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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】エアロゾルディスペンサーのロック機構
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61M11/00 D
A61M11/00 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021517459
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074315
(87)【国際公開番号】W WO2020064343
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】18197317.3
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・セール
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-527040(JP,A)
【文献】特表平7-506031(JP,A)
【文献】特表2005-537130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 13/00
A61M 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルディスペンサー(1)用のロック機構(11)であって、前記ロック機構(11)は、
第1の本体構造(3)と、
前記第1の本体構造(3)に回転可能に取り付けられるよう構成された第2の本体構造(9)と、
前記第2の本体構造(9)に回転可能に取り付けられるよう構成されたスピンドル(13)であって、前記スピンドル(13)は、前記第1の本体構造(3)に回転可能に協働するよう構成されたアクチュエータ(19)を有して、前記第2の本体構造(9)に対する前記第1の本体構造(3)の回転が前記アクチュエータ(19)および前記スピンドル(13)の回転を生じさせる、スピンドル(13)と、
前記スピンドル(13)の周りに配置された可動要素(15)であって、前記スピンドル(13)は、前記可動要素(15)に対して回転可能であり、前記スピンドル(13)の回転が前記スピンドル(13)に沿った初期位置から最終位置への前記可動要素(15)の移動を生じさせる、可動要素(15)と、
ロック要素(17)と、
を備え、
前記最終位置において、前記可動要素(15)は、前記ロック要素(17)を半径方向に屈曲させるように半径方向の力を前記ロック要素(17)に加えるように構成され、それにより前記第1の本体構造(3)および前記第2の本体構造(9)の間の回転を防止
前記ロック要素(17)は、壁(3a)の第1の凹部(3b)に配置され、前記第1の本体構造(3)および前記第2の本体構造(9)の一方の壁に取り付けられ、
前記可動要素(15)は、前記可動要素(15)が前記最終位置に移動すると前記ロック 要素(17)に対して軸方向にスライドするよう構成され、それにより前記第1の本体構造(3)および前記第2の本体構造(9)の他方の壁の第2の凹部(9b)に係合するように前記ロック要素(17)を半径方向に屈曲させる、ロック機構(11)。
【請求項2】
前記可動要素(15)は、残りの用量数の表示を提供するよう構成された用量インジケータである、請求項に記載のロック機構(11)。
【請求項3】
前記ロック要素(17)がばねである、請求項1~のいずれか一項に記載のロック機構(11)。
【請求項4】
前記ばねは、シートばねである、請求項に記載のロック機構(11)。
【請求項5】
前記スピンドル(13)および前記可動要素(15)がねじ接続を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のロック機構(11)。
【請求項6】
前記可動要素(15)は、面取りされた断面を有する細長い軸方向延在端部(15a)を有し前記ロック要素(17)は、前記軸方向延在端部(15a)と協働するよう構成された半径方向湾曲部分(17a,17b)を有し、それにより前記ロック要素(17)が屈曲される、請求項1~のいずれか一項に記載のロック機構(11)。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載のロック機構(11)を備えるエアロゾルディスペンサー()。
【請求項8】
