(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】樹脂含浸測定システム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20221228BHJP
B29C 70/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G01N27/22 Z
B29C70/00
(21)【出願番号】P 2019099175
(22)【出願日】2019-05-28
【審査請求日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2018164221
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田尻 啓祐
【審査官】村田 顕一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-006495(JP,A)
【文献】特表2013-500180(JP,A)
【文献】特開2005-017246(JP,A)
【文献】特開昭57-028318(JP,A)
【文献】特開2005-328615(JP,A)
【文献】特開2010-032478(JP,A)
【文献】米国特許第6408915(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/10
G01N 27/14-27/24
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に延在する複数の第1電極と、
繊維基材が配置されると共に樹脂が充填される容器を挟んで前記第1電極と対向配置され、かつ、前記第1電極と交差する方向に延在する複数の第2電極と、
前記複数の第1電極および前記複数の第2電極を順次切り替え、前記第1電極と前記第2電極とが対向する複数の測定領域の静電容量を測定する測定制御部と、
前記複数の測定領域の静電容量の分布に基づいて前記容器における前記繊維基材に対する前記樹脂の含浸率を導出する含浸率導出部と、
を備える樹脂含浸測定システム。
【請求項2】
前記測定領域の長手方向は前記樹脂が流れる方向に設定される請求項1に記載の樹脂含浸測定システム。
【請求項3】
前記測定制御部は、前記樹脂の含浸率に応じて、前記複数の第1電極および前記複数の第2電極の切り替え態様を変化させる請求項1または2に記載の樹脂含浸測定システム。
【請求項4】
平行に延在する複数の第1電極と、
樹脂が充填される容器を挟んで前記第1電極と対向配置され、かつ、前記第1電極と交差する方向に延在する複数の第2電極と、
前記複数の第1電極および前記複数の第2電極を順次切り替え、前記第1電極と前記第2電極とが対向する複数の測定領域の静電容量を測定する測定制御部と、
前記複数の測定領域の静電容量の推移に基づいて前記容器における前記樹脂の焼成分布を導出する焼成分布導出部と、
を備える樹脂含浸測定システム。
【請求項5】
前記第1電極または前記第2電極における前記測定領域以外の領域では、前記第1電極または前記第2電極の長手方向の断面が前記測定領域より小さい請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂含浸測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器中の樹脂の状態を測定する樹脂含浸測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機の材料として航空機用炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の複合材が用いられる。例えば、航空機の機体の一部を模った耐圧性の容器を密封し、真空吸引により原材料を容器に充填させ、さらに加熱することで、機体の一部となる複合材を成形する(オートクレーブ成形)。このような複合材を成形する様々な技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複合材の充填技術では、原材料を充填する容器の耐圧性が高いため、外観では、その含浸率を正確に把握できない。また、見た目上、原材料が行き渡っていたとしても、その内部の充填度合いまでは目視できない。そこで、2つの電極を準備し、複合材が充填される容器を挟んで、その電極の静電容量を測定することで、電極間に原材料が充填されたか否かを判断する。
【0005】
ここで、可能な限り切れ目がないように複合材を成形しようとすると、必然的に、充填すべき容器の平面方向の面積が大きくなる。この場合においても、2つの電極を移動しつつ電圧を測定するとなると、測定環境の再現性が低下し、測定点の少なさと相まって含浸率の測定精度の低下を招いていた。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、原材料を充填する場合の含浸率を高精度に測定可能な樹脂含浸測定システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の樹脂含浸測定システムは、平行に延在する複数の第1電極と、繊維基材が配置されると共に樹脂が充填される容器を挟んで第1電極と対向配置され、かつ、第1電極と交差する方向に延在する複数の第2電極と、複数の第1電極および複数の第2電極を順次切り替え、第1電極と第2電極とが対向する複数の測定領域の静電容量を測定する測定制御部と、複数の測定領域の静電容量の分布に基づいて容器における繊維基材に対する樹脂の含浸率を導出する含浸率導出部と、を備える。
