(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】リベット留め機および方法
(51)【国際特許分類】
B21J 15/02 20060101AFI20221228BHJP
B21J 15/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B21J15/02 Z
B21J15/00 G
(21)【出願番号】P 2020543812
(86)(22)【出願日】2019-03-05
(86)【国際出願番号】 FR2019050486
(87)【国際公開番号】W WO2019170997
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520304538
【氏名又は名称】シベールメカ
【氏名又は名称原語表記】CYBERMECA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ルドゥー,ディディエ
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6072583(US,A)
【文献】米国特許第4885836(US,A)
【文献】特許第4540344(JP,B2)
【文献】特開昭59-147736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21J 15/02
B21J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品(8)をリベット留めする機械において、
前記部品(8)は、好ましくは、例えば、航空機胴体用の金属シートであり、
前記機械は、
穿孔軸(A52)を有する穿孔具(52)と、
上側シートクランプ(71)と称される上側支持部材、および、下側シートクランプ(21)と称される下側支持部材であって、シートクランプ(71、72)が互いに接近する方向に互いに相対的に移動自在に載置されて、リベット留めすべき部品(8)を留めるのを可能にする上側支持部材および下側支持部材と、
上側リベット留め具(51)と称されるリベット保持設定具と、
下側リベット留め具(29)と称される支持部であって、リベット(10)が、リベット留めすべき部品(8)を通って形成された孔(82)の内側に配置された時に、前記上側リベット留め具(51)と協働して、前記リベット(10)を、前記下側リベット留め具(29)と該前記上側リベット留め具(51)の間で張り出すようにさせるように適合した支持部と
を含み、
前記穿孔具(52)が対向する通過孔(72)を有する上側シートクランプ(71)は、該穿孔具(52)が、前記上側シートクランプ(71)と前記下側シートクランプ(21)の間で留められた前記部品(8)の領域を穿孔するのを可能にするように配置されるように適合し、
前記上側シートクランプ(71)と前記下側シートクランプ(21)は、前記穿孔軸(A52)を横切る方向に沿って互いに相対的に移動自在に載置されて、該上側シートクランプ(71)の前記通過孔(72)を、前記部品(8)の穿孔すべき領域と対向するように配置し、更に、該部品(8)を支持する該下側シートクランプ(21)を、該上側シートクランプ(71)の該通過孔(72)の軸(A72)から、ずれた位置に配置するのを可能にする機械。
【請求項2】
前記上側リベット留め具(51)は、前記上側シートクランプ(71)の前記通過孔(72)と対向するようになるように、前記穿孔軸(A52)を横切る方向に沿って移動自在で、前記部品(8)の穿孔(82)が形成されると、前記リベット(10)を前記穿孔(82)に配置するのを可能にするものである、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記上側リベット留め具(51)、および、前記穿孔具(52)は、リベット留め具搬送部(500)と称される支持構造物によって搬送されるものであり、
前記機械は、
前記リベット留め具搬送部を、前記穿孔軸(A52)を横切る方向(D500)に沿って移動させる動力移動システムを、
更に含む、請求項1または2に記載の機械。
【請求項4】
前記上側シートクランプ(71)は、前記リベット留め具搬送部(500)も搬送するヘッド搬送部(700)と称される支持構造物によって、搬送されるものであり、
前記機械は、
前記ヘッド搬送部(700)を、前記穿孔軸(A52)を横切る方向(D700)に沿って移動させる動力移動システムを、
