(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】洗浄ヘッド、センタブラシ、外周ブラシ、基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
(21)【出願番号】P 2019053365
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】甲盛 諄
(72)【発明者】
【氏名】西山 耕二
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-119161(JP,A)
【文献】特開2012-023209(JP,A)
【文献】特開2002-177898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/04
B08B 7/04
B08B 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の洗浄に用いられる洗浄ヘッドであって、
第1の基台と、前記第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを含むセンタブラシと、
第2の基台と、前記第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを含み、前記センタブラシを取り囲むように配置される外周ブラシとを備え、
前記第1の基台は、前記センタブラシを昇降させる第1の昇降部に連結され、
前記第2の基台は、前記外周ブラシを昇降させる第2の昇降部に連結され、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、
前記第1の昇降部および前記第2の昇降部により互いに
独立してそれぞれ一方向に移動可能に構成され、
前記センタブラシおよび前記外周ブラシの一方は、前記一方向に移動されることにより前記センタブラシおよび前記外周ブラシの他方から取り外し可能に構成された、洗浄ヘッド。
【請求項2】
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、前記一方向に平行な軸の周りで一体的に回転可能に構成された、請求項
1記載の洗浄ヘッド。
【請求項3】
基板の洗浄に用いられる洗浄ヘッドであって、
第1の基台と、前記第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを含むセンタブラシと、
第2の基台と、前記第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを含み、前記センタブラシを取り囲むように配置される外周ブラシとを備え、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、互いに着脱可能に構成され、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、互いに独立して一方向に移動可能に構成され、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、前記一方向に平行な軸の周りで一体的に回転可能に構成され、
前記第1の基台は、前記一方向に直交する非円形状の断面を有し、
前記第2の基台は、前記センタブラシが収容される開口部を有し、
前記開口部は、前記センタブラシの非円形状の断面に対応する非円形状の断面を有する
、洗浄ヘッド。
【請求項4】
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、前記一方向に平行な軸の周りで互いに独立して回転可能に構成された、請求項
1記載の洗浄ヘッド。
【請求項5】
前記第1の洗浄部は、研磨材を含む材料により構成された、請求項1~
4のいずれか一項に記載の洗浄ヘッド。
【請求項6】
前記センタブラシの前記第1の洗浄部は、基板に接触可能な第1の洗浄面を有し、
前記第1の洗浄面には、溝部が形成される、請求項1~
5のいずれか一項に記載の洗浄ヘッド。
【請求項7】
前記第2の洗浄部は、軟質材料により形成された、請求項1~
6のいずれか一項に記載の洗浄ヘッド。
【請求項8】
前記外周ブラシの前記第2の洗浄部は、基板に接触可能な第2の洗浄面を有し、
前記第2の洗浄面は、平坦面と、前記平坦面に対して傾斜したテーパ面とを含む、請求項
7記載の洗浄ヘッド。
【請求項9】
前記第1の基台と前記第2の基台との間および前記第1の洗浄部と前記第2の洗浄部との間で連通するように前記センタブラシと前記外周ブラシとの間に隙間が形成された、請求項1~
8のいずれか一項に記載の洗浄ヘッド。
【請求項10】
外周ブラシに設けられて基板の洗浄に用いられるセンタブラシであって、
第1の基台と、
前記第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを備え、
前記第1の基台は、前記センタブラシを昇降させる第1の昇降部に連結され、
前記外周ブラシは、当該外周ブラシを昇降させる第2の昇降部に連結され、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、前記第1の昇降部および前記第2の昇降部により互いに独立してそれぞれ一方向に移動可能に構成され、
前記外周ブラシにより取り囲まれるよう
に配置され
、前記一方向に移動されることにより前記外周ブラシから取り外し可能に構成された、センタブラシ。
【請求項11】
センタブラシに設けられて基板の洗浄に用いられる外周ブラシであって、
第2の基台と、
前記第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを備え、
前記センタブラシは、当該センタブラシを昇降させる第1の昇降部に連結され、
前記第2の基台は、前記外周ブラシを昇降させる第2の昇降部に連結され、
前記センタブラシと前記外周ブラシとは、前記第1の昇降部および前記第2の昇降部により互いに独立してそれぞれ一方向に移動可能に構成され、
前記センタブラシを取り囲むよう
に配置され
、前記一方向に移動されることにより前記センタブラシから取り外し可能に構成された、外周ブラシ。
【請求項12】
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部により保持された基板を洗浄するように設けられた請求項1~
9のいずれか一項に記載の洗浄ヘッドとを備える、基板洗浄装置。
【請求項13】
前記洗浄ヘッドの前記センタブラシを基板に向けて移動可能に設けられた第1の駆動装置と、
前記洗浄ヘッドの前記外周ブラシを基板に向けて移動可能な第2の駆動装置とをさらに備える、請求項
12記載の基板洗浄装置。
【請求項14】
基板保持部により基板を保持するステップと、
前記基板保持部により保持された基板を請求項1~
9のいずれか一項に記載の洗浄ヘッドにより洗浄するステップとを含む、基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する洗浄ヘッド、センタブラシ、外周ブラシ、基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス等の製造におけるリソグラフィ工程では、基板上にレジスト液が供給されることによりレジスト膜が形成される。レジスト膜が露光された後、現像されることにより、レジスト膜に所定のパターンが形成される。レジスト膜が露光される前の基板には、基板洗浄装置により洗浄処理が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板洗浄装置は、中央部、円環部および台座により構成された洗浄ヘッドを有する。中央部は、円柱状の外観形状を有し、台座の中央に取り付けられる。円環部は、円環状の外観形状を有し、中央部を取り囲むように台座に取り付けられる。中央部および円環部は、基板の裏面およびベベル部の洗浄にそれぞれ用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板を適切に洗浄するためには、当該基板の形状または洗浄の種類に対応した適切な洗浄ヘッドを用いる必要がある。しかしながら、当該基板の形状または洗浄の種類に対応して複数の洗浄ヘッドを準備すると、洗浄処理のコストが増加する。また、洗浄ヘッドは消耗品であり、消耗時には新品に交換される。しかしながら、洗浄ヘッドを頻繁に交換すると、洗浄処理のコストが増加する。
【0006】
本発明の目的は、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能な洗浄ヘッド、センタブラシ、外周ブラシ、基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る洗浄ヘッドは、基板の洗浄に用いられる洗浄ヘッドであって、第1の基台と、第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを含むセンタブラシと、第2の基台と、第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを含み、センタブラシを取り囲むように配置される外周ブラシとを備え、第1の基台は、センタブラシを昇降させる第1の昇降部に連結され、第2の基台は、外周ブラシを昇降させる第2の昇降部に連結され、センタブラシと外周ブラシとは、第1の昇降部および第2の昇降部により互いに独立してそれぞれ一方向に移動可能に構成され、センタブラシおよび外周ブラシの一方は、一方向に移動されることによりセンタブラシおよび外周ブラシの他方から取り外し可能に構成される。
