(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
F16F 9/54 20060101AFI20221228BHJP
B60G 13/08 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
F16F9/54
B60G13/08
(21)【出願番号】P 2020194814
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2022-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】田中 一匡
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-182772(JP,A)
【文献】実開平6-16625(JP,U)
【文献】特開2002-130360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/54
B60G 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のアウターシェルと、前記アウターシェル内に移動自在に挿入されるロッドとを有する緩衝器本体と、
前記アウターシェルに溶接によって取付けられて前記アウターシェルを車両の構成部品に連結するブラケットとを備え、
前記ブラケットは、それぞれ前記アウターシェル側へ延びて前記アウターシェルを径方向で挟む一対の挟持片を有し、
各挟持片の先端は、前記アウターシェルの軸線方向から見て前記アウターシェルの半分を超えて反構成部品側へ向けて突出して前記アウターシェルとの間に隙間を形成
し、
前記各挟持片の先端の端面と前記アウターシェルの外周が溶接されて前記各挟持片の先端が前記アウターシェルの外周
に取付けられている
ことを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
前記各挟持片の前記アウターシェルの半分を超えて突出する部分の長さは、前記アウターシェルの直径の1/15以上1/7.5以下の長さに設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
前記ブラケットは、前記アウターシェルの側部に対向する対向片を有し、
前記挟持片は、それぞれ、前記対向片の前記アウターシェルの軸線に垂直な方向の両端から前記アウターシェル側へ延びている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の緩衝器。
【請求項4】
前記各挟持片は、前記アウターシェルの軸線方向から見て互いに平行して前記対向片から直線状に延びている
ことを特徴とする請求項3に記載の緩衝器。
【請求項5】
前記構成部品は、車両における左右輪同士の上下方向の逆位相の変位を抑制するスタビライザである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝器。
【請求項6】
前記一対の挟持片の先端の互いに向き合う対向部位に面取り部が設けられる
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器は、アウターシェルと、アウターシェル内に移動自在に挿入されるロッドとを備え、たとえば、車両におけるサスペンションに組み込まれて使用され、アウターシェルに対してピストンロッドが軸方向に移動する伸縮時に減衰力を発揮して車体と車輪の振動を抑制する。
【0003】
このようにサスペンションに組み込まれる緩衝器は、たとえば、車両の左右輪の上下方向の逆位相の変位を抑制するスタビライザに連結できるように、アウターシェルの下端に溶接によって取付けられて前記スタビライザに連結されるブラケットを備える場合がある。
【0004】
また、緩衝器がストラット式サスペンションに利用される場合、アウターシェルの下端に車両の車輪を保持するナックルを取り付けるためのナックルブラケットと称されるブラケットが溶接によって取り付けられる場合がある。
【0005】
このようなブラケットは、たとえば、アウターシェルの外周を抱持する断面C型であって筒状の抱持部と、抱持部の周方向両端から径方向の外側へ向けて互いに平行して延びてナックルに連結可能な一対の取付部とを備えたものがある。このようなブラケットを備えた緩衝器では、抱持部の上端面とアウターシェルの外周とが溶接されてブラケットがアウターシェルに取り付けられている(たとえば、特許文献1参照)。よって、アウターシェルとブラケットとの溶接時に溶融した溶加材が抱持部の上端に溜まって両者を強固に接合できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、ブラケットがアウターシェルを抱持する抱持部を備えている場合、抱持部の上端に溶加材を溜めることができる。これに対して、ブラケット102が
図5に示すように、アウターシェルの軸方向から見てC形とされて互いに平行して先端がアウターシェル101の側面に突き当てられる一対のプレート103,104を備える場合がある。
【0008】
このような構造のブラケット102は、プレート103,104の先端をアウターシェル101の側部に溶接して接合されるが、溶接不良を生じさせる可能性がある。
【0009】
