(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】クリンチファスナー
(51)【国際特許分類】
F16B 39/282 20060101AFI20221228BHJP
F16B 37/04 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
F16B39/282 C
F16B37/04 E
(21)【出願番号】P 2021539645
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 US2020012664
(87)【国際公開番号】W WO2020146450
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-07-12
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507065795
【氏名又は名称】アキュメント インテレクチュアル プロパティーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン,スティーヴン,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ワージュ,ブライアン,ディー.
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-200095(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第01524047(GB,A)
【文献】特開2010-071313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 39/282
F16B 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を有するクリンチファスナーであって、
外周を有するヘッドと、
前記ヘッドの下に配置される複数のリブであって、前記リブのそれぞれは、前記クリンチファスナーの前記中心軸から前記クリンチファスナーの前記ヘッドの前記外周に向かう方向に、
曲面を有する非平坦面及びパラメトリック外形を含む、複数のリブと、
を備え
、
各リブは前記クリンチファスナーの前記中心軸に垂直な断面を起点とし、各リブの残りは複数の部分を含み、前記部分の少なくとも2つは曲線であり、異なる半径または複数の線分によって画定される、
前記クリンチファスナー。
【請求項2】
前記リブのそれぞれが前記クリンチファスナーの前記中心軸から前記クリンチファスナーの前記ヘッドの前記外周に向かう方向に延在するにつれて、前記リブのそれぞれの高さが小さくなる、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項3】
前記リブは前記ヘッドの下で等しく分離している、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項4】
前記リブに近接する環状凹部をさらに含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項5】
シャフトをさらに含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項6】
シャフトと、前記ヘッドと前記シャフトとの間に配置される、前記リブに近接する環状凹部とをさらに含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項7】
前記クリンチファスナーはねじ孔を有するナットを含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項8】
各リブは複数の平坦部を含み、前記複数の平坦部は、前記リブが前記ヘッドの前記外周に延在するにつれて、前記リブの高さは小さくなることがまとめてもたらされる、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項9】
前記リブのそれぞれは先細側壁を含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項10】
前記リブのそれぞれは外向きの先細側壁を含む、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項11】
前記リブが、前記リブのそれぞれの側壁の先細部から生じる内向き方向の材料の動きをもたらすように構成される結果として、前記リブは設置中に母材のたわみの減少をもたらすように構成される、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項12】
