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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】皮膚への適用のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/26 20060101AFI20221228BHJP
   A61L 15/18 20060101ALI20221228BHJP
   A61L 15/22 20060101ALN20221228BHJP
【FI】
A61L15/26 100
A61L15/18 100
A61L15/22 100
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021118522
(22)【出願日】2021-07-19
(62)【分割の表示】P 2018543293の分割
【原出願日】2016-11-09
(65)【公開番号】P2021168948
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】62/252,903
(32)【優先日】2015-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】アリヤ アクサクル
(72)【発明者】
【氏名】ニチン ラマドゥライ
(72)【発明者】
【氏名】アミル ナシャト
(72)【発明者】
【氏名】ダニエラ ベッカティ
(72)【発明者】
【氏名】メラニー ボウティレッテ
【審査官】長谷川 茜
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0078209(US,A1)
【文献】特開平11-146917(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0292463(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0261632(US,A1)
【文献】特表2013-536861(JP,A)
【文献】特表2012-532222(JP,A)
【文献】特表2007-534344(JP,A)
【文献】国際公開第2008/072517(WO,A1)
【文献】特表2016-516174(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0109695(US,A1)
【文献】J. Am. Chem. Soc.,2016年01月,Vol.138,pp.2064-2077
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00- 33/18
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の皮膚表面の層のその場形成のための、第一の部分及び第二の部分を含む二部分組成物であり、
前記第一の部分は、
平均して少なくとも2つのアルケニル官能基を有し、かつ25℃での粘度が10,000~2,000,000cStである、1又はそれ以上のビニルジメチコンであるポリマーA;
平均して少なくとも2つのSi-H単位を有し、かつ25℃での粘度が2~500,000cStである、1又はそれ以上のハイドロゲンジメチコンであるポリマーB;及び
0.001重量%~25重量%の補強成分を含み;
前記第二の部分は、
平均して少なくとも1つのアルケニル官能基を有し、かつ25℃での粘度が0.7~10,000cStである、1又はそれ以上のビニルジメチコンであるポリマーC;及び
前記ポリマーAと前記ポリマーBの架橋を促進する、0.001重量%~0.05重量%の1又はそれ以上の白金触媒を含み;かつ、
前記第一の部分又は前記第二の部分は、さらに、0.001重量%~25重量%のグラフェンを含み、ここで、
前記第一の部分は、5~90重量%の前記ポリマーA及び5~75重量%の前記ポリマーBを含み、
前記補強成分には、ヘキサメチルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサデシルシラン、若しくはメタクリルシランで処理された、シリカ又はフュームドシリカが含まれる、
組成物。
【請求項2】
前記第二の部分は、0.005重量%~0.05重量%の1又はそれ以上の白金触媒を成分として含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物を含む、キットであって、さらに使用説明書、皮膚から層を除去するのに適するクレンザー又は、1以上のブラシ、綿棒、及び/若しくは鏡を含む、キット。
【請求項4】
皮膚機能を改変させる方法で用いる、請求項1又は2に記載の組成物であって、前記方法は、前記組成物を必要としている対象に、前記組成物を塗布することを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2015年11月9日に出願された米国仮特許出願第62/252,903号に対する優先権を主張する。本仮出願は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
皮膚機能、例えば、皮膚バリア機能は、体を物理的損傷及び環境因子から保護すること、皮膚水和を調節すること、体温を調節すること、病原体の侵入に対する防御を提供すること、並びに外観にとって極めて重要である。皮膚が損傷を受けると、効果的なバリアとして機能するその能力が損なわれ、そのため、外因性刺激物及び潜在的病原性生物が対象に侵入することが可能になる。さらに、損傷を受けた皮膚は、体内に存在する水分が、それが蒸発する皮膚の表面に直接移動することができる場合、経表皮水分喪失の増大を可能にし、皮膚水和の減少(例えば、乾燥し、炎症を起こした皮膚)、及び皮膚の弾力性の喪失をもたらすことがある。
【0003】
皮膚水和は、皮膚炎及び乾癬などの皮膚バリア機能障害のいろいろな状態を有する個体の皮膚の性質及び生活の質を顕著に改善することが示されている(例えば、アトピー性皮膚炎の管理のための診察ガイドライン(Guidelines of care for the management of atopic dermatitis)、非特許文献1;乾癬及び乾癬性関節炎の管理のための診察ガイドライン(Guidelines of care for the management of psoriasis and psoriatic arthritis)、非特許文献2を参照)。しかしながら、そのような状態を有する個体は、依然として、局所軟膏及び/又はモイスチャライザーと組み合わせることが多い、密封包帯の使用に主に頼っている(例えば、非特許文献3を参照)。例えば、エモリエント系モイスチャライザーは、角質層におけるケラチンの水和を増大させ、落屑の低下を助けるので、多くの場合、アジュバント療法及びそのような状態の管理の不可欠な部分と考えられる。皮膚水和が、経表皮水分喪失によって生じる刺激の一時的な緩和をもたらすので、密封包帯、局所軟膏、及びモイスチャライザーは、有益な第一選択の治療である。角質層の水和が、表皮を外因性のストレス要因に対してより抵抗性にし、表皮剥離又は浸軟によって生じるケブネル現象及び化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)に起因する感染巣などの他の望ましくない状態の誘導を低減させるので、皮膚水和はバリア機能の改善をさらにもたらす。しかしながら、現在の密封包帯は、多くの場合、酸素と水の両方を排除するように設計されており、それにより、皮膚の酸素利用を遮断しつつ、皮膚水和を提供している。
【0004】
密封包帯、局所軟膏、及び/又はモイスチャライザーは、多くの場合、扱いにくく、個人の定型的動作を難しくし、結果として、そのような包帯、軟膏、及び/又はモイスチャライザー使用の患者コンプライアンスを悪くする。さらに、密封包帯、局所軟膏、及び/又はモイスチャライザーは、すぐにすり減るので、多くの場合、効果的にするために1日に複数回適用する必要がある。さらに、エモリエント系モイスチャライザーは、刺激性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、処方成分に対するアレルギー、刺痛、コスメティックアクネ、及び他の望ましくない作用などの副作用を引き起こすことがある。したがって、効果的でもあり、望ましくない副作用もない、皮膚バリア機能障害の状態を治療する代替方法を見出すことが望ましい。
【0005】
装着可能な皮膚適合性材料の設計及び採用は、いくつかの基本的な課題を突き付ける。第一に、この材料は、皮膚の刺激及び/又は感作を引き起こすことなく、皮膚に安全に装着されなければならない。第二に、この材料は、皮膚に付着する一方で、環境との通気性はあるが、防御性のインターフェースを提供しなければならない。第三に、この材料は、運動に対する正常な皮膚の機械的応答に対応すると同時に、本来の皮膚の張力及び弾性収縮力を補強する機械的性質を保有しなければならない。第四に、この材料は、好ましくは、広範囲にわたる個々の皮膚タイプについての正常で健康な皮膚の外観を模倣するか、又は該外観を少なくともそれほど大きくは妨げないものであるべきである。落屑、発赤、並びに瘤及び/又は大きな毛穴などの凸凹の欠如などの、正常で健康な皮膚の外観の例は、Igarashiらの文献、ヒトの皮膚の外観:調査(The Appearance of Human Skin: A Survey)、Foundations and Trends(登録商標)in Computer Graphics and Vision, 2007 3(1):1-95に記載されている。
【0006】
シリコーン創傷包帯(例えば、Cica-Care(登録商標)、Smith and Nephew, Andover, MA)及びアクリル創傷包帯(例えば、Tegaderm(商標)、3M、St. Paul, Minnesota)などの、市販の予め形成された皮膚付着性創傷包帯が現在販売されている。しかしながら、そのような予め形成された創傷包帯は、面積及び大きさが固定のものであり、扱いにくく、視覚的に目立ち、かつ定型的日常動作に必要とされる十分な可撓性及び耐久性を提供しない。
【0007】
3M Companyは、汚物及び細菌を排除する通気性防水保護を与えると主張する「液体絆創膏(Liquid Bandage)」製品を提供している。しかしながら、そのような液体絆創膏は、定型的日常動作に必要とされる十分な可撓性及び耐久性を提供せず、多くの場合、艶のある/光沢のある外観を有し、擦ると大きく損なわれる機械的完全性及び付着性に悩まされる。
特許文献1は、皮膚科的障害などの皮膚バリア機能障害の状態の治療及びレーザー、光線、又は化学物質治療後の管理のための組成物を開示している。しかしながら、そのような組成物は、依然として、所望するほどの耐久性はなく、1日に複数回の適用を必要とする。
したがって、すぐに形成し、かつ薄く、耐久性があり、非侵襲性で、使い勝手がよく、かつ皮膚のような性質を有する、皮膚の機能を修飾するための組成物、装置、及び方法が、依然として必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許公開第20130078209号
【非特許文献】
【0009】
【文献】J.Am.Acad.Dermatol.,2014 71(1):116-32
【文献】J.Am.Acad.Dermatol.2009,60(4):643-59
【文献】Hwangらの文献、Internat.J.Dermatol. 2001,40(3):223-231
【文献】Igarashiらの文献、ヒトの皮膚の外観:調査(The Appearance of Human Skin: A Survey)、Foundations and Trends(登録商標)in Computer Graphics and Vision,2007 3(1):1-95
【発明の概要】
【0010】
(発明の概要)
本発明は、少なくとも一部は、耐久性があり、自然な外見の、非侵襲性の組成物、及びそのような組成物を皮膚バリア機能障害の状態の治療において使用する方法の発見に基づいている。本発明は、1以上の皮膚バリア機能の増強及び/又は再建を可能にするカバー、層、フィルム、装置、又は人工皮膚を形成することができる安全な組成物を提供する。
【0011】
本組成物は、本組成物によって形成される層が、低い粘着性を有し、素早く形成され、結果として、体の外側で(例えば、皮膚又は任意の他の体表面で)、装着可能で、快適で(正常で健康な皮膚と同様の温度及び湿度を維持する)、通気性があり、薄く、光学的に不可視で、美容的にエレガントで、可撓性があり、延伸性があり、弾性があり、かつ体の動きに同調し、しかも、長持ちするカバー、層、フィルム、又は装置を生じるという点で以前の組成物とは異なっている。本発明は、特に、より労力を要する動作、例えば、運動、シャワー、及び水泳(海水、淡水、又は塩素処理水中)、蒸し風呂室(高温、高湿度)、及びサウナ(高温、低湿度)の間、以前の組成物よりも長持ちし、かつ良好に機能する新規の組成物を提供する。
【0012】
特に、本明細書に開示される組成物から形成されるカバー、層、フィルム、又は装置は、皮膚の経皮輸送特性を調節する。一態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、体からの水蒸気の喪失を低下させることにより、皮膚水和の維持を助ける。別の態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、環境因子(例えば、暑さ、寒さ、風、水、湿気、体液(例えば、血液、膿/膿液(liquor puris)、尿、唾液、喀痰、涙、精液、乳、又は膣内分泌物)、皮脂、食塩水、海水、石鹸水、洗剤水、又は塩素処理水)、病原体、アレルゲン、及び起痒物質などの外部からの攻撃から体を保護するのを助ける。別の態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、瘢痕形成を最小限に抑える創傷治癒などの新たな皮膚層の形成の間に皮膚修復を促す状態の維持を助ける。別の態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、皮膚科的障害、皮膚疾患、及び創傷を含む、皮膚バリア機能障害の状態を治療するのに使用される。別の態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、皮膚の痒み、皮膚の乾燥、痂皮形成、水疱形成、又は皮膚の亀裂、皮膚炎、皮膚の浮腫、皮膚の病変形成などの、皮膚バリア機能障害の状態の症状を治療するのに使用される。別の態様において、該カバー、層、フィルム、又は装置は、皮膚バリア機能障害の状態を治療するために、又はそのような状態の症状を治療するために、薬剤を対象に送達するのに使用される。
【0013】
本組成物によって形成されるカバー、層、フィルム、又は装置は、装着者の通常の動作に邪魔にならず、かつ使い勝手がよく(約24時間以上、最大約1週間まで、1回の適用しか必要ない)、局所的かつ持続的な皮膚水和、並びに他の治療的、審美的、及び/又は美容的利益をもたらす。
【0014】
本組成物によって形成されるカバー、層、フィルム、又は装置は、対象の正常で健康な皮膚の外観を有し、そのため、皮膚バリア機能障害の状態、皮膚バリア機能障害の症状、及び/又は皮膚の欠点の外観をマスクし、覆い隠し、カバーし、又は軽減することにより、美容的利益をもたらす。本組成物によって形成されるカバー、層、フィルム、又は装置は、様々な色、真珠光沢、模様、又はデザインをさらに含み、そのため、化粧的、美容的、審美的、及び/又は装飾的利益をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、約24時間の時点でのP1-016/P2-004又は市販製品によって形成された層の耐久性を示すチャートである。
【0016】
図2図2は、P1-016/P2-004又は市販製品によって形成された層の指触乾燥時間を示すチャートである。
【0017】
図3図3は、第一の部分におけるヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けられた、組成物P1-017/P2-004~P1-023/P2-004を比較した指触乾燥時間及び不粘着時間を示すチャートである。
【0018】
図4図4は、第一の部分におけるヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けられた、組成物P1-017/P2-004~P1-023/P2-004を比較した単位長さ当たりの接着剥離力を示すチャートである。
【0019】
図5図5は、皮膚上の試験組成物P1-030/P2-021(フルカバレッジ着色フィルム)及びP1-028/P2-004(透明着色フィルム)を摩擦することに対するインビボフィルム耐性を示す写真セットである。
【0020】
図6図6は、皮膚上のP1-016/P2-004の6時間及び24時間後のインビボ耐久性の臨床的評価を示すチャートである。
【0021】
図7A図7Aは、組成物P1-016/P2-004の不可視性を市販のTegaderm(商標)製品(3M)と比較した、前腕皮膚上の試験製剤に対する色L*a*b*スケールのインビボ光学的評価を示すチャートである。
【0022】
図7B図7Bは、組成物P1-016/P2-004の不可視性を市販のTegaderm(商標)製品(3M)と比較した、前腕皮膚上での値に対する、試験製剤に対する色L*a*b*スケールの標準化された値のインビボ光学的評価を示すチャートである。
【0023】
図8図8は、(上)男性対象の両眼下部分、(真ん中)女性対象の両眼下部分、(下)女性対象の両方の笑いじわ部分で:P1-016/P2-004によって達成された皮膚表面調節のインビボ評価を示す写真セットである。
【0024】
図9図9は、(上)天然の色素沈着過剰の被覆の上で、(下)タトゥーの被覆の上で:P1-030/P2-021によって達成された皮膚の光学的修飾のインビボ評価を示す写真セットである。
【0025】
図10図10は、皮膚上での刺激応答性成分の試験組成物への取込みを示す写真セットである。(左)組成物P1-029/P2-004はグラフェンを含み、及び(右)組成物P1-028/P2-004はpH-感受性色素を含む。
【0026】
図11図11は、皮膚上での試験組成物P1-016/P2-004の防水性を示す透水に対するインビボバリア保護を示す写真セットである。
【0027】
図12図12は、組成物P1-016/P2-004(右側)を対照(左側、試験組成物なし)と比較した、ニッケル接触に対するインビトロバリア評価を示すチャートである。対照(左)は、ニッケルとの直接的な接触を示すピンク色への変色を示した。対照的に、試験品P1-016/P2-004を含む右側は、ニッケル接触に対するフィルムのバリア保護のために、変色を示さなかった。
【0028】
図13図13は、P1-026/P2-004を対照ブランク及び一般用医薬品SPF 50スプレー(Banana Boat)と比較した、UV照射に対するインビトロバリア評価を示すチャートである。
【0029】
図14A図14Aは、様々な厚さのP1-016/P2-004(右側)を対照(左側、試験組成物なし)と比較した、水蒸気透過を示すチャートである。
【0030】
図14B図14Bは、様々な厚さのP1-016/P2-004(右側)に基づく水蒸気透過率の計算を示すチャートである。
【0031】
図15図15は、蒸発計測定による2、6、及び24時間後の皮膚上の組成物P1-016/P2-004のインビボ経表皮水分喪失(TEWL)の臨床的評価を示すチャートである。
【0032】
図16A図16Aは、0.1%トリアムシノロンアセトニドローション(TA)(Versa Pharma製)と0.1%TA上に重層されたP1-016/P2-004とP1-027/P2-004とを比較した、局所製剤からの1、2、4、6、8、及び24時間後のトリアムシノロンアセトニドの累積経皮送達用量(レセプター液由来)を示すチャートである。
【0033】
図16B図16Bは、0.1%トリアムシノロンアセトニドローション(TA)(Versa Pharma製)と0.1%TA上に重層されたP1-016/P2-004とP1-027/P2-004とを比較した、局所製剤からの24時間後のテープストリッピング中のトリアムシノロンアセトニドの累積送達用量を示すチャートである。
【0034】
図16C図16Cは、0.1%トリアムシノロンアセトニドローション(TA)(Versa Pharma製)と0.1%TA上に重層されたP1-016/P2-004とP1-027/P2-004とを比較した、局所製剤からの24時間後の表皮液、真皮液、及びレセプター液中のトリアムシノロンアセトニドの累積送達用量を示すチャートである。
【0035】
図17図17は、乾癬領域及び重症度インデックス(PASI)スコアの臨床的測定に使用される例示的形態である。
【0036】
図18A図18Aは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後のIGAによる湿疹重症度の臨床的改善を示すチャートである。
【0037】
図18B図18Bは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の紅斑の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0038】
図18C図18Cは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の丘疹の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0039】
図18D図18Dは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の表皮剥離の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0040】
図18E図18Eは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の苔蘚化の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0041】
図18F図18Fは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の湿潤(oozing)/痂皮形成の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0042】
図18G図18Gは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の掻痒症の臨床所見の改善を示すチャートである。
【0043】
図18H図18Hは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の対象の太もも部分のいくつかの臨床所見の改善を示すチャートである。
【0044】
図18I図18Iは、30日間にわたる組成物P1-016/P2-004の適用後の対象の首及び肩の部分のいくつかの臨床所見の改善を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(発明の詳細な説明)
本明細書に開示されるのは、皮膚上でカバー、層、フィルム、装置、及び/又は人工皮膚を形成することができる組成物であって、低い粘着性を有し、素早く形成され、結果として、装着可能で、快適で(正常で健康な皮膚と同様の温度及び湿度を維持する)、通気性があり、薄く、光学的に不可視で、美容的にエレガントで、可撓性があり、延伸性があり、弾性があり、かつ体の動きに同調し、しかも、長持ちするカバー、層、フィルム、装置、及び/又は人工皮膚を有し、皮膚水和並びに他の治療的、審美的、及び/又は美容的利益を提供するように、快適に装着されることができる、組成物である。
【0046】
本発明は、特に、より労力を要する動作、例えば、運動、シャワー、及び水泳(海水、淡水、又は塩素処理水中)、蒸し風呂室(高温、高湿度)、及びサウナ(高温、低湿度)の間、以前の組成物よりも長持ちし、かつ良好に機能する新規の組成物を提供する。さらなる利益は、層の長期装着性及び/又は耐久性がその利益を持続するために反復適用を必要としないということである。形成される層は、再適用する必要なく、約24時間以上の期間にわたって装着することができる。
【0047】
特に、本明細書に開示される組成物によって形成される層は、皮膚の経皮輸送特性を調節し、体から環境への水蒸気損失に対して皮膚上にさらなるバリアを提供することにより、皮膚水和の維持を助け、環境因子(例えば、暑さ、寒さ、風、水、湿気)、体液(例えば、血液、膿/膿液、尿、唾液、喀痰、涙、精液、乳、又は膣内分泌物)、皮脂、食塩水、海水、石鹸水、洗剤水、塩素処理水、病原体、アレルゲン、及び起痒物質などの外部及び内部攻撃から体を保護することを助け、かつ瘢痕形成を最小限に抑える創傷治癒などの新たな皮膚層形成の間に、皮膚修復を促す状態の維持を助ける。
【0048】
審美的に快適な組成物の1日1回、又はそれより低頻度の適用によるコンプライアンスの向上をもたらすことに加えて、そのような組成物の使用者は治療的効果からの利益を得る。本明細書に記載される組成物及び方法は、皮膚バリア機能障害の状態の現在の治療選択肢に対するより魅力的な代替案を提供する。
【0049】
本組成物は、皮膚に安全に装着することができる、審美的に不可視で、弾性があり、皮膚に適合するカバー、層、フィルム、装置、及び/又は人工皮膚を形成させるための簡単な局所適用に好適である。本組成物中で使用される材料は、好ましくは、米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)の一般に安全と認められた(Generally Regarded as Safe)(GRAS)物質もしくはその等価物のリストから選択されるか、又は別の形で皮膚及び/もしくは体への適用に安全である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「皮膚」という用語は、正常な皮膚が無傷であるか、損傷しているか、又は部分的にもしくは完全に喪失しもしくは除去されている体表面を含む。皮膚は、一般に「皮膚」の部分と考えられる皮膚の欠点をさらに含む。皮膚の欠点の例としては、しわ、しみ、そばかす、座瘡、ほくろ、疣、病斑、瘢痕、タトゥー、あざ、皮膚の変形、母斑、日焼けによる損傷、加齢による損傷、色素斑(例えば、老人性色素斑)、不均一な皮膚の色合い、皮膚のたるみ、セルライト、妊娠線、皮膚の弾力性の喪失、皮膚の粗さ、毛穴の拡大、色素沈着過剰、毛細血管拡張症、赤み、てかり、ポートワイン母斑(又は火炎状母斑、例えば、頂部火炎状母斑もしくは正中火炎状母斑)、及び黒皮症が挙げられる。皮膚は、任意の化粧品材料、パーソナルケア材料、医用材料、塗材、もしくは任意の他の異質な材料、又はこれらの組合せが適用される皮膚部分をさらに含む。
【0051】
本明細書で使用される場合、「層」という用語は、表面に形成されるか、噴霧されるか、又は広げられるカバー、フィルム、シート、バリア、コーティング、膜、装置、又は人工皮膚を含む。層は、連続的であり得るが、必ずしもそうとは限らない。層は、実質的に均一な及び/又は一様の厚さを有し得るが、必ずしもそうとは限らない。
【0052】
本明細書で使用される場合、「皮膚バリア機能障害」、「皮膚バリア障害」、又は「皮膚障害状態」という用語は、皮膚科的障害、皮膚疾患、及び創傷などの状態を含む。
【0053】
「皮膚科的障害」は、医学的処置を必要とし得る対象の皮膚上の少なくとも1つの症状を引き起こす障害を含む。皮膚科的障害は、特に、自己免疫障害及び/又はアレルゲンもしくは化学物質などの環境因子によって引き起こされ得る。皮膚科的障害の症状の例としては、皮膚の痒み、皮膚の乾燥、皮膚のかさぶた、水膨れ、もしくはひび割れ、皮膚炎、皮膚の浮腫、又は皮膚の病変形成が挙げられるが、これらに限定されない。皮膚科的障害としては、湿疹、乾癬、魚鱗癬、酒さ、慢性乾燥皮膚、皮膚ループス、慢性単純性苔癬、乾皮症、座瘡、疾患誘発性続発性皮膚科的障害、及び潰瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
湿疹には、例えば、アトピー性湿疹、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、光毒性皮膚炎、乾性湿疹(別名、乾皮性湿疹、亀裂性湿疹(eczema craquele)もしくは亀裂性湿疹(eczema craquelatum)、冬の痒み、又は冬季掻痒症)、脂漏性皮膚炎(又は脂漏性湿疹)、発汗異常(別名、汗疱状湿疹、汗疱、小水疱性掌蹠皮膚炎、又は主婦湿疹)、円板状湿疹(別名、貨幣状湿疹、滲出性湿疹、微生物性湿疹)、静脈性湿疹(別名、重力性湿疹、鬱滞性皮膚炎、静脈瘤性湿疹)、疱疹状皮膚炎(別名、デューリング病)、神経皮膚炎(別名、慢性単純性苔癬、限局性掻爬皮膚炎)、自己湿疹化、及びレチノイド誘発性皮膚炎が含まれる。
【0055】
乾癬には、例えば、尋常性乾癬(別名、斑状乾癬)、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬(フォン・ツンブッシュ乾癬、掌蹠乾癬、及び先端膿疱症乾癬を含む)、薬物誘発性乾癬、逆乾癬、脂漏様乾癬、並びに滴状乾癬が含まれる。
【0056】
魚鱗癬には、例えば、尋常性魚鱗癬、後天性魚鱗癬、X連鎖魚鱗癬、非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(nbCIE)、表皮剥離性角化症(水疱性魚鱗癬、bCIE)、ハーレークイン型魚鱗癬、ジーメンス型水疱性魚鱗癬、豪猪状魚鱗癬、難聴を伴うクルス・マクリン型豪猪様魚鱗癬、葉状魚鱗癬1型、葉状魚鱗癬2型、葉状魚鱗癬3型、葉状魚鱗癬4型、葉状魚鱗癬5型、CHILD症候群、コンラーディ・ヒューネルマン症候群、無毛症及び羞明を伴う毛包性魚鱗癬症候群、角膜炎-魚鱗癬-難聴症候群、ネザートン症候群、魚鱗癬を伴う中性脂肪蓄積症、成人レフサム病、魚鱗癬及び男性性腺機能低下症、シェーグレン・ラルソン症候群、並びに光線過敏性硫黄欠乏性毛髪発育異常症(IBIDS症候群)が含まれる。
【0057】
酒さには、例えば、紅斑毛細血管拡張性酒さ、丘疹膿疱性酒さ、瘤腫性酒さ(例えば、鼻瘤)、及び肉芽腫性酒さが含まれる。
【0058】
皮膚ループスには、例えば、急性皮膚ループス、亜急性皮膚ループス、慢性皮膚ループス、凍瘡状エリテマトーデス、円板状エリテマトーデス、エリテマトーデス-扁平苔癬重複症候群、エリテマトーデス性脂肪織炎、腫脹性エリテマトーデス、及び疣状エリテマトーデスが含まれる。
【0059】
座瘡には、例えば、尋常性座瘡、夏季座瘡、集簇性座瘡、化粧品座瘡(acne cosmetic)、激症座瘡、項部ケロイド座瘡、機械的座瘡、薬物性座瘡(別名、薬物誘発性座瘡、例えば、ステロイド座瘡)、粟粒性壊疽性座瘡、壊疽性座瘡、酒さ性座瘡、及び化膿性汗腺炎が含まれる。
【0060】
