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  • 特許-スキャン後の湾曲電極 図1
  • 特許-スキャン後の湾曲電極 図2
  • 特許-スキャン後の湾曲電極 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】スキャン後の湾曲電極
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/317 20060101AFI20221228BHJP
   H01J 37/09 20060101ALI20221228BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H01J37/317 A
H01J37/09 Z
H01L21/265 603B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019519719
(86)(22)【出願日】2017-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 US2017048842
(87)【国際公開番号】W WO2018075140
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-05-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】15/296,242
(32)【優先日】2016-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500239188
【氏名又は名称】ヴァリアン セミコンダクター イクイップメント アソシエイツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】フランク シンクレア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ティーガー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ダブリュー ベル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート リンドバーグ
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】松川 直樹
【審判官】瀬川 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-190979(JP,A)
【文献】特表2009-531831(JP,A)
【文献】特表2013-537359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J37/317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンビームを供給するイオンビーム発生器と、
前記イオンビームの向かい合った側に位置付けられる第1及び第2のスキャンプレートを含み、前記イオンビームを受けるスキャニングシステムであって、前記第1及び第2のスキャンプレートは前記イオンビームからスキャンビームを生成し、該スキャンビームはスキャン源及び見掛けのスキャン源を有する、スキャニングシステムと、
前記スキャンビームを受ける電極であって、該電極の少なくとも1部は、前記見掛けのスキャン源の位置を維持するための湾曲形状を有する、電極と、を備え、
前記電極は、抑制電極であり、前記スキャニングシステムの下流にあり、前記スキャニングシステムの前記第1及び第2のスキャンプレートに直接、隣接して、位置付けられ、
前記第1及び第2のスキャンプレートの上流に位置付けられ、抑制電極である、スキャン前の電極を更に備える、イオン注入システムの装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のスキャンプレートは、平行部分及び該平行部分の下流にある分岐部分を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スキャンビームは扇形のビームエンベロープを有し、該扇形のビームエンベロープは、前記スキャン源において始まり、前記電極により受けられ、前記見掛けのスキャン源は前記スキャン源を重ね合わせる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
イオンビームを発生するステップと、
前記イオンビームを受け、スキャンビームを前記イオンビームから供給するステップであって、前記スキャンビームはスキャン源及び見掛けのスキャン源を有する、ステップと、
湾曲電極により前記スキャンビームを受けるステップであって、前記スキャンビームが前記湾曲電極を通過するときに、前記スキャンビームの前記見掛けのスキャン源の位置は維持される、ステップと、を有し、
前記湾曲電極は、抑制電極であり、スキャニングシステムの下流にあり、前記スキャニングシステムの第1及び第2のスキャンプレートに直接、隣接して、位置付けられ、
スキャン前の電極は、抑制電極であり、前記第1及び第2のスキャンプレートの上流に位置付けられる、イオン注入方法。
【請求項5】
前記スキャニングシステムは、前記イオンビームの向かい合った側に位置付けられる前記第1及び第2のスキャンプレートを備え、前記イオンビームを受けて、前記イオンビームから前記スキャンビームを供給する、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1及び第2のスキャンプレートは、平行部分及び該平行部分の下流にある分岐部分を備える、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記スキャンビームの前記スキャン源及び前記見掛けのスキャン源は、前記第1及び第2のスキャンプレートの間に位置付けられる、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記スキャンビームは扇形のビームエンベロープを有し、該扇形のビームエンベロープは、前記スキャン源において始まり、前記見掛けのスキャン源は前記スキャン源を重ね合わせる、請求項に記載の方法。
