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特許7202212記録媒体装填装置およびこれを用いた電子機器または映像音響機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】記録媒体装填装置およびこれを用いた電子機器または映像音響機器
(51)【国際特許分類】
   G11B 33/02 20060101AFI20221228BHJP
   G11B 17/04 20060101ALI20221228BHJP
   G11B 17/056 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G11B33/02 503K
G11B17/04
G11B17/056
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019029596
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020135911
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】521423924
【氏名又は名称】オンキヨーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山上 修一
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-262704(JP,A)
【文献】特開2005-196884(JP,A)
【文献】特開2010-244660(JP,A)
【文献】特開2002-8345(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0018426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B17/00-17/057
33/00-33/08
33/12-33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を載置する搬送トレイと、該搬送トレイの複数のガイド部に摺動可能に係合するガイドレールに沿って該搬送トレイを前進または後退させるローダー部と、該ローダー部が取り付けられて該搬送トレイが出入りする開口を規定するパネル部材を少なくとも有する筐体と、を備える記録媒体装填装置であって、
該搬送トレイが、クローズ状態で該パネル部材に係合して該開口を閉鎖するトレイパネルと、該トレイパネルから後側に離れた位置に該ガイドレールに沿って移動可能に設けられる第1ボスと、該第1ボスから該搬送トレイが移動可能な距離Xよりも長い距離Yで離れて該ガイドレールに沿って移動可能に前側に設けられる第2ボスと、を有し、
該ローダー部の該ガイドレールが、該クローズ状態で該搬送トレイの該第1ボスが係合するように幅が狭くなる第1溝部と、該第1溝部から前側に該距離Xで離れて設けられてオープン状態で該搬送トレイの該第1ボスが係合するように幅が狭くなる第2溝部と、該第2溝部から前側に該距離Yで離れて設けられて該オープン状態で該搬送トレイの該第2ボスが係合するように幅が狭くなる第3溝部と、を有する、
記録媒体装填装置。
【請求項2】
前記搬送トレイの前記トレイパネルが、後側に突出する凸部を有し、前記筐体の前記パネル部材が、前記開口周囲に前記クローズ状態において該凸部が係合する凹部を有する、
請求項1に記載の記録媒体装填装置。
【請求項3】
前記搬送トレイが、複数の前記ガイド部との間に前記ガイドレールを挟持する複数のフック部をさらに有し、複数の該ガイド部および複数の該フック部のうち少なくとも同じ4カ所が該ガイドレールに当接した状態で該搬送トレイが前進または後退する、
請求項2に記載の記録媒体装填装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の記録媒体装填装置を含む、電子機器または映像音響機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等の記録媒体を所定の基準軸に沿って前進または後退させてアンロード動作/ロード動作する記録媒体装填装置、およびこれを用いた電子機器または映像音響機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器またはDVDプレーヤー等の映像音響機器は、筐体を構成するパネル部材に開口を有し、この開口から光ディスク等の記録媒体を搬送する搬送トレイを前進または後退させてアンロード動作/ロード動作する記録媒体装填装置を有する場合がある。例えば、記録媒体装填装置は、光ディスクを読み取り/書き込み動作するディスクドライブ装置と一体に構成されて、記録媒体を筐体内の所定の位置に装填可能にする。