「疾患誘発性続発性皮膚科的障害」は、治療を必要とする可能性があり、かつ非皮膚科的障害によって引き起こされたか又は非皮膚科的障害と関連する皮膚科的状態を指す。「非皮膚科的障害」には、一次的には皮膚と関連しないが、皮膚疾患の二次的症状、例えば、対象の循環系もしくは代謝の障害を生じるか、これらと関連するか、又はこれらを有する可能性がある障害が含まれる。疾患促進性二次性皮膚科的障害には、例えば、真性糖尿病によって生じる潰瘍(例えば、糖尿病性足潰瘍)、細菌感染、ウイルス感染、もしくは真菌感染、癌、圧力(例えば、床ずれ)、血液障害、神経系に影響を及ぼす状態(例えば、神経障害性潰瘍(別名、「穿孔症(mal perforans)」))、神経系に影響を及ぼす状態(例えば、動脈不全潰瘍(別名、「虚血性潰瘍」)もしくは血管潰瘍)、及び/又は慢性創傷が含まれる。
【0061】
「皮膚疾患」には、皮膚の痒み、皮膚の赤むけ、皮膚の乾燥、皮膚のかさつき又は剥離、皮膚の水膨れ、皮膚の赤み、腫れ、又は炎症、及び皮膚の湿潤、痂皮形成、又は落屑が含まれるが、これらに限定されない。皮膚疾患には、レーザー、光線、又は化学物質による剥離処置によって生じる皮膚バリア障害状態も含まれる。
【0062】
「創傷」には、皮膚が裂傷、切傷、又は刺傷した場合の皮膚の損傷が含まれる。創傷には、開放性創傷、例えば、擦過傷、裂傷、切傷、刺傷、裂離創、又は切断が含まれる。創傷には、熱、電気、風、化学物質、光、放射線、又は摩擦によって生じる皮膚及び/又は肉の損傷の一種である熱傷創も含まれる。
【0063】
「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、治療的手段と予防的(prophylactic)/予防的(preventative)手段の両方を含む。「治療する」、「治療すること」、及び「治療」は、疾患修飾治療と対症療法の両方をさらに含む。治療は、皮膚バリア機能障害の状態の少なくとも1つの症状の重症度及び/もしくは持続期間を改善するか、又はその低下をもたらすことができる。治療は、皮膚バリア機能障害の状態からの完全な回復をもたらすこともできる。
【0064】
「適用する」、「適用される」、及び「適用」は、本発明の組成物を対象の皮膚又は体に接触させ又は投与する任意の及び全ての公知の方法を含む。適用は、指、手、ブラシ、綿ボール、綿棒、ティッシュ、パッド、スポンジ、ロールオン、ヘラ、ディスペンサー、点滴、スプレー、スプラッシュ、フォーム、ムース、セラム、スプリッツ、及び他の適切な方法によるものであり得る。
【0065】
「対象」には、本明細書に開示される組成物が使用されるのに適している対象、特に、動物(例えば、ヒト)が含まれる。対象には、植物がさらに含まれてもよく、この場合、皮膚は、該組成物の適用から利益を得ることができる植物の部分、例えば、花、葉、果実、幹、枝、皮、及び根の表面を指す。
【0066】
「インビトロ」は、対象の皮膚又は体の上でも、その中でも、その表面でもない場所で試験又は形成されることを意味する。
【0067】
「定型的日常動作」は、摂取(例えば、食べること、飲むこと、服薬)、随意調節(例えば、排尿及び排便)、トイレ動作、更衣、入浴(bathing)(例えば、シャワー、入浴(bath))、整容、物理的移動(例えば、歩行、乗り物利用)、会話(例えば、電話の使用)、食事準備、家事、洗濯、買い物、及び財産管理などの手段的日常生活動作を含む。そのような日常動作の例は、Lawton及びBrodyの文献、高齢者の評価:自己維持的及び手段的日常生活動作(Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living)、Gerontologist 1969 Autumn;9(3):179-86、及びKatzらの文献、高齢者の病気の研究。ADLの指標:生物学的及び心理社会的機能の標準指標(Studies of Illness in the Aged. The Index of ADL: A Standardized Measure of Biological and Psychosocial Function)、JAMA 1963 Sep 21;185:914-9に記載されている。
【0068】
「労力を要する動作」は、定型的日常動作によってもたらされる歪み又は応力と比較して上昇したレベルの歪み及び/又は応力を対象の皮膚に生じさせる動作を含む。そのような労力を要する動作の例としては、運動、水泳(海水、淡水、又は塩素処理水中)、蒸し風呂室(高温、高湿度)、サウナ(高温、低湿度)、及び他の同様の動作が挙げられる。
【0069】
別途明記されない限り、本明細書に開示される任意の組成物の部分として使用される任意の材料の説明は、そのような材料と該組成物の他の成分との混合、組み合わせ、及び/又は反応の前の該組成物の成分と同じような材料のものである。
【0070】
本発明の一態様は、少なくとも1つの架橋可能なポリマーを含む組成物に対するものである。「架橋可能なポリマー」は、それ自体でもしくは他のポリマーと物理的にもしくは化学的に相互作用するか、又は物理的にも化学的にも相互作用して、それが適用される表面(例えば、皮膚、皮革、ガラス、プラスチック、金属)に層を形成することができるポリマーを指す。「物理的に相互作用する」とは、2以上のポリマー鎖間の非共有結合的相互作用(例えば、水素結合、又は静電気力、極性力、イオン力、ファン・デル・ワールス力、もしくはロンドン力)の形成を指す。「化学的に相互作用する」とは、2以上のポリマー鎖間の共有結合の形成を指す。共有結合は、自発的に生じるか、又は例えば、触媒、水分、熱、圧力、pHの変化、もしくは放射線によって開始される化学反応によって形成されることができる。架橋可能なポリマーは、ホモポリマーもしくはコポリマー、例えば、ランダムコポリマー、交互コポリマー、周期性コポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、グラフトもしくはグラフテッドコポリマー、又はこれらの組合せであることができる。
【0071】
ある実施態様において、該組成物は、半結晶性ポリマー、荷電ポリマー、水素結合することができる結合を有するポリマー、又は相分離ネットワークを形成することができるポリマー(例えば、ポリ(スチレン-ブタジエン)、ポリ(ジメチルシロキサン-エチレンオキシド))などの、1以上の物理的に架橋可能なポリマーを含む。好ましい実施態様において、該組成物は、水素結合架橋ネットワーク及び/又はイオン架橋ネットワークを形成することができる1以上の物理的に架橋可能なポリマーを含み、その非限定的な例としては、以下のもの:カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、セバシン酸(sebacic)、アジピン酸(adipic)、及び炭酸トリメチレンのうちの2つ又はそれより多くの間のコポリマーが挙げられる。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、1以上の架橋可能な生体ポリマーを含み、その非限定的な例としては、以下のもの:ケラチン、エラスチン、コラーゲンなどのタンパク質に基づくポリマー;もしくはキチン、キトサン、セルロース、デンプンなどの糖に基づくポリマー;もしくはセラミド、トリグリセリド、スフィンゴシンなどの脂質に基づくポリマー、又はこれらの組合せのうちの1つ又は複数が挙げられる。
【0072】
ある実施態様において、該組成物は、付加重合、鎖成長重合、段階成長重合、開環重合、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、縮合重合、リビング重合、光重合、放射線重合、又は1以上の化学結合を形成する他の化学反応を行うことができる官能基を含むポリマーなどの、1以上の化学的に架橋可能なポリマーを含む。好ましい実施態様において、該組成物は、共有結合的架橋ネットワークを形成することができる1以上の化学的に架橋可能なポリマーを含む。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、ポリシロキサン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリウレア、ポリカルボネート、ポリグリセロール、ポリウレタン、ポリエステル(限定されないが、ポリ乳酸-コ-グリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、及びポリヒドロキシブチレート、ポリアミドを含む)、ポリスルホン、ポリホスフェート、ポリアミン、ポリイミン、ポリチオール、ポリボロン、又はこれらの組合せから選択される1以上の化学的に架橋可能なポリマーを含む。
【0073】
ある実施態様において、該組成物は、1以上の物理的にも化学的にも架橋可能なポリマーを含む。好ましい実施態様において、該組成物は、ケラチン、エラスチン、コラーゲン、又はこれらの組合せなどの、1以上の物理的にも化学的にも架橋可能なポリマーを含む。
【0074】
好ましい実施態様において、該組成物は、1以上の架橋可能な有機ポリマーを含む。「有機ポリマー」は、炭素を含むポリマーを指す。
【0075】
ある実施態様態様において、該組成物は:ポリマーA)平均して少なくとも2つの炭素二重結合(すなわち、アルケニル官能基)又は少なくとも1つの炭素三重結合(すなわち、アルキニル-官能基)を各々の分子内に有する1以上の有機ポリマー;及びポリマーB)平均して少なくとも2つのSi-水素含有モノマー単位(Si-H単位)を各々の分子内に有する1以上のオルガノポリシロキサンを含む。
【0076】
好ましい実施態様において、該有機ポリマーは、以下のモノマー単位:
【化1】
【0077】
及び末端単位:
【化2】
に基づくポリマーであるオルガノポリシロキサンを含む。
【0078】
ここで、各々のR1、R2、及びRt 1~Rt 6は、独立に、水素、C1-25アルキル、C2-25アルケニル、C2-25アルキニル、C5-10アリール、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシから選択され、ここで、該C1-25アルキル、C2-25アルケニル、C2-25アルキニル、及びC5-10アリールは、C1-25アルキル、ハロゲン、ハロC1-25アルキル、アミノ、及びヒドロキシから選択される1~3個の置換基で任意に置換されていてもよく、かつnは10~3000の整数である。各々のモノマー単位のR1及びR2は同じであってもよいが、必ずしも同じとは限らない。
【0079】
本明細書で使用される場合、「アルキル」、「アルケニル」、及び「アルキニル」は、直鎖炭化水素基と分岐状炭化水素基の両方を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ」は、-NH2などの第1級アミンと第2級又は第3級アミンの両方を含み、ここで、水素原子の一方又は両方は、アルキル基で置換されている。非シロキサン反復単位は、オルガノポリシロキサンのポリマー骨格中に存在し得る。
【0080】
好ましい実施態様において、Rt 1及びRt 4は、アルケニル又はアルキニルであり、各々のR1、R2、Rt 2、Rt 3、Rt 5、及びRt 6は、C1-25アルキル、C5-10アリール、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシから独立に選択され、ここで、該C1-25アルキル、C2-25アルケニル、及びC5-10アリールは、C1-25アルキル、ハロゲン、ハロC1-25アルキル、アミノ、及びヒドロキシから選択される1~3個の置換基で任意に置換されていてもよい。さらに好ましい実施態様において、Rt 1及びRt 4は、アルケニル又はアルキニルであり、各々のR1、R2、Rt 2、Rt 3、Rt 5、及びRt 6は、独立に、ハロゲン又はハロC1-25アルキルから選択される1~3個の置換基で任意に置換されたC1-25アルキルである。
【0081】
ある実施態様において、Rt 1及びRt 4は水素であり、各々のR1、R2、Rt 2、Rt 3、Rt 5、及びRt 6は、C1-25アルキル、C5-10アリール、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシから独立に選択され、ここで、該C1-25アルキル及びC5-10アリールは、C1-25アルキル、ハロゲン、ハロC1-25アルキル、アミノ、及びヒドロキシから選択される1~3個の置換基で任意に置換されていてもよい。好ましい実施態様において、各々のR1、R2、及びRt 1~Rt 6は、水素、C1-25アルキル、C5-10アリール、ハロゲン、アミノ、及びヒドロキシから独立に選択され、ここで、該C1-25アルキル及びC5-10アリールは、C1-25アルキル、ハロゲン、ハロC1-25アルキル、アミノ、及びヒドロキシルから選択される1~3個の置換基で任意に置換されていてもよい。好ましい実施態様において、該オルガノポリシロキサン中のSi-H単位は、平均して、少なくとも約1モノマー単位、約2モノマー単位、約5モノマー単位、約10モノマー単位、約20モノマー単位、約40モノマー単位、約200モノマー単位、約400モノマー単位、約1,000モノマー単位、又は約2,000モノマー単位だけ離れている。
【0082】
ある実施態様において、該オルガノポリシロキサンは、主に、シロキサンモノマー単位から構成される、すなわち、ポリマー骨格に沿った反復単位の実質的に全てがシロキサン単位である。好ましい実施態様において、該オルガノポリシロキサンは、ポリマー骨格に沿った90%超、95%超、98%超、又は99%超のシロキサン反復単位を含む。
【0083】
ある実施態様において、該組成物中のポリマーのSi-Hとアルケニル(例えば、ビニル)又はSi-Hとアルキニルのモル比は、約1:5~約60:1;約10:1~約30:1;又は約20:1~約25:1である。
【0084】
好ましい実施態様において、該組成物は:ポリマーA)平均して少なくとも2つの炭素二重結合又は少なくとも1つの炭素三重結合を各々の分子内に有する1以上のオルガノポリシロキサン;及びポリマーB)平均して少なくとも2つのSi-H単位を各々の分子内に有する1以上のオルガノポリシロキサンを含む。
【0085】
好ましい実施態様において、該組成物は、1以上の補強成分をさらに含む。ある実施態様において、該補強成分は、表面処理された炭素、銀、マイカ、硫化亜鉛、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム、粘土(例えば、Al2O3、SiO2)、チョーク、タルク、方解石(例えば、CaCO3)、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、ポリマービーズ、及びシリカ(例えば、アルミン酸シリカ、ケイ酸カルシウム、もしくは表面処理されたシリカ(例えば、フュームドシリカ、ケイ酸、もしくは無水シリカ))、又はこれらの組合せから選択される。そのような補強成分は、本明細書で論じられる層の物理的特性を補強する。好ましい実施態様において、該補強成分は、表面処理されたシリカ、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサデシルシラン、又はメタクリルシランで処理されたシリカである。さらに好ましい実施態様において、該補強成分はフュームドシリカであり、これには、ヘキサメチルジシラザンで表面処理されているフュームドシリカが含まれる。
【0086】
ある実施態様において、該補強成分の粒子は、約50~約500m2/gの平均表面積を有する。好ましい実施態様において、該補強成分の粒子は、約100~約350m2/gの平均表面積を有する。さらに好ましい実施態様において、該補強成分の粒子は、約135~約250m2/gの平均表面積を有する。ある実施態様において、該補強成分は、約1nm~約20μmの平均粒子直径を有する。好ましい実施態様において、該補強成分は、約2nm~約1μm、及びさらに好ましくは、約5nm~約50nmの平均粒子直径を有する。
【0087】
好ましい実施態様において、該組成物は、約5~約90重量%のポリマーA;約5~約75重量%のポリマーB;及び約0~約25重量%の補強成分を含む。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約50~約90重量%のポリマーA;約5~約30重量%のポリマーB;及び約5~約15重量%の補強成分を含む。
【0088】
ある実施態様において、炭素二重又は三重結合を有するオルガノポリシロキサンは、そのような炭素二重結合又は三重結合を、ポリマーの末端単位に、ポリマーの非末端モノマー単位に、又はこれらの組合せで含む。好ましい実施態様において、炭素二重結合又は三重結合を有するオルガノポリシロキサンは、そのような炭素二重結合又は三重結合を、ポリマーの非末端モノマー単位に含む。好ましい実施態様において、オルガノポリシロキサン中の炭素二重結合含有モノマー単位は、平均して、少なくとも約40モノマー単位、約200モノマー単位、約400モノマー単位、約1,000モノマー単位、又は約2,000モノマー単位だけ離れている。
【0089】
ある実施態様において、炭素二重結合又は三重結合を有するオルガノポリシロキサンは、約0.01~約2%、好ましくは、約0.03~約0.6%の重量パーセントの炭素二重結合/三重結合含有モノマー単位を有する。ある実施態様において、炭素二重結合又は三重結合を有するオルガノポリシロキサンは、1キログラム当たり約0.005~約0.5、好ましくは、約0.01~約0.25のビニル当量を有する。オルガノポリシロキサン中の炭素二重結合/三重結合の近似モル量は、該オルガノポリシロキサンの平均分子量に基づいて計算することができる。
【0090】
ある実施態様において、Si-H単位を有するオルガノポリシロキサンは、そのようなSi-H単位を、ポリマーの末端単位に、ポリマーの非末端モノマー単位に、又はこれらの組合せで含む。好ましい実施態様において、Si-H単位を有するオルガノポリシロキサンは、そのようなSi-H単位を、ポリマーの非末端モノマー単位に含む。好ましい実施態様において、オルガノポリシロキサン中のSi-H含有モノマー単位は、平均して、少なくとも約1モノマー単位、約2モノマー単位、約5モノマー単位、約10モノマー単位、約20モノマー単位、約40モノマー単位、約200モノマー単位、約400モノマー単位、約1,000モノマー単位、又は約2,000モノマー単位だけ離れている。
【0091】
ある実施態様において、Si-H単位を有するオルガノポリシロキサンは、約0.003~約50%、好ましくは、約0.01~約25%の重量パーセントのSi-H含有モノマー単位を有する。ある実施態様において、Si-H単位を有するオルガノポリシロキサンは、約0.1mmol/g~約20mmol/g、約0.5mmol/g、及び約10mmol/g、好ましくは、約1mmol/g~約5mmol/gのSi-H含有量を有する。オルガノポリシロキサン中のSi-H単位の近似モル量は、該オルガノポリシロキサンの平均分子量に基づいて計算することができる。本明細書に開示される成分の平均分子量又は分子質量は、一般に、成分の供給業者によって提供され、ダルトン(Da)又はそれと等価のg/molの単位で表される。
【0092】
「粘度」という用語は、剪断応力又は引張応力のいずれかによって変形させられている流体の抵抗の尺度を指す。組成物の粘度は、基板の上に形成される層の厚さ、展延性、並びに均一性及び/又は一様性に影響を与える。粘度は、動的粘度(別名、絶対粘度、代表的な単位Pa・s、ポアズ、P、cP)又は運動学的粘度(代表的な単位cm2/s、ストーク、St、cSt)のいずれかとして報告することができ、この運動学的粘度は、動的粘度を測定された流体の密度で割ったものである。本明細書に開示される成分の粘度範囲は、一般に、成分の供給業者によって、レオメーター又はキャノン・フェンスケ(Cannon-Fenske)チューブ粘度計を用いて測定される運動学的粘度の単位(例えば、cSt)で提供される。
【0093】
流体の粘度は、機器固有の歪みにおいて、例えば、レオメーター(例えば、線形剪断レオメーターもしくは動的剪断レオメーター)又は粘度計(粘度測定計、例えば、毛細管粘度計もしくは回転粘度計とも呼ばれる)を用いて、インビトロで測定することができる。例えば、Thomas G. Mezgerの文献、レオロジーハンドブック:回転振動レオメーターのユーザ向け(The Rheology Handbook: For Users of Rotational and Oscillatory Rheometers)(第2版)、Vincentz Network, 2006、並びにASTM D3835-08、ASTM D2857-95、ASTM D2196-10、及びASTM D2983-09などの米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials)(ASTM)標準により、流体の粘度を測定する方法に関する指示が与えられる。流体の粘度は、本明細書に記載されるレオメーター粘度測定試験を用いて、インビトロで測定されることが好ましい。流体の密度は、温度又は圧力によって様々であり得る。別途規定されない限り、本明細書に開示される組成物、層、及び/又は装置の全ての特性は、粘度を含め、室温(約25℃)及び約1大気圧で測定される。
【0094】
ある実施態様において、該組成物は、約25℃で、約100cP超かつ約1,000,000cP未満の粘度を有する。ある実施態様において、該組成物は、約25℃で、約750,000cP未満、約500,000cP未満、又は約250,000cP未満の粘度を有する。好ましい実施態様において、該組成物は、約25℃で、約200,000cP未満、約175,000cP未満、約150,000cP未満、約125,000cP未満、約100,000cP未満、又は約80,000cP未満の粘度を有する。ある実施態様において、該組成物は、約25℃で、約100cP超、約500cP超、又は約1000cP超の粘度を有する。好ましい実施態様において、該組成物は、約25℃で、約2000cP超、約5000cP超、約7500cP超、又は約10,000cP超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約25℃で、約15,000cP超の粘度を有する。
【0095】
好ましい実施態様態様において、該組成物は:ポリマーA)平均して少なくとも2つのアルケニル官能基を有し、かつ約25℃で約10,000~約2,000,000cStの粘度を有する1以上のオルガノポリシロキサン;ポリマーB)平均して少なくとも2つのSi-H単位を有し、かつ約25℃で約2~約100,000cStの粘度を有する1以上のオルガノポリシロキサン;及び任意に、ポリマーC)平均して少なくとも1つのアルケニル官能基を有し、かつ約25℃で約0.7~約10,000cStの粘度を有する1以上のオルガノポリシロキサンを含む。
【0096】
ある実施態様において、ポリマーB由来のSi-H官能基とポリマーA由来のアルケニル官能基のモル比は、約60:1~約1:5である。好ましい実施態様において、ポリマーB由来のSi-H官能基とポリマーA由来のアルケニル官能基のモル比は、約45:1~約15:1である。ある実施態様において、ポリマーB由来のSi-H官能基とポリマーC由来のアルケニル官能基のモル比は、約60:1~約1:5である。好ましい実施態様において、ポリマーB由来のSi-H官能基とポリマーC由来のアルケニル官能基のモル比は、約45:1~約15:1である。ある実施態様において、ポリマーA由来のアルケニル官能基とポリマーC由来のアルケニル官能基のモル比は、約100:1~約1:100である。好ましい実施態様において、ポリマーA由来のアルケニル官能基とポリマーC由来のアルケニル官能基のモル比は、約10:1~約1:10である。
【0097】
ある実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約10,000~約2,000,000cStの粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約20,000超、約40,000超、約60,000超、約80,000超、又は約100,000cSt超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約125,000超又は約150,000cSt超の粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約1,000,000cSt未満、約500,000cSt未満、約450,000未満、約400,000未満、約350,000未満、約300,000未満、又は約250,000cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約200,000未満又は約180,000cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約25℃で、約165,000cStの粘度を有する。
【0098】
ある実施態様において、ポリマーAは、約60,000Da~約500,000Daの平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーAは、約72,000Da、約84,000Da、約96,000Da、又は約100,000Da超の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約140,000Da又は約150,000Da超の平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーAは、約200,000Da未満、約190,000Da未満、約180,000Da、又は約170,000Daの平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約160,000Da未満の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーAは、約155,000Daの平均分子量を有する。
【0099】
ある実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約2~約500,000cStの粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約3cSt超、約4cSt超、又は約12cSt超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約40cSt超の粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約200,000未満、約100,000未満、約50,000未満、約20,000未満、約10,000未満、約5,000未満、約2,000未満、又は約1,000cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約500cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、約25℃で、約45~約100cStの粘度を有する。
【0100】
ある実施態様において、ポリマーBは、約400~約500,000Daの平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーBは、約500Da、約800Da、約1,200Da、又は約1,800Da超の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、約2,000Da超の平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーBは、約250,000Da未満、約140,000Da未満、約100,000Da未満、約72,000Da未満、約62,700Da未満、約49,500Da未満、約36,000Da未満、又は約28,000Da未満の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、約17,200Da未満の平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーBは、約2,200Da~6,000Daの平均分子量を有する。
【0101】
ある実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約0.7cSt~約10,000cStの粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約1cSt超、約6cSt超、約10cSt超、約20cSt超、約50cSt超、又は約100cSt超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約200cSt超の粘度を有する。好ましい実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約5,000cSt未満、約4,000cSt、約2,000cSt未満、又は約1,000cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約500cSt未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約25℃で、約250cStの粘度を有する。
【0102】
ある実施態様において、ポリマーCは、約180Da~約65,000Daの平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーCは、約500Da、約800Da、約1,500Da、約3,000Da、又は約6,000Da超の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約9,400Da超の平均分子量を有する。好ましい実施態様において、ポリマーCは、約50,000Da、約45,000Da、又は約30,000Da未満の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約17,500Da未満の平均分子量を有する。さらに好ましい実施態様において、ポリマーCは、約10,000Daの平均分子量を有する。
【0103】
好ましい実施態様において、ポリマーA及びCは、各々独立に、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニル末端ジフェニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ポリフェニルメチルシロキサン、ビニルフェニルメチル末端ビニルフェニルシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端ジエチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、シラノール末端、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニル末端、ビニルゴム、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ビニルT-構造ポリマー、ビニルQ-構造ポリマー、不飽和有機ポリマー(その非限定的な例としては、不飽和脂肪アルコール、不飽和脂肪酸、不飽和脂肪エステル、不飽和脂肪アミド、不飽和脂肪ウレタン、不飽和脂肪ウレア、セラミド、コセチン(cocetin)、レシチン、及びスフィンゴシンのうちの1つ又は複数が挙げられる)、モノビニル末端ポリジメチルシロキサン、ビニルメチルシロキサンターポリマー、ビニルメトキシシランホモポリマー、ビニル末端ポリアルキルシロキサンポリマー、ビニル末端ポリアルコキシシロキサンポリマー、並びにこれらの組合せから選択される。さらに好ましい実施態様において、ポリマーA及びCは、各々、ビニルジメチコンである。