【0008】
測定領域の長手方向は樹脂が流れる方向に設定されるとしてもよい。
【0009】
測定制御部は、樹脂の含浸率に応じて、複数の第1電極および複数の第2電極の切り替え態様を変化させてもよい。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の他の樹脂含浸測定システムは、平行に延在する複数の第1電極と、樹脂が充填される容器を挟んで第1電極と対向配置され、かつ、第1電極と交差する方向に延在する複数の第2電極と、複数の第1電極および複数の第2電極を順次切り替え、第1電極と第2電極とが対向する複数の測定領域の静電容量を測定する測定制御部と、複数の測定領域の静電容量の推移に基づいて容器における樹脂の焼成分布を導出する焼成分布導出部と、を備える。
【0011】
第1電極または第2電極における測定領域以外の領域では、第1電極または第2電極の長手方向の断面が測定領域より小さいとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、原材料を充填する場合の含浸率を高精度に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、複合材の成形を説明するための説明図である。
【
図2】
図2は、樹脂含浸測定システムの概略的な構成を示した説明図である。
【
図3】
図3Aは、測定制御部の動作を説明するための説明図である。
図3Bは、測定制御部の他の動作を説明するための説明図である。
図3Cは、測定制御部の他の動作を説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、第1電極および第2電極の他の形状を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0015】
図1は、複合材の成形を説明するための説明図である。ここでは、航空機の機体の一部を模った、高耐圧で密封可能に形成された容器10が準備される。成形開始時には、容器10内に繊維基材(図示せず)が配置される。そして、オートクレーブ成形に基づき、密封された容器10を白矢印のように真空ポンプで真空吸引すると、黒矢印の方向からハッチングで示すように原材料(樹脂)が容器10に流入して繊維基材に含浸する。そして、容器10に原材料が充填されると、容器10が外部から加熱され、機体の一部となる複合材が成形される。
【0016】
ただし、容器10に原材料が十分に充填されていないと、成形された複合材の一部に剛性が弱い部分が生じるおそれがある。したがって、容器10の全てに渡って原材料が十分に充填されたか否かを判断するために、以下に示す樹脂含浸測定システム(樹脂含浸モニタリングシステム)によって含浸率が測定される。ここで、含浸率は、容器10中における繊維基材に対する原材料の比率を示す。また、容器10中で原材料が一方向に充填される場合、含浸率によって、充填の進捗度合いを示すこともできる。
【0017】
<樹脂含浸測定システム20>
図2は、樹脂含浸測定システム20の概略的な構成を示した説明図である。樹脂含浸測定システム20は、第1電極22(
図2中、22a、22b、22cで示す)と、第2電極24(
図2中、24a、24b、24cで示す)と、中央制御部26とを含んで構成される。
【0018】
第1電極22は、容器10の一面に複数配される。また、複数の第1電極22は、互いに原材料の流れる方向に平行して延在している。
【0019】
第2電極24は、容器10の他面に、第1電極22と対向して(容器10を挟んで)複数配される。複数の第2電極24は、第1電極22と交差する方向に、互いに平行して延在している。なお、第1電極22と第2電極24とが交差する角度は、90度に近いほど、後述する測定領域40の位置特定精度が高くなる。したがって、ここでは、第1電極22と第2電極24とが直交する(90度で交差する)例を挙げて説明する。
【0020】
したがって、容器10の垂直方向から観察すると、複数の第1電極22と複数の第2電極24とが格子状に配されることとなる。また、第1電極22および第2電極24のいずれか一方が正極を担い、他方が負極を担う。
【0021】
中央制御部26は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路で構成され、樹脂含浸測定システム20全体を管理および制御する。また、中央制御部26は、プログラムと協働して、測定制御部30と、含浸率導出部32と、焼成分布導出部34としても機能する。
【0022】
測定制御部30は、複数の第1電極22および複数の第2電極24を順次切り替え、第1電極22と第2電極24とが交差する部分において、第1電極22と第2電極24とが対向して重なる複数の測定領域40(
図2中、40a~40iで示す)の静電容量Cを測定する。したがって、測定領域40は、第1電極22の幅と第2電極24の幅とからなる長方形であり、第1電極22の数と第2電極24の数を乗じた数だけ(
図2の例では3×3=9)設けられる。なお、ここでは、説明の便宜上、第1電極22を3つ、第2電極24を3つ挙げているが、その数を任意に設定できるのは言うまでもない。
【0023】
