(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】自動注入装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20221228BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20221228BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/315 550J
A61M5/31 520
(21)【出願番号】P 2020524755
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2018080364
(87)【国際公開番号】W WO2019086718
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-25
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501410160
【氏名又は名称】オウエン マンフォード リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】コウェ,トビー
(72)【発明者】
【氏名】ワッツ,マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラマクリシュナン,ディラージ
(72)【発明者】
【氏名】アプシー,リチャード
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/174668(WO,A1)
【文献】特表2014-516634(JP,A)
【文献】特表2014-502886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
A61M 5/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全注射器と共に使用するための自動注入装置であって、
該自動注入装置が:
前記安全注射器を受け入れるために開放可能であり且つ
該自動注入装置の操作の前に閉鎖可能である、本体;
第1の検知器であって、
該自動注入装置の起動の後に、
前記安全注射器から
実質的に物質の全投与量が送達されたことを示す、その送達ストローク
上のある点
における前記安全注射器のプランジャを検知するよう構成された、第1の検知器;
前記安全注射器の存在を検知するよう構成され
る共に、前記安全注射器のプランジャが送達ストロークを開始したときに解除するように構成された第2の検知器
;
前記第1の検知器及び前記第2の検知器から信号を受信するように構成されたプロセッサ;及び
前記第1の検知器から受信したデータに基づいて、全投与量が送達されたかどうかを示すように構成された1つ又は複数のインジケータを含み、
前記第1の検知器
は、
前記第2の検知器が
前記安全注射器の存在を検知
したこと
に依存して
作動可能であるよう構成され
、
前記プロセッサは、前記第2の検知器が解除されたという信号を受信することに応答して、送達シーケンスに入り、1つ又は複数のインジケータを制御して、前記送達シーケンスをユーザに対して示すように構成されることを特徴とする、自動注入装置。
【請求項2】
該自動注入装置が組み立てられたことを検知するように構成された第3の検知器をさらに備える、請求項1に記載の自動注入装置。
【請求項3】
前記第1の検知器は、前記第3の検知器が、該自動注入装置が組み立てられたことを検知したことに依存して作動可能となるようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の自動注入装置。
【請求項4】
本体が、
前記安全注射器を受け入れるために開放可能であり且つ
該自動注入装置の操作の前に閉鎖可能である、開き戸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の自動注入装置。
【請求項5】
本体が:
前記安全注射器のバレルを受け入れるよう構成されたバレル部;および
前記安全注射器のプランジャを受け入れるよう構成されたプランジャ部を含み、
バレル部とプランジャ部が、分離可能な係合のために構成され、および、プランジャ部とバレル部が係合解除される
とき、本体が開位置にあることを特徴とする、請求項1に記載の自動注入装置。
【請求項6】
前記第1の検知器が、
前記安全注射器のプランジャの送達ストロークの間に
前記安全注射器の一部によって
作動可能なスイッチ
を含むことを特徴とする、請求項1から
請求項5の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、全投与量が送達されたかどうかを示す投与量データをユーザデバイスに送信するために
、トランスミッタを制御するよう構成され
ている、請求項1から
請求項6の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項8】
前記プロセッサが、投与量データにタイムスタンプを付与するよう、さらに構成され、
該自動注入装置が
、ユーザデバイスへの接続がトランスミッタによって確立されるまで、投与量データを記憶するためのメモリーをさらに含む、ことを特徴とする、
請求項7に記載の自動注入装置。
【請求項9】
前記第2の検知器が、スイッチ
を含むことを特徴とする、
請求項2に記載の自動注入装置。
【請求項10】
本体は:
前記安全注射器のバレルを受け入れるよう構成されたバレル部;および
前記安全注射器のプランジャを受け入れるよう構成されたプランジャ部を含み、
バレル部とプランジャ部が、分離可能な係合のために構成され、および、プランジャ部とバレル部が係合解除されるとき、本体が開位置にあり、
前記第3の検知器のスイッチは、プランジャ部との係合中に、バレル部の形態によって
作動可能であり、または、
前記第3の検知器のスイッチは、バレル部との係合中に、プランジャ部の形態によって
作動可能であること、を特徴とする、
請求項9に記載の自動注入装置。
【請求項11】
前記第3の検知器がプランジャ部に位置することを特徴とする、
請求項10に記載の自動注入装置。
【請求項12】
前記安全注射器のデバイスから放たれ且つ
前記安全注射器に関する1つ以上のパラメーターを特定する注射器データを含む信号を受信するよう構成された受信器をさらに含む、請求項1から
請求項11の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項13】
プランジャ駆動体であって、注射器が
該自動注入装置内に嵌合された
ときに、注射器のプランジャヘッドに組み合わせるための、および、プランジャを注射器のバレルの中へ動かすよう構成された、プランジャ駆動体をさらに含み、注射器が
該自動注入装置内に有り、且つそこに嵌合された
とき、プランジャ駆動体が
該自動注入装置においてプランジャヘッドより下にあるように位置づけられることを特徴とする、請求項1から
請求項12の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項14】
プランジャ駆動体が、注射器の使用の後、プランジャヘッドの下にあるよう位置付けることを特徴とする、
請求項13に記載の自動注入装置。
【請求項15】
プランジャ駆動体は、注射器が
該自動注入装置に嵌合される
ときにプランジャヘッドに結合され且つ
該自動注入装置の針側の端に向かって伸展する、少なくとも1つのアームに結合するよう構成されることを特徴とする、
請求項13又は請求項14に記載の自動注入装置。
【請求項16】
プランジャ駆動体が少なくとも1つの圧縮ばねを含むことを特徴とする、請求項1から
請求項15の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項17】
前記安全注射器をさらに含む、請求項1から
請求項16の何れか1項に記載の自動注入装置。
【請求項18】
請求項13から請求項16の何れか1項に直接的または間接的に従属する場合に、注射器が:
ヘッドを有するプランジャ;および
少なくとも1つのアームであって、プランジャのヘッドから
前記安全注射器の針側の端に向かって長手方向に伸展し、プランジャ駆動体と係合するよう構成され、その結果としてプランジャ駆動体の伸展がプランジャを注射器のバレルの中へ動かす、少なくとも1つのアームを含むことを特徴とする、
請求項17に記載の自動注入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は注射器と共に使用するための自動注入装置に関する。本発明は安全自動注入装置および/または安全注射器と共に使用するための自動注入装置に関連し得るが、必ずしも制限されない。
【背景技術】
【0002】
安全注射器は、典型的には、患者に注入された後の注射器の皮下注射針から医療従事者を守るための何らかの形態の安全装置を含む。典型的な安全注射器は、注射器の使用の後に針を覆うためのシュラウドまたはシースを含む場合がある。他の典型的な注射器は針を注射器のバレル内に引き込ませる場合がある。
【0003】