前記エアロゾルディスペンサー()が吸入器、または眼用ディスペンサーである、請求項に記載のエアロゾルディスペンサー()。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、エアロゾルディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルディスペンサーは、薬剤などの液体の複数回投与を提供するように構成することができる。特定の用途、たとえば医薬品用途では、ユーザーが投与量を確実に受け取れるようにすることが重要である。したがって、液体カートリッジが空の場合、ユーザーが空のエアロゾルディスペンサーを使用しようとしないように、これをユーザーに示すことが望ましい。このような場合、投与量は一般に非常に少なく、分配中に液体がエアロゾルを形成するため、ユーザーには、それ以上の補助なしだと液体が分配されたという感触が残る。したがって、液体が実際に分配されたかどうかをユーザーが検出するのは難しい場合がある。ユーザーが液体カートリッジが空であることを識別できるようにする1つの方法は、ユーザーが液体ディスペンスをトリガーできない状態に空のエアロゾルディスペンサーを設定することである。
【0003】
特許文献1は、遮断装置を備えた吸入器を開示している。吸入器は、2つの部分からなるハウジングに収容されたバネ式出力ドライブとカウンターを備えたロックストレス機構を有する。2つのパーツは、相互に回転できるように取り付けられており、プレストレスト板ばねを使用してブロックされる。板ばねは、最初は1つのハウジング部品の壁の凹部に収容されている。許容される作動回数に達するとすぐに、プッシュロッドが板ばねを静止位置から押し出す。次に、板ばねが他のハウジング部品の壁の凹部に飛び込むと、2つのハウジング部品を相互に回転させることができなくなる。
【0004】
特許文献1に開示されている構成の1つの欠点は、吸入器の設計だけでなく組み立てもより複雑になる可能性があることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7396341号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記を考慮して、本開示の一般的な目的は、従来技術の問題を解決するか、または少なくとも軽減するエアロゾルディスペンサーのためのロック機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本開示の第1の態様によれば、エアロゾルディスペンサー用のロック機構が提供され、ロック機構は、第1の本体構造と、第1の本体構造に回転可能に取り付けられるように構成された第2の本体構造と、第2の本体構造に回転可能に取り付けられるように構成されたスピンドルであって、スピンドルは、第2の本体構造に対する第1の本体構造の回転がアクチュエータおよびスピンドルの回転を引き起こすように、第1の本体構造と回転的に協調するように構成されたアクチュエータを有するスピンドルと、スピンドルの周りに配置された可動要素であって、スピンドルは可動要素に対して回転可能であり、スピンドルの回転は、可動要素をスピンドルに沿って初期位置から最終位置に移動させる、可動要素と、ロック要素であって、最終位置で、可動要素が、ロック要素に半径方向の力を加えてロック要素を半径方向に曲げるように構成され、それによって第1の本体構造と第2の本体構造との間の回転を防止する、ロック要素と、を備える。
【0008】
これにより、第1の本体構造および第2の本体構造は、可動要素がその最終位置に到達した場合に、互いに対して回転ロックされるようになる可能性がある。これは特に、特許文献1の場合のように、プッシュロッドの軸方向の動きによって作動するプレストレスト板ばねを使用せずに達成することができる。これにより、ロック機構をより堅牢にすることができ、ロック機構およびエアロゾルディスペンサーの組み立てを簡素化することができる。
【0009】
可動要素は、各分配操作のためにスピンドルに沿って所定の距離を移動するように構成され得る。したがって、可動要素は、最終位置に向かって徐々に移動するように構成されている。最終位置は、許可された分配操作の総数に対応することができる。
【0010】
最終位置の一実施形態によれば、ロック要素は、第1の本体構造および第2の本体構造の両方と係合するように構成され、それにより、第1の本体構造および第2の本体構造の回転インターロックを引き起こす。
【0011】
一実施形態によれば、ロック要素は、壁の第1の凹部に配置され、第1の本体構造および第2の本体構造のうちの1つの壁に取り付けられる。
【0012】
