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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】圧電駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   H02N 2/12 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
H02N2/12
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020519443
(86)(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2018076790
(87)【国際公開番号】W WO2019068708
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】17194747.6
(32)【優先日】2017-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505060288
【氏名又は名称】ミニスイス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】MINISWYS S.A.
【住所又は居所原語表記】Quai du Bas 31a, Biel / Bienne Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホースリー,ラファエル・ヤン
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-140941(JP,A)
【文献】特開平10-337059(JP,A)
【文献】特開昭63-294279(JP,A)
【文献】国際公開第2001/041228(WO,A1)
【文献】特開2008-220171(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02824824(EP,A1)
【文献】特開2007-135309(JP,A)
【文献】特表2003-516100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02N 2/12
H02N 2/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
能動要素(1)に対して受動要素(4)を駆動するための駆動ユニットであって、前記能動要素(1)は、
共振器(2)および前記共振器(2)内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段(23)を備え、
前記共振器(2)は、前記共振器(2)の接続領域(20)の同じ側において前記接続領域(20)から延伸する少なくとも2つのアーム(21、22)を備え、
前記共振器(2)および前記アーム(21、22)は基準面(28)に平行に延伸し、 各前記アーム(21、22)は、前記アームの外端に接触要素(31、32)を備え、 前記接触要素(31、32)は、前記アーム(21、22)の振動運動によって可動であり、
前記受動要素(4)は、前記振動運動によって前記能動要素(1)に対して駆動され、動かされるように構成されており、
前記受動要素(4)は、接触領域(41、42)を備え、各接触領域(41、42)は、それぞれの前記接触要素(31、32)と接触するように配置される駆動ユニットにおいて、
プレストレス要素(6)が、前記能動要素(1)と前記受動要素(4)との間に相対的な力を及ぼすように配置され、結果、各接触領域(41、42)は、前記基準面(28)に垂直な成分(Fnz)を有するプレストレス力(Fn)によってそれぞれの前記接触要素(31、32)に対して圧迫され
前記共振器(2)は、両方とも前記基準面(28)に平行な第1の表面および対向する第2の表面を含み、前記第1の接触領域(41)および前記第2の接触領域(42)は、前記接触要素(31、32)の接触縁(311、312、321、322)のみと接触するように配置され、前記接触縁(311、312、321、322)は、前記接触要素(31、32)がそれぞれ前記第1の表面および前記第2の表面に隣接するところに配置される、駆動ユニット。
【請求項2】
