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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ネット状コンベアベルト
(51)【国際特許分類】
   A21C 9/08 20060101AFI20221228BHJP
   B65G 15/54 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A21C9/08 C
B65G15/54
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019148341
(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公開番号】P2021027824
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2021-03-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519217434
【氏名又は名称】株式会社サーフテクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】591254291
【氏名又は名称】関西金網株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】下平 英二
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】草野 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】大家 角太郎
(72)【発明者】
【氏名】牧野 翔真
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0213801(US,A1)
【文献】特開2017-209735(JP,A)
【文献】特開2018-198934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21C 9/08
B65G 15/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線径φ0.8~5mmの線材を巻きピッチ3~40mmで編み込んで構成され、麺の蒸し工程において麺を載置して搬送するために用いられるネット状コンベアベルトであって、
少なくとも麺と接触する線材の表面に、微粒子ピーニング処理により、略球面状に陥没した微小凹部であって、入口径がφ10~φ30μm、深さが0.5~3μmである微小凹部をランダムに無数に形成したことを特徴とするネット状コンベアベルト。
【請求項2】
前記麺の蒸し工程は、即席麺の生産ラインの工程であることを特徴とする請求項1に記載のネット状コンベアベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席麺の生産ライン等において即席麺を蒸す際などに利用されるネット状コンベアベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中華麺、パスタ、うどん、そばなどの即席麺の生産ラインでは、麺を、ワイヤー等の線材を編み込んだネット状コンベアベルト(ワイヤーコンベアベルト、ネットコンベアベルト、メッシュコンベアベルトなどとも称する)に載置し、その状態で蒸し器の中に搬送して、麺を蒸した後、搬出するといったことが行われている。
なお、ネット状コンベアベルトの上に麺を載置するのは、蒸し工程にて下方から立ち上る過熱水蒸気を、ネットの隙間を通過させて麺に接触させる領域や機会を増やすことで麺の蒸し具合を均一で良好なものとするためである。
【0003】
しかし、このような麺の蒸し工程では、麺は蒸されて膨張するがその後冷却に伴い徐々に収縮するなどするため、ネット状の線材に食い込んで付着してしまうおそれがあり、蒸した後の麺をネット状コンベアベルトから次の工程へと向かうコンベアベルトに乗り換えさせることができなくなるといったおそれがあった。このような場合には付着した麺を取り除くなどの必要があり、場合によっては生産ラインを停止しなければならないおそれがあるなど、生産能率を低下させるおそれがあった。
【0004】
このようなことから、従来は、例えば、特許文献1等に記載されている技術を応用して、ネット状コンベアベルトの麺が接触する面(接触面)にテフロン(登録商標)コーティング(フッ素加工)等を施して麺が付着し難くするようなことなどを行ってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-181476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ネット状コンベアベルトの接触面にテフロンコーティング等を施す場合には、ネット状コンベアベルトの母材(基材)である金属材料の表面に、母材とは異なる物質を成膜することになるため、なんらかの衝撃や経時劣化等によって、コーティング層が母材から剥離して、製品である即席麺に混入してしまうことが懸念され、このような剥離等の心配のない付着抑制技術が求められているといった実情がある。
【0007】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、剥離等による異物の混入のおそれがなく、麺の蒸し工程において載置している麺が付着し難いネット状コンベアベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
