(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】スイッチング装置
(51)【国際特許分類】
H01H 50/00 20060101AFI20221228BHJP
H01H 50/02 20060101ALI20221228BHJP
H01H 1/66 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H01H50/00 D
H01H50/02 B
H01H1/66
(21)【出願番号】P 2021503209
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(86)【国際出願番号】 EP2019059802
(87)【国際公開番号】W WO2019201916
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-10-07
(31)【優先権主張番号】102018109389.6
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルナー, フランク
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-117678(JP,A)
【文献】特公昭47-030470(JP,B1)
【文献】特開2014-107050(JP,A)
【文献】特開2015-049937(JP,A)
【文献】特開平10-162676(JP,A)
【文献】特開平10-294036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
H01H 1/06 - 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの固定接点(2、3)と、H
2を含むガス(14)を有するスイッチングチャンバ(11)内の可動接点(4)と、を備えるスイッチング装置(100)であって、
前記スイッチングチャンバ(11)は、スイッチングチャンバ壁(12)及びスイッチングチャンバ底部(13)を有し、
前記可動接点(4)は軸(7)と接続しており、当該軸(7)は、前記スイッチングチャンバ底部(13)の開口を通って突出しており、
前記スイッチングチャンバ壁(12)は、少なくとも1つの開口を備え、前記少なくとも1つの固定接点(2、3)は、前記スイッチングチャンバ壁(12)の前記開口を通って突出しており、
前記スイッチングチャンバ壁(12)及び前記スイッチングチャンバ底部(13)は、前記軸(7)及び前記少なくとも1つの固定接点(2、3)のための前記開口を除いて取り囲まれた空間が形成されるように、互いに対して配置されており、
前記スイッチングチャンバ(11)は、加熱された際に
分解により水素を遊離させ得るポリマー材料を少なくとも部分的に含み、
前記スイッチングチャンバ底部(13)及び/又は前記スイッチングチャンバ壁(12)は、少なくとも部分的に前記ポリマー材料を含む、スイッチング装置(100)。
【請求項2】
前記スイッチングチャンバ底部(13)は、前記ポリマー材料から成るプラスチックシールドを備える、
請求項1に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項3】
前記スイッチングチャンバ底部(13)は、前記ポリマー材料から形成されている、
請求項1又は2に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項4】
前記スイッチングチャンバ壁(12)は、前記ポリマー材料から形成されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項5】
前記ポリマー材料はポリオキシメチレンを含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項6】
前記ポリオキシメチレンは、構造(CH
2O)
nを有する、請求項
5に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項7】
前記スイッチングチャンバ(11)内には、少なくとも1つのブローアウトマグネットが配置されている、請求項1~
6のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【請求項8】
前記ガスは、少なくとも50%の比率のH
2を含む、請求項1~
7のいずれか1項に記載のスイッチング装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スイッチング装置が提供される。
【背景技術】
【0002】
スイッチング装置は、特に、電流によって駆動可能で、電磁的に作動する、遠隔操作されるスイッチとして形成されている。スイッチング装置は、制御回路を介して作動させることができ、負荷回路を切り替えることができる。特に、スイッチング装置は、リレーとして又は接触器として、特に電力接触器として形成することができる。特に有利には、スイッチング装置は、ガス充填された電力接触器として形成することができる。