更に含む、請求項3に記載の機械。
【請求項5】
前記下側シートクランプ(21)および下側リベット留め具(29)の下側搬送部と称される支持構造物(200)と、
前記下側搬送部を、前記穿孔軸(A52)を横切る方向(D200)に沿って移動させる動力移動システムと
を更に含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の機械。
【請求項6】
基台と、
前記下側シートクランプ(21)を、前記基台と相対的に、好ましくは、前記穿孔軸(A52)に平行な方向(D21)に沿って、前記上側シートクランプ(71)の非作動位置と称される位置と留め位置と称される位置の間で移動させて、リベット留めすべき部品に対して荷重を加える動力移動システムと
を更に含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の機械。
【請求項7】
前記穿孔具は、穿孔スピンドル、および/または、回転式切断器を含むものである、請求項1から6のいずれか1項に記載の機械。
【請求項8】
前記上側リベット留め具(51)は、ロッド(510)、および、前記ロッドの軸の両側に位置する2つのあご状部(511)を含むものであり、
前記機械は、
前記上側リベット留め具(51)の前記ロッド(510)の動力移動システムであって、該ロッド(510)の端部(519)を、前記上側シートクランプ(71)の支持面から離間して、そこで、リベットを、あご状部を用いて保持するハウジングを該ロッド(510)が画定する高位置と称される第1の位置と、該上側シートクランプ(71)の前記支持面に近い低位置と称される第2の位置の間で移動させるように構成されたシステムを
更に含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の機械。
【請求項9】
2つの部品(8)を、請求項1から8のいずれか1項に記載のリベット留めする機械を用いてリベット留めする方法において、
障害物(100)が、前記リベット留めすべき部品の領域の望ましい穿孔(82)の軸の前記下側シートクランプ(21)側に位置する場合に、
前記部品(8)を、前記上側シートクランプ(71)と前記下側シートクランプ(21)の間で、該上側シートクランプ(71)の前記通過孔(72)を、該部品(8)の穿孔すべき領域に対向するように配置すること、および、該部品(8)を支持する該下側シートクランプ(21)を、該上側シートクランプ(71)の該通過孔(72)の軸(A72)から、ずらして配置することによって、留める工程と、
前記部品(8)を、前記上側シートクランプ(71)の前記通過孔(72)の前記軸に配置された前記穿孔具(52)を用いて穿孔して、前記リベット留めすべき部品の前記領域で、前記望ましい穿孔(82)を形成する工程と
を含む方法。
【請求項10】
前記リベットを前記穿孔に導入する工程と、
前記リベットを、衝撃ピストルなどの器具を用いて張り出すようにさせる工程と
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、リベット留め処理に関する。特に、本発明は、部品、好ましくは、例えば、航空機胴体用の金属シートをリベット留めする機械に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示した金属シート8などの部品をリベット留めするために、リベット留め機を用いることが知られており、それは、上側シートクランプ71および下側シートクランプ21を含み、リベット留めすべき部品8に孔を開け、次にリベット留めできるようにして、部品8をリベット留めするのを可能にする。
【0003】
その機械は、リベット留めすべき部品を通る孔を開ける穿孔軸を有する穿孔具52も含む。下側リベット留め具は、上側リベット留め具51と協働して、リベット留めすべき部品を通って形成された孔の内側に配置されたリベットを張り出すようにさせることを意図する。
【0004】
上側シートクランプ71は、特に、通過開口部72を有し、それに対向して穿孔具52が配置されて、部品を通る望ましい穿孔を行う。
【0005】
穿孔を進めるために、下側シートクランプ21の軸A21を穿孔軸と位置合わせし、つまり、リベット留めすべき部品を通って生成することを意図した穿孔の軸と位置合わせし、部品の穿孔具が用いられる側の反対側で、穿孔領域に対応する逆支持部を形成する。
【0006】