【0003】
記録媒体装填装置は、搬送トレイを前進または後退させて移動し、搬送トレイが開口の内側に収まる場合に記録媒体を所定位置に装填し、開口から突出する場合に記録媒体を載置可能または排出可能にするように動作する。搬送トレイを前進させて開口から突出させる動作をアンロード動作またはイジェクト動作と呼び、搬送トレイが前方に出て停止した状態をオープン状態と呼ぶ場合がある。また、搬送トレイを後退させて開口内に納める動作をロード動作またはローディング動作と呼び、搬送トレイが筐体に収まった状態をクローズ状態と呼ぶ場合がある。記録媒体装填装置において、搬送トレイを前進または後退させるには、搬送トレイに設けたラックに噛み合うピニオンを、モーターで制御して回転させる機構が採用されることが多く、具体的には様々な構造・機構が採用される。
【0004】
搬送トレイを前進または後退させる記録媒体装填装置を有する電子機器または映像音響機器では、アンロード動作/ロード動作における搬送トレイの動きが、滑らかで不規則な挙動を含まない高い動作品位が求められる。例えば、搬送トレイが前進または後退して移動する際に振動する、あるいは、停止する際に震える、または振動に起因する異音が生じる、あるいは、オープン状態/クローズ状態における搬送トレイの位置決め(所定の位置に静止すること)が定まらない、などの好ましくない挙動を含む場合は、動作品位が低くなり、使用者に好ましくない印象を与える。特に、クローズ状態における搬送トレイの筐体の開口に対する位置決めが定まらずにずれていると、外観視される隙間が均等にならず、著しく美観が低下するという問題がある。
【0005】
例えば、従来には、ディスクトレイとトレイ飾りとの取付け構造において、ディスクトレイに固定される取付け用フレームをトレイ飾りから分離し、トレイ飾りを単独で変位可能とすることにより、キャビネットの凹入部内でのトレイ飾りのセンタリングを容易に行えるようにするものがある(特許文献1)。また、トレイの正面にはトレイパネルを取付けると共にトレイパネルをトレイ正面側へ弾性力を付勢することが出来る弾性体を設け、そしてトレイパネルの背面両側には凹部を設け、一方トレイがスライドする為に通過するフロントパネルに設けた開口の底に平坦面を設けると共に開口両側には凸部を形成し、トレイが後退して収納された場合にトレイパネルの外周背面は平坦面に接し、上記凹部と凸部が互いに係合することを特徴とするディスク再生装置のトレイ構造がある(特許文献2)。ただし、フローティング機構を有するトレイ飾りを装備する場合には、フローティング機構を構成する部品が増加し、コストアップを招くという問題がある。
【0006】
また、従来には、ローディングトレイを緩挿し前面に向かって開口面積が漸次大きくなる側壁を有し前面の開口端に鍔部を有し筐体に設けた開口部に取り付けられるローダーパネル受け部と、ローダーパネル受け部の鍔部の外周側面に嵌合する開口部を有するフロントパネルと、ローディングトレイの前面に取り付けられ前方に向かって断面面積が漸次大きくなる側壁を有し側壁の端部にフロントパネルに設けた開口部を緩挿する鍔部を有するローダーパネルを具備し、ローダーパネルの鍔部がローダーパネル受け部の鍔部に当接したときローダーパネル受け部の側壁にローダーパネルの側壁が接触することを特徴とした記録再生装置がある(特許文献3)。つまり、ディスクトレイ前面にガイド構造を設け、フロントパネルの開口部で位置決めができるものがある。
【0007】
しかし、この構造はローダー自体のディスクトレイの位置決め構造にフロントパネルの開口部との位置決めが付加され、トレイが移動する方向の直線上に少なくとも3箇所の位置決め構造を有することになる。すなわち、ローダー部とトレイとの間の2箇所で既に定まっている位置決めに第三の位置決めが付加される。3箇所の位置決めをローディングスタックなどの不具合を防止するように精度良く収めるには、非常に高い組立精度を要することになって困難であり、さらにコストアップの要因となるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-9678号公報
