(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】PBSA可塑剤を含むポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 27/06 20060101AFI20221228BHJP
C08L 67/04 20060101ALI20221228BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
C08L27/06
C08L67/04
C08L67/02
(21)【出願番号】P 2019522746
(86)(22)【出願日】2017-10-27
(86)【国際出願番号】 US2017058656
(87)【国際公開番号】W WO2018081493
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-10-23
(32)【優先日】2016-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521514831
【氏名又は名称】メレディアン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,ラシェル
(72)【発明者】
【氏名】トランプ,フィリップ・バン
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-266369(JP,A)
【文献】特表2005-501156(JP,A)
【文献】特開2015-218211(JP,A)
【文献】特開2005-125765(JP,A)
【文献】特開2005-154524(JP,A)
【文献】特開平06-293826(JP,A)
【文献】特開2005-068358(JP,A)
【文献】特開平05-070566(JP,A)
【文献】特開平11-222528(JP,A)
【文献】特開平11-349706(JP,A)
【文献】AHN B D,SYNTHESIS AND CHARACTERIZATION OF THE BIODEGRADABLE COPOLYMERS FROM SUCCINIC ACID 以下備考,JOURNAL OF APPLIED POLYMER SCIENCE,2001年02月19日,VOL:82,PAGE(S):2808 - 2826,https://onlinelibrary.wiley.com/doi/epdf/10.1002/app.2135?purchase_referrer=www.google.co.jp&tracking_action=preview_click&r3_referer=wol&show_checkout=1,AND ADIPIC ACID WITH 1,4-BUTANEDIOL
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
C08G 63/00-63/91
C08J 3/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマーがポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、40~99重量%の第1のポリマー;および
1~60重量%のポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)(「PBSA」)
を含み、
前記PBSA
は、20℃~75℃の融点を有し、且つ:
40~60モルパーセントの1,4-ブタンジオール由来部分、
10~50モルパーセントのコハク酸由来部分、および
10~50モルパーセントのアジピン酸由来部分
を含む、
ポリマー組成物。
【請求項2】
PBSAの重量平均分子量が、50,000~200,000である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
PBSAの重量平均分子量が、80,000~120,000である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
PBSAの粘度が、215℃の温度で、15~40Pa-s(15,000~40,000センチポアズ)である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
PBSAの融点が、20℃~75℃である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
PBSAの融点が、25℃~40℃である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
1~10重量%のPBSAを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
50~60重量%のPBSAを含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
充填剤、顔料、安定剤、補助安定剤、二次可塑剤、滑剤、耐衝撃性改良剤、および粘度低下剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載のポリマー組成物を作製するための方法であって:
1,4-ブタンジオールをコハク酸およびアジピン酸と反応させてプレポリマーを形成するステップ;
プレポリマーを縮合重合反応で重合させてポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)(「PBSA」)を形成するステップ;および
第1のポリマーをPBSAとブレンドしてポリマー組成物を形成するステップを含む方法であって、
ポリマー組成物が、40~99重量%の第1のポリマー;および1~60重量%のPBSAを含み、
前記第1のポリマーがポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエートおよびそれらの混合物からなる群から選択され、
前記PBSAが:
40~60モルパーセントの1,4-ブタンジオール由来部分、
