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▶ ケンネマン、ロニー ビリアンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】回転工具用形直し装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/053 20060101AFI20221228BHJP
   B24B 41/04 20060101ALI20221228BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
B24B53/053
B24B41/04
B24B45/00 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020573266
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 DE2018100592
(87)【国際公開番号】W WO2020001670
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2021-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】520508642
【氏名又は名称】ケンネマン、ロニー ビリアン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケンネマン、ロニー ビリアン
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-071917(JP,A)
【文献】特開平10-264024(JP,A)
【文献】特表2017-510468(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第03302478(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009023612(DE,A1)
【文献】中国実用新案第204053797(CN,U)
【文献】中国実用新案第201366656(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/053
B24B 41/04
B24B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形直し装置であって、
・ハウジング(4)と、
・貫通する同心開口部を備える回転工具を取り付けるために機能するシャフト(10)、およびハウジング(4)に固定される、形直しマンドレル(1)の第1の端部内にある第1のベアリング(11)を有する形直しマンドレル(1)と、
・前記形直しマンドレル(1)に取り付けられる回転工具の形直しのための形直し工具と
を有する形直し装置であって、
前記回転工具の前記開口部を貫通して延在する油圧式締付け装置(2)を前記シャフト(10)が備え、前記油圧式締付け装置(2)が油圧媒体の入った室(21)を有し、前記油圧媒体に予締付け具(23)によって予締付け圧力が印加され得る形直し装置であり、
前記油圧式締付け装置が、前記室(21)の外側へ半径方向に設置される締付け部(22)から形成され、前記締付け部(22)の外面が前記締付け面を形成し、前記室(21)内で前記油圧が増大した場合に前記締付け部(22)が弾性的に半径方向に外側へ湾曲し、それによって前記締付け部(22)を貫通して把持する前記回転工具の同心の前記開口部の内面上に半径方向の締付け力が及んでいて、
前記部(22)が両側でシャフト内に保持されて、すなわち、一方の側が、前記第1のベアリング(11)に面し、もう一方の側が前記第1のベアリング(11)から反対に面することを特徴とする、型直し装置。
【請求項2】
前記締け部(22)が両で内側にオフセットされ、円筒形のばね(222a、222b)を備え、前記円筒形のばね(222a、222b)は、前記シャフト(10)の対応する補足溝(101a、101b)に挿入される、請求項1に記載の形直し装置。
【請求項3】
前記締付け部(22)が少なくとも部分的にい、シャフト(10)と一体型の、中空円筒形の材料カバーとして形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の形直し装置。
【請求項4】
前記室(21)が前記シャフト(10)の縦軸(L)に関して回転対称に配置された、複数の副室(21.1~4)に広範囲に分割されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の形直し装置。
【請求項5】
前記シャフト(10)に沿って複数の室(21a、21b)が存在することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の形直し装置。
【請求項6】
記第1のベアリング(11)に対向している側に前記締付け装置(20)が存在する、前記形直しマンドレル(1)の第2のベアリング(12)を特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の形直し装置。
【請求項7】
前記締付け部(22)が2つ以上の締付け本体(29)を有し、前記締付け本体(29)が半径方向に、遊びのための止め具までスライド可能に保持されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の形直し装置。
【請求項8】
前記締付け本体(29)が半径方向に前記室(21)の内側に配置されており、前記止め具が、前記室(21)を前記締付け本体の動作範囲から仕切っている底部(211)の下面によって形成されている、または前記締付け本体の前面が前記締付け本体を含んでいる空間の対向する面によって形成されており、前記締付け本体の前記外面(292)が前記油圧室(21)内に突き出ていることによって、前記外面が前記油圧媒体と直接接触していることを特徴とする、請求項7に記載の形直し装置。
【請求項9】
前記締付け本体(29’)が半径方向に前記室(21)の外側に配置されており、かつ完全に前記締付け部(22)の下方に配置されているか、または前記締付け部(22)が貫通されていることによって、前記締付け面の少なくとも一部が前記締付け本体(29)の前記外面によって形成されており、この場合、前記止め具が前記締付け本体(29)の少なくとも2つの対向する前面によって形成されており、かつ前記止め具に達する場合、前記締付け本体(29)の前記外面(292)が 前記シャフト(10)を取り囲む上面に突き出ていることを特徴とする、請求項7に記載の形直し装置。
