(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1347 20060101AFI20221228BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20221228BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221228BHJP
G09F 9/46 20060101ALI20221228BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20221228BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20221228BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G02F1/1347
G02F1/133 575
G02F1/13357
G09F9/46 A
G09G3/20 641Q
G09G3/20 642A
G09G3/20 650M
G09G3/20 680E
G09G3/34
G09G3/36
(21)【出願番号】P 2021155174
(22)【出願日】2021-09-24
(62)【分割の表示】P 2020086000の分割
【原出願日】2016-07-14
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520154173
【氏名又は名称】株式会社パソナナレッジパートナー
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】神門 俊和
(72)【発明者】
【氏名】深海 徹夫
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-017768(JP,A)
【文献】国際公開第01/037246(WO,A1)
【文献】特開2012-226179(JP,A)
【文献】特開2012-237903(JP,A)
【文献】特開2015-222297(JP,A)
【文献】特開2018-004952(JP,A)
【文献】国際公開第2021/082914(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1347
G02F 1/133
G02F 1/13357
G09G 3/36
G09G 3/20,3/34
G09F 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する表示装置であって、
観察者に近い位置に配置された第1表示パネルと、
前記第1表示パネルより観察者から遠い位置に配置された第2表示パネルと、
入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルの画像表示領域に第1の画像を表示するための第1画像データと、前記第2表示パネルの画像表示領域に第2の画像を表示するための第2画像データとを生成する画像処理部と、を備え、
前記第2表示パネルの画像表示領域は、前記第1表示パネルの画像表示領域より大きく、
前記第2表示パネルの画像表示領域は、平面的に見て前記第1表示パネルの画像表示領域に対向する対向表示領域と、前記対向表示領域の周囲の拡張表示領域とを含み、
前記画像処理部は、前記入力映像信号に基づいて前記対向表示領域用の画像データを生成するととも
に前記拡張表示領域用の画像データを生成することによって、前記第2画像データを生成
し、
前記拡張表示領域には、前記対向表示領域の端部と同じ画像が表示される、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記拡張表示領域用の画像データ及び前記対向表示領域用の画像データを含む前記第2画像データの出力タイミングに合わせて、前記第
1画像データの出力タイミングを遅延させる遅延部を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、
前記第
1画像データを生成する第1ガンマ処理部と、
前記第
2画像データの前記対向表示領域用の画像データを生成する第2ガンマ処理部と、
を備え、
前記第1ガンマ処理部は、前記入力映像信号と前記第2ガンマ処理部から出力されたガンマ値に基づいて第1表示パネルに表示する画像のガンマ処理を行う、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記
入力映像信号から白黒画像データを生成する白黒画像データ生成部をさらに備え、
前記第2ガンマ処理部は、前記白黒画像データ生成部から出力された前記白黒画像データに基づいて第2表示パネルに表示する画像のガンマ処理を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記第2ガンマ処理部から出力された前記白黒画像データに基づいて最大値フィルタ処理を行う最大値フィルタ処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記最大値フィルタ処理部から出力された白黒画像データに基づいて平均値フィルタ処理を行う平均値フィルタ処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記画像処理部は、前記平均値フィルタ処理部から出力された白黒画像データに基づいて、前記拡張表示領域用の画像データ及び前記対向表示領域用の画像データを含む白黒画像データを生成する画像データ生成部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記画像処理部は、前記第2ガンマ処理部から出力された白黒画像データに基づいて、前記拡張表示領域用の画像データ及び前記対向表示領域用の画像データを含む白黒画像データを生成する画像データ生成部と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記画像データ生成部から出力された白黒画像データに基づいて最大値フィルタ処理を行う最大値フィルタ処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記最大値フィルタ処理部から出力された白黒画像データに基づいて平均値フィルタ処理を行う平均値フィルタ処理部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第2表示パネルの背面側に設けられたバックライトをさらに備え、
前記バックライトの出射面は、前記第1表示パネルの画像表示領域および前記第2表示パネルの画像表示領域よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
前記拡張表示領域の幅をt1とし、前記第1表示パネルを構成する前記第2表示パネル側のガラス基板の屈折率をn1とし、前記第2表示パネルを構成する前記第1表示パネル側のガラス基板の屈折率をn2とし、前記第1表示パネルを構成する前記第2表示パネル側のガラス基板における観察者側の面から、前記第2表示パネルを構成する前記第1表示パネル側のガラス基板における観察者側とは反対側の面までの距離をdとした場合、
【数1】
を満たす(ただし、n=(n1+n2)/2とする。)、
ことを特徴とする