【0008】
この洗浄ヘッドにおいては、外周ブラシがセンタブラシを取り囲むように配置される。センタブラシの第1の基台と外周ブラシの第2の基台とが別体であるので、センタブラシと外周ブラシとは互いに着脱可能である。そのため、センタブラシの第1の洗浄部および外周ブラシの第2の洗浄部のいずれか一方のみが消耗した場合、洗浄ヘッドの全体を交換する必要がなく、消耗したブラシのみを交換することができる。
【0009】
また、洗浄対象の基板の形状または洗浄の種類に応じてセンタブラシと外周ブラシとの組み合わせを変更して洗浄ヘッドを構成することにより、当該洗浄ヘッドを用いて基板を適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0010】
また、センタブラシと外周ブラシとは、互いに独立して一方向に移動可能に構成される。この場合、基板の洗浄部分に応じて適切なブラシを使用することにより、基板を適切に洗浄することができる。また、センタブラシによる洗浄のタイミングと外周ブラシによる洗浄のタイミングとを異ならせることにより、一方のブラシにより発生した汚染物が他方のブラシに付着することが防止される。これにより、洗浄ヘッドを消耗しにくくすることができる。
【0011】
(2)センタブラシと外周ブラシとは、一方向に平行な軸の周りで一体的に回転可能に構成されてもよい。この場合、単純な構成によりセンタブラシと外周ブラシとを回転させることができる。また、センタブラシと外周ブラシとが回転されることにより、基板を効率よく洗浄することができる。
【0012】
(3)第2の発明に係る洗浄ヘッドは、基板の洗浄に用いられる洗浄ヘッドであって、第1の基台と、第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを含むセンタブラシと、第2の基台と、第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを含み、センタブラシを取り囲むように配置される外周ブラシとを備え、センタブラシと外周ブラシとは、互いに着脱可能に構成され、センタブラシと外周ブラシとは、互いに独立して一方向に移動可能に構成され、センタブラシと外周ブラシとは、一方向に平行な軸の周りで一体的に回転可能に構成され、第1の基台は、一方向に直交する非円形状の断面を有し、第2の基台は、センタブラシが収容される開口部を有し、開口部は、センタブラシの非円形状の断面に対応する非円形状の断面を有する。この場合、センタブラシと外周ブラシとを容易に一体的に回転可能に構成することができる。
【0013】
(4)センタブラシと外周ブラシとは、一方向に平行な軸の周りで互いに独立して回転可能に構成されてもよい。この場合、基板の洗浄部分または洗浄の種類に応じてセンタブラシと外周ブラシとの各々を独立して回転させることが可能になる。これにより、基板をより効率よく洗浄することができる。
【0014】
(5)第1の洗浄部は、研磨材を含む材料により構成されてもよい。この場合、センタブラシにより基板を研磨することが可能になる。これにより、基板に強固に付着した異物を除去することができる。
【0015】
(6)センタブラシの第1の洗浄部は、基板に接触可能な第1の洗浄面を有し、第1の洗浄面には、溝部が形成されてもよい。この構成によれば、基板に洗浄液を吐出して基板を洗浄する場合、溝部を通して第1の洗浄面の全体に洗浄液を供給することが容易になる。これにより、基板をより十分に洗浄することができる。
【0016】
(7)第2の洗浄部は、軟質材料により形成されてもよい。この構成によれば、第2の洗浄部が基板に接触した場合、第2の洗浄部が変形する。そのため、基板のベベル部等の平坦でない部分も外周ブラシにより適切に洗浄することができる。また、第2の洗浄部と基板とが接触した場合でも、第2の洗浄部が変形するので、第1の洗浄部と基板との接触が阻害されにくい。したがって、第1および第2の洗浄部を同時にかつ十分に基板に接触させることができる。これにより、基板をより適切に洗浄することが可能となる。
【0017】
(8)外周ブラシの第2の洗浄部は、基板に接触可能な第2の洗浄面を有し、第2の洗浄面は、平坦面と、平坦面に対して傾斜したテーパ面とを含んでもよい。この構成によれば、第2の洗浄部が基板に接触した場合、第2の洗浄部がより容易に変形する。これにより、第1および第2の洗浄部を同時にかつより十分に基板に接触させて基板をさらに適切に洗浄することが可能となる。また、基板の平坦な部分を平坦部により適切に洗浄することができる。さらに、基板のベベル部等の平坦でない部分をテーパ部により適切に洗浄することができる。
【0018】
(9)第1の基台と第2の基台との間および第1の洗浄部と第2の洗浄部との間で連通するようにセンタブラシと外周ブラシとの間に隙間が形成されてもよい。この場合、センタブラシと外周ブラシとが隙間により密着しないので、センタブラシと外周ブラシとの着脱を容易に行うことができる。また、隙間を通して基板に洗浄水の供給を行うことが可能となる。さらに、隙間を通して基板から洗浄水または汚染物等の吸引を行うことが可能となる。
【0019】
(10)第3の発明に係るセンタブラシは、外周ブラシに設けられて基板の洗浄に用いられるセンタブラシであって、第1の基台と、第1の基台に取り付けられた第1の洗浄部とを備え、第1の基台は、センタブラシを昇降させる第1の昇降部に連結され、外周ブラシは、当該外周ブラシを昇降させる第2の昇降部に連結され、センタブラシと外周ブラシとは、第1の昇降部および第2の昇降部により互いに独立してそれぞれ一方向に移動可能に構成され、外周ブラシにより取り囲まれるように配置され、一方向に移動されることにより外周ブラシから取り外し可能に構成される。
【0020】
このセンタブラシは、外周ブラシにより取り囲まれるように着脱可能に配置される。そのため、センタブラシの第1の洗浄部が消耗した場合、洗浄ヘッドの全体を交換する必要がなく、センタブラシのみを交換することができる。また、洗浄対象の基板の形状または洗浄の種類に応じて外周ブラシと組み合わされるセンタブラシを変更して洗浄ヘッドを構成することにより、当該洗浄ヘッドを用いて基板を適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0021】
(11)第4の発明に係る外周ブラシは、センタブラシに設けられて基板の洗浄に用いられる外周ブラシであって、第2の基台と、第2の基台に取り付けられた第2の洗浄部とを備え、センタブラシを取り囲むように着脱可能に配置される。
【0022】
この外周ブラシは、センタブラシを取り囲むように着脱可能に配置される。そのため、外周ブラシの第2の洗浄部が消耗した場合、洗浄ヘッドの全体を交換する必要がなく、外周ブラシのみを交換することができる。また、洗浄対象の基板の形状または洗浄の種類に応じてセンタブラシと組み合わされる外周ブラシを変更して洗浄ヘッドを構成することにより、当該洗浄ヘッドを用いて基板を適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0023】
(12)第5の発明に係る基板洗浄装置は、基板を保持する基板保持部と、基板保持部により保持された基板を洗浄するように設けられた第1の発明に係る洗浄ヘッドとを備える。
【0024】
この基板洗浄装置においては、基板保持部により保持された基板が上記の洗浄ヘッドにより洗浄される。洗浄ヘッドにおいては、センタブラシの第1の基台と外周ブラシの第2の基台とが別体であるので、センタブラシと外周ブラシとは互いに着脱可能である。そのため、センタブラシの第1の洗浄部および外周ブラシの第2の洗浄部のいずれか一方のみが消耗した場合、洗浄ヘッドの全体を交換する必要がなく、消耗したブラシのみを交換することができる。
【0025】
また、洗浄対象の基板の形状または洗浄の種類に応じてセンタブラシと外周ブラシとの組み合わせを変更して洗浄ヘッドを構成することにより、当該洗浄ヘッドを用いて基板を適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0026】
(13)基板洗浄装置は、洗浄ヘッドのセンタブラシを基板に向けて移動可能に設けられた第1の駆動装置と、洗浄ヘッドの外周ブラシを基板に向けて移動可能な第2の駆動装置とをさらに備えてもよい。
【0027】
この場合、基板の洗浄部分に応じて第1または第2の駆動装置を動作させることにより、センタブラシまたは外周ブラシにより基板を適切に洗浄することができる。また、センタブラシによる洗浄のタイミングと外周ブラシによる洗浄のタイミングとを異ならせることにより、一方のブラシにより発生した汚染物が他方のブラシに付着することが防止される。これにより、洗浄ヘッドを消耗しにくくすることができる。
【0028】