図2を用いて測定制御部30の動作を具体的に説明する。ここでは、複数の第1電極22をそれぞれ22a、22b、22cとし、複数の第2電極24をそれぞれ24a、24b、24cとする。また、測定制御部30は、複数の第1電極22a、22b、22cのいずれかと、複数の第2電極24a、24b、24cのいずれかとに対し同時に電圧を印加することができるとする。なお、複数の第1電極22と複数の第2電極24との位置関係は上下逆としてもよい。
【0024】
まず、測定制御部30は、第1電極22aに正の電圧を印加するとともに、第2電極24aに負の電圧を印加する(電位差Vは例えば5V)。そして、測定制御部30は、第1電極22aと第2電極24aとが対向する測定領域40aに蓄えられた電荷Qを、例えば、電圧フィードバック型表面電位計で測定することで、静電容量C(=Q/V)を導出することができる。
【0025】
同様に、測定制御部30は、第2電極24aに負の電圧を印加している間に、第1電極22bに正の電圧を印加し、測定領域40bの電荷Qを測定することで、測定領域40bの静電容量Cを導出する。また、測定制御部30は、第2電極24aに負の電圧を印加している間に、第1電極22cに正の電圧を印加し、測定領域40cの電荷Qを測定することで、測定領域40cの静電容量Cを導出する。
【0026】
次に、測定制御部30は、負の電圧の印加先を第2電極24aから第2電極24bに切り替えて、上記同様、第1電極22a、22b、22cに正の電圧を順次印加することで、測定領域40d、40e、40fの静電容量Cを導出する。続いて、測定制御部30は、負の電圧の印加先を第2電極24bから第2電極24cに切り替えて、第1電極22a、22b、22cに正の電圧を順次印加することで、測定領域40g、40h、40iの静電容量Cを導出する。こうして、測定領域40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40iそれぞれの静電容量Cを導出することができる。
【0027】
ところで、容器10は密封されているので、容器10内の静電容量Cは、原材料が充填されるまで真空の誘電率ε0に基づいた値C0となり、充填されると、原材料の誘電率εSに基づいた値CSとなる。また、原材料が空の状態から充填状態となる間、測定領域40の面積に対応する原材料の部分含浸率に応じて、静電容量Cは値C0から値CSの間の値を推移する。なお、一般的に、静電容量Cは、値C0<値CSの関係となっている。
【0028】
すなわち、静電容量Cを測定することで、個々の測定領域40における原材料の部分含浸率0~100%を把握することができる。また、その静電容量Cが値CSとなることで、個々の測定領域40における充填の完了(部分含浸率100%)を把握することができる。
【0029】
含浸率導出部32は、測定制御部30が測定した複数の測定領域40a、40b、40c、40d、40e、40f、40g、40h、40iの静電容量(もしくは部分含浸率)の分布に基づいて、容器10における原材料の含浸率を導出する。
【0030】
例えば、
図2において、容器10中の測定領域40a、40b、40cの静電容量Cが値C
S(部分含浸率が100%)で、他の測定領域40d、40e、40f、40g、40h、40iの静電容量Cが値C
0(部分含浸率が0%)の場合、容器10の大凡1/3に原材料が充填されていること(含浸率33%)が把握できる。
【0031】
また、容器10中の測定領域40a、40b、40cの静電容量Cが値CS(部分含浸率が100%)で、測定領域40d、40e、40fの静電容量Cが値((C0+CS)/2)(部分含浸率が50%)で、測定領域40g、40h、40iの静電容量Cが値C0(部分含浸率が0%)の場合、容器10の大凡1/2に原材料が充填されていること(含浸率50%)が把握できる。こうして、原材料を充填する場合の容器10中の含浸率を高精度に測定することが可能となる。
【0032】
なお、ここでは、
図2に示すように、測定領域40の長手方向は原材料が流れる方向に設定されている。これは、以下の理由からである。
【0033】
すなわち、原材料の容器10への入口と出口の位置により、原材料の流れる方向は大凡決定される。ここでは、測定領域40の長手方向と原材料が流れる方向が一致しているので、測定領域40の長手方向に対応する長い距離に渡り、原材料の充填が進むに連れ、静電容量Cが安定的に漸増する。このように長い距離に渡り測定することで、高精度(高分解能)な測定が可能となる。また、静電容量Cが安定的に漸増することで、測定誤差(ノイズ)を抑制することが可能となる。したがって、含浸率導出部32は、原材料が充填される先頭部位(波面)を高精度に把握することができる。
【0034】
ところで、
図2を参照して理解できるように、原材料が流れる方向が決まっている場合、例えば、測定領域40a、40b、40cの静電容量Cが未だ値C
0であれば、他の測定領域40d、40e、40f、40g、40h、40iの静電容量Cは必ず値C
0となる。また、測定領域40g、40h、40iの静電容量Cが既に値C
Sとなっている場合、他の測定領域40a、40b、40c、40d、40e、40fの静電容量Cも既に値C
Sとなっていることとなる。
【0035】
そこで、測定制御部30は、原材料の含浸率(充填の進捗度合い)に応じて、複数の第1電極22および複数の第2電極24の切り替え態様を変化させる。具体的に、測定制御部30は、静電容量Cが値CSになっている測定領域40より下流であり、静電容量Cが未だ値CSになっていない測定領域40のみを測定する。