【文献】特許第3803789号公報
【文献】特開2000-163943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、記録媒体を載置する搬送トレイを所定の基準軸に沿って前進または後退させる記録媒体装填装置において、オープン状態/クローズ状態における搬送トレイの位置決めを精度よく低コストで実現することができ、アンロード動作/ロード動作が滑らかで高い動作品位を有し、美観に優れる電子機器または映像音響機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の記録媒体装填装置は、記録媒体を載置する搬送トレイと、搬送トレイの複数のガイド部に摺動可能に係合するガイドレールに沿って搬送トレイを前進または後退させるローダー部と、ローダー部が取り付けられて搬送トレイが出入りする開口を規定するパネル部材を少なくとも有する筐体と、を備える記録媒体装填装置であって、搬送トレイが、クローズ状態でパネル部材に係合して開口を閉鎖するトレイパネルと、トレイパネルから後側に離れた位置にガイドレールに沿って移動可能に設けられる第1ボスと、第1ボスから搬送トレイが移動可能な距離Xよりも長い距離Yで離れてガイドレールに沿って移動可能に前側に設けられる第2ボスと、を有し、ローダー部のガイドレールが、クローズ状態で搬送トレイの第1ボスが係合するように幅が狭くなる第1溝部と、第1溝部から前側に距離Xで離れて設けられてオープン状態で搬送トレイの第1ボスが係合するように幅が狭くなる第2溝部と、第2溝部から前側に距離Yで離れて設けられてオープン状態で搬送トレイの第2ボスが係合するように幅が狭くなる第3溝部と、を有する。
【0011】
好ましくは、本発明の記録媒体装填装置は、搬送トレイのトレイパネルが、後側に突出する凸部を有し、筐体のパネル部材が、開口の周囲にクローズ状態において凸部が係合する凹部を有する。
【0012】
好ましくは、本発明の記録媒体装填装置は、搬送トレイが、複数のガイド部との間にガイドレールを挟持する複数のフック部をさらに有し、複数のガイド部および複数のフック部のうち少なくとも同じ4カ所がガイドレールに当接した状態で搬送トレイが前進または後退する。
【0013】
また、本発明の電子機器または映像音響機器は、上記の記録媒体装填装置を含む。
【0014】
以下、本発明の作用について説明する。
【0015】
本発明の記録媒体装填装置は、記録媒体を載置する搬送トレイ(3)と、搬送トレイ(3)の複数のガイド部(3e~3h)に摺動可能に係合するガイドレール(4a)に沿って搬送トレイ(3)を前進または後退させるローダー部(4)と、ローダー部(4)が取り付けられて搬送トレイ(3)が出入りする開口(1a)を規定するパネル部材(1)を少なくとも有する筐体と、を備える。
【0016】
搬送トレイ(3)は、クローズ状態でパネル部材(1)に係合して開口(1a)を閉鎖するトレイパネル(2)と、トレイパネル(2)から後側に離れた位置にガイドレール(4a)に沿って移動可能に設けられる第1ボス(3i)と、第1ボス(3i)から搬送トレイ(3)が移動可能な距離Xよりも長い距離Yで離れてガイドレール(4a)に沿って移動可能に前側に設けられる第2ボス(3j)と、を有する。記録媒体装填装置は、搬送トレイ(3)のトレイパネル(2)が、後側に突出する凸部(2a)を有し、筐体のパネル部材(1)が、開口(1a)の周囲にクローズ状態において凸部(2a)が係合する凹部(1b)を有していてもよい。
【0017】
さらに、ローダー部(4)のガイドレール(4a)は、クローズ状態で搬送トレイ(3)の第1ボス(3i)が係合するように幅が狭くなる第1溝部(4c)を有する。したがって、搬送トレイ(3)は、クローズ状態では、トレイパネル(2)と開口(1a)との間で前方側の位置決めを行い、搬送トレイ(3)の第1ボス(3i)とガイドレール(4a)の第1溝部(4c)との間で後方側の位置決めを行う。
【0018】
さらに、ローダー部(4)のガイドレール(4a)は、第1溝部(4c)から前側に距離Xで離れて設けられてオープン状態で搬送トレイの第1ボス(3i)が係合するように幅が狭くなる第2溝部(4d)と、第2溝部(4d)から前側に距離Yで離れて設けられてオープン状態で搬送トレイ(3)の第2ボス(3j)が係合するように幅が狭くなる第3溝部(4e)と、を有する。したがって、搬送トレイ(3)は、オープン状態では、第1ボス(3i)とガイドレール(4a)の第2溝部(4d)との間で後方側の位置決めを行い、第2ボス(3j)とガイドレール(4a)の第3溝部(4e)との間で前方側の位置決めを行う。