前記プレストレス要素(6)は、前記共振器(2)に取り付けられ、前記基準面(28)に垂直な方向に前記受動要素(4)を圧迫するように配置される、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記プレストレス要素(6)は、さらなる能動要素(1’)によって形成される、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
前記さらなる能動要素(1’)および前記能動要素(1)の前記共振器(2)が、一体に製造される、請求項に記載の駆動ユニット。
【請求項5】
前記プレストレス要素(6)は、前記能動要素(1)のサスペンションの一部、または前記受動要素(4)のサスペンションの一部、または両方の一部である、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項6】
前記受動要素(4)は、回転運動軸(25)を中心として回転するように構成され、前記回転運動軸(25)は、前記基準面(28)に垂直である、請求項1~のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項7】
前記第1の接触領域(41)と前記第1の接触要素(31)との間に作用するプレストレス力および前記第2の接触領域(42)と前記第2の接触要素(32)との間に作用するプレストレス力の前記基準面(28)に垂直な前記成分(Fnz)は、同じ方向にある、請求項に記載の駆動ユニット。
【請求項8】
前記受動要素(4)の接触体(43)は、回転運動軸(25)に対して回転対称であり、前記軸(25)に沿って変化する直径を有し、前記第1の接触領域(41)および前記第2の接触領域(42)は、前記軸(25)に沿った、直径が増大する領域に位置する、請求項またはのいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項9】
前記受動要素(4)の接触体(43)は、前記回転運動軸(25)に沿って検討したとき、前記直径が増加するとともに、前記能動要素(1)の前記アームと接触する第1の区画と、前記直径が減少するとともに、前記さらなる能動要素(1’)の前記アームと接触している第2の区画とを備える、請求項4または5に依存する、請求項のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項10】
前記受動要素(4)は、回転直線運動軸(25’)を中心として回転するように配置され、前記回転直線運動軸(25’)は、共振器軸(24)に本質的に平行であり、前記2つの能動要素(1、1’)の鏡面対称配置の対称面内にある、請求項またはに記載の駆動ユニット。
【請求項11】
前記受動要素(4)は、直線運動軸(26)に沿って並進するように構成され、前記直線運動軸(26)は、前記基準面(28)に平行である、請求項1~のいずれか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項12】
前記第1の接触領域(41)と前記第1の接触要素(31)との間に作用するプレストレス力、および、前記第2の接触領域(42)と前記第2の接触要素(32)との間に作用するプレストレス力は、平行かつ反対方向である、請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項13】
前記プレストレス力は、前記共振器軸(24)に垂直な方向に延伸する部材(44)の曲げをもたらす、請求項1または1に記載の駆動ユニット。
【請求項14】
前記プレストレス力は、前記共振器軸(24)に平行に延伸する連結部(44)のねじれをもたらす、請求項1または1に記載の駆動ユニット。
【請求項15】
請求項1~1のいずれか1項に記載のものである、
前記共振器(2)が、第3の接触領域(45)において前記受動要素(4)の接触体(43)に接触するように構成されているベアリング要素(7)を備えることを特徴とする、駆動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動駆動の分野に関する。本発明は、対応する独立請求項の前文に記載されている駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6,768,245号は圧電モータを開示しており、当該圧電モータによって、圧電要素および接触要素を含む駆動要素が弾性的に懸架され、また、圧電要素によって、接触要素を用いることによってさらなる接触体または受動要素を駆動するための振動に設定される。
【0003】