請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置のコントラストを向上させる技術として、2枚の表示パネルを重ね合わせて、入力映像信号に基づいて、それぞれの表示パネルに画像を表示させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には例えば、前後に配置された2枚の表示パネルのうち前側(観察者側)の表示パネルにカラー画像を表示し、後側(バックライト側)の表示パネルに白黒画像を表示することにより、コントラストの向上を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の液晶表示装置では、例えば前後に配置された2枚の表示パネルにおいて、表示画面の端部を斜め方向から見た場合に、後側に配置された表示パネルの非表示領域の影響により、表示画像の端部が正常に表示されないという問題が生じる。具体的には、表示画像の端部が暗くなり、本来の表示画像の端部が欠けた状態に見えてしまう。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の表示パネルを重ね合わせて構成された表示装置において、表示画像の端部の表示異常を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する表示装置であって、観察者に近い位置に配置された第1表示パネルと、前記第1表示パネルより観察者から遠い位置に配置された第2表示パネルと、入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルの画像表示領域に第1の画像を表示するための第1画像データと、前記第2表示パネルの画像表示領域に第2の画像を表示するための第2画像データとを生成する画像処理部と、を備え、前記第2表示パネルの画像表示領域は、前記第1表示パネルの画像表示領域より大きく、前記第2表示パネルの画像表示領域は、平面的に見て前記第1表示パネルの画像表示領域に対向する対向表示領域と、前記対向表示領域の周囲の拡張表示領域とを含み、前記画像処理部は、前記入力映像信号に基づいて前記対向表示領域用の画像データを生成するとともに、前記対向表示領域用の画像データに基づいて前記拡張表示領域用の画像データを生成することによって、前記第2画像データを生成する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る表示装置では、平面的に見て、前記第2表示パネルの画像表示領域の外周部は、前記第1表示パネルの画像表示領域の外周部より外側に位置していてもよい。
【0008】
本発明に係る表示装置では、前記複数の表示パネルそれぞれの画像表示領域は、該表示パネルが配置される位置が観察者から遠い程大きくてもよい。
【0009】
本発明に係る表示装置では、前記第2表示パネルは、前記拡張表示領域に、前記対向表示領域の端部に表示する画像と同じ画像を表示してもよい。
【0010】
本発明に係る表示装置では、前記拡張表示領域の幅は、前記第1表示パネルを構成する、前記第2表示パネル側のガラス基板における観察者側の面から、前記第2表示パネルを構成する、前記第1表示パネル側のガラス基板における観察者側とは反対側の面までの距離と、前記各ガラス基板の屈折率とに基づいて設定されてもよい。
【0011】
本発明に係る表示装置では、前記拡張表示領域の幅をt1とし、前記第1表示パネルを構成する、前記第2表示パネル側のガラス基板の屈折率をn1とし、前記第2表示パネルを構成する、前記第1表示パネル側のガラス基板の屈折率をn2とし、前記第1表示パネルを構成する、前記第2表示パネル側のガラス基板における観察者側の面から、前記第2表示パネルを構成する、前記第1表示パネル側のガラス基板における観察者側とは反対側の面までの距離をdとした場合、
【数1】
を満たしてもよい(ただし、n=(n1+n2)/2とする。)。
【0012】
本発明に係る表示装置では、入力映像信号に基づいて、前記第1表示パネルの画像表示領域にカラー画像を表示するための第1画像データと、前記第2表示パネルの画像表示領域に白黒画像を表示するための第2画像データとを生成する画像処理部をさらに含んでもよい。
【0013】
本発明に係る表示装置では、前記第2表示パネルの画像表示領域には、駆動回路から画像表示用の信号が供給される複数の信号線が配置されており、前記拡張表示領域では、前記駆動回路における1つの出力端子に複数の前記信号線が電気的に接続されていてもよい。
【0014】
本発明に係る表示装置では、前記1つの出力端子に電気的に接続される前記信号線の本数は、前記出力端子の位置が前記対向表示領域に近い程、少なくてもよい。
【0015】
本発明に係る表示装置では、前記拡張表示領域では、前記1つの出力端子に電気的に接続された複数の前記信号線には、前記画像表示用の信号が同時に供給されてもよい。
【0016】
本発明に係る表示装置では、平面的に見て、前記拡張表示領域に配置される複数の画素は、前記第1表示パネルの画像表示領域の周囲に形成されるブラックマトリクスに重なっていてもよい。
【0017】
本発明に係る表示装置では、前記拡張表示領域に配置される複数の画素のうち一部の画素は、前記対向表示領域に配置される画素よりも大きくてもよい。
【0018】
また、本発明に係る表示装置のさらに別の態様は、複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する表示装置であって、観察者に近い位置に配置された第1表示パネルと、前記第1表示パネルより観察者から遠い位置に配置された第2表示パネルにおいて、前記第2表示パネルの画像表示領域は、前記第1表示パネルの画像表示領域より大きく、前記第2表示パネルの画像表示領域は、平面的に見て前記第1表示パネルの画像表示領域に対向する対向表示領域と、前記対向表示領域の周囲の拡張表示領域とを含み、前記拡張表示領域の幅をt1とし、前記第1表示パネルを構成する前記第2表示パネル側のガラス基板の屈折率をn1とし、前記第2表示パネルを構成する前記第1表示パネル側のガラス基板の屈折率をn2とし、前記第1表示パネルを構成する前記第2表示パネル側のガラス基板における観察者側の面から、前記第2表示パネルを構成する前記第1表示パネル側のガラス基板における観察者側とは反対側の面までの距離をdとした場合、
【数2】
を満たす(ただし、n=(n1+n2)/2とする。)、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る表示装置によれば、複数の表示パネルを重ね合わせて構成された表示装置において、表示画像の端部の表示異常を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】本実施形態に係る第1表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係る第2表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図5】従来の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。
【
図6】(a)は本実施形態に係る液晶表示装置における特徴的構成の概略を示す平面図であり、(b)は(a)のB-B’断面図である。
【
図8】上記第1表示パネルの第1画像表示領域の一部を示す平面図である。
【
