(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-27
(45)【発行日】2023-01-11
(54)【発明の名称】透明導電性フィルム、タッチパネル、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20221228BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
G06F3/041 495
G06F3/041 660
G06F3/041 400
G06F3/044 120
(21)【出願番号】P 2021552635
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 CN2019105611
(87)【国際公開番号】W WO2020177294
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】201910166613.5
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321004242
【氏名又は名称】安徽精卓光顕技術有限責任公司
【氏名又は名称原語表記】ANHUI JINGZHUO OPTICAL DISPLAY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, Precision Electronic Industry Park,Hangbu Town, Shucheng County, Lu’an, Anhui 231323 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 統輝
(72)【発明者】
【氏名】黄 梅峰
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-027231(JP,A)
【文献】特開2016-184741(JP,A)
【文献】特開2016-085870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する二つの表面を有する基材と、
前記基材の少なくとも一つの表面に順次形成される移行層、ナノ導電層、及び金属層とを含み、
前記移行層及び前記ナノ導電層はそれぞれ硬化剤及びナノ導電材料が硬化して形成され、
前記移行層と前記ナノ導電層は部分的に重なることにより、前記硬化剤の一部及び前記ナノ導電材料の一部を含む混合層が形成され
、
前記混合層の厚さは1nm~5nmである、
ことを特徴とする透明導電性フィルム。
【請求項2】
前記基材の厚さは5μm~100μmである
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項3】
前記移行層の厚さは10μm未満である
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項4】
前記ナノ導電層の厚さは5nm~1000nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項5】
前記金属層の厚さは100nm~1000nmである
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項6】
前記基材の一方の表面に前記移行層、前記ナノ導電層、及び前記金属層が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項7】
前記基材の両面のいずれにも前記移行層、前記ナノ導電層、及び前記金属層が形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム。
【請求項8】
ベースフィルムの表面にナノ導電層を形成するステップと、
前記ナノ導電層の前記ベースフィルムと反対側に硬化剤を塗布し、前記硬化剤を部分的に前記ナノ導電層に染み込ませて硬化させ、移行層及び混合層を形成させるステップ
であって、硬化時間及び環境パラメータを制御することにより、前記硬化剤が前記ナノ導電層に染み込む深さを1nm~5nmとすることを含むステップと、
前記移行層を基材の表面に貼り付けて、前記ベースフィルムを除去するステップと、
前記ナノ導電層の前記混合層と反対側の表面に金属層を形成するステップと、を含むことを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記移行層を基材の表面に貼り付けて、前記ベースフィルムを除去するステップは、
前記移行層を前記基材の一方の表面に貼り付けることを含む
ことを特徴とする請求項
8に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記移行層を基材の表面に貼り付けて、前記ベースフィルムを除去するステップは、
前記移行層を前記基材の対向する両側の表面に貼り付けることを含む
ことを特徴とする請求項
8に記載の透明導電性フィルムの製造方法。