米国特許第7,429,812号は、共振器の同じ側から延伸するように配置された少なくとも2つのアームを備える共振器を有する圧電駆動ユニットを開示している。接触要素はアームの外端に配置されており、アーム対の振動運動によって共に、または離れて動かすことができ、これにより、共振器を担持する能動要素に対する受動要素の相対運動を実行することができる。受動要素は、それ自体を弾性にすることができる。代替的にまたは加えて、受動要素は、アーム対に対して弾性的に支持することができる。これらの方策により、2つのアームによって加えられる振動運動およびその結果生じる力を効率的に伝達し、ならびに/または、部品の不完全な位置合わせを補償することが可能になる。
【0004】
特開昭63-294279号は、一対のアームが、アームの方向に対して横方向に、アームが存在する平面に対して平行であるが距離をおいて配置された物体を駆動する圧電駆動装置を示している。
【0005】
欧州特許出願公開第2 824 824号は、駆動される物体がアームの構造から横方向に配置される、振動コーム状アーム構造を有する同様の構成を示している。
【0006】
米国特許第6 201 339号は、駆動される回転プレートが、プレートにほぼ平行であり、プレートに対して圧迫されるアームのセットに平行に存在する圧電駆動装置を示す。
【0007】
米国特許第7 429 812号は、駆動される物体に作用する平行アームを有する圧電駆動装置の様々な構成を示している。
【0008】
そのような振動駆動ユニットの構造を単純化することが必要とされており、それは製造の複雑さおよびコストを削減し、信頼性を高めるのに役立つことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を克服する、冒頭に述べたタイプの駆動ユニットを作製することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、特許請求の範囲による駆動ユニットによって達成される。
したがって、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するように構成され、能動要素は、各々が基準面に平行に延伸し、接触要素において終端する、2つのアームを有する共振器を備え、接触要素は、アームの振動運動によって可動であり、結果、受動要素を駆動する。プレストレス要素が、能動要素と受動要素との間に相対的な力を及ぼすように配置され、基準面に垂直なプレストレス力によってそれらを互いに対して圧迫する。
【0011】
より詳細に述べると、駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するように構成され、能動要素は、
共振器および共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段を備え、
共振器は、接続領域の同じ側において共振器の接続領域から延伸する少なくとも2つのアームを備え、
共振器およびアームは基準面に平行に延伸し、
各アームは、アームの外端に接触要素を備え、
接触要素は、アームの振動運動によって可動であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動され、動かされるように構成されており、
受動要素は、接触領域を備え、各接触領域は、それぞれの接触要素と接触するように配置される。
【0012】
そこでは、プレストレス要素は、能動要素と受動要素との間に相対的な力を及ぼすように配置され、結果、各接触領域は、基準面に垂直な成分を有するプレストレス力によってそれぞれの接触要素に対して圧迫される。
【0013】
接続領域から延伸する各アームは、アームの近位端において接続領域に接続されていると言うことができ、その接触要素は、アームの遠位端に配置される。アームが延伸する方向は、共振器軸に対応する。励起手段を有し、アームを有しない共振器は、例えば、基準面に投影してみると、共振器軸に対して鏡面対称であり得る。アームを含む共振器は、共振器軸に関して実質的に鏡面対称であり得る。しかし、(基準面内で見ると)アーム間の中点が片側にシフトされ得るという点で、わずかに非対称であり得る。
【0014】
アームの振動運動により、接触要素が互いに向かっておよび互いから外方に動くことができ、これは、各接触要素が楕円経路に沿って動く結果であり得る。各経路の動きは、(共振器の平面内で見て)時計回りまたは反時計回りであり得、励起手段の励起周波数を調整することによって制御することができる。励起手段は典型的には、圧電要素である。このような駆動装置のさらなる詳細は、最初に引用された米国特許第,768,245号および米国特許第,429,812号に記載されている。