【請求項10】
前記予締付け具(23)が締付けボルトであり、前記締付けボルトが前記室(21)と液体伝達する前記シャフトのねじ穴(24)に締め込まれていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の形直し装置。
【請求項11】
前記回転工具の方向の位置決めに使用される前記シャフト(10)の止め肩(14)を特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の形直し装置。
【請求項12】
前記回転工具の軸方向固定の前記止め肩(14)との接続に使用される、前記シャフト(10)のねじ部(15)に締付け可能な固定ディスク(16)を特徴とする、請求項記載の形直し装置。
【請求項13】
以下によって前記予締付け具(23)が形成されていることを特徴とする、請求項12に記載の形直し装置:
-少なくとも前記シャフト(10)の前記ねじ部(15)を支持する部分が、少なくとも部分的に、前記シャフト(10)の軸方向の延在に沿って環状の断面から逸脱し最大の半径と最小の半径との差異が数千分の一から数百分の一であり、平均の半径が前記固定ディスク(15)の内ねじを有する貫通開口部(150)の半径と一致し、かつ
-前記室(21)が前記前記ねじ部(15)を支持する前記シャフト(10)部分の下方まで延在する。
【請求項14】
以下によって前記予締付け具(23)が形成されていることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の形直し装置であって:
-前記回転工具へ向いた前記止め肩(14)の前面内に少なくとも1つの力伝達要素が存在し、かつ
-前記室(21)が前記止め肩(14)内に、および前記力伝達要素の下方まで延在すること、
-前記力伝達要素が、前記室(21)内に到達する穴(230)に差し込まれるピン(231)または前記止め肩(14)の面に形成される突出部(233)である形直し装置。
【請求項15】
以下を特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の同心の開口部を備える回転工具を形直し装置の形直しマンドレルに取り付ける方法:
a)任意選択で第1のステップにおいて、少なくとも1つの面で前記形直しマンドレルの前記固定が前記形直し装置の前記ハウジング内で緩められ、
b)任意選択で引き続く第2のステップにおいて、予締付け具から独立した軸方向の固定および位置決め手段、例えば固定ディスク(16)が、前記シャフトから緩められ、取り外され、
c)その後、第3のステップにおいて、前記予締付け具を使用して、前記締付け部の外径が少なくとも前記回転工具の前記開口部の内径より若干小さくなるまで、前記油圧媒体の前記圧力、およびそれによって前記締付け部の前記外径が低減され、
d)引き続く第4のステップにおいて、前記回転工具が前記シャフト上でスライドされ、
e)引き続く第5のステップにおいて、前記予締付け具を使用して、前記室(21)内の前記油圧媒体に所望の予締付け圧力が印加され、
f)その後、任意選択で第6のステップにおいて、予締付け具から独立した軸方向の固定手段、例えば固定ディスク(16)が取り付けられ、固定され、
g)任意選択で引き続く第7のステップにおいて、前記形直しマンドレルのフリーな端部が前記形直し装置の前記ハウジング(4)に元どおり固定されること。
【請求項16】
以下を特徴とする形直し装置の形直しマンドレル上に請求項1から14のいずれか一項により固定された回転工具を取り外す方法:
a)任意選択で第1のステップにおいて、少なくとも1つの面で前記形直しマンドレルの前記固定が前記形直し装置の前記ハウジング内で緩められ、
b)任意選択で引き続く第2のステップにおいて、予締付け具(23)から独立した固定手段緩められ、取り外され、
c)その後、第3のステップにおいて、前記予締付け具が応力除去位置になり、それにより前記油圧が室(21)内で、かつそれにより、前記予締付け具を前記シャフトから引き抜くことができるまで、前記回転工具に作用する予締付け力が低減され、
d)引き続く第4のステップにおいて、前記工具が前記シャフトから引き抜かれ、取り外されること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、同心の貫通開口部を有する回転工具、特に研磨ディスクを取り付けて使用される シャフトが付いた形直しマンドレルと、ハウジング上に固定され、形直しマンドレルの第1の端部内に取り付けられている第1のベアリングと、形直しマンドレルに取り付けられる回転工具の形直しのための形直し工具とを有する形直し装置に関し、この場合、シャフトは、回転工具の開口部を貫通して把持する油圧式締付け装置を備え、この油圧式締付け装置は油圧媒体を収容する室を備え、この油圧媒体には予締付け具によって予締付け圧力が印加可能である。
【背景技術】
【0002】
材料加工時、工作機械の回転軸上に固定され、高速回転時にオフセットされて加工されるべき工作物と接触する回転工具が取り付けられる。工作物の外面形状または上面を加工するために、ここでは、特に同じ形状の、ないしは成形された研磨ディスクが取り付けられる。
【0003】
最大限の耐摩耗性および抵抗性研磨ディスクを使用する代わりに、特に高精度用途において、研摩の必要な正確度および精度を維持するために、研摩工具の頻繁な修正、いわゆる形直しが必要である。
【0004】
このために、研磨ディスクが工作機械から取り外され、形直し機械または装置に取り付けられる。これは、従来技術で公知のとおり、ハウジングと、輪郭形状が研磨ディスクの所望の輪郭形状の反対の形状である形直し工具と、形直しされるべき研磨ディスクの受けと反対に使用される形直しマンドレルとからなる。形直し工具および形直しされるべき研磨ディスクは、その後、高回転数で加速され、研摩面に接触されることによって、研磨ディスクは、より硬い形直し工具自体によって研摩され、その所望の輪郭形状が再現される。
【0005】
形直しマンドレルは、形直しされるべき工具の受け用に、カップリングまたはベルトを使用した駆動モーターの接合部と、その間にある第1のベアリング、ないしはメインベアリングを有し、この場合、形直しマンドレルは、少なくとも第1のベアリングでハウジングに固定されている。それだけでなく、形直しマンドレルは、第1のベアリングから見て、研磨ディスク受けの向こう側に第2のベアリングも備え、第2のベアリングによって形直しマンドレルはハウジングに固定されている。軸方向のおよび半径方向の振動が緩衝されるように、形直しマンドレルのこれら両側を固定することにより、特に形直しの際の研磨ディスクの高回転時および高機械的負荷時に研磨ディスクの回転方向および軸方向の振れが著しく改善される。