(14)第6の発明に係る基板洗浄方法は、基板保持部により基板を保持するステップと、基板保持部により保持された基板を第1または第2の発明に係る洗浄ヘッドにより洗浄するステップとを含む。この方法によれば、センタブラシの第1の洗浄部および外周ブラシの第2の洗浄部のいずれか一方のみが消耗した場合、洗浄ヘッドの全体を交換する必要がなく、消耗したブラシのみを交換することができる。
【0029】
また、洗浄対象の基板の形状または洗浄の種類に応じてセンタブラシと外周ブラシとの組み合わせを変更して洗浄ヘッドを構成することにより、当該洗浄ヘッドを用いて基板を適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、コストの増加を抑制しつつ基板の適切な洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗浄ヘッドの外観斜視図である。
【
図2】
図1のセンタブラシの構成を説明するための図である。
【
図3】
図1のセンタブラシの構成を説明するための図である。
【
図4】
図1の外周ブラシの構成を説明するための図である。
【
図5】
図1の外周ブラシの構成を説明するための図である。
【
図8】第1の変形例に係る洗浄ヘッドを示す平面図である。
【
図9】第2の変形例に係る洗浄ヘッドを示す斜視図である。
【
図11】洗浄ヘッドを含む基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
【
図12】基板洗浄装置の第1の動作例を説明するための図である。
【
図13】基板洗浄装置の第1の動作例を説明するための図である。
【
図14】基板洗浄装置の第2の動作例を説明するための図である。
【
図15】基板洗浄装置の第2の動作例を説明するための図である。
【
図19】本発明の第2の実施の形態に係る洗浄ヘッドの下面図である。
【
図20】
図19の洗浄ヘッドを含む基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
【
図21】第3の実施の形態に係る基板洗浄装置の構成を示す図である。
【
図22】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【
図23】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【
図24】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【
図25】スピンチャックによる基板の保持動作を説明するための図である。
【
図26】洗浄ヘッドによる基板の洗浄を説明するための図である。
【
図27】洗浄ヘッドによる基板の洗浄を説明するための図である。
【
図28】洗浄ヘッドによる基板の洗浄を説明するための図である。
【
図29】第4の実施の形態に係る基板洗浄装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る洗浄ヘッド、センタブラシ、外周ブラシ、基板洗浄装置および基板洗浄方法について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。
【0033】
[1]第1の実施の形態
(1)洗浄ヘッドの構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る洗浄ヘッドの外観斜視図である。
図1に示すように、洗浄ヘッド100は、基板の洗浄に用いられ、センタブラシ200と外周ブラシ300とにより構成される。外周ブラシ300は、センタブラシ200を取り囲むように配置される。センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに着脱可能である。
【0034】
センタブラシ200は、基台210および洗浄部220を含む。基台210は、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)樹脂により形成される。本実施の形態においては、基台210には、洗浄ヘッド100を回転させるためのシャフト112が取り付けられる。洗浄部220は、例えば砥粒等の研磨材が分散されたPVA(ポリビニールアルコール)スポンジにより形成される。洗浄部220は、基台210に取り付けられる。
【0035】
外周ブラシ300は、基台310および洗浄部320を含む。基台310は、例えばPP(ポリプロピレン)樹脂により形成される。洗浄部320は、例えば多孔質のフッ素樹脂により形成される。本例では、洗浄部320はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)により形成されるが、本発明はこれに限定されない。洗浄部320は、研磨材が含まれないPVAスポンジ等の他の軟質材料により形成されてもよい。洗浄部320は、基台310に取り付けられる。
【0036】
以下の説明では、洗浄ヘッド100において、洗浄部220,320が配置される方向を上方と呼び、その反対方向を下方と呼ぶ(
図1の矢印を参照)。上下方向に垂直な平面を水平面と呼ぶ。水平面内において、洗浄ヘッド100の回転中心(水平面内におけるシャフト112の中心)に向かう方向を内方と呼び、その反対方向を外方と呼ぶ。
【0037】
図2および
図3は、
図1のセンタブラシ200の構成を説明するための図である。
図2に示すように、センタブラシ200の基台210は、上下方向に延びる略円柱形状を有する。基台210の下面には、上方に延びる孔部211が形成される。本例では孔部211は、水平面内において正方形状を有する有底孔である。孔部211の形状は、
図2の例に限定されない。孔部211は、水平面内において正方形状以外の形状を有してもよい。また、孔部211は、基台210を上下方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0038】
基台210の側面には、2か所の平坦部212,213が形成される。これにより、基台210は、水平面内において非円形状の断面を有する。基台210の形状は、
図2の例に限定されない。断面が非円形状を有する限り、基台210は他の形状を有してもよい。例えば、断面がD字形状となるように、基台210の側面の1か所のみに平坦部が形成されてもよい。あるいは、断面が楕円形状または多角形状となるように、基台210は楕円柱形状または多角柱形状を有してもよい。
【0039】
センタブラシ200の洗浄部220は、円板形状を有する。洗浄部220の上面には、溝部221が形成される。本例では、溝部221は十字形状を有する。
図2に矢印で示すように、洗浄部220の下面が接着剤等により基台210の上面に接合される。これにより、
図3に示すように、センタブラシ200が完成する。
【0040】
図4および
図5は、
図1の外周ブラシ300の構成を説明するための図である。
図4に示すように、外周ブラシ300の基台310は、略円筒形状を有する。したがって、基台310の中央部には、上下方向に延びる開口部311が形成される。開口部311は、水平面内において、
図2のセンタブラシ200の基台210の断面形状に対応する非円形の断面形状を有する。そのため、本例では、開口部311内における基台310の内面には、基台210の平坦部212,213(
図2)にそれぞれ対応する平坦部312,313が形成される。
【0041】
外周ブラシ300の洗浄部320は、円環形状を有する。したがって、洗浄部320の中央部には、例えば円形状の開口部321が形成される。また、洗浄部320には、外周部から開口部321につながる複数の切欠部322が形成される。本例では、4個の切欠部322が90度間隔で配置される。洗浄部320の上面は、内方から外方に向かって斜め上方に傾斜するテーパ面323と、外周部分で水平となる平坦面324とを有する。
【0042】
図4に矢印で示すように、洗浄部320の下面が接着剤等により基台310の上面に接合される。これにより、
図5に示すように、外周ブラシ300が完成する。外周ブラシ300においては、基台310の開口部311と、洗浄部320の開口部321とが上下方向に重なる。
【0043】
図6は、洗浄ヘッド100の下面図である。
図7は、洗浄ヘッド100の平面図である。
図6および
図7に示すように、センタブラシ200が外周ブラシ300の開口部311,321内に配置されることにより、洗浄ヘッド100が完成する。センタブラシ200の外周面と外周ブラシ300の内周面との間の少なくとも一部は、互いに接触しない。これにより、センタブラシ200の外周面と外周ブラシ300の内周面との間に隙間101が形成される。
【0044】
このように、センタブラシ200と外周ブラシ300とが隙間101により密着しないので、センタブラシ200と外周ブラシ300との着脱を容易に行うことができる。また、隙間101を通して洗浄対象の基板に洗浄水の供給を行うことが可能となる。さらに、隙間101を通して基板から洗浄水または汚染物等の吸引を行うことが可能となる。詳細は後述する。
【0045】
上記のように、基台310の開口部311は、基台210の断面形状に対応する断面形状を有する。また、