図9】上記第2表示パネルの第2画像表示領域の一部を示す平面図である。
【
図10】
図8に示す第1表示パネルの各画素に対応する画素情報を示す図である。
【
図11】
図9に示す第2表示パネルの各画素に対応する画素情報を示す図である。
【
図12】上記第2表示パネルの拡張表示領域を規定する方法を説明するための図である。
【
図13】パネル間距離と屈折率とに基づき拡張表示領域の幅を決定する方法の一例を説明するための図である。
【
図14】上記第1表示パネルのゲート線を駆動するタイミングと、上記第2表示パネルのゲート線を駆動するタイミングとを示すタイミングチャートである。
【
図15】変形例1に係る第2表示パネルの構成を示す平面図である。
【
図16】変形例1に係る第2表示パネルの各画素に対応する画素情報を示す図である。
【
図17】変形例2に係る第2表示パネルの構成を示す平面図である。
【
図18】変形例3に係る第2表示パネルの構成を示す平面図である。
【
図19】変形例3に係る第2表示パネルの各画素に対応する画素情報を示す図である。
【
図20】本実施形態に係る画像処理部の具体的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。以下の実施形態では、液晶表示装置を例に挙げるが、本発明に係る表示装置は、液晶表示装置に限定されるものではなく、例えば有機EL表示装置等であってもよい。
【0022】
本実施形態に係る液晶表示装置は、画像を表示する複数の表示パネルと、それぞれの表示パネルを駆動する複数の駆動回路(複数のソースドライバ、複数のゲートドライバ)と、それぞれの駆動回路を制御する複数のタイミングコントローラと、外部から入力される入力映像信号に対して画像処理を行い、それぞれのタイミングコントローラに画像データを出力する画像処理部と、複数の表示パネルに背面側から光を照射するバックライトと、を含んでいる。表示パネルの数は限定されず2枚以上であればよい。また複数の表示パネルは、観察者側から見て前後方向に互いに重ね合わされて配置されており、それぞれが画像を表示する。以下では、2枚の表示パネルを備える液晶表示装置10を例に挙げて説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置10の概略構成を示す平面図である。
図1に示すように、液晶表示装置10は、観察者に近い位置(前側)に配置された第1表示パネル100と、第1表示パネル100より観察者から遠い位置(後側)に配置された第2表示パネル200と、第1表示パネル100に設けられた第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130を制御する第1タイミングコントローラ140と、第2表示パネル200に設けられた第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230を制御する第2タイミングコントローラ240と、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に画像データを出力する画像処理部300と、を含んでいる。第1表示パネル100は入力映像信号に応じたカラー画像を表示し、第2表示パネル200は入力映像信号に応じた白黒画像(モノクロ画像)を表示する。画像処理部300は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、後述する画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ140に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ240に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部300は、第1タイミングコントローラ140及び第2タイミングコントローラ240に同期信号等の制御信号(
図1では省略)を出力する。第1画像データDAT1はカラー表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は白黒表示用の画像データである。バックライト(
図1では省略)は、第2表示パネル200の背面側に配置されている。画像処理部300の具体的な構成は後述する。
【0024】
図2は第1表示パネル100の概略構成を示す平面図であり、
図3は第2表示パネル200の概略構成を示す平面図である。
図4は、
図2及び
図3のA-A’断面図である。
【0025】
図2及び
図4を用いて、第1表示パネル100の構成について説明する。
図4に示すように、第1表示パネル100は、バックライト400側に配置された薄膜トランジスタ基板101(以下、TFT基板という。)と、観察者側に配置され、TFT基板101に対向するカラーフィルタ基板102(以下、CF基板という。)と、TFT基板101及びCF基板102の間に配置された液晶層103と、を含んでいる。第1表示パネル100のバックライト400側には偏光板104が配置されており、観察者側には偏光板105が配置されている。
【0026】
TFT基板101には、
図2に示すように、第1方向(例えば列方向)に延在する複数のデータ線111と、第1方向とは異なる第2方向(例えば行方向)に延在する複数のゲート線112とが形成され、複数のデータ線111と複数のゲート線112とのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタ113(以下、TFTという。)が形成されている。第1表示パネル100を平面的に見て、隣り合う2本のデータ線111と隣り合う2本のゲート線112とにより囲まれる領域が1つの画素114として規定され、該画素114がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のデータ線111は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線112は、列方向に等間隔で配置されている。TFT基板101には、画素114ごとに画素電極115が形成されており、複数の画素114に共通する1つの共通電極(図示せず)が形成されている。TFT113を構成するドレイン電極はデータ線111に電気的に接続され、ソース電極は画素電極115に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線112に電気的に接続されている。
【0027】
図4に示すように、CF基板102には、各画素114に対応して複数の着色部102aが形成されている。各着色部102aは、光の透過を遮断するブラックマトリクス102bで囲まれており、例えば矩形状に形成されている。また、複数の着色部102aは、赤色(R色)の材料で形成され、赤色の光を透過する赤色部と、緑色(G色)の材料で形成され、緑色の光を透過する緑色部と、青色(B色)の材料で形成され、青色の光を透過する青色部と、を含んでいる。赤色部、緑色部、及び青色部は、行方向にこの順に繰り返し配列され、同一色の着色部が列方向に配列され、行方向及び列方向に隣り合う着色部102aの境界部分にブラックマトリクス102bが形成されている。各着色部102aに対応して、複数の画素114は、
図2に示すように、赤色部に対応する赤色画素114Rと、緑色部に対応する緑色画素114Gと、青色部に対応する青色画素114Bと、を含んでいる。
