(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】鋳型用接着剤及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B22C 1/00 20060101AFI20221228BHJP
B22C 1/22 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B22C1/00 J
B22C1/22
(21)【出願番号】P 2019036192
(22)【出願日】2019-02-28
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】海川 善久
(72)【発明者】
【氏名】高間 智宏
(72)【発明者】
【氏名】石田 靖英
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-247743(JP,A)
【文献】特開平6-192633(JP,A)
【文献】特開2010-017752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別に作製された鋳型同士の接着に用いられる鋳型用接着剤にして、
常温硬化性樹脂と、
耐火度がSK15以上であり、且つ、平均粒子径が0.1~20μmである無機フィラーと
を含有し、
前記無機フィラーの含有割合が30~80質量%であることを特徴とする鋳型用接着剤。
【請求項2】
前記無機フィラーにおける、蛍光X線分析方法によって測定されるAl
2O
3の含有割合が、14質量%以上である請求項
1に記載の鋳型用接着剤。
【請求項3】
前記無機フィラーにおける、蛍光X線分析方法によって測定されるNa
2O 及びK
2O の合計量の含有割合が、2質量%以下である請求項1
又は請求項2に記載の鋳型用接着剤。
【請求項4】
前記無機フィラーのかさ比重が0.1~0.6g/cm
3 である請求項1乃至
請求項3の何れか1項に記載の鋳型用接着剤。
【請求項5】
平均粒子径が1~50nmである微細粒子を更に含有する請求項1乃至
請求項4の何れか1項に記載の鋳型用接着剤。
【請求項6】
前記常温硬化性樹脂が、溶剤の揮発により固化乃至は硬化する樹脂である請求項1乃至
請求項5の何れか1項に記載の鋳型用接着剤。
【請求項7】
30℃における粘度が4000~250000mPa・sである請求項1乃至
請求項6の何れか1項に記載の鋳型用接着剤。
【請求項8】
耐火度がSK15以上であり、且つ、平均粒子径が0.1~20μmである無機フィラーを、常温硬化性樹脂の溶液に添加して、30℃における粘度が4000~250000mPa・sである鋳型用接着剤を得ることを特徴とする鋳型用接着剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳型用接着剤及びその製造方法に係り、特に、比較的高温の溶湯が注湯される鋳型において、有利に用いられる鋳型用接着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鋳物砂からなる砂型(鋳型)のうち、別個に造型された複数個の鋳型が接合されてなる一体物が、鋳型として、鋳造に使用される場合がある。具体的には、上型と下型とが接合されて、また、主型と中子とが接合されて、鋳造に使用されるのであり、更には、複雑な形状が要求される中子については、複数個に分割した形状の鋳型を製造し、その複数個の鋳型を接合せしめることにより、形成されている。
【0003】
ここで、鋳物砂からなる砂型(鋳型)を接合する手法としては、例えば、鋳型造型の際の加熱状態にある鋳型の接合面と、他の鋳型の接合面との間に、熱硬化性樹脂を介在せしめ、鋳型の熱によって熱硬化性樹脂樹脂を硬化させることによって二つの鋳型を接合(接着)させる手法や、造型後に室温まで冷却した鋳型同士を、接着剤を用いて接合(接着)する手法等が、知られている。
【0004】
そのような状況の下、特許文献1(特開平6-192633号公報)においては、鋳物中子用接着剤として、熱可塑性または自己架橋形ポリマーエマルジョンのポリマー100部に対して粉末状のポリオレフィン樹脂を5~200部混合してなるものが、提案されている。同文献によれば、そこに提案されている鋳物中子用接着剤は、鋳物の表面仕上がりがきれいで、後のバリ取りや補修充填作業が少なくて済むという利点がある、とされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示のものを含む従来の鋳型用接着剤にあっては、溶湯に対する耐熱性が十分であるとは言い難いものであり、例えば、従来の鋳型用接着剤を用いて接着された鋳型を、鉄等の、溶湯が比較的高温となる金属の鋳造に使用すると、鋳型間の接着剤が存在している繋ぎ目部より、溶湯が漏れる恐れがあり、また、鋳造の際の熱によって、鋳型間の繋ぎ目部より部分的に接着剤が消失し、その消失した部位に溶湯が浸入することにより、得られる鋳造物の表面にバリが発生する恐れがあった。