安全注射器は、「アクティブ」および「パッシブ」安全注射器におおまかに分類され得る。アクティブ安全注射器は、典型的には、安全装置を係合するために注射器のユーザーによる何らかのアクションを要求する。そのようなアクションは患者から抜針した後に行われるか、または患者から抜針する間に行われ得る。パッシブ安全注射器は、典型的にはユーザーによるいかなる特定のアクションも伴わずに、つまり注射器を使用するために通常行われる以外のいかなるアクションも伴わずに、安全装置を係合させる。
【0004】
自動注入装置は、注射器を受け入れるための、および、注射器の注射器プランジャを注射器のバレルの中へと動かすための、装置であり、典型的にはユーザーによって加えられるいかなる駆動力も伴わないが、起動のために何らかの力が必要とされてもよい。典型的には、自動注入装置は、注射器プランジャをバレルの中へと動かす力を提供するために配置される、ばねなどのプランジャ駆動体を含む。プランジャ駆動体は、典型的に、自動注入装置におけるボタンまたは他の開放機構の動作によって起動される。安全自動注入装置は、自動注入装置の使用の後に自動注入装置内に受け入れられる注射器の針を覆う位置に配備され得るシュラウドを含む、安全自動注入装置であってよい。自動注入装置のシュラウドはシュラウド駆動体によって加えられる力の影響下に配備される場合がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明に従い、一態様において、中身が充填されている場合がある安全注射器と共に使用するための自動注入装置が提供され、該自動注入装置は:第1の検知器であって、自動注入装置の起動後、安全注射器のプランジャが、安全注射器から物質の全投与量が送達されたことを示す、それ自体の送達ストローク上のある点まで移動したことを検知するよう構成された、第1の検知器を含む。
【0006】
随意に、自動注入装置は閉位置にあることを検知するための第2の検知器をさらに含み、その閉位置はバレル部とプランジャ部との間の係合を含み得る。
【0007】
随意に、第1の検知器は、第2の検知器がそのような係合を検知することに依存して動作可能であるよう構成される。
【0008】
随意に、自動注入装置は、安全注射器の存在を検知するよう構成された第3の検知器をさらに含む。
【0009】
随意に、第1の検知器は、第3の検知器が安全注射器の存在を検知することに依存して動作可能であるよう構成される。
【0010】
本発明に従い、第1の態様において、安全注射器と共に使用するための自動注入装置が提供され、そこにおいて、該自動注入装置は:安全注射器を受け入れるために開放可能であり且つ自動注入装置の操作の前に閉鎖可能である、本体;第1の検知器であって、自動注入装置の起動の後に、安全注射器のプランジャが、安全注射器から物質の全投与量が送達されたことを示す、その送達ストロークにおけるある点まで移動したことを検知するよう構成された、第1の検知器;ハウジングが閉位置にあることを検知するよう構成された第2の検知器;および、安全注射器の存在を検知するよう構成された第3の検知器を含み、第1の検知器が,第2の検知器がバレル部とプランジャ部との間の係合を検知すること、および、第3の検知器が安全注射器の存在を検知することの、少なくとも1つに依存して、動作可能であるよう構成される。
【0011】
随意に、本体は、安全注射器を受け入れるために開放可能であり且つ自動注入装置の操作の前に閉鎖可能である開き戸を含む。
【0012】
随意に、本体は:安全注射器のバレルを受け入れるよう構成されたバレル部;および、安全注射器のプランジャを受け入れるように構成されたプランジャ部を含み、バレル部とプランジャ部が、分離可能な係合のために構成されることを特徴とし、および、プランジャ部とバレル部が係合解除される時、本体が開位置にあることを特徴とする。
【0013】
随意に、第1の検知器は、スイッチ、および随意にマイクロスイッチを含み、安全注射器のプランジャの送達ストロークの間に安全注射器の一部によって操作可能である。
【0014】
随意に、スイッチは、送達ストロークにおける前記点にある注射器プランジャによって操作可能である。
【0015】
随意に、送達ストロークにおける前記点は送達ストロークの完了の前に到達される。
【0016】
随意に、送達ストローク上の点と送達ストロークの完了点との間の距離は、安全注射器において製造公差を占めるに十分である。
【0017】
随意に、自動注入装置は、第1の検知器から受信されたデータに基づいて全投与量が送達されたかどうかを示すよう構成された、1つ以上のインジケータをさらに含む。
【0018】
随意に、自動注入装置は、第1の検知器から信号を受信し且つユーザデバイスに投与量データを送信するためのトランスミッタを制御するよう構成されたプロセッサをさらに含み、送信されるデータは全投与量が送達されたかどうかを示す。
【0019】
随意に、プロセッサは投与量データにタイムスタンプを付与するよう、さらに構成され、自動注入装置は、随意にユーザデバイスへの接続がトランスミッタによって確立されるまで、投与量データを記憶するためのメモリーをさらに含む。
【0020】
随意に、第2の検知器はスイッチおよび随意にマイクロスイッチを含む。
【0021】
随意に、前記スイッチはプランジャ部に係合中にバレル部の形態によって操作可能であるか、または、前記スイッチはバレル部に係合中にプランジャ部の形態によって操作可能であることを特徴とする。
【0022】
随意に、第2の検知器はプランジャ部の中に位置する。
【0023】
随意に、自動注入装置は、受信機であって、安全注射器のデバイスから放たれ、および、安全注射器に関する1つ以上のパラメーターを特定する注射器データを含む信号を受信するよう構成された、受信器をさらに含む。
【0024】
随意に、受信器は、受信した信号を安全注射器のデバイスに放たせるために無線周波数(RF)信号を送信するよう構成された無線周波数識別(RFID)デバイスの部分を形成する。
【0025】
随意に、プロセッサはトランスミッタによって送信するために、投与量データの中に注射器データを含めるよう構成される。
【0026】
本発明に従い、別の態様において、安全注射器と共に使用するための自動注入装置が提供され、該自動注入装置は:受信器であって、安全注射器のデバイスから放たれ且つ安全注射器に関する1つ以上のパラメーターを特定するデータを含む信号を受信するよう構成された、受信器、を含む。
【0027】
随意に、自動注入装置は、安全注射器を受け入れるために開放可能であり且つ自動注入装置の操作の前に閉鎖可能である本体をさらに含む。
【0028】
随意に、本体は:安全注射器のバレルを受け入れるよう構成されたバレル部;安全注射器のプランジャを受け入れるように構成されたプランジャ部を含み、バレル部とプランジャ部は分離可能な係合ために構成されることを特徴とする。
【0029】
随意に、受信器は、受信された信号を安全注射器のデバイスに放たせるよう構成された無線周波数識別(RFID)デバイスの部分を形成する。
【0030】
随意に、安全注射器に関する1つ以上のパラメーターは、以下の項目のうちの1つ以上を含む:注射器のバレル内の物質のバッチ;バレルが物質で満たされた日付;および、物質の識別。
【0031】
随意に、自動注入装置は、注射器が自動注入装置内に嵌合された時に注射器のプランジャヘッドに組み合わせるための、および、プランジャを注射器のバレルの中へ動かすよう構成された、プランジャ駆動体をさらに含み、そこにおいて、該プランジャ駆動体が、自動注入装置内に注射器があり且つ嵌合している時に、プランジャヘッドより下になるように自動注入装置に位置する。
【0032】
随意に、プランジャ駆動体は、注射器の使用の後にプランジャヘッドより下になるように位置する。
【0033】
随意に、プランジャ駆動体は、少なくとも1つのアームであって、注射器が自動注入装置に嵌合される時、プランジャヘッドに結合し且つ自動注入装置の針側の端まで伸展する、少なくとも1つのアームに結合するよう構成される。
【0034】
随意に、プランジャ駆動体は少なくとも1つの圧縮ばねを含む。
【0035】
随意に、前記ばねは、中に注射器を受け入れるよう構成されたバレル部内にチャネルを形成する。
【0036】
随意に、自動注入装置は安全注射器をさらに含む。
【0037】
随意に、注射器は:ヘッドを有するプランジャ;および、プランジャのヘッドから安全注射器の針側の端に向かって長手方向に伸展し且つプランジャ駆動体と係合するように構成された、少なくとも1つのアームを含み、結果としてプランジャ駆動体の伸展がプランジャを注射器のバレルの中へ動かす。
【0038】
本発明に従い、さらなる態様において、自動注入装置の中で使用するための注射器が提供され、該注射器は注射器に関連する1つ以上のパラメーターを特定するデータを含む信号を放つよう構成されたデバイスを含む。
【0039】
随意に、前記デバイスはRFIDタグを含む。
【0040】
随意に、安全注射器に関する1つ以上のパラメーターは、以下のうち1つ以上を含む:注射器のバレル内の物質のバッチ;バレルが物質で満たされた日付;および、物質の識別。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の典型的な実施形態は添付図面を参照して本明細書に開示される。
