致するようになっていれば、必ずしも、回転軸61の軸上になくてもよい。例えば、サイドビューカメラ151と光源181の配置を反転し、カメラ光軸Lcを、ハーフミラー171を用いて、回転軸61の軸線Lsと一致させてもよい。
【0148】
(4)実施形態1では、サイドビューカメラ151を用いて、円周状に配置された複数の吸着ノズル120及びそれに保持された電子部品Eを、一度に撮影した。この場合、電子部品Eの吸着有無にかかわらず、吸着ノズル120と電子部品Eとが収まる視野を対象に撮影をおこなう。この他にも、サイドビューカメラ151を用いて、円周状に配置された複数の吸着ノズル120だけを一度に撮影してもよい。また、サイドビューカメラ151を用いて、円周状に配置された複数の吸着ノズル120に保持された複数の電子部品Eだけを一度に撮影してもよい。また、撮影のタイミングは、ロータリーヘッド50が停止しているタイミングに限らず、回転中に撮影しても構わない。
【0149】
(5)実施形態1では、反射体161を円錐形状とし、実施形態6では、反射体361を円錐台形状とした。反射体161、361は、円錐形状や円錐台形状以外にも、角錐形状や角錐台形状でもよい。つまり、錐体形状や錐台形状であればよい。角錐形状は、正多角錐が好ましく、角錐台形状は正多角錐台が好ましい。
【0150】
(6)実施形態2では、マスター画像G2のデータを、コントローラ200のメモリ213に記憶した。マスター画像G2は、外部から受信してもよい。例えば、部品搭載ラインの管理装置などに記憶しておき、必要に応じて、受信してもよい。
【0151】
(7)実施形態1では、光源160の光路と、負圧の供給経路とを兼用する構成とした。負圧の供給経路を光路とは別に設けてもよい。例えば、回転軸の軸孔を第1軸孔と第2軸孔の二重構造とし、内側の第1軸孔を光路用、外側の第2軸孔を負圧の供給経路用にしてもよい。
【0152】
(8)実施形態1では、円錐状の反射体151を、円筒状の保持具165を用いて、回転体60に固定した。これ以外にも、
図24に示すように、円錐状の反射体151をベース380に固定し、複数本の支柱370を用いて、回転体60に固定してもよい。
【0153】
(9)実施形態1では、サイドビューカメラ151により撮影した実画像G1から吸着ノズル120による電子部品Eの吸着状態、つまり、電子部品Eの有無や、電子部品Eの吸着姿勢の良否を判断した。吸着状態の判断は、電子部品Eの有無、吸着姿勢の良否のうち、少なくともいずれか一方だけを判断するものであってもよい。他の実施形態2~6も同様である。
【0154】
(10)実施形態2、3では、電子部品Eを吸着保持した吸着ノズル120の実画像G1と、吸着ノズル120のマスター画像G2とから、2つの画像G1、G2の差画像G3を作成した。そして、作成した差画像G3に基づいて、吸着ノズル120に対する電子部品Eの吸着姿勢の良否を判断した。この他にも、2つの画像G1、G2を比較することにより、実画像G1中の電子部品Eを認識し、吸着ノズル120に対する吸着姿勢の良否を判断してもよい。つまり、2つの画像G1、G2に基づいて、吸着姿勢の良否を判断するものであれば、必ずしも、差画像G3を作成する必要はない。また、マスター画像G2はノズル形状情報から作成可能な仮想画像、画像処理上のマスク画像であってもよく、画像にこだわらなくとも、部品、ノズル、背景等の輝度の数値のみの情報であってもよい。マスク画像は、対象物を撮影した画像を、画像処理により、特定の部位のみ表示し、他の領域は非表示(黒画像や白画像)に加工した画像である。この例では、吸着ノズル120を撮影した画像を、吸着ノズル120のみ表示するように加工した画像である。
【0155】
(11)実施形態6では、8本の吸着ノズル120を全て使用して、電子部品の搭載処理を行う場合について説明したため、回転体60を45°ピッチで回転させた。吸着ノズル120は、回転体60に搭載されたものを全て使用する必要はなく、1本や2本だけを使用して電子部品の搭載処理を行ってもよい。この場合、270°の位置Paで電子部品Eを吸着した後、90°の位置Peまで停止すること無く移動して、電子部品Eをプリント基板上に搭載してもよい。この場合、撮影は、吸着ノズル120の移動中に行うとよい。つまり、電子部品Eを搭載した吸着ノズル120が各撮影位置Pa~Peを横切るタイミングに合わせて行うとよい。また、実施形態5の場合も同様である。
【符号の説明】
【0156】
1...部品搭載装置
10...基台
30...駆動装置
50...ロータリーヘッド
51...支持部材
60...回転体
61...回転軸
62...軸孔
64...ヘッド本体
100...ノズルシャフト
120...吸着ノズル
150...画像認識装置
151...サイドビューカメラ(撮影装置の一例)
161...反射体
181...光源
E...電子部品