【請求項9】
イオンビームを供給するイオンビーム発生器と、
前記イオンビームを受けるスキャニングシステムであって、
前記イオンビームの向かい合った側に位置付けられる第1及び第2のスキャンプレートであって、前記イオンビームからスキャンビームを生成し、該スキャンビームはスキャン源及び見掛けのスキャン源を有する、第1及び第2のスキャンプレートと、
該第1及び第2のスキャンプレートの上流に配置され、前記イオンビームを減速する、減速レンズと、を含む、スキャニングシステムと、
前記スキャンビームを受ける電極であって、該電極の少なくとも1部は、前記見掛けのスキャン源の位置を維持するための湾曲形状を有する、電極と、を備え、
前記電極は、抑制電極であり、前記スキャニングシステムの下流にあり、前記スキャニングシステムの前記第1及び第2のスキャンプレートに直接、隣接して、位置付けられ、
前記第1及び第2のスキャンプレートの上流に位置付けられ、抑制電極である、スキャン前の電極を更に備える、イオン注入システムの装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入に関し、より詳しくはスキャン後の抑制電極を有するイオン注入機に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、導電性を半導体ウェーハに導入するための標準技術である。所望の不純物材料は、イオン源でイオン化することができ、イオンは、所定のエネルギーのイオンビームを形成するために、加速することができ、イオンビームはウェーハの前面へ向けることができる。ビームのエネルギーイオンは、半導体材料の大部分の中へ浸透し、半導体材料の結晶格子の中へ埋め込まれ、所望の導電率の領域を形成する。
【0003】
イオン注入機は、イオンビームをウェーハの前面にわたり分布させるために、少なくとも1つの方向にスキャン周波数でイオンビームを偏向させ又はイオンビームでスキャンするためのスキャナを含むことができる。スキャナは、当技術分野で周知のように、静電スキャナ又は磁気スキャナにすることができる。イオンビームは、ビームスキャニングだけにより、又は、ビームスキャニング及びウェーハの動きの組合せにより、ウェーハの領域にわたり分布させることができる。1つのイオン注入機において、スキャナは1つの方向にビームスキャンすることができ、駆動システムは、イオンビームをウェーハの前面にわたり分布させるために、スキャン方向に対して直交方向にウェーハを平行移動させることができる。
【0004】
従来のスキャナは、イオンビーム発生器により供給されるイオンビームの反対側に位置づけられるスキャンプレートの形状のスキャン電極を含むことができる。スキャン後の電極はスキャンプレートの下流に位置づけることができ、スキャン前の抑制電極はスキャンプレートの上流に位置づけることができる。用語「上流に」及び「下流に」は、イオンビームを運ぶ方向を基準とする。したがって、スキャン後の電極はスキャンプレートと角度補正器との間に位置づけ、スキャン前の抑制電極はスキャンプレートとイオンビーム発生器との間に位置づける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スキャンプレートは1次元のイオンビームでスキャンして、偏向領域及びスキャン後の抑制の下流の軌跡がほぼ直線である、扇形のビームエンベロープを供給する。これらの直線は、後ろへ延ばすことができ、1点に交差する。その点は、実際のスキャン源であると言える。スキャンプレートにより処理されるイオンビームは、スキャン後の電極により受ける。従来のスキャナは、平坦なスキャン後の電極を用いる。平坦なスキャン後の電極は、見掛けのスキャン源の望ましくないシフトを引き起こす。見掛けのスキャン源は、実際のスキャン源と同じ、又は、ほぼ同じであるべきである。実際のスキャン源と比較して、見掛けのスキャン源の望ましくない下流のシフトは、平坦なスキャン後の電極に関連するビームの屈折により引き起こされる。見掛けのスキャン源のシフトは、ビームの平行を達成するのに必要なより高いコリメータ場を強制する。より高いコリメータ場は、ビーム角の望ましくない変化を動作させ、線量測定精度及び他のプロセスパラメータを低下させる。
【0006】
したがって、スキャンプレートにより供給される扇形のビームエンベロープのスキャン源をシフトしないイオン注入機のニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本概要は、以下の詳細な説明に記載されるよりも更に簡略化した形式でコンセプトの選択を導入するために、提供される。本概要は、特許請求の範囲の主題の肝要な特徴又は本質的特徴を同定することを意図するものではなく、特許請求の範囲の主題の範囲を決定する助けを意図するものでもない。
【0008】
一実施態様において、イオンビームを供給するイオンビーム発生器を含む装置が提供され、スキャニングシステムは前記イオンビームを受け、スキャンビームを供給してもよく、電極は前記スキャンビームを受けてもよい。前記電極の少なくとも1部は前記スキャンビームの伝播方向に垂直である。一実施態様において、前記スキャンビームの前記伝播方向に垂直である前記電極の少なくとも1部は湾曲形状を有する。
【0009】
別の実施態様において、イオンビームを供給するイオンビーム発生器を含む装置が提供される。スキャニングシステムは前記イオンビームを受け、スキャンビームを供給してもよい。電極は前記スキャンビームを受けてもよい。前記電極の少なくとも1部は湾曲形状を有する。
【0010】