【0019】
その結果、記録媒体装填装置は、併せて前後方向の2箇所の位置決めによりクローズ状態での搬送トレイ(3)とパネル部材(1)の開口(1a)との位置決めができる。また、記録媒体装填装置は、併せて前後方向の2箇所の位置決めによりオープン状態での搬送トレイ(3)の挙動を抑え、動作品位を確保できる。高い組立精度が必要な第3の位置決めを要しないので、本発明の記録媒体装填装置は、低コストに精度よく組み立てることができる利点がある。
【0020】
記録媒体装填装置は、搬送トレイ(3)が、複数のガイド部(3e~3h)との間にガイドレール(4a、4b)を挟持する複数のフック部(3a~3d)をさらに有するのが好ましい。複数のガイド部(3e~3h)および複数のフック部(3a~3d)のうち少なくとも同じ4カ所がガイドレール(4a、4b)に当接した状態で搬送トレイ(3)が前進または後退するようにできる。したがって、搬送トレイ(3)の首振りの挙動などが生じずに、そのアンロード動作/ロード動作を滑らかにでき、高い動作品位を実現することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の記録媒体装填装置は、オープン状態/クローズ状態における搬送トレイの位置決めを精度よく低コストで実現することができ、アンロード動作/ロード動作が滑らかで高い動作品位を有し、美観に優れる電子機器または映像音響機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を含むディスク再生装置10を説明する図である。(実施例1)
図2】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を構成するパネル部材(1)を説明する斜視図である。(実施例1)
図3】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を構成する搬送トレイ(3)を説明する図である。(実施例1)
図4】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を構成する搬送トレイ(3)を説明する図である。(実施例1)
図5】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を構成するローダー部(4)を説明する図である。(実施例1)
図6】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置のクローズ状態を説明する図である。(実施例1)
図7】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置のクローズ状態を説明する図である。(実施例1)
図8】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置のオープン状態を説明する図である。(実施例1)
図9】本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置のオープン状態を説明する図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置およびこれを用いた電子機器または映像音響機器について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【実施例1】
【0024】
図1Aおよび図1Bは、本発明の好ましい実施形態による記録媒体装填装置を含むディスク再生装置10について説明する図である。具体的には、図1Aは、ディスク再生装置10の搬送トレイ3を収容したクローズ状態を説明する斜視図であり、図1Bは、トレイ3をイジェクトしたオープン状態を説明する斜視図である。ディスク再生装置10は、複数の(図示しない)光ディスクをアンロード(イジェクト)動作/ロード(ローディング)動作する記録媒体装填装置(本実施例の場合はカルーセルチェンジャー)を備えるディスクドライブ装置であって、例えば、CDプレーヤー等の映像音響機器を構成する。
【0025】