各リブは前記クリンチファスナーの前記中心軸に垂直な断面を起点とし、各リブの残りは複数の部分を含み、前記複数の部分は前記リブの前記パラメトリック外形を形成する、請求項1に記載のクリンチファスナー。
【請求項13】
前記リブの前記パラメトリック外形は、リブの高さ、前記クリンチファスナーの中心軸から前記リブの端までの距離、及び既定角度θを含む、複数のパラメータによって定義される、請求項
12に記載のクリンチファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年1月8日に出願され、全体が本明細書によって参照により組み込まれる米国仮特許出願第62/789,880号の有益性を主張する。
【背景技術】
【0002】
クリンチファスナーはファスナー業界で広くに知られており、ナット、スタッド、ピン、スタンドオフ等の多くの異なる形態で機能する。正確な形態であるかに関係なく、設置中に、クリンチファスナーは、一般的に、ワークピースに事前に形成されている丸い取り付け穴に押される。ワークピースは、延性があり、クリンチファスナーよりも軟質の母材から形成される。いったんクリンチファスナーが適切に設置されると、クリンチファスナーは母材に対して回転することを防止し、軸方向運動も防止する。したがって、いったん設置されると、クリンチファスナーは、実質的に、ワークピースの永久部分になる。
【0003】
クリンチファスナーがいくつかの利点をもたらすため、クリンチファスナーは特定用途で使用される。例えば、一般的に、クリンチファスナーは信頼性が高く、打ち抜きねじまたはタップねじのいずれかと比較して、保持力の増加をもたらす。十分な押し開け/引き抜き(すなわち、軸方向の保持荷重)及びトルクが、いずれかの他の適切な方法によってしっかり固定した締め付けを提供するために、かなり薄い及び/またはかなり延性があるシート金属で必要である用途で、クリンチファスナーを使用する。さらに、シート金属がネジ切りを可能にするように十分に厚いであろう用途では、多くの場合、シート金属にねじ切りする代わりに、ねじ付きクリンチファスナーを使用することが、より安価な選択になる。最終組立中に金属製品が緩まないために、製作中にクリンチファスナーを設置できる。さらに、クリンチファスナーを使用して、多くの場合、薄いシート金属の使用を可能にし、同様に、そのコンパクト設計及び薄型の結果として、整った外観をもたらす。
【0004】
多くの場合、構成要素をすぐに交換する必要がある用途と、緩んだ金属製品が利用不可能な用途とで、クリンチファスナーを使用する。金属製作中にクリンチファスナーを設置できるため、クリンチファスナーにより、当分野で行われる動作を含む構成要素の取り付け及び組立作業を簡略化及び促進できる。
【0005】
上記に説明したように、クリンチファスナーを設置するとき、ワークピース(シート金属等)の取り付け穴に押すことによって、クリンチファスナーは母材を取り付け穴の周りで変位させ、母材において、クリンチファスナーの環状凹部またはアンダーカット部に冷気流を生じさせる。多くの場合、クリンチファスナーの設置は、時々、ジョイントが悪影響を与える場合にワークピースのたわみが発生すること、または、最終的に、クリンチファスナーが設置後にワークピースに垂直にならないこと(すなわち、クリンチファスナーは斜めになる、または屈曲する)のいずれかが発生する程度まで、母材に(一般的に、ファスナーのヘッドの下に)高応力エリアをもたらす。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態の目的は、母材のより均一な応力分布をもたらすように構成されるクリンチファスナーを提供することである。
【0007】
簡潔に、本発明の実施形態は、クリンチファスナーのヘッドの下に配置される複数のリブを含むクリンチファスナーを提供し、リブは、具体的には、従来型クリンチファスナーよりも均等に母材を変位させるように構成される。そのために、断面では、クリンチファスナーの中心軸からクリンチファスナーのヘッドの外周に続く線に沿って、各リブは複数の部分から形成される曲面を提供するのが好ましく、異なる半径または線分は部分のそれぞれを画定する。好ましくは、リブがクリンチファスナーのヘッドの外周まで延在するにつれて、リブの高さが小さくなる。さらに、リブはヘッドの下に等しく分離しているのが好ましいが、これは必須ではない。
【0008】
本発明の構造及び動作の構成及び方式は、さらなるそれらの目的及び利点と一緒に、添付の図面に関連して以下の説明を参照することによって良好に理解され得、同様の符号によって同様の要素を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】先行技術のクリンチファスナーの底面図である。