【0104】
好ましい実施態様において、ポリマーBは、ヒドリド末端ポリジメチルシロキサン、ヒドリド末端ポリフェニル-(ジメチルヒドロシロキシ)シロキサン、ヒドリド末端メチルヒドロシロキサン-フェニルメチルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルヒドロシロキサン、トリメチルシロキシ末端、ポリエチルヒドロシロキサン、トリエチルシロキサン、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサン-フェニルオクチルメチルシロキサンターポリマー、及びこれらの組合せから選択される。さらに好ましい実施態様において、ポリマーBは、ハイドロゲンジメチコンである。
【0105】
ある実施態様において、該組成物は、第一の部分及び第二の部分を含む二部分組成物である。好ましい実施態様において、該第一の部分は、ポリマーA及びBを含む。好ましい実施態様において、該第一の部分は、1以上の補強成分をさらに含む。好ましい実施態様において、該第二の部分は、ポリマーCを含む。
【0106】
ある実施態様において、ポリマーと補強成分の重量比は、約100:1~約1:1である。好ましい実施態様において、ポリマーと補強成分の重量比は、約50:1~約2:1である。さらに好ましい実施態様において、ポリマーと補強成分の重量比は、約15:1~約3:1である。より好ましい実施態様において、ポリマーと補強成分の重量比は、約10:1~約4:1である。一層より好ましい実施態様において、ポリマーと補強成分の重量比は、約7:1~約8:1である。
【0107】
好ましい実施態様において、該第一の部分は、約5~約90重量%のポリマーA;約5~約75重量%のポリマーB;及び約0~約25重量%の補強成分を含む。さらに好ましい実施態様において、該第一の部分は、約50~約90重量%のポリマーA;約5~約30重量%のポリマーB;及び約5~約15重量%の補強成分を含む。
【0108】
ある実施態様において、該組成物は、1以上の架橋可能なポリマーの架橋を促進する触媒をさらに含む。二部分組成物の場合、ある実施態様において、該第二の部分は、1以上の架橋可能なポリマーの架橋を促進する1以上の触媒をさらに含む。「触媒」には、物理的及び/又は化学的架橋反応を引き起こし、促進し、又は開始させる任意の物質が含まれる。触媒は、プロセスの間又はプロセスの終了時に、恒久的な物理的及び/又は化学的変化を受けてもよいし、受けなくてもよい。好ましい実施態様において、触媒は、体温以下で架橋を開始させ及び/又は促進することができる金属触媒、例えば、第VIII族金属触媒、例えば、白金、ロジウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、ルテニウム、オスミウム、及びイリジウム触媒、並びに第IVA族金属触媒、例えば、ゲルマニウム及びスズである。さらに好ましい実施態様において、触媒は、白金触媒、ロジウム触媒、又はスズ触媒である。白金触媒の例としては、例えば、白金カルボニルシクロビニルメチルシロキサン錯体、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金オクタンアルデヒド/オクタノール錯体、及び他のPt(0)触媒、例えば、カールシュテット触媒、白金-アルコール錯体、白金-アルコキシド錯体、白金-エーテル錯体、白金-アルデヒド錯体、白金-ケトン錯体、白金-ハロゲン錯体、白金-硫黄錯体、白金-窒素錯体、白金-リン錯体、白金-炭素二重結合錯体、白金炭素三重結合錯体、白金-イミド錯体、白金-アミド錯体、白金-エステル錯体、白金-リン酸エステル錯体、白金-チオールエステル錯体、白金孤立電子対錯体、白金-芳香族錯体、白金π-電子錯体、及びこれらの組合せが挙げられる。ロジウム触媒の例としては、三塩化トリス(ジブチルスルフィド)ロジウム及び三塩化ロジウム水和物が挙げられる。スズ触媒の例としては、オクタン酸スズ(II)、ネオデカン酸スズ(II)、ジブチルスズジイソオクチルマレエート、ジ-n-ブチルビス(2,4 ペンタンジオネート)スズ、ジ-n-ブチルブトキシクロロスズ、ジブチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ジメチルヒドロキシ(オレエート)スズ、及びオレイン酸スズ(II)が挙げられる。好ましい実施態様において、触媒は白金触媒である。さらに好ましい実施態様において、触媒は、白金ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。
【0109】
好ましい実施態様において、該組成物は、約0.001~約1重量%(すなわち、約10ppm~約1,000ppm)、好ましくは、約0.005~約0.05重量%(すなわち、約50ppm~約500ppm)の触媒を含む。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約0.01~約0.03重量%の触媒を含む。
【0110】
ある実施態様において、該組成物は、ポリマーA及びポリマーBを含む第一の部分;並びにポリマーC及び1以上の触媒を含む第二の部分を含む、二部分組成物である。
【0111】
ある実施態様において、該組成物は、ポリマーA及びポリマーC及び1以上の触媒を含む第一の部分;並びにポリマーBを含む第二の部分を含む、二部分組成物である。
【0112】
ある実施態様において、該組成物は、ポリマーA及び1以上の触媒を含む第一の部分;並びにポリマーB及びポリマーCを含む第二の部分を含む、二部分組成物である。
【0113】
ある実施態様において、該組成物は、ポリマーB及びポリマーCを含む第一の部分;並びにポリマーA及び1以上の触媒を含む第二の部分を含む、二部分組成物である。
【0114】
好ましい実施態様において、該第二の部分は、約0.005~約0.05重量%の触媒を含む。さらに好ましい実施態様において、該第二の部分は、約0.01~約20重量%のポリマーC;及び約0.005~約0.05重量%の触媒を含む。さらに好ましい実施態様において、該第二の部分は、約0.5~約10重量%のポリマーC;及び約0.01~約0.03重量%の触媒を含む。
【0115】
ある実施態様において、該第一の部分は、該第二の部分の適用前に皮膚に適用され、層は、該第二の部分が該第一の部分の上に適用された後に形成される。ある実施態様において、該第二の部分は、該第一の部分の適用前に皮膚に適用され、層は、該第一の部分が該第二の部分の上に適用された後に形成される。ある実施態様において、該第一の部分は、該第二の部分と一緒に皮膚に適用され、層は、両方の組成物が適用された後に形成される。ある実施態様において、該第一の部分及び該第二の部分は一緒に混合され、その後、皮膚に適用され、層は、該混合物が適用された後に形成される。好ましい実施態様において、該第一の部分は、対象の皮膚のある領域に優しく展延され、該第二の部分は、該第一の部分に優しく展延され、第一の部分の領域全体をカバーする。
【0116】
ある実施態様において、該第一の部分と該第二の部分の重量又は容積量の比は、約5:1~約1:20である。好ましい実施態様において、該第一の部分と該第二の部分の重量又は容積量の比は、約2:1~約1:2である。さらに好ましい実施態様において、該第一の部分と該第二の部分の重量又は容積量の比は、約1:1である。
【0117】
無水組成物は、通常、細菌又はカビに対する保存料を必要としないで、類似の成分を有するエマルジョンよりも長い保存期間を有する。本明細書で使用される「無水」とは、成分として、約10%未満、約5%未満、約2%未満、約1%未満、又は約0.1%未満の水を含有することを指す。いくつかの実施態様において、該組成物は無水である。いくつかの実施態様において、該組成物はエマルジョンである。いくつかの実施態様において、該組成物は分散液である。いくつかの実施態様において、該組成物は懸濁液である。いくつかの実施態様において、該組成物はペーストである。いくつかの実施態様において、該組成物は半固体である。いくつかの実施態様において、該組成物は軟膏である。いくつかの実施態様において、該組成物はクリームである。いくつかの実施態様において、該組成物はセラムである。いくつかの実施態様において、該組成物はローションである。いくつかの実施態様において、該組成物はパッチである。ある実施態様において、該組成物は、皮膚に展延し、噴霧し、ステンシル刻印し、模様付けし、継ぎ当てし、転写し、重層し、カバーし、又は吹きかけることができる。
【0118】
ある実施態様において、該第一の部分は無水である。或いは、該第一の部分はエマルジョンである。ある実施態様において、該第一の部分は、皮膚に展延し、噴霧し、又は吹きかけることができる。
【0119】
ある実施態様において、該第二の部分は無水である。或いは、該第二の部分はエマルジョンである。ある実施態様において、該第二の部分は、皮膚に展延し、噴霧し、又は吹きかけることができる。
【0120】
ある実施態様において、該第一の部分は、約25℃で、約100cP超、約500cP超、又は約1000cP超の粘度を有する。好ましい実施態様において、該第一の部分は、約25℃で、約2000cP超、約5000cP超、約7500cP超、又は約10,000cP超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、該第一の部分は、約25℃で、約15,000cP超の粘度を有する。ある実施態様において、該第一の部分は、約25℃で、約1,000,000cP未満、約750,000cP未満、約500,000cP未満、又は約250,000cP未満の粘度を有する。好ましい実施態様において、該第一の部分は、約25℃で、約200,000cP未満、約175,000cP未満、約150,000cP未満、約125,000cP未満、約100,000cP未満、又は約80,000cP未満の粘度を有する。
【0121】
ある実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約100cP超、約500cP超、又は約1000cP超の粘度を有する。好ましい実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約2000cP超、約5000cP超、約7500cP超、又は約10,000cP超の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約15,000cP超の粘度を有する。ある実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約1,000,000cP未満、約750,000cP未満、約500,000cP未満、約250,000cP未満、約200,000cP未満、又は約175,000cP未満の粘度を有する。好ましい実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約150,000cP未満、約125,000cP未満、又は約100,000cP未満の粘度を有する。さらに好ましい実施態様において、該第二の部分は、約25℃で、約80,000cP未満の粘度を有する。
【0122】
ある実施態様において、該組成物は、1以上の添加剤をさらに含む。ある実施態様において、該第一の部分及び/又は該第二の部分は、1以上の添加剤をさらに独立に含む。好適な添加剤としては、感触改質剤、粘着改質剤、展延性促進剤、希釈剤、接着改質剤、揮発性シロキサン、乳化剤、エモリエント、界面活性剤、増粘剤、溶媒、成膜剤、ヒューメクタント、保存料、顔料、皮膚透過促進剤、光学改質剤、気体輸送改質剤、液体輸送改質剤、pH改質剤、増感改質剤、審美的改質剤、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。追加の好適な添加剤は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、化粧品原料国際命名法(International Nomenclature Cosmetic Ingredient)(INCI)辞典に開示されている。好ましい実施態様において、乳化剤は、アルコキシジメチコン、アルキルジメチコン、アモジメチコン、スルホジメチコン、ホスホジメチコン、ボロジメチコン、ハロジメチコン、フルオロジメチコン、クロロジメチコン、ブロモジメチコン、荷電ジメチコン、及びこれらの組合せである。
【0123】
ある実施態様において、該組成物は、1以上の追加の薬剤をさらに含む。ある実施態様において、該第一の部分及び/又は該第二の部分は、化粧剤、治療剤、刺激応答剤、感知剤、薬物送達剤、光学剤、着色剤、顔料、散乱剤、吸着剤、温度活性剤、熱活性剤、UV活性剤、光活性剤、音活性剤、圧力活性剤、運動活性剤、放射活性剤、電気剤(electrical agent)、磁気剤(magnetic agent)、及び他の有益な薬剤を含む、1以上の追加の薬剤をさらに独立に含む。
【0124】
好適な化粧剤としては、モイスチャライザー、日焼け止め、UV防止剤、皮膚保護剤、皮膚鎮静剤、皮膚美白剤、皮膚光沢剤、皮膚軟化剤、皮膚平滑化剤、皮膚漂白剤、皮膚角質除去剤、皮膚引き締め剤、美容剤、ビタミン、抗酸化剤、細胞シグナル伝達剤、細胞調節剤、細胞相互作用剤、皮膚日焼け剤、老化防止剤、しわ防止剤、スポットリデューサー、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸、セラミド、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
好適な治療剤としては、疼痛緩和剤、鎮痛薬、抗掻痒剤、抗座瘡剤(β-ヒドロキシ酸、サリチル酸、過酸化ベンゾイル)、抗炎症剤、抗ヒスタミン薬、コルチコステロイド、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)、防腐剤、抗生物質、抗細菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルギー剤、抗刺激物質、虫除け剤、光線療法剤、血液凝固剤、抗新生物薬、免疫系増進剤、免疫系抑制剤、コールタール、アントラリン、フルオシノニド、メトトレキセート、シクロスポリン、ピメクロリムス、タクロリムス、アザチオプリン、フルオルウラシル(fluoruracil)、セラミド、反対刺激剤、皮膚冷却化合物、及びこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
好適な有益な薬剤としては、抗酸化剤、ビタミン、ビタミンD3類似体、レチノイド、ミネラル、ミネラルオイル、ワセリン、脂肪酸、植物抽出物、ポリペプチド、抗体、タンパク質、糖、ヒューメクタント、エモリエント、これらの組合せ、及び当技術分野で公知の局所適用に有益な他の類似の薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
本発明の別の態様は、層を皮膚上で形成する組成物に対するものであり、ここで、該組成物は、約体温又は体温未満のガラス転移温度を有する。「ガラス転移温度」という用語は、固体状態から液体状態への転移が起こる温度を指す。ガラス転移温度は、温度(℃、°F、又はK)として報告することができる。ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC)又は熱重量分析(TGA)などの熱分析機器を用いて、インビトロで測定することができる。ある実施態様において、層を形成する組成物は、約37℃未満のガラス転移温度を有する。好ましい実施態様において、層を形成する組成物は、約25℃未満のガラス転移温度を有する。さらに好ましい実施態様において、層を形成する組成物は、約0℃未満のガラス転移温度を有する。ある実施態様において、層を形成する組成物の第一の部分は、約37℃未満のガラス転移温度を有する。好ましい実施態様において、層を形成する組成物の第一の部分は、約25℃未満のガラス転移温度を有する。さらに好ましい実施態様において、層を形成する組成物の第一の部分は、約0℃未満のガラス転移温度を有する。ある実施態様において、層を形成する組成物の第二の部分は、約37℃未満のガラス転移温度を有する。好ましい実施態様において、層を形成する組成物の第二の部分は、約25℃未満のガラス転移温度を有する。さらに好ましい実施態様において、層を形成する組成物の第二の部分は、約0℃未満のガラス転移温度を有する。
【0128】
本発明の一態様は、皮革、ガラス、プラスチック、金属、セラミック、半導体、絶縁体、導体などの表面、又はその場の、すなわち、本明細書に開示される組成物が適用される場所の、皮膚もしくは粘膜もしくは口唇もしくは毛髪もしくは爪で層を形成する組成物に対するものである。該層は、好ましくは、加熱又はUV又は光又は電気又は磁気又は圧力又は音への暴露を必要とせずに形成される。該層は、加熱、UV、光、電気、磁気、圧力、及び音のうちの1つ又は複数への暴露によって、さらに形成されることができる。本発明の別の態様は、皮革、ガラス、プラスチック、セラミック、半導体、絶縁体、導体、又は金属などの表面で層を形成する組成物に対するものであり、これは、その後、対象の皮膚又は粘膜又は口唇又は毛髪又は爪に適用される。
【0129】
本発明の別の態様は、低い粘着性を有し、かつ素早く形成される層を形成する組成物に対するものである。「指触乾燥時間」という用語は、層が十分に固化しているので、該層が、それに軽く触れる指又は人工基板に、50ニュートン未満の垂直抗力の下でもはや流れ移ることがない時間を指す。層が「指触乾燥」状態であるとき、それは環境因子に対して実質的に抵抗性になり、その結果、使用者が所期の動作を再開することを可能にする。「不粘着時間」という用語は、層が十分に固化しているので、該層が、それに軽く触れる指又は人工基板に、0.15ニュートン未満の垂直抗力の下でもはや粘着することなく、フィルムに対する粘着性を生じることがない時間を指す。層が「不粘着」状態であるとき、それは、環境因子による表面摩擦及び表面摩耗に対して実質的に抵抗性になり、その結果、使用者が所期の動作をさらに再開することを可能にする。その結果として、層についての適切な指触乾燥時間及び不粘着時間が重要であり:より長い指触乾燥時間及び不粘着時間は、使用者が動作を再開するまでより長い時間待つことを要求し、消費者のコンプライアンスに影響を及ぼすことになり;一方、より短い指触乾燥時間及び不粘着時間は、全ての使用者に達成可能とは限らない、組成物のより素早い取扱い、適用、及び/もしくは展延を要求することになるか、又は層の連続性、均一性、一様性、及び/もしくは物理的特性に別の形で悪影響を及ぼし得る。本発明者らは、組成物中(さらに特に、二部分組成物の場合は、第二の部分中)の低粘度の架橋可能なポリマー、特に、低粘度のアルケニル又はアルキニル有機ポリマーのモル比を増大させると、形成される層の指触乾燥時間及び不粘着時間が低下することを発見した。したがって、所望の指触乾燥時間及び不粘着時間を達成するためには、組成物中に適当な量の低粘度の架橋可能なポリマー、特に、低粘度のアルケニル又はアルキニル有機ポリマーを有することが極めて重要である。
【0130】
ある実施態様において、組成物は、該組成物の指触乾燥時間に影響を及ぼす0.05%~30重量%の1以上のポリマー及び/又は非ポリマーをさらに含む。そのようなポリマーは、ポリマーA、B、又はCのいずれか1つであってもよいが、必ずしもそうとは限らない。他の好適なポリマーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)、ポリエチレン(PEもしくはポリエテン)、ポリプロピレン(PPもしくはポリプロペン)、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、ポリウレタン、アクリレート、ポリエステル、例えば、ナイロン、ポリエーテル、ポリカルボネート、ポリスルホン、ポリホスフェート、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好適な非ポリマーとしては、炭素、シリカ、窒化ホウ素、酸化金属(例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン)などの粒子、及び炭酸塩(例えば、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム塩)、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン化塩などの塩、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
指触乾燥時間は、例えば、ASTM D5895-03から改変された、本明細書に記載されるフィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を用いて、試験対象で測定することができる。指触乾燥時間は、例えば、好適な基板、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレン、及び/又は牛革ツーリング皮革を用いる、本明細書に記載されるフィルムの指触乾燥時間試験を用いて、インビトロで測定することもできる。ある実施態様において、該組成物は、約1秒超かつ約10分未満の指触乾燥時間を有する。好ましい実施態様において、該組成物は、約30秒超かつ約4分未満の指触乾燥時間を有する。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約30秒超かつ約2分未満の指触乾燥時間を有する。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約1分超かつ約2分未満の指触乾燥時間を有する。他の好ましい実施態様において、該組成物は、約2分の指触乾燥時間を有する。ポリウレタン及びポリプロピレンは、その滑らかさ、低アスペクト比、及びインビボでの皮膚上での硬化特性と類似しているインビトロでの硬化特性のために、指触乾燥時間の測定に好ましく使用される表面状態を有する。
【0132】
不粘着時間は、ASTM D5895-03から改変された、本明細書に記載されるフィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を用いて、試験対象で測定される。不粘着時間は、好適な基板、例えば、ポリウレタン、ポリプロピレン、及び牛革ツーリング皮革の表面での、本明細書に記載されるフィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を用いて、インビトロで測定することもできる。ある実施態様において、該組成物は、該組成物は、約1秒超かつ約10分未満の不粘着時間を有する。好ましい実施態様において、該組成物は、約30秒超かつ約4分未満の不粘着時間を有する。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約30秒超かつ約2分未満の不粘着時間を有する。さらに好ましい実施態様において、該組成物は、約1分超かつ約2分未満の不粘着時間を有する。他の好ましい実施態様において、該組成物は、約2分の不粘着時間を有する。ポリウレタン及びポリプロピレンは、低アスペクト比及び皮膚に対するインビボでの硬化特性と類似しているインビトロでの硬化特性とともにその表面の滑らかさのために、指触乾燥時間の測定に好ましく使用される表面状態を有する。
【0133】
本発明の別の態様は、皮膚上で薄い層を形成する組成物に対するものである。該層の厚さは、その通気性、不可視性、圧縮性とその皮膚閉塞効果の両方に影響を及ぼす。「厚さ」とは、表面に適用される層の平均厚さ指す。形成される層の厚さは、インビトロで、例えば、ステージ又は接眼マイクロメーターを有する顕微鏡を用いて層の横断面で測定することができる。該層の厚さは、自立フィルム上、又はポリウレタン、ポリプロピレン、及び牛革ツーリング皮革などの基板表面の層上で、室温及び約50%相対湿度で使用されるように改変された、ミツトヨ厚さゲージを用いたゴム寸法測定試験ASTM D3767を使用することにより、インビトロで組成物から形成される標本で測定される。ポリウレタン及びポリプロピレンは、層を自立層として簡単に除去することを可能にする、低いアスペクト比を有するその滑らかな表面のために、厚さ測定に好ましく使用される表面状態を有する。牛革ツーリング皮革は、厚さ測定に必要とされる好ましい吸水及びグレイン表面状態を有する。牛革ツーリング皮革は、一般に、植物なめしされたものであり、繊維構造がクロムなめし革の繊維構造よりも密でないので、すぐに水を吸収し、かつ素早く乾燥する。牛革ツーリング皮革は「フルグレイン」である、つまり、体毛が取り除かれ、もとのグレインが残っている。層の厚さは、例えば、室温及び約50%相対湿度で、ポリウレタンを基板として使用するように改変された、PosiTector超音波コーティング厚さゲージを用いた塗布された有機コーティングの乾燥フィルム厚さの非破壊測定試験ASTM D-6132を使用することにより、インビトロで組成物から形成される標本で測定することもできる。
【0134】
基板の厚さ測定は、組成物を適用する前及び後に行われ、該組成物を適用する前及び後の厚さの違いは層の厚さを示す。ある実施態様において、層の平均厚さは、約0.1mm(100ミクロン)未満である。好ましい実施態様において、層の平均厚さは、約0.5~約100ミクロン、約1~約90ミクロン、約10~約80ミクロン、約30~約70ミクロン、約40~約60ミクロンである。さらに好ましい実施態様において、層の平均厚さは、約50ミクロンである。
【0135】
本発明の別の態様は、皮膚上で耐久性のある層を形成する組成物に対するものである。皮膚上での層の耐久性は、例えば、本明細書に記載される皮膚上でのフィルム耐久性試験を用いて決定することができる。本発明者らは、組成物中の(さらに特に、二部分組成物の場合、第一の部分中の)高粘度の架橋可能なポリマー、特に、高粘度のアルケニル又はアルキニル有機ポリマーのモル比及び/又は粘度/分子量を増大させると、形成される層の、物理的完全性と接着性の両方を含む、耐久性が増強されることを発見した。本発明者らは、形成される層の、物理的完全性と接着性の両方を含む、耐久性をさらに増強する、組成物中の(さらに特に、二部分組成物の場合、第一の部分中の)アルケニル又はアルキニル有機ポリマー中の不飽和炭素基と有機ポリマー中のヒドリド基の様々な相対モル比が存在することを発見した。本発明者らは、層を予め形成させると、基板に対する良好な接着力を有する付着層が提供されるが、層のその場形成が表面に対するより良好な接着を促進し、さらに増強された層耐久性を提供することをさらに発見した。二部分組成物中の触媒移動によって作り出された架橋密度の勾配は、基板に対する接着をさらに増強させ、その結果として、層耐久性をさらに増強させることができる。組成物中の異なる粘度及び異なる種類の架橋可能なポリマーのバランスは、形成される層の指触乾燥時間と不粘着時間と耐久性のバランスに影響を及ぼす。
【0136】
ある実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、約24時間以上、皮膚上で実質的に無傷のままである。好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、少なくとも約30時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、又は約96時間、皮膚上で実質的に無傷のままである。他の好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、少なくとも約120時間、約144時間、又は約168時間、皮膚上で実質的に無傷のままである。「実質的に無傷のままである」とは、該層が、それが最初に適用された皮膚の部分の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%に残っているか、又は少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95重量%が該皮膚上に残っていることを意味する。
【0137】
ある実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、約24時間以上、少なくとも約50面積もしくは重量%無傷、少なくとも約60面積もしくは重量%無傷、少なくとも約70面積もしくは重量%無傷のままである。好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、約24時間以上、少なくとも約80面積又は重量%無傷のままである。他の好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、約24時間以上、少なくとも約90面積もしくは重量%無傷又は少なくとも約95面積もしくは重量%無傷のままである。ある実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、少なくとも約30時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、少なくとも約120時間、約144時間、又は約168時間、少なくとも約50面積もしくは重量%無傷、少なくとも約60面積もしくは重量%無傷、少なくとも約70面積もしくは重量%無傷のままである。好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、少なくとも約30時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、少なくとも約120時間、約144時間、又は約168時間、少なくとも約80面積又は重量%無傷のままである。他の好ましい実施態様において、該層は、一般的な定型的日常動作によって及び/又は労力を要する動作によって、皮膚上で、少なくとも約30時間、約36時間、約48時間、約60時間、約72時間、約84時間、約96時間、少なくとも約120時間、約144時間、又は約168時間、少なくとも約90面積もしくは重量%無傷又は少なくとも約95面積もしくは重量%無傷のままである。
【0138】
本発明の別の態様は、皮膚上で剥離に抵抗する層を形成する組成物に対するものである。耐剥離性は、本明細書に記載される剥離接着試験を用いて接着力を測定することにより決定される。「接着力」という用語は、皮革又はポリプロピレン又はポリウレタンなどの標準的な基板に接着した材料を分離するのに必要とされる単位長さ当たりの力を指す。ある実施態様において、ポリプロピレン基板上での層の接着力は、約2N/m超である。好ましい実施態様において、ポリプロピレン基板上での層の接着力は、約5N/m超である。さらに好ましい実施態様において、ポリプロピレン基板上での層の接着力は、約20N/m、40N/m、60N/m、80N/m超、約100N/m超、又は約200N/m超である。