図1Aおよび図1Bでのディスク再生装置10は、筐体5の内部を覆い隠す天板を図示しないように除いている。なお、以後の図においては、記録媒体装填装置以外の説明に不要なディスク再生装置10の筐体の詳細な構成については、図示並びに説明を省略するとともに、搬送トレイ3の一部を透明視してその構成を図示している。
【0026】
ディスク再生装置10の筐体5は、フロントパネル1に矩形状の開口1aを有し、この開口1aを閉鎖するトレイパネル2は、前後に移動する搬送トレイ3に連結している。ユーザーが、アンロード動作/ロード動作を制御する(図示しない)マイクロコンピュータ(マイコン)に指示を与える操作ボタンを押すと、ローダー部4がトレイパネル2および搬送トレイ3が前後に移動させる。マイコンは、後述するローダー部4の(図示しない)モーターに所定のコマンドを送り、モーターを回転させてローダー部4が備える搬送トレイ3に連結するラック&ピニオンの機構を動作させる。ユーザーは、光ディスクを搬送トレイ3に載置して、ロード動作させて搬送トレイ3を収容すると、光ディスクを記録媒体装填装置と一体に構成されたディスクドライブ装置に再生させる処理を行うことができる。
【0027】
図2Aに示すように、フロントパネル1は、樹脂で成形される部材、あるいは、アルミ押出で成形される部材であって、その中央部に略矩形状の開口1aを有する。図2Bまたは図2Cの一部拡大図に示すように、開口1aを規定する縁部の左右には、パネル面から奥まった位置にトレイパネル2が当接する段部がそれぞれ設けられて、凹部(1b、1c)が設けられている。
【0028】
図3Aは搬送トレイ3の上面側を示す斜視図であり、図4Aは搬送トレイ3の下面側を示す斜視図である。本実施例の搬送トレイ3は、樹脂で成形される部材であって、上面側に6枚の光ディスクが載置可能であり、ローダー部4により回転を伴って前進または後退して、6枚の内の少なくとも1枚の光ディスクを交換可能なように、アンロード動作/ロード動作するように意図されている。図1に示すように、搬送トレイ3は、クローズ状態からオープン状態になる場合に距離Xだけ前方に移動する。
【0029】
図3A図3Cまたは図4Aに示すように、トレイパネル2は、樹脂で成形される部材であって、搬送トレイ3の前面側の端部に連結されている。前面視されるトレイパネル2は、搬送トレイ3の意匠を改善する飾りの部材であり、また、クローズ状態での搬送トレイ3の位置決めを行い、搬送トレイ3の収容時にフロントパネル1の開口1aを閉鎖して筐体5の内部にゴミ又は塵が入らないようにする。
【0030】
図3Bまたは図3Cの一部拡大図に示すように、トレイパネル2の左右両端には、後側に突出する凸部2aおよび2bが設けられている。凸部2aおよび2bは、それぞれフロントパネル1の開口1aの周囲に設けられている凹部1bまたは凹部1cにクローズ状態において係合するようになっている。本実施例では貫通孔である左側の凹部1bは円形の孔であり、貫通孔である右側の凹部1cは左右方向に長い長円状の孔である。
【0031】
また、図4は、搬送トレイ3の下面側を示す図である。図4A図4Eに図示するように、樹脂で形成される基体を有する搬送トレイ3は、光ディスクを載置する上面側の反対の下面側に、後述するローダー部4のガイドレール4a並びに4bにそれぞれ摺動可能に係合するガイド部3eおよび3f並びに3gおよび3hを備えている。図4B図4Eの一部拡大図に示すように、ガイド部(3e~3h)は、前後方向に延びたリブの全高がその場所で一段と高くなるよう形成されたリブに含まれる平面部分であり、ローダー部4のガイドレール(4a、4b)に対する摺動面となる。左右方向の一方側に配置される2つのガイド部3eおよび3fは、搬送トレイ3の移動する距離Xだけ前後方向に離間している。同様に、左右方向の他方側に配置される2つのガイド部3hおよび3gは、搬送トレイ3の移動する距離Xだけ前後方向に離間している。
【0032】
また、図4Aに図示するように、搬送トレイ3の下面側には、ガイド部3eの直ぐ後側にローダー部4のガイドレール4aに摺動可能に係合する第1ボス3iが設けられている。また、第1ボス3iから距離Xよりも長い距離Yだけ前側にローダー部4のガイドレール4aに摺動可能に係合する第2ボス3jが設けられている。その結果、距離Xだけ離間している2つのガイド部3eおよび3fは、距離Xよりも長い距離Yだけ離間している2つの第1ボス3iおよび第2ボス3jの間に挟まれるように配置されている。本実施例の第1ボス3iおよび第2ボス3jは、ガイド部3eまたは3fよりも幅が広い円柱状の部分として形成されている。