図6に示すように、基台210の平坦部212,213と基台310の平坦部312,313とがそれぞれ接する。これにより、センタブラシ200と外周ブラシ300とが互いに独立して回転することが規制される。
【0046】
一方で、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに固定されていない。そのため、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに独立して上下方向に移動することが可能である。本実施の形態においては、初期状態には、外周ブラシ300の洗浄部320の上面はセンタブラシ200の洗浄部220の上面よりも上方に位置する。
【0047】
シャフト112は、水平面内において基台210の孔部211の形状に対応する断面形状(本例では正方形状)を有し、基台210の孔部211に挿し込まれる。センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに独立して回転することが規制されているので、シャフト112が回転することにより同期して回転する。なお、洗浄ヘッド100は、回転可能に構成されてなくてもよい。この場合、シャフト112は、水平面内において円形の断面形状を有してもよい。同様に、基台210の孔部211は、水平面内において円形の断面形状を有してもよい。
【0048】
本実施の形態においては、
図7に示すように、洗浄部320の複数の切欠部322と洗浄部220の溝部221とがつながるようにセンタブラシ200および外周ブラシ300が構成されるが、本発明はこれに限定されない。
図8は、第1の変形例に係る洗浄ヘッド100を示す平面図である。
図8に示すように、複数の切欠部322と溝部221とがつながらないようにセンタブラシ200および外周ブラシ300が構成されてもよい。
【0049】
また、本実施の形態においては、溝部221は十字形状を有するが、本発明はこれに限定されない。溝部221は他の形状を有してもよい。
図9は、第2の変形例に係る洗浄ヘッド100を示す斜視図である。
図10は、
図9の洗浄ヘッド100の平面図である。
図9および
図10に示すように、第2の変形例においては、溝部221は風車形状を有する。具体的には、溝部221は、洗浄部220の中心から四方に湾曲しながら外方に延びる形状を有する。本例においては、各切欠部322は、溝部221とがつながりかつ湾曲しながら周方向に延びるように形成される。
【0050】
(2)基板洗浄装置の概略構成
図11は、洗浄ヘッド100を含む基板洗浄装置の概略構成を示す図である。
図11に示すように、基板洗浄装置1は、洗浄ヘッド100、回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150を備える。また、基板洗浄装置1は、後述する
図21のスピンチャック410または
図29のスピンチャック460等の基板保持部を備える。
【0051】
回転部110は、回転駆動装置111およびシャフト112を含む。回転駆動装置111は、例えば電動モータである。シャフト112は、センタブラシ200の基台210の孔部211に挿し込まれるとともに、回転駆動装置111に接続される。回転駆動装置111がシャフト112を回転させることにより、センタブラシ200と外周ブラシ300とが一体的に回転する。
【0052】
なお、本例では、回転部110による回転駆動力がセンタブラシ200に与えられることによりセンタブラシ200と外周ブラシ300とが一体的に回転するように構成されるが、本発明はこれに限定されない。回転部110による回転駆動力が外周ブラシ300に与えられることによりセンタブラシ200と外周ブラシ300とが一体的に回転するように構成されてもよい。
【0053】
昇降部120は、昇降駆動装置121および連結部材122を含む。昇降部130は、昇降駆動装置131および連結部材132を含む。昇降駆動装置121,131は、例えばエアシリンダである。なお、昇降駆動装置121,131は、例えば電動モータおよびボールねじにより構成されてもよい。昇降駆動装置121は、連結部材122により回転駆動装置111に連結される。昇降駆動装置131は、連結部材132により外周ブラシ300の基台310に連結される。
【0054】
昇降駆動装置121が連結部材122を昇降させることにより、センタブラシ200が外周ブラシ300とは独立して昇降する。昇降駆動装置131が連結部材132を昇降させることにより、外周ブラシ300がセンタブラシ200とは独立して昇降する。回転駆動装置111と昇降駆動装置121とは、単一の回転昇降駆動装置により実現されてもよい。この場合、回転駆動装置111と昇降駆動装置121との間に連結部材122が設けられない。
【0055】
洗浄部140は、洗浄液供給装置141およびノズル142を含む。洗浄液供給装置141は、ノズル142により洗浄液を洗浄ヘッド100の上方(洗浄ヘッド100と基板との間)に吐出する。洗浄液は、DIW(純水)、界面活性剤または溶剤であってもよいし、他の薬液であってもよい。吸引部150は、例えば真空装置であり、基板の洗浄により発生する異物を吸引可能に設けられる。以下、基板洗浄装置1の動作について説明する。
図12および
図13は、基板洗浄装置1の第1の動作例を説明するための図である。
【0056】
図12の例では、基板保持部により保持された基板Wの被洗浄面(本例では裏面)が洗浄される。具体的には、
図12に示すように、センタブラシ200および外周ブラシ300は、基板Wの被洗浄面に向けて上昇される。この場合、洗浄部320の平坦面324が基板Wの被洗浄面に接触する。ここで、洗浄部320の上面はテーパ状に形成されているので、潰れるように容易に変形する。そのため、洗浄部220と基板Wとの接触が阻害されにくくなる。これにより、洗浄部220の上面が洗浄部320の上面(平坦面324)と略同一の高さまで上昇し、基板Wの被洗浄面に接触する。
【0057】
このように、洗浄部220の上面および洗浄部320の上面が同時にかつ十分に基板Wの被洗浄面に接触した状態で基板Wが回転することにより、基板Wの被洗浄面が洗浄される。また、洗浄ヘッド100が回転する場合には、基板Wの被洗浄面がより効率よく洗浄される。基板Wの回転方向と洗浄ヘッド100の回転方向とは同じであってもよいし、逆であってもよい。
【0058】
以下、基板Wが研磨されることにより洗浄されることを研磨洗浄と呼び、基板Wが擦られることにより洗浄されることをスクラブ洗浄と呼ぶ。
図12の例では、基板Wの被処理面が洗浄部220により研磨洗浄され、基板Wの被処理面が洗浄部320によりスクラブ洗浄される。研磨洗浄によれば、基板Wに強固に付着した異物を除去することができる。
【0059】
基板Wの洗浄中には、ノズル142から洗浄ヘッド100の上方に洗浄液が吐出される。吐出された洗浄液は、洗浄部320の切欠部322(
図5)を通して洗浄部320の上面の全体に供給される。また、洗浄液は、洗浄部220の溝部221を通して洗浄部220の上面の全体に供給される。これにより、基板Wをより十分に洗浄することができる。
【0060】
なお、
図9および
図10における洗浄ヘッド100のように、洗浄部320の各切欠部322が湾曲した形状を有する場合、洗浄液がより効率的に洗浄部320の上面の全体に供給される。同様に、洗浄部220が風車形状を有する場合、洗浄液がより効率的に洗浄部220の上面の全体に供給される。そのため、洗浄液の使用量を削減しつつ、基板Wを十分に洗浄することができる。
【0061】
図12に点線で示すように、基板Wの洗浄中には、センタブラシ200と外周ブラシ300との隙間101を通して洗浄ヘッド100の上方の雰囲気が吸引部150により吸引される。この場合、洗浄液が効率よく洗浄部320の上面全体および洗浄部220の上面全体に取り込まれる。したがって、洗浄液の使用量をより削減しつつ、基板Wを十分に洗浄することができる。
【0062】
また、基板Wが洗浄ヘッド100に吸着されるので、洗浄ヘッド100を基板Wに強固に押圧した状態で洗浄することができる。基板Wへの洗浄ヘッド100の押圧の強さは、吸引部150による吸引の圧力を制御することにより調整される。さらに、洗浄後の洗浄液または基板の洗浄により発生する異物が、基板に再付着することなく吸引部150に排出される。これらの結果、基板Wをさらに十分に洗浄することができる。
【0063】
図13の例では、基板Wのベベル部がさらに洗浄される。具体的には、
図12の洗浄の後、
図13に示すように、外周ブラシ300の一部が基板Wよりも外方に位置するように洗浄ヘッド100が基板Wの周縁部に移動される。この場合、洗浄部320の一部の形状が元に戻り、テーパ面323が基板Wのベベル部に接触する。これにより、主として基板Wのベベル部が洗浄部320によりスクラブ洗浄される。また、基板Wの被処理面が洗浄部220により研磨洗浄される。
【0064】
基板洗浄装置1の第1の動作例ではセンタブラシ200と外周ブラシ300とが一体的に上下方向に移動するが、本発明はこれに限定されない。
図14および
図15は、基板洗浄装置1の第2の動作例を説明するための図である。
図14に示すように、基板Wの被処理面の洗浄時には、外周ブラシ300が上昇されることなく、センタブラシ200が基板Wの被洗浄面に向けて上昇される。この場合、洗浄部320が基板Wに接触することなく、洗浄部220の上面が基板Wの被洗浄面に接触する。これにより、基板Wの被処理面が洗浄部220により研磨洗浄される。