【0006】
その一方、鋳造現場において鋳型用接着剤を調製することは、作業性の観点より好ましいものではなく、そのため、保存性に優れた鋳型用接着剤、換言すれば、調製から長時間が経過しても、要求される接着性能等を高いレベルで発揮し得る鋳型用接着剤の開発が、求められているのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、溶湯の熱に対して優れた耐熱性を発揮し、また、調製から長時間が経過しても優れた接着性を発揮する、鋳型用接着剤を提供することにある。また、本発明は、そのような優れた鋳型用接着剤を有利に製造することが出来る方法を提供することも、その解決課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書の記載から把握され得る発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0010】
(1) 個別に作製された鋳型同士の接着に用いられる鋳型用接着剤にして、常温硬化性樹脂と、耐火度がSK15以上であり、且つ、平均粒子径が0.1~20μmである無機フィラーとを含有し、前記無機フィラーの含有割合が30~80質量%であることを特徴とする鋳型用接着剤。
(2) 前記無機フィラーにおける、蛍光X線分析方法によって測定されるAl2O3の含有割合が、14質量%以上である前記態様(1)に記載の鋳型用接着剤。
(3) 前記無機フィラーにおける、蛍光X線分析方法によって測定されるNa2O 及びK2O の合計量の含有割合が、2質量%以下である前記態様(1)又は前記態様(2)に記載の鋳型用接着剤。
(4) 前記無機フィラーのかさ比重が0.1~0.6g/cm3 である前記態様(1)乃至前記態様(3)の何れか1つに記載の鋳型用接着剤。
(5) 平均粒子径が1~50nmである微細粒子を更に含有する前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の鋳型用接着剤。
(6) 前記常温硬化性樹脂が、溶剤の揮発により固化乃至は硬化する樹脂である前記態様(1)乃至前記態様(5)の何れか1つに記載の鋳型用接着剤。
(7) 30℃における粘度が4000~250000mPa・sである前記態様(1)乃至前記態様(6)の何れか1つに記載の鋳型用接着剤。
(8) 耐火度がSK15以上であり、且つ、平均粒子径が0.1~20μmである無機フィラーを、常温硬化性樹脂の溶液に添加して、30℃における粘度が4000~250000mPa・sである鋳型用接着剤を得ることを特徴とする鋳型用接着剤の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明に従う鋳型用接着剤にあっては、含有せしめられている無機フィラーが、耐火度がSK15以上のものであるところから、接着剤の硬化物が優れた耐熱性を発揮することとなる。具体的には、鉄製の鋳造品を製造する際に、本発明に係る鋳型用接着剤にて接着された鋳型(砂型)を用いた場合、1300℃を超える鉄の溶湯が鋳型内に注湯されても、溶湯の熱により、鋳型(砂型)間の繋ぎ目における接着剤の硬化物中の無機フィラーが軟化したり、膨張したりすることはなく、また、接着剤硬化物自体が欠損等することも効果的に抑制されるところから、最終的に得られる鉄製の鋳造品表面におけるバリの発生が、有利に抑制されることとなるのである。
【0012】
また、本発明において使用される無機フィラーは、上述の如く、耐火度が所定値以上のものであることに加えて、0.1~20μmの平均粒子径を有するものである。このように、平均粒子径が所定範囲内にある無機フィラーが使用されていることにより、本発明に従う鋳型用接着剤にあっては、良好な分散性が長期間に亘って維持(保持)され得るのであり、例えば、調製から長時間が経過した接着剤にあっても、無機フィラーが偏在していないことから、鋳型(砂型)の接着に用いると、優れた接着性を発揮することとなるのである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例における注湯試験に用いた鋳造試験用砂型の縦断面説明図である。
【