【0003】
このようなスイッチング装置の、特に電力接触器の1つの可能な用途は、例えば電気的に又は一部電気的に駆動される原動機付き車両のような原動機付き車両における、バッテリ回路の開放及び切断である。これらは、例えば、純粋にバッテリ駆動される車両(BEV:「バッテリ電気自動車」)、コンセント又は充電ステーションを介して充電可能なハイブリッド電気自動車(PHEV:プラグインハイブリッド電気自動車)及びハイブリッド電気自動車(HEV:ハイブリッド電気自動車)であることができる。その際、通常は、バッテリのプラス及びマイナスの接点が共に、電力接触器を用いて切断される。この切断は、例えば、車両のアイドル状態のような通常作動時にも、例えば事故などのような故障の場合にも、行われる。その際、車両をゼロ電位に切り替え、電流を遮断することが、電力接触器の主要な役割である。特に故障時には、電流の遮断の際にスイッチングアークが発生する。これらのスイッチングアークは、電流を安全に遮断し、スイッチの破壊を阻止するために、消滅されなければならない。
【0004】
アークを消滅させるために、通常、水素含有ガス充填、及び、アークの偏向をもたらし得る付加的な永久磁石、いわゆるブローアウトマグネットが、発生するアークの領域において付加的に使用される。例えば、特許文献1には、そのようなブローアウトマグネットが記載されている。
【0005】
更に、不飽和ポリエステル又はナイロンのようなガス放出プラスチックを、消滅挙動の改善のために、アークの近傍に導くことができる。しかしながら、これらのガス放出プラスチックの欠点は、それらの高い炭素含有量であり、これは、プラスチックの蒸発の際に、特にグラファイトの形成を通じてチャンバ内壁上に導電性の被覆をもたらし、それにより、絶縁強度を損ない、又は、最悪の場合には接点の短絡をもたらす可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特定の実施形態の少なくとも1つの課題は、スイッチング装置、特に有利には上述した先行技術の欠点を回避又は少なくとも低減し得るスイッチング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は独立請求項の主題によって解決される。当該主題の有利な実施形態及び発展形態は、従属請求項で明らかにされ、更に以下の記載及び図面から明らかになる。
【0009】
一実施形態によれば、スイッチング装置は、少なくとも1つの固定接点と、少なくとも1つの可動接点とを備える。少なくとも1つの固定接点及び少なくとも1つの可動接点は、スイッチング装置に接続可能な負荷回路のオン・オフを切り替えるように設けられ適合されている。それに応じて、可動接点は、スイッチング装置内で、スイッチング装置の非接続状態においては、少なくとも1つの固定接点から隔てられ、したがって電気的に分離されており、接続状態においては、少なくとも1つの固定接点への機械的な接触を有し、したがって電気的に当該少なくとも1つの固定接点と接続されているように、スイッチング装置の非接続状態と接続状態との間で移動可能である。特に有利には、スイッチング装置は少なくとも2つの固定接点を備え、当該固定接点は、スイッチング装置内で互いに別々に配置されており、このようにして、可動接点の状態に応じて、可動接点を介して互いに導電的に接続されるか又は互いに電気的に分離されることができる。
【0010】
別の実施形態によれば、スイッチング装置はハウジングを備え、当該ハウジング内には、可動接点及び少なくとも1つの固定接点又は少なくとも2つの固定接点が配置されている。可動接点は、特に、完全にハウジング内に配置することができる。固定接点がハウジング内に配置されているということは、特に、少なくとも、接続状態において可動接点と機械的に接触する固定接点の接触領域が、ハウジングの内部に配置されていることを意味し得る。スイッチング装置によって切り替えられるべき回路の導線の接続のために、ハウジング内に配置された固定接点は、外部から、すなわちハウジングの外側から、電気的に接触可能であり得る。このために、ハウジング内に配置された固定接点は、一部がハウジングから突出することができ、ハウジングの外側において、導線のための接続の可能性を有し得る。
【0011】
別の実施形態によれば、接点は、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されている。これは、特に、可動接点がハウジング内において完全にガス雰囲気中に配置されており、更に、固定接点の一部、例えば固定接点の接触領域が、ハウジング内においてガス雰囲気中に配置されていることを意味し得る。それに応じて、スイッチング装置は、特に有利には、例えばガス充填接触器のようなガス充填されたスイッチング装置であることができる。
【0012】