【0065】
図14の例では、洗浄部220と洗浄部320とが同時には基板Wに接触しない。そのため、洗浄部220による研磨洗浄により発生した異物(基板Wからの汚染物および洗浄部220から脱落した研磨材を含む。)が洗浄部320に付着することが防止される。これにより、洗浄部320を汚染しにくくすることができる。その後、
図15に示すように、外周ブラシ300の一部が基板Wよりも外方に位置するように洗浄ヘッド100が基板Wの周縁部に移動されるとともに、外周ブラシ300が上昇される。これにより、基板Wのベベル部が洗浄部320によりスクラブ洗浄される。
【0066】
図11の基板洗浄装置1においては、洗浄液供給装置141はノズル142により洗浄液を供給するが、本発明はこれに限定されない。洗浄液供給装置141はノズル142を用いずに洗浄液を供給してもよい。
図16は、洗浄部140の第1の変形例を示す図である。
図16に示すように、洗浄部140の第1の変形例においては、洗浄液供給装置141は、洗浄ヘッド100の隙間101を通して基板Wの上方に洗浄液を供給するように構成される。この例においては、隙間101は吸引部150による異物の吸引に用いられない。
【0067】
図17は、洗浄部140の第2の変形例を示す図である。
図17に示すように、洗浄部140の第2の変形例においては、基台210および洗浄部220を上下方向に貫通する貫通孔201がセンタブラシ200に形成される。洗浄液供給装置141は、センタブラシ200の貫通孔201を通して基板Wの上方に洗浄液を供給するように構成される。この例においては、隙間101を吸引部150による異物の吸引に用いることが可能である。
【0068】
図18は、吸引部150の変形例を示す図である。
図18に示すように、吸引部150の変形例においては、
図17の例と同様に、センタブラシ200に貫通孔201が形成される。吸引部150は、センタブラシ200の貫通孔201を通して洗浄ヘッド100の上方の雰囲気を吸引する。この例においては、
図16の例と同様に、洗浄ヘッド100の隙間101を洗浄液供給装置141による洗浄液の供給に用いることが可能である。
【0069】
本実施の形態において、研磨洗浄用のセンタブラシ200とスクラブ洗浄用の外周ブラシ300とにより洗浄ヘッド100が構成されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、スクラブ洗浄用のセンタブラシ200とスクラブ洗浄用の外周ブラシ300とにより洗浄ヘッド100が構成されてもよい。この構成においては、センタブラシ200の洗浄部220は、PTFEまたは研磨材が含まれないPVAスポンジ等の軟質材料により形成される。このような洗浄ヘッド100は、例えば被洗浄面にレジスト膜等の処理膜が形成された基板Wを洗浄する場合に用いることができる。
【0070】
(3)効果
本実施の形態に係る洗浄ヘッド100においては、外周ブラシ300がセンタブラシ200を取り囲むように配置される。センタブラシ200の基台210と外周ブラシ300の基台310とが別体であるので、センタブラシ200と外周ブラシ300とは互いに着脱可能である。そのため、センタブラシ200の洗浄部220および外周ブラシ300の洗浄部320のいずれか一方のみが消耗した場合、洗浄ヘッド100の全体を交換する必要がなく、消耗したブラシのみを交換することができる。
【0071】
また、洗浄対象の基板Wの形状または洗浄の種類に応じてセンタブラシ200と外周ブラシ300との組み合わせを変更して洗浄ヘッド100を構成することにより、当該洗浄ヘッド100を用いて基板Wを適切に洗浄することができる。この場合、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板Wの適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0072】
また、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに独立して上下方向に移動可能である。そのため、基板Wの洗浄部分に応じて適切なブラシを使用することにより、基板Wを適切に洗浄することができる。さらに、センタブラシ200による洗浄のタイミングと外周ブラシ300による洗浄のタイミングとを異ならせることにより、一方のブラシにより発生した汚染物が他方のブラシに付着することが防止される。これにより、洗浄ヘッド100を消耗しにくくすることができる。
【0073】
また、本実施の形態においては、センタブラシ200と外周ブラシ300とは上下方向に平行な軸の周りで一体的に回転可能である。そのため、単一の回転部110を用いた単純な構成によりセンタブラシ200と外周ブラシ300とを回転させることができる。また、センタブラシ200と外周ブラシ300とが回転されることにより、基板Wを効率よく洗浄することができる。
【0074】
基板Wの洗浄中には、ノズル142から洗浄ヘッド100の上方に洗浄液が吐出される。吐出された洗浄液は、洗浄部320の切欠部322を通して洗浄部320の上面の全体に供給される。また、洗浄液は、洗浄部220の溝部221を通して洗浄部220の上面の全体に供給される。これにより、基板Wをより十分に洗浄することができる。
【0075】
[2]第2の実施の形態
(1)洗浄ヘッドの構成
第2の実施の形態に係る洗浄ヘッド100および基板洗浄装置1について、第1の実施の形態に係る洗浄ヘッド100および基板洗浄装置1と異なる点を説明する。
図19は、本発明の第2の実施の形態に係る洗浄ヘッド100の下面図である。
図19に示すように、本実施の形態においては、センタブラシ200の基台210は円柱形状を有し、基台210には
図2の平坦部212,213が形成されない。したがって、基台210は、水平面内において円形状の断面を有する。
【0076】
外周ブラシ300の基台310は、円筒形状を有する。したがって、基台310の中央部には、水平面内において円形状を有しかつ上下方向に延びる開口部311が形成される。そのため、本実施の形態においては、開口部311内における基台310の内面には
図4の平坦部312,313が形成されない。センタブラシ200が外周ブラシ300の開口部311,321内に配置されることにより、洗浄ヘッド100が完成する。
【0077】
第1の実施の形態と同様に、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに固定されていない。そのため、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに独立して上下方向に移動することが可能である。一方で、基台210の外周面および基台310の内周面は水平面内において円形状を有するので、センタブラシ200と外周ブラシ300とが互いに独立して回転することが規制されない。すなわち、第1の実施の形態とは異なり、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、互いに独立して回転することが可能である。
【0078】
なお、センタブラシ200の基台210は水平面内において円形状の断面を有し、外周ブラシ300の基台310の開口部311は水平面内において円形状を有するが、本発明はこれに限定されない。センタブラシ200と外周ブラシ300との独立した回転が許容される限り、基台210は水平面内において非円形状の断面を有してもよいし、基台310の開口部311は水平面内において非円形状の断面を有してもよい。
【0079】
具体的には、基台210が回転したときに基台210の外周部により描かれる円形の軌跡の径が基台310の開口部311の最小の径(例えば楕円の場合は短径)よりも小さければよい。したがって、基台210には、
図2の平坦部212,213と同様の平坦部が形成されてもよい。また、基台310には、楕円柱状または四角柱状等の開口部311が形成されてもよい。
【0080】
(2)基板洗浄装置の概略構成
図20は、
図19の洗浄ヘッド100を含む基板洗浄装置1の概略構成を示す図である。
図20に示すように、本実施の形態に係る基板洗浄装置1は、外周ブラシ300を回転可能に設けられた回転部160をさらに含む。本例では、回転部160は、回転駆動装置161、シャフト162、プーリ163および動力伝達部材164を含む。
【0081】
回転駆動装置161は、例えば電動モータであり、回転軸を有する。シャフト162は、円筒形状を有し、外周ブラシ300の基台310の下面に接続される。プーリ163は、シャフト162の外周面に取り付けられる。動力伝達部材164は、例えばベルトであり、プーリ163および回転駆動装置161の回転軸に架け渡される。
【0082】
回転駆動装置161の回転軸が回転することにより、回転駆動力が動力伝達部材164およびプーリ163を通してシャフト162に与えられる。これにより、外周ブラシ300が回転する。この構成によれば、回転部110,160によりセンタブラシ200および外周ブラシ300をそれぞれ独立して回転させることができる。
【0083】