【請求項11】
請求項1~
7のいずれか一項に記載の透明導電性フィルムを提供するステップと、
露光現像エッチングプロセスを用いて前記金属層及び前記ナノ導電層を同時にエッチングすることで、リード線領域に位置する金属リード線パターン及び透明リード線パターン、並びにタッチ制御領域に位置する金属非リード線パターン及び電極パターンを形成するステップと、
露光現像エッチングプロセスを用いて前記金属非リード線パターンをエッチングすることにより前記電極パターンを露出させるステップにおいて、前記金属リード線パターンと前記透明リード線パターンは共同で電極リード線を構成しているステップと、を含む
ことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【請求項12】
タッチパネルであって、
前記タッチパネルは請求項1
1に記載のタッチパネルの製造方法により作製され、
前記タッチパネルはタッチ制御領域及びリード線領域を含み、
前記タッチ制御領域は、前記電極パターンから構成される電極を含み、
前記リード線領域は、前記金属リード線パターンと前記透明リード線パターンとが共同で構成されるリード線を含む
ことを特徴とするタッチパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は静電容量式タッチ制御の技術分野に関し、特に透明導電性フィルム、タッチパネル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電性フィルムは静電容量式タッチパネルのコア素子であり、一般的には基材層、ITO透明導電層、及び金属層を含む。ユーザのニーズが増えることに伴い、折り畳み可能なタッチ制御方法が生まれる。ITOが硬くて脆いため、折り曲げ可能な導電材料としては適切ではない。よって、折り畳み可能なタッチ制御方法に用いられる導電性フィルムにおいては、ITO透明導電層の代わりにナノ導電層を採用している。
【0003】
ナノ導電層は、構造の制限により、基材との間の付着力が悪いため、現在ナノ導電層を形成した後、表面にオーバーコート層を塗布して付着力を向上させる必要がある。しかし、オーバーコート層は、酸性のエッチング液でエッチングできない。従って、従来の透明導電性フィルムを利用してタッチパネルを製造する場合、金属層及び透明導電層に対するエッチングは二段階で行う必要があり、これにより、タッチパネルの加工プロセスが複雑化し、生産効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の様々の実施例により、透明導電性フィルム、タッチパネル、及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
透明導電性フィルムであって、
対向する二つの表面を有する基材と、
前記基材の少なくとも一つの表面に順次形成される移行層、ナノ導電層、及び金属層とを含み、前記移行層及び前記ナノ導電層はそれぞれ硬化剤及びナノ導電材料が硬化して形成され、
前記移行層と前記ナノ導電層は部分的に重なることにより、前記硬化剤の一部及び前記ナノ導電材料の一部を含む混合層が形成されることを特徴とする透明導電性フィルム。
【0006】
透明導電性フィルムの製造方法であって、
ベースフィルムの表面にナノ導電層を形成するステップと、
前記ナノ導電層の前記ベースフィルムと反対側に硬化剤を塗布し、前記硬化剤を部分的に前記ナノ導電層に染み込ませて硬化させ、移行層及び混合層を形成させるステップと、
前記移行層を基材の表面に貼り付けて、前記ベースフィルムを除去するステップと、
前記ナノ導電層の前記混合層と反対側の表面に金属層を形成するステップと、を含むことを特徴とする透明導電性フィルムの製造方法。
【0007】
タッチパネルの製造方法であって、
上記の好ましい実施例のいずれか一つに記載の透明導電性フィルムを提供するステップと、
露光現像エッチングプロセスを用いて前記金属層及び前記ナノ導電層を同時にエッチングすることで、リード線領域に位置する金属リード線パターン及び透明リード線パターン、並びにタッチ制御領域に位置する金属非リード線パターン及び電極パターンを形成するステップと、
露光現像エッチングプロセスを用いて前記金属非リード線パターンをエッチングすることにより前記電極パターンを露出させるステップにおいて、前記金属リード線パターンと前記透明リード線パターンは共同で電極リード線を構成しているステップと、を含むことを特徴とするタッチパネルの製造方法。
【0008】
タッチパネルであって、
前記タッチパネルは上記の好ましい実施例に記載のタッチパネルの製造方法により作製され、
前記タッチパネルはタッチ制御領域及びリード線領域を含み、
前記タッチ制御領域は、前記電極パターンから構成される電極を含み、
前記リード線領域は、前記金属リード線パターンと前記透明リード線パターンとが共同で構成されるリード線を含むことを特徴とするタッチパネル。
【0009】