【0006】
形直し工具の課題は要求が多く、硬い材料で出来た回転工具、特に研磨ディスクの輪郭形状をミクロン単位の精度で再現することによって、このような回転工具を元どおりに再現することができる。このような正確度要求を満足するために、少なくとも形直し工具の上面に対しては、回転工具に使用されている材料より硬い材料を使用する必要がある。耐久性のある、高精度の形直し工具によって高い形直し正確度が達成されるとき、これは工作物に及ぶ。
【0007】
しかし、ミクロンレベルでの輪郭形状正確度の要求を満足するためには、このほか、形直しマンドレル上での研磨ディスクの位置決めが、適切に正確に行われ、形直し時に必然的に研磨ディスクに作用する大きな力の影響下でも変化がないないようにする必要がある。これにより、研磨ディスクの完全に固定式の、半径方向にも軸方向にも遊びのない完全な取付けが行われる。これは、工作機械で公知の機械式締付け装置によっては達成することができない。
【0008】
これに対して、従来技術において実践されている解決策は、熱処理によって研磨ディスクを形直しマンドレル上に「焼きばめ」するというものであり、すなわち、ディスクがマンドレルより比較的高い温度でマンドレルに取り付けられているか、またははめ込まれている。温度による両部品のサイズの違いによって、後で同じ温度になったときに、必要な確実な固定が実現される。
【0009】
ここでの問題は、研磨ディスクを取り付けるときと、特に形直し工程後に研磨ディスクを取り外すときの所要時間とこのような工程の複雑さである。後者だけでも、通常何時間もかかる。
【0010】
これにより、取外し時は、両部品の集中的な接触によって、取付時ほど大きな温度差になることはなく、機械的に容易な取外しに十分なサイズの差が生じることはない。これは、研磨ディスクを形直しマンドレルから取り外す際は、取り付ける際よりはるかに大きな力をかけなければならないことを意味する。その際、片方の部品または両方の部品が損傷する危険が常にあり、それによって形直しに失敗するだけでなく、新品の研磨ディスク、新品の形直しマンドレル、またはその両方を入手しなければならなくなる。
【0011】
また、取外しと同様に、迅速かつリスクフリーの取付けを可能にする方法で、形直しマンドレルへの工具の所定の確実な取付けを実現することが望ましい。
【0012】
工作機械の分野では、油圧コンポーネントによって作動する締付け装置が公知である。このように、DE 2 333 762 B2には、スピンドルないしは回転軸を同心に取り囲む、弾性的に変形可能な外壁を有する圧力室を備えた締付け装置が説明されており、その締付け装置の外面が締付け面を形成する。ここでの短所は、締付け装置が工具自体に内蔵されており、したがって、各個別工具に、特別で費用がかかる成形が必要になることである。
これに対して、DE 88 13 580 U1は、クランピングブッシュの形の、内側の油圧媒体室を備えた、油圧式で拡張可能な締付け部を有する締付け装置を提案している。このような室、締付けボルトで塞がれる穴を経由して油圧媒体を受けることが可能であり、この場合、締付けボルトを使用して圧力を調整することができる。取り付けられるべき工具を使用して、軸方向で形状接続式に結合されている軸方向応力部は、工具の軸方向の固定および位置決めを確実なものにする。
【0013】
ここで、締付け装置はスピンドルに内蔵されているが、位置決めがスピンドルの端部でのみ可能であり、そのために、スピンドルまたは形直しマンドレルを両側に固定して使用することはできないという短所が残っている。
独国公報DE 33 02 478 A1は、型直しロールを備える研磨ディスクを型直しするための装置を備えており、型直しロールは、研磨ディスクの周領域に配置される把持マンドリル上に把持され、把持マンドリルは、型直しロールのためのベアリングを備え、把持マンドリル上の型直しロール用の座面を形成する環状ジャケットと共にベアリングは、把持マンドリルに対して半径方向に変形可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような背景を前にして、工具、特に研磨ディスクの受け用形直し機械を、形直しマンドレルと共に考案するという課題を設定し、形直しマンドレルは簡単に組み立てられていて、工具の頑丈かつ迅速な固定は、工具の両側に取り付けられている場合でも可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、従属請求項14および15に記載の、上部に固定される研磨ディスクの迅速かつ簡単な着脱を可能にする、本発明の請求項1に記載の形直し装置によって解決される。
【0016】
本発明の特徴は、締付け部が第1のベアリングに向いた側と反対の側の両側で、シャフトに保持されていることである。これがどのようにして具体的に具現化されるかは、本発明の範囲内では、実質的に同じく負荷に耐える両側の固定が保証されているので、重要ではない。
【0017】
これにより、油圧媒体の圧力増大の結果として引き起こされる、締付け部の弾性変形、ないしは回転工具の貫通開口部の内面に作用する軸方向伸長時の締付け力は、片側が保持されている、非軸対象のクランピングブッシュを使用する公知の締付け装置の場合よりも、明らかに同じ形状になることが達成されて有利である。
【0018】
この長所は、締付け部の断面が軸方向の伸長時に不変のままである(常時並進対称性)、あるいは周期的に繰り返す(散発的並進対称性)ように形成されている場合、さらに強化される。これは、締付け部の均一な弾性湾曲/変形、ないしは締付け部から回転工具の隣接する締付け面(したがって、形直しマンドレルによって貫通されて把持される工具の開口部の内面)への締付け力の均一な伝達によって引き起こされるからである。
【0019】
特に、両側で保持されている締付け部を備える本発明の解決策は、従来技術で公知の締付け装置とは逆に、形直しマンドレルの両側の取付けとも両立できることで有利である。これは、この場合、望ましくない振動が相当程度緩衝され、さらに、両側の取付けという事実によっても、付加的に、使用されるベアリングの予締付けおよび初期角度の適切な選択によっても、関連共鳴が実際の運用時に発生する周波数と異なるように、独自周波数が狂うために、片側の取付けに対して有利である。
【0020】