何故なら、前記ブラケット102では、プレート103,104の先端における内側の縁をアウターシェル101の外周に突き当てているため、プレート103,104の先端とアウターシェル101の外周との間に溶融した溶加材を溜めるスペースを大きく確保できない。すると、プレート103,104をアウターシェル101の側面に溶接する際に、前記スペースに溶加材をとどめておけずに、前記スペースから溶加材が流れ落ちてしまう場合がある。このような事態が生じると、ブラケット102とアウターシェル101との接合強度が低下してしまい、溶接不良となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、アウターシェルとブラケットの溶接不良を防止して両者を強固に接合できる緩衝器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記した課題を解決するために、本発明の緩衝器は、円筒状のアウターシェルと、アウターシェル内に移動自在に挿入されるロッドとを有する緩衝器本体と、アウターシェルに溶接によって取付けられてアウターシェルを車両の構成部品に連結するブラケットとを備え、ブラケットは、それぞれアウターシェル側へ延びてアウターシェルを径方向で挟む一対の挟持片を有し、各挟持片の先端は、アウターシェルの軸線方向から見てアウターシェルの半分を超えて反構成部品側へ向けて突出してアウターシェルとの間に隙間を形成し、各挟持片の先端の端面とアウターシェルの外周が溶接されて前記各挟持片の先端がアウターシェルの外周に取付けられる。
【0012】
このように構成された緩衝器では、ブラケットの挟持片の先端とアウターシェルの外周との隙間溶接時に溶加材を溜め得る大きな容積を持つポケットを形成できるので、挟持片の先端とアウターシェルとの間から溶加材が垂れ落ちてしまうのを防止できる。
【0013】
また、各挟持片のアウターシェルの半分を超えて突出する部分の長さをアウターシェルの直径の1/15以上1/7.5以下の長さに設定して緩衝器を構成してもよい。このように構成された緩衝器によれば、溶加材が入り込む隙間の大きさが最適化されるので良好な溶接部を形成して、より効果的にブラケットをアウターシェルに強固に接合できる。
【0014】
また、緩衝器におけるブラケットは、アウターシェルの側部に対向する対向片を備え、挟持片がそれぞれ対向片のアウターシェルの軸線に垂直な方向の両端から前記アウターシェル側へ延びる構成を備えていてもよい。このように構成された緩衝器によれば、製造コストを低減できる。
【0015】
さらに、緩衝器では、ブラケットにおける各挟持片は、アウターシェルの軸線方向から見て互いに平行して対向片から直線状に延びている形状となっているのでブラケットを安価に製造できるとともに、アウターシェルを挟持片で挟持させた際に挟持片とアウターシェルとの間の隙間の間隔が大小することがないので製品毎に溶接による接合強度がばらつくこともない。
【0016】
また、緩衝器におけるブラケットは、車両の構成部品を車両における左右輪同士の上下方向の逆位相の変位を抑制するスタビライザとして、当該スタビライザを連結するものであってもよい。また、一対の挟持片の先端の互いに向き合う対向部位に面取り部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の緩衝器によれば、アウターシェルとブラケットの溶接不良を防止して両者を強固に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施の形態における緩衝器の側面図である。
【
図2】一実施の形態における緩衝器の底面図である。
【
図3】一実施の形態におけるアウターシェルを挟持するブラケットの挟持片の先端部分を拡大した図である。
【
図4】一実施の形態の一変形例における緩衝器の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。
図1および
図2に示すように、緩衝器Dは、円筒状のアウターシェル2と、アウターシェル2内に移動自在に挿入されるロッド3とを有する緩衝器本体1と、アウターシェル2に溶接によって取付けられてアウターシェル2を車両の構成部品としてのスタビライザSに連結するブラケット4とを備えている。また、緩衝器本体1は、図示しない車両の車輪を支持するサスペンションアームに連結されて、車両の車体と車輪との間に介装される。スタビライザSは、車両における左右輪同士が上下方向へ逆位相で変位した際に捩じれる図外のトーションバーを備えており、左右輪の逆位相の変位を抑制する。
【0020】
以下、緩衝器Dの各部について詳細に説明する。緩衝器本体1は、筒状のアウターシェル2と、アウターシェル2内に移動自在に挿入されるロッド3とを有して、ロッド3がアウターシェル2に対して軸方向に相対移動する伸縮作動時にロッド3のアウターシェル2に対する相対移動を妨げる減衰力を発生して、車両の車体と車輪の振動を減衰させる。
【0021】
緩衝器本体1は、たとえば、下端が閉塞される筒状のアウターシェル2と、アウターシェル2内に収容される図示しないシリンダと、シリンダ内に移動自在に挿入されるロッド3と、ロッド3に連結されるとともにシリンダ内に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダとアウターシェルとの間に形成されるリザーバと、シリンダの下端に設けられて圧側室とリザーバとを仕切るバルブケースとを備えている。そして、伸側室と圧側室には、作動油等の液体が充填され、リザーバには、液体と気体とが充填されている。なお、緩衝器Dに使用される液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体でもよい。