【
図3a】典型的な自動注入装置のプランジャ部の分解立図を示す。
【
図3b】典型的な自動注入装置のプランジャ部の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
一般に、本明細書において開示されるのは、注射器および/または安全注射器と共に使用するための自動注入装置である。典型的な自動注入装置は、第1の検知器を含む場合があり、該第1の検知器は送達検知器であり、自動注入装置内の注射器のプランジャが、注射器のバレル内から薬剤などの物質の完全な投与を示す送達ストローク上の点に達したかどうかを検知するよう構成された、送達量検知器であり得る。他の典型的な自動注入装置は受信機を含み、該受信機はRFIDシステムの一部を形成する無線周波数識別(RFID)リーダであり得る。注射器は、注射器および/または注射器のバレルの中に含まれる物質に関するデータを含む信号を放ち得るRFIDタグを含む場合がある。
【0043】
典型的な自動注入装置において、プランジャ駆動体(例えば圧縮ばね)は、プランジャを注射器のバレルの中へと駆動する力をプランジャに加えるよう構成され得る。プランジャ駆動体は、プレフィルドシリンジのプランジャのヘッドより下に位置してもよく、前記プレフィルドシリンジは充填済み注射器と表わされる場合がある。注射器は、それが薬剤(または他の物質)を包含し且つ使用されていない時、すなわち、プランジャがバレルから引き出され且つ被験体へ注入するための物質がバレル内にある時、充填されていると考えられる。さらに、プランジャのヘッド「より下に」という用語は、プランジャ駆動体が完全にプランジャのヘッドより下にあるという配置を包含し得る。プランジャ駆動体は、注射器のバレルに隣接するか、または注射器のバレルを囲む場合がある。プランジャ駆動体がプランジャヘッドより上に位置しないため、典型的な配置は、生み出された空間の中のほかの機能、例えば、検知器、プロセッサ、トランスミッタ、および/または、受信器もしくはRFIDリーダなどの機能の封入を可能にするのであり、そのことは本明細書において説明される。
【0044】
典型的なプランジャ駆動体は、一端において自動注入装置に固定され、および、他端においてプランジャのヘッドから注射器の針側の端に向かって長手方向に伸展する1つ以上のアームに接続するよう構成され得る。針側の端に向かうプランジャ駆動体の伸展は、1つ以上のアームに力を加え、それによって、プランジャを注射器のバレルの中へ下に動かす。注射器は、下記に述べられるように、アームによって安全プランジャのヘッドに接続されたシースを含む安全注射器であってよい。そのような配置において、プランジャ駆動体(例えばばね)の針側の端はアームまたはシースのどちらかに接続する場合がある。典型的な配置において、プランジャ駆動体は、注射器が自動注入装置内に嵌合された時、注射器のバレルの開口部の下に位置する。特定の典型的な配置において、プランジャ駆動体は、注射器が自動注入装置内に嵌合された時、注射器のバレルの開口部にあるフランジの下に位置する。
【0045】
図1は典型的な自動注入装置(100)を示す。自動注入装置(100)は本体(101)を含む。本体(101)は、中に注射器を受け入れるために開放可能であり且つ自動注入装置を操作するために閉鎖可能であるよう構成される。
【0046】
当業者によって理解されるように、開放可能な本体を形成し得る多くの方法がある。
図1の中に示される特定の実施形態において、本体(101)はバレル部(102)およびプランジャ部(104)を含む。バレル部(102)は注射器のバレルを受け入れるよう構成される。すなわち、注射器が自動注入装置(100)内に嵌合される時、注射器のバレルは、バレル部(102)内に少なくとも部分的に包含されている。プランジャ部(104)は、注射器が自動注入装置内に嵌合される時、注射器のプランジャを受け入れるよう構成される。すなわち、注射器のプランジャは、注射器が自動注入装置(100)内に嵌合される時、プランジャ部(104)内に少なくとも部分的に包含されている。バレル部(102)およびプランジャ部(104)は分離可能な係合ために構成される場合がある。自動注入装置は、バレル部(104)からプランジャ部(102)を離脱させることにより開かれ、および、プランジャ部(102)とバレル部(104)を再係合することにより閉じられ得る。
【0047】
他の配置において、本体(101)は開き戸を含む場合がある。開き戸は開位置と閉位置との間で移動可能であり得る。開き戸は本体(101)の前面に位置する場合がある。開き戸の、本体(101)の残りの部分への蝶番による接続は、本体の後方またはプランジャ側の端に、位置する場合がある。
【0048】
開き戸が開位置にある時、注射器は本体(101)の中に収容される場合がある。具体的に、開き戸が開位置にある時、本体(101)内の凹部が露出される場合がある。その凹部は自動注入装置による操作に対する準備ができている安全注射器を受け入れ、および随意に保持するよう構成される場合がある。
【0049】
開き戸は自動注入装置の操作ために閉位置へと動かすことができる。すなわち、開き戸が閉じられ、安全注射器が本体(101)の中に受け入れられる時、自動注入装置は操作に対する準備ができた状態であり得る。
【0050】
他の配置において、ドアはスライド可能、または、取り外し可能な場合があり、その結果、本体(101)中の凹部が露出し且つ安全注射器が中に収容され得る。この、および、他の配置は、当業者によって容易に理解されるであろう。
【0051】
下記の特定の説明は、図面において示される典型的な自動注入装置(100)について提供される。しかしながら、容易に理解されるように、その自動注入装置の関連する形態は、上述されたものなどの他の典型的な自動注入装置において含まれている場合がある。
【0052】
一般に、本明細書に開示される典型的な自動注入装置(および注射器)は、針側の端(100a)およびプランジャ側の端100b)を持っていると定義することができる。これらの特徴は、開示された自動注入装置の説明を補助するために、本明細書において使用され得る。
【0053】
自動注入装置(100)はリジッドニードルシールド(RNS)リムーバ(106)をさらに含む。RNSリムーバ(106)は、バレル部(102)から離れて、RNSが注射器に適合される第1の位置から、RNSが注射器の針から引き離される第2の位置へのスライド可能な伸展のために構成される。他の構成において、RNSリムーバ(106)は、第1の位置から第2の位置に動くように回転される場合がある。その回転の結果、RNSリムーバ(106)がバレル部(102)から離れて伸展する場合がある。RNSリムーバ(106)が自動注入装置(100)の中に適合された注射器のRNSに連結され、その結果、RNSリムーバ(106)の伸展がRNSを取り除く場合がある。RNSリムーバ(106)におけるアパーチャ(
図1において示されない)は、注射器のRNSが取り外しの後に自動注入装置(100)から落下することを可能にする。
【0054】
バレル部(102)は、中に受け入れられた注射器バレルを囲むよう構成されたハウジングを含む。バレル部(102)には横断面においておおまかに楕円の本体がある。本体は、針側の端(100a)から離れて注射器のバレルを収容するよう構成されるプランジャ側の端(100b)の開口部に向けて伸展する。開口部は、注射器のバレルの開口部にあるフィンガーフランジまたはバレルに嵌合されるハンドル部を格納することができるほど十分に大きい場合がある。ハンドル部は、注射器が自動注入装置(100)の外部で使用される時、ユーザーの人差指および中指を受けるよう構成される場合がある。バレル部(102)の開口部はプランジャ部(104)への取外し可能な接続のために構成される。
【0055】
プランジャ部(104)は、自動注入装置(100)の中に嵌合する時に注射器のプランジャを囲むよう構成されたハウジングを含む。プランジャ部(104)は、横断面においておおまかに楕円の本体を含む。プランジャ部(104)の本体は、プランジャ側の端(100b)から遠ざかり、バレルに嵌合されるフィンガーフランジまたはハンドル部を格納する針側の端(100a)にある開口部に向かって伸展する。プランジャ部(104)の開口部はバレル部(102)への取外し可能な接続ために構成される。プランジャ部(104)は、自動注入装置(100)に注射器が嵌合されている時に自動注入装置(100)を起動するために、ボタン(110)または他の起動デバイスをさらに含む場合がある。
【0056】
RNSリムーバ(106)は、横断面においておおまかに楕円または円形である。RNSリムーバ(106)は、RNSリムーバ(106)の伸展を望むユーザーに大きなグリップを提供するために、その針側の端の周囲にリップ(112)を含む場合がある。
【0057】
図2aは典型的な自動注入装置(100)の断面を示し、および、
図2bは、典型的な自動注入装置(100)の分解図を示す。自動注入装置(100)はバレル部(102)、プランジャ部(104)、および、RNSリムーバ(106)を含む。バレル部(102)は深さアジャスター(108)、接触アクチュエータ(110)、キャリア(112)、およびボディ(114)を収容する。安全注射器(200)も