本発明による、シャフトとの両側の接続は、締付け部が片側または両側でシャフトと一体で構成され得る。これは、どちらかで、柱状の、通常金属の未加工鋳造部材から、油圧媒体室の形状の仕上げに必要なだけ材料が取り外されることによって、実現され得る。その後、締付け部は、一体型の構成部品として残る。しかし、この場合、機械加工のための室のアクセス性が前提となっているため、締付け部およびシャフトの間では、片側の一体接続だけが問題となる。
両側の一体接続が実現される場合、同時に鋳造方法が考慮に入れられる。この場合、油圧室と、シャフトないしは形直しマンドレル(ベアリングなし)の他のすべての空隙とは十分に温度安定的な凸部によって、シャフト/マンドレルの外寸は対応する凹部によって規定される。油圧室と他の空隙を満たす凸型を鋳造材料の冷却後に取り外すには、これを流れ作業で行う必要がある。そのためには、例えば、エッチングといった化学的方法や振動または超音波といった物理学的方法が望ましい。
【0021】
興味深い代替案には、後で使用される油圧液体からなる油圧媒体室の凸型を形成することも含まれており、鋳造工程前に、華氏80°以下まで冷却する必要がある。鋳造材料をできるだけ低温でできるだけ迅速に注入する場合は、媒体の性急な液化または気化、ひいては室形状の不都合な変化を防止または削減する。
【0022】
さらに、本発明により、追加製造(3Dプリント)を使用しても、シャフトを両側で一体型の締付け部およびその下に存在する室と共に製造することができる。その際の問題は、機械的に高張力の材料の3Dプリントであり、発生する締付け力および回転力に基づいて形直しマンドレルのシャフトが必要になると同時にそれが困難になることである。
【0023】
油圧媒体室が、適切な方法で未加工鋳造部材に取り付けられた後で、平面の材料ピースによって多面的に、かつ気密に塞がれるなら、両側の一体型の接続が実現されよう。油圧室が、例えば、その軸方向の延在において均一な環状の断面である場合、出力側が直角の材料ピースを使用することができ、その材料ピースは、室が未加工鋳造部材の上方で塞がれることによって、その室が最終状態においては中空柱を形成する。接着によって、あるいは適切材料選択時には、溶接によっても、例えば熱溶接または電磁パルス溶接によっても、確実で気密の常時接続が行われる。
【0024】
あるいは、シャフトの片側または両側との締付け部の接続は、非一体型であり得て、この場合、後者では、締付け部はクランピングブッシュを形成する。その場合、必要な気密性を保証するために、締付け部の各端部を、内側に大容積フランジを形成する方法によって、圧力がかかった油圧媒体の作用で室内の前面を、シャフトの肩部に面全体で密着させることを推奨する。漏れを防止するために、締付け部前面とシャフト肩部に間に適切な弾性材料の環状シールをはめ込むことができる。代替的または付加的に、内側に湾曲した内縁を、これに対し、外側へ湾曲させることによって、縦断面図において屈曲部と、3次元において中空柱に段が設けられる。締付け部がシャフトと接続されている場合、小径の比較的短い中空円筒形の部分がシャフト肩部の周囲の溝にはめ込まれる。
【0025】
締付け部が両側で、したがって、その上端ならびに下端が上述のように形成されている場合、一体部品のシャフトの場合であっても、取付けは困難であるか、最悪の場合は不可能である。そのため、この場合は、シャフトを2分割型にして、室の領域を細分化することが提案される。これにより、締付け部をいずれかの部品に取り付けた後、第2のシャフト部品を接合することができる。
【0026】
回転工具、特に研磨ディスクの取外しは、本発明の方法により、2~4つのステップで行われる。最初に、形直しマンドレルが、任意選択で、すなわちハウジングおよびマンドレルの形状に応じて、少なくとも1つの端部で、本発明による形直し機械のハウジングの固定を緩めて、回転工具にアクセスするために保持する必要がある。特にマンドレルの両側の固定をすべて緩めて、マンドレルをハウジングから完全に取り外した場合、アクセス性を向上させることができる。このために、ハウジングは、例えば、分離式、特に折りたたみ式ハーフで取り付けられている。第2のステップでは、任意選択で、存在する予締付け具から独立した軸方向の固定を緩める。第3のステップでは、さらに、予締付け具を使用して、回転工具に作用する締付け力まで十分に低下され、特に実質的に無効にされるまで、油圧媒体の圧力が低減される。さらに、回転工具は、シャフトから、それによって形直しマンドレルから引き抜かれ、取り外される。ここで、形直しマンドレルは、さらに形直しされるべき回転工具を受ける準備がされる。
【0027】
取付けは、予締付け具を逆の順序で使用する4~7つのステップによってのみ、同様に行われる。本発明による形直し機械に取り付けられているマンドレルを再度前提とする場合、最初に、その固定をハウジングから緩め、マンドレルを任意選択で取り外す必要がある。予締付け具から独立した軸方向の固定をさらに開く必要がある。次に、必要な場合は、予締付け具を使用して、例えば予締付け具を応力解除位置にすることによって、回転工具を貫通する開口部の内径を少なくとも上回らないか、または若干下回るまで、油圧媒体の圧力ひいては締付け部の直径を低減させる。後者は、次のステップで形直しマンドレルまでスライドさせる。次に、予締付け具を使用して、締付け部の膨張によって、所望のサイズの半径方向の締付け力が回転工具に作用するまで、油圧媒体圧力が引き上げられる。任意選択で存在する、軸方向の固定手段が元どおりに取り付けられて、最終的に形直しマンドレルが、取り付けられて、締付けられる回転工具と一緒にハウジングに取り付けられている、ないしはハウジングに固定されており、その場合、マンドレルの駆動側も駆動装置と作動接続され、例えば、モーターの回転軸に結合されるか、または駆動ベルトが巻き付けられる。
【0028】
本発明による形直しマンドレルの場合、取付けも取外しも、わずか数秒から十秒ですみ、これは従来技術に使用されている、特に取外し時は何時間もかかる熱的方法と対照的である。それにもかかわらず、位置決めの精度および正確度は、ミクロンレベルからサブミクロンレベルで実現される。
【0029】
以下では、本発明の有利な発展形態が呈示され、それらは個別に、あるいは、明白に相互に矛盾しない限り、組み合わせて具現化可能である。
【0030】
本発明による形直し装置の形直しマンドレルに取り付けられる回転工具の形直し時に、ミクロンレベルでの正確度の要求を満足するために、形直し装置の形直し工具をダイアモンドローラーとして、したがって表面にダイアモンドを取り付けた、または表面をダイアモンドでコーティングした成形ローラーとして構成することが提案される。この場合、このダイアモンドローラーの精度が上がるにつれて、研磨ディスクの精度も上がり、他方、工作物についても再現精度が上がる。それだけでなく、ダイアモンドローラーを使用した形直し工程は、他の材料の形直し工具の場合より速く実施することができる。この場合、それにもかかわらず、耐用期間が長く、高レベルの再現性が保証されている。