図2】実施例において廃中子を内包した鉄鋳物の縦断面説明図である。
【
図3】実施例において常温接着強度の測定の際に用いたテストピースの外形を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ところで、本発明に従う鋳型用接着剤は、常温硬化性樹脂を必須成分の一つとするものである。かかる常温硬化性樹脂が硬化することにより、本発明の鋳型用接着剤が接着性を発揮するのである。
【0015】
本発明において、常温硬化性樹脂とは、常温下、流動可能な状態を呈し、特定の要因によって硬化乃至は固化が進行する樹脂を意味するものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、樹脂とは、一般的に合成樹脂と称される高分子化合物は勿論のこと、一般的にゴムやエラストマーと称される高分子化合物をも含む意義において使用されていることが、理解されるべきである。本発明においては、常温硬化性樹脂として従来より公知のものであれば、特に限定することなく、使用することが可能である。本発明において使用可能な常温硬化性樹脂としては、硬化触媒や架橋剤等が添加されることによって硬化が進行する樹脂(以下、反応系の常温硬化性樹脂という)や、常温下、溶剤の揮発により硬化乃至は固化が進行する樹脂(以下、溶液系の常温硬化性樹脂という)等を、例示することが出来る。
【0016】
より具体的に、反応系の常温硬化性樹脂は、a)架橋剤等の硬化剤を添加することにより硬化が進行する硬化剤添加型(二液硬化型)、b)周囲の湿気により硬化が進行する湿気硬化型、c)周囲の空気を遮断することにより硬化が進行する嫌気型、等が挙げられる。硬化剤添加型の常温硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂やアクリル樹脂等を、また、湿気硬化型の常温硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、シアノアクリレート樹脂や室温硬化型(RTV)シリコーンゴム等を、更には、嫌気型の常温硬化性樹脂としては、ジメタアクリレート等を、各々、例示することが出来る。一方、溶液系の常温硬化性樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル樹脂、ポリアミド、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン系ブロック共重合体、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、アクリルゴムやウレタンゴム等を、例示することが出来る。なお、上記したもののうち、例えばエポキシ樹脂のように、反応系及び溶液系の双方に挙げられている樹脂は、何れの方式によっても硬化せしめることが可能である。
【0017】
上記した常温硬化性樹脂のうち、硬化剤添加型の常温硬化性樹脂は、接着剤として塗布する前に別途、混合するための工程が必要であり、また湿気硬化型の常温硬化性樹脂は、湿気のない環境下で製造できる設備が必要であり、更に嫌気型の常温硬化性樹脂は、接着対象である鋳型が通気性を有するものであるため、空気を遮断して製造できる設備が必要である。従って、本発明においては、溶剤の揮発により硬化乃至は固化が進行する「溶液系」の常温硬化性樹脂が、有利に用いられる。
【0018】
また、上述した常温硬化性樹脂は、後述する無機フィラーが均一に分散せしめられるように、30℃における粘度が100~500mPa・s程度であることが好ましい。なお、粘度を調整する際には、鋳型用接着剤を製造(調製)する際に使用可能な溶媒として後述するものと同様のものを、使用することが可能である。
【0019】
一方、そのような常温硬化性樹脂と同様に、本発明の鋳型用接着剤における主成分の一つである無機フィラーは、耐火度がSK15以上であり、且つ、平均粒子径が0.1~20μmのものである。このような特定の無機フィラーが用いられていることにより、本発明に係る鋳型用接着剤は、優れた耐熱性を発揮すると共に、長期間の保存が可能ならしめられているのである。
【0020】
本発明においては、鋳型用接着剤において耐熱性を発現させるべく、耐火度がSK15以上、好ましくはSK25~SK42、より好ましくはSK30~SK41の無機フィラーが使用される。なお、耐火度とは、JIS R2204:1999「耐火物及び耐火物原料の耐火度試験方法」により測定される耐火度(SK値)を意味するものである。なお、JIS規格による耐火度はSK42までであるが、それを超える耐火度を有する無機フィラーが存在するのであれば、勿論、本発明において使用可能である。