【0028】
ブラックマトリクス102bは、行方向に隣り合う各々に対応する2つの着色部102aの境界部分に配置された複数の第1遮光ストライプB1(
図4参照)と、列方向に隣り合う各々に対応する2つの着色部102aの境界部分に配置された複数の第2遮光ストライプ(不図示)と、を含んでいる。複数の第1遮光ストライプB1及び複数の第2遮光ストライプは、後述する第1画像表示領域110aに配置されている。さらに、ブラックマトリクス102bは、第1非表示領域110bに配置された遮光枠B2(
図4参照)を含んでいる。遮光枠B2は、複数の第1遮光ストライプB1及び複数の第2遮光ストライプの周りを取り囲み、各第1遮光ストライプB1及び各第2遮光ストライプの端部に接続している。
【0029】
第1タイミングコントローラ140は、周知の構成を備えている。例えば第1タイミングコントローラ140は、画像処理部300から出力される第1画像データDAT1と第1制御信号CS1(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第1画像データDA1と、第1ソースドライバ120及び第1ゲートドライバ130の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP1、データクロックDCK1、ゲートスタートパルスGSP1、ゲートクロックGCK1)とを生成する(
図2参照)。第1タイミングコントローラ140は、第1画像データDA1と、データスタートパルスDSP1と、データクロックDCK1とを第1ソースドライバ120に出力し、ゲートスタートパルスGSP1とゲートクロックGCK1とを第1ゲートドライバ130に出力する。
【0030】
第1ソースドライバ120は、データスタートパルスDSP1及びデータクロックDCK1に基づいて、第1画像データDA1に応じたデータ信号(データ電圧)をデータ線111に出力する。第1ゲートドライバ130は、ゲートスタートパルスGSP1及びゲートクロックGCK1に基づいて、ゲート信号(ゲート電圧)をゲート線112に出力する。
【0031】
各データ線111には、第1ソースドライバ120からデータ電圧が供給され、各ゲート線112には、第1ゲートドライバ130からゲート電圧が供給される。共通電極には、コモンドライバ(図示せず)から共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線112に供給されると、ゲート線112に接続されたTFT113がオンし、TFT113に接続されたデータ線111を介して、データ電圧が画素電極115に供給される。画素電極115に供給されたデータ電圧と、共通電極に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶を駆動して、第2表示パネル200を通過したバックライト400からの光の透過率を制御することによって画像表示を行う。第1表示パネル100では、赤色画素114R、緑色画素114G、青色画素114Bそれぞれの画素電極115に接続されたデータ線111に、所望のデータ電圧を供給することにより、カラー画像表示が行われる。尚、第1表示パネル100は、周知の構成を適用することができる。
【0032】
次に、
図3及び
図4を用いて、第2表示パネル200の構成について説明する。
図4に示すように、第2表示パネル200は、バックライト400側に配置されたTFT基板201と、観察者側に配置され、TFT基板201に対向するCF基板202と、TFT基板201及びCF基板202の間に配置された液晶層203と、を含んでいる。第2表示パネル200のバックライト400側には偏光板204が配置されており、観察者側には偏光板205が配置されている。第1表示パネル100の偏光板104と、第2表示パネル200の偏光板205との間には、拡散シート301が配置されている。
【0033】
TFT基板201には、
図3に示すように、列方向に延在する複数のデータ線211と、行方向に延在する複数のゲート線212とが形成され、複数のデータ線211と複数のゲート線212とのそれぞれの交差部近傍にTFT213が形成されている。第2表示パネル200を平面的に見て、隣り合う2本のデータ線211と隣り合う2本のゲート線212とにより囲まれる領域が1つの画素214として規定され、該画素214がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のデータ線211は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線212は、列方向に等間隔で配置されている。TFT基板201には、画素214ごとに画素電極215が形成されており、複数の画素214に共通する1つの共通電極(図示せず)が形成されている。TFT213を構成するドレイン電極はデータ線211に電気的に接続され、ソース電極は画素電極215に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線212に電気的に接続されている。
【0034】
図4に示すように、CF基板202には、各画素214の境界部分に対応する位置に、光の透過を遮断するブラックマトリクス202bが形成されている。ブラックマトリクス202bで囲まれた領域202aには、着色部は形成されておらず、例えばオーバーコート膜が形成されている。
【0035】
第2タイミングコントローラ240は、画像処理部300から出力される第2画像データDAT2と第2制御信号CS2(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第2画像データDA2と、第2ソースドライバ220及び第2ゲートドライバ230の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP2、データクロックDCK2、ゲートスタートパルスGSP2、ゲートクロックGCK2)とを生成する(
図3参照)。第2タイミングコントローラ240は、第2画像データDA2と、データスタートパルスDSP2と、データクロックDCK2とを第2ソースドライバ220に出力し、ゲートスタートパルスGSP2とゲートクロックGCK2とを第2ゲートドライバ230に出力する。
【0036】
第2ソースドライバ220は、データスタートパルスDSP2及びデータクロックDCK2に基づいて、第2画像データDA2に応じたデータ電圧をデータ線211に出力する。第2ゲートドライバ230は、ゲートスタートパルスGSP2及びゲートクロックGCK2に基づいて、ゲート電圧をゲート線212に出力する。
【0037】
各データ線211には、第2ソースドライバ220からデータ電圧が供給され、各ゲート線212には、第2ゲートドライバ230からゲート電圧が供給される。共通電極には、コモンドライバから共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線212に供給されると、ゲート線212に接続されたTFT213がオンし、TFT213に接続されたデータ線211を介して、データ電圧が画素電極215に供給される。画素電極215に供給されたデータ電圧と、共通電極に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶を駆動してバックライト400の光の透過率を制御することによって画像表示を行う。第2表示パネル200では、白黒画像表示が行われる。