【0033】
また、搬送トレイ3のガイド部(3e~3h)のそれぞれの近くには、ガイド部(3e~3h)との間にガイドレール(4a、4b)を挟持する複数のフック部(3a~3d)がさらに設けられている。フック部(3a~3d)は、ガイド部(3e~3h)とともに、搬送トレイ3がローダー部4のガイドレール(4a、4b)に当接した状態で前進または後退することができるように、ガイドレール(4a、4b)に対して摺動する。
【0034】
また、図5Aに図示するように、ローダー部4の上面側には、左右にそれぞれガイドレール4aおよびガイドレール4bが設けられている。ガイドレール4aおよびガイドレール4bは、前後方向に設けられた溝部を形成する部分であって、搬送トレイ3のガイド部(3e~3h)が前後方向に摺動可能な平面を溝部の底に含む。具体的には、左右方向の一方側に配置されるガイドレール4aには、搬送トレイ3のガイド部3eおよび3fと、2つの第1ボス3iおよび第2ボス3jとが摺動可能に配置される。また、左右方向の他方側に配置されるガイドレール4bには、搬送トレイ3のガイド部3gおよび3hが摺動可能に配置される。
【0035】
図5Aおよび図5B図5Dの一部拡大図に図示するように、ガイドレール4aには、最も後側で溝部の幅が狭くなる第1溝部4cと、第1溝部4cから前側に距離Xだけ離間した位置で溝部の幅が狭くなる第2溝部4dと、第2溝部4dからさらに前側に距離Yだけ離間した位置で溝部の幅が狭くなる第3溝部4eと、が形成されている。第1溝部4c、第2溝部4d並びに第3溝部4eの溝部の幅は、第1ボス3iおよび第2ボス3jの円柱状の直径とほぼ同じか若干大きい寸法に調整されている。
【0036】
つまり、最も後側の第1溝部4cは、クローズ状態で搬送トレイ3の第1ボス3iが係合するように幅が狭くなる部分である。また、中間に位置する第2溝部4dは、オープン状態で搬送トレイ3の第1ボス3iが係合するように幅が狭くなる部分である。また、最も前側の第3溝部4eは、オープン状態で搬送トレイ3の第2ボス3jが係合するように幅が狭くなる部分である。ガイドレール4aの狭くなった溝部と第1ボス3iまたは第2ボス3jとが係合すると、ローダー部4に対して前後方向に移動する搬送トレイ3の位置決めを図ることができる。
【0037】
図6A図6B図7Aおよび図7Bは、ディスク再生装置10がクローズ状態で搬送トレイ3が収容されている場合を説明する図である。また、図8図9Aおよび図9Bは、オープン状態で搬送トレイ3がイジェクトされている場合を説明する図である。図6Aおよび図8は、ディスク再生装置10を側面視した断面図であり、図6B図6Aの一部拡大断面図である。また、図7Aおよび図9Aは、ディスク再生装置10を上面視した平面図であり、フロントパネル1および筐体5の図示を省略している。また、図7B図7C図9Bおよび図9Cは、それぞれ図7Aおよび図9Aでの搬送トレイ3の下側に隠れる部分を一部で透明視して拡大した断面図である。
【0038】
ディスク再生装置10のクローズ状態では、搬送トレイ3の前端側は、図6Aおよび図6Bに示すように、トレイパネル2の左右両端に設けられた後側に突出する凸部2aおよび2bと、フロントパネル1の開口1aの周囲に設けられている凹部1bまたは凹部1cと、が係合することで位置決めされ、静止位置が定まる。右側の凹部1cは左右方向に長い長円状の孔であり、円形の孔である左側の凹部1bよりも若干大きく形成されているので、精度良く搬送トレイ3の前端側を位置決めすることができ、かつ、フロントパネル1またはトレイパネル2の成形寸法が公差の範囲で変動することがあっても、トレイパネル2がフロントパネル1の開口1aの周囲に衝突してローディングスタックするような不具合が発生しない。
【0039】
また、ディスク再生装置10のクローズ状態では、搬送トレイ3の後端側は、図7Aおよび図7Bに示すように、搬送トレイ3の第1ボス3iと、第1ボス3iが摺動可能に配置されるガイドレール4aにおける最も後側で溝部の幅が狭くなる第1溝部4cと、が係合することで左右方向が位置決めされる。なお、上下方向は、第1ボス3iの近くに設けられるガイド部3eとガイドレール4aを挟持するフック部3aとにより、位置決めされる。
【0040】