【0021】
また、平均粒子径が大きすぎる無機フィラーを用いると、接着剤中における無機フィラーの分散性や、接着剤の高温時における接着性能を悪化させる恐れがあるため、本発明では、0.1~20μm、好ましくは0.2~10μmの平均粒子径を有する無機フィラーが使用される。本発明における無機フィラーの平均粒子径、及び後述する微細粒子の平均粒子径とは、何れも、粒度分布を測定した際の、積算値50%の粒子径(D50)を意味するものである。
【0022】
さらに、本発明の鋳型用接着剤において、無機フィラーの含有割合が少なすぎると、接着剤が十分な耐熱性を発揮し得ない恐れがあり、その一方、無機フィラーの含有割合が多過ぎると、接着剤としての接着性能が悪化する恐れがある。このため、本発明における無機フィラーの含有割合は、好ましくは30~80質量%、より好ましくは35~75質量%、更に好ましくは40~70質量%となるように、調製される。
【0023】
加えて、本発明に使用される無機フィラーは、蛍光分析方法によって測定されるアルミナ(Al2O3)の含有割合が、14質量%以上であることが好ましく、15~99.999質量%であることがより好ましく、30~99.8質量%であることが更に好ましい。なお、Al2O3の含有割合が100質量%の無機フィラーであっても、使用することが可能である。Al2O3の含有割合が14質量%以上である無機フィラーは、優れた耐熱強度を発揮すると共に低膨脹性であり、更には、優れた熱伝導性により鋳型用接着剤の放熱性の向上に寄与するという利点がある。
【0024】
また、本発明に使用される無機フィラーは、蛍光分析法によって測定されるNa2O 及びK2O の合計量の含有割合が、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。Na2O 及びK2O の含有割合が大きすぎると、無機フィラーが融解又は軟化して熱膨張しやすくなり、また、鋳型用接着剤の耐熱性を悪化させる恐れがある。従って、本発明においては、蛍光分析法によって測定されるNa2O 及びK2O の合計量の含有割合が0質量%である無機フィラーを使用することも、可能である。
【0025】
なお、本発明において「蛍光分析方法によって測定されるAl2O3(Na2O 及びK2 Oの合計量)の含有割合」とは、JIS R2216:2005「耐火物製品の蛍光X線分析法」に規定される試験法に従って測定される、Al2O3(Na2O 及びK2O の合計量)の含有割合を、意味するものである。
【0026】
さらに、本発明において、かさ比重が大きすぎる無機フィラーを用いた鋳型用接着剤にあっては、長期間保存すると、接着剤中において無機フィラーが分離する恐れがある。このため、本発明にて使用される無機フィラーは、かさ比重が0.1~0.6g/cm3 の範囲内にあるものが、有利に用いられる。なお、無機フィラーのかさ比重とは、日本粉体工業技術協会規格SAP05-98:2013に準じて測定される、ゆるみかさ比重の数値を意味する。
【0027】
本発明において用いられる無機フィラーとしては、各種のクレー、アルミナ、ムライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、ジルコニア、窒化ケイ素、炭化ケイ素や酸化マグネシウム等を、例示することが出来る。各種のクレーとは、具体的に、a)カオリナイト、ナクライトやディッカイト等のカオリン鉱物を主成分とする粘土であるカオリンクレー、b)葉蝋石(パイロフィライト)を主成分とする粘土であるろう石クレーや、c)石英、絹雲母(セリサイト)を主成分とし、少量のカオリン鉱物を含む粘土である陶石クレー等を、挙げることが出来る。このような無機フィラーの中でも、本発明においては、特にカオリンクレーやムライトが有利に用いられるのである。
【0028】
本発明に従う鋳型用接着剤は、上述した常温硬化性樹脂、及び所定の無機フィラーを必須の構成成分とするものであるが、本発明の鋳型用接着剤には、従来より公知の鋳型用接着剤に使用される各種の添加剤を、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、使用することが可能である。そのような添加剤としては、微細粒子や界面活性剤を例示することが出来る。
【0029】