しかしながら、あるリベット留めすべき部品、特に、リベット留めすべき部品のある領域について、
図1の例に参照符号100で概略的に示したような障害物が観察され、それは、これらの部品の一つに既に固定された構成要素によって形成されることがあり、部品と下側シートクランプ21の間の穿孔軸上に存在して、下側シートクランプ21を、部品を望ましい穿孔の軸で支持する接触位置に移動させるのを妨げうる。
【0007】
更に、特許文献1、特許文献2、および、特許文献3の各明細書に開示されたようなリベット留め機が知られており、リベット留めすべき部品を挟んだ機械の一部が、穿孔軸と同軸に配列され、穿孔軸に障害物がある場合に、リベットを受け付けることを意図した孔を生成するのに、上記問題と同じ問題を生じる。
【0008】
更に、特許文献4の明細書に開示されたように、プレートに穿孔する穿孔機が知られているが、いくつかの部品をリベット留めすることは不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第5687463号明細書
【文献】中国特許第106363122号明細書
【文献】仏国特許発明第3006922号明細書
【文献】独国特許発明第29611124号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題の全て、または、一部を解決する新たなリベット留め機を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明の主題は、部品をリベット留めする機械であり、部品は、好ましくは、例えば、航空機胴体用の金属シートであり、機械は、
穿孔軸を有する穿孔具と、
上側シートクランプと称される上側支持部材、および、下側シートクランプと称される下側支持部材であって、シートクランプが互いに接近する方向に互いに相対的に移動自在に載置されて、リベット留めすべき部品を留めるのを可能にする上側支持部材および下側支持部材と、
上側リベット留め具と称されるリベット保持設定具と、
下側リベット留め具と称される支持部であって、リベットが、リベット留めすべき部品を通って形成された孔の内側に配置された時に、上側リベット留め具と協働して、リベットを、下側リベット留め具と上側リベット留め具の間で張り出すようにさせるように適合した支持部と
を含み、
穿孔具が対向する通過孔を有する上側シートクランプは、穿孔具が、上側シートクランプと下側シートクランプの間で留められた部品の領域を穿孔するのを可能にするように配置されるように適合し、
上側シートクランプと下側シートクランプは、穿孔軸を横切る方向に沿って互いに相対的に移動自在に載置されて、上側シートクランプの通過孔を、部品の穿孔すべき領域と対向するように配置し、更に、部品を支持する下側シートクランプを、上側シートクランプの通過孔の軸から、ずれた位置に配置するのを可能にする。
【0012】
シートクランプが相対的に横方向に移動可能なことで、下側シートクランプの支持軸を、穿孔すべき部品の領域に対向して位置する上側シートクランプに形成された通過孔72の軸A72に対して、横方向にずらすことを可能にする。
【0013】
したがって、部品の穿孔すべき領域の下方に障害物が存在して、下側シートクランプを穿孔すべき部品の領域に直接対向させるのが妨げられても、下側シートクランプをずらして、障害物を迂回し、穿孔すべき領域の近傍で逆支持部を形成し、逆支持部の恩恵により高品質の穿孔を行いながら、リベット留めすべき部品の反対側に延伸する穿孔具が望ましい位置で穿孔するのを可能にする。
【0014】
したがって、そのような機械の設計は、機械を用いて、すべての望ましい孔を形成するのを可能にする。このように穿孔された孔へのリベットの設置(位置決め、および、張出し)は、対応する穿孔の辺りに障害物がない場合は、機械を用いて行われ、下側シートクランプの側に障害物が存在する場合は、オペレータが、リベットを既に穿孔された孔に配置する可能性を維持する。
【0015】
下側シートクランプ側に障害物が存在しても、(リベットを設置するのに必要な)全ての穿孔を、同じリベット留め機を用いて形成できることで、大きな時間の短縮を可能にする。確かに、障害物があっても、いくつかの機械間で部品を移動させて、穿孔およびリベット留め動作を行う必要がないので、大きな時間の短縮を可能にする。
【0016】
障害物の存在、および/または、使用すべき器具により、いくつかの別々の機械を用いると、空間およびサイクルタイムの問題を生じうることが分かる。
【0017】