【0139】
本発明の別の態様は、環境因子、例えば、暑さ、寒さ、風、水、湿気、体液(例えば、血液、膿/膿液、尿、唾液、喀痰、涙、精液、乳、もしくは膣内分泌物)、皮脂、食塩水、海水、石鹸水、洗剤水、又は塩素処理水への暴露に対して抵抗性である層を形成する組成物に対するものである。環境因子に対するそのような抵抗性は、これらの環境因子に暴露されたときの最小重量増加によって表される。該層の重量変化は、重量計を用いた架橋エチレンプラスチックのゲル含有量及び膨潤比の決定試験ASTM D2765-95を使用することにより決定される。ある実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間の時点(すなわち、本明細書に開示される組成物の適用から1時間後)、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約10%未満だけ増加する。好ましい実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約5%未満又は約1%未満だけ増加する。さらに好ましい実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約0.5%未満だけ増加する。
【0140】
ある実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間の時点(すなわち、本明細書に開示される組成物の適用から1時間後)、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約50%未満だけ増加する。好ましい実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約5%未満又は約1%未満だけ増加する。さらに好ましい実施態様において、該層の重量は、そのような環境因子に暴露されたとき、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で、約0.5%未満だけ増加する。
【0141】
本発明の別の態様は、可撓性があり、延伸性があり、弾性があり、かつ体の動きに同調する層を形成する組成物に対するものである。該層のそのような、可撓性があり、延伸性があり、弾性があり、かつ体の動きに同調する特性は、引張係数、剪断係数、サイクル引張残留歪み、サイクル引張ヒステリシス損失エネルギー、破壊歪み、破壊応力、及び破壊靱性の測定によって表され、これらは、本明細書に記載される方法を用いて、該組成物から形成される標本で、インビトロで試験することができる。該層が正常で健康な皮膚の外観及び耐久性を有するために、該層のこれらの物理的特性は、該層が、体の動きによって変形しているときは破れず、かつ体がもとの状態に戻るときは本質的に同じ状態に戻るように、特定の範囲内にあることが好ましい。
【0142】
「引張強度」又は「最高引張強度」又は「破壊応力」又は「破断応力」又は「最大引張応力」又は「最高引張応力」又は「破壊強度」又は「破断強度」という用語は、標本が破壊によって機能しなくなる応力を指す。引張強度は、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の引張強度は、約0.05MPa超又は0.10MPa超又は0.20MPa超又は約0.5MPa超である。好ましい実施態様において、該層の引張強度は、約1.0MPa超又は約2.0MPa超である。好ましい実施態様において、該層の引張強度は、約5MPa未満である。さらに好ましい実施態様において、該層の引張強度は、約3.0MPaである。
【0143】
「破壊歪み」又は「破断伸び」又は「破断延伸性」又は「破断歪み」又は「最大伸び」又は「最大歪み」又は「最大延伸性」又は「破断伸長」又は「最大伸長」という用語は、標本が破壊によって機能しなくなる歪みを指す。破壊歪みは、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の破壊歪みは、約25%超、50%超、約100%超、約200%超、又は約400%超である。さらに好ましい実施態様において、該層の破壊歪みは、約600%超、約800%超、約1000%超、約1200超、又は約1500%超である。
【0144】
「引張係数」又は「ヤング係数」又は「弾性係数(modulus of elasticity)」又は「剛性」又は「引張剛性」又は「弾性係数(elastic modulus)」という用語は、初期長を超えて材料を延伸及び変形させるのに必要とされる単位面積当たりの力を指す。引張係数は、初期長を超えた材料の可撓性又は変形性に関する、コンプライアンスの逆数である。引張係数は、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。引張係数は、角形標本を用いた強化熱硬化性プラスチックの引張特性の標準試験ASTM D5083を用いて測定することもできる。ある実施態様において、該層の引張係数は、約0.01~約40MPaである。好ましい実施態様において、該層の引張係数は、約0.05~約20MPa、又は約0.1~約10MPa、約0.1~約5MPa、約0.1~約1MPaである。さらに好ましい実施態様において、該層の引張係数は、約0.25~約0.75MPaである。さらに好ましい実施態様において、該層の引張係数は、約0.5MPaである。
【0145】
「剪断係数」又は「剛性係数(modulus of rigidity)」又は「剪断剛性(shear stiffness)」という用語は、初期長を超えて材料を剪断し及び変形させるのに必要とされる単位面積当たりの力を指す。剪断係数は、動的剪断レオメーターを用いてアスファルトバインダーのレオロジー特性を決定するASTM D7175を使用することにより、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の剪断係数は、約0.005~約10MPaである。好ましい実施態様において、該層の剪断係数は、約0.05~約5MPa又は約0.1~約1MPaである。さらに好ましい実施態様において、該層の剪断係数は、約0.25~約0.75MPaである。さらに好ましい実施態様において、該層の剪断係数は、約0.5MPaである。
【0146】
「サイクル引張残留歪み」という用語は、サイクル引張変形後の引張残留歪みを指す。「残留歪み」という用語は、応力のもとの原因が取り除かれた後に材料中に残留する歪みを指す。残留歪みは、塑性歪み、非弾性歪み(inelastic strain)、非弾性歪み(non-elastic strain)、又は粘弾性歪みとして報告することができる。サイクル引張残留歪みは、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層のサイクル引張残留歪みは、約10%未満である。好ましい実施態様において、該層のサイクル引張残留歪みは、約5%未満又は約2.5%未満である。さらに好ましい実施態様において、該層のサイクル引張残留歪みは、約1%未満である。他の好ましい実施態様において、該層のサイクル引張残留歪みは、約0.5%未満、約0.25%未満、又は約0.1%未満である。
【0147】
「サイクル引張ヒステリシス損失エネルギー」又は「サイクルヒステリシス歪みエネルギー」という用語は、標本がサイクル引張変形を受けたときに、熱として消散している余剰エネルギーを指す。サイクル引張ヒステリシス損失エネルギーは、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層のサイクル引張ヒステリシス損失エネルギーは、約1kJ/m3未満である。好ましい実施態様において、該層のサイクル引張ヒステリシス損失エネルギーは、約0.5kJ/m3未満である。さらに好ましい実施態様において、該層のサイクル引張ヒステリシス損失エネルギーは、約0.2kJ/m3未満である。
【0148】
「破壊靱性」又は「靱性」又は「引張靱性」又は「変形エネルギー」又は「破損エネルギー」又は「破壊エネルギー」という用語は、単位容積当たりの機械的変形のエネルギーを破損点まで吸収する能力を指す。破壊靱性は、例えば、本明細書に記載されるサイクル試験及び伸長引張試験を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の破壊靱性は、約500kJ/m3超である。好ましい実施態様において、該層の破壊靱性は、約5,000kJ/m3超である。さらに好ましい実施態様において、該層の破壊靱性は、約10,000kJ/m3超又は約50,000kJ/m3超である。
【0149】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される方法を用いてインビトロで試験される、酸素透過係数、水蒸気透過係数、酸素透過率、水蒸気透過率、酸素透過度、及び/又は水蒸気透過度によって表したとき、酸素及び水蒸気に透過性がある層を形成する組成物に対するものである。
【0150】
「酸素透過率」又はOTRという用語は、特定の厚さを有する膜を通過する酸素の透過流束を指す。酸素透過率は、例えば、様々なセンサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの酸素ガス透過率試験ASTM F2622を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の酸素透過率は、約5×10-9cm3/(cm2・s)超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過率は、約5×10-7cm3/(cm2・s)超である。さらに好ましい実施態様において、該層の酸素透過率は、約5×10-5cm3/(cm2・s)超である。他の好ましい実施態様において、該層の酸素透過率は、約5×10-4cm3/(cm2・s)超、約5×10-3cm3/(cm2・s)超、約5×10-2cm3/(cm2・s)超、約0.5cm3/(cm2・s)超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過率は、約5cm3/(cm2・s)未満である。
【0151】
「酸素透過度」という用語は、特定の厚さを有する膜を通過する酸素の、膜間の単位酸素蒸気圧差(通常、単位はcmHg)当たりの透過流束を指す。酸素透過度は、例えば、様々なセンサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの酸素ガス透過率試験ASTM F2622を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の酸素透過度は、約5×10-11cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過度は、約5×10-9cm3/(cm2・s・cm Hg)超又は約5×10-7cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。さらに好ましい実施態様において、該層の酸素透過度は、約5×10-6cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。他の好ましい実施態様において、該層の酸素透過度は、約5×10-5cm3/(cm2・s・cm Hg)超、約5×10-4cm3/(cm2・s・cm Hg)超、約5×10-3cm3/(cm2・s・cm Hg)超、又は約5×10-2cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過度は、約0.5cm3/(cm2・s・cm Hg)未満である。
【0152】
「酸素透過係数」又は「固有酸素透過」という用語は、酸素がどのくらい速く膜の中を移動することができるかという尺度を指し、これは、膜の中への連続的な酸素収着プロセスと、それに続く、膜からの酸素拡散を含む。酸素透過係数は、例えば、様々なセンサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの酸素ガス透過率試験ASTM F2622を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の酸素透過係数は、約5×10-4バーラー超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過係数は、約5×10-2バーラー超、約5バーラー超、又は約50バーラー超である。さらに好ましい実施態様において、該層の酸素透過係数は、約500バーラー超である。他の好ましい実施態様において、該層の酸素透過係数は、約5,000バーラー超である。好ましい実施態様において、該層の酸素透過係数は、約20,000バーラー未満である。
【0153】
「水蒸気透過率」又はWVTRという用語は、特定の厚さを有する膜を通過する水蒸気の透過流束を指す。水蒸気透過率は、例えば、変調赤外線センサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過率試験ASTM F1249を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の水蒸気透過率は、約1×10-9cm3/(cm2・s)超かつ約1.5×10-1cm3/(cm2・s)未満である。好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過率は、約1×10-8cm3/(cm2・s)超である。さらに好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過率は、約1×10-7cm3/(cm2・s)超である。他の好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過率は、約1×10-6cm3/(cm2・s)超、約1×10-5cm3/(cm2・s)超、又は約1×10-4cm3/(cm2・s)超である。好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過率は、約1.5×10-2cm3/(cm2・s)未満である。
【0154】
「水蒸気透過度」という用語は、特定の厚さを有するバリアを通過する水蒸気の、バリアの一方の側ともう一方の側の間の単位水蒸気圧差(通常、単位はcmHg)当たりの透過流束を指す。水蒸気透過度は、例えば、変調赤外線センサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過率試験ASTM F1249を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の水蒸気透過度は、約1×10-11cm3/(cm2・s・cm Hg)超かつ約2×10-3cm3/(cm2・s・cm Hg)未満である。好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過度は、約1×10-10cm3/(cm2・s・cm Hg)超又は約1×10-9cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。さらに好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過度は、約1×10-8cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。他の好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過度は、1×10-7cm3/(cm2・s・cm Hg)超又は1×10-6cm3/(cm2・s・cm Hg)超である。好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過度は、約2×10-2cm3/(cm2・s・cm Hg)未満である。
【0155】
「水蒸気透過係数」又は「固有水蒸気透過」という用語は、水蒸気がどのくらい速くバリアの中を移動することができるかという尺度を指し、これは、バリアの中への連続的な水蒸気収着プロセスと、それに続く、バリアからの蒸気拡散を含む。水蒸気透過係数は、例えば、変調赤外線センサーを用いたプラスチックフィルム及びシートの水蒸気透過率試験ASTM F1249を用いて、インビトロで組成物から形成される標本で測定することができる。ある実施態様において、該層の水蒸気透過係数は、約1×10-3バーラー超かつ約1×106バーラー未満である。好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過係数は、約0.01バーラー超、約0.1バーラー超、約1バーラー超、約10バーラー超、約100バーラー超、又は約1×103バーラー超である。さらに好ましい実施態様において、該層の水蒸気透過係数は、約1×104バーラー超かつ約1×105バーラー未満である。
【0156】
本発明の別の態様は、組成物で処置された部分の経表皮水分喪失が低下しているか又は未処置の皮膚と同程度であるような層を皮膚で形成する組成物に対するものである。「経表皮水分喪失」という用語は、拡散及び蒸発プロセスによって、体の内側から表皮層を通って、周囲環境に移動する水の量の測定を指す。経表皮水分喪失は、本明細書に記載される経表皮水分喪失(TEWL)測定試験を使用することにより測定される。試験される対象の年齢、人種、性別、及び/又は皮膚の部分によって生じるTEWL測定の差は、通常、TEWL測定の標準誤差未満である。TEWL測定は、約30分の時点又はそれ以後の任意の時点で、例えば、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で行われることができる。ある実施態様において、該組成物の適用後の経表皮水分喪失は、約40g/(m2・時)未満である。好ましい実施態様において、該組成物の適用後の経表皮水分喪失は、約20g/(m2・時)未満である。さらに好ましい実施態様において、該組成物の適用後の経表皮水分喪失は、約10g/(m2・時)未満である。他の好ましい実施態様において、該組成物の適用後の経表皮水分喪失は、約5g/(m2・時)未満又は約1g/(m2・時)未満である。
【0157】
本発明の別の態様は、組成物で処置された部分の皮膚水和が改善されるか又は未処置の皮膚と同程度であるような層を皮膚で形成する組成物に対するものである。「皮膚水和」という用語は、典型的には、皮膚表面付近の誘電体媒質のキャパシタンス測定に基づくコルネオメーターによる、皮膚の水含有量の尺度を指す。皮膚水和測定は、約30分以後の任意の時点で、例えば、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で行われることができる。皮膚水和は、例えば、H. Dobrevの文献、「表皮水和を評価するためのキュートメーターの使用(Use of Cutometer to assess epidermal hydration)」、Skin Research and Technology 2000, 6(4):239-244に記載されている手順に準拠して、コルネオメーターを用いて測定することができる。ある実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、コルネオメーターの約20任意単位(規格化された水和値)超である。好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、コルネオメーターの約40任意単位超である。他の好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、コルネオメーターの約60任意単位超又はコルネオメーターの約80任意単位超である。
【0158】
皮膚水和は、例えば、Clarysらの文献、角質層の水和測定:キャパシタンス法(デジタル版のコルネオメーターCM 825(R))とインピーダンス法(Skicon-200EX(R))の比較(Hydration measurements of the stratum corneum: comparison between the capacitance method (digital version of the Corneometer CM 825(R)) and the impedance method(Skicon-200EX(R)))、Skin Research and Technology 2011, 18(3):316-23に記載されている手順を用いて測定することもできる。ある実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、約20マイクロジーメンス超である。好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、約50マイクロジーメンス超である。他の好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚水和は、約100マイクロジーメンス超又は約200マイクロジーメンス超又は約400マイクロジーメンスである。
【0159】
本発明の別の態様は、皮膚を引き締める層を皮膚上で形成する組成物に対するものである。皮膚の緊張を増大させることによって生じる引き締め効果は、本明細書に記載されるインビトロのカール試験を使用することにより、インビトロで該組成物から形成される標本から定量される。ある実施態様において、該緊張は、0.1N/mを超えて増大する。好ましい実施態様において、該緊張は、0.2N/mを超えて増大する。好ましい実施態様において、該緊張は、0.5N/mを超えて、1.0N/mを超えて、2.0N/mを超えて、5.0N/mを超えて、10N/mを超えて、20N/mを超えて、50N/mを超えて、100N/mを超えて、500N/mを超えて、又は1,000N/mを超えて増大する。
【0160】
本発明の別の態様は、皮膚の表面形状を調節することができるような層を皮膚上で形成する組成物に対するものである。「皮膚の表面形状」は、Canfield 3-D Imaging Systemを用いて、又は試験組成物の適用の前及び後の比較写真を用いて視覚的に観察される。
【0161】
好ましい実施態様において、組成物は美容的にエレガントであり、かつ該組成物又は層が適用される対象の正常の健康でかつ若々しい皮膚の外観を有する層を形成する。結果として、該層は、目の下のふくらみ、笑いじわ、目尻のしわ、額の線及びしわを含む、加齢の任意の兆候の出現を低下させる美容的及び治療的利益をもたらすことができる。
【0162】
本発明の別の態様は、該組成物で処置された部分の後戻り時間が未処置の皮膚と比較して減少するような層を皮膚上で形成する組成物に対するものである。「後戻り時間」という用語は、吸着カップ装置による初期変形の後に、皮膚がそのもとの状態に戻るのにかかる時間を指す。皮膚後戻り時間は、例えば、H. Dobrevの文献、「表皮水和を評価するためのキュートメーターの使用(Use of Cutometer to assess epidermal hydration)」、Skin Research and Technology 2000, 6(4):239-244に記載されている手順に準拠して、キュートメーター/吸着カップを用いて測定することができる。皮膚後戻り時間の測定は、約30分の時点又はそれ以後の任意の時点で、例えば、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点で行われることができる。ある実施態様において、該組成物の適用後の皮膚後戻り時間は、約5%~約75%減少する。好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚後戻り時間は、約10%を超えて減少する。他の好ましい実施態様において、該組成物の適用後の皮膚後戻り時間は、約25%を超えて、又は約50%を超えて減少する。
【0163】
本発明の別の態様は、美容的にエレガントであり、かつ該組成物又は層が適用される対象の正常で健康な皮膚の外観を有する層を形成する組成物に対するものである。結果として、該層は、皮膚疾患、例えば、皮膚バリア機能障害の状態、皮膚疾患、例えば、皮膚バリア機能障害の状態の症状、並びに/又は色素沈着過剰、黒皮症、及び白斑などの皮膚の欠点の外観をマスクし、覆い隠し、カバーし、又は軽減することにより、美容的及び治療的利益をもたらすことができる。
【0164】
本発明の別の態様は、美容的にエレガントであり、かつ該組成物又は層が適用される対象の皮膚の新しい外観を有する層を形成する組成物に対するものである。結果として、該層は、タトゥー及びメイクアップを含む皮膚の外観を改善することにより、美容的及び治療的利益をもたらすことができる。
【0165】
好ましい実施態様において、該組成物は、1以上の光学改質剤をさらに含む。他の好ましい実施態様において、該第一の部分及び/又は該第二の部分は、1以上の光学改質剤又は光学粒子をさらに独立に含む。光学改質剤又は光学粒子は、光学又は光子相互作用に応答する表面、例えば、光散乱のための凸凹を導入し、それにより、正常で健康な皮膚の外観を超えるか又はそれと同程度の艶があり、光沢があり、輝きがあり、くすみがある望ましい外観を付与し、好ましくは、正常な皮膚よりも顕著に艶のある及び/又は光沢のある外観を避ける。好適な光学改質剤又は光学粒子としては、例えば、顔料、色素、ポリマー、例えば、ナイロン(例えば、ナイロン-6、ナイロン-10、ナイロン-12)、シリコーン、アクリル、アクリレート/カルバメート、又は他のポリマーもしくはコポリマービーズもしくは粒子、ポリエチレンビーズ、ポリメチメタクリレート(polymethymethacrylate)ビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリウレタンビーズ;無機物、例えば、シリカ(例えば、Lonza Group製のChronoSphere(登録商標) Opticalsとして入手可能な、シリカ及びDMPA/イソフタル酸/SMDIコポリマー)、窒化ホウ素、タルク、マイカ、アルミナ、チタニア;金属、例えば、銀ナノ粒子;及びシリコーン、アクリル、アクリレート/カルバメート、又は他のポリマーもしくはコポリマービーズもしくは粒子が挙げられる。ある実施態様において、該光学改質剤又は光学粒子は、約1μm~約20μmの平均粒子直径を有する。好ましい実施態様において、該光学改質剤又は光学粒子は、約0.1μm~約20μmの平均粒子直径を有する。好ましい実施態様において、該光学改質剤又は光学粒子は、2μm~15μm、さらに好ましくは、5~10μmの平均粒子直径を有する。
【0166】
本発明の別の態様は、組成物が適用される部分の艶及び/又は光沢を顕著には変化させない層を形成する組成物に対するものである。艶及び/又は光沢は、例えば、ASTM D523鏡面光沢試験に準拠して、20°、60°、及び/又は85°の測定角度で光沢計を用いて、インビトロで該組成物から形成される標本で測定することができる。光及び測定角度は、予想される光沢範囲に基づいて選択することができる。例えば、60°で出された測定値が約70光沢単位(GU)よりも大きい場合、測定角度を20°に変更して、測定精度を最適化すべきである。逆に、60°で出された測定値が約10GU未満である場合、測定角度を85°に変更して、測定精度を最適化すべきである。試験に使用される基板の光沢に応じて、45°又は75°の測定角度も使用することができる。様々な材料、例えば、天然色の牛革ツーリング皮革を、正常で健康な皮膚を模倣するための基板として試験に使用することができる。艶及び/又は光沢変化は、処置前と比較した処置後の測定部分における光沢単位の増加率又は減少率によって示される。ある実施態様において、該組成物で処置された部分の艶及び/又は光沢変化は、約20%未満である。好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の艶及び/又は光沢変化は、約10%未満である。さらに好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の艶及び/又は光沢変化は、約5%未満である。
【0167】
本発明の別の態様は、清澄で、透明で、かつ/又は光学的に不可視である層を形成する組成物に対するものである。本発明の別の態様は、組成物が適用された部分が適用する前と適用した後で最小限の変色、例えば、色L*スケール変化、色a*スケール変化、及び/又は色b*スケール変化を有するように層を形成する組成物に対するものである。色L*スケール、色a*スケール、及び色b*スケールは、国際照明委員会(International Commission on Illumination)によって規定されている3つのL*a*b*色空間である。色L*スケール、色a*スケール、及び色b*スケール変化は、例えば、機器測定された色座標からの黄色度及び白色度指数の計算ASTM E313に準拠して、ミノルタカラーメーターを用いて、インビトロで該組成物から形成される標本で測定することができる。様々な材料、例えば、天然色の牛革ツーリング皮革を、正常で健康な皮膚を模倣するための基板として試験に使用することができる。
【0168】
ある実施態様において、該組成物で処置された部分の色L*スケール変化は、約2未満である。好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色L*スケール変化は、約1.5未満である。他の好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色L*スケール変化は、約1未満又は約0.5未満である。ある実施態様において、該組成物で処置された部分の色a*スケール変化は、約2未満である。好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色a*スケール変化は、約1.5未満である。他の好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色a*スケール変化は、約1未満又は約0.5未満である。ある実施態様において、該組成物で処置された部分の色b*スケール変化は、約2未満である。好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色b*スケール変化は、約1.5未満である。他の好ましい実施態様において、該組成物で処置された部分の色b*スケール変化は、約1未満又は約0.5未満である。
【0169】
本発明の別の態様は、半透明又は不透明である層を形成する組成物に対するものである。ある実施態様において、該組成物は、限定されないが、顔料、色素(蛍光色素を含む)、FD&C染料、D&C染料、レーキ染料、色を付与する他の化合物、及びこれらの組合せを含む、1以上の着色剤をさらに含む。他の好適な着色剤は、例えば、CTFA化粧品成分ハンドブック(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)、第2版、1992に開示されている。好ましい実施態様において、該層の色は、対象の正常で健康な皮膚の色と実質的に一致する。他の好ましい実施態様において、該層は、様々な着色剤、真珠光沢、模様、デザイン、又はこれらの組合せをさらに含み、したがって、化粧的、美容的、審美的、及び/又は装飾的利益をもたらす。