【0022】
また、伸側室と圧側室とを連通する通路と、圧側室とリザーバとを連通する通路とが設けられており、前記各通路には、それぞれ減衰バルブが設けられている。このように構成された緩衝器本体1は、伸縮作動時にピストンによって伸側室と圧側室とが拡縮されて液体が通路を介して移動し、この液体の流れに前記減衰バルブで抵抗を与えて減衰力を発生する。
【0023】
ブラケット4は、一枚金属の母材を折り曲げ成型して構成されている。ブラケット4は、
図1および
図2に示すように、アウターシェル2の外周の側部を挟持するC形に形成されており、アウターシェル2の側部に対向する矩形の対向片4aと、対向片4aにおけるアウターシェル2の軸線に垂直な方向の両端からそれぞれアウターシェル2側へ延びてアウターシェル2を径方向で挟む一対の挟持片4b,4cとを有している。
【0024】
対向片4aは、図示しない孔を備えており、車両の構成部品としてのスタビライザSをボルトによって連結できる。また、挟持片4b,4cは、対向片4aの端部から互いに一定の幅を保って平行かつ直線的にアウターシェル2側へ延びており、アウターシェル2の軸線方向から見て途中でアウターシェル2の側部を直径方向で挟みつつ、先端をアウターシェル2の半分を超えてスタビライザS側とは反対側となる反構成部品側へ突出させている。つまり、挟持片4b,4cは、互いにアウターシェル2に対して周で180度反対側に当接しており、先端が対向片4aからみてアウターシェル2の半分を超えて反対側へ突出している。
【0025】
ブラケット4の挟持片4b,4cの先端がアウターシェル2の半分を超えて反対側へ突出すると、
図3に示すように、挟持片4b(4c)の先端とアウターシェル2の外周との間に隙間Gが形成される。より詳細には、アウターシェル2が円筒状であってアウターシェル2の対向片4a側とは反対側の面が挟持片4b(4c)の先端から離間する方向へ湾曲するため、挟持片4b,4cのアウターシェル2への接触点から先端側とアウターシェル2との間に従来のブラケットを備えた緩衝器に比べて大きな容積を持つ隙間Gが形成される。
【0026】
このように構成されたブラケット4は、挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周とをアウターシェル2の軸方向に沿ってアーク溶接することでアウターシェル2に接合される。より詳細には、ブラケット4は、アウターシェル2の外周を挟持片4b,4cで挟んだ状態で緩衝器本体1を横に寝かせて挟持片4b,4cの先端が上向きに対向片4aが下向きとなるような姿勢で溶接されてアウターシェル2に接合される。
【0027】
そして、ブラケット4の挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周とがアーク溶接されると、
図1および
図2に示したように、挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間に被溶接材料であるブラケット4とアウターシェル2と溶加材とが溶融した溶接ビードでなる溶接部11,12が形成される。
【0028】
前述したように、ブラケット4の挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間に
図3に示した隙間Gが形成されている。また、挟持片4b,4cが途中をアウターシェル2の外周に当接させていてアウターシェル2を挟持しているために、挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2との間に形成される隙間Gがアウターシェル2の対向片4a側へ通じていない。つまり、挟持片4b,4cとアウターシェル2とで両者の間にポケットを形成している。
【0029】
よって、ブラケット4とアウターシェル2とをアーク溶接する際に、前述の隙間Gに溶融した溶加材が入り込んでも隙間Gを通過して下方へ落下することはなく、溶加材が挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間から垂れ落ちずにその場に留まり、両者の間に被溶接材料と溶加材とが溶融した良好なビードで溶接部11,12を形成できる。なお、挟持片4b,4cとアウターシェル2とが接触せず、両者の間に多少の空隙があっても溶接の際に隙間Gから前記空隙を介して溶加材が下方へ流れ落ちることがなければよい。このように溶加材が下方へ流れ落ちない限りにおいて、挟持片4b,4cとアウターシェル2とは、厳密には接触していなくともよい。また、
図3の破線で示すように、挟持片4b,4cの先端の互い向き合う対向部位に面取り部Mを設けて隙間Gの容積を調整してもよい。なお、面取り部Mの形状は任意に変更でき、たとえば、テーパ面状や湾曲面状とされてもよい。
【0030】