別の実施形態によれば、接点、すなわち可動接点の全体及び固定接点の少なくとも一部は、ガス、すなわちガス雰囲気の少なくとも一部が存在するハウジングの内側のスイッチングチャンバ内に配置されている。ガスは、有利には、少なくとも50%のH2を含むことができる。水素に加えて、ガスは、不活性ガス、特に有利にはN2及び/又は1つ以上の希ガスを含むことができる。
【0013】
スイッチングチャンバは、スイッチングチャンバ底部及びスイッチングチャンバ壁を有することができる。可動接点は軸と接続することができ、当該軸は、スイッチングチャンバ底部の開口を通って突出する。スイッチングチャンバ壁は、少なくとも1つの開口を備えることができ、少なくとも1つの固定接点は、スイッチングチャンバ壁の開口を通って突出することができる。スイッチング装置が複数の固定接点を備える場合、スイッチングチャンバ壁は、有利には、固定接点の各々のための対応する開口を有することができる。スイッチングチャンバ壁は、特に有利には、キャップ状に形成されており、1つ又は複数の部品から成ることができる。スイッチングチャンバ底部は、特に有利には、プレート状に形成されており、同様に1つ又は複数の部品から成ることができる。代替的に、スイッチングチャンバ底部及びスイッチングチャンバ壁は、逆に形成することもできる。更に、スイッチングチャンバ底部及びスイッチングチャンバ壁を、共にキャップ状に形成することも可能であり得る。スイッチングチャンバ壁及びスイッチングチャンバ底部の形状にかかわらず、これらは、特に有利には、その内部で上述したスイッチングプロセスが行われる、上述した開口を除いて取り囲まれた空間が形成されるように、互いに対して配置することができる。
【0014】
別の実施形態によれば、スイッチングチャンバは、加熱された際に水素を遊離させ得るポリマー材料を少なくとも部分的に含んでいる。特に、ポリマー材料は、スイッチングチャンバ内におけるスイッチングプロセスの際に生じ得るアークによって水素が遊離され得るよう、形成することができる。付加的に遊離した水素は、特に有利にはH2の形態で、スイッチングチャンバ内のアーク消滅を改善することができる。
【0015】
例えば、スイッチングチャンバ底部は、少なくとも部分的にポリマー材料を含むことができる。これは、スイッチングチャンバ底部が、ポリマー材料でから成るプラスチックシールドを備えることができることを意味し得る。更に、スイッチングチャンバ底部も、ポリマー材料から形成することができる。
【0016】
代替的に又は付加的に、スイッチングチャンバ壁は、少なくとも部分的にポリマー材料を含むことができる。特に、スイッチングチャンバ壁の一部は、ポリマー材料を含むことができる。更に、スイッチングチャンバ壁も、ポリマー材料から形成することができる。
【0017】
別の実施形態によれば、ポリマー材料はポリオキシメチレン(POM)を含む。特に有利には、ポリマー材料はPOMである。POMは、半結晶性の、広範囲にわたって線状の、連鎖重合又は連鎖共重合によって製造可能な、反復要素-CHR-O-を有する熱可塑性物質であり、ここにRは有機残基を表している。特に有利には、ポリマー材料は、構造(CH2O)nを有し、すなわち残基Rとして水素を有するか又はそれによって形成される。それに応じて、ポリマー材料は、比較的低い炭素含有量及び非常に小さなグラファイト形成傾向によって特徴付けられ得る。特に(CH2O)nの場合、炭素と酸素の含有量が同一であることにより、熱によって誘起された、特にアークによって誘起された分解の際、主にガス状のCO及びH2が発生する可能性がある。したがって、導電性の壁被覆が生じることは殆どなく、付加的な水素はアーク消滅を強化する。
【0018】
別の実施形態によれば、スイッチングチャンバ内に少なくとも1つのブローアウトマグネットが配置されており、当該ブローアウトマグネットは、特に有利には、永久磁石によって形成することができる。更に、複数のブローアウトマグネットが存在していてもよい。負荷電流が依然として流れている間の負荷下のスイッチング装置のスイッチングプロセス、すなわち可動接点と1つ以上の固定接点との空間的な分離の場合、その際に生じるアークがブローアウトマグネットによって偏向され、接触領域から押し出される。その際、当該アークは、特に、例えばスイッチングチャンバ底部のようなスイッチングチャンバの一部にも到達する可能性がある。有利には上述したポリマー材料から成る、すなわち特にPOMを含むか又は当該POMから成るこの部分の加熱によって、上述したように、付加的な水素を遊離させることができ、その結果、アークの消滅を加速することができる。
【0019】
更なる利点,有利な実施形態及び発展形態が、以下において図面と関連して説明される実施例から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】一実施例によるスイッチング装置の概略図である。
【
図1B】一実施例によるスイッチング装置の概略図である。
【