【0031】
本発明で提案される実施形態の1つでは、締付け部が比較的細い中空柱に仕上げられ、シャフト両側に一体接続されている。それにより、この接続は、油圧媒体室ひいては締付け部がマンドレルの製造時に1つのピースから形成されることによって実現される。あるいは、この接続は、最初に相互に切り離した後、適切な方法、例えば接着や溶接によって接続することもできる。締付け部の半径方向の厚さまたは肉厚は、この場合、2つの相反する要求を両立したものであり、一方では、より薄い肉厚によって、部分の弾性係数が低下し、ひいては変形性が圧力増大によって改善され、他方では、油圧低下時、その安定性および堅牢性が点状の力に対して低下する。後者は、特に、形直しされるべき、ないしは形直しされる回転工具の着脱時の意図しない処理に対して、望ましくない感度になる恐れがある。しかし、肉厚が厚すぎる場合、特定の締付け作用に必要な油圧が増大して不利である。超鋼製の形直しマンドレルの場合、肉厚は0.2~2mmであり、好ましくは0.4~1mmが有意義であると証明されている。
【0032】
弾性をできるだけ高くして堅牢性をさらに改善するために、締付け部の肉厚も広範囲および/または軸方向へ変形させることができる。油圧室の底部または天井あるいはその両方が、支持構造を有するようにして、それぞれ対向する面にほとんど達するようにし、こうして外力の作用下で締付け部の極端に大きな変形を防止することができる。特に、広範囲および/または軸方向への波状推移が提案され、この場合、波の振幅がほとんど高さ、すなわち油圧媒体室の半径方向の最大延在と同じである。これにより、油圧を上回る局所的な負荷がある場合、回転軸の下側が室の底部に載っており、こうしてシャフトの下にある構造に力を導くため、極めて大きな、場合によっては破壊的な変形を防止することができる。
【0033】
高い堅牢性もまた、油圧室が広範囲であるか、または軸方向にも、複数の、回転対称ないしは同じ形状の副室に分割されている場合に達成される。室間にある隔壁は、局所的または平面的な力を締付け部の上面から深い構造内に導くことをサポートし、これにより抵抗性を本質的に高める。
本発明の態様において、付加的な圧力発生および/または伝達のために、半径方向にスライドするように取り付けられた締付け本体が存在する。これらの締付け本体は、半径方向にスライド可能であるように、限定された範囲内にのみ存在し、必要であり、シャフト外径の数千分の一から数百分の一の移動の遊びで十分である。この遊びは、下部止め具と上部止め具の間で決定される。しかし、この遊びは、好ましくは、形直し時の高速回転による回転工具の伸び、およびそれに伴って現れる、工具の締付け開口部の半径の拡大を補正するように決定すべきである。それにより、必要な半径方向の移動の遊びは、形直しされるべき回転工具の延性および弾性係数によって左右される。
【0034】
締付け本体は、特に左右相称の円筒環セグメントとして形成され得るか、または少なくともそのような形状に近い形状に倣わせることができる。
締付け本体は、半径方向に油圧室の下方に配置されている。これは、締付け本体の半径方向の移動によって作用する半径方向の力は、油圧媒体によって均一に、平面に配分される長所を提供する。これは特に、シャフトないしは締付け部の周囲を十分に覆っておらず、軸方向/半径方向に形直しされた隔壁間で、多かれ少なかれ、大径の角直径と共に存在する場合に役立つ、ないしは必要である。このような細分化は、形直し時に、マンドレル上に固定される回転工具の、片側の半径方向および/または軸方向の回転力によって引き起こされる(すなわち、この力が非対称に印加される場合)曲げモーメントに対するシャフトのレジリエンスを高めるのに役立つ。
【0035】
ただし、個別の、またはすべての締付け本体間の隔壁ないしは広範囲の細分化がない構成も考えることができる。この場合、確かに、上記の力がかかった状態での、より大きな曲げに耐える必要があるが、締付け本体によって作用する半径方向の力の均一な配分は改善されている。
締付け本体による、このような半径方向の力は、静的力と動的力の2つのタイプに分類することができる。これに対し、静的力は、半径方向に外側へ示す力が機械的手段、またはこれに対し油圧的手段によって締付け本体に及ぼされることによって生成される。動的力は、遠心力により形直しマンドレルが回転するときに、締付け本体に及ぶ。動的力は、回転周波数の二乗に比例し、締付け本体の半径ならびに質量に比例する。締付け本体によって最大限及ぶ可能性がある、平面に関連する締付け力または結合力の動的部分は、回転周波数の二乗の積、締付け本体の平均半径(ならびに回転軸との平均間隔)および締付け本体の平面密度から算出される。これに対し、後者は空間密度に、締付け本体の半径方向の延在を乗じて算出される。
【0036】
本発明は、できるだけ高い空間密度(例えば鉛製)の締付け本体と半径方向の延在を使用することによって、動的締付け力部分が最大化される態様を提案している。これにより、予締付け具によって及ぼされるべき初期締付け力が低減されるが、1分当たり数千から数万回転数でマンドレルを高速回転する形直し工程時、より確実で、および滑らない保持が保証される。半径方向の延在が1cmで、空間密度11グラム/cm2および平均半径1.5cmのとき、締付け圧力は、例えば6000U/minのときに6500ヘクトパスカルまたは6.5bar、12,000U/minのときに26bar、および24,000U/minのときに104barである。
【0037】
この締付け圧力は、平均半径、したがって締付け本体の回転軸からの平均間隔が大きくなると、さらに増大することがある。これにより、油圧媒体室の下方で締付け本体の位置決めを維持する際、一般的なシャフトの寸法はわずかに伸びることがある。しかし、形直しされるべき回転工具の貫通して把持される開口部の、直径が通常、例えば50~70mmの間である所与のサイズによって限度が設定されている。同様に、油圧媒体内にも回転によって、動的圧力の増大が起こるが、これは、公知の油圧作動油のわずかな密度に基づいて、例えば等級が締付け本体の等級より低く、通常、無視して差し支えない。 したがって、代替的または付加的に、本発明は、締付け本体を半径方向に油圧室の上方へ配置することを提案する。その際、締付け本体は、回転工具の締付け時に締付け本体の上面が周囲のシャフト上面上に突き出るように、半径方向にスライドするように保持しすることによって、この締付け本体上面が締付け部の締付け面を形成するようにすることができる。しかし、これには、締付け力が回転工具に均一に作用せず、少なくとも、締付け本体間で、すでに要求された広範囲な細分化のために隔壁が存在するという短所があろう。この短所は、隔壁の廃止または締付け本体を覆う弾性層を設けることによって解決することができ、その場合、この層の上面が締付け面を形成する。
