(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】セラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/74 20060101AFI20221228BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20221228BHJP
H05B 3/28 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H05B3/74
H05B3/03
H05B3/28
(21)【出願番号】P 2020042336
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹林 央史
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-004946(JP,A)
【文献】特開2005-116608(JP,A)
【文献】特開2001-354473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/74
H05B 3/03
H05B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックプレートと、
前記セラミックプレートに埋設され、厚さ方向に貫通するビア用貫通穴を有する平面電極と、
前記セラミックプレートに埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体から前記ビア用貫通穴に向かって設けられた導電性の第1ビアと、
前記ビア用貫通穴から前記抵抗発熱体とは反対側に向かって設けられた導電性の第2ビアと、
前記ビア用貫通穴の内側にて前記ビア用貫通穴の内周面から離れて設けられ、前記第1ビアと前記第2ビアとを電気的に連結する導電性の連結部と、
前記ビア用貫通穴の内側にて前記連結部と前記ビア用貫通穴の内周面との間に設けられ、前記セラミックプレートと同じ材料の補強部と、
を備え
、
前記平面電極は、該平面電極を厚さ方向に貫通する密着用貫通穴を有し、
前記密着用貫通穴には、前記セラミックプレートと同じ材料が充填され、
前記ビア用貫通穴及び前記密着用貫通穴は、前記セラミックプレートの外周に近いほど密度が高くなっている、
セラミックヒータ。
【請求項2】
前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートに設けられた複数のゾーンのそれぞれ設けられ、
前記第1ビア、前記第2ビア、前記連結部及び前記補強部は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して設けられている、
請求項1に記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
前記平面電極は、前記抵抗発熱体に電力を供給する一対の給電端子の一方に接続され、
前記第1ビア、前記連結部及び前記第2ビアは、前記一対の給電端子の他方に接続され、
前記平面電極は、グランド電極又はジャンパ線である、
請求項1又は2に記載のセラミックヒータ。
【請求項4】
前記平面電極は、前記抵抗発熱体に電力を供給する一対の給電端子の一方に接続され、
前記第1ビア、前記連結部及び前記第2ビアは、前記一対の給電端子の他方に接続され、
前記平面電極は、複数の前記抵抗発熱体に共通のグランド電極である、
請求項2に記載のセラミックヒータ。
【請求項5】
前記平面電極は、前記抵抗発熱体に電力を供給する一対の給電端子の一方に接続され、
前記第1ビア、前記連結部及び前記第2ビアは、前記一対の給電端子の他方に接続され、
前記平面電極は、複数の前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して設けられたジャンパ線である、
請求項2に記載のセラミックヒータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを加工するにあたり、ウエハを吸着保持する静電チャックヒータが使用される。こうした静電チャックヒータとして、特許文献1に示すように、 セラミックス焼結体に静電電極が埋設された静電チャックと、複数の抵抗発熱体を有する樹脂シートであって一方の面が静電チャックに樹脂接着されたシートヒータと、を備えたものが知られている。