【0170】
ある実施態様において、仕上げ製剤を、その形成中又は形成後に、該層とともに又は該層の上に適用して、所望の触感又は審美的外見を提供することができる。例えば、仕上げ製剤は、艶やかな、柔らかな、及び/もしくは滑らかな触感、又はしっとりとした、爽やかな、マットな、艶のある、もしくは光る審美的外見を提供することができる。ある実施態様において、仕上げ製剤は、オイル、エステルもしくはエーテル、感触改質剤、粘着改質剤、展延性促進剤、接着改質剤、乳化剤、エモリエント、界面活性剤、増粘剤、成膜剤、ヒューメクタント、保存料、化粧剤、及び/又は治療剤のうちの1つ又は複数を含む。
【0171】
ある実施態様において、仕上げ製剤は、光学改質剤もしくは光学粒子、着色剤、真珠光沢、模様、及び/又はデザインを含む。
【0172】
ある実施態様において、仕上げ製剤は、様々な形態、例えば、液体、ローション、クリーム、軟膏、セラム、ゲル、スプレー、フォーム、ムース、スプリッツ、粉末、又は他の好適な形態であることができる。
【0173】
本発明の別の態様は、皮膚バリア機能障害の状態の治療において;対象の皮膚疾患を修飾するのに使用されるキットに対するものである。ある実施態様において、該キットは、(i)本明細書に開示される組成物、及び(ii)使用説明書を含む。
【0174】
ある実施態様において、該キットは、(i)本明細書に開示される第一の部分、(ii)本明細書に開示される第二の部分、及び(iii)使用説明書を含む。好ましい実施態様において、該第一の部分及び該第二の部分は、使用前に接触するのを妨げられる。好ましい実施態様において、該第一の部分及び該第二の部分は、別々の容器又は区画にパッケージングされ、かつ1度に1つずつ適用されるか又は使用前もしくは使用時に一緒に混合される。
【0175】
ある実施態様において、該キットは、仕上げ製剤をさらに含む。ある実施態様において、該キットは、皮膚から層を除去するのに好適なクレンザー、例えば、米国特許第8,691,202号に開示されているクレンザーをさらに含む。ある実施態様において、該キットは、1以上のブラシ、綿棒、及び/又は鏡をさらに含む。
【0176】
本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される装置に対するものである。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚上での水分保持、酸素透過、及び水蒸気透過を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚上での光学的外観を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の機械的応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の電気的応答を(例えば、好ましくは、第1パーツにグラフェン又は磁気粒子を組み込むことにより)調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の磁気的応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の圧力応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚のpH応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の温度応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の熱応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。本発明の別の態様は、本明細書に開示される組成物のいずれかの適用によって形成される、皮膚の音応答を調節する人工装置、例えば、人工皮膚である。
【0177】
本発明の別の態様は、送達する薬剤(治療薬及び化粧品)を含めることにより、皮膚機能を修飾する方法に対するものである。修飾し得る皮膚機能の非限定的な例は、皮膚バリア機能;皮膚色素沈着;限定されないが、疣、座瘡(皮脂腺)、黒皮症、白斑、乾癬を含む、皮膚の外観;接触性皮膚炎又は他の皮膚炎、例えば、鬱滞性皮膚炎;及び掻痒症である。含め得る治療薬の非限定的な例は、抗炎症薬、抗凝固剤、抗生物質、及び防腐剤である。治療薬及び化粧品は、対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用することにより、それを必要としている対象に投与される。
【0178】
本発明の別の態様は、対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用することにより、それを必要としている対象における、皮膚科的障害、皮膚疾患、及び創傷を含む、皮膚バリア機能障害の状態を治療する方法に対するものである。
【0179】
本発明の別の態様は、それを必要としている対象における皮膚バリア機能障害の状態の症状を治療する方法であって、該対象の皮膚又は体に、本明細書に開示される組成物を適用し、それにより、皮膚バリア機能障害の状態の1以上の症状を治療することを含む、方法に対するものである。
【0180】
本発明の別の態様は、それを必要としている対象の皮膚を閉塞する方法であって、該対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用し、それにより、該皮膚を閉塞することを含む、方法に対するものである。「皮膚を閉塞すること」とは、皮膚上で直接的又は間接的に水蒸気に対して半透過性又は不透過性であるバリアを形成することを意味する。ある実施態様において、該層は、組成物が水蒸気に対して半透過性である層を形成するという点で半閉塞性である。或いは、該層は、組成物が水蒸気に対して不透過性である層を形成するという点で完全閉塞性である。
【0181】
本発明の別の態様において、閉塞は、患者の皮膚にも投与される局所用薬物の有効性を増強する。一実施態様において、該局所用薬物はコルチコステロイドであり、その治療のためにコルチコステロイドが投与される疾患は湿疹である。一実施態様において、閉塞は、皮膚のバリア機能を回復する。一実施態様において、閉塞は、薬物送達を増強した。
【0182】
半閉塞又は完全閉塞層を用いる閉塞療法は、特に、アトピー性皮膚炎治療について十分に確立されている(詳細な参考文献については: Misha M. Heller、Eric S. Lee、Faranak Kamangar、Wilson Liao、及びJohn Y. M. Kooの文献(2012)、アトピー性皮膚炎における閉塞療法、アトピー性皮膚炎-疾患の病因及び臨床管理(Occlusive Therapy in Atopic Dermatitis, Atopic Dermatitis - Disease Etiology and Clinical Management)、Jorge Esparza-Gordillo博士(編)、ISBN: 978-953-51-0110-9)。
【0183】
本発明者らは、本発明者らの層が皮膚のバリア機能を修飾及び/又は回復する閉塞の利益を与えることができることを発見した。
【0184】
本発明の別の態様は、対象を皮膚バリア機能障害の状態について治療するか、又はそのような状態の症状を治療する方法であって、該対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用することを含む、方法に対するものである。
【0185】
本発明の別の態様は、皮膚バリア機能障害の状態を治療するために、又はそのような状態の症状を治療するために、対象に薬剤を送達する方法であって、該対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用し、それにより、該薬剤を該対象に送達することを含む、方法に対するものである。
【0186】
一態様において、本発明は、皮膚への治療剤の送達の速度を制御することによるか、又は治療剤の経時的な投与量に対する療法の有効性を修飾及び/もしくは増強することにより、その利益を与える。
【0187】
本発明の別の態様は、皮膚バリア機能障害の状態を治療するために、又はそのような状態の症状を治療するために、対象に治療剤を送達する方法であって、該対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用することを含む、方法に対するものである。
【0188】
別の態様において、本発明は、本明細書に記載される組成物中の透過促進剤の存在を伴う又は伴わない、閉塞及び(経)真皮薬物送達の増強により、その利益を与える。(経)真皮薬物送達の増強における閉塞の利益は、効力及び対応する副作用に対する薬物の有効性を修飾及び/又は増強する。
【0189】
本発明の別の態様は、皮膚バリア機能障害の状態、皮膚バリア機能障害の症状、及び/又は皮膚の欠点をマスクし、覆い隠し、又はカバーする方法であって、対象の皮膚又は体に、本明細書に記載される組成物を適用し、それにより、皮膚バリア機能障害の状態、皮膚バリア機能障害の症状、及び/又は皮膚の欠点を有する部分をマスクし、覆い隠し、又はカバーすることを含む、方法に対するものである。
【0190】
本発明の別の態様は、皮膚バリア機能障害の状態、皮膚バリア機能障害の症状、及び/又は皮膚の欠点を、他の治療剤(軟膏、クリーム、ローション、ゲル、スプレー、フォーム、ムース、又は他の好適な形態の外用薬、化粧品、及び/又はパーソナルケア製品)と併用して治療する方法に対するものであり、ここで、該他の治療剤が皮膚にまず適用され、その後、本明細書に開示される組成物が、そのような他の治療剤の上に適用されて、該他の治療剤に耐久性のあるバリアを提供する。
【0191】
ある実施態様において、皮膚バリア機能障害の状態は、湿疹、乾癬、魚鱗癬、酒さ、慢性乾燥皮膚、皮膚ループス、慢性単純性苔癬、乾皮症、座瘡、疾患誘発性続発性皮膚科的障害、潰瘍、及びこれらの組合せから選択される皮膚科的障害である。好ましい実施態様において、皮膚バリア機能障害の状態は、湿疹、乾癬、魚鱗癬、酒さ、及び慢性乾燥皮膚から選択される。
【0192】
皮膚機能の部分の特定及び/又は前治療(例えば、洗浄、剃処理、又は別の方法での処置部分の準備)を実施することができる。任意の前治療の後、組成物を治療が必要な部分に適用して、該治療が必要な部分の全体又は一部にわたって層を形成させ、それにより、皮膚機能の状態を治療する。組成物が二部分組成物である、ある実施態様において、該第一の部分及び該第二の部分を、1度に1つずつか又は組み合わせてかのいずれかで適用して、層を形成させる。
【0193】
本発明の別の態様は、皮膚の表面を修飾する方法に対するものである。いくつかの実施態様において、皮膚の表面は、その表面pHを改変することにより、化学的に修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、その表面の部分をUV保護用のメラニンでカバーすることにより修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、その表面の部分を、その摩擦を低下させるためのシリコーンでカバーすることにより修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、目の下のふくらみ及び/又は笑いじわを低下させるように、物理的に修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、その表面の部分を化粧用顔料でカバーすることにより修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、その表面の部分を、皮膚の外観を修飾するためのソフトフォーカス成分でカバーすることにより修飾される。いくつかの実施態様において、皮膚は、その表面の部分を、例えば、好ましくは、第1パーツにグラフェン又は磁気粒子を組み込むことによって電気的応答を可能にする成分でカバーすることにより修飾される。
【0194】
物理的に、例えば、目の下のふくらみ、任意に、例えば、顔料及びソフトフォーカス。
【0195】
本発明の別の態様は、皮膚の緊張を修飾する方法に対するものである。皮膚の緊張の変化は、ストレス応答後の皮膚の表面形状及び/又は皮膚のリコイル動態(recoil dynamic)を修飾し得る。年を取ると、個体は、通常、皮膚の緊張及び皮膚のリコイル動態応答を失う。
【0196】
適用される組成物の量は、治療される部分の大きさ及び場所、並びに治療されることになる、皮膚機能の状態、例えば、皮膚バリア機能障害の種類によって決定される。
【0197】
層は、皮膚バリア機能障害の状態が消散もしくは改善するまで、該部分に残ったままであってもよく、又は熟練した施術者(例えば、内科医などの医師)によるかもしくは対象によって決定される適当な時間の後に除去されてもよい。所望の結果を達成するために、適用を必要に応じて何度も繰り返すことができる。
【0198】
本明細書に記載される方法(標準的な方法又は本明細書に記載される方法のいずれか)及び装置を用いて、組成物の物理的特性を測定した。そのような方法及び装置は、単に例示的なものであり、開示された組成物の特性を試験するのに適している他の試験、方法、材料、及び/又は装置が公知又は開発され得る。
【0199】
別途規定されない限り、本明細書に開示される組成物、層、及び/又は装置の全ての特性は、室温(約22~25℃)及び約1大気圧で測定される。
【0200】
(レオメーター粘度測定試験)
以下の試験法を用いて、流体材料の動的粘度(Pa・s)を、20mmパラレルプレートジオメトリを取り付けたBohlin CVO100レオメーター(Malvern Instruments)を用いて、0.5s-1で決定することができる。同様のレオメーターを粘度測定に使用することができる。試験された各々の材料について、少なくとも3つの試料を測定し、平均粘度及び測定の標準偏差を記録する。
【0201】
約1gの各試験試料が必要とされる。試料を視覚的に検査して、試料が確実に均一に見えるようにする。Bohlinレオメーター及び温度制御器のスイッチを入れ; Bohlinソフトウェアを起動し、粘度安定性試験のテンプレートをロードし;ジオメトリをインストールし、機器をゼロに設定する。ジオメトリとプレートの両方が清潔であることを確認する。これは、正確な試験結果にとって極めて重要である。約1gの試験試料を、ジオメトリの下に中心があるマウンドに入れて、レオメーターのボトムプレートの上に置く。ジオメトリを正しいギャップ(約250μm)にまで下げる。余分な試料を、ヘラの平らな末端を用いて、ジオメトリの両側から除く。試験を開始し、試験を最後まで実行させ、その後、粘度(Pa・s)データを記録する。
【0202】
(皮膚上でのフィルム耐久性試験)
(試験組成物の適用)
年齢、人種、又は性別に関係なく、健康な対象(少なくとも3人)を選択する。試験を室温及び約50%相対湿度で実施する。標準テンプレートをガイドとして用いて、選択された前腕掌側部分に4×4cm2の正方形の輪郭を描く。天秤を用いて、適量(例えば、約0.1g~約0.3g)の試験組成物(又は二部分組成物の場合、約0.1gの第一の部分及び約0.15gの第二の部分)を秤量舟皿に量り分ける(二部分組成物の場合、混合しない)。試験組成物を、指先を用いて、好ましくは、指サックを着用して、前腕の4×4cm2の正方形に均一に適用する。正方形の全ての部分が組成物によってカバーされていることを確認する。二部分組成物の場合、きれいな指先又は新しい指サックを用いて、第二の部分を第一の部分の上に優しく展延し、第一の部分全体をカバーすべきである。
【0203】
(測定)
組成物を該部分に約15分間触れさせないでおく。その後、対象は、日常動作を再開することを認められる。対象は、定型的日常動作のみか、又は労力を要する動作、例えば、運動、水泳、蒸し風呂室、サウナなどを伴う定型的日常動作かのいずれかを行うことを許可される。各々の労力を要する動作の種類及び長さを記録する。試験組成物によって形成される層を、約24時間以上、皮膚の上にそのまま置く。組成物の適用後のある時点で、各々0.5×0.5cm2の8×8の正方格子(合計64個の正方形)を用いて、皮膚上の無傷な部分のパーセンテージを測定することにより、層の耐久性を評価する。4×4cm2の正方形部分の外側の余分な層は評価において考慮されない。各々の正方形は、層の目に見える欠陥、例えば、しわ、落屑、亀裂、及び/又は剥離がない場合にのみ、耐久性があるとみなされる。観察結果を記録する。
【0204】
(フィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験)
この方法は、機械式記録器を用いた有機コーティングのフィルム形成時の乾燥又は硬化の評価法であるASTM D5895-03から改変された。材料及び選択された対象に対する試験組成物の適用は、皮膚上でのフィルム耐久性試験に記載されているのと同じである。本試験は、ヒトの皮膚の代わりに、他の基板に対して、例えば、天然色の牛革ツーリング皮革、ポリウレタン、又はポリプロピレン基板に対して、同等の結果を伴って実施することもできる。試験される各々の組成物について、少なくとも3つの試料を試験し、平均指触乾燥時間、平均不粘着時間、及び測定の標準偏差を記録する。
【0205】
(測定)
試験組成物(又は二部分組成物の場合、第二の部分)を前腕の試験部分全体に適用したときに、タイマーを起動する。該組成物を、一定の期間、例えば、30秒間又は1分間、該部分に触れさせないでおく。ある時点で、指先を用いて、試験部分の1つの角に軽く触れ、視覚的に:まず、指先の試験組成物の有無(指触乾燥時間);その後、指先によって引っ張り上げられるフィルム表面の有無(フィルムの不粘着時間試験)を評価する。試験部分の触れられていない部分に対して、ある時間間隔で、例えば、15秒毎又は30秒毎又は1分毎に指先評価を繰り返す。試験組成物がそれ以上指先に観察されない時点を試験組成物の「指触乾燥時間」として報告する。フィルム表面がそれ以上指先によって引っ張り上げられない時点を試験組成物の「不粘着時間」として報告する。
【0206】
(インビトロでのフィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験)
この方法は、機械式記録器を用いた有機コーティングのフィルム形成時の乾燥又は硬化の評価法であるASTM D5895-03から改変された。材料及び選択された基板に対する試験組成物の適用は、次の通りである: 50-ミクロンのスペーサー(例えば、1層の3Mマジックスコッチテープ)をシートサイズ4.5”×1.5”の基板の上に置き、3.75”×0.75”の開放矩形を形成させ、基板表面を露出させる。試験組成物を基板の上に適用し、その後、スライドガラスをスペーサーの縁に沿って前後に滑らせ、滑らかでかつ均一な試験組成物の層を堆積させる。試験は、天然色の牛革ツーリング皮革、ポリウレタン、又はポリプロピレン基板などの多くの基板に対して、同等の結果を伴って実施することもできる。試験される各々の組成物について、少なくとも3つの試料を試験し、平均指触乾燥時間、平均不粘着時間、及び測定の標準偏差を記録する。
【0207】
(測定)
試験組成物(又は二部分組成物の場合、第二の部分)を基板上の試験部分全体に適用したときに、タイマーを起動する。試験組成物を、室温及び周囲湿度で、一定の期間、例えば、30秒間又は1分間、該部分に触れさせないでおく。ある時点で、1.5cm×4cmのポリプロピレンシートを試験組成物の表面に置き、その後、15gの重りをポリプロピレンシートの上に置く。2秒間待ち、その後、重りを取り除き、ポリプロピレンシートを試験組成物の表面から取り除く。視覚的に:まず、ポリプロピレンシート上の試験組成物の有無を評価する。試験部分の触れられていない部分に対して、ある時間間隔で、例えば、15秒毎又は30秒毎又は1分毎にポリプロピレンシート評価を繰り返す。ポリプロピレンシート上の試験組成物がそれ以上観察されない時点を試験組成物の「指触乾燥時間」として報告する。「指触乾燥時間」を報告した後、標本を30度の斜面に移して、「不粘着時間」を評価する。標本を斜面に沿って最下点から6インチ上方に置き、標本を斜面に固定する。1/32”の直径のステンレス鋼ボールをフィルム表面の上方1インチの距離からフィルム表面の上部に落下させる。ボールがそれ自体の重力で転がり落ちようとするときのフィルム表面上でのステンレス鋼ボールの動きを観察する。フィルムが不粘着になるにつれて摩擦フィルム表面から遮られることなく、ボールがフィルム表面の上部から下部に連続的に転がることができる「不粘着時間」を報告する。
【0208】
(剥離接着試験)
この接着力試験法は、エラストマージョイントシーラントの剥離接着試験法であるASTM C794に準拠して開発された。延長グリップジオメトリが取り付けられた100Nロードセル(Instron #2519-103)を備えたInstron 3342単一カラム引張/圧縮試験系(Instron, Norwood, MA)を、試験基板としての1/32”の厚さのポリプロピレンシートとともに使用することができる。他の同様の器具及び他の柔らかい可撓性のある試験基板を用いて、剥離力を測定することもできる。材料及び選択された基板に対する試験組成物の適用は、次の通りである: 50-ミクロンのスペーサー(例えば、1層の3Mマジックスコッチテープ)をシートサイズ4.5”×1.5”の基板の上に置き、3.75”×0.75”の開放矩形を形成させ、基板表面を露出させる。試験組成物を基板の上に適用し、その後、スライドガラスをスペーサーの縁に沿って前後に滑らせ、滑らかでかつ均一な試験組成物の層を堆積させる。試験組成物を、室温及び周囲湿度で、3時間、該部分に触れさせないでおく。その後、0.75”の幅のシリコーン接着テープ(Mepitac)をフィルムの上に置いて、ポリプロピレン基板上のフィルム表面を完全にカバーし、測定の準備を整える。試験される各々の材料について、少なくとも3つの試料を測定し、平均剥離力及び測定の標準偏差を記録する。
【0209】
(測定)
シリコーンテープでカバーされた試験標本の一方の端を手で一部剥離して、機器の延長グリップジオメトリマウントによる効果的なグリップのために十分量のシリコーンテープでカバーされたフィルムをポリプロピレン基板から引き離す。各々の剥離する側をそれ自体の機器グリップの中に固定する。ストリップがジオメトリと実質的に平行にクランプされていることを確認する。2つの剥離ストリップが互いに完全に分離するまで、1mm/sの速度で伸長試験を実施する。剥離力と時間データを記録する。試料の幅(0.75”又は0.019m)によって規格化された実験の間に機器によって測定される瞬発力(N)を平均化することにより、試料の平均剥離力(N/m)を計算する。
【0210】
(湾曲した標本の表面張力についてのカール試験)
皮膚又はゴムバンド又はパラフィルムなどの基板への試験品の堆積は、体積の減少(歪み)が原因でフィルム内部に残留圧縮応力を生じさせ、これが次に、下部の基板に対する引張応力に変わる。基板の上に堆積したフィルムの合わせた結果を観察し、フィルムの堆積後の基板の表面曲率のレベルに基づいて定量することができる。
【0211】
カール試験用の試験品を調製するために、まず、選択された基板に対する試験組成物の適用において先に記載されているように、試験品を弾力性のある合成ゴムシート又はパラフィルム基板のいずれかの上に堆積させた。材料及び選択された基板に対する試験組成物の適用は、次の通りである: 50-ミクロンのスペーサー(例えば、1層の3Mマジックスコッチテープ)をシートサイズ4.5”×1.5”の基板の上に置き、3.75”×0.75”の開放矩形を形成させ、基板表面を露出させる。試験組成物を基板の上に適用し、その後、スライドガラスをスペーサーの縁に沿って前後に滑らせ、滑らかでかつ均一な試験組成物の層を堆積させる。試験組成物を、室温及び周囲湿度で、24時間、該部分に触れさせないでおく。
【0212】
(測定)
Vernier Caliperを用いて、上方に湾曲した試験標本の幅側の端から端までの距離を測定する。端から端までの距離は、不完全な上向きの円を形成する弦長を指し、この場合、該円の対応する半径のその後の計算はコンピュータ計算される。半径値を報告し、その逆数を「曲率」値として報告する。曲率値を用いて、基板上に発生した表面張力を計算する。皮膚などの固有の表面張力を有するもともと湾曲している表面の場合、堆積した最外層によって発生した表面張力の変化は、それに応じて、固有の表面張力を修飾することになる。
【0213】
(サイクル試験及び伸長引張試験)
これらのサイクル引張残留歪み(即時残留歪み)、サイクル引張ヒステリシス損失エネルギー、引張(ヤング)係数、剪断係数、引張強度/最大応力、破壊歪み、及び破壊靱性の試験方法は、ASTM D638、ASTM D412、ASTM D1876試験ガイドラインに従って、本明細書に開示される標本により適するように開発された。延長グリップジオメトリが取り付けられた100Nロードセル(Instron #2519-103)を備えたInstron 3342単一カラム引張/圧縮試験系(Instron, Norwood, MA)を使用することができる。他の同様の器具を用いて、本明細書で試験される特性を測定することもできる。試験される各々の材料について、少なくとも3つの試料を測定し、平均結果及び測定の標準偏差を記録する。
【0214】
各々の試料について、約10gの被験組成物が必要とされる。これらの試料を、ASTM D638ガイドラインに沿って、テフロン(登録商標)上に取り付けられたダンベル型金型の内側で成型する。金型の「ネック」の寸法は、長さ約20mm、幅約5mm、深さ約1.5mmである。金型の「ハンドル/ベル」の寸法は、長さ約20mm、幅約15mm、深さ約1.5mmであり、これにより、試験中、固定の滑り防止グリップを保証するのに十分な領域が提供される。満たされた金型の上面を滑らかな顕微鏡スライドと同じ高さにする。金型が隙間なく満たされ、上面が滑らかになるようにする。成型試料を完全に硬化させ、約20~約30時間乾燥させておく。形成された標本をその個々の金型からヘラにより抜き出す。完成した標本の「ネック」の幅及び厚さをノギスで測定し、記録し、機器に入力する。標本の「ネック」部の面積をその幅及び厚さにより計算する。
【0215】
本明細書に開示される組成物によって形成された層を基板から離れた時点で試験することもできる。そのような層を矩形に形成し又は切り取ることができ、層の横断面の面積をその幅及び厚さにより計算することができる。そのような場合、矩形の標本の末端が「ハンドル/ベル」部分とみなされるのに対し、矩形の標本の真ん中は「ネック」部とみなされる。
【0216】
標本の機械的特徴付けは、100Nロードセルを装備したInstron 3342(Instron, Norwood MA)で行う。ダンベル型又は矩形の標本を両端でInstron 2710-101グリップを介して機器に取り付ける。これは、試験中、標本がグリップ内に滑ったり、落ちたりしないように改良されたものである。標本の矩形の「ハンドル/ベル」部分が全て機器グリップ内に固定され、標本の「ネック」は機器グリップ内に固定されないように、標本を機器に取り付ける。標本が両方の垂直面で実質的に垂直に取り付けられるようにする。試料が、ゼロ近く(±0.01N)である機器の力によって示されるような、ニュートラルな伸長状態になるように、機器グリップ距離を調整する。
【0217】
各標本に2種類の試験、まず、サイクル試験、次いで、伸長引張試験を順次行う。サイクル試験が同じ標本に対する伸長引張試験の結果にほとんど影響を及ぼさないことに留意する。各試験を機器に予めプログラミングする。
【0218】
(サイクル試験):
サイクル引張残留歪み(即時残留歪み)を測定することにより被験材料の弾性を決定するように、サイクル試験を設計する。一般に、材料の弾性が大きいほど、変形後のそのもとの形状への戻りが速くなる。より小さいサイクル引張残留歪みスコアは、より良好な弾性を示す。完全弾性材料では、サイクル引張残留歪み及びサイクル試験の領域はゼロに近づくはずである。
【0219】
標本を上記のように機器に取り付ける。0.06~0.08Nの力が機器によって示されるまで、ジオメトリを持ち上げることにより、標本を約1mm/sでわずかに延伸させ、標本の「ネック」部の延伸長を初期標本長として記録する。サイクル伸長を初期標本長の15%の最大伸長まで約1mm/sで実施する。合計15(及び最大100)サイクルを実行し、応力歪みデータを記録する。
【0220】
サイクル引張係数は、1%~4%の歪みの第1サイクルの応力-歪み曲線の直線の傾きとして計算する。直線の当てはめのR二乗値は0.99を上回るはずであるか、又は試験データは外れ値として記録され、廃棄されるはずである。サイクル引張残留歪みを、第1サイクルの間に達成される最大応力の半分における負荷曲線と除荷曲線の歪み差として、各サイクルについて計算する。第1サイクルのサイクル引張残留歪み及び第2サイクルから第12サイクルまでの平均サイクル引張残留歪みを記録する。各サイクルの負荷曲線及び除荷曲線によって結ばれる面積もサイクル引張ヒステリシス損失エネルギーとして計算する。サイクル引張残留歪みと計算されたサイクル面積の良好な一致が認められる。
【0221】
本明細書に開示される組成物によって形成される標本の大半は、計算特性を顕著には変化させることなく、サイクル試験を同じ試料で繰り返すことができるような、十分な可撓性及び弾性があり、このことは、この試験が被験標本に対して長期にわたる変化をもたらさなかったことを示唆するものである。
【0222】
(伸長引張試験):
伸長引張試験を用いて、それぞれ、引張係数/ヤング係数及び破壊歪みを測定することにより、材料の剛性及び延伸性/可撓性を決定した。
【0223】
標本を上記のように機器に取り付ける。0.01~0.02Nの力が機器によって示されるまで、ジオメトリを持ち上げることにより、標本を約10mm/sでわずかに延伸させ、標本の「ネック」部の延伸長を原長として記録する。伸長引張係数/ヤング係数は、6%~11%の歪みの応力-歪み曲線の直線の傾きとして計算する。直線の当てはめのR二乗値は0.99を上回るはずであるか、又は引張係数/ヤング係数は応力歪み曲線上のより直線的な5%歪み範囲から計算される。
【0224】
剪断係数を引張係数/ヤング係数と同じ歪み範囲から計算する。剪断係数を、記録された応力とα-1/α2(式中、αは、1+瞬間の歪みである)の間の最良の線当てはめの傾きとして計算する。
【0225】
標本を、片側で又は完全に破壊されるまで、約10mm/sで延伸させる。標本が破壊されるときに適用された力を「最大引張力」として記録する。標本の原長を超えて伸長して破壊されるときの標本の「ネック」部の長さを「最大伸び長」として記録する。引張強度/最大応力を標本の「ネック」部の領域にわたる最大引張力として計算する。破壊歪みを、最大伸び長として、原長のパーセンテージとして記録する。
【0226】
破壊靱性(kJ/m3)を伸長引張試験における応力-歪み曲線下面積として計算する。降伏歪みを、測定応力がネオ-フック応力と10%よりも大きく異なった歪み;剪断係数と(α-1/α2)の乗数として測定する。