【0038】
油圧室内の油圧は、締付け本体の下側が油圧室の蓋を形成することによって、締付け本体に直接伝達することができる。この場合、室と締付け本体の動作範囲の間の気密性を、いずれにせよ、半径方向の摩擦力が締付け本体に作用する適切な周囲のシールによって確保する必要がある。締付け本体によって伝達される締付け力は、この摩擦力の分だけ低減されるであろう。本発明による形直しマンドレルは、他の実施形態においては、油圧媒体室と締付け本体の間に、密閉性を確保する貫通材料層を設けることもある。この材料層が油圧媒体の圧力をできるだけ広範囲に締付け本体に伝達するためには、この層を薄く、ひいてはできるだけ弾性的に仕上げる必要がある。
【0039】
この動的結合作用を使用することの本質的な長所は、静的(予)締付けに加えて、締付け力が回転数の二乗に増大し、それによって、加工時の回転数が上がれば上がるほど、工具がマンドレル上に確実に締め付けられることにある。それによって、予締付けは、基本的に正確な位置決めに必要な最小寸法を低減させ、形直し時に確実な固定と、動的締付け圧力による必要な締付け力との差異が生じる。
【0040】
本発明による形直しマンドレルの場合に、予締付け具の単純だが極めて効果的な具現化が、穴にねじ込まれて、油圧室との液体伝達が行われる締付けボルトである。穴は、側面に、すなわちシャフトのカラーに設けられ、半径方向に、または少なくとも実質的に半径方向に通っているか、または他の箇所では、例えば、シャフトの前面またはアクセス可能な他の箇所に設けることもできる。その際、締付けボルトの着脱は、使用する油圧媒体の容積の縮小または増大に影響し、それによって、媒体の圧力を調整することができる。増圧時、締付け部は半径方向に外側へ湾曲し、かつ/または固定される回転工具に作用する締付け力が増大する。減圧時、これとは逆に、締付け部の湾曲がその弾性によって元に戻されるか、または縮小し、かつ/または回転工具に作用する締付け力が低減する。
【0041】
軸方向の正確な位置決めのために、シャフトは、本発明による形直しマンドレルの多くの実施形態において、止め肩を有する。形直しされるべき工具は、取付け時、少なくともその前面の一部と止め肩が面一になるまで、スライドされる。それによって、その軸方向の位置が固定され、かつ少なくとも軸方向の配置に対して作用する力に抗して固定される。
回転工具が完全に軸方向に固定される場合、本発明は、回転工具に応じて本発明による形直しマンドレルのシャフトに取り付けられ、そこに適切に固定される固定ディスクを備えることを提案する。割ピンによる固定という方法もあろう。しかし、これは取付け時の高回転により困難である。別の方法は、内ねじおよびシャフトを有する固定ディスクの、不可避的に存在する、開口部である。少なくとも工具から見て前面の、止め肩の他の面に、既存の領域から、それに合った外ねじを取り付けることである。それによって、固定ディスクは簡単に取り付けることができよう。その場合、しかし、短所は、形直しマンドレルが他の固定方法を使用することなく、回転方向にのみ確実に回すことができる、すなわち、ねじ部のねじの方向と逆に回す必要がある。
【0042】
止め肩および固定ディスクの形での固定手段を使用する場合、本発明はさらに、代替的に、または他の締付け具に加えて、半径方向の予締付けによる軸方向の固定を使用することを提案する。このために、少なくとも2つの方法が提供される。
【0043】
1つは、例えば長円形または楕円形の形状を選択するか、または広範囲に1つ以上の厚くなった箇所を設けることによって、ねじ部を支持する部分の領域のシャフトの断面を環状以外の形にできる。その後、少なくとも、ねじ部を支持する部分の領域内の、中心上に成形することによって半径がその中のこの領域内で上昇し、それによってこの上昇箇所の下方に延在するように、油圧媒体室を形成する。その際、室のこの突出部は、安定性および気密性を損なうことなく、できるだけ気密にし、シャフトの上面下に達すること。これにより、固定ディスクの取付け時に作用する、ねじ部を支持する部分の変形をできるだけ油圧媒体室内の容積ないしは圧力変化に合うように変える。
【0044】
この関連において、さらに、止め肩とは逆向きのシャフトの端部から止め肩まで、またはねじ部を支持する部分の端部までの平均シャフト径が増大するように、正確な取付けの容易化と、段階的増圧、ひいては予締付け力の増大を保証することが提案される。 この提案の考えられる、および有意義な変換は、通常、望ましくは、例えば固定ディスク開口部と一致する最終値までの固定ディスクの円形開口部の直径以下の、平均直径の数千分の一から百分の一への比例的増大である。
【0045】
半径方向の予締付け(の調整)を伴う軸方向の固定による、別の接続方法は、回転工具に向いた止め肩の前面または複数の、特に回転対称に配置された、力伝達要素を取り付けることによるものであり、これは、回転工具により固定ディスクの止め肩に作用する軸方向の締付け力を油圧媒体室に伝達する。このために、この室は、少なくとも止め肩までの突出部内に、圧力伝達要素の下へ達するように形成される。
【0046】
力伝達要素として、油圧媒体室(の突出部)まで達する穴に取り付けられるピンを使用することができる。このようなピンは、油圧媒体が流出しないように、十分にシールされている必要がある。そして、いかなる場合でも、シールを保証するために、穴も廃止し、力伝達要素を止め肩の前面の残りの上面に突出するピンとして形成する必要がある。
【0047】
本発明のさらなる特性、特徴および長所は、以下で図により詳細に説明される実施例からもたらされる。これらは、本発明を説明するものであり、決して制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明による、形直しマンドレルが取り付けられた形直し機械の一つの実施形態の斜視図である。
図2】本発明の第1の好ましい実施形態による、形直し機械の形直しマンドレルの縦断面図および横断面図である。
図3】本発明の第2の好ましい実施形態による、形直し装置の形直しマンドレルの縦断面図ならびに2つの横断面図である。