10~50モルパーセントのコハク酸由来部分、および
10~50モルパーセントのアジピン酸由来部分
を含む、
上記方法。
【請求項11】
金属酸化物または有機金属酸化物触媒を使用して、PBSAを形成するためのプレポリマーの重合が実施され、金属酸化物または有機金属酸化物触媒中の金属が、チタン、ジルコニウム、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、ハフニウム、およびビスマスからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
チタンイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される触媒を使用して、PBSAを形成するためのプレポリマーの重合が実施される、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリマー組成物に関する。より具体的には、本開示は、ポリブチレンスクシネート可塑剤を取り込むポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ塩化ビニル(「PVC」)は、建築および商品包装等の分野で一般に使用されるポリマーである。PVCには2つの形態、硬質および軟質がある。PVCは、天然には硬質ポリマーであるが、可塑剤、または可塑剤の組み合わせを加えることによって、それは有利にはより軟質にすることができる。
【0003】
ポリ乳酸(「PLA」)およびポリヒドロキシアルカノエート(「PHA」)は、商業的な重要性が増している追加のポリマーである。有利には、PLAおよびPHAは、化石燃料よりもむしろ再生可能なバイオマス供給源から得られる可能性がある。さらに、PLAおよびPHA生成物は、生分解性である。それ自体では、しかしながら、PLAおよびPHAは、かなり剛性でおよび脆いポリマーである傾向がある。その結果、バイオポリマーの特性を可塑剤で改変することも有利である。
【0004】
このような目的のための可塑剤は、典型的に、液体であり、分子量が比較的低い。可塑剤の典型的な例には、フタル酸ジエステル等の小分子が含まれる。このような可塑剤は、ある特定の態様において、問題がある。最初に、このような可塑剤は、ポリマーの表面に移動しブルームする傾向があり、その場合ポリマーへの曝露が健康上のリスクをもたらす可能性がある。このブルーミングの傾向は、少なくとも部分的に、可塑剤の比較的低い分子量によるものであると考えられる。その上、軟質PVCをリサイクルする用途では、可塑剤がその特性を失うのに十分分解される前に、ポリマー材料を2または3回しか粉砕再生することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、適度な分子量から高分子量の材料をPVC、PLAおよび/またはPHAの可塑剤として使用できることが望ましく、それはポリマー材料内でほとんどから全く移動を示さないであろう。その所望の特性が失われる前に複数回リサイクルできる軟質PVCを提供することも望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記および他の要求は、本開示によるポリマー組成物によって満たされる。一実施形態によれば、ポリマー組成物は、約40~約99重量%の第1のポリマー;および約1~約60重量%のポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)(「PBSA」)を含む。
【0007】
ポリマー組成物のある特定の実施形態では、第1のポリマーは、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0008】
ポリマー組成物のいくつかの実施形態では、PBSAの重量平均分子量は、好ましくは約50,000~約200,000である。より好ましくは、PBSAの重量平均分子量は、約80,000~約120,000である。さらに、ある特定の実施形態では、PBSAの粘度は、好ましくは約215℃の温度で約15,000~約40,000センチポ
アズである。
【0009】
場合によっては、ポリマー組成物のPBSAの融点は、好ましくは約20℃~約75℃である。より好ましくは、PBSAの融点は、約25℃~約40℃である。
【0010】
ポリマー組成物のある特定の実施形態の場合、PBSAは、好ましくは約40~約60モルパーセントの1,4-ブタンジオール由来部分、約10~約50モルパーセントのコハク酸由来部分、および約10~約50モルパーセントのアジピン酸由来部分で構成される。
【0011】
ポリマー組成物のある特定の実施形態では、ポリマー組成物は、約1~約10重量%のPBSAを含む。より好ましくは、ポリマー組成物は、約50~約60重量%のPBSAを含む。
【0012】
ポリマー組成物のいくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、充填剤、顔料、安定剤、補助安定剤、二次可塑剤、滑剤、耐衝撃性改良剤、および粘度低下剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
【0013】
別の態様では、本開示は、ポリマー組成物を作製するための方法を提供する。一実施形態では、方法は、1,4-ブタンジオールをコハク酸およびアジピン酸と反応させてプレポリマーを形成する第1のステップを含む。方法はまた、プレポリマーを縮合重合反応で重合させてポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)(「PBSA」)を形成する第2のステップを含む。このポリマー組成物は、約40~約99重量%の第1のポリマー;および約1~約60重量%のPBSAを含む。
【0014】
方法のある特定の実施形態では、第1のポリマーは、好ましくはポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0015】