図1aにおいて示され、および、これは自動注入装置(100)の中に嵌合される場合がある。
【0058】
バレル部(102)はプランジャ部(104)との取外し可能な接続ために構成される。
【0059】
プランジャ部(104)は、ユーザーによって加えられた線形力下におけるバレル部(102)への接続のために構成される場合があり、および、回動力下においてバレル部(102)から接続解除される場合がある。典型的な自動注入装置(100)は、バレル部(102)およびプランジャ部(104)の両方に不連続の、ねじ山が切られた区分を含む。ボディ(114)はバレルねじ山(103)を含む。ボディ(114)はバレル部(102)のプランジャ側の端で開口部の中に嵌合されるように構成され、および、バレル部(102)に嵌合された時、プランジャ部(104)に入るよう構成された少なくとも1つのガイドを含む。バレルねじ山は前記ガイドにおいて形成される。プランジャ部(104)は、その針側の端における開口部に位置する、対応するプランジャねじ山(105)を含む。
【0060】
典型的な自動注入装置(100)において、バレルねじ山(103)およびプランジャねじ山(105)は、バレル部(102)およびプランジャ部(104)のまわりで360度を超えない。むしろ、バレル部(102)とプランジャ部(104)は、バレル部(102)とプランジャ部(104)の開口部あたりで互いから角度的に分離される、複数の、不連続の、ねじ山が切られた区分を含む。自動注入装置(100)において、バレル部(102)とプランジャ部(104)は、バレル部(102)とプランジャ部(104)の開口部の対向した側面に形成された2つのねじ山をそれぞれに含む。
【0061】
典型的な自動注入装置(100)において、バレル部(102)とプランジャ部(104)を接続するためにユーザーによって加えられた線形の力がバレルねじ山(103)とプランジャねじ山(105)を係合させる場合がある。これは、加えられた力の下でねじ山の区分を互いに乗り上げさせるスナップフィットの、または、クリップフィットの配置によって行われる場合がある。一旦バレルねじ山(103)とプランジャねじ山(105)が係合されれば、プランジャ部(104)は、バレル部(102)とプランジャ部(104)の相対的回転によってバレル部(102)から接続解除される場合があり、これにより不連続のバレルねじ山(103)が不連続のプランジャねじ山(105)とのアラインメントの外へ動く。
【0062】
バレル部(102)とプランジャ部(104)は、自動注入装置(100)の中への注射器(200)の挿入を可能にするために接続解除され、および、一旦注射器(200)が挿入されると、再度接続されてもよい。さらに、注射器(200)が自動注入装置(100)内に嵌合された時、プランジャ部(104)のバレル部(102)に対する回転は、注射器(200)を回転させ、結果として注射器(200)の一部が注射器の回転運動を直線運動に変換するためにカム面の上に乗り、これにより注射器がバレル部(102)から連結解除される。あるいは、プランジャ部(104)の回転による注射器(200)の回転は、注射器がバレル部(102)から連結解除されるように、バレル部(102)の中にある注射器(200)を保持している結合要素を変形させる。
【0063】
典型的な配置において、バレル部(102)(またはバレル部(102)の中のボディ(114))は、カム面(115)が形成されるように、安全注射器(200)のハンドル部(218)と相互作用するように形成され得る。カム面(115)は安全注射器(200)の回動運動を安全注射器(200)の直線運動に変換するよう構成される。示された具体例において、ボディ(114)における実質的に楕円形の開口部は、直線運動を生成するために、注射器(200)のハンドル部(218)の、傾斜した表面を形成している下側と相互作用することで、直線運動をもたらす。この直線運動は、バレル部(102)との捕らわれた結合から注射器(200)を解放してもよく、これにより、バレル部(102)から注射器(200)を引き出してもよい。
【0064】
RNSリムーバ(106)はバレル部(102)との取外し可能な接続ために構成される。RNSリムーバ(106)は、バレル部(102)から完全に取り外される(すなわち、分離可能である)場合がある。以下に説明されるように、RNSリムーバ(106)は、RNSリムーバ(106)の形態をバレル部(102)に挿入するためにユーザーが力を加えることによって、自動注入装置(100)の使用の後にバレル部(102)へ再着装されるために構成される場合がある。
【0065】
RNSリムーバ(106)はさらに突起(118a)(118b)を含む。突起(118a-b)は、RNSリムーバ(106)がバレル部(102)に接続される時、バレル部(102)内で受けられるよう構成される。突起(118a)(118b)は、圧縮ばね(134)に力を満たすためにRNSリムーバ(106)が自動注入装置(100)に再度接続される時に圧縮ばね(134)に結合するよう構成される、ばね圧縮表面を含む。
【0066】
RNSリムーバ(106)は、バレル部(102)からのRNSリムーバ(106)の取り外しが、RNSを取り外すように、自動注入装置(100)の中に嵌合された注射器(200)のRNSに接続する場合がある。RNSリムーバ(106)におけるアパーチャ(116)は、RNSリムーバ(106)の取り外しの後に注射器(200)のRNSが自動注入装置(100)から落下することを可能にする。RNSリムーバ(106)はまた、深さアジャスター(108)を回転させるよう構成されたダイヤル構成要素(149)を含んでもよく、および、その操作は下に説明される。
【0067】
深さアジャスター(108)は、それが使用される前に、自動注入装置(100)のバレル部(102)から部分的に突き出るように構成される。RNSリムーバ(106)が取り外されれば直ちに、深さアジャスター(108)はユーザーの皮膚と接触させられてもよい。深さアジャスター(108)はスライド可能に、および/または、回転可能に、自動注入装置(100)のバレル部(102)内に受け入れられるよう構成される。深さアジャスター(108)のバレル部(102)の中へのスライド可能な運動は、深さアジャスター(108)の針側の端からの注射器(200)の針を露出し、および、従って、患者の皮膚の中への針の挿入を可能にする。典型的な自動注入装置(100)において、深さアジャスターは、接触アクチュエータ(110)の中にスライド可能に且つ回転可能に受けられる。
【0068】
深さアジャスター(108)はリップ(120a-b)および突出部(122)を含む。リップ(120a-b)は、深さアジャスター(108)の伸展、および、従って、そのバレル部(102)から突出を制限するために、接触アクチュエータ(110)の表面と係合するよう構成される。深さアジャスターは、圧縮ばね(123)によって自動注入装置(100)の針側の端(100a)の方へ片寄る場合がある。突出部(122)は、深さアジャスターのバレル部の中への挿入を制限し、および、従って患者の中への針の挿入を制限するために、機械的なエンドストップと係合するよう構成される。
【0069】
接触アクチュエータ(110)は、深さアジャスター(108)が受け入れられるアパーチャを含む。深さアジャスター(108)が接触アクチュエータ(110)によって入れ子式に収容され得るよう、深さアジャスター(108)は前記アパーチャの直径より小さな直径であってよい。この配置は、接触アクチュエータ(110)に対する深さアジャスター(108)の軸運動および回動運動を可能にする。
【0070】
典型的な自動注入装置が安全注射器(200)と共に使用されるために構成されることは留意されたい。
図2aおよび2bにおいて示される典型的な注射器(200)は、自動注入装置(100)の中に嵌合されており、および、安全注射器である。プランジャ(206)はシース(216)に結合された安全プランジャであり、プランジャヘッド(204)、およびプランジャヘッド(204)の対向側面から伸展する2つのアーム(212a)(212b)を含む。アーム(212a)(212b)は、プランジャヘッド(206)をシース(216)に接続する。アーム(212a)(212b)は、シース(216)がプランジャヘッド(204)へ力が加わることでバレル(214)の外部に沿って移動するように、バレル(214)の外部に沿ってスライド可能である。
【0071】
ハンドル部(218)は、本体および本体から側方に伸展するフランジを含む。前記本体は、バレルを囲み、それに固定される部分を含む。フランジはフィンガーグリップを形成し、および、安全注射器が自動注入装置(100)の外部で使用される時、親指が安全プランジャのプランジャヘッド(204)に力を加える間、ユーザーの人差し指および中指を受けるよう構成される。安全プランジャ(206)がそのストロークの最も外側の部分にある時、シース(216)は、ハンドル部(218)の本体の中に部分的に受け入れられ得る。シース(216)の少なくとも一部はハンドル部(218)の本体から突出する。
【0072】