【0227】
(経表皮水分喪失(TEWL)測定試験)
蒸発水分喪失測定は、皮膚バリア機能の機器による評価を提供する。TEWLプローブによる蒸発測定法は、Groveらの文献、蒸発計及びDermaLab(登録商標) TEWLプローブの比較計量学(Comparative metrology of the evaporimeter and the DermaLab(登録商標) TEWL probe)、Skin Res. & Tech. 1999, 5:1-8及びGroveらの文献、DermaLab(登録商標) TEWLプローブを用いるコンピュータ制御された蒸発測定法(Computerized evaporimetry using the DermaLab(登録商標) TEWL probe)、Skin Res. & Tech. 1999, 5:9-13に完全に記載されている。Pinnagodaによって記載されているServo Med蒸発計の使用のために確立されたガイドライン(Pinnagodaらの文献、経表皮水分喪失(TEWL)測定のガイドライン(Guidelines for transepidermal water loss (TEWL) measurement)、Contact Dermatitis 1990, 22:164-178)は、DermaLab(登録商標) TEWLプローブにも適している。
【0228】
蒸発水分喪失測定は、較正されたばかりのServo Med蒸発計を用いて行うことができる。或いは、これらの測定は、較正されたばかりのcyberDERM RG1蒸発計システム(Broomall, PA)を、TEWLプローブ(Hadsund, DenmarkのCortex Technologyにより製造され、cyberDERM社. Broomall, PAを通じて米国で入手可能)、又は他の同様の器具とともに用いて行うことができる。
【0229】
どちらの蒸発計も、Gert E. Nilssonが先駆的に開発した蒸気圧勾配推定法に基づいている(例えば、Nilsson, G.E.の文献、皮膚からの水分交換の測定(Measurement of water exchange through skin)、Med Biol Eng Comput 1977, 15:209-218)。寸法差はわずかであり、センサー技術は、DermaLab(登録商標) TEWLプローブで大きく改善されているが、測定の基本原理は同じままである。どちらのプローブも、皮膚表面に垂直な軸に沿った2つの固定点に、温度及び相対湿度を測定する2つのセンサーを含む。この配置は、該装置が、gm/(m2・時)で表される蒸発水分喪失に対応する値を電子的に導出することができるようなものである。蒸発計システムは、ひとたび定常状態条件が達成されれば、20秒の間隔にわたって収集される平均蒸発水分喪失速度の値を抽出する。
【0230】
対象を、皮膚上でのフィルム耐久性試験において記載されているように、選択された掌側前腕試験部分に対して試験組成物で処置する。測定値を、処置前に、及び組成物の適用後の様々な時点(例えば、約1時間、約4時間、約6時間、約12時間、約24時間、約30時間、約36時間、約48時間、又は48時間~1週間の時点)で、掌側前腕部位の各々から取得する。測定値を、相対湿度を約50%未満に維持し、温度を約19~22℃に維持した、制御された環境で、最低25分の順応期間の後に取得する。2連の水分喪失読取値を各部位から取得する。TEWL特性(g/(m2・時))を機器によって記録されたデータに基づいて計算する。
【0231】
(色L*a*b*試験に基づく光学的測定)
この試験は、当技術分野で一般に知られている、製造業者による説明書に従って、Minolta CR-400 Chromaメーターを使用する。その後、L*(D65)、a*(D65)、及びb*(D65)の3連の測定値を、試験品の6カ所以上の異なる位置で収集する。
【0232】
(ウイルス透過に基づくバリア保護試験)
ウイルス透過に基づくバリア保護試験を実施して、血行性病原体の危険から保護することが意図される保護材料のバリア性能を評価する。試験品を、21±5℃及び60±10%相対湿度(%RH)で、最低24時間順化させ、その後、φX174バクテリオファージ懸濁液を用いて、ウイルス透過について試験した。試験の最後に、試験品の観察面を滅菌培地ですすぎ、φX174バクテリオファージの存在についてアッセイした。ウイルス透過法はISO 16604に適合する。3連の読取値を各試験品から取得する。
【0233】
(ニッケル接触に対する化学的保護に基づくバリア保護試験)
ニッケルと接触するとピンク色に変わる1%ジメチルグリオキシム及び10%水酸化アンモニウム溶液を含む簡単なスポット試験を用いて、ニッケルをppmレベルで検出することができる。硫酸ニッケル(II)六水和物溶液の0.2M溶液を基板に添加し、両方を試験品によってカバーする。その後、スポット試験溶液を試験物に適用する。ピンク色への変色は、ニッケルが試験品を透過し、色溶液と接触していること、又は色溶液が試験品を透過し、ニッケルと接触していることを示している。対照的に、変色の欠如は、試験品が透過されていないこと及びそのバリア機能が無傷であることを示している。
【0234】
(紫外線照射からの保護に基づくバリア保護試験)
試験品の存在は、特に、該試験品が、二酸化チタン、酸化亜鉛、アボベンゾン、オクチノキセート、オクトクリレン、ホモサレート、又はオキシベンゾンなどのSPF活性成分を含有するとき、紫外線光の皮膚吸収の低下を助けることができた。
【0235】
UV照射に対するバリア保護のための試験品を調製するために、最初に、試験品を、選択された基板への試験組成物の適用において先に記載されているように、ブランクのCellophaneシート基板上に堆積させた。12.78cm(L)×8.55cm(W)のサイズのCellophaneシートを用いて、UV-Vis分光光度計のプレートホルダーに合わせる。UV吸光度を、UV-Vis分光光度計を用いて、波長260nmから400nmまで、1nmのスキャン間隔で測定する。少なくとも4つの異なるスポット位置の平均値に基づく吸収データを報告する。
(実施例)
(実施例1:組成物及び組成物によって形成される層の特性の試験)
表1.物理的特性の測定のための例示的方法
【表1】

【0236】
(実施例2:第一の部分(処方P1-001))
表2.処方P1-001の活性成分
【表2】
本明細書における組成物は全て、Dual Asymmetric Centrifugal Laboratory Mixer System(Hauschild, Germany)を用いて混合した。
【0237】
成分1及び2を容器に添加し、2000rpmで2分間混合した。その後、成分3を混合物に添加し、(成分3の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。
【0238】
(実施例3:第一の部分(処方P1-002))
表3.処方P1-002の活性成分
【表3】
処方P1-002を処方P1-001と同じ方法を用いて調製した。
【0239】
(実施例4:第一の部分(処方P1-003))
表4.処方P1-003の活性成分
【表4】
成分1~3を容器に添加し、2000rpmで2分間混合した。成分4を混合物に添加し、(成分4の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。成分5を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで5分間混合した。成分6を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0240】
(実施例5:第一の部分(処方P1-004))
表5.処方P1-004の活性成分
【表5】
成分1~3を容器に添加し、2000rpmで2分間混合した。成分4を混合物に添加し、(成分4の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。成分5を混合物に添加し、(成分5の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。
【0241】
(実施例6:第一の部分(処方P1-005))
表6.処方P1-005の活性成分
【表6】
成分1~3を容器に添加し、2000rpmで2分間混合した。その後、成分4を混合物に添加し、(成分4の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。
【0242】
(実施例7:第一の部分(処方P1-006))
表7.処方P1-006の活性成分
【表7】
処方P1-006を処方P1-005と同じ方法を用いて調製した。
【0243】
(実施例8:第一の部分(処方P1-007))
表8.処方P1-007の活性成分
【表8】
処方P1-007を処方P1-005と同じ方法を用いて調製した。
【0244】
(実施例9:第一の部分(処方P1-008))
表9.処方P1-008の活性成分
【表9】
処方P1-008を処方P1-005と同じ方法を用いて調製した。
【0245】
(実施例10:第一の部分(処方P1-009))
表10.処方P1-009の活性成分
【表10】
処方P1-009を処方P1-005と同じ方法を用いて調製した。
【0246】
(実施例11:第一の部分(処方P1-010))
表11.処方P1-010の活性成分
【表11】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-002を形成させた。その後、成分4を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0247】
(実施例12:第一の部分(処方P1-011))
表12.処方P1-011の活性成分
【表12】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-002を形成させた。その後、成分4を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0248】
(実施例13:第一の部分(処方P1-012))
表13.処方P1-012の活性成分
【表13】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-002を形成させた。成分4を混合物に添加し、500rpmで5分間混合した。その後、成分5を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0249】
(実施例14:第一の部分(処方P1-013))
表14.処方P1-013の活性成分
【表14】
成分1、2、及び3を容器に添加し、2000rpmで2分間混合した。その後、成分4を混合物に添加し、(成分4の完全な分散を保証するために、容器の壁を2分毎の間隔で手で擦りながら)2000rpmで12分間混合した。
【0250】
(実施例15:第一の部分(処方P1-014))
表15.処方P1-014の活性成分
【表15】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。その後、成分5を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0251】
(実施例16:第一の部分(処方P1-015))
表16.処方P1-015の活性成分
【表16】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-002を形成させた。その後、成分4を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0252】
(実施例17:第一の部分(処方P1-016))
表17.処方P1-016の活性成分
【表17】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0253】
(実施例18:第一の部分(処方P1-017))
表18.処方P1-017の活性成分
【表18】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0254】
(実施例19:第一の部分(処方P1-018))
表19.処方P1-018の活性成分
【表19】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0255】
(実施例20:第一の部分(処方P1-019))
表20.処方P1-019の活性成分
【表20】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0256】
(実施例21:第一の部分(処方P1-020))
表21.処方P1-020の活性成分
【表21】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0257】
(実施例22:第一の部分(処方P1-021))
表22.処方P1-021の活性成分
【表22】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0258】
(実施例23:第一の部分(処方P1-022))
表23.処方P1-022の活性成分
【表23】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0259】
(実施例24:第一の部分(処方P1-023))
表24.処方P1-023の活性成分
【表24】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0260】
(実施例25:第一の部分(処方P1-024))
表25.処方P1-024の活性成分
【表25】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0261】
(実施例26:第一の部分(処方P1-025))
表26.処方P1-025の活性成分
【表26】
成分1~3を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分4を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0262】
(実施例27:第一の部分(処方P1-026))
表27.処方P1-026の活性成分
【表27】
成分1~5を混合して、予備混合物を形成させ、その後、成分6を該予備混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0263】
(実施例28:第一の部分(処方P1-027))
表28.処方P1-027の活性成分
【表28】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5~7を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。得られた成分1~7の混合物を相Aとする。別々の容器中で、成分7~12を400rpmで10分間混合した。得られた成分8~9の混合物を相Bとする。その後、500rpmで混合しながら、相Bを相Aにゆっくりと添加し、その後、500rpmで15分間撹拌した。その後、得られたエマルジョンを1150rpmで15分間ホモジナイズする。
【0264】
(実施例29:第一の部分(処方P1-028))
表29.処方P1-028の活性成分
【表29】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5~7を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0265】
(実施例30:第一の部分(処方P1-029))
表30.処方P1-029の活性成分
【表30】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5~7を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0266】
(実施例31:第一の部分(処方P1-030))
表31.処方P1-030の活性成分
【表31】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5~9を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0267】
(実施例32:第一の部分(処方P1-031))
表32.処方P1-031の活性成分
【表32】
成分1~4を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分5~8を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。得られた成分1~8の混合物を相Aとする。別々の容器中で、成分10~12を成分9に徐々に添加し、その後、混合物が一様になるまで、400rpmで10分間混合した。その後、成分13を滴加し、その後、400rpmで10分間混合した。得られた成分9~13の混合物を相Bとする。その後、500rpmで混合しながら、相Bを相Aにゆっくりと添加し、その後、500rpmで15分間撹拌した。その後、得られたエマルジョンを1150rpmで15分間ホモジナイズする。
【0268】
(実施例33:第一の部分(処方P1-032))
表33.処方P1-032の活性成分
【表33】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分4を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0269】
(実施例34:第一の部分(処方P1-033))
表34.処方P1-033の活性成分
【表34】
成分1~3を混合して、記載されている通りの処方P1-013を形成させた。成分4を混合物にゆっくりと添加し、500rpmで30分間混合した。
【0270】
(実施例35.第二の部分(処方P2-001))
表35.処方P2-001の活性成分
【表35】
成分2を成分1に添加し、250rpmで15分間混合した。
【0271】
(実施例36:第二の部分(処方P2-002))
表36.処方P2-002の活性成分
【表36】
500rpmで混合しながら、成分2を成分1にゆっくりと添加し、その後、500rpmで20分間撹拌した。成分3~6を、別々の容器中で、500rpmで5分間混合した。成分1~2の混合物を、成分3~6の混合物を含む容器に添加し、その後、500rpmで10分間撹拌した。得られた成分1~6の混合物を相Aとする。別々の容器中で、成分7~12を400rpmで10分間混合した。得られた成分7~12の混合物を相Bとする。その後、500rpmで混合しながら、相Bを相Aにゆっくりと添加し、その後、500rpmで15分間撹拌した。その後、得られたエマルジョンを1150rpmで15分間ホモジナイズする。
【0272】
(実施例37:第二の部分(処方P2-003))
表37.処方P2-003の活性成分
【表37】
500rpmで混合しながら、成分2を成分1にゆっくりと添加し、その後、500rpmで20分間撹拌した。成分3~6を、別々の容器中で、500rpmで5分間混合した。成分1~2の混合物を、成分3~6の混合物を含む容器に添加し、その後、500rpmで10分間撹拌した。500rpmで混合しながら、成分7を成分1~6の混合物にゆっくりと添加し、その後、500rpmで5分間撹拌した。成分8を成分1~7の混合物に添加し、500rpmで5分間撹拌した。得られた成分1~8の混合物を相Aとする。別々の容器中で、成分9~13を400rpmで10分間混合した。得られた成分9~13の混合物を相Bとする。その後、500rpmで混合しながら、相Bを相Aにゆっくりと添加し、その後、500rpmで15分間撹拌した。その後、得られたエマルジョンを1150rpmで15分間ホモジナイズした。
【0273】
(実施例38:第二の部分(処方P2-004))
表38.処方P2-004の活性成分
【表38】
処方P2-004を処方P2-003と同じ方法を用いて調製した。
【0274】
(実施例39:第二の部分(処方P2-004))
表39.処方P2-004の活性成分
【表39】
各成分を添加し、250rpmで15分間、完全に混合した。
【0275】
(実施例40:第二の部分(処方P2-005))
表40.処方P2-005の活性成分
【表40】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0276】
(実施例41:第二の部分(処方P2-006))
表41.処方P2-006の活性成分
【表41】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0277】
(実施例42:第二の部分(処方P2-007))
表42.処方P2-007の活性成分
【表42】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0278】
(実施例43:第二の部分(処方P2-008))
表43.処方P2-008の活性成分
【表43】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0279】
(実施例44:第二の部分(処方P2-009))
表44.処方P2-009の活性成分
【表44】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0280】
(実施例45:第二の部分(処方P2-010))
表45.処方P2-010の活性成分
【表45】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0281】
(実施例46:第二の部分(処方P2-011))
表46.処方P2-011の活性成分
【表46】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0282】
(実施例47:第二の部分(処方P2-012))
表47.処方P2-012の活性成分
【表47】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0283】
(実施例48:第二の部分(処方P2-013))
表48.処方P2-013の活性成分
【表48】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0284】
(実施例49:第二の部分(処方P2-014))
表49.処方P2-014の活性成分
【表49】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0285】
(実施例50:第二の部分(処方P2-015))
表50.処方P2-015の活性成分
【表50】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0286】
(実施例51:第二の部分(処方P2-016))
表51.処方P2-016の活性成分
【表51】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0287】
(実施例52:第二の部分(処方P2-017))
表52.処方P2-017の活性成分
【表52】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0288】
(実施例53:第二の部分(処方P2-018))
表53.処方P2-018の活性成分
【表53】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0289】
(実施例54:第二の部分(処方P2-019))
表54.処方P2-019の活性成分
【表54】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0290】
(実施例55:第二の部分(処方P2-020))
表55.処方P2-020の活性成分
【表55】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0291】
(実施例56:第二の部分(処方P2-021))
表56.処方P2-021の活性成分
【表56】
各成分を添加し、50rpmで5分間、完全に混合した。
【0292】
(実施例57:第二の部分(処方P2-022))
表57.処方P2-022の活性成分
【表57】
処方P2-004を処方P2-003と同じ方法を用いて調製した。
【0293】
(実施例58:第二の部分(処方P2-023))
表58.処方P2-023の活性成分
【表58】
処方P2-004を処方P2-003と同じ方法を用いて調製した。
(実施例59.様々な製剤の耐久性及び指触乾燥時間の比較)
表59.様々な製剤の耐久性及び指触乾燥時間
【表59】
注:*VS165Kは、高粘度アルケニルオルガノポリシロキサンのAndisil VS 165,000を表す;
† VS10Kは、低粘度アルケニルオルガノポリシロキサンのAndisil VS 10,000を表す;
‡ Silicaは、フュームドシリカのAerosil R812sを表す。
【0294】
(実施例60: P1-016/P2-004と市販製品の耐久性の比較)
表60.約24時間の時点でのP1-016/P2-004と市販製品との耐久性の比較
【表60】
向かい合う掌側前腕の皮膚部分に2種の処方が適用された4人の健康な対象を用いて、Yuらの文献(米国特許第20130078209号)に従って、P1-016/P2-004と市販製品を比較して、皮膚上でのフィルム耐久性試験を実施した。耐久性を約24時間の時点で決定した。結果は図1にも示されている。
【0295】
(実施例61: P1-016/P2-004と市販製品の指触乾燥時間の比較)
表61. P1-016/P2-004と市販製品の指触乾燥時間の比較
【表61】
Yuらの文献(米国特許第20130078209号)に従って、P1-016/P2-004と市販製品を比較して、フィルムの指触乾燥時間試験を行った。結果は図2にも示されている。
(実施例62:様々な製剤のインビボ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表62.様々な製剤のインビボ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表62】
【0296】
(実施例63:様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表63.様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表63】
P1-017/P2-004~P1-023/P2-004を比較して、フィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を行い、第一の部分における相対的なヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けた。結果は図3にも示されている。
(実施例64:様々な製剤のインビボ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表64.様々な製剤のインビボ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表64】
【0297】
(実施例65:様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表65.様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表65】
P1-016/P2-005~P1-016/P2-013を比較して、フィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を行い、第二の部分における分子量と直接関連する相対的なビニルポリシロキサン粘度に基づいて順位付けた。
【0298】
(実施例66:様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表66.様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表66】
P1-016/P2-013~P1-016/P2-016を比較して、フィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を行い、第二の部分における250cStの粘度のビニルポリシロキサンの相対的な重量パーセンテージ含有量に基づいて順位付けた。
【0299】
(実施例67:様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間の比較)
表67.様々な製剤のインビトロ指触乾燥時間及び不粘着時間
【表67】
P1-016/P2-017~P1-016/P2-019を比較して、フィルムの指触乾燥時間及び不粘着時間試験を行い、第二の部分におけるP2-001の相対的な重量パーセンテージ含有量に基づいて順位付けた。
(実施例68: 24時間後の様々な製剤のインビボ耐久性の比較)
表68. 24時間後の様々な製剤の前腕皮膚上での耐久性
【表68】
【0300】
(実施例69:様々な製剤のインビトロ剥離接着試験の比較)
表69.ポリプロピレン基板上の様々な製剤のインビトロ剥離接着試験
【表69】
P1-017/P2-004~P1023/P2-004を比較して、インビトロ剥離接着試験を行い、第一の部分における相対的なヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けた。結果は図4にも示されている。
【0301】
(実施例70:摩擦に対するインビボフィルム耐性の実証)
皮膚上での試験組成物P1-030/P2-021(フルカバレッジ着色フィルム)及びP1-028/P2-004(透明着色フィルム)の摩擦に対するインビボフィルム耐性を図5で視覚的に示した。
【0302】
(実施例71: 6時間及び24時間後のインビボ耐久性の臨床的評価)
臨床試験(S16-01)は、正常な皮膚を有する25人の健康なボランティアを基にした。試験組成物を、技術者の指示の下、4つの試験部位(前腕、肘の内側、脚、膝の後ろ)に自分で適用した。各試験部位は、4cm×4cm(~0.1%BSA)の部分をカバーした。耐久性を、24時間後に残存する試験組成物部分のパーセンテージと12時間で自分で撮影した写真とにより、6時間及び24時間後に視覚的に評価した。さらに、耐久性を、写真を用いて、24時間後の腕での色素排除により追加で評価し、この写真もフィルムのバリア特性を視覚的に示した。結果は図6にも示されている。
【0303】
(実施例72:様々な製剤のインビトロ機械特性の比較)
P1-017/P2-004~P1023/P2-004を比較して、インビトロ機械特性を行い、第一の部分における相対的なヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けた。
表70.様々な製剤の機械特性についてのインビトロ引張破断試験
【表70】
表71.様々な製剤の弾性についてのインビトロサイクル引張試験
【表71】
【0304】
(実施例73:様々な製剤のインビトロカール試験の比較)