一実施形態によれば、可動要素は、可動要素が最終位置に向かって移動する際にロック要素に対して軸方向にスライドするように構成され、それによって、ロック要素を半径方向に曲げて、第1の本体構造と第2の本体構造の他方の壁の第2の凹部と係合する。
【0013】
一実施形態によれば、可動要素は、残りの用量数の表示を提供するように構成された用量インジケータである。
【0014】
一実施形態によれば、ロック要素は、ばねである。
【0015】
一実施形態によれば、ばねは、シートばねである。
【0016】
一実施形態によれば、スピンドルおよび可動要素は、ねじ接続を有する。
【0017】
一実施形態によれば、可動要素は、面取りされた断面を有する細長い軸方向延伸端部を有し、ロック要素は、軸方向延伸端部と協働してロック要素を曲げるように構成された半径方向湾曲部分を有する。
【0018】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾルディスペンサー用のロック機構が提供され、ロック機構は、第1の本体構造と、第1の本体構造に回転可能に取り付けられるように構成された第2の本体構造と、第2の本体構造に回転可能に取り付けられるように構成されたスピンドルであって、第2の本体構造に対する第1の本体構造の回転がアクチュエータおよびスピンドルの回転を引き起こすように、第1の本体構造と回転的に協調するように構成されたアクチュエータを有する、スピンドルと、スピンドルの周りに配置された可動要素であって、スピンドルは可動要素に対して回転可能である、可動要素と、を備え、スピンドルの回転は、スピンドルに沿った可動要素の初期位置から最終位置への移動を引き起こし、可動要素は、最終位置の第1の本体と係合するように構成され、これにより、第2の本体構造に対する第1の本体構造の回転を防ぐ。
【0019】
これにより、第1の本体構造および第2の本体構造は、可動要素がその最終位置に到達したときに、互いに対して回転ロックされることが可能となる。これは、インターロックを実行するためにプレストレスト板ばねが必要ないため、特に簡略化された方法で達成することができる。これにより、ロック機構をより堅牢にすることができ、ロック機構およびエアロゾルディスペンサーの組み立てを簡素化することができる。
【0020】
一実施形態によれば、可動要素は、可動要素が最終位置にある場合に第1の本体構造の軸方向凹部と係合するように構成された軸方向延伸端部を有し、第2の本体構造に対する第1の本体構造の回転を防止する。
【0021】
一実施形態によれば、可動要素は、残りの用量数の表示を提供するように構成された用量インジケータである。
【0022】
一実施形態によれば、スピンドルおよび可動要素は、ねじ接続を有する。
【0023】
本開示の第3の態様によれば、第1の態様によるロック機構が提供される。
【0024】
一実施形態によれば、エアロゾルディスペンサーは、吸入器または眼用ディスペンサーである。
【0025】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で別段の定めがない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。要素、装置、コンポーネント、手段などのすべての言及は、特に明記しない限り、要素、装置、コンポーネント、手段などの少なくとも1つの実例を指すものとして公然と解釈されるべきである。
【0026】
次に、本発明の概念の特定の実施形態を、添付の図面を参照して、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】エアロゾルディスペンサーの一例の斜視図を示す。
図2a】エアロゾルディスペンサーの内部を示す。
図2b】ハウジング部材が取り付けられた線B-Bに沿った図2aのエアロゾルディスペンサーの断面を示す。
図3図1のエアロゾルディスペンサーのロック機構の一例の斜視図を示す。
図4】エアロゾルディスペンサーが投与量を分配することが可能な場合の、図1の線C-Cに沿った断面図である。
図5】可動要素が最終位置にある場合の図2のエアロゾルディスペンサーを示す。
図6】可動要素が最終位置にある場合の図2のエアロゾルディスペンサーを示す。
図7】可動要素が最終位置にある場合の線C-Cに沿った断面を示す。
図8】可動要素が初期位置にある状態のエアロゾルディスペンサーの別の例を示す。