シートヒータは、複数の抵抗発熱体のそれぞれに給電するジャンパ線、抵抗発熱体とジャンパ線とを上下方向に連結する発熱体連結ビア、ジャンパ線へ給電するために外部へ取り出す給電ビアなども備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/029876号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした静電チャックヒータにおいて、樹脂シートの熱抵抗が高く、十分な熱引きが得られないことから、樹脂シートをセラミックプレートに変更したいという要望があった。その場合、セラミックプレートに比較的面積の大きな平面電極を埋設することがあるが、そうした平面電極とセラミックプレートとの密着性が十分得られないことがあった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、セラミックヒータにおいて、平面電極とセラミックプレートとの密着性を向上させることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のセラミックヒータは、
表面にウエハ載置面を有するセラミックプレートと、
前記セラミックプレートに埋設され、厚さ方向に貫通するビア用貫通穴を有する平面電極と、
前記セラミックプレートに埋設された抵抗発熱体と、
前記抵抗発熱体から前記ビア用貫通穴に向かって設けられた導電性の第1ビアと、
前記ビア用貫通穴から前記抵抗発熱体とは反対側に向かって設けられた導電性の第2ビアと、
前記ビア用貫通穴の内側にて前記ビア用貫通穴の内周面から離れて設けられ、前記第1ビアと前記第2ビアとを電気的に連結する導電性の連結部と、
前記ビア用貫通穴の内側にて前記連結部と前記ビア用貫通穴の内周面との間に設けられ、前記セラミックプレートと同じ材料の補強部と、
を備えたものである。
【0007】
本発明のセラミックヒータでは、平面電極は、その平面電極を厚さ方向に貫通するビア用貫通穴を有する。また、ビア用貫通穴には、第1ビアと第2ビアとを連結する連結部と、その連結部とビア用貫通穴の内周面との間にセラミックプレートと同じ材料の補強部とを有する。平面電極は、補強部によってセラミックプレートにしっかりと密着する。したがって、本発明のセラミックヒータによれば、補強部がない場合に比べて、平面電極とセラミックプレートとの密着性が向上する。
【0008】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記抵抗発熱体は、前記セラミックプレートに設けられた複数のゾーンのそれぞれに設けられていてもよく、前記第1ビア、前記第2ビア、前記連結部及び前記補強部は、前記抵抗発熱体のそれぞれに対応して設けられていてもよい。こうしたいわゆる多ゾーンヒータでは、抵抗発熱体の数に応じて補強部が増えるため、平面電極とセラミックプレートとの密着性がより向上する。
【0009】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記平面電極は、前記抵抗発熱体に電力を供給する一対の給電端子の一方に接続されていてもよく、前記第1ビア、前記連結部及び前記第2ビアは、前記一対の給電端子の他方に接続されていてもよい。この場合、平面電極はグランド電極として用いてもよいし、ジャンパ線として用いてもよい。平面電極は、導電線と比べて面積が大きいため、通電しても発熱しにくい。そのため、ウエハ載置面に載置されるウエハの均熱性を高めることができる。また、抵抗発熱体が複数のゾーンのそれぞれに設けられている場合、平面電極を複数の抵抗発熱体に共通の1つのグランド電極として用いてもよい。あるいは、抵抗発熱体が複数のゾーンのそれぞれに設けられている場合、平面電極を複数の抵抗発熱体のそれぞれに対応して設けて、ジャンパ線として用いてもよい。
【0010】
本発明のセラミックヒータにおいて、前記平面電極は、該平面電極を厚さ方向に貫通する密着用貫通穴を有し、前記密着用貫通穴には、前記セラミックプレートと同じ材料が充填されていてもよい。こうすれば、ビア用貫通穴の補強部に加えてセラミックプレートと同じ材料が充填された密着用貫通穴が存在するため、平面電極とセラミックプレートとの密着性は一層向上する。この場合、前記ビア用貫通穴及び前記密着用貫通穴は、前記セラミックプレートの外周に近いほど密度が高くなっている(単位面積当たりの個数が多くなっている)ことが好ましい。セラミックプレートは外周に近いほど熱による伸縮が大きいが、外周に近いほどビア用貫通穴や密着用貫通穴の密度を高くすることで、外周の密着性を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図6】第1~第4平面電極141~144の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の好適な一実施形態であるセラミックヒータ10について以下に説明する。
図1はセラミックヒータ10の平面図、