さらに別の実施態様において、イオンビームを発生する方法が提供される。該方法は、前記イオンビームを受け、スキャンビームを前記イオンビームから供給し、電極により前記スキャンビームを受けるステップであって、前記電極の少なくとも1部は前記スキャンビームの伝播方向に垂直である、ステップと、を更に含んでもよい。
【0011】
別の実施態様において、装置はイオンビームを供給するイオンビーム発生器を含んでもよい。さらに、前記装置は、前記イオンビームを受けるスキャニングシステムであって、前記イオンビームの向かい合った側に位置付けられる第1及び第2のスキャンプレートであって、前記イオンビームからスキャンビームを生成し、該スキャンビームはスキャン源及び見掛けのスキャン源を有する、第1及び第2のスキャンプレートを含む、スキャニングシステムを含んでもよい。電極は前記スキャンビームを受けてもよく、該電極の少なくとも1部は、前記見掛けのスキャン源の位置を実質的に維持するための湾曲形状を有する。一実施態様において、減速レンズは、前記第1及び第2のスキャンプレートの上流に配置されてもよい。
【0012】
別の実施態様において、方法は、イオンビームを発生するステップと、前記イオンビームを受け、スキャンビームを前記イオンビームから供給するステップであって、前記スキャンビームはスキャン源及び見掛けのスキャン源を有する、ステップと、を含んでもよい。方法は、さらに、湾曲電極により前記スキャンビームを受けるステップであって、前記スキャンビームが前記湾曲電極を通過するときに、前記スキャンビームの前記見掛けのスキャン源の位置は実質的に維持される、ステップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的実施形態によるイオン注入システムの簡易ブロック図である。
図2図1に例示するイオン注入システムのさらなる詳細を例示する略ブロック図である。
図3】イオンビームを処理するための一連の例示的動作を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
例示的実施形態を組み込むイオン注入システム100の簡易ブロック図を図1に示す。イオンビーム発生器102は、所望の種のイオンビーム104を発生することができ、イオンビーム104のイオンを所望のエネルギーへ加速することができ、エネルギー及び質量汚染物質を除去するためにイオンビーム104の質量/エネルギー分析を実施することができ、低レベルのエネルギー及び質量汚染物質を有するイオンビーム104を供給することができる。スキャニングシステム106は、スキャナ108及び角度補正器110を含むことができる。スキャニングシステム106は、スキャンするイオンビーム104を作るために、イオンビーム104を偏向する。エンドステーション114は、所望の種のイオンが半導体ウェーハ116に注入されるように、スキャンするイオンビーム112の経路の半導体ウェーハ116又は他のワークピースを支持する。イオン注入システム100は、当業者に周知の追加のコンポーネントを含むことができる。例えば、エンドステーション114は、ウェーハをイオン注入システム100に導入し、注入後にウェーハを除去するための自動ウェーハハンドリング装置、ドーズ測定システム、電子フラッド銃などを含むことができる。
【0015】
図2は、図1に例示するイオン注入システム100のさらなる詳細を例示する略ブロック図である。特に、スキャニングシステム106の追加の詳細を図2に例示する。スキャニングシステム106は、スキャンプレート202及び204の形状のスキャン電極を含むことができる。スキャンプレート202及び204はイオンビーム104の向かい合った側に位置付けられる。スキャンプレート202及び204は、平行部分及び平行部分の下流にある分岐部分を含む。
【0016】
スキャニングシステム106は、スキャンプレート202及び204の下流にあるスキャン後の電極206を更に含むことができる。例示されるように、スキャン後の電極206は成形される。一実施形態において、スキャン後の電極206は湾曲形状もしくは弧状形状を有し、又は、スキャン後の電極206の少なくとも1部は湾曲形状もしくは弧状形状を有する。例えば、スキャン後の電極206は、ほぼ直線部分及び湾曲部分を有することができる。スキャン後の電極206は、スキャン後の抑制電圧発生器216に連結することができる。一実施形態において、スキャン後の電極206は、スキャンプレート202及び204に直接、隣接して、位置付けられる。
【0017】
さらに、スキャニングシステム106は、スキャン前の電極208を含むことができる。スキャン前の電極208は、スキャンプレート202及び204の上流である。スキャン前の電極208は、スキャン前の抑制電圧発生器210に連結することができる。減速レンズ208aは、スキャン前の電極208の下流又は上流に位置付けることができる。減速レンズ208aは、イオンビーム104がもっと平行になる又は収束するように、イオンビーム104を減速するために設計された、4極減速レンズにすることができる。一実施形態において、減速レンズ208a及びスキャン前の電極208は1つの部材に統合される。
【0018】
スキャン前の電極208は、イオンビーム104が通過するためのアパーチャを含むことができる。スキャン前の電極208のアパーチャは、スパッタリング及びウェーハの汚染を最小にするために、利用することができる。スキャン前の電極208のアパーチャに関連する大きさは、スキャンプレート202及び204の方への電子の移動を制御しながら、スパッタリングを最小にするのに十分なイオンビーム104のための間隔を提供するために、選択することができる。スキャン前の電極208はスキャン前の抑制電圧発生器210に連結することができる。
【0019】