図2】別の実施例によるスイッチング装置の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施例及び図面において、同一の、同様の、又は、同等に機能する要素には、それぞれ同一の参照符号が付されている可能性がある。図示された要素及びそれらの互いの大きさの比率は縮尺どおりではなく、むしろ、例えば層、部材、部品及び領域のような個々の要素は、より良好な図示の可能性及び/又はより良好な理解のために、誇張して大きく示されている可能性がある。
【0022】
図1A及び1Bには、例えば、大電流及び/又は高電圧を切り替えるために使用することができ、リレー又は接触器、特に電力接触器であることができる、スイッチング装置100の実施例が示されている。
図1Aには三次元的な断面図が、
図1Bには二次元的な断面図が、それぞれ示されている。以下の説明では、
図1A及び1Bが同様に参照される。図示された幾何学的形状は、例示的なものにすぎず限定的なものではないと理解されるべきであり、別の態様で形成することもできる。
【0023】
スイッチング装置100は、ハウジング1内に、2つの固定接点2、3と、1つの可動接点4と、を備えている。可動接点4は、接触プレートとして形成されている。固定接点2、3は、可動接点4と共に、スイッチング接点を形成している。ハウジング1は、主として、内部に配置された構成要素に対する接触保護(Beruehrschutz)として機能し、例えばポリブチレンテレフタレート(PBT)又はガラス充填PBTのようなプラスチックを含むか又はそれから成る。接点2、3、4は、例えば、Cu、Cu合金、あるいは、銅と例えばWo、Ni及び/又はCrのような少なくとも1つの別の金属との混合物であることができ、又は、それらから成ることができる。
【0024】
図1A及び1Bにおいて、スイッチング装置100は、可動接点4が固定接点2、3から隔てられたアイドル状態で示されており、したがって、接点2、3、4は電気的に互いに分離されている。スイッチング接点及び特にその幾何学的形状の図示された実施形態は、純粋に例示的なものであって限定的なものではないと理解されるべきである。代替的に、スイッチング接点を、他の態様で形成することもできる。例えば、スイッチング接点のうちの1つのみを固定接点として形成することが、可能であり得る。
【0025】
スイッチング装置100は可動のマグネットアーマチュア(Magnetanker)5を備えており、当該マグネットアーマチュアが実質的にスイッチング運動を実行する。マグネットアーマチュア5は、例えば強磁性材料を含むか又はそれから成る磁心6を備えている。更に、マグネットアーマチュア5は、磁心6を通って案内され、軸端において強固に磁心6と接続された軸7を備えている。磁心6とは反対側の軸端において、マグネットアーマチュア5は、同様に軸7と接続された可動接点4を備えている。軸7は、例えば、ステンレス鋼で又はステンレス鋼から製作することができる。
【0026】
磁心6は、コイル8によって取り囲まれている。外部から接続可能なコイル8内の電流は、可動接点4が固定接点2、3と接触するまで、磁心6、ひいてはマグネットアーマチュア5全体の軸方向の運動を発生させる。したがって、マグネットアーマチュア5は、アイドル状態及び同時に切断状態すなわち非接続状態に相当する第1の位置から、アクティブ状態すなわち接続状態に相当する第2の位置へ、移動する。アクティブ状態において、接点2、3、4は、電気的に互いに接続されている。他の実施形態において、マグネットアーマチュア5は、代替的に回転運動をも実行することができる。マグネットアーマチュア5は、特に、テンションアーマチュア(Zuganke)又はヒンジ型アーマチュア(Klappanker)として形成することができる。軸7、ひいてはマグネットアーマチュア5を案内するために、スイッチング装置100はヨーク9を備えており、当該ヨークは、純鉄又は低ドープ鉄合金を含むか、又は、それらから成ることができ、磁気回路の一部を形成している。ヨーク9は、その内部を軸7が案内される開口を備えている。コイル8内の電流が遮断されると、マグネットアーマチュア5は、1つ以上のバネ10によって再び第1の位置へ移動される。スイッチング装置100は、その際、再び、接点2、3、4が開放されたアイドル状態にある。
【0027】
接点2、3、4が開放されると、接触面に損傷を与え得るアークが発生する可能性がある。それにより、接点2、3、4が、アークによって引き起こされる溶接のために互いに「固着」し、もはや互いに分離されない危険性があり得る。このようなアークの発生を防止するために、又は、少なくとも発生するアークの消滅を促進するために、接点2、3、4はガス雰囲気中に配置されており、その結果、スイッチング装置100は、ガス充填リレー又はガス充填接触器として形成されている。このために、接点2、3、4は、ハウジング1の気密に閉鎖された部分において、スイッチングチャンバ壁12とスイッチングチャンバ底部13とによって形成されたスイッチングチャンバ11内に配置されている。ハウジング1及び特にハウジング1の気密に閉鎖された部分は、マグネットアーマチュア5及び接点2、3、4を完全に取り囲んでいる。ハウジング1の気密に閉鎖された部分及びしたがってスイッチングチャンバ11も、ガス14で充填されている。スイッチング装置100の製造中にガス充填パイプ15を通じて注入することができるガス14は、特に有利には水素を含有するものであることができる。特に、ガス14は、N2のような不活性ガス及び/又は1つ以上の希ガス中に少なくとも50%以上のH2を含有することができる。というのは、水素含有ガスは、アークの消滅を促進することができるからである。