鋳型用接着剤における粘度の調整(粘度の上昇)を目的として、微細粒子を添加することが可能である。有利には、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化マグネシウム、チタン酸バリウムや炭酸カルシウム等から構成される、平均粒子径が1~50nmである微細粒子が、鋳型用接着剤に添加されて使用される。なお、このような微細粒子は、常温硬化性樹脂(樹脂分)と無機フィラーとの合計量の100質量部に対して、0.01~1質量部の割合において、好ましくは0.1~0.5質量部の割合において、本発明の鋳型用接着剤に添加される。
【0030】
また、接着剤中における無機フィラーの分散性の更なる向上を目的として、本発明の鋳型用接着剤に界面活性剤を添加することも可能である。本発明においては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤の何れをも、用いることが出来る。
【0031】
具体的に、陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。また、陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N-アシル-N-メチルグリシン塩、N-アシル-N-メチル-β-アラニン塩、N-アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。更に、両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。加えて、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、ニューポールPE-62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド、アセチレングリコール、アセチレンアルコール等が挙げられる。
【0032】
また、種々の界面活性剤のうち、特に、非極性部位としてシロキサン構造を有するものをシリコーン系界面活性剤といい、パーフルオロアルキル基を有するものをフッ素系界面活性剤という。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエステル変性シリコーン、アクリル末端ポリエステル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アクリル末端ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、アミノプロピル変性シリコーン等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルスルフォン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー等が挙げられる。
【0033】
本発明においては、上述の如き各種の界面活性剤を、単独で、又は2種類以上を混合して、鋳型用接着剤に添加することが可能であり、非イオン性界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が有利に用いられる。界面活性剤は、常温硬化性樹脂(樹脂分)と無機フィラーとの合計量の100質量部に対して、0.1~7質量部の割合において、好ましくは1~5質量部の割合において、本発明の鋳型用接着剤に添加される。
【0034】
そして、上述した常温硬化性樹脂及び無機フィラーに、必要に応じて微細粒子や界面活性剤等の添加剤が添加され、混合せしめることにより、本発明に従う鋳型用接着剤が調製(製造)されるのであるが、かかる調製(製造)に際しては、必要に応じて、溶剤(溶媒)を使用することが出来る。そのような溶剤(溶媒)としては、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールやベンジルアルコール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン、n-ヘキサン、メチルシクロヘキサンやスチレン等の炭化水素類;ジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸ジエチル、炭酸ジメチルや炭酸プロピレン等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンやジアセトンアルコール等のケトン類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドやN-メチルピロリドン等の窒素類;ブチルグリコール、メチルジグリコール、ブチルジグリコール、3-メチル-3-メトキシブタノールやテトラヒドロフラン等のグリコールエーテル類;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素やクロロベンゼン等の塩素類に加えて、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ギ酸や酢酸等のカルボン酸類、水等を、例示することが出来る。このような溶剤(溶媒)は、最終的に得られる鋳型用接着剤において、30℃における粘度が5000~250000mPa・sとなるように、好ましくは8000~210000mPa・sとなるように、必要に応じて添加される。