【0038】
ここで、複数の表示パネルを重ね合わせて構成された従来の液晶表示装置では、上述した通り、表示画像の端部が暗くなるという問題が生じる。
図5は、従来の液晶表示装置を模式的に示す断面図である。従来の液晶表示装置では、観察者側の表示パネル1000の画像表示領域1100aと、バックライト側の表示パネル2000の画像表示領域2100aとが、同じ大きさを有しており、平面的に見て端部の位置が一致している。尚、
図5に示す構成では、画像表示領域1100aが液晶表示装置の表示画面となり、画像表示領域1100aの周囲の非表示領域1100bが液晶表示装置の額縁部となる。
図5に示す構成では、表示画面の端部を斜め方向(
図5の点線矢印)から見た場合に、バックライト側の表示パネル2000の非表示領域2100bの一部が観察者側の表示パネル1000の画像表示領域1100aに重なることにより、表示画面に表示される本来の表示画像の端部が暗く欠けた状態で見えてしまう。
【0039】
これに対して、本実施形態に係る液晶表示装置10は、表示画像の端部まで本来の画像を視認できる特徴的構成を有している。
図6(a)は、液晶表示装置10における上記特徴的構成の概略を示す平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のB-B’断面図である。液晶表示装置10では、バックライト側の第2表示パネル200の第2画像表示領域210aが、観察者側の第1表示パネル100の第1画像表示領域110aより大きく形成されており、第1表示パネル100及び第2表示パネル200は、平面的に見て第2画像表示領域210aの端部(外周)が第1画像表示領域110aを囲うように配置されている。またバックライト400は、光の出射面が第1画像表示領域110a及び第2画像表示領域210aよりも大きくなるように構成されている。尚、
図6に示す構成では、第1画像表示領域110aが液晶表示装置10の表示画面となり、第1画像表示領域110aの周囲の領域が液晶表示装置10の額縁部となる。
図7は、
図6(b)の左端部を拡大した図である。
図7に示すように、第2表示パネル200の第2画像表示領域210aは、第1表示パネル100の第1画像表示領域110aを拡大した大きさを有している。第2画像表示領域210aのうち、第1画像表示領域110aに対して拡張された領域を拡張表示領域210cとする。液晶表示装置10では、第2表示パネル200の第2非表示領域210bが、第1表示パネル100の第1非表示領域110bより小さく形成されている。液晶表示装置10の構成によれば、表示画面の端部を斜め方向(
図7の点線矢印)から見た場合に、第2表示パネル200の第2非表示領域210bが第1表示パネル100の第1画像表示領域110aに重ならず、表示画像の端部が暗くなる(
図5参照)ことを防ぐことができる。
【0040】
また、液晶表示装置10では、表示画面の端部を斜め方向から見たときに本来の表示画像を視認できるように、第2表示パネル200は、例えば、拡張表示領域210c(
図7参照)に、第2画像表示領域210aのうち第1画像表示領域110aに対向する領域(以下、対向表示領域210dという。)における端部の画像と同じ画像を表示させる。すなわち、対向表示領域210dとは、平面視において第1画像表示領域110aと重なる領域である。以下では、拡張表示領域210cに関する具体的な構成について説明する。
【0041】
図8は、第1表示パネル100の第1画像表示領域110aの一部を示す平面図である。
図9は、第2表示パネル200の第2画像表示領域210aの一部を示す平面図である。
図8及び
図9には、
図6(a)に示す第2表示パネル200の左上部分(点線丸囲み部)を拡大した構成を示している。
図8において、「SD1-1」~「SD1-6」は、第1ソースドライバ120の1番目から6番目の出力端子を示し、「GD1-1」~「GD1-3」は、第1ゲートドライバ130の1番目から3番目の出力端子を示している。また、
図9において、「SD2-1」~「SD2-16」は、第2ソースドライバ220の1番目から16番目の出力端子を示し、「GD2-1」~「GD2-13」は、第2ゲートドライバ230の1番目から13番目の出力端子を示している。
【0042】
図8及び
図9に示すように、第1表示パネル100では、額縁部に対向する領域には画素114は配置されておらず、ブラックマトリクス102b(
図4参照)が形成されているのに対して、第2表示パネル200では、額縁部に対向する領域(拡張表示領域210c)に、複数の画素214が配置されている。このため、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214は、平面的に見て、額縁部に対向するブラックマトリクス102bに重なるように配置されている。より詳細には、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214は、平面的に見て、第1表示パネル100の額縁部に配置された遮光枠B2に重なるように配置されている。
図9に示す例では、平面的に見てブラックマトリクス102bに重なるように、拡張表示領域210cにおいて、画素214が行方向に10個、列方向に10個配置されている。尚、平面的に見て、第1表示パネル100及び第2表示パネル200を、それぞれの行方向及び列方向の中心位置が一致するように重ね合わせた場合は、拡張表示領域210cにおいて画素214が、第1画像表示領域110aの周囲に10個ずつ配置されることになる。
【0043】
図10は、
図8に示す第1表示パネル100の各画素114に対応する画素情報を示す図である。画素情報は、例えば、各画素114に表示される画像の階調を示す情報を含んでいる。
図10に示す例では、例えば、左上端部の画素(赤色画素114R)には「R11」の階調に応じた画像が表示され、その右隣の画素(緑色画素114G)には「G12」の階調に応じた画像が表示される。これにより、第1表示パネル100の第1画像表示領域110aには、入力映像信号Dataに応じたカラー画像が表示される。
【0044】
図11は、
図9に示す第2表示パネル200の各画素214に対応する画素情報を示す図である。第2表示パネル200の第2画像表示領域210aのうち対向表示領域210dにおいて、左上端部の画素214(
図11の太線囲み部)には「C11」の階調に応じた画像が表示され、その右隣の画素214には「C12」の階調に応じた画像が表示される。これにより、対向表示領域210dには、入力映像信号Dataに応じた白黒画像が表示される。
【0045】
また、第2表示パネル200の第2画像表示領域210aのうち拡張表示領域210cには、対向表示領域210dの端部の画素214に表示される画像と同じ画像が表示される。具体的には、拡張表示領域210cにおいて、第2画像表示領域210aの1列目から10列目かつ1行目から10行目の領域に含まれる画素214には、対向表示領域210dの左上端部の画素214と同様に「C11」の階調に応じた画像が表示され、11列目の画素214には対向表示領域210dの上端部の画素214と同様に「C11」の階調に応じた画像が表示され、このようにして、12列目の画素214には「C12」の階調に応じた画像が表示され、13列目の画素214には「C13」の階調に応じた画像が表示される。また拡張表示領域210cにおいて、11行目の画素214には対向表示領域210dの上端部の画素214と同様に「C11」の階調に応じた画像が表示され、このようにして、12行目の画素214には「C21」の階調に応じた画像が表示され、13行目の画素214には「C31」の階調に応じた画像が表示される。このように、表示画面を斜め方向から見た場合に(