【0015】
基準面に垂直な成分を有する力ベクトルとは、ベクトルと基準面との間の角度が少なくとも10°、または少なくとも20°、または少なくとも30°、または少なくとも40°であることを意味する。
【0016】
接触要素(能動要素の一部)は、接触領域において接触体(受動要素の一部)に接触する。プレストレスに関連する接触力は、一般的に、部品が接触する接触面に垂直になり、特に接触領域内の接触面に垂直であり、特にその接平面に垂直である。
【0017】
実施形態において、その接触領域において接触体の表面に接する平面に対する法線ベクトルは、少なくとも10°または少なくとも20°または少なくとも30°または少なくとも40°である、基準面に対する角度を有することになる。
【0018】
実施形態では、共振器は、両方とも基準面に平行な第1の表面および対向する第2の表面を含み、第1の接触領域および第2の接触領域は、接触領域の接触縁のみと接触するように配置され、接触縁は、接触領域がそれぞれ第1の表面および第2の表面に隣接するところに配置される。
【0019】
実施形態では、
第1の接触領域は、第1の表面に隣接するところに第1のアームの第1の接触縁、および、第2の表面に隣接するところに第1のアームの第2の接触縁を備え、
第2の接触領域は、第1の表面に隣接するところに第2のアームの第1の接触縁、および、第2の表面に隣接するところに第2のアームの第2の接触縁を備える。
【0020】
このとき、以下のいずれかが当てはまり得る。
第1の接触領域は、第1のアームの第1の接触縁のみと接触し、第2の接触領域は、第2のアームの第1の接触縁のみと接触する。
【0021】
第1の接触領域は、第1のアームの第1の接触縁のみと接触し、第2の接触領域は、第2のアームの第2の接触縁のみと接触する。
【0022】
振動アームは断続的に接触し、接触体のそれぞれの領域から外方に動くため、接触するとは、駆動ユニットの動作中に断続的に接触することを意味することが理解される。
【0023】
実施形態では、プレストレス要素は、特に、共振器と共に単一部品として成形されることにより、共振器に取り付けられ、基準面に垂直な方向に受動要素を圧迫するように配置される。
【0024】
実施形態では、プレストレス要素は、特に能動要素との鏡面対称配置において、さらなる能動要素によって形成される。
【0025】
実施形態では、さらなる能動要素および能動要素の共振器は、一体に製造される。例えば、それらは、例えば金属シートからなど、単一のシート材料片から製造することができる。
【0026】
実施形態では、プレストレス要素は、能動要素のサスペンションの一部、または受動要素のサスペンションの一部、または両方の一部である。
【0027】
例えば、能動要素は、弾力性または弾性であり得る取り付け(またはサスペンション、または据え付け)要素を介して基部要素に据え付けることができる。同様に、受動要素は、弾力性または弾性であり得る連結部を介して被駆動部分に据え付ける(または取り付ける、または懸架する)ことができる。その場合、受動要素と能動要素との間の機械的連結は、接触体がアームの間に配置されると、取り付け要素および/または連結部が弾性変形するようなものであり得る。そのような弾性変形は、接触要素と接触体との間のプレストレス力に対応する。
【0028】
実施形態では、受動要素は、回転運動軸を中心として回転するように構成され、回転運動軸は、基準面に垂直である。
【0029】
実施形態では、
基準面に垂直な、第1の接触領域と第1の接触要素との間に作用するプレストレス力の成分、
および
基準面に垂直な、第2の接触領域と第2の接触要素との間に作用するプレストレス力の成分
は、同じ方向にある。
【0030】
その結果、回転運動軸が基準面に垂直である場合、各接触領域とそれぞれの接触要素との間に作用するプレストレス力の(基準面に対する)垂直成分は、回転運動軸に平行である。
【0031】
実施形態では、さらなる能動要素が存在し、接触体は、回転運動軸に対して回転対称であり、この軸に沿って変化する直径を有し、第1の接触領域および第2の接触領域は、軸に沿った、直径が増大する領域に位置する。
【0032】
実施形態では、さらなる能動要素が存在し、接触体は、回転運動軸に沿って検討したとき、直径が増加するとともに、能動要素のアームと接触する第1の区画と、直径が減少するとともに、さらなる能動要素のアームと接触している第2の区画とを備える。
【0033】
能動要素は、第1の区画において受動要素を駆動することができ、さらなる能動要素は、第2の区画において受動要素を駆動することができる。