本願の1つまたは複数の実施例の詳細は、以下の図面および説明に記載される。本願の他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例における透明導電性フィルムの構造概略図である。
【
図2】本発明の別の実施例における透明導電性フィルムの構造概略図である。
【
図3】本発明の一実施例における透明導電性フィルムの製造方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施例におけるタッチパネルの構造概略図である。
【
図5】本発明の別の実施例におけるタッチパネルの構造概略図である。
【
図6】本発明の一実施例におけるタッチパネルの製造方法のフローチャートである。
【
図7】
図6に示すタッチパネルの製造方法の中間製品の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の理解を容易にするために、以下に関連図面を参照して本願をより完全に説明する。図面に本願の好適な実施例が示される。しかしながら、本願は、本明細書に記載の実施例に限定されることなく、多くの異なる形態で実現することができる。逆に、これらの実施例を提供する目的は、本願の開示内容をより完全に理解することである。
【0012】
なお、要素は、別の要素に「固定されている」と呼ばれる場合、別の要素に直接固定されてもよいし、中央にある要素を介して固定されてもよい。要素は、別の要素に「接続されている」と考えられる場合、別の要素に直接接続されてもよいし、中央にある要素を介して接続されてもよい。本明細書に使用される「垂直」、「水平」、「左」、「右」の用語及び類似の表現は、説明のためだけのものである。
【0013】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本願の技術分野に属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためだけのものであって、本願を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される「及び/または」という用語は、1つまたは複数の関連する列挙された項の任意の及びすべての組み合わせを含む。
【0014】
図1を参照し、本願は、基材11、移行層12、ナノ導電層13、及び金属層14を含む透明導電性フィルム10を提供する。
【0015】
基材11は、対向する2つの面、すなわち、
図1に示す上面および下面を有する。上記の透明導電性フィルム10は折り畳み可能である必要があるため、基材11も折り曲げ性に優れた材料で成形する必要がある。具体的には、基材11は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、COP(ポリシクロオレフィン)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等の有機高分子材料のいずれか一種、またはいずれか二種以上の混合物で成形することができる。
【0016】
基材11は支持する役割を果たしている。本実施例において具体的には、基材11の厚さは5μm~100μmである。理論的には、同じ材料の基材11にとって、厚さが小さいほど折り曲げ性が良好になるが、相応的に機械的強度は低くなる。基材11の厚さが5μm未満であると、その機械的強度は支持に不十分となり、一方、基材11の厚さが100μmを超えると、その折り曲げ性が透明導電性フィルム10の折り畳み可能なニーズを満たすことができない。従って、厚さが5μm~100μmである基材11は、折り曲げ性と機械的強度とを両立させることができる。
【0017】
移行層12、ナノ導電層13、及び金属層14は、基材11の少なくとも一つの表面に順次形成される。上記の透明導電性フィルム10は、GFとGFFタッチスクリーン方案にそれぞれ適用されるように、片面導電フィルムであっても両面導電フィルムであってもよい。
【0018】
図1に示すように、一実施例において、基材11の一方の表面に移行層12、ナノ導電層13、及び金属層14が形成されている。この場合、透明導電性フィルム10は片面導電フィルムである。
【0019】
図2に示すように、別の実施例において、基材11の両面のいずれにも移行層12、ナノ導電層13、及び金属層14が形成されている。この場合、透明導電性フィルム10は両面導電フィルムである。
【0020】
移行層12は基材11とナノ導電層13とを接続する役割を果たし、その材質は基材11とナノ導電層13両者に対しても良好な親和性を有する。移行層12は硬化剤が硬化したものである。硬化した後、移行層12の鉛筆硬度は1H未満として要求される。
【0021】
具体的には、硬化剤は一般的にオリゴマーと硬化触媒を含む。そのうち、オリゴマーは、アクリル酸、アクリレート、アクリルアミド、メタクリレート、メタクリル酸、ウレタンアクリレート、メタクリルアミド、スチレン、メチルスチレン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミドアクリレートなどの各種のエポキシドなどまたはその混合物であってもよく、硬化触媒はラジカル触媒、カチオンUV硬化触媒またはその混合物であってもよい。