更に、機械は、以下の特徴の1つ以上を、技術的に認められる組合せで用いて、含みうる。
【0018】
本発明の有利な特徴によれば、上側リベット留め具は、上側シートクランプの通過孔と対向するようになるように、穿孔軸を横切る方向に沿って移動自在で、部品の穿孔が形成されると、リベットを穿孔に配置するのを可能にする。
【0019】
本発明の有利な特徴によれば、上側リベット留め具、および、穿孔具は、リベット留め具搬送部と称される支持構造物によって搬送されるものであり、機械は、リベット留め具搬送部を、穿孔軸を横切る方向に沿って移動させる動力移動システムを、更に含む。
【0020】
本発明の有利な特徴によれば、上側シートクランプは、リベット留め具搬送部も搬送するヘッド搬送部と称される支持構造物によって、搬送されるものであり、機械は、ヘッド搬送部を、穿孔軸を横切る方向に沿って移動させる動力移動システムを、更に含む。
【0021】
本発明の有利な特徴によれば、ヘッド搬送部の動力移動システムは、レール、パッド、ボールねじ、ピニオン、ラック、および、レデューサの少なくとも一部を含む。
【0022】
本発明の有利な特徴によれば、機械は、下側シートクランプおよび下側リベット留め具の下側搬送部と称される支持構造物と、下側搬送部を、穿孔軸を横切る方向に沿って移動させる動力移動システムとを更に含む。
【0023】
本発明の有利な特徴によれば、下側搬送部の動力移動システムは、レール、パッド、ボールねじ、ピニオン、ラック、および、レデューサの少なくとも一部を含む。
【0024】
本発明の有利な特徴によれば、機械は、基台と、下側シートクランプを、基台と相対的に、好ましくは、穿孔軸に平行な方向に沿って、上側シートクランプの非作動位置と称される位置と留め位置と称される位置の間で移動させて、リベット留めすべき部品に対して荷重を加える動力移動システムとを更に含む。非作動位置において、シートクランプは、部品に押圧力を全く加えない。
【0025】
本発明の有利な特徴によれば、上側リベット留め具は、ロッドと、ロッドの軸の両側に位置する2つのあご状部を含み、機械は、上側リベット留め具の動力移動システムであって、ロッドの端部を、上側シートクランプの支持面から離間して、そこで、リベットをあご状部を用いて保持するハウジングをロッドが画定する高位置と称される第1の位置と、上側シートクランプの支持面に近い低位置と称される第2の位置の間で移動させるように構成されたシステムを更に含む。
【0026】
本発明の有利な特徴によれば、穿孔具は、穿孔スピンドル、および/または、回転式切断器を含むものである。
【0027】
本発明は、2つの部品を、上記リベット留めする機械を用いてリベット留めする方法にも関し、方法は、障害物が、リベット留めすべき部品の領域の望ましい穿孔の軸の下側シートクランプ側に位置する場合に、
部品を、上側シートクランプと下側シートクランプの間で、上側シートクランプの通過孔を、部品の穿孔すべき領域に対向するように配置すること(特に、上側シートクランプが部品に荷重を加えること)、および、部品を支持する下側シートクランプを、上側シートクランプの通過孔の軸から、ずらして配置することによって、留める工程と、
部品を、上側シートクランプの通過孔の軸に配置された穿孔具を用いて穿孔して、リベット留めすべき部品の領域で、望ましい穿孔を形成する工程とを含む。
【0028】
下側シートクランプは、望ましい穿孔の軸に位置する障害物を迂回するのに十分に、穿孔軸から離れるように移動されることが分かる。特定の実施形態によれば、下側シートクランプは、軸から十分に離れるように移動されて、それ自身が穿孔されないように、穿孔具の軌道の外に位置しうる。
【0029】
本発明の有利な特徴によれば、方法は、
リベットを、提供された穿孔に、(例えば、オペレータによって)導入する工程と、
リベットを、例えば、オペレータによって操作された衝撃ピストルなどの器具を用いて張り出すようにさせる工程とを更に含む。
【0030】
特に、機械を、部品を多数の位置で穿孔するプログラムを実行するように構成しうるものであり、多数の位置は、下側シートクランプが次に穿孔軸に移動して、下側シートクランプが到達しうる穿孔位置、および、下側シートクランプが1つ以上の障害物により到達できない位置を含み、下側シートクランプは、次に、障害物から離れるように移動し、したがって、穿孔軸から離れるように移動して、それでも、高品質の穿孔を行うために、穿孔中に確実に逆側から支持する。障害物がない領域で部品を穿孔した位置で、この同じ機械によってリベット留めを行い、1つ以上の障害物がある領域で穿孔した位置で、この同じ機械によってリベットを提供し、後で、リベットを張り出すようにしうる。