図7参照)、第2表示パネル200の拡張表示領域210cが第1表示パネル100の第1画像表示領域110aに重なり、かつ、拡張表示領域210cに対向表示領域210dの端部と同じ画像が表示されるため、表示画面の端部においても入力映像信号に応じた画像を視認することができる。
【0046】
上記の通り、液晶表示装置10は、観察者に近い位置に配置された第1表示パネル100と、第1表示パネル100より観察者から遠い位置に配置された第2表示パネル200において、第2表示パネル200の第2画像表示領域210aが、第1表示パネル100の第1画像表示領域110aより大きい構成を有している。第2画像表示領域210aの大きさは、液晶表示装置10の構造に応じて設定される。以下では、第1画像表示領域100aと第2画像表示領域210aとの差(すなわち、拡張表示領域210c)を規定する方法について説明する。
【0047】
図12は、拡張表示領域210cを規定する方法を説明するための図である。
図12(a)は、表示画面を垂直方向に対して60度斜め方向から見た場合の様子を示す断面図である。
図12(b)は、第1表示パネル100と第2表示パネル200との境界付近の断面構造を示す図である。例えば、拡張表示領域210cの幅t1は、表示画面を60度斜め方向から見た場合に、第2非表示領域210bが第1画像表示領域110aに重ならない値に設定される。拡張表示領域210cの幅t1は、主に、
図12(b)に示すパネル間距離に依存する。パネル間距離は、具体的には、第1表示パネル100を構成するガラス基板101a及び偏光板104の厚みと、第2表示パネル200を構成するガラス基板202c及び偏光板205の厚みと、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の間に配置される拡散シート301の厚みとの合計により算出される。また、拡張表示領域210cの幅t1は、ガラス基板101a,202cの屈折率の影響も受ける。よって、拡張表示領域210cの幅t1は、上記パネル間距離とガラス基板101a,202cの屈折率とに基づいて設定される。例えば、拡張表示領域210cの幅t1は、パネル間距離が大きい程、大きい値に設定され、ガラス基板101a,202cの屈折率が大きい程、小さい値に設定される。
【0048】
上記パネル間距離と屈折率に基づき拡張表示領域210cの幅t1が算出されると、拡張表示領域210cに配置する画素214の個数や大きさが決定される。このようにして、拡張表示領域210cの構造が規定される。
【0049】
図13は、パネル間距離と屈折率とに基づき拡張表示領域210cの幅t1を決定する方法の一例を説明するための図である。
図13に示すように、第1表示パネル100の表面への法線方向ndに対して角度θ傾斜した方向から表示画面を観察した場合、第2表示パネル200からの映像光は、液晶表示装置10を構成する各層の屈折率に応じて屈折した後、観察者の目に角度θ傾斜した方向から向かう。ここで、
図13に示すように、第2表示パネル200の画素214から第1画像表示領域110aの端部に位置する画素114を通過し、観察者の目に角度θ傾斜した方向から入射する光L1に着目する。この光L1が、CF基板202のブラックマトリクス202bが形成された層の表面において、拡張表示領域210cと対向表示領域210dとの境界からずれる量を視差対策幅Xとすると、拡張表示領域210cの幅t1が視差対策幅X以上である場合、観察者が角度θ傾斜した方向から表示画面を観察した場合であっても、端部の画像を所望の明るさで確認することができるようになる。
【0050】
上述の通り、必要な視差対策幅Xを厳密に求めるためには、第1表示パネル100のブラックマトリクス102bが配置された層と、第2表示パネル200のブラックマトリクス202bが配置された層と、の間に位置する各層の屈折率及び厚みを考慮して計算する必要がある。しかしながら、これら各層の屈折率差はわずかであり、視差対策幅Xの決定に大きく寄与するのは、厚みの大きい、第1表示パネル100のTFT基板101を構成するガラス基板101a、及び、第2表示パネル200のCF基板202を構成するガラス基板202cである。そこで、第1表示パネル100のブラックマトリクス102bが配置された層と、第2表示パネル200のブラックマトリクス202bが配置された層と、の間に位置する各層を単一の層とみなし、この単一の層の屈折率nを、第1表示パネル100のガラス基板101aの屈折率n1と、第2表示パネル200のガラス基板202cの屈折率n2との平均の値とみなす。すなわち、
単一の層の屈折率n=(屈折率n1+屈折率n2)/2‥(1)
とする。
【0051】
かかる仮定によれば、第1表示パネル100のブラックマトリクス102bが配置された層と、第2表示パネル200のブラックマトリクス202bが配置された層と、の間を単一の層とみなすことができるため、第1表示パネル100のブラックマトリクス102bが配置された層と、第2表示パネル200のブラックマトリクス202bが配置された層と、の間の距離をd’とすると、
図13に示す幾何学的関係により、
視差対策幅X=距離d’×tanθ’‥(2)
となる。ここで、
図13に示す幾何学的関係により、
n×sinθ’=1×sinθ ‥(3)
を満たす。
【0052】
最も広視野角と言われている横電界(IPS)方式の液晶表示パネルであっても、観察者が60度傾斜した方向から表示画面を観察した際に表示画像の端部の表示異常が起こらなければ、60度以上傾斜した方向から観察した際に表示異常があっても違和感がないことが、本件発明者らの実験によって知見されている。したがって、角度θを60度とすることが、必要な視差対策幅Xを求める上で好ましい。角度θを60度として、式(3)からtanθ’を算出すると、
【数3】
が得られる。式(4)を式(2)に代入して
【数4】
が得られる。ここで、液晶層103の厚みは他の層に比べて無視できるほど狭いため無視することができる。したがって、距離d’は、第1表示パネル100を構成する、第2表示パネル200側のガラス基板101a(すなわち、第1表示パネル100のTFT基板101を構成するガラス基板101a)における観察者側の面から、第2表示パネル200を構成する、第1表示パネル100側のガラス基板202c(すなわち、第2表示パネル200のCF基板202を構成するガラス基板202c)における観察者側とは反対側の面までの距離dとみなすことができる(
図13参照)。したがって、距離d’=距離dを式(5)に代入すると、
【数5】
が得られる。上述のように、拡張表示領域210cの幅t1が視差対策幅X以上であれば、端部の表示不良を防ぐことができることから、式(6)より、
【数6】
を満たす場合、端部の表示不良を有効に防ぐことができるといえる。
【0053】
表1は、観察者の観察角度θを60度とし、各層の厚みを変化させて必要な視差対策幅Xをシミュレーションした結果を示す表である。各層の屈折率として、各層の典型的な屈折率の値を採用し、具体的には表1に示す値とした。
【0054】
【0055】