安全プランジャ(200)のアーム(212a)(212b)は、安全プランジャ(206)が、ハンドル部(218)に対して、および、従ってバレル(214)に対してそのストロークに沿って移動し得るようにハンドル部(218)を通り抜ける。シース(216)は、シース(216)が安全注射器(200)の針を少なくとも部分的に覆うまで、安全プランジャ(206)の内向きのストロークに伴って、バレル(214)の外側に沿って移動するように構成される。安全プランジャ(206)のストロークの最も内側の点では、針の鋭い先端が露出しないよう、シース(216)の端が針の端を超えている。
【0073】
安全プランジャ(206)は、その内向きのストロークの第1の部分の間、注射器プランジャ(222)に連結され、および、従って、注射器プランジャ(222)は、安全プランジャ(206)のその内向きのストロークに沿った移動に基づいてバレル(214)の中へ動かされる。安全プランジャ(206)は、内向きのストローク上のある点で注射器プランジャ(222)から連結解除されるのであり、それは注射器プランジャ(222)がバレル(214)から医薬または薬剤をすべて放出した時であり得る。分離の後、安全プランジャ(206)は、注射器プランジャ(222)に対して長手方向に移動してもよく、および、安全プランジャ(206)の継続的な移動によりシース(214)は針を覆う位置に動かされる。この意味において、分離は長手方向の分離を指す場合がある。長手方向の分離の後、安全プランジャ(206)と注射器プランジャ(222)の回転による結合が存在し得る。
【0074】
安全プランジャ(206)と注射器プランジャ(222)の分離は、一方を他方から係合解除させるための、安全プランジャ(206)と注射器プランジャ(222)との間の相対的な回転によって行われる場合がある。例えば、分離機構は、安全プランジャ(206)における結合凹部と共に、係合と係合解除の間で動くよう構成された注射器プランジャ(222)における凸部を含む場合がある。係合と係合解除の間の動作は、安全プランジャ(206)に対する注射器プランジャ(222)の回転によって生じる場合がある。
【0075】
いくつかの配置では、安全注射器(200)は、分離の後に安全プランジャ(206)の移動速度を制御するための律速手段を含み得る。律速手段は、安全プランジャ(206)に結合され、および、注射器プランジャ(222)と係合するよう構成された、速度制限部材を含む場合がある。速度制限部材は第1のねじ山(224)を含む場合があり、および、注射器プランジャ(222)は、分離の後に安全プランジャ(206)の直線運動に基づいて注射器プランジャ(222)を回転させるために第1のねじ山(224)と係合するように構成される第2のねじ山を含む場合がある。
【0076】
そのような配置では、分離機構は、分離の前に注射器プランジャ(222)の回転を防ぐように構成された回転阻止部材を含む場合がある。回転阻止部材は、注射器プランジャ(222)が通り抜けるアパーチャを含んでもよく、そこではアパーチャは、注射器プランジャ(222)が回転を阻止されるよう、注射器プランジャ(222)における第2のキー形態(keying feature)に対応するよう構成された第1のキー形態を含む。第2のキー形態が安全プランジャ(206)から注射器プランジャ(222)を連結解除するために第1のキー形態から係合解除するように、注射器プランジャ(222)が構成される場合がある。例えば、注射器プランジャ(222)は注射器プランジャ(222)を安全プランジャ(206)から直線的に連結解除するためにアパーチャを完全に通り抜けるよう構成される場合がある。
【0077】
接触アクチュエーター(110)はキャスタレーション・チャネル(124a-c)を包含する。3つのキャスタレーション・チャネル(124a-c)は
図2bにおいて確認できるが、典型的な自動注入装置は、任意の数のキャスタレーション・チャネル(124a-c)を含み得る。キャスタレーション・チャネル(124a-c)は、接触アクチュエータ(110)の針側の端から長手方向に(自動注入装置に対して)伸展する。キャスタレーション・チャネル(124a-c)は長さが異なる。キャスタレーション・チャネル(124a-c)の各々はキャスタレーション・チャネル(124a-c)のプランジャ側の端における機械的なエンドストップ面を含む。キャスタレーション・チャネル(124a-c)は異なる長さであるので、機械的なエンドストップ面は各々、接触アクチュエータ(110)の針側の端から長手方向に異なる距離に位置する。
【0078】
キャスタレーション・チャネル(124a-c)は、深さアジャスター(108)の突出部(122)を受けるよう構成される。深さアジャスター(108)は、突出部(122)が望ましいキャスタレーション・チャネル(124a-c)と位置を合わせることを可能にするために、接触アクチュエータ(110)の中で回転可能である。キャスタレーション・チャネル(124a-c)は、突出部(122)がキャスタレーション・チャネル(124a-c)のうちの1つの中で移動することを可能にするよう構成される場合がある。キャスタレーション・チャネル(124a-c)は、実質的に突出部(122)と同じ幅であってよく、その結果、突出部(122)がキャスタレーション・チャネル(124a-c)のうちの1つに入る時、深さアジャスター(108)の回転が阻止され、および、深さアジャスター(108)の長手方向の動きだけが可能となる。
【0079】
機械的なエンドストップ面は、接触アクチュエータ(110)内において深さアジャスター(108)が長手方向に動く範囲に機械的な限界を設定するために、深さアジャスター(108)の突出部(122)と係合するよう構成される。接触アクチュエータ(110)は、プランジャ駆動体134(例えば圧縮ばね)を作動させるためにキャリア(112)と係合するよう構成された突起(132a-b)を含む、アーム(130a-b)をさらに含む。
【0080】
キャリア(112)はプランジャ駆動体(134)を力を蓄えた状態で保持するよう構成される。用語「力を蓄えた状態」は、付勢力を適用することができるよう態勢を整えたプランジャ駆動体(134)を包含する。典型的な自動注入装置(100)におけるプランジャ駆動体は圧縮ばね(134)である。典型的な自動注入装置(100)において、圧縮ばね(134)はキャリア(112)内に受け入れられる。圧縮ばね(134)はキャリア(112)の付勢面(136)に固定される場合がある。代替の配置において、圧縮ばね(134)は、固定されることなく付勢面(136)に突合する場合がある。圧縮ばね(134)の他端は固定されるか、またはボディ(114)の表面に突合する場合がある。
【0081】
キャリア(112)は、キャリア(112)の対向側面に設置されたクリップ(138a、138b)をさらに含む。各々のクリップは、基部(142a、142b)によって接合された、シース(または注射器)結合部材(140a、140b)および係止部材(141a、141b)を含む。シース結合部材(140a、140b)、および、係止部材(141a、141b)は、弾力的に変形可能である。シース結合部材(140a、140b)は、バレル部(102)のボディの方へ外向きに(長手方向に対して)角を成している。係止部材(141a、141b)は、バレル部(102)の中心の方へ内向きに(自動注入装置の長手方向に対して)角を成している。そのように、各クリップ(138a、138b)は実質的にV字形状である。
【0082】
圧縮ばね(134)はクリップ(138a、138b)の中に受け入れられ、結果として圧縮ばね(134)の一端がクリップ(138a、138b)の基部(142a、142b)に突合し、および、弾力的に変形可能な部材(140a、140b)が、圧縮ばね(134)の両側に延在する。
【0083】
シース結合部材(140a、140b)は、シース結合鈎(146a、146b)を含む。係止部材(141a、141b)は、係止鈎(147a、147b)を含む。シース結合鈎(146a、146b)は、注射器(200)が自動注入装置(600)の中に差し込まれる時、注射器(200)のシース上の対応する凹部と係合するよう構成される。シース結合鈎(146a、146b)は、シース結合鈎(146a、146b)がシースの凹部において係合される時、シースをキャリア(112)に結合する。係止鈎(147a、147b)は、ボディ(114)上の対応する凹部と係合するよう構成される。
【0084】
図3aは、本明細書に開示される、自動注入装置と共に使用するためのプランジャ部(304)、および、プランジャ部(300)の中に嵌合するための複数の構成要素の分解図を示す。前記構成要素は:電気回路(302)であって、この場合プリント回路基板(PCB)又は同等物の上にプリントされた電気回路(302);インサート(304)、および回路カバー(306)を含む。電気回路は1つ以上のプロセッサ、および、本明細書に説明された方法のいずれかの部分を実行するよう構成された他の電子構成要素を含む場合がある。具体的に、電気回路は:第1の検知器、第2の検知器および第3の検知器;送信機;受信器;および、プロセッサのうち1つ以上をさらに含む場合がある。インサート(304)は、プランジャ部(300)の中に保持されるよう構成され、および、安全プランジャ(206)を格納するために針側の端にアパーチャを有するチャネル(308)を含む。注射器が自動注入装置の中に嵌合される時、安全プランジャ(206)はチャネル(308)に沿ってプランジャ側の端に向かって移動してもよい。