また、昇降駆動装置131は、連結部材132により回転駆動装置161に連結される。昇降駆動装置131は、連結部材132を昇降させることにより、回転駆動装置161、シャフト162、プーリ163および動力伝達部材164を一体的に昇降させる。この構成によれば、昇降部120,130によりセンタブラシ200および外周ブラシ300をそれぞれ独立して昇降させることができる。なお、昇降駆動装置131と回転駆動装置161とは、単一の回転昇降駆動装置により実現されてもよい。この場合、回転駆動装置161と昇降駆動装置131との間に連結部材132が設けられない。
【0084】
(3)効果
第1の実施の形態と同様に、センタブラシ200の洗浄部220および外周ブラシ300の洗浄部320のいずれか一方のみが消耗した場合、洗浄ヘッド100の全体を交換する必要がなく、消耗したブラシのみを交換することができる。また、センタブラシ200と外周ブラシ300との組み合わせを任意に変更して洗浄ヘッド100を構成することができるので、センタブラシと外周ブラシとの組み合わせが固定された多種類の洗浄ヘッドを準備する必要がない。これらの結果、コストの増加を抑制しつつ基板Wの適切な洗浄を行うことが可能になる。
【0085】
さらに、本実施の形態においては、センタブラシ200と外周ブラシ300とは、上下方向に平行な軸の周りで互いに独立して回転可能である。そのため、基板Wの洗浄部分または洗浄の種類に応じてセンタブラシ200および外周ブラシ300をそれぞれ回転部110,160により独立して回転させることができる。これにより、基板Wをより効率よく洗浄することができる。
【0086】
[3]第3の実施の形態
(1)基板洗浄装置の構成
第3の実施の形態に係る基板洗浄装置1として、第1の実施の形態に係る洗浄ヘッド100を含む基板洗浄装置1の詳細な構成を説明する。本実施の形態に係る基板洗浄装置1は、例えば基板処理装置に設けられる。なお、本実施の形態に係る基板洗浄装置1は、第1の実施の形態に係る洗浄ヘッド100ではなく、第2の実施の形態に係る洗浄ヘッド100を含んでもよい。
【0087】
図21は、第3の実施の形態に係る基板洗浄装置1の構成を示す図である。
図21に示すように、基板洗浄装置1は、洗浄ヘッド100、回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150に加えて、ヘッド駆動部170および回転保持装置400を備える。
図21では、回転部110および昇降部120,130の図示が省略される。基板洗浄装置1が第2の実施の形態に係る洗浄ヘッド100を含む場合には、回転部160をさらに備える。
【0088】
回転保持装置400は、スピンチャック410、複数のチャックピン420、切替部430、ガード装置440および複数の受渡装置450を含む。スピンチャック410は、基板Wを水平に保持して回転させるように構成され、スピンモータ411、回転軸412、スピンプレート413およびプレート支持部材414を含む。
【0089】
スピンモータ411は、基板洗浄装置1の上部に設けられ、図示しない支持部材により支持される。回転軸412は、スピンモータ411から下方に延びるように設けられる。プレート支持部材414は、回転軸412の下端部に取り付けられる。スピンプレート413は円板状を有し、プレート支持部材414により水平に支持される。スピンモータ411により回転軸412が回転することにより、スピンプレート413が鉛直軸の周りで回転する。
【0090】
複数のチャックピン420は、回転軸412に関して等角度間隔でスピンプレート413の周縁部に設けられる。本例では、8つのチャックピン420が、回転軸412に関して45度間隔でスピンプレート413の周縁部に設けられる。各チャックピン420は、軸部421、ピン支持部422、保持部423およびマグネット424を含む。
【0091】
軸部421は、スピンプレート413を垂直方向に貫通するように設けられる。ピン支持部422は、軸部421の下端部から水平方向に延びるように設けられる。保持部423は、ピン支持部422の先端部から下方に突出するように設けられる。また、スピンプレート413の上面側において、軸部421の上端部にマグネット424が取り付けられている。
【0092】
各チャックピン420は、軸部421を中心に鉛直軸の周りで回転可能であり、保持部423が基板Wの外周端部に当接する閉状態と、保持部423が基板Wの外周端部から離間する開状態とに切替可能である。なお、本例では、マグネット424のN極が内側にある場合に各チャックピン420が閉状態となり、マグネット424のS極が内側にある場合に各チャックピン420が開状態となる。また、閉状態においては、保持部423は、基板Wのベベル部に当接する。
【0093】
切替部430は、マグネットプレート431,432およびマグネット昇降装置433,434を含む。マグネットプレート431,432は、回転軸412を中心とする周方向に沿ってスピンプレート413の上方に配置される。マグネットプレート431,432は、外側にS極を有し、内側にN極を有する。マグネット昇降装置433,434は、マグネットプレート431,432をそれぞれ昇降させる。これにより、マグネットプレート431,432は、チャックピン420のマグネット424よりも高い上方位置とチャックピン420のマグネット424と略等しい高さの下方位置との間で独立に移動可能である。
【0094】
マグネットプレート431,432の昇降により、各チャックピン420が開状態と閉状態とに切り替えられる。マグネットプレート431,432およびチャックピン420の動作の詳細については後述する。
【0095】
ガード装置440は、ガード441およびガード昇降装置442を含む。ガード441は、スピンチャック410の回転軸412に関して回転対称な形状を有し、スピンチャック410の外方に設けられる。ガード昇降装置442は、ガード441を昇降させる。ガード441は、基板Wから飛散する洗浄液を受け止める。ガード441により受け止められた洗浄液は、図示しない排液装置または回収装置により排液または回収される。
【0096】
複数(本例では3つ)の受渡装置450は、スピンチャック410の回転軸412を中心として等角度間隔でガード441の外方に配置される。各受渡装置450は、昇降回転駆動部451、回転軸452、アーム453および保持ピン454を含む。
【0097】
回転軸452は、昇降回転駆動部451から上方に延びるように設けられる。アーム453は、回転軸452の上端部から水平方向に延びるように設けられる。保持ピン454は、基板Wの外周端部を保持可能にアーム453の先端部に設けられる。昇降回転駆動部451により、回転軸452が昇降動作および回転動作を行う。これにより、保持ピン454が水平方向および上下方向に移動する。
【0098】
ヘッド駆動部170は、ヘッド移動装置171およびヘッド保持部材172を含み、基板洗浄装置1の下部に配置される。洗浄ヘッド100、回転部110(
図11)、昇降部120,130(
図11)およびノズル142は、ヘッド保持部材172に取り付けられる。ヘッド移動装置171は、ヘッド保持部材172を移動させることにより、洗浄ヘッド100を回転保持装置400のスピンチャック410により保持された基板Wの裏面に沿って移動させる。これにより、基板Wの裏面が洗浄される。
【0099】
(2)基板洗浄装置の動作
図22~
図25は、スピンチャック410による基板Wの保持動作を説明するための図である。まず、
図22に示すように、ガード441がチャックピン420よりも低い位置に移動する。そして、複数の受渡装置450(
図21)の保持ピン454がガード441の上方を通ってスピンプレート413の下方に移動する。複数の保持ピン454上に基板Wが搬入される。
【0100】
このとき、マグネットプレート431,432は上方位置にある。この場合、マグネットプレート431,432の磁力線Bは、チャックピン420のマグネット424の高さにおいて内側から外側に向かう。これにより、各チャックピン420のマグネット424のS極が内側に吸引される。したがって、各チャックピン420は開状態となる。次に、
図23に示すように、複数の保持ピン454が基板Wを保持した状態で上昇する。これにより、基板Wが、複数のチャックピン420の保持部423間に移動する。
【0101】
続いて、
図24に示すように、マグネットプレート431,432が下方位置に移動する。この場合、各チャックピン420のマグネット424のN極が内側に吸引され、各チャックピン420が閉状態となる。これにより、各チャックピン420の保持部423により基板Wのベベル部が保持される。その後、複数の保持ピン454がガード441の外方に移動する。次に、
図25に示すように、ガード441がチャックピン420により保持される基板Wを取り囲む高さに移動する。この状態で、基板Wの裏面の洗浄が行われる。
【0102】
図26~
図28は、洗浄ヘッド100による基板Wの洗浄を説明するための図である。
図26に示すように、基板Wが回転保持装置400により保持された状態で、回転される。また、一点鎖線で示すように、ヘッド移動装置171は、洗浄ヘッド100が基板Wの略中心と重なるようにヘッド保持部材172を移動させる。ここで、