図2は
図1のA-A断面図、
図3は
図2のB-B断面図(セラミックヒータ10を平面電極14が設けられた面で切断したときの断面図)、
図4は
図2のC-C断面図(セラミックヒータ10を第1~第4抵抗発熱体21~24が設けられた面で切断したときの断面図)である。なお、
図1、
図3及び
図4の一点鎖線は各ゾーンの境界を示す。また、
図3及び
図4では、便宜上、切断面を表すハッチングを省略した。以下の説明において、上下、左右、前後を用いることがあるが、上下、左右、前後は、相対的な位置関係に過ぎない。
【0013】
セラミックヒータ10は、
図2に示すように、セラミックプレート12と、平面電極14と、第1~第4抵抗発熱体21~24とを備えている。
【0014】
セラミックプレート12は、セラミック(例えばアルミナセラミックや窒化アルミセラミック)で作製された円盤状の部材である。このセラミックプレート12の上面には、ウエハを載置するウエハ載置面12aが設けられている。
【0015】
平面電極14は、
図2及び
図3に示すように、セラミックプレート12よりも一回り小さい円板電極であり、セラミックプレート12に埋設されている。平面電極14は、複数のビア用貫通穴16と、複数の密着用貫通穴18とを備える。ビア用貫通穴16と密着用貫通穴18は、平面電極14を厚さ方向に貫通する同じ直径の穴であり、平面電極14の全体に等間隔に設けられている。密着用貫通穴18の内側には、セラミックプレート12と同じセラミック材料が充填されている。セラミックプレート12のうち平面電極14の下面とセラミックプレート12の下面との間には、厚さ方向に延びる導電性のグランド接続部材15が1本埋設されている。グランド接続部材15の上端は平面電極14に接続され、下端は図示しないグランドに接続される。
【0016】
第1~第4抵抗発熱体21~24は、セラミックプレート12に埋設されている。第1~第4抵抗発熱体21~24は、
図2に示すように、ウエハ載置面12aと平面電極14との間の同一平面上に設けられている。セラミックプレート12は、上方からみたときに第1~第4ゾーンZ1~Z4に分かれている。
【0017】
第1ゾーンZ1は、
図4に示すように、セラミックプレート12と同心円の小円形ゾーンである。第1抵抗発熱体21は、第1ゾーンZ1を加熱する発熱体であり、一方の端子21aから第1ゾーンZ1の全体にわたって一筆書きの要領で交差することなく配線されて他方の端子21bに至るように設けられている。
【0018】
第1抵抗発熱体21の一方の端子21aは、
図2の拡大図に示すように、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材31aに接続されている。導電部材31aは、上端が端子21aに接続され、下端がセラミックプレート12の下面から露出している。導電部材31aは、図示しない第1外部電源に接続され、第1外部電源によって電圧が印加される。導電部材31aは、第1ビア51と第2ビア52と連結部53とを備えている。第1ビア51は、端子21aからビア用貫通穴16に向かって設けられている。第2ビア52は、そのビア用貫通穴16から第1抵抗発熱体21とは反対側に向かって設けられ、セラミックプレート12の下面から露出している。連結部53は、ビア用貫通穴16の内側にてそのビア用貫通穴16の内周面から離れて設けられ、第1ビア51と第2ビア52とを電気的に連結している。連結部53の直径は、第1ビア51及び第2ビア52の直径よりも大きい。導電部材31aが設けられたビア用貫通穴16のうち連結部53とビア用貫通穴16の内周面との間には、補強部54が設けられている。補強部54は、セラミックプレート12と同じ材料で形成されている。第1抵抗発熱体21の他方の端子21bは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材31bに接続されている。導電部材31bは、上端が端子21bに接続され、下端が平面電極14に接続されている。導電部材31bは、平面電極14及びグランド接続部材15を介してグランドに接続される。
【0019】
第2ゾーンZ2は、
図4に示すように、セラミックプレート12と中心が同じである環状ゾーンであり、第1ゾーンZ1の外側に設けられている。第2抵抗発熱体22は、第2ゾーンZ2を加熱する発熱体であり、一方の端子22aから第2ゾーンZ2の全体にわたって一筆書きの要領で交差することなく配線されて他方の端子22bに至るように設けられている。
【0020】
第2抵抗発熱体22の一方の端子22aは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材32a(