【0034】
実施形態では、受動要素は、2つの能動要素間で回転直線運動軸を中心として回転するように配置され、回転直線運動軸は、それらの共振器軸に本質的に平行であり、2つの能動要素の鏡面対称配置の対称面内にある。
【0035】
実施形態では、受動要素は、直線運動軸に沿って並進するように構成され、直線運動軸は、基準面に平行であり、特に、共振器軸にも平行である。
【0036】
実施形態では、第1の接触領域と第1の接触要素との間に作用するプレストレス力、および、第2の接触領域と第2の接触要素との間に作用するプレストレス力は、平行かつ反対方向である。
【0037】
したがって、この場合、プレストレス力は接触体に作用するトルクに対応する。このトルクの軸は、典型的には、直線運動軸と平行であるかまたは一致している。
【0038】
実施形態では、プレストレス力は、共振器軸に垂直な方向に延伸する連結部の曲げをもたらす。
【0039】
実施形態では、プレストレス力は、共振器軸に平行に延伸する連結部のねじれをもたらす。
【0040】
駆動ユニットを動作させる方法において、励起手段は、異なる周波数の電圧を供給され、それにより、周波数に従って、アームおよび接触領域の異なる運動パターンを生成する。能動要素に対する受動要素の懸架によって規定される自由度に応じて、異なる運動パターンにより、受動要素が回転および/または直線的に運動する。
【0041】
本発明のさらなる態様による駆動ユニットは、能動要素が受動要素を支持および安定化することができる追加の接点を提供するベアリング要素を備える。
【0042】
より詳細に述べると、本発明のさらなる態様による駆動ユニットは、能動要素に対して受動要素を駆動するように構成され、能動要素は、
共振器および共振器内の振動を励起するための少なくとも1つの励起手段を備え、
共振器は、接続領域の同じ側において共振器の接続領域から延伸する少なくとも2つのアームを備え、
共振器およびアームは基準面に平行に延伸し、
各アームは、アームの外端に接触要素を備え、
接触要素は、アームの振動運動によって可動であり、
受動要素は、これらの振動運動によって能動要素に対して駆動され、動かされるように構成されており、
受動要素は、接触領域を備え、各接触領域は、それぞれの接触要素と接触するように配置される。
【0043】
そこでは、共振器は、第3の接触領域において接触体に接触するように配置されたベアリング要素を備える。
【0044】
さらなる態様によるそのような駆動ユニットは、上述の実施形態に提示されるようなプレストレス要素を有するか、またはそのようなプレストレス要素が存在しない状態で実装することができる。
【0045】
そのような駆動ユニットは、ベアリング要素のない駆動と比較して、接触体の直径を大きくすることを可能にし、それにより、能動要素と受動要素との間により大きいトルクを加えることが可能になる。
【0046】
さらなる態様による実施形態では、ベアリング要素は、共振器と一体の部品として製造される。
【0047】
さらなる態様による実施形態では、ベアリング要素は、少なくともほぼ共振器軸上にある。
【0048】
さらなる態様による実施形態では、受動要素は、回転運動軸を中心として回転するように構成され、回転運動軸は、基準面に垂直である。
【0049】
さらなる態様による実施形態では、2つの接触要素およびベアリング要素の位置は三角形を画定し、回転運動軸はこの三角形を通過する。
【0050】
本明細書全体を通して、部品が、例えば金属シートからなど、単一のシート材料片から製造される場合、これは、切断、スタンピング、またはエッチングなどの除去工程によって行うことができる。
【0051】
さらなる実施形態は、従属請求項から明らかである。
本発明の主題は、以下を概略的に示す、添付の図面に例示される例示的な実施形態を参照して、以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】駆動ユニットの要素を示す図である。
図2】能動要素に取り付けられたプレストレス要素を有する駆動ユニットを示す図である。
図3】受動要素を回転させるように構成された2つの能動要素を有する駆動ユニットを示す図である。
図4】受動要素を回転および/または線形変位させるように構成された2つの能動要素を有する駆動ユニットを示す図である。
図5】受動要素が能動要素の同じ側の縁部と接触している、接触縁をより詳細に示す断面図である。
図6】受動要素が能動要素の反対側の縁部と接触している、接触縁をより詳細に示す断面図である。