図11の回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150が動作することにより、洗浄ヘッド100の上面が基板Wの裏面の中心近傍に接触する。これにより、基板Wの裏面の中心近傍が洗浄される。
【0103】
その後、洗浄ヘッド100が基板Wの裏面と接触した状態で、
図26に太い矢印で示すように、ヘッド移動装置171は、洗浄ヘッド100が基板Wの周縁部に向かうように中心軸173を基準としてブラシヘッド保持部材172を徐々に回転させる。これにより、基板Wの裏面の全体が洗浄されるとともに、基板Wのベベル部が洗浄される。
【0104】
図27に示すように、基板Wのベベル部の洗浄時には、マグネットプレート431が下方位置に配置され、マグネットプレート432が上方位置に配置される。この場合、
図28に示すように、マグネットプレート431の外方領域R1においては各チャックピン420が閉状態となり、マグネットプレート432の外方領域R2においては各チャックピン420が開状態となる。
【0105】
この構成によれば、各チャックピン420の保持部423は、マグネットプレート431の外方領域R1を通過する際に基板Wの外周端部に接触した状態で維持され、マグネットプレート432の外方領域R2を通過する際に基板Wの外周端部から離間する。これにより、洗浄ヘッド100は、チャックピン420と干渉することなく基板Wのベベル部を効率よくかつ十分に洗浄することができる。
【0106】
本例では、8つのチャックピン420のうちの少なくとも7つのチャックピン420がマグネットプレート431の外方領域R1に位置する。この場合、少なくとも7つのチャックピン420により基板Wが保持される。そのため、基板Wの安定性が確保される。
【0107】
基板Wの洗浄が終了した後、ヘッド移動装置171は、洗浄ヘッド100が基板Wの外方に位置するようにヘッド保持部材172を移動させる。また、マグネットプレート431,432が下方位置に配置され、全てのチャックピン420により基板Wが保持される。この状態で、スピンチャック410により基板Wが高速で回転する。これにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wが乾燥する。基板Wが乾燥した後、基板Wの回転が停止される。
【0108】
[4]第4の実施の形態
(1)基板洗浄装置の構成
第4の実施の形態に係る基板洗浄装置1について、第3の実施の形態に係る基板洗浄装置1と異なる点を説明する。
図29は、第4の実施の形態に係る基板洗浄装置1の構成を示す図である。
図29に示すように、基板洗浄装置1は、複数(本例では3つ)の洗浄ヘッド100、ヘッド駆動部170,180および回転保持装置400を備える。以下の説明では、3つの洗浄ヘッド100を区別する場合は、3つの洗浄ヘッド100をそれぞれ洗浄ヘッド100A,100B,100Cと呼ぶ。
【0109】
また、基板洗浄装置1は、洗浄ヘッド100A~100Cの各々に対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150を備える。
図29では、回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150の図示が省略される。洗浄ヘッド100A~100Cのいずれかが第2の実施の形態に係る洗浄ヘッド100である場合には、基板洗浄装置1は当該洗浄ヘッド100に対応する回転部160をさらに備える。
【0110】
本実施の形態における回転保持装置400は、以下の点を除き、第3の実施の形態における
図21の回転保持装置400と同様の構成を有する。回転保持装置400は、スピンチャック410の下方に位置するスピンチャック460をさらに含む。また、回転保持装置400は、受渡装置450に代えて受渡装置470を含む。さらに、本実施の形態におけるスピンチャック410は、
図21のマグネットプレート432およびマグネット昇降装置434を含まない。
【0111】
スピンチャック460は、スピンモータ461および吸着保持部463を含む。スピンモータ461は、例えば基板洗浄装置1の底部に設けられる。スピンモータ461においては、上方に向かって延びるように回転軸462が設けられる。回転軸462の上端部に吸着保持部463が設けられる。吸着保持部463は、基板Wの裏面中央部を吸着可能に構成される。吸着保持部463が基板Wの裏面中央部を吸着することにより、基板Wが保持される。また、スピンモータ461が回転軸462を回転させることにより、吸着保持部463に保持された基板Wが回転する。
【0112】
受渡装置470は、昇降駆動部471、ピン支持部材472および複数(本例では3つ)の昇降ピン473を含み、スピンチャック460に近接するように配置されている。昇降駆動部471は、ピン支持部材472を鉛直方向に移動可能に支持する。複数の昇降ピン473は、等間隔でスピンチャック460を取り囲みかつ鉛直方向に延びるようにピン支持部材472に取り付けられる。複数の昇降ピン473の上端部が基板Wの裏面中央部と裏面周縁部との間の領域に当接することにより、基板Wが水平姿勢で支持される。
【0113】
昇降駆動部471が駆動することにより、複数の昇降ピン473の上端部が第1の高さH1と、第2の高さH2と、第3の高さH3との間で移動する。ここで、
図29に二点鎖線で示すように、第1の高さH1は、スピンチャック460の上端部よりも一定距離だけ下方に位置する。第2の高さH2は、スピンチャック460の上端部と各チャックピン420の下端部との間に位置する。第3の高さH3は、各チャックピン420の下端部よりもわずかに上方に位置する。
【0114】
本実施の形態におけるヘッド駆動部170は、第3の実施の形態における
図21のヘッド駆動部170と同様の構成を有し、スピンチャック460の上方に配置される。ヘッド駆動部170のヘッド保持部材172には、スピンチャック460に保持された基板Wの表面を洗浄可能に、洗浄ヘッド100Aの上面が下方を向く状態で洗浄ヘッド100Aが取り付けられる。また、ヘッド保持部材172には、洗浄ヘッド100Aに対応する回転部110(
図11)、昇降部120,130(
図11)およびノズル142(
図11)が取り付けられる。
【0115】
ヘッド駆動部180は、ヘッド移動装置181およびヘッド保持部材182を含み、基板洗浄装置1の下部に配置される。ヘッド駆動部180は、ヘッド移動装置181がヘッド保持部材182を回転させるだけでなく上下方向にも移動可能である点を除き、ヘッド駆動部170と同様の構成を有する。ヘッド保持部材182には、スピンチャック410に保持された基板Wの裏面を洗浄可能に、洗浄ヘッド100Bの上面が上方を向く状態で洗浄ヘッド100Bが取り付けられる。また、ヘッド保持部材182には、洗浄ヘッド100Bに対応する回転部110、昇降部120,130およびノズル142が取り付けられる。
【0116】
また、基板洗浄装置1の底部には、スピンチャック460により保持された基板Wの外周縁部および外周端部に上下方向に重なるようにヘッド載置部2が設けられる。ヘッド載置部2には、スピンチャック460に保持された基板Wの裏面側のベベル部を洗浄可能に、洗浄ヘッド100Cの上面が上方を向く状態で洗浄ヘッド100Cが載置される。また、ヘッド載置部2には、洗浄ヘッド100Cに対応する回転部110、昇降部120,130およびノズル142が載置される。
図29に一点鎖線で示すように、洗浄ヘッド100Cは昇降部120,130によりヘッド載置部2から上方に移動可能である。
【0117】
(2)基板洗浄装置の動作
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される際には、複数の昇降ピン473が上方に移動され、複数の昇降ピン473の上端部が第2の高さH2で保持される。この状態で、複数の昇降ピン473上に基板Wが載置される。次に、複数の昇降ピン473が下方に移動され、複数の昇降ピン473の上端部が第1の高さH1で保持される。これにより、基板Wが複数の昇降ピン473から吸着保持部463上に渡される。このとき、基板Wの中心は、水平面内において吸着保持部463の回転中心に一致するように位置決めされている。その後、基板Wの裏面中央部がスピンチャック460により保持されるとともに、基板Wが回転される。
【0118】
次に、ヘッド移動装置171は、洗浄ヘッド100Aが基板Wの略中心と重なるようにヘッド保持部材172を移動させる。ここで、洗浄ヘッド100Aに対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150が動作することにより、洗浄ヘッド100Aの上面が基板Wの表面の中心近傍に接触する。これにより、基板Wの表面の中心近傍が洗浄される。
【0119】
その後、洗浄ヘッド100Aが基板Wの表面と接触した状態で、ヘッド移動装置171は、洗浄ヘッド100Aが基板Wの周縁部に向かうようにブラシヘッド保持部材172を徐々に回転させる。これにより、基板Wの表面の全体が洗浄されるとともに、基板Wの表面側のベベル部が洗浄される。
【0120】