【0035】
加えて、その他の添加剤として、カップリング剤、分散剤、防腐剤等を含有せしめることも可能である。これらその他の添加剤は、常温硬化性樹脂(樹脂分)と無機フィラーとの合計量の100質量部に対して、0.1~7質量部の割合において、好ましくは1~5質量部の割合において、本発明の鋳型用接着剤に添加される。
【0036】
以上、詳述したように、本発明に従う鋳型用接着剤にあっては、常温硬化性樹脂と共に所定の無機フィラーを必須の構成成分とするものである。そのような所定の無機フィラーが含有せしめられていることにより、本発明の鋳型用接着剤は、非常に優れた耐熱性を発揮するのであり、また、調製から長時間が経過しても、無機フィラーは偏在することなく、良好な分散性が維持せしめられるのであり、調製から長時間が経過した接着剤にあっても、鋳型(砂型)を接着せしめた際には優れた接着性を発揮することとなるのである。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明の特徴を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。なお、以下に示す%及び部は、何れも、質量基準である。
【0038】
先ず、以下に示す原料を用いて、下記表1乃至表4に示す割合において各成分を含有する鋳型用接着剤を調製した。
・無機フィラー:カオリンクレーa(竹原化学工業株式会社製、製品名:RC1、平均 粒子径:0.4μm)
・無機フィラー:カオリンクレーb(山陽クレー工業株式会社製、製品名:BIカオリ ン、平均粒子径:3.0μm)
・無機フィラー:カオリンクレーc(竹原化学工業株式会社製、製品名:NNカオリン クレー、平均粒子径:8.0μm)
・無機フィラー:カオリンクレーd(カオリンクレーcを篩分けし、粒子径の小さいも のを取り除き、平均粒子径:25μmの粒子としたもの。)
・無機フィラー:アルミナa(鱗片状アルミナ、キンセイマテック株式会社製、製品名 :セラフ、平均粒子径:2.0μm)
・無機フィラー:アルミナb(粒状アルミナ、住友化学株式会社製、製品名:AM-2 8B、平均粒子径:19μm)
・無機フィラー:アルミナc(粒状アルミナ、住友化学株式会社製、製品名:AA-1 8、平均粒子径:22μm)
・無機フィラー:ろう石クレーa(山陽クレー工業株式会社製、製品名:TPクレー、 平均粒子径:8.0μm)
・無機フィラー:ろう石クレーb(株式会社勝光山鉱業所製、製品名:乾式クレー、平 均粒子径:11.0μm)
・無機フィラー:ろう石クレーc(株式会社勝光山鉱業所製、製品名:DLクレー、平 均粒子径:28.0μm)
・無機フィラー:ムライト(共立マテリアル株式会社製、製品名:KM101,平均粒 子径:0.7μm)
・無機フィラー:陶石クレー[天草原石(製品名、共立マテリアル株式会社製)をボー ルミル等で破砕した後に篩い分けし、平均粒子径:4.0μmの粒子 としたもの。]
・無機フィラー:ベントナイト(クニミネ工業株式会社製、製品名:クニゲルVA、平 均粒子径:6.5μm)
・無機フィラー:マイカ(株式会社セイシン企業製、製品名:セイシンマイカCS-0 5、平均粒子径:5.0μm)
・無機フィラー:凝灰岩[石川ライト6号(製品名、石川ライト工業株式会社製)をボ ールミル等で破砕した後に篩分けし、平均粒子径:12μmの粒子と したもの。]
・樹脂溶液:酢酸ビニル樹脂溶液[ゴーセニール M50-Y5(製品名、日本合成化 学工業株式会社製)に溶剤(アセトン)を添加し、固形分(樹脂分)を1 5質量%に調整したもの。]
・樹脂溶液:クロロプレンゴム溶液[ハマタイトA-862-B(製品名、横浜ゴム株 式会社製)に溶剤(アセトン)を添加し、固形分(樹脂分)を20質量% に調整したもの。]
・樹脂溶液:ニトリルゴム溶液[ウェルボンドスーパー(製品名、横浜ゴム株式会社製 )に溶剤(アセトン)を添加し、固形分(樹脂分)を20質量%に調整し たもの。]
・微細粒子:アエロジル(日本アエロジル株式会社製、製品名:AEROSIL R8 12、平均粒子径:約7nm)