線径φ0.8~5mmの線材を巻きピッチ3~40mmで編み込んで構成され、麺の蒸し工程において麺を載置して搬送するために用いられるネット状コンベアベルトであって、
少なくとも麺と接触する線材の表面に、微粒子ピーニング処理により、略球面状に陥没した微小凹部であって、入口径がφ10~φ30μm、深さが0.5~3μmである微小凹部をランダムに無数に形成したことを特徴とする。
【0010】
本発明において、前記麺の蒸し工程は、即席麺の生産ラインの工程であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、剥離等による異物の混入のおそれがなく、蒸し工程において載置している麺が付着し難いネット状コンベアベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施の形態に係る即席麺の生産ラインの蒸し工程(蒸し器)の一構成例を説明するための正面図(麺の搬送方向と直交する水平方向から見た図)である。
図2】同上実施の形態に係るネット状コンベアベルトの一構成例の一部を示す平面図である。
図3】同上実施の形態に係る微粒子ピーニング処理(粒度#400 のフジガラスビーズFGB(メディア)を用いて被処理材(SUS304)に対して行った微粒子ピーニング処理)によりネット状コンベアベルトを構成している線材の表面に無数に不規則に(ランダムに)形成されたクレータ状の微小ディンプル(微小凹部)のSEM像である。
図4】同上実施の形態に係る微粒子ピーニング処理によりネット状コンベアベルトを構成している線材の表面に形成された無数の微小ディンプル(微小凹部)の一例を模式的に示す斜視図である。
図5】同上実施の形態に係る微粒子ピーニング処理を施したネット状コンベアベルトの線材の表面に微小凹部が無数に形成されている様子を示すレーザ顕微鏡写真である。
図6】微粒子ピーニング処理を施していないネット状コンベアベルトの線材の表面の様子を示すレーザ顕微鏡写真である。
図7図3のSEM像に対応する、粒度#400 のフジガラスビーズFGB(メディア)を用いて微粒子ピーニング処理を被処理材(SUS304)に対して施した場合の微小凹部の入り口径、 深さの測定結果をまとめた一覧表である。
図8】(A)は粒度#400 のフジガラスビーズFGB(メディア)を用いて微粒子ピーニング処理を被処理材(SUS304)に対して施した場合の微小凹部の入り口径、 深さを表す断面曲線の一例を示す図であり、(B)は(A)に対応するSEM像(図3の倍率違いのSEM像)である。
図9】同上実施の形態に係る微粒子ピーニング処理に用いるメディアをワンショットすることにより実験的に形成した単一の凹部の断面SEM像である。
図10】レーザ加工による凹部断面SEM像である。
図11】本実施の形態で用いたメディアの一例であるフジガラスビーズFGBの粒度分布を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0014】
本実施の形態に係るネット状のコンベアベルト(ワイヤーコンベアベルト)10は、例えば、中華麺、パスタ、うどん、そばなどの麺の生産ラインにおいて、例えば、麺を蒸す蒸し工程への搬入・搬出を行う搬送装置として用いられており、具体的には、図1に示すように、麺1を載置した状態で、麺1を蒸し器20の中に搬入して搬出する。
【0015】
ところで、この麺の蒸し工程(蒸し器20)では、ネット状コンベアベルト10に載置されている麺1に対して、蒸し器20内を巡っている(例えば、下方から立ち上る)過熱水蒸気を、ネットを構成するために編み込まれている横断面形状が略円形の線材11(スパイラル状ワイヤー11A、ロッド状ワイヤー11Bなど)の隙間X(図2参照)を通過させて麺1に接触させる領域や機会を増やすことで麺1の蒸し具合を均一で良好なものとしている。
【0016】
しかし、蒸し工程(蒸し器20)では、麺1は蒸されて膨張するがその後冷却に伴い徐々に収縮するなどするため、線材11の表面に麺1が付着したり、更には、それが原因で所定間隔で並ぶ線材11の間に麺1が嵌まり込んで外れ難くなるなどしてネット状コンベアベルト10に付着してしまうおそれがあり、次工程へと向かう下流側のコンベアベルト30(図1参照)へ麺1が良好に乗り移ることができなくなるといったおそれがあった。
【0017】
このため、本実施の形態では、ネット状コンベアベルト10の麺1と接触する部分(スパイラル状ワイヤー11A、ロッド状ワイヤー11Bなどの線材11、ステーピン12など)の表面に、微粒子ピーニング処理により、図3においてSEM像で示すようなクレータ状の微小ディンプル(略球面状に陥没した微小凹部、略球面状微小凹部)を無数に不規則に(ランダムに)形成する付着抑制処理を施した。なお、図4に、微粒子ピーニング処理により無数にランダムに形成される微小ディンプル100のイメージを模式的に表した斜視図を示す。
【0018】
このような微小ディンプル100を微粒子ピーニング処理によりその表面に形成したネット状コンベアベルト10によれば、麺1が付着することが抑制され、次工程へと向かう下流側のコンベアベルト30へ良好に麺1を乗り移らせることができた。
【0019】
なお、本実施の形態に係るネット状コンベアベルト10は、図2に示すように、スパイラル状(螺旋状)に巻回されているスパイラル状ワイヤー11Aと、並列に並べられたスパイラル状ワイヤー11Aの隣接するもの同士に挿通されて連結するロッド状ワイヤー11Bと、を含んで構成されている。