【0031】
本発明の他の特徴および利点を、以下の詳細な記載で示し、それは、完全に例示的なものであって、限定するものではなく、更に、添付の図面を参照して読まれるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図2】本発明の一実施形態によるリベット留め機を示す図であり、下側シートクランプの支持軸が、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされている。
【
図3】本発明の一実施形態によるリベット留め機を示す図であり、下側シートクランプの支持軸が、上側シートクランプに形成された通過孔の軸からずれている。
【
図4】リベット留め機を用いて、例えば、
図2または3に基づいて、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされたままの構成で、2つの部品をリベット留めする処理の異なる工程を概略的に示している。
【
図5】リベット留め機を用いて、例えば、
図2または3に基づいて、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされたままの構成で、2つの部品をリベット留めする処理の異なる工程(穿孔)を概略的に示している。
【
図6】リベット留め機を用いて、例えば、
図2または3に基づいて、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされたままの構成で、2つの部品をリベット留めする処理の異なる工程(封止)を概略的に示している。
【
図7】リベット留め機を用いて、例えば、
図2または3に基づいて、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされたままの構成で、2つの部品をリベット留めする処理の異なる工程(リベットを配置)を概略的に示している。
【
図8】リベット留め機を用いて、例えば、
図2または3に基づいて、上側シートクランプに形成された通過孔の軸と位置合わせされたままの構成で、2つの部品をリベット留めする処理の異なる工程(リベットを張り出すようにさせること)を概略的に示している。
【
図9】2つの部品を留めて穿孔する工程を概略的に示しており、下側シートクランプの支持軸が、上側シートクランプに形成された通過孔の軸に対してずれている。
【
図10】2つの部品を留めて穿孔する工程を概略的に示しており、下側シートクランプの支持軸が、上側シートクランプに形成された通過孔の軸に対してずれている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の概念を、本発明の概念を示した図面を参照して、以下に、より完全に記載する。図面において、明瞭に示すために、構成要素のサイズ、および、構成要素の相対的なサイズを誇張しうる。全図において、同様の番号は、同様の要素を称するものである。しかしながら、本発明の概念は、多数の異なる形態で実施しうるものであり、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。そうではなく、これらの実施形態は、本明細書の記載を完全にするためのものであり、本発明の概念の範囲を当業者に伝えるものである。簡略にするために、以下に示す実施形態は、リベット留め機の用語および構造について審査されるものである。
【0034】
本明細書を通して、「実施形態」と称した場合には、実施形態に関連して記載した特定の機能、構造、または、特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所で「一実施形態において」という語句が使われているが、必ずしも、同じ実施形態のことを称するものではない。更に、1つ以上の実施形態の実施形態において、特定の特徴、構造、または、特徴を、任意の適した形態で組み合わせうる。
【0035】
図2、3は、部品をリベット留めするリベット留め機の実施形態を示している。
【0036】
この機械は、概して、通常、下側コンソールと称される下側部分、および、通常、リベット留めヘッドと称される上側部分を含むC字型基台を含み、組み立てるべき部品が、それらの部分の間に配置される。図面に示した例において、リベットは、ヘッド部を備えた本体を有する。リベット留めすべき部品は、例えば、航空機胴体用の金属シート8である。