【0085】
組み立てられる時、PCB(302)は、PCB(302)において対応する凹部の中に位置決め突起(310)を位置づけることによってインサート(304)上に配置される。その後、回路カバー(306)は、例えば、スナップフィット配置や位置決め突起(310)における穴の中にピンを係合することによって、インサート(304)に固定される。その後、組み立てられた形態は、プランジャ部(300)において固定されてもよい。
【0086】
図3bは、組み立てられた回路(302)、インサート(304)及び回路カバー(306)を含んだプランジャ部(300)の断面を示す。PCB(302)は第1の検知器(312)、第2の検知器(314)および第3の検知器(316)を含む。典型的な配置において、第1の検知器(312)、第2の検知器(314)、および、第3の検知器(316)は、PCB(302)上にプリントされた回路の一部を成形するマイクロスイッチであってもよい。しかしながら、他の検知のための手段が使用されてもよい。PCB(302)は、異なる色を有する発光ダイオード(LED)、または他の視覚的なインジケータ、および、異なるオーディオ音を出力することができる音声出力も含む場合がある。
【0087】
本体(101)が開き戸を含む配置において、PCBの少なくとも一部は本体(101)の中に位置する場合がある。あるいは、または、さらに、PCBの少なくとも一部は開き戸上に位置する場合がある。そのような配置において、PCBの少なくとも一部は開き戸の内側表面上に位置する場合があり、その結果、開き戸が閉じた時、PCBが充填された安全注射器と接触させられる。PCBは、本体の中に嵌合される場合があるインサートまたは開き戸上に配置される場合がある。
【0088】
第1のマイクロスイッチ(312)は全投与量の送達が生じたかどうか判定するよう構成された送達量検知器であり得る。用語「全投与量の送達」は、実質的にすべての物質、例えば薬剤または医薬などの、注射器のバレルからの送達を包含する。具体的には、第1のマイクロスイッチ(312)は、安全プランジャ(206)の一部がマイクロスイッチ(312)を操作するように、チャネル(308)に突出し、それにより、続いてPCB(302)におけるプロセッサ(318)に信号が送られる。典型的な配置において、第1の検知器のマイクロスイッチ(312)は2つの対向方向(例えば針側の端およびプランジャ側の端に向けて)に操作されるよう構成される場合があり、および、従って、プランジャ部(300)の中への注射器の挿入を検知し且つ全投与量の送達を検知するよう構成される場合がある。第1のマイクロスイッチ(312)は送達ストロークの完了点の前の点に位置する場合がある。すなわち、第1のスイッチ(312)は、注射器プランジャ(222)の送達ストロークの完了の前に安全プランジャ(206)によって操作可能であるよう位置づけられる。従って、第1のマイクロスイッチ(312)は、それが全投与量の送達の前に操作されるように、位置づけられる場合がある。第1のマイクロスイッチ(312)の位置と送達ストロークの完了点との間の距離は、注射器を製造する時に製造公差を適応させるためのものである。
【0089】
第2のマイクロスイッチ(314)は、自動注入装置が組み立てられた時、即ちバレル部がプランジャ部(300)と係合された時、を検知するよう構成される、組み立て検知器であり得る。第2の検知器のマイクロスイッチ(314)は、バレル部(102)の中に収容されたボディ(114)の突出部を受け入れるよう構成される凹部(320)に位置する。バレル部(102)およびプランジャ部(300)が係合されるに従い、突出部は凹部(320)に入り、および次に、マイクロスイッチ(314)を操作する。この結果、信号はプロセッサ(318)に送信される。本体(101)が開き戸を含む配置において、第2のマイクロスイッチは、開き戸が閉位置にある時に第2のマイクロスイッチが操作されるように、本体内に又は開き戸上に適切に位置する場合がある。
【0090】
第3のマイクロスイッチ(316)は、注射器が自動注入装置の中に嵌合されるかどうかを検知するよう構成される注射器検知器であり得る。注射器が自動注入装置の中に嵌合される時、安全プランジャ(206)のヘッド(204)は、チャネル308に沿って移動し、通過時に第1のマイクロスイッチ(312)を随意に作動させ、および、バレル部(102)のプランジャ部(300)との係合において第3のマイクロスイッチ(316)を操作する。この結果、信号はプロセッサ(318)に送信される。本体(101)が開き戸を含む配置において、第3のマイクロスイッチは、開き戸が閉位置にある時に第3のマイクロスイッチが操作されるように、本体中に又は開き戸上に適切に位置する場合がある。
【0091】
プランジャ部(300)はまた、安全注射器のデバイスから放たれた信号を受信するよう構成された受信器(322)も含む。前記信号は、注射器または中に含まれる物質に関連する、1つ以上のパラメーターを特定するデータを含む場合がある。典型的な配置において、受信器(322)は、電磁気信号を放つよう構成されるRFIDリーダの一部を形成する場合があり、該電磁気信号が、続いて、注射器におけるRFIDタグに信号を放出させるRFIDリーダ(322)は、その後、プロセッサ(318)にデータを送信する場合がある。トランスミッタ(324)はBluetooth(RTM)などの短距離の伝送プロトコルを使用するよう構成される場合がある。
【0092】
プロセッサ(318)は、ユーザデバイスに投与量データを送信するためにトランスミッタ(324)を制御するよう構成される場合がある。プロセッサ(318)は、さらに、データにタイムスタンプを付与するよう構成される場合がある。
【0093】
自動注入装置の操作が下記に述べられる。
【0094】
自動注入装置(100)の使用前に、バレル部(102)はプランジャ部(300)から分離される。上に説明されるように、バレル部(102)およびプランジャ部(300)は、プランジャ部(300)をバレル部(102)に対して回転させることにより、互いから分離される。この分離は、注射器(200)が差し込まれるであろう、プランジャ部(300)における開口部を露出させる。
【0095】
注射器(200)は、シース(216)がキャリア(112)に結合されたことを示すクリック音が聞かれるまで、バレル部(102)に押し込まれる。典型的な自動注入装置(100)において、バレル部(102)の中への注射器(200)の挿入は、シース結合部材(147a、147b)を変形させることで、注射器(200)のシース(216)がキャリア(112)を通り抜けることを可能にする。注射器(200)がキャリア(112)内に押し込まれるに従い、シース結合鈎(146a、146b)は、シース(216)の表面に沿って、シース凹部と係合するまで移動する。シース結合鈎(146a、146b)のシース凹部との係合は、キャリア(112)をシース(216)に対して、および従って注射器(200)に対して結合する。
【0096】
プランジャ部(300)は、その後、注射器(200)の安全プランジャ(206)がプランジャ部(204)の中に受け入れられように、安全プランジャ(206)の上を動かされる。バレル部(102)およびプランジャ部(300)はともに接続される。バレル部(102)およびプランジャ部(300)は、バレル部(102)とプランジャ部(300)をともにスナップフィットまたはクリップフィットさせるために直線力を加えるユーザーによって接続される。上述のように、これはプランジャねじ山の上に乗るバレルねじ山によって行われる場合がある。
【0097】
プランジャ部(300)がバレル部(102)と係合されるに従い、バレル部(102)の中に収容されたボディ(114)の突出部は、第2のマイクロスイッチ(314)を操作する。この結果、信号がプロセッサ(318)送信され、自動注入装置が組み立てられたことが示される。加えて、安全プランジャ(206)のヘッド(204)は、自動注入装置のプランジャ側の端(100b)に向かう方向において第1のマイクロスイッチ(312)を操作する。この結果、注射器が自動注入装置に嵌合されたことを示す信号がプロセッサ(318)に送信される。自動注入装置の完全な組立て後、第3のマイクロスイッチは安全プランジャ(206)のヘッド(204)によって操作される。この結果、注射器(200)が自動注入装置の中に嵌合されたことを示す信号がプロセッサ(318)に送信される。典型的な配置において、プロセッサ(318)は、上記の一連のイベントに依存して、注射器(200)が自動注入装置の中に正確に嵌合されたと判定し得る。
【0098】
典型的な配置において、すべてのマイクロスイッチは、注射器(200)が正確に嵌合されたとプロセッサ(318)が判定するために、随意に特定された順序で、および、随意に特定された期限内に操作されねばならない。
【0099】