P1-017/P2-004~P1023/P2-004を比較して、インビトロカール試験を行い、第一の部分における相対的なヒドリド対ビニルのモル比に基づいて順位付けた。
表72.様々な製剤のインビトロカール試験
【表72】
【0305】
(実施例74:前腕皮膚上の試験製剤のインビボ光学評価)
表73.前腕皮膚上の試験製剤に対する色L*a*b*スケールのインビボ光学評価
【表73】
光学的性質を、(i)対照皮膚、(ii)皮膚上のP1-016/P2-004、(iii)皮膚上の3M Tegaderm(商標)創傷包帯について、掌側前腕位置から、Minolta Color Meterを用いて定量した。光学的不可視性の評価は、対照皮膚からの色L*a*b*スケール距離に関する分類に基づく。結果は図7にも示されている。
【0306】
(実施例75:皮膚表面調節のインビトロ評価)
皮膚表面調節のインビボ評価を視覚的に評価し、眼下部分の近く及び笑いじわ部分の近くの顔輪郭の調節に関して図8に示した。写真は、女性試験対象(上)でのP1-031/P2-022(右、眼下及び笑いじわ)及びP1-032/P2-022(左、眼下及び笑いじわ)による並びに男性試験対象でのP1-033/P2-023(右、眼下及び笑いじわ)及びP1-032/P2-023(左、眼下及び笑いじわ)による試験組成物の適用の15分前、15分後、及び6時間後に撮影された。試験組成物は全て、顔輪郭の外観の扁平化を示した。
【0307】
(実施例76:皮膚の光学的修飾インビトロ評価)
皮膚の光学的修飾のインビボ評価を視覚的に評価し、天然の色素沈着過剰の完全な光学的被覆に関して及びタトゥーの完全被覆に関して図9に示した。写真は、対象の前腕皮膚上でのP1-030/P2-021による試験組成物の適用の前後に撮影された。
【0308】
(実施例77:皮膚機能を増強するための刺激応答性成分の試験組成物への組込みのインビボ実証)
刺激応答性成分の試験組成物への組込みによる皮膚機能の増強の証拠を図10に示した。この図は、皮膚上での2つの異なる刺激応答性成分の試験組成物への組込みを示している。(左)グラフェンを含むP1-029/P2-004、及び(右)pH感受性色素を含むP1-028/P2-004。
【0309】
(実施例78:液体水透過に対するインビボバリア評価)
液体水透過に対するインビボバリア評価を、ワセリン及び対照皮膚と比較した、試験組成物P1-016/P2-004の防水性の実証によって行った。まず、水溶性色素を、試験組成物の局所適用前に、皮膚の3つの部位全てに沈着させた。試験組成物の局所適用後、各皮膚部位を水浴に沈め、その場合、対照皮膚部位の水溶性色素が皮膚から洗い落とされることが観察された。その後、残りの2つの部位を石鹸で洗い、手で徹底的に擦り、その場合、擦った後に、ワセリン部位の水溶性色素も皮膚から洗い落とされることが観察された。皮膚上で水溶性色素が唯一残った部位は、試験組成物P1-016/P2-004により保護された皮膚部位であった。結果を図11に示した。
(実施例79:ウイルス透過に対するインビトロバリア評価)
表74.ウイルス透過に対するインビトロバリア評価
【表74】
a 1未満のプラーク形成単位(PFU/mL)の値はプラークを示していないアッセイプレートについて報告される。
【0310】
(実施例80:ニッケル接触に対するインビトロバリア評価)
ニッケル接触に対するインビトロバリア評価を、P1-016/P2-004(右側)と対照(左側、試験組成物なし)とを比較して行った。対照(左)はピンク色への変色を示し、ニッケルとの直接的な接触を示した。P1-016/P2-004を含む試験組成物(右)は変色を示さず、ニッケル接触などの化学物質に対する試験品のバリア保護を示している。結果は図12にも示されている。
【0311】
(実施例81: UV照射に対するインビトロバリア評価)
P1-026/P2-004と対照ブランク及び一般用医薬品SPF 50スプレー(Banana Boat)とを比較して、UV照射に対するインビトロバリア評価を行った。P1-026/P2-004は、UV照射に対するバリア保護を示したが、SPF 50スプレーほど良好ではなかった。結果は図13にも示されている。
【0312】
(実施例82:インビトロ水蒸気透過率)
水蒸気透過試験を、有機コーティングフィルムの水蒸気透過についての標準試験法に関するASTM D1653のガイドラインに従って、ただし、10%RH、37Cの条件下で行った。本試験は、どれくらいの水蒸気がフィルムを通過することができるかを測定することにより、10%RH、37Cの設定条件下での、カップの内部のリザーバーからの水分喪失に反映される水分閉塞バリアのレベルを比較するためのものである。結果は図14にも示されている。
(実施例83:インビトロ水蒸気透過率)
表75.インビトロ水蒸気透過率
【表75】
(実施例84:インビトロ酸素透過率)
表76.インビトロ酸素透過率
【表76】
【0313】
(実施例85:蒸発計測定による2、6、及び24時間後のインビボ経表皮水分喪失(TEWL)の臨床評価)
臨床試験(S15-28)は、正常な皮膚を有する8人の健康なボランティアを基にした。試験組成物は、技術者によって、アームガードを6時間着用した掌側前腕部位に適用された。P1-016/P2-024を正常皮膚と(乾燥剃処理した)損傷皮膚という2つの異なる試験部位でワセリンと比較した。各試験部位は、4cm×4cm(~0.1%BSA)の部分をカバーした。TEWLを、試験品の適用の前、並びに2、6、及び24時間後に、蒸発計によって測定した。各TEWL測定の前に、対象を45分間平衡化させた。全ての無傷の皮膚部位についての初期のTEWL報告は、乾燥剃処理した全ての皮膚部位について、平均して16.92g/m2/時であったのとは対照的に、平均して4.85g/m2/時であった。結果は図15に示されている。
【0314】
(実施例86:フランツ拡散セルによるエクスビボ経皮薬物送達)
死体皮膚に対するフランツ拡散セルによるエクスビボ試験は、フランツ拡散セルシステムを用いて、無傷のヒト死体皮膚に入り、そこを通過する3つの異なる製剤組合せからのステロイド薬「トリアムシノロンアセトニド」の皮膚透過の割合及び程度を決定するためのものであった。
【0315】
試験品は、(1)市販の一般用医薬品であるVersa Pharma製の0.1%トリアムシノロンアセトニドローション(TA)、(2)Versa Pharma製のTAの上に重層されたP1-016/P2-004、及び(3)P1-027/P2-004から構成された。これらの各々は、0.1%トリアムシノロンアセトニドを含有していた。活性の濃度を、様々な時点で、拡散セルのレセプターチャンバー内で測定した。拡散試験の終結時に、皮膚を順次テープストリッピングし、表皮層と真皮層に分けた。グループ分けされたテープストリップ並びに表皮組織及び真皮組織の各々におけるトリアムシノロンアセトニド濃縮物を抽出溶媒を用いて抽出し、LC-MS検出器を備えたAgilent G6120 HPLCシステムでも分析した。
【0316】
皮膚調製物:採皮された無傷のヒト死体皮膚は、New York Fire Fighter's Tissue Bank(NYFFTB)から購入した。組織バンク由来のドナーID#は: AV011816 #5であった。NYFFTBによって供給されたドナー情報は:人種:コーカソイド、性別:男性、年齢:47歳、ドナー部位:後脚であった。組織バンクから皮膚を受け取ったらすぐに、実験の朝まで、皮膚を-20℃で凍結保存した。使用前に、皮膚を冷凍庫から取り出し、室温で完全に解凍させておいた。視覚的に無傷である皮膚の部位のみを実験時に使用した。
【0317】
レセプター液の調製:溶解度試験の結果に基づいて、2wt%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を含むpH 7.4のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のレセプター液を選んだ。このレセプター液中のトリアムシノロンアセトニドの溶解度は、~282μg/mlと測定された-これは、フラックス試験の期間を通じて、レセプター液中のシンク条件を維持するのに十分である。レセプター液の調製及び脱気を適切なpHで調製し、真空を引きながら、レセプター液をZapCap CR 0.2μm膜に通して濾過することにより脱気を行った。
【0318】
拡散セルの組立て:レセプター容積3.3mlの特注のフランツ拡散セル(FDC)を実験に使用した。各セル用の皮膚の利用可能な拡散表面部分は0.55cm2である。レセプター液を、実験中、撹拌式乾燥ブロックヒーターを用いて、32℃±0.5℃で維持し、該液を撹拌棒で連続撹拌した。拡散セルを組み立てる工程を以下に概説する:
・死体皮膚を冷凍庫から取り出し、バイオセーフティフード内で30分間解凍させておいた。包装を開ける前に、皮膚を完全に解凍した。
・死体皮膚を包装から取り出し、角質層側を上にして、バイオセーフティフードのカウンターに置いた。皮膚をキムワイプで軽く叩いて乾燥させ、その後、新しいPBSを噴霧し、再び軽く叩いて乾燥させた。このプロセスをもう3回繰り返して、皮膚上に存在する残留物を除去した。
・その後、レセプターウェルに、脱気したレセプター液を充填した。テフロンコーティングした撹拌棒を各レセプターウェルに加えた。
・解凍した死体皮膚を調べ、均一な厚さを有し、かつ表面に目に見える損傷のない部分のみを使用した。
・皮膚を~2cm×2cm角に切った。
・皮膚片を、ドナーセルの中央に、角質層(SC)側を上にして置いた。
・皮膚を再び中央に置き、縁を完全に平らにした。その後、ドナーウェル及びレセプターウェルを並べ、ピンチクランプで一緒にクランプした。
・必要な場合、追加のレセプター液を添加した。存在する気泡は、セルを転倒させることにより除去し、空気を試料ポートに沿って逃がした。
・その後、拡散セルを撹拌式乾燥ブロックヒーターに入れ、レセプター液から20分間再水和させておいた。ブロックヒーターを、連続撹拌しながら、実験全体を通して、32℃±0.5℃で維持した。
・20分後、皮膚の表面を調べた。皮膚が湿っているか又は「発汗」の兆候を示した場合、SCを損傷しているとみなし、破棄した。
【0319】
膜完全性の点検:セルを組み立て、皮膚を20分間水和させたら、皮膚に製剤を投与する前に、トリチウム水試験を用いて、各皮膚断片のバリア完全性を試験した。皮膚バリア完全性を測定する具体的な方法は、次のように概説され、Tioga Research SOP Lab.011に詳述されている。
・150μlのトリチウム水のアリコート(25μCi水/10ml水をスパイクしたもの)を各FDCドナーウェルに添加した。
・5分後、ドナーウェル由来のトリチウム水を除去し、皮膚を、キムワイプを用いて軽く叩いて乾燥させた。
・トリチウム化されたドナー液を除去した後、レセプターウェルをさらに1時間撹拌した。
・1時間撹拌した後、300μlのアリコート試料を各レセプターウェルから採取した。残りのレセプター液を廃棄し、新しいPBSと交換した(膜完全性試験は、レセプター液中のPBSしか使用しない)。
・600μlのシンチレーションカクテル(Ultima Gold XR)を各試料アリコートに添加した。
・その後、レセプターウェルアリコートのトリチウム含有量を、液体シンチレーションカウンター(LSC)を用いて測定した。
・LSC分析が終了した後、結果を分析した。異常に高い水フラックスを示す任意のFDCを廃棄した。
・その後、FDCを3H水フラックスに従って順位付けした。その後、各製剤がほぼ同等の平均トリチウム水フラックス値を有するFDCに割り当てられるように、FDCを分配した。
・膜完全性点検試験が終了したら、レセプターチャンバーの容積全体をレセプター液と交換した。
【0320】
製剤の適用手順:膜完全性試験が終了し、セルが適切に選別された後、製剤を皮膚の角質層に適用する準備が整った。ドナーセルをまずFDCから取り出した-この工程は、露出した表面部分にわたる製剤の適切な投与を可能にするために必要であった。次に、~0.55cm2の開口部を有するプラスチックウォッシャーを、該開口部がレセプターチャンバーと一列に並ぶように、死体皮膚の上に配置した。その後、一回限りの投与のレジメンをこの試験に用いた。投与プロトコル#1については、5μlのTAを皮膚に適用し、ガラスロッドを用いて、皮膚表面に展延した(製剤がプラスチックガスケットの範囲内に留まるように注意を払った)。投与プロトコル#2については、5μlのTAを皮膚に適用し、ガラスロッドを用いて展延した。その後、5μlの製剤P1-016をTAの上に適用し、展延し、その後、最後に、5μlの製剤P2-004を両方の製剤の上に適用し、0.55cm2の表面部分に展延した。投与プロトコル#3については、5μlの製剤P1-027を皮膚に適用し、ガラスロッドを用いて展延し、5μlの製剤P2-004をP1-027の上に適用した。全ての投与プロトコルにおいて、展延した後に残った製剤の量を確認するために、FDCの重量を各投与工程の前後に測定した。セル当たりの活性の用量及び対応する投与プロトコルを示す。
表77:各製剤組合せについてのセル当たりのトリアムシノロン用量。トリアムシノロン用量は、製剤について1.0の比重を仮定し、かつ製剤を展延した後、5μl用量のうちの100%が皮膚に残ることを仮定している。
【表77】
【0321】
レセプター液のサンプリング:1、2、4、6、8、及び24時間で、300μlの試料アリコートを、目盛り付きのHamilton型インジェクターシリンジを用いて、レセプターウェルから抜き取った。新しいレセプター培地を添加して、300μlの試料アリコートを交換した。その後、試料を0.2μm GHP膜フィルタープレートで濾過した。
【0322】
テープストリッピング及び熱スプリッティング: 24時間で、皮膚を、PBS/EtOHに浸したキムワイプを用いて軽く叩いて乾燥させた。次に、一切れのMepitacテープを皮膚に適用し、10分間静置させておき、その後、除去した。製剤フィルムが完全に除去されるように、このMepitac工程を再度行った。第二のMepitacテープを除去した後、皮膚を連続的にテープストリッピングした。これは、一切れのセロファンテープを軽い圧力で皮膚に適用し、その後、テープを剥がし、テープを回収することを伴った。各テープストリップで、角質層の層を除去する。セル当たり9枚のテープストリップを採取する。テープストリッピングを次のセクションでまとめてグループ分けした:テープストリップ1、テープストリップ2、テープストリップ3、テープストリップ4、テープストリップ5、及びテープストリップ6~9。
【0323】
皮膚をテープストリッピングした後、各皮膚片の表皮を、ピンセットを用いて、下層の真皮組織から切り離した。表皮組織及び真皮組織を収集し、4mlのホウケイ酸ガラスバイアル中に別々に入れた。
【0324】
全てのテープストリップ及び皮膚片を収集した後、活性をテープストリップ又は皮膚から抽出した。テープストリップについて、これは、4mlのメタノールをバイアルに添加し、バイアルを室温で24時間撹拌することからなっており、この後、試料を収集した。皮膚片について、抽出は、2mlのジメチルスルホキシド(DMSO)を、皮膚片を含むバイアルに添加し、その後、バイアルを穏やかに撹拌しながら40℃で24時間インキュベートすることにより実施した。24時間後、試料アリコートを採取し、0.20μm GHP膜フィルタープレートで濾過した。
【0325】
試料の分析:試料アリコートをLC-MS検出器を備えたAgilent G6120 HPLCシステムで分析した。試料を分析前に4~8℃で冷蔵保存して、トリアムシノロンアセトニドの望ましくない分解の防止を助けた。
【0326】
経皮、角質層(すなわち、テープストリップ)、並びに表皮及び真皮送達についての様々な製剤のトリアムシノロンの比較送達用量を報告した。TA(Versa Pharma製剤)の上へのP1-016及びP2-004の添加は、Versa Pharma製剤由来のTAを単独で適用することに比べて、より深い組織へのトリアムシノロンの流入を増大させたように思われる。皮膚にP1-027を投与し、上にP2-004を重層すると、最大の表皮取込みがもたらされた。結果は図16に示されている。
【0327】
(実施例87:血管収縮アッセイによるステロイドの効力の増強におけるインビボ閉塞利益の臨床評価)
フィルム層が存在するため、ステロイドの効力の増強におけるインビボ閉塞利益を評価するための臨床試験は、従来の血管収縮1点アッセイから改良したものであった。本試験は、正常な皮膚を有する37人の健康なボランティア(23人の女性及び14人の男性)を基にした。P1-016/P2-024フィルム閉塞:トリアムシノロンアセトニド(TA)ローション、0.1%-クラス5、プロピオン酸フルチカゾン(FP)ローション、0.05%-クラス5、ヒドロコルチゾン(HC) 2.5%溶液-クラス7の有無によるステロイドの血管収縮転帰を比較して、効力が増加する3つのステロイドを試験するために、試験品は、技術者によって、対象1人当たり6つの試験部位で、掌側前腕部位に適用された。血管収縮の読取りを、16時間での洗い落としなしで、18時間で報告した。
【0328】
方法:単一施設、評価者盲検、対象、ビヒクル、及び参照内無作為化、対照視覚的評価。
【0329】
対象:計画36人、登録37人、分析37人(ITT集団)、分析36人(PP集団)。
・診断及び主な組入れ基準:血管収縮をすぐに評価することが可能であり、かつ局所コルチコステロイドに対する陽性の皮膚白化応答の既往又は証拠を有する前腕の皮膚を有する18~65歳の健康な男性又は女性対象。
【0330】
治療期間: P1-016/P2-004フィルムを用いた閉塞あり及びなしで投与された以下のステロイドの16(±1)時間の単回適用:
1.トリアムシノロンアセトニドローション、0.1%(クラス5)
2.プロピオン酸フルチカゾンローション、0.05%(クラス5)
3.ヒドロコルチゾン溶液、2.5%(クラス7)
【0331】
評価の基準:
・有効性:
0(なし)~3(顕著な白化)の範囲の4点順序尺度での視覚的に評価される皮膚白化の程度
・安全性:
試験中に報告される有害事象(AE)は全て、経過、重症度、及び転帰を記録して、掲載されることになっていた。
【0332】
統計方法:
データは、Excelを用いるダブルエントリー法を用いて入力した。統計処理は全て、SAS(登録商標)、バージョン9.4を用いて行った。これは対象内デザインであったので、性別及び人種などの人口学的特性を度数分布としてまとめ、一方、年齢は、平均及び標準偏差としてまとめた。
・試験集団:
無作為に割り付けられ、かつ少なくとも1つの試験品が適用された、本試験に登録された全ての対象を安全性及び有効性の分析に含めた。これは、治療意図(ITT)集団であった。対象が顕著なプロトコル逸脱をしないで試験を終えた場合、彼らをプロトコル適合(PP)集団の有効性分析に含めた。
・有効性分析:
閉塞あり又はなしでの、各試験品についての皮膚白化スコアの合計及び平均を計算した。統計的検定は全て、5%の有意水準(両側)で行った。
一次分析は、視覚的に評価される治療白化スコア平均が互いに等しかったという帰無仮説を検定するものである。これは対象内デザインであったので、視覚的な皮膚白化データを、対象をブロック変数とする無作為化ブロック分散分析(ANOVA)を用いて、治療間の平均差について分析した。
この分析では、実験毎の第I種過誤率を完全帰無仮説の下で5%に制御するライアン-エイノット-ガブリエル-ウェルシュの多重範囲検定(REGWQ)を用いて、平均視覚的評価スコアの対比較を行った。帰無仮説は、治療白化スコア平均が互いに等しいということを述べるものである。
・安全性分析:
試験中に報告されるAEは全て、経過、重症度、及び試験品との関係、並びに転帰を記録して、掲載されることになっていた。報告されるAEは全て、可能であれば治療別に、AEを報告する対象の数、器官別大分類(SOC)、基本語(PT)、重症度、及び試験品との関係別にまとめることになっていた。
【0333】
(臨床的結果)
結果のまとめ: 37人の対象を登録し、試験で治療した。1人の登録対象(対象01-106)を除く全員が試験を終えた(N=36)。試験に登録したのは、女性24人(64.9%)及び男性13人(35.1%)であった。対象の約86%(32/37)が白人、8.1%(3/37)がアジア人、残り2人の対象がアメリカ先住民/アラスカ先住民(1/37、2.7%)及び白人と黒人の混血(White and Black)/アフリカ系アメリカ人(1/37、2.7%)であった。対象の約3分の2は、ヒスパニック起源でもラテンアメリカ起源でもなかった(25/37、67.6%)。平均年齢は34.2歳であり、対象の年齢は19~62歳の範囲であった。1人の対象(対象01-106)を除く全員が指定の時間域内で試験部位を洗浄し、フィルムを除去し、血管収縮評価を指定の時間域内で行っていた。対象01-106は、ITT集団に含まれたが、PP集団から除外された。この対象は、血管収縮評価を有さず;したがって、血管収縮評価のまとめに含まれなかった。
・有効性の結果:閉塞ありのプロピオン酸フルチカゾンローション、0.05%(クラス5)と閉塞ありのトリアムシノロンアセトニド、0.1%ローション(クラス5)は、互いに統計的に有意な差がなかったが、閉塞なしのトリアムシノロン及びフルチカゾン、閉塞あり及びなしのヒドロコルチゾン(クラス7)と統計的に有意な差があった。閉塞なしのトリアムシノロンは、閉塞なしのヒドロコルチゾンと同様、他の全ての製品と統計的に有意な差があった。閉塞ありのヒドロコルチゾン及び閉塞なしのフルチカゾンは、互いに統計的に有意な差がなかった。
・安全性の結果: AEを経験した対象はおらず、安全性の理由のために、試験を中断した対象はいなかった。
表78 血管収縮アッセイによるステロイド効力の増強におけるインビボ閉塞利益の臨床評価
【表78】
【0334】
(臨床的結論)
ITT集団の対象1人が評価を受けなかったので、ITT及びPP集団についての血管収縮評価の結果は本質的に同じであった。P1-016/P2-004による閉塞ありのクラス5のフルチカゾン及びトリアムシノロン参照ローション製品は、互いに統計的に有意な差がなく、かつ他の全ての参照製品(P1-016/P2-004による閉塞あり又は閉塞なし)と統計的に有意な差があった(より効力が高かった)。閉塞なしのクラス5のトリアムシノロン参照製品は、クラス7の(ヒドロコルチゾン)参照製品(P1-016/P2-004による閉塞あり又は閉塞なし)及び閉塞なしのクラス5の参照製品フルチカゾンと統計的に有意な差があった(より効力が高かった)。この結果は、同一であるフルチカゾンローション製品とトリアムシノロンローション製品の公表されている効力等級(すなわち、クラス5の効力)と若干異なる。しかしながら、そのようなばらつきは、時に、VCAで想定外のものではない。P1-016/P2-004による閉塞ありのクラス7のヒドロコルチゾン参照製品及び閉塞なしのクラス5のフルチカゾン参照製品は、互いに統計的に差がなく、閉塞なしのクラス7の参照製品と統計的に有意な差があった(より効力が高かった)。クラス7のヒドロコルチゾン参照製品は、他の全ての参照製品と統計的に有意な差があった(より効力が低かった)。
【0335】
これらの結果は、試験した3つ全てのRLDについて、P1-016/P2-004フィルムによる閉塞に基づく効力の増加を一貫して示した。P1-016/P2-004フィルム閉塞ヒドロコルチゾン2.5%試験製品に関して、フルチカゾンローションRLDとの等価性は、P1-016/P2-004フィルムによる閉塞に起因するクラス7からクラス5の効力への増大を意味する。同様に、クラス5のフルチカゾンローション0.05%とトリアムシノロンローション0.1%閉塞参照製品はどちらもこれらの非閉塞対応物よりも効力が高かった。これは、クラス5の効力から少なくともクラス4~クラス3の効力への増大を意味している。
【0336】
(実施例88.皮膚バリア機能障害の状態の管理についての臨床効率の評価)
本明細書に開示される組成物の適用による特定の皮膚バリア機能障害の状態の管理についての臨床効率の評価が以下に示されている。
【0337】
(対象):
特定の皮膚バリア機能障害の状態(例えば、アトピー性皮膚炎、乾癬、湿疹、尋常性魚鱗癬、乾皮症、酒さ)を有する、統計分析に好適な多くの対象(例えば、24~64人)を試験のために選択する。例えば、アトピー性皮膚炎又は湿疹を有する対象を、Hanifin及びRajkaの文献、アトピー性皮膚炎の診断上の特徴(Diagnostic features of atopic dermatitis)、Acta. Derm Venereol Suppl(Stockh) 1980; 92: 44-47によって提唱された広く受け入れられている基準に基づいて選択する。尋常性魚鱗癬を有する対象を、Williamsらの文献、英国の専門調査委員会のアトピー性皮膚炎の診断基準.III.独立した院内検証(The U.K. Working Party’s Diagnostic Criteria for Atopic Dermatitis. III. Independent hospital validation)、Br J Dermatol 1994; 131(3):406-416に記載されている広く受け入れられている基準に基づいて選択する。傷跡、瘢痕、擦過傷、又は任意の皮膚疾患を有する者は誰であれ、除外されない。
【0338】
対象は、試験場に到着した後、その特定の皮膚疾患の重症度について、皮膚科医により評価され、その2週間の試験期間中、好ましくは、同じ皮膚科医により追跡調査される。対象は、皮膚疾患の持続期間、その他、喘息又はアレルギー性鼻炎を含むアトピー性障害、及びその他、特定の皮膚疾患の重症度の季節差、並びにその治療歴、例えば、ステロイド、モイスチャライザー、又は経口抗ヒスタミンについてインタビューされる。対象には、状態の重症度及び睡眠パターンなどの生活の質に関する自己評価のために、対象アンケートも与えられる。対象は、軽度、中等度、及び重度の状態にさらに分類されることができる。
【0339】
(組入れ基準):
1.あらゆる年齢層の男女(例えば、アトピー性皮膚炎の場合)、6~70歳の男女(例えば、湿疹、尋常性魚鱗癬の場合)、又は18~70歳の男女(例えば、乾癬の場合);
2.試験当日のその予約の前の2時間の間、運動すること及び/又は熱いもしくはカフェイン入りの飲料を飲むこと(これは測定に影響を及ぼし得る)を控えることに同意する;
3.全ての試験要件及び制限に従う意志がありかつそれができる;並びに
4.同意書を読み、それを理解し、かつそれに署名することができる。
【0340】
(除外基準):
1.インタビューにより決定されるときに、妊娠しているか、授乳しているか、又は妊娠を計画している;
2.現在、閉経期にある(すなわち、顔面紅潮を経験している);
3.喫煙者である;
4.治験責任医師又はその適法に選定された代表者が考える任意の他の条件又は因子が皮膚応答又は試験結果の解釈に影響を及ぼし得る。
【0341】
対象は、正規の水和試験では従うように通常指示される試験前の3日間のプレコンディショニング期間中、全ての保湿製品(石鹸、ローション、日焼け止め、虫除け剤など)の使用を止めるよう指示されない。しかしながら、対象は、その試験訪問日の2時間前以内に運動しないように又は熱いもしくはカフェイン入りの飲料を飲まないように指示される。というのは、これが測定に影響を及ぼし得るからである。対象は、検査前に軟膏又はオイルを適用しないように指示される。
【0342】
(治療及び手順):
標準的なテンプレートをガイドとして用いて、特定の皮膚疾患(「皮膚病変」)を有する2以上の部分及び正常な外見の皮膚を有する1以上の部分を含む、対象の皮膚に、標準的なテンプレートを用いて2~6カ所の5cm×5cmの試験部位の輪郭を描く。
【0343】
試験製品を、1~4カ所の特定された皮膚病変及び2~3カ所の正常な外見の皮膚部分に適用する。少なくとも1カ所、好ましくは、2カ所の特定された皮膚病変を対照として未処置のままにする。試験製品を、2週間ずっと毎日、1日1回適用する。
【0344】
約0.08~0.1mLの試験組成物のアリコートを指サックを着用した指に分配し、その後、試験部分に直接適用する。二部分試験組成物の場合、第一の試験組成物(面積25cm2当たり約0.08mL)をまず皮膚に適用し、第二の試験組成物(5cm2当たり約0.1mL)を新しい指サックで分配し、2つの試験材料の混合を最小限に抑えるために、擦り込みではなく、処置部分をコーティングする滑運動によって、第一の試験組成物で処置した同じ部分に適用して、2つの組成物を同じ試験部分に適用する。
【0345】
(臨床的測定前の製品除去):
全ての試験部分を洗浄して、臨床的測定の前に試験組成物を除去する。除去剤を使用前によく振って均一にする。除去剤(25cm2当たり1.5mL)を綿ラウンドパッドに注ぎ、その後、湿ったパッドを試験部分の上に置いて、試験組成物を除去する。
【0346】
(臨床的測定)
臨床的測定は、以下の態様のうちの1つ又は複数において実施される。
・疾患の重症度:
o SCORAD又はOSCORAD(アトピー性皮膚炎の客観的スコア、アトピー性皮膚炎に関する欧州作業部会、アトピー性皮膚炎の重症度のスコアリング: SCORAD指数(Severity scoring of atopic dermatitis: the SCORAD index)、Dermatology 1993, 186:23-31)は、スコア範囲0~103の、アトピー性皮膚炎疾患強度(紅斑/色素沈着、浮腫/集団(population)、湿潤/瘡蓋、表皮剥離、苔蘚化/痒疹/掻痒症、及び乾燥)の6つの臨床的特徴を含む、9の規則を利用している。
o PASI(乾癬領域及び重症度指数、Fredriksson及びPetterssonらの文献、重症乾癬-新しいレチノイドによる経口療法(Severe psoriasis - oral therapy with a new retinoid)、Dermatologica 1978;157:238-44)は、病変のある皮膚表面積と組み合わせた、0±4の尺度での、乾癬性病変:紅斑(赤み)、浸潤(肥厚)、及び落屑(desquamation)(落屑(scaling))という3つの典型的な兆候の定量的評価に基づいている。PASIスコアの基礎は、4つの別々の身体部分:頭、胴体、並びに上肢及び下肢の評価である。これらを、病変のある皮膚表面の程度を確定した後に、紅斑、浸潤、及び落屑について別々にスコアリングするのは、時間のかかることであり、経験豊富な人でも10±15分はかかる場合がある。スコアリング形式の例を図17に示す。PASIスコアは、次のように計算される:
PASI=0.1(Eh+Ih+Dh)Ah+0.3(Et+It+Dt)At+0.2(Eu+Iu+Du)Au+0.4(El+Il+Dl)Al
(式中、E=紅斑; I=浸潤; D=落屑; A=面積; h=頭; t=胴体; u=上肢;及びl=下肢である)