・微細粒子:アルミナ微粉(TECNAN社製、製品名:TECNAPOW-Al2O 3、平均粒子径:約22nm)
・界面活性剤:シリコーン系界面活性剤(ビックケミージャパン株式会社製、製品名: BYK-370)
・界面活性剤:非イオン系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、製品名:オレフィン E1004)
【0039】
なお、無機フィラーの成分分析を、JIS R2216:2005「耐火物製品の蛍光X線分析法」に準拠し、蛍光X線分析装置を用いて行った。また、無機フィラー及び微細粒子の平均粒子径、無機フィラーの耐火度及びかさ比重、並びに、調製された鋳型用接着剤の粘度は、各々、以下の手法に従って測定した。
【0040】
-平均粒子径-
日機装株式会社製のマイクロトラック粒度分析装置(製品名:MT3200II)を用いて、試料(無機フィラー、微細粒子)の粒度分布から、積算値50%の粒子径を平均粒子径(D50)とした。
【0041】
-耐火度-
JIS R2204:1999「耐火物及び耐火物原料の耐火度試験方法」に規定される試験法に従い、耐火度(SK番号)を測定した。
【0042】
-かさ比重-
日本粉体工業技術協会SAP05-98:2013に準拠して、パウダーテスタPT-E(製品名、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、測定円台に試料容器(容積:100mL)を置き、試料用ホッパーを振動させ、目開き:710μmの網を通して試料を落下させて、試料容器に山盛りに充填し、試料容器の上部においてすり切りヘラですり切りし、その重量を測定することにより、ゆるみかさ比重を求めた。
【0043】
-粘度-
実施例及び比較例において得られた鋳型用接着剤の粘度を、それぞれ、JIS K7117-1:1999「プラスチック-液状、乳濁状又は分散状の樹脂-ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」に準拠して、B形粘度測定装置を用いて測定した。
【0044】
そして、調製された各鋳型用接着剤を用いて、以下の各試験を行い、評価した。評価結果を、下記表1乃至表4に示す。
【0045】
(1)保管試験-分離試験-
遠沈管(内径:1.2cm×高さ:10.5cm)の10mLの目盛りまで試料(鋳型用接着剤)を入れ、遠心分離機を用いて3000rpmの回転数にて60分間、遠心分離を行った。その後、遠心分離機より遠沈管を取り出し、試料(鋳型用接着剤)における無機フィラーの分離状態を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。なお、○又は△と評価された試料は、実用上、鋳型用接着剤として問題なく使用することが可能である。
○:無機フィラーの分離は認められない。
△:試料液面から分離面までの距離(接着剤溶液からなる層の厚さ)が1cm以内で ある。
×:試料液面から分離面までの距離(接着剤溶液からなる層の厚さ)が1cmを超え る。
【0046】
(2)保管試験-長期保管試験-
遠沈管(内径:1.2cm×高さ:10.5cm)の10mLの目盛りまで試料(鋳型用接着剤)を入れ、その状態で3ヶ月間、静置した。3ヶ月経過後の試料(鋳型用接着剤)における無機フィラーの分離状態を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。なお、◎、○又は△と評価された試料は、実用上、鋳型用接着剤として問題なく使用することが可能である。
◎:無機フィラーの分離は認められない。
○:遠沈管の上方と下方とを比較すると、色合いの差こそ認められるものの、無機フ ィラーの分離は認められない。
△:試料液面から分離面までの距離(接着剤溶液からなる層の厚さ)が1cm以内で ある。
×:試料液面から分離面までの距離(接着剤溶液からなる層の厚さ)が1cmを超え る。
【0047】
(3)耐熱試験
レジンコーテッドサンドを用いて、直径:30mm×高さ:20mmの円筒形テストピースを造型し、空冷にて室温まで冷却した。次いで、テストピースにおける一方の端面に試料(鋳型用接着剤)の0.4gを塗布し、そこに他のテストピースの端面を貼り合わせて1分間、圧着し、その後24時間、室温下で放置した。かかる放置の後、貼り合わせられた二つのテストピースを、1000℃に加熱された高温焼成炉の中に3分間、載置した。高温焼成炉からテストピースを取り出し、その貼り合わせられた部分における隙間(接着部分)を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。なお、○又は△と評価された試料は、実用上、鋳型用接着剤として問題なく使用することが可能である。