【
図2】
図1に示される先行技術のクリンチファスナーの底部の斜視図である。
【
図3】別の先行技術のファスナーの
図4の線3-3に沿って取られた断面図である。
【
図4】
図3に示される先行技術のクリンチファスナーの底部の斜視図である。
【
図5】クリンチファスナーがワークピース(すなわち、母材)に対して設置された後の、
図3及び
図4の先行技術のクリンチファスナーを示す(有限要素解析図のタイプの)部分断面図である。
【
図6】スタッドの形態のクリンチファスナーの側面図であり、クリンチファスナーは本発明の実施形態に従っている。
【
図7】
図6に示されるクリンチファスナーの底部の斜視図である。
【
図8】
図6及び
図7に示されるクリンチファスナーの底面図である。
【
図9】
図6の線9-9に沿って取られた
図6~
図8に示されるクリンチファスナーの断面図である。
【
図10】クリンチファスナーがワークピース(すなわち、母材)に対して設置された後の、
図6~
図9のクリンチファスナーを示す(有限要素解析図のタイプの)部分断面図である。
【
図11】説明の目的のために注釈が付いた、クリンチファスナーがワークピース(すなわち、母材)に対して設置された後の、実質的に、
図9の囲み部57である。
【
図12】
図8の線12-12に沿って取られた
図8に示されるクリンチファスナーの断面図である。
【
図13】
図6とほぼ同じであるが、スタッドの形態の代わりに、ファスナーはナットの形態である、底部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は異なる形態の実施形態を含み得るが、本開示が本発明の原理の例証と見なされ、示される実施形態に本発明を限定することを意図しないという理解に基づいて、特定の実施形態は、図面に示され、本明細書で詳細に説明される。
【0011】
図1~
図2は、米国特許第5,513,933号に開示されているクリンチファスナーと一致する先行技術のクリンチファスナー10を示す。具体的には、
図1は先行技術のクリンチファスナー10の底面図であり、
図2は先行技術のクリンチファスナー10の底部の斜視図である。
図3及び
図4は、別の種類の先行技術のクリンチファスナー11を示す。具体的には、
図3は先行技術のクリンチファスナー11の底面図であり、
図4は先行技術のクリンチファスナー11の底部の斜視図である。
図1~
図4に示される先行技術のファスナー10及び先行技術のファスナー11の両方は、ヘッド12、ヘッド12の下に直線リブまたは平坦リブ14、リブ14に近接する環状凹部16、及びシャフト18を含む。
【0012】
ファスナー10及びファスナー11の両方は直線リブまたは平坦リブ14を含み、ならびに、説明の目的のためにファスナー10またはファスナー11のいずれかを使用できるが、例示のために、
図5が提供され、
図5は、クリンチファスナーがワークピース20(すなわち、母材)に対して設置された後の、
図3及び
図4の先行技術のクリンチファスナー11を示す(有限要素解析図のタイプの)部分断面図である。
図5には、設置するとき、直線リブ14は母材を余分に変位させ、母材において、環状凹部16に冷気流を生じさせることが示される。これは、材料がリブの形状によって制限されるため、クリンチファスナー11のヘッド12の下に母材20の高応力エリアを生じさせ、材料は、リブの半径方向に外向き方向及びリブの垂直方向の両方に流れることを防止する。これにより、ワークピース20のたわみをもたらし得(すなわち、ワークピース20の表面は、クリンチファスナー11の隣のエリア13等を変形させ)、クリンチファスナー11は設置後にワークピース20に垂直ではなく、他と同様に、接合に関して望ましくない特質がある。例えば、リブ14のそれぞれの構成は、隣接リブに向かう方向にワークピース材料を変位させる傾向があり、リブ14の間の応力の増加を生じさせる。
【0013】
対照的に、
図6~
図8は、本発明の実施形態に従ったクリンチファスナー30を示す(
図9は、
図6の線9-9に沿って取られた
図6~
図8に示されるクリンチファスナー30の断面図である)。示されるように、クリンチファスナー30は、
図1~
図4に示されるクリンチファスナー10及びクリンチファスナー11と同様のファスナーであり、ヘッド32、リブ36に近接する環状凹部34、及びシャフト38を含む。しかしながら、
図6~
図9に示されるクリンチファスナー30は、ヘッド32の下にリブ36を含み、リブ36は、具体的には、従来型クリンチファスナー(
図1~
図4に示されるクリンチファスナー10及び11等)よりも均等に母材を変位させるように構成される。
図7及び
図8に示されるように、リブ36はヘッド32の下に等しく分離しているのが好ましいが、これは必須ではない。例えば、