図4】本発明の第3の好ましい実施形態による、形直し装置の形直しマンドレルの縦断面図ならびに2つの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1には、本発明による形直し装置の考えられる一つの実施形態が示されている。形直しマンドレル1を取り付け、ハウジングハーフを閉じて、固定した後、シャフト10の両側に配置されたベアリング11および12で保持され、固定されている、2つの折りたたみ式ハーフからなるハウジング4。形直しマンドレル1に固定されて、回転工具が、成形された研磨ディスク3の形で表示されている。工具を迅速に交換するために、ハーフシェルは、その下端がヒンジで、およびその上端が工具なしで作動可能なロッキングメカニズムにより結合されている。
【0050】
図2には、本発明による形直し機械の、好ましい実施形態による形直しマンドレルが示されている。
【0051】
部分図Aには、回転軸Lを含む平面の縦断面図が示されており、部分図Bには、線BBに沿った横断面図が示されている。
形直しマンドレル1は、軸方向の位置決めに使用される止め肩14、ならびにシャフト10の両側に配置されたの2つのベアリング、第1のベアリング11および第2のベアリング12を備えたシャフト10を有し、シャフト10は、本発明による形直し機械のハウジングへのシャフトの固定に使用される、例えば図1に示されたシャフトである。ベアリング11、12は、ここでは、ローラーベアリングとして表示されているが、他のタイプのベアリング、例えば、(エア)スライドまたはマグネットベアリングも同様に本発明の範囲内で取り付けることができる。第2のベアリング12のアウターベアリングスリーブの前面には、センサー13が位置決めされており、このセンサー13は、特に(作動の)監視および検出という公知の方法による音響センサーが挙げられ、機械の正しい機能に使用される。
【0052】
これに対し、形直しマンドレル1のシャフト10は、弾性締付け部22、その下にある、半径方向に圧力がかかった油圧媒体で満たされた(油圧媒体)室21、および油圧室圧力調整のための予締付け具23からなる締付け装置2を有する。締付け部22の外面および締付け面は柱面の形状からなる一方で、内面は縦断面図(部分図A)で認識されるべき支持構造221を有する。後者は、油圧室圧力を局部的に、またはより大きな範囲にわたって超え、それによって締付け装置2が損傷する恐れがある、半径方向に向いた力の作用に対して、締付け部22の安定性を向上させるのに使用される。締付け部22は、両端部で内側に湾曲しており、この場合、円筒コイルばね222aおよび222bがシャフト10の対応する補助溝または刻み目101aおよび101bに取り付けられている。これにより、締付け部22は確実に、かつ固定されて、シャフト内に保持される。さらに、これにより、シャフト締付け部の接続部の、高圧がかかった油圧媒体の流出に対して漏れのないことが確実にされる。
静的油圧室圧力を調整する予締付け具23は、シャフト10の側の半径方向の穴にディスプレーサとして取り付けられているボルト233からなる。穴は、少なくともこの箇所で締付け部を超えて延在する油圧室または室の突出部の中を通る。ボルト233のさらなる着脱により、油圧室の有効容積が変化し、ひいてはその中に存在する媒体の圧力も変化する。こうして、所望の(静的)予締付けが希望どおりに調整でき、回転工具を着脱することができる場合、締付け部22の外径が工具の開口部より小さくなる、ないしは工具に公称値電圧が作用しないようになるまで、ボルト233を緩める必要がある。このとき、工具を着脱することができる。多くの時間がかかり、工具に対しても形直しマンドレルに対しても高い損傷リスクと関連付けられる、従来技術により適用される熱的焼きばめ、ないしは膨張とは逆に、本発明によるマンドレルの場合の工程に数時間から最長で数十時間かかる。これは、実際にはほとんど過大に評価されることがない時間の節約である。形直しマンドレルがもつことになった短所は、構造に左右される、形直しマンドレルの高弾性であり、薄壁の、および相応に弾性的な締付け部および油圧媒体は、基本的に、中実シャフトより弾性が高くなる。 これは、不均一な把持力がかかっている場合に、振動の増大および回転方向および軸方向の振れの低減によって現れる。 図2による実施形態において、締付け部の内面に存在する支持構造221は、振動の振幅が油圧室21の底部の構造の間隔より大きくなるようにのみ調整することができる。この振動を低減する操作方法なにおいては、回転工具の形直しの際に、できる限り均一な、したがって、対向して補正する力のみが工具ひいては形直しマンドレルに作用するように注意する必要がある。しかし、構造的な安定性の向上、したがって弾性の低減が希望される場合、図3または4による実施形態で示すとおり、広範囲および/または軸方向の細分化が本発明によって提案される。
【0053】
図3には、本発明による形直し機械のさらなる好ましい一つの実施形態による、締付け本体付き形直しマンドレルが示されている。
部分図Aが縦断面図を示す一方、部分図BおよびCには、部分図Aの線BBないしはCCに沿った横断面図が示されている。
【0054】
形直しマンドレル1はシャフト10を有し、このシャフト10は、これに対し、一方の端部に軸方向の固定ディスク16を取り付ける外ねじが付いた領域15を有し、対向する端部に止め肩14、ならびにその間に存在するように締付け装置2を備えた締付け領域を有する。同様に、形直しマンドレルは、ここでは図示されていないが、少なくとも1つのベアリングを有し、好ましくはシャフト10の2つの両側に配置されたベアリング、ならびに図2に示されたものと同様のセンサーを有する。シャフト10ないしは締付け装置2上には、研磨ディスク3の形で回転工具が取り付けられている。
【0055】
締付け装置2は油圧媒体室を有し、この油圧媒体室は、上部室21aおよび下部室21bに分割されており、両者が薄壁の締付け部22の下方に取り付けられている一方、これに対し、締付け部22は、両側でシャフト10の残部と一体に接続されている。これにより、図2の実施形態に対して、一方では、シャフトに力伝達が、他方では圧力がかかった油圧媒体の流出に対して気密に改善されている。上部および下部油圧室21a、21bの半径方向下方の空隙には、締付け部22に匹敵する肉厚の細い、弾性材料層によって半径方向にスライド可能な締付け本体29が存在する。これは、高い平面密度を達成するために、できるだけ高密度の空間および半径方向の延在を有している。これにより、形直しマンドレルの回転時に締付け本体に作用する遠心力によって、油圧媒体の圧力は動的に増大し、それにより、締付け装置2によって工具3に静的に作用する締付け力が強化される。ただし、締付け本体29の半径方向の延在は、シャフト10の必要な安定性に基づいて限界が設定されている。
【0056】