図3参照)に接続されている。導電部材32aは、図示しないが、上端が端子22aに接続され、下端がセラミックプレート12の下面から露出している。導電部材32aは、図示しない第2外部電源に接続され、第2外部電源によって電圧が印加される。導電部材32aは、導電部材31aと同様の構成(
図2の拡大図に示すように第1ビア51と第2ビア52と連結部53とを備えた構成)である。導電部材32aが通過するビア用貫通穴16の内側には、補強部54が設けられている。第2抵抗発熱体22の他方の端子22bは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材32b(
図3参照)に接続されている。導電部材32bは、図示しないが、上端が端子22bに接続され、下端が平面電極14に接続されている。導電部材32bは、平面電極14及びグランド接続部材15を介してグランドに接続される。
【0021】
第3ゾーンZ3は、
図4に示すように、セラミックプレート12と中心が同じである環状ゾーンであり、第2ゾーンZ2の外側に設けられている。第3抵抗発熱体23は、第3ゾーンZ3を加熱する発熱体であり、一方の端子23aから第3ゾーンZ3の全体にわたって一筆書きの要領で交差することなく配線されて他方の端子23bに至るように設けられている。
【0022】
第3抵抗発熱体23の一方の端子23aは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材33a(
図3参照)に接続されている。導電部材33aは、図示しないが、上端が端子23aに接続され、下端がセラミックプレート12の下面から露出している。導電部材33aは、図示しない第3外部電源に接続され、第3外部電源によって電圧が印加される。導電部材33aは、導電部材31aと同様の構成(
図2の拡大図に示すように第1ビア51と第2ビア52と連結部53とを備えた構成)である。導電部材33aが通過するビア用貫通穴16の内側には、補強部54が設けられている。第3抵抗発熱体23の他方の端子23bは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材33b(
図3参照)に接続されている。導電部材33bは、図示しないが、上端が端子23bに接続され、下端が平面電極14に接続されている。導電部材33bは、平面電極14及びグランド接続部材15を介してグランドに接続される。
【0023】
第4ゾーンZ4は、
図4に示すように、セラミックプレート12と中心が同じである環状ゾーンであり、第3ゾーンZ3の外側に設けられている。第4抵抗発熱体24は、第4ゾーンZ4を加熱する発熱体であり、一方の端子24aから第4ゾーンZ4の全体にわたって一筆書きの要領で交差することなく配線されて他方の端子24bに至るように設けられている。
【0024】
第4抵抗発熱体24の一方の端子24aは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材34a(
図3参照)に接続されている。導電部材34aは、図示しないが、上端が端子24aに接続され、下端がセラミックプレート12の下面から露出している。導電部材34aは、図示しない第4外部電源に接続され、第4外部電源によって電圧が印加される。導電部材34aは、導電部材31aと同様の構成(
図2の拡大図に示すように第1ビア51と第2ビア52と連結部53とを備えた構成)である。導電部材34aが通過するビア用貫通穴16の内側には、補強部54が設けられている。第4抵抗発熱体24の他方の端子24bは、セラミックプレート12の厚さ方向に延びる導電部材34b(
図3参照)に接続されている。導電部材34bは、図示しないが、上端が端子24bに接続され、下端が平面電極14に接続されている。導電部材34bは、平面電極14及びグランド接続部材15を介してグランドに接続される。
【0025】
ここで、セラミックプレート12と平面電極14との密着性を向上させることを考慮すると、ビア用貫通穴16の直径は、連結部53の直径よりも0.3mm以上大きいことが好ましい。また、第1及び第2ビア51,52を連結部53で良好に接続することを考慮すると、連結部53の直径は、第1及び第2ビア51,52の直径よりも0.3mm以上大きいことが好ましい。
【0026】
次に、セラミックヒータ10の製造方法の一例について説明する。セラミックヒータ10は、例えば、複数のセラミックグリーンシート(セラミック粉末を含む薄いテープ成形体)を積層し加圧して積層体とし、その積層体を乾燥、仮焼、焼成することにより作製することができる。その場合、所定のセラミックグリーンシートには、電極ペーストを平面電極14の形状となるように印刷する。このとき、平面電極14のビア用貫通穴16には、電極ペーストを連結部53の形状となるように印刷する。別のセラミックグリーンシートには、電極ペーストを第1~第4抵抗発熱体21~24のパターンとなるように印刷する。また、グランド接続部材15や導電部材31a~34aの各ビアや導電部材31b~34bを設ける必要のある箇所には、セラミックグリーンシートに貫通穴を設けたあとその貫通穴に電極ペーストを印刷する。