図7、
図8、及び
図12に示されるように、リブ36のそれぞれの側壁37は先細りになり得る(側壁は外向きに(すなわち、隣接リブ36に対して外向きに)先細りになるように示されるが、代わりに、側壁は、内向きに先細りになるように提供され得る)。
【0014】
図10は、クリンチファスナー30がワークピース40(すなわち、母材)に対して設置された後の、
図6~
図9のクリンチファスナー30の一部を示す(有限要素解析図のタイプの)部分断面図である。示されるように、クリンチファスナー30は、特殊リブ36を有する結果として、対応する先行技術のクリンチファスナー11に関して、
図5に示される母材と比較して、母材のより均一な応力分布をもたらす。特殊リブ36のそれぞれは、特殊リブ36の形状及び構成を考慮すると、隣接リブに向かう方向と反対に、ワークピース材料を外向きに変位させやすい。したがって、リブの間で応力は最小になる。
【0015】
好ましくは、クリンチファスナー30のリブ36のそれぞれは実質的に同一である。ここで、
図11を参照して、
図6~
図10に示されるクリンチファスナー30のリブ36をより詳細に説明する。
図11は、実質的に、説明の目的のために注釈が付いた
図9の囲み部57であり、クリンチファスナー30がワークピース(すなわち、母材)に対して設置された後のクリンチファスナー30を示す。
図11では、「エリアA」は、実質的に、凹部34の好ましい性能に基づいて既定の高さ及び幅によって画定された凹部のエリアであり、凹部34は、クリンチファスナー30の設置中に、母材40の冷気流を受けるように構成される。好ましくは、「エリアA」の高さ及び幅は基準によって規定され、流動係数はクリンチファスナー30が設置中に加締めされる母材40の延性によって規定される(すなわち、母材の延性が大きくなるにつれて、流動係数がより高くなる)。寸法「Rh」は実質的にリブ36の最高点における各リブ36の高さであり、その寸法は、また、ワークピースの厚さによって規定されるのが好ましい。寸法「Rd」は、実質的に、クリンチファスナー30の中心軸42からの各リブ36の端までの距離である(中心軸42は、また、
図6~
図10で識別されている)。その寸法は、埋め込み要件及び貫通要件によって規定されるのが好ましい。
【0016】
図11に示されるように、断面では、クリンチファスナー30の中心軸42からクリンチファスナー30のヘッド32の外周に(すなわち、各リブ36の端に)続く線に沿って、リブ36のそれぞれは複数の部分から形成される。
図11に示されるように、好ましくは、リブ36がクリンチファスナー30のヘッド32の最外縁に向かって延在するにつれて(しかし、必ずしも、ヘッド32の最外縁まで延在しない)、リブ36の高さが小さくなる。好ましくは、リブ36のそれぞれは、クリンチファスナー30の中心軸42に垂直(または、少なくとも実質的に垂直)である部分を起点とする。
図11に示されるように、この部分は点E(すなわち、凹部の角)から点Aに続き、ベクトル「Vea」として識別される。「エリアB」の面積は、リブ36の最高点(「Rh」)におけるリブ36のそれぞれにおける高さと、「Vea」(すなわち、点Eから点Aまでの距離)との両方を掛けた積である。また、「エリアA」=「エリアB」×流動係数である。
【0017】
したがって、
「エリアB」=「Rh」×「Vea」、
「Vea」=「エリアB」/「Rh」、及び
「Vea」=(「エリアA」/流動係数)/「Rh」
【0018】
リブ36の残りは複数の部分であるのが好ましく、複数の部分の少なくとも2つは、異なる半径また複数の短い線分によって画定される曲線部である。好ましくは、
図11に示されるように、1つの部分は点Aから点Bまで延在し、「弧R1」として
図11に識別された半径によって画定される。好ましくは、焦点46または「弧R1」の中心は点Aと垂直方向に(すなわち、クリンチファスナー30の中心軸42と平行に)一致し、弧の半径は約10~60度であり、ファスナーサイズによって規定される。
【0019】
好ましくは、
図11に示されるように、別の部分は点Bから点C(ベクトルVbcとして定義される線分)に延在し、実質的に平坦または直線である(または、弓状に提供され得る)。水平線からの弧R1の傾きがθに等しいとき、この部分は点Bで始まる。弧R1及びVbcは点Bで接する。次に、点Cは点Bと直線関係があり、
図11の端点B及びCに基づいて、線形方程式によって定義される。中心軸からの点Cまでの横寸法は点D及び弧R2の位置に直接的に関連する。
【0020】
図11に示されるように、さらに別の部分は点Cから点D(すなわち、リブ36の外端)まで延在し、「弧R2」として