【0036】
図3Aは、測定制御部30の動作を説明するための説明図である。
図3Bは、測定制御部の他の動作を説明するための説明図である。
図3Cは、測定制御部の他の動作を説明するための説明図である。例えば、
図3Aのように、静電容量Cが値C
Sになっている測定領域40が未だにない場合、測定制御部30は、次に静電容量Cが上がる可能性の高い測定領域40a、40b、40cのみの静電容量Cを測定する。
【0037】
そして、原材料の充填が進行し、
図3Bのように、測定領域40a、40b、40cの静電容量Cが値C
Sになると、測定制御部30は、その下流に位置する静電容量Cが上がる可能性の高い測定領域40d、40e、40fのみの静電容量Cを測定する。
【0038】
同様に、原材料の充填が進行すると、測定制御部30は、
図3Cのように、測定領域40d、40e、40fの静電容量Cも値C
Sになると、測定領域40d、40e、40fの下流に位置する測定領域40g、40h、40iのみの静電容量Cを測定する。そして、測定領域40d、40e、40fの静電容量Cが値C
Sになると、測定制御部30は、静電容量Cの測定を停止する。
【0039】
ここで、第2電極24に着目し、
図3A、
図3B、
図3Cを比較すると、電圧の印加対象が、それぞれ第2電極24aのみ→第2電極24bのみ→第2電極24cのみと移動している。このように、第2電極24に関しては、測定中の電圧の印加対象の切り替えを伴わないので、測定制御部30の処理負荷の軽減を図ることができる。
【0040】
また、第2電極24a、24b、24cを切り替える場合と比べ、1の測定領域40に費やす測定時間を等しくした場合、第1電極22a、22b、22cの切り替え頻度を3倍まで上げることができるので、単位時間当たりの計測頻度を高め、これに伴って測定精度を高めることが可能となる。
【0041】
なお、ここでは、測定制御部30が、静電容量Cが値CSになっている測定領域40より下流であり、静電容量Cが未だ値CSになっていない1の第2電極24に対応する測定領域40のみを測定する例を挙げて説明したが、かかる場合に限らず、静電容量Cが未だ値CSになっていない2以上の第2電極24に対応する測定領域40を測定してもよい。
【0042】
このようにして、容器10に原材料が十分に充填されると、容器10が外部から加熱されて、原材料が焼成される。ただし、原材料が十分に焼成されていないと、成形された複合材の一部に剛性が弱い部分ができるおそれがある。そこで、本実施形態では、測定領域40の静電容量Cに基づいて焼成分布も把握する。ここで、焼成分布は、容器10内の焼成の進捗度合いの分布を示す。
【0043】
図2に戻り、焼成分布導出部34は、複数の測定領域40の静電容量Cの推移に基づいて容器10における樹脂の焼成分布を導出する。原材料を焼成すると、静電容量Cは一旦大きくなり、焼成後、温度が低下すると、静電容量Cは小さくなる。なお、焼成の進捗度合いが異なると、その静電容量Cの推移が異なる。
【0044】
したがって、焼成分布導出部34は、静電容量Cの推移に応じ、例えば、静電容量Cが十分大きくなれば、その測定領域40の焼成率を100%とし、静電容量Cがさほど大きくなければ、その測定領域40の焼成率を70%とする。こうして、複数の測定領域40それぞれの焼成率の容器10中における分布(焼成分布)により、原材料の焼成が十分でない箇所を特定できるので、剛性が低くなることへの対策を事前に講じることが可能となる。
【0045】
また、コンピュータを樹脂含浸測定システム20の中央制御部26として機能させるプログラムや、当該プログラムを記録した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD、DVD、BD等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理手段をいう。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0047】
例えば、上述した実施形態では、第1電極22および第2電極24の形状として、それが測定領域40であるか否かに拘わらず、長手方向の断面が均一になるように設定した。しかし、かかる場合に限らず、断面を変化させてもよい。
【0048】
図4は、第1電極22および第2電極24の他の形状を示した説明図である。
図4に示すように、第1電極22(
図4中、22a、22b、22cで示す)または第2電極24(
図4中、24a、24b、24cで示す)における測定領域40(
図4中、40a~40iで示す)以外の領域では、長手方向の断面が測定領域より小さくなるように、すなわち、短手方向の長さが短くなるように設定する。
【0049】
測定領域40以外の領域には、対向する電極がないので、静電容量Cの測定には寄与しない。したがって、かかる測定領域40以外の領域の金属面を削除することで、電極材料のコストおよび重量の削減が可能となる。
【0050】
なお、
図4では、第1電極22および第2電極24の両方において、測定領域40以外の領域の断面を測定領域より小さくしたが、一方のみを小さくするだけでも、同様に、電極材料コストおよび重量の削減を達成できる。
【符号の説明】
【0051】
10 容器
20 樹脂含浸測定システム
22 第1電極
24 第2電極
30 測定制御部
32 含浸率導出部
34 焼成分布導出部
40 測定領域