図7】ねじれるように設計されたサスペンションを有する受動要素を示す図である。
図8図7のような受動要素を有する2つの駆動ユニットを備える応用形態を示す図である。
図9】異なる実施形態を表す運動学的構成を示す図である。
図10】ベアリング要素を有する能動要素を有する駆動装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
原則的に、図面において同一の部品には同じ参照符号が付されている。
図1は、能動要素1および受動要素4を有する駆動ユニットの要素を分解図で概略的に示す。能動要素1は、共振器2または共振器プレート2および2つの励起手段23を備える。共振器2の接続領域20から、第1のアーム21および第2のアーム22が、共振器軸24に対応して同じ方向に延伸する。各アームの端部には、受動要素4の第1の接触領域41および第2の接触領域42に接触することにより受動要素4に接触し、動かすように設計されたそれぞれの第1の接触要素31および第2の接触要素32がある。これらの接触領域は、動く受動要素4に対して必ずしも固定された関係にあるわけではなく、受動要素4が回転運動軸25(図1)を中心として回転するか、または、(他の実施形態では)能動要素1に対して並進するときに、接触領域31、32が現在、受動要素4に接触している位置である。
【0054】
上記で引用した米国特許第7,429,812号で説明されているように、圧電要素であり得る励起手段23を駆動する電圧発生器の励起周波数は、可変であり、周波数に応じて、アームの機械的振動の異なるモードが生成される。例えば、1つのモードでは、接触領域31、32が(基準面に投影して見ると)両方とも時計回りに回転し、別のモードでは両方とも反時計回りに回転し、別のモードでは一方が時計回りに回転し、他方が反時計回りに回転する。受動要素のサスペンションに応じて、すなわち、回転もしくは線形または回転と線形との組み合わせで、受動要素はそれに応じて動く。
【0055】
従来技術とは対照的に、受動要素4は能動要素1に対して圧迫され、その結果、接触領域31、32において生じる接触力は基準面28に垂直になる。基準面28は、共振器2に平行である。
【0056】
図1の実施形態では、受動要素4は、基準面28に垂直な力Fpで能動要素1に向かって圧迫される。接触領域31、32において生じる結果としての力は、接触縁において発生し、そこでは接触領域31、32は、受動要素4の直径がより小さい直径drからより大きい直径Drに増加する接触体43の受動要素4の区画に接触し、したがって、接触体43は、基準面28に垂直であり、受動要素4の対称軸でもある回転運動軸25に平行な方向において、接触領域31、32に対して力を及ぼすことができる。この力は、接触領域31、32と第1の接触領域41および第2の接触領域42との間に作用する接触力Fnの成分Fnzに対応する。これらの力Fnは、基準面28に対して角度αにおいて方向付けられる。
【0057】
接触領域31、32間の距離に対応する直径Dmは、これらの2つの直径dr、Dr内にある。したがって、典型的には、図5により詳細に示される接触縁のみが受動要素4と接触し、共振器平面に垂直な共振器2の表面の部分には接触しない。
【0058】
図2は、能動要素に取り付けられたプレストレス要素6を有する駆動ユニットを示す。プレストレス要素6は、上述の力Fpを及ぼす。接触体43は、図5に示すように、プレストレス要素6と接触領域31、32、すなわち接触領域31、32の接触縁との間にクランプ締めされる。プレストレス要素6は、共振器2と一体片において製造することができ、例えば、片は、取り付け要素29の領域から接触体43に向かって曲げられる。代替的に、プレストレス要素6は、例えば溶接、接着などによって、共振器2に取り付けることができる。取り付け要素29は、他の実施形態と同様に、共振器2を基部要素5に取り付けるために使用することができる。
【0059】
図3は、2つの能動要素、すなわち能動要素1(または第1の能動要素1)と、受動要素を回転させるように構成されたさらなる能動要素1’とを有する駆動ユニットを、4つの異なる図で示す。2つの能動要素1、1’は、それらの各々が単一の励起手段23のみを含むことを除いて、図1および図2のものと本質的に同じ構造である。
【0060】
さらなる能動要素1’は、能動要素1のプレストレス要素6として作用し、逆もまた同様である。この場合、2つの能動要素を接合する取り付け要素29は、2つの能動要素のアームを互いに向かって押すばねとして機能する。これは、図4の実施形態にも当てはまる。
【0061】