【0037】
そのような機械は、穿孔軸A52を有する穿孔具52を含む。穿孔具52は、穿孔すべき部品と位置合わせされるように、穿孔軸A52を横切る方向に沿って移動自在である。穿孔具は、穿孔スピンドル(ドリル)、および/または、回転式切断器を含む。実際、回転式切断器を用いて、回転式切断器を穿孔軸に沿って移動させることによって、穿孔を行いうる。回転式切断器を、穿孔軸を横切るように移動させて、穿孔を機械処理し、特に、孔の輪郭を形成しうる。特に、リベット留めすべき部品を共に、Y軸と回転式切断器の下向きの軸とを横切る軸Xに沿って移動させながら、回転式切断器を、例えば、下記のようなリベット留め具搬送部などの搬送部を用いて、(例えば、Zと称する)回転式切断器の下向きの軸を横切るY軸に沿って移動させるようにしうる。
【0038】
機械は、上側シートクランプ71と称される上側支持部材、および、下側シートクランプ21と称される下側支持部材も含む。上側シートクランプ71は、対応する下側シートクランプの支持面と協働して、リベット留めすべき部品8同士を留める支持面70を含む。
【0039】
特定の態様によれば、下側シートクランプ21の形状は、
図2に示したような直線型であるか、
図3に示したような(例えば、スワンネック状の)オフセット型でありうる。
【0040】
シートクランプ71、21は、シートクランプ71、21同士が接近する方向に互いに相対的に移動自在に載置され、リベット留めすべき部品8を留めるのを可能にする。シートクランプ71、21は、方向A21に沿って上下に移動自在である。地面上の機械の支持面が水平な場合に、方向A21は、垂直である。
【0041】
下側クランプの軸と、(穿孔具が、上側シートクランプに形成された通過孔72と対向するように配置された場合には、穿孔軸にも対応する)上側クランプの軸がずれることは、障害物が存在して、下側シートクランプを、穿孔軸と同軸に支持するようにさせながら、部品を望ましい領域で穿孔することができない場合に、特に有利であることに留意すべきである。
【0042】
下側シートクランプの軸に沿った穿孔を妨げる障害物が存在しない場合には、下側シートクランプを、穿孔軸に配置して、次に、シートクランプを、上側リベット留め具と下側リベット留め具の間で、リベット留めすべき部品を通って形成された孔に配置されたリベット10を張り出すようにさせるように配置しうることに留意すべきである。
【0043】
機械は、上側リベット留め具51と称されるリベット保持設定具も含む。
【0044】
特に、
図7、8に示したように、上側リベット留め具51は、ロッド510、および、ロッドの軸の両側に位置する2つのあご状部511を含む。あご状部は、閉鎖位置に戻る。上側リベット留め具は、リベットを保持して、組み立てるべき部品を通って穿孔することで形成された孔に配置するのを可能にする。ロッドは、2つのあご状部511の間に保持されたリベット10に荷重を加えるように適合した自由端部519を有する。ロッド510は、その軸に平行な方向に沿って平行移動するように移動自在である。
【0045】
下側リベット留め具29と称される支持部は、上側リベット留め具51と協働して、リベット10を張り出すようにさせる(
図8)。下側リベット留め具29は、下側シートクランプ21の内側に配置されうる。
【0046】
上側シートクランプ71は、穿孔具52が対向配置されるように適合した通過孔72を有する。したがって、穿孔具52の穿孔スピンドル520は、通過孔72を通って下げられ、上側シートクランプ71と下側シートクランプ21の間に留められた部品8の領域を穿孔する。穿孔具は、2つのスピンドル、好ましくは、異なる種類のスピンドルを含み、例えば、第1のスピンドルを用いて穿孔した後に、第2のスピンドルを用いて、トリミングを行うようにしうる。スピンドルは、上下に移動自在である。
【0047】
上側シートクランプ71および下側シートクランプ21は、穿孔軸A52を横切る方向に沿って互いに相対的に移動自在に載置される。
【0048】
上側シートクランプ71および下側シートクランプ21は、各々、機械の枠部と相対的に移動自在であるか、または、一方のシートクランプのみが、機械の枠部と相対的に移動自在である。
【0049】