○:変化は認められない。
△:隙間が僅かに広がっている。
×:隙間が大きく広がっている。
【0048】
(4)注湯試験
先ず、
図1に示されるように、予めレジンコーテッドサンド(RCS)で作製された、上部に溶湯注入口2と下部に中子の幅木固定部4(この部分は鋳物からの廃中子の排出口となる)を有する半割れ中空主型6(キャビティ直径:60mm、高さ:60mm)内に、RCSを用いて作製した幅木部8を有する円形無空中子10(直径:50mm、高さ:50mm)を幅木固定部4で接着固定した後、更に相方中空主型6を接着固定して、試験用砂型12を作製する。中空主型6内に収容される円形無空中子10としては、一体物として造型されたものを、高さが半分(25mm)の部位にて切断し、その切断によって生じた二つの部材(10a、10b)を、それら部材の対向する面に実施例又は比較例で得られる試料(鋳型用接着剤)の1gを塗布し、貼り合わせて1分間、圧着し、その後24時間、室温で放置したものを用いた。理解を容易なものとするために、
図1及び
図2において、円形無空中子10を構成する二つの部材10a、10b間の接着面(接着線)を、太点線で示す。
【0049】
次いで、この試験用砂型12の溶湯注入口2から鉄(FC150)溶湯(温度:1350±50℃)を注湯し、凝固せしめた後、主型6を壊して、
図2に示す円形の廃中子排出口14(直径:16mm)を有する鋳物16を取り出す。そして、所定の温度となったところで、かかる得られた鋳物16に対して、圧力:0.2MPaにて、エアーハンマーにより30秒間の衝撃を与え、排出口14から中子砂を排出する。その後、鋳物16の内壁における、円形無空中子10の接着面(接着線)に対応する部位に、バリが発生しているか否かを目視で確認し、バリが発生している場合には、その大きさを測定した。目視による観察(及び測定)結果を、以下の基準に従って評価した。なお、◎、○又は△と評価された中子に使用された試料は、実用上、鋳型用接着剤として問題なく使用することが可能である。
◎:バリの発生は認められない。
○:バリの発生が認められるものの、その大きさは指にかかる程度の微小なものであ る。
△:バリの発生が認められ、その突起高さが5mm未満である。
×:バリの発生が認められ、その突起高さが5mm以上である。
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
かかる表1乃至表4より明らかなように、本発明に従う鋳型用接着剤(実施例1~実施例17)にあっては、十分な耐熱性を有しているところから、これを用いて接着した鋳型に1300℃を超える鉄溶湯を注湯した場合でも、得られる鋳造品において、バリの発生が効果的に抑制されることが認められる。また、本発明に従う鋳型用接着剤は、分散性に優れ、長期間の保存においても分離することなく、良好な接着性を発揮し得るものであることも、認められるのである。
【0055】
これに対して、平均粒子径が20μmを超える無機フィラーを含む鋳型用接着剤(比較例1~比較例3)は、分散性に劣っていることが確認される。また、耐火度がSK15未満の無機フィラーを含む鋳型用接着剤(比較例4~比較例6)を用いて鋳型を接着し、その接着した鋳型内に1300℃を超える鉄溶湯を注湯すると、鋳型用接着剤の耐熱性が低いことに起因して、得られる鋳造品にバリが発生することが、確認されるのである。
【0056】
また、本発明に従う鋳型用接着剤について、常温における接着性を確認すべく、以下の実験を行った。
【0057】
レジンコーテッドサンドを用いて、
図3に示される如き形状を呈するテストピース20を造型し、空冷にて室温まで冷却した。次いで、一のテストピース20における接着面に、実施例1~実施例3、実施例6、実施例8、比較例2、比較例3に係る鋳型用接着剤の何れかを0.3g、塗布し、そこに他の一のテストピース20の接着面を貼り合わせて1分間、圧着した。室温下において、圧着後に1時間、放置したテストピース接合体、及び、圧着後に24時間、放置したテストピース接合体について、抗張力試験機を用いてテストピース接合体における接着強度(N/cm
3 )を測定した。その結果を、下記表5に示す。
【0058】
【0059】
かかる表5の結果から明らかなように、本発明に従う鋳型用接着剤は、常温硬化性に優れたものであることも、認められるのである。
【符号の説明】
【0060】
2 溶湯注入口 4 幅木固定部
6 主型 8 幅木部
10 円形無空中子 12 鋳造試験用砂型
14 廃中子排出口 16 鋳物
20 テストピース