接触体43および円筒形連結部44は、基準面28に見られるように、2つの能動要素1、1’のアームの間に保持される。これにより、受動要素4の動きは、2つの能動要素1、1’、すなわちそれぞれの共振器2の基準面28に実質的に垂直な、その回転運動軸25を中心とした回転に制約される。
【0062】
2つの能動要素1、1’は、それらの共振器2が一体の同じ材料片から作られるように製造することができる。特に、それらは、シート金属片などの、シート材料片から製造することができる。これは、図4の実施形態にも当てはまる。
【0063】
2つの励起手段23は、同じ励起周波数を有する同じ電圧信号によって、または異なる周波数において駆動することができる。
【0064】
図4は、2つの能動要素、すなわち能動要素1(または第1の能動要素1)と、受動要素を回転および/または線形変位させるように構成されたさらなる能動要素1’とを有する駆動ユニットを、3つの異なる図で示す。構造は、受動要素4の向きを除いて、図3の実施形態の構造と同様である。すなわち、受動要素4は円筒形であり、回転直線運動軸25’を有し、2つの能動要素1、1’のアームの間で、2つの能動要素1、1’を接合する取り付け要素29内に形成された開口部内に保持される。受動要素4の動きは、2つの能動要素1、1’の基準面28、または、これら2つの基準面28の二等分面に実質的に平行な、回転直線運動軸25’を中心とした回転に制約される。
【0065】
図5は、受動要素4が能動要素1の同じ側の縁部と接触している、接触縁をより詳細に示す断面図を示す。断面は図2の実施形態に対応する。連結部44の直径は、接触領域31、32によって規定される内径より明らかに小さいことが示されている。これにより、受動要素の回転軸25にある程度の運動自由度が与えられ、回転運動軸25が、接触領域31、32の直径によって決定される直径を通る仮想軸と平行にならないようにすることができる。言い換えれば、軸25は、必ずしも、能動要素の基準面28に垂直である必要はない。他の実施形態では、連結部44の直径は、回転運動軸25を案内して安定させるために、接触領域31、32間の内径よりもわずかにのみ小さくすることができる。縁部に関する状況は、さらなる能動要素1’が(第1の)能動要素1の鏡像である、2つの能動要素1、1’を有する実施形態において同じである。共振器2は、互いにおよび基準面28に平行な第1の表面11および第2の表面12を有する。第1のアーム21および第2のアーム22の各々は、受動要素4に面するその端部に、それぞれの第1の接触要素31および第2の接触要素32を有する。第1の接触要素31が第1の表面11および第2の表面12に隣接する場合、第1の接触要素31はそれぞれ、第1のアーム311の第1の接触縁および第1のアーム312の第2の接触縁を備える。同様に、第2の接触要素32は、第2のアーム321の第1の接触縁および第2のアーム322の第2の接触縁を備える。接触体43における直径の変化のため、第1のアーム312の第2の接触縁および第2のアーム322の第2の接触縁のみが接触体43と接触する。これは、接触体43上の対応する第1の接触領域41および第2の接触領域42を画定する。すでに説明したように、接触体43の直径の変化により、プレストレス要素6によって受動要素4が能動要素1に対して圧迫されることが可能になり、基準面28に垂直な接触力が生じる。プレストレス要素6によって加えられる力は、ブロック矢印によって示されている。
【0066】
図6は、受動要素4が能動要素1の反対側の縁部と接触している、接触縁をより詳細に示す断面図を示す。能動要素1に関する状況は、図5と同じである。受動要素4は、基準面28に対して傾けられ、第1のアーム312の第2の接触縁および第2のアーム321の第1の接触縁、すなわち、(基準面28に関して)共振器2の対向する両側の縁部に接触するように配置された、板状の接触体43を備える。接触縁における力は、ブロック矢印で示されるように、接触体43に作用するトルクによって誘導される。次に、このトルクは、同じくブロック矢印として示されている、接触体43を図示されていない被駆動部分53に接合する連結部44に作用する力によって生成される。連結部44は、共振器軸24に実質的に垂直な方向に延伸する。連結部44自体は弾力性があり得、それによりプレストレス要素6として機能する。このため、連結部44は、共振器軸24の周りで弾性的に曲げることができる。被駆動部分53と能動要素1を担持する基部要素5との間の線形接合部52は、直線運動軸26を規定する。この直線運動軸26は、能動要素1の共振器軸24に実質的に平行である。その結果、連結部44は、この直線運動軸26に実質的に垂直に延伸する。