方法のいくつかの実施形態では、PBSAの重量平均分子量は、好ましくは約50,000~約200,000である。より好ましくは、PBSAの重量平均分子量は、約80,000~約120,000である。さらに、ある特定の実施形態では、PBSAの粘度は、好ましくは約215℃の温度で約15,000~約40,000センチポアズである。
【0016】
場合によっては、方法で使用されたPBSAの融点は、好ましくは約20℃~約75℃である。より好ましくは、PBSAの融点は、約25℃~約40℃である。
【0017】
方法のある特定の実施形態の場合、PBSAは、好ましくは約40~約60モルパーセントの1,4-ブタンジオール由来部分、約10~約50モルパーセントのコハク酸由来部分、および約10~約50モルパーセントのアジピン酸由来部分で構成される。
【0018】
方法のある特定の実施形態では、ポリマー組成物は、約1~約10重量%のPBSAを含む。より好ましくは、ポリマー組成物は、約50~約60重量%のPBSAを含む。
【0019】
方法のある特定の実施形態では、PBSAを形成するためのプレポリマーの重合は、金属酸化物または有機金属酸化物触媒を使用して実施される。金属酸化物または有機金属酸化物触媒中の金属は、好ましくはチタン、ジルコニウム、スズ、ゲルマニウム、アンチモン、ハフニウム、およびビスマスからなる群から選択される。例として、重合反応は、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、およびそれらの混合物からなる群から
選択される触媒を使用して実施することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示によれば、ポリマー組成物が提供される。ポリマー組成物は、第1のポリマーと、可塑剤として作用するポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)(「PBSA」)ポリマーを含む。典型的に、第1のポリマーは、ポリマー組成物の約40~約99重量%を構成することになり、PBSAは、ポリマー組成物の約1~約60重量%を構成することになる。
【0021】
様々な材料が第1のポリマーとして使用できると考えられるが、第1のポリマーは、好ましくはポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリ乳酸(「PLA」)、ポリヒドロキシアルカノエート(「PHA」)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
PHAという用語は、あるクラスの生物由来のポリマーを包含する。このクラスのポリマーから、本開示にしたがって使用するのに好ましいPHAは、好ましくは構造:
【0023】
【0024】
【化2】
を有する第2の繰り返し単位を有しており、
式中、各Rは、独立して、C3~C19アルキル基であり、かつ
ポリマーは、約75モルパーセント~約99モルパーセントの第1の繰り返し単位と約1モルパーセント~約25モルパーセントの第2の繰り返し単位を含む。特に好ましいPHAは、ヒドロキシブチレート-ヒドロキシヘキサノエートコポリマーである。
【0025】
上記の通り、PVC、PLA、およびPHAポリマーは、しばしば可塑剤添加剤の含有から利益を得る。従来の可塑剤は、しかしながら、ブルーミング等の問題を生じまたはポリマー組成物がリサイクルされる場合に可塑剤の分解(degradation)を生じる可能性がある。
【0026】
これらの困難を克服するために、本開示は、PVC、PLA、PHA、および/または他のポリマーと共に使用するための異なる可塑剤を提供する。特に、本開示は、1,4-ブタンジオール、コハク酸、およびアジピン酸の縮合重合から作製したポリマーである可塑剤を提供する。したがって、該ポリマーは、ポリブチレン(スクシネート-co-アジペート)ポリマー、またはPBSAと称されることができる。
【0027】
他のより伝統的な可塑剤と比較して、本開示のPBSA可塑剤の平均分子量は、かなり高い。例として、ポリマー組成物のいくつかの実施形態では、PBSAの重量平均分子量は、約50,000~約200,000であってよい。より好ましくは、PBSAの重量
平均分子量は、約80,000~約120,000である。
【0028】
平均分子量が高いことに加えて、本開示のPBSA可塑剤は、典型的に、比較的高い粘度値も同様に示す。例として、PBSAの粘度は、約215℃の温度で測定したとき、好ましくは約15,000~約40,000センチポアズであってよい。
【0029】
有利には、本開示のPBSA可塑剤は、第1のポリマーと合わせたときに、より少ない移動(migration)およびブルーミング(blooming)を示すことも見いだされた。特定の理論に拘泥するものではないが、移動およびブルーミングの減少は、PBSAのより高い分子量および/またはより高い粘度によるものであり得ると考えられる。
【0030】
PBSA可塑剤の融点は、最終PBSAポリマー中のコハク酸とアジピン酸の割合を変えることによって調整できることも見いだされた。この点に関して、発明者らは、最終PBSAが、約40~約60モルパーセントの1,4-ブタンジオール由来部分、約10~約50モルパーセントのコハク酸由来部分、および約10~約50モルパーセントのアジピン酸由来部分で構成されることが一般に好ましいことが見いだされた。
【0031】
得られたPBSAの融点は、好ましくは約20℃~約75℃であり、より好ましくは、PBSAの融点は、約25℃~約40℃である。
【0032】
上記の通り、PBSAは、一般にポリマー組成物の約1~約60重量%を構成していてよい。正確な量は、最終ポリマー組成物においてどれほどの相対的な硬質性または軟質性が望まれているかに応じて変化し得る。より硬質である最終ポリマー組成物が望ましい用途では、ポリマー組成物は、約1~約10重量%のPBSA可塑剤だけを含み得る。より軟質な最終ポリマー組成物が望まれる他の用途では、ポリマー組成物は、約50~約60重量%のPBSA可塑剤を含み得る。
【0033】
場合によっては、ポリマー組成物は、1種または複数のさらなる添加剤も含み得る。例として、ポリマー組成物は、充填剤、顔料、ポリマー安定剤、補助安定剤、二次可塑剤、滑剤、耐衝撃性改良剤、および粘度低下剤からなる群から選択される1種または複数の添加剤を含み得る。