各層の屈折率を考慮して必要な視差対策幅X’を計算すると、表1に示す通りサンプル1、2でそれぞれ2.03mm、1.33mmが得られた。一方、式(6)から必要な視差対策幅Xを計算すると、サンプル1、2でそれぞれ2.05mm、1.34mmが得られる。1画素の大きさは、最少で0.13mm程度であるから、実際の計算から得られる視差対策幅X’と、式(6)から得られる視差対策幅Xと、の差は、画素の大きさと比較して十分受け入れられる値であり、視差対策幅Xとして式(6)を利用することができることがわかる。
【0056】
次に、液晶表示装置10の駆動方法について説明する。液晶表示装置10では、第1表示パネル100の画素114の個数と、第2表示パネル200の画素214の個数が互いに異なり、これに伴って信号線(データ線、ゲート線)の数も互いに異なる。このため、第1表示パネル100及び第2表示パネル200では、各信号線を駆動するタイミングを調整する必要がある。
【0057】
図13は、第1表示パネル100のゲート線112を駆動するタイミングと、第2表示パネル200のゲート線212を駆動するタイミングとを示すタイミングチャートである。ここでは、第1表示パネル100には、n本のゲート線112が設けられ、第2表示パネル200には、m本のゲート線212が設けられていると仮定する。また、第1表示パネル100に配置される画素114及び信号線の数と、第2表示パネル200の対向表示領域210dに配置される画素214及び信号線の数とは互いに等しいと仮定する。さらに、
図8及び
図9に示すように、第2表示パネル200には、ゲート線212が、第1表示パネル100より上下方向に10本ずつ多く配置されていると仮定する。
図13において、GL1(1)は、第1表示パネル100の1行目のゲート線112に供給されるゲート信号を示し、GL1(n)は、最終のn行目のゲート線112に供給されるゲート信号を示している。またGL2(1)は、第2表示パネル200の1行目のゲート線212に供給されるゲート信号を示し、GL2(m)は、最終のm行目のゲート線212に供給されるゲート信号を示している。またGL2(1)~GL2(10),GL2(m-9)~GL2(m)は、拡張表示領域210cに配置されるゲート線212に供給されるゲート信号を示している。よって、液晶表示装置10を平面的に見ると、第1表示パネル100の1行目からn行目のゲート線112と、第2表示パネル200の11行目から(m-10)行目のゲート線212とは互いに重なるように配置されている。
【0058】
上記構成において、第1フレームF1では、先ず、第2表示パネル200において、1行目から10行目までのゲート線212に順次ゲート信号GL2(1)~GL2(10)が供給され、例えば
図11に示す画像情報に対応するデータ電圧が画素電極215に供給される。続いて、第1表示パネル100において、1行目からn行目までのゲート線112に順次ゲート信号GL1(1)~GL1(n)が供給されると同時に、第2表示パネル200において、11行目から(m-10)行目までのゲート線212に順次ゲート信号GL2(11)~GL2(m-10)が供給され、例えば
図10に示す画像情報に対応するデータ電圧が画素電極115に供給されると同時に、
図11に示す画像情報に対応するデータ電圧が画素電極215に供給される。続いて、第2表示パネル200において、(m-9)行目からm行目までのゲート線212に順次ゲート信号GL2(m-9)~GL2(m)が供給され、例えば
図11に示す画像情報に対応するデータ電圧が画素電極215に供給される。このように、第1フレームF1のうち期間t11,t13では、第2表示パネル200の拡張表示領域210cにおいて画像表示を行い、期間t12では、第1表示パネル100の第1画像表示領域110aと第2表示パネル200の対向表示領域210dとにおいて画像表示を行う。第2フレームF2では、上記第1フレームF1の動作と同じ動作を行う。以降のフレームにおいても同様の動作を行う。
【0059】
液晶表示装置10は、上記のようにして表示動作を行う。尚、表示動作の方法は上記方法に限定されない。
【0060】
液晶表示装置10の構成は上記構成に限定されない。例えば、第2表示パネル200の拡張表示領域210cの構成は様々な形態を適用することができる。以下、拡張表示領域210cの他の構成例について説明する。
【0061】
上述したように、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214のうち一部の画素には、互いに同じ画像が表示される。例えば、
図11において、1行目における行方向に並ぶ11個の画素214には、「C11」の階調に応じた画像が表示され、12行目における行方向に並ぶ10個の画素214には、「C21」の階調に応じた画像が表示される。そこで、
図14及び
図15に示すように、同じ画像が表示される複数の画素に対応する信号線(データ線211及びゲート線212)を同時に駆動する構成としてもよい。
図14は、変形例1に係る第2表示パネル200の構成を示す平面図であり、
図16は、変形例2に係る第2表示パネル200の構成を示す平面図である。
【0062】
図14に示す第2表示パネル200では、1列目から7列目までの7本のデータ線211が1つの出力端子SD2-7に接続されており、1行目から7行目までの7本のゲート線212が1つの出力端子GD2-7に接続されている。すなわち、1つの出力端子SD2-7に接続された信号線が7本のデータ線211に分岐され、1つの出力端子GD2-7に接続された信号線が7本のゲート線212に分岐されている。尚、
図14では、便宜上、出力端子を、
図9に示す出力端子の位置に対応する番号を付して表している。以降の図においても同様である。変形例1に係る表示パネル200においても、
図15に示すように、上述の表示パネル200(
図11参照)と同様に画像を表示する。
【0063】
図16に示す第2表示パネル200では、1列目から4列目までの4本のデータ線211が1つの出力端子SD2-7に接続されており、5列目から7列目までの3本のデータ線211が1つの出力端子SD2-8に接続されており、8列目から9列目までの2本のデータ線211が1つの出力端子SD2-9に接続されており、10列目のデータ線211が1つの出力端子SD-10に接続されている。同様に、1行目から4行目までの4本のゲート線212が1つの出力端子GD2-7に接続されており、5行目から7行目までの3本のゲート線212が1つの出力端子GD2-8に接続されており、8行目から9行目までの2本のゲート線212が1つの出力端子GD2-9に接続されており、10行目のゲート線212が1つの出力端子GD-10に接続されている。すなわち、1つの出力端子SD-7に接続された信号線が4本のデータ線211に分岐され、1つの出力端子SD-8に接続された信号線が3本のデータ線211に分岐され、1つの出力端子SD-9に接続された信号線が2本のデータ線211に分岐されている。同様に、1つの出力端子GD-7に接続された信号線が4本のゲート線212に分岐され、1つの出力端子GD-8に接続された信号線が3本のゲート線212に分岐され、1つの出力端子GD-9に接続された信号線が2本のゲート線212に分岐されている。このように、表示パネル200は、対向表示領域210d(第1画像表示領域110a)に近づく程、データ線211の分岐本数及びゲート線212の分岐本数が少なくなるように構成されている。
【0064】