【0020】
また、ネット状コンベアベルト10は、両サイドに(線材11を挟んで両側に対面して)配設される一対のチェーン13(図2において右側は図示を省略している)を連結しているステーピン12を介して、チェーン13に係合されて支持されている。
【0021】
なお、チェーン13は、図1に示すように、環状に連続するように両端部が連結され、その搬送方向上流側端部付近及び下流側端部付近において、図1のスプロケット14に巻回されて噛合しており、スプロケット14が図示しない電動モータなどを介して回転駆動されることで、チェーン13延いてはネット状コンベアベルト10が生産ライン(蒸し器20)の上流側から下流側に、麺1を搬送するように構成されている。
【0022】
ここで、本実施の形態に係るネット状コンベアベルト10のスパイラル状ワイヤー11Aはスパイラルピッチ(巻きピッチ)Y(図2参照)が3~40mm程度、線径がφ0.8~5mm程度のものが一例として想定され、ロッド状ワイヤー11Bはロッドピッチ(配列ピッチ)Z(図2参照)が4~50mm程度、線径がφ0.9~6mm程度のものが一例として想定される。但し、これらの寸法に限定されるものではない。
【0023】
そして、本実施の形態において、微粒子ピーニング処理により、ネット状コンベアベルト10の麺1と接触する部材の表面に形成する微小ディンプル(微小凹部)100のサイズとしては、入口径φ5~φ100μm程度(好ましくは、φ10~30μm程度)、深さで0.5~3μm(好ましくは、1~2μm程度)とすることができる。
【0024】
なお、図7に、図3のSEM像に対応する、粒度#400 のフジガラスビーズFGB(メディア)を用いて微粒子ピーニング処理を被処理材(SUS304)に対して施した場合の微小凹部の入口径、 深さの測定結果の一例を例示しておく。但し、メディアのサイズを変更するなどにより、形成される微小凹部の入口径、 深さなどは適宜調整可能であり、例えば、形成される微小凹部の入口径φ10~30μm程度、深さで0.5~3μmとすることが、麺の蒸し工程において載置している麺のネット状コンベアベルトへの付着を効果的に抑制可能である。
【0025】
ここで、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸の断面形状(微小凹部の入口径、深さ)の一例を図8に示す。
図8(A)は、図8(B)(図3の倍率違いのSEM像)の微粒子ピーニング処理を行った表面の代表的な断面形状を、KEYENCE社製の形状測定レーザーマイクロスコープVK-X100を用いて取得した実際の面性状計測データである。
【0026】
また、図5に、本実施の形態において、微粒子ピーニング処理を施した線材11(11A)の表面に微小凹部が無数に形成されている様子を示すレーザ顕微鏡写真を示しておく。また、図6には、微粒子ピーニング処理を施していないネット状コンベアベルト10の線材の表面の様子を示すレーザ顕微鏡写真を示しておく。
【0027】
ここで、微粒子ピーニング処理(WPC処理)について説明する。
微粒子ピーニング処理とは、「精密ショットピーニング処理」、「FPB(Fine Particle Bombarding)処理」などと称され、金属製品の表面に、目的に応じた材質、粒度の微粒子(メディア)を圧縮性の気体に混合して被加工物(被処理物)に高速衝突させる表面加工法である。
【0028】
なお、本表面加工法は、粒度#90~#1500の範囲のフジガラスビーズFGB(株式会社不二製作所製)(図11参照)や、他の硬質粒子(アルミナシリカビーズ、ハイスビーズなど)を、圧縮空気を介し秒速100m以上の速度で加工対象表面(線材11などの表面)に衝突させ、有意な寸法変化を伴わずに、その縁に凸部を有する略球面状のミクロンサイズの微小凹部を不規則に加工面の全面(目視にて)に形成する。なお、メディアが衝突して微小凹部が形成される際には、クレータ状に、その周囲が隆起して凸部が形成される。また、この隆起した凸部は、他のメディアが衝突することで、凹まされるため凸部の高さは不規則となっている。
【0029】
これに対しレーザ加工や切削加工等の機械的加工は規則正しい凹部が形成されると共に、除去加工であるため凸部は形成されない(凹部の形成に伴って凸部が隆起されることはない)。このため、レーザ加工や切削加工等の機械的加工における微小凹部の周囲の凸部の高さは被加工材(レーザ加工されている部材)の表面の高さに一致している。
【0030】
なお、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成されるため、当該微粒子ピーニング処理により形成される表面テクスチャ(形状)は、研磨処理やブラスト処理などの表面を削って傷を付ける処理により形成される表面形状(テクスチャ)とは異なるが、表面粗さ計などにより測定すると、両者は数値的には似た値となってしまうため、表面粗さなどにより両者を区別することはできない。しかし、微粒子ピーニング処理により形成される表面テクスチャ(形状)によって得られる効果は、研磨処理やブラスト処理などの表面を削って傷を付ける処理により形成される表面形状(テクスチャ)からは予想できない全く異なるものである。
【0031】
このように、微粒子ピーニング処理により形成される微小凹凸は無数に不規則に(ランダムに)形成され、微小凹部及びその周囲の凸部の形状は不規則であり、その不規則性が本発明により奏される作用効果の源になっていることに鑑みると、無数に不規則に(ランダムに)形成された微小凹凸の微小凹凸を形状等により特定することは本願出願時において不可能・非現実的であり、微粒子ピーニング処理により形成された表面テクスチャ(形状)を特定するための用語として、「微粒子ピーニング処理により形成された」という表現を用いる以外には、微粒子ピーニング処理により形成される表面形状を特定することはできないものである。