【0022】
本実施例において具体的には、移行層12の厚さは10μm未満である。移行層12の厚さが大きすぎると、透明導電性フィルム10の可撓性が低下する。同時に、透明導電性フィルム10の光透過率にも悪影響を及ぼす。従って、移行層12を10μm以下に制御することは、透明導電性フィルム10の光透過率及び可撓性を改善する上で有利である。
【0023】
ナノ導電層13はナノ導電材料が硬化したものである。ナノ導電層13は、従来の透明導電フィルムにおけるITO層に代わって、タッチパネルが製造される時に透明電極パターンにエッチングされる。そのうち、ナノ導電材料の形態はナノチューブまたはナノ粒子であり、具体的には銀、金、銅等の金属ナノチューブ、ナノ粒子であってもよく、カーボンナノチューブ、ITOナノ粒子等であってもよい。ナノ粒子またはナノチューブの構成は、導電材料が硬化した後、内部に隙間を有するナノ導電層13が形成される。従来のITO層に比べ、ナノ導電層13は折り曲げ性に優れる。
【0024】
本実施例において、ナノ導電層13の厚さは5nm~1000nmである。ナノ導電層13の厚さが5nm未満であると、導電を実現する信頼性は高くない。一方、ナノ導電層13の厚さが1000nmを超えると、その折り曲げ性は透明導電性フィルム10の折り畳み可能なニーズを満たすことができない。従って、厚さが5nm~1000nmであるナノ導電層13は、折り曲げ性と導電信頼性とを両立させることができる。
【0025】
更に、移行層12とナノ導電層13は部分的に重なり、これにより、硬化剤の一部とナノ導電材料の一部を含む混合層15が形成される。上記のように、ナノ導電層13の成形後に内部に隙間があり、よって移行層12を形成する硬化剤は部分的に隙間に染み込むことができ、それにより、ナノ導電層13と移行層12とが互いに含み、混合層15が得られる。
【0026】
透明導電性フィルム10を製造する時には、まずナノ導電層13を形成し、そしてナノ導電層13の表面に硬化剤を塗布して移行層12を作成し、最後は移行層12とナノ導電層13を基材11に付着させる。混合層の作用により、ナノ導電層13と移行層12との間の付着力を増加させることができる。一方では、付着力を増加させることにより上記の透明導電性フィルム10の信頼性を上げることができる。もう一方では、混合層15の引っ張り作用により、ナノ導電層13の付着力を高めるための外部被覆層を別途設ける必要はなくなる。
【0027】
本実施例において、混合層15の厚さは1nm~5nmである。上記の透明導電性フィルム10がタッチパネルを形成するために製造される時に、混合層15には硬化剤が含まれるため、対応するパターンにエッチングされることはできない。混合層15の厚さが薄いと、それに含まれるナノ導電材料の量は少なくなる。混合層15の厚さが5nm未満である場合、ナノ導電材料の含有量は極めて少なく、導通を実現するには不十分であり、それにより、タッチパネルにおける導電パターンが短絡を形成することが防止される。また、混合層15の厚さが1nmを超える場合、ナノ導電層13と移行層12との間の付着力を増加させる役割を十分に果たすことができる。
【0028】
金属層14は、ナノ導電層13の移行層12と反対側に付着している。具体的には、電気めっき、蒸着、スパッタリング、吹き付け等の方法で金属層14を形成することができる。金属層14は、透明導電性フィルム10を、例えばタッチパネルに用いる場合、タッチ入力領域の外側に電極リード線を形成するために用いられる。金属層14の材料は一般的に導電性に優れた金属または合金であり、代表的には銅、銀、アルミニウム、ニッケル、モリブデン、チタンであるが、これら以外の導電性に優れた任意の金属を用いることができることは言うまでもない。
【0029】
ナノ導電層13と金属層14はいずれも良好な可撓性を有するため、上記の透明導電性フィルム10は良好な可撓性を有し、折り畳み可能なタッチスクリーン方案に適用することができる。
【0030】
また、ナノ導電層13の表面に外部被覆層が別途設けられていない。従って、上記の透明導電性フィルム10は良好な湿式処理能力を備える。上記の透明導電性フィルム10をタッチパネルの製造に用いる場合、金属層14はナノ導電層13と同時に酸性腐食液にエッチング加工される可能であるので、タッチパネルの製造プロセスが著しく簡略化され、生産効率が効果的に上げられる。
【0031】
本実施例において、金属層14の厚さは100nm~1000nmである。金属層14の厚さが100nm未満であると、電極リード線になるようにエッチングされる時に導電の信頼性が高くない。一方、金属層14の厚さが1000nmを超えると、その折り曲げ性が透明導電性フィルム10の折り畳み可能なニーズを満たすことができない。従って、厚さが100nm~1000nmである金属層14は、折り曲げ性と導電信頼性とを両立させることができる。
【0032】