他の典型的な配置において、注射器が自動注入装置内に正確に嵌合されたとプロセッサ(318)が判定するために、より少数のマイクロスイッチが操作される必要がある。さらなる配置において、プロセッサ(318)に対する、そのような判定を下すことへの要求は全くない。例えば、最も幅の広い具体例において、第1のマイクロスイッチ(312)だけが必要とされ、および、全投与量が送達されたと判定するために操作されることだけが要求される。そのような配置において、プロセッサ(318)は注射器が正確に嵌合されたかどうかを判定することは要求されず、全投与量の送達が生じたかどうかを検知するだけである。他の配置において、1つ以上のマイクロスイッチの作動は、注射器(200)が正確に嵌合されたと判定するのに十分であり得る。
【0100】
本明細書に詳細に説明された典型的な配置に戻ると、プロセッサ(318)は、注射器(200)が自動注入装置内に正確に嵌合されたと判定している。その後、RNSリムーバ(106)はバレル部(102)から接続解除される。RNSリムーバ(106)は、内向きに面するリップがバレル部(102)における対応する凹部から接続解除されるまで、バレル部(102)から外に向かって引かれる。RNSリムーバ(106)が注射器(200)に嵌合したRNS(220)と連結されると、RNS(220)は針から取り除かれ、および、RNSリムーバ・アパーチャ(116)を通って落下する。
【0101】
いくつかの典型的な配置において、バレル部(102)からRNSリムーバ(106)を接続解除することは深さアジャスター(108)を露出させる。従って、一旦RNSリムーバ(106)がバレル部(102)から接続解除されたならば、深さアジャスター(108)は、接触アクチュエータ(110)(および従ってバレル部(102))からの最大の突出となる。この点において、深さアジャスター(108)のリップ(120a、120b)は、接触アクチュエータ(110)の上部表面と係合される。深さアジャスター(108)が接触アクチュエータ(110)からの最大の突出である時、深さアジャスター(108)は接触アクチュエータ(110)に対して回転可能である。深さアジャスター(108)は、深さアジャスター(108)の突出部(122)を望ましいキャスタレーション・チャネル(124a-d)と位置を合わせるために回転させられる場合がある。
【0102】
典型的な自動注入装置(100)において、深さアジャスター(108)は、RNSリムーバ(106)の取り外しの前に、RNSリムーバ(106)によって受け入れられる場合があるダイヤル構成要素(149)を使用して回転させられる場合がある。ダイヤル構成要素(149)は、RNSリムーバ(106)に対する挿入のために構成された個別の構成要素であり得、または、ダイヤル構成要素(149)はRNSリムーバ(106)の一部であり得る。この配置において、深さアジャスターは、その内側表面上に位置する歯を含む場合がある。深さアジャスターの歯は、RNSリムーバ(106)がバレルに接続される時、ダイヤル構成要素(149)上に位置する一致する歯と係合するよう構成される場合がある。ユーザーによるダイヤル構成要素(149)の回転は、深さアジャスターの歯とダイヤル構成要素(149)における対応する歯との係合により、深さアジャスター(108)の回転を生じさせる。
【0103】
深さアジャスター(108)が回転することを可能にすることによって、圧縮ばね(134)の作動の前の注射部位の中の針の貫通の深さは調節され得る。
【0104】
一旦、突出部(122)が望ましいキャスタレーション・チャネル(124a-d)と位置を合わされれば、接触アクチュエータ(110)内における深さアジャスター(108)の長手方向の動きは、突出部(122)を、その位置合わせが行われたキャスタレーション・チャネル(124a-c)に侵入させる。
【0105】
一旦、突出部(122)が望ましいキャスタレーション・チャネル(124a-c)と位置を合わされると、深さアジャスター(108)が接触アクチュエータ(110)の中で押されるように、深さアジャスター(108)は注射部位に対して押され得る。このことは、突出部(122)を選択されたキャスタレーション・チャネル(124a-c)の中に移動させる。接触アクチュエータ(110)の中で、および従ってバレル部(102)の中で、深さアジャスター(108)を押すことは、注射器(200)の針を露出させ、および注射部位の中へ押し込む。深さアジャスター(108)は接触アクチュエータ(110)内で移動し続け、および、針は、突出部(122)がキャスタレーション・チャネル(124a-c)の機械的エンドストップ面と係合するまで、注射部位に押し込まれ続ける。この点において、深さアジャスター(108)は接触アクチュエータ(110)内でそれ以上動くことができず、および、そのようにして、針は、それ以上注射部位に貫通されなくなる。特定のキャスタレーション・チャネル(124a-c)の選択は、従って、針が注射部位に貫通される深さをユーザーがカスタマイズすることを可能にする。
【0106】
突出部(122)が前記機械的エンドストップに接触した後、接触アクチュエータ(110)は深さアジャスター(108)に直線的に結合される。従って、一旦、突出部(122)がキャスタレーション・チャネル(124a-c)の機械的エンドストップ面(126a-d)と係合すれば、バレル部(102)内における深さアジャスター(108)のさらなる長手方向の運動が、バレル部(102)内における接触アクチュエータ(110)の長手方向の運動を引き起こす。
【0107】
接触アクチュエータ(110)がバレル部(102)の中で後方に向かって動くに従い、接触アクチュエータ(110)のアーム(130a、130b)における突起(132a、132b)は、係止部材(140a、140b)の角度のある表面に沿って動く。これは、係止部材(140a、140b)を変形し、および、係止鈎(146a、146b)が、ボディ(114)における凹部から係合解除される。
【0108】
ボディ(114)における凹部からの係止鈎(146a、146b)の係合解除は、力を蓄えた状態にある圧縮ばね(134)を保持するキャリア(112)を解放する。従って、圧縮ばね(134)は伸展する。圧縮ばね(134)の一端は、キャリア(112)の付勢面(136)に接している。そのため、圧縮ばね(134)が伸展する時、キャリア(112)はバレル部(102)の底部に向かって押される。
【0109】
キャリア(112)が注射器(200)のシース(216)に接続されているため、シース(216)も自動注入装置(100)の針側の端(100a)に向かって押される。シース(216)がアーム(212a、212b)によってプランジャヘッド(204)に接続されるに従い、プランジャヘッド(204)が押し下げられる。注射器プランジャ(222)が安全プランジャ(206)に結合されるに従い、注射器プランジャ(222)は、注射部位にバレル(214)内の物質を注入するために、バレル(214)の中へと駆動される。
【0110】
安全プランジャ(206)および注射器プランジャ(222)が送達ストロークを始めるに従い、第3のマイクロスイッチ(316)が解除される。薬物送達プロセスが始まったことを示すために、プロセッサ(318)に信号が送信される。その後、プロセッサは送達シーケンスに入り、および、次に、ユーザーにこれを示すために視覚的および音声のインジケータを制御する場合がある。例えば、プロセッサ(318)は、LEDを制御して閃光を生じさせる場合があり、および、音声出力を制御して送達音を生じさせる場合がある。典型的な配置において、プロセッサ(318)は、注射器(200)が自動注入装置内に正確に嵌合されたという直前の判定に依存して、送達シーケンスに入るよう構成される場合がある。
【0111】
安全プランジャ(206)および注射器プランジャ(222)が送達ストロークを継続するに従い、安全プランジャ(206)は、全投与量送達もしくはその直前の点(すなわち注射器プランジャ(222)がバレル(214)の端に到着する点)における針側の端に向かって、第1のマイクロスイッチ(312)を操作する。このように、第1のマイクロスイッチは、全投与量送達を示す点への注射器プランジャ(222)の移動を検知することができる。この結果、全投与量送達が生じたことを示す信号がプロセッサ(318)に送信される。第1のマイクロスイッチ(312)は、上述された、マイクロスイッチの操作/解除の1つ以上に依存して、プロセッサ(318)に信号を送信するために操作可能な場合がある。例えば、第1のマイクロスイッチは、第1のマイクロスイッチ(312)、第2のマイクロスイッチ(314)、および/または、第3のマイクロスイッチ(316)が先に操作された場合に、および、随意に上に説明された順でのみ、操作可能な場合がある。
【0112】
プロセッサは、全投与量送達が起きたことを確証するために、第1のマイクロスイッチ(312)の作動の後、一定の期間送達シーケンスのままであるよう構成される場合がある。プロセッサは、その後、トランスミッタ(324)を制御して全投与量送達が生じたことを知らせる投与量データをユーザデバイスに送信させるよう構成される。
【0113】