【0028】
図示された実施例において、スイッチングチャンバ壁12は、キャップ状に形成されており、1つ又は複数の部品から成ることができる。スイッチングチャンバ底部13はプレート状に形成されており、同様に1つ又は複数の部品から成ることができる。可動接点4と接続された軸7及び固定接点2、3は、スイッチングチャンバ底部13及びスイッチングチャンバ壁12の開口を通って、上述した部分を貫いて突出することができる。したがって、スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13は、スイッチングプロセスが行われる空間を取り囲んでいる。図示された実施例に代えて、スイッチングチャンバ壁12及びスイッチングチャンバ底部13の他の幾何学的形状も可能である。
【0029】
更に、スイッチングチャンバ11は、加熱された際に水素を遊離させ得るポリマー材料を少なくとも部分的に含んでいる。特に、ポリマー材料は、ポリマー材料に衝突するアークによって水素が遊離され得るように形成されており、その結果、特に有利にはH2の形態で付加的に遊離された水素によって、アーク消滅の改善が達成され得る。ポリマー材料は、特に構造(CH2O)nを有するポリオキシメチレン(POM)を含むか又はそれによって形成される。一般的な部分に記載されているように、そのようなポリマー材料は、他のポリマーと比較して低い炭素含有量、及び、グラファイトを形成する傾向が非常に低いことによって特徴付けられ、特にアークによって誘起された分解の際、主にガス状のCO及びH2が発生する。
【0030】
特に有利には、スイッチングチャンバ底部13は当該プラスチック材料を含んでいる。例えば、スイッチングチャンバ底部13の一部を形成する、ポリマー材料を含む、有利にはポリマー材料から成るポリマーシールドは、アークがその下に存在するフランジ湾曲部に到達するのを阻止することができる。更に、スイッチングチャンバ底部13も、全体としてポリマー材料から形成されることができる。代替的に又は付加的に、スイッチングチャンバ壁12の一部を、又は、スイッチングチャンバ壁12を全体として、ポリマー材料によって又はポリマー材料から形成することもできる。上述したポリマー材料によって形成されていないスイッチングチャンバ11の一部、すなわち、特に、上述したポリマー材料によって形成されていないスイッチングチャンバ壁12及び/又はスイッチングチャンバ底部13の一部は、例えば、Al2O3のような金属酸化物によって又は金属酸化物から製作することができる。
【0031】
図2には、スイッチングチャンバ内に配置された接点2、4の断面が示されている、
図2の図示は、
図1A及び1Bの切断面に対して90°だけ回転されている。
図2に示されているように、1つ以上のブローアウトマグネット16、すなわち、有利には、アーク経路の延長、及び、接点間の領域からのアークの偏向をもたらすことができる永久磁石を、スイッチングチャンバの内部に配置することができる。その際、アークは、特に、スイッチングチャンバの一部、例えばスイッチングチャンバ底部又はスイッチングチャンバ壁に到達する可能性もある。上述したポリマー材料を含むか又は遊離には当該ポリマー材料から成る、すなわち特にPOMを含むか又は当該POMから成るこの部分の加熱によって、上述したように、付加的な水素を遊離させることができ、その結果、アークの消滅を加速することができる。
【0032】
図面に関連して記載された特徴及び実施例は、全ての組み合わせが明示的に記載されていなくても、別の実施例に従って互いに組み合わせることができる。更に、図面に関連して記載された実施例は、代替的に又は付加的に、全般的な部分の記載による別の特徴を備えていてもよい。
【0033】
本発明は、実施例を参照した記載によって、これらに限定されない。むしろ、本発明は、全ての新しい特徴、及び、特に特許請求の範囲における全ての特徴の組み合わせを含む全ての特徴の組み合わせを、たとえ当該特徴又は組み合わせ自体が特許請求の範囲又は実施例において明示的に提示されていない場合であっても、含む。
【符号の説明】
【0034】
1 ハウジング
2、3 固定接点
4 可動接点
5 マグネットアーマチュア
6 磁心
7 軸
8 コイル
9 ヨーク
10 バネ
11 スイッチングチャンバ
12 スイッチングチャンバ壁
13 スイッチングチャンバ底部
14 ガス
15 ガス充填パイプ
16 ブローアウトマグネット
100 スイッチング装置