図9】可動要素が最終位置にある場合の図8のエアロゾルディスペンサーの長手方向断面の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の概念は、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全であり、本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供されている。同様の参照符号は、説明全体で同様の要素を指す。
【0029】
図1は、エアロゾルディスペンサー1の一例の斜視図を示している。エアロゾルディスペンサー1は、第1の本体構造3とハウジング部材5とを備える。第1の本体構造3は、エアロゾルディスペンサー1の外部ハウジングの一部を形成する。ハウジング部材5はまた、エアロゾルディスペンサー1の外部ハウジングの一部を形成する。
【0030】
図1の例では、第1の本体構造3とハウジング部材5は細長い形状であり、同軸に配置されている。第1の本体構造3とハウジング部材5のそれぞれの中心軸Aは一致し、エアロゾルディスペンサー1の中心軸を形成する。
【0031】
例示されたエアロゾルディスペンサー1はさらに、第1の本体構造3に取り付けられたエアロゾル分配端部材7を含む。エアロゾル分配端部材7は、エアロゾルディスペンサー1のエアロゾル分配端を形成する。エアロゾル分配端部材7には、エアロゾルが分配され得る開口部7aが設けられている。
【0032】
図1に示す例では、ハウジング部材5は、エアロゾルディスペンサー1の遠位端を形成し、エアロゾル分配端部材7は、エアロゾルディスペンサー1の近位端を形成する。第1の本体構造3は、ハウジング部材5とエアロゾル分配端部材7との間に軸方向に配置されている。
【0033】
第1の本体構造3は、ハウジング部材5に回転可能に取り付けられるように構成される。特に、エアロゾルディスペンサー1は、第1の本体構造3に対するハウジング部材5の回転によって作動するように構成される。この回転は、例えば約180度とすることができる。したがって、エアロゾルディスペンサー1が分配操作のために作動されるたびに、ハウジング部材5は、第1の本体構造3に対して所定の量だけ回転される。図1に示されていないトリガーは、エアロゾルディスペンサー1が作動された場合にエアロゾル分配操作をトリガーするように構成されている。
【0034】
図2aは、第1の本体構造3およびハウジング部材5が取り外されたエアロゾルディスペンサー1を示している。エアロゾルディスペンサー1はさらに、ハウジング部材5の半径方向内側に同心円状に配置されるように構成された内側スリーブの形態の第2の本体構造9を備える。第2の本体構造9は、薬剤カートリッジなどのカートリッジを受け入れるように構成されている。第2の本体構造9とハウジング部材5は、互いに対して回転ロックされている。
【0035】
エアロゾルディスペンサー1は、すべての用量がカートリッジから分配された場合に第1の本体構造3および第2の本体構造9を互いに対して回転ロックするためのロック機構11を備え、それにより、それ以上利用可能な用量がない場合にエアロゾルディスペンサー1の作動を防止する。ロック機構11は、第1の本体構造3、第2の本体構造9、スピンドル13、可動要素15、ロック要素17、およびアクチュエータ19を含む。
【0036】
スピンドル13は、第2の本体構造9に回転可能に取り付けられている。スピンドル13は、第2の本体構造9の外面に沿って中心軸Aと平行に延びる。スピンドル13にはネジ山が設けられている。
【0037】
可動要素15は、用量インジケータであり得る。可動要素15は、スピンドル13上に配置されるように構成されている。スピンドル13および可動要素15は、ねじ接続されている。可動要素15は、エアロゾルディスペンサー1から用量が分配されていない限り、スピンドル13の遠位端の初期位置にある。スピンドル13は、各分配用量で所定の量を回転させるように構成されている。これにより、可動要素15は、スピンドル13に沿って漸進的に移動され、残りの投与回数を示す。可動要素15は、スピンドル13に沿って、初期位置から最終位置に向かって移動するように構成されており、最終位置では、それ以上の投与はできない。一例として、エアロゾルディスペンサー1は、30または60用量を送達するように設計され得、したがって、各分配用量で、可動要素15は、初期位置と最終位置との間の長さの1/30または1/60を移動する。
【0038】
可動要素15は、アクチュエータ19に向かって延びる細長い軸方向延在端部15aを備えていてもよい。軸方向延在端部15aは、図3に示すように、断面、すなわち中心軸Aに垂直な断面において面取りすることができる。軸方向延在端部15aは、以下でより詳細に説明されるように、可動要素15が最終位置に移動しようとしている場合に、ロック要素17と協働するように構成される。ロック要素17は、半径方向に可撓性である。ロック要素17は、シートばねなどのばねであってもよい。ロック要素17は、好ましくは、鋼、アルミニウム、または銅などの金属でできていてもよい。