いくつかの典型的な配置において、プロセッサ(318)は、第1のマイクロスイッチ(312)が動作することなく閾値時間を超過する場合にフェイルシーケンスに入るよう構成される場合がある。閾値時間はおよそ10秒であってよい。この場合、プロセッサ(318)は、前記(又は異なる)LEDを制御して異なる色および/またはフラッシュサイクルを放つよう構成され、および、さらに音声出力を制御して、送達音とは異なるフェイル音を鳴らす場合がある。1つの具体例において、赤色LEDが光り、自動注入装置が分解されるまで光ったままであり得る。プロセッサ(318)は、トランスミッタ(324)を制御してユーザデバイスに送達が失敗したことを示す投与量データを送信させるよう構成される場合がある。
【0114】
自動注入装置(100)は、バレル(214)内の注射器プランジャ(222)を駆動するための圧縮ばね(134)の伸展が、キャリア(112)の底面(144)が注射部位と接触するまで継続するよう構成される場合がある。一旦、キャリア(112)が注射部位に接触した状態になると、圧縮ばね(134)はさらに伸展するのを妨げられる。自動注入装置(100)は、注射器プランジャ(222)がバレル(214)の底部に達し、および、バレル(214)の中の物質がすべて排出されると直ちに、キャリア(112)が注射部位と接触するよう構成される場合がある。
【0115】
注射器プランジャ(222)をバレル(214)の底部へと駆動するための圧縮ばね(134)の伸展は一定の期間を要し、および、ユーザーはこれを待たなければならない。典型的な自動注入装置(100)において、ユーザーはおよそ10秒間待たなければならない。
【0116】
ユーザーは、その後、自動注入装置を注射部位から離して動かしてもよい。これは、圧縮ばね(134)の継続的な伸展を可能にする。圧縮ばね(134)の継続的な伸展はキャリア(112)、および従って、針の上の注射器(200)のシース(216)(キャリア(112)に結合される)を動かす。圧縮ばね(134)の伸展は、シース(216)が完全に針を覆い、および、キャリア(112)が部分的にバレル部(102)の針側の端の開口部から突出するまで継続する。
【0117】
使用の後、自動注入装置(100)のプランジャ部(300)はバレル部(102)から取り除かれてもよい。バレル部(102)は、バレルねじ山(103)とプランジャねじ山(105)を係合解除するため、プランジャ部(300)に対して回転させられる。プランジャ部(300)の回転は、バレル部(102)内の注射器(200)を回転させる。これは、注射器(200)のシース(216)上に位置する凹部からシース結合鈎(146b、146c)を係合解除することにより、注射器(200)をキャリア(112)から解放する。上に説明されるように、これはカム面(115)を使用して、または、シース結合部材(140a、140b)の変形によって、行われ得る。
【0118】
シース結合鈎(146b、146c)が一旦シース(216)から係合解除されると、注射器(200)とキャリア(112)は切り離され、および、注射器(200)はキャリア(112)と別個に動かされてもよい。
【0119】
その後、注射器(200)はバレル部(102)から取り除かれる場合がある。注射器(200)のシース(216)は針全体にわたり伸展され、および、これは突き刺しによる負傷を防ぐ。
【0120】
圧縮ばね(134)は、その後、自動注入装置(100)の先の使用ために再び力を蓄えさせられる場合がある。一旦、注射部位における自動注入装置(100)の使用に続いて自動注入装置(100)が注射部位から離れて動かされ、および、注射器(200)が自動注入装置(100)から取り除かれたならば、圧縮ばね(134)は伸展した状態にあり、および、接触アクチュエータ(110)とキャリア(108)はバレル部(102)から突出する。圧縮ばね(134)に力を蓄えるために、RNSリムーバ(106)はバレル部(102)の中へ押し戻される。
【0121】
RNSリムーバ(106)はバレル部(102)に押し込まれる。これにより、RNSリムーバ(106)の突起(118a、118b)をキャリア(112)の底面(144)に係合し、およびバレル部(102)の頂部に向けてキャリアを押す。接触アクチュエータ(110)は、バレル部(102)の開口部とのロックアウト突出部の係合によって、キャリア(112)と共にバレル部の中へと押し戻されることを妨げられる。
【0122】
ロックアウト突出部は、キャリア(112)の係止鈎(146a、146b)が、圧縮ばね(134)を力を蓄えた位置にロックするために、自動注入装置のボディ(114)における対応する凹部と係合するまで、接触アクチュエータ(110)がバレル部(102)の中へと押し戻されるのを防ぐよう構成される。
【0123】
一旦、圧縮ばね(134)が力を蓄えた位置にロックされると、バレル部(102)内におけるRNSリムーバ(106)のさらなる移動は、ロックアウト突出部を内側へ押す。
【0124】
ロックアウト突出部は、RNSリムーバ(106)の内側表面に位置するランプによって内側へ押される場合がある。ランプは、RNSリムーバ(106)が、係止鈎(146a、146b)をボディ(114)における対応する凹部に係合するためにバレル部(102)内で一定の距離を押されるまで、それらがロックアウト突出部と相互作用しないように、RNSリムーバ(106)の底部から離れて位置する場合がある。
【0125】
一旦、ロックアウト突出部が内側へ押されると,バレル部(102)内のRNSリムーバ(106)のさらなる移動は、RNSリムーバ(106)がバレル部(102)に対して再接続されるまで、バレル部(102)の中へ接触アクチュエータ(110)を押し戻す。
【0126】
いくつかの典型的な配置において、プロセッサ(318)は、注射器(200)に位置するRFIDタグまたは同様のデバイスを読み取るためのRFIDリーダ(322)を制御するよう構成される場合がある。例えば、注射器(200)が自動注入装置内に正確に嵌合されたという判定に際して、プロセッサ(318)はRFIDタグを読み取ることをRFIDリーダ(322)に命じる場合がある。RFIDタグは、その後、注射器が薬剤で満たされた日付、使用された薬剤のバッチ、薬剤のタイプおよび識別などの、注射器の1つ以上のパラメーターに関連する注射器データを含む信号を放つ場合がある。
【0127】
RFIDタグは、その後、注射器データを受信し、および、プロセッサ(318)にそれを送信する。プロセッサはユーザデバイスに送信される投与量データに注射器データを含めるよう構成される。
【0128】
いくつかの典型的な配置において、プロセッサ(318)は、注射器データを、投与量データを伴わずに、ユーザデバイスに送信するよう構成される場合がある。例えば、典型的な自動注入装置は、第1のマイクロスイッチ(312)、第2のマイクロスイッチ(314)、および/または第3のマイクロスイッチ(316)を含まずに、RFIDリーダ(322)を含む場合がある。そのような場合、注射器データは独立してユーザデバイスに送信される場合がある。
【0129】
典型的な方法および装置において、プロセッサ(318)は投与量データにタイムスタンプを付与するよう構成される。このことは、トランスミッタ(324)がユーザデバイスに投与量データを送信することができない場合の状況で行われ得る。プロセッサ(318)は、ユーザデバイスへの接続などの時間が確立されるまで、投与量データをメモリーに記憶する場合がある。例えば、プロセッサ(318)は、トランスミッタ(324)がユーザデバイスと対になることができるまで、待機する場合がある。ユーザデバイスは、その後、投与量データが記録された実際の時間を判定することができる。
【0130】
図4において示されるように、注射器(200)、例えば本明細書に説明されたあらゆる注射器などは、自動注入装置の受信器(322)へ信号を放つよう構成されたデバイス(400)を含み得る。デバイス(400)は、いくつかの具体例において、RFIDタグであり得る。RFIDタグは、注射器(200)が自動注入装置内に嵌合される時にRFIDリーダ(322)の近傍に位置するように、プランジャヘッド(204)に嵌合される場合がある。他の配置において、RFIDタグ(400)は、注射器(200)が自動注入装置内に嵌合される時にRFIDリーダ(322)の送信範囲に合致する、および/または、その範囲内に合致するように、注射器(200)の他の部分に嵌合される場合がある。RFIDタグ(400)は、上に説明されたように、注射器(200)の1つ以上のパラメーターおよび/または注射器(200)の内容物に関連するデータと共にプログラムされる場合がある。
【0131】
上記に説明された方法および装置は安全注射器の使用を含んでいるが、これが実例である必要がないことを留意されたい。典型的な方法および装置は、注射器、および、特定の配置において、注射器のプランジャのヘッドより下にプランジャ駆動体が配置されることを可能にする注射器、と共に使用することができる。例えば、開示された方法と装置は、注射器のプランジャのヘッドに下から接続するよう構成されたプランジャ駆動体を含む場合がある。これは、プランジャヘッドから装置の針側の端に向かって伸展する、プランジャヘッドへの直接的な結合、または、1つ以上のアームなどによる、プランジャヘッドへの間接的な結合を含む場合がある。
【0132】
当業者は、添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明のさらなる実施形態を想定することができるであろう。