図3による実施形態では、2分割式の油圧室が取り付けられており、部分図Bで分かるとおり、上部室は、止め肩14に向いた(下部)室21aであり、下部室21bは、1つ以上の通路を通って圧力調整のために、中実の隔壁が相互に仕切られている。隔壁により、シャフト10ひいては形直しマンドレルの、把持する外力に対する安定性が向上する。シャフトの耐ねじれ性および耐曲げ性をさらに向上させるために、図4に表示されているように、軸方向の細分化のほかに、大容積の細分化も副室内に設けることができよう。
【0057】
シャフト10は、工具3を軸方向に位置決めし、固定するために、シャフトのねじ部15上に締付け可能な固定ディスク16と相互作用する止め肩14を有している。油圧媒体圧力の調整に使用される予締付け具23は、この構成では、直径上で対向する力伝達要素が突出部233の形で工具に向いた止め肩の前面に存在し、油圧室が少なくとも突出部内でこの突出部の下方間際まで延在することによって、突出部を支持する止め肩の領域が、軸方向の力が作用してフレキシブルに変形し、それによって油圧室の有効容積が低減することによって実現される。回転工具がはめ込まれて、固定ディスクの取付けによって軸方向に固定されると、固定ディスクによって作用する軸方向の力は、回転工具を介して突出部に伝達され、この突出部は弾性的に変形し、それによって油圧室の容積が低減し、これによって油圧媒体の静的圧力が増大する。このタイプの予締付け発生に関して付加的または代替的に、その他の予締付け具も、図2に示された締付けボルトと同様に取り付けられよう。
【0058】
図4には、本発明による形直し機械の第3の好ましい実施形態による、油圧室上方の半径方向に締付け本体が付いた形直しマンドレルが示されている。
これに対し、部分図Aが縦断面図を示す一方、部分図BないしCには、部分図Aの線BBないしはCCに沿った横断面図が示されている。
部分図Aには、部分図Bにも見られるように、この本発明による実施形態においては油圧室の上方に配置されている、全部で4つの締付け本体29がある。これは、締付け本体の、形直しマンドレルの回転軸からの間隔を拡大し、それによって上述の締付け効果を強化するために使用される。外面が締付け面を表す、締付け本体の上方に設けられた締付け部22は、高弾性を実現するために、できるだけ薄く仕上げられている。これは、シャフトに作用する曲げ力が締付け本体間に設けられた仕切りによって、ならびに締付け本体自体によって吸収され、排出され得るため、可能である。これは、締付け本体29が、油圧媒体で満たされた室と比較して、図2および3により呈示された他の実施形態においては締付け本体29を収納するスペースを占め、明らかに高い弾性係数を有し、固体として形状が安定しているため、可能である。締付け本体29は、この実施形態においては弧状の断面を有し、ある程度の半径方向の移動の遊びがあることによって、締付け部22の著しい湾曲を引き起こす可能性がある。締付け本体の軸方向および接線方向にできるだけ遊びのない誘導を実現するため、しかもその半径方向への移動をスムーズに行うために、締付け本体29に場所を提供する空隙に潤滑剤を注入することができる。あるいは、ローラーベアリングを取り付けることもできよう。
【0059】
油圧室は、大容積で、回転対称の4つの副室21.1~21.4に分割され、圧力調整のためにチャンネルを経由して液体が伝達され、そこから4つの締付け本体に1つずつ割り当てられる、すなわち直接下方に配置されている(部分図Bを参照)。油圧媒体室内の圧力変化時に締付け本体の適切な変形ひいては半径方向のスライドを実現するために室および締付け本体の空隙を削減する隔離用天井が十分薄く、弾性的であるという条件付きで、室横断面図は、締付け本体29が環形セグメントに対応するように、あるいは別の形態でも実施することができる。さらには、抵抗力を増大させるために、図3による実施形態におけるように、室の軸方向の細分化を実施することができよう。
【0060】
部分図Cには、固定ディスク16が存在するねじ部15の領域内のシャフト10による横断面図が示されており、この固定ディスク16は、止め肩との相互作用で、工具3を軸方向に位置決めし、固定する。図示のように、シャフトの断面は、ここでは円形とは著しく異なり、油圧(下)室21.1~21.4のそれぞれの上方に各1つの隆起部151がある。これは、シャフトの半径が隆起部の最上位置で固定ディスク16の開口部の内径を若干上回るように決められている。そこでの室は、締付け部内と同様に、シャフトの上面のほとんど下まで達しており、このような隆起部151内のシャフトが特定の弾性を有している。ディスクを取り付ける際、隆起部は内側へ押され、それにより油圧室の容積が縮小し、その際、その中にある媒体の圧力が適切に上昇する。ディスクを取り付ける際に圧力の漸次増大を達成するために、シャフト10のねじ部を支持する領域15は、その半径が止め肩から離れるに従って漸次増大するように形成されている。この変形は、隆起部の可塑性に適合されなければならないが、通常、数百分の一を超えない。
【0061】
この変形は、予締付けの調整のためには基本的に十分であるが、静的予締付けの生成または増大のための付加的要素として、図3で示されているのと同様の力伝達要素が、工具3に向いた止め肩14の前面に存在する。しかし、図3とは異なり、この力伝達要素は、図4では油圧室21.1~21.4まで達する穴231からなり、その穴には半径方向にスライド可能なピン232が差し込まれている。
【0062】
ねじ部を支持する部分15の上述の形状は、固定ディスクの取付け回転数と(半径方向の)予締付けの間の確実な関係に影響を及ぼすため、細い工具の場合、軸方向に十分固定される前に、最大予締付けに達することがある。これを調整することができるようにするには、ここで図示されていない第3の要素、例えば図2の実施形態の場合と同様の締付けボルトを静的油圧媒体圧力ひいて予締付けの調整のために取り付けることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 直しマンドレル
10 シャフト
11 第1のベアリング
12 第2のベアリング
14 止め肩
15 ネジ部
151 ボス
16 固定ディスク
2 締付け装置
21 油圧媒体室
21.1~4 大容積副室
21a、21b 下部副室、上部副室
22 締付け部
23 締付け具
231 232の受け用穴
232 ピン
233 突出部
29 締付け本体
292 外面
3 工具、研磨ディスク
4 ハウジング
L 形直しマンドレルの縦軸および回転軸
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C