【0027】
次に、セラミックヒータ10の使用方法の一例について説明する。まず、セラミックプレート12の下面に、冷媒を循環させる冷媒通路を備えた冷却板(図示せず)を接合する。冷却板には、平面電極14のグランド接続部材15及び第1~第4抵抗発熱体21~24の導電部材31a~34aと対向する位置に冷却板を厚さ方向に貫通する貫通孔が設けられている。これらの貫通孔を介して、平面電極14のグランド接続部材15はグランドに接続され、第1~第4抵抗発熱体21~24の導電部材31a~34aはそれぞれに対応する第1~第4外部電源に接続される。次いで、冷却板を取り付けたセラミックヒータ10をチャンバ(図示せず)の内部に配置する。そして、ウエハ載置面12aにウエハを載置し、チャンバの内部空間を真空にして、第1~第4外部電源から各抵抗発熱体21~24に電力を供給すると共に、冷却板の冷媒通路へ冷媒を循環する。ウエハ温度は、ゾーンごとに設けられた第1~第4抵抗発熱体21~24によって加熱されると共に冷却板によって温度が上がり過ぎないように調整されるため、所定の目標温度に維持することができる。第1~第4ゾーンZ1~Z4は、第1~第4抵抗発熱体21~24によって個別に温度制御される。
【0028】
以上説明した本実施形態のセラミックヒータ10によれば、平面電極14は、ビア用貫通穴16を有し、ビア用貫通穴16には、第1ビア51と第2ビア52とを連結する連結部53と、その連結部53とビア用貫通穴16の内周面との間にセラミックプレート12と同じ材料の補強部54とを有する。そのため、平面電極14は、補強部54によってセラミックプレート12にしっかりと密着する。したがって、補強部54がない場合に比べて、平面電極14とセラミックプレート12との密着性が向上する。
【0029】
また、いわゆる多ゾーンヒータであるセラミックヒータ10では、抵抗発熱体の数に応じて補強部54が増えるため、平面電極14とセラミックプレート12との密着性がより向上する。
【0030】
更に、平面電極14の上面は、第1~第4抵抗発熱体21~24の端子21b~24bに導電部材31b~34bを介して接続され、平面電極14の下面は、グランド接続部材15に接続されている。つまり、平面電極14は、第1~第4抵抗発熱体21~24に共通の1つのグランド電極として用いられている。別の見方をすれば、平面電極14は、第1~第4抵抗発熱体21~24の導電部材31b~34bをグランド接続部材15へ接続するためのジャンパ線として用いられている。いずれにしても、平面電極14は、一般的な導電線と比べて面積が大きく、通電しても発熱しにくいため、ウエハ載置面12aに載置されるウエハの均熱性を高めることができる。
【0031】
更にまた、平面電極14は、密着用貫通穴18を有し、密着用貫通穴18には、セラミックプレート12と同じ材料が充填されている。このように、ビア用貫通穴16の補強部54に加えてセラミックプレートと同じ材料が充填された密着用貫通穴18が存在するため、平面電極14とセラミックプレート12との密着性は一層向上する。
【0032】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、ビア用貫通穴16及び密着用貫通穴18を、平面電極14を上からみたときに等間隔になるように設けたが、
図5に示す平面電極114のように、セラミックプレート12の外周に近いほど密度が高く(つまり単位面積当たりの個数が多く)なるように設けてもよい。セラミックプレート12は外周に近いほど熱による伸縮が大きいが、平面電極114は外周に近いほどビア用貫通穴16や密着用貫通穴18の密度を高くすることで、外周の密着性を良好に維持することができる。なお、
図5では上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。
【0034】
上述した実施形態では、一枚の円板電極からなる平面電極14を例示したが、
図6に示すように、第1~第4抵抗発熱体21~24のそれぞれの端子に対応して分割された第1~第4平面電極141~144を採用してもよい。
図6では、第1平面電極141を円形電極、第2~第4平面電極142~144を扇形電極とした。