特定の態様によれば、下側シートクランプおよび上側シートクランプは、各々、地球基準座標系について、互いに相対的に移動自在である。したがって、下側シートクランプと上側シートクランプは、互いに独立に移動し、シートクランプの配置の自由度を大きくするのを可能にし、望ましい穿孔およびリベット留め動作を行うのを可能にし、したがって、リベット留めすべき部品が複雑な場合、および/または、リベット留めすべき部品の環境に障害物が存在する場合に適合しうる。
【0050】
下側シートクランプおよび上側シートクランプを、穿孔軸を横切るように、互いに非同軸で移動させて、障害物がこの穿孔軸の領域の下側シートクランプ側に位置する場合に、下側シートクランプを穿孔軸から離れるように移動させうる。
【0051】
そのような横方向の移動が可能なことで、下側シートクランプの支持軸A21を、穿孔すべき部品の領域に対向して位置する通過孔72の軸A72と相対的に、横方向にずらすことを可能にする。したがって、穿孔すべき領域の下方に障害物100が存在して、下側シートクランプを穿孔すべき領域に直接対向するようにすることができなくても、下側シートクランプ21をずらして、障害物を迂回し、穿孔すべき領域の近傍で逆支持部を形成し、逆支持部の恩恵により高品質の穿孔を行いながら、部品8の反対側で延伸する穿孔具52が望ましい位置で穿孔するのを可能にする。
【0052】
上側リベット留め具51および穿孔具52は、リベット留め具搬送部500と称される支持構造物によって搬送される。リベット留め具搬送部500は、穿孔軸A52を横切る、したがって、リベット留め軸A21も横切る方向D500に沿って移動自在である。
【0053】
したがって、部品8に穿孔82が形成されると、リベット10を穿孔82に配置できるようにするために、上側リベット留め具51は、穿孔軸A52を横切る方向に沿って移動自在である。リベット留め具搬送部500は、例えば、1つ以上の(同期した)リニアモータを用いて移動される。
【0054】
更に、上側シートクランプ71は、リベット留め具搬送部500も搬送するヘッド搬送部700と称される支持構造物700によって搬送される。リベット留め具搬送部500は、ヘッド搬送部700に、リベット留め軸A21を横切る方向に沿って移動自在に載置される。
【0055】
機械は、ヘッド搬送部700を、穿孔軸A52を横切る(したがって、リベット留め軸A21も横切る)方向に沿って移動させる動力移動システムを含む。
【0056】
ヘッド搬送部700の動力移動システムは、例えば、レール、パッド、ボールねじ、ピニオン、ラック、および、レデューサの全て、または、一部を含む。
【0057】
特定の態様によれば、機械は、リベット留めすべき部品に荷重を加えるために、下側シートクランプ21を、機械の基台と相対的に、穿孔軸A52に平行な方向D21に沿って、上側シートクランプ71の非作動位置と称される位置と、留め位置と称される位置の間で、移動させるシステムを含む。そのように搬送部を設計することで、機械のサイズを抑え、更に、サイクルタイムを抑えるのを可能にする。
【0058】
機械は、特に、下側シートクランプ21および下側リベット留め具29を搬送する下側搬送部200を含む。下側搬送部は、動力移動システムを用いることによって、穿孔軸A52を横切る方向D200に沿って移動自在である。
【0059】
下側搬送部200の移動システムは、例えば、レール、パッド、ボールねじ、ピニオン、ラック、および、レデューサの全て、または、一部を含む。
【0060】
機械は、上側リベット留め具51のロッド510を移動させるシステムも含み、それはロッド510の端部519を、上側シートクランプ71の支持面から離間して、そこで、リベットをロッドとあご状部511の間に保持するハウジングをロッド510が画定する第1の高位置(
図7)と、上側シートクランプ71の支持面に近い低位置と称される第2の位置(
図8)の間で移動させるように構成される。
【0061】
ロッド510の移動システムは、例えば、モータ、好ましくは、正確で高速な移動を行うために電気モータを含む。モータは、ナットとネジ型のシステムと、例えば、サテライトローラを用いて関連しうる。特定の態様によれば、移動システムは、ベルトなど、モータとナットの間の移動伝達機構を含み、ロッドを高位置と低位置の間で移動させるために、モータを一方向または他方の方向に回転することによって、ネジをナットと相対的に、軸に沿って移動させる。
【0062】
機械は、特に、ネジを下げる時に、上側リベット留め具のロッドの垂直方向の移動を導くのを可能にする線形ガイド部を含む。
【0063】