また、ディスク再生装置10のクローズ状態では、図7Cに示すように、搬送トレイ3の第2ボス3jと、第2ボス3jが摺動可能に配置されるガイドレール4aにおける中間で溝部の幅が狭くなる第2溝部4dと、は係合しない位置関係になるように配置されている。2つの第1ボス3iおよび第2ボス3は、搬送トレイ3が移動する距離Xよりも長い距離Yだけ離間するように配置されているからである。その結果、ディスク再生装置10のクローズ状態では、搬送トレイ3の前端側(凸部2aおよび凹部1b、凸部2bおよび凹部1c)と後端側(第1ボス3iおよび第1溝部4c)の2カ所が位置決めされるので、非常に高い組立精度が必要な第3の位置決めを設けずに済む。
【0041】
ディスク再生装置10のオープン状態では、搬送トレイ3は前側に距離Xだけ前進するので、その前端側は、図8に示すように、フロントパネル1の開口1aから前方に突出して、トレイパネル2を直接に支持して位置決めできない。そこでオープン状態では、図9Aおよび図9Cに示すように、搬送トレイ3の第2ボス3jと、第2ボス3jが摺動可能に配置されるガイドレール4aにおける最も前側で溝部の幅が狭くなる第3溝部4eと、が係合することで左右方向が位置決めされる。なお、上下方向は、第2ボス3jの近くに設けられるガイド部3fとガイドレール4aを挟持するフック部3bとにより、位置決めされる。
【0042】
また、ディスク再生装置10のオープン状態では、搬送トレイ3の後端側は、図9Aおよび図9Bに示すように、搬送トレイ3の第1ボス3iと、第1ボス3iが摺動可能に配置されるガイドレール4aにおける中間で溝部の幅が狭くなる第2溝部4dと、が係合することで左右方向が位置決めされる。なお、上下方向は、第1ボス3iの近くに設けられるガイド部3eとガイドレール4aを挟持するフック部3aとにより、位置決めされる。つまり、ディスク再生装置10のオープンでも、搬送トレイ3の前端側(第2ボス3jおよび第3溝部4e)と後端側(第1ボス3iおよび第2溝部4d)の2カ所が位置決めされるので、非常に高い組立精度が必要な第3の位置決めを設けずに済む。
【0043】
本実施例のディスク再生装置10は、クローズ状態でも、オープン状態でも、搬送トレイ3の位置決めを非常に高い組立精度が必要な第3の位置決めを設けずに前後2カ所で済ませることができるので、低コストに精度よく組み立てることができる利点がある。
【0044】
また、上記の説明の通り、複数のガイド部(3e~3h)および複数のフック部(3a~3d)のうち少なくとも同じ4カ所がガイドレール4aまたは4bに当接した状態で搬送トレイ3が前進または後退する。具体的には、ガイドレール4aの底面に対して摺動するガイド部3eおよび3fと、ガイドレール4bの底面に対して摺動するガイド部3gおよび3hと、のみが摺動で接触する部分となり、搬送トレイ3の移動が止まるまでは接触する部分が変化しない。したがって、この構造は、搬送トレイ3が首振り、または、シーソー的に揺れるような挙動を抑制することができ、そのアンロード動作/ロード動作を滑らかにでき、高い動作品位を実現することができる。
【0045】
なお、本実施例では、第1溝部4cと、第2溝部4dおよび第3溝部4eは、一方のガイドレール4aのみに設けられているが、ガイド部3hおよび3gのすぐ近くに対応する第1ボス3iおよび第2ボス3jが搬送トレイ3に設けられているのであれば、他方のガイドレール4bにも同様に対応する第1溝部4cと、第2溝部4dおよび第3溝部4eを設けてもよい。
【0046】
本発明は上記実施例に限定されない。搬送トレイ3のガイド部と、ローダー部4のガイドレールは、それらの基体の左右方向の中心に近い位置に形成されていてもよい。また、トレイパネル2と搬送トレイ3とは一体に成形されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の記録媒体装填装置は、映像信号又は音声信号を記録・再生するディスク再生装置10のみならず、他の映像音響機器又は電子計算機等の機器の記録媒体装填装置にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 フロントパネル
1a 開口
1b、1c 凹部
2 トレイパネル
2a、2b 凸部
3 搬送トレイ
3a~3d フック部
3e~3h ガイド部
3i~3j ボス
4 ローダー部
4a ガイドレール
4c~4e 溝部
5 筐体
10 ディスク再生装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9