スキャンプレート202及び204は、扇形のビームエンベロープ212を供給するように機能することができる。例示されるように、扇形のビームエンベロープ212は、扇形のビームエンベロープ212がスキャンプレート202及び204を通過するにつれて、幅において、増大する。スキャンプレート202及び204は、扇形のビームエンベロープ212から、比較的、一定の間隔を維持するように、成形される。通常、扇形のビームエンベロープ212は、実際のスキャン源214において始まる。以下に説明するように、少なくとも湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206の使用により、見掛けのスキャン源214aを実際のスキャン源214の同じ位置にほぼ維持する。一実施形態において、見掛けのスキャン源214aは実際のスキャン源214を重ね合わせる。
【0020】
扇形のビームエンベロープ212がスキャン後の電極206を通過するときに、見掛けのスキャン源214aを実際のスキャン源214とほぼ同じ位置に維持することは、有益であり得る。一実施形態において、扇形のビームエンベロープ212は、スキャン後の電極206の少なくとも湾曲又は弧状部分を通過する。例示の湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206の使用により、扇形のビームエンベロープ212がスキャン後の電極206を通過するときに、実際のスキャン源214及び見掛けのスキャン源214aが同じ又はほぼ同じままであることを確実にする。扇形のビームエンベロープ212の伝播方向に垂直である形状(例えば、湾曲形状)を有するスキャン後の電極206の使用により、実際のスキャン源214に比較して、見掛けのスキャン源214aの屈折シフトを有利に避けることができる。言い換えれば、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206を使用しないで、むしろ、平坦な形状を有する従来のスキャン後の電極を使用すれば、見掛けのスキャン源214aのシフトが生じるであろう。見掛けのスキャン源のそのようなシフトは、実際のスキャン源214の下流に見られ、見掛けのスキャン源のそのようなシフトは、エンドステーション114において、ビームの平行を達成するのに必要なより高いコリメータ場を不必要に強制する。より高いコリメータ場は、ビーム角の望ましくない変化を動作させ得て、線量測定精度及び他のプロセスパラメータを低下させる。
【0021】
他の優位性は、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206を使用することにより、実現される。例えば、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206の使用により、従来のスキャニングシステムで用いられるものに比べて、スキャンプレート202及び204並びにスキャン後の電極206に、顕著に、より高い電圧の使用を可能にする。もっと詳しくは、従来のスキャニングシステムのスキャンプレート及びスキャン後の電極に印加される電圧は、見掛けのスキャン源214aに不必要なシフトを引き起こし得る。したがって、従来のスキャニングシステムは、見掛けのスキャン源214aのシフトに対して軽減するために、望ましいスキャンプレート及びスキャン後の電圧より低い電圧を用いることが要求され得る。比較すると、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極206の形状により、スキャンプレート202及び204並びにスキャン後の電極206に、大きな電圧の使用を可能にし、大きな電圧の使用は見掛けのスキャン源214aを実質的に変更しない。一例において、スキャン後の抑制電圧発生器216は、最大で9kVまでの電圧を、スキャン後の電極206に印加することができ、一方、見掛けのスキャン源214aは、実際のスキャン源214とほぼ同じ位置のままである。
【0022】
図3は、イオンビームを処理するための一連の例示的動作300を例示する。一連の例示的動作は、図1~2に例示するイオン注入システム100などのイオン注入システムにより実施することができる。ブロック302において、イオンビームが発生される。ブロック304において、イオンビームが受けられ、スキャンビームがイオンビームから供給される。ブロック306において、スキャンビームが電極により受けられる。電極は、スキャンビームの伝播方向に垂直である部分を有する。一実施形態において、電極は湾曲形状又は弧状形状を有する。
【0023】
扇形のビームエンベロープの伝播方向に垂直である形状(例えば、湾曲形状)を有するスキャン後の電極の使用により、スキャン源に比較して、見掛けのスキャン源の屈折シフトを有利に避けることができる。言い換えれば、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極を使用しないで、むしろ、平坦な形状を有する従来のスキャン後の電極を使用すれば、見掛けのスキャン源のシフトが生じるであろう。他の優位性は、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極を使用することにより、実現される。例えば、湾曲形状又は弧状形状を有するスキャン後の電極の使用により、従来のスキャニングシステムで用いられるものに比べて、スキャンプレート及びスキャン後の電極に、顕著に、より高い電圧の使用を可能にする。
【0024】
例示的イオン注入装置及び方法が開示されるが、本願の特許請求の範囲の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更をすることができ、均等物で代用することができることは、当業者には理解されるであろう。特許請求の範囲から逸脱することなく、特定の状態又は材料を上記に開示した教示に適合するために、他の修正をすることができる。したがって、特許請求の範囲は、開示された特定の実施形態のいずれかに限定されるものと解釈すべきではなく、特許請求の範囲内にある任意の実施形態にあると解釈すべきである。
図1
図2
図3