図11に識別された半径によって画定される。好ましくは、焦点48または「弧R2」の中心は点Bと垂直方向に(すなわち、クリンチファスナー30の中心軸42と平行に)一致し、弧の半径は約10~60度である。好ましくは、「弧R2」は点Cで始まり、点D(すなわち、リブ36の外端)で終了する。好ましくは、焦点46,48または「弧R1」及び「弧R2」の中心(すなわち、それらの垂直位置は、各々、それらが点A及びBからの距離がどれくらいかを意味する)は「Rh」及び「点D」によって決まり、リブ36の外形は点Aから点Dに続くように十分に制限される。
【0021】
したがって、リブの複数の部分はリブのパラメトリック外形を形成し、リブのパラメトリック外形は、さらに、リブの高さ、ファスナーの中心軸からリブの端までの距離、及び
図11に示されるような既定角度θを含むパラメータによって定義される。
【0022】
図12は、
図8の線12-12に沿って取られた
図8に示されるクリンチファスナー30の断面図である。示されるように、好ましくは、リブ36の側面37は、角度α等で先細りになるまたは傾斜し、角度αはリブ形成中に発生する製作公差に基づいて変化し得る。例証の目的だけのために
図12に示される本発明の実施形態では、αは、(例えば)20度の角度(両側の角度を意味することが含まれる)、それにより、リブ36の側面37の傾きにより、クリンチファスナー30を加締め中にリブ36の間のワークピース材料の動きを容易にする。
【0023】
リブ36の構成は半径方向に集中する材料変位をもたらし、それによって、シート材料40の内部で応力が拡散され、クリンチ中にたわみが減る。好ましくは、クリンチファスナー30のリブ36は、クリンチファスナー30のねじり(止まり穴の破壊トルク)を最大にしながら、シート材料の量を減少させることによって、ねじり応力分布と一致するように最適化される。リブ36の構成により、加締め後にトルクが加えられるにつれて、リブにかかる力が増加するときの半径方向の外向きのリブ外形の体積を最小にし、それによって、リブにより均一な応力分布を生じさせる。特別に設計された曲線状リブは、また、リブの外径を越えるシート材料の通気を可能にする。対照的に、従来のリブ設計では、シート材料が抑制され、通気されない。本発明の実施形態に従ったリブ設計では、軟質接合材だけと一緒に使用されることに限定されないが、リブ設計では、軟質接合材(すなわち、アルミニウム等)とともに使用するのが理想的である。本発明の実施形態に従ったリブ設計では、さらに、軟質接合材に関連する高強度のクリンチナット及びスタッドの使用が可能になる。リブ構成により、さらに、薄いシート材料を使用することが可能になることをもたらし得る。リブ構成により、シート材料の歪みを少なくさせ、より平坦な設置エリアをもたらし、クリンチファスナーが設置後にシート材料により垂直になることをもたらす。本明細書に開示されるクリンチファスナーを使用すると、設置されるクリンチファスナーの間でたわみの減少をもたらし、取付穴は、組立前に及び組立後に歪みを少なくさせる。リブ構成により、穴の間の必要な距離が減り、設置中の周縁効果が減る。リブ構成により、シート材料の歪みの減少をもたらし、これにより、穴の歪みを少なくすることと、より優れた性能とをもたらす。リブ構成により、噛合する材料表面の変形を生じさせるリスクがなく、より高い加締め力の使用が可能になり、より薄い材料のクリンチを可能にする。また、リブ構成により、ファスナーをより高い力で加締めすることが可能になり、ファスナーの適切な設置を確実にする。
【0024】
図6~
図12はスタッドの形態の本発明の特定の実施形態を示しているが、本発明は、本明細書で上記に説明されているリブ36を含む
図13に示されるナット50(ねじ孔51を有する)の形態等の多くの他の実施形態で使用できる。さらに他の実施形態は、さらに本発明の範囲内に十分に収まりながら、全体的に可能である。さらに、特定数のリブ36が本明細書に示されるにもかかわらず、任意の数のリブは、さらに本発明の範囲内に十分に収まりながら、所与のファスナーに提供される。またさらに、リブ36が好ましくは複数の部分を含み、複数の部分の少なくとも2つは、異なる半径によって画定される曲線部であるように説明されているが、代わりに、リブ36は複数の平坦部を含み得、複数の平坦部は、リブ36がその外周(すなわち、リブ36の端)に延在するにつれて、リブ36の高さが徐々に小さくなることがまとめてもたらされる。
【0025】
本発明の特定の実施形態が示され及び説明されているが、当業者は、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正を考案し得ることが想起される。例えば、複数の実施形態が、丸い形状であり、丸穴と一緒に使用されるように説明され及び示されているが、長円の形態は、さらに本発明の範囲内に十分に収まりながら、長円の穴とともに使用されるのが全体的に可能である。