【0039】
アクチュエータ19は、スピンドル13の一端に設けられている。アクチュエータ19は、スピンドル13に対して回転可能に固定されている。アクチュエータ19は、スピンドル13と一体であり得る。アクチュエータ19は、例えば、歯車であっても、歯車のような構造であってもよい。スピンドル13とアクチュエータ19は互いに回転可能に固定されているので、アクチュエータ19を回転させると、スピンドル13も回転する。第1の本体構造3の内壁は、ハウジング部材5が第1の本体構造3に対して、したがって、第2の本体構造9に対して回転している場合に、アクチュエータ19と協働するように構成された、図4に示す半径方向構造21を備えることができる。半径方向構造21は、ハウジング部材5が第1の本体構造3に対してエアロゾルディスペンサー1が作動する作動位置まで回転するたびに、アクチュエータ19が所定の量、例えば半回転回転するように設計することができる。
【0040】
図2bは、ハウジング部材5が第2の本体構造9の周りに設けられていることに加えて、線B-Bに沿った断面を示している。ハウジング部材5は、スピンドル13の長さに沿ってその内面に沿って軸方向に延びる半径方向凹部5aを有する。第2の本体構造9の遠位端部分は、半径方向凹部5aによって受け入れられるように構成された対応する半径方向外向き延在突起9aを有し、それにより、第2の本体構造9とハウジング部材5とを半径方向にインターロックする。図2bに示されるように、そのような協調する半径方向外向き延在突起および半径方向凹部の追加的なペアは、例えば約180度オフセットされて設けられる。可動要素15は、軸方向延在半径方向凹部5a内を通るように構成することができる。可動要素15は、軸方向延在半径方向凹部5a内に位置するため回転が妨げられ、スピンドル13が回転する場合にスピンドル13に沿って移動する。
【0041】
図3は、図2aのエアロゾルディスペンサー1の拡大図を示している。特に、可動要素15の構成がより見やすくなっている。可動要素15は、先のとがった形状であり得る用量表示部分15bを有する。用量表示部分15bは、第2の本体構造9上に配置され得る用量スケールを指すように構成され得る。ハウジング部材5は、スピンドル13の領域に窓を有し得るか、または可動要素15の可視性を提供するために透明とすることができる。
【0042】
図4は、エアロゾルディスペンサー1が依然として1つまたは複数の用量を含み、エアロゾルディスペンサー1の作動前である場合の、図1の線C-Cに沿った断面を示す。第1の本体構造3は、第1の凹部3bが設けられた内壁3aを有する。第1の凹部3bには、細長い構造のロック要素17が配置されている。ロック要素17は、ロック要素17の一端部で第1の本体構造3の第1の凹部3b内に固定することができる。ロック要素17は、第1の凹部3bにおける第1の本体構造3との取り付け部から、第1の凹部3b内で円周方向に延びることができる。ロック要素17は、1つまたは複数の半径方向内側湾曲部分17a~17bを備えていてもよい。1つまたは複数の半径方向内側湾曲部分17a~17bは、可動要素15、特に軸方向延在端部15aとの協働を容易にすることができる。
【0043】
第2の本体構造9は、ロック要素17と同じ高さでロック要素17の半径方向内側に設けられている。図4に見られるように、ロック要素17は、第1の本体構造3の内壁3aを越えて半径方向内側に延在していない。従ってロック要素17は、エアロゾルディスペンサー1のこの状態で、第2の本体構造9と係合しない。
【0044】
図5は、可動要素15が最終位置にある場合のエアロゾルディスペンサー1を示している。したがって、エアロゾルディスペンサー1は、投与量が空になっている。可動要素15は、各作動およびその後の用量分配とともにスピンドル13に沿って漸進的に移動し、最終位置に到達する。可動要素15は、ロック要素17の下端をわずかに超えて軸方向に移動し、ロック要素17は、ロック要素17に当たる軸方向延在部分15aによって半径方向内側に曲げられている。可動要素15は、ロック要素17に一定の半径方向の力を直接提供する。これにより、ロック要素17は、半径方向内側に曲がった位置に維持される。
【0045】