【0034】
適当な充填剤および顔料には、タルク、炭酸カルシウムおよび二酸化チタンが含まれる。適当なポリマー安定剤の例には、スズ系安定剤、鉛系安定剤、希土類金属系安定剤、および無金属安定剤が含まれる。適当な補助安定剤の例には、酸化防止剤、エポキシ化合物、ポリオール、過塩素酸塩、およびβ-ジケトンが含まれる。適当な二次可塑剤の例には、フタレート化合物が含まれる。適当な滑剤の例には、蝋および、典型的に、1分子当たり約12~約18個の炭素原子を有する飽和または不飽和脂肪酸金属塩のいずれかが含まれる。適当な粘度低下剤の例には、エチレン部分と1種または複数の以下のコモノマー:n-アクリル酸ブチル、一酸化炭素、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、およびアクリル酸エチルの部分を含有するコポリマーが含まれる。このタイプの粘度降下コポリマーは、DuPont社からELVALOYの商品名で入手可能である。
【0035】
ポリマー組成物に含まれていてもよい特に好ましい添加剤は、ポリブチレンスクシネート、タルク、炭酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0036】
PBSA可塑剤は、最初に1,4-ブタンジオールをコハク酸およびアジピン酸と混合し、混合物を反応させてプレポリマーを形成することによって調製することができる。こ
の最初のエステル化反応は、好ましくは約150~約200℃の温度で約1~約24時間の期間実施する。反応は、好ましくは反応器からの蒸気を再濃縮させるための熱交換器を備えたエステル化反応で実施する。再濃縮された有機成分は、次いで反応器に戻すことができ、同時に再濃縮された水は除去し別個のレシーバー容器に回収することができる。エステル化反応器に減圧を適用することもできる。
【0037】
最初のプレポリマーが形成した後、プレポリマーを縮合重合反応でさらに重合させてPBSAを形成する。この重合反応は、好ましくはチタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される触媒を使用して触媒される。より好ましくは、触媒は、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムブトキシド、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
重合反応は、最初のエステル化と同じ反応器で実施でき、最終PBSAポリマーをもたらすために、好ましくは約180~約275℃の温度で約1~約96時間の期間実施する。この重合中に反応器に減圧を適用することもできる。
【0039】
上記のように、本開示の最終PBSAポリマーの平均分子量は、かなり高く、本開示の最終PBSAポリマーの重量平均分子量は、典型的に、約50,000~約200,000、より好ましくは約80,000~約120,000である。
【0040】
最後に、完成したPBSAポリマーは、第1のポリマーおよび任意の他の所望の添加剤とブレンドする。混合は、一般に高剪断混合装置、例えばブラベンダーミキサーまたは押出機を使用して第1のポリマーおよびPBSA可塑剤の両方が実質的に溶融する温度で実施する。典型的に、混合は、約150~約225℃の温度で実施する。
【0041】
有利には、本開示のPBSA可塑剤は、PVCまたはPLA等のポリマーと合わせたときに、従来の可塑剤よりも少ない移動およびブルーミングを示すことも見いだされた。特定の理論に拘泥するものではないが、移動およびブルーミングの減少は、PBSAのより高い分子量および/またはより高い粘度によるものであり得ると考えられる。
【0042】
さらに、本開示のPBSA可塑剤をPVCとブレンドすると、その所望の構造特性が失われる前に複数回リサイクルおよび再使用できる軟質なPVC材料をもたらすことも見いだされた。重ねて特定の理論に拘泥するものではないが、本開示のPBSA可塑剤は、従来の低分子量の可塑剤と比較してリサイクル中の劣化がより少ないことを示し、これによりブレンドしたポリマー組成物の全体的なリサイクル性の向上がもたらされると考えられる。
【実施例】
【0043】
以下の非限定的な実施例は、本発明の様々な追加の態様を例示する。特に他に指示がない限り、温度は摂氏であり、パーセントは、調合物の乾燥重量に基づく重量によるものである。
【実施例1】
【0044】
熱交換器を備えた5ガロン反応器に、1,4-ブタンジオール(21ポンド)、コハク酸(11.01ポンド)、およびアジピン酸(20.43ポンド)を投入し、18時間180℃に加熱した。最初の4時間、減圧は、300トールまで減少させ、その後徐々に1トールまで下げた。水は、レシーバーに回収した。プレポリマーの酸価が≦30のとき、ジルコニウム触媒45グラムを加えた。反応は、所望の粘度が達成されるまで205℃および1トール減圧で継続した。ポリ(ブチレンスクシネート)(2.1ポンド)を反応器に加え、窒素下で、205℃で2時間撹拌した。生成物を、やや半透明な白い固体として
回収した。
【実施例2】
【0045】
実施例1のプロセスを、触媒としてチタンイソプロポキシドを使用して繰り返した。
【0046】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で示されている。それらは、本発明を開示された正確な形式に網羅または限定するためのものではない。明白な変更または変形は上述の教示の観点から可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実用の最適な例示を提供するために選択し記載したものであり、それによって当業者が本発明を様々な実施形態で、かつ企図されている特定の使用に適しているような様々な変更を加えて利用できるようにしたものである。このようなすべての変更および変形は、公正に、法的に、公平に権利を与えられる範囲で解釈される場合に、添付の特許請求の範囲により定められる本発明の範囲内にある。