o Revicometer RVM 600: A Courage-Khazaka Reviscometer RVM600(CKelectronic GmbH, Koln, Germany)による乾癬性病変でのCRTT(皮膚共鳴実行時間、Songらの文献、治癒したハンセン病対象における皮膚共鳴実行時間の減少(Decreased cutaneous resonance running time in cured leprosy subjects)、Skin Pharmacol Physiol 2009, 22:218-224及びXinらの文献、皮膚共鳴実行時間は、通常の中国人集団の年齢、身体部位、及び性別によって変わる(Cutaneous resonance running time varies with age, body site and gender ina normal Chinese population)、Skin Res Technol 2010, 16: 413-421)は、前腕の伸筋及び対照としての役割を果たす反対側の非病変部位の乾癬性病変におけるCRRTを測定するために使用される。このプローブでの測定部分は8mmである。そして、音響衝撃波走行距離は、1.77 lJのエネルギーで2mmである。測定は12時の位置で開始され、この位置は、以前に記載されているように、テーブルに置かれた右前腕を用いて決定される。その後、測定を1時間毎の間隔で又は30°毎に時計回りに行う。これらの測定から、0~6時、1~7時、2~8時などの方向にCRRTが提供される。左前腕における1~7時、2~8時、3~9時、4~10時、及び5~11時の方向での読取りを、右前腕における、ぞれぞれ、5~11、4~10、3~9、2~8、1~7時の方向での読取りと比較する。対象は全員、測定を行う前に、20~24℃、約50~55%の相対湿度で、30分間休息を取った。
o HECSI(手湿疹重症度指数、Heldらの文献、手湿疹重症度指数(HECSI):手湿疹の臨床的評価のスコアリングシステム(The Hand Eczema Severity Index (HECSI): a scoring system for clinical assessment of hand eczema)、Contact Dermatitis 2005, 152:302-307)は、製品の忍容性を評価するために使用される手の皮膚炎の臨床的評価システムである。HECSIは、手の皮膚炎の紅斑、硬結/丘疹、小水疱、及び亀裂、並びに対象の刺痛感、灼熱感、及び掻痒感を評価する。
o NESS(ノッティンガム湿疹重症度スコア、Emersonらの文献、ノッティンガム湿疹重症度スコア: Rajka及びLangelandの等級付けの予備的改良(The Nottingham Eczema Severity Score: preliminary refinement of the Rajka and Langeland grading)、Br J Dermatol 2000, 142: 288-297及びHonらの文献、湿疹重症度の評価における中国人の自己記入式アンケートの検証(Validation of a self-administered questionnaire in Chinese in the assessment of eczema severity)、Pediatr Dermatol 2003, 20:465-469)は、臨床的重症度を評価するために使用される。
o視覚的アナログスケール(VAS)、治験責任医師包括的評価(IGA)、及び尋常性魚鱗癬面積及び重症度指数(EASI)、皮膚乾燥(掻痒症重症度指数スコア)も、Leeらの文献、アトピー性皮膚炎と関連する掻痒症及び苔蘚化に対する指圧療法の有効性:パイロット試験(Effectiveness of acupressure on pruritus and lichenification associated with atopic dermatitis: a pilot trial)、Acupunct Med. 2012 Mar; 30(1):8-11に記載されているように、臨床的重症度を評価するために使用される。
・生活の質:成人用のDLQI(Finlay及びKhanの文献、皮膚科的生活の質指数(DLQI)--日常的な臨床的使用のための簡単な実用的手段(Dermatology Life Quality Index(DLQI)--a simple practical measure for routine clinical use)、Clin Exp Dermatol. 1994 May;19(3):210-6)及び小児用のCDLQI(Lewis-Jones及びFinlayの文献、小児の皮膚科的生活の質指数(CDLQI):初期の検証及び実際の使用(The Children's Dermatology Life Quality Index(CDLQI): initial validation and practical use)、Br J Dermatol. 1995 Jun;132(6):942-9)アンケートは、対象の疾患が、過去数週間にわたって、対象の生活にどれほど大きな影響を与えたかということを測定するために使用される。各アンケートに対する回答を0~3と定義した(0=全く影響がなかった; 3=非常に大きな影響があった)。DLQIを6つの下位尺度にまとめた:「症状及び気分」;「余暇」;「人間関係」;「治療」;「仕事及び学校」;並びに「日常動作」。CDLQIを6つの下位尺度にまとめた:「症状及び気分」;「余暇」;「人間関係」;「治療」;「学校又は休日」;並びに「睡眠」。各質問のスコアを合計することにより、生活の質(QOL)の総スコアを計算した。総QOLスコア及び6つの下位尺度をそれぞれの最大スコアのパーセンテージとして表した。DLQIの信頼性及び妥当性は、Basraらの文献、皮膚科学生活の質指数1994~2007:検証データ及び臨床結果の包括的レビュー(Dermatology Life Quality Index 1994-2007: a comprehensive review of validation data and clinical results)、Br J Dermatol. 2008 Nov;159(5):997-1035による総説で保証された。
・経表皮水分喪失: TEWL及び皮膚コンダクタンス又はキャパシタンス(Yamamoto Yの文献、皮膚電気インピーダンスの測定及び分析(Measurement and analysis of skin electrical impedance)、Acta Derm Venereol Suppl(Stockh), 1994; 185:34-8)
・角質層の完全性及び密着:テープストリッピングは、TEWLを1時間に20g/m2ずつ増大させるのに必要とされる連続的なD-squameテープストリッピングの数の定量として使用される。
・角質層の厚さ:角質層の厚さは、(低周波数サセプタンスの平方根)/(高周波数アドミッタンス2)として、コルネオメーターにより、低周波数サセプタンス及び高周波数アドミッタンスから計算される。また、角質層の厚さは、従来の免疫組織学的染色によって可視化される。また、角質層の厚さは、様々な皮膚層の厚さの深層(200uM)測定値を測定するための、共焦点タンデム走査顕微鏡(TSM)などの、光学顕微鏡法を用いて測定される。
・皮膚生検/免疫組織化学的染色:パラフィン包埋切片の免疫ペルオキシダーゼ染色は、角質層及び表皮構造、表皮の厚さ、並びに細胞外の層状膜を可視化するために、ChemMate Peroxidase/DABシステム(Dako Cytomation, Hamburg, Germany)を用いて実施される。
o表皮細胞の増殖及び過形成は、PCNA、Ki67、Ki-S3、又は他の増殖マーカーの免疫組織化学染色を用いて調べることができる。
o表皮分化は、Involucrin、ケラチンCK 5、6、17、1、5、10、14、又は他の分化マーカーの免疫組織化学染色を用いて調べることができる。
・臨床検査:末梢血EOS数(1ml当たりの数100;正常40~440)、血清LDH(IU l-1;正常119~229)、全血清IgE(IU ml-1;正常0.0~400.0)、及びアレルゲン特異的IgE(SRL社, Tokyo, Japan)を測定する。アレルゲン特異的IgEは、ハウスダスト、ダニアレルゲン、草花粉(タンジー(Tancy))、スギ花粉、真菌アレルゲン(カンジダ)、動物の鱗屑、及び食品についての蛍光酵素免疫アッセイによって推定した。特異的IgEの検出感度に関して、100ルミカウント(lumicount)及び100ルミカウント以上の値を陽性(+)とみなす。
oさらに、血清カテリシジン(LL-37)濃度を、酵素免疫アッセイ(Bachem, San Carlos, CA, USA, Leungらの文献、循環LL-37は、小児における湿疹重症度のバイオマーカーである(Circulating LL-37 is a biomarker for eczema severity in children)、J Eur Acad Dermatol Venereol. 2012;26:518-522に記載されている)を用いて測定する。測定前に、試料を90倍希釈する。このアッセイの感度は1ng/mLであった。
・統計分析:単純回帰分析を用いて、角質層の水和、厚さ、又はTEWLとSCORAD又はPASIとの有意な関連も同定する。0.05未満のP-値を有するデータを有意と評価し、0.005未満のP-値を極めて有意と評価する。ウィルコクソンの順位和検定及び単純回帰分析を行って、IgE、LDH、EOS、及びSCORAD又はPASIを含む、様々な生物学的マーカー間の関連又は相関を評価する。
表79:臨床的エンドポイント及びバイオマーカー
【表79】

【0347】
(実施例89.湿疹を有する成人についての臨床効率の評価)
本明細書に開示される組成物の適用による湿疹の管理についての臨床効率の評価を以下に記載する。本試験は、単一施設非盲検試験であった。
【0348】
(対象):
アトピー性皮膚炎を含む軽度から重度の湿疹を有する18歳以上の10人の対象(女性7人及び男性3人)(グレード2~4の治験責任医師包括的評価[IGA]疾患重症度)
【0349】
対象は、試験場に到着した後、その特定の皮膚疾患の重症度について、皮膚科医により評価され、その後、5日間と、それに続く、合計30日までの非盲検使用期間、試験に参加する。対象は、皮膚疾患の持続期間についてインタビューされる。
【0350】
組入れ基準:
1.対象は、同意の時点で18歳以上の男性又は非妊娠女性である。
2.妊娠の可能性のある女性(WOCBP)は、資格を取得するために、1回目の来院/ベースライン時に尿妊娠検査(UPT)が陰性でなければならない;閉経後であるか、過去の産科的手術が原因で妊娠することができないか、又は効果的な避妊方法を用いている女性対象。
3.対象は、書面によるインフォームドコンセントを提出する意志があり、かつそれができる。
4.対象は、「湿疹」の臨床的診断を有し、これは、Hanifin及びRajkaの基準に基づくアトピー性皮膚炎(AD)又は治験責任医師の意見による他の形態の湿疹様皮膚炎(例えば、貨幣状湿疹など)を含むものとする。
5.対象は、指定の処置部分に、治験責任医師包括的評価(IGA)によって決定されるような、安定な[3カ月以内の]軽度から重度の(グレード2~5の)湿疹の臨床的診断を有する。この処置部分は、最低0.5%BSAの活動性疾患を含む。
6.対象は、試験品を指示通りに適用し、試験に関する指示を順守し、試験期間中の全ての再診を約束する意志があり、かつそれができる。
7.治験責任医師の意見によれば、対象は、全般的に健康であり、試験参加により対象を許容できないリスクに曝すか又は試験に参加することにより対象もしくは試験品の評価を損なう疾患状態又は身体的状態が全くない。
【0351】
除外基準:
1.対象は、試験中に妊娠しているか、授乳期にあるか、又は妊娠を計画している。
2.治験責任医師の意見によれば、対象は、試験品の評価を妨げ得る皮膚病変もしくは皮膚状態を有するか、又は妨害する局所もしくは全身療法の使用を試験中に必要とする。
3.対象は、以下の局所調製物のいずれかを処置部分に対して使用したことがある:
a.限定されないが、1回目の来院/ベースラインの1週間以内の、コルチコステロイド、免疫調節物質(タクロリムス、ピメクロリムスなど)、タール、カルシポトリエンもしくは他のビタミンD調製物、抗ヒスタミン薬(ドキセピン、ジフェンヒドラミンなど)、又は抗生物質を含む、局所(OTC製品を含む)治療。注意:アレルギー性鼻炎の治療用の経口もしくは鼻腔内抗ヒスタミン薬、気管支喘息の治療用の吸入もしくは鼻腔内コルチコステロイド、又は座瘡の治療用の抗生物質の安定(>30日)投与は許容されるが、記録されなければならない。
b. 1回目の来院/ベースラインの4週間以内のレチノイド(タザロテン、アダパレン、及びトレチノインを含む)。
c. 1回目の来院/ベースラインの4週間以内の光線治療(PUVA、UVB、エキシマレーザーなど)、マイクロダーマブレーション、又はケミカルピール。
d.治験責任医師の意見によれば、対象のアトピー性皮膚炎に著しく影響を及ぼし得る、他の局所療法。
4.対象は、以下の全身用薬物のいずれかを使用したことがある:
a. 1回目の来院/ベースラインの1週間以内のコルチコステロイド(筋肉内及び病変内注射を含む)。
b. 1回目の来院/ベースラインの1週間以内の免疫調節物質(ロイコトリエンを含む)又は代謝拮抗薬。
c.座瘡に対する安定投与(3カ月よりも長い使用)を除いて、1回目の来院/ベースラインの1週間以内の経口又は局所抗生物質(OTC又は処方薬)。
d.治験責任医師の意見によれば、対象のアトピー性皮膚炎に著しく影響を及ぼし得る、他の全身療法。
5.対象は、現在、臨床試験用薬物もしくは臨床試験用装置による治療を使用しているか、又は1回目の来院/ベースラインの30日内にそれを使用したことがある。
6.対象は現在、治験に登録されている。
7.対象は、試験品の成分のいずれかに対する感受性の既往を有する(プロトコルの第5.1節を参照)。
8.治験責任医師の意見によれば、対象は、(例えば、アルコール依存症、薬物依存症、精神的無能力のために)試験プロトコルの要件を順守しないことが知られているか又はそれ順守する可能性が低い。
9.対象は現在、皮膚感染を有する。
【0352】
(治療及び手順):
試験は、5日間で3回の来診並びに15日目(4回目の来院)及び30日目(5回目の来院)の2回の再診からなる。
【0353】
1回目の来院(スクリーニング/ベースライン): 1日目。対象を、1回目の来院の最大30日前に、試験についてスクリーニングすることができる。スクリーニング中、試験要件を再検討し、書面によるインフォームドコンセントを取得し、適格性を確認する。該当する場合、禁止されている薬物又は治療からのウォッシュアウトを決定し、実施する。これらの手順は、必要に応じて/必要な場合、ベースライン来院前の独立したスクリーニング来院として実施することができる。
【0354】
人口統計、組入れ/除外基準、病歴/皮膚科既往、並びに併用薬及び併用療法を再検討して、対象の適格性を決定する。簡単な皮膚科検査及びUPT(該当する場合)を実施する。試験品適用の前に、臨床的評価(IGA及び湿疹の臨床的兆候)並びに痒み評価を実施する。処置部分を、最低0.5%BSAの活動性疾患を含まなければならない、最大3%BSAの個別の連続する解剖学的単位(例えば、腕、脚、腹部など)と定義する。治療すべきパーセントBSA及び湿疹に罹患した皮膚の場所を記録する。1%BSAが指をぴったりつけた状態の対象の手の面積に等しいという仮定に基づいて、パーセントBSAを推定する。
【0355】
試験品を、以下の指示を用いて、処置部分に適用する:
1.罹患部分を抗微生物石鹸で洗浄し、完全に乾燥させる。
2.清潔かつ乾燥した指先を用いて、P1-016製剤の薄い層を分配し、処置部分に適用する。製品が均一な層となり、厚い部分がないようにする。約4分の1サイズの量のP1-016が1%BSAをカバーするはずである。
3.指先を清潔にする。
4.指先を用いて、P2-004製剤の薄い層を分配し、それを適用する。P2-004をゆっくりと展延して、P1-016部分を完全にカバーする。P1-016層に擦り込むことなく;それが上に均一に置かれるまで単に滑らせる。P1-016と比較して、1~1.5倍の量のP2-004を使用することができる。約4分の1サイズの量のP2-004が1%BSAをカバーするはずである。
5.フィルムが落ち着く間の少なくとも2分間は、触れたり動かしたりしない。
【0356】
写真を撮って、ベースライン処置部分を記録することができる。対象に、製品の印象及びその使いやすさについて尋ね;回答を対象アンケート中に記録する。AEはいずれも記録する。
【0357】
処置部分の外側の罹患した皮膚部分の局所湿疹治療法の使用が試験期間中に許容される。処置部分におけるいかなる種類の全身湿疹治療又は他の局所治療も禁止される。
【0358】
退院する前に、試験品及び日記が対象に提供される。これらの材料は、次の来診時に、対象により、その場所に返却される。対象は、次の来診まで、必要に応じて毎日、フィルムを適用するように指示され;フィルムが一日中無傷のままである場合、フィルムが剥がれ始めるか又は破れ始めるまで、さらに適用する必要はない。必要に応じて、対象は、治験責任医師によって指定されている通りに、フィルムを1日に最大2回適用し、処置部分に無傷のフィルムを維持することができる。ほとんどの場合、対象は、どの程度良くそれが長持ちするかに応じて、フィルムを1~3日おきに適用することになると予想される。フィルムの各適用の前に、プロトコルによって指示される通りに、古いフィルムを除去する。治験責任医師の要求により、選択肢として、いずれかの来診時に、フィルムを除去し、対象が、自宅ではなく、監督下で再適用することができる。どの場合も、試験中に、対象は、提供された対象の日記にフィルムの適用を記録する。対象は、その次の再診の予定を入れ、退院する。
【0359】
2回目の来院(追跡調査): 3日目±1日。対象は、経過観察のために再診を受け、何らかの健康状態の変化について質問される。併用薬を再検討する。臨床的評価(IGA及び湿疹の臨床的兆候)並びにP1-016/P2-004フィルム耐久性及び痒み評価を実施する。写真を撮って、治療の耐久性を記録することができる。AEはいずれも記録する。
【0360】
試験品及び日記を再検討し、必要に応じて、退院する前に、新しい試験品及び/又は新しい日記が対象によって提供される。これらの材料は、次の来診時に、対象により、その場所に返却される。対象は、次の来診まで、必要に応じて毎日、フィルムを適用するように指示され;フィルムが一日中無傷のままである場合、フィルムが剥がれ始めるか又は破れ始めるまで、さらに適用する必要はない。必要に応じて、対象は、治験責任医師によって指定されている通りに、フィルムを1日に最大2回適用し、処置部分に無傷のフィルムを維持することができる。ほとんどの場合、対象は、どの程度良くそれが長持ちするかに応じて、フィルムを1~3日おきに適用することになると予想される。フィルムの各適用の前に、プロトコルによって指示される通りに、古いフィルムを除去する。治験責任医師の要求により、選択肢として、いずれかの来診時に、フィルムを除去し、対象が、自宅ではなく、監督下で再適用することができる。どの場合も、試験中に、対象は、提供された対象の日記にフィルムの適用を記録する。対象は、その次の再診の予定を入れ、退院する。
【0361】
3回目の来院(フィルム耐久性評価の最後): 5日目±1日。対象は、経過観察のために再診を受け、何らかの健康状態の変化について質問される。併用薬を再検討する。臨床的評価(IGA及び湿疹の臨床的兆候)並びにP1-016/P2-004フィルム耐久性及び痒み評価を実施する。写真を撮って、治療の耐久性を記録することができる。対象は、フィルムを除去する方法について指導され、除去は、試験スタッフの監督下、病院で行われる。フィルム除去のしやすさ及び皮膚の任意の関連刺激を記述する。対象に、製品の印象及びその使いやすさについて尋ね;回答を対象アンケート中に記録する。AEはいずれも記録する。
【0362】
試験品及び日記を再検討し、必要に応じて、退院する前に、新しい試験品及び/又は新しい日記が対象によって提供される。これらの材料は、次の来診時に、対象により、その場所に返却される。対象は、次の来診まで、必要に応じて毎日、フィルムを適用するように指示され;フィルムが一日中無傷のままである場合、フィルムが剥がれ始めるか又は破れ始めるまで、さらに適用する必要はない。必要に応じて、対象は、治験責任医師によって指定されている通りに、フィルムを1日に最大2回適用し、処置部分に無傷のフィルムを維持することができる。ほとんどの場合、対象は、どの程度良くそれが長持ちするかに応じて、フィルムを1~3日おきに適用することになると予想される。フィルムの各適用の前に、プロトコルによって指示される通りに、古いフィルムを除去する。治験責任医師の要求により、選択肢として、いずれかの来診時に、フィルムを除去し、対象が、自宅ではなく、監督下で再適用することができる。どの場合も、試験中に、対象は、提供された対象の日記にフィルムの適用を記録する。対象は、その次の再診の予定を入れ、退院する。
【0363】
4回目の来院(経過観察): 15日目±2日。対象は、経過観察のために再診を受け、何らかの健康状態の変化について質問される。併用薬を再検討する。臨床的評価(IGA及び湿疹の臨床的兆候)並びにP1-016/P2-004フィルム耐久性及び痒み評価を実施する。写真を撮って、治療の耐久性を記録することができる。AEはいずれも記録する。
【0364】
試験品及び日記を再検討し、必要に応じて、退院する前に、新しい試験品及び/又は新しい日記が対象によって提供される。これらの材料は、次の来診時に、対象により、その場所に返却される。対象は、次の来診まで、必要に応じて毎日、フィルムを適用するように指示され;フィルムが一日中無傷のままである場合、フィルムが剥がれ始めるか又は破れ始めるまで、さらに適用する必要はない。必要に応じて、対象は、治験責任医師によって指定されている通りに、フィルムを1日に最大2回適用し、処置部分に無傷のフィルムを維持することができる。ほとんどの場合、対象は、どの程度良くそれが長持ちするかに応じて、フィルムを1~3日おきに適用することになると予想される。フィルムの各適用の前に、プロトコルによって指示される通りに、古いフィルムを除去する。治験責任医師の要求により、選択肢として、いずれかの来診時に、フィルムを除去し、対象が、自宅ではなく、監督下で再適用することができる。どの場合も、試験中に、対象は、提供された対象の日記にフィルムの適用を記録する。対象は、その次の再診の予定を入れ、退院する。
【0365】
5回目の来院(試験の最後、又は早期終了): 30日目±3日。対象は、経過観察のために再診を受け、何らかの健康状態の変化について質問される。併用薬を再検討する。UPT(該当する場合)を実施する。臨床的評価(IGA及び湿疹の臨床的兆候)並びにP1-016/P2-004フィルム耐久性及び痒み評価を実施する。写真を撮って、治療の耐久性を記録することができる。フィルムを除去する。試験品及び日記を回収する。AEはいずれも記録する。対象は、試験から解放される。
【0366】
標準的なテンプレートをガイドとして用いて、特定の皮膚疾患(「皮膚病変」)を有する2以上の部分及び正常な外見の皮膚を有する1以上の部分を含む、対象の皮膚に、標準的なテンプレートを用いて2~6カ所の5cm×5cmの試験部位の輪郭を描く。
【0367】
試験製品を、1~4カ所の特定された皮膚病変及び2~3カ所の正常な外見の皮膚部分に適用する。少なくとも1カ所、好ましくは、2カ所の特定された皮膚病変を対照として未処置のままにする。試験製品を、2週間ずっと毎日、1日1回適用する。
【0368】
約0.08~0.1mLの試験組成物のアリコートを指サックを着用した指に分配し、その後、試験部分に直接適用する。二部分試験組成物の場合、第一の試験組成物(面積25cm2当たり約0.08mL)をまず皮膚に適用し、第二の試験組成物(5cm2当たり約0.1mL)を新しい指サックで分配し、2つの試験材料の混合を最小限に抑えるために、擦り込みではなく、処置部分をコーティングする滑運動によって、第一の試験組成物で処置した同じ部分に適用して、2つの組成物を同じ試験部分に適用する。
【0369】
(臨床的測定)
有効性:有効性を毎回の診察時に処置部分において評価する。
【0370】
治験責任医師包括的評価(IGA): 0=きれいから5=極めて重症までの6点順序尺度を用いるアトピー性皮膚炎又は湿疹の全体的重症度。これは、ある時点を参照する静的な形態学的尺度であり、ベースラインとの比較ではない。
【0371】
アトピー性皮膚炎/湿疹の臨床的兆候: 0=なしから4=重症までの5点順序尺度を用いるAD又は湿疹(紅斑、硬結/丘疹、表皮剥離、苔蘚化、及び湿潤/痂皮形成)の個々の兆候の重症度。
【0372】
安全性:全てのAE及び併用薬を、毎回の診察時に記録する。
【0373】
治験責任医師の裁量によってフィルムの完全な状態の限局性部分を記録するために、P1-016/P2-004フィルム耐久性(2~5回目の来院)及び痒み(1~5回目の来院)を、(i)試験品フィルムのパーセントBSA残存として、(ii)アンケートによって、及び(iii)写真(任意)によって、評価する。
【0374】
耐久性アンケートは、以下の質問を含む:
(1)(2~5回目の来院時、フィルム除去の前に)試験品が処置部分から剥離した:(a)全くない、(b)わずかな量、(c)中程度の量、又は(d)大量;
(2)(2~5回目の来院時、フィルム除去の前に)試験品が処置部分から剥がれ落ちた:(a)全くない、(b)わずかな量、(c)中程度の量、又は(d)大量;
(3)(2~5回目の来院時、フィルム除去の前に)試験品がベースライン診察時にフィルムでカバーされたもとの処置部分の(a)0~25%、(b)25.1~50%、(c)50.1~75%、(d)75.1~85%、又は(e)85.1~100%を現在カバーしている(2~5回目の来院、フィルム除去の前);
(4)(2~5回目の来院時に)フィルム除去プロセスが処置部分の皮膚刺激をもたらした:(a)全くない、(b)わずかな量、(c)中程度の量、又は(d)大量;
(5)(2~5回目の来院時に)試験品が、治療日の間、平均して:(a)12時間以下又は(b)12~24時間持続した;注意:この質問は対象により回答されるべきである。
(6)(1~5m回目の来院時、1回目の来院の適用又はフィルム除去の前に)過去24時間にわたる処置部分の痒みの程度をどのように評価したか: 0=なし、1=わずか、2=軽度; 3=中程度; 4=重度?、注意:この質問は対象により回答されるべきである。
【0375】
その他の評価:対象は、3回目の来院及び5回目の来院/試験の最後に、対象アンケートの全ての項目に記入し、製品の印象及びその使いやすさを記録する。
【0376】
対象アンケートは、以下の質問を含む:
(1)試験製品の全体的満足:(a)素晴らしい[とても満足]、(b)良い[適度に満足]、(c)まあまあ[少し満足]、及び(d)良くない[満足していない]。
(2)試験製品の適用は実行しやすかったか:(a)とても簡単、(b)適度に簡単、(c)少し簡単、及び(d)簡単ではない。
(3)試験製品の除去は実行しやすかったか:(a)とても簡単、(b)適度に簡単、(c)少し簡単、及び(d)簡単ではない。
(4)試験製品を全般的に見て:自身の皮膚疾患の処置部分を(a)とても顕著に改善した、(b)改善した、(c)改善することも悪化させることもなかった(実質的な変化なし)、又は(d)悪化させた。
(5)自身の経験に基づいて、ステロイドのような他の外用薬ではなく、この製品を用いて、自身の状態を治療することを検討しますか:はい/いいえ(無料テキスト説明は任意である)[5回目の来院、EOSのみ]。
【0377】
(試験のエンドポイント):
有効性エンドポイント:アトピー性皮膚炎重症度変数(IGA及び湿疹の臨床的兆候)を来院別に記述的にまとめる。対象のアンケートによる痒み評価を分析する。
【0378】
安全性エンドポイント:エンドポイントを来院別に記述的にまとめる。
・任意の局所及び全身性の治療下AE(TEAE)の発生率(重症度及び因果関係)
・残った試験品のパーセントBSA。
・耐久性アンケートの各質問に関する回答別の対象の数。
【0379】
他のエンドポイント:対象アンケートの各質問に関する回答別の対象の数。
【0380】
(統計法):
別途明記されない限り、統計処理は全て、SAS(登録商標)を用いて実施する。全ての変数について、要約表(記述統計及び/又は度数分布)を提供する。連続変数を記述統計(n、平均、中央値、標準偏差、最小値、及び最大値)により記述する。カテゴリーデータについて、各カテゴリー内の対象の頻度数及び割合を提供する。
・試験集団:試験品を受け取り、それを適用した全ての無作為割り付けされた対象を安全性の分析に含め、安全性集団とみなす。顕著なプロトコル逸脱をしないで試験を終えた対象を評価可能集団に含める。
・有効性分析:有効性分析を評価可能集団に対して実施する。
o治験責任医師包括的評価: IGAスコアの度数分布を各来院時に重症度別にまとめる。
o湿疹の臨床的兆候:湿疹の各臨床的兆候の度数分布を各来院時に重症度別にまとめる。対象のアンケートにおける0=なし、1=わずか、2=軽度、3=中等度、4=重度の尺度で自己報告された痒み評価の低下を分析する。
・安全性分析:安全性の分析を安全性集団に対して実施する。
o有害事象:経過、重症度、試験品との関係に関する治験責任医師の評価、及び転帰を記録して、試験中に報告された全てのAEを記入する。報告された全てのAEを、AEを報告する対象の数、SOC、PT、重症度、及び試験品との関係別にまとめる。
・処置部分に残存する試験品のパーセントBSA:記述統計を用いて、各来院時に処置部分に残存する試験品のパーセントBSAをまとめる。
・耐久性アンケート:耐久性アンケートの各質問を各来院時に頻度及び回答別にまとめる。
・尿妊娠検査:ベースライン時のUPT結果(該当する場合)をリストに提供する。
・併用薬及び併用療法:併用薬及び併用療法をリストに提供する。
・他の分析:他の分析を評価可能集団に対して実施する。
o対象アンケート:対象アンケートの各質問を各来院時に頻度及び回答別にまとめる。
【0381】
(臨床的結果):
10人の対象が、活動性疾患の個別の部分(0.5~3%BSA)にP1-016/P2-004試験組成物を1日に最大2回適用した。女性:70%、男性:30%。平均年齢:31.6歳
・皮膚上での耐久性(%残存): P1-016/P2-004フィルムは平均して24~48時間の耐久性があり、除去したときの刺激は皆無かそれに近かった。
・安全性:材料の安全上の問題はない
・有効性(治験責任医師包括的評価及びアトピー性皮膚炎の臨床的兆候による):30日間の治療にわたる全体的な疾患及び兆候/症状の著しい改善。臨床的兆候の改善はIGAの改善と同等である。結果は図18(A~I)にも示されている。
・全体的満足:対象の大多数は治療に満足し、本試験製品を使用及び除去しやすいものと評価した。対象の88.9%が製品に適度に又はとても満足した(30日目)。対象の88.9%が製品を適度に又はとても適用しやすいと感じた(30日目)。対象の88.9%が他の薬剤ではなく、本製品を使用することを検討している(30日目)。
【0382】
本発明は、例示的な実施態様を参照して記載されているが、本発明は、開示された例示的な実施態様に限定されないことが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲の範囲は、全てのそのような修飾並びに等価な構造及び機能を包含するように、最も幅広く解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図18H
図18I