上記の透明導電性フィルム10は、ナノ導電層13と金属層14がいずれも可撓性に優れているので、折り畳み可能なタッチスクリーン方案に適用することができる。また、移行層12とナノ導電層13との間が部分的に重なって融合し、混合層15を形成することにより、ナノ導電層13と移行層12との間の付着力が増加し、従って、上記の透明導電性フィルム10の信頼性が上げられると同時に、外部被覆層を別途設ける必要もなくなる。従って、上記の透明導電性フィルム10をタッチパネルの製造に用いる場合、金属層14はナノ導電層13と同時にエッチング加工される可能であるので、タッチパネルの製造プロセスが著しく簡略化され、生産効率が効果的に上げられる。
【0033】
図1から
図3を併せて参照し、本願はさらに透明導電性フィルムの製造方法を提供し、上記の透明導電性フィルム10は該透明導電性フィルムの製造方法で製造することができる。該透明導電性フィルムの製造方法はステップS210~S240を含む。
【0034】
ステップS210において、ベースフィルムの表面にナノ導電層13を形成する。
【0035】
具体的には、まずはナノ粒子またはナノチューブ構造などの導電材料をベースフィルムの表面に塗布し、それが硬化してからナノ導電層13を形成する。ベースフィルムは支持する役割を果たす補助材料であり、その材質は聚合物材料であってもよく、一般的にナノ導電層13との親和性が悪い材料を選んで成形させる。支持する役割を効果的に果たし且つ後続の操作を容易にするために、ベースフィルムの厚さはミリメートルオーダーまたはそれ以上とされている。
【0036】
ステップS220において、ナノ導電層13のベースフィルムと反対側に硬化剤を塗布し、硬化剤を部分的にナノ導電層13に染み込ませて、硬化して移行層12及び混合層15を形成させる。
【0037】
具体的には、硬化時間及び環境パラメータを制御することにより、硬化剤の一部のみがナノ導電層13に染み込むように制御することができる。且つ、この一部の硬化剤はナノ導電層13の一部の深さにしか染み込まない。従って、この一部の硬化剤が硬化してから、ナノ導電材料及び硬化剤を含む混合層15が得られる。ナノ導電層13に染み込まなかった硬化剤については、硬化して移行層12が得られる。なお、このステップにおける硬化剤の硬化は、半硬化であってもよく、完全硬化であってもよい。
【0038】
一実施例において、硬化時間及び環境パラメータを制御することにより、硬化剤がナノ導電層13に染み込む深さを1nm~5nmとする。従って、得られる混合層15の厚さは1nm~5nmである。
【0039】
ステップS230において、移行層12を基材11の表面に貼り付けて、ベースフィルムを除去する。
【0040】
具体的には、圧着、分子間力、接着等の方式で移行層12を基材11の表面に付着させることができる。貼り合わせるときに硬化剤が完全に硬化していなければ、硬化剤自体によって接着を実現することもできる。この場合、ベースフィルム、ナノ導電層13、混合層15、及び移行層12は全体として基材11と組み合わせされる。
【0041】
ベースフィルムは中間支持フィルム層であるため、除去される必要がある。ベースフィルムを除去した後、ナノ導電層13の混合層15と反対側の表面が露出される。このベースフィルムは、剥されることで除去されることが可能である。また、エッチングによりベースフィルムを除去できるように、特定のエッチング液によりエッチングされる可能な材料を選んでベースフィルムを成形してもよい。上記のようにして、基材11上に、順次積層される移行層12、混合層15、及びナノ導電層13を形成することが完了する。
【0042】
一実施例において、上記のステップS230は、移行層12を基材11の一方側の表面に貼り付けることを含む。従って、最終的に得られる透明導電性フィルムは
図1に示す片面導電フィルムとなる。
【0043】
別の実施例において、上記のステップS230は、移行層12を基材11の対向する両側の表面に貼り付けることを含む。従って、最終的に得られる透明導電性フィルムは
図2に示す両面導電フィルムとなる。
【0044】
ステップS230において、ナノ導電層13の混合層15と反対側の表面に金属層14を形成する。
【0045】
前述したように、電気めっき、蒸着、スパッタリング、吹き付け等の方法で金属層14を形成し、完成した透明導電性フィルム10を得ることができる。
【0046】
上記の透明導電性フィルムの製造方法はベースフィルムを中間支持フィルム層としている。従って、まずはナノ導電層13を形成し、その後移行層12を形成することにより、混合層15の製造を実現することができる。上記の透明導電性フィルムの製造方法により、上記の透明導電性フィルム10を得ることができる。
【0047】
図4を参照し、本願はさらにタッチパネル20を提供し、該タッチパネル20は上記の実施例における透明導電性フィルム10で製造される。
【0048】
タッチパネル20はタッチ制御領域21及びリード線領域22を含む。具体的には、タッチ制御領域21はタッチパネル20の中央部に位置し、リード線領域22はタッチ制御領域21の周方向に沿って設けられる。金属層14はリード線領域22に位置する。
【0049】