前述したところから理解できるように、本実施の形態の緩衝器Dは、円筒状のアウターシェル2と、アウターシェル2内に移動自在に挿入されるロッド3とを有する緩衝器本体1と、アウターシェル2に溶接によって取付けられてアウターシェル2を車両のスタビライザ(構成部品)Sに連結するブラケット4とを備え、ブラケット4は、それぞれアウターシェル2側へ延びてアウターシェル2を径方向で挟む一対の挟持片4b,4cとを有し、各挟持片4b,4cの先端は、アウターシェル2の軸線方向から見てアウターシェル2の半分を超えて反スタビライザ側となる反構成部品側へ向けて突出するとともに、アウターシェル2の外周に溶接によって取り付けられる。
【0031】
このように構成された緩衝器Dでは、ブラケット4の挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間の隙間Gで溶接時に溶加材を溜め得る大きな容積を持つポケットを形成できるので、挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2との間から溶加材が垂れ落ちてしまうのを防止できる。よって、本実施の形態の緩衝器Dによれば、ブラケット4の挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間に溶接不良の無い良好な溶接部11,12を形成でき、ブラケット4をアウターシェル2に強固に接合できる。また、挟持片4b,4cの先端の互い向き合う対向部位に面取り部Mを設けてポケットの容積を調整して、接合強度を最適化してもよい。
【0032】
なお、各挟持片4b,4cのアウターシェル2の半分を超えて突出する部分の長さが短すぎると、隙間Gで形成されるポケットの容積が小さくなって溶加材が隙間Gから溢れて垂れ落ちてしまい、各挟持片4b,4cのアウターシェル2の半分を超えて突出する部分の長さが長すぎると、各挟持片4b,4cの先端とアウターシェル2の外周との間の間隔が広くなりすぎて良好なビードを形成できない可能性がある。そこで、各挟持片4b,4cのアウターシェル2の半分を超えて突出する部分の長さtをアウターシェル2の直径の1/15以上1/7.5以下の長さに設定するとよい。つまり、アウターシェル2の直径dとすると、前記長さtがd/15≦t≦d/7.5を満たすように設定するとよい。このように設定すると、各挟持片4b,4cとアウターシェル2とを溶接によって接合する際に、溶加材が入り込む隙間Gの大きさが最適化されるので良好な溶接部11,12を形成して、より効果的にブラケット4をアウターシェル2に強固に接合できる。各挟持片4b,4cのアウターシェル2の半分を超えて突出する部分の長さtは、アウターシェル2の直径の1/15以上1/7.5以下の長さの範囲から逸脱した長さに設定されてもよいが、前記長さtを前記範囲内に設定すれば確実に良好な溶接部11,12が得られるのである。
【0033】
また、本実施の形態の緩衝器Dでは、ブラケット4は、アウターシェル2の側部に対向する対向片4aと、対向片4aのアウターシェル2の軸線に垂直な方向の両端からそれぞれアウターシェル側へ延びる一対の挟持片4b,4cとを備えている。このよう構成された緩衝器Dによれば、ブラケット4を一枚の板材をC形に折り曲げ加工して製造でき、ブラケット4の材料歩留まりが良くなり簡単な加工で製造できるので、製造コストを低減できる。
【0034】
また、本実施の形態の緩衝器Dでは、ブラケット4における各挟持片4b,4cは、アウターシェル2の軸線方向から見て互いに平行して対向片4aから直線状に延びている形状となっているのでブラケット4を安価に製造できるとともに、アウターシェル2を挟持片4b,4cで挟持させた際に挟持片4b,4cとアウターシェル2との間の隙間Gの間隔が大小することがないので製品毎に溶接による接合強度がばらついてしまう事態を防止できる。
【0035】
ただし、挟持片4b,4cは、アウターシェル2の側部を挟持でき、アウターシェル2の側部に接触する接触点より先端側が互いに平行して対向するとともに直線状に延びる形状となっていれば、途中の形状が互いに平行する直線的な形状となっていなくともよい。よって、ブラケット4における挟持片4b,4cは、
図4に示すように、アウターシェル2の外周に沿うように湾曲した部分4b1,4c1を備えていてもよい。このようにしても、挟持片4b,4cのアウターシェル2の側部への接触点より先端側の部分4b2,4c2は互いに平行し直線的な形状となっているので、アウターシェル2との間の隙間Gで溶加材が入り込むポケットを設けることができ、ブラケット4とアウターシェル2との接合強度を向上できる。
【0036】
なお、前述したところでは、ブラケット4は、車両の構成部品をスタビライザSとしており、緩衝器本体1をスタビライザSへ連結するのに適しているが、スタビライザS以外の車両の構成部品を緩衝器本体1に連結するものであってもよい。よって、たとえば、車両の構成部品は、車両の車輪を回転可能に保持するナックルであってもよいし、車体に対して車輪を上下方向に揺動可能に取り付けるサスペンションの一部品であってもよく、ブラケット4の対向片4aおよび挟持片4b,4cの形状を前述した効果を失わない限りにおいて構成部品に応じて適宜設計変更できる。また、挟持片4b,4cの先端のアウターシェル2の軸方向における長さについては、仕様上要求される接合強度に応じて適宜設計変更できる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・緩衝器本体、2・・・アウターシェル、3・・・ロッド、4・・・ブラケット、4a・・・対向片、4b,4c・・・挟持片、D・・・緩衝器、G・・・隙間、S・・・スタビライザ(構成部品)