第2の本体構造9は、ロック要素17が可動要素15によって半径方向内側に曲げられた場合にロック要素17の一部を受け入れるように構成された第2の凹部9bを有する。第2の凹部9bは、ロック要素17が可動要素15によって曲げられた場合、ロック要素17の端面/縁に当たる半径方向表面9cを有するように構成されている。ロック要素の縁部と第2の凹部9bとの間のこの当接は、作動の回転方向にある。したがって、第2の本体構造9に対する第1の本体構造3の回転は防止される。したがって、第2の本体構造9がハウジング部材5に対して回転固定されるため、ハウジング部材5もまた、第1の本体構造3に対して回転固定される。これにより、可動要素15が最終位置に到達した場合にエアロゾルディスペンサー1の作動が防止される。したがって、エアロゾルディスペンサー1の作動は、すべての用量が使用されたときに防止される。
【0046】
図6は、ロック要素15が第2の凹部9bと係合する場合のロック要素15を示している。本例では、第1の本体構造3に取り付けられた端部17cに対してロック要素17の遠位端部分を形成するロック要素17の半径方向内側湾曲部分17bが軸方向に分岐し、第1の分岐部分17b-2および第2の分岐部分17b-1を有する。第1の分岐部分17b-2は、第2の分岐部分17b-1よりも半径方向内側に湾曲している。したがって、第1の分岐部分17b-2は、可動要素15の軸方向延在端部15aがロック要素17に当たる場合に、第2の凹部9bと係合するように適合される。軸方向延在端部15aの面取りされた設計は、可動要素15がロック要素17の横にスライドし、ロック要素17を半径方向内側に曲げることを容易にする。図7図6に示した構成の断面図を示す。
【0047】
上記の構成の代替として、ロック要素は、例えば、第2の凹部において、第2の本体構造に取り付けることができる。可動要素の軸方向延在端部は、この場合、可動要素が最終位置にある場合にロック要素が第1の本体構造の第1の半径方向凹部と係合するように、ロック要素を半径方向外側に曲げることができる。
【0048】
図8は、ロック機構の変形を備えたエアロゾルディスペンサー1’を示す。ロック機構11’は、第1の本体構造3に非常に類似した第1の本体構造3’、第2の本体構造9、スピンドル13、アクチュエータ19、および可動要素15’を備える。スピンドル13およびアクチュエータ19は、前述したものと同じように機能する。
【0049】
可動要素15’は、スピンドル13に沿ったその移動に関して、可動要素15と同じ動作をする。可動要素15’は、軸方向延在端部15’aを有し、金属端部15’bなどの補強端部を有する。
【0050】
図8において、可動要素15’は、初期位置にある。図9は、可動要素15’が最終位置にある場合のエアロゾルディスペンサー1の長手方向断面を示している。第1の本体構造3’は、軸方向凹部3’aを有する。軸方向凹部3’aは、ハウジング部材5の半径方向凹部5aと整列し、その続きを形成することができる。軸方向凹部3’aは、可動要素15’を受け入れるように構成されている。特に、軸方向凹部3’aは、可動要素15’の補強端部15’bを受け入れるように構成されている。したがって、可動要素15’が最終位置において第1の本体構造3’と係合するように構成されている。可動要素15’は、第2の本体構造9に取り付けられたスピンドル13上に配置されているので、可動要素15’が第1の本体構造3’と係合すると、第2の本体構造9は、第1の本体構造3’に対して回転ロックされる。ハウジング部材5は、第2の本体構造9に対して回転可能に固定されており、したがって、ハウジング部材5もまた、第1の本体構造3’に対して回転ロックされる。これにより、可動要素15’が最終位置に達した場合にエアロゾルディスペンサー1’の作動が防止される。したがって、エアロゾルディスペンサー1’の作動は、すべての用量が使用された場合に防止される。
【0051】
本発明の概念は、主に、いくつかの例を参照して上で説明されてきた。しかし、当業者によって容易に理解されるように、上に開示されたもの以外の実施形態は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 エアロゾルディスペンサー
3 第1の本体構造
3a 内壁
3b 第1の凹部
5 ハウジング部材
5a 軸方向延在半径方向凹部
7 エアロゾル分配端部材
9 第2の本体構造
9a 半径方向外向き延在突起
9b 第2の凹部
9c 半径方向表面
11 ロック機構
13 スピンドル
15 可動要素
15a 軸方向延在端部
15b 用量表示部分
17 ロック要素
19 アクチュエータ
21 半径方向構造
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9