【0032】
ここで、参考までに、微粒子ピーニング処理により形成される凹部の形状と、レーザ加工による材料の切除(除去)により形成される凹部の形状と、を比較するための図を添付しておく。
【0033】
図9は、本表面加工(微粒子ピーニング処理)に係るメディアをワンショットすることにより実験的に形成した単一の凹部の断面SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)像、図10はレーザ加工による凹部断面SEM像であり、図9の微粒子ピーニング処理により塑性加工にて形成される凹凸(凹部及びその周囲の凸部)の形状と、図10のレーザ加工による材料の切除(除去)により形成される凹部の形状と、は明確に相違していることが解る。
【0034】
〔噴射装置〕
本実施の形態に係る微粒子ピーニング処理は、既知のブラスト装置によりショット(メディア)を噴射して金属製品の表面に衝突させる。
【0035】
例えば、空気式のブラスト装置としては各種の型式のものを使用することができるが,例えばショットの投入されたタンク内に圧縮空気を供給し,該圧縮空気により搬送されたショットを別途与えられた圧縮空気流に乗せてブラストガンより噴射する直圧式のブラスト装置,タンクから落下したショットを圧縮空気に乗せて噴射する重力式のブラスト装置,圧縮空気の噴射により生じた負圧によりショットを吸引して圧縮空気と共に噴射するサクション式のブラスト装置等の各種のブラスト装置を使用することができる。
【0036】
〔ショット(投射材)〕
本実施の形態においてショット(投射材)は、粒度#90~#1500の範囲のフジガラスビーズFGB(株式会社不二製作所製)や、他の硬質粒子(アルミナシリカビーズ、ハイスビーズなど)を用いることができる。
【0037】
上記のような噴射装置により、粒度#90~#1500の範囲のフジガラスビーズFGB(株式会社不二製作所製)や、他の硬質粒子(アルミナシリカビーズ、ハイスビーズなど)を、圧縮空気を介し秒速100m以上の速度で加工対象表面(線材11などの表面)に衝突させ、有意な寸法変化を伴わずに、その縁に凸部を有する略球面状のミクロンサイズの微小凹部を不規則に(ランダムに)加工面の略全面に形成する。
【0038】
このような微粒子ピーニング処理により、本実施の形態に係るネット状コンベアベルト10の麺1が接触する線材11の表面に、クレータ状形状(縁に微小な凸部を有する略球面状のミクロンサイズの凹部) を不規則に形成することで、即席麺等の麺の生産ラインにおける蒸し工程において麺を載置して搬送するネット状コンベアベルト10に対する麺の付着を抑制することができる。
【0039】
より詳細には、麺の蒸し工程では、麺は蒸されて膨張するがその後冷却に伴い徐々に収縮するなどするため、ネット状コンベアベルト10の線材(スパイラル状ワイヤー11Aやロッド状ワイヤー11Bなど)に食い込んで付着してしまうおそれがあり、蒸した後の麺をネット状コンベアベルト10から次の工程へと向かうコンベアベルト30に乗り換えさせることができなくなるといったおそれがあったが、このようなおそれを解決することができる。
このため、ネット状コンベアベルト10に付着した麺を取り除く作業などのために生産ライン(麺の搬送)を停止することを抑制することができるため、生産能率の改善に貢献することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、従来のようなテフロンコーティングのようなコーティング層がないため、剥離等による異物混入などの発生のおそれを回避することができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、比較的簡単かつ低コストな構成でありながら、剥離等による異物の混入のおそれがなく、麺の蒸し工程において載置している麺が付着し難いネット状コンベアベルトを提供することができる。
【0042】
なお、ネット状コンベアベルト10の麺と接触する部材(線材11(11A,11B、ステーピン12など)の材質としては、鉄、アルミ、チタン等の金属製(合金製)とすることができ、鉄の場合には、スチール(SS400など)のほか、ステンレス製とすることができ、更に非磁性のオーステナイト系のステンレス(SUS303、304、316など)とすることができる。但し、これらに限定されるものではない。
【0043】
ところで、本実施の形態では、ネット状コンベアベルト10の線材11の編み込み態様の一例を、図2に示したが、本発明に係るネット状コンベアベルトの線材の編み込みの態様はこれに限定されるものではなく、線材(ワイヤーなど。横断面形状は円形状には限らない)を編み込んで構成されるネット状(網状)のコンベアベルトであれば本発明の範囲に含まれる。
【0044】
本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 麺
10 ネット状コンベアベルト
11 線材
11A スパイラル状ワイヤー
11B ロッド状ワイヤー
12 ステーピン
13 チェーン
14 スプロケット
20 蒸し器(蒸し工程)
100 微小凹部(微小ディンプル、微小くぼみ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11