機械は、処理計算部とも称される制御部を含み、それは、機械の作動部を、特に、シートクランプおよびリベット留め具の移動を制御するように構成される。制御部は、支持部をずらして穿孔する場合の穿孔軸と下側シートクランプの軸の間の望ましい横方向のずれなどのデータを保存しうるメモリを含む。そのような機械は、特に、オペレータのデータ入力を可能にするデータ入力インターフェースを含む。そのようなユニットは、メモリ、好ましくは、不揮発性メモリに保存されたプログラムのコンピュータ命令を実行可能なプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)も含む。
【0064】
したがって、機械によって行われる機能、特に、搬送部の下側シートクランプと上側シートクランプの相対的位置決め、および、機械の様々な構成要素または器具の作動は、プロセッサまたは制御部で実行される命令またはコンピュータモジュールによって行われうる。更に、これらの機能の全部または一部を、専用電子要素、または、FPGAまたはASIC型要素によって行いうる。コンピュータの一部と電子要素の一部を組み合わせることも可能である。
【0065】
例えば、穿孔軸に障害物がない場合には、2つのシート8またはパネルを、以下のように組み立てうる。
【0066】
図4に示したように、シート8を、互いに対向するようにし、下側および上側シートクランプを用いて留める。穿孔動作を、搬送部によって搬送された1つ以上のスピンドル520を用いて行って、リベット10を挿入する孔を形成する。穿孔する間に、バックグランドで、リベット10は、上側リベット留め具のあご状部511の間に装填される。孔82の切削を、好ましくは、穿孔動作と同時に行う(
図5)。
図6に示したように、絶縁部108、好ましくは、密封型の絶縁部を、作動部を用いて、穿孔に取り付ける。
【0067】
上側リベット留め具51のロッド510を下げることによって(
図8)、リベット10を、穿孔82に、絶縁部を通して配置する。次に、リベットは、下側リベット留め具29を上側リベット留め具51の方向に移動させることによって、張り出すようにされる(
図8)。ハンマーを形成する下側リベット留め具29を移動させることによってリベットを張り出すようにさせる時に、上側リベット留め具51のロッド510は、アンビルのような逆当接止め部を形成することよって、リベット10を張り出すようにさせる処理に貢献する。
【0068】
例えば、望ましい穿孔軸、つまり、上側シートクランプに形成された孔72の軸に障害物100が存在する時には、2つのシート8またはパネルの組立てを以下のように行いうる。
図9、10は、
図4、5に示した工程と同様の穿孔工程を示しているが、障害物100が望ましい穿孔軸(したがって、リベット止め軸)に存在する場合である。
【0069】
特に、
図3に示したように、障害物100は、リベット留めすべき部品の領域について、望ましい穿孔軸の下側シートクランプ21側に位置する。
【0070】
部品8は、上側シートクランプ71と下側シートクランプ21の間に留められる。上側シートクランプ71の通過孔72は、部品の穿孔すべき領域に対向して配置される。
【0071】
上側シートクランプ71は、部品8に荷重を加える。下側シートクランプ21は、部品8に、上側シートクランプ71の通過孔72の軸A72からずれた、つまり、穿孔すべき孔82の軸A82からずれた位置で荷重を加え(
図9、10)、障害物100(
図3)を迂回する。
【0072】
図10に示したように、次に、部品8を、上側シートクランプ71の通過孔72の軸に配置された穿孔具52のスピンドル520を用いて穿孔し、リベット留めすべき部品の領域に望ましい穿孔82を形成する。
【0073】
次に、オペレータは、下側および上側シートクランプを部品8から外した後に、リベットを孔82に、例えば、手動で導入する。次に、リベットを、衝撃ピストルを用いて逆向きの力で、張り出すようにさせる。
【0074】
本発明は、図面に示した実施形態に限定されない。
【0075】
更に、「含む」という用語は、他の要素も工程も排除するものではない。更に、上記実施形態の1つについて記載した特徴物または工程を、他の実施形態に示した他の特徴物または工程と組み合わせうる。
【符号の説明】
【0076】
8 部品
10 リベット
21 下側シートクランプ
29 下側リベット留め具
51 上側リベット留め具
52 穿孔具
71 上側シートクランプ
72 通過孔
82 穿孔
100 障害物
200 支持構造物
510 ロッド
511 あご状部
520 スピンドル
700 ヘッド搬送部