タッチ制御領域21は、ナノ導電層13からエッチングされる電極211を含む。すなわち、電極211は、ナノ導電層13からエッチングされる電極パターンである。具体的には、電極パターンは一般的に長尺状であり、そして直交して格子状を呈する。
【0050】
リード線領域22はリード線221を含む。そのうち、リード線221は、金属層14及びリード線領域22に位置するナノ導電層13がエッチングされることにより形成されるものである。リード線221は2層構造であることで、電極211との電気的接続が実現される。
【0051】
図4は単層の透明導電性フィルム10で作製されるタッチパネル、すなわちGFタッチパネル構造を示す。
図5は二層の透明導電性フィルム10で作製されるタッチパネル、すなわちGFFタッチパネル構造を示す。二層のタッチパネル20については、その対向する両側のいずれにも電極211及びリード線221が形成される。
【0052】
上記のタッチパネル20は、透明導電性フィルム10が良好な可撓性を有するため、折り畳み可能である。また、混合層15の存在により、電極211と移行層12との間の付着力が向上するため、タッチパネル20の信頼性が上げられる。また、リード線221の製造は、ナノ導電層13との間の位置合わせのずれスペースを別途追加する必要がないため、タッチパネル20の極めて狭い枠を実現することもできる。
【0053】
図6及び
図7を併せて参照し、本願はさらにタッチパネルの製造方法を提供し、該方法はステップS310~S330を含む。
【0054】
ステップS310において、透明導電性フィルムを提供する。
【0055】
具体的には、透明導電性フィルムは即ち上記の実施例における透明導電性フィルム10であり、積層して設けられる基材11、移行層12、混合層15、ナノ導電層13、及び金属層14を含む。
【0056】
ステップS320において、露光現像エッチングプロセスを用いて金属層14及びナノ導電層13を同時にエッチングすることで、リード線領域に位置する金属リード線パターン141及び透明リード線パターン131、並びにタッチ制御領域に位置する金属非リード線パターン142及び電極パターン132を形成する。
【0057】
具体的には、上記の透明導電性フィルム10は片面導電フィルムまたは両面導電フィルムであってもよい。露光現像エッチングプロセスのステップは、フォトレジストを塗布しまたはドライフィルムを貼り付ける(露光する)現像エッチングである。片面導電フィルムでは片面露光機で露光することができ、両面導電フィルムでは両面露光机で露光することができる。エッチング液で金属層14及びナノ導電層13を同時にエッチングすることができ、且つナノ導電層13の表面に外部被覆層が存在しないため、金属層14及びナノ導電層13と同時にエッチングすることができる。
【0058】
図5に示すように、金属層14がエッチングされるとリード線領域に位置する金属リード線パターン141及びタッチ制御領域に位置する金属非リード線パターン142が得られ、ナノ導電層13がエッチングされるとリード線領域に位置する透明リード線パターン131及びタッチ制御領域に位置する電極パターン132が得られる。
【0059】
ステップS320において、露光現像エッチングプロセスを用いて金属非リード線パターン142をエッチングすることにより電極パターン132を露出させ、金属リード線パターン141と透明リード線パターン131は共同で電極リード線を構成している。
【0060】
具体的には、二回目の露光現像エッチングは一回目の露光現像エッチングのフローと全く同じであり、その違いはフォトレジストまたはドライフィルムの形状にある。二回目の露光現像エッチングは金属非リード線パターン142を除去するために用いられ、露出される電極パターン132は
図4に示す電極211を構成する。電極リード線は
図4に示すリード線221となる。
【0061】
上記のタッチパネルの製造方法において、一回目の露光現像エッチングでは金属層14及びナノ導電層13を同時にエッチングすることができ、二回目の露光現像エッチングではタッチパネル完成品を得ることができる。以上から分かるように、上記のタッチパネルの製造方法ではタッチパネルの生産効率が効果的に上げられる。
【0062】
上述した実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせてもよく、記述を簡潔にするため、上記の実施例における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせに対して記載していないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載の範囲に属すと見なされるべきである。
【0063】
上述した実施例は単に本発明のいくつかの実施形態を説明し、その記述は具体的で詳しいが、本発明の特許範囲に対する限定として理解すべきではない。なお、当業者にとって、本願の構想から逸脱しない前提でいくつかの変形や改善が可能であり、これらは本発明の保護範囲に属す。従って、本願の特許の保護範囲は添付の請求項に準ずるべきである。