図9、
図14及び
図16に示す上記各構成では複数の画素214それぞれが、互いに同じ大きさを有しているが、これに限定されない。例えば、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214のうち一部の画素214が他の画素214と異なる大きさを有していても良い。
図17は、変形例3に係る第2表示パネル200の構成を示す平面図である。
図17に示す第2表示パネル200では、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214は、対向表示領域210d(第1画像表示領域110a)から遠くなる程、画素214の大きさが大きくなるように構成されている。例えば、対向表示領域210dに配置される複数の画素214の行方向のピッチをs1とした場合、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214は、4列目の画素214のピッチがs1、3列目の画素214のピッチがs1×2、2列目の画素214のピッチがs1×3、1列目の画素214のピッチがs1×4となるように配置されている。すなわち、対向表示領域210dに配置される画素214と比較して、4列目の画素214は行方向に1倍、3列目の画素214は行方向に2倍、2列目の画素214は行方向に3倍、1列目の画素214は行方向に4倍の大きさを有している。同様に、例えば、対向表示領域210dに配置される複数の画素214の列方向のピッチをg1とした場合、拡張表示領域210cに配置される複数の画素214は、4行目の画素214のピッチがg1、3行目の画素214のピッチがg1×2、2行目の画素214のピッチがg1×3、1行目の画素214のピッチがg1×4となるように配置されている。すなわち、対向表示領域210dに配置される画素214と比較して、4行目の画素214は列方向に1倍、3行目の画素214は列方向に2倍、2行目の画素214は列方向に3倍、1行目の画素214は列方向に4倍の大きさを有している。変形例3に係る第2表示パネル200においても、
図18に示すように、上述の各第2表示パネル200と同様に、画像を表示する。
【0065】
上記変形例1~3に係る第2表示パネル200によれば、
図9に示す構成と比較して、各ドライバの出力数を減らすことができる。また、変形例1及び2に係る第2表示パネル200によれば、複数のゲート線212を同時に駆動(選択)することができるため、
図9及び
図13に示す構成と比較して、拡張表示領域210cの表示時間(駆動時間)を短縮することができる。尚、上記のとおり、拡張表示領域210cに配置される画素214は、対向表示領域210dに配置される画素214の構成と異なる構成とすることができるが、対向表示領域210dに近い程、対向表示領域210dの画素214に対応する条件(信号線の分岐本数や、画素の大きさ)に近くなるように構成されていることが好ましい。
【0066】
次に、画像処理部300の具体的な構成について説明する。
図19は、画像処理部300の具体的な構成を示すブロック図である。画像処理部300は、第1遅延部311と、第1ガンマ処理部312と、第2遅延部313と、第1画像出力部314と、白黒画像データ生成部321と、第2ガンマ処理部322と、最大値フィルタ処理部323と、平均値フィルタ処理部324と、拡張表示画像データ生成部325と、第2画像出力部326とを含んでいる。
【0067】
画像処理部300は、外部のシステムから送信された入力映像信号Dataを受信すると、入力映像信号Dataを第1遅延部311及び白黒画像データ生成部321に転送する。尚、入力映像信号Dataは、例えば輝度情報(階調情報)と色情報を含んでいる。白黒画像データ生成部321は、入力映像信号Dataに基づいて白黒画像に対応する白黒画像データを生成する。第2ガンマ処理部322は、白黒画像データに基づいて第2表示パネル200で表示する白黒画像のガンマ処理を行う。例えば、第2ガンマ処理部322は、ガンマ値(第2ガンマ値)を0.3に設定する。
【0068】
第1ガンマ処理部312は、第1遅延部311から出力された入力映像信号Dataと、第2ガンマ処理部322から出力された第2ガンマ値(γ=0.3)とに基づいて、第1表示パネル100で表示するカラー画像のガンマ処理を行う。例えば、第1ガンマ処理部312は、白黒画像とカラー画像とを合成した表示画像の合成ガンマ値が2.2になるように、カラー画像のガンマ値(第1ガンマ値)を1.9に設定する。第1ガンマ処理部312は、ガンマ処理したカラー画像データ(第1画像データ)を第2遅延部313に出力する。
【0069】
最大値フィルタ処理部323は、第2ガンマ処理部322から出力された白黒画像データに基づいて最大値フィルタ処理を実行する。最大値フィルタ処理部323は、周知の最大値フィルタ処理を適用することができる。例えば、最大値フィルタ処理部323は、11画素×11画素の円形領域をフィルタサイズに設定して、最大値フィルタ処理を実行する。これにより、例えば高輝度領域(白色領域)を拡大することができる。
【0070】
平均値フィルタ処理部324は、最大値フィルタ処理部323から出力された白黒画像データに基づいて平均値フィルタ処理を実行する。平均値フィルタ処理部324は、周知の平均値フィルタ処理を適用することができる。例えば、平均値フィルタ処理部324は、11画素×11画素の円形領域をフィルタサイズに設定して、平均値フィルタ処理を実行する。これにより、例えば高周波成分が削除されるため輝度変化を滑らかにすることができる。
【0071】
拡張表示画像データ生成部325は、平均値フィルタ処理部324から出力された白黒画像データに基づいて、拡張表示領域210c(
図9等参照)を含む第2画像表示領域210aに対応する白黒画像の拡張表示画像データ(第2画像データ)を生成する。例えば、拡張表示画像データ生成部325は、
図12に示す方法により規定された拡張表示領域210cにおける画素214の個数等に基づいて第2画像データを生成する。拡張表示画像データ生成部325は、生成した第2画像データを第2画像出力部326に出力する。
【0072】
第2遅延部313は、第1ガンマ処理部312から出力された第1画像データを、拡張表示画像データ生成部325の出力タイミングに合わせて、第1画像出力部314に出力する。
【0073】
第1画像出力部314は、第1画像データDAT1を第1タイミングコントローラ140に出力し、第2画像出力部326は、第2画像データDAT2を第2タイミングコントローラ240に出力する。また画像処理部300は、第1タイミングコントローラ140に第1制御信号CS1を出力し、第2タイミングコントローラ240に第2制御信号CS2を出力する(
図2及び
図3)。
【0074】
画像処理部300は上記構成に限定されない。例えば、拡張表示画像データ生成部325は、第2ガンマ処理部322と最大値フィルタ処理部323との間に設けられていても良い。すなわち、画像処理部300は、拡張表示画像データに対して、最大値フィルタ処理及び平均値フィルタ処理を実行しても良い。
【0075】
また、上述した実施の形態では、第2表示パネル200が白黒画像を表示し、ブラックマトリクス202を含む例を示したが、第2表示パネル200のブラックマトリクス202bは、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。