図6では上述した実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付した。第1平面電極141は、第1抵抗発熱体21の一対の端子21a,21bに対応して設けられ、第2平面電極142は、第2抵抗発熱体22の一対の端子22a,22bに対応して設けられ、第3平面電極143は、第3抵抗発熱体23の一対の端子23a,23bに対応して設けられ、第4平面電極144は、第4抵抗発熱体24の一対の端子24a,24bに対応して設けられている。第1~第4平面電極141~144の下面には、第1~第4グランド接続部材151~154が設けられている。第1~第4グランド接続部材151~154は、セラミックプレート12の下面から露出している。そのため、第1~第4平面電極141~144は、第1~第4抵抗発熱体21~24の端子21b~24bを第1~第4グランド接続部材151~154にそれぞれ接続するジャンパ線の役割を果たす。なお、端子21b~24b(第1~第4グランド接続部材151~154)を電圧印加側に接続し、端子21a~24aをグランドに接続してもよい。また、第1~第4平面電極141~144は、円形や扇形としたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば長方形などであってもよい。
【0035】
上述した実施形態では、ビア用貫通穴16及び密着用貫通穴18は同じ直径の丸穴としたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば密着用貫通穴18の直径をビア用貫通穴16の直径よりも小さくしてもよい。また、ビア用貫通穴16及び密着用貫通穴18を丸穴としたが、特にこれに限定されるものではなく、例えば角穴であってもよい。
【0036】
上述した実施形態では、セラミックヒータ10は複数の抵抗発熱体(第1~第4抵抗発熱体21~24)を備えたものを例示したが、一つの抵抗発熱体(ウエハ載置面12aの全面にわたって一筆書きの要領で交差することなく配線されたもの)を備えたものとしてもよい。
【0037】
上述した実施形態では、平面電極14に複数の密着用貫通穴18を設けたが、密着用貫通穴18を設けなくてもよい。その場合でも、ビア用貫通穴16には補強部54が設けられているため、この補強部54によってセラミックプレート12と平面電極14とが密着する。
【0038】
上述した実施形態の平面電極14は、セラミックプレート12の内部に多段に埋設されていてもよい。
【0039】
上述した実施形態の平面電極14は、裏面に複数の突起を有していたり裏面が荒れた面になっていたりしてもよい。こうすれば、平面電極14とセラミックプレート12との密着性が一層良好になる。
【0040】
上述した実施形態のセラミックヒータ10には、セラミックプレート12よりも一回り小さい円形の静電電極が埋設されていてもよい。こうすれば、静電電極に電圧を印加することによりウエハをウエハ載置面12aに吸着保持することができる。静電電極は、例えばウエハ載置面12aと第1~第4抵抗発熱体21~24との間に埋設してもよい。静電電極は、裏面に複数の突起を有していたり裏面が荒れた面になっていたり上下に貫通する密着用貫通穴(丸穴、角穴、スリットなど)を複数有していてもよい。こうすれば、静電電極とセラミックプレート12との密着性が良好になる。
【0041】
上述した実施形態のセラミックヒータ10には、セラミックプレート12よりも一回り小さい円形の高周波電極が埋設されていてもよい。こうすれば、ウエハ載置面12aと対向する位置にウエハ載置面12aと平行な平板電極を配置し、平板電極と高周波電極との間に高周波電圧を印加することによりウエハにプラズマCVDなどのプラズマ処理を施すことができる。高周波電極は、例えばウエハ載置面12aと第1~第4抵抗発熱体21~24との間に埋設してもよい。高周波電極は、裏面に複数の突起を有していたり裏面が荒れた面になっていたり上下に貫通する密着用貫通穴(丸穴、角穴、スリットなど)を複数有していてもよい。こうすれば、高周波電極とセラミックプレート12との密着性が良好になる。なお、高周波電極は静電電極と兼用してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10 セラミックヒータ、12 セラミックプレート、12a ウエハ載置面、14 平面電極、15 グランド接続部材、16 ビア用貫通穴、18 密着用貫通穴、21~24 第1~第4抵抗発熱体、21a,21b,22a,22b,23a,23b,24a,24b 端子、31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b 導電部材、51 第1ビア、52 第2ビア、53 連結部、54 補強部、114 平面電極、141~144 第1~第4平面電極、151~154 第1~第4グランド接続部材、Z1~Z4 第1~第4ゾーン。