なお、上記の基板Wの表面の洗浄において、基板Wの表面にレジスト膜等の処理膜が形成されている場合には、洗浄ヘッド100Aは、スクラブ洗浄用のセンタブラシ200とスクラブ洗浄用の外周ブラシ300とにより構成される。一方、基板Wの表面に処理膜が形成されていない場合、すなわち基板Wがベア基板である場合には、洗浄ヘッド100Aは、研磨洗浄用のセンタブラシ200とスクラブ洗浄用の外周ブラシ300とにより構成されてもよい。
【0121】
上記の基板Wの表面の洗浄と並行して、洗浄ヘッド100Cに対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150が動作することにより、洗浄ヘッド100Cの上面が基板Wの裏面側のベベル部に接触する。これにより、基板Wの裏面側のベベル部が洗浄される。
【0122】
洗浄ヘッド100A,100Cによる基板Wの洗浄後、ヘッド保持部材172および洗浄ヘッド100Cは初期位置に戻され、スピンチャック460により基板Wが高速で回転する。これにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wが乾燥する。基板Wが乾燥した後、基板Wの回転が停止されるとともに、スピンチャック460による基板Wの吸着が停止される。
【0123】
次に、複数の昇降ピン473が上方に移動されることにより、基板Wがスピンチャック460の吸着保持部463から複数の昇降ピン473上に渡された後、複数の昇降ピン473の上端部が第3の高さH3で保持される。このとき、基板Wがスピンチャック410の複数のチャックピン420の保持部423の間に位置する。
【0124】
続いて、切替部430のマグネットプレート431が下方位置に移動する。この場合、複数のチャックピン420のマグネット424のN極が内側に吸引される。これにより、各チャックピン420が閉状態となり、各保持部423が基板Wの外周端部に当接する。これにより、複数のチャックピン420の保持部423により基板Wの外周端部が保持される。その後、複数の昇降ピン473が下方に移動されることにより、複数の昇降ピン473の上端部が第1の高さH1で保持される。また、ガード441が上方に移動することにより、スピンチャック410により保持される基板Wを取り囲む。この状態で、基板Wが回転される。
【0125】
次に、ヘッド移動装置181は、ヘッド保持部材182を上昇させるとともに、洗浄ヘッド100Bが基板Wの略中心と重なるようにヘッド保持部材182を移動させる。ここで、洗浄ヘッド100Bに対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150が動作することにより、洗浄ヘッド100Bの上面が基板Wの裏面の中心近傍に接触する。その後、洗浄ヘッド100Bが基板Wの裏面と接触した状態で、ヘッド移動装置181は、洗浄ヘッド100Bが基板Wの周縁部の近傍に向かうようにブラシヘッド保持部材182を徐々に回転させる。これにより、基板Wの裏面の全体が洗浄される。
【0126】
洗浄ヘッド100Bによる基板Wの洗浄後、ヘッド保持部材182は初期位置に戻され、スピンチャック410により基板Wが高速で回転する。これにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wが乾燥する。基板Wが乾燥した後、基板Wの回転が停止される。
【0127】
洗浄ヘッド100Bは、基板Wの裏面側のベベル部の洗浄には用いられない。そのため、洗浄ヘッド100Bの外周ブラシ300の上面はテーパ状に形成されなくてもよい。また、研磨洗浄のみが行われる場合には、洗浄ヘッド100Bは、研磨洗浄用のセンタブラシ200と研磨洗浄用の外周ブラシ300とにより構成されてもよい。あるいは、洗浄ヘッド100Bは、スクラブ洗浄用のセンタブラシ200と研磨洗浄用の外周ブラシ300とにより構成されてもよい。
【0128】
上記のように、スピンチャック410はマグネットプレート432およびマグネット昇降装置434を含まないので、基板Wの洗浄中には、全部のチャックピン420が閉状態となる。この場合でも、洗浄ヘッド100Bは基板Wの裏面側のベベル部の洗浄には用いられないので、洗浄ヘッド100Bはチャックピン420と干渉することなく基板Wの裏面全体を効率よくかつ十分に洗浄することができる。
【0129】
一方で、第3の実施の形態と同様に、スピンチャック410はマグネットプレート432およびマグネット昇降装置434を含んでもよい。この場合、洗浄ヘッド100Bは、チャックピン420と干渉することなく基板Wの裏面側のベベル部の洗浄をさらに行うことができる。そのため、基板Wがスピンチャック460により保持されているときに基板Wの裏面側のベベル部の洗浄が行われなくてもよい。したがって、基板洗浄装置1は、洗浄ヘッド100Cならびにこれに対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150を備えなくてもよい。
【0130】
[5]他の実施の形態
(1)上記実施の形態において、基板Wの洗浄中に基板Wが回転されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの洗浄中に基板Wが回転されなくてもよい。
【0131】
(2)上記実施の形態において、昇降部120,130により洗浄ヘッド100が基板Wに対して上下方向に移動されるが、本発明はこれに限定されない。スピンチャック410,460等の基板保持部により基板Wが洗浄ヘッド100に対して上下方向に移動されてもよい。この場合、洗浄ヘッド100は、上下方向に移動されなくてもよい。
【0132】
(3)上記実施の形態において、洗浄ヘッド100により基板Wの被洗浄面の中央近傍が洗浄された後に基板Wのベベル部が洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、洗浄ヘッド100により基板Wの被洗浄面の中央近傍のみが洗浄されてもよいし、基板Wのベベル部のみが洗浄されてもよい。また、基板が回転されない場合には、洗浄ヘッド100により基板Wのベベル部が洗浄された後に基板Wの被洗浄面の中央近傍が洗浄されてもよい。被洗浄面は、基板Wの裏面であってもよいし、表面であってもよいし、裏面および表面の両方であってもよい。
【0133】
なお、第4の実施の形態において、基板Wの表面の洗浄が行われ、基板Wの裏面の洗浄が行われない場合には、基板洗浄装置1は、洗浄ヘッド100A,100Cを備えればよく、洗浄ヘッド100Bおよびこれに対応する回転部110、昇降部120,130、洗浄部140および吸引部150を備えなくてもよい。また、回転保持装置400は、基板Wの裏面の洗浄に用いられるスピンチャック410、チャックピン420および切替部430を含まなくてもよい。
【0134】
[6]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
上記実施の形態においては、基板Wが基板の例であり、洗浄ヘッド100が洗浄ヘッドの例であり、基台210,310がそれぞれ第1および第2の基台の例である。洗浄部220,320がそれぞれ第1および第2の洗浄部の例であり、センタブラシ200がセンタブラシの例であり、外周ブラシ300が外周ブラシの例であり、開口部311が開口部の例である。
【0135】
溝部221が溝部の例であり、テーパ面323および平坦面324が第2の洗浄面の例であり、平坦面324が平坦面の例であり、テーパ面323がテーパ面の例であり、隙間101が隙間の例である。スピンチャック410,460が基板保持部の例であり、昇降部120,130がそれぞれ第1および第2の駆動装置の例であり、基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例である。
【符号の説明】
【0136】
1…基板洗浄装置,2…ヘッド載置部,100,100A~100C…洗浄ヘッド,101…隙間,110,160…回転部,111,161…回転駆動装置,112,162…シャフト,120,130…昇降部,121,131…昇降駆動装置,122,132…連結部材,140…洗浄部,141…洗浄液供給装置,142…ノズル,150…吸引部,163…プーリ,164…動力伝達部材,170,180…ヘッド駆動部,171,181…ヘッド移動装置,172,182…ヘッド保持部材,173…中心軸,200…センタブラシ,201…貫通孔,210,310…基台,211…孔部,212,213,312,313…平坦部,220,320…洗浄部,300…外周ブラシ,311,321…開口部,322…切欠部,323…テーパ面,324…平坦面,400…回転保持装置,410,460…スピンチャック,411,461…スピンモータ,412,452,462…回転軸,413,463…スピンプレート,414…プレート支持部材,420…チャックピン,421…軸部,422…ピン支持部,423…保持部,424…マグネット,430…切替部,431,432…マグネットプレート,433,434…マグネット昇降装置,440…ガード装置,441…ガード,442…ガード昇降装置,450,470…受渡装置,451…昇降回転駆動部,453…アーム,454…保持ピン,471…昇降駆動部,472…ピン支持部材,473…昇降ピン,H1…第1の高さ,H2…第2の高さ,H3…第3の高さ,R1,R2…外方領域,W…基板