【0067】
図5図6は両方とも、接触要素31、32と、第1の接触領域41および第2の接触領域42との間に作用する力ベクトルを示す。明確にするために、各事例においてそれぞれの接触要素31、32に作用する力を表す1つのベクトルFnのみが示され、一方、接触体43に作用する反対の力は省略されている。典型的には、力Fnは、第1の接触領域41もしくは第2の接触領域42に垂直であり、または三次元では、それぞれの接触領域に接する平面に垂直である。各力ベクトルFnは、基準面28に垂直な方向にある成分Fnzを有する。力ベクトルFnと基準面との間の角度は、少なくとも10°または少なくとも20°または少なくとも30°または少なくとも40°である。
【0068】
図5の回転接触体43の場合、それぞれの成分Fnzもまた、回転運動軸25の方向にある。2つの接触力の成分Fnzの符号は同じである。
【0069】
図6の平坦な接触体43が対向する両側でアームに接触する場合、2つの接触力の成分Fnzは反対の符号を有する。さらに、第1の接触領域41および第2の接触領域42が平行であるが対向する表面を有すると仮定すると、ベクトルFnは反対方向を指す。
【0070】
図は、直角の縁部を有する接触要素31、32を示す。一般に、能動要素の縁は、丸めまたは面取りすることができ、特に、接触体43の形状に一致するように成形することができる。これにより、両方の要素の摩耗が減少する。
【0071】
図7は、ねじれるように設計されたサスペンション連結部44を有する受動要素4を示す。能動要素1に対する接触体43の配置、および直線運動軸26の規定は、図6のようにすることができる。相違は、連結部44が共振器軸24および直線運動軸26に実質的に平行に延伸することである。連結部44自体は弾力性があり得、それによりプレストレス要素6として機能する。このため、連結部44は、共振器軸24の周りで弾性的にねじることもできる。
【0072】
図8は、図7のような受動要素4を有する2つの駆動ユニットを備える応用形態を示す。駆動ユニットは、平面内のXおよびY方向に、これらの2つの方向に独立して、動くことが可能であるように懸架された被駆動部分53を動かすように構成することができる。対応するサスペンションは、米国特許出願公開第2017/052386号に開示されている。
【0073】
図9は、プレストレス要素6が共振器2に接続されているものを除いて、異なる実施形態を表す可能な運動学的構成を非常に概略的に示す。能動要素1(または2つの組み合わされた能動要素)は、懸架または据え付けまたは取り付け要素29によって基部要素5に取り付けられる。被駆動部分53は、回転接合部51または線形接合部52または回転線形接合部を介して基部要素5に接合される。受動要素4は、被駆動部分53に対して弾性的に据え付けられている。これは、受動要素4の接触体43を保持する連結要素44自体が弾性であるか、または、連結部44を被駆動部分53に接続する追加の弾性要素によるものであり得る。受動要素4と能動要素1との間のプレストレス力またはトルクは、運動連鎖を介して及ぼされる。プレストレス要素6、すなわち、プレストレス力またはトルクを提供する要素は、取り付け29もしくは連結部44のいずれか、または両方の組み合わせによって実装することができる。
【0074】
図10は、ベアリング要素7を有する能動要素1を示している。ベアリング要素7は、共振器2の一部として成形される。それは、能動要素1と受動要素4との間に、すなわち、アーム21、22上の2つの接触要素31、32に加えて、追加の(第3の)コンタクトを提供する。接触は、接触体43の第3の接触領域45において行われる。それにより、ベアリング要素7は、能動要素1に対して受動要素4を安定させる。これにより、接触要素31、32を互いにさらに離して配置し、接触体43の直径を増大させることができる。これにより、接触要素31、32と接触体43との間の駆動力が、回転運動軸25を中心として接触体43を回転させるためのより大きいトルクをもたらす。その結果、駆動ユニットは、全体的な物理的寸法が本質的に同じであるが、ベアリング要素7がないドライブよりも大きいトルクを生成することができる。
【0075】
本発明を現在好ましい実施形態において説明したが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲内で他の様態で様々